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核融合エネルギー実用化に向けた ロードマップと技術戦略

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核融合エネルギー実用化に向けた ロードマップと技術戦略
核融合エネルギー実用化に向けた
ロードマップと技術戦略
核融合エネルギーフォーラム
ITER・BA 技術推進委員会
2008 年 6 月
目次
はじめに -----------------------------------------------------------------------
3
1.報告の概要
1-1
人類の持続可能な発展から見た核融合開発ロードマップの目標
についての考え方 ---------------------------------------------------
4
1-2
ロードマップの概要 -------------------------------------------------
6
1-3
原型炉に向けて開発を要する研究・技術項目 --------------------------- 11
2.ロードマップ各大項目の概要
2-1
原型炉関連法規・基準 ----------------------------------------------- 15
2-2
炉システム設計作業 ------------------------------------------------- 15
2-3
トカマク本体 ------------------------------------------------------- 15
2-4
ブランケット開発 --------------------------------------------------- 17
2-5
トカマク周辺機器 --------------------------------------------------- 21
2-6
流体制御 ----------------------------------------------------------- 22
2-7
メンテナンス ------------------------------------------------------- 22
2-8
プラズマ ----------------------------------------------------------- 23
2-9
加熱電流駆動 ------------------------------------------------------- 24
2-10
計装制御 ----------------------------------------------------------- 25
2-11
トリチウム --------------------------------------------------------- 25
2-12
バックエンド技術開発 ----------------------------------------------- 27
2-13
電源制御 ----------------------------------------------------------- 27
2-14
発電システム ------------------------------------------------------- 27
2-15
サイト・建物 ------------------------------------------------------- 27
2-16
安全環境 ----------------------------------------------------------- 27
2-17
プラントエンジニアリング ------------------------------------------- 28
2-18
プロジェクト管理 --------------------------------------------------- 28
3.日本の技術戦略と役割分担
3-1
技術戦略上の分類 --------------------------------------------------- 29
3-2
原型炉の開発及び建設体制の例 --------------------------------------- 29
3-3
プロジェクト規模 --------------------------------------------------- 32
4.大項目別ロードマップ
4-1
4-2
全体ロードマップ
37
*
技術マップ、項目別ロードマップ、技術分類(D,D ,I,F)
38
5.まとめ ---------------------------------------------------------------------- 63
結辞 --------------------------------------------------------------------------- 64
参考文献 ----------------------------------------------------------------------- 65
付録 1
文部科学省から核融合エネルギーフォーラムへの依頼事項(2007 年 10 月 18 日)
付録 2
ロードマップ等検討ワーキンググループの構成員
付録 3
ロードマップ等検討 WG の審議経過
付録 4
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会
核融合研究作業部会への説明経緯経過
2
はじめに
文部科学省からの要請「核融合エネルギーの実現に向けた取組体制について(依頼事項)
」
(2007 年 10 月 18 日、付録1参照)にもとづき、核融合エネルギーフォーラム ITER・BA 技
術推進委員会下に、ロードマップ等検討ワーキンググループ(以下、WG)が同日に設置され
た。
本 WG においては、核融合エネルギーフォーラム社会と核融合クラスター実用化戦略サブク
ラスター、ロードマップ検討委員会がクラスター活動の一環として纏めた中間報告(2007 年
11 月)も参考に、
①21 世紀中葉までに核融合エネルギーの実用化の目処を得るためのロードマップ
②産業界を含めた日本の技術戦略、枠組み、役割分担
③人材育成や確保の分析、計画
の3項目を検討した。
本 WG における検討は文部科学省の要請に沿って、①、②については「トカマクで原型炉を
実現する場合を想定したケーススタディー」とし、特に①については、原子力委員会核融合
専門部会報告書「今後の核融合研究開発の推進方策について」
(2005 年 10 月 26 日)を基に、
目標実現のためのロードマップを具体化した。また、③は ITER、BA、トカマク原型炉を進め
るための人材育成や確保について検討した。
本報告書、すなわち、
「核融合エネルギー実用化に向けたロードマップと技術戦略」は、こ
れらのうち①と②についてまとめたものである。③については核融合エネルギーフォーラム
ITER・BA 技術推進委員会報告書「トカマク型原型炉に向けた開発実施のための人材計画に関
する検討報告書」(2008 年 6 月)に記載した。また、科学技術・学術審議会研究計画・評価
分科会原子力分野の研究開発に関する委員会核融合研究作業部会での核融合研究開発分野に
おける今後の人材育成・確保等に関する検討に資するため、文部科学省の要請に応じて、平
成 20 年 2 月及び 4 月に開催された第 10 回及び第 11 回核融合研究作業部会において、本WG
における人材計画の検討状況について、その人材計画の基礎となるロードマップの内容も含
めて、中間的な説明を行った(付録4参照)
。
なお、本報告での検討は主に実施機関における原型炉のための開発プロジェクトに限って
検討したものであるが、その基盤となる学術・技術的知識の流れ、人材供給という視点では、
開発に必要な技術・学術研究はプロジェクト内のみでとどまるものではなく、大学を中心と
した学界からの知識や人の流れがプロジェクトの成功に非常に重要であるのは言うまでもな
い。さらに、核分裂系の原子力分野を含めた他の工学分野、エネルギー産業、他の大型プロ
ジェクト、外国などからの知識や人材の流入を積極的に進めることも必要になろう。これら
の内容に関しては本報告書において検討していないが、その重要性を指摘しておく。
2008 年 6 月 24 日
核融合エネルギーフォーラム
ITER・BA 技術推進員会
ロードマップ等検討ワーキンググループ
3
1. 報告の概要
1-1 人類の持続可能な発展から見た核融合開発ロードマップの目標についての考え方
核融合エネルギーの開発は、人類の持続可能な発展を可能とし、それを支えるエネルギー
源を最終的な目標として進められてきた。2007 年に発表されたIPCC第4次評価報告書で
は、人類の二酸化炭素放出と地球規模での気候変動問題の間にはかなり高い確率(90%以上)
で関係があると明確に踏み込んだ認識を示し、気候変動リスクと二酸化炭素濃度の定量的関
係を明らかにした。その結果、気候変動リスクに安全圏はなく、これまでに言われていた
550ppm 目標よりさらに厳しい、450ppm 以下、地球の平均気温で4度以下の上昇であって
も気候変動による大きな損失を被るリスクが想定されている。
これに対する同報告に示された対策は多くのオプションを含むが基本的には二つの対応が
必要とされる。第1に可能な限り速やかに二酸化炭素放出の削減を開始することであり、第
2には、100 年スケールで地球規模での二酸化炭素放出量を自然界の吸収力とバランスし、
実効的にゼロとする、いわゆるゼロエミッションの達成である。前者に対しては 2050 年の
50%削減が我が国の目標として示されるなどの対応が始まっている。しかし、今世紀前半ま
では、まだエネルギー供給のかなりの部分は化石資源によって行われ、放出削減は二酸化炭
素の回収貯蔵(CCS)に大きく頼らざるを得ないはずで、世界全体の排出量自体は拡大を
続けるであろう。一方、後者を可能とする方法は具体的には示されていない。遅くとも今世
紀後半までに、化石資源を代替し、二酸化炭素を発生せずに経済開発を可能とする新たなエ
ネルギー技術が必要とされる。
人類の人口増加は、
概ね 100 億人レベルで今世紀半ばごろに、
ほぼ安定化するものと見られている。しかし発展途上国の経済発展はまだ続き、最終的に現
在の先進国のような生活レベルを達成し、安定成長に移行するまでには今世紀後半も大きな
エネルギー需要の拡大が不可避である。
核融合の可能性と必要性は、我が国のエネルギーセキュリティーや CO2 削減の視点だけ
でなく、以下に述べるように、現在の発展途上国を中心とする本格的な経済発展に対して、
図1 IPCC による CO2 排出シナリオの例
4
エネルギー消費の拡大と、今世紀後半から本格化しなければならない地球規模での二酸化炭
素放出削減の双方を同時に達成すべきエネルギー技術の提供という視点で考える必要がある。
今世紀後半は、一方では二酸化炭素放出量を本格的に削減し、最終的に地球レベルでのゼ
ロエミッションを達成するというエネルギーシステムの転換期にある。一方、特に発展途上
国は、経済発展から安定期への移行の過程でそれぞれの国、地域の産業構造を整え、インフ
ラを充実してエネルギー構成を概ね確定する期間となる。この過程で地球規模でのエネルギ
ー構成は、現在の化石資源中心から、原子力、再生可能エネルギー、および核融合などの基
本的にゼロエミッションを可能とするものとならなければならない。これ以降、22 世紀に入
ってからはエネルギー市場もほぼ飽和の域に達すると考えられ、老朽設備の更新以外の新規
導入は限られ、またインフラおよびエネルギーシステム自体の大きな変化は起きにくい状態
となるであろう。人類がエネルギー構造を持続可能なものへと転換する機会として、2050
年ころからのこのわずか 50 年程度が、核融合エネルギーの開発の効果を最大限に有効に利
用できる期間である。
地球規模、人類全体のエネルギー供給と低炭素社会への移行は、新技術を開発し、それを
途上国の発展と社会構築に利用することが中心的課題となる。エネルギー資源に乏しいわが
国の、科学技術創造立国としての国際的役割の観点では、エネルギー技術の研究開発は、先
端技術によって革新的エネルギーを開発し、地球環境問題に国際的に貢献する一方、わが国
が世界を先導する産業技術として育成することに重心があることは市場規模を考えれば自明
である。エネルギー開発の成果としてわが国の技術を世界に輸出するときの市場可能性を考
えても、市場機会は今世紀後半の期間にほとんど決定される。開発の費用対効果を考慮すれ
ば、新エネルギー技術である核融合の開発には目標とすべき最適の時間スケールがある。
なお、現在では実用化されていない新エネルギー技術で、この人類全体のエネルギー構造
の転換を可能とするに十分なエネルギーを安定して供給可能な、かつ科学的・技術的に実用
化へのロードマップが描ける水準にあるものは核融合以外には知られていない。一方、現在
の時点ですでに利用可能と見られる技術は太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネル
ギーと、原子力、特にウラン資源の制約を受けない高速増殖炉を用いた発電である。このい
ずれもが、現在の発展途上国の経済発展を支え、また化石資源を代替する燃料を生成すると
いう供給力において十分な見通しがあるとは言いがたい。特に核分裂原子力は、原子炉の設
置のみならばともかく、燃料供給、燃料サイクル技術の国際移転が想定される状況にないた
め、核拡散およびダウンストリームの観点で、途上国への導入には大きな制約が想定される。
基本的に、IPCCなどのシナリオ検討では、現在実用化されていないエネルギー技術の
多くの利用可能性は、高速増殖炉サイクルも含めて、明示的に考慮されてはいない。これは、
将来技術の見通しが環境政策の担当者に明確な形で伝えられていないことが一因であり、長
期および超長期の環境対策を困難で実現性の乏しい恐れのあるものにしている。革新的エネ
ルギー技術である核融合は、現在実現に向けて開発が大きく進められており、2050 年頃から
の導入と、世界レベルでのゼロエミッションに向けた放出削減への寄与を目標とすることで、
その開発意義が明確になる。
エネルギー技術開発として、核融合はその技術的な実現のみではなく、今世紀中盤以降に
化石エネルギーを代替して、世界規模での二酸化炭素のゼロエミッションに向けた有意な貢
5
献の具体的な方法を、ITERとBAに続く原型炉段階で実証することができる。2030 年代
の原型炉の運転開始は、2050 年代の市場投入による核融合のエネルギー技術としての実効性
のために必須のステップである。また、どのような新しいエネルギーシステムでも、その大
規模な導入に至るには初代炉の投入から数十年規模の期間を要することは歴史に学ぶことが
できる。初代炉の 10 年程度の導入遅れであっても、核融合炉の今世紀中の寄与は大きく変
わってくる可能性が高いといえる。
今、核融合に求められているのは、より早い実用化と、世界レベルでの二酸化炭素放出の
削減に対する寄与の可能性である。本ロードマップ検討はそのような観点で、技術的実現性
と確実性を損なわない範囲で、可能な限り早期の核融合エネルギーを実現し、地球環境問題
への有意な貢献を可能とするシナリオへの適合を図ったものであり、具体的には 2050 年代
に実用核融合炉の初代炉を投入できることを目標においている。
なお付け加えて言えば、IPCC第4次評価報告書の要請は、この二酸化炭素放出の世界
的な減少の開始を目標とする二酸化炭素濃度との関連で示し、今世紀末の目標とする二酸化
炭素濃度を 485-570ppm とするときの放出ピークが 2020-2060 と、放出削減目標を大幅に前
倒ししていることは認識しておく必要があるであろう。原油価格も資源量から想定されるよ
り大きく変化している。社会の要求に応じて開発目標を策定するのであれば、クリーンエネ
ルギー源の開発はむしろ一層前倒しが必要とされる状況にあり、核融合エネルギー開発のロ
ードマップもそれに応えうるものであるべきであろう。その意味からも、本報告書の検討で、
ITER の目標の速やかな達成を前提とし、その成功確認を経て原型炉段階に進むという段階
的推進方策の場合において、可能な限り早期実現を目指したことは適正な方針であるが、さ
らなる核融合実用化加速の必要性が指摘されていることも認識しておくべきである。
1-2
1)
ロードマップの概要
目指すべき原型炉計画の条件整理
ロードマップの作成に先立ち、目指す商用炉、原型炉に対する目標の理解を深めるための
議論をワーキンググループの委員間で行い、以下のような共通認識を得た。
ロードマップが目指す原型炉が満たすべき必須条件
前節に述べたとおり、本ロードマップにおいては、2050 年代に実用核融合炉の初代炉が投
入できることが核融合開発における目標となるべきであると考えて検討を進めてきた。そこ
で、本委員会では、その目標とすべき原型炉の満たすべき条件として、以下を基本として計
画を考えることとした。
(1)21 世紀中葉に核融合商用炉実現への準備が整うこと
→ 原型炉の運転開始は、遅くとも 2030 年代後半。
(2)ITER と同程度の規模で建設できることを目指す。ただし、出力規模やその経済性に
関しての制約は今後の社会情勢でも変わるので、現時点では原型炉の詳細な設計は固定して
考えず、今後 8 年程度の基礎設計段階において絞り込むものとする。[1-2-4)も参照。]
(3)定常運転が示されること
→
炉設計は、定常運転を前提とする。
6
(4)トリチウム燃料が増殖ブランケットにより自給できること。初期装荷トリチウム、リ
チウム6など特殊物質の制約も考慮する。
●プラズマ条件
・最終的に定常プラズマ運転を目指す。
・誘導電流を主としたパルス(またはハイブリッド)モードから、段階的に定格の定常プ
ラズマに移行。最終的には、定常で Q=20 以上。
・ブランケットによる熱の取り出し、発電は十分な出力が得られればパルス運転段階から
行う。
●発電実証の定義
・最終的には、プラント出力がプラント入力を上回る正の発電が必要と考える。
