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TMI 中国最新法令情報 ―(2014 年 2 月号)

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TMI 中国最新法令情報 ―(2014 年 2 月号)
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TMI 中国最新法令情報
―(2014 年 2 月号)―
TMI 総合法律事務所
〒106-6123 東京都港区六本木 6-10-1
六本木ヒルズ森タワー23 階
TEL: +81-(0)3-6438-5511
E-mail: [email protected]
〒200031 上海市徐匯区淮海中路 1045 号
淮海国際広場 2606 室
TEL: +86-(0)21-5465-2233
〒100020 北京市朝陽区朝外大街乙 12 号
昆泰国際大厦 2412A 室
TEL:+86-(0)10-5925-1200
皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。
お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事
の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下
さい。バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので、
併せてご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/global/legal_info/china/index.html)
目次
一.中国最新法令
1. 中央法規
(1) 労務派遣暫定規定
(2) 国務院による一部の行政審査認可項目の取消及び権限委譲に関する決定
(3) 登録資本登記制度改革方案
(4) 事業者集中簡易案件の適用基準に関する暫定規定
(5) 流通分野における商品品質抜き取り検査及び検験弁法
二.連載
(第 1 回
中国企業法実務/第六弾:知的財産権
発明専利(特許)①)
三.中国法務の現場より
1.「掃黄」(風俗産業取締り)の嵐について―備えあれば憂いなし
2. 習政権の「贅沢禁止令」継続中
3. 上に政策あれば下に対策あり(上海タクシー配車アプリ篇)
1
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一.中国最新法令(2014 年 1 月中旬~2014 年 2 月中旬公布分)
1.中央法規
(1) 労務派遣暫定規定1
人力資源社会保障部
2014 年 1 月 24 日公布
2014 年 3 月 1 日施行
① 背景
2012 年 12 月、全国人民代表大会常務委員会は労働契約法について改正を行った(以
下「改正労働契約法」という。)2。改正労働契約法では、労務派遣業務の経営条件、被
派遣労働者に関する「同工同酬」
(同一労働同一報酬)の原則及び被派遣労働者を使用す
るための「臨時性」、
「補助性」及び「代替性」の三原則(以下「三原則」という。)など、
労務派遣に関する規定がより明確に定められた。上記労働契約法の改正を受け、人力資
源社会保障部は、労務派遣に関するより具体的な法令として、2013 年 8 月に、「労働派
遣若干規定(パブリックコメント稿)」 3を公布し、パブリックコメントを募集し、その
後の修正、審議を経て、今回、労務派遣暫定規定(以下「本規定」という。)を公布した。
② 主な内容
労務派遣会社が労務派遣業務を提供し、又は企業(以下「使用者」という。)が被派遣
労働者を使用する際に、本規定が適用される(第 1 条)。
まず、本規定は、被派遣労働者の使用範囲について、改正労働契約法で規定されたと
おり、臨時的、補助的又は代替的な職務においてのみ、被派遣労働者を使用することが
できると定めた(第 3 条第 1 項)。さらに、臨時的な職務とは、存続期間が 6 ヶ月を超え
ない職務をいい、補助的な職務とは、会社の主要業務のために主要でない業務を提供す
る職務をいい、代替的な職務とは、使用者の従業員が産休等により一定の期間勤務でき
ない場合に、他の労働者が代替できる職務をいうと定義した(第 3 条第 2 項)。これらの
職務に使用される被派遣労働者の人数は、使用者が労働契約を締結している労働者と被
派遣労働者を合わせた総労働者数の 10%を超えてはならないとされている(第 4 条第 1
項)。
次に、本規定によると、労務派遣会社の義務については、労務派遣会社は被派遣労働
者との間で 2 年以上の固定期間の書面による労働契約を締結しなければならない(第 5
条)。また、一人の被派遣労働者について、使用者は 1 回のみ、試用期間を設けることが
できる(第 6 条)。当該規定に違反した場合、改正労働契約法第 83 条に基づいて是正が
命じられ、また、被派遣労働者に賠償金を支払わなければならない(第 23 条)。労務派
遣会社は被派遣労働者に対しては、労働報酬等を支払う(第 8 条第 3 号)ほか、社会保
険料を納付しなければならない(第 8 条第 4 号)。また、労務派遣会社が地域を跨って労
働者を派遣する場合、使用者の所在地の社会保険に付保し、当該地域の基準に基づき、
社会保険料を支払わなければならない(第 18 条)。前述のように、改正労働契約法では、
被派遣労働者の同工同酬の原則が定められた。同原則に基づき、本規定では、使用者は
被派遣労働者に対して職務に応じた福利厚生を提供し、差別してはならないと定められ
1
2
3
《劳务派遣暂行规定》(人力资源和社会保障部令 22 号)
《全国人民代表大会常务委员会关于修改<中华人民共和国劳动合同法>的决定》(主席令第 73 号)
《劳动派遣若干规定(征求意见稿)》(人力资源和社会保障部)
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た(第 9 条)。また、被派遣労働者が労災事故に遭った場合、労務派遣会社が労災認定を
行い、使用者は労災認定の調査及び確認について協力しなければならないとされている
(第 10 条第 1 項)。
使用者が被派遣労働者を労務派遣会社に送り戻すことができるのは、(a)改正労働契約
法第 40 条第 3 号、第 41 条に該当する事由があった場合、(b)破産、営業許可証の取消等
経営を継続できない場合、又は(c)労務派遣契約期間が満了した場合に限定されている
(第 12 条第 1 項)。本条に違反して、使用者が被派遣労働者を送り戻した場合、改正労
働契約法第 92 条第 2 項に基づき、労働行政部門により期限を定めて是正が命じられ、ま
た、当該期限を過ぎても是正されない場合は、1 人につき 5,000 元以上 1 万元以下の過
料に処される(第 24 条)。なお、被派遣労働者が派遣されていない期間においては、労
務派遣会社は所在地政府が定めた最低賃金基準に基づき被派遣労働者に対して報酬を支
払わなければならない(第 12 条第 2 項)。
被派遣労働者は、30 日前に(試用期間においては、3 日前に)書面をもって労務派遣
会社に通知した場合、労働契約を解除できる(第 14 条)。
なお、附則では、外国企業の駐在員事務所及び外国金融機関在中国代表機構における
