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未来は現実になった?すでに実現している SF 技術 4 選
未来は現実になった?すでに実現している SF 技術 4 選 私は SF が大好きです。なぜなら SF は多くの場合、私たちの社会がこの先どうなるか、そしてどんな未来 が待ち受けているのかについて、明るい展望を描いてくれるからです。 SF の開祖として知られるジュール・ヴェルヌから、 「スタートレック」の生みの親と呼ばれるジーン・ロッ デンベリー、そして「スター・ウォーズ」でその名をとどろかせたジョージ・ルーカスに至る SF 作家たち は、技術がもたらす未来について数多くの大胆な予測をし、その多くが現実のものとなっています。今回は、 現在の社会で実現している、SF で描かれた 4 つの技術を紹介しましょう。こんな時代に生きているなんて、 わくわくしますよね! 1. 犯罪予測 実際の犯行が行われる前に法執行機関が犯罪を阻止できるとしたら、どうなるでしょうか? これは、2002 年に映画化されたフィリップ・K・ディックの短編小説「マイノリティ・リポート」で使われたアイデアです。 この話の中では、殺人事件が起きる前に犯行を予知できる能力を突然変異によって持った 3 人の予言者が、 警察の犯罪予防局のもとで、殺人事件の阻止に取り組みます。 突然変異によって超自然的な能力を持ったミュータントは、SF 小説でも特に彩を添える存在ですが、犯行前 に犯罪を予知しようというアイデア自体は、それほど斬新なものではありません。 米ロサンゼルス市警察(LAPD)では、ビッグデータと予測分析技術を駆使し、いつ、どこで犯罪が発生す るかを推測しています。この取り組みは実を結んでおり、そのソフトウェアが導入された地域では、強盗事 件で 33%、暴力事件で 21%、窃盗犯罪で 12%という発生件数の減少が見られました。これは、他と比較し て犯罪率が高く、規模の大きな都市であるロサンゼルスという場所を考えれば、非常に大きな成果といえま す。 2. 人間の言葉を話すコンピューター スタートレックに登場するアンドロイド「データ」や、 『2001 年宇宙の旅』に登場する高性能コンピュー ター「HAL 9000」、 「her/世界でひとつの彼女」に登場する人工知能型 OS「サマンサ」など、SF の世界では、 友人や同僚として会話ができるコンピューターが出現すると予測されてきました。SF 作家が思い描く未来の 体 験には おそらく 及ばな いもの の、私た ちはそ の領 域に近 づきつつ ありま す。例 えば、 CommBadge Technologies が開発したデバイスを見てみましょう。 このデバイスに貢献しているのは、音声認識技術と自然言語処理(NLP)システムという、2 つの興味深い 技術(英文記事)です。 音声認識技術は、人の口から発音されたアナログ音波をテキストに変換します。この技術自体はかなり昔か ら存在していますが、正確さと効率性の点でしばらく足踏み状態が続いていました。ですが今では、書類全 文の口述筆記(英文記事)に使用できるほど、大きな進歩を遂げています。 NLP システムは、そうして生成されたテキストをもとに、その意味を解釈します。最新の NLP アルゴリズ ムは、機械学習に基づいています。そのアルゴリズムの多くは、ユーザーが望んでいることを判断し、これ までのやりとりから学習する人工神経ネットワークを活用しています。 その結果として生まれたのが、Apple の「Siri」(英文記事)や Microsoft の「Cortana」(英文記事)です。 こうしたプログラムでは、スマートフォンに向かって質問すると、意味のある応答を得ることができます(も ちろん、口述筆記も可能です)。応答に対してさらに質問を投げかけることもでき、まるでほんとうに会話を しているような気分になります。 3. パーソナル・コミュニケーター スタートレックのカーク船長は、ミッションで離船中にエンタープライズ号と連絡を取らなければならな い時、頼りになるコミュニケーターを使っていました。