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2 分野別人権課題
2 分野別人権課題 (1)女性の人権 人々の意識や行動、習慣な ど の 中 に は、い ま だ に、女 性 よる固定的な役割分担意識な どが見受けられ、職場での差 別的処遇等も多く、課題も残 されています。 分野別人権課題 に対する差別や偏見、性別に 人権について 男女が共に個性と能力を発揮できる社会を !! ま た、夫・パ ー ト ナ ー 等 か ル・ハラスメント、性犯罪、売買春やストーカー行為などの女性 に対する暴力は、極めて深刻な問題となっています。さらに、女 相談窓口 らの暴力(DV)、セクシュア 性の人権を侵害する性・暴力表現などの情報が、インターネット このような状況から、教育、労働、メディアなどのあらゆる分 野で、女性の人権を尊重していくことが求められています。 月∼土/ 10:00 ∼ 20:30 (祝日・年末年始・毎月第 3 木曜日を除く) 《相談専用》 ☎ 048-600-3800 6 ● D V D 貸出 家族・夫婦・DV・人間関係など、 様々な相談をお受けします 講師派遣と ★ 埼玉県男女共同参画推進センター(With You さいたま) 人権教育・啓発推進法 等を含め、メディアにおいて増加しています。 セクシュアル・ハラスメント ( セクハラ ) セクシュアル・ハラスメント ( セクハラ ) とは、相手の意に反 した性的な性質の言動で、身体への不必要な接触、性的関係の強 要、性的うわさの流布、衆目へふれる場所へのわいせつな写真な どの掲示など、様々な態様のものが含まれます。 例えば、職場の上司・同僚などが、 「女のくせに」、「まだ結婚しないの」 などと言ったり、執拗にデートに誘っ たり、相手が望んでいないのに身体や 髪に触れたり、ヌードカレンダーを誰 もが目に付くところに貼るなどの相手 に不快感を与える行為などです。 ドメスティック・バイオレンス(DV) ドメスティック・バイオレンス(D V)とは、夫婦や恋人など 親密な間柄で行われる暴力のことです。身体的暴力だけでなく、 精神的・性的暴力も含まれます。近年は、交際相手からの暴力 (デートD V)が問題となっており、若年層での広がりが指摘され ています。 D V の暴力には、大声でどなる、大切な物を壊す、性的行為を 強要する、生活費を渡さない、子どもを利用して脅すなどの行為 も含みます。DVは、被害者の心と体を深く傷つけます。 暴力が振るわれる背景には、女性を男性より低く見る社会意識 や性別による固定的な役割分担意識・社会の慣行、 男女間の経済的格差などがあります。 DVは、犯罪となる行為を含む重大な人権侵害 であり、構造的な社会問題なのです。 7 ● デートDV 害者になる可能性があります。 メールのチェックをする、友達との付き合いを制限する、デー 人権について 交際相手からの暴力を「デートDV」といい、男性も女性も被 ト代を無理やり出させるなどもデートDVです。 交際相手以外の人との関係も大切にすることがデート D V の防止 に必要です。 分野別人権課題 恋愛を最優先するのではなく、家族、友達、部活の仲間など、 DV・デートDVについて相談したい… 人権教育・啓発推進法 ☎ 048-863-6060 ●埼玉県婦人相談センター DV相談担当 月∼土/ 9:30 ∼ 20:30 日・祝/ 9:30 ∼ 17:00(12/29 ∼ 1/3 を除く) ●埼玉県男女共同参画推進センター ☎ 048-600-3800 (With You さいたま) 月∼土/ 10:00 ∼ 20:30 (12/29 ∼ 1/3 及び日・祝日、第 3 木曜日を除く) 相談窓口 ★ 配偶者暴力相談支援センター 講師派遣と 啓発リーフレット 「知っていますか? デート DV」 (県男女共同参画課作成) 貸出 D V D 啓発リーフレット 「DVのない社会に!」 (県男女共同参画課作成) 8 ● ( 2 )子どもの人権 子どもの福祉と人権を守っていくのは大人の責任です 児童の権利に関する条約の一部を紹介します 思想・良心 ・宗教の 自由についての 権利 自由な意見 を表明する 権利 「子どもの最善の利益を考える」 子どもが権利の主体です。 少子化や核家族化の進行、家庭の養育機能の低下、価値観の多 様化、情報化の進展など子どもたちを取り巻く社会環境が大きく 変化し、子どもを巡る問題も複雑、多様化しています。 こうした中、近年、全国的に児童虐待の通告件数が増加し、また、 体罰やいじめ、少年非行等の問題が深刻化しています。 さらに、心ない大人たちによる児童買春、児童ポルノなど、子 どもたちの生命や心身に大きな影響を与える事件 が深刻な社会問題となっています。 このような事態は、子どもへの重大な権利侵害 であり、緊急に解決しなければならない問題であ ると認識する必要があります。 9 ● 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約) (1989)年に国連で採択された国際条約で、日本は平成6(1994) 年に批准しました。この条約では、次の内容をはじめとする子ど 人権について 「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、平成元 もの権利について定めています。 て差別されないこと ◆国や社会が子どもに関わる重要な決定をするときには、子 分野別人権課題 ◆国籍、人種、社会階層、男女の差、障害の有無などによっ どもの利益が尊重されること ◆健やかに成長するための良い環境が整えられること また、子どもが安全に健やかに 相談窓口 ◆自分の意見や考えをしっかりと述べることができること 成長するために、子どもを大人と 人が責任を持って子どもを保護し、 子どもの意見を尊重して、子ども にとっての最善の利益を図るべき 子どもに関する電話相談窓口 「子どもスマイルネット」カード 子どもの権利を尊重した社会づくり た存在、権利を行使する主体であると認識し、子どもの人権を尊 重した社会をつくることが重要です。そのため、福 祉、保健、教育、警察などの関係機関が家庭や地域 と連携し、子どもの人権が尊重され、保護されるよ うな環境づくりを進めていく必要があります。 10 ● D V D 貸出 子どもを保護の対象と見るだけでなく、基本的人権が保障され 講師派遣と であることを明確にしています。 