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PDF、snh - 国立病院機構 仙台医療センター

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PDF、snh - 国立病院機構 仙台医療センター
−昆虫媒介性ウイルス感染症−
アルボウイルスとは?
− ★世界と日本★ −
国立感染症研究所 ウイルス第一部
高 崎 智 彦
アルボウイルスは、節足動物により
ヒトや脊椎動物にウイルスが伝播す
るという疫学的な共通性に基づいた
概念であり、ウイルス学的な分類上
その中には、フラビウイルス科、トガ
ウイルス科、ブンヤウイルス科、レ
オウイルス科などのウイルスが含ま
れる。
第6回 みちのくウイルス塾 (平成19年7月14日)
アルボウイルス一覧
媒介昆虫
カ 病名またはウイルス名
ウイルス科(属)
◆黄熱
◆西ナイル熱/脳炎
◆デング熱
◆ロシオ
◆日本脳炎
◆ムレー渓谷脳炎
◆セントルイス脳炎
◆ブエッセエルスブロン
◆西部ウマ脳炎
◆オニョニョン
◆東部ウマ脳炎
◆ロスリバー
◆ベネズエラウマ脳炎
◆シンドビス
◆チクングニア
◆マヤロ熱
◆ブンヤンウェラ
◆タヒナ
◆ブンヤウイルスC群
◆ラ・クロス
◆カリフォルニア脳炎
◆シンブ群*
◆リフトバレー熱
ヌカカ
マダニ
トガウイルス
(アルファウイルス)
ブンヤウイルス
(ブンヤウイルス)
ブンヤウイルス
(フレボウイルス)
◆サシチョウバエ熱
サシチョウバエ
フラビウイルス
(フラビウイルス)
ブンヤウイルス
(フレボウイルス)
◆小胞性口内炎
ラブドウイルス
(ペシクロウイルス)
◆オポロウチェ
ブンヤウイルス
(オロポウチェ)
◆ロシア春夏脳炎
◆オムスク出血熱
◆中央ヨーロッパダニ脳炎
◆キャサヌル森林熱
フラビウイルス
(フラビウイルス)
◆跳躍病
ブンヤウイルス
(ナイロウイルス)
◆クリミヤーコンゴ出血熱
◆コロラドダニ熱
◆ケメロボ
デングウイルス
in first decade of this century
• ウエストナイルウイルス
• 日本脳炎ウイルス
• デングウイルス
• チクングニヤウイルス
レオウイルス
(オルビウイルス)
フラビウイルス属の系統樹
3 1 2 4
アルボウイルス
フラビウイルス脳炎の分布
日本脳炎血清型群
WN Kun
MVE JE SLE
黄熱
ダニ媒介性脳炎ウイルス群
Novosibirsk
ウエストナイルウイルス
クンジンウイルス
日本脳炎ウイルス
ロシア春夏ウイルス
中欧脳炎ウイルス
1
米国ウエストナイル熱
患者発生状況(2007年)
West Nile Virus Transmission Cycle
Mosquito vector
Incidental infections
West
Nile
virus
West
Nile
virus
Incidental infections
Bird
reservoir
hosts
(7/3現在19例、うち死亡例1)
米国ウエストナイル熱
患者発生状況(2005年)
米国ウエストナイル熱
患者発生状況(2006年)
1965年から2003年までの日本脳炎報告患者数
1999-2005年の米国における
WN熱・脳炎患者発生状況
2000
01
02
03
04
05
06
累計
WN熱/その他
脳炎
死者数
患者数合計
3
2
2
1,210
6,996
1,391
1,706
2,807
14,117
59
19
64
2,946
2,866
1,148
1,294
1,449
9,845
7
2
9
284
264
100
119
165
950
62
21
66
4,156
9,862
2,539
3,000
4,256
23,962
Reported cases
50
5000
Reported cases
年
1999
1989; 北京株導入
