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むこう 123号 - 神戸をほんまの文化都市にする会
む こ う 神戸をほんまの文化都市にする会 2013年6月20日発行 第 123 号 〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1-5-7 神戸情報文化ビル3F文化村 連絡先 TEL・FAX (078)361-5056 e-mail:[email protected] http://honmabunka.news.coocan.jp/ 北村梨花子 第24回定期総会報告 空梅雨に久しぶりの雨が降った6月15日、第24回定期総会が総合福祉センターで開催さ れました。総会後、灘区民センター館長の齋藤光國さんに「灘区民ホールの活動と指定管理者 制度の課題」と題して記念講演をしていただきました。 総会は議長に黒瀬晴世さん、書記に米川綾子さんを選出しました。 竹山清明代表から、活動の一つである要望書に進展がないこと、政治の局面では憲法96条 の改訂案やTPP加入など厳しい状況がありますが、秋には市長選もありますし、こういう時 こそ楽しく活動に取り組んでいきましょうと挨拶がありました。 和田事務局長から、2012年度活動報告・2013年度活動方針が、竹村会計からは20 12年度決算報告・2013年度予算案が提案され、拍手で承認されました。 参加者は9団体10人、個人6人の計16人、記念講演時は3人増えて19人でした。 討議の意見 ・芝居カーニバルの中島さん 松方ホールの現状について、今年度の自主事業は音楽賞を除いて10事業となり、共 催事業がなくなる等、事業の縮小化が進められ、貸館を中心にするようです。 ・映画サークル協議会の桑田さん 映画のデジタル化が進み、例会をしている朝日ホールはデジタル化の予定がないため、 会での上映ができなくなります。文化ホール等へ、デジタル化を要望すべきだと思いま す。 ・劇団どろの合田さん 事務所の賃料問題が報告されました。 (「むこう」122号の「いまどきの文化」で報告しているので参照下さい。) ・その他の意見 総会参加の出欠を取るのはどうなったのか?参加者を増やすためにも必要ではないか。 来年の総会には必ず実施したいとの回答がありました。 記念講演の内容(要旨) 3年前、私と神戸大学有志で会社をつくり応募し、灘区民ホールの指定管理者となりました。 指定管理者制度は公立の文化施設の民間参入を可能にしたもので、現在、全国で5割くらいで す。 神戸市文化施設の公募方法は、単体募集(灘区民ホール・KAVC)と一括募集(区民センター 6施設)があり、一括だと現在指定されている団体しか受けられないということが問題です。 一括募集は他都市にはない特徴です。指定管理者制度で一番進んでいるのは横浜市です。審査 委員名は公表、最後のプレゼン審査会も公開しています。非公開だと何かと疑われるので公開 ( 2 ) にすべきだと思います。 灘区民ホールは年間 7200万円(補助金 4100万円、入居者 負担金1700万円、 使用料金1400万円) で運営していますが、 神戸市からの事業費は ゼロ(KIITOは年間20 00万円、KAVCと文化 ホールは年間1000 万円)です。 灘区と東灘区の人口を合わせると35万人。同規模の市では、より多くの文化施設があり、 例えば三木市は、8万人で市民会館(大、小ホール)があります。 灘区民ホールは、地域密着を重視し、信用と価値観の共有ができる相手への支援を軸として います。その例として ①イカロスの森の支援 ②若手で有能な狂言の善竹忠重さんを支援 ③ 区内の病院にチラシを貼ってもらうシステムを作成 ④区内の全小中学校に配布などです。こ うした仕組みを4年で作りましたが、後1年あればもっと出来ると考えています。神戸市の指 定管理期間は4年ですが、他都市は5年が主流です。若い人の雇用が4年で切られるのは残念 で、何らかの方策を考えるべきです。 先日、関西二期会と共同で「愛の妙薬」を取り組み、好評を得ました。ホールは館を提供、 練習に関わる連絡など他のことは全て二期会に担ってもらうことで、買取公演ではないものを 作り上げることができました。 また今年度の文化庁補助金を申請し、360万円が決定され(県内では5施設のみ)多くの 事業を実施できそうです。私としては今年の公募で東灘区民と灘区民両ホールの指定を受けら れたら、もっと大きなことが出来ると思っています。 (小林 義正) 「都市と文化をめぐる」講座 第32回「観光の島プーケット」 日時:8月8日(木) 14:00 劇団四紀会稽古場 18:30 ハーバーランド文化村 講師:竹山清明(京都橘大学教授) 参加費:500円(資料代) ( 3 ) 神戸自由劇場 『父と暮せば』 作/井上ひさし 演出/今泉おさむ 2013/5/17 元町プチシアター 神戸自由劇場の創立は1964年だが、2度中断を挟み、今回は6年ぶりの公演となる。 『父と暮せば』は四紀会で上演を重ね、竹造役の大西衛一さんのワイフワークともなって きた。娘の美津江役は、神戸自由劇場の看板女優・鎌田紀子さん。こまつ座公演も含め何 度も観ても面白い作品だが、今回ほど原爆という事実に向き合う姿勢を強く感じたことは なかった。美津江の心の葛藤から存在している竹造は、恋の応援団長であると同時に、原 爆の悲惨さの語り部であることがひしひしと伝わってくる。憲法改悪がまたぞろ出てきて いるだけに、〝記憶せよ、抗議せよ、そして生き延びよ〟を改めて思い起こした。 (鶴嶋吉信) うたう麦・語り芝居「文七元結」を観て 久しぶりに、時間を忘れて感動しました。私は落語のことは殆んど分からないのですが。 「文七元結」は三遊亭圓朝さんの有名な創作落語だそうで、その元ネタを麦人さんが台本 に練り直したと知りました。この舞台は勿論、落語ではありませんし、お芝居でもありま せん。麦人さんと森うたうさんのお二人が、登場人物をテンポよく演じ分けながら息もつ かせないリズミカルな流れで物語をいっきに展開させていくという語り芝居でした。しか も、お二人とも前の観客席を見つめたままで、お互いの顔を合わせることがないのです。 まったく新鮮な感覚で、二人で紡ぐ一人芝居と見えました。1年に1回の公演とお聞きし ましが、次回作もとても楽しみです。 (全美玉(ちょん・みお)) 「すてきな先生・ズ」 6月15日 KAVCホール 「まるで授業みたい…」舞台が始まりだすと学生時代を思い出しました。現役の 先生が演じられる「すてきな先生・ズ」を観る機会を得ました。学校で本物の授業 をされているので、セリフがとてもリアルです。実際はたくさんの問題があるのだ ろうけど、何かユウモラスであり、先生方の本音が垣間見られる舞台でした。 「体罰」についての職員会議での発言と、その後の個人聞き取りでの会話の場面 を観ると「先生も大変やなぁ」と思わずにはいられません。人との関係が希薄になっ たと言われる昨今、学校では熱い毎日(ライブ)が続けられますね。毎回登場され る先生方が、とても親しく感じられます。先生、応援していますよ! (泉 紀子) ( 4 ) 神戸の街スポット 旧生糸検査所のリノベーションの成否は?(その3) 中尾嘉孝(港まち神戸を愛する会) 旧生糸検査所の内部について、更に気になる点を挙げておく。 新館1階の総荷検査室の北東に、いったん開封した生糸の荷箱を地階の保管場所へ移送 するためのリフトが、駆動設備は失われ物置になっていたものの、シャフトと扉周りのプ ラスタ―のモールディング、表示板などが残っていた。だが、総荷検査室が貸ホールとなっ たことに伴い、このリフトのスペースも出演者用の楽屋に変更されたときに、これらのディ ティールが撤去されてしまった。せめてモールディング位は残せなかったのだろうか。 また、旧検査所長室など、諸室に残されていた竣工当時からの家具類の配置が、1階カ フェなどに適当に再配置されてしまっているのも、気になる点だ。何処の部屋にどういっ た什器が在ったのか、市の営繕は押さえているのだろうか。また特に昭和初期の竣工当時 の什器を、乱雑に取り扱って、痛んだ挙句粗大ゴミで廃棄してしまう、という事態は絶対 に避けてもらいたい。 また、旧館玄関両脇の灯具は、平成16、7年頃まではオリジナルが残っていたが、何らか の事情でパナソニックの既製品に置き換えられた。農林水産消費安全技術センターが移転 後、オリジナルは1個だけ総荷検査室に放り出されていた。現在は、館内の展示の際に、 組み合わせのオブジェにされるなど、こちらもややもすると紛失してしまいそうな状況だ。 これなどは浄財を募ってレプリカを製作するなどして、旧状に戻すなどの取り組みが必 要だろう。 また、前所有者の農林水産消費安全技術センターが、旧館4階の事務室に置いて行った、 竣工当時の設計図、青焼きの図面集等も、然るべきところに保管されているのか。 これなどは、既に神戸市が所蔵する河合浩蔵の設計図書などと併せて、神戸の近代建築 のアーカイブスとして、整理の上で公開すれば、KIITOの目玉にもなるのではないか。 このように、KIITOの改修に関して、気になる点は実は多岐に亘るのであった。 (この項、つづく) ( 5 ) ここでは、加盟団体・個人の文化情報をお伝えします。