派遣労働者の使用については、本規定で定める派遣労働の三原則、及び労働者総人数に
占める割合の制限を受けないとしている(第 25 条)。また、本規定施行後 2 年間の経過
措置が設けられており、本規定が施行される前から被派遣労働者数が総労働者数の 10%
を超えていた場合、経過期間中に 10%以内に調整しなければならない(第 28 条第 1 項
本文)。被派遣労働者数が総労働者数の 10%以内に調整できていなければ、新たに被派
遣労働者を使用してはならない(第 28 条第 3 項)。但し、改正労働契約法が公布される
前に締結された労働契約及び労務派遣契約の期間満了日が、本規定が施行されてから 2
年後以降である場合、当該契約は例外的に契約期間満了まで履行することができる(第
28 条第 1 項但書)。
(2) 国務院による一部の行政審査認可項目の取消及び権限委譲に関する決定4
国務院
2014 年 1 月 28 日公布
同日施行
① 背景
中国国務院は、2001 年から行政審査制度改革を始め、行政審査認可項目の削減、行政
審査権限の委譲及び行政審査認可以外の行政管理方法の模索に取りかかった。従来、中
国では多数の行政審査項目が存在し、かつ行政審査の手続の煩雑さが目立っていたが、
国務院は、これまで、約 2,500 項目に及ぶ行政審査認可項目について、取消、権限委譲
又は管理方式の変更を行った。また、昨年 3 月に行われた国務院機構改革及び機能転換
に関する国務院常務会議が行われて以来、行政審査、行政許可事項の取消、権限移譲及
び手続の簡素化が重点的に検討され、実行されてきた。
今回の決定(以下「本決定」という。)は、昨年 5 月5、7 月6、11 月7の 3 回にわたって
公布された行政審査認可項目の取消及び権限移譲に関する決定に続くもので、64 項目の
4
5
6
7
《国务院关于取消和下放一批行政审批项目的决定(2014)》(国发[2014]5 号)
《国务院关于取消和下放一批行政审批项目等事项的决定》(国发[2013]19 号)
《国务院关于取消和下放 50 项行政审批项目等事项的决定》(国发[2013]27 号)
《国务院关于取消和下放一批行政审批项目的决定》(国发[2013]44 号)
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行政審査項目及び 18 個の付属項目について、取消又は権限移譲が決定された。
② 主な内容
本決定により取消又は権限移譲が実施された行政審査項目は、24 の部門、特に、工業
情報化部、国土資源部及び民用航空局等の部門に関連する項目となる。
主な項目は以下のとおりである。
番
項目
審査機関
設定根拠
処理
教育部
国務院令第 412 号
取消
工業情報化部
計 価 格 [2002]1489
取消
号
1
インターネットを利用した
高等学歴教育通信教育を実
施するインターネット上の
学校に対する認可
3
電信業務料金基準に関する
認可
9
外国組織又は人員が電子観
号
工業情報化部
国務院令第 128 号
取消
測設備を利用し、中国国内
(今後は当該
で電波パラメーター測定を
活動を禁止)
することに対する認可
16
中外合作による、鉱物資源
国土資源部
の探査、採掘に関する前置
国務院令第 240 号
取消
国務院令第 241 号
審査
26
中国籍船舶における外国籍
交通運輸部
国務院令第 155 号
取消
国内航空会社間、国内航空
中国民用航空
国務院令第 412 号
取消
会社・国外航空会社間のコ
局
国務院令第 412 号
取消
国務院令第 412 号
取消
の船員の雇用に関する認可
55
ードシェア等のビジネス提
携に関する認可
58
61
国外民用航空機保全修理員
中国民用航空
の資格認定
局
特殊経済区域区内機構の元
国家外貨局
転、外貨の購入・支払に関
国発[2012]52 号
する認可及び外貨登記
62
金融機関の外国側投資者の
国家外貨局
収益の国外向け送金又は外
国務院令第 412 号
取消
国発[2012]52 号
貨購入送金に関する認可
63
国内機構非貿易外貨購入の
国家外貨局
国務院令第 412 号
取消
国家外貨局
国務院令第 412 号
取消
真実性に関する認可
64
機構外貨資金の国内振替に
関する認可
国発[2012]52 号
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(3) 登録資本登記制度改革方案8
国務院
2014 年 2 月 7 日公布
同日施行
① 背景
本誌 2014 年 1 月号でご紹介したとおり、昨年末、「全国人民代表大会常務委員会によ
る『中華人民共和国海洋環境法』等七つの法律の改定に関する決定」 9 が公布され、そ
の中で「中華人民共和国会社法」の改正が定められた(当該改正後の会社法を以下「新
会社法」という。)。2014 年 3 月 1 日から施行される新会社法では、企業の実際に払い込
まれた資本が営業許可証の登記事項から削除され、有限責任会社、一人有限責任会社、
株式会社の登録資本金最低限度額に関する規定、会社設立時の出資検査報告書の提出等
の規定が撤廃されるなど、会社登記制度に関する重大な改正が行われた。これに伴い、
国務院は、登録資本登記制度改革方案(以下「本改革方案」という。)を公布し、施行し
た。
② 主な内容
登録資本登記制度改革の核心的な内容は、従来の払込登記制から引受登記制への転換
及び登録資本登記条件の緩和にあると考えられる。
まず、引受登記制が実施されることにより、会社は、出資者が引き受けた出資額又は
発起人が引き受けた株式の総額(すなわち、登録資本)について工商行政管理機関に登
録しなければならない。出資者又は発起人(以下「出資者等」という。)は、その引き受
ける出資額、出資方式、出資期限について約定し、会社の定款に記載し、上記情報及び
出資状況について、市場主体信用情報開示システムを通じて、公衆に開示しなければな
らない。
また、新会社法の規定と同様に、法律、法規等に別途定めがある場合を除き、有限責
任会社、一人有限責任会社、株式会社の最低登録資本の制限を撤廃すると定められた。
従来は、会社設立時に、登録資本に対する一定比率の初回出資額の払込義務、出資額に
おける現金出資額の比率及び一定期間内における出資額全額払込義務が規定されていた
が、本改革方案では当該制限が全て廃止された。実際に払い込まれた登録資本が登録事
項でなくなったため、会社登記の際に、出資検査報告書の提出も必要でなくなった。
(第
二段第一節)。
但し、現段階では、銀行金融機構、証券会社、先物会社、ファンド管理会社、保険会
社、保険専門代理機構及び保険ブローカー、直販企業、対外労務合作企業、融資性担保
会社、募集により設立された株式会社、及び労務派遣会社、質屋、保険資産管理会社、
少額貸出会社に関しては、当分の間、従来の規定通りに登記が行われる。
登録資本の登録条件が緩和される一方で、従来の年度検査制度についても改革が行わ
れる。すなわち、従来の年度検査制度から、企業年度報告公示制度に転換される。企業
は市場主体信用情報開示システムを通じて、工商行政管理機関に対して年度報告を送付
し、公衆に開示する。いかなる機関及び個人も当該情報を閲覧することができる。工商
行政管理部門は、定期的に抜き打ち検査を行い、報告に虚偽の情報があった場合、企業
に対して行政処罰を加える。