人権教育・啓発推進法 同じ社会の構成員として認め、大 子どもは、大人とともに社会を構成するパートナーです。私た ちは、子どもが、未来の社会の担い手として権利を持っているこ とを認識し、それぞれの子どもが一人の人間として生きていく上 で必要な権利が保障されるよう努めていかなければなりません。 児童虐待 本来、子どもをあたたかく守り育てるべき保護者が、子どもの 心や体を傷つけ、健やかな成長や人格の形成に重大な影響を与え る行為をいいます。 虐待は、子どもに対する著しい人権侵害です。 保護者が「しつけ」と思っている行為でも、現実に子どもの心 や体が傷つく行為であれば、それは「虐待」です。保護者の立場 よりも、子どもの立場で判断することが大切です。 児童虐待は、家庭という密室の中で行われるために発見されに くく、しかも、虐待者が親であるために、子どもは逃げたり、自 ら救いを求めたりすることが困難です。 児童虐待防止法では、すべての国民の義務として、虐待を受け たと思われる子どもを発見したときは、児童相談所などに連絡(通 告)しなければならないと定めています。 周囲の人のあたたかいまなざしと実行が、子どもを虐待から守 ります。 子ども虐待防止 オレンジリボン運動は、「子ども虐待のない社会の実 現」を目指す市民運動です。 オレンジリボンは、そのシンボルマークであり、オレ ンジ色は子どもたちの明るい未来を表しています。 11 ● 県内児童相談所における虐待相談の受付状況 心理的虐待 466 546 688 729 1,171 1,900 2,153 2,372 3,678 4,495 (件) 計 2,287 2,425 2,657 2,665 3,449 4,504 4,769 5,358 7,028 8,387 分野別人権課題 身体的虐待 療育放棄( ネグレクト ) 性的虐待 93 717 1,011 115 760 1,004 108 894 967 100 816 1,020 96 970 1,212 99 1,176 1,329 85 1,167 1,364 110 1,370 1,506 112 1,533 1,705 82 1,771 2,039 人権について 項 目 平成 18 年度 平成 19 年度 平成 20 年度 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 いじめのない学校・社会づくり ンターネットや携帯電話、スマートフォンの 普及により一層見えにくくなっています。 また、いじめは、ささいな行為から危険を 伴う行為へ繋がることもあることから、人権 いじめが起こる原因や背景には、子どもを 取り巻く学校・家庭・社会環境等が複雑に絡 対人関係能力の未熟さとともに他人に対する思いやりやいたわりと いった人権尊重意識の希薄さがあると思われます。 この問題を解決するためには、お互いの異なる点を 認めあうなどの人権意識を養っていくことが重要で す。 12 ● D V D 貸出 み合った問題があります。また、 その根底には、 講師派遣と の観点からも重視すべき課題となっています。 人権教育・啓発推進法 最近のいじめは、その態様が多様でありイ 相談窓口 あなたの近くにいじめはありませんか? いじめは人権侵害であり、許されるものではありません。 ■いじめの態様(公立小・中・高・特別支援学校の合計)*複数回答可 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、 いやなことを言われる。 2,088 1,992 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして 叩かれたり、蹴られたりする。 542 503 仲間はずれ、集団による無視をされる。 511 453 パソコンや携帯電話で、 誹謗中傷やいやなことをされる。 206 204 いやなことや恥ずかしいこと、 危険なことをされたり、させられたりする。 204 150 ひどくぶつかられたり、叩かれたり、 蹴られたりする。 154 140 金品を隠されたり、盗まれたり、 壊されたり、捨てられたりする。 137 117 46 41 金品をたかられる。 H26 年度 H25 年度 42 43 その他 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500(件) 平成 26 年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果 ( 出典:県生徒指導課 ) 体 罰 教育職員による体罰については、学校教育法第11 条ただし書で 明確に禁止されているところですが、体罰による人権侵犯事件は 依然として後を絶たない状況にあります。 埼玉県では、体罰根絶に向けて体罰防止連絡会議を開催するな ど総合的な対策に取り組んでいます。 13 ● (3)高齢者の人権 人権について 高齢者の知識や経験を活用してほしい また、尊重された生活をおくりたい 分野別人権課題 相談窓口 高齢者への身体的・心理的虐待や介護放棄、財産面での権利侵 販売や財産奪取などの犯罪や権利侵害が増加しています。 また、高齢者を年齢などにより一律に弱者と見るような誤った 高齢者の働く場が十分に確保されていないこと などが指摘されています。 高齢者が住み慣れた地域で、生きがいを持ち、 安心して暮らせる社会の構築が課題となってい ます。 14 ● D V D 貸出 理解が高齢者に対する偏見や差別を生むことや、年齢制限により 講師派遣と 害などが懸念されています。さらに、高齢者に対する悪質な訪問 人権教育・啓発推進法 急速に進行する高齢化に伴い、様々な問題が生じています。 埼玉県高齢者支援計画 埼玉県高齢者支援計画では、元気な高齢者が地域社会の担い手 として活躍できる社会の実現を目指すとともに、介護や支援が必 要になっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることがで きるよう地域包括ケアシステムを構築するため、次の5つの柱を 基本目標に施策を展開します。 