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ト ル コ - 外国産業財産権侵害対策等支援事業

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ト ル コ - 外国産業財産権侵害対策等支援事業
作成日:2009年2月27日
ト
目
ル
コ
次
1.侵害対策関連法令・・・・・・・・・1
2.侵害対策関係機関・・・・・・・・・5
3.侵害発見から解決までのフロー・・・8
4.侵害の定義・・・・・・・・・・・12
5.侵害に対する救済手段・・・・・・17
6.留意事項・・・・・・・・・・・・21
7.その他関係団体・・・・・・・・・21
1.
侵害対策関連法令
(1)特許法 特許権の保護に関する法令第551号、特許権の保護に関する法令第551号の適用に関
する規則、特許協力条約(PCT)、欧州特許条約、関税法第4458号。 (2)実用新案法 実用新案権も特許権の保護に関する法令第551号及び特許権の保護に関する法令第
551号の適用に関する規則で保護される。関税法第4458号。 (3)意匠法 意匠の保護に関する法令第554号、意匠の保護に関する法令第554号の適用に関する
規則、意匠の国際寄託に関するヘーグ条約(ジュネーブ条令)、関税法第4458号。 (4)商標法 商標権の保護に関する法令第556号、商標権の保護に関する法令第556号の適用に関
する規則、マドリッド議定書、関税法第4458号。 (5)不正競争防止法 1
トルコには独立した不正競争防止法はないが、トルコ商法に不正競争及びこれに該
当する行為に対する制裁措置の規定がある。 (6)著作権法 文学的及び美術的著作物に関する法律、映画、ビデオ及び音楽に関する法律、関税
法第4458号。 (7)その他 地理的表示に関する法令第555号、植物品種育成者権の保護に関する法律、集積回
路(チップ)構造の保護に関する法律。 トルコは、また、TRIPs(知的財産権の貿易関連の側面に関する協定)、ベルヌ条約
及び工業所有権の保護に関するパリ条約、世界知的所有権機関を設立する条約、特
許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約、商標法条約、世界
貿易機関を設立する協定の締約国である。 上記法令に関する最近の動きを以下報告する。 2008年7月5日、憲法裁判所は、商標の保護に関する法令第556号のいくつかの規定
を決定(事件番号2005/15、決定番号 2008/2)により取り消した。裁判所は、当該決
定の履行を6ヶ月間遅らせたので、2009年1月5日より適用される予定であった。 裁判所は、商標権侵害及び刑事制裁の規定は、刑法の一般原則“法律なくして犯
罪なし”により、法令ではなく法律で規定される必要があることを理由に、商標権
侵害行為及びかかる行為に適用される刑事制裁を定めた以下の規定を取り消した。 ①
第9/1条(b):
商標権者は自己の承諾なく第三者が次に掲げる事項をなすこと
を防止する権利を有する。 “登録商標との同一性又は類似性の理由で、並びに登録商標及び標識が対象とす
る商品及び役務の同一性又は類似性の理由で、公衆に、当該標識と商標を連想さ
せるおそれを含め、混同を惹起するおそれがある場合において、当該標識を使用
すること” ②
第9/2条(b):
次に掲げる事項は、第1段落により禁止することができる。 “標識により商品を展示、商品の販売を申出、又はそれらの目的で商品を在庫す
ること、又は標識により役務を提供申出若しくは提供すること。
” 2
③
第61条(a):
以下の行為は商標の侵害とみなされるものとする。 a)第9条の違反 [裁判所は、上記第9/1条(b)及び第9/2条(b)を排除することによ
り、本条項を取消した。つまり、第9条は、残存規定については効力を有する
ということである。] b)同一又は混同を引き起こすほど類似の標章の使用により、商標が侵害されて
いることが知られているか又は知られているはずの場合において、当該侵害さ
れている商標を使用した商品を販売し、流通し、営業し若しくは輸入し、又は
かかる目的で在庫すること 上記の基本規定の取消しにより、議会は、習慣的な政治的対応の一環として、これ
らの規定を、憲法裁判所により定められた期限内、すなわち2009年1月5日までに、同 一問題に関して制定されるべき法律とすることになっていた。 しかしながら、議会は、期限内に新規定を法律の形で制定することができなかった。
このことにより、残念ながら、連想のおそれに基づく商標の侵害行為は刑罰の対象に
ならないという状態をもたらした。 この状況は、新規商標権侵害事件の犯罪訴追手続及び商標権侵害に基づき提訴され
た係属中の刑事裁判の両方について、商標権侵害の犯罪の局面に関する法律上の不確
実性を招いた。 議会は、第9条及び第61条の取消規定のみに代わる新しい法律(第5833号)を2009
年1月21日までに制定することができ、この法律は2009年1月28日をもって発効した。
この法律は、第9条及び第61条の取り消された部分だけでなく、憲法裁判所の決定に
影響を受けないこれらの規定の残存部分にも代わるものであった。 現状は、しかしながら、裁判所がいかに商標権侵害行為に関する訴訟を追行するか
についての議論を引き起こした。 新規の商標権侵害事件について:
取消された第9条及び第61条に代わる新しい法律