企業年度報告の主な内容は、出資者等の出資状況、会社の資産状況等となる。年度報
8
9
《国务院关于印发注册资本登记制度改革方案的通知》(国发[2014]7 号)
《全国人大常委会关于修改《中华人民共和国海洋环境保护法》等七部法律的决定》(2013)(主席令第 8 号)
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告開示義務を怠った企業については、経営異常リストに掲載し、年度報告開示義務の履
行を促す。企業が 3 年以内に年度報告開示義務を履行した場合、経営異常リストから削
除し、通常の状態に戻すよう、工商行政管理機関に求めることができるが、一方、3 年
以上年度報告開示義務を履行しなかった場合、企業は永久に経営異常リストに掲載され、
厳重違法企業のブラックリストに掲載される。
本改革方案では、会社登記が従来より簡素になった代わりに、企業年度報告開示制度
において、企業の最新情報を迅速、正確に公衆に開示する必要がある。企業にとって、
会社設立時の負担が軽減された一方、公衆監督機能による制約がかけられた。
(4) 事業者集中簡易案件の適用基準に関する暫定規定10
商務部
2014 年 2 月 11 日公布
2014 年 2 月 12 日施行
① 背景
中国独禁法は、2008 年 8 月に施行されて以来、事業者集中の審査申請が年々増えてき
た。2013 年には、商務部は 224 件の審査申請を受け、そのうち 212 件が立件された。立
件件数は昨年と比べて 26%増加した。
中国独占禁止法では、事業者集中審査の手続が定められている。商務部は事業者集中
審査において、申請書類を受け付けてから 30 日以内に初歩審査を行う。初歩審査では決
定できず、さらに審査を行うと決定した場合、当該決定日の 90 日以内に審査を完了させ
なければならないとされているが、一定の要件を満たした場合、さらに最長 60 日間の延
長が認められる(独占禁止法第 25 条、第 26 条)。実務では、事業者集中審査は初歩審査
で完了できる案件が少なく、申請書類の準備時間を含めて、通常 9 ヶ月から 1 年程度か
かる。このような審査期間の長期化は、企業の統合案件等に不利な影響を及ぼす懸念が
あるとされており、商務部は審査の迅速化を図るため、本規定を制定し、公布した。
② 主な内容
ア
事業者集中案件が以下の要件に該当する場合、簡易案件とみなす(第 2 条)。
(a) 同一の関連市場において、集中に参加する全ての事業者の市場シェアの合計が
15%を下回ること
(b) 川上及び川下の関係を有する、集中に参加する事業者の、川上市場及び川下市場
のそれぞれにおけるシェアが、25%を下回ること
(c) 同一の関連市場に属さず、かつ、川上及び川下の関係も有しない、集中に参加す
る事業者の、取引に関係するどの市場におけるシェアも、25%を下回ること
(d) 集中に参加する事業者が中国国外に合弁企業を設立する場合、当該合弁企業が中
国国内で経済活動を行わないこと
(e) 集中に参加する事業者が国外企業の出資持分又は資産を買い取る場合、当該国外
企業が中国国内で経済活動を行っていないこと
(f) 二つ以上の事業者が共同で支配する合弁企業が、集中により、その中の一つ以上
の事業者によって支配される場合
イ
しかし、上記要件に該当しても、以下の状況が存在する場合、簡易案件とみなすこ
とができない(第 3 条)。
10
《关于经营者集中简易案件适用标准的暂行规定》(商务部公告 2014 年第 12 号)
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(a) 二つ以上の事業者が共同で支配する合弁企業が、集中により、その中の一つの事
業者によって支配され、当該事業者と合弁企業が同一の関連市場における競争者で
ある場合
(b) 事業者集中の関連市場の画定が困難である場合
(c) 事業者集中が市場参入又は技術の進歩に不利な影響を及ぼす可能性がある場合
(d) 事業者集中が消費者及びその他の関連事業者に不利な影響を及ぼす可能性がある
場合
(e) 商務部が市場競争に不利な影響を及ぼすと判断するその他の場合
ウ
下記の状況に該当する場合、商務部は簡易案件の認定を撤回することができる(第
4 条)。
(a) 申告者が重要な状況を隠蔽し、又は虚偽の資料、誤解を招く情報を提供した場合
(b) 第三者が、事業者集中に競争を排除、制限する効果がある、又はその可能性があ
ると主張し、かつ関連する証拠を提供した場合
(c) 商務部が、集中の取引状況又は関連市場の競争状況に重大な変化があったと判断
した場合
(5) 流通分野における商品品質抜き取り検査及び検験弁法 11
国家工商行政管理総局
2014 年 2 月 14 日公布
2014 年 3 月 15 日施行
① 背景
2013 年 10 月、消費者権益保護法が改正され、当該改正では、
「関連行政部門は各自の
職責の範囲内で、定期的に又は不定期に経営者が提供する商品及び役務について抜き取
り検査及び検験を行い、公衆にその結果を公布しなければならない。」という条文を新設
した(第 33 条第 1 項)。国家工商行政管理総局は、流通分野における商品の品質監督管
理に関する職能を有するため12、上記抜き取り検査及び検験(以下「検査」と総称する。)
は工商行政管理総局が担当する。国家工商行政管理総局は、当該職能に関する各レベル
の工商行政部門の機能をより明確かつ厳格に定めるため、本弁法を制定し、公布した。
② 主な内容
本弁法は計 5 章 38 条からなる。
総則では、国家工商行政管理総局、省、自治区、直轄市の工商行政管理部門(以下「省
レベルの工商行政管理部門」という。)及び省レベルより下級の工商行政管理部門の職権
について規定している。商品は地域を跨り流通することがあるため、各地で検査の無駄
な重複が生じることを避けるため、国家工商行政管理総局が各省、自治区、直轄区の検
査の活動を組織、実行し、また、省レベルの工商行政管理部門は管轄区域内での検査を
統括管理して執行する。省レベルより下級の工商行政管理部門は、省レベルの工商行政
管理部門の指示に従って検査を実際に行う(第 3 条)。検査の費用は経営者から徴収して
はならず、工商行政管理部門が所在するレベルの政府の財政予算に組み込まれる(第 5
条)。
第二章では、検査が行われるプロセスについて定められている。省レベルの工商行政
管理部門は、検査計画を制定し、検査する商品の種類、検査区域、時間、予算等につい
11
12
《流通领域商品质量抽查检验办法》(国家工商行政管理总局令第 61 号)
《国家工商行政管理总局职能配置内设机构和人员编制规定》(国务院办公厅 2001 年 8 月 7 日公布)
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て規定しなければならない。検査対象は、主に消費者、マスコミ等により品質問題の疑
いがあるとされている商品、消費者の健康、人身財産の安全に影響を及ぼしうる商品及
び上級工商行政管理部門が指示する商品とされている。但し、工商行政管理部門は同じ
年度内に、同一商標、同一規格・型番の商品について、原則として 2 回以上の検査を行
ってはならないとされ、また検査計画に従わず、任意に検査を行うことはできない(第
6 条)。検査に必要なサンプル商品は、原則として、経営者から仕入価格で購入する。但
