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第3章 各分野における知的財産活動の実態
1.特許における実態 (1)重点8分野における特許出願状況 政府は、第3期科学技術基本計画1において、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクロジー・ 材料の4分野を重点推進4分野として戦略的に技術開発を行っていく方針を打ち出し、重点的に政策 資源を投入していくことを決定している。これらの重点推進4分野に加え、推進4分野である、エネ ルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティアを含めた8分野については、重点分野として効果 産業財産権をめぐる動向 各分野における知的財産活動の実態 第1部 第3章 的・効率的な研究開発と研究成果の権利化を促進し、戦略的に知的財産権を確保することが求められ ている。 ここでは、各国特許庁において出願公開又は公表された公報から、国際特許分類(IPC)やキーワー ド等を用いて上記重点8分野の出願公開又は公表件数を抽出することにより、各国における出願公開 又は公表件数の動向を明らかにした2。 すると、ライフサイエンス、フロンティア以外の6分野において日本国籍による出願公開又は公 表件数の割合は欧米国籍の割合を上回っている。 第3章 【日米欧中韓における重点8分野の出願公開又は公表件数の日米欧比較(公報発行年2006年)】 第2章 2006年に日米欧中韓で出願公開又は公表された重点8分野に関する特許出願を分野別に集計 第1章 ① 日米欧中韓における重点8分野の出願公開又は公表件数の日米欧比較 (備考)調査使用データベース:ダウエントデータベースWPI (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 第3期科学技術基本計画(2006年3月28日閣議決定)は、内閣府ホームページ (http://www8.cao.go.jp/cstp/s&tmain.html)を参照。 2 特許庁ではこれら重点分野の出願状況に関するタイムリーな情報提供を行うため、上記8分野における特許出願 状況を定期的に調査し、特許庁ホームページにおいて公表している。 (重点8分野の特許出願状況 URL:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/1402-027.htm) 83 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ② 我が国における重点8分野の出願公開又は公表件数の推移 我が国での全技術分野の出願公開又は公表件数は、2007年で379,560件、2008年で 374,019件と横ばいであるが、ライフサイエンス関連、ナノテクノロジー・材料関連、ものづ くり技術(製造技術)関連、社会基盤関連の件数は2007年から2008年にかけて増加している。 また、全技術分野の件数に対する重点8分野の件数の割合は45.6%(2007年)から47.4% (2008年)に増加している。 【我が国における重点8分野の出願公開又は公表件数の推移(公報発行年2003−2008年)】 (備考)調査使用データベース:PATOLIS-Ⅳ (資料)特許庁「重点8分野の特許出願状況調査報告書(平成15年度-平成20年度)」 84 第1部 (2)三極コア出願の日米欧比較 ① 三極コア出願とは ここでは、グローバルな権利取得へ向けた取組をはかる指標として、日米欧いずれかの国になさ れた特許出願であって、 その出願を優先権の基礎にして他の二極の両方へ出願がなされたもの(三 極のいずれにも出された出願)を「三極コア出願」と定義し、その動向分析1を示す。 ② 三極コア出願件数の推移 出願人国籍別に三極コア出願件数の推移を見ると、日本国籍と米国籍については三極コア出願 件数が増加傾向であり、2万件を上回っている。一方欧州国籍については三極コア出願件数が減 少傾向にあり、優先権主張年2004年で1万5千件程度である。 産業財産権をめぐる動向 経済活動のグローバル化の進展により、重要な発明は国内だけではなく、外国にも出願される。 優先権主張年が2004年の出願について出願人国籍別に三極コア出願率2を見ると、日本国籍 の出願は7%であるのに対し、米国籍及び欧州国籍の三極コア出願率はそれぞれ15%、14%で あり、日本国籍の三極コア出願率は欧米の2分の1程度となっている。 第1章 【出願人国籍別三極コア出願件数の推移】 第2章 第3章 (備考)調査使用データベース:ダウエントデータベースWPI (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 分析の条件は以下のとおり。 調査対象:日本、米国、欧州 なお、最先の優先権主張国を出願人の国籍として集計している。ここで欧州国籍とは、最先の優先権主張国が、 オー ストリア、ベルギー、スイス、ドイツ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、英国、アイルランド、 イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデン及び欧州特許庁(EPO)であるも のを指す。 調査使用データベース:ダウエントデータベースWPI 2 日米欧それぞれの第1国出願件数に対し、日米欧それぞれの三極コア出願が占める割合。 85 第3章 各分野における知的財産活動の実態 【三極コア出願率(2004年)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 ③ 技術分野別三極コア出願の日米欧比較 2004年(優先権主張年)における技術分野別の三極コア出願件数を出願人国籍別に見ると、 「電気機械、電気装置、電気エネルギー」、「音響・映像技術」等の分野で日本国籍の三極コア出 願件数が欧米国籍の出願件数を大きく上回っており1、反対に「医療機器」、「製薬」等の分野で 欧米国籍の三極コア出願件数が日本国籍の三極コア出願件数を大きく上回っている2。 1 日本国籍の出願件数が欧米国籍の出願件数を大きく上回る分野: 米国籍出願人の出願件数に対する日本国籍出願人の出願件数の比率及び欧州国籍出願人の出願件数に対する日本 国籍出願人の出願件数の比率がともに3/2(1.5)以上の分野。 但し、出願件数が極端に少ない分野は上記対象からはずしている。 2 欧米国籍の出願件数が日本国籍の出願件数を大きく上回る分野: 日本国籍出願人の出願件数に対する米国籍出願人の出願件数の比率及び日本国籍出願人の出願件数に対する欧州 国籍出願人の出願件数の比率がともに3/2(1.5)以上の分野。 但し、出願件数が極端に少ない分野は上記対象からはずしている。 86 第1部 【日米欧の技術分野別三極コア出願件数(優先権主張年2004年)】 産業財産権をめぐる動向 第1章 第2章 第3章 (備考)一つの特許文献に複数の技術分野の国際特許分類が付与されている場合は重複して集計している。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 87 第3章 各分野における知的財産活動の実態 日本国籍の三極コア出願件数が多い「電気機械、電気装置、電気エネルギー」、「音響・映像技 術」の分野では、2001年から2004年のいずれの年においても、日本国籍の三極コア出願件 数が欧米国籍の三極コア出願件数を上回っている。 【日本国籍の三極コア出願件数が多い分野の三極コア出願件数推移】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 また、欧米国籍の三極コア出願件数が多い「医療機器」、「製薬」については、2001年から 2004年のいずれの年においても、日本国籍の三極コア出願件数が欧米国籍の三極コア出願件数 を下回っている。 【欧米国籍の三極コア出願件数が多い分野の三極コア出願件数推移】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 88 第1部 ④ 日本の技術分野別三極コア出願率 優先権主張年2004年の日本国籍による出願について技術分野別に三極コア出願率1を見ると、 タル通信」分野では三極コア出願率が13%から19%程度と比較的高く、これらの分野では積極 的にグローバルな出願が行われているものと考えられる。他の技術分野においても、グローバル な権利取得へ向けた一層の取組が期待される。 【日本の技術分野別三極コア出願率(2004年)】 産業財産権をめぐる動向 「マイクロ構造、ナノテクノロジー」、「生物材料分析」、「バイオテクノロジー」、「製薬」、「デジ 第1章 第2章 第3章 (備考)一つの特許文献に複数の技術分野の国際特許分類が付与されている場合は重複して集計している。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 それぞれの技術分野において、日本を第1国とした全出願件数に対する三極コア出願件数が占める割合。 89 第3章 各分野における知的財産活動の実態 (3)特定技術分野の動向 特許情報は、企業、大学等における研究開発分野の成果に係る最新の技術情報や権利情報である。 特許情報の分析に基づく技術動向調査は、先端技術分野等の出願状況や研究開発の方向性を明らかに するものであり、企業、大学等における研究開発の方向性を決定する上で極めて有効である。 2008年度は、環境・エネルギー分野、ライフサイエンス分野を中心に下記12の技術テーマにつ いて特許出願技術動向調査を行った。ここでは、「太陽電池」、「電気推進車両技術」、「バイオベース ポリマー関連技術」 、 「再生医療」 、 「マイクロアレイ関連技術」、「インターネット社会における検索技 術」、「デジタルカメラ装置」 、 「多層プリント配線基板」について紹介する。 環境・エネルギー テーマ名 テーマ概要 太陽電池 自然エネルギーを利用 した電力源の1つとし て世界各国で急速に普 及している各種太陽電 池に関する技術(色素 増感型太陽電池を除 く) ポイント 日本 日本 日本 欧州 ○日本国籍が最も高い出願件数シェアを有している出願先は、日米欧中韓(全体)及び日、米、 中(各国)。 68% 92% 47% 52% ○生産量の9割を占めるシリコン系太陽電池では、日本国籍による出願が圧倒的に多いが、次 世代型の有機半導体系太陽電池では、日本国籍の出願件数シェアは低く、また論文件数に 欧州 欧州 米国 日本 おいても欧州国籍より大幅に下回る。 15% 3.8% 31% 31% ○シリコン系太陽電池では日本国籍の出願が圧倒的に多く、優位である。引き続き変換効率 の向上や製造コスト低減等の技術開発に注力し、世界をリードしていくことが期待される。 米国 米国 欧州 米国 ○次世代型の有機半導体系太陽電池では欧米が優位の可能性があり、変換効率の向上を目指 11% 3.0% 16% 14% した材料開発に注力していくことが望まれる。 日本 日本 日本 欧州 ○日本国籍が最も高い出願件数シェアを有している出願先は、日米欧中韓 エコカーとして注目さ 72% 96% 51% 49% (全体)及び日、米、中(各国) 。 れている電気自動車、 ○ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車ではハイブリッド自 ハイブリッド自動車、 欧州 欧州 米国 日本 動車に関する出願が最も多く、また、ハイブリッド自動車の市場は拡大 電気推進車両技術 燃料電池自動車などを 14% 2.0% 29% 37% している。 走行させるための制御 ○今後は、世界を視野に入れ、周辺技術を含めて効果的に知財ポートフォ 技術 米国 米国 欧州 米国 リオを構築し、有効に知的財産を活用していくことが望まれる。 8.4% 1.7% 14% 12% ナノテク・材料 デンプン、セルロースなど 日本 日本 米国 欧州 ○日米欧中韓(全体)への特許出願においては日本国籍が最も高い出願件 数シェアを有している。他方、米国籍が日、欧(各国・地域)に対して の天然物からなるポリマー、 51% 83% 60% 42% 動植物由来の原料からなる 積極的に海外出願を進めている。 ポリ乳酸等の生分解性機能 ○日本国籍による出願は容器や包装資材用途のものが最も多く、その他の バイオベースポリマー 米国 米国 日本 米国 をもつポリマー及びグリー 幅広い用途へも展開されているが、米国籍、欧州国籍からの出願は医療 関連技術 26% 8.4% 18% 35% ン・サステイナブル・ケミ 用途に集中している。 ストリーとして近年注目さ ○今後、バイオベースポリマーの市場規模は急速に拡大すると予想され、 欧州 欧州 欧州 日本 れる環境に優しいポリマー 高機能・実用性分野への展開に向けての技術の確立により多様に事業化 17% 6.2% 15% 18% 材料に関する技術 を進めることが望まれる。 