が2009年1月28日をもって発効したので、商標権者は、現在、2009年1月28日以後にな
された商標権侵害については、新しく制定された当該法律により刑事上の手段で有罪
判決を求めることができる。 3
係属中の商標権侵害事件: 刑事裁判所は、新法律をその制定前に犯された商標に関
する犯罪に遡及的に適用していないだろうし、また、議会が時宜を得て代えることを
しなかった取り消された規定に基づき、刑事上の有罪判決を下すはずもないであろう
から、係属中の刑事裁判については、法律上の不確実性が未だに存在する。憲法裁判
所は、当該条項を連想のおそれの問題に限定して部分的に取り消したので、同一の又
はあらゆる点で類似する商標を使用することによる偽造行為に関する侵害を規定し
ている第9/2(a)注1は、憲法裁判所の取消決定が及ばないから、今でも有効であり適用
できると単純に解釈されたであろう。部分的取消決定が、“知的財産裁判所”により
係属中の刑事裁判にどう適用されるか、静観されてきた。しかしながら、“知的財産
裁判所”の最近の決定は、“憲法裁判所”の決定が当該条項全部にまで拡大されると
解釈することにより、この事実を無視しているように見受けられる。 憲法裁判所の決定後の知的財産裁判所の決定は、主に、次の2つに分類することがで
きる。 ①
イスタンブールの知的財産特別裁判所は、対象条文の取消しにより、知的財
産裁判所は、商標権侵害に基づく犯罪訴追手続を進めることができなくなるが、
商標権侵害は、他方で、トルコ商法により不正競争行為に該当するから、係争
中の事件は、不正競争に該当する違反行為の訴追手続に管轄権を有する刑事
(治安判事)裁判所に付託される、と判示している。 ②
他方、知的財産特別裁判所として機能する“アンタルヤ”の刑事裁判所は、
法令の対象条項の取消しにより、知的財産裁判所は、商標権侵害に基づく犯罪
訴追手続を進めることができなくなる、と判示し、よって、刑法の“favor rei”
原則により現在の法的状況を被疑者に有利に解釈して、被疑者の無罪放免を決
定している。刑事(治安判事)裁判所は、かかる行為に不正競争法規定を適用
すると期待されていたが、当該裁判所は、当該訴訟の職権上の付託を控えた。
しかし、当該裁判所は、興味深いことに、無罪放免の場合には被疑者に返却さ
れるはずの、押収された製品を没収する判決を下している。 これら決定はどちらかといえば新しい決定であるが、この件に関する最高裁判所の
見解に言及している決定はない。 注1
:登録商標と同一の標識を当該商標が対象とする商品及び役務と同一の商品及び役務に使用
すること。
4
特許、実用新案及び意匠の保護は、法令を通じて獲得することもできるから、これ
ら法令に定められた刑罰規定も、憲法裁判所により同様の取消しを受ける可能性があ
るという点を重視する必要がある。刑事裁判所は、そのため、これら規定に代わる法
律が制定されるまでは、特許及び意匠に基づく侵害の犯罪訴追手続を停止する傾向が
ある。 しかし、著作権侵害については、文学的及び美術的著作物に関する法律により刑事
的手段をとること、及び知的財産権侵害に基づき知的財産特別裁判所に直接民事裁判
を提起することが可能である。また、当該民事訴訟において、かかる訴訟との関連で
侵害行為を差し止める措置を請求することが可能である。 民事訴訟の範囲内で請求されるべき差止命令には、裁判所によりその裁量権限で決
定される金額での保証金の支払を要する。なお、裁判所は、かかる差止措置を命令す
るかどうかにつき裁量権限を有しており、これを命令するにあたっては、どちらかと
いえば保守的である。 2.侵害対策関係機関
(1)地方裁判所 上記法令及び法律の規定に従って、知的財産特別民事及び刑事裁判所が、知的財産
に関する執行を含む一切の問題を審理するため、イスタンブール、アンカラ及びイズ
ミルという都市に設置されている。トルコのその他の都市では、各都市における第三
民事及び刑事裁判所が、知的財産に関する執行を含む一切の問題についての特別裁判
所の役割を果たすよう定められている。 ①
イスタンブール裁判所:
②
ベヨグル(イスタンブール)裁判所:
③
アンカラ裁判所:
+090 (312) 309 07 00 ④
イズミル裁判所:
+090 (232) 425 93 00 +090 (212) 516 63 68 +090 (212) 369 33 00 (残念ながら、URLはない。) (2)税関 1999年発効の税関法第4458号第57条により、税関当局は、権利者のために、 輸出入時、模倣品であるとされる物品の通関手続を停止することにより、商標、著
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作権侵害を防止する権限を有している。当該法には以下の規定がある。 “知的財産権及び工業所有権に関する法律に従い、著作権、商標、地理的表示及
び意匠の所有者の権利を侵害する物品の通関手続は、税関当局により、当該物品
が商標権又は著作権を侵害していることを証明する明白な証拠が存在する場合
は職権で、又は権利者若しくはその代理人の要求に応じて、停止されるものとす
る。(職権による)停止の決定は、輸入者、又は権利者若しくは権利者の代理人
に通知される。
” 上記条文には、特許を侵害する製品について明記されていないが、実施規則第106
条には、特許についても明白に言及されている。従って、通関手続の停止は、特許