し、破壊的な検査を行わず、商品の品質に影響のない場合、検査用のサンプル商品を経
営者から無償で提供してもらうことができる(第 13 条第 1 項)。工商行政管理部門の委
託を受けた検査機構は、委託契約に基づいて検査を行い、遅滞なく検査結果を工商行政
管理部門に報告し、工商行政管理部門は、検査結果を受けてから 5 営業日以内に経営者
に通知しなければならない。検査結果が不合格の場合、工商行政管理部門は、商品の生
産者に通知し、経営者に対しては、期限を定め是正を命じなければならない(第 16 条)。
検査結果について経営者又は販売者が異議を有する場合、工商行政管理部門に対して再
検査の申し立てを行うことができ(第 17 条第 1 項)、再検査の結果は最終結果となる(第
19 条第 3 項)。
第三章には、検査結果の処理についての規定が置かれている。工商行政管理部門は検
査結果を遅滞なく公衆に公開すべきとされている(第 20 条)。商品が検査により不合格
と認定された場合、工商行政管理部門は、当該経営者に直ちに販売中止を命じなければ
ならず、消費者が返品を求める場合、経営者がその責任により返品しなければならない
(第 21 条第 1 項)。また、商品に欠陥があり、消費者の人身、財産安全に影響を及ぼす
危険がある場合、経営者に対して、販売中止、警告措置を採る他、商品の生産者が所在
する行政部門に通報しなければならない(第 21 条第 2 項)。
第四章では、本弁法に違反した場合の法律責任について規定されている。経営者が本
弁法に違反し、消費者権益保護法に基づいて処罰すべきとされた場合、処罰を行う機関
は当該処罰情報を経営者の信用記録に記載し、公衆に公布しなければならない(第 32
条)。また、経営者のみならず、検査又は再検査を行う機構が虚偽もしくは誤った検査デ
ータ及び結論を提示し、又は、検査情報を漏えいした場合や、工商行政管理部門の職員
が職権を濫用した場合には、これらの者の責任が追及される(第 34 条)。
(彭涛、瀋暘・中国弁護士)
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二.連載 中国企業法実務
第六弾:知的財産権(第 1 回/全 8 回)
第1回
2014 年 2 月号
発明専利(特許)①
第2回
2014 年 3 月号
発明専利(特許)②
第3回
2014 年 4 月号
外観設計専利(意匠)
第4回
2014 年 5 月号
実用新型専利(実用新案)
第5回
2014 年 6 月号
商標 ①
第6回
2014 年 7 月号
商標 ②
第7回
2014 年 8 月号
著作権
第8回
2014 年 9 月号
不正競争防止法による保護
第1回
発明専利(特許)①
1.概要
中国では、専利法13という 1 つの法律で特許、実用新案、意匠の 3 つの知的財産を包括
的に規定しており、それぞれを「発明専利」、「実用新型専利」及び「外観設計専利」14と
称し、それらを専利と総称している。
本連載の第 1 回から第 4 回にかけては、中国の専利制度についてご紹介する。理解の便
宜上、本連載では「発明専利」を特許、「実用新型専利」を実用新案、「外観設計専利」
を意匠という。
第 1 回の今回及び次回の第 2 回においては、専利法の枠組みをご紹介した上で、中国の
特許出願件数の推移を概観し、中国における特許出願及び権利化、権利行使について解説
する。
2.専利法の枠組み
(1) 専利法の歴史
専利法は、1984 年 3 月 12 日に公布され、1985 年 4 月 1 日に施行されてから 3 回の改
正を経て現在に至っている。以下に 3 回の改正についてその要点の一部を掲げる。
第 1 回改正 15:(a)保護対象外であった医薬品、化合物、食品、飲料、調味料を保護対
象に変更した。(b)専利実施に輸入行為を追加した。(c)方法の専利について、その方法
により生産した物に権利が及ぶことを規定した。(d)専利存続期間を、特許については
15 年から 20 年に、実用新案及び意匠については 5 年(3 年間延長可能)から 10 年に拡
張した。
第 2 回改正16:(a)特許、実用新案の実施に販売の申出行為を追加した。(b)方式審査
のみで登録される実用新案について、検索報告書(第 3 回改正17で専利権評価報告書18に
13
14
15
16
17
《中华人民共和国专利法》(主席令第 8 号)
専利法第 2 条
1992 年 9 月 4 日第 1 回改正公布、1993 年 1 月 1 日施行
2000 年 8 月 25 日第 2 回改正公布、2001 年 7 月 1 日施行
2008 年 12 月 27 日第 3 回改正公布、2009 年 10 月 1 日施行
9
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変更)制度を導入した。(c)専利登録後の異議申立制度 19を廃止して無効審判制度へ統合
した。(d)実用新案、意匠について、不服審判及び無効審判の審決に対する取消訴訟制度
を導入した。(e)侵害賠償額の算定方法を定めた。
第 3 回改正:(a)意匠の実施に販売の申出行為を追加した。(b)新規性の判断基準を世
界公知及び中国国内公用から世界公知公用へ拡大した。(c)拡大された先願20に同一の出
願人による先願を含めた。(d)実用新案と同様に方式審査のみで登録される意匠において、
実用新案と同様の専利権評価報告書制度を導入した。(e)中国で生まれた発明、考案につ
いて、中国に最初に出願せず外国へ出願する場合に対する秘密保持審査制度(その詳細
については本連載の第 2 回で紹介する。)を導入した。(f)並行輸入行為、及び行政認可
申請のために行われる専利医薬品、医療機器の実施行為を専利権の非侵害と定めた。(g)
侵害賠償額の算定が難しい場合に適用する法定賠償額を 5,000~50 万人民元21から 1 万~
100 万人民元に引き上げた。
(2) 関連法規
専利関連の法規には、上位に専利法があり、その下に国務院 22が制定した専利法実施
細則23があり、さらにその下に中国特許庁が制定した専利審査指南24及び専利関連の各種
弁法がある。
日本の特許法は 204 条まであるのに対し、中国の専利法は特許権のみならず、実用新
案権及び意匠権についても規定しているにもかかわらず、条文数が 76 条しかない。その
ため、下位法である専利法実施細則に専利法の具体的な運用に関する実務上重要な規定
が多く定められている。
専利審査指南は、3 種類の専利出願・専利を審査・審理する際のガイドラインとして、
日本の特許・実用新案審査基準や意匠審査基準に相当するものである。但し、中国の専
18
専利権評価報告書は、方式審査のみで登録される所謂無審査主義を採用する実用新案、意匠について、
権利の有効性を判断する材料として、専利登録後、権利者又は利害関係者(訴訟を提起する権利がある者を
いう。)の請求により、国家知識産権局(以下「中国特許庁」という。)がその専利の新規性、進歩性のみな
らず、形式的な要件を含む登録要件に関して評価して通知されるものである(専利法第 61 条第 2 項、同法
実施細則第 56 条、第 57 条)。日本の「実用新案技術評価書」に相当するが、日本では何人も、出願後なら
何時でも請求することができ(但し、実用新案登録に基づいて特許法 46 条の 2 第 1 項の規定による特許出