これはフリップ式のデバイスで、エンタープライズ 号に残っている誰とでもリアルタイムで話ができる優れものです。1960 年代末期には、実現できるなんてま ったく考えられない装置でした。 ところが 1990 年代に入ると、フリップ式の携帯電話が普及し始めました。これらは機能的にも形状的にも、 本質的にロッデンベリーが想像していたものと変わりません。パズルゲームの「Snake」などでも遊べると いうおまけの利点もあります。 そうです。携帯電話は基本的に、スタートレックのコミュニケーターのようなものだと主張することもでき るのです。 スタートレックのその後のシリーズでは、ハンドヘルド型だったデバイスが、ユニフォームにピンで刺すバ ッジ(に組み込まれた機器)に変わりました。私たちはまだ、スタートレック・シリーズの中でジャン=リ ュック・ピカードやベンジャミン・シスコが付けていたような、おしゃれで洗練されたものを手にしていま せんが、それもやがて実現することでしょう。 そのほかの有名な SF 作品でも、通信技術の将来が想像されています。もっとも、現実のほうが少し先に進ん でしまいましたが。「スター・ウォーズ エピソード 1/ファントム・メナス」を例にとると、ジェダイ・マス ターのクワイ=ガン・ジンは、板ガムほどの大きさの「コムリンク」と呼ばれるコミュニケーターを使って いました。おそらくルーカス監督は、消費者向け技術の小型化が急速に進んでいた制作当時のトレンドを反 映するつもりだったのでしょう。 それから間もなくして、車のキーフォブほどの大きさのケースに収まる携帯電話が登場しました。私が最初 に使った Android 搭載スマートフォンは、マッチ箱くらいのサイズ「Sony Ericsson Xperia Mini 10」とい う機種でした。ルーカス監督の想像はそう的外れではなかったといえるでしょう。 4. フード・レプリケーター スタートレックの世界の中でも、もっとも意欲的な発明の 1 つと思われるのが、物質レプリケーターです。 これは文字通り、ほぼ何もない所から、食べ物、水、衣服、果ては武器に至るまで、何でも作り出してしま うマシンです。英語版 Wikipedia では、これを次のように説明しています。 レプリケーターは、宇宙のあらゆる場所に豊富に存在する原子以下の粒子を再構築することにより、分子を 形成および配列し、目的の物体を作り出します。例えばポークチョップを作る場合、レプリケーターは炭素、 水素、窒素などの原子を配列してアミノ酸、タンパク質、細胞を構成。そうした分子を組み立ててポークチ ョップを作るという具合です。 今の私たちにとって、レプリケーターの実現は長い道のりでしょう。ですがたぶん、いや、もしかしたらで すが、それに近いところまで来ているのかもしれません。現時点で、私たちは 3D プリンタ(英文記事)を 実現しています。3D プリンタを使えば、ベースとなる食材からレシピ通りに料理を作ることもできます。そ の中でも有名なのは、 バルセロナのスタートアップ企業 Natural Machines がまもなくリリースする「Foodini」 です。 Foodini が目指しているのは、オーブンでピザを焼くように、ヘルシーな料理を簡単に作れるようにすること です。例えば、新鮮なラビオリを作りたい場合は、こんな具合です。 生地と具材を Foodini に装填すると、Foodini がラビオリを 1 個ずつ印刷していきます。パスタの層と具材の 層を作り、さらにパスタの層で蓋をするという食材の 3D 印刷により、ラビオリを構築するわけです。手作 業でするのと同じことを、Foodini なら自動でできるのです。 スタートレックのレプリケーターになぞらえられるもう 1 つの製品が、「Genie」です。その仕組みを説明す るのはちょっと難しいのですが、Keurig のコーヒーメーカーが夕食を調理してくれるようなものだと思って ください。ヘルシーな天然素材が詰められた容器を装着するだけで、マシンがまさに魔法を見せてくれると いうわけです。 ジーン・ロッデンベリーが思いを馳せた「世界から飢餓をなくすマシン」にはまだ遠く及びませんが、それ が実現するのも、はるか彼方の未来ではないのかもしれません。 (文字数 約 3200)