1 高齢者の健康・生きがいづくりと安心して暮らせるまちづくり 2 住み慣れた地域での暮らしを支える体制づくり(地域包括ケア システムの構築) 3 介護保険施設等の整備 4 介護人材の確保・定着 5 介護保険の円滑な制度運営 高齢者虐待を防ぎましょう 虐待の防止・早期発見のためには、地域の皆さんが高齢者虐待 を身近な問題として意識し、高齢者やその家族を見守っていくこ とが、大きな力となります。あいさつや声かけをして、地域全体 で高齢者虐待を防ぎましょう。 ●“高齢者が虐待を受けているかもしれない”と 思ったらすぐに連絡・相談を ○役所・役場の高齢者虐待 お住まいの 対応担当課 市区町村 ○地域包括支援センター 15 ● 社会福祉法人 埼玉県社会福祉協議会 例えば ●日常生活全般について ●相続、遺言について ●成年後見制度について ●財産の管理について ●消費契約上の問題について 相談内容 分野別人権課題 権利擁護センター 認知症高齢者・障害のある方のための権利擁護相談 認知症高齢者や障害のある方の生活上の様々な相談をお受けし、 解決に向け支援します。 人権について 〒330-8529 さいたま市浦和区針ケ谷 4−2−65 彩の国すこやかプラザ1階 生活相談 月曜日から金曜日 9時∼16時 法律相談(要予約) 水曜日・金曜日 13時∼14時30分 ※祝日・年末年始を除く 16 ● D V D 貸出 または、お住まいの市区町村社会福祉協議会 講師派遣と ☎ 048-822-1299 人権教育・啓発推進法 日常生活自立支援事業 “あんしんサポートねっと” 物忘れなどがあり、判断能力に不安がある高齢者や知的障害、 精神障害のある方が安心して地域で生活が送れるように、生活支 援員が定期的に訪問し、援助します。(利用料はかかります。た だし生活保護世帯は無料) 援助内容 ●福祉サービス利用の説明や利用手続きのお手伝いを します。 ●郵便物を整理して内容をご説明します。 ●税金、公共料金、医療費等の支払や、預貯金の払い 戻し、預け入れのお手伝いをします。 ●預貯金通帳などの大切な書類のお預かりをします。 相談窓口 ☎ 048-822-1204 または ☎ 048-822-1240 ( 4 )障害のある人の人権 障害があるからといって 差別や特別視しないで! でも、バリアはなくそう!! 障害者差別解消法について この法律は、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられ ることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会 の実現につなげることを目的としており、平成28 年 4月に施行さ れました。 法律では、障害を理由とする「不当な差別的取扱い」を禁止す るとともに、「合理的配慮の提供」が求められています。御理解、 御協力をお願いいたします。 不当な差別的取扱い 合理的配慮の提供 国の行政機関・ 地方公共団体等 禁止 法的義務 民間事業者(個人事業者、 NPO 等を含みます。) 禁止 努力義務 不当な差別的取扱い…正当な理由なく障害があることを理由に サービスなどの提供を拒否したり、障害のない人には付けない条 件を付けたりすること。 合理的配慮の提供…障害のある人から、社会の中 にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必 要としているとの意思が伝えられたときに、負担 が重すぎない範囲で対応すること。 17 ● 埼玉県障害者支援計画 域の中で共に育ち、学び、生活し、働き、活動できる共生社会を 目指し、様々な障害者施策を推進します。 障害のある人、 ない人も社会の一員として、 お互いに尊重し、支え合いながら、地域の 中で共に生活する社会こそ当たり前の社会 分野別人権課題 ノーマライゼーションの理念 人権について 「埼玉県障害者支援計画」では、障害のある人もない人も、地 であるという考え方があります。これをノー させていかなければならない理念です。 相談窓口 マライゼーションといい、広く社会に定着 バリアフリーについて は、様々な障壁(バリア)を取り除かなければなりません。バリ アには、物理的なものや、制度的なもの、文化・情報に係るもの や私たちの意識に関わるものなどがありますが、こうした日常生 アフリーです。 例えば、車いすを使用している人にとっては道路の段差や駅・ 建物のエレベーター、エスカレーターの不備がバリアになってい 講師派遣と 活や社会生活上の様々なバリアを取り除こうという考え方がバリ 人権教育・啓発推進法 ノーマライゼーションの理念が行き渡った社会を実現するに 貸出 D V D ます。 また、補助犬への理解不足や字幕放送の不足 などの文化・情報面のバリアや、資格制限や就 業に関わる欠格条項などの制度面のバリア、障 害のある人に対する差別や偏見といった私たち の意識がバリアとなっていることもあるのです。 18 ● このように、社会生活上のバリアは障害のある人にあるのでは なく、むしろ周りを取り巻く環境にあることが多いと認識する必 要があります。 あなたの心の中には「バリア」はありませんか? そのバリア を取り除くためには、障害のある人とない人がコミュニケーショ ンを図ることが大切です。それは、例えば、街で車いすが動かな くなって困っているときや、歩道に障害物があるときなど、障害 のある人へのちょっとした手助けから始まります。 身体障害者補助犬(ほじょ犬)マークを知っていますか? このマークは身体障害者補助犬同伴の啓発のために、 施設や店などの入口に張るマークです。 身体障害者補助犬とは、目や耳、手足の不自由な方の 生活をお手伝いする「盲導犬」・「介助犬」・「聴導犬」のこ とをいいます。 お店の入り口などでこのマークを見かけたり、補助犬 を連れている方を見かけた場合は、皆様の御理解と御協 力をお願いします。 障害者虐待を防ぎましょう 虐待の防止・早期発見のためには、地域の皆さんが障害者への 虐待を身近な問題として意識して、障害者やその家族を見守って いくことが大切です。日頃の声かけやあいさつなどにより地域全 体で障害者虐待を防ぎましょう。 ●“障害者が虐待を受けているかもしれない”と思ったら すぐに連絡・相談を ○役所・役場の障害者福祉 お住まいの 担当課 市区町村 ○障害者虐待防止センター 19 ● ( 5 )同和問題 人権について 正しく理解することが問題解決へつながります 分野別人権課題 相談窓口 同和問題の解決のために 同和問題とは、日本社会の歴史的過程で 形づくられた身分差別に由来するもので、 人権教育・啓発推進法 今なお、日常生活の上でいろいろな差別を 受けるなど、我が国固有の人権問題です。 