60
6000
40
4000
30
20
3000
10
2000
0
1982
1987
1992
1997
2002
1000
0
1946
1951
1956
1961
1966
1971
1976
1981
1986
1991
1996
2001
Year
1967-1975; 特別対策
1954-1966; 勧奨接種
1989; 北京株導入
1976∼ 平常時臨時接種
1995∼ 定期予防接種
2
ブタにおける日本脳炎ウイルスHI抗体保有状況(1972年-2002年)
日本脳炎患者発生状況(1982年-2002年)
本邦確認されたウエストナイル熱の1
本邦確認されたウエストナイル熱の1例臨床経過
診断までの過程
2005年
プエルトリコ滞在
日本脳炎(JaGAr株) HI:1280x
日本国内
ロサンゼルス滞在
近医 当院 当院
当院
当院
当院
頭 痛
発 熱
WNV ウイルス分離 : RT-PCR : IgM 捕捉 ELISA
:
(国立感染症研究所キット)
9月10日 陰 性 陰 性
陽 性 9月20日
未実施
未実施
陽 性
皮疹
8/24
WBC
PLT
CRP
28
( /μl ) (×10 4/μl )
( mg/dl )
9/4
8 10 12
2190 8710
7.2 7.4
0.8 0.3
20
10/5
6940
13.7
----
症例 2
• 25歳女性、LAに留学中、9月6日から倦怠感・下痢
• 9/7:皮疹、9/9より頭痛
• 9/12:LAの病院を受診、WN熱の疑いで緊急入院
となり、9/15WN熱と診断された。
• 9/25日本に一時帰国。
• 10/4:その後も倦怠感、手のしびれ感が持続し、W
N熱輸入症例の報道(10/3)を知り、心配となり川
崎病院を受診した。
• 感染研にて、IgM抗体陽性・中和抗体陽性を確認
した。
9月10日 9月20日
WNV中和抗体 : 40x 640x
フラビウイルス脳炎の分布
Novosibirsk
ウエストナイルウイルス
クンジンウイルス
日本脳炎ウイルス
ロシア春夏ウイルス
中欧脳炎ウイルス
3
Occurrence of JE patients after Vaccination strategy in Korea
Age distribution of JEV NT antibody positives from 1985 to 2000
100
Positive rate
≧1:10
1988
1992
1996
2000
2004
80
60
40
(%) 20
Change of
Vaccination
schedule
0
100
Positive rate
Started
Vaccination
Change of
Booster
schedule
≧1:20
80
60
40
(%) 20
≧70
60-64
9
55-59
8
65-69
7
50-54
6
40-44
5
45-49
4
25-29
3
35-39
2
20-24
1
30-34
0
15-19
0
10-14
Tentative
Vaccination
年齢群(歳)
日本脳炎ウイルスの生活環
日本脳炎ウイルスについて
プラス鎖RNAウイルス(11kb長)
3つの構造蛋白、7つの非構造蛋白、非翻訳領域から構成される
5’ Nontranslated region (NTR)
0
1000
C prM
M
2000
E
3000
3’ NTR
4000
5000
NS1 NS2A NS2B
Structural
proteins
6000
NS3
7000
8000
NS4A NS4B
9000
10000
NS5
Nonstructural
proteins
日本脳炎ウイルスの地理的分布
I, III
III
I, II, III
II, III
I, II, III, IV, V
I, II
Ref.:
Solomon et al.