・ただし、発電量はプラズマ性能の上昇に伴って段階的に上昇し、最終的に正の発電とな
る、という運用が合理的である。
●設計段階の定義
・建設を前提としないが、技術的裏づけとロードマップへの適合を満たす、整合性ある原
型炉装置概念の設計を本ロードマップでは「基礎設計」と呼ぶ。
・建設はコミットしないものの、建設を前提とし、製作性および仕様・性能のすべてに根
拠のある原型炉装置の設計を「工学設計」と呼ぶ。必要な技術的確証を得るための R&D
を含む。安全解析も工学設計を対象に行う。
・工学設計の技術的確度、ITER における主要ミッションの見通しを含めた総合的判断に
より、建設のための設計「製造設計」を実施する。これは建設主体および受注企業が実施
する。
・建設の最終判断は、製造設計に基づく安全審査、社会による理解と合意、ITER でのテ
スト・ブランケット・モジュール(TBM)の性能確認などを含めて決定する。
●開発開始時期
・基礎設計に続く工学設計は、ITER の DT 燃焼実験を待たずに進め、ITER で DT 燃焼
制御が示される時期には、工学設計はおおよそできているようにする。
・ITER の燃焼プラズマはスケーリング則からは大きく外れないという前提で設計を進め
る。ITER でそれを確認してから、製造設計へ進む。
●その他の要件
・原型炉段階においても、より優れた先進概念ブランケットの開発を推進するため、ITER
における TBM のような、コンポーネントテストができる設計とする。
●運転期間(装置寿命)の定義
・フルスペック運転で 15~20 年。すなわち、恒久的コンポーネントの寿命による交換を
余儀なくされるまでのフルエンスをフルスペックの 15~20 年とする。
・途中で先進的ブランケットへ交換することにより性能向上を図る。商用炉での経済性見
通し、エネルギー市場での実用性判断は原型炉での先進ブランケット試験による。
7
2)ロードマップ作成手法
ロードマップの検討にあたっては、以下のような方針に沿って進めた。
まず、ITER ならびに BA の計画についてであるが、これらは、すでに正式に決定された
ものであるので、予算面を含めて計画通りに順調に進むものと考えてそれを基盤として進め
るロードマップを描くものとする。
(なお、ITER、BA 計画の事業規模などを含む概要については、文部科学省のホームページ
にある以下 URL を参照されたい; http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021.htm)
本検討で求めるロードマップは、
(トカマクで核融合エネルギーの実現を仮定した場合の)
日本の核融合研究の進め方を示すものでもあるので、原型炉開発に必要な技術開発項目の見
落としは許されない。すなわち、現在すでに人材がいる分野、専門家として興味を持ってい
る分野のみのロードマップでは不十分であり、むしろ、もし現時点では手が付いていない(専
門家さえもいない)技術があるなら、今の時点でそれを発見しておくことが非常に重要にな
る。
そのような観点から、ロードマップを検討する前に、まず原型炉をトカマクで実現するた
めに開発が必要な技術を網羅した技術マップを作成することから作業を開始した。
技術マップは第 2 章に示すような 18 の大項目からなり、それぞれの分野において、専門
家の意見も参考としながら、必要な技術を漏れなくリストアップすることに努めた。漏れの
ないことを重視するため、一部の大項目の中で重複しているかのように見える技術分野名も、
違う視点で見ると深いレベルで違う項目が現れる恐れがあるものは、あえて重複を恐れず技
術マップに残した。
ただし、ここでリストアップしているのは、原型炉に向けて R&D が必要な項目に限って
いる。原型炉に必要な技術すべてを網羅しているのではない。例えば、ITER で開発が終了
することが明らかな技術は含めないが、ITER の技術から何らかの拡張が必要な場合は、そ
の拡張のための R&D を含める。具体的例として超伝導コイルを取り上げれば、ITER を超
える性能のコイルが必要な場合の R&D 項目が示されている。
これらのリストと ITER・BA 期間に計画されている既存の開発計画を比較した結果、現時点
で見落としているか、あるいは開発計画が不十分であり、原型炉開発のために、すぐにも開
発を始めないと後で原型炉計画の成立性自体を左右する可能性がある技術項目が複数発見さ
れた。これは本ロードマップ検討の非常に重要な結果なので、本章第2節に示す。
2 章以後には検討した技術マップに沿って、その開発の時間スケジュールを示すことで、
開発ロードマップを作成した。本報告書では 18 の大項目を最上位とする上位3段目程度ま
での小項目のタイムスケジュールを示しているが、項目によっては、実際にはさらに深いレ
ベルでの時間計画を検討の上でそれを集約したタイムスケジュールが示されている。
3)
ロードマップ全体の概要
本ロードマップ等検討ワーキンググループでは、21 世紀中葉までに核融合炉実用化の目処
を得るには、2040 年の時点で核融合原型炉による発電実証が実現している必要があると考え
た。したがって、本ロードマップ検討では、原型炉の建設がそれに間に合うためにはどのよ
うな開発スケジュールが必要かという観点で開発ロードマップを描いている。大項目個別の
8
ロードマップは次節で述べるが、全体を通してみた場合の今後の原型炉に至る開発計画は以
下の様であるべきということが、本ロードマップに示すところである。
まず、
ITER の建設段階からの BA 期間中には、BA で設定された R&D を進めると同時に、
それらの成果を踏まえながら、実現可能な原型炉概念の最適化を含めた基本検討を進める。
国際核融合材料照射施設(IFMIF)の建設は、BA 期間の終了を待つことなく、2014 年には
建設を開始する必要がある。その工学実証及び工学設計活動(IFMIF-EVEDA)後半には建
設設計段階に入るものとする。炉設計についても、BA と並行して事業の成果を反映しつつ、
炉の設計方針を基本検討で早急に決め、2014 年前後には建設を前提とした工学設計とそれに
必要な R&D を開始する必要がある。後述のようにそれ以前の段階から原型炉の成立性や基
本的な装置概念を左右する工学課題があり、ITER 建設と BA 期間中に進めておかなければ
ならない。それらも 2014 年以降は工学設計 R&D へと移行する。
ITER 運転開始後には、ITER による高ゲインの DT 燃焼(Q>10)を確認した時点で、そ
の時点までの R&D の進捗、JT-60SA の成果や理論シミュレーションの成果をもとに、原型
炉の建設設計開始の判断を行い、
建設に向けた製造設計を 2022 年頃に開始する必要がある。
図2
全体ロードマップ
この時点で、IFMIF による 10dpa 程度までの材料照射が進行中だが、ブランケット開発
に必要な材料データは、基本的には核分裂炉による照射データおよびモデル計算から得られ
9
ているものと期待する。IFMIF データは、設計ではなく寿命評価・信頼性確証に使用するが、
50dpa レベルで建設は可能である。
プラズマ性能については、ITER での燃焼確認に加え、2022 年までには JT-60SA で安定
な高ベータ・定常運転を確認し、そのスケーリングを原型炉設計に直ちに反映しなければな
らない。
原型炉用ブランケットについては、日本の主概念型ブランケット(水冷却固体増殖ベース)
が使えることを前提として原型炉設計を開始する。ブランケットは、ITER 用 TBM1 号機の
モックアップ試験をただちに開始し、建設中の ITER に設置する。2011 年からは 2 号機のモ
ックアップ試験後、製造設計を経て TBM2 号機を製造し、DT 燃焼の直後には TBM1 号機と
交換する。原型炉設計は TBM2 号機をベースに進めることになる。日本の主概念 TBM に並
行して、各種先進型ブランケット(高温型固体増殖または液体)の開発も国際協力も含めて進
める。2028 年からの建設にそれらがもし間に合えば、主概念の高性能化型または先進型のブ
ランケットを原型炉に投入する。これらは原型炉での使用に許認可を得る段階においては、
IFMIF による 150dpa 程度の照射が終了している。
原型炉級のダイバータ負荷を中性子照射を含めてそのまま再現できる試験装置は現在の計
画にはないので、ダイバータ設計技術は、ITER を中心として各時点で運用しているプラズ
マ実験装置からのデータを最大限有効に用いて計算モデルを高度化し、それを用いて原型炉
用ダイバータの工学設計を行う。ただし、何らかのダイバータ試験設備は必要と考えられる。
また、ITER が日本にないことから大量のトリチウムを扱う設備も必要と考えられる。それ
らを合わせた設備として総合炉工学試験装置をロードマップ上に記載した。これらは工学設
計 R&D の一部と位置づけられる。その仕様については今後の検討が必要であり、前段階の
研究開発を 2014 年までに行わなければならない。
原型炉は 2036 年に運用を開始し、4 年程度のコミッショニング期間を経て燃焼発電試験を
立ち上げ、フルパワー定常運転に段階的に移行する。ただし、プラント規模での発電実証は
コミッショニング期間中に実施することができると考えられ、発電実証という意味では 2040
年以前に実現できる。原型炉においてもブランケットの改良を進め、最終的には十分な経済
性を確保できる性能の見通しを得ることを目指す。つまり定常運転フェーズの中でも性能、
特に出力や経済性の向上が図られる。
なお、本ロードマップは、これまでの日本の核融合開発計画の基本的考え方である段階的
開発計画(各段階で結果を確認しつつ開発を進めることで開発リスクとコストを最小化する)
を逸脱しない範囲で考えている。ITER は第三段階核融合研究開発基本計画(平成 4 年 6 月
9 日原子力委員会決定、以下「第三段階計画」と呼ぶ)の主要装置であり、原型炉は第四段
階計画の主要装置となる。さらなる早期実現のために ITER と並行して原型炉を開発すると
いう並列的開発計画も考え方としてはありうるが、ここではそのような開発方策は採用しな
かった。
4)開発優先順位とクリティカルパスへの考え方
本ロードマップの策定にあたっては、現時点では特定の原型炉設計をめざすということを
せず、今後の 8~10 年間程度で概念を絞るという考え方を取った。したがって、ある技術の
10
選択を決断しなければならないデシジョンポイントが多数示されている。一方で、それらの
デシジョンポイントで的確に技術を選別していける場合には、クリティカルパスとなる問題
が発生しないように計画を組んである。ただし、それとは別に、技術開発の優先順位という
ものはありうる。今後、原型炉概念構築のための技術開発の優先順位付けを BA 期間の早い
段階で決定する必要がある。
1-3
1-3-1
原型炉に向けて開発を要する研究・技術項目
BA 活動において実施予定の研究開発
1) 国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)における研究開発・活動
原型炉設計・R&D 調整センター
次世代炉に関する国際ワークショップの開催、原型炉国際設計チームによる概念検討、ブ
ランケット材料、トリチウム等を中心とした原型炉に向けた日欧共同 R&D とその調整が行
われる。
概念検討については現在 EU と調整中であるが、基本的には日本と EU の共通の課題の検
討や設計データベース、方法論に取り組む活動になり、各極固有の原型炉概念設計全体をま
とめることに集中するとは限らない。一つの原型炉概念に集約できなかった場合には、それ
ぞれの概念設計を日本と EU で共通部分のみを分担し、全体総合設計は各々で実施すること
になる。
R&D として実施予定の内容は、原型炉に向けた研究として、トリチウム技術に関する試
験研究、原型炉ブランケット構造体開発に向けた材料技術の研究開発、原型炉ブランケット
のための先進中性子増倍材料に関する研究開発、原型炉ブランケットのための先進トリチウ
ム増殖材料に関する研究開発、SiC/SiC 複合材料の研究開発、などの材料を中心とした工学
R&Dが計画されている。なお、それらを原型炉ブランケットやプラントにインテグレート
する研究そのものは、各国で実施するべきものであり、BA における R&D に含まれていない。
ITER 遠隔実験センター
ITER 実験施設と高速ネットワークで結び、ITER の条件設定・データ収集・解析等を行う。
BA 期間中(ITER 建設期間)はサテライトトカマクに結合し、試験を実施。
計算機シミュレーションセンター
BA 期間の後半(2011 年頃)に百テラ FLOPS 級の計算機を整備し、ITER の運転シナリオ
の最適化、核燃焼プラズマの理解、核融合プラント設計、先進材料研究に、この計算機リソ
ースが提供される予定である。ただし、計算機そのものが設置されても、それを使うための
研究には、別途の予算が必要である。
2) IFMIF-EVEDA
IFMIF 建設判断に必要な十分に統合された工学設計及びその裏付けとなる技術データを整
11
えることを目標として活動する。総合的な IFMIF プラントの最終設計と原型コンポーネン
トの製作プロセスの開発と IFMIF 運転上クリティカルとなる長時間耐久性などの性能実証
をおこなう。したがって BA 終了前に建設開始が可能である。
3)
サテライトトカマク
JT-60 を超伝導装置に改造することで、JT-60 の既存施設(建家、中央変電所、電源制御
設備、冷却系、等)を有効活用しようとするものである。
ITER 支援研究(ITER 運転シナリオの最適化、物理課題の理解、研究者・技術者の育成、
ITER であり得る改造計画の事前試験)を行うとともに、原型炉に向けては、ITER を補完す
る研究(定常運転、先進プラズマ領域、壁への熱流速制御)の実施が可能な装置となる予定
である。また、原型炉で必要な高ベータ(βN=3.5-5.5)非誘導電流駆動プラズマを、100 秒
程度以上保持することを目指している。プラズマアスペクト比、断面形状制御性、帰還制御
性において、機動性と自由度を最大限確保した設計とし、ITER では試験できない形状も実
験を行うことが可能なように設計される。 建設は BA プロジェクトとして実施され、建設終
了後は、EU との共通課題については BA プロジェクトとして実施。ただし、参考文献[1]
で記載されているとおり、 JT-60SA は日本の国内計画である『トカマク重点化装置(NC
T)としても位置付けられており、それに要する建設費・運転費などは BA とは別になるも
のと理解される。
1-3-2 原型炉建設に際して必要となる技術開発
先に述べたとおり、核融合開発は地球環境問題への貢献という視点から実現すべき時期には制
約があり、本計画で示すロードマップを目指すことが、その開発意義を満たすために重要である。
トカマク装置で核融合実用化を目指す場合の研究開発は世界 7 極で進める ITER と、それに先行
する EU と日本の共同で進める BA プロジェクトの2つの研究開発が中心になるが、本ワーキン
ググループでの検討における技術マップとロードマップの検討過程においては、特に以下のよう
な技術は、現状では BA プロジクトに含まれないが、ロードマップに沿って原型炉建設段階への
移行する場合、原型炉のための物資調達や法整備などの視点、あるいはより高い経済性と信頼性
を目指す原型炉の実現のための視点から、BA と並行して我が国独自に技術開発を開始すること
が望まれると判断された。
BA での活動は EU との間で合意できた項目だけに限られるので、先の 1-1 の 4)に述べた技術
優先順位を決めるための原型炉概念構築とともに、これらの R&D を国内で実施できる国内体制
を構築することが必要である。
●ブランケットの開発
1)ITER 用 TBM
これは BA には含まれていない。実験仕様を満たしつつ、ITER 側(またはフランス側)
からの安全要求基準もみたす TBM について、国内での開発・製造を推進する必要がある。
2)原型炉用ブランケットの開発
12
関連する基準整備も必要。
●ITER 用 SC の性能を超える原型炉用 SC コイルの開発(強磁場化、高電流密度化)
ITER と同性能のコイルで原型炉を作るなら、かなり大型炉になる。強磁場化のために Nb3Sn
以外にするのであれば、BA 期間に基本的な成立性が確認されなければ間に合わない。線材の量
産体制の確立も重要。また、強大な電磁力を支持するための構造材の開発も必要。超伝導線材は
原型炉建設時にのみ大量に必要で、その後は当分の間不要という点にも注意を要する。
●原型炉向けダイバータ
アーマーなど構造や材料が ITER 用とは異なると考えられる。ITER で最終的に性能を確認す
る場合、ITER には信頼度の高いものしか入れられないので、十分な事前開発の計画が必要。
●Li-6 の濃縮・量産技術、ならびに初期装荷トリチウムの入手方法の検討
セラミック増殖材を採用する限り、Li 濃縮は TBR 確保に必須で、年間 100 トンレベルの製造
が必要だが、そのような大容量をもった工場は現状ではない。核保有国は技術を持っている可能
性があるが、100 トンも海外から買えるとは思われない。開発が可能な技術ではあるが、Li-6 の
量産体制整備が遅れると、これによって開発スケジュールの制約を受ける。また、初期装荷トリ
チウムの入手方法は、BA 期間中に見通しがつく必要がある。
●冷却系のトリチウム管理技術
冷却系配管のトリチウム透過低減皮膜の開発と冷却水の水質管理技術の確立。関連法整備も必
要。
●メンテナンス手法開発
原型炉の概念設計を確定するためには、メンテナンス方法を決定する必要がある。それには
以下のような開発が必要で、BA 期間にはその結果により基本方針を決定しておくべきである。
1)大型重量物の遠隔操作、移動、設置技術など
2)ロボット技術など。ただし、これは他分野での成果を導入できる可能性が高い。
●核融合炉の規格基準の検討開始
●環境安全性評価手法の開発
1)安全確保とその評価のための方法論
2)安全性データベース(例.核融合特有の核種に対する放射線リスク評価および管理基準値
の提案)
3)総合的トリチウム安全(環境中でのトリチウム挙動、生態系での動態、生物影響など)
4)社会受容性を考慮した放射性廃棄物の管理・処理・処分法、さらにはマテリアルサイクル
