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中山間地域の道づくりにおける利用者の満足度向上

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中山間地域の道づくりにおける利用者の満足度向上
2015年度
修士論文
中山間地域の道づくりにおける利用者の満足度向上に関する提案
Suggestions on the increase user satisfaction for the road improvement
in intermediate and mountainous area
2016年3月
主指導教員
島
副指導教員
福田
高知工科大学大学院
工学研究科
弘
昌史
基盤工学専攻
社会システムマネジメントコース
学籍番号
1187007
谷脇
久志
目
次
1章 研究概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.1はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.2研究の背景と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2章 社会資本整備総合交付金・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2.1社会資本整備総合交付金とは・・・・・・・・・・・・・・・ 3
3章 高知県の道路(現状)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3.1高知県の道路予算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3.2道路改良率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
4章 高知県における社会資本整備総合交付金事業・・・・・12
4.1高知県の社会資本総合整備計画と交付金事業・・・・・・・・12
5章 馬路村における道路アンケート調査
5.1馬路村の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
5.2馬路村の県道状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
5.3道路アンケート調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・27
6章 今後の中山間地域の道づくり・・・・・・・・・・・・77
6.1安芸土木事務所管内の道路状況・・・・・・・・・・・・・・77
6.2今後の中山間地域の道づくり・・・・・・・・・・・・・・・77
7章 新たな定量的指標、成果目標及びその評価方法・・・・79
7.1社会資本総合整備計画への反映・・・・・・・・・・・・・・79
7.2今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
8章 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84
参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
1章 研究概要
1.1 はじめに
現在、高知県内の地方自治体では、社会資本整備総合交付金を活用し、イン
フラの整備や長寿命化、耐震対策工事などを行っている。
県総面積に占める林野面積割合が84%(全国1位)の高知県では、中山間
地域の道づくりにおいても、例外なくこの交付金を活用している。
社会資本整備総合交付金では、地方自らが目標を設定し、事後公表を行うこ
とから、計画全体(パッケージ)としての効果指標(アウトカム)が重要視さ
れている。
高知県では、県道の改良率が連年の全国ワースト1位となっている。
特に整備が遅れている中山間地域においては、現状を踏まえ、これまでの国
の金太郎飴的な指標ではなく、県自らが地域の住民目線で、遅れている中でも、
住民満足度の向上へとつながる効果目標などを設定し、その目標に向け行動を
起こす時期が来たと考えている。
本研究は、県道の改良率全国ワースト1位ばかりに目を向けるのではなく、
地域満足度1位を目指した、これからの道づくりへの提案を行うものである。
1.2 研究の背景と目的
これまで、県などが行う道路改良事業について、国からの補助金は、事業別
に交付され、採択時にはB/C(費用便益費)が1.0以上という条件などが
付されていた(個別補助金)。
このB(3便益)は、全国統一の金太郎飴的な、
「①走行時間短縮便益」、
「②
走行経費減少便益」、「③交通事故減少便益」からなり、将来交通量が多いと推
測できる都市部では大きく、逆に少なくなる地方部では小さくなり、マスコミ
の偏った報道などと相まって、実情は無視され、地方の道路整備は無駄という、
大きな誤解まで招いたのである。
この個別補助金については、国が詳細に事前審査をし、個別箇所付けを行い、
事業個々のアウトプットに着目したものであった。
民主党政権時の平成22年度に、地方にとって自由度が高く、創意工夫を生
かせる総合的な交付金として社会資本整備総合交付金が創設された。
これは、箇所付けという個別事業への補助金制度から、地域が課題解決する
ための、パッケージという大括り計画への交付金に転換されたものである。
自民党政権に戻った現在も、変遷を経ながら、制度は継続している。
平成27年度、高知県道路課においては、計画を策定した5つのパッケージ
により、この交付金制度を活用している。
1
県道路課の平成27年度県予算では、全体の64.9%をこの交付金事業が
占めている。
社会資本整備総合交付金では、地方自らが目標を設定し、事後公表を行うこ
とから、計画全体(パッケージ)としての効果指標(アウトカム)が重要視さ
れている。
この交付金を活用した事業の中で、一般国道や市街地の県道、インターチェ
ンジへのアクセス道路などは、道路を2~4車線に改良し、「移動時間の短縮」
が早期に実現することから、多くの道路利用者が事業効果を実感することが可
能である。
一方、県内の中山間地域の道路では、急峻で脆弱な地形的・地質的条件と厳
しい気象条件により、自然災害を受けやすい土地柄であることなどから、整備
に時間を要しているのが現状である。
このようなことから、本研究では、特に整備が遅れている中山間地域(狭隘
な道路)の馬路村をフィールドに、住民の道づくりに対する思いをアンケート
調査で把握し、結果を参考に、社会資本整備総合交付金事業における、中山間
地域の住民目線で、満足度の向上へとつながる効果目標などを考察し、今後の
道づくりへの提案を行うことを目的とするものである。
2
2章 社会資本整備総合交付金
2.1 社会資本整備総合交付金とは
「社会資本整備総合交付金」は、国土交通省所管の地方公共団体向け個別補
助金を一つの交付金に原則一括し、地方公共団体にとって自由度が高く、創意
工夫を生かせる総合的な交付金として平成22年度に創設された。
これは、地方公共団体が作成した社会資本総合整備計画に基づき、目標実現
のための基幹的な社会資本整備事業のほか、関連する社会資本整備やソフト事
業を総合的・一体的に実施できるよう、国が地方公共団体に交付するものであ
る。
「社会資本整備総合交付金」の概要、特長及び変遷については、以下の図に
示すとおりである。
3
図-1
社会資本整備交付金の概要(出典:国交省HP)※1
4
図-2
個別補助と比較した交付金制度の特長(出典:国交省HP)※1
5
図-3
交付金制度の変遷(出典:国交省HP)※1
6
3章 高知県の道路(現状)
3.1 高知県の道路予算
高知県の道路予算の年次推移は、平成10年度の62,723百万円をピー
クに右肩下がりを続け、平成22年度には27,089百万円(ピーク時の4
3%)と底をうった。平成27年度は30,249百万円(ピーク時の48%)
となっている。
平成27年度の高知県全体の予算は、458,452百万円であることから、
県全体では6.6%分を道路予算が占めていることになる。
平成27年度県道路課の予算の中で、社会資本整備総合交付金事業の占める
額は以下のとおりである。
①社会資本整備総合交付金事業費
2,757百万円(
9.1%)
②防災安全交付金事業費
16,873百万円(55.8%)
③合計(①+②)
19,630百万円(64.9%)
また、B/C評価の、個別補助金(道路改築費)が占める額は以下のとおり
である。
①道路改築費
341百万円(
1.1%)
7
8
図-4
道路予算(出典:高知家の道路 2015)※2
図-5
平成27年度
道路予算内訳※2
9
3.2 道路改良率
Ⅰ 四国8の字ネットワーク(高規格道路)整備率(H27.3.31)
甚大な被害が想定されている南海トラフ地震の発生確率が高まる中、大規模
災害時に救援救助活動を支えるとともに、緊急輸送道路となり、災害に強い国
土を形成し、人々の安全安心な暮らしを確保するための「四国8の字ネットワ
ーク(命の道)」は進捗率が52%で、四国ワースト 1 位である。
Ⅰ-1 四国4県別の改良率
・徳島県
64%
・香川県
100%
・愛媛県
84%
・高知県
52%(四国ワースト1位)
・四国平均
71%
Ⅱ 一般道路改良率(H25.4.1)
高知県は、山地が多く、標高1,000m以上の山岳が100を超え、県総
面積に占める林野面積割合が約84%と全国 1 位である。
県内道路は、急峻で脆弱な地形的・地質的条件と厳しい気象条件に加え、自
然災害を受けやすい土地柄であることなどから、改良率は、県道が全国ワース
ト1位(39%)、市町村道が全国ワースト3位である(44%)。
Ⅱ-1 一般国道改良率
・全国平均
92%
・四国平均
86%
・高知県
84%
Ⅱ-2 都道府県道改良率
・全国平均
69%
・四国平均
52%
・高知県
39%(全国ワースト1位)
Ⅱ-3 市町村道改良率
・全国平均
58%
・四国平均
50%
・高知県
44%(全国ワースト3位)
10
11
図-6
道路整備状況(出典:高知家の道路 2015)※2
4章 高知県における社会資本整備総合交付金事業(道路)
4.1 高知県の社会資本総合整備計画(道路)と交付金事業
高知県では、以下の社会資本総合整備計画(道路)を作成し、これに基づい
て事業を実施している。
1.地域の活力を支え、県民生活の安全・安心を確保する命の道づくり
2.四国8の字ネットワーク IC 等高規格道路へつながる道路整備
3.南海地震に備え、県民の命と暮らしを守る道づくり(防災・安全)
4.道路ストックの戦略的な維持管理・更新の推進
5.通学路の要対策箇所における安全・安心の確保
それぞれの計画の目標、計画の成果目標(定量的指標)、定量的指標の定義及
び算定式は以下の表-1から表-5に示すとおりである。
計画の目標は、高知県の抱える課題に対して、県自らで対応方針及び整備目
標を設定し、自らの考えた定量的指標で表すようになっている。
この交付金を活用した事業では、一般国道や市街地の県道、インターチェン
ジへのアクセス道路などは、道路を2~4車線に改良し、時間短縮を早期に達
成できることから、多くの道路利用者が事業効果を実感することが可能である。
その反面、県内の中山間地域の道路は、急峻で脆弱な地形的・地質的条件と
厳しい気象条件により、自然災害を受けやすい土地柄であることから、道路改
良が進捗しない。
この状況では、国の示す従来の道路構造令どおりの手法によれば、中山間地
域の道路整備は、莫大な費用や年月を要することから、約10年前、国に対し
て、地域の実情に応じた道路整備を進めることが可能な、新たな手法「1.5
車線的道路整備」を提案し、高知県方式として新規に国の事業採択を受けた。
これにより、少ない予算を最大限に活用して、中山間地域の道路整備を進捗