具体的には、同和地区に生まれ育ったと いうことを理由とした不合理な偏見によ り、交際を避けたり、結婚をとりやめたり 講師派遣と するなど、基本的人権の侵害に関わる重大 な問題です。 この問題を解決するため、国や県、市町 策事業特別措置法」の施行以来、平成14 (2002)年 3 月の「地域改善対策特定事業に係る 国の財政上の特別措置に関する法律」の失効ま での 33年間、様々な特別対策事業を行ってきま した。 20 ● D V D 貸出 村では、昭和44(1969)年7月の「同和対 啓発冊子「同和問題の解決 をめざして(本編)」 (県人権推進課作成) この結果、同和地区における生活環境等については改善が図ら れ、格差の解消はほぼ達成されました。しかしながら、差別意識 や偏見については、これまでの取組により着実に解消に向けて進 んできてはいるものの、時として差別的な発言や落書き、あるい はインターネットでの書込みがなされるなど、いまだ課題として 残っています。 私たちは、何よりも、人として差別があることを許すことはで きません。まして、自分自身が差別されることには強い憤りを感 じるはずです。また、差別を黙って見過ごすことは、守らなけれ ばならない基本的人権が侵害されているという現実を認めてしま うことになります。 私たち一人一人が、同和問題を正しく理解し、相手に対して思 いやりの気持ちを持つとともに、差別を許さないという強い意志 を持つことが大切です。 えせ同和行為の排除 えせ同和行為とは、同和問題を口実にして、企業・個人や行政 機関などに対して行われる不法・不当な行為や要求を指します。 これは、あたかも差別解消運動であるかのように見せかけて行 われることが多いため、同和問題に対する誤った意識を植え付け、 これまで多くの人々が積み重ねてきた啓発の効果を一挙に覆すも のです。 えせ同和行為に応じることは、えせ同和行為を更に横行させる だけでなく、結果的に、同和問題の解決を妨げる ことになる、との認識をもって対応することが必 要です。 21 ● えせ同和行為の 機関紙・図書等物品購入の強要 74.0 要求の種類 12.3 寄附金・賛助金の強要 12.3 講演会・研修会への参加強要 人権について 実態 法務省が平成 25 年にえせ同和行為の実態を把握 するため、 企業 (12 業種 9,000 事業所) を対象に行っ たアンケート調査結果(回答率48.9%複数回答可) 10.3 下請への参加強要 4.4 名簿の購入の強要 4.4 要求の手口 執ように電話をかけてくる 分野別人権課題 機関紙等への広告掲載の強要 55.4 40.7 同和問題を知っているかと言って脅す 17.6 大声で威嚇する 13.2 責任者に会わせろと言って脅す 8.3 事務所に多数で押しかけると言って脅す 相談窓口 要求の口実 同和問題の知識の不足 39.2 単なる言いがかり、無理難題 26.0 一方的に差別であると決めつける 9.3 5.4 無断送付の機関紙等の処理に対するクレーム 2.9 工事に対する苦情 10 20 30 40 50 60 70 80 100 (%) えせ同和行為への対応 D V D 貸出 22 ● 講師派遣と ◆ 同和問題に関する正しい理解と認識を深める ◆ 組織全体で対処する ◆ 毅然とした態度で対応する ◆ 対応の際の注意点 ⅰ 対応は必ず複数で行うこと(場合によっては、弁護士や警察に相 談のうえ、待機してもらう) ⅱ 事実確認は的確に行い、即答は避けること(氏 名等の確認・要求内容の詳細な記録等を行う) ⅲ 面接は密室を避け、自社の会議室など管理が 及ぶ範囲内とし、時間を指定・制限すること ◆ 相手方に連絡しない。また、文書などに署名・ 押印等をしない 人権教育・啓発推進法 0 埼玉県えせ同和行為対策関係機関の相談窓口 埼玉県では、国、県警察本部、埼玉弁護士会などの機関と ともに、 「埼玉県えせ同和行為対策関係機関連絡会」を設置し、 その排除に努めています。 えせ同和行為に関する相談は、次のところまでお問い合せ ください。 ● さいたま地方法務局人権擁護課 ☎ 048( 859 ) 3507(直通) ● 埼玉県県民生活部人権推進課 ☎ 048( 830 ) 2258(直通) ● 埼玉県警察本部刑事部組織犯罪対策局捜査第四課 ☎ 048( 832 ) 0110(代表) (公財) 埼玉県暴力追放・薬物乱用防止センター ● ☎ 048( 834 ) 2140(直通) ● 埼玉弁護士会民事介入暴力対策委員会 ☎ 048( 863 ) 5255(代表) 23 ● ( 6 )外国人の人権 人、物、情報の流れが国境を越えて拡大し、社会、経済、文化 最近では、街中でいろいろな国の人々を見かけるように、埼玉 県で暮らす外国人が増えています。 埼玉県内の在留外国人数は、平成27年12月末日現在で約14万人 分野別人権課題 のあらゆる面で国際社会の相互依存関係が深まっています。 人権について 「外国人というだけで…」 態度を変えたり、差別をしないで!! (法務省調べ)と、3年前の在留外国人数と比べ約 1.19 倍に増加し、 県人口の約1.9%を占めるまでになり、その国籍は約150か国にも 相談窓口 なります。 埼玉県内の国籍別在留外国人数(平成 27 年 12 月末日現在) パキスタン 1.5% タイ 2.0% (法務省調べ) ※国籍名は法務省の統計表示による ※平成 24 年 7 月から「外国人登録制度」 廃止。新しい「在留管理制度」が開 始された。 ネパール 2.1% 台湾 2.1% その他 12.9% ペルー 2.6% 中国 39.9% ブラジル 5.1% ベトナム 8.0% 韓国 11.1% フィリピン 12.8% D V D 貸出 人数(人) 55,716 17,820 15,548 11,221 7,101 3,558 2,937 2,862 2,847 2,070 17,976 139,656 講師派遣と 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 国籍名 中国 フィリピン 韓国 ベトナム ブラジル ペルー 台湾 ネパール タイ パキスタン その他 合計 人権教育・啓発推進法 順位 注)%で示した比率につい て は、各 国 籍 の人 数 を全体の人数で割って 求め、小数点第2位を 四捨五入して算出した ものです。 