の方法論
13
●国内重点化トカマク装置としての JT-60SA を利用した実験研究
JT-60SA は日本の国内計画である「トカマク重点化装置(NCT)」としても位置付けられて
おり[1]、それに要する建設費・運転費などは BA とは別になるものと理解される。国内重点化
装置としての部分についての運転費用や実験費用などは BA プロジェクトには含まれないため、
別途予算が必要である。
14
2.ロードマップ各大項目の概要
本章(第 2 章)においては、第 4 章の大項目別ロードマップ展開図の概要について、大項
目ごとにその考え方や注意すべき点などに関する簡単な説明を加える。
2-1
原型炉関連法規・基準
原型炉建設前には原型炉関連法規に基づく許認可手続きが求められると考えられるので、工学
設計の開始と同時に法規の整備について検討する必要がある。他方、調達される構成機器の品質
保証・健全性確保のため工学基準の整備も求められ、機器毎の設計条件(荷重、熱負荷、温度、
核的条件など)、設計方法、製造方法および検査方法を、また、材料については化学組成、物性デ
ータ(推奨値)等を規定する必要がある。
安全審査への対応は工学設計活動の後半から本格化すると考えられる。
2-2
炉システム設計作業
原型炉の設計は、基本概念の構築、工学設計、製造設計と続き、原型炉建設へと引き継がれる。
基本概念の構築では、まずは炉心プラズマや炉工学技術に関する物理・工学のデータベース収
集と構築がなされ、これを踏まえて設計基準がまとめられる。また一方で、原型炉に対する要求
性能の選定が必要となる。次に具体的な炉概念の提案へと進むが、ここで炉心プラズマ形状や炉
工学機器の選択のみならず、保守シナリオにより炉構造が大きく左右されることに留意する必要
がある。またこの基本概念段階で、運転シナリオ・構成設備・コスト概算なども行う必要がある。
工学設計段階では、物理・工学データベースのさらなる精査に加えて、製造に向けた各種材料
のデータベースも収集し、設計基準をさらに高度化させる必要がある。またプラントとしての安
全要求やそれに対する解析も必要となろう。一方、プラズマ設計・本体設計・機器設計などの具
体化を進めると共に、プラント・建屋設計や発電システム設計なども実施し、核融合発電プラン
トとしての全体システム設計を完了させる必要がある。またその設計結果を踏まえて、建設に向
けたコストの詳細な評価を行う。
製造設計段階では、まさに原型炉建設および許認可に向けた詳細な設計作業を行う。そのため
の物理・工学データベースの深化、各種機器の詳細設計、計装機器・制御システムの設計、プラ
ント・建屋および発電システムの詳細設計が求められる。また安全設計およびその評価は必須の
ものである。さらに設計基準の構築や核融合発電プラントとしての規格・基準などの制定も必要
となろう。
2-3
トカマク本体
① 真空容器(ITER 及び BA 範囲外)
ブランケットの定期交換方式(セクター方式、セグメント方式等)を設定するため、放射線遮蔽体とクラ
15
イオスタットを含めた炉全体構造として、プラズマ真空境界の形成方法についての概念検討が急務の課
題である。原型炉では JT-60 や ITER のような独立した構造体とは異なる真空境界概念となる可能性があ
り、例えばトーラス部永久遮蔽体内面、あるいはクライオスタット内面等を真空境界とする案が提案されて
いる。早急に概念設定を行ったうえで、大型重量構造物の高精度移動や複雑な真空シール部の締結・
解除を可能とする遠隔操作技術の開発と実証のための R&D 計画の策定が必要である。また、大型構造
物の超高真空技術は、核融合分野に特有の高度な技術であるため、継続的な技術開発に加えて技術
伝承にも配慮が必要である(関連項目:ブランケット開発、クライオスタット、メンテナンス等)。
② ダイバータ(工学技術は ITER 及び BA 範囲外)
原型炉級の定常燃焼プラズマ運転に耐えうるダイバータ構造概念は確立していない。ダイバータプラ
ズマ工学の知識を駆使して原型炉ダイバータ構造概念を創出することが急務の課題であり、可能な限り
ITER や JT60SA で概念実証試験を行う必要がある。また高熱負荷部の材料組合せは ITER 及び BA と
異なるため、新たな材料開発と製作技術開発が必要である。この際に、実使用温度において伝熱性能
に対する中性子照射の影響を明らかにする必要がある。また除熱性能実証のため電子ビーム等を用い
た大型表面熱負荷試験装置が必要である。
③ ブランケット構造(要素技術は ITER/TBM にて開発)
ブランケットの全体形状・寸法はその定期交換方式(セクター方式、セグメント方式等)に応じて決まり、
セクター/セグメントの構成、プラズマ安定化用導体シェルの内部設置、及び定期交換部と永久使用部
の分離・支持構造等、ITER TBM では実証されない技術開発計画の策定が必要である。また、プラズマ
ディスラプション等の異常事の設計条件を明らかにするとともに、その解析手法や健全性確認法を確立
する必要がある。
④ 超伝導コイル系
原型炉の基本仕様を決定する上において、超伝導コイルの発生可能磁場と炉の大きさとは密接に関
係しており、経済性の観点からは可能であるならばITERで開発された超伝導コイルが発生する磁場
(TF:11.8T, CS:13.5T)よりもさらに高磁場を発生可能な超伝導コイルの開発が望まれる。そのような高磁
場を発生させるためには、超伝導線材と構造材の開発が肝要であり、開発された材料を用いて縮小サイ
ズのモデルコイルを製作し、ITER同様、超伝導性能の実証試験をする必要がある。
・超伝導線材開発
ITERにて高磁場に用いられている超伝導材はNb3Snであるが、Nb3Snには臨界電流密度(Jc)の歪
による劣化という課題があり、ITER以上の高磁場を得るためには、その劣化の低減開発を行う必要があ
る。Nb3Sn以外の候補線材としては、近年注目を集めているNb3Alが挙げられ、その優れた、Jc-歪特
性、高磁場での臨界電流密度特性から、原型炉の超伝導コイル線材として有力な候補と考えられるが、
特に、量産性とコストの観点で技術開発が必要である。それ故、Nb3Sn、Nb3Al両線材に対し、技術開
発の優先順位付けを BA 期間の早い段階で行った上で、原型炉への適用を目指した開発を基本設計段
階において行い、 2015年頃までに、最終的にどちらを採用するかを決定する必要がある。特にNb3Al
に関しては、ITERでは開発が行われないため、独自の開発プロジェクトが必要である。超伝導コイルは、
製造段階における品質管理が特に重要であり、検査法を確立するとともに製造技術の伝承に配慮が必
16
要である。
・ 構造材
ITERのTFコイルにおいて高応力部の構造材としてJJ1が候補材として採用されており、その性能とし
ては、極低温での降伏応力が仕様値(保証値)として 1000MPa が達成されている。一般に鉄鋼材の開発
には相当の期間と費用が必要であるため、その値を向上させることは容易なことではないと推定されるが、
ITER以上の高磁場を発生させるのであれば、更なる高耐力の構造材が望まれる。JJ1は ITER用に大
量に生産される予定のため、量産による特性の分散評価が可能であり、その結果をみて、JJ1の原型炉
への適用性を評価すると同時に、必要ならば新たな候補材(現状は無い)の開発を基本設計の段階で
行う必要がある。また、原型炉のTFコイルはITERよりも大型となることから、厚板構造物の生産技術や
高精度加工・溶接技術を発展させる必要がある。
・絶縁材料、巻線
原型炉の超伝導コイルに働く電磁力はさらに強大となることから、絶縁材料の高強度化または応力低
減構造の開発が必要である。また、放射線遮蔽に対する要求を軽減するため、耐放射線特性に優れた
絶縁材料の開発を並行して行う必要がある。強磁場・大型超伝導コイルの巻線技術は、核融合分野に特
有な高度な技術であるため、継続的な技術開発に加えて技術伝承にも配慮が必要である。
・縮小サイズのモデルコイルによる実証
ITERの場合と同様、超伝導コイル性能の確認のためには、実機製作開始前の縮小サイズのモデル
コイルによる実証が必須であり、その製作開始時期は実機製作工程から逆算すると2018年頃となる。そ
れ故、上記材料開発を量産性実証まで含めて、それまでには完了しておく必要がある。
上述の如く、一般に材料開発には時間が必要であり、その開発成果から炉の基本構造を見直す必要
もあるため、材料の当面の開発目標決めのための基本設計作業は、ITERの建設と平行して、早急に開
始すべきである。
ITERと原型炉で超伝導コイルの構造が大きく変わるとは考えにくいため、原型炉における超伝導コイ
ル製作において、ITERにて開発した製作技術の多くが適用可能と考えられる。但し、原型炉で要求され
る高磁場化のためには、上述したような材料開発が重要であり、期間的な制約が厳しいため、ITER計画
においても原型炉を考慮した、材料のデータ取得、試験設備整備(導体試験設備等)を行っておく必要が
ある。
2-4
ブランケット開発
ブランケットは、核融合エネルギー(主として中性子運動エネルギー)を熱に変換して取り出
す役割と、燃料(トリチウム)を生産する役割を担うシステムである。このブランケット開発に
おいては、14MeV 核融合中性子の重照射を受けつつも高温高圧環境下で構造健全性を保証しな
ければならないため、構造材料開発はもちろん、設計技術開発が重要な課題となる。ITER に挿
入される TBM は、原型炉におけるブランケットシステムの実機環境試験、すなわちシステムお
よび設計技術の実証試験と位置づけられ、非常に重要である。しかし TBM 開発にはまだ予算が
充てられておらず、諸外国との開発競争においては厳しい状況にある。
構造材料開発においては、BA 活動においてその一部が進められるが、IFMIF や TBM 照射デ
17
ータは原型炉建設開始以降に取得されることから、データベース構築および設計技術開発には、
BA 活動外での原子炉照射実験の継続的実施(照射場開発も含む)が必須である。
原型炉ブランケット(および ITER-TBM)における燃料(トリチウム)生産効率に見通しを得
るには、Li-6 濃縮技術開発、先進増殖・増倍材料、トリチウム透過低減皮膜の早期開発が必要で
ある。しかし、Li-6 濃縮技術開発は BA 活動に含まれておらず、その他についても BA 活動に含
まれている研究開発は、全体の研究開発項目のうちのごく一部であり、照射特性評価試験も必須
であるにもかかわらず取りあげられていない。
以上のように、ブランケット開発に要する多くの研究開発が、その緊急性とは裏腹に資金投入
がされていない。EU との合意が必要な BA 活動では、原型炉ブランケット開発に要する技術開
発の一部がカバーされているだけであり、また ITER 開発でもカバーされていないことに留意さ
れるべきである。
①
WCSB-BLK 設計(ITER 及び BA 範囲外)
水冷却固体増殖方式(WCSB)ブランケット(BLK)は、軽水炉並の熱効率であるが、2次系
以降のプラント開発要素が少なく、原型炉においてシステム成立性を示すためには最も実現可能
性の高い BLK 概念であり、日本の第一候補ブランケットシステム概念とされている。ブランケ
ットシステムは、ITER テストブランケット(TBM)の開発を足がかりとして原型炉にむけて開
発される。すなわち ITER-TBM の ITER での運転は原型炉ブランケットの実規模実環境試験と
して位置づけられ、その成功は原型炉建設判断の要件となる。
ITER-TBM 開発には、設計最適化を目指した工学 R&D、モックアップ試験、実規模 TBM に
対する負荷試験が必要であり、TBM を遅滞なく ITER に取り付けるべく、これらに向けた開発
が必須である。
工学設計段階では、原型炉規模の大規模ブランケットモジュールの製作・負荷試験の実施、交
換技術の実証等の大型試験が必須となる。また、原型炉供用期間中で問題となるブランケット交
換についての技術開発が、PIE(照射後試験)施設の開発を含めて、必要である。
また、核融合環境下での使用を考慮した設計基準整備に向けた諸開発が重要である。特に、重
照射環境下での設計健全性を検証するための模擬構造体に対するインパイル試験が必要となる。
TBM もインパイル試験の一つであり、ITER で照射されたのちの検査・試験が、設計健全性評価
のために必須であり、この PIE を実施するためのホットセル開発および整備が必要である。
②
先進高温 BLK 設計(ITER 及び BA 範囲外)
日本では、複数の先進ブランケット概念の開発が大学を中心として進められている。開発要素
が多いものの、効率等の点から動力炉においては採用が期待されるブランケット概念である。原
型炉においては、その運転初期において ITER-TBM と同様の位置づけで、原型炉へのテストモ
ジュールとしての挿入による運転評価を目指す。この先進ブランケットにおいても、ITER-TBM
での運転評価は原型炉挿入可否判断に必要な項目であり、WCSB-BLK
TBM 試験後の ITER 挿
入を目指した開発が求められる。よって、原型炉工学設計活動開始判断時期において、先進シス
テムの絞り込みが出来るような研究開発が進められることが求められる。
先進ブランケット概念においては、先進高温構造材料、液体増殖増倍材の利用が前提となるが、
18
構造材料そのものの開発はもちろん、設計利用を想定した様々な基礎開発が必要となる。これら
は、WCSB システムと異なり、参考となる先例が無いことから、早い段階からの長期的展望に立
った研究開発が必要である。
③
開発
③-1
構造材料(一部
BA)
現段階における原型炉の構造材料第一候補材は、その工業的基盤とデータベースから、低放射
化フェライト鋼と考えられている。低放射化フェライト鋼は先進構造材料と比べて利用上限温度
が低く、また製造規模を勘案するとその低放射化レベルについても技術的経済的限界が存在する。
よって、低放射化フェライト鋼は、原型炉における核融合炉設計基準開発、および核融合炉発電
システム成立性を示すための材料と位置づけられる。
低放射化フェライト鋼開発においては、原型炉で必要となる 1000~2000t 規模の生産を前提と
した製造手法の最適化が必要となる。また、核融合ブランケット設計基準の開発は、原子炉(核
分裂炉)照射実験と照射損傷基礎過程の理解に基づくシミュレーション実験(計算も含む)をベ
ースに進められなければならない。これらの開発活動は BA 活動中心に行われるが、継続的な原
子炉照射実験が BA 活動と並行して進められることが必須である。これは、核融合中性子環境下
での材料データ、すなわち IFMIF データや ITER-TBM データは、ともに原型炉製造設計段階以
降に取得予定である故である。なお、これらのデータは、上記のように材料科学に基づいて開発
される核融合炉ブランケット設計基準の確証データと位置づけられる。
このほか、中性子照射下、水環境下、強磁場下といった複合環境の影響について研究開発を進
める必要がある。特に照射下での水環境の影響や、水管理仕様については、WCSB-BLK システ
ムを開発する上で早期に開始が必要な研究課題である。
③-2
先進材料(SiC/SiC)
(一部 BA)
現在開発が進められている複数の先進材料のうち、その低放射化性、高比強度、耐高温性、耐
照射性、および耐化学性から最も高いポテンシャルを有するのが SiC/SiC 複合材料である。
SiC/SiC 複合材料は、主として他分野における応用を目指して世界的に激しい開発競争が進めら
れている。この中で、日本で開発された NITE-SiC/SiC は高性能で、且つ大型化、接合性につい
て見通しのある、現時点で最も実用に近い SiC/SiC 複合材料である。よって核融合においても、
SiC/SiC 複合材料の利用を先進ブランケットシステムに向けた開発のみならず、WCSB-TBM へ
の部分的応用や、その他の構造材としての利用を念頭に開発が進められるべきである。
しかしながら、SiC/SiC 複合材料を実際に利用するためには、強度特性評価法の確定、検査手
法の確立等といった開発要素が残る。これらの一部について BA 活動で開発が進められ得るが、
核融合炉という特殊環境を鑑みつつ、長期的展望に立った研究開発が必要である。
③-3
プラズマ対向壁材料
原型炉では、タングステンがプラズマ対向壁材料の候補としてあげられているが、重照射環境
下で使用されるため、対向壁表面材自体の高い負荷下における健全性の維持に加え、構造材との
高中性子負荷下での接合健全性等、長期にわたる照射実験が必要であり、ダイバータと同様、基
19
礎研究から工学実証までの長期的展望に立った研究開発の開始が早急に必要である。
③-4
増殖材
(一部
BA)
現在、ITER-TBM の増殖材としては、低温(300℃)でのトリチウム放出性能等から、Li2TiO3
が第一候補材として開発が進められている。しかし、原型炉での応用を考えた場合に重要となる
のは、高温で安定な増殖材の開発、および Li-6 濃縮技術の開発である。特に、後者については、
原型炉で必須のトリチウム増殖率(TBR)1以上を確保するためには必要不可欠の技術であるが、
日本は核兵器開発技術を有さないため、他国に比べて開発経験・製造経験ともに不足しており、
早期の研究開発開始が強く望まれる。
③-5
増倍材(一部
BA)
現在、ITER-TBM の増殖材としては、Be ペブルが想定され、すでに開発済みである。高温に
おける Be-水反応が安全上の課題であるため、現在 Be-Ti 系をはじめとした Be 金属間化合物増
倍材の開発が進められている。一方、Be 金属間化合物を適用する場合、Be に比べて TBR が低
くなる可能性が高いため、システム全体の評価を慎重に行うべきである。また、並行して、これ
以外の Be-水反応に対するアプローチを検討しておくことが必要である。また、将来の Be 供給
確保に関する戦略が必要である。
③-6
トリチウム透過低減皮膜(ITER 範囲外及び一部 BA 範囲外)
トリチウム透過防止膜は、TBR 確保、およびトリチウム設備規模をきめる重要な要素であるが、
開発が進んでいない。そのため BA 活動において実施されるが、トリチウム透過低減能を評価す
るための試験のみであり、これは特性評価のうちの極一部である。核融合炉プラント全体の規模
は、工学設計活動開始判断の時点で想定可能でなければならない。よって、透過低減皮膜は、原