願がされた後は、請求することができない。)、出願前公知の刊行物に基づく新規性・進歩性、拡大された先
願(脚注 20 を参照)、先後願に限定して評価する(実用新案法第 12 条)点で相違するほか、日本では実用
新案の権利行使の際に当該実用新案の技術評価書の提示が義務付けられている(実用新案法第 29 条の 2)
が、中国ではそのような義務は課せられていない点でも異なる。
19
異議申立制度は、専利掲載公報発行日から 6 ヶ月以内に、何人も専利成立に異議がある場合、その異議
理由を申し立てることができる制度で、審査を経て専利取消又は専利維持の結論となる。日本にもかつては
異議申立制度が存在したが、平成 15 年特許法改正で廃止された。
20
拡大された先願とは、後願の出願日以前に出願された特許出願又は実用新案出願であって、後願の出願
後に出願公開又は専利掲載公報が発行された先願をいい、かかる先願にはその願書に最初に添付した明細
書又は図面等に記載された発明・考案と同一の後願を排除しうる地位がある(専利法第 22 条第 2 項)。日本
では拡大された先願の地位について、特許法第 29 条の 2、実用新案法第 3 条の 2 で定められている。
21
「最高人民法院による専利紛争事件の審理における法律適用問題に関する若干規定」
(法釈[2001]21 号)
第 21 条
22
中華人民共和国国務院の略称。中国の最高国家行政機関であり、日本の内閣に相当する。
23
《中华人民共和国专利法实施细则》(国务院令第 569 号)
24
《专利审查指南》(国家知识产权局令第 55 号);《国家知识产权局关于修改〈专利审查指南〉的决定》(国
家知识产权局令第 67 号)
10
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利審査指南は、審決取消訴訟において人民法院(裁判所)が参照する法令として位置づ
けられている 25。この点は、あくまで特許庁内部の基準であり、法的には裁判所の判断
を拘束しない26日本の審査基準とは異なっている。
その他にも、最高人民法院が、専利法、同法実施細則に定められていない法令の具体
的な運用について、以下の紛争事件の審理に関する司法解釈を制定している。
最高人民法院による提訴前の専利権侵害行為差止めについての法律適用問題に関す
る若干規定(法釈[2001]20 号)
最高人民法院による専利紛争事件の審理における法律適用問題に関する若干規定
(法釈[2001]21 号)
最高人民法院による技術契約をめぐる紛争事件の審理における法律適用の若干問題
に関する解釈(法釈[2004]20 号)
最高人民法院による専利権侵害をめぐる紛争事件の審理における法律適用の若干問
題に関する解釈(法釈[2009]21 号)
最高人民法院による専利紛争事件の審理における法律適用問題に関する若干規定の
改正の決定(法釈[2013]9 号)
3.特許出願件数27の推移
1 で上述したように、中国では 1985 年 4 月 1 日に専利法が施行されたので、今年 4 月で
30 年目を迎える。特許出願件数は、専利制度が始まった 1985 年の 8,558 件から 2011 年に
は同年の日本特許出願件数(342,610 件28)の 1.9 倍に相当する 652,777 件にまで増加して
世界一となり、昨年は更に増加して 825,136 件となった。
以下の図表は、中国における特許出願件数の推移を示すものである。
図 1 は、2004 年から 10 年間の外国及び中国国内の出願人による特許出願件数の推移を
示すものである。中国国内出願人による特許出願は、2004 年までは外国出願人による特許
出願件数とほぼ同様であったが、2005 年から急速に増加し始め、2009 年からは爆発的に増
えている。
中国は 2006 年からイノベーション型国家への移行を急いで進めており、2008 年 4 月に
は「ハイテク企業認定管理弁法 29」が公布され、同年 6 月には総合的な知的財産戦略であ
る「国家知的財産権戦略綱要30」が公布されて、助成政策や奨励政策が次々と施行された。
また、2011 年 3 月に公表された「国民経済及び社会発展第 12 次 5 ヶ年計画綱要 31」には、
2015 年まで「1 万人あたりの特許保有件数を 3.3 件まで増加する」と明確に目標が設定さ
れている。このような中国政府によるイノベーション型国家の建設を図るための積極的な
動きが、中国国内出願人による出願件数を激増させた主な原因であると考えられる。
25
但し、その規定とは異なる判断がされることもあり得る。
但し、日本でも、裁判所が審査基準を参考にして判断することはある。
27
中国特許庁 HP:http://www.sipo.gov.cn/gk/ndbg/、http://www.sipo.gov.cn/tjxx/
28
日本特許庁 HP:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/nenji/nenpou2012_index.htm
29
《高新技术企业认定管理办法》(国科发火〔2008〕172 号)
30
《国家知识产权战略纲要》(国发〔2008〕18 号)
31
《中华人民共和国国民经济和社会发展第十二个五年规划纲要》(2011 年 3 月 14 日第十一届全国人民代表
大会第四次会议批准)
26
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[応用編]中国におけるハイテク企業認定制度及び専利支援制度
中国におけるハイテク企業認定制度及び専利支援制度は、外資系企業を含む中国登録の
企業であれば適用され得る。
ハイテク企業になると、企業所得税が通常の 25%から 15%に軽減され、また、経済特区
(海南、アモイ、深セン、珠海、汕頭)及び上海浦東新区で 2008 年 1 月 1 日以降に登録
された企業については、最初の 2 年間は免税、3 年目から 5 年目までの 3 年間は半額(12.5%)
とする「二免三減半」の優遇も受けられる。但し、一定件数の特許や実用新案などの知的
財産を保有することがハイテク企業の認定基準の 1 つとされている。日本企業の中国子会
社(現地法人)の専利保有策としては、日本本社から中国の専利を譲渡されて保有するほ
か、現地で開発した技術、現地化製品に関わる技術については、現地法人を出願人として
現地で専利出願することも考えられる。後者の場合には、中国での専利支援政策を受ける
こともできる。
中国の国家政府レベルの支援政策 32は基本的に収入が低い個人や中小企業を対象とし
たものであるが、各地方政府、主なサイエンスパークなどの支援政策の助成対象は、その
限りでない。上海市の場合、「上海市専利支援弁法33」による支援は、上海市で登録され
た企業であれば受けることができ、北京市の場合、「中関村専利助成金管理弁法 34」によ
る支援は、中関村サイエンスパーク内のハイテク企業であれば受けることができる。中国
子会社の登録地区に於ける助成金・奨励金制度を理解した上で十分に活用されたい。
【図 1】2004-2013 年の外内国出願人の特許出願件数の推移
単位:件
900,000
825,136
800,000
704,936
700,000
652,777
600,000
526,412 535,313
500,000
外国
中国
415,829
391,177