し、現在に至っている。
中山間地域の道路整備については、指標等が、主に前述の社会資本総合整備
計画、
「1.地域の活力を支え、県民生活の安全・安心を確保する命の道づくり」
に、包括される。
この計画の定量的指標は、
「移動時間の短縮に伴って安全に交流・物流できる
12
エリアの拡大」である。
一方、県内市町村において、国道などの幹線道路から役場までの間で、2車
線道路改良が完成していないのは、馬路村と大川村の2村のみとなっている。
これらの村は、台風や豪雨時の事前規制や、災害による通行止めなどが毎年
頻発することから、住民の道づくりに対する関心が高いと考えることができる。
このようなことから、特に整備が遅れ、国道55号から役場までつながる県
道の2車線改良が完了していない、東部の中山間地域に位置する馬路村で、住
民の道づくりに対する思いを把握するためのアンケート調査を実施する。
この調査結果を基に、住民の意向は、現在の指標に照合してどうなのかを分
析する。結果に相違がある場合は、それを反映した、県内中山間地域の道づく
りに関する定量的指標、成果目標を提案する。
それらを実行することは、中山間地域住民の満足度向上へとつながり、今後
の整備計画をさらに充実したものとすることができると考えている。
13
社会資本総合整備計画(道路1)※3
《計画の名称》
1.地域の活力を支え、県民生活の安全・安心を確保する命の道づくり
《計画の期間》
平成26年度~平成30年度
《計画の目標》
高知県では高速道路の整備や幹線道路の改良の遅れが県内生産力の低迷を招
き、地域間競争力の確保や広域連携・交流機能を阻害する要因となっている。さら
に、南海地震などの災害に対しても脆弱な地形・地質状況のため、安全で安心でき
る幹線ネットワークの形成が十分ではないことから、以下を重点目標に掲げ、地域
の活力を支えるとともに、県民生活の安全・安心を確保する命の道づくりを進める。
・工業、林業、水産業、農業などの地域産業を支援する道路整備を図る。
・点在する中山間の道路整備を図る。
・県内広域に点在する観光施設を支援する道路整備を図る。
・避難や救援活動及び復旧活動を支援するために、災害に強い道路網の構築を図
る。
《計画の成果目標(定量的指標)》
移動時間の短縮に伴って安全に交流・物流できるエリアの拡大
《定量的指標の定義及び算定式》
短縮時間×現況旅行速度
※「短縮時間」=(整備延長/現況旅行速度)-(整備延長/要素事業の設計速度)
《定量的指標の現況値及び目標値》
当初現況値
中間目標値
最終目標値
(H26当初)
(H28末)
(H30末)
0km
4km
7km
表-1 地域の活力を支え、県民生活の安全・安心を確保する命の道づくり
14
社会資本総合整備計画(道路2)※3
《計画の名称》
2.四国8の字ネットワーク IC 等高規格道路へつながる道路整備
《計画の期間》
平成 24 年度 ~ 平成 28 年度 (5 年間)
《計画の目標》
整備が進む四国8の字ネットワークをはじめとする高規格道路 IC へのアクセス道
路を整備することにより、産業の支援、地域活性化、救急医療体制の強化、住民の
利便性向上など、地域のあらゆる施策につなげ、移動時間短縮や人々の安全、安
心の確保などにより、暮らしの質の向上を図る。
《計画の成果目標(定量的指標)》
・IC アクセス道路整備率の向上
《定量的指標の定義及び算定式》
・IC アクセス道路整備率=事業区間の整備済延長/事業計画延長
《定量的指標の現況値及び目標値》
当初現況値
中間目標値
最終目標値
(H24当初)
(H26末)
(H28末)
47.5%
60.0%
70.0%
表-2 四国8の字ネットワーク IC 等高規格道路へつながる道路整備
15
社会資本総合整備計画(道路3)※3
《計画の名称》
南海地震に備え、県民の命と暮らしを守る道づくり(防災・安全)
《計画の期間》
平成 24 年度 ~ 平成 28 年度 (5 年間)
《計画の目標》
南海地震や頻発する風水害・土砂災害に備える事前防災・減災対策、老朽化が進
行する道路構造物の計画的な維持管理・改修、危険な通学路の交通安全対策等、
これらの対策を効果的に実施し、県民の命と暮らしを守る道づくりを進める。
《計画の成果目標(定量的指標)》
①
学路の緊急合同点検によって抽出された道路管理者が実施すべき要対策
箇所の対策完了割合を 0%(H24)から 70%(H28)に増大させる。
②既存橋梁の健全度の上昇
③道路法面からの落石・崩壊等災害の減少
《定量的指標の定義及び算定式》
①
学路の緊急合同点検対策必要箇所における対策完了割合
・対策済み箇所数 / 対策必要箇所
②橋梁の修繕完了割合
・修繕完了橋梁数 / 橋梁長寿命化修繕計画のうち5年内に事業着手する
橋梁数
③落石・崩壊等危険箇所(要対策箇所)の対策完了割合
・対策完了箇所数 / 落石・崩壊等危険箇所(要対策箇所)数
《定量的指標の現況値及び目標値》
当初現況値
中間目標値
最終目標値
(H24当初)
(H26末)
(H28末)
①
0%
① 30%
① 70%
②
0%
② 20%
② 60%
③ 22%
③ 23%
③ 24%
表-3 南海地震に備え、県民の命と暮らしを守る道づくり
16
社会資本総合整備計画(道路4)※3
《計画の名称》
道路ストックの戦略的な維持管理・更新の推進
《計画の期間》
平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 (5 年間)
《計画の目標》
老朽化が進行する道路構造物の戦略的な修繕・更新を推進し、道路ストックの延
命化・高機能化を図り、効率的メンテナンスサイクルを確立し、健全度を良好な状態
に保つ。
《計画の成果目標(定量的指標)》
既存の道路ストックを対処療法的な事後保全型修繕から計画的な事前予防型修
繕を実施しメンテナンスサイクルを確立することにより、高機能化・延命化を推進す
る。
①既設橋梁の健全度向上
②既設トンネルの健全度向上
③既設舗装の機能向上
《定量的指標の定義及び算定式》
①橋梁の修繕着手割合
・修繕着手橋梁数 / 計画期間に事業着手する必要橋梁数
②トンネルの修繕着手割合
・修繕着手トンネル数 / 計画期間に事業着手する必要トンネル数
③舗装の修繕実施延長
・舗装修繕延長/計画年内の対策必要な舗装修繕延長
《定量的指標の現況値及び目標値》
当初現況値
中間目標値
最終目標値
(H25当初)
(H27末)
(H29末)
①
0%
②
0%
③
0%
① 50%
② 40%
③ 60%
① 100%
② 100%
③ 100%
表-4 道路ストックの戦略的な維持管理・更新の推進
17
社会資本総合整備計画(道路5)※3
《計画の名称》
通学路の要対策箇所における安全・安心の確保(防災・安全)
《計画の期間》
平成 27 年度 ~ 平成 31 年度 (5 年間)
《計画の目標》
学校、教育委員会、警察等と実施した通学路の緊急合同点検及び通学路交通安
全プログラムに基づき抽出された要対策箇所の解消に向けて、着実かつ効果的な
取組を推進し、通学路の交通安全を確保する。
《計画の成果目標(定量的指標)》
通学路の緊急合同点検及び通学路交通安全プログラムに基づき抽出された道路
管理者が実施すべき要対策箇所の対策完了割合を 0%(H27)から 70%(H31)に増大さ
せる。
《定量的指標の定義及び算定式》
通学路の緊急合同点検及び通学路交通安全プログラムに基づく要対策箇所にお
ける対策完了割合
・対策済み箇所数 / 要対策箇所数
《定量的指標の現況値及び目標値》
当初現況値
中間目標値
最終目標値
(H27当初)
(H29末)
(H31末)
0.0%
30.0%
70.0%
表-5 通学路の要対策箇所における安全・安心の確保
18
5章 馬路村における道路アンケート調査
5.1 馬路村の概況
5.1.1 概要
馬路村は馬路・魚梁瀬の二つの大字からなり、藩政時代以降、馬路・魚梁瀬
の両村に分かれていたが、明治22年に馬路村として発足、現在に至っている。
古来より杉の産地として知られており、特に魚梁瀬の千本杉は美林として有名
である。
総面積の96%が山林であり、しかもこの山林の75%を国有林が占めると
いう特異な構造の村で、かつては二つの営林署によって国有林の経営が行われ
てきた林業の村である。しかし、山村特有の過疎化は例外ではなく、国有林野
事業の経営合理化による職員の転出がこれに拍車をかけた。
そんな中、村は平成13年に振興計画の柱として「永遠のふるさと馬路村」
づくりを揚げ、個性ある自立したむらづくり、持続可能な村づくり、高度情報
化を駆使したむらづくり、人が元気になるむらづくりに視点を置き、観光や林
業・ゆず産業などの地場産業の振興を目指した村づくりが進められている。
特に昭和56年からゆず加工品の販売を始め、馬路村公認飲料「ごっくん馬路
村」などのヒットにより、平成17年に売上30億円、年間観光客が60,000人まで
成長した。
(出典:馬路村HP※4)
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の
ごっくん馬路村
ゆずを利用した化粧品
ミュージアムストアで取り扱われた monacca
(馬路村ふるさとセンター HP より ※5)
19
5.1.2 世帯数及び人口の推移(出典:馬路村HP※4)
平成2年に1,313人(535世帯)を数えた人口も、平成27年度には
941人(453世帯)と千人を割り込み、高知県の市町村では2番目に少な
い人口の村である。
高齢化率も35.5%(平成22年度)で、全国平均22.8%より12.
7ポイントも高い。高知県内山村で進む過疎と高齢化の課題を抱える村でもあ
る。
表-6 馬路村世帯数・人口の推移
20
5.1.3 実質公債費比率(出典:高知県HP※6)
平成25年度の馬路村の実質公債費比率は6.8%で、県内34市町村中2
8番目に低く、人口は少ないが、財政的には安定した運営ができている。
表-7 高知県内市町村の実質公債費比率
21
5.1.4 ゆずの生産高と加工品販売高(出典:馬路村HP※4)
ゆず加工品の販売高は、平成17年に30億円を超え堅調に推移している。
H27村の人口で計算すると、
3.48百万円/人の販売高とな
る。
表-8 馬路村のゆず生産量、加工品販売高の推移
22
5.1.5 馬路温泉の利用状況(馬路村HP※4<H25,26 馬路村役場聞き取り>)
馬路村の観光拠点となる馬路温泉の利用状況は、5~7万人前後で推移して
いる。
利用者数が少ない年は、台風や豪雨等自然災害の影響を受け、県道の通行止
めが長期に発生した時期と重なる。
自然災害により、脆弱な道路が通行止めになると、生活をする住民をはじめ、
観光産業は大きな打撃を受けることになる。
表-9 馬路温泉利用者数の推移
23
5.2
馬路村の県道状況
5.2.1 県道の概要
馬路村には、以下の3路線の県道が通っている。
【主要地方道】
・県道12号 安田東洋線
安田町の国道55号から馬路村役場を経由し、北川村の国道493号に至る
県道。馬路村の住民にとっては最も利用機会が多い道路である。
・県道54号 魚梁瀬公園線
馬路村魚梁瀬地区から県道安田東洋線に至る県道で、魚梁瀬地区より馬路村
中心部へ至るにはこの道路を通らなくてはならず、村内の移動でも途中北川村
を経由することとなる。
【一般県道】
・県道370号 千本山魚梁瀬線
ヤナセ杉の美林で有名な千本山の登山口から馬路村魚梁瀬地区に至る県道で、
周辺に人家は無く、主に林業作業者と観光客が利用する道路である。
アンケートの回答は、県道安田東洋線と魚梁瀬公園線への住民の思いを反映
したものとなる。
図-7 馬路村内を通る県道の状況
24
5.2.2
3路線の道路改良率
3路線の道路改良率(幅員5.5m以上)は、以下のとおりである。
・安田東洋線
15.2%
・魚梁瀬公園線
42.3%
・千本山魚梁瀬線
0%
・3路線平均
16.0%
馬路村の住民にとって、最も利用機会が多い安田東洋線の改良率が、15.