型炉の第一次仕様決定時期に成膜性、基本性能、耐照射性などに見通しが立つよう早期に開発が
進められなければならない。
③-7
ニュートロニクス(ITER)
核解析技術は ITER に対してはほぼ確立したと言えるが、原型炉の遮へい体の厚さは ITER と
比べ更に厚くなるため、ITER の時よりも高い精度の遮へい評価が要求される。この要求を満た
すためには、核データライブリの精度向上が必要であり、原型炉の遮へい体を想定した遮へい実
験を行っていく必要がある。併せて、放射線のストリーミング、スカイシャインに関してもこれ
まで以上の高い評価精度が求められ、それに対応した実験で検証をしなけらばならない。現状で
は DT 中性子源の強度に限界があるため、バックグランドの影響の少ない体系の構築、感度の高
い検出器の開発が急がれる。また、原型炉のブランケット構成、構造を反映したブランケット核
特性実験を実施し、原型炉でのトリチウム増殖比の設計精度を明らかにする必要もある。更に、
原型炉での放射化評価では多段階反応まで考慮しなければならず、これまでも多段階反応まで考
慮したコードの開発、データベースの構築は行われてきたが、これらのコード、データベースの
実験による検証は不十分であるため、今後、実験による検証を進める必要がある。原型炉での核
計測についても、現在進めている ITER TBM での核計測開発の結果を踏まえて、更なる開発を
20
していくことが必要である。
③-8
シェル材料
定常プラズマ運転の実現には、トカマクを覆うように導体シェルを配置する必要がある。現在
数ミリの銅製シェルを配置する案が示されているものの、具体的設置方法や使用環境条件につい
て設定されていないため、材料開発の要不要も不明である。よって早期に条件を想定し、開発方
針を定める必要がある。
④
パーマネントブランケット保守検査手法開発
原型炉の定常運転にあたっては、交換ブランケットの入れ替え技術と同時に、パーマネントブ
ランケットの保守検査技術の開発が重要である。パーマネントブランケットは、最終的には交換
ブランケットの使用限界(~150dpa、30 年)まで使われることが想定されているが、このため
にはトリチウムで汚染され、中性子照射により放射化および劣化した機器の検査、保守(補修)
技術の開発が必要である。補修技術等は長期の開発が必要なため、長期的展望に立った研究開発
の早期開始が望ましい。
2-5
①
トカマク周辺機器
クライオスタット(ITER 及び BA 範囲外)
炉全体構造とブランケット定期交換方式の観点からプラズマ真空境界と超伝導コイル用真空境
界の両者を勘案したクライオスタット構造概念の設定と研究開発課題の摘出が必要である(関連
項目:真空容器)。
②
ヘリウム冷凍システム
核融合炉用ヘリウム冷凍システムには特に高い信頼性が要求される。そのため、ITER や JT-60SA
のヘリウム冷凍システムで開発される技術やノウハウを導入するとともに、信頼性向上のための
多重化を含むシステム開発が必要である。これらのエンジニアリング技術は特殊なものであるた
め国内技術として維持・発展させる必要がある。
③
一次冷却系(配管引廻し)(工学技術は ITER 及び BA 範囲外)
狭隘空間での一次冷却配管の引廻し検討とブランケットとダイバータ等の炉内機器交換時の冷
却配管遠隔(溶接)接合・切断・検査技術の開発が重要である(関連項目:メンテナンス)。
④
Li-6 濃縮プラント
(ITER 及び BA 範囲外)
セラミック増殖材の Li-6 濃縮は正味増殖比>1 確保に必須で、年間 100 トンレベルの確保が必
要である。核保有国は濃縮技術を保有していると思われるが、この規模の大量生産の実績は世界
的にも例がない。海外での Li-6 生産・調達が不可能とすれば、国内に Li-6 濃縮プラントの建設
が必須である。濃縮方式の選定から実験室規模、パイロットプラント、実機プラントへと順を追
って規模を拡大していく必要があろう。
21
液体金属 Li とセラミックスでは酸化リチウム(Li2O)を用いる場合には、Li-6 の濃縮が不要
となる可能性がある。両者とも現在日本で開発しているブランケット材料とは異なるが、Li-6 濃
縮の有無を勘案した上での材料の再考が必要である。
セラミックス増殖材料(1,2mm の微小球)の製造に関しても、製造要素技術は ITER/BA を通
して完成するが、現状の年産 kg オーダーから実機では年産 10 トン超の生産設備の建設が必要と
なる。Li 原材料の受入から Li-6 濃縮、リチウム増殖材への転換、微小球製造までのトリチウム
増殖材製造プラントを原型炉サイトに併設することが望ましい。
2-6
流体制御
真空排気系(ITER 及び BA 範囲外)
①
ダイバータからの定常排気技術が確立してない。ダイバータ物理の知識を駆使して、早急にダ
イバータ排気ポンプの要求性能と仕様を確定した上で必要な R&D を開始する必要がある(関連
項目:プラズマ、ダイバータ)
一次冷却系(ITER 及び BA 範囲外)
②
フェライト鋼体系での水質管理技術(水化学)とトリチウム透過防止技術が重要課題である。
軽水炉(オーステナイト鋼系)の水質管理は現在もなお、研究開発が続く安全性に直結する重要
課題である。フェライト鋼体系での問題点(問題となるか否かも含めて)を摘出し、必要な R&D
計画を策定する必要がある。
ブランケットから冷却系を通して環境に放出されるトリチウム量を低減するため、冷却管を通
してのトリチウム透過を防止(低減)する技術開発が必須である。トリチウム増殖層からブラン
ケット内部の冷却管壁を通して一次冷却水に浸入するトリチウム量を低減するためのトリチウム
透過低減皮膜の開発とブランケット環境での実証試験が ITER TBM で行われるが、原子炉を用
いた高中性子照射環境下での健全性評価試験も重要である(関連項目:ブランケット開発)
。
さらに蒸気発生器の伝熱管を通してのトリチウムがタービン系に透過する量を削減するため、
トリチウム透過低減皮膜あるいは透過トリチウム回収システム(例えば伝熱管に中間層を設ける)
付きの蒸気発生器の開発が安全対策上必須である。このようなトリチウム透過防止対策を施した
蒸気発生器が製作困難な場合には、水/水熱交換の中間ループを設置する必要があろう。
2-7
メンテナンス
原型炉のメンテナンスシステムを実際に使用するのは原型炉稼働後ではあるが、炉設計の
視点で見ると、メンテナンス概念が決まらなければ原型炉の概念設計すらできない。したが
って、メンテナンス手法についてはかなり早期に決定されていなければならない。本ロード
マップにおいては、BA 期間初期から様々な炉概念とそれに適合するメンテナンス概念の検
討を開始し、その方式選定を 2016 年までに行う必要がある。
キーとなるのは、どの程度の大きさあるいは重量のユニットを交換するかである。ITER
程度の小さなブランケットモジュールであれば、ITER と同程度の機器で移動・設置ができ、
22
設置精度も高められる可能性がある。一方、多数の小型モジュールでは、メンテナンスに時
間がかかることが予想されるのに加え、モジュール数が増えればスペースファクターの悪化
によりトリチウム増殖の観点でも不利にもなる可能性もある。仮にセクター一括で交換する
ようなシナリオを考えるなら、交換時のセクター重量は数百トンに達し、これもまた開発要
素のある技術となる。
2012 年ころまでに、それらの利点・欠点に関する定量的評価を行い、2016 年までには炉
工学設計を通じて総合的な視点から保守方式の選定を行う。保守概念決定後の各種機器開発
については、2025 年の建設開始までに開発が行われる必要がある。炉内保守機器、模擬ホッ
トセル、キャスクなど、大型の機器については BA 期間終了直後からモックアップ試験を開
始する必要がある。
遠隔操作機器は、ブランケットだけでなく、ダイバータや加熱系、補器類の遠隔保守シス
テムも開発する必要がある。それらは、建設完了後に運用を行うことになるので、開発終了
は原型炉の建設が終了する 2035 年頃までを目標とする。
なお、今後数十年を考えると、ロボットの進歩が当然想定されるが、それらについては核
融合に特化して開発する技術とは考えていないので、本ロードマップには記載していない。
2-8
プラズマ
プラズマ自体の設計は、ITER で用いられたスケーリングを用いて始めることができるし、また
ITER 以前には JT-60SA 以外新たな装置はなく、原型炉設計においても異なるデータを用いるわけ
ではないので、ITER から外装できる範囲のプラズマで設計をすすめ、ITER での確証を持って最終
建設判断を行う。プラズマ形状は、原型炉の工学設計の比較的早い段階で決定する必要がある。
特にアスペクト比、非円形度、三角度や SN か DN かのダイバータ配位に関しては早期に決定し、
JT-60SA や ITER での核燃焼実験での実績による調整を吸収できる設計とする。原型炉では CS コ
イルによるプラズマ電流立ち上げを基本とするが、それ以外をどこまで期待するのかは、JT-60SA
などでの成果を順次取り入れ、設計に反映する。
プラズマ閉じ込め特性において、最も重要なのは、自律的核燃焼プラズマでの特性理解である。
これは ITER のミッションであるので、原型炉設計でも ITER と同様のスケーリングとシナリオを
用いる。ITER での Q>10 での DT 実験により、Q>30 程度が望まれる原型炉に対しても、かなりの精
度で確証が得られると考えられる。なお核燃焼プラズマで新たに問題となるアルファ粒子不安定
性に対する知見、核融合出力の制御・安定化研究が ITER の DT 実験で期待される。またダイバー
タ熱負荷の観点から ELM 制御が重要であり、これは JT-60SA や ITER での研究に期待する。これら
の実験的知見を踏まえて、コアプラズマの輸送シミュレーション研究を発展させ、原型炉運転ま
でには、相当高い信頼性を有した核融合炉心プラズマの特性予測を可能とする輸送シミュレーシ
ョンコードの開発が必要となる。
炉心プラズマの運転限界は、主にダイバータ熱負荷、密度限界、ベータ値限界、ディスラプシ
ョン、により決定される。ダイバータへの熱負荷を低減させるためには、コアプラズマや SoL で
の高い放射損失が求められる。ただし高密度化による閉じ込め劣化やディスラプションの誘起な
どが懸念される。ベータ値限界に関しては、プラズマ密度や電流の分布制御、NTM 制御、RWM 安定
23
化などが課題である。原型炉でも、全くディスラプションが無いという設計は無理であろうが、
出来るだけその頻度と影響を低減させる必要があるので、その特性評価と回避・制御と対策が必
須である。このための基本方策は既に見出されているので設計は可能であるが、JT-60SA でのチ
ャレンジングな研究と ITER における核燃焼プラズマでの最終的な確証が必要である。また、原型
炉以後においてはプラズマ計装が限られると予想されることから、最小限の計装でプラズマの状
態をモニターし予測するには、プラズマ計測とシミュレーションコードのリアルタイム連携が確
立されていることが必要であろう。このシミュレーションは BA で実施される。
核燃焼プラズマの定常運転・安定化の課題として、燃料制御、ヘリウム灰排気、プラズマ・壁
相互作用、電流駆動が挙げられよう。燃料制御による核燃焼プラズマの核融合出力制御や、ヘリ
ウム灰排気の課題は JT-60SA での先駆的研究を踏まえて、ITER での核燃焼プラズマ実験での実証
が必須である。プラズマ・壁相互作用は、比較的長時間の核燃焼プラズマでの検証が必要となる
ので、ITER で多様な研究を踏まえた上で、原型炉建設までには決定しなければならないだろう。
電流駆動として NBI と ECCD が主な候補となろうが、その後の機器開発期間を考慮すると、原型炉
設計の早い段階で決定する必要があろう。
原型炉においては、ダイバータ領域へのパワーフローは ITER の数倍に及ぶため、周辺プラズマ
の制御は、ダイバータの技術的成立性を大きく左右する重要な因子である。SoL での不純物輻射
による熱放散、ダイバータ部の低温高密度化やデタッチメント制御による運動量放散を JT-60SA
での先駆的な研究を踏まえて ITER での核燃焼プラズマ実験で検証する必要がある。これと強くリ
ンクする課題がダイバータ形状や材料であり、原型炉建設前までには決定する必要がある。なお
これらの実験研究と併せて、周辺プラズマのシミュレーション研究を進展させる必要がある。特
にここでは実験との相互比較や実験での検証が大変重要であり、それらの研究をベースとして、
原型炉運転までには、原型炉の特性を予測できるレベルまで高めておくことが必須である。
2-9
加熱電流駆動
原型炉における加熱電流駆動の方式としては、中性粒子ビーム入射(NBI)、電子サイクロトロン
周波数帯域波(ECRF)およびイオンサイクロトロン周波数帯域波(ICRF)が想定される。原型
炉の基礎設計期(2008-2014)においては、NBI および ECRF に重点を置き、それぞれの電流駆
動方式の役割とそのための要件を評価・分析することが求められる。
(1) NBI
重要な R&D 課題は CW 化と高エネルギー化である。CW 化の一環として、ITER でもフィラメ
ントが不要な高周波負イオン源が標準設計に採用され、これは原型炉でも適用可能である。他方、
負イオン生成促進を目的とした負イオン源への Cs の長期間添加は、加速器耐電圧性能の劣化が
懸念され、ITER 計画と並行して Cs フリー負イオン源の開発計画が必要である。高効率な中性化
セルの開発は原型炉用 NBI に必要な技術開発である。高エネルギー化に関しては、ITER の DT
運転開始までに 1MeV、40A、1 時間といったビーム発生が実用化されると期待される。更に高
い加速エネルギー(例えば 1.5MeV)の必要性については、これを判断するため原型炉の概念設
計において NBI の役割と要求スペックを明確にする。この設計要求と ITER での運転実績を踏ま
24
えて、工学設計を固める 2020 年までには加速エネルギーを決定する必要がある。
(2)ECRF
結合系をプラズマから遠ざけて設置できだけでなく、入射パワー密度の高さ、優れた電流分布
制御性のゆえに、原型炉における電流駆動方式として有望である。ITER 用 ECRF 開発の完了後
に、原型炉へ向けた ECRF の R&D 計画を本格化する必要がある。
原型炉が高磁場化される場合、ECRF の高周波数化(200 GHz 前後)が不可欠である。同時に、
年オーダーの運転に対応するための CW 化は原型炉へ向けて不可欠な R&D 項目である。このほ
か、単管出力の増強(2MW 程度)
、周波数変調(可動ミラーを使わない分布制御のため)、2段
エネルギー回収によるシステム効率の改善(~70%)の開発も並行して進める必要がある。
(3) ICRF
ITER の運転実績に基づいて導入の可否を判断しても十分間に合う。発振管、伝送系、結合系
とも技術的に成熟しており特段の技術開発を要しない。技術的特殊性もないので必ずしも国産に
こだわる必要はない。
2-10
計装制御
基本的には、全系制御の仕事は、事業者が行うプラント全体の概念設計(60%~70%)と、
受注メーカが行う製作関連(40%~30%))の2つから成る。
トカマクアセンブリーと、建屋設計も含めた運転の面から考えた設計方針を策定する。現地での
試験運転を考えた時に、各プラント設備がどこで、どうやって試験をするのか、そのために必要
な機器の配置や制御室、電源などがどうなっているかなど、運転を考えた設計になっているかど
うかなどの確認を行う。
2-11
トリチウム
(1)燃料系
燃料循環系(プラズマ排ガス、同位体分離、貯蔵供給)の基本的なプロセスは ITER で実証か
つ経験され、原型炉でもその外挿で対応可能と考えられている。プラントのインベントリーは
ITER の高々数倍以内の増加、一方、プラズマの運転モードは ITER より原型炉のほうが少なく、
基本的に定常であることから技術的困難は少ないものと予想される。
しかしながら実際はトリチウム取り扱いにはノウハウに属する部分が多く、サイト依存型の技術
も多いため、ITER への派遣のみでは習得困難な経験や制約がありうる。トリチウム燃料技術は
ITER のサイトによらず取得可能であるが、トリチウム施設の運転、安全管理経験の蓄積、地域
や国民の信頼の醸成など、特にわが国が DT 燃焼装置を持たなかったことも考慮すれば、ITER
でカバーされないトリチウム技術の R&D を中心とした研究活動を BA やその他の施設で行うこ
とが重要であろう。
ITER の延長上に考えられない燃料系の課題は真空排気系である。ITER が採用したクライオポ
ンプはプラントとしては運用困難であり、機械式ポンプ等を別途開発する必要がある。
25
(2)ブランケットトリチウム回収系
増殖ブランケットからのトリチウム回収とインベントリー制御は、核融合プラント(原型炉)
におけるトリチウム工学の ITER からの大きなジャンプと考えられる。ブランケット増殖トリチ
ウム回収は、特に増殖材からの放出と回収気流の生成部分がブランケット開発タスクでも実施さ
れているが、トリチウムの技術課題となるのは、プロセスとしての回収系の開発、設計と燃料系
へのインテグレーションである。特に、生成トリチウムを遅滞過不足なく燃料として供給するこ
と、プラント全体のインベントリー制御は、ITER/TBM 外での開発を必要とする。TBM はこの
プロセスの基本的な機能を実証することになるが、プラントとしてのトリチウム自給可能性を実
証するには規模が小さすぎると考えられる。
このプラント運転上の TBR は、かならず1を超えること、すなわち消費トリチウムよりブラン
ケットから得られるトリチウムが多いと技術的に確証されることが、原型炉プロジェクトの開始
要件となる。一方、運転期間中に大量の余剰トリチウムが生成したときの対策も概念設計段階で
考慮が必要である。長期的には、原型炉プラント運転全期間にわたるトリチウムの量的な管理方
針は示されなければならない。
これ以外に、トリチウムの初期インベントリーの入手可能性が確認されていなければプロジェ
クトを開始することはできない。これは現状の理解では、外国からの購入、外国への生産委託、
自国内生産、自プラント内生産、の可能性がある。これらは、それぞれ純粋に技術的な問題のほ