400,000
314,573
293,066
289,838
300,000
200,000
100,000
0
合計
245,161
210,490
173,327
229,096
194,579
153,060
130,133
122,318
93,485
65,786
110,583 117,464120,200
95,259 85,477 98,111
79,842 88,172 92,101
64,347
32
「専利費用軽減弁法」(国家知識産権局令第 39 号)、「外国への専利出願を支援するための特定項目資金
の管理弁法」(財建[2012]147 号)
33
《上海市专利资助办法》(沪知局〔2012〕62 号)
34
《中关村专利促进资金管理办法》(中科园发〔2011〕41 号)
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【図 2】2004-2013 年の特許出願件数上位の外国
単位:件
45,000
42,278
40,000
38,18838,408
35,000
41,193
39,231
36,221
34,382 33,882
30,000
30,444
25,908
25,000
28,457
27,656
24,628
29,510 29,992
25,380
20,359
20,000
19,626
16,187
15,000
10,000
5,917
5,000
7,502 7,739
9,388 10,145 9,694 9,867
11,422
12,659
13,712
日本
アメリカ
ドイツ
韓国
フランス
オランダ
スイス
イギリス
スウェーデン
イタリア
3,503
20
13
年
年
20
12
年
20
11
20
10
年
年
20
09
年
20
08
年
20
07
年
20
06
年
20
05
20
04
年
0
【表】2012 年の特許出願件数上位の企業
2011 年から
順位
国名
企業名(略称)
出願件数
1
中国
華為技術(Huawei)
4231
+1
2
中国
中興通訊(ZTE)
3446
-1
3
中国
中国石化(Sinopec)
3334
0
4
中国
鴻富錦精密工業(深セン)
2314
0
5
日本
パナソニック
2191
+1
6
日本
ソニー
2184
-1
7
中国
騰訊科技(深セン)
1934
-
8
中国
レノボ(北京)
1768
-
9
韓国
サムスン電子
1754
-
10
アメリカ
ゼネラル・エレクトリック(GE)
1664
-1
11
中国
海洋王照明
1458
-
12
ドイツ
ロバート・ボッシュ
1379
-
13
日本
キヤノン
1352
-2
14
アメリカ
ゼネラル・モーターズ(GM)
1263
-4
15
日本
トヨタ自動車
1240
-
の順位変動
(注:「-」は未詳)
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4.特許出願及び権利化
(1) 発明が特許されるための主要な要件
中国で発明が特許されるためには、次に掲げる要件を充足しなければならない。
① 発明であること
専利法第 2 条第 2 項における発明の定義によると、「発明」は、「製品、方法又はその
改良について出された新しい技術的方案」でなければならない。ここでいう「技術的方
案」とは、
「解決しようとする技術的問題に対して採用する自然法則を利用した技術的手
段の集合」 35である。
② 法律、公序良俗に反する発明ではないこと36
上記定義を満たす発明であっても、法律、社会道徳に違反し、又は公共の利益を害す
るものに対しては、特許を受けることができない。
③ 産業上利用できる発明であること37
ここでいう「産業」は、広義に解釈され、工業以外にも、農業、林業、漁業、運輸業、
文化体育業等も含まれる38。
④ 特許を受けることができない所定の事項に該当しないこと
次に掲げるものに対しては、特許を受けることができない39。
ア
単なる科学的発見(例:X線の発見)
イ
知的活動の法則及び方法(例:コンピュータプログラムそのもの)
ウ
疾病の診断及び治療方法(例:手術方法)
エ
原子核変換方法及び当該方法により得られる物質(例:核分裂を実現させる反応炉
方法)
オ
動物、植物そのもの(例:遺伝子組み換え作物)
動植物を特許対象外と定めた理由は、動植物は生命体であり、人間の力で創造する
ものではないこと、動物が犠牲になるリスクがあり、公序良俗に反すること、動植物
に特許権を付与すると、人口が 6 億人40をも超える農民の負担が重くなることが挙げ
られる。これらの理由から、遺伝子組み換え動植物を含む如何なる動物、植物も特許
を受けることができないことが定めたと考えられる。但し、品種改良による動植物の
生産方法は特許を受けることができる41。
⑤ 新規性を有すること42
特許権が付与される発明は新規なものでなければならない。特許権は発明の開示の代
償として付与されるものであるから、特許権が付与される発明には、新しさ、すなわち
新規性が要求される。具体的には、先行技術(出願日前に世界で公知(刊行物公知を含
35
36
37
38
39
40
41
42
審査指南第 2 部分第 1 章 2
専利法第 5 条
専利法第 22 条第 4 項
審査指南第 2 部分第 5 章 2
専利法第 25 条第 1 項
中国国家統計局の統計によると 2011 年 65,656 万人
専利法第 25 条第 2 項
専利法第 22 条第 2 項
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む。)、公用の技術をいう 43。)と同一のものではなく、また、拡大された先願44に記載さ
れた技術と同一のものではないことが要求される。
但し、新規性には例外規定 45があり、下記の事由により公開された発明は、公開され
た日から 6 ヶ月以内に出願した場合には、新規性が喪失しないものとして取り扱われる。
ア
中国政府が主催又は承認した国際展示会において初めて出展したもの。
イ
指定された学術会議又は技術会議で初めて発表したもの。
ウ
他人が出願人の同意を得ずにその内容を漏らしたもの。
⑥ 進歩性を有すること46
新規性のある発明であっても、先行技術に基づいて通常の技術者が容易に発明をする
ことができたものについては特許権が与えられない。
[応用編]新規性喪失の例外
日本では、現行特許法第 30 条第 2 項の規定により、新規性喪失の例外がその公開態
様を問わず、
「特許を受ける権利を有する者の行為に起因して」新規性を喪失した発明
について適用されるため、店頭への展示や販売、カタログの配布等についても例外規
定の適用を受けられるようになっている。
しかし、中国では意に反する公開を除き、あくまでも中国政府が主催又は承認した
国際展示会、国務院関係主管部門又は中国の全国的な学術団体組織が開催した学術会
議又は技術会議47での公開に限定されており、店頭への展示や販売による公開は勿論、
対象外の展示会、日本の学会等で公開した場合、中国では新規性喪失の例外規定の適
用を受けることはできない。
なお、日本においても中国においても、かかる規定は新規性を喪失しないという取
り扱いをするだけで、出願日が遡るわけではない。したがって、特許出願前に、第三
者が同じ発明について先に特許出願した場合や先に公開した場合には、特許権が付与