2%と県平均の39%と比較しても、著しく低率である。
県道改良率(平成26年4月1日現在)
路線
番号
12
延長(m)
市町村名
安田東洋線
安田町
北川村
馬路村
16,668
16,415
9,606
42,689
3,641
712
2,152
6,505
21.8%
4.3%
22.4%
15.2%
北川村
馬路村
3,880
3,974
7,854
1,360
1,966
3,326
35.1%
49.5%
42.3%
馬路村
11,035
0
0%
路線計
54
魚梁瀬公園線
路線計
370
幅員5.5m
以上区間(m)
路線名
千本山魚梁瀬線
3路線合計
表-10 馬路村を通る県道の改良率
改良率
61,578
9,831
16.0%
(出典:高知県の道路状況より) ※7
5.2.3 県道の異常気象時通行規制(高知県HP※8)
県内の異常気象時通行規制区間では、大雨や台風などの異常気象時に、道路
利用者を災害から守るため、道路の通行を一時的に規制(通行止め)している。
それぞれの区間の通行規制基準は、道路周辺の状況と気象の状況(降雨量、
風速等)を基準として、異常気象時における事故を未然に防止することができ
るように定めたものである。
県内の異常気象時通行規制区間は以下のとおりである。
・国道
15区間
146.5km
・県道
72区間
600.8km
・合計
87区間
747.3km
25
5.2.4
3路線の異常気象時通行規制区間(高知県HP※8)
馬路村に関連する3路線の異常気象時通行規制区間は、次表に示すとおり、
6区間55.9kmである。
道路改良が完了していない区間は、規制雨量値に達すると、通行止めとなり
迂回路がないことで、地域住民が孤立状態となる。
表-11
5.2.5
バス路線(唯一の公共交通)〔高知県東部交通HP※9〕
バス路線は安田東洋線と魚梁瀬公園線の2路線を通る。
(平日)
・安芸⇔馬路 2往復
・安芸⇔馬路⇔魚梁瀬
2往復
(休日)
・安芸⇔馬路 1往復
・安芸⇔馬路⇔魚梁瀬
2往復
26
5.3 道路アンケート調査結果
5.3.1 アンケートの目的
馬路村では、道路整備が遅れ、台風や豪雨時の事前規制や、災害による通行
止めなどが毎年頻発することから、住民の道づくりに対する関心が高いことが
考えられる。
国道55号から役場までつながる主要な県道でさえも、2車線改良が完了し
ていないことから、住民が道づくりに対しどのような思いを抱いているのかを
アンケート調査で把握し、それを基に住民の意向の分析を行う。
5.3.2
アンケートの概念
この住民アンケートで、特に着目する点は、以下のとおりである。
・県道の整備が進んだことを実感しているか、それを移動時間の短縮や安全の
向上など、どの部分で感じているのか。
・現在の道づくりや現道に対して、どのような部分に不満を感じ、どう改善(道
路改良、局部改良、維持修繕の手法等)してもらいたいと考えているのか。
・全ての質問について、村の現状からの推定が可能なように、性別、年代別で
集計を行った。
27
5.3.4アンケート結果の概要及び考察
※11
①.回答者に関して
・回答者の内訳を男女比で見ればほぼ拮抗しているが、世代別で見れば、少子高齢化の進展している
馬路村の現状を反映して、圧倒的に 60 歳以上の高齢者世代が約 59.8%と多い。特に女性では約 61.3%
が高齢者世代である。………図-A-3,図-A-4
・回答者に占める 50 歳以上の世代の比率を見ると約 75.8%もの高率となる。………図-A-3,図-A-4
・馬路村に於ける 60 歳以上の高齢者人口比率(一般に使われる「高齢化率」は 65 歳以上の人口比率)
が、約 43.7%(馬路村 HP:2011 年 12 月データ)であることを考慮すると、高齢者世代に於ける回
収率の高さは、高齢者世代の道路行政、もしくは一般行政に対する関心の高さを表しているとの解
釈も可能である。また、近年の選挙等でもみられる若い世代の無関心層の増加がアンケート結果に
表れていると見ることもできる。
 アンケート配布日
:2015 年 10 月 6 日・火曜日(馬路村役場広報に同封)
 馬路村の人口統計
:941 人(453 世帯) [2015 年 10 月 31 日現在:馬路村 HP より転載]
 アンケート配布部数(全世帯)
 人口(男)
436 人
 人口(女)
505 人
人口(計)
941 人
:453 世帯
 アンケート回収部数(回答者総数) :244 人(134 世帯)
 男性に回答者
125 人
 女性の回答者
119 人
回答者(計)
244 人
 アンケート回収率(回収世帯数/配布世帯数×100) :29.6%
28
回答者性別・世代構成
図-A-1
図-A-2
図-A-3
図-A-4
29
回答者性別・世代構成
図-A-5
図-A-6
30
②.アンケート集計結果及び考察
(問 1)自動車を保有していますか?
・公共交通の整備されていない地域事情を反映して、自動車の保有率は約 80.5%と高率であり、50 歳
までの世代で見れば、自動車の保有率は約 87.6%である。………図-1-1,図-1-3
・男女比で見れば男性のほうがより自動車の保有率が高いが、これは世帯の中では男性が職業を持ち
家計を支えている場合が多く、プライベート以外の用途も含めて、車への依存度が高いためと思わ
れる。
・車を保有していない回答者の大半は高齢者(約 73.9%)であり、高齢者の多くは免許を保持してい
ないか高齢のため免許を返納しており、免許を保持していながら車を保有していない高齢者は少数
(9 人)である。………図-1-3,図-3-3(問 3)
・自動車を保有していない回答者も、世帯としては車を保有しているため、車による移動が必要な際
は家族の運転する車に便乗したり、運転免許を保持している場合は家族の車を借りて運転するなど
の形で、道路を利用していると考えられる。………図-5-1(問 5)
集計結果
(問 1)自動車を保有していますか?・・・総数 236
a
はい
190
b
いいえ
46
未回答
8
図-1-1
図-1-2
31
集計結果
(問 1)自動車を保有していますか?・・・総数 236
a
はい
190
b
いいえ
46
未回答
8
図-1-3
図-1-4
32
(問 2)自動車を保有している方は、台数及び車種を教えてください。
・車種別で見れば、普通乗用車・軽自動車・軽トラックの 3 車種で全体の 86.7%を占めており、通勤
通学・営業・買い物・通院など、日常生活の“足”必需品として保有していることがうかがえる。
………図-2-1,図-7-1(問 7)
・軽トラックを保有する男性に於ける 60 歳以上の世代比率が 83.0%と高く、40 歳代・30 歳代が各 1
人で 20 歳代以下は 0 人となっているのは、主に高齢者が農業や林業に従事しており、馬路村の基幹
産業である農林業の担い手が高齢化が進み、後継者不足が深刻になっていることを反映していると
考えられる。………図-2-3
集計結果
(問 2)自動車を保有している方は、台数及び車種を教えてください。・・・総数 279
a
大型車(トラック・バス)
2
d
軽トラック
b
普通乗用車
89
e
その他(バイク・原付)
c
軽自動車
89
図-2-1
64
35
図-2-2
33
集計結果
(問 2)自動車を保有している方は、台数及び車種を教えてください。・・・総数 279
a
大型車(トラック・バス)
2
d
軽トラック
b
普通乗用車
89
e
その他(バイク・原付)
c
軽自動車
89
64
35
図-2-3
図-2-4
34
(問 3)運転免許証をお持ちですか?
・公共交通の整備されていない地域事情を反映して、運転免許の保持率は 88.4%と高率である。
………図-3-1
・世代別にみれば、20 歳~50 歳の世代はほとんどが運転免許を保持(約 94.8%)しており、生産年齢
世代における自動車への依存度の高さが見て取れる。………図-3-3
・60 歳以上の世代に於ける免許保持率も 83.8%高率であり、高齢者にとっても自動車が生活必需品で
あることが分かる。………図-3-3
・男女比で見れば男性のほうがより運転免許保持率が高く、日常生活に於ける自動車への依存度は、
公私を問わず男性の方が高いことを示している。………図-3-4
・運転免許を保持していない回答者の多くが高齢者(約 81.5%)で、そのうち女性が 77.3%を占めてい
るが、これら女性回答者はもともと運転免許を保持していなかったと思われる。
………図-3-4,図-4-4(問 4)
集計結果
(問 3)運転免許証をお持ちですか?・・・総数 233
a
はい
206
b
いいえ
27
未回答
11
図-3-1
図-3-2
35
集計結果
(問 3)運転免許証をお持ちですか?・・・総数 233
a
はい
206
b
いいえ
27
未回答
11
図-3-3
図-3-4
36
(問 4)(問 1)で“いいえ”を選んだ方:自動車が必要でない理由を下から選んでください。
・自動車が必要でない理由として“a”及び“b”を選んだ人数は(問 3)で“b”を選んだ人数とほぼ
同数であり、その年齢構成も類似していることから、「自動車が必要ない」のではなく、「自動車は
必要であるが、運転免許を保持しておらず、自動車も保有していない」回答者であると推測される。
………図-4-1
・“c”や“d”の回答が少なく、“e”の回答の中に“車のレンタル”や“自分名義ではない車を時々
運転する”或いは“近日保有予定”“家族で 1 台所有”等があることを考慮すると、(問 1)で“い
いえ”を選んだ回答者も、自動車の必要性を強く認識していることが分かる。………図-4-1
集計結果
(問 4)(問 1)で“いいえ”を選んだ方:自動車が必要でない理由を下から選んでください。
・・・総数 40
a
運転免許または自動車を保有していない
b
高齢となり、運転免許を返納した
4
c
道路が狭いから、怖くて運転するのが嫌
2
図-4-1
27
d
e
公共交通(バスなど)を利用するから
その他
2
5
未回答
6
図-4-2
37
集計結果
(問 4)(問 1)で“いいえ”を選んだ方:自動車が必要でない理由を下から選んでください。
・・・総数 40
a
運転免許または自動車を保有していない 27
d
b
高齢となり、運転免許を返納した
4
c
道路が狭いから、怖くて運転するのが嫌
2
公共交通(バスなど)を利用するから
e
その他
2
5
未回答
6
図-4-3
図-4-4
その他の回答
・レンタル
・近日保有予定
・自分名義の車ではない時々自分で運転をする
・病気療養中ペーパードライバー
・家族で一台所有の為
・A が車を保有していて運転してくれる(通院)
38
(問 5)(問 1)で“いいえ”を選んだ方:日常生活での主な移動手段はなにですか?(複数
回答可)
・自動車を保有しない回答者に於ける、日常生活での最大の移動手段は“d”の「家族の運転する車へ
の便乗」であり、これに“b”“c”“e”を加えると、回答者の約 83.6%が、何らかの形で、日常生
活における移動手段として自動車を使用している。………図-5-1
・“f”「その他」の回答の中にも“車のレンタル”や“不便だから車を使う”或いは“A(家族)によ
る車の利用”が記載されており、“a”の「バイク・自転車の利用」も含めると、ほぼ徒歩のみでは
日常生活が成り立たない地域の実情が見て取れる。………その他の回答
・
“b”の利用者が回答者の 19.7%を占めていることを考えると、馬路地区では路線バスが「住民(主に
高齢者)の足」として、一定の役割を果たしていることが伺える。………図-5-1
集計結果
(問 5)(問 1)で“いいえ”を選んだ方:日常生活での主な移動手段はなにですか?(複数回答可)
・・・総数 61
a
バイク・自転車等
b
バス
c
タクシー
図-5-1
7
d
家族の運転する車
31
12
e
知り合いの運転する車
5
3
f
その他
3
図-5-2
39
集計結果
(問 5)(問 1)で“いいえ”を選んだ方:日常生活での主な移動手段はなにですか?(複数回答可)
・・・総数 61
a
バイク・自転車等
b
バス
c
タクシー
7
d
家族の運転する車
31
12
e
知り合いの運転する車
5
3
f
その他
3
図-5-3
図-5-4
その他の回答
・脳疾患による後遺症により左半身マヒの為すべて
・A による車に頼っているレンタル
・道路が狭くて怖いけど、不便だから車を使う
・送迎、バス、徒歩
40
(問 6)県道をどれくらい利用されていますか?