かに、管理上国際関係上、経済上の課題があり、対応に長期を要するものがあると考えられる。
すなわち、購入の目途があれば技術開発は不要であるが、生産する必要があれば、技術開発と生
産で10年以上の期間が必要である。また TBR が十分に高いブランケットであれば、不十分な
トリチウムでも外部入力によるプラズマ運転で増殖することができるため、入手にかかる費用と
時間によっては、自プラント内生産が有利となる可能性もある。なお、本件はブランケットにお
けるリチウム6と類似の性格を持つ。
(3)トリチウム安全系
トリチウム安全系は、空気、水対象では保守的な成熟した技術を用いているため、基本的なプ
ロセスは ITER で実証かつ経験され、新たな R&D も不要と考えられる。ただし、基本プロセス
は同様でも、後述の発電プラント部分で著しい規模の拡大が想定されており、この場合大量のト
リチウム含有媒体の処理のためには、ITER の外挿でなく、新たなプロセス開発が必要となると
考えられる。
発電プラント(SG/IHX 等、タービン)部分のトリチウム制御はこれまでにない技術を要求す
る。また発電プラントの二次系以降の熱媒体のトリチウム濃度制御も ITER では開発されない技
術である。特に、ブランケット以降の熱交換器・SG、タービン、発電プラント部分の高温高圧媒
体の安全管理は未知の技術となり、長期間の開発を要する。ただ、この技術は CANDU 炉施設で
類似のものがあるため、規模の違いはあるがある程度は導入が可能である可能性がある。
さらにこれら発電系のトリチウム制御は、環境や住民、従事者の安全にかかる技術であるため、
技術開発の結果として必要な性能を満たすだけではなく、システムの安定的な運用、従事者訓練
と経験の蓄積、環境影響の確認、地元の理解、という長期を要する課題を含む。この意味でも早
26
期の着手と技術の成熟が必要である。
2-12
バックエンド技術開発
バックエンドは原型炉運用後に重要になる技術であるが、バックエンドの管理方針、安全
評価に関連する技術は、2022 年の製造設計開始の段階においては終了していなければならな
いと考える。したがって、BA 期間中にも、廃棄物管理方法の検討を開始しなければならない。
2-13
電源制御
電源制御技術については、ITERで開発された技術がほとんど適用可能であり、新たな開発は不要と
考えられるが、原型炉の基本設計にて、ITER以上の高エネルギー(例えば1.5MeV程度)のNBIが必
要となる、又は、超伝導コイルの導体電流にITER以上の導体電流(例えば 100kA)が要求されるような
場合には、NBI 加熱用高電圧電源及び高電流遮断機の開発が必要となる。
2-14
発電システム
蒸気タービン・発電機システムに関しては原型炉特有の開発項目はない。ただしタービン系へ
のトリチウム混入が避けられない場合には、タービンからのトリチウム漏洩低減あるいはタービ
ン建屋内の雰囲気トリチウムの回収システムが必要となる。
2-15
①
サイト・建物
建物(ITER 及び BA 範囲外)
建屋の設計・建設方法が ITER と大きく異なり、原型炉特有のものがある場合には、建物に関
する R&D 計画を明確にする必要がある。原型炉における建物(トカマク本体、遠隔操作、トリ
チウム取扱い及びタービン建屋等)に対する機能上(メンテナンス方式等)及び安全上(トリチ
ウム閉じ込め、耐震)の要求事項を早急に取り纏めなければならない。
②
サイト整備(ITER 及び BA 範囲外)
原型炉建設サイト決定に至るまでには長期間を要するので、まずサイトに要求される要件につ
いての検討を早急に開始する。サイト候補地の事前調査を実施したうえでサイト選定を行い、決
定サイトの立地調査、環境調査の順に実施する。
2-16
安全環境
核融合プラントは、運転時の潜在ハザードが小さい点や、高レベル廃棄物がないという観
点で現在の核分裂炉より優れていると考えられるが、運転時に規制値よりは遥かに低い量な
がら微量のトリチウムを排出するという特徴がある。トリチウムは、その量がいかに微量で
27
あっても環境調査で必ず検出されるので、それによる被ばくレベルが十分に安全なものであ
ることが、国民とくに地元住民に広く認知されることは、核融合炉の実用化に必須である。
そのためには、トリチウムを含む低濃度の放射性核種や低線量放射線の与える環境・生物影
響の研究調査を今後着実に遂行し、その成果を広く発信して国民の理解を得ておくことが必
要であり、そのための R&D を早急に開始すべきである。
2-17
プラントエンジニアリング
プラントエンジニアリングは、2014 年前後の工学設計開始時と並行して進め、原型炉の各
機器(サブシステム)をまとめて、全体が一つのシステムとして動作するように設計から試
運転まで工程調整も含めすべての製作過程を総合的に管理し、製作途中での時間的損失を最
小にしつつ完成させることを目的とする。2022 年以後の、製造設計開始後は、多くの設計変
更が行われると思われるが、他の部分との齟齬が発生しないよう、設計変更の管理も行う必
要がある。建設最終段階においては、原型炉の試験検査を実施する。
基本設計の確認から始め、サブシステムの基本計画、空間的な取り合い、分解組立計画
の成立性、系統・配置・安全を確認する。個別機器の設計、製造の発注においては、仕様書
の策定、発注後の種々の段階での製作図の検討と確認を行う。組立・保守を考えた場合の位
置決め作業等の成立性、遠隔保守の成立性、配管、ケーブルとの干渉、工程等の確認も含む。
ここでの検討結果をみながら、工程調整、組立、配置、系統に問題ないかを、エンジニア
リングチームがフィードバックしつつ詳細に管理監視する。
2-18
プロジェクト管理
原型炉建設プロジェクト開始と同時にプロジェクト管理もスタートするが、ただし設計経緯を
残すため、文書管理については基本設計、工学設計(詳細設計)の段階から始めるべきであろう。
またこのための組織についても考慮が必要である。具体的には、材料の調達、機器の製造、特に
大型機器の設計技術および製造工場の手配、それらの輸送、現地での組み立て、本体組み立て工
程の技術の確保、および試運転にいたる整合性のとれたプロジェクト管理技術の確立が必要であ
る。
28
3.日本の技術戦略と役割分担
3-1
技術戦略上の分類
第1章と第 2 章で述べたとおり、本ロードマップの検討においては、まず原型炉開発に必
要な研究開発項目を網羅した技術マップ(第 4 章に示す)を作成し、その研究開発計画全体
をまとめる形でロードマップ(第 2 章)を作成した。
技術戦略と役割分担の検討において
も、この技術マップをベースとして検討を進めた。
まず、技術戦略の一つとして、技術やノウハウをどこに持つべきか、という判断のため、
技術マップに示された技術の特性を検討の上、以下のような D, D* ,I ,F という 4 種類の分
類を技術マップ上に示した。なお、ここで D,I,F は単なる記号ではあるが、その分類の定義
を認識しやすいよう、それぞれ Domestic、International、Foreign の頭文字とした。 この
分類は必ずしも技術の重要度を意味するものでないことには注意されたい。D に分類された
技術については、知的財産の確保に留意した開発を要する。
技術マップ上での技術分類では下位の小項目にあたる技術であっても、わが国に保有する
べきかがクリティカルパスになりうるもののがあるため、D、D*、I、F 記号は技術分野によ
って異なる詳しさで付与してある。
これらの分類があきらかになっておれば、以下の開発における枠組みにおいて、どのよう
な役割分担で開発を行うべきかはおのずと明らかになると考えられる。
D
D*
日本が開発のリーダーシップを取って推進するために国内に確保すべき技術
人材育成の視点から国内に確保し続けるべき技術
I
技術を確保することは重要であるが、国際協力での開発も考えられる技術
F
必要となった時点で海外から導入することもできる技術
第 4 章に示す技術マップに示された分類の定義
3-2
原型炉の開発及び建設体制の例
初代の商業炉を民間が主体となって建設するためには、核融合炉建設に必要な全ての設計、
製作技術の民間への継承が原型炉段階になされる必要があるため、その建設段階において、
29
ITER、BAプロジェクト及び原型炉の開発段階で培われた技術の民間への継承を可能と
する建設体制を構築し、建設後はその技術が失われない期間(10 年程度)のうちに速やかに
商業炉段階へと移行する必要がある。核融合炉の設計技術分野は多岐にわたり、確実に技術
継承するためにはOJT(On the Job Training)を考慮した体制を構築する必要があるが、
そのような体制構築には相当の期間が必要とされるため、開発段階から徐々に立ち上げ、建
設段階で最適な体制とする必要があるだろう。
民間への技術継承の観点からは、原型炉一式の製作を請負う企業(又は企業体)を定め、
そこに全ての技術を集約できるよう、原型炉一式を発注し、各機器の構造仕様を作成させ、
取りまとめさせることが効率的ではあるが、核融合の原型炉では建設段階においても各機器
の製作に開発要素が残ることが想定されるため、その開発責任まで民間企業(又は企業体)
に負わせることは適切とは言えない。
そこで、本提案例では、開発及び建設の責任主体となる「実施機関」を設ける。一方、次
の商用炉建設会社の母体となる企業体(以下では「総合調整会社」と呼ぶ)を設立し、そこ
に実施機関から構造仕様作成及び総合調整業務を発注するという体制とすることで、民間に
核融合炉の設計及び取りまとめ技術を継承しながら建設を進めてゆくという体制とすること
が望ましいのではないかと考える。その場合、各機器の開発要素の解決責任は「実施機関」
にあるとするものの、各機器の研究開発は「R&D 機関」が担当する。ここで「R&D 機関」には、
独立性を確保した「実施機関」の研究開発部門、大学や産業界、および関連する研究機関な
どが相当する。それぞれの役割と責任をまとめると以下のようになる。
実施機関:
ITER及びBAプロジェクトの成果を継承して、炉全体及び各機器の基本設計を行い、
「総合調整会社」に発注し、技術指導して、構造仕様を作成させる。それを基に発注仕様
書を作成し、自らの責任で機器を発注する(国内に確保すべき技術を有する案件の発注に
おいては、国内企業又は企業体に留意する)
。発注後は「総合調整会社」に総合調整業務を
発注するが、実施の責任を負う。また、開発段階から建設終了まで一貫して、各機器の開
発要素解決の責任を負い、必要な R&D を「R&D 機関」に発注する。更に、建設終了後は原
型炉の運転及び目標達成の責任を負う。
総合調整会社:
次の商用炉建設会社の母体となる企業体で、原型炉建設に向けてその準備段階(基礎設計
段階の後半か工学設計段階)から徐々に立ち上げる。実施機関が作成した基本仕様をもと
に、各機器相互の整合性まで考慮した構造仕様を作成し、発注仕様書の作成を支援する。
発注後は総合調整業務を受注し、各機器・設備の取り合い調整、工程計画と工程調整、現
地工事及び試験・検査の計画と調整を実施すると同時に、建設段階において機器製作上残
された開発要素を「実施機関」に報告する。
R&D 機関:
実施機関の R&D 部門に加え、大学、産業界、関連研究機関も含む。
「実施機関」と各機器の
30
開発要素解決のためのR&Dの契約を取り交わし、必要なR&Dを実施する。建設終了後
は「実施機関」と共に原型炉の運転と目標達成に協力する。
メーカ等:
各企業の判断により、「総合調整会社」設立及びその会社への人材供出、「実施機関」から
発注される案件(特に国内に確保すべき技術を有する案件)の受注、設計、製作、
「R&D 機
関」から発注される開発案件の開発に貢献する。
なお、原型炉建設プロジェクトのためにコアとなる人員数は、核融合エネルギーフォーラ
ム ITER・BA 技術推進委員会報告書「トカマク型原型炉に向けた開発実施のための人材計画
に関する検討報告書」
(2008 年 6 月)に記載した。ただし、それは開発段階における「実施
機関」でのコアとなる人員であり、
「総合調整会社」の人数は、本報告書のプロジェクト規模
に記載されるプラントエンジニアリング、プロジェクト管理の費用(実施機関から総合調整
会社に発注される額)により決定される。
各組織の役割分担
実施機関
総合調整会社
R&D機関
メーカ等
プロ
ジェ
クト
管理
基本
設計
詳細
設計
発注
○
○
○
○
○
R&
D
製作
設計
製作
設計
確認
○
製作
受入
検査
建設
○
総合
試験
建設
(試運 検収
管理
転)
○
○
○
○
○
○
○
○
本格
運転
商用
炉建
設会
社
○
○
○
○
研究開発および建設体制
発注、指示
発注、指示
R&D
機関
実施機関
報告
総合調整
会社
報告
総合調整
発注
機器製作メーカ
機器製作メーカ
プラントメーカ
建設メーカ
図3
各組織の役割(イメージ図)
31
3-3
プロジェクト規模
本ロードマップ等検討ワーキンググループでは、文部科学省からの要請「核融合エネルギ
ーの実現に向けた取組体制について(依頼事項)」
(2007 年 10 月 18 日、付録1参照)にも
とづき、人材の育成や確保の分析、計画も実施した。そのうち、原型炉の建設に進むための実
施機関に関連する人員を中心にまとめた結果については、核融合エネルギーフォーラム ITER・
BA 技術推進委員会報告書「トカマク型原型炉に向けた開発実施のための人材計画に関する
検討報告書」
(2008 年 6 月)に記載している。ただし、産業界の人材計画については、上記報
告書には記載されていないので、それについての検討結果を以下に示す。
この産業界の人材については、各期間におけるプロジェクト規模、ならびに 3-1 節に示し
た技術戦略上における技術分類が明らかになっておれば、産業界として対応に必要なPPY
の概算は算定可能と考えられる。そこで本節での産業界における人材計画の検討においては、
人材規模は人数の積み上げでなく、各フェーズにおける原型炉開発プロジェクトの予想規模
の形で示すこととした。
プロジェクト規模算定の考え方
技術マップ(第 4 章に示す)の中に、
「基礎設計段階(~2014 年)
」
、
「工学設計段階(~2023
年)」、「建設段階(~2035)」に時期を分けて、その項目別の事業規模を記載し、それを技術
領域別に表としてまとめた。
なお、本プロジェクト規模の算定は、産業界で必要となる人材規模を見積もる観点から行
った。総合的なプロジェクト規模の試算については、人材以外の他の要素も加味してさらに
検討することにより、変更される可能性がある。
基礎設計段階
基礎設計段階におけるプロジェクト予想規模は、第 1 章の 1-3-2 節に示した「原型炉建設
に際して必要となる技術開発」の予想されるプロジェクトのみとした。混乱を避けるため、すで
に実施されることが決定されている 1-3-1 節に示した幅広いアプローチ(BA)活動において実
施予定の研究開発プロジェクトは含まれていない。
工学設計段階
一方、工学設計段階における開発プロジェクトは、その期間に必要となる研究開発につい
て技術マップ上で検討し、予想されるすべての研究開発項目を示した。この期間においては、
原型炉段階への移行を決断するために必要な研究開発が並行して実施される必要があるので、
それが可能な規模のプロジェクトが必要である。
建設段階
本報告書においては、原型炉の設計パラメータ最適化を基礎設計段階において実施するこ
とを前提にロードマップを描いたので、現時点では、原型炉の大きさを含め詳細パラメータ
は決めていない。したがって、原型炉の建設に必要な予算額を厳密に算出することは不可能
32
である。ただし、参考文献[2]の原子力委員会 核融合専門部会報告書「今後の核融合研究開
発の推進方策について」には、原型炉の規模は「ITER と同程度の炉心寸法」
([2]の 3.1.3 節)
とされており、それを一つの基準として、これまでに実施してきた様々な原型炉の概念設計
との比較でおおよその予算規模を推定することはできる。その推定の背景となった原型炉設
計のうちもっとも最近に設計された二例を図4に示した。Slim-CS 1) は ITER よりやや小さく、
Demo-CREST 2) は ITER よりやや大きいが、ともに核融合熱出力で約 3 GW をめざしている。電
気出力は発電効率によるが 1 GW 程度を目指すことができる。建設段階については、このよう
な炉設計を参考に、熱出力 3 GW 程度、電気出力 1 GW 程度の原型炉を ITER と同程度の炉心
寸法で計画した場合の予想に基づくプロジェクト規模が記載されている。
なお、このプロジェクト規模には、原型炉本体に加え、周辺機器、原型炉建設中の一部の
R&D やプロジェクト管理などの予算まですべて含めてあることに注意されたい。検討の結果、
原型炉本体については 7700 億円程度、周辺施設・管理費用などが 2300 億円程度と見積もっ
た。ただしこれは現時点での予想で、原型炉計画をこの規模に規定するものではない。
初代炉であることから、ある程度規模が大きくなることはやむを得ないが、同時に、核融
合炉の特性上、建設プロジェクトには、核分裂炉でいえば燃料製造工場や燃料サイクルに関
連する設備が含まれていることは留意されるべきである。
上記で予想した、技術項目別、期間ごとのプロジェクト規模をまとめた表を次ページに示
した。
Slim-CS1)
大半径 Rp = 5.5 m
アスペクト比 A = 2.6
最大磁場 Bmax = 16 T
プラズマ性能指数 βN = 4.3
加熱パワー=80~100MW
熱出力Pf ~ 3 GWth
図4
Demo-CREST2)
大半径Rp = 7.3 m
アスペクト比 A = 3.4
最大磁場Bmax = 16 T
プラズマ性能指数βN > 3.4
加熱パワー ≦ 200 MW
熱出力Pf ~ 3 GWth
日本の原型炉設計案の2例
1)K. Tobita, S. Nisho, M. Sato, M Sakurai, T. Hayashi, Y.K. Shibama et. al., Nuclear Fusion 47(2007)892-899.
2) R. Hiwatari, K. Okano, Y. Asaoka and Y. Ogawa, Proc. 21st IAEA Fus. Energy. Conf., FT/P5-25, China, 2006.