の侵害にも適用され得る。 税関 アンカラ 密輸品及び模倣品 アンタルヤ 密輸品及び模倣品 ブルサ 密輸品及び模倣品 エディルネ 密輸品及び模倣品 ガジアンテプ 密輸品及び模倣品 グルブラク 密輸品及び模倣品 市外局番 0312 0242 0224 0284 0342 0472 電話番号 397 77 89 ‐ 95 379 78 04 397 52 98 [email protected] 259 13 21 259 09 41 259 14 40 [email protected] 243 37 98 243 67 00 243 45 13 238 20 54 238 21 23 238 22 22 238 20 01 238 21 33 [email protected] 338 78 84 338 78 81 ‐ 82 336 11 19 [email protected] 321 20 56 321 24 08 6
一般 書記 一般 書記 一般 書記 一般 一般 書記 書記 一般 書記 一般/書記
ハーブル 密輸品及び模倣品 ハッキャーリ 密輸品及び模倣品 ホパ 密輸品及び模倣品 イスケンデルン 密輸品及び模倣品 イスタンブール 密輸品及び模倣品 イズミル 密輸品及び模倣品 イズミット 密輸品及び模倣品 マラティヤ 密輸品及び模倣品 メルシン 密輸品及び模倣品 0486 0438 0466 0326 0212 0232 0262 0422 0324 [email protected] 528 70 02 [email protected] 211 64 50(就業時間内)
361 21 16(就業時間外)
[email protected] 371 52 18 [email protected] 613 93 69(就業時間内)
432 30 86(就業時間外)
[email protected] 512 18 31 [email protected] 445 12 59(就業時間内)
464 81 55(就業時間外)
[email protected] 322 49 65(就業時間内)
[email protected] 323 41 69(就業時間内)
[email protected] 232 67 46 [email protected] 7
528 10 17 528 70 10 211 64 50 351 40 73 614 00 29 614 00 30 243 21 45 243 80 95 293 91 62 463 25 47‐48‐49 464 80 95 464 10 60 321 06 50‐51‐52 321 57 19 323 41 69 323 41 76 238 24 68 238 02 15 一般 書記 一般 書記 書記 一般 書記 一般 書記 一般 書記 Santral Sekr. サムスン 0362 密輸品及び模倣品 シノップ 0368 密輸品及び模倣品 トラブゾン 0462 密輸品及び模倣品 445 15 80 [email protected] 260 03 03(就業時間内)
[email protected] 326 36 95(就業時間内)
321 58 73(就業時間外)
[email protected] 435 88 70 432 28 37 261 95 15‐16 261 70 71 326 36 95 323 09 52 326 74 44 Santral Sekr. 一般 一般 書記 (3)トルコ特許庁 商標、特許、意匠、地理的表示、集積回路(チップ)構造に関して、侵害している
ような第三者の出願については、トルコ特許庁に対し異議を唱えることができる。 住所:
Hipodrom Caddesi No: 115 (06330) Yenimahalle/ANKARA/TURKEY
電話:
+90 (312) 303 10 00 www.turkpatent.gov.tr www.tpe.gov.tr 3.侵害発見から解決までのフロー
(1)侵害発見 トルコにおいて会社が所有する知的財産の侵害が発見された場合、代理人が侵害者
に対し訴状及び/又は召喚状を送付できるよう、まず、侵害者の身元及び住所を特定
すべきである。意図した法的措置において損害賠償を請求する場合には、侵害規模の
決定も重要である。更に、侵害品のサンプルを領収書と共に取得しておくことも、刑
事訴訟においては特に有用であろう。 (2)侵害規模の調査 侵害規模の調査は、民間の調査会社に委託することができる。トルコには、調査を
行う公的団体/機関は存在しない。類似のケースにおいて協力している事務所として、
8
以下のISTANBUL INVESTIGATIONがある。 ISTANBUL INVESTIGATION Mr. Kadir Karasu TASLICIKIS SK. NO: 5/4 KABATAS, ISTANBUL‐TURKEY t: +90 212 293 50 61 f: +90 212 293 50 62 (3)侵害排除に関する判断 最高裁判所の判例法は、長い権利不行使期間後に訴訟を提起することは、訴訟を提
起する権利の濫用と認められるとしている。商標に関する法令第556号には、権利不
行使期間について具体的な期間は定められていない。但し、以下のとおり規定する第
42条の周知商標に基づく無効の申立てに関する規定は除く。 “周知商標に係る訴訟は、登録日から5年以内に提起するものとする。悪意が存
する場合は、期限は適用されないものとする。” 最高裁判所は、いくつかの判決において上記規定を類推適用している。周知商標に