再生医療 ライフサイエンス マイクロアレイ 関連技術 ものづくり技術 90 日米欧 日本へ 米国へ 欧州へ 中韓へ の出願 の出願 の出願 の出願 疾病や事故により、損 傷あるいは機能不全を 起こした組織・器官・ 臓器に対して、これら の形成を人為的に再現 することにより修復・ 再生を図り、機能を回 復させる医療技術。 米国 日本 米国 欧州 ○日米欧中韓(全体)への特許出願において、 米国籍が最も高い出願件数シェ 37% 63% 61% 39% アを占め、次いで日本国籍、欧州国籍と続く。 ○日本国籍は、特許出願件数(日米欧中韓への出願)や論文発表件数から みると十分な研究開発力を有するが、応用技術に関する特許出願件数の 日本 米国 欧州 米国 比率が小さく、また再生医療関連企業の数も欧米に比べ少ないことから、 27% 20% 14% 36% 産業化では遅れをとっている。 欧州 欧州 日本 日本 ○今後は、これまで築いてきた基礎技術の蓄積を応用技術へ展開し、産業 化を促進させていくことが課題と考えられる。 19% 10% 11% 13% ○日米欧中韓(全体)への特許出願及び米国、欧州(各国・地域)への特 DNAや タ ン パ ク 質 な 米国 日本 米国 米国 許出願において、米国籍が最も高い出願件数シェアを占め、優位。 どを基体上に搭載した 39% 57% 70% 42% ○米国籍の出願は2001年をピークに減少している一方で日本国籍の出願 分析ツール技術。遺伝 は増加しており、 日米欧中韓(全体)への出願件数における日本国籍のシェ 子・タンパク質の機能 日本 米国 日本 欧州 アは近年増加している。 解析や、毒物・有害物 32% 25% 12% 39% ○応用産業に適用するための技術(アプリケーション)の出願について、 質の検出、遺伝子診断、 日本国籍の出願全体に対する出願比率は他の国・地域に比べ低い。マイ 産地や動植物種の特定 欧州 欧州 欧州 日本 クロアレイの基本的技術は既に確立されているため、産業化に向けた技 などに活用される。 16% 13% 12% 13% 術開発が重要である。 欧州 日本 欧州 欧州 ○日米欧中韓(全体)への特許出願において、欧州国籍が最も高い出願件 自動車を中心とした車 46% 89% 35% 79% 数シェアを占め、次いで日本国籍と続く。 両のドアなど扉構造に ○日本国籍からは、照合・認証の高度化や不正解錠防止の高度化に関する おける施錠(ロック)、 技術の出願が多く、他方、欧州国籍からは緊急時対策技術に関する出願 日本 欧州 日本 日本 車両用施解錠技術 解錠(アンロック)技 39% 8.2% 31% 12% が多い。 術であり、安全性、防 ○近年、開発が進んでいる非接触認証や生体認証をはじめとする高度な認 盗性、利便性の向上に 証技術は日本が牽引している技術であり、今後も防盗性と利便性を兼ね 米国 米国 米国 米国 関する技術。 備えた技術開発が期待される。 9.1% 2.2% 29% 7.2% テーマ概要 ポイント 米国 日本 米国 米国 ○日米欧中韓(全体)への特許出願、欧、中、韓(各国・地域)への特許 48% 82% 75% 49% 出願においては、米国籍が最も高い出願件数シェアを有し、米国籍が優 位な状況にある。 日本 米国 日本 欧州 ○米国籍からは、特に検索に用いるメディアデータ解析技術に関する出願 が多いが、メディアの中で画像・映像や地理・地図データの解析技術に 29% 12% 8.9% 34% ついては、日本国籍が米国籍より多く出願している。 欧州 欧州 欧州 日本 ○今後、画像・映像や地理・地図データの解析技術に関する技術開発の強 みを活かし、メディアデータに対応した検索技術の強化が期待される。 11% 2.6% 7.3% 9.2% コンビニなどで利用さ れている販売時点情報 管 理 シ ス テ ム(POS: Point Of Sale)であっ て、複数の店舗間や消 費者までをネットワー クでつないだネット ワ ー ク 型POSシ ス テ ムに関する技術 日本 日本 米国 欧州 ○日米欧中韓(全体)への特許出願においては日本国籍が最も高い出願件 68% 89% 79% 44% 数シェアを占め、米国籍、欧州国籍を大きく上回っている。 ○日、米、欧(各国・地域)への出願においては、いずれも共通して販売 促進や顧客管理に関するものが多く、日本への出願についてみると、米、 米国 米国 日本 米国 欧(各国・地域)への出願に比べて、特に労務管理や発注在庫管理に関 23% 7.6% 13% 30% するものが多い。 欧州 欧州 欧州 日本 ○我が国については、独自の市場が形成されているとともに、POS端末の 多機能化が進められている状況がうかがえる。 5.4% 1.9% 5.5% 22% 暮らしをより快適にす るために、複数の電気 機器を互いに連携させ 情報機器・家電 てホームネットワーク ネットワーク制御技術 を形成し、利便性を向 上させるネットワーク 制御技術 日本 日本 米国 欧州 58% 83% 44% 43% ○日米欧中韓(全体)への特許出願において日本国籍は最も高い出願件数 シェアを占め、次いで、韓国籍、米国籍と続いている。 ○日本国籍は、インフラに関する技術(基盤技術)よりもアプリケーショ 韓国 米国 日本 米国 ンに関する技術(応用技術)に対する出願が多い。 15% 6% 22% 25% ○米国籍、欧州国籍、韓国籍は、日本へ最も多くの海外出願を行っており、 我が国が魅力的な市場であることがうかがえる。情報機器・家電ネット 米国 欧州 韓国 日本 ワークの一層の普及が進むことが期待される。 14% 5.8% 18% 16% ネットワーク 関連POS 情報通信 第3章 フォトマスク 配線などのパターンを 露光により形成するた めの原版(マスク)に 関する技術。デジタル カメラ、携帯電話など に組み込まれている半 導体装置やディスプレ イ等を製造する際に用 いられる。 第2章 多層プリント 配線基板 日本 日本 日本 日本 半導体チップやコンデ 78% 94% 56% 49% ○日本国籍が、日、米、欧、中、韓のすべての国・地域において、最も高 ンサなどの各種素子を い特許出願件数シェアを有し、圧倒的優位。 ○日本国籍はいずれの技術に関する出願でも、他国籍を圧倒する特許出願 電気的に接続するため 米国 米国 米国 欧州 の基板に関する技術。 シェアを有している。 10% 3.1% 28% 29% ○引き続き、部品内蔵など最先端の技術開発を進めること、および海外の デジタルカメラ、携帯 低価格品に対抗できるよう生産性・製品信頼性の向上に努めていくこと 電話などの電子機器に 韓国 韓国 韓国 米国 組み込まれる。 が期待される。 4.9% 1.4% 5.5% 17% 第1章 一般に広く使われているデ 日本 日本 日本 日本 ○日本国籍が、日、米、欧、中、韓のすべての国・地域において、最も高 ジタルカメラ(コンパクトカ 84% 94% 69% 53% い特許出願件数シェアを有し、圧倒的優位。 メラ、一眼レフ型カメラ、ビ ○デジタルカメラの種類別特許出願状況をみると、デジタル一眼レフカメ デオカメラ、カメラ付き携帯 ラの出願においては日本国籍が独占し、また、市場においても独占して 米国 米国 米国 米国 デジタルカメラ装置 電話におけるカメラ)に加え、 7.3% 3.3% 17% 21% いる状況である。 監視カメラ、内視鏡などの医 ○今後も技術戦略、事業戦略を踏まえて、市場ニーズに的確に対応した商 療用カメラ、天体観測などの 品の開発、技術開発を進め、効果的な知的財産戦略を構築し、引き続き、 特殊用途カメラを含むデジ 韓国 欧州 韓国 欧州 市場競争力と技術競争力を強化していくことが期待される。 タルカメラに関する技術。 3.8% 1.0% 4.3% 17% 産業財産権をめぐる動向 近代社会において重要 なインフラであるイン インターネット社会 ターネットを通じて流 における検索技術 通する各種データ(テ キスト、画像など)を 検索するための技術 日米欧 日本へ 米国へ 欧州へ 中韓へ の出願 の出願 の出願 の出願 第1部 テーマ名 日本 日本 日本 欧州 ○日本国籍が、日米欧中韓(全体)への特許出願及び日、米、中、韓(各国)へ の特許出願において、最も高い出願件数シェアを有し、圧倒的優位。 61% 88% 36% 44% ○ほとんどの技術で、日本国籍が55%以上の高い出願件数シェアを占めているが、 次世代フォトリソグラフィの有力候補とされているEUV(極端紫外線)用の 米国 米国 米国 日本 フォトマスクに関する技術については、出願件数シェアが45.2%と若干下がる。 16% 4.7% 32% 34% ○フォトマスク技術の国際的な優位性を活かし、フォトマスクメーカー、半導体 メーカー、設計ソフト会社、露光装置メーカー、描画・計測・検査・修正装置メー 欧州 欧州 欧州 米国 カー、ブランクスメーカー等が連携して技術開発を推進していくことが期待さ 12% 4.3% 12% 18% れる。 (備考)・上記出願件数シェアの調査対象期間は下記のとおり(いずれも優先権主張年)。 太陽電池(2000-2006年) 、電気推進車両技術(1995-2006年)、バイオベースポリマー関連技術(1995-2006年) 、 再生医療(2002-2006年) 、マイクロアレイ関連技術(1983-2006年)、車両用施解錠技術(1980-2006年)、インター ネット社会における検索技術(1990-2006年)、ネットワーク関連POS(2002-2006年)、情報機器・家電ネットワー ク制御技術(2000-2006年) 、デジタルカメラ装置(1998-2006年)、多層プリント配線基板(1997-2006年)、フォ トマスク(2001-2006年) ・出願件数シェアは、日米欧中韓へ出願された特許出願全体及び日本、米国、欧州の各国・地域へ出願された特許出願全 体の出願件数に占める、それぞれの出願人国籍別の出願件数を示している。なお、共同出願の場合は筆頭出願人の国籍 を採用し、1出願1国籍としてカウントしている。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書」 91 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ① 太陽電池 太陽電池は、太陽等からの光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電池であり、温室効果 ガスの排出削減に向け、自然エネルギーを利用した電力源の一つとして、近年、世界各国で急速 に普及している。太陽電池の主な用途は住宅用、産業用、公共用などである。 なお、ここでは色素増感型太陽電池は対象外としている。 【太陽電池の技術俯瞰図】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 a.出願人国籍別の出願動向 日米欧中韓への出願件数は2004年にピークが見られる。出願人国籍別比率では、日本国籍が 68.4%と3分の2以上を占め、欧州国籍が15.3%、米国籍が10.6%と続いている。 【出願人国籍別出願件数推移とシェア(出願先:日米欧中韓、2000−2006年の出願)】 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 92 第1部 b.日米欧中韓における出願件数収支 日本、米国、中国への出願件数において、日本国籍が最も高いシェアを有し、欧州への出願で 籍はいずれも韓国よりも中国へ多く出願している。 世界へ技術展開するためには、戦略的、かつ、バランスの取れた形で海外へ特許出願すること が望まれる。 【日米欧中韓における出願収支(2000−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 も欧州国籍による日本への出願の2.5倍以上を出願している。また、日本国籍、欧州国籍、米国 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 c.太陽電池の種類別出願動向 種類別の出願人国籍別出願件数比率において、結晶シリコン型、薄膜シリコン型のシリコン系 は、日本国籍による出願が70%以上を占め、欧米国籍に比べて出願件数において優位にあり、 今後も引き続き世界をリードしていくことが期待される。 有機半導体系では、日本国籍の出願件数がトップであるものの、日本国籍に続く米国籍と欧州 国籍による出願件数の合計は、日本国籍による出願件数を上回っている。 結晶シリコン型では、変換効率の向上と製造コストの低減が重要な課題である。有機半導体系 では、変換効率の向上が最大の課題となっている。 