33
技術項目別、期間ごとのプロジェクト規模
技術領域
技術領域詳細
原型炉関連法規・基準
(1)
基礎設計段階
~2014
R&D・設計研究規模(億円)
工学設計段階
2015~2023
R&D・設計研究規模(億円)
建設段階
2023~2035
建設時規模(億円)
金額割合
2
20
20
0.002
10
300
0
各機器に含む
0
150
(Nb3AL 実証コイル含む)
1700
0.17
150
(セクターR&D含む)
100
470
0.047
160
0.016
炉システム設計作業
設計作業費
トカマク本体
TF, PF, CSコイル
25
(線材8、構造8、試験9、16T用Nb3AL前
建設段階
真空容器・遮蔽
0
ダイバータ
15
ブランケット
0
50
(ブランケット周辺構造物の開発)
0
(以下のブランケットに含める)
0
主概念
45
300
1600
0.16
ホットセル
0
45
100
(ブランケット処理費)
NA
0.01
先進概念
100
(ITER・TBMホットセル)
NA
トカマク組立 治具
0
10
150
0.015
クライオスタット
0
0
80
0.008
1次冷却管配管
0
0
0
6-Li濃縮プラント
10
20
0
(各機器コストに含める)
160
ブランケット
トカマク周辺機器
0.016
(現状の9kg/yで20億程度から算出)
34
技術項目別、期間ごとのプロジェクト規模
流体制御
(2)
真空排気系
0
30
80
0.008
1,2,3次系
0
0
0
クライオ冷却系
0
60
0
発電系に含める
240
0.024
0
(炉システム設計作業に含む)
40
(モックアップ試験)
150
0.015
原型炉の炉心プラズマ開発
0
0
0
0
シミュレーションコード開発
10
105
80
0.008
NBI
0
150
0.015
ECRF
0
150
試験150
20
100
0.01
計測
0
10
240
0.024
CODAC
0
10
120
0.012
トリチウム
12
130
(固体廃棄物トリチウム除去のみ)
400
(固体廃棄物トリチウム除去のみ)
0.04
バックエンド
NA
(ITER/TBMホットセル分に含む)
(廃棄物保管場所は建屋に含む)
加熱系・プラズマ制御系など
0
プラント電源(常用非常用)
0
0
電源に含める
20
0
電源に含める
500
メンテナンス
プラズマ
(環境安全性評価コード含む)
加熱電流駆動
計装制御
電源制御
0
0.05
35
技術項目別、期間ごとのプロジェクト規模
発電システム
全体
サイト・建物
建屋
サイト整備
(3)
0
10
1000
1,2,3次冷却系を含む
0.1
0
NA
10
NA
(サイト調査含む)
500
800
(建屋空調設計含む)
0.05
(トリチウムに含む)
(トリチウムに含む)
(許認可以外トリチウムに含む)
プラントエンジニアリング
0
50
800
(総合調整会社が担当)
0.08
プロジェクト管理
0
10
400
(総合調整会社が担当)
0.04
174
1855
7740
原型炉本体設備のみ
0.774
2260
*)付帯設備、管理費など
0.226
安全環境
合計
注)ITER 計画、BA 計画、及び BA と不可分な合同計画と
して実施される JT-60SA の国内計画(国内トカマク重点化
装置 参考文献[1])など既存の計画、ならびに大学等での
研究開発に関連する費用は本表には含まれていない。
*) ここで「付帯設備、管理費など」とは、上記表の項目の
うち、原型炉関連法規・基準整備等の費用、 6-Li 濃縮プラ
ント建設費、 プラズマ中のシミュレーションコード開発費、
サイト・建物のうちのサイト整備費、 プラントエンジニアリン
グ費、 プロジェクト管理費のことをいう。
36
4.大項目別ロードマップ
4-1 全体ロードマップ
4-2 技術マップ、項目別ロードマップ、技術分類(D,D*,I,F)
37
4-1 全体ロードマップ
38
4-2 技術マップ、項目別ロードマップ、技術分類(D,D*,I,F)
年代
(西暦)
01
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
基本ロードマップ
01.1
ITER
01.1.1
建設
01.1.2
TBM挿入
01.1.3
First Plasma
01.1.4
HH DD運転
01.1.5
DT運転
01.1.6
TBM切り替え
01.1.7
DT (Q=10)
01.1.8
EPP
01.2
TBM
01.2.1
01.2.1.1
01.2.1.2
01.2.1.3
01.2.1.4
01.2.1.5
01.2.1.6
01.2.1.7
01.2.1.8
No1 TBM
基本設計
モックアップ
最終仕様
製造設計
製造・検査
ITER納入
試験
PIE
01.2.2
01.2.2.1
01.2.2.2
01.2.2.3
01.2.2.4
01.2.2.5
01.2.2.6
01.2.2.7
01.2.2.8
01.2.2.9
No2 TBM
基本設計
モックアップ
最終仕様
製造設計
製造・検査
ITER納入
試験
運転性能確認
PIE
01.2.3
01.2.3.1
01.2.3.2
01.2.3.3
01.2.3.4
01.2.3.5
01.2.3.6
01.2.3.7
01.2.3.8
01.2.3.9
先進高温オプションTBM
基本設計
モックアップ
最終仕様
製造設計
製造・検査
ITER納入
試験
運転性能確認
PIE
01.3
DEMO
01.3.1
基礎設計および開発
01.3.2
一次仕様
01.3.3
工学設計開始判断
01.3.4
工学設計(詳細設計)
01.3.5
法・規制・規格整備
01.3.6
最終仕様
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
TBM挿入
First Plasma
TBM切り替え
Q>10
最終仕様
ITER納入
最終仕様
ITER納入
運転性能確認
最終仕様
ITER納入
運転性能確認
一次仕様
工学設計開始判断
構造設計1次案
4-2 技術マップ、項目別ロードマップ、技術分類(D,D*,I,F)
年代
(西暦)
01.3.7
建設準備作業開始判断
01.3.8
製造設計
01.3.9
安全審査
01.3.10
最終建設判断
01.3.11
建設
01.3.12
First Plasma
01.3.13
調整運転(パルス運転 定常化)
01.3.14
定常運転達成(発電実証)
01.3.15
定常運転
01.3.16
安定定常運転証明
01.3.17
先進オプション運転
01.4
実規模モックアップ
01.4.1
01.4.1.1
01.4.1.2
01.4.1.3
01.4.1.4
セクター構造モックアップ
最終仕様
製造設計
建設
運転
01.4.2
01.4.2.1
01.4.2.2
01.4.2.3
01.4.2.4
ブランケット構造モックアップ
最終仕様
製造設計
建設
運転
01.5
DEMO-TBM
01.5.1
01.5.1.1
01.5.1.2
01.5.1.3
01.5.1.4
先進オプションモックアップ
基礎設計
製造設計
建設、検査
運転
01.5.2
01.5.2.1
01.5.2.2
01.5.2.3
01.5.2.4
01.5.2.5
本体
製造判断
製造設計
建設、検査
DEMO挿入
運転
01.6
幅広いアプローチ
01.6.1
01.6.1.1
01.6.1.2
01.6.1.3
JT-60SA
改修
運転
高性能・定常運転実証
01.6.2
01.6.2.1
01.6.2.2
IFMIF-EVEDA
開発
最終設計仕様
01.6.3
01.6.3.1
01.6.3.2
IFRAC
原型炉基礎技術開発
最終報告
01.7
実験炉照射
01.7.1
∼80dpaレベル
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
建設準備作業開始判断
最終建設判断
First Plasma
定常運転達成:発電実証
安定定常運転証明
最終仕様
最終仕様
建設判断
DEMO挿入
高性能・定常運転実証
最終設計仕様
最終報告
4-2 技術マップ、項目別ロードマップ、技術分類(D,D*,I,F)
年代
(西暦)
01.7.2
80∼dpa レベル
01.7.3
複合環境評価
01.7.4
コンポネント照射
01.8
IFMIF照射
01.8.1
建設判断
01.8.2
製造設計
01.8.3
建設
01.8.4
01.8.4.1
01.8.4.2
01.8.4.3
01.8.4.4
01.8.4.5
01.8.4.6
運転
10dpa
30dpa
50dpa
80dpa
150dpa
コンポネント照射
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
建設判断
年代
(西暦)
02
原型炉関連法規・基準
02.1
原型炉の目的
02.2
規格、規制、基準
02.2.1
設計基準
02.2.2
規格
02.2.3
02.3
02.3.1
02.3.2
02.3.3
02.4
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
規制法令
安全思想
公衆/環境安全
従事者安全
廃棄物低減
設計基準開発
02.4.1
第一候補設計案
02.4.2
高温構造設計基準
02.4.3
核融合炉構造設計基準(案)
02.4.4
核融合炉構造設計基準
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
一次仕様決定
高温構造設計基準
核融合炉構造設計基準(案)
核融合炉構造設計基準
年代
(西暦)
03
炉システム設計作業
03.1
基本概念
03.1.1
物理・工学DB
03.1.2
設計基準
03.1.3
要求性能
03.1.4
炉概念
03.1.4.1
03.1.4.2
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
D*
保守
炉構造
03.1.5
運転シナリオ
03.1.6
構成設備
03.1.7
コスト概算
一次仕様決定
03.2
工学設計
03.2.1
物理・工学DB
03.2.2
材料 DB
03.2.3
設計基準
03.2.4
安全要求・解析
03.2.5
プラズマ設計
03.2.6
本体設計
03.2.7
機器設計
03.2.8
プラント・建屋設計
03.2.9
発電システム設計
03.2.10
コスト評価
D
仕様決定
03.3
製造設計
03.3.1
物理・工学DB
03.3.2
設計基準・規格
03.3.3
機器詳細設計
03.3.4
計装制御
03.3.5
安全設計・評価
03.3.6
プラント・建屋詳細設計
03.3.7
発電システム詳細設計
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
D
最終仕様決定
年代
(西暦)
04
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
トカマク本体
04.1
TFコイルシステム
04.1.1
基本設計
D
04.1.2
詳細設計
D
04.1.3
TF材料開発
一次仕様決定
04.1.3.1
超伝導材料
D or I
開発目標設定
04.1.3.1.1
04.1.3.1.2
Nb3Al
Nb3Sn
D
I
04.1.3.1.3
導体試験装置整備
D
04.1.3.1.4
導体試験サンプル製作&試験
D
材料選択
04.1.3.2
04.1.3.2.1
04.1.3.2.2
04.1.3.2.2.1
04.1.3.2.2.2
構造材料(コイルケース材料)
JJ1
先進高強度材料
検討
開発
D or I
D
I
D
I
04.1.3.3
絶縁材料
I or F
04.1.3.3.1
04.1.3.3.2
04.1.3.3.2.1
04.1.3.3.2.2
04.1.4
04.1.4.1
04.1.4.1.1
耐放射線性絶縁材
耐放射線性レジン
検討
開発
I or F
I or F
D
I or F
製作技術開発
超伝導材料大量生産技術
量産試作
I
I
04.1.4.2
04.1.4.2.1
超電導導体量産製造技術
量産試作
I
I
04.1.4.3
04.1.4.3.1
巻線製造技術
縮小サイズモデルコイル製作&試験
D
D
04.1.4.4
04.1.4.4.1
構造材量産製造技術(コイルケース)
量産試作
I
I
04.1.4.5
コイル支持構造製造技術(コイルケース)
D
最終仕様
04.1.6
コイル製作(実機)
04.1.6.1
超伝導材料
D or I
04.1.6.2
導体
D or I
04.1.6.3
構造材料
D or I
04.1.6.4
巻線
D
04.1.6.5
コイル構造
D
04.1.6.6
コイル化(一体化)
D
04.1.6.7
全体組み立て
D
04.1.6.8
試験
D
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
04
トカマク本体
04.2
PFコイルシステム
04.2.1
基本設計
D
04.2.2
詳細設計
D
建設上
2010年代
2020年代
一次仕様決定
04.2.3
PF材料開発
04.2.3.1
超伝導材料
D or I
04.2.3.1.1
04.2.3.1.2
04.2.3.1.3
Nb3Al
Nb3Sn
NbTi
D
D or I
I
04.2.3.2
04.2.3.2.1
04.2.3.2.2
04.2.3.2.2.1
構造材料
SUS316LN
先進高強度材料
検討
04.2.3.2.2.2
開発
04.2.3.3
04.2.3.3.1
04.2.3.3.2
04.2.3.3.2.1
04.2.3.3.2.2
絶縁材料
耐放射線性絶縁材
耐放射線性レジン
検討
開発
開発目標設定
材料選択
I
I
I
D
I
I or F
I or F
I or F
D
I or F
04.2.4
製作技術開発
04.2.4.1
04.2.4.1.1
超伝導材料大量生産技術
量産試作
I
I
04.2.4.2
04.2.4.2.1
超電導導体量産製造技術
量産試作
I
I
04.2.4.3
巻線製造技術
D
04.2.6
コイル製作(実機)
04.2.6.1
超伝導材料
I
04.2.6.2
導体
I
04.2.6.3
巻線
I
04.2.6.4
コイル
I
04.2.6.5
全体組み立て
I
04.2.6.6
試験
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
最終仕様
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
04
トカマク本体
04.3
CSコイルシステム
04.3.1
基本設計
D
04.3.2
詳細設計
D
建設上
2010年代
2020年代
一次仕様決定
04.3.3
CS材料開発
D or I
04.3.3.1
超伝導材料
D or I
04.3.3.1.1
04.3.3.1.2
Nb3Al
Nb3Sn
開発目標設定
D
I
04.3.3.1.3
導体試験装置整備
D
04.3.3.1.4
導体試験サンプル製作&試験
D
04.3.3.2
04.3.3.2.1
04.3.3.2.2
04.3.3.2.2.1
04.3.3.2.2.2
構造材料
JK2
先進高強度材料
検討
開発
D or I
D
I
D
I
04.3.3.3
04.3.3.3.1
04.3.3.3.2
04.3.3.3.2.1
04.3.3.3.2.2
絶縁材料
耐放射線性絶縁材
耐放射線性レジン
検討
開発
I or F
I or F
I or F
D
I or F
04.3.4
製作技術開発
04.3.4.1
超伝導材料大量生産技術
I
04.3.4.1.1
量産試作
I
04.3.4.2
超電導導体量産製造技術
I
04.3.4.2.1
量産試作
I
04.3.4.3
04.3.4.3.1
巻線製造技術
縮小サイズモデルコイル製作&試験
D
D
最終仕様決定
04.3.5
コイル製作(実機)
04.3.5.1
超伝導材料
D or I
04.3.5.2
導体
D or I
04.3.5.4
巻線
D
04.3.5.5
コイル支持構造
D
04.3.5.6
コイル
D
04.3.5.7
全体組み立て
D
04.3.5.8
試験
D
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
04
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
トカマク本体
04.4
コイル間支持構造
04.4.1
基本設計
D
04.4.2
詳細設計
D
04.4.3
構造材料
D or I
04.4.3.1
構造材料
D or I
04.4.4
製造技術
I
04.4.4.1
支持構造製造技術
I
最終仕様決定
04.4.6
製作
I
04.5
真空容器
04.5.1
基本設計
D
04.5.1.1
真空境界
D
04.5.1.2
トリチウムバウンダリー
D
04.5.1.3
トーラスセグメンテーション
D
04.5.1.4
各種ポート
I
04.5.2
詳細設計
D
04.5.3
真空容器構造(実規模セクターR&D)
D
04.5.5
製作(実機、ブランケット等組込み)
D
04.5.6
遠隔操作試験
D
04.6
安定化コイル
04.6.1
設計
D
04.6.2
仕様
D
04.6.3
製作
I
04.7
遮蔽
04.7.1
絶縁設計
D
04.7.1.1
熱遮蔽概念設計
D
04.7.1.2
放射線遮蔽概念設計
D
04.7.2
冷却システム設計
I
04.7.3
最終仕様
D
04.7.4
製作(実機)
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
最終仕様決定
最終仕様決定
最終仕様決定
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
04
トカマク本体
04.8
ダイバーター
04.8.1
04.8.1.1
04.8.1.2
基本設計
構造概念設定
プラズマ工学との整合性
04.8.1.3
0次仕様
04.8.2
最終仕様
04.8.3
詳細設計
04.8.4
04.8.4.1
04.8.4.2
04.8.4.3
ダイバータ材料開発
構造材料
アーマー材料
熱シンク材料
D
D
D
04.8.5
04.8.5.1
04.8.5.2
製造技術開発
アーマー接合
溶接および熱処理
D
D
04.8.6
ダイバータ構造体製作
D
04.8.6.1
04.8.6.2
04.8.6.3
04.8.6.4
04.8.6.5
最終仕様
高熱負荷コンポーネント製作
ダイバータカセット製作
組み立て・調整
遠隔操作試験
D
I
I
04.8.7
04.8.7.1
04.8.7.2
試験設備
電子ビーム熱負荷試験設備概念
全体試験施設概念
04.8.7.3
04.8.7.4
最終仕様
製作(実機)
04.8.8
熱負荷試験実施
2010年代
2020年代
D
D
0次仕様決定
最終仕様決定
D
最終仕様決定
D
D
D
最終仕様決定
I
04.9
燃料供給システム
04.9.1
概念設計
04.9.2
詳細設計
D
04.9.3
モックアップ試験
D
04.9.4
最終仕様
04.9.5
製作
D
最終仕様決定
I
04.10
ブランケット構造
04.10.1
04.10.1.1
04.10.1.2
基本設計
分割・支持構造
導体シェル
D
D
D
04.10.2
詳細設計
D
04.10.3
最終仕様
D
04.10.4
製作(実機)
D
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
最終仕様決定
年代
(西暦)
05
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
ブランケット開発
05.1
第一候補ブランケット設計
05.1.1
概念設計
D*
05.1.2
第一候補BLK概念確定
D*
05.1.3
基礎設計
D*
05.1.3.1
機器設計
05.1.3.2
解析
05.1.3.3
接合組み立て仕様策定
05.1.4
DEMO-BLK1次設計案
D*
05.1.5
詳細設計
D*
05.1.5.1
機器設計