基づくものでない商標訴訟においてでさえも類推適用している。法理もまた、比較的
長期間の権利不行使があり、かかる期間後に訴訟提起することは、訴訟を提起する権
利の濫用として及びトルコ民法(第2条)の信義誠実の原則(general bona fide principle)に違反する行為として認められるべきであるということを支持している。
ほとんどの法律専門家は、以下の条件が実現される場合、権利行使の制限を主張でき、
又は裁判所はこれを検討できるとしている。 ①
裁判所に訴訟が提起されている。 ②
原告は、被告がその使用に異議を唱えないであろうと確信するほど、比較的
長い期間権利を行使していない。かかる比較的長期間の権利不行使後に訴訟を
提起することは、原告の長期にわたる沈黙に反する、すなわち、いわゆる“矛
盾行為禁止”の原則に違反するものとみなされる。 ③
原告は、かかる使用を知っている。 ④
被告は、誠実に行動している。言い換えれば、被告は、自身が当該商標の使
用を開始した時、原告の権利を侵害しているという事実に気づいていなかった。
9
上記を考慮して、会社が侵害者に対し法的措置を取らないことを選択する場合、一
定の期間後に当該侵害者に対し訴訟を提起することが、訴訟を提起する権利の濫用と
認められることも検討すべきである。更に、侵害された権利が周知商標から生じる場
合、当該商標の所有者が自己の権利を積極的に保護しているという事実は、当該商標
の知名度を証明する際において強い主張である。 (4)証拠の収集 侵害を示す証拠は、ケース毎で異なるが、一般に、侵害品のサンプルを領収書と共
に取得することで足りるであろう。別の方法として、民事訴訟を提起する前に、侵害
行為及び/又はその証拠を確定するため、“知的財産特別民事及び刑事裁判所”に証
拠/事実確定のための特定の手続を申し立てることができる。これは非対審の手続で、
一方的に行うことができる。かかる申立てについての決定は、肯定的なものである場
合、結果として提起される民事/刑事訴訟の中で証拠として役立つ。この証拠/事実
確定のための特定の手続の中で、仮処分申立てを行うことができる。特別裁判所は、
どちらかといえばかかる行為には消極的で、証拠隠滅の差し迫った強い恐れがない限
り、これを認めることを控えているということに注意が必要である。 (5)権利行使の可否判断 トルコ著作権法によれば、著作権は、いかなる他の手続き、形式又は登録を条件と
することなく、著作物を創作した時点で発生し、同時に著作者の利益になるものであ
る。よって、会社の著作権は、トルコにおいては、登録又はその他の形式なしに、創
作の日から保護を受けることになる。従って、著作権の所有者は、対象著作権につい
ての自己の所有権を証拠立てることに注意しなくてはいけない。裁判所は、侵害され
た意匠/著作物は、可能な訴訟において著作権保護を享受するか否か、職権で検討す
る。 特許及び実用新案については、トルコ法令第551号第91条、特許権保護に関する規
定に従い、
“特許出願により与えられた権利は、特許登録簿に適正に記載されるまで、
第三者に対して行使することはできない”
。 しかしながら、商標について如何なる内国の登録がない場合でも、以下の理由によ
り、濫用的な登録者に対し、取消訴訟を提起することは可能であろう。 ①
商標/サービスマークに関する法令第556号の第7条(i)により、パリ条約の第
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6条の2の規定と同様の周知商標の所有者は、トルコ特許庁に対し、無権限での
商標の登録申請を受け付けないよう求めることができる。 ②
商標/サービスマークに関する法令第556号の第8条第3段落により、未登録
標識の所有者は、当該標識に係る権利が登録出願日前に取得されていることを
条件として、トルコ特許庁に対し、当該出願商標の拒絶を請求することができ
る。及び/又は ③
同法令第8/5条により、当該権利者からの異議申立により、登録出願された
商標は、第三者の名称、写真、著作権若しくは産業財産権を含む場合、登録さ
れないものとする。 他方、会社の主張を検討する際に、裁判所は、出願において悪意がある場合は異議
申立をすることができると規定する、責任基準の一般規定及び法令第556号第35条に
従い、被告の悪意を考慮に入れるであろう。 (6)警告書の発送 通常、問題を友好的に解決できると信じる理由が低いものでない限り、及び/又は、
訴訟提起前に相手方当事者に接触することで、提起されるべき訴訟のショック効果が
排除され及び侵害の証拠を失うことにより、自己のケースに悪影響がない限り、依頼
者に対する比較的高い費用は言うまでもなく、少なくとも2~3年はかかる訴訟手続き
に入る前に、侵害者に対して使用停止を求める文書を送付することの方が望ましい。 使用停止を求める文書は、主に侵害行為の停止を求めるべきものであるが、侵害者
に将来会社の権利を侵害しないことを約束する公証人により証明された念書を要求
することは、有益であろう。 使用停止を求める文書は、通常、公証人を通じて送付され、そのように送付された
文書は、郵便/書留郵便で送付された文書よりもより効果がある。 (7)侵害の救済手段 以上のとおり、トルコにおいては差し当たって存在する商標/特許/意匠に関する
法律上の不確定性を考慮して、上記の問題については知的財産権侵害に基づき知的財
産特別民事及び刑事裁判所に直接民事裁判を提起するのが賢明であろう。当該民事裁