93 第3章 各分野における知的財産活動の実態 【太陽電池種類別の出願人国籍別出願件数比率(出願先:日米欧中韓、2000−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 【太陽電池種類別の課題と解決手段(出願先:日本、2000−2006年の出願)】 結晶シリコン型 有機半導体系 231 440 260 41 175 54 95 46 71 18 177 241 372 68 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 94 102 59 30 14 35 13 8 11 第1部 d.主要出願人 日本、米国、欧州、中国への出願では、いずれも日本国籍が上位3位を占めている。また、日 【出願件数上位ランキング(2000−2006年の出願)】 日本への出願 順 位 米国への出願 出願人 件数 順 位 欧州への出願 出願人 件数 順 位 中国への出願 出願人 件数 順 位 韓国への出願 出願人 件数 順 位 出願人 1 京セラ 569 1 キヤノン 118 1 三洋電機 63 1 三洋電機 42 1 三星SDI(韓国) 2 シャープ 556 2 シャープ 67 2 シャープ 45 2 キヤノン 38 2 3 キヤノン 347 3 三洋電機 63 3 キヤノン 37 3 シャープ 14 3 シャープ 4 三洋電機 289 4 京セラ 35 4 5 三菱重工業 209 5 カネカ 24 5 フラウンホーファー (ドイツ) 半導体エネルギー 研究所 24 6 カネカ 7 カネカ 177 7 BP ノース アメリカ(米国) 23 7 8 パナソニック 104 8 コナルカ テクノロ ジーズ(米国) 21 7 信越化学工業 78 9 10 凸版印刷 75 10 ボーイング(米国) E.I. デュポン (米国) 13 3 24 5 パナソニック 12 3 三洋電機 23 6 半導体エネルギー研 究所 10 19 7 ジェネラル エレク トリック(米国) 9 19 8件以下省略 20 9 サンゴバン グラス フランス(フランス) 18 19 10 ショイテン グラース グループ(オランダ) 17 プリンストン大学 (米国) 11 9 9 9 8件以下省略 第2章 プリンストン大学 (米国) 9 産業技術総合研究所 コナルカ テクノロ ジーズ(米国) 31 4 46 第1章 183 6 6 富士電機ホール ディングス コミッサリア タ レネル ジー アトミーク(フランス) E.I. デュポン (米国) 件数 産業財産権をめぐる動向 本への出願では上位10位は全て日本国籍である。 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 e.研究開発動向 欧州国籍研究機関による論文件数が最も多く、米国籍、日本国籍と続く。また、日本国籍研究 機関の研究者の発表した論文件数では、シリコン系及び化合物薄膜が多く、有機半導体系が少な い。 欧州国籍研究機関による有機半導体系の論文件数は日本国籍の約4倍であり、比率も約2倍で ある。我が国は、有機半導体系の技術開発において、欧米に比べて劣位にあると考えられる。有 機半導体系太陽電池は、いまだ変換効率が数%と低いが、次世代太陽電池に繋がる可能性のある 新型太陽電池として位置づけることができ、変換効率の向上を目指して技術開発を行うことが望 まれる。 【太陽電池の種類別−研究者所属機関国籍別論文件数(発行年:2000−2007年) 】 結晶シリコン 日本国籍 米 国 籍 欧州国籍 薄膜シリコン 化合物結晶 化合物薄膜 有機半導体 合計 102件 120件 40件 95件 29件 386件 26.4% 31.1% 10.4% 24.6% 7.5% 100.0% 75件 99件 72件 156件 29件 431件 17.4% 23.0% 16.7% 36.2% 6.7% 100.0% 184件 209件 56件 286件 126件 861件 21.4% 24.3% 6.5% 33.2% 14.6% 100.0% (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 95 第3章 各分野における知的財産活動の実態 f.市場動向 2007年の世界の太陽電池の生産量は3,733MWで、対前年比約150%と大幅に増加した。 我が国は数年にわたり太陽電池の生産量が世界一であったが、2005年から2007年にかけて 生産量が横ばい傾向になり、2007年では欧州、中国、台湾を中心としたその他の地域の生産量 が増加した。 種類別で見ると、結晶シリコン型、薄膜シリコン型のシリコン系(単結晶Si、多結晶Si、リボ ンSi、HITほか、アモルファスSi)が、全世界の太陽電池の生産量の9割以上を占めている。 【太陽電池の地域別生産量推移】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 【2006年における世界の太陽電池の種類別生産量比率】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「太陽電池」」 96 第1部 g.まとめ ・日米欧中韓への特許出願及び日本、米国、中国への特許出願において日本国籍が最も高い出願 き続き、世界への技術展開を視野に入れ、より戦略的、かつ、バランスの取れた形で海外へ特 許出願することが望まれる。 ・結晶シリコン型、薄膜シリコン型のシリコン系太陽電池では、日本国籍の出願が圧倒的に多く、 優位である。引き続き変換効率の向上や製造コスト低減等の技術開発に注力し、世界をリード していくことが期待される。 ・次世代型の有機半導体系太陽電池では、日本国籍の出願シェアはシリコン系のシェアに比べて 低く、また論文件数においても欧州国籍より大幅に下回っている。今後は、最重要課題である 変換効率の向上を目指した材料開発に注力していくことが望まれる。 産業財産権をめぐる動向 件数シェアを有し、欧州へも欧州国籍の日本への出願の2.5倍以上の件数を出願している。引 第1章 第2章 第3章 97 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ② 電気推進車両技術 電気推進車両技術として、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、鉄道用電気車 両等、各種車両を走行させるための制御技術を対象としている(各種リニアモーターカーは含ま ない)。電気推進車両技術の基本構成は、蓄電装置、電力変換器、発電電動機、駆動輪から成り、 発電機能を備えない電気推進車両に関しては外部電源が必須となる。 【電気推進車両技術の基本構成】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「電気推進車両技術」」 a.出願人国籍別の出願動向 日米欧中韓への出願件数推移は増加傾向にある。日本国籍の出願件数が他国と比べて最も多い 状況にある。 【出願人国籍別出願件数推移とシェア(出願先:日米欧中韓、1995−2006年の出願)】 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「電気推進車両技術」」 98 第1部 b.日米欧中韓における出願収支 日本、米国への出願件数において、日本国籍が最も高いシェアを有し、欧州へも欧州国籍によ た、欧州国籍や韓国籍はそれぞれ自国・地域での出願件数シェアで一番高い位置を占めている。 日本国籍、欧州国籍は、海外への出願先の中では、米国へ最も多く出願している。米国の市場 が魅力的である状況がうかがえる。 【日米欧中韓における出願収支(1995−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 る日本への出願件数を大きく上回る件数の出願をしており、積極的に海外出願を進めている。ま 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「電気推進車両技術」」 99 第3章 各分野における知的財産活動の実態 c.技術区分別の出願動向 車両種別ごとの出願件数(日米欧中韓)を見ると、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電 池自動車のいずれにおいても日本国籍の出願件数が他国と比べて最も多く、また、増加傾向であ る。 日本国籍の出願件数については、ハイブリッド自動車では1,400件以上(2006年)出願し ているのに対して、電気自動車と燃料電池自動車については、それぞれ約530件(2006年)、 約270件(2006年)である。 【車両種別ごとの出願人国籍別出願件数推移(出願先:日米欧中韓、1995−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「電気推進車両技術」」 100 第1部 d.主要出願人 出願先ごとの出願人別出願件数上位ランキング上位5位では、我が国の自動車メーカーが多く 【出願件数上位ランキング(1995−2006年の出願)】 日本への出願 順 位 出願人 米国への出願 順 件数 位 出願人 欧州への出願 順 件数 位 出願人 中国への出願 順 件数 位 韓国への出願 出願人 順 件数 位 出願人 HYUNDAI MOTOR(韓国) 件数 1 トヨタ自動車 3,407 1 トヨタ自動車 463 1 トヨタ自動車 600 1 トヨタ自動車 278 1 2 日産自動車 1,902 2 本田技研工業 418 2 本田技研工業 359 2 本田技研工業 108 2 トヨタ自動車 87 3 本田技研工業 1,150 3 日産自動車 256 3 SIEMENS(欧州) 283 3 日産自動車 80 3 日産自動車 51 4 日立製作所 759 4 日立製作所 173 4 日産自動車 53 4 本田技研工業 40 5 東芝 474 5 37 5 日立製作所 33 223 4 日立製作所 FORD GLOBAL 117 5 DAIMLER(欧州) 180 5 SIEMENS(欧州) TECHNOLOGIES(米国) 292 産業財産権をめぐる動向 を占めている。ただし、韓国への出願については韓国の自動車メーカーが1位である。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「電気推進車両技術」」 日米欧を中心にハイブリッド自動車の販売台数が伸びており、ハイブリッド自動車の市場が拡 電気自動車は現在のところ限定的普及に留まっており、ハイブリッド自動車に比べて普及台数 は非常に少ない。 【世界のハイブリッド自動車地域別販売台数】 第3章 燃料電池自動車については一般的な市場形成には至っていない。 第2章 大している状況がわかる。 第1章 e.市場動向 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「電気推進車両技術」」 101 第3章 各分野における知的財産活動の実態 f.まとめ ・日米欧中韓への特許出願及び日本、米国への特許出願において日本国籍が最も高い出願件数 シェアを有し、欧州へも欧州国籍の日本への出願件数を大きく上回る件数を出願しており、積 極的に海外出願を進めている。 ・電気推進車両の様々な車両種別も考慮しながら、航続距離延長に関する技術、エネルギー消費 量節減技術、安全関連技術など、電気推進車両普及に向けて重要となる技術についてさらなる 開発が期待される。 ・今後は、世界を視野に入れ、周辺技術を含めて効果的に知財ポートフォリオを構築し、有効に 知的財産を活用していくことが望まれる。 102 第1部 ③ バイオベースポリマー関連技術 バイオベースポリマーとして、デンプン、セルロースなど天然物系のバイオベースポリマー、 らなるモノマー、あるいはそのバイオ産生物由来モノマーと石油化学系モノマーからなるポリ マーを対象としている。 【バイオベースポリマー関連技術の技術俯瞰図】 産業財産権をめぐる動向 ポリ乳酸など生分解性機能を重視したバイオベースポリマーに加え、バイオ産生物の化学転換か 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動調査報告書「バイオベースポリマー関連技術」」 a.出願人国籍別の出願動向 日米欧中韓への出願件数は1997年頃から増加し、2001−2004年にピークを迎えている。 日米欧中韓への出願では、日本国籍が過半数の出願件数シェアを占め、欧州国籍、米国籍と続い ている。 103 第3章 各分野における知的財産活動の実態 【出願人国籍別出願件数シェアと推移(出願先:日米欧中韓、1995−2006年の出願)】 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性 がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「バイオベースポリマー関連技術」」 b.日米欧中韓における出願収支 日本国籍の米国への出願(551件)よりも、米国籍の日本への出願の出願(696件)が多い。 