されない。
よって、日本において新規性喪失の例外の適用を受けることができるからといって、
中国でも同様に受けることができるとは限らず、また、新規性喪失の例外規定は日本
においても中国においてもあくまで例外規定であるから、なるべく公開する前に特許
出願しておくことが望ましいことに留意すべきである。
(2) 特許出願ルート
中国で発明を独占する権利、つまり特許権を取得するためには、中国特許庁に特許出
願をする必要があり、仮に日本で特許権を取得したとしても、その権利が中国に及ぶこ
とはない。中国に特許出願するルートとしては、下記①~③のルートがあるが、いずれ
においても、中国国内に居所又は営業所を有していない場合は、中国の現地代理人によ
らなければその出願手続をすることができない。
43
44
45
46
47
専利法第 22 条第 5 項
脚注 20 を参照。
専利法第 24 条
専利法第 22 条第 3 項
専利法実施細則第 30 条第 2 項
15
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① 直接出願ルート
中国においてのみ権利化を望む場合は、直接中国に特許出願することが考えられる。
② 優先権ルート 48
日本、中国を含む複数の国で権利化を望む場合は、まず日本で特許出願し、それから
1年以内にパリ条約に基づく優先権制度 49を利用して、中国に特許出願することが考え
られる。
③ PCT ルート50
同時に多数の国での権利化を望む場合は、日本で特許協力条約(Patent Cooperation
Treaty:PCT)に基づく特許出願 51をし、それから 30 ヶ月以内(中国では延長費用を払
えば 32 ヶ月以内52)に中国国内へ移行することができる。
(韓明花・中国弁理士)
三.中国法務の現場より
1.「掃黄」53(風俗産業取締り)の嵐について―備えあれば憂いなし
(1) 取締りの概要
高級ホテル内の娯楽施設で売春が行われている実態を中国中央電視台(CCTV)が報
道した反響を受け、広東省の東莞市では、旧正月明けから、風俗産業の一斉取締りが行
われ、同市公安局の発表では、2 月 9 日の 1 日だけで、1948 箇所の娯楽施設が調査を受
け、162 人が身柄拘束を受けたとされる。その後、全国的に取締りが強化され、日本人
駐在員や出張者の間にも不安の声が上がっている。在広州日本国総領事館では、2 月 12
日付けで在留邦人に注意を促す通知をウェブサイトに掲示している 54。
以下、処罰根拠や手続の流れ等をご理解いただくことで、過度の不安を取り除くとと
もに、適切な行動を取るための参考となれば幸いである。
(2) 処罰根拠と手続の内容
日本では、単純な「買春」は処罰の対象とされていないが、中国では、次の通り処罰
の対象となる。
48
専利法第 29 条第 1 項
優先権制度とは、工業所有権の保護に関する国際条約(パリ条約)に基づき、パリ条約加盟国へのその
発明に関する最も早い出願から1年以内に、他のパリ条約加盟国に出願すると、一定の要件の下、最も早
い出願日(優先日)を基準に新規性、進歩性が判断される制度である。
50
専利法第 20 条第 3 項
51
特許協力条約に基づく特許出願とは、一式の出願書類を特許協力条約に従って提出することによって、
当該条約の全加盟国に同時に出願したことと同じ効果を与えられる特許出願である。但し、各国で特許権を
取得するためには、出願後に各国ごとに翻訳文提出等の国内段階移行のための所定の手続が必要である。
52
専利法実施細則第 103 条
53
日本では、風俗産業のことを「ピンク産業」と呼ぶなど、ピンク色で当該分野を表現するが、中国では、
黄色がそれに該当する。
54
http://www.guangzhou.cn.emb-japan.go.jp/consular/doc/20140212.html
49
16
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治安管理処罰法第 66 条
売春、買春を行った者は、10 日以上 15 日以下の拘留に処し、5000 元以下の過料を併
科することができる。情状が比較的軽微な場合には、5 日以下の拘留又は 500 元以下の
過料に処す。
治安管理処罰法とは、社会治安秩序を保護するために、刑法により犯罪として処罰さ
れるに至らない治安管理違反行為について、公安機関により治安管理処罰を行うための
法律である。
治安管理処罰法の処罰の種類は、警告、過料、行政拘留、公安機関発行の許可証の取
消の 4 つであるが(同法第 10 条第 1 項)、外国人に対しては、期限を定めた出国命令又
は国外退去処分を付加することができる(同法第 2 項)。
違反者に対しては、召喚して取調べを行うことができる。取調べの時間は原則として
8 時間以内であるが、状況が複雑であり、かつ行政拘留の適用がありうる場合には、取
調べの時間は 24 時間以内となる。公安機関は、召喚の原因と場所について、被召喚者の
家族に通知する(同法第 82 条)。
処罰の決定は、県レベル以上の公安機関が行うが、警告、500 元以下の過料は派出所
にて決定できる(同法第 91 条)。
公安機関は処罰の対象者に対して処罰決定を行う前に、事実、理由、証拠及び権利を
告知する義務があり、対象者は、事実や証拠を提出して弁論を行うことができる(同法
第 94 条)。
情状が特に軽微な場合、被害者と示談が成立した場合、自首した場合等には、処罰の
減免がある(同法第 19 条)。
行政拘留の決定を受けた者が、それまでに身柄拘束をされていた時間は、行政拘留期
間に算入される(同法第 92 条)。
処罰に不服がある場合には、行政再審査請求又は行政訴訟の提起を行うことができる
(第 102 条)。不服申し立て期間においては、行政拘留の執行停止を申請することがで
き、社会的危険がないと認められる場合には、身元引受人又は 1 日 200 元の保証金によ
り、執行停止が認められる(同法第 107 条)。
なお、治安管理行為違反があってから 6 か月以内に公安機関により発見されない場合
には、処罰されない(同法第 22 条)。
(3) 関連問題
単純な買春は、上記の通り、治安管理処罰法の対象であり、刑事罰にはならないが、
14 歳未満の幼女を買春した場合は幼女買春罪として、5 年以上の有期懲役及び罰金併科
の対象となる(刑法第 360 条)。また、幼女が相手でなくても、集団で淫乱活動を行っ
た場合(首謀者又は多数回参加の場合)には、集団淫乱罪として、5 年以下の有期懲役、
拘留又は保護観察の対象となる(刑法第 301 条)。なお、集団淫乱罪における集団とは
3 人以上をいい、多数回とは 3 回以上をいう 55。
買春の定義は、治安管理処罰法には規定がないが、上海市の規定によれば、「売買春
とは、不特定の男女の間において、金銭、財物、その他の利益を媒介として性行為 56を
生じさせる活動をいう。行為者が報酬を授受して(又はその約束をして)、不特定の者
55
56
《最高人民检察院、公安部关于公安机关管辖的刑事案件立案追诉标准的规定(一)》第 41 条
一定の類似行為を含むが、具体的行為態様は本稿では割愛する。
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と性行為を生じさせるものを、売買春と認定できる。」とされる 57。