11
判においては、かかる裁判との関連で侵害行為を差し止める措置を求めることが可能
である。 しかし、著作権侵害については、文学的及び美術的著作物に関する法律により刑事
的手段をとることが可能なので、時間及び費用もより少なくてすむかかる手続きをと
ることを推奨する。 4.侵害の定義
(1)特許に関する法令 特許権の侵害を構成する行為 第136条 以下の行為は、特許権の侵害とみなされる。 (a)
特許権者の承諾なく、発明にかかる製品を全体的又は部分的に製造すること
による模倣 (b)
当該人が当該製品が全体的又は部分的に模倣であることを知っている又は
知っているはずの場合における、模倣製品の販売、流通その他の営業行為、又
はそのような目的のための輸入、若しくは営業目的のための在庫、又は侵害の
結果製造されたかかる製品の適用による使用 (c)
特許権者の承諾のない、特許方法の実施、又は、特許方法により直接取得さ
れた製品の販売、流通その他の営業行為、若しくはそのような目的のための提
供及び輸入、又は適用による使用 (d)
特許権者の承諾のない、契約によるライセンス若しくは強制ライセンスに
より付与された権利の拡大、又はそのような権利の第三者への移転 (e)
(a)から(d)までに規定された行為への参加、当該行為の幇助若しくは教唆、
又は方法・状況如何に拘らない、その発生/遂行の促進 (f)
所有が発覚した、不法に製造又は販売された製品の出所と入手方法を公表し
ないこと 製品の製造/作成方法に特許権が与えられる場合、同一の性質を有するすべての製
品は、当該特許方法により生産/製造されたものとみなされる。製造/生産された製
品は特許方法を侵害していないと主張する被告は、かかる主張につき証明責任を負う。 同法令第55条により特許出願が公開される場合、出願人は、出願にかかる発明の侵
12
害を理由に、裁判所に対し民事及び刑事訴訟を提起する権利を有する。侵害者が出願
の存在又はその範囲の通知を受ける場合、当該出願が公開される必要はない。裁判所
が、侵害者に悪意があると決定する場合、当該侵害は公開の前に既に存在していたも
のとみなす。 (2)商標に関する法令 商標権の侵害を構成する行為 第9条
-
商標登録から生じる権利は、商標所有者の独占的権利である。所有者
は、以下の行為を防止する権利を有する。 (a)
登録商標と同一標識を、当該商標が対象とする商品及び役務と同一の商品及
び役務に関して使用すること (b)
登録商標との同一性又は類似性の理由で、並びに当該登録商標及び標識が対
象とする商品及び役務の同一性又は類似性の理由で、公衆に、当該標識と当該
商標を連想させるおそれを含み、混同を惹起するおそれがある場合において、
当該標識を使用すること (c)
当該登録商標が対象とする商品及び役務と類似しない商品及び役務に、かか
る登録商標と同一又は類似の標識であるが、正当な理由がなく使用することに
よって、トルコにおいて当該登録商標の知名度が高いため、当該登録商標の識
別性若しくは知名度を不当に利用又は害することになる場合において、当該標
識を使用すること。 以下の行為は、第一段落により禁止することができる。 (a)
標識を商品又はその包装に付すること (b)
標識を付した商品を市場に出し又はその目的で在庫すること、その引渡しを
提案すること、又は、標識によりサービスを提供申出若しくは提供すること (c)
標識を付した商品を税関へ到着させ、かかる商品を税関により承認される手
続又は利用の対象にすること (d)
業務書類及び広告において標識を使用すること (e)
当該標識の使用に関して権利又は合法的な関係を有する標識を使用する者
を除外して、ドメインネーム、メタタグ、キーワードなど、インターネットに
おいて、商業上の効果を作り出すために、同一又は類似の標識を使用すること 登録商標により与えられる権利は、商標登録の公告日から、第三者に対し対抗
13
することができる。 補償は、商標出願日後になされる行為について請求することができるが、予告
登録の日後は禁止される。裁判所は、登録が公告される前に、当該請求の妥当性
につき決定しない。 第61条 以下の行為は、商標の侵害とみなされるものとする。 (a)
第9条に規定される商標を、その所有者の承諾なしに使用すること (b)
商標権者の承諾なしに、同一又は混同するほど類似の商標を使用することに
より商標を模倣すること (c)
商標が同一又は類似の使用により模倣されていることに気づいている又は
気づいているはずの場合において、侵害された商標を付した商品を、販売し、
頒布し、又は他の方法で商業化し、又はこれらの目的のために税関地域に置き、
税関により承認される手続又は利用の対象にし、商業目的のために所有するこ
と (d)
ライセンス契約により取得された権利を第三者へ移転又は拡大すること (3)意匠に関する法令 意匠権の侵害 侵害 第48条 以下の行為は、意匠権の侵害とみなされるものとする。 (a)
意匠権者の承諾なしに、同一又は酷似意匠を作成し、生産し、市場に出し、
販売を申し出で、販売し、使用し、輸入し、又はこれらの目的で在庫すること (b)
ライセンス契約により取得した権利を第三者に移転し又は拡大すること (c)
いかなる方法であれ、(a)及び(b)に述べられる行為に参加し、これら行為を
幇助し、教唆し、又は助長すること (d)
不法に生産又は販売された製品を所有していることが発覚した場合に、かか