日本国籍、米国籍ともに、欧州へ最も多くの海外出願を行っており、米国籍(1,317件)は 日本国籍(662件)の倍以上の出願をしている。欧州国籍は、米国への出願(448件)より日 本への出願(516件)の方が多い。 【日米欧中韓における出願収支(1995−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「バイオベースポリマー関連技術」」 104 第1部 c.技術区分別の出願動向 日本国籍は、容器及び包装資材関連の出願件数が最も多く、次いで、医療分野、農業用・園芸 欧州国籍の出願は、医療分野に集中している。 【用途展開別の出願人国籍別出願件数(出願先:日米欧中韓、1995−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 資材、紡糸・繊維・布帛・衣料・不織布・皮革など、幅広い分野に出願している。他方、米国籍、 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「バイオベースポリマー関連技術」」 105 第3章 各分野における知的財産活動の実態 d.主要出願人 日本への出願では、出願件数上位を日本国籍が占めるが、米国、欧州、中国、韓国いずれの国・ 地域への出願でも、出願件数上位は米国籍が多数を占める。 【出願先国別出願人上位ランキング(1995−2006年の出願)】 日本への出願 順 位 出願人 米国への出願 件数 順 位 出願人 欧州への出願 件数 順 位 出願人 1 東レ(日) 548 1 E I DuPont(米) 92 1 BASF SE(欧) 2 ユニチカ(日) 404 2 Ethicon Inc(米) 84 2 3 三井化学(日) 342 3 キヤノン(日) 70 3 4 三菱樹脂(日) 240 4 Metabolix Inc(米) 68 4 E I DuPont(米) 5 トヨタ自動車(日) 237 5 Halliburton Energy Serv Inc(米) 中国への出願 件数 順 位 韓国への出願 出願人 件数 104 1 E I DuPont(米) Procter & Gamble Co(米) Novamont Spa (欧) 67 5 BAYER AG(欧) 順 位 出願人 件数 Korea Adv Inst 37 Sci & Technol (韓) 45 1 83 2 Procter & Gamble Co(米) 79 3 Eastman Samyang Corp 23 3 Chemical Corp(米) (韓) 33 73 4 中国科学院長春応用 化学研究所(中) 31 71 5 三井化学(日) 31 2 キヤノン(日) 19 4 E I DuPont(米) 18 5 Kimberly Clark Co (米) 34 27 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「バイオベースポリマー関連技術」」 e.市場動向 バイオベースポリマーの世界の消費量は2001年の28,100t/yに比較して、2005年には 94,800t/yと大幅に伸びた。2010年には新規のバイオベースポリマーの上市が複数発表され ており、市場規模は今後急速に拡大すると予想されている。 【世界のバイオベースポリマーの消費量推移(単位:t/y)】 分類 ポリマータイプ デンプン系 PE複合材など 植物由来生分解性 ポリ乳酸 2000年 化学合成生分解性 合計 化学合成(脂肪族・芳香族複合ポリエステル) 2010年予測 15,500 44,800 89,200 8,700 35,800 89,500 PHA バイオベース生分解性なし PE、PP、PVC、ECH、PETなど 2005年 0 データなし 200 データなし 2,900 データなし 3,900 14,000 32,800 28,100 94,800 214,400 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「バイオベースポリマー関連技術」」 f.まとめ ・バイオベースポリマー関連技術に関する日米欧中韓への特許出願件数は1995年−2006年 で17,036件であり、日本国籍は約半数(8,635件)の50.7%のシェアを占める。 ・日本国籍の米国への出願(551件)よりも米国籍の日本への出願件数(696件)が多く、さ らに、米国籍は欧州へはより多く出願している(1,317件)。米国籍は積極的に海外出願を進 めている。 ・日本国籍からの出願は容器や包装資材用途のものが最も多く、その他の幅広い用途へも展開さ れているが、米国籍、欧州国籍からの出願は医療用途に集中している。 ・今後、バイオベースポリマーの市場規模は急速に拡大すると予想され、高機能・実用性分野へ の展開に向けての技術の確立により、多様に事業化を進めることが望まれる。 106 第1部 ④ 再生医療 再生医療とは、疾病や事故により損傷あるいは機能不全を起こした組織・器官・臓器に対して、 再生医療に用いられる細胞には、近年注目されている、組織・器官・臓器を構成する全ての細胞 に分化できる多能性幹細胞(ES細胞やiPS細胞)の他、体細胞などが含まれる。また、再生医 療製品の例としては、培養表皮、培養皮膚、培養軟骨などがある。 【再生医療の技術俯瞰図】 産業財産権をめぐる動向 これらの形成を人為的に再現することにより、修復・再生を図り、機能を回復させる医療を指す。 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 a.出願人国籍別の出願動向 2002−2006年に日米欧中韓へ出願された8,573件のうち、37%が米国籍(3,175件) によるもので、次いで日本国籍(2,327件:27%)、欧州国籍(1,623件:19%)と続く。 【出願人国籍別出願件数シェア推移(出願先:日米欧中韓、2002−2006年の出願)】 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるず れ等で全データを反映していない可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 107 第3章 各分野における知的財産活動の実態 b.日米欧中韓における出願収支 米国籍は、積極的に海外出願を進めており、特に欧州に対し多くの出願をしている(780件) 。 中国籍及び韓国籍はまだ出願件数は少なく、海外出願も少ない。 【日米欧中韓における出願収支(2002−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 108 第1部 c.技術区分別の出願動向 日本国籍は米国籍、欧州国籍に比べて応用技術に関する出願の比率が低い。 ※要素技術:新規な細胞と取得技術、細胞 培養・増殖技術、細胞分化制御技術、足 場関連技術など ※応用技術:細胞シート、細胞移植などの 治療関連技術、細胞治療のための器具な ど ※支援技術:運搬・パッケージ、安全性・ 品質管理、治療効果の解析・評価するた めのシステムなど (再生医療の技術俯瞰図を参照) 産業財産権をめぐる動向 【技術区分別−出願人国籍別出願件数とその比率(出願先:日米欧中韓、2002−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 第1章 d.主要出願人 州への出願では、米国籍が上位を占めている。 第2章 日本への出願では日本国籍が上位を占め、米国への出願では米国籍が上位を占める。また、欧 【出願件数上位ランキング(2002−2006年の出願)】 出願人 オリンパス(日本) 科学技術振興機構(日本) 出願 件数 米国への出願(2,589件) 出願人 JOHNSON & JOHNSON 178 (米国) 63 MEDTRONIC(米国) 出願 件数 60 科学技術振興機構(日本) 出願人 中国への出願(903件) 出願 件数 出願人 出願人 出願 件数 75 UNIV ZHEJIANG(中国) 23 25 MEDTRONIC(米国) 22 UNIV TSINGHUA(中国) 18 CELGENE(米国) FIELD TRANSFUSION 20 INST ACAD MILITARY MED(中国) 17 JOHNSON & JOHNSON 19 (米国) 12 科学技術振興機構(日本) 8 KOREA INST SCI 12 TECHNOL(韓国) 7 UNITED STATES GOVERNMENT(米国) 20 HOYA(日本) BOSTON SCIENTIFIC 日立製作所グループ(日本) 58 (米国) 19 科学技術振興機構(日本) 17 科学技術振興機構(日本) 旭化成(日本) 18 CNRS(フランス) 16 41 BIOMET(米国) 韓国への出願(477件) 出願 件数 JOHNSON & JOHNSON 78 (米国) 産業技術総合研究所(日本) 61 UNIV CALIFORNIA (米国) 20 JOHNSON & JOHNSON (米国) 欧州への出願(2,161件) WISCONSIN ALUMNI RES FOUND(米国) SEOUL NAT UNIV IND FOUND(韓国) WISCONSIN ALUMNI RES FOUND(米国) JOHNSON & JOHNSON SHANGHAI GUORUI 11 LIFE SCI & TECH(中国) (米国) 第3章 日本への出願(2,443件) 15 13 8 6 16 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 e.研究開発動向 2004−2007年に発行された論文発表件数(7,472件)のうち、米国籍(2,304件)及び 欧州国籍(2,223件)が共にそれぞれ論文発表の約30%ずつ占め、日本国籍は14%(1,058件) を占める。 2004−2007年に発行されたヒト細胞を利用した論文発表件数(2,156件)のうち、日本 国籍によるものは11%(239件)であり、米国籍の27%(573件)、欧州国籍38%(823件) に比べて低く、また近年、発表件数シェアも低下している。 109 第3章 各分野における知的財産活動の実態 【研究者所属機関国籍別論文発表件数シェア推移(発行年:2004−2007年)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 【研究者所属機関国籍別ヒト細胞利用論文発表件数シェア推移(発行年:2004−2007年)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 f.市場動向 世界における再生医療関連企業300社のうち、米国企業がその半数を占め、日本企業は米国 の1/4であり、再生医療関連企業の集積が後れている。再生医療の治験も欧米のベンチャー企業 先行で行われており、日本企業は後れをとっている。 【再生医療関連企業の内訳(2008年10月時点)】 国・地域 業種 細胞治療 医薬 材料、器具 人工臓器 合 計 日 本 17 7 10 1 2 37 米 国 83 20 30 5 8 146 欧 州 36 13 23 0 5 77 中 国 1 0 0 0 0 1 韓 国 5 0 2 0 0 7 そ の 他 24 4 4 0 0 32 合 計 166 44 69 6 15 300 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「再生医療」」 110 支 援 第1部 g.まとめ ・米国籍が再生医療の研究開発では先行しており、特許出願・論文発表件数ともに米国の企業・ ・日本国籍は特許出願、論文発表で米国籍に次ぐ出願・発表件数を有しており、十分な研究開発 力を有しているが、応用分野への展開、再生医療関連企業数、治験実施数などが見劣りし産業 化につながっていない。 ・研究開発の担い手である大学・研究機関からの研究成果を応用分野へ展開し、知的財産として 確保し、また、産業の担い手であるベンチャー企業の育成を進めるなど、今後、再生医療技術 をいかに普及させ、産業化を促進させていくかが課題である。 産業財産権をめぐる動向 大学・研究機関によるものが多数を占めている。 第1章 第2章 第3章 111 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ⑤ マイクロアレイ関連技術 マイクロアレイとして、基体上に、核酸、タンパク質、ペプチド、糖鎖、低分子化合物、細胞、 組織などの物質をプローブ分子として複数種類搭載し、ターゲット分子である生体関連物質との 相互作用を計測したり、反応を利用したりするためのデバイスを対象としている。遺伝子・タン パク質の機能解析や、毒物・有害物質の検出、医療分野での遺伝子診断や、食品・農業分野での 産地・動植物種・品種の特定など、幅広い分野で分析ツールとして活用されている。 