・県道を「ほとんど利用しない」人はごく少数(8 人)に留まり、大半の回答者(約 96.5%)が県道
を重要な交通インフラとして利用している。………図-6-1
・県道を“a”「毎日」または“b”「週 4~5 回(=土日祝日以外)」利用しているとの回答は 50 歳代
以下の世代に多く見られ、通勤・通学や営業・配達等に道路を利用していると考えられることから、
馬路地域への定住人口の定着や就労環境・教育環境の向上のため、県道の果たす役割の大きいこと
が推測できる。………図-6-3,図-7-1(問 7)
・回答者の 59.2%を占める“c”
“d”の世代別内訳をみると、県道の利用頻度が低下するほど 60 歳以
上の高齢者世代の割合が増加する傾向が明瞭に表れており、高齢者介護施設や病院等への通所・通
院に係る利用需要の高いことが分かる。………図-6-3,図-7-3(問 7)
・現況県道に対する思いについては、利用頻度の高い 60 歳未満の回答が重要と考えられる。
集計結果
(問 6)県道をどれくらい利用されていますか?・・・総数 228
a
毎日
56
d
月数回
b
週 4~5 日
29
e
ほとんど利用しない
8
c
週 2~3 日
62
未回答
16
図-6-1
73
図-6-2
41
集計結果
(問 6)県道をどれくらい利用されていますか?・・・総数 228
a
毎日
56
d
月数回
73
b
週 4~5 日
29
e
ほとんど利用しない
8
c
週 2~3 日
62
未回答
16
図-6-3
図-6-4
42
(問 7)県道を利用する主な目的を教えてください。(複数回答可)
・県道を使用する目的は第 1 位が“c”
「買い物」、第 2 位が“d”
「通院」となっており、回答者全体の
約 59.3%が、おそらく村外の商業施設や医療施設を利用するために県道を利用していると思われる。
………図-7-1
・利用目的が“a”
「通勤・通学」との回答者は約 95.2%が 50 歳代以下の生産年齢世代であり、
“b”
「仕
事(営業・配達等)」との回答者も約 47.8%が生産年齢世代であることから、県道の整備はこれら
生産年齢世代の日常生活を支援し、地域の定住人口の増加にも効果があるものと思われる。
………図-7-3
・
“f”
「その他」に記載された“目的に関係なく村外に出るのには必ず県道を利用しなければならない”
とのコメントが象徴するように、県道を利用する目的は、村外の施設・機関等への交通需要に起因
するものが大半を占めている。………その他の回答
集計結果
(問 7)県道を利用する主な目的を教えてください。(複数回答可)・・・総数 386
a
通勤・通学
42
d
通院
b
仕事(営業・配達等)
46
e
観光・レジャー
46
c
買い物
129
f
その他
23
図-7-1
100
図-7-2
43
集計結果
(問 7)県道を利用する主な目的を教えてください。(複数回答可)・・・総数 386
a
通勤・通学
42
d
通院
100
b
仕事(営業・配達等)
46
e
観光・レジャー
46
c
買い物
129
f
その他
23
図-7-3
図-7-4
その他の回答
・通塾
・日曜日および連休等の買物等
・美容院・車の整備
・実家に帰る時に使用
・お見舞
・墓参り
・年のいった親や子供の様子を見に行く
・農作業など
・送迎
・美容院、帰省
・目的に関係なく村外に出るのには必ず県道を利用しなければならない。
・何をするにしても用事がある時は必ず利用しなければならない。
44
(問 8)利用する県道が整備されたことによって、国道 55 号(安田町)までの通行時間が短
縮されたり、通行が安全になったと感じますか?(複数回答可)
・道路整備による時間短縮効果はあまり実感されておらず、ほぼ 10 分以下(全体比 19.8%)となっ
ている。………図-8-1
・“c”“d”“e”など、走行性の改善が実感され評価されていることは、現在実施されている 2 車線道
路改良工事が、現地の脆弱な地形地質構造等から時間を要し、完了工区が途切れていることから、
局部的には以前より良くなっているという評価であると思われる。………図-8-1
・特に“c”「すれちがいが楽になった」点が、性別・世代別を問わず多くの回答者に支持されている
ことを考慮すると、短期的対策としては改良区間を部分的にでも完成させた待避所的箇所の設置等
が、効果を発現する方策と考えられる。………図-8-4
・
“f”
「ほとんど感じない」も全体比 22.9%おり、迂回路のない県道であることから、台風、豪雨時
の事前規制や災害発生時の通行止め、工事施工中の時間規制通行止めが頻発することが影響してい
ると思われる。………図-8-1(問 9 とも関連)
集計結果
(問 8)利用する県道が整備されたことによって、国道 55 号(安田町)までの通行時間が短縮されたり、
通行が安全になったと感じますか?(複数回答可)・・・総数 328
a
5~10 分程度短縮された
65
d
対向車の接近がわかりやすくなった
33
b
10~20 分程度短縮された
10
e
ゆずりあいが楽になった
49
c
すれちがいが楽になった
96
f
ほとんど感じない
75
図-8-1
図-8-2
45
集計結果
(問 8)利用する県道が整備されたことによって、国道 55 号(安田町)までの通行時間が短縮されたり、
通行が安全になったと感じますか?(複数回答可)・・・総数 328
a
5~10 分程度短縮された
65
d
対向車の接近がわかりやすくなった
33
b
10~20 分程度短縮された
10
e
ゆずりあいが楽になった
49
c
すれちがいが楽になった
96
f
ほとんど感じない
75
図-8-3
図-8-4
46
(問 9)お住まいの地域に通じる県道に満足していますか?
・回答の“a”「満足」と“b”「ほぼ満足」を合わせても 18.0%でしかなく、今回アンケートの対象と
した主要地方道 2 路線に対しては、性別・世代別を問わず、地域住民の約 82%が何らかの不満を抱
いていることが分かる。………図-9-1
・中でも “d”「やや不満」及び“e”「不満」と回答した比率は、60 歳以上の高齢者世代が 59.8%で
あるのに対して、50 歳代よりも若い生産年齢世代では約 73.7%となっており、頻繁に県道を利用す
る世代において、県道の現況に対する不満が大きいことが分かる。………図-9-3
集計結果
(問 9)お住まいの地域に通じる県道に満足していますか?・・・総数 222
a
満足
10
d
やや不満
67
b
ほぼ満足
30
e
不満
79
c
どちらでもない
36
図-9-1
未回答
22
図-9-2
47
集計結果
(問 9)お住まいの地域に通じる県道に満足していますか?・・・総数 222
a
満足
10
d
やや不満
67
b
ほぼ満足
30
e
不満
79
c
どちらでもない
36
未回答
22
図-9-3
図-9-4
48
(問 10)お住まいの地域に通じる県道について、改善してほしいところを 3 つ選んでくださ
い。(複数回答)
・回答数の多い順に上位 5 位までを並べると、下記のようになる。………図-10-1
1 位 自然災害(落石・崩壊など)に強くする
4位
急カーブの改善
2 位 道幅を広くする
5位
事前通行規制の解消
3 位 見通しを良くする
・この結果からは見えることは、「自然災害に強く、安全で円滑な通行の確保」と「通行止めの解消」
に集約される。
・“k”「その他」に記載された内容を見ても、「自然災害に対する強化」や「視距改良」「幅員狭小部
の拡幅」或いは災害発生時や工事中における「通行規制の抑制」といったものに対する意見が多く
なっている。………その他の回答
集計結果
(問 10)お住まいの地域に通じる県道にについて、改善してほしいところを 3 つ選んでください。
・・・総数 694
a
道幅を広くする
158
g
自然災害(落石・崩壊など)に強くする 190
b
急カーブの改善
106
h
豪雨時の冠水をなくす
20
c
急な坂道の改善
8
i
事前通行規制の解消
48
d
見通しを良くする
116
j
待避所の設置
11
e
ガードレールの整備
15
k
その他
15
f
歩道の整備
図-10-1
7
図-10-2
49
集計結果
(問 10)お住まいの地域に通じる県道にについて、改善してほしいところを 3 つ選んでください。
・・・総数 694
a
道幅を広くする
158
g
自然災害(落石・崩壊など)に強くする 190
b
急カーブの改善
106
h
豪雨時の冠水をなくす
20
c
急な坂道の改善
8
i
事前通行規制の解消
48
d
見通しを良くする
116
j
待避所の設置
11
e
ガードレールの整備
15
k
その他
15
f
歩道の整備
7
図-10-3
図-10-4
50
(問 10)その他の回答
・舗装の整備
・1 車線でも急カーブに限り 1.5 車線としてはどうでしょう。安全な道路となると思いますが。
・1.5 車線化に、大雨のたびに崩壊し通行止めになる⇒自然災害対策の強化
・山道に広い歩道はいらない
・改良、災害復旧工事時における迂回路・仮設道の設置
・崩壊した所を速やかに直せる業者に頼んでほしい。
・高速道路のような車専用道路の整備で自然災害に影響されない道路の開通を望む
・整備箇所について高額で整備箇所が短いより、経費が安値の所を整備して、改良の所の延長を伸長して通
り易くする。
・改善してほしい事は、役場(支所)を通じてやらなくても直接土木事務所等に伝えられるようなシステムづ
くりをしてほしい(危険でないか?と要望しても全然改善されない)
・県道魚梁瀬公園線は雨の日や冬場の寒い日に霧や靄がかかりやすくて見通しが悪くなります。その時は道
路幅を示す白線があれば本当に助かりますので、白線の整備をお願いします。
・希望としてはa、bの改善を求めますが、急には無理ではないでしょうか。
・県道が通行止めになると不便になります(困る)長期の通行止がないことを希望"
・道幅を広くする工事はどんどんして頂きたいが、土砂崩れの復旧工事や舗装工事での通行止めを少なくし
てもらいたい。特に安田に出るまでに 3 か所で時間制限をしている時があった。
・土木工事用大型ダンプカー、ミキサー車、タンクローリー車木伐運搬用大型トラック、セミトレーラーや
柚子製品運搬用大型トラック等の通行量が多いため、特に急カーブでの行き合いの時危険を感じる
・カーブミラーが汚れていて見えにくいところがあるのできれいにしてほしい。大型のダンプやトラックな
どの通行が多い為、舗装がすぐ痛み道がガタガタ…仕方のないことですが補修は早めにして頂きたいと思
います。
・運転マナーの向上(県道自体についてではないが)。カーブでスピードを落とさず、真ん中を走ってきたり、
ひどいものです。
・久木トンネルから奥の道路の上部に木がかぶさっていて危険です。
・安田町道の迂回路の整備をしてほしい。特に平山付近県道対岸。
・未改良の区間で大型車が対向できる幅員が欲しい。
・大型トラックがたくさん通るので、行き違いに大変苦労している
・今より高齢になった時も安心して運転が出来る様に、広くてカーブが少なくて見通しの良い県道になって
51
ほしいです。
・杉の植林が大きくなり見通しが悪くなった。持主の協力を得て伐採等を行って見通し良い道路整備を行っ
てほしい。
52
(問 11)お住まいの地域に愛着があり、住み続けたいと思いますか?