05.1.5.2
解析
05.1.5.3
接合組み立て仕様策定
05.1.6
プロトタイプ製作実証
05.1.6.1
ITER_TBM アウトパイル試験
05.1.6.2
実機大アウトパイル試験
05.1.6.3
05.1.6.3.1
05.1.6.3.2
05.1.6.3.3
中性子照射試験
原子炉照射
ITER-TBM(ITER-DT運転、PIE)
IFMIF
05.1.7
DEMO-BLK最終仕様
(TBM最終設計報告)
1次仕様
仕様策定
D*
最終仕様
D
05.2
構造材料(低放射化フェライト鋼)
05.2.1
最適製造手法検討
D
05.2.1.1
溶解鍛造手法
D
05.2.1.2
部材製作手法
D
05.2.1.3
大量生産技術
D
05.2.2
接合手法開発
D
05.2.2.1
基礎接合条件
D
05.2.2.2
再溶接技術
D
05.2.2.3
検査手法開発
I
05.2.3
高性能化
D
05.2.4
データベース整備
D*
05.2.4.1
非照射データ
D*
05.2.4.2
05.2.4.2.1
05.2.4.2.2
照射データ
原子炉照射データ
14MeV中性子照射データ
D*
I
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
05.2.5
材料規格化
D
05.2.5.1
規格検討
D
05.2.5.2
規格制定準備
規格制定準備
05.2.5.3
溶接一次仕様
溶接一次仕様
05.2.5.4
規格制定準備
最終規格制定準備
05.2.5.5
溶接最終仕様
溶接最終仕様
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
05.2.6
設計基準開発
D*
05.2.6.1
高温高圧構造体変形挙動予測手法開発
D*
05.2.6.2
照射効果機構解明
05.2.6.3
05.2.6.3.1
05.2.6.3.2
照射構造体変形挙動予測手法開発
モデル化、原子炉照射による検証
14MeV中性子照射による実証
05.2.6.4
高温構造設計基準0次案
05.2.6.5
高温構造設計基準1次案
05.2.6.6
核融合炉BLK構造設計基準(案)
構造設計0次案
構造設計1次案
構造設計基準案
プラズマ対向壁材料
熱・粒子負荷の評価
05.3.2
材料開発
D*
05.3.3
接合法開発
D*
05.3.4
健全性検証
D*
05.3.5
製造仕様
D
増殖材
先進トリチウム増殖材料開発
05.4.1.1
改良型Li2TiO3
05.4.1.2
新型固体増殖材料
05.4.1.3
保管方法
05.4.2
6Li濃縮技術開発
05.4.2.1
有効な濃縮手法の選定
05.4.2.2
1段濃縮試験
05.4.2.3
多段濃縮技術
05.4.2.4
濃縮度の評価
05.4.2.5
濃縮Liの始発原料化
05.4.2.6
大量6Li濃縮装置の開発
05.4.3
熱機械挙動評価
05.4.3.1
熱物性値取得
05.4.3.2
充填体挙動の評価
05.4.4
照射試験データ
05.3.4.4.1
照射後試験
05.3.4.4.2
照射中試験
05.3.4.4.3
高Li燃焼試験
05.3.4.5
先進増殖材料の微小球製造基礎技術
05.3.4.5.1
間接湿式法
05.3.4.5.2
直接湿式法
05.3.4.5.3
先進増殖材料微小球製造装置の開発
05.3.4.5.4
大量微小球製造装置の開発
05.3.4.6
照射後試験・解体試験装置の検討
05.5
増倍材
05.5.1
微小球製造技術
2020年代
I
05.3
05.4
2010年代
I
D
D
I
I
D
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
D*
D*
I
05.3.1
05.4.1
建設上
製造仕様
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
05.5.1.1
既存材料
05.5.1.2
先進材料
I
05.5.2
未照射特性評価
F
05.5.2.1
既存材料
F
05.5.2.2
先進材料
F
2010年代
2020年代
05.5.3
照射特性評価
I
既存材料
I
05.5.3.2
先進材料
I
05.5.4
製造仕様
D
05.5.5
製造
D
05.6
トリチウム透過防止膜
05.6.1
成膜技術開発
D
05.6.1.1
成膜性評価
D
05.6.1.2
物性評価
D
05.6.1.3
透過低減性能評価
D
05.6.1.4
実機環境下における成膜性評価
D
05.6.1.5
非破壊検査技術の確立
05.6.2
照射特性評価
05.6.2.1
物性評価
D*
05.6.2.2
透過低減性能評価
D*
05.6.3
採用の判断
製造仕様
D
採用の判断
D
実機への成膜準備
05.7
ニュートロニクス
05.7.1
核計測システム
I
05.7.2
核解析開発
I
05.7.3
DEMO設計への応用
I
05.7.4
多段反応解析(安全審査)
DEMO設計への応用
I
05.8
シェル材料
05.8.1
材料選択および条件
I
05.8.2
耐照射性等の評価
I
05.8.3
最終仕様決定
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
D*
05.5.3.1
05.6.4
建設上
多段反応解析(安全審査)
最終仕様
年代
(西暦)
05.9
先進高温BLK設計
05.9.1
概念設計
05.9.2
先進高温BLK候補設計選択
05.9.3
基礎設計
05.9.4
設計上
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
先進システム候補選択
I
先進システム絞り込み
先進BLK1次仕様
I
詳細設計
05.9.7
先進ブランケット試験
05.9.7.1
TBM
I
05.9.7.2
実規模
D
05.9.8
先進BLK最終仕様
05.9.5
DEMO先進オプションTBM
D amd I
先進BLK最終仕様
D
05.10
先進構造材料(SiC/SiC複合材料)
05.10.1
製造基盤技術開発
05.10.1.1
複合材料開発
05.10.1.2
接合技術開発
05.10.1.3
生産基盤
05.10.1.4
検査手法開発
05.10.2
設計基盤データベース整備
05.10.2.1
評価試験法開発・高度化
05.10.2.2
非照射データ
D*
05.10.2.3
照射データ
05.3.1.4.2.1 原子炉照射データ
05.3.1.4.2.2 14MeV中性子照射データ
I
D*
D*
I
05.10.3
設計基準開発
D
05.10.3.1
複合材料特性予測手法開発
D
05.10.3.2
照射効果機構解明
I
05.10.3.3
照射構造体変形挙動予測手法開発
I
05.11
液体増殖増倍材料の開発
I
05.11.1
基礎開発
I
05.11.2
工学開発
D
05.11.3
実規模
D
D*
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
I
先進高温BLK絞り込み
先進BLK1次仕様
05.9.6
技術分類(D,I,F) 2000年代
年代
(西暦)
06
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
トカマク周辺機器
06.1
組み立て治具
06.1.1
設計
D
06.1.2
仕様
D
06.1.3
製作
D
06.2
クライオスタット
06.2.1
基本設計
I
06.2.2
詳細設計
I
06.2.3
最終仕様
I
06.2.4
製作・組立(実機)
I
06.3
クレーン
06.3.1
設計
F
06.3.2
仕様
F
06.3.3
製作
F
06.4
一次冷却系(配管引き回し)
06.4.1
06.4.1.1
06.4.1.2
06.4.1.3
ブランケット一次冷却系
設計
仕様
製作
D
D
F
06.4.2
06.4.2.1
06.4.2.2
06.4.2.3
ダイバータ一次冷却系
設計
仕様
製作
D
D
F
06.4.3
06.4.3.1
06.4.3.2
06.4.3.3
真空容器一次冷却系
設計
仕様
製作
D
D
F
06.4.4
06.4.4.1
06.4.4.2
06.4.4.3
その他の冷却系(NB,RF等)
設計
仕様
製作
D
D
F
06.5
6-Li濃縮プラント
06.5.1
基本検討
06.5.2
基礎R&D
D
06.5.3
試験プラント設計建設
D
06.5.4
運転
D
06.5.5
実機プラント設計建設
D
06.5.6
運転
D
D
2010年代
2020年代
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
07
流体制御
07.1
真空排気系
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
07.1.1
基本設計
D
07.1.2
ダイバータ排気ポンプ検討
D
07.1.3
最終仕様決定
D
07.1.4
ダイバータ排気ポンプ調達
D
07.1.5
真空排気ポンプ調達
D
07.1.6
粗引排気ポンプ調達
D
07.1.7
真空引き試験
D
07.2
1次冷却系
07.2.1
水質管理研究開発(フェライト材料)
D
07.2.2
07.2.2.1
07.2.2.2
07.2.2.3
07.2.2.4
中間熱交換器(トリチウム透過防止)
基本設計
詳細設計(R&D含む)
最終仕様
製作・据付
D
07.2.3
その他1次系機器製作・据付
D
07.2.4
化学体積制御系機器(CVCF)
D
建設上
2010年代
2020年代
最終仕様決定
最終仕様決定
07.3
2次冷却系
07.3.1
詳細設計
F
07.3.2
最終仕様
F
07.3.3
熱交換器(蒸気発生器)製作・据付
D
07.3.4
その他2次冷却系機器製作・据付
D
07.4
3次系 (Heat rejection system)
F
07.4.1
詳細設計
F
07.4.2
最終仕様
07.4.3
製作・据え付け
07.5
冷却系総合機能試験
07.6
クライオ冷却系
最終仕様決定
最終仕様決定
07.6.1
クライオ冷却材
I
07.6.2
冷凍機
I
07.7
その他
07.7.1
特殊ガス供給(Ar等)設備
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
08
メンテナンス
08.1
保守概念
08.1.1
08.1.1.1
08.1.1.2
08.1.1.3
ブランケットユニットサイズ
TBRからの最小サイズ制約
重量物移動の最大サイズ制約
設置精度からの制約
08.1.2
トカマク本体整合性
08.1.3
建屋整合性
08.1.4
ホットセル
08.1.5
外部配管類の処理
08.1.6
キャスクの成立性
08.1.7
製作性
08.1.8
保守所要時間評価
08.1.9
コスト評価
08.1.10
保守方式選定
08.2
機器開発
08.2.1
耐放射線化
08.2.2
PS無線化
08.2.3
遠隔搬送
08.2.4
遠隔切断・溶接・検査ツール
08.2.5
ホットセル内マニュプレータ
08.2.6
ダスト捕集
08.3
モックアップ試験
08.3.1
炉内保守
08.3.2
キャスク
08.3.3
模擬ホットセル
08.4
遠隔操作機器
08.4.1
08.4.1.1
08.4.1.2
08.4.1.2.1
基本設計
遠隔保守概念設定
必要機器・技術
遠隔検査保守機器
08.4.2
詳細設計
08.4.3
ブランケット交換
08.4.4
ダイバータ交換
08.4.5
加熱機器交換
08.4.6
その他
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
D
D
I
D
D
D
I
2010年代
2020年代
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
09
プラズマ
09.1
プラズマ形状
09.1.1
アスペクト比、非円形度、三角度
09.1.2
SN/DN特性
09.1.3
非誘導電流立ち上げ(CSコイルの供給磁束)
09.2
閉じ込め
09.2.1
閉じ込め則
09.2.2
Q>10核燃焼制御
09.2.3
α粒子不安定性
09.2.4
ELM制御
09.2.5
核融合出力制御・安定化
09.2.6
コアプラズマの輸送シミュレーション
09.3
運転限界
09.3.1
高放射損失
09.3.2
高密度運転
09.3.3
09.3.3.1
09.3.3.2
09.3.3.3
09.3.3.4
ベータ値限界の評価
分布制御(密度、電流)
NTM制御
RWM安定化制御
JT-60SA
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
I
I
D*
09.3.4 ディスラプション
09.3.4.1 特性評価
09.3.4.2 回避・制御と対策
09.4
定常化
09.4.1
燃料制御
09.4.2
ヘリウム灰排気
09.4.3
高Z壁・PWI
09.4.4
電流駆動効率
09.4.5
JT-60SA
09.5
周辺プラズマ
09.5.1
SoLプラズマ制御
D
D*
09.5.2 ダイバータ制御
09.5.2.1 低温高密度ダイバータ
09.5.2.2 デタッチメント制御
09.6
ダイバータ形状
09.6.1
不純物制御
09.6.2
周辺プラズマシミュレーションとの整合性
D*
建設上
2010年代
2020年代
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
技術分類(D,I,F) 2000年代
(西暦)
設計上
10
加熱電流駆動
10.1
加熱電流駆動法の検討
I
10.2
加熱電流駆動法の決定
D
10.3
イオンサイクロトロン領域周波数(ICRF)入射系
10.3.1
ITER用ICRFの開発
I
10.3.2
結合系
I
10.3.3
導波系
I
10.4
電子サイクロトロン領域周波数(ECRF)入射系
建設上
2020年代
加熱電流駆動法の決定
10.4.1
ITER用ECRFの開発
D*
10.4.2
10.4.2.1
10.4.2.2
10.4.2.3
10.4.2.4
10.4.2.5
大電力ジャイロトロン
高周波数化
周波数可変
CW化
単管2MW化
高効率化(2段エネルギー回収)
D
I
D
I
10.4.3 伝送系
10.4.3.1 高周波数結合系要素開発
10.4.3.2 高効率伝送
2010年代
10.4.4 入射系
10.4.4.1 耐中性子信頼性
10.5
中性粒子(NB)入射系
10.5.1
ITER用NBの開発
D*
I
10.5.2
10.5.2.1
10.5.2.2
10.5.2.3
イオン源
D*
長パルス化(フィラメントフリー化 RFイオン源)
エネルギー決定
高エネルギー化(静電加速)
D
10.5.3
中性化セル
D
D
エネルギー決定
10.5.3.1 高効率化(プラズマセル)
10.5.4
システム保守性向上
11
計装制御
11.1
プラズマ計装制御
11.1.1
11.1.1.1
11.1.1.2
11.1.1.3
11.1.1.4
概念検討
設置環境評価
計装制御概念
測定諸量分析
計測計装評価
11.1.2
11.1.2.1
11.1.2.2
11.1.2.3
要素開発
ITERでの開発
耐放射線性
計測器開発
D
D*
11.2
プラント計装制御(CODAC)
I
11.3
実機用製造・設置
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
12
トリチウム
12.1
プラズマ排気
12.1.1
TEP処理ガス定義
12.1.2
排気ポンプ系統設計
12.1.3
ダイバータ排気
12.2
プラズマ排気ガス処理(TEP)
12.2.1
基礎開発
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
D
建設上
I
D
スケールアップ
12.2.3
最終仕様
12.2.4
製造設計
12.2.5
建設
D
12.2.6
コールド習熟運転
D
同位体分離システム
12.3.1
基礎開発
最終仕様
I
I
D
12.3.2
工学設計・スケールアップ
12.3.3
最終仕様
12.3.4
製造設計
12.3.5
建設
D
12.3.6
コールド習熟運転
D
12.4
貯蔵供給システム
12.4.1
設計
12.4.2
仕様
12.4.3
建設
2020年代
I
12.2.2
12.3
2010年代
最終仕様
I
I
D
最終仕様
12.5
初期インベントリ
D
12.5.1
初期インベントリ入手法の検討
D
12.5.2
初期インベントリ入手方針
D
12.5.3
12.5.3.1
12.5.3.2
12.5.3.3
初期インベントリ製造(必要な場合)
製造設備設計
設計
製造
I
12.5.4
初期インベントリ購入
12.5.4.1
国際管理、輸送、管理
D
D
12.6
ブランケットトリチウム回収システム
D
D
12.6.1
12.6.1.1
12.6.1.2
12.6.1.3
12.6.1.4
12.6.1.4.1
12.6.1.5
12.6.1.5.1
12.6.1.5.2
12.6.1.5.2.1
12.6.1.5.3
12.6.1.5.3.1
基礎開発
iter/tbm
BA
TBM対応プロセス実証試験
インパイル放出回収試験
ベンチスケール模擬
デモ用プロセス開発実証
demo用概念検討
原理実証
原理実証
ベンチスケール実験
ベンチスケール試験
D
I
初期インベントリ入手方法
D
D
I or F
I or F
D
D
D
D
D
D
D
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
12.6.2
12.6.2.1
12.6.2.2
12.6.2.3
使用済みブランケット回収工学検証
demo 用
スケールアップ
概念設計検討
12.6.3
12.6.3.1
12.6.3.2
詳細設計
詳細設計
建設
D
12.6.4
先進モジュールプロセス
I
12.7
水処理システム(WDS)
D
12.7.1
12.7.1.1
12.7.1.2
基礎開発
iter
iter外
D
12.7.2
12.7.2.1
12.7.2.2
12.7.2.3
工学開発
デモ用プロセス試験
工学設計
詳細設計
D
D
D
12.7.3
12.7.3.1
12.7.3.2
12.7.3.3
建設
建設
コールド試験
コミッショニング
12.7.4
12.7.4.1
12.7.4.2
12.7.4.3
2次、3次系
概念検討
技術実証
WDS統合
D
I
I
D
D
F
D
空気浄化および換気浄化システム(ADSVDS D
12.8.2
既存技術による工学設計
I
12.8.3
発電プラント室内空気処理概念検討
D
12.8.4
発電プラント非常系概念検討
D
12.8.5
仕様
D
12.8.6
製造設計
12.8.7
建設
12.8.8
コールド試験、コミッショニング
D
D
最終仕様
I
I
I
D
12.9
分析測定システム(AMS)
D
12.9.1
12.9.1.1
12.9.1.2
基礎開発
iter
ba
D
12.9.2
工学検証
D
12.9.3
仕様
D
12.9.4
詳細設計
建設
F
D
D
先進技術開発
基礎プロセス開発
スケールアップ
詳細設計
コミッショニング
D
I
12.8
12.9.6
2020年代
D
12.8.1
12.8.1.1
12.8.1.2
12.8.1.3
12.9.5
2010年代
D
I
I
最終仕様
I
I
D
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
13
バックエンド技術開発
13.1
管理方針
D
13.1.1
廃棄物貯蔵管理方法
D
13.1.2
廃棄物保管設備設計
D
13.1.3
処理処分方針
D
13.2
安全評価
13.2.1
発生核種評価
D
13.2.2
線量率評価
D
13.2.3
トリチウム放出・漏洩評価
D
13.2.4
廃棄物レベル・物量評価
D
13.3
使用済みブランケット保管技術
13.3.1
トリチウム処理・検認技術
D
13.3.2
ベリリウム保管方法
D
14
電源制御
14.1
コイル電源・制御