単純な飲食、マッサージ、カラオケ等に関しては、処罰規定はないものの、わいせつ
なショーを行うことや、集団淫乱活動に単純に参加することでも、治安管理処罰法第 69
条の処罰対象となる。
また、法的には処罰対象外の行為であって、最終的には処罰を受けないものであった
としても、公安当局に踏み込まれた場合には、一旦取り調べのために連行されることは
十分ありうるので、キャンペーン的に取締りが行われている場合には、注意が必要とい
える。
(山根基宏・弁護士)
2.習政権の「贅沢禁止令」継続中
先日、ある会食で訪れた北京市内の中華料理店で「贅沢禁止令のせいで商売あがったり
ですよ」とぼやく経営者の話を聞いた。同店は、国貿地区の恵まれた立地にあり、豪華な
内装や調度品を備えた宴席用の個室を多数有する高級レストランで、値段はそれなりにす
るが、料理やサービスは決して悪くない。しかし、習近平政権による贅沢禁止令を受けて、
公務員の接待や会合が減少し、売上が大きく落ち込んだ。かつて春節に多く見られた党幹
部による宴会の予約もさっぱりだったという。
いわゆる「贅沢禁止令」とは、習近平政権発足後間もなく、2012 年 12 月に共産党中央
政治局会議で採択された「中央八項規定、六項禁令」とその関連規定をいう。同規定・禁
令は、綱紀の乱れを正し、政治への信頼回復を実現するために制定され、「会議活動の簡
素化」や「勤勉・節約の奨励」など 8 項目の規定と、過度の接待や贈答等を禁止する 6 項
目の禁令から構成されている。また、2013 年末には「党政府機関の節約励行・浪費反対条
例」や改正「党政府機関国内公務接待管理規定」が施行され、接待の回数・人数、公用車
の使い方、宿舎に関する規制、出張の際の宿泊先の選定に至るまで、贅沢禁止のための細
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《上海市高级人民法院、上海市人民检察院、上海市公安局、上海市司法局关于查处卖淫嫖娼案件若干问题
的意见》
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かな基準が定められた。
党中央紀律検査委員会監察部の発表によると、「中央八項規定」が施行されてから 2013
年 12 月末までの約 1 年間に、同規定の違反として調査・処分の対象となったケースは全国
で 2 万 4521 件にのぼり、30420 人が処分されたという。違反内容としては、公用車の使用
方法違反、贈答品の授受、公費による過剰な接待、公費による旅行等が挙げられている。
このような厳しい綱紀粛正を受けて、従来公務員の接待に使われてきた高級レストラン
やホテルの利用客が減少したのみならず、贈答品として一般的だった白酒、商品券や高級
ブランド品の売上も激減しているという。消費経済に影響を及ぼすような倹約の強制は若
干行き過ぎのような気もするが、党幹部や公務員の贅沢な生活に反感を持つ多くの一般庶
民から、「贅沢禁止令」は概ね支持を得ているようである。
中国ビジネスにおいては、監督部門の公務員による不合理な要求や恣意的な手続に遭遇
することが少なくないが、賄賂や接待を厳格に取り締まる綱紀粛正を経て、行政手続の透
明度が増すことにより、日系企業の中国における活動がよりスムーズになることを期待し
たい。
(野中信孝・弁護士)
3.上に政策あれば下に対策あり(上海タクシー配車アプリ篇)
上海の路上でタクシーを待っていると、空車の印である緑色のランプが点いているのに、
手を挙げても停まってくれない例に遭遇することが増えている。また、運転手が運転中に
スマートフォンをしきりに操作しているのを良く見かけるようになった。
これは、昨年頃から急激に普及した配車アプリのせいである。
配車アプリは「打車軟件」(タクシ
ーを拾うソフトウェア)と呼ばれ、
「快
的」と「嘀嘀」が 2 大ソフトといわれ
る。
右の画面は、後者のアプリである
が、GPS 機能を用いて付近に居るタク
シーの位置が地図上で表示されると
ともに、出発地と目的地を入力する
と、タクシー運転手側のアプリに予約
募集情報が入り、運転手が先着順で予
約を取る仕組みである。
筆者は、普段はこのような配車アプリを使わないようにしているが、旧正月前の終電後
というタクシーが拾いにくい時間帯に、やむを得ず初めて使ってみた。当該アプリには、
右上の画面の下部のように、チップの選択欄があり、0 元から 20 元までの選択肢がある。
最初は、0 元や 5 元を選択すると誰からも反応がなかったが、10 元を選択すると、すぐに
予約成立の情報が入り、しばらくして、運転手から電話があり、具体的な位置の情報につ
いて口頭で確認を取った。電話があってからタクシーの到着まで 5 分程度であった。
これは、客にとっては、居ながらにしてタクシーを呼べること、また、流しのタクシー
を拾った際に行き先相違等の理由で乗車拒否に遭うおそれがないことといった利便性があ
る。また、タクシーの運転手にとっても、自分の行きたい方面の客を選んで乗せることが
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でき、また、チップによる現金収入があるというメリットがある。そのため、需要と供給
がマッチして、爆発的に普及が進んでいるのである。
他方で、特に雨天時やラッシュアワーのようにタクシーが拾いにくい時には、ただでさ
え少ない空車が、手を挙げる客を拾わず、配車アプリの客を選り好みして拾う傾向が多く、
配車アプリを持たない客にとっては、交通手段を奪われる結果になり、また、チップが事
実上強要される状態になれば、タクシー料金について厳格な料金体系を取っている制度を
空洞化させることにもなりかねないといった問題点がある。また、タクシー事業の認可を
有しない業者が、配車アプリを使って白タク営業を行うという弊害も起きている。
このような弊害に鑑み、2 月 26 日に市交通局が通達を出し、3 月 1 日より、①朝晩のラ
ッシュアワー(7 時半~9 時半、16 時半~18 時半)の配車アプリ使用禁止、②客を乗せて
運行中の携帯電話等端末の使用禁止、③リース車両による配車アプリの禁止を打ち出した。
さらに、空車の表示で挙手しても停止しない場合には、乗車拒否と看做し処罰すること、
規定以外の料金を取った場合の処罰・返金等についても規定している。
他方で、本日(2 月 28 日)の各紙朝刊では、3 月中には、配車アプリのソフト会社と大
手タクシー会社が提携して、タクシー会社の配車システム(従来は電話で行うもの)と接
続して、配車アプリでの予約でも空車表示(待運)が予約車表示(電調)に変わり、客を
乗せて運行中には予約注文情報が運転手のアプリに届かないようにするなどの措置を取る
予定となったことが、報道された。
これは、具体的な規制のない中でビジネスが先行的に開始し、弊害が出て取締りがなさ
れる一方、うまく対策が講じられて、長所と短所のバランスをとった規範化がなされてい
く、という中国での典型的な法形成のあり方の実例であると感じた。
(山根基宏・弁護士)
TMI 中国最新法令情報―2014 年 2 月号―
発
行:TMI 総合法律事務所
監
修:何連明・外国法事務弁護士
編集主幹:山根基宏、今村俊太郎・弁護士
発 行 日:2014 年 2 月 28 日
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