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子どもの予想外の発言 - 富山県総合教育センター
富山市教育センターだより 第33号 平成28年3月23日 ● 学校教育課発 ● 教育センター発 ● 学校紹介 富山市八人町5-17 TEL 076-431-4404 http://www.tym.ed.jp/c10 (題字 「道」 明瀬 正則) 子 ど も の 予 想 外 の 発 言 学校教育課 富山市学校教育指導方針には[子どもの予 想外の発言にも耳を傾け、展開に生かす]と あります。授業の例ではありませんが、わた しが3年生を担任していたときのことです。 朝の会の話合いで、『春』というテーマを出 したとき、「太陽が暖かく感じます」「家族で 花見に行きます」 「 犬が散歩に行きたがります」 などと、自然や生き物の変化が当然のように 話題になっていたとき、突然、Yaくんが、 にこにこしながら勢いよく挙手してきたので す。その勢いと笑顔に押された私は、思わず Yaくんを指名しました。 すっと立ち上がったYaくんは、「みんなと (話の内容が)違うのですが、いいですか」 とわざわざ前置きをした上で、 「春になると、お母さんがきれいになります」 と、大きな声ではっきりと言い切ったのです。 とたんに学級内がざわつき、しばらくする と、何人も勢いよく挙手してきました。そし て、「Ya、ちょっと言いにくいけれど、おま えの母さん、そんなにきれいだったっけ」「わ たしのお母さんも、きれいになったかも」「そ れはきれいになるというより、化粧が濃くな るの」という意見が次々と出てきたのです。 Yaくんは、冬から春という季節の変化を 考えているうちに、服装の変化を含め、お母 さんの笑顔と華やかな姿を思い浮かべたに違 いありません。そして、人間も含めてこの世 の中のすべてが、春になると等しく "希望" "喜び" 等を享受していると感じたのです。 課長 武 島 浩 予想外の発言をどう受け止めてよいのか分 からず困ってしまった教師とは対照的に、「お 母さんはそんなにきれいか」と、すかさず突 っ込むことで明るい雰囲気を生み出した子ど も、「わたしのお母さんもきれいに」と、自分 の母親を思い浮かべてYaくんの発言を支え ようとした子ども、さらに「それは化粧が濃 くなるの」と、お母さんが美しく見えた理由 を考えた子どもまでいたのです。 確かに、[予想外の発言にも耳を傾け、展開 に生かす]ことは、簡単なことではありませ ん。なぜなら、予想外の発言には子どもらし い純粋な発想があり、大人である教師は戸惑 ってしまうことが多いからです。一方、子ど もたちはさり気なく受け止め、自然に反応し ている場合が多いのではないでしょうか。 授業が意図的・計画的に行われるものであ ることから、教師のはたらきは、ねらいを意 識して授業を進めていくことです。 そして、進めていく中で、教師の想定を超 えた発言が出てきたときは、ねらいを意識し つつも、子どもと共に発言を柔軟に温かく受 け止めることが大切です。具体的には、楽し い話には心から笑ったり、はっきりさせたい ことには「もう少し詳しく話してほしい」と すぐに確かめたり、気持ちが伝わってきたと きには「とってもうれしかったんだね」と発 言したくなった気持ちに共感したりすること で、予想外の発言を展開に生かすきっかけが、 生まれてくると思うのです。 −1−