24 ● 在留外国人数の推移(埼玉県) (人) 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 人口 H24年 H25年 H26年 H27年 117,845 123,294 130,092 139,656 ※各年 12 月末日現在(法務省調べ) 人権に国境はありません こうした外国人の方々は、地域で暮らしていく上で、人種や言 語、宗教、習慣等の違いからくる偏見や誤解などにより、人権に 関わる様々な問題に直面しています。 例えば、外国人というだけで、アパートへの入居を断られたり、 就職するときや職場で不利な扱いを受けるということがありま す。 25 ● もし、自分が外国人の立場だったら、どう思いますか? 外国 人というだけで差別されたら、怒りや悲しみを覚えませんか? ります。 例えば、日本語がわからないために、子どもが学校の授業につ 人権について 一方、日本語が不自由な人が多いという外国人固有の問題もあ いていけなかったり、親が学校からの通知を理解できない、ある ヘイトスピーチのない社会をめざして 分野別人権課題 いは行政から必要な情報を入手できない、ということがあります。 近年、特定の民族や国籍の人々を 排斥する趣旨の差別的言動である「ヘ 相談窓口 イトスピーチ」が、大きな社会的問 題となっています。こうした言動の 解消に向けた取組を推進するため、 人権教育・啓発推進法 平成 28(2016)年 5月には、 「本邦外 出身者に対する不当な差別的言動の 解消に向けた取組の推進に関する法 律(ヘイトスピーチ対策法)」が成立 し、6 月に施行されました。この法 制の整備や教育、啓発活動の充実を 求めています。 国のポスター(ヘイトスピーチ、 許さない。) 一員として、お互いを理解し合い、認め合い、助け合うことで、 一人一人の人権が尊重される社会を築くことがで きるのではないでしょうか。 26 ● D V D 貸出 外国人も日本人も一人の人間として、そして同じ地域で暮らす 講師派遣と 律では、国や自治体に対し、相談体 ( 7 )HIV感染者・ハンセン病患者等の人権 どんな病気なのか、正しく理解してほしい! HIV感染症・エイズ、ハンセン病などでは、その病気や感染 経路についての偏見や無理解から、患者や感染者が差別されるこ とがあります。 そのことが、患者、感染者やその家族が安心して生活を送る妨 げとなっているのです。 エイズやハンセン病に限らず、他の病気についても同じことが 当てはまります。病気と闘う一人一人が個人として尊重されるよ う、病気について正しく理解し、差別・偏見をなくしましょう。 HIV/エイズについて正しく理解していますか エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイ ルス)というウイルスに感染し免疫が低 下することによって起こる病気です。 ここ数年、HIV感染は若者から中高 年までの幅広い年齢層で増えています。 HIVを含む血液、精液、膣分泌液と いった体液が、粘膜や傷口から体内に入 ることによって感染する可能性がでてき ます。このため、感染経路は、性的接触、 血液感染、母子感染に限られます。 また、感染力が弱いた H I V 検査啓発チラシ (県疾病対策課作成) め、学校・職場・家庭などの日常生活では感染し ません。治療により体調を維持しながら、仕事や 学業を継続することも可能です。 27 ● このようなHIV感染者・エイズ患者が、誤解・偏見や差別から、 社会で能力を発揮する機会を奪われてよいのでしょうか。HIV はありません。感染を知られることによって、偏見や差別を受け るのではないかという不安とも闘っているのです。 ハンセン病は、末梢神経や皮膚が侵される感染症です。感染力 は非常に弱く、乳幼児期にたくさんの量のらい菌を頻繁に口や鼻 分野別人権課題 ハンセン病について正しく理解していますか 人権について 感染者・エイズ患者が直面する問題は、現実の偏見や差別だけで から吸い込む以外、まず 相談窓口 発病しません。日常生活 で感染することはほとん どありません。遺伝する こともなく、早期発見と 治すことができます。最 近では、日本人の新規患 者は、年に数人程度になっ ています。 「らい予防法」闘争時の参議院でのすわり込み (国立ハンセン病資料館提供) 年から平成 8(1996)年の間に実施された隔離政策などにより、 「怖 い病気」と誤解され、患者はもとよりその家族も、結婚や就職を 療養所で生活している人のほとんどは、既に病 気は治癒しています。しかし、いまだに社会にお ける差別や偏見が残っていることなどから、療養 所の外で生活することに不安を感じる人もいま す。 28 ● D V D 貸出 拒まれるなどの差別や偏見を受けてきました。 講師派遣と しかし、明治40 (1907) 人権教育・啓発推進法 適切な治療により確実に レッドリボンについてご存じですか ∼エイズに対する理解と支援の象徴∼ レッドリボンは、もともとヨーロッパに 古くから伝承される風習で、病気や事故に より人生を全うできなかった人への追悼の 気持ちを表すものでした。 エイズに倒れて亡くなるアーティスト仲 間に対する追悼の気持ちとエイズに苦しむ 人々への理解と支援の意思を示すために、 赤いリボンをシンボルにした運動が、1980 レッドリボンって 年代の終わり頃、ニューヨークのアーティ ストの間で始まりました。 なあに? この運動は、その考えに共感した人々に よって国境を越えた運動として発展し、UNAIDS (国連合同 エイズ計画 ) のシンボルマークにも採用されています。 レッドリボンは、あなたがエイズに関して偏見を持ってい ない、エイズとともに生きる人々を差別しないというメッ セージです。 ●世界エイズデー ●ハンセン病を正しく理解する週間 12 月 1 日 6月25日を含めた週の日曜日から土曜日まで この期間には、様々な啓発活動が行われます。 この機会に、病気に対する理解を深めてください。 29 ● ( 8 )犯罪被害者やその家族の人権 人権について 犯罪被害者やその家族の方々に必要なのは、 皆様の理解と支援です 分野別人権課題 相談窓口 犯罪の被害者(遺族を含む。以下同じ。)