・回答者の 90.0%が“a” 「はい=地域に愛着があり、住み続けたい」と答えており、多くの住民に
根付く馬路地域における郷土愛の強さが感じられる。………図-11-1
・“b”「いいえ=あまり愛着がなく、住み続けたくない?!」と答えた回答者の内訳に於ける 50 歳
代以下の世代の割合が大きい(男性:60%・女性:58.3%)ことは、人口が千人を割り込み、自然減
と高齢化が進む、馬路地域を担う将来世代の育成を考えると、今後の大きな課題である。………図
-11-1,図-11-3
集計結果
(問 11)お住まいの地域に愛着があり、住み続けたいと思いますか?・・・総数 219
a
はい
197
b
いいえ
22
未回答
25
図-11-1
図-11-2
53
集計結果
(問 11)お住まいの地域に愛着があり、住み続けたいと思いますか?・・・総数 219
a
はい
197
b
いいえ
22
未回答
25
図-11-3
図-11-4
54
(問 12-1)県道の役割として重要と考えられるものを 2 つ選んでください。(複数回答)
・回答数の多い順に上位 5 位までを並べると、下記のようになる。………図-12-1
1位
病院へ行きやすい(救急搬送の短縮)道
2位
通勤通学に安全な道
3位
近隣市町村へ行きやすい道
4位
商業施設へ行きやすい道
5位
地場産品等を安全に搬出できる道
この結果に於いて県道整備に係る地域住民の要望の中核をなしているのは、地域住民の「安全で安
心な日常生活の確保」と「利便性の向上」である。
・利用頻度の高い世代も高齢者も”b””c””f”の日常の生活に直結する道路の役割を選択しており、
県道は馬路地域の「命の道」を担っていることがわかる。
集計結果
(問 12-1)県道の役割として重要と考えられるものを 2 つ選んでください。(複数回答)・・・総数 486
a
地場産品等を安全に搬出できる道
47
f
近隣市町村へ行きやすい道
92
b
通勤通学に安全な道
96
g
駅や公共施設へ行きやすい道
14
c
病院へ行きやすい(救急搬送の短縮)道
153
h
村役場へ行きやすい道
9
d
商業施設へ行きやすい道
52
i
その他
5
e
歩行者などが安心して通行できる道
18
図-12-1
図-12-2
55
集計結果
(問 12-1)県道の役割として重要と考えられるものを 2 つ選んでください。(複数回答)・・・総数 486
a
地場産品等を安全に搬出できる道
47
f
近隣市町村へ行きやすい道
92
b
通勤通学に安全な道
96
g
駅や公共施設へ行きやすい道
14
c
病院へ行きやすい(救急搬送の短縮)道
153
h
村役場へ行きやすい道
9
d
商業施設へ行きやすい道
52
i
その他
5
e
歩行者などが安心して通行できる道
18
図-12-3
図-12-4
56
その他の回答
・全部に該当すると思う。全部重要。
・命をつなぐ道
・被災時(地震等)に輸送物質(食料・おむつ等)が確実に届く道
・病気療養中
特に考えない
・県民が安全に利用できる道。問題点について管理責任者は積極的に取り組んでほしい
・迂回路もいくつも有るが日常的には通行していない為に整備されてなかったり大型車が通行できなかっ
たりで県道 12 号が一番頼れるので今後も通行止めをより少なくする改良工事を願いたい。
57
(問 12-2)村を訪れる方に対してはどの様な道が重要と思いますか?(複数回答可)
・回答数の多い順に上位 3 位までを並べると、下記のようになる。………図-12-1
1位
村で働く人が安心して通行できる道
2位
観光地や施設へ来やすい道
3位
緊急車輛が安全に通行できる道
・この結果に於いても、県道整備に係る地域住民の要望の中核をなしているのは、地域住民の「安全
で安心な日常生活の確保」と「利便性の向上」である。「観光地や施設へ来やすい道」が第 2 位に
ランクインしており、“観光立村”に力を注ぐ馬路村らしい回答内容となっている。………図-12-5
集計結果
(問 12-2)村を訪れる方に対してはどの様な道が重要と思いますか?(複数回答可)・・・総数 436
a
木材・ゆずなどが加工場へ安全に搬入できる道
42
d
緊急車輛が安全に通行できる道 121
b
村で働く人が安心して通行できる道
133
e
その他
c
観光地や施設へ来やすい道
130
図-12-5
10
図-12-6
58
集計結果
(問 12-2)村を訪れる方に対してはどの様な道が重要と思いますか?(複数回答可)・・・総数 436
a
木材・ゆずなどが加工場へ安全に搬入できる道
42
d
緊急車輛が安全に通行できる道 121
b
村で働く人が安心して通行できる道
133
e
その他
c
観光地や施設へ来やすい道
130
10
図-12-7
図-12-8
59
その他の回答
・とにかく 2 車線に!!
・くねくね道だから、山奥だから味わえることがある。
・はじめて通る人でも安心して通行できる道
・A.広い道、安全な道
B.見通しがよい安全な道・病気療養中
特に考えない
・これも全部に該当。
・子育てが安心してできる道
・対向車のスムーズな行き違いができる道
・2 車線の道路、崩壊のない道路、通行止のない道路、通行止が多すぎる
・木の枝がたれ下がっていたり、草が生えていると道が狭く感じられ、走りにくい。山崩れ(石がパラパ
ラ落ちたまま)の所は恐ろしいと感じました。
・ゆず加工場の視察や温泉等へのお客様も多いので、安心して通行できるよう、また、村内にはコンビニ
やスーパーマーケットもなく、
・毎月の A コープと小さな個人商店があるだけで買い物の選択の巾がなく、したがって近隣市町に出る機
会が多くなる為、更には高校通学も厳しい。
60
(問 13)今後の道路整備(命の道)で重要と考えるものは何ですか?(自由回答)
・自由回答のため、回答内容により 6 つの分類に分け集計を行った。
・回答数の多い順に上位 3 位までを並べると、下記のようになる。………図-13-1
1位
自然災害に強い道
2位
複数ルートの確保(災害時の迂回路)
3位
二車線化
・この結果に於いても(問 12)と同様に、今後の整備に係る地域住民の要望の中核をなしているのは、
地域住民の「安全で安心な日常生活の確保」と「利便性の向上」である。………図-13-1
・(問 10)県道の改善点回答で、多くの住民が望む「自然災害に強く、安全で円滑な通行の確保」が、
今後の道づくりにおけるキーワードと推考できる。………図-13-1
・特に「自然災害に強い道」と「複数ルートの確保(災害時の迂回路)」で全回答数の 67.7%を占め
ていることは、時間短縮効果以上に、災害時等における道路インフラに係るリダンダンシー(冗長
性
redundancy )の確保に重点が置かれており、「命の道」整備を考えるうえでは大変重要である
といえる。………図-13-1
集計結果
(問 13)今後の道路整備(命の道)で重要と考えるものは何ですか?・・・総数 139
1
自然災害に強い道
55
4
二車線化
16
2
複数ルートの確保(災害時の迂回路)
39
5
トンネルの整備
10
3
高速道路の整備
10
6
安全安心な道
未回答
9
105
図-13-1
61
(問 13)自由記載内容
○分類 1 自然災害に強い道
・自然災害に強い道
・山崩れに強い道
・自然災害に強い道路づくり
・土砂災害に強い道
・やはり自然災害に強い道を一番に望みます。
・将来まで活用できる道路
・魚梁瀬大橋の整備点検
・自然災害(雨による落石)に強い道
・自然災害に強く、安全に通行できる道(大型トラックとのすれ違いに十分な広さがある)
・救急搬送時間及び救急車到着までの時間が短い道
・自然災害に強い道(風水災害、地震等)
・災害が起きても生活できる道路
・自然災害の復旧が遅い
・台風で山が崩れても安心をして大中小の車が通行できる迂回路が欲しいです。
・しょっちゅう通行時間制限があり不便なので自然災害に強い道にすること
・東南海地震または災害等に強くするため防災工事で備える。
・がけ崩れや土砂崩れ等の災害を防ぐための徹底的な調査と対策により、人命を不慮の事故から未然に守
ることだと思います。
・自然災害に強い道を望む
・台風等の災害、大雨のたびに村全体が孤立するようでは、村民の生きる道とは言えない
・通行止をなくす=自然災害に強い道=道だけ強くしても山が崩壊すれば通行止もやむを得ないと思います
が…
・県道になってから経年劣化の為、少しの雨量で崩壊等が多くなり通行止めが頻繁になった。
・自然災害に強く通行止めになりにくい道。
・自然災害に強い県道、林道の整備
・南海トラフ地震による孤立だけでなく、その後長期間にわたり頻繁に発生する余震を考えるととても不
安で県道を通行できない。
・自然災害に強い道、時に大雨などや山が崩れて通行できなくなる。救急搬送ができない、命にかかわる。
62
全国の道を整備しているのは分かるが、人口が大きな都市の道路ばかり整備されている。このことにつ
いてきちんと高知県として、私たちの言葉を伝えて欲しいです。
・林内の幹線道は県道 12 号のみで、しかも安田町を東西に国道 55 号に出るのに 20km の県道 12 号が命の
網であり、自然災害に強く通行止めにならない道づくりを願いたい。
・自然災害に強く安心して通行できること。
・落石、崩壊のない安全の道
○分類 2
複数ルートの確保(災害時の迂回路)
・迂回出来る道が常に有る事
・迂回路完全整備を希望する
・複数ルートの確保
・複数ルートの道路を確保してほしい。小さな土砂崩れでも陸の孤島になるおそれあり。
・災害等に備えての2通の安全なルートの確保。小道ではなくて…
・通行止になった時の迂回路の整備
・災害などの時、孤立しないよう複数のルートがあれば?
・今年も夏の大雨で県道の通行止めにより、長期間不便をきたしました。対岸の町道の整備等による対応
策等考えてほしい。
・通行止めが頻繁に起きるので複数ルートは必要だと思う。特に魚梁瀬公園線が災害で通行止めになると、
魚梁瀬地区は完全に陸の孤島になります。
・上記のもの(自然災害に強い道、複数ルートの道路を確保する)が重要だと感じています。1 番怖いの
が孤立です。崩れてしまうのは最悪仕方のないことだとしても、別の道があれば(なるべく同じくらい
の時間で国道へ出られる道)少しは安心して暮らせるのかな…と思います。安田方面へ買い物に出られ
ないと、赤ちゃんのいる家庭は特に大変です。今年の夏のような綱渡りのような不安定な迂回路でも、
みんな使っていました。もう少ししっかりした道が欲しいです。切実に!!!