【マイクロアレイ関連技術の技術俯瞰図】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 a.出願人国籍別の出願動向 1983−2006年に日米欧中韓へ出願された9,056件のうち、38.5%が米国籍によるもので、 次いで日本国籍、欧州国籍と続く。日本国籍は、2000年以降急激に出願を増やし、2002年 以降は出願件数首位で推移し、出願件数シェアを増加させている。 112 第1部 【出願人国籍別出願件数推移(出願先:日米欧中韓、1983−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 第1章 第2章 【出願人国籍別出願件数シェア(出願先:日米欧中韓、1983−2006年の出願)】 第3章 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 113 第3章 各分野における知的財産活動の実態 b.日米欧中韓における出願件数収支 米国籍は米国内だけでなく、欧州への出願においても、最も高い出願件数シェアを占め、積極 的に海外出願を進めている。日本国籍は日本国内で多くの件数を出願しているが、海外出願は比 較的少ない。 【日米欧中韓における出願収支(1983−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 114 第1部 c.技術区分別の出願動向 全体的にアレイ/チップを製造するための技術(ファブリケーション)の出願件数が多い。 比率はわずか10%程度であり、他の国・地域に比べ低い。マイクロアレイの基本的技術は既に 確立されているため、今後は産業化に向けた技術開発が重要である。 応用産業に適用するための技術(アプリケーション)の中では、食品・農業分野(病原性微生 物の検出、産地・品種等の特定など)や環境分野(毒性・有害物質の検出など)に関する技術の 出願が、日本国籍は欧米国籍に比べ多い。 【出願人国籍別技術区分別出願件数(1983−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 応用産業に適用するための技術(アプリケーション)に関する出願について、日本国籍の出願 第1章 第2章 ロアレイ関連技術」」 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイク 【アプリケーションの個別分野別−出願人国籍別出願件数(1983−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 115 第3章 各分野における知的財産活動の実態 d.主要出願人 日本、米国、中国、韓国では、それぞれ自国企業が上位を占めている。欧州では米国企業が上 位を占めている。 【出願件数上位ランキング(1983−2006年の出願)】 日本への出願 出願人(56件以上) キヤノン(日本) 米国への出願 件数 出願人(20件以上) 215 AFFYMETRIX(米国) 欧州への出願 件数 出願人(17件以上) 277 AFFYMETRIX(米国) 富士フイルムホールディン APPLIED BIOSYSTEMS AGILENT 204 125 グス(日本) (米国) TECHNOLOGIES(米国) オリンパス(日本) AGILENT 111 113 EPIGENOMICS(ドイツ) TECHNOLOGIES(米国) INCYTE APPLIED BIOSYSTEMS 50 (米国) PHARMACEUTICALS(米国) 中国への出願 件数 89 韓国への出願 出願人(11件以上) SHANGHAI BIOWINDOW GENE DEV(中国) 件数 出願人(7件以上) 件数 29 MEDIGENES(韓国) 38 53 UNIV ZHEJIANG(中国) SAMSUNG 28 ELECTRONICS(韓国) 25 HUANJI BIOCHIP DEV 52 KUNMING(中国) 25 LG ELECTRONICS (韓国) 14 18 KOREA ADV INST SCI 10 & TECHNOLOGY(韓国) 88 三菱レイヨン(日本) 85 キヤノン(日本) 41 日本碍子(日本) AFFYMETRIX(米国) 73 日本碍子(日本) FRENCH ATOMIC ENERGY AOLAN BIOLOGICAL ENG 24 26 INST SHANDONG(中国) COMMISSION(CEA)(フランス) 日立ソフトウエア エンジニアリング(日本) 65 日立製作所(日本) 24 EPPENDORF(ドイツ) 18 日立製作所(日本) 62 24 CNRS(フランス) 17 10件以下は省略 宝ホールディングス(日本) 8 東芝(日本) SAMSUNG 59 ELECTRONICS(韓国) 23 キヤノン(日本) 17 UNIV SEOUL NAT IND FOUND(韓国) 7 東洋紡績(日本) 56 EPIGENOMICS(ドイツ) 20 ソニー(日本) 17 東洋鋼鈑(日本) 7 富士フイルムホールディン グス(日本) 42 SHANGHAI BODE GENE DEV(中国) ソニー(日本) 28 ソニー(日本) 16 BIOMED LAB(韓国) 10 15 GENOMICTREE(韓国) SHANGHAI JINGTAI 11 ソニー(日本) BIOTECHNOLOGY(中国) 9 9 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 e.市場動向 市場のほとんどが研究支援用途のDNAマイクロアレイである。先行した海外メーカーがデファ クトスタンダード化しており、日本国籍のシェアは低い。医療・医学への応用例として欧米で承 認された製品例も出てきているが、いまだに応用産業の市場は小さい。 【日本国内のDNAマイクロアレイのメーカー別シェア】 数量ベース(枚) 2006(実績) 金額ベース(百万円) 2007(見込) シェア 2006(実績) シェア シェア シェア A社(米国) 92,500 75.4% 107,000 76.4% 4,300 74.9% 4,600 75.4% B社(米国) 10,000 8.2% 12,000 8.6% 600 10.5% 650 10.7% C社(日本) 4,600 3.8% 5,000 3.6% 180 3.1% 200 3.3% D社(米国) 2,200 1.8% 2,200 1.6% 110 1.9% 110 1.8% そ の 他 13,300 10.8% 13,800 9.9% 550 9.6% 540 8.9% 合 計 122,600 100.0% 140,000 100.0% 5,740 100.0% 6,100 100.0% (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「マイクロアレイ関連技術」」 116 2007(見込) 第1部 f.まとめ ・日米欧中韓への特許出願及び米国、欧州(各国・地域)への特許出願において、米国籍が最も ・米国籍の出願は2001年をピークに減少している一方で、日本国籍の出願は2002年以降は 首位で推移しており、日米欧中韓への出願件数における日本国籍のシェアは近年増加している。 ・応用産業に適用するための技術(アプリケーション)の出願について、日本国籍の出願全体に 対する出願比率は他の国・地域に比べ低い。マイクロアレイの基本的技術は既に確立されてい るため、産業化に向けた技術開発が重要である。 ・最も大きな市場を形成しているDNAマイクロアレイでは、先行した海外製品がデファクトス タンダード化し、我が国は後れをとっている。今後、我が国の得意な技術を生かし、新たに立 ち上がりが期待される市場でのニーズを満たしたマイクロアレイ製品の開発を進めることが望 産業財産権をめぐる動向 高い出願件数シェアを占め、米国籍が優位な状況にある。 まれる。 第1章 第2章 第3章 117 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ⑥ インターネット社会における検索技術 インターネット社会における検索技術とは、近代社会において重要なインフラであるインター ネットを通じて画像など各種データを検索するための技術である。 【インターネット社会における検索技術の技術俯瞰図】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 a.出願人国籍別の出願動向 日米欧中韓への出願においては、米国籍が最も高いシェアを有し(48%)、日本国籍(29%) が続いている。出願件数推移では2000年にピーク(2,758件)が見られる。日本国籍の出願 件数は、2000、2001年は米国籍と同等の件数であったが、それ以降は、米国籍の半分程度 である。 【出願人国籍別出願件数シェアと推移(出願先:日米欧中韓、1990−2006年の出願)】 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 118 第1部 b.日米欧中韓における出願収支 米国への出願件数が最も多く(5,759件)、次いで、日本への出願(3,368件)が多い。 米国籍は欧州に対して、日本への出願件数の約2.5倍の件数(977件)を出願している。 米国籍は、欧州、中国、韓国への出願件数において、最も高いシェアを有している(欧州への 出願:49%、中国への出願:41%、韓国への出願:32%)。 【日米欧中韓における出願収支(1990−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 日本国籍の米国への出願件数(514件)は米国籍の日本への出願件数(393件)よりも多いが、 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 119 第3章 各分野における知的財産活動の実態 c.技術区分別の出願動向 米国籍からは、特にメディアデータ解析技術に関する出願が多い。このメディアデータ解析技 術の内訳をみると、画像・映像や地理・地図データの解析技術については、日本国籍が米国籍よ りも多くの出願を行っている。 【技術区分別−出願人国籍別出願件数(出願先:日米欧中韓、1990−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 d.主要出願人 出願人上位ランキングを見ると、日本への出願では、大半が日本国籍であるが、米国、欧州、 中国、韓国への出願では米国籍が上位を占めている。 【出願先国別出願人上位ランキング(1990−2006年の出願)】 日本への出願 順 位 出願人 1 日本電気(日本) 米国への出願 件数 順 位 194 1 IBM(米国) 2 日本電信電話(日本) 180 2 3 ソニー(日本) 出願人 マイクロソフト (米国) 123 3 ヤフー(米国) 4 日立製作所(日本) 121 4 ソニー(日本) 欧州への出願 件数 順 位 484 1 64 9 アメリカオンライン (米国) 10 三菱電機(日本) 64 10 サン・マイクロシス テムズ(米国) 77 1 NHN(韓国) ヒューレット・パッ カード(米国) オーバーチュア (米国) マイクロソフト (米国) 53 9 フランステレコム (欧州) 35 3 IBM(米国) 57 56 43 37 34 5 フィリップス(欧州) 35 51 6 サムスン(韓国) 21 6 ソニー(日本) 34 17 7 LG(韓国) 31 16 8 グーグル(米国) 24 31 8 オーバーチュア (米国) ブリティッシュ・テレコ オーバーチュア 28 9 パナソニック(日本) 14 9 ミュニケーションズ(欧州) (米国) 53 10 サムスン(韓国) 件数 56 5 ソニー(日本) 77 7 フィリップス(欧州) 48 7 ZHANG W(中国) 56 8 63 2 韓国電子通信研究院 26 10 無錫甬鐘科技(中国) 13 10 (韓国) (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 120 出願人 57 4 フィリップス(欧州) 35 4 サムスン(韓国) 78 6 9 IBM(米国) マイクロソフト (米国) 順 位 100 4 ソニー(日本) 105 6 富士通(日本) 71 8 AT&T(米国) 87 1 IBM(米国) 件数 66 3 グーグル(米国) 6 東芝(日本) 8 リコー(日本) 出願人 124 3 グーグル(米国) 99 5 ヒューレット・パッ カード(米国) 順 位 73 2 108 5 グーグル(米国) 73 7 マイクロソフト (米国) 件数 韓国への出願 373 2 IBM(米国) 5 富士通(日本) 7 キヤノン(日本) 出願人 中国への出願 22 20 第1部 e.研究開発動向 主要な国際会議における論文発表件数が最も多いのは米国籍であり、次いで欧州国籍である。 