は、命を奪われる(家 族を失う)、けがをする、物を盗まれるなどの生命、身体、財産 上の直接的な被害だけでなく、 ◆ 医療費の負担や失職、転職等による経済的困窮 ◆ 捜査や裁判の過程における精神的、時間的負担 によるストレス、不快感 など、被害後に生じる様々な問題に苦しめられ ています。 このような問題は総じて「二次的被害」といわ れています。 30 ● D V D 貸出 ◆ 周囲の人々の心ない言動、態度やマスコミの取材、報道 講師派遣と ◆ 事件にあったことによる精神的ショックや身体の不調 人権教育・啓発推進法 被害者の抱える様々な問題 被害者が抱える問題の中でも、精神的被害は深刻です。先の地 下鉄サリン事件や阪神淡路大震災の被害者(被災者)が様々な精 神症状を訴えたことにより、被害者が受ける精神的被害の深刻さ が広く認識されるようになりました。 また、事件から数年が経過した後でも、事件のときの場面がい きなり頭に浮かんできたり、事件のことを思い出させるものには 近づけないなど、長期にわたって精神的に苦しめられています。 私たちは、誰もが犯罪の被害者になる可能性があります。 被害者が受けた被害の軽減・回復には、周囲の方の理解や共感、 配慮、協力がとても大切です。 被害者の心理 心理的反応 身体的反応 感覚的反応 ●恐怖感 ●自責感 ●不安感 ●緊張・動悸 ●感覚・感情がマヒする ●無気力感・絶望感 ●下痢・吐き気 ●現実感がない ●孤独感・疎外感 ●不眠・悪夢 ●自分が自分でないと感じる ●怒り・復讐心 ●食欲不振 ●記憶力、判断力の低下 周りの人たちは、被害者の心理等を良く理解して接することが 求められます。 被害者の落ち度を責めたり、不適切に励ましたりすると、被害 者は体験した恐怖や精神的苦痛を理解してもらえないという思い を強くし、孤立感を深めます。 不適切な励ましの例として、「頑張って」「早く忘れなさい」と いったものから、子どもを亡くした遺族に対する「他の子どもの ためにもしっかりしなさい」「他にも子どもがい るじゃない」、他の被害と比べて「あなたはまだ いい方」「命が助かっただけ良かった」といった ものがあります。 被害者の心の傷の回復には、周囲の人々の理解 と共感と支持がとても大切です。 31 ● もしも被害にあったら・・・ 自分の体が危険にさらされたり、身近な人を突然失う と、しばらくの間それまでの自分を取り戻せなかったり、 でも・・・ 突然大きなショックを受けた後は、心や体の調子を崩 すことは自然なことです。決して精神的に弱かったり、 分野別人権課題 落ち着かない状態が続くことがあります。 人権について 事件・事故の被害にあったときは・・・ おかしくなったということではありません。 一人で抱え込まずに、あなたの気持ちを話してみませ んか? 話してみませんか? 人権教育・啓発推進法 被害を受けたあなたへ 相談窓口 このようなときは・・・ 講師派遣と 32 ● 事件や事故にあわれた方や御家 族の方からの相談をお待ちしてい ます。 D V D 貸出 困っていること、不安なこと、 手助けが必要なことなど、気軽 に相談できる窓口があります。 一人で悩む必要はありません。 (相談窓口については 51ページ参 照) ( 9 )アイヌの人々の人権 素晴らしい伝統があります 民族の歴史や文化を尊重しましょう! 北海道などに古くから住んでいるア イヌの人たちは、自然の恵みに感謝し、 人 間 を 深 く 愛 し、平 和 な 暮 ら し を お くっていた我が国の少数民族です。 明 治 に な り、政 府 は、「蝦 夷 が 島」 と呼んでいたこの地を「北海道」と命 名し、全土を国有地として拓殖政策を 始め、本州などから多くの移住者が来 ました。このため、少数者となったア イヌの人々は、伝統的な生活や生産の手段を失い、貧困にあえぎ、 近年に至るまで、いわれのない多くの差別などを受けてきました。 また、政府は、アイヌ民族独自の言葉、文化、生活習慣などを禁 止し、日本語の使用を強制するなどの同化政策を採ったため、そ の独自文化が失われてしまいました。 今では、伝統的な生活を続けている人はいませんが、現在の生 活も必ずしも恵まれた状態にあるとはいえず、結婚や就職などに おける様々な差別が続いています。 アイヌ文化の振興及び普及啓発 平成 7(1995)年に「ウタリ対策のあり方に関 する有識者懇談会」が設置され、今後のウタリ対 策のあり方が検討されました。アイヌの人々の固 有の事情に立脚し、アイヌ語や伝統文化の保存、 33 ● 振興を通じて民族的な誇りが尊重される社会の実現等を基本理念 とした新たな施策の展開が必要であるとの報告を受けました。 認め、アイヌ文化の振興を図るため「アイヌ文化の振興並びにア イヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が施行 人権について これを踏まえ、平成 9(1997)年に、アイヌの人々の民族性を されました。 権利に関する国際連合宣言」が採択されました。 これを受けて、平成 20(2008)年 6 月に「アイヌ民族を先住民 族とすることを求める決議」が国会で採択され、これまでのアイ 分野別人権課題 また、平成 19(2007)年 9 月には、国連において「先住民族の ヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組んでいます。 平成 26(2014)年 6 月には「アイヌ文化の復興等を推進するた 基本方針について」が閣議決定されました。 相談窓口 めの『民族共生の象徴となる空間』の整備及び管理運営に関する このような経緯を踏まえ、アイヌの人々の民族としての誇りが アイヌ文化をもっと知りたいときは ● 公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構 講師派遣と アイヌ文化の振興とアイヌの伝統等に関する知識の普及啓発を 行っています。 〒060-0001 北海道札幌市中央区北 1 条西 7 丁目 ブレスト 1・7(5 階) ☎ 011 - 271 - 4171 FAX 011 - 271 - 4181 ホームページ http://www.frpac.or.jp/ 人権教育・啓発推進法 尊重される社会の実現を図ることが重要です。 貸出 D V D ● アイヌ文化交流センター アイヌ関係の図書・資料やビデオ等を自由に閲覧 することができます。 