14.1.1
高電流遮断機開発
14.1.2
製造
建設上
I
I
I
I
14.2
加熱電源
14.2.1
高電圧電源開発
14.2.2
製造
14.3
定常電源
F
14.5
インターロック・警報
F
14.6
プラズマ制御電源
F
14.7
系統受電
D
14.8
プラント電源(MG 常用)
F
14.9
プラント電源(EG 非常用)
F
14.10
発電・送電・系統連結
D
15
発電システム
15.1
設計
D
15.2
発電プラント設計仕様
D
15.3
電気事業申請
15.4
タービンシステム
F
15.5
発電機
F
15.6
系統連結制御
D
2010年代
2020年代
発電プラント設計仕様
D
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
16
サイト建物
16.1
建物
16.1.1
16.1.1.1
16.1.1.1.1
16.1.1.1.2
16.1.1.2
16.1.1.3
本体建物
建屋材料
非磁性鉄骨
トリチウム対策(トリチウムライナー)
耐震・免震構造
放射線管理
16.1.2
廃棄物処理管理建物
16.1.3
タービン建物
16.1.4
トリチウム処理棟
16.1.5
建物設計仕様
16.1.6
建設
16.2
サイト
16.2.1
16.2.1.1
16.2.1.2
16.2.1.3
16.2.1.4
立地要件
地盤
気象
立地、面積
地震、振動
16.2.2
16.2.2.1
16.2.2.2
16.2.2.2.1
16.2.2.2.2
16.2.2.2.3
環境アセスメント
環境アセス法による事前調査
環境アセス法以外の事前調査
地下水
自然放射性核種
断層
16.2.3
サイト選定
16.2.4
立地調査
16.2.5
サイト整備(土木)
16.3
環境モニタリング
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
D
D
2010年代
2020年代
建物設計仕様
D
D
サイト仕様
D
I
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
年代
(西暦)
技術分類(D,I,F) 2000年代
設計上
建設上
17
安全環境
17.1
安全指針
D
17.1.1
事故事象の分析
D
17.1.2
放射線安全
D
17.1.3
運転員安全
D
17.1.4
環境放出
D
17.1.5
QA
17.2
安全解析手法
17.2.1
17.2.1.1
17.2.1.2
17.2.1.3
17.2.1.4
17.2.1.5
安全解析コード
ニュートロニクス
事故事象解析
トリチウム輸送挙動
トリチウム環境挙動
リスク解析
D*
D*
D*
D
D
D*
17.2.2
17.2.2.1
17.2.2.2
安全データベース
故障率
ダスト
D*
D*
D*
17.2.3
安全性検証実験
17.3
低線量影響評価
17.3.1
研究組織化
17.3.2
疫学研究
I
17.3.3
PA対策
D
17.4
放射線管理
D
18
プラントエンジニアリング
18.1
設計要求
18.2
18.2.1
18.2.2
18.2.3
設計管理
配置計画
物量計画
配管配線計画
18.3
設計変更管理
18.4
試験検査
19
プロジェクト管理
19.1
文書管理
19.2
工程管理
19.3
運転計画
19.4
運転管理
19.5
バックエンド管理
D
D
D
D
D
D
D
D
D
D
2010年代
2020年代
2030年代
2040年代
2050年代
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60
5.まとめ
核融合エネルギーの開発は、最終的な CO2 濃度の安定化を目指し、世界レベルでの経済開
発と 2100 年における二酸化炭素の実質ゼロエミッションという地球温暖化防止に向けた長
期目標の実現に貢献できることが一つの重大な目標である。本WGは 2050 年代に実用炉が投
入可能であることを具体的ロードマップで示した。これにより核融合炉開発は 21 世紀中に有
意な規模のエネルギーを世界的に供給することができ、地球環境問題に有意な寄与ができる
計画となる。核融合炉実現の目標を 21 世紀中葉とおくことは、核融合開発の意義を最大化し、
21 世紀中のエネルギー環境問題の抜本的解決に見通しを与える重要な目標である。そのよう
な視点に立ち、本 WG においては、21 世紀中葉までに核融合エネルギーの実用化の目処を得
るためのロードマップのケーススタディーとして、トカマクによる原型炉の運転実績を 8~10
年ほど積み、
「2050 年代に実用核融合炉の初代炉が投入できる」ためのロードマップを描い
た。その実現を目指すための技術戦略、組織の枠組み、役割分担に関する提言も行った。
上記の目標を達成するには、ITER,BAおよび国内研究計画の着実な遂行とともに、
2014 年前後には、現在の第三段階核融合研究開発基本計画に続く第四段階計画(原型炉段階)
を制定するための準備を始める必要がある。したがって、今後 10 年以内の研究の進展が本ロ
ードマップの実現には大変重要といえる。この期間は BA プロジェクトの期間と重なってい
るが、BA プロジェクトは EU と共同で実施するものであることから、BA プロジェクトの計
画に現時点では含まれていないが原型炉の実現に向けて BA の期間内に日本で独自に進める
べき研究開発項目がいくつか存在することも、本報告では指摘している。ITER の建設と BA
プロジェクトの推進に加え、これら新たに指摘した研究項目の着実な推進も必要である。
このロードマップに沿ったプロジェクトの推進に必要な研究開発側における人材計画を検
討したが、これについては「はじめに」記載したとおり、核融合エネルギーフォーラム ITER・
BA 技術推進委員会報告書「トカマク型原型炉に向けた開発実施のための人材計画に関する検
討報告書」
(2008 年 6 月)に記載した。
63
結辞
本ロードマップならびに技術戦略の検討により、今後の研究開発を着実に実施すれば、核
融合実用炉を 2050 年代に投入が可能であることが示された。地球環境問題は喫緊の世界的課
題であり、革新的低炭素エネルギーである核融合は一日も早い実現が望まれる。核融合エネ
ルギーの開発には、実現までに世界で数兆円の資金が投じられることになるが、温暖化問題
への対応とエネルギー供給という効果の大きさはその投資規模をはるかに上回り、またその
大きさは市場投入が早ければ早いほど大きく、意義深い。
核融合エネルギーの研究を意義のあるものにするには、核融合開発に携わるもの全員の決
意を持って、この目標に沿って開発を進めると同時に、その研究開発に社会からの支持を得
るべく、本ロードマップで示された核融合開発の計画とその役割についての説明責任を果た
していくことが必要である。
64
参考文献
本報告のための検討にあたっては、これまでに公開された以下の資料も参考にした。
[1] 科学技術・学術審議会 学術分科会 基本問題特別委員会 核融合研究ワーキング・グル
ープ報告「今後の我が国の核融合研究の在り方について」 (2003 年 1 月 8 日)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/030302.htm
[2] 原子力委員会核融合専門部会報告書「今後の核融合研究開発の推進方策について」
(2005 年 10 月 26 日)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kakuyugo2/siryo/kettei/houkoku051026/in
dex.htm
[3] 日本原子力産業会議核融合開発検討会
「核融合開発における産業界の立場と役割 -第三次報告書-」(2006 年 3 月)
、及び
原子力委員会 第17回定例会議(2006 年 4 月 25 日)
配布資料( 4 ) 核融合開発における産業界の立場と役割-第三次報告書の概要-
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2006/siryo17/siryo4.pdf
[4] 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力分野の研究開発に関する委員会
核融合研究作業部会 第 5 回 (2006 年 12 月 26 日)
・資料 3-1 ITER(イーター)・BA の研究体制(人員配置、人材育成、大学等の研究
参加)に関する分析〔理想論〕
・資料 3-2 核融合分野の人材育成に関する状況分析
・資料 3-4 科学技術関係人材の育成・確保について
・資料 3-5 核融合分野における人材育成の検討にあたっての視点
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/017/07011821.htm
[5] 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 原子力分野の研究開発に関する委員会
核融合研究作業部会 第 6 回(2007 年 1 月 31 日)
・資料 1-2 核融合炉工学の研究体制・人員計画
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/017/07020522.htm
[6] 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会
核融合研究作業部会報告書「ITER(イーター)計画、幅広いアプローチをはじめとす
る我が国の核融合研究の推進方策について」
(2007 年 6 月)
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付録 1
文部科学省から核融合エネルギーフォーラムへの依頼事項(2007 年 10 月 18 日)
核融合エネルギーフォーラム議長
佐藤 文隆 殿
核融合エネルギーの実現に向けた取組体制について(依頼事項)
平成 19 年 10 月 18 日
文部科学省研究開発局研究開発戦略官
松尾 泰樹
ITER 計画について、間もなく協定発効が見込まれ、本格的にプロジェクトが開始されつ
つあるところです。
このような中、「今後の核融合研究開発の推進方策について」(平成 17 年 10 月 26 日、原
子力委員会核融合専門部会、以下、専門部会という)において、核融合エネルギーについて
は「21 世紀中葉までに実用化の目処を得るべく研究開発を促進する必要がある」旨指摘され
ています。
本年 6 月に、文部科学省科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開
発に関する委員会核融合研究作業部会(以下、作業部会という)において「ITER 計画、幅
広いアプローチをはじめとする我が国の核融合研究の推進方策について」
(平成 19 年 6 月 27
日)が報告され、ITER 計画及び幅広いアプローチの実施において、産業界との連携、産業
界への技術の蓄積の必要性について指摘されています。
ITER 計画は、当初 10 年の建設期では、まさに産業界の協力が不可欠であり、更に実用化
に向けては今後の技術開発戦略に関する産業界の認識の共有化を図り、その上で現在どのよ
うな連携・協力のあり方が必要か検討することが重要と考えられます。
つきましては、
「21 世紀中葉までに核融合エネルギーの実用化の目処を得る」ことを目標
とした一つのケーススタディとして、産学官の協力の在り方も含め、今後我が国が確保すべ
き核となる技術及び技術開発戦略について、年内を目処にご検討いただきますようお願いい
たします。
また、専門部会報告書において、
「これまでの核融合研究においては、大学での中小規模の
実験装置での萌芽的、革新的研究が、このような若手研究者・技術者育成には大変有効に機
能し」、「共同研究や日米科学技術協力事業等の国際協力等も、若手研究者・技術者の活躍の
舞台として有意義であった」一方で、
「産業界では、核融合に関する受注の減少から、技術者
の大部分が核融合分野から他の分野に移動しており、技術の維持・継承が難しくなっている」
ところ、
「将来の核融合研究開発を担うためのバランスのとれた人材の育成が急務であり、そ
のために大学等の教育機関における研究教育のほか、研究所や産業界における実施教育は極
めて重要」であると指摘されています。
実用化という将来を見据えた人材育成については、作業部会においても検討課題としてお
り、人材が補強されるべき分野や確保・継承されるべき分野、またはそのための国内の人材
育成のあり方などについて意見を集約・検討いただきますようお願いいたします。
(了)
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付録 2
ロードマップ等検討ワーキンググループの構成員
平成19年10月18日
名 前
所 属
座 長
岡野 邦彦
電力中央研究所 上席研究員
委 員
今川 信作
核融合科学研究所 炉システム・応用技術研究系 研究主幹
委 員
小川 雄一
東京大学 高温プラズマ研究センター長
委 員
小西 哲之
京都大学エネルギー理工学研究所 教授
委 員
谷川 博康
日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門
核融合炉構造材料開発グループ サブリーダー
委 員
飛田 健次
日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門
核融合炉システム研究グループ リーダー
委 員
長谷川 満
日本原子力産業協会 ITER・BA対応検討会 委員
委 員
堀池 寛
大阪大学大学院 教授
委 員
森 清治
日本原子力産業協会 ITER・BA対応検討会 委員
平成20年4月1日
名 前
所 属
座 長
岡野 邦彦
電力中央研究所 上席研究員
委 員
今川 信作
核融合科学研究所 炉システム・応用技術研究系 研究主幹
委 員
小川 雄一
東京大学大学院 教授
委 員
小西 哲之
京都大学エネルギー理工学研究所 教授
委 員
谷川 博康
日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門
核融合炉構造材料開発グループ リーダー
委 員
飛田 健次
日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門
核融合炉システム研究グループ リーダー
委 員
長谷川 満
日本原子力産業協会 ITER・BA対応検討会 委員
委 員
堀池 寛
大阪大学大学院 教授
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付録 3
ロードマップ等検討ワーキンググループの審議経過
第 1 回 平成 19 年 10 月 26 日
電力中央研究所 大手町本部
審議事項
・文部科学省からの依頼事項について
・ワーキンググループにおける審議の進め方につい
て
第 2 回 平成 19 年 11 月 9 日
サピアタワー、 京大東京オフィス
審議事項
・作業手順の確認
・原型炉概念の考え方
第 3 回 平成 19 年 11 月 22 日
電力中央研究所 大手町本部
審議事項
・ITER における WBS リストについて
・原型炉ミッションの定義
第 4 回 平成 19 年 12 月 3 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ITER における WBS リストについて
・原型炉ミッションの定義(追加)
第 5 回 平成 19 年 12 月 7 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ワーキングブレークダウンリストの作成
第 6.回 平成 19 年 12 月 21 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ワーキングブレークダウンリストの作成
第 7 回 平成 19 年 12 月 26 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ワーキングブレークダウンリストの作成
第 10 回 平成 20 年 1 月 24 日
電力中央研究所 大手町本部
審議事項
・報告書本文内容の検討
・ロードマップをベースとした人材計画の検討
第 11 回 平成 20 年 2 月 15 日
電力中央研究所 大手町本部
審議事項
・中間報告書内容の検討
・ロードマップをベースとした役割分担、開発
規模の検討
第 12 回 平成 20 年 3 月 19 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ITER・BA 技術推進委員会において出た意見
などの報告と検討
・ロードマップをベースとした役割分担、開発
規模の検討
第 13 回 平成 20 年 4 月 16 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・運営委員会において出た意見などの報告と検
討
・ロードマップをベースとした役割分担、開発
規模の検討
第 14 回 平成 20 年 5 月 20 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ITER・BA 技術推進委員会の報告
・ITER 計画の日程についての確認
・ロードマップをベースとした役割分担、開発
規模の検討
第 8 回 平成 20 年 1 月 8 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ワーキングブレークダウンリストの全体整合性チ
ェック
・報告書本文内容の検討
第 15 回 平成 20 年 6 月 13 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ITER・BA 技術推進委員会の報告
・ロードマップをベースとした役割分担、開発
規模の検討
・ロードマップと技術戦略の最終報告書に関す
る検討
・人材に関する最終報告書の検討
第 9 回 平成 20 年 1 月 16 日
サピアタワー 京大東京オフィス
審議事項
・ワーキングブレークダウンリストの全体整合性チ
ェック
・報告書本文内容の検討
・ロードマップをベースとした人材計画の検討
第16回 平成 20 年 6 月 17 日
電力中央研究所 大手町本部 第二会議室
審議事項
・ロードマップをベースとした役割分担、開発
規模の検討
・ロードマップと技術戦略の最終報告書の確認
・人材に関する最終報告書の確認
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付録 4
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会
核融合研究作業部会への説明経緯経過
同作業部会
第 10 回
平成 20 年 2 月 6 日(水曜日)15 時~17 時
報告事項
文部科学省から ITER・BA 技術推進委員会への依頼事項
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/017/08031120/002.pdf)
(本報告付録 1 と同内容)
にそった検討結果として
1)ITER(イーター)・BA 技術推進委員会ロードマップ等検討ワーキンググループ中間報告
2)核融合研究分野における人材の確保について
の二点を報告。詳細、ならびに配布資料は以下参照。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/017/08031120.htm
同作業部会
第 11 回
平成 20 年 4 月 2 日(水曜日)15 時~17 時
報告事項
1)核融合研究分野における人材育成・確保について
を報告。詳細、ならびに配布資料は以下参照。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/shiryo/017/08042403.htm
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