(2003)
日本におけるJEV genotype(1)
Strain
Year
Location
Source
Nakayama
JaGAr01
JaTAn1/65
JaTAn1/72
JaTAn1/75
JaTAr1/75
80P136
JaTAn1/80
81P241
81P244
JaOArS982
JaTAn1/84
JaTAn1/87
89C49
89P141
JaTAn1/90
JaOArK36-91
JaTAn1/91
JaTAn2/91
Ishikawa(94)
JaTAn1/94
JaTAn2/94
95-91
95-167
97-82
JaTAn1/98
10-173
JaTAn1/99
2001-23
1935
1959
1965
1972
1975
1975
1980
1980
1981
1981
1982
1984
1987
1989
1989
1990
1991
1991
1991
1994
1994
1994
1995
1995
1997
1998
1998
1999
2001
Tokyo
Gunma
Tokyo
Tokyo
Tokyo
Tokyo
Oita
Tokyo
Oita
Oita
Osaka
Tokyo
Tokyo
Oita
Oita
Tokyo
Osaka
Tokyo
Tokyo
Ishikawa
Tokyo
Tokyo
Oita
Oita
Oita
Tokyo
Chiba
Tokyo
Oita
Human CSF
Culex tritaeniorhynchus
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Mosquito pool
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Mosquito pool
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Mosquito pool
Swine serum
Swine serum
Swine mononuclear cells
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Porcine tonsil
Swine serum
Swine serum
Genotype
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
I
III
III
I
I
I
I
I
I
I
I
I
I
“ Genotype shift”
Ref.: Ma et al. (2003)
4
Dengue endemic area
日本におけるJEV genotype(2)
Strain
Year
Location
Source
JaTAn 1/65
JaTAn 1/84
JaTAn 3/86
JaTAn 1/87
JaTAn 4/88
JaTAn 1/90
JaTAn 5/90
JaTAn 6/90
JaTAn 7/90
JaTAn 2/91
JaTAn 1/94
JaTAn 1/99
JaTAn 1/00
1964
1984
1986
1987
1988
1990
1990
1990
1990
1991
1994
1999
2000
Tokyo (Mitaka)
Tokyo (Tachikawa)
Tokyo (Mizuho)
Tokyo (Mizuho)
Tokyo (Tachikawa)
Tokyo (Oume)
Tokyo (Oume)
Tokyo (Oume)
Tokyo (Oume)
Tokyo (Tachikawa)
Tokyo (Fuchu)
Tokyo (Oume)
Tokyo (Oume)
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Swine serum
Genotype
III
III
III
III
III
III
III
III
III
III
I
I
I
“Genotype shift”
Ref.: Yoshida et al. (2005)
2007年デング熱輸入症例の現状
(感染研ウイルス第一部で診断)
輸入デング熱発生状況
(1999年
1999年4月∼2005年
2005年)
80
患者報告数 (人)
74
Age
1
0
1
1
60
52
50
10-
40
Philippines
1
India
407
SriLanka
2
50-
Papua New Guinea
Brazil
60-
A
Bolivia
R
9
Indonesia
30-
S
18
Area
20-
3
32
20
国別内訳
0-10
49
2
1
S
0
1999
2000
2001
2002
2003
年代別内訳
2005
2004
9
1
(4月-12月)
1
患者発生年
1
日本人デング熱患者の臨床症状・所見
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
小児のデングウイルス初感染と再感染におけ
るデング出血熱/ショック症候群の発生頻度
デング出血熱
(DHF grade 1, 2)
デングショック症候群
(DHF grade 3,4)
初感染
(1−14y)
0.18%
0.007%
再感染
(1−14y)
2.01%
1.14%
なし
あり
その他
出血傾向
白血球減少
肝機能異常
血小板減少
紫斑
おう吐
鼻出血
腹痛
食欲不振
筋肉痛
関節痛
下痢
全身倦怠感
頭痛
皮疹
発熱
5
2004年ネパールでデング熱初流行
ミクロネシア連邦に在住する日本人におけるデン
グ熱発生状況(2004
)について
グ熱発生状況(2004)について
Serologically positive
Serologically negative
現在、ミクロネシアではZIKA
2007年)!
年)!