〒104-0028 東京都中央区八重洲 2−4−13 ユニゾ八重洲 2 丁目ビル(3 階) ☎ 03 - 3245 - 9831 FAX 03 - 3510 - 2155 34 ● ( 10 )インターネットによる人権侵害 パソコン画面の向こうにある見えない 他者の人権を意識することが大切です パソコンやスマートフォン等の普及により、インターネットが より身近なものになり、情報の収集・発信やコミュニケーション における利便性が大きく向上するなど生活は便利になりました。 その一方で、情報発信の匿名性を悪用して、個人に対する誹謗・ 中傷や差別的な情報の掲示、プライバシーの侵害、差別を助長す る表現等がインターネット上に掲載されるなど、人権に関わる問 題が発生しています。また、安易に個人情報を発信したり、有害 サイトを利用したことから犯罪に巻き込まれる事件も発生してい ます。 悪質な事案に対しては、プロバイダ等に対して当該情報等の停 止・削除を申し入れるなどの対応が図られています。しかしなが ら、インターネット利用者一人一人が、他人の名誉をはじめとす る人権に関する正しい理解を深めるとともに、インターネットを 正しく利用することが必要です。 また、いわゆるリベンジポルノ等による被害の発生・拡大を防 止するため、平成 2 6(2014)年 11月には、私的に撮影された性的 画像を公表する行為や公表目的で提供する行為に対する罰則、画 像の削除に係る「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限 及び発信者情報の開示に関する法律」の特例及び被害者に対する 支援体制の整備等を内容 とする「私事性的画像記 録の提供等による被害の 防止に関する法律」が成 立しました。 35 ● 埼玉県「人権に関する意識調査(平成22年11月)」から (n=1,895) 0 10 20 30 40 50 60 他人への誹謗中傷を掲載する 80(%) 70.2 55.6 犯罪を誘発する場となっている 53.1 悪徳商法による被害が起こっている 41.2 差別的な表現等を掲載する 分野別人権課題 個人情報の流出などの問題 35.1 26.8 未成年者の実名や顔写真を掲載する 24.4 相談窓口 ネットポルノが存在する その他 70 人権について あなたは、インターネット上での人権侵害に関して、現在、 どのような問題が起きていると思いますか? 1.6 無回答 8.1 3.1 インターネットは公共の場です。コミュニケー ションの相手が人間であることを常に意識し、 人権尊重を心がけましょう。 36 ● D V D 貸出 利用者のモラルとマナー 講師派遣と インターネット上での人権侵害に関する問題は、「他人への誹謗 中傷(ひどい悪口)を掲載する」が 70.2%と最も高くなっています。 次 い で、「個 人 情 報 の 流 出 な ど の 問 題 が 多 く 発 生 し て い る」が 55.6%、出会い系サイトなど「犯罪を誘発する場となっている」が 53.1%と続いています。 人権教育・啓発推進法 特にない ● ホームページは、たくさんの方が閲 覧します。間違った情報や違法な情 報、他人を傷つける内容は掲載して はいけません。 ● インターネットの利用状況は全て記 録されています。匿名であってもプ ロバイダや警察は記録から追跡して加害者を特定するこ とができます。 ● 個人情報や文書・写真などの著作物の無断掲載は、プライ バシーや著作権の侵害です(本人の同意が必要です)。 ● ホームページの作成や掲示板の書き込み等を行う際は、 お互いを尊重する気持ちを忘れずにルールを守って使い ましょう。 ■インターネットに関する人権侵犯事件の新規救済手続開始件数 件数 1800 1,736 1700 1600 1,429 1400 1200 957 1000 800 600 636 671 23 24 400 200 0 25 26 27年 (平成) 出典 : 平成 28年度「人権の擁護」( 編集発行:法務省人権擁護局 ) 37 ● もしも、被害にあったら・・・ を受けるなどの人権侵害を受けた場合は、情報の発信者やサイ ト管理者、プロバイダ等に記事を削除するよう要請できます。 警察庁「インターネット安全・安心相談」 http://www.npa.go.jp/cybersafety/ ◇インターネット・ホットラインセンター 分野別人権課題 ◇インターネット上で困ったことが起きた場合 人権について ホームページや掲示板上で、プライバシーの侵害や差別発言 インターネット上の違法・有害情報の通報窓口です。警 依頼等を行っています。 http://www.internethotline.jp/ 最寄りの警察署または埼玉県警察ホームページ http://www.police.pref.saitama.lg.jp/ ◇インターネットによる人権相談窓口 法務省人権擁護機関では、インターネットでも人権相談 http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html(パソコン) 38 ● D V D 貸出 https://www.jinken.go.jp/soudan/mobile/001.html (携帯電話) 講師派遣と を受け付けています。 人権教育・啓発推進法 ◇犯罪被害に係る相談窓口 相談窓口 察への情報提供や電子掲示板の管理者等へ送信防止措置 ( 11)北朝鮮当局による拉致問題 北朝鮮による拉致問題解決のためには、 県民一人一人の声が大きな力となります 39 ● 北朝鮮当局による拉致問題とは でその消息を絶ちましたが、これらの事件の多くには、北朝鮮に よる拉致の疑いが持たれています。政府は、これまでに17名を北 人権について 1970 年代から1980 年代にかけて、多くの日本人が不自然な形 朝鮮による拉致被害者として認定していますが、さらにこの他に 埼玉県においても、政府が認定した拉致被害者1名を含む 15 名の安否がいまだに確認されていません。 平成14(2002)年 9月に北朝鮮は日本人拉致を初めて認め、同年 分野別人権課題 も拉致の可能性を排除できないケースがあります。 10月に 5名の拉致被害者が帰国しましたが、他の被害者について は、いまだ北朝鮮から安否に関する納得のいく説明はありません。 たままの状態で、現在も救出を待っています。 