る製品をどこで、どのように取得したかについての説明を行わないこと (e)
権利を奪取すること 本法令第34条により意匠出願が公告されている場合、出願の権利者は、侵害者
に対し、民事及び刑事訴訟を提起する権利を有する。侵害者が出願及びその範囲
14
について通知を受けている場合において、裁判所が侵害者が悪意で行為していた
と決定する場合、侵害は公告の前に存在していたとみなされるものとする。 製品、その包装又は送り状における意匠登録済の表示の欠如は、侵害行為を否
定するものではない。 登録の表示は、侵害の判定において斟酌されるものとする。 第48/A条 (a)
意匠権者の真の身分証明につき虚偽の陳述をなす者、又は物品上若しくは包
装上に適正になされている意匠権の表示を権限なく除去する者、又は意匠出願
の所有者若しくは意匠権者として虚偽に名乗る者は、1年から2年までの禁固及
び3億から6億リラまでの罰金に処せられるものとする。 (b)
無権限の者であって、移転し、担保として供託し若しくは何らかの移転の権
利を行使するためにそのような行為をなし、担保、差押その他関連条文に規定
の権利及びライセンスにより保有される権利として実施する者、及び当該人若
しくは他人により生産若しくは市場化された物品若しくはその包装若しくは
業務書類若しくは宣伝物上に、法的に保護された意匠権との関係が存在するか
の印象を与えるような方法で標識を付着させる者、又は、同一の目的で、正当
な意匠権者であることなく、刊行及び視覚媒体における広告及び宣伝上に文書、
標識若しくは表現を使用する者、又は以上のことを保護期間満了後若しくは意
匠権の無効若しくは終了後になす者は、2年から3年までの禁固及び6億から10
億リラまでの罰金に処せられるものとする。 (c)
第48条に規定の違反のいずれかを犯す者は、2年から4年までの禁固又は6億
から10億リラまでの罰金に処せられるものとし、更に、判決により1年以上の
期間の当該人の事業施設の閉鎖を命令されるものとし、その間、当該人は商業
活動をも停止されるものとする。 前段落に規定の違反が、自発的か職務上で受ける指示に基づくかを問わず、事
業の従事者により犯される場合は、事業の幹部及び所有者又は管理者又はその代
理人又は役職名を問わず事実上当該事業の所有者であって、当該違反を防止しな
かった者は、同一の方法で罰せられるものとし、第48条に規定の違反が法人を代
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表して職務の実行において犯された場合は、当該法人はその違反を実際に犯した
者に代わり罰金、経費及び損害補償の責任も負うものとする。当該行為において
幇助する者については、その行為の性質に応じ、トルコ刑法第64条、第65条、第
66条及び第67条の規定が適用されるものとする。 当該違反に係る起訴に対しては、異議申立できるものとする。 刑事手続法第1412号第344条第1段落(8)は、本条の施行には適用されないものと
する。異議申立権は、意匠権が侵害された者に帰属するものとし、また第48条に
規定のもの以外のすべての違反に関しては庁にも帰属するものとし、意匠権者の
真の身分証明に係る虚偽の陳述、及び当該人若しくは他人により生産され市場化
された物品若しくはその包装若しくは業務書類若しくは宣伝物上での、保護され
た意匠権との関係が存在するかの印象を与えるような方法による標識の付着、又
は、同一目的のための正当な意匠権者であることのない、刊行及び視覚媒体にお
ける広告及び宣伝上での文書、標識若しくは表現の使用、又は、そのような行為
であって保護期間満了後若しくは意匠権の無効若しくは終了後になされるもの
については、消費組合及び法令第5590号又は第507号により管轄される組織体に
帰属するものとする。そのような違反行為に対する手続は、当該違反行為及び違
反者が判明した日から2年以内に提起すべきものとする。 本規定の範囲内の異議申立は、緊急事項として取り扱われるものとし、トルコ
刑法第36条の規定及び刑事手続法の関連条項が、本法の規定による意匠権出願又
は保護された意匠から発生する権利の侵害に基づく違反行為が犯された対象で
ある物品の及び当該物品の製造に使用された設備機器の差押、没収又は廃棄に適
用されるものとする。 (4)著作権 著作財産権及び著作者人格権の侵害は、著作権侵害を構成する。 著作財産権の侵害行為には、著作権者の承諾なしに、著作物を翻案し、複製し、頒
布し、実演し、放送し、又は別の方法で処分する行為が含まれる。 著作者人格権の侵害には、以下の行為が含まれる。 • 著作物を無権限で公衆に伝達すること • 著作物に著作者名を表示しないこと 16
• 著作物に著作者名以外の氏名を表示すること • 著作者の承諾なしに著作物を改変すること 5.侵害に対する救済手段
(1)司法的救済 刑事訴訟: トルコの知的財産法制には、保護を受ける知的財産権を侵害した場合、
例えば、禁固、罰金、侵害者の営業活動の禁止及び事業施設の閉鎖など、さまざまな
刑事制裁が規定されている。 刑事訴訟は、知的財産権者が検察官に告訴することにより開始される。検察官への
告訴に基づき、警察の強制捜査による模倣品の押収及び知的財産権の無権限の使用に
よる刑事訴訟の開始を請求できる。刑事訴訟は、通常、検察官の指示による警察の強
制捜査がなされている間に捜査対象施設において模倣品が発見及び押収されること
を条件として開始される。 証拠/事実の確定手続: 民事訴訟を提起する前に、侵害行為及び/又はその証拠