現在、ミクロネシアではZIKA virus感染症が流行している(
virus感染症が流行している(2007
2003年および2004年の日本人輸入
デング熱患者より
2003年および2004年の日本人輸入デング熱患者より
分離されたデング1
分離されたデング1型ウイルスに観察される3
型ウイルスに観察される3’ NTR内の欠損
NTR内の欠損
5’ NTR
0
NS2B
1000
C prM
2000
E
3000
4000
5000
NS1 NS2A
NS5
6000
NS3
シンガポールにおけるデング熱流行
3’ NTR
NS4A
7000
NS4B
Stop
codon
8000
9000
10000
NS5
3’ NTR
DENV-1(02-20)
10240
G AACG AGAG TGATCCCGA AGGG GCAC TCTGGTGAG TCAA CACATTTACAAAA TAAAG GAA
10299
DENV-1(Seychelles)
10240
A AACG AGAG TGATCCCGA AGGG GCAC TCTGGTAAG CCAA CCCATTCACAC-- ----- ---
10289
DENV-1(Yap Island)
10240
A AACG AGAG TGATCCCGA AGGG GCAC TCTGGTAAG TCAA CCCA--------- ----- ---
10282
rDENV-1m10 (mutant)
10240
G AACG AGAG TGATCCCGA AGGG GCAC TCTGGTGAG TCAA CACATTTAC---- ----- ---
10287
Variable
DENV-1(02-20)
10300
A ATAA GAAA TCAAACAAG GCAA GAAG TCAGGCCGG ATTA AGCCATAGTACGG CAAGA GCT
10359
DENV-1(Seychelles)
10290
- ---- --AA TCAAACAAG GCAA GAAG TCAGGCCGG ATTA AGCCATAGTACGG TAAGA ACT
10342
DENV-1(Yap Island)
10283
- ---- ---- ---AACAAG GCAA GAAG TCAGGCCGG ATTA AGCCATAGTACGG TAAGA GCT
10330
rDENV-1m10 (mutant)
10288
- ---- --AA TCAAACAAG GCAA GAAG TCAGGCCGG ATTA AGCCATAGTACGG CAAGA GCT
10340
region
これらの欠損の意義は何か?欠損がウイルス性状に影響を及ぼすか?
シンガポールにおける蚊からのデングウイルス分離状況
台湾におけるデング熱患者発生数
16000
15221
14000
近年の流行株
™1992: DEN 3
™1998: DEN 2
™2004/5:DEN 1
12000
報
告
患
者
数
10000
8000
6000
4000
2000
0
1336
1998
1108
1999
854
2000
1120
2001
2002
85
2003
328
2004
198
2005
年
6
台南地方で熱帯シマカの確認された地域
デングウイルス媒介蚊
Aedes Egipti
Aedes Albopictus
ネッタイシマカ
吸血中のヒトスジシマカ
ヒトスジシマカは日本にもいる!
(高雄県衛生局提供)
東北地方におけるヒトスジシマカの分布北限の移動 (1998−2003)
青森 八戸 盛岡
能代 水沢 秋田 本荘 横手 酒田 一関
東 山
気仙沼 − 40 ゜N
− 39゜N
2001・2002年
2000年
2003年
2003年
1998年
− 38゜N
新庄 山形 石巻 仙台 福島 会津若松
軽井沢
− 37゜N
白河
日光 確認地
<チクングンヤ熱・最近の流行>
2005年初頭にコモロ(Comoro)諸島で流行
が発生した。その後、ウイルスはインド洋に位
置する他の島国(モーリシャス:Mauritius, レ
ユニオン:Reunion, セーシェル:Seychelles,
マヨット:Mayotte)などに拡大し流行した。レ
ユニオン島では、2005年の3月から2006年
の2月までで15万人以上の患者が発生した。
2006にはインド西部、スリランカでも流行をみ
ており、香港、台湾、米国、スイスなどからも
輸入症例が報告されている。
未確認地
100 Km
東 京
チクングニヤ熱分布地域
20052005- 06の西インド洋諸国での流行