・災害で県道が通行できなくなった場合の村道、農道、森道等の充実
・災害時の迂回路の整備
・迂回路の整備
・万一不通になっても代替の道路が有る事
・自然災害に強い道-迂回路の確保-安全に通れる道
・災害に強い道であることは最重要だが、それと同時に緊急時の搬送が可能なルートも常に整備していて
63
ほしい。
・災害が起きたから迂回路を点検するじゃなく、常に通れるように。
・複数ルートの道路も安全に通行できるように整備してほしい
・林道の整備(通行止になった時、利用できる林道)
・迂回路の準備が十分でない事。
・災害などで道路が断たれると生活に困るから迂回路の確保
・既存の複数ルートの改良
・自然災害に強く、県道はもちろん林道などを整備して安全に通行できるようにする。
・災害ですぐ孤立するのは避けたい
・安田川の対岸にも道路を
・複数ルートの道路があることは一番いいこと。そのような道を普段からも整備してほしい。
・陸の孤島にならないよう、複数の安全な道が必要。
・複数ルートの道路を確保、整備すること。
・通行止めとなった時、整備がされた複数ルートが必要。
・安全な複数ルート
・複数ルートの確保も必要。
・全ての複線化
・複数ルートの確保を希望。
・是非とも複数ルート道路の整備を早急に進める
・災害発生による通行止対策として複数ルートの道路整備。(市町村道等)市町村への支援。
・複数ルートの確保…自然災害に弱いので県道と同じレベルの道路整備されたルートが複数あってどこか
は利用できること。特に時間にも大差なくてきつい山道などでないルートが欲しい。
・尚、林外に出る迂回路が三線あるが内二線は林道であり林道と国管林道の併用の為日常的に補修されて
なく通行できなく無いに等しく困るので県道として管理を、お願いしたい。
○分類 3
高速道路の整備
・北川線を通らねばならない時、高速道路がもっと長くて、時間が短縮できれば良いのにと思う。
・高速道の開通
・高速道路の早急な整備
・高速自動車道の整備…県東部は遅れている。
64
・高速道路の整備(8 の字ネットワーク)
・高速道路の整備(東部)
・高速道路の早期完成(東部自動車道)
・高速道路整備でトンネルを少なくしてほしい。
○分類 4
二車線化
・道路の二車線化
・超大型車が通りやすい道
・県道を二車線にしてほしい
・小規模の崩壊でも片側通行できる広い道
・早急な 2 車線化
・急速に全面 2 車線の道路(災害時でも片側 1 車線は通行できる)
・二車線道路
・道路が狭いので広めてほしい
・馬路東洋線の完全二車線化を求める
・大型トラックや観光バスが楽に通れる道にすること
・二車線道路。一谷~安芸線、朝日出~北川線の整備
・二車線にする
・山側の排水路を暗渠とし、道としてとりあえず巾を確保して欲しい
・大型車と安全に行き違いができる道に
・せめて 1.5 車線化へ(安心・安全の獲得)
・魚梁瀬、馬路にそれぞれヘリポートがあるが、ヘリが飛べない時間帯などがあるため安心して暮らして
いくには道路の早期 2 車線化が必要である。
・観光・産業の振興のためにも 2 車線化が必要である。
・見通し良く二車線を望みます!決してカーブでバックしたくないです。
・大型車の通行が大変多く対向車とのすれ違いが安全にできる道巾を確保
・県道の拡張工事など数年かからないような工事費の予算を計上して欲しい
○分類 5
トンネルの整備
・トンネルなど時間短縮の為の道路整備
65
・安田町⇔馬路間のトンネル
・距離短縮のためのトンネル工事
・カーブの多い場所、拡張が困難な場所は早急にトンネル工事を!
・自然災害に強い道(トンネル道路)
・土砂災害が多いのでトンネルを多く作るべきでは無いだろうか?
・安全性、時間短縮、災害に対してトンネル希望。
○分類 6
安全・安心な道
・安心・安全に通行できる道
・落石の危険の整備
・見通しの悪い樹木などの伐採など
・陥没箇所の整備
・速度制限を 30kmから 40kmにかえる、カーブの急カーブなくす、カーブで、自分の所の車線でなく、
人の道(対向車線側)を来る人が多くなった。くねくね道なので、カーブの所なんとかしてもらいたい。
・事故のリスクの低い道
・急カーブの解消…見通しの悪いカーブでは対向車に危険を感じる事もしばしばある。
・崩落や落石の危険の心配がない安全な道
・見通しの悪いカーブの植林など所有者に保障をした上で伐採はできないだろうか(旅行者などが実態を
周知しておらず対向で危険な場合が多くある)
・緊急車両の安心して通行できる道
・見通しの悪くない道
・事故につながりにくい安心安全な道
・国道への時短できる道
66
(問 14)県道に関する、ご意見やご感想があれば自由に記載してください。(自由回答)
・・・総数 65
1
道路改良
32
4
災害時の規制
9
2
局部改良
1
5
その他
6
3
維持管理
17
未回答
179
・自由回答のため、回答内容により 5 つの分類に分け集計を行った。
・回答数が最も多いのは「道路改良」であるが、内容的には、特定個所や区間に関する具体的な意見
は少なく、現在事業実施中の工区の進捗促進が主なものであり、
・災害に強い道路整備
・トンネルの整備
・二車線化
・安全な道づくり
・早急な整備
等に関する(問 13)と関連する包括的・概念的な意見が多い。………図-14-1,図-14-2
・回答数が 2 番目に多い「維持管理」についても同様で、内容的には、特定個所や区間に関する具体
的意見ではなく、
・草刈・伐採
・舗装補修・更新
・カーブミラーの補修
・側溝の修繕
等の包括的・概念的な意見となっているが、少子高齢化が進み、運転者に占める高齢者比率の増加
等を考慮した、きめ細かな維持管理を望む声が多い。………図-14-1,図-14-4
・回答数が 3 番目に多い「災害時の規制」及び「その他」については、さらに包括的・概念的な内容
となっており、
・時間規制・通行止めの抑制
・通行規制雨量基準の緩和
・迂回路の整備
・通行規制中の道路利用者への配慮
・通行止めの早期解除
等、県道をはじめとする公衆用道路におけるトラフィック機能の、さらなる向上を求める内容とな
っている。特に「通行規制雨量基準の緩和」に関しては、わが国有数の多雨地域である魚梁瀬地域
の道路に関しては、もう少し規制を緩く(たとえば通行規制雨量を 400mm/day とするなど)しても
らえれば、観光入込客への対応等のやりやすくなるとの意見がある。………図-14-1,図-14-5
67
集計結果
(問 14)県道に関する、ご意見やご感想があれば自由に記載してください。(自由回答)・・・総数 65
1
道路改良
32
4
災害時等の規制
2
局部改良
1
5
その他
3
維持管理
17
9
6
未回答
179
図-14-1
図-14-2
図-14-3
図-14-5
図-14-4
5.その他
ライトをつける
1人
工事をまとめる
1人
感謝
1人
工事の時間帯
1人
大型車の通行の規制
1人
工事への取り掛かり
1人
68
(問 14)自由記載内容
○分類 1
道路改良
・改良予算不足が進捗率が悪い、スピード感をもって欲しい。
・自然災害に強い道で、複数ルートの道路、孤立する事の無いように。
・予算や人員など、難しい面もあると思いますが、上記のような道(自然災害に強い道)があれば、安心
して暮らせると思います。よろしくお願いいたします。
・片側二車線化。人通りはほとんどなく、歩道はあまり考えなくてよいと思う。山道のカーブの所(場所)
をなるだけ早く
・県道安田東洋線特に県道魚梁瀬公園線においては、30 年以内に起こると予想される南海地震の際には
道路の災害崩壊が予想され魚梁瀬地区は 100%孤立してしまうことが予想されます。できるだけ早く道
路改良をして頂き災害に強い道路を作ってもらいたい。魚梁瀬地区は千本山をはじめとする観光施設が
あり、交流人口を増やすべく努力しています。そこで災害復旧工事の際には、時間制限を極力避けて頂
き、時間制限をしなくて済む工法にて工事を行ってもらえるように希望します。また、魚梁瀬地区は高
齢化も顕著であります。命の道であります。病気の種類によっては 1 分 1 秒を争うこともあります。緊
急時に 1 分 1 秒で命を救える道路にしていただきたいと切にお願いいたします。
・県道通行時に大型車とのすれ違いや倒木等で車を傷つけることがあった。損害について保証もないので、
そのようなことがないように整備をお願いしたい
・安全な道にしてほしい。
・山側崩壊が多い為、調査し危険個所を重点に整備してほしい。また崩壊しても片側通行できるぐらいの
幅員が欲しい。大型がすれちがいできて、雑木に接触しないような道路が良い。視距不良箇所の雑木伐
採等をしてほしい。
・全線の 2 車線整備
・東部と西部を比べこれほど道路整備の差を感じることはない。町と町を結ぶ海岸線の国道でもいまだに
多車線化が出来上がってなく、台風時等の通行止めが続いている。東部の道路整備を急いでほしい。
・道が良くなり、安芸までが近くなれば、村民は出ていくだろう。でも、道が良くなってほしい。広くな
ってほしい。難しい問題ですね。「村民が出ていく」とは、居住地を安田や安芸に移すということ。馬
路村を出て行って仕事にだけ馬路に来る。給料は馬路でもらって使うのは安芸。そうなるかも。
・道幅がとても狭い箇所があり、大型トラックとすれ違う場合危険で困ることが度々ある。崩土で通行止
めが長引くとさまざまな不便があり、迂回路の整備も常日頃からしていただきたいです。
・道路の改良するのに当り、簡易にできる箇所を早く着手してもらえば、供用区間が延伸する。
69
・安田町の町道が迂回路として通れないなら、安芸へ向けてトンネルを通してほしい。
・災害時に孤立しないよう、複数のルートを確保してほしい。
・道路整備も西高東低にならないように!!