【研究者所属機関国籍別論文件数(1990−2007年)】 産業財産権をめぐる動向 日本国籍は中国籍よりも論文発表件数が少ない状況である。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 f.市場動向 本、中国、韓国とでは、高いシェアを占める検索サイトがそれぞれ異なっていることがわかる。 ついては寡占状態にある。 第2章 米国、中国、韓国では、自国の検索サイトのシェアが高い。また、各国とも検索サイトシェアに 第1章 市場動向では、米国や欧州といったアルファベット言語圏と、アルファベット言語圏でない日 【日米欧中韓における主な検索サイトシェア】 地 域 日本 米国 欧州 中国 韓国 Google(米国) 31.3% 63.0% 79.2% 27.0% 1.7% Yahoo!(米国) 56.2% 19.6% 2.0% 2.4% 4.6% MSN(米国) 2.8% 8.3% 1.9% 0.0% 0.0% Baidu(中国) 0.0% 0.0% 0.0% 60.9% 0.0% Naver(韓国) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 72.1% Daum(韓国) 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 15.4% 第3章 検索サイト (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「インターネット社会における検索技術」」 g.まとめ ・日米欧中韓への特許出願件数シェアは米国籍が50%近くを占めており、日本国籍の出願件数 シェアは30%程度である。 ・日本国籍は、米国籍の日本への出願より多くの出願を米国へ出願しているなど積極的に海外出 願を行っている。 ・米国籍からは、特にメディアデータ解析技術に関する出願が多いが、メディアの中で画像・映 像や地理・地図データの解析技術については、日本国籍が米国籍よりも多く出願している。 ・今後、画像・映像や地理・地図データの解析技術に関する技術開発の強みを活かし、カーナビ やGPS機能を有する携帯電話等を利用した地理・地図検索技術や、マルチメディアデータに 対応した検索技術の強化が期待される。 121 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ⑦ デジタルカメラ装置 デジタルカメラ装置として、一般に広く使われているデジタルカメラ(コンパクトカメラ、一 眼レフ型カメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話におけるカメラ)に加え、監視カメラ、内 視鏡などの医療用カメラ、天体観測などの特殊用途カメラを対象としている。 【デジタルカメラ装置の技術俯瞰図】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 a.出願人国籍別の出願動向 1998−2006年における日米欧中韓へ出願された32,804件のうち、83.5%(27,380件) は日本国籍によるもので、高い出願件数シェアを占める。日本国籍の出願件数は、1998年では 1,754件であったのが、2004年には3,998件と、約2倍以上に増加した。 【出願人国籍別出願件数推移とシェア(出願先:日米欧中韓、1998−2006年の出願)】 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していな い可能性がある。 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 122 第1部 b.日米欧中韓における出願件数収支 日米欧中韓いずれの国・地域への出願においても、日本国籍が最も高い出願件数シェアを有し、 州へと続く。 【日米欧中韓における出願収支(1998−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 圧倒的に優位な状況にある。日本国籍は、米国へ最も多く海外出願しており、次いで、中国、欧 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 123 第3章 各分野における知的財産活動の実態 c.技術区分別の出願動向 デジタル一眼レフ型カメラに関する出願は、日本国籍以外からの出願はほとんどない。 【対象デジタルカメラ装置−出願人国籍別出願件数(出願先:日米欧中韓、 1998−2006年の出願) 】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 d.主要出願人 日本、米国、欧州、中国への出願については、いずれも日本国籍が首位を占めている。日本国 籍以外では、米国籍、韓国籍が出願件数ランキング上位に位置する。 【出願件数上位ランキング(1998−2006年の出願)】 日本への出願 順 位 出願人 1 キヤノン(日) 米国への出願 順 件数 位 出願人 3,132 1 キヤノン(日) 欧州への出願 順 件数 位 出願人 803 1 ソニー(日) 2 富士フイルム(日) 3,087 2 富士フイルム(日) 771 2 キヤノン(日) 3 オリンパス(日) 2,135 3 オリンパス(日) 487 3 Hewlett-Packard Co.(米) 4 ソニー(日) 1,415 4 ソニー(日) 423 4 Eastman Kodak Co.(米) 5 コニカミノルタホー Hewlett-Packard 1,374 5 ルディングス(日) Co.(米) 6 ニコン(日) 1,170 6 Samsung Group (韓) 9 リコー(日) 741 8 ニコン(日) 10 HOYA(日) 680 10 Eastman Kodak Co.(米) 出願人 出願人 Samsung Group (韓) 件数 229 1 キヤノン(日) 327 1 185 2 ソニー(日) 306 2 ソニー(日) 169 3 オリンパス(日) 224 3 キヤノン(日) 97 161 4 カシオ計算機(日) 90 96 4 Samsung Group (韓) 345 236 61 83 6 カシオ計算機(日) 116 6 HOYA(日) 45 277 7 カシオ計算機(日) 81 7 富士フイルム(日) 98 6 パナソニック(日) 45 240 8 ニコン(日) 75 8 三洋電機(日) 74 8 富士フイルム(日) 43 240 9 富士フイルム(日) 68 9 HOYA(日) 52 9 219 10 リコー(日) 63 10 リコー(日) 51 10 シャープ(日) (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 124 韓国への出願 順 件数 位 83 5 パナソニック(日) 126 5 三洋電機(日) コニカミノルタホー Samsung group 349 5 ルディングス(日) (韓) 7 カシオ計算機(日) 917 7 HOYA(日) 8 パナソニック(日) 811 8 363 5 HOYA(日) 中国への出願 順 件数 位 LG Electronics Inc.(韓) 35 19 第1部 e.市場動向 デジタルカメラの世界市場は2007年で約1.25億台、日本企業のシェアは約80%、国外生 は約79%、デジタル一眼レフカメラ(DSLR)が約750万台、日本企業のシェアは100%に近 い。デジタルビデオカメラの世界市場は2007年で約1,700万台、日本企業のシェアは約90%、 国内生産比率が約80%と高い。携帯電話カメラモジュールの世界市場は2007年で約9億個、 日本企業のシェアは約45%と推定されている。 【デジタルカメラ(DSC+DSLR)の企業国籍別出荷量推移】 産業財産権をめぐる動向 産比率が約65%、内訳はデジタルスチルカメラ(DSC)が約1,175億台、日本企業のシェア 第1章 第2章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 デジタルカメラ 世界市場(万台) 日 本 企 業 販売量(万台) 世界シェア(%) 国内生産(%) 国外生産(%) 販売額(億円) 12,500 10,000 80 DSC(デジタルスチルカメラ) 11,750 9,250 79 DSLR(デジタル一眼レフ) 750 約750 デジタルビデオカメラ(アナログ含む) 1,700 1,500 携帯電話 携帯電話カメラモジュール 35 65 99 4,500 90 80 20 6,500 第3章 【デジタルカメラ装置の世界市場と日本企業のシェア(2007年)】 20,500 16,000 115,000 4,500 4 90,000 40,000 45 16,000 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「デジタルカメラ装置」」 f.まとめ ・1998−2006年における日米欧中韓(全体)へ特許出願された32,804件のうち、日本国 籍が83.5%(27,380件)と高い出願件数シェアを占め、また、日米欧中韓いずれの国・地 域への出願件数シェアにおいてもそれぞれ首位を独占し、圧倒的優位な状況にある。 ・デジタルカメラの種類別特許出願状況をみると、デジタル一眼レフカメラの出願においては日 本国籍が独占し、また、市場においても独占している状況である。 ・我が国企業は内外市場ごとに、それぞれのニーズに合った製品を投入し、グローバルなビジネ ス展開を進めている。今後も技術戦略、事業戦略を踏まえて、新興市場ニーズに的確に対応し た低価格化商品の開発や成熟市場に対応した高付加価値・差別化商品の開発を進め、効果的な 知的財産戦略を構築し、引き続き、市場競争力と技術競争力を強化していくことが期待される。 125 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ⑧ 多層プリント配線基板 多層プリント配線基板とは、半導体チップやコンデンサなどの各種素子を電気的に接続するた めの基板のことであり、デジタルカメラ、携帯電話などの電子機器に組み込まれる。近年、デジ タルカメラ、携帯電話などの電子機器では、高機能化、小型化が求められ、これを実現するため に、配線層を3層以上積層することで高密度配線としたものが多層プリント配線基板である。従 来の片面、両面のプリント配線基板を積層しためっきスルーホール型から、1層ずつ積層するビ ルドアップ型、あるいは部品内蔵型など、様々な小型化・高密度化技術が開発、実用化されてお り、またこれに伴い、放熱性向上や低コスト化に向けた生産性向上技術なども開発されている。 【多層プリント配線基板の技術俯瞰図】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 126 第1部 a.出願人国籍別の出願動向 1997−2006年に日米欧中韓へ出願された24,635件のうち、78.3%が日本国籍(19,296 まで増加したが、2000年以降、緩やかな減少傾向にある。 【出願人国籍別出願件数とその推移(出願先:日米欧中韓、1997−2006年の出願)】 産業財産権をめぐる動向 件)によるもので高い出願件数シェアを占める。日本国籍からの出願は1997年から2000年 (備考)2005年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の国内移行によるずれ等で全データを反映していない可能性がある。 b.日米欧中韓における出願収支 圧倒的優位な状況にある。 日本国籍は、米国へ最も多く海外出願をしており、次いで、中国と続く。韓国と欧州へは同程 【日米欧中韓における出願収支:(1997−2006年の出願)】 第3章 度出願している。 第2章 日米欧中韓いずれの国・地域への出願においても、日本国籍が最も高い出願件数シェアを占め、 第1章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 127 第3章 各分野における知的財産活動の実態 c.技術区分別の出願動向 プリント配線基板の材料に関する技術や層間接続に関する技術など既に実用化されている技術 に関する出願では、日本国籍は80%以上の出願件数シェアを占め、他を圧倒している。部品を 基板内に内蔵させて高密度化する技術や光回路形成に関する技術など最先端として注目される技 術に関する出願では、日本国籍は65%−70%程度の出願件数シェアを占める。 【材料分野(左)と層間接続分野(右)の出願件数シェア(1997−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 【部品内蔵分野(左)と光回路形成分野(右)の出願件数シェア(1997−2006年の出願)】 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 d.