06の西インド洋諸国での流行
7
遷延する関節痛より確定診断に至った
チクングニヤ熱の本邦初症例
水野泰孝1)、加藤康幸1)、工藤宏一郎1)、高崎智彦2)、倉根一郎2)
1)国立国際医療センター国際疾病センター
2)国立感染症研究所ウイルス第一部
<症例>
36歳女性。主訴は遷延する膝関節痛および足関節痛。既往歴、
家族歴に特記事項なし。平成18年7月16日より12月10日までスリ
ランカ、コロンボに帯同家族として滞在。平成18年11月17日に歩行
困難な程度の左足関節痛と共に40℃の発熱、頭痛が出現。現地
医療機関で白血球減少、血小板減少、臨床症状と迅速診断キット
によりデング熱とチクングニヤ熱の混合感染と診断されたが、血清
診断による確定診断はなされなかった。無治療にて11月18日には
解熱し、11月19日に両四肢に紅斑が出現した。関節痛はその後も
持続し改善を認めないため、精査目的で12月26日に国際医療セン
ターを受診した。
< 経 過 >
<来院時身体所見>
意識清明、体温37.2℃、脈拍88回/分、血圧:
108/70mmHg、診察上特記すべき異常所見
は認めなかった。起立時および歩行時の膝、
足関節痛は残存していたが、疼痛部位の発
赤、腫脹は認められなかった。
<急性期の症状>
関節痛の部位としては最初に足首の関節が痛み、腫脹を
伴い歩けなくなった。(腫脹をきたすと関節痛というより、関節
炎と臨床診断される)
チクングニヤ熱日本人輸入症例確認の報道
日常生活に支障を来たすほどではない関節痛であっ
たため無投薬にて経過観察としたが、その後の血
清診断の結果、抗チクングニヤウイルス
抗チクングニヤウイルスIgM
IgM抗体陽
抗体陽
性(Positive/Negative
性(Positive/Negative ratio=7.04, P/N Ratio 2.0以
2.0以
上を陽性)および抗チクングニヤウイルス中和抗体
抗チクングニヤウイルス中和抗体
上を陽性)
価640倍(
10倍以上を陽性)
倍以上を陽性)を確認した。患者は家
640倍(10
族の都合により1月初旬にスリランカへ戻ったため
抗体価推移の検査は実施できなかった。次回帰国
される際に再度抗体検査を実施する予定である。
チクングニヤ熱症例(新潟県)
患者は、50代、女性。日本在住の日本人女性。平成18年1
1月27日から12月3日まで、スリランカに渡航。スリランカで
は、渡航後まもなく、数ヶ所を蚊に刺された。帰国後の12月
4日より全身倦怠感の増強あり。12月5日に40度の発熱、
関節痛を認め、日本国内の医療機関に受診し、入院した。入
院中に鼻出血、皮疹の症状も出現した。(皮疹に関しては、
CPFXによる薬疹の可能性も考えられた。)対症療法を行い、
症状は改善して退院した。国立感染症研究所における抗体
検査の結果、デングウイルス感染は否定された。チクングニ
ヤウイルス遺伝子の検出・同定、ウイルス分離及び同ウイル
スに対する特異的IgM抗体陽性、中和抗体陽性であり、チク
ングニヤ熱と確定診断した。患者は、退院後は軽度の全身
倦怠感が残存していたが、現在は回復している。
ウイルス遺伝子検出
• TaqMan用プローブ、プライマー
◎Probe: Taq-Chik638P:FAM-TACCAGCCTGCACYCMGB-3’
○Primer(F):Taq-Chik607F(10849):GCR CCM TCT
KTA ACG GAC AT
○Primer(R):Taq-Chik672R(10894):GCC CCC RAA
GTC KGA GGA R
現在流行中のレユニオン株に対して、本法の検出限界は
0.2pfu/tubeです。
• <通常PCR用>
Chik10294s:ACG CAA TTG AGC GAA GCA CAT
Chik10573c:AAA TTG TCC TGG TCT TCC TG
8
ユビナガコウモリから分離されたYokoseウイルスの遺伝子解析
RT-PCRによる急性期血清中のチクングニヤウイルスの
検出と増幅遺伝子の塩基配列決定
1
61
121
181
241
301
aacacgcaat
tcagcataca
aataacatca
aaattcattg
tacaaaggtg
tttggcgata
tgagcgaagc
gggctcatac
ctgtaactgc
tggggccaat
acgtctataa
tccaaagtcg
acacgtggag
cgcatctgca
ctatgcaaac
gtcttcagcc
catggactac
cacacctgag
aagtccgaat