拉致問題の解決に向けて 平成 18 (2006)年 6月に「拉致問題その他北朝鮮当局による人権 侵害問題への対処に関する法律」が施行され、拉致問題に関する 国民世論の啓発を図ることが国及び地方公共団体の責務と定めら 侵害問題啓発週間」とすることとされました。 埼玉県では、「拉致問題を考える埼玉県民の集い」の開催や県 ます。 拉致問題の解決には、被害者や御家族の早期 帰国を願う思いを忘れることなく、解決を望む 国民の強い意志を北朝鮮に伝えていくことが大 切です。 40 ● D V D 貸出 内各地におけるパネル展示など、様々な啓発活動に取り組んでい 講師派遣と れました。また、毎年12月10日から同月16日までを「北朝鮮人権 人権教育・啓発推進法 相談窓口 残された被害者たちは、今なお自由を奪われ、北朝鮮に囚われ 拉致問題への一層の御理解と、 拉致被害者や失踪者の 御家族への 暖かい御支援をお願いします。 ブルーリボンを知っていますか? ブルーリボンは、拉致被害者の救出を求 める運動の中で発案されたものです。ブ ルーの色は、日本と北朝鮮を隔てる「日本 海の青」そして、被害者と御家族を結ぶ「青 い空」をイメージしています。 「北朝鮮による拉致被害者の生存を信じ、 絶対に救出する」との意思表示です。 41 ● ( 12 )災害時における人権への配慮 人権について 災害時や緊急事態の時こそ、いつも以上に人権に 配慮しながら支援や復興に当たることが大切です! ● 平成23(2011)年 3 月11日 大津波の発生により、東北地 方と関東地方に甚大な被害を もたらしました。また、地震 分野別人権課題 に発生した東日本大震災は、 と津波に伴い発生した福島第 一原子力発電所の事故により なくされています。 所において、プライバシーが保護されないという問題のほ かに高齢者、障害のある人、子ども、外国人などのいわゆ る「災害時要援護者」や女性に対する避難所生活での配慮 の不足が問題になりました。 線被ばくについての風評に基づく差別的取扱い等の人権問 D V D 貸出 題が発生しています。 講師派遣と ● このような中、避難生活の長期化に伴うトラブルや放射 人権教育・啓発推進法 ● 被害を受けた人たちがようやく安らぎを得たはずの避難 相談窓口 多くの人々が避難生活を余儀 42 ● (13)性的少数者の人権 個人の性自認や性的指向は様々で、それを認め合い、 正しい理解を深め、偏見や差別を解消することが必要です。 性的少数者(性的マイノリティ)とは 個人の性について考えるとき、次の4つの観点を持つことが必 要とされています。 ● 身体の性別 =生物学的に男か女かを指すもので、「生物学 的性別」とも言います。 ● 性自認 =本人が自認する性別のことで、「心の性」とも言 います。 ● 外見の性別 =見た目の性別のことで、「男らしさ」「女らし さ」を指します。 ● 性的指向 =恋愛感情や性的欲望がどの性別に向かっている かを指します。 43 ● 多くの人(マジョリティ)は、身体の性別、性自認、外見の性 別が一致し、性的指向が異性に向かっています。ところが、必ず ( 注1) のことを「性的少数者(性的マイノリティ)」(「LGBT」 と 表現されることもあります。)と言います。 本人が自認する性別に関して、「身体的には男(女)だが、自 分(の心)は女(男)」あるいは「自分は男でも女でもない、性 分野別人権課題 性的少数者の状況(注 2) 人権について しもこのような状態でない人も一定数存在します。このような人 別を意識していない」と考える人がいます。これらの人の中には、 れない人がいます。 また、性的指向に関しても、同性愛や両性愛の指向を持つ人 相談窓口 自分の身体や戸籍上の性別に違和感を持ち、それを受け入れら がいます。 場面で偏見や差別を受けることがあります。このため、性的少 数者の多くは様々な悩みや生活上の困難を抱えています。 近年、性的少数者に対する関心が高まってきています。いく ています。また国においても、文部科学省が小中学校における 対応方針を通知するなどの動きがあります。 海外においては、多くの国で同性カップルが異 性カップルと同等の権利を有することを規定した 法律が制定されています。 44 ● D V D 貸出 つかの地方公共団体では、性的少数者に配慮した条例を制定し 講師派遣と 様々な動き 人権教育・啓発推進法 性的少数者は、性自認や性的指向を理由として社会の様々な (注 1)LGBT レズビアン(L:女性同性愛者)、ゲイ(G:男性同性愛者)、バイセクシュアル(B:両 性愛者)、トランスジェンダー(T:身体や戸籍上の性別に対して違和感があり、それとは 異なる性別として扱われたいと望む人)の頭文字をとった言葉です。トランスジェンダー の中で医学的に病気と診断されたものが「性同一性障害」です。 最近は、インターセックス(I:性分化疾患=先天的に身体の性別の特徴が男女いずれ かに明確に区別できない人)を含めて[LGBTI」とする場合があります。 (注 2)性的少数者の存在割合(電通ダイバーシティ・ラボによる「LGBT 調査 2015」) 国内では、7.6%の割合で存在すると言われています。(概ね 13 人に 1 人) (調査対象:全国 20 ∼ 59 歳 男女 69,989人) 埼玉県「人権に関する意識調査(平成22年11月)」から あなたは、性同一性障害者や性的指向の異なる人に関して、 人権が尊重されていないと感じるのは、どのような状況に 対してですか。 (n=1,895) 0 10 20 30 40 50 性同一性障害者等の理解が足りないこと 51.3 差別的な言動をすること 42.2 職場等において、嫌がらせをすること 33.6 じろじろ見られたり、避けられたりすること 27.6 就職・職場で不利な扱いをすること 22.2 アパート等の入居を拒否すること 9.4 宿泊を拒否すること 8.3 店舗等の入店や施設利用を拒否すること その他 7.4 1.4 特にない 無回答 60 (%) 24.0 3.3 45 ● (14 )様々な人権問題 人権について これまでみてきた問題のほかにも、 人権問題は数多くあります。 分野別人権課題 相談窓口 人権教育・啓発推進法 イバシーの侵害などの問題も発生しています。 ことから、新たな動きにも常に目を向けていく必要があります。 46 ● D V D 貸出 このように、人権は、社会の変化に伴い、多様な広がりを持つ 講師派遣と 刑を終えて出所した人やホームレスに対する偏見、個人のプラ