を確定するため、“知的財産特別民事裁判所及び刑事裁判所”に証拠/事実確定のた
めの特定の手続を申し立てることができる。これは非対審の手続で、一方的に行うこ
とができる。かかる申立てについての決定は、肯定的なものである場合、結果として
提
起される民事/刑事訴訟の中で証拠として役立つ。この証拠/事実確定のための
特定の手続の中で、仮差止命令の申立てを行うことができる。特別裁判所は、どちら
かといえばかかる行為には消極的で、証拠隠滅の差し迫った強いおそれがない限り、
これを認めることを控えていることに注意が必要である。 民事訴訟: 知的財産特別民事及び刑事裁判所に直接民事訴訟を提起することができ、
この訴訟の中で、侵害行為の停止、損害賠償及び仮処分申立を主張することができる。
民事訴訟においては、決定を得るまでに、通常、14ヶ月から24ヶ月を要する。従って、
最初に又は訴訟継続中に、迅速かつ効果的な措置をとることは、原告にとって非常に
重要なことである。 トルコ知的財産権執行における仮処分: トルコでは、さらに、ほとんどの法制度が
民事裁判所に民事訴訟の中で暫定的/仮差止命令を発する権限を与えている。 一般
規定として、トルコ民事手続法は、権利者は、重大/回復不能の損害を被る差し迫っ
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たおそれがある場合、仮差止命令を求める権利を有する、と定めている。しかし、知
的財産権侵害行為を停止するための効果的かつ迅速な手段を提供するにあたって仮
差止命令が重要であることから、特許、実用新案、商標/サービスマーク、意匠及び
地理的表示の保護に関する法令には、以下のさらに詳細な規定が含まれている。 仮差止命令は、判決の効力を十分に保証することを可能にするようなものとし、特
に以下の対策を提供するものとする。 ①
原告の商標権の侵害行為を停止する対策 ②
税関、自由港又は自由貿易地域を含み、発見場所を問わずトルコ国境内で、商
標権を侵害する生産品又は輸入品を押収し保管する強制命令 ③
補償されるべき損害賠償金のための担保/保証の提供命令 この規定は、訴訟の終結時に決定を完全に実施できるようにするため、判決の効力
を保証するためにも、権利者が仮差止命令を求めることをできるようにする。上記規
定に基づき、権利者は、広告又は他の販促資料における知的財産権の無権限の使用、
又は、模造品の販売、販売申出、使用、保有及びかかる目的のための輸入/輸出を停
止する終局的差止命令を求めることができる。 権利者は、また、自己の賠償請求を確実にするため、訴訟の間、被告に保証金の支
払を命じるよう裁判所に求める権利を有する。この請求は、トルコの実務において、
知的財産権侵害だけに特有のものである。しかし、かかる法規定の存在にもかかわら
ず、裁判所は、この種の命令を発することに消極的である。 これに関して、重要なのは、被告が自身の名義で商標/意匠/特許の登録を所有し
ている場合、最高裁判所の判例法によれば、かかる登録の使用は、かかる登録の取消
が裁判所の決定をもって確定するまでは、侵害行為とはみなされないから、裁判所は、
差止による救済の請求を完全に拒絶するという点である。しかし、原告は、取消訴訟
において、当該訴訟が終了するまで現状を維持するために、被告の登録の譲渡を防止
する命令を裁判所に求めることができる。裁判所は、訴訟の過程で対象登録が譲渡さ
れることにより、訴訟の対象物がない状態のままであることを避けるため、通常、第
三者への譲渡を防止する差止命令を発する。 手続: 仮差止命令は、民事訴訟本訴に入ったところで、又は、民事訴訟中いつでも、
請求することができる。原告は、まず、保護された知的財産権の存在を証明し、回復
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不能な損害のおそれが差し迫ったものであること、及び遅れは回復不能な損害をもた
らす可能性があることを証明する書類を提出する。権利者が差止命令の申立をするこ
とにより、裁判所は、聴聞の予定を近い日で決めることにより、被告に反論する機会
を与えるため、被告に通知する権利を有する。至急の場合、又は、被告が明らかに悪
意の行動をしていること及び被告は証拠を隠滅するであろうことについて有力な証
拠がある場合、仮差止命令は、訴訟の初めに、被告を審問することなく、一方的に発
令され得る。被告は、仮差止命令が一方的に発令されているか否かにかかわらず、当
該仮差止命令の発令に異議を唱える権利を有し、実質的な証拠/事実を提出すること
により当該差止命令の解除を求めることができる。裁判所は、かかる異議の申立によ
り、被告による保証金の預託についての要求の有無にかかわらず、仮差止命令を解除
することができる。 差止命令に対する異議は、訴訟中、第一審裁判所に対して申し立てることができる
が、第一審裁判所が当該問題について最終決定を下さない限り、最高裁判所に直接上
訴することはできない。 差止命令は、証拠/事実確定のための一方的手続の範囲内で請求することができ、
順調に受け付けられる場合、権利者は、民事裁判を提起するが、これは仮差止命令の
決定が出されてから10日以内に提起しなければならない。10日以内に裁判を提起しな
い場合、仮差止命令は解除される。 裁判所は、すべての法的必要条件が満たされている場合でさえも、差止命令を発令