tcagctaagc
ggcgaccatg
tggacacctt
ccgccctttg
agtaaagacg
catgcaaaac
tccgcgtcct
ccgtcacagt
tcgacaacaa
gcgcaggaag
tctatgctaa
agaatttgca
ttaccaagga
taaggacgcc
aattgtggtg
accaggacaa
tacacaactg Chikungunya virus isolate IMT/6466
structural protein E1 mRNA, partial
cds. Length = 1079
(レユニオン島分離株)
Score = 569 bits (287), Expect = e-161
Identities = 293/295 (99%)
◎田島 茂、高崎智彦、倉根一郎(国立感染症研究所・ウイルス1部)
江下優樹 (大分大学・医・感染分子病態制御)
分離ウイルス粒子(ネガティブ染色)
Yokose ウイルスと代表的なフラビウイルスとの間のアミノ酸相同性の比較
日本脳炎ウイルス越冬に関する研究
Vector/host:
?/bat
Mosquito/vertebrate
Yokose
分離臓器
初代分離状況
2代
目
3代
目
コウモリ種
But number
採取月日
Oita 36
S.46.11/12
Oita 296
S.47.2/15
血
液
+
+
脳
-
-
ブラウン
ファット
腎
+
+
-
-
脾
臓
潜伏期
+
ユビナガ
-
コキクガシラ
5日
7日
乳のみマウ
ス発症
4/4
4/4
4
3
4
3
JEV
Den2
YFV
WNV
Tick/vertebrate
?/bat
TBEV
RioBravo
Protein
aa
%
(aa)
%
(aa)
%
(aa)
C
128
22.7
(66)
27.6
(29)
28.7 (129)
15.4 (26)
22.1 (113)
20.8
(72)
prM
168
44.8
(163)
44.4 (133)
47.1 (155)
45.4 (163)
35.9 (153)
32.5 (154)
E
490
40.3
(498)
38.3 (496)
48.5 (493)
40.5 (494)
41.1 (501)
37.4 (492)
NS1
353
43.6
(353)
45.0 (353)
53.8 (353)
45.9 (353)
40.7 (354)
38.7 (344)
NS2a
NS2b
227
130
25.1
30.1
(207)
(123)
27.4 (146)
32.3 (130)
20.8 (96)
34.4 (125)
25.7 (218)
29.8 (131)
25.7 (35)
25.2 (119)
23.6 (165)
19.3 (114)
NS3
620
46.8
(626)
49.5 (624)
54.8 (624)
45.5 (624)
48.1 (607)
47.3 (607)
NS4a
2k
NS4b
126
23
254
33.3
40.0
34.1
(126)
(20)
(246)
33.6 (122)
35.8 (109)
33.9 (124)
47.8 (23)
44.1 (254)
30.1 (123)
40.0 (20)
32.1 (246)
32.5 (126)
47.8 (23)
27.8 (255)
27.8 (115)
33.3 (12)
22.2 (36)
NS5
907
58.3
(902)
57.3 (895)
61.2 (907)
57.8 (900)
56.9 (893)
54.0 (887)
%
(aa)
%
(aa)
%
(aa)
aa: アミノ酸数、(aa): 比較された範囲(アミノ酸数)
Env protein
Rio Bravo
TBEV
Yokose
99.5
67.5
99.9
Dengue 2
100
YFV
0.1
WNV
JEV
Yokose ウイルスと代表的なフラビウイルスでの系統樹解析(1)
今後のアルボウイルス感染症は?
• 地球温暖化の影響で活発化する?:さまざま
な要因があり、簡単には結論できない。
• しかし、少なくともデングウイルスは、ワクチン
や治療薬が実用化されない限り、熱帯および
亜熱帯地域の都市化現象とあいまって、活発
な活動を示すと考えられる。
• わが国では輸入アルボウイルスだけでなく、
まず常在する日本脳炎ウイルスに注意しなけ
ればならない。
9
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