各行 事への参加については、前もって主催者にお問い合わせ下さい。 次回は、8月中旬に発行の予定です。2013年9~10月の予定 をお知らせ下さい。8月初めまでにお願いします。 担当者:黒瀬晴世 (TEL.FAX/078-531-4903) 〒652-0058 神戸市兵庫区菊水町10丁目39-11-1-507 あいり・de・オペラTEL.FAX/361-5056 映像で楽しむオペラ講座第43回 「椿姫」 ☆ピフレ・シネマサロン 「人生いろどり」 (12年日本) 監督/御法川修 ジュゼッペ・ヴェルディ作曲 日時:7月11日(木) ヴィオレッタ:アンナ・ネトレプコ ①10:30 ②13:30 ③16:30 アルフレード:ロランド・ヴィラゾン 神戸芝居カーニバル実行委員会 TEL/090-1914-4907(中島) 日時:7月18日(木)18:30 ☆河東けいひとり芝居「母」 会場:サロン・ド・あいり 解説:竹山清明(オペラ大好き建築家) 原作/三浦綾子 出演/河東けい 料金:2,500円(食事・ワンドリンク付) 日時:7月12日(金)14:00/18:30 NPO神戸100年映画祭 会場:東灘区民センターうはらホール TEL/954-8044 FAX/954-8066 料金:2,500円 会員2,000円 ☆県美シネマクラシック 料金:1,500円 学生・障害者1,000円 「アルフレッド・ヒッチコック特集」 本会のお知らせ 日時:7月19日(金) ◎読書会 10:30 「レベッカ」(40年米) 島村菜津著「スローシティ」 13:30 「断崖」(41年米) 日時:6月24日(水)18:45~ 15:30 「汚名」(48年米) 会場:ハーバーランド文化村「会」事務所 会場:県立美術館ミュージアムホール 会費:300円(茶菓子付き) 連絡先:361-5056 料金:500円 ◎サロン・ド・ほんま ☆ KEN―Vi名画サロン このサロンは、話題提供者の話を聞い 「黒澤明特集」 て、教養を深めるとともに、互いに持ち 日時:8月30日(金) 寄った一品を味わい交流する場です。 10:30 「酔いどれ天使」 話題提供者:神戸中央おやこ劇場 14:00 「生きる」 平澤寿枝さん 8月31日(土) 日時:6月26日(水)18:30 10:30 「羅生門」 会場:ハーバーランド文化村「会」事務所 14:00 「天国と地獄」 会費:500円 会場:県立美術館ミュージアムホール 連絡先:361-5056 料金:一般500円 ( 6 ) 劇団四紀会 TEL/392-2421 FAX/392-2422 第139回公演家族劇場・神戸元町賑わい座 神戸演劇鑑賞会 TEL/222-8651 FAX/222-8653 7月例会「飛べ羽ばたけ!夢、希望、青空」 「大工と鬼」 作/荒木昭夫 「きつねと文六」 作/新美南吉 演出/岸本敏朗 日時と会場: 7月6.7.13.14.15日11:00/15:00 (トム・プロジェクト公演) 作・演出/東 憲司 出演/新妻聖子 日時:7月25日(木)18:30 元町プチシアター 7月28日 11:00/15:00 明石産業交流センター 料金:一般2,000円 子ども1,200円 70歳以上・障害者1,700円 いちばぎゃらりぃ侑香 TEL.FAX/361-5055 7月9日~20日 (13・14・15休み) 永田収と教室写真展 7月29日~8月10日 第9回福原遷都まつり写真展 8月12日~17日 戦争を語り継ぐ週 写真・書籍展 8月23日~24日 いちばぎゃらりぃ侑香の地蔵盆 ☆「もういいかい」特別上映会 日時:6月30日(日)10:30/14:00 定員:要予約20席 参加費:1,000円 ☆ひょうたんライブ 朗読・演奏など 日時:7月27日(土)19:00 参加費:500円 神戸東おやこ劇場 TEL.FAX/441-0836 神戸中央おやこ劇場 TEL.FAX/341-8069 神戸垂水おやこ劇場 TEL.FAX/706-1810 神戸須磨北おやこ劇場TEL.FAX/976-0023 幼児・小学低学年例会 「ぶたさんとねずみさん」(劇団むう公演) 日時:7月20日(土)14:00 会場:神戸アートビレッジKAVCホール 小学高学年・中学生以上例会 「おこんじょうるり」 (劇団むう公演) 日時:7月21日(日)15:00/19:00 会場:神戸アートビレッジKAVCホール 26日(金)18:30 27日(土)13:30 会場:神戸文化ホール(中) 神戸映画サークル協議会 TEL/371-8550 FAX/371-8551 7月例会 「春にして 君を想う」 (91年アイスランド・ドイツ・ノルウェー) 監督/フリドリック・ トール・フリドリクソン 日時:7月19日(金)20日(土) ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④19:00 ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④18:30 会場:神戸朝日ホール 8月例会「ペーパーバード~幸せは翼にのっ て」 (10年スペイン) 監督/エミリオ・アラゴン 日時:8月16日(金)17日(土) ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④19:00 ②11:00 ②13:30 ③16:00 ④18:30 会場:神戸朝日ホール ギャラリー島田 TEL.FAX/262-8058 B1F 6月29日~7月10日 対話展 7月13日~24日 井上廣子展 7月27日~8月8日ミニアチュール神戸展 8月24日~9月4日 渡邊敬介展 1F 6月15日~7月10日 西村功展 7月13日~24日 島田コレクション展 7月27日~8月7日 片山みやびガラス展 8月24日~9月4日 未定 ☆夏季休廊 8月9日~8月23日 ( 7 ) いまどきの文化 シリーズNo.100 「元町映画館との出会い」 元町映画館スタッフ 林 未 来 元町映画館は、2010年8月に元町商店街4丁目にオープンしたミニシアターです。 同年2月に朝日新聞に掲載された新聞記事を見て、いてもたってもいられなくなった私は「ボ ランティアで良いのでなにか手伝わせてほしい!」と記事の情報を頼りに神戸映画サークル協 議会に電話をかけました。 映画を好きになったのは大学に入ってすぐのこと。高校まで自主的に映画を観に行くことは ほとんどなかったのですが、ひょんなことから8mmフィルムで映画を制作している人と知り合 い、それが面白そうでやってみたくてカメラを借りて、毎日どこかをうろついては撮影してい ました。ところが街の風景を切り取るだけなら問題なかったのですが、友人たちを登場させた りちょっとストーリーを乗せてみたりしたくなると、映画をほとんど観ていなかったためどう 撮れば良いのかがわからなくなり、カメラを貸してくれた人やその周りの人たちに勧められて ミニシアターと呼ばれる暗闇に足を踏み入れることになりました。そして完全に(かつ、いと も簡単に)魅了されてしまったのです。そうして今度は映画を観ることに夢中になりました。 梅田のちょっとアヤシイ一角にできたプラネットプラスワンという小さな上映スペースで週末 にお手伝いをするようになり、映写を教えてもらい、次は映画を〈映す〉ことに夢中になりま した。映画祭のお手伝いをしたり、学校上映の出張映写に行ったり、そうこうしているうちに 大学卒業となり、プラネットからの紹介で大阪の新しい劇場で働くことに。初めて映画が仕事 になりました。映写の仕事は毎日同じことの繰り返しですが全く飽くことなく、映写機の掃除 まで毎日ワクワクしながらやっていましたし、客電が落ちスクリーンに画が映る瞬間はいつも ドキドキしました。その後家庭の事情があり劇場を辞めて、実家のある西宮市で地域情報紙の 編集スタッフとして働いていましたが、映画は自分の中で特別なものであり続け、仕事の傍ら 自ら企画して、街にあるカフェやギャラリー、雑貨店などでの自主上映会を始めました。劇場 を離れてみると、映画を観に行く人が意外と少ないことに驚きました。ちょうどミニシアター ブームがシネコンの台頭で下火になっていた頃です。それで、普段映画を観に行かない人が劇 場に行くきっかけのひとつになればと、そういう人たちが普段行くお店での上映会をやろうと 思ったのです。まずは家から外に出て、他人と空間と時間を共有しながら観る映画の楽しさを 伝えたい。そしてTVや雑誌で宣伝されてはいないけれど、素晴らしく豊かな映画が世界にはた くさんあるということを伝えたい。そんな思いでした。 この上映会活動は新聞や雑誌にも取材していただき、常連と呼べるお客さまも増え、順調で した。自分で企画してやっているという満足感もありました。でも、やっぱり大好きな映画館 への思いは募る一方。そんな折、元町映画館をつくっているという記事を読み、〈つくる〉と ころから関われる機会なんてこの先二度とないかもしれないと、連絡を取るに至ったというわ けです。 現在は支配人をしている藤島と会い、何か手伝わせてほしい、関わらせてほしいと話してい るうち、私に映写経験があると知った藤島が「じゃあ一緒にやらへん?」と言ってくれ、私は すぐに「じゃあ仕事辞めます!」と言い、元町映画館に関わることになったのでした。 ( 8 )