主要出願人 日米欧中韓いずれの国・地域への出願においても、日本国籍が上位10出願人中の半数以上を 占める。 【出願件数上位ランキング(1997−2006年の出願)】 出願先 順位 日本 出願人 米国 件数 出願人 1,552 IBM(米) 欧州 件数 出願人 中国 件数 出願人 件数 出願人 件数 1 京セラ(日) 265 イビデン(日) 123 パナソニック(日) 162 サムスン電機(韓) 192 2 パナソニック(日) 923 パナソニック(日) 249 村田製作所(日) 110 サムスン電機(韓) 90 サムスン電子(韓) 101 3 イビデン(日) 744 新光電気工業(日) 153 パナソニック(日) 107 イビデン(日) 60 新光電気工業(日) 81 4 日本特殊陶業(日) 695 富士通(日) 137 シーメンス(ドイツ) 84 日東電工(日) 58 イビデン(日) 81 5 村田製作所(日) 588 村田製作所(日) 134 新光電気工業(日) 54 セイコーエプソン(日) 57 三井金属鉱業(日) 64 6 日立化成工業(日) 562 サムスン電機(韓) 131 日東電工(日) 46 村田製作所(日) 52 村田製作所(日) 49 7 トッパンNECサーキット ソリューションズ(日) 360 イビデン(日) 123 デュポン(米) 45 三井金属鉱業(日) 45 パナソニック(日) 48 8 パナソニック電工(日) 320 インテル(米) 87 デンソー(日) 41 新光電気工業(日) 39 セイコーエプソン(日) 43 9 ソニー(日) 308 日本電気(日) 85 サムスン電機(韓) 41 日本特殊陶業(日) 38 LGエレクトロニクス(韓) 42 10 新光電気工業(日) 299 日東電工(日) 80 エリクソン(スウェーデン) 36 TDK(日) 36 ソニー(日) 33 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 128 韓国 第1部 e.市場動向 プリント配線基板生産額(2007年)は、我が国は中国に次ぎ2位であるが、高度な技術を要 【各国の多層以外を含む種類別プリント配線基板生産額(2007年)】 ・1997−2006年における日米欧中韓へ出願された24,635件のうち、日本国籍が78.3% 数シェアにおいてもそれぞれ首位を独占し、日本国籍が圧倒的優位な状況にある。 ・日本国籍はいずれの技術に関する出願でも、他国籍を圧倒する特許出願シェアを有している。 第3章 (19,296件)と高い出願件数シェアを占め、また、日米欧中韓いずれの国・地域への出願件 第2章 f.まとめ 第1章 (資料)特許庁「平成20年度特許出願技術動向調査報告書「多層プリント配線基板」」 産業財産権をめぐる動向 するモジュール基板の多層プリント配線基板生産額(2007年)は、我が国が世界首位である。 ・引き続き、部品内蔵など最先端の技術開発を進めること、及び海外の低価格品に対抗できるよ う生産性・製品信頼性の向上に努めていくことが期待される。 129 第3章 各分野における知的財産活動の実態 コラム 多能性幹細胞特集 -iPS細胞とヒトES細胞- 1.iPS細胞関連技術及びヒトES細胞関連技術の概要 iPS細胞は2006年に京都大学の山中伸弥らが体細胞のリプログラミングにより、世界に先 駆けて作製に成功した幹細胞であり、ヒトES細胞は米国・ウィスコンシン大学のJ.A.Thomson らが1998年にヒト胚の細胞を基に作製した幹細胞である。iPS細胞、ヒトES細胞ともにあら ゆる細胞に分化しうる多能性幹細胞(万能細胞)であり、損なわれた組織・器官・臓器の機能 を修復する再生医療や、患者の細胞からiPS細胞を作製して疾患のメカニズムを解明する研究や、 iPS細胞やヒトES細胞を分化させた細胞を用いた薬理・毒性試験などの医薬スクリーニング等、 創薬・診断分野での利用が大きな期待を集めている。 2.iPS細胞関連技術及びヒトES細胞関連技術の特許出願(公開) 状況 2−1 iPS細胞関連技術の特許出願(公開)状況 iPS細胞関連技術のうち、 「新規な幹細胞」に関するPCT出願が7件国際公開されている (2009年2月13日時点) 。 【iPS細胞関連技術の出願系統図】 (備考)PCT出願は2009.02.12、WPINDEXは2009.01.29更新までを収録 (資料)特許庁「平成20年度iPS細胞関連技術及びヒトES細胞関連技術に関する出願動向調査報告書」 130 第1部 ヒトES細胞関連技術の出願は、181件が公開されている(2007年7月公開以降:2009 年2月13日時点) 。技術区分別では、 「要素技術」が169件、「応用技術」が12件で、研究開 発の中心は「要素技術」であり、まだ技術が確立されていないことがうかがえる。中でも「分 化制御」に関する出願が「要素技術」の約半数を占めている。出願人の国籍では、米国籍出願 人が92件で最も多く、次いで欧州国籍出願人の22件であった。 産業財産権をめぐる動向 2−2 ヒトES細胞関連技術の特許出願(公開)状況 【ヒトES細胞関連技術の技術項目別−出願人国籍別出願件数(2007.07公開−)】 分類 C. 要素 技術 日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計 1 14 3 0 1 7 26 C2. 分離・精製・増殖・保存 2 20 11 3 5 12 53 C3. 分化制御 4 49 6 2 6 18 85 C4. 細胞解析 0 0 0 0 0 1 1 C5. 細胞改変 0 2 0 0 0 1 3 C6. その他の要素技術 0 0 0 0 1 0 1 D1. 再生医療・細胞治療 1 1 0 0 0 0 2 D2. 創薬・診断 0 5 2 0 0 2 9 D3. その他の応用技術 0 1 0 0 0 0 1 8 92 22 5 13 41 181 小 計 (資料)特許庁「平成20年度iPS細胞関連技術及びヒトES細胞関連技術に関する出願動向調査報告書」 第3章 (備考)PCT出願は2009.02.12、WPINDEXは2009.01.29更新までを収録 第2章 C1. 新規な幹細胞 第1章 D. 応用 技術 内 容 131 第3章 各分野における知的財産活動の実態 2.意匠における実態 (1)物品分野別の意匠登録状況 ① 我が国の物品分野別意匠登録状況 2008年の意匠登録出願件数を分野別に見ると、前年と比較して製造食品及び嗜好品(Aグルー プ)、産業機械器具(Kグループ)を除く全ての分野で出願件数が減少している。 また、近年5年で見ると出願件数が横ばいで推移している分野と減少傾向の分野がある。なか でも事務用品及び販売用品(Fグループ)、生活用品(Cグループ)、土木建築用品(Lグループ) 等の分野は近年5年連続で減少が続いている。土木建築用品(Lグループ)の分野は顕著な減少 傾向をみせており、2008年の意匠登録出願件数は2004年と比較して約34.5%減となってい る。 【我が国の物品分野別の意匠出願状況】 (資料)特許庁作成 132 第1部 ② 日米欧中韓の物品分野別意匠登録状況 物品分野別の意匠登録状況として、日米欧中韓での2006年の登録意匠総数243,993件、 に示す。 a.日米欧中韓全体での意匠登録状況 2006年、2007年ともに登録意匠数が多いのは、Dグループ(住宅設備用品)、Hグループ(電 気電子機械器具及び通信機械器具) 、Fグループ(事務用品及び販売用品)、Cグループ(生活用品) であった。2006年と比較して、Hグループ(11,395件増)、Dグループ(8,677件増)、Mグ ループ(7,866件増)の順で登録件数が増加している。 産業財産権をめぐる動向 2007年の登録意匠総数293,946件における日本意匠分類グループ別の意匠登録の内訳を以下 【日本意匠分類グループ別登録意匠数(日米欧中韓全体)】 公報発行年 2006 2007 27,848 Cグループ(生活用品) 29,832 36,612 Dグループ(住宅設備用品) 37,648 46,325 9,568 11,570 Fグループ(事務用品及び販売用品) 36,958 35,209 Gグループ(運輸又は運搬機械) 14,390 18,027 Hグループ(電気電子機械器具及び通信機械器具) 30,200 41,595 Jグループ(一般機械器具) 12,311 14,957 Kグループ(産業機械器具) 13,912 15,653 Lグループ(土木建築用品) 17,500 19,980 Mグループ(A∼Lに属さないその他の基礎製品) 15,252 23,118 3,026 2,394 Eグループ(趣味娯楽用品及び運動競技用品) Nグループ(他グループに属さない物品) 第3章 658 22,494 第2章 901 Bグループ(衣服及び身の回り品) 第1章 Aグループ(製造食品及び嗜好品) (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−マクロ調査−」 b.物品分野別意匠登録状況 日米欧中韓での2006年の登録意匠総数243,993件、2007年の登録意匠総数293,946件 について、日本意匠分類グループごとに分析した。 Aグループ(製造食品及び嗜好品)及びBグループ(衣服及び身の回り品)は、欧州での登録 数が他の国での登録数よりも多く、2007年の登録では、それぞれ319件、11,739件であった。 その他の日本意匠分類グループ(Cグループ(生活用品)、Dグループ(住宅設備用品)、Eグルー プ(趣味娯楽用品及び運動競技用品)、Fグループ(事務用品及び販売用品)、Gグループ(運輸 又は運搬機械) 、Hグループ(電気電子機械器具及び通信機械器具)、Jグループ(一般機械器具) 、 Kグループ(産業機械器具) 、Lグループ(土木建築用品)、Mグループ(A∼Lに属さないその他 の基礎製品) )は、いずれも中国での登録数が他の国又は地域での登録数よりも多かった。 2006年と2007年の各日本意匠分類グループの登録意匠総数を比較したところ、Aグループ は2006年 の 登 録 が901件、2007年 の 登 録 が658件、Fグ ル ー プ は2006年 の 登 録 が 36,958件、2007年の登録が35,209件であり、前年から登録数が減少した。その他のグルー プは、いずれも前年から登録数が増加している。 133 第3章 各分野における知的財産活動の実態 【日本意匠分類グループ別−出願先国別登録意匠数−】 134 第1部 産業財産権をめぐる動向 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−マクロ調査−」 135 第3章 各分野における知的財産活動の実態 (2)意匠から見た特定分野の動向 近年の製品開発サイクルや製品の市場への投入時期は、産業分野ごとに多様化してきているため、 意匠制度に対するユーザーニーズも産業ごとに異なり、それぞれに応じた個別具体的な対応を図って いく必要がある。 特に、厨房・浴室・便所用設備具分野については、機能性及びデザイン性の二つの側面からの活発 な製品開発が見られ、当該分野の商品開発プロセスやデザイン開発の傾向が注目される。 以下、当該分野の出願動向についての現状を示す。 なお、ここでの「厨房・浴室・便所用設備具分野」とは、日本意匠分類のD51(厨房)、D53(浴 室)、D54(便所)に該当するものをいう。 ① 厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への意匠登録出願動向調査 a.厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への意匠登録出願件数 2002年以降、厨房・浴室・便所用設備具分野全体の意匠登録出願件数は、各年の増減が大き く、200件台から400件の間で推移している。当該分野全体のうち、最も出願件数の増減が多 いのは厨房設備具分野であり、厨房設備具分野における出願件数の推移が、当該分野全体の出願 件数推移に影響を与えている。浴室及び便所設備具分野は、年による出願件数の増減は小さく、 件数自体も厨房分野より少ない。 【厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への意匠登録出願件数】 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−厨房・浴室・便所用設備具−」 136 第1部 b.厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への部分意匠登録出願件数 1999年に導入された部分意匠制度を利用した出願は増加傾向にある。ただし、分野全体の意 野においては、近年、いずれも20件程度の出願件数を維持している。 【厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への意匠登録出願件数(部分意匠)】 関連意匠制度を利用した出願は、比較的各年の増減が少ないが、2007年の出願件数が急増し 及び便所分野は各年の増減は少ない。 なお、下記の図において、1998年の数値は、類似意匠1出願の件数を示している。 第3章 ている。これは、当該分野のうち多くを占める厨房分野の出願件数が急増したためであり、浴室 第2章 c.厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への関連意匠登録出願件数 第1章 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−厨房・浴室・便所用設備具−」 産業財産権をめぐる動向 匠登録出願件数は2003年以降、60件から180件の間で増減が大きい。浴室及び便所設備具分 【厨房・浴室・便所用設備具分野における日本への意匠登録出願件数(関連意匠)】 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−厨房・浴室・便所用設備具−」 1 類似意匠とは、同一出願人によって出願された場合に限り、自己の本意匠に類似する後日出願の意匠について登 録することを可能にしたものである。1999年の関連意匠制度の導入に伴い廃止された。 137 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ② 厨房・浴室・便所用設備具分野における日米欧中韓への意匠登録出願動向調査 2006年及び2007年に日米欧中韓で登録された、当該分野の登録意匠状況を以下に示す。 a.厨房・浴室・便所用設備具分野における出願先別登録意匠数 当該分野の、2006年の日米欧中韓での登録意匠数1,670件、2007年の登録意匠数1,564 件の登録先国別の内訳を以下に示す。中国及び韓国での2007年の登録数は前年よりも増加して いるが、日本、米国、欧州では減少した。特に日本での登録数は100件強減少している。 【厨房・浴室・便所用設備具分野における出願先別登録意匠数推移】 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−厨房・浴室・便所用設備具−」 b.厨房・浴室・便所用設備具分野における出願人国籍別登録意匠数 当該分野の、2006年の日米欧中韓での登録意匠数1,670件、2007年の登録意匠数1,564 件の出願人国籍別の内訳を以下に示す。いずれの年も、欧州国籍出願人、中国籍出願人、日本国 籍出願人の順に登録が多かった。 【厨房・浴室・便所用設備具分野における出願人国籍別登録意匠数推移】 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−厨房・浴室・便所用設備具−」 138 第1部 c.厨房・浴室・便所用設備具分野における日米欧中韓間の意匠登録の状況 日本での登録567件のうち日本国籍出願人による登録は541件、米国での登録279件のうち 968件、中国での登録919件のうち中国籍出願人による登録は782件、韓国での登録380件 のうち韓国籍出願人による登録は352件であった。 米国籍出願人は、 欧州(83件)と中国(45件)での登録を、また欧州国籍出願人は、中国(42 件)と米国(39件)での登録を重視している傾向がうかがえる。 【厨房・浴室・便所用設備具分野における日米欧中韓間の意匠登録状況】 産業財産権をめぐる動向 米国籍出願人による登録は190件、欧州での登録1,089件のうち欧州国籍出願人による登録は 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−厨房・浴室・便所用設備具−」 139 第3章 各分野における知的財産活動の実態 コラム 主要企業の各国への意匠出願登録状況 我が国企業の意匠出願戦略の参考とするため、グローバル企業1について、意匠出願動向の 分析を行った。電機業界、自動車業界の企業について、企業の国籍ごと(日米欧)の意匠登録 状況を以下に示す。 電機業界では、日本企業及び欧州企業は自国(地域)での登録が多い傾向がある。米国企業 は自国よりも欧州での登録を重視している企業も見られた。一方、自動車業界では、企業ごと に登録状況が大きく異なり、企業の国籍による共通の傾向は見られなかった。 【グローバル企業の各国及び地域での登録状況】 【電機業界(日本企業4社) 】 【電機業界(米国企業10社)】 【電機業界(欧州企業3社)】 【自動車業界(日本企業2社) 】 【自動車業界(米国企業2社)】 【自動車業界(欧州企業3社)】 (備考)いずれも、自国及び地域での意匠登録数を1とした場合の登録数比較 (資料)特許庁「平成20年度意匠出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 グローバル企業は、デザインに注力している企業であって、主要な国際的デザイン賞を受賞している企業 を中心に選定した。具体的には次の①-③の条件による。 <デザインに注力している企業>として、①米国インターブランド社(http://www.interbrand.com/)の Best Global Brands 2008の上位企業のうち、2007年度に比べブランド価値を向上させている企業、かつ、 主要な国際的デザイン賞(IDEA賞、iF賞、reddot賞、グッドデザイン賞)を受賞している企業(ただし、 金融・サービス等非製造業を除く)。②主要な国際的デザイン賞受賞企業で、①のBest Global Brands 2008に含まれていない企業。 140 第1部 3.商標における実態 ① 日米欧中韓における分野ごとの出願状況 日本、米国、欧州主要5か国(英国、ドイツ、フランス、スイス、イタリア)、中国、韓国、 OHIMへの商標出願全体について、分野ごとの出願状況を見ると、全分野とも年々出願区分数は 増加している。役務分野の出願が特に多く、次いで機械分野の出願が多くなっている。 【分野ごとの出願状況】 産業財産権をめぐる動向 (1)分野ごと1の出願状況2 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度商標出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 分野は、化学(1∼5類)、機械(6∼13、19類) 、繊維(14、18、22∼26類)、雑貨(15∼17、20、21、27、 28、34類)、食品(29∼33類)、役務(35∼45類) 。 2 出願区分数は、各国への直接出願及び国際登録出願を区分ごとに合計したもの。 141 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ② 各分野における各国の出願状況1 上記の6分野ごとの各国に対する出願状況を以下に示す。役務を除く商品分野(化学、機械、 繊維、雑貨、食品)で中国への出願区分数が最も多い。役務分野の出願区分数は米国へのものが 最も多い。 【化学分野の各国別出願状況】 【機械分野の各国別出願状況】 【繊維分野の各国別出願状況】 【雑貨分野の各国別出願状況】 【食品分野の各国別出願状況】 【役務分野の各国別出願状況】 (資料)「平成20年度商標出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 出願区分数は、各国への直接出願及び国際登録出願を区分ごとに合計したもの。 142 第1部 ③ 各国への分野別出願状況1 次に、国ごとに分野別の出願区分数の割合を見ると、中国を除く国では役務の割合が高く、こ いて役務の割合が高い。 また、日本では、欧米に比べて食品の割合が高く、役務の割合が低い。 【各国への分野別出願状況】 産業財産権をめぐる動向 れに続いて機械の割合が高い。他方、中国では逆転しており、機械の割合が一番高く、これに続 第1章 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度商標出願動向調査報告書−マクロ調査−」 1 出願区分数は、2003年-2007年の各国への直接出願及び国際登録出願を区分ごとに合計したもの。 143 第3章 各分野における知的財産活動の実態 (2)商標からみた特定分野の動向 近年の流通産業の発展に伴い、商品の種別を超えた多様な商品の品揃えとこれを販売するための独 自の販売形態によって、付加価値の高いサービスを提供する小売業態が発展を遂げている。 そこで、2006年に商標法の一部が改正され、小売等役務商標制度が2007年4月1日より施行さ れた。小売及び卸売の業務において行われる顧客に対するサービス活動に使用される商標、例えば、 小売店等における店舗の看板、ショッピングカートや従業員の制服などに使用する商標が、商標法上、 役務に係る商標として新たに保護されることとなった。 2007年4月から2008年9月までに、 小売等役務を指定している商標の出願状況を紹介する。 (「平 成20年度商標出願動向調査報告書−小売等役務商標等の出願動向に与える影響に関する調査−」 (2009年3月)の結果より) 。なお、小売等役務商標の出願戦略等の詳細については第2部第4章コ ラム「小売等役務商標の商標戦略」を参照されたい。 ① 小売等役務商標の出願状況 2007年4月から2008年9月までの間に、小売等役務商標出願1は累計で24,722件されて いた。同期間の商標出願件数全体の約14%の出願を小売等役務商標が占めている。 【小売等役務商標出願が全体に占める割合】 (資料)特許庁「平成20年度商標出願動向調査報告書−小売等役務商標等の出願動向に与える影響に関する調査−」 ② 小売等役務商標の属性 2007年4月から2008年9月までの間に、日本国籍の出願人による小売等役務商標の出願は 23,232件あり、全体の94%を占めていたことがわかる。外国籍の出願人による小売等役務商 標の総出願件数1,490件の内訳は、米国籍の出願が一番多く822件(55.2%)ある。 1 2008年11月12日現在の情報に基づく。 144 【小売等役務商標の外国籍出願の内訳】 ③ 小売等役務商標の種類別の出願状況 産業財産権をめぐる動向 (資料)特許庁「平成20年度商標出願動向調査報告書−小売等役務商標等の出願動向に与える影響に関する調査−」 第1部 【小売役務商標の日本国籍・外国籍割合】 小売等役務商標の種類別にみると、2007年4月から2008年9月までの間では、被服等小売 (35K02)が最も多く、次いで、食品小売(35K03)、薬・化粧品等小売(35K10)、印刷物・ 文房具類小売(35K13) 、電気機械器具類小売(35K08)、生活雑貨等小売(35K09)の順 となっている。 第1章 【小売役務商標の種類別の出願状況】 第2章 第3章 (資料)特許庁「平成20年度商標出願動向調査報告書−小売等役務商標等の出願動向に与える影響に関する調査−」 145 第3章 各分野における知的財産活動の実態 ④ 小売等役務商標出願上位企業 2007年4月から2008年9月の小売等役務商標の出願件数上位企業には、大手アパレル、 ファッション系企業、大手総合小売系企業、大手総合商社が多く含まれている。 【小売等役務商標出願上位20社】 順位 出願人名 出願件数 業 種 詳 細 1 株式会社ジュン 426 繊維・衣服 レディス・メンズのファッションの製造、販売 2 株式会社ファイブ・フォックス 199 繊維・衣服 アパレル業界大手 3 株式会社丸井グループ 161 小 売 業 百貨店 4 三菱商事株式会社 160 卸 売 業 総合商社大手 5 イオン株式会社 151 小 売 業 総合スーパー大手 6 富士通株式会社 141 電気機器 コンピュータ製造大手 7 株式会社日立製作所 130 電気機器 総合電機・重電メーカー大手 8 シャディ株式会社 124 小 売 業 ギフト用品および生活関連用品の販売 9 株式会社資生堂 115 化 学 化粧品大手 10 株式会社ダイエー 109 小 売 業 総合スーパー 11 株式会社マイカル 108 小 売 業 百貨店 12 株式会社CFSコーポレーション 102 小 売 業 神奈川地盤のスーパー、ドラッグストア 13 株式会社大丸 95 小 売 業 J・フロント リテイリング配下の百貨店大手 14 株式会社ワールド 92 繊維・衣服 アパレル業界大手 15 株式会社ブリヂストン 90 ゴム製品 タイヤ製造の大手 15 株式会社ベネッセコーポレーション 90 サービス 通信教育大手 15 丸紅株式会社 90 卸 売 業 総合商社大手 18 住友商事株式会社 89 卸 売 業 総合商社大手 19 日本電気株式会社 88 電気機器 通信設備の大手 20 伊藤忠商事株式会社 87 卸 売 業 総合商社大手 (資料)特許庁「平成20年度商標出願動向調査報告書−小売等役務商標等の出願動向に与える影響に関する調査−」 146