するにあたっては、問題における裁量権限を行使するので、非常に保守的であること
が知られている。しかし、裁判所が差止による救済の請求を拒絶する場合、かかる請
求は、決定が確定するまで、訴訟中、繰り返し行うことができる。 担保: 裁判所は、また、被告が不当な仮差止命令により被る可能性のある損害に対
応する保証金の預託を命令するにあたっても、裁量権限を有する。保証金額は、各訴
訟の状況によって決定される。しかし、最近の決定において、特別裁判所は、担保と
して高額な保証金を要求する傾向があることを指摘しておく。担保は、裁判所に預託
するか、又は裁判所により受け入れられる銀行の保証状の形で提出するか、どちらの
方法でも提供することができる。トルコ民事手続法は、侵害行為及び被告の悪意につ
いて明白な事実及び証拠がある場合、裁判所が担保を求めないことも可能にしている。 19
模倣品の通貨貨物又は自由貿易地域での模倣品に対する仮差止命令:トルコの知的財
産法制は、輸出入時、税関、自由港及び自由貿易地域における模倣品の差止措置を請
求できることを明白に規定している。しかし、この規定の実施についての判例法は、
仮差止命令が、通過する模倣品又は自由貿易地域の模倣品に適用できるか否かについ
ての議論があったため、2004年まで安定しなかった。 それでも、輸送通過模倣品の
取引を許可し、又はこれらを自由貿易地域において保持することを許可することは、
TRIPs協定に特に定められたトルコの義務と両立し得ないであろうという批判を考慮
して、判例法は、たとえ侵害者が当該製品をトルコの地域取引経路で頒布するつもり
はなくとも、権利者が通過する模倣品又は自由貿易地域に保持される模倣品に対して
も保護を拡大できるように展開していった。 (2)行政的救済手段 唯一の行政的救済手段は、税関当局における通関手続の停止である。これは、模倣
品を輸入及び/又は輸出の双方において対処する効果的な措置の一つである。 トルコは、水際措置について具体的な法律を制定していないが、上記知的財産法制
及び関税法第4458号(第57条)は、水際措置についての明白及び類似の規定を定めて
おり、これによると、権利者は、関係のある税関当局に対し、模倣品又は海賊版製品
の輸出入の通関手続を停止するよう求めることができる。税関は、また、所定の通関
手続の間に、模倣品/海賊版であると判明する/思われる製品の通関手続を職権で停
止する権限を有している。税関が製品の通関を権利者の申請により停止する場合又は
職権で停止する場合のいずれにおいても、権利者は、侵害訴訟を提起する、及び/又
は、裁判所から仮差止命令を取得する必要がある。権利者が、税関の決定についての
通知を受けてから10日以内に訴訟を提起しない場合又は司法的差止措置を取得しな
い場合、通関手続停止はその後効果を失うので、税関に保管されていた製品の通関手
続が行われるという結果になることに注意する必要がある。 (3)水際措置(行政的) 上記に加えて、関税法及び関税規則並びにトルコにおける実務によると、すべての
税関(港/当局)での“通関手続の停止”を中央監視し及び全国にわたり活性化する
ため、商標/サービスマーク、特許、デザイン特許又はその他の知的財産権の税関当
局への登録又は記録について定めている規定は存在しないことに留意する必要があ
る。 20
しかし、知的財産権の権利者又はかかる権利を使用する権限が与えられた者/団体
又はこれらの代理人は、関連する税関当局に対し、模倣品又は海賊版の疑いがある製
品の輸入又は輸出/再輸出の通関手続を停止する措置を求める権利を有する。申請者
は、申請書に、税関が介入して措置をとるよう求められる“措置期間”を記載する必
要がある。関税法によると、権利者は、申請書において、“措置期間”を30日以上要
求することはできない。従って、税関に対するいかなる申請も、30日の期間満了時に
更新する必要がある。更に、中心となる申請書を提出する可能性はないから、申請者
は、監視のために活性化の必要がある、各地域の税関支署ごと申請書を提出する。 関税法第4458号の実施に関する規則の規定によると、商標権の侵害を主張する商標
権者は、所定の様式に従った申請書とともに、模倣品を特定し/評価するために製品
を説明する文書、及び申立人の知的財産権を証明する文書を提出する必要がある。 模倣品が税関に到着していない場合、権利者は、追加的に、製品が送付されるであ
ろう場所/送り先に関する情報、当該製品の運送手段及び梱包の詳細、到着又は出発
予定日、かかる製品を運搬する輸送手段についての詳細、輸入業者若しくは輸出業者
又はこれらの代表者に関する情報を提出することができる。 6.留意事項
トルコ独自の文化、社会習慣及び風習、又は考え方について、世界各国と非常に異
なる点は特にない。 マスコミへの対応も同様である。 7.その他関係団体
トルコにおいては、知的財産権侵害に関する他の民間機関は、前第2項に列挙した
機関以外は存在しない。しかし、トルコの文化庁は著作権の登録に関連する機関であ
る。 住所:
Atatürk Bulvari No: 29 06050 Opera/Ankara/TURKEY 電話:
+90 (312) 309 08 50 http://www.kulturturizm.gov.tr http://www.kultur.gov.tr 21
http://www.turizm.gov.tr 以上
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