・安田までの間で、2 車線の所は所々ありますが、せまくなったり(1 車線)、見通しが悪い所があったり(樹
木や柚の木が障害物になっている)スムーズに通行できるように早急に整備してほしい。
・道幅がせまい所が多すぎ
・村内出身者ではないので道の不便を考えた時、子育てすら不安になる。
・国道 55 号
県道安田~馬路間安全な 2 車線に 1 日も早くされたい。国は地方の活性化をはかっている
中で、地方を良くするためにも道路に金を入れるよう強力に要求されたい。
・雨が降っても安心して通行できる道
・落石、崩壊が通行の時心配である。可能な限りトンネルを作ってもらいたい。大型車両同士がバックせ
ずにすれ違いができる道幅を早く希望する。
・土砂災害がおこるたびに整備に要する経費や通行時間制限があり、お金もムダであるし、生活にも支障
をきたす、トンネルを拓いて安全で災害に強い道にしてほしい
・二車線に早急に改良して下さい。トンネルを二カ所に新設してください。
・道路をもっと広くしてほしい
・迂回路の整備
・村民にとって 12 号線は正に命の道です。大雨時度に崩壊するような県道では困ります。村外への通勤、
通学、患者さんの中には迂回路(北川村まわり)が大変で村から転居された方もいます。トンネルや高規
格道などさまざまな工法で災害時に影響されない道路の建設を強く望む。ぜひ早急な改善をご検討下さ
るよう重ねてお願いします。
・トンネルを作る事
・命の道は一本だけではいけないのではないですか?もしなにかあったときどうするのですか?山や僻地
に住んでいる人の命の道は一本であってはならないと私は思います。県道に寝泊まりしている方、お疲
れ様です。体に気をつけて私たちの道を守ってください。
・二車線でなくても 1.5 車線で十分だと思う。
・災害時に行き帰りできる道
・県道が不通の時は本当に困ります。是非そんな場合の緊急な整備をお願いします。
・土砂災害が多すぎ
・国道までの時間を短縮してほしい
70
○分類 2
局部改良
・大型車トレーラーが良く通るため急カーブが多いので見通しも悪く少しでも直してほしい
○分類 3
維持管理
・ダム側や川側の見通しが悪いので危険(雑草、雑木を刈り払いしてほしい)山側の高刈りをもっとやっ
てほしい(いろいろな線にかぶさっていて通行時圧迫感あり。線に触って危険個所多数あり )
・カーブミラーが歪んでいて対向車が見えづらい。カーブの草や木、枝など切ってもらいたい。対向車が
見えづらい。カーブミラーに木の枝が伸び写って見えづらい。
・カーブミラーの点検・整備を定期的にしてほしい(草刈のように)強い風の吹いた時、台風通過後にミラ
ーが動いている時がある。春先から木の枝が繁り、ミラーに写り前方が見えない
・路面パトロールをもっとして欲しい。通行しやすいように高刈りをもっとしてほしい
・カーブミラーを増やしてほしい。山側の高枝刈り
・道路の凹を舗装してください。
・道路に法面等より木材が覆い被さっているので、高刈の実施をお願いしたい。
・路肩が少し崩れているような所があるとき、できるだけ早くなおしてほしい。コーンを置いたまま、そ
のままずっと放置していて、いつなおすのか…と思ってしまう。
・崩壊した場合、放置せず早期に対応してもらいたい。管理責任者の責務だと思う。
・安田までの道でカーブミラーが必要な箇所が何カ所かありますが、その他川側の木(柚子)等、枝を切っ
ていただければ見通しが良くなる所が多々あります。検討お願いします。
・雨量規制や崩壊により時々通行止になり不安を感じます。拡張工事も必要ですが災害等に対応できる様、
点検調査、改善を希望。
・内カーブの見通しを良くする為、木々の伐採。
・路肩の陥没などの舗装整備
・側溝を通行できるようにして少しでも巾員を応急的に広げること。
・舗装が十分でない道路があり、子どもや妊婦にとって揺れが大変大きい。
・これから増々高齢者のドライバーが増えます。危険ヶ所の点検を慎重にして解消していただきたい。(山
道に慣れていない者が運転するつもりで)道の両側の草や垂れ下がってきている木の枝など刈ってきれ
いにしている時は道の状態も分かりやすく安心して走れるので草刈などは回数も増してやっていただ
71
きたい。この前の災害で平山で山崩れがあった時短い日数で通行が可能になったのでびっくりしました。
行政が頑張ってくれているのが分かりました。これからも宜しくお願いします。
・危険箇所にコーンを立てておくだけでなく何がどのように危険なのか短い言葉でも良いから文言で知ら
せる立て看板を設置して欲しい。(特に道巾が確保されず途切れているところなど脱輪する方がいるの
では)
・悪い路面箇所の補修
・側溝が落ち葉や落石などで埋まっていて道路との判別がしにくく脱輪しそうな場合があるので巡回し管
理と整備を行ってほしい(台風や豪雨の後など何日も放置しているので)
○分類 4
災害時等の道路規制
・雨量 200mm の規制により急に通行止になる。また、平成 15 年ぐらいから安田町、奈半利町などにも雨
量規制通行止の看板が県道入口より多くの場所に設置され、釣りに入る入漁者の激減等、入漁券が売れ
ず赤字決算が続いている。魚梁瀬は特別に 400mm 以上ぐらいにして欲しいものである。屋久島、大谷ヶ
原、魚梁瀬は日本 3 大雨量の地であります。何かの事故が起こると責任を問われるのでこんなことを願
っても仕方がないでしょう。
・通行止め・時間規制が多すぎる
・安田ヤナセ間の道路において多々時間規制が多すぎる
・県道の通行規制は仕方ないが、解除の時は少しでも早く知らせてほしい。(有線放送等)以前から比べ
ると、有線放送の回数が増えたが、内容を的確にお願いします。
・工事のための通行時間制限はやむを得ないと思いますが、年末などの忙しい時期はさけていただきたい。
また、県道が通行止めになった時の迂回路の整備も合わせてしてほしい。
・県道が 1 日通れないことが村に与える損害が本当に大きいということを感じてほしい。
・県道崩壊の際の迂回路の対応として本村では(一谷線、朝日出)2 路線ある林道で所管が違うが、いつ
でも通行できるように農林課との話し合いをされるようお願いする。
・通行止解除の早期対応(通勤、通学者)及び関連団体への連絡。
・改良工事や災害復旧工事に伴う通行制限を緩和してもらいたい。特に与床における崩壊箇所の復旧工事
は長期間にわたると思われることから、仮設橋の設置により対応願いたい。
○分類 5
その他
・カーブの多い安田東洋線。運転の荒い人が多い安田東洋線…対向車がいきなり現れたような錯覚を覚え
72
ることも多々…(天気の良すぎる日、陰から日の当たる場所へ続くカーブなどは特に)私はこの安田東
洋線を走る時、ライトをつけることを推奨したいです。クロネコヤマトさんは必ずライトをつけて走っ
ていますが、やはりこちらから見てわかりやすいのでとても良いと感じています。村ぐるみでやってみ
てはいかがでしょう?
・ここ 20 年近く県道のお世話になっています。この間、飛躍的に整備され感謝しています。今後とも安
心して通行できるように心よりお願いいたします。
・大型トレーラー車などは、すれ違いが困難になるので、特定の時間のみの走行や、曜日やルートを限定
するなどして、一般車が安心して走行できるようにしてほしい。
・事業費等の関連があるかと思いますが、馬路~安田間で数ヶ所の改良工事を行っているが、2ヶ所ぐら
いにまとめて工事を施工したら?
・改良や復旧工事は通行量の少ない時間帯に実施してほしい。
・対応、工事へ取り掛かるのが遅いように思う。
73
5.3.5
アンケート回答分析
①馬路村地域への住民の愛着度
約90%の住民が地域に愛着があり住み続けたいと答えており、郷土に対す
る思いが非常に強いこと推測できる。
②地域住民の県道に対する満足度
問9の回答結果から、
「満足」と「ほぼ満足」を合計しても18%しかおらず、
地域住民の82%が何らかの不満を抱いている結果となった。
その中でも、
「やや不満」と「不満」と回答した比率では、60歳以上の高齢
者世代が59.8%であることに対して、60歳未満の世代では約74%とな
っており、利用頻度が高い世代において県道の現況に対する不満が大きいこと
が分かる。
③これまでの県道整備効果
「すれちがいが楽になった」、
「対向車の接近がわかりやすくなった」
「ゆずり
あいが楽になった」の走行性や視認性の改善については、合計で全体比59.
3%が評価している。
道路整備による「移動時間の短縮」効果はあまり実感されておらず、ほぼ1
0分以下(全体比19.8%)という認識である。
併せて、全体比22.9%の人が、ほとんど感じないと思っており、整備効
果を実感できていない人も多い。
特に地域住民と関わりの深い安田東洋線の、国道55号から馬路村役場間に
ついては、現在まで現道拡幅を主体とした2車線改良が実施されてきており、
急峻で脆弱な地形地質条件が影響し、整備区間が途切れていることから、大き
な移動時間の短縮効果が発揮できる状態にはなっていない。逆にこのことが、
以前の道路と比べ、部分的に走行性や視認性の改善が行われたという、住民意
見に現れていると考えられる。
また、頻発する道路のり面の土砂崩れや、雨量が規制値を越えた場合の全面
通行止め、工事の際の時間規制など、年間を通して道路利用者に対する制限が
多いことも、住民が整備効果を薄く感じている理由の1つと考えられる。
参考に、近年の安田東洋線の全面通行止め時間を次表に示す。
74
表-12
安田東洋線の全面通行止め時間(異常気象時+災害発生時)※10
平成26年8月
平成27年7月
県道安田東洋線の斜面崩壊状況
(豪雨による被災)
75
④馬路地域住民が県道整備に望むもの
今回のアンケート結果で、今後の整備に係る地域住民意見の中核をなして
いるのは、
「安全で安心な日常生活の確保」と「利便性の向上」であることが
判明した。
改良区間が連続していないことから、住民が意識するほどの、道路整備に
よる「移動時間の短縮」効果は達成できていない。
県道の改善点回答で、多くの住民が望む「自然災害に強く、安全で円滑な
通行の確保」が、今後の道づくりにおけるキーワードである。
特に自由記載の意見で、
「自然災害に強い道」と「複数ルートの確保(災害
時の迂回路)」が全回答数の 67.7%を占めていることは、「移動時間の短縮」
効果以上に、災害時等における道路インフラに係るリダンダンシー(冗長
性 redundancy )の確保に重点が置かれており、「命の道」整備を考えるう
えでは大変重要であるといえる。
76
第6章 今後の中山間地域の道づくり
6.1 安芸土木事務所管内の道路状況※10
安芸土木事務所が管理する14路線のうち、中山間地域に位置する7路線(馬
路村地域を含む)が、今回アンケートを実施した馬路地域の道路と同様に迂回
路がないことに加え、改良も進捗しておらず、通行止めが多発する道路である。
このことから、アンケートの結果は、安芸土木事務所管内はもとより、改良
の進んでいない、高知県内中山間地域の同様の事情を有する道路に対する意見
を表したものと考えても過言ではない。
安芸土木事務所が管理する国道及び県道一覧表
一般国道
No. 路線番号
路線名
迂回路の有無
1
493 国道493号
無
表-13
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
6.2
主要地方道
12 安田東洋線
29 安芸物部線
54 魚梁瀬公園線
205
206
207
208
210
211
212
213
216
370
無
無
無
一般県道
奈半利港線
有
西谷田野線
有
大久保伊尾木線
無
奈比賀川北線
有
畑山栃ノ木線
無
黒岩東浜線
有
宮ノ上川北線
有
高台寺川北線
有
羽尾琴浜線
有
千本山魚梁瀬線
無
※自転車道及び未供用道路は除く 今後の中山間地域の道づくり
アンケート結果を受けて、今後の中山間地域の道づくりでは、以下の表のよ
うな取り組みを行うことにより、道路整備の効果を感じ、地域の満足度向上に
つながることが考えられる。
77
中山間地域の道づくり(アンケート結果を受けての考察)
短期的対応(2年未満)
中長期的対応(2年以上)
・路線の地形、地質状況の把握
・把握した現道危険個所の重点対策を実施(災害の防止)
・危険個所の洗い出し
・災害に強いルート計画に基づく改良工事の進捗
・崩壊、落石危険箇所等を回避した道路改良ルート計画の策定
(バイパス、トンネル、現道拡幅)
・リダンダンシーの確保
表-14
分類
①災害に強い道路整備
②複数ルートの確保
・通行可能な迂回ルートの選定
(県道、市町村道、農道、林道等の組合せ)
・複数ルートの確保に向けた管理者間の協議
(役割分担による整備の検討)
・役割分担による道路整備
③通行止及び時間規制対応
・①及び②の抜本的対策の検討
・地域への広報
・①及び②の抜本的対策の推進
・改善しながら、地域への広報を確実に行う
・【自然災害】
・関係機関と協議し緊急広報網を確立及び周知
・左記を改善しながら、自然災害時の確実な広報に取組む
・【事前規制】
・関係機関と協議し緊急広報網を確立及び周知
・左記を改善しながら、事前規制時の確実な広報に取組む
・【工事等】
・仮設迂回路や、通行規制を排除した工法の選定
・年度で予定している箇所、時期を市町村広報に掲載
・市町村の防災無線等での着手前広報の徹底
・着手時に近隣への広告を配布
・工事の発注時期の調整を行う
・左記を改善しながら、時間規制時等の確実な広報に取組む
④安全安心な道づくり
・①及び②の抜本的対策の検討
・樹木の成長等により、見通しの悪くなっている区間の調査
・カーブミラー等の機能低下や必要箇所の調査やパトロール
・舗装の機能低下箇所の調査やパトロール
・退避所やカーブ是正区間の選定及び計画策定
・上記について地域の代表等への意見聞き取り
・左記について計画的或いは臨機応変な対応を行う
⑤その他
・未改良区間での昼間ライト点灯(事故の防止)
・継続的な取組(ソフト対策)
78
第7章 新たな定量的指標、成果目標及びその評価方法
7.1 社会資本総合整備計画への反映
アンケートの結果から、社会資本総合整備計画、
「1.地域の活力を支え、県
民生活の安全・安心を確保する命の道づくり」の定量的指標「移動時間の短縮
に伴って安全に交流・物流できるエリアの拡大」の「移動時間の短縮」効果が、
中山間地域の道づくりにおける利用者の満足度向上に、現在は直結していない
ことがわかった。
ただし、将来的に道路改良が進めば、「移動時間の短縮」効果が大きなファ
クターとなることは間違いないことから、住民側の目線を取り入れた、次のよ
うな定量的指標及び成果目標の追加を提案する。
①定量的指標
道路の整備に伴い、「安全で安心な日常生活の確保」や「利便性の向上」が
拡大することによる、住民満足度の向上。
②成果目標
住民満足度はアンケートの実績値で表し、この率が高くなるほど、中山間地
域の道路整備に対する理解が進み、整備効果を実感していることを表している。
評価方法としては、
◎:住民満足度=
0.51~1.00
○:住民満足度=
0.26~0.50
△:住民満足度=
0.00~0.25
の三段階評価が一例として考えられる。
満足度はアンケートの実績値であることから、直接住民の声が反映された評
価値となる。
以下に具体的なアンケート調査内容を示す。
③アンケート調査
中山間地域での、アンケート調査の設問等については、馬路村のアンケート
結果内容を踏まえ、次のとおり提案する。
成果目標の住民満足度は、非常に満足(よくなった)、やや満足(よくなった)
と回答した人の比率により評価を行う。
アンケートは、災害時通行止対応への住民意見確認も重要であることから、
台風や豪雨災害が収束する11月頃に、毎年実施することを推奨する。
79
平成●年
県道○○線
道路満足度アンケート(高知県)
【自然災害に強い道づくり】
1)自然災害に強い道づくりに向けて、A 工区でトンネル掘削、B 工区と C 工
区で道路拡幅工事を行いましたが、あなたはどう思いますか?
□非常に満足
□やや満足
□どちらともいえない
□やや不満
□非常に不満
□わからない
【複数ルートの確保】
2)複数ルートの確保に向けて、D 工区で道路拡幅工事を行いましたが、あな
たはどう思いますか?
□非常に満足
□やや満足
□どちらともいえない
□やや不満
□非常に不満
□わからない
【安全・安心な道づくり】
3)安全・安心な道づくりに向けて、E~F 区間で、落石防止ネットを設置しま
したが、あなたはどう思いますか?
□非常に満足
□やや満足
□どちらともいえない
□やや不満
□非常に不満
□わからない
4)安全・安心な道づくりに向けて、G~H 区間で、舗装補修工事を実施しまし
たが、あなたはどう思いますか?
□非常に満足
□やや満足
□どちらともいえない
□やや不満
□非常に不満
□わからない
5)安全・安心な道づくりに向けて、I~J 区間で、カーブミラーの維持修繕及
び見通しの悪い樹木の伐採を実施しましたが、あなたはどう思いますか?
□非常に満足
□やや満足
□どちらともいえない
□やや不満
□非常に不満
□わからない
【道路工事実施中の時間通行規制】
6)道路工事実施中に、時間通行規制を行いましたが、その周知(お知らせ)
方法や工事現場での対応は、昨年と比べてどう思いましたか?
□非常によくなった
□ややよくなった
□どちらともいえない
□やや悪くなった
□非常に悪くなった
□わからない
80
【道路工事の施工方法】
7)道路の工事の実施方法(工事の数や期間、時間帯など)について、昨年と
比べてどう思いましたか?
□非常によくなった
□ややよくなった
□どちらともいえない
□やや悪くなった
□非常に悪くなった
□わからない
【県道○○線について】
8)最近、県道○○線を通行して、
「昨年とは変わってきている」と思いますか?
□よくなっている
□少しよくなっている
□どちらともいえない
□少し悪くなっている
□悪くなっている
□わからない
【災害発生時の通行止め】
9)台風▲号による K 地区の山側崩壊で、○日間県道の全面通行止めが発生し
ましたが、復旧までの期間は、今までと比べてどう感じましたか?
□非常によくなった
□ややよくなった
□どちらともいえない
□やや悪くなった
□非常に悪くなった
□わからない
□その他(理由:
)
10)問9の全面通行止めの際に、迂回路として、町道 L 線と林道 M 線を利用し
ていただきましたが、その対応についてどう思いましたか?
□非常に満足
□やや満足
□どちらともいえない
□やや不満足
□不満足
□わからない
□その他(理由:
)
11)問9の全面通行止に関連し、その周知(お知らせ)方法は、今までと比べ
てどう思いましたか?
□非常によくなった
□ややよくなった
□どちらともいえない
□やや悪くなった
□非常に悪くなった
□わからない
□その他(理由:
)
12)その他道路や道路行政についてご意見がありましたら、ご自由にご記入く
ださい。
81
④集計、分析
アンケート調査結果を集計・分析し、整備路線ごとに満足度を算出、それら
の合計の満足度により、社会資本計画の目標値と照らし合わせ検証を行う。
アンケート結果には地域住民の声が反映されるので、それらを見ながら、路
線の整備手法の見直しや検討、通行止対応、工事のやり方などをアレンジして
より良い方向に向かうことが可能になると考える。
7.2 今後の課題
馬路村のアンケート結果では、現在の住民満足度は以下のとおりである。
・住民満足度=0.18(問9より)
数値は、道路の改良率と同じく低率で、特に10代から50代までの生産年
齢世代では、ほとんどが現状に不満を抱いていることが推考できる。
このことについては、現在行われている道路改良工事等の「計画-実行-評
価(Plan-Do-See)」や「自然災害時の行政対応」が、この世代に理
解されていないことにも一因があると考えられる。
解決に向け、道路整備が遅れている中山間地域では、毎年定期的に説明会を
開催したり、行政の広報誌を活用し、以下の内容等を繰り返し広報することで、
工事内容や通行止め等への理解を深めてもらうことが重要であると思われる。
・道路改良工区の目的及び工事完了後に発揮する効果
・前年度に実施した工事等
・今年度の施工場所及び工事内容、途中段階でも発揮できる効果
(待避所的役割、視距改良等)
・前年度の災害発生時の行政側の対応内容等
また、地域や場所によっての道路特性や整備手法があることから、アンケー
トの対象期間や範囲、対象者、配点をどうするのかを今後検証する必要もある。
82
第8章 結論
本研究において、以下の結論を得た。
①今後の社会資本整総合交付金事業の対応方針及び整備目標に、住民側の目線
を取り入れることが、中山間地域の道づくりにおいて、非常に重要となる。
②中山間地域で暮らす人々は、日々の生活で道路を利用する際、異常気象時、
自然災害発生時の通行止めや、工事等の時間規制にストレスを感じている。
③住民は、
「移動時間の短縮」よりも「自然災害に強い道づくり(道路インフラ
に係るリダンダンシーの確保)」を望んでいると言える。
④今後の中山間地域においては、工事中の時間規制を可能な限り排除し、
「安全
で安心な日常生活の確保」や「利便性の向上」に重点を置いた道路整備を行う
ことで、地域住民の満足度が向上すると言える。
⑤このようなことから、これからの高知県中山間地域の道づくりにおいて重要
となる、住民側の目線を取り入れた、新たな定量的指標、成果目標及びその評
価方法を提案した。
おわりに
本研究では、馬路村で実施したアンケートから、道づくりが遅々として進ま
ない、高知県中山間地域住民の満足度向上には、今後どのような効果指標や目
標を持ち、取り組みを進める必要があるかという観点から意見を述べてきた。
これからの行政には、地域住民の真の声に耳を傾け、真摯にその声に応える
力量も必要であると私は考える。
少子高齢化が全国に先駆けて進む高知県では、中山間地域に暮らす人々の生
きがいにつながる、
「満足度(=幸福度)向上」が、これからの重要な取り組み
であることから、本研究がその一助になれば幸いである。
83
謝辞
本研究の論文を完成することが出来たのは、ご多忙中にもかかわらず、研究
全般にわたり終始適切にご指導をいただいた島弘先生、福田昌史先生のおかげ
です。本当にありがとうございました。
また、アンケートにご協力をいただいた馬路村のみなさま、アンケート集計
や資料収集にご協力をいただいた高知県安芸土木事務所、及び、関係機関のみ
なさまには心より感謝を申し上げます。
社会システムマネジメントコースで学んだ2年間、素晴らしい講師の方々に
よる講義には沢山の“考える”を学び、多くの刺激を受けました。本コースの
経験を今後に活かしていけるよう今後も学び精進を続けたいと考えています。
最後になりますが、2年間ともに学び、何度も楽しいお酒を酌み交わした同
期生の皆様に心より感謝をいたします。ありがとうございました。
84
参考資料
※1:社会資本整備総合交付金等について(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_000213.html
※2:高知家の道路 2015
高知県土木部道路課パンフレット
※3:高知県の社会資本総合整備計画
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/170201/sinkofukin.html
※4:馬路村役場行政ホームページ
http://www.vill.umaji.kochi.jp/html/index.htm
※5:馬路村ふるさとセンターホーページ
http://umajimura.jp/
※6:平成25 年度決算に基づく県内市町村の健全化判断比率及び資金不足比率
の状況(確定値)
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/111701/files/2013112200532/00141030.pdf
#search='%E9%AB%98%E7%9F%A5%E7%9C%8C%E5%AE%9F%E8%B3%
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A6'
※7:高知県の道路状況(平成 26 年 4 月1日現在)〔冊子〕
※8:高知県異常気象時通行規制区間
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/170701/ijyoukisyoujitukokisei.html
※9:高知県東部交通ホームページ
http://www.tobukoutsu.net/
※10:高知県安芸土木事務所情報提供
85
※11:馬路村実施アンケート用紙
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