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CONTACT Japan 5 無事終了!

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CONTACT Japan 5 無事終了!
'03/03/08
Vol. 25/26
発行
∼ CONTACT
Japan 5 終了 25・26 合併号∼
CONTACT Japan
代表
:大迫 公成
〒 578-0925 東大阪市稲葉 1-5-11-523
事務局
:CONTACT Japan 事務局
〒 477-0034 東海市養父町諸之木 26-3
エスポア横須賀 802 竹林方
CONTACT Japan 5 無事終了!
開催日時 2002年11月2日(土)∼4日(月)
開催場所 神奈川県綾瀬市
石川島研修センター
参加者数 75名(講演者含む)
分科会形式で行いました CONTACT Japan 5 いかが
でしたでしょうか? 28セッションが行われ、ファー
スト・コンタクト・シミュレーションのさまざまな局
面に視点を合わせたテーマが検討されました。時間が
足りなかったというご意見も多かったのですが、どの
テーマも時間枠内では語り尽くせなかったでしょう。
それだけ濃密な時間を参加者のみなさんに過ごしてい
ただけた証だと信じています。どのような形式にして
も「時間が足りない」は CONTACT Japan の永遠の課
題だと思います。
さて至極真面目なものから肩の力を抜くものまでい
ろいろなテーマで話し合われた結果ですが、今後の
CONTACT Japan の活動に生かされていくことでしょ
う。現在作成中のアフター・レポートは100ページを超
える大作となっています。FCSの参考書としてみな
さんの手元に渡ることになると思います。
真面目に討議に取り組む分科会の様子
熱心に聞き入る参加者
不(?)真面目に討議に取り組む分科会の様子
あっ
ファーストコンタクトした分科会もありました
あっ
CONTACT Japan Newsletter
- 1 -
Advance CONTACT 1 in Osaka 詳細レポート
いままで時間的な制約やその他で適当に処理してい
た要素に関してもう少し深く考察してみたい、話し
合ってみたいと考えて2 0 0 2 年2 月9 日に大阪で
「Advance CONTACT 1 in Osaka」が開催されました。
この日は過去に行なわれた CONTACT の中で不完全
燃焼に終わったと思われる議題をいくつか用意し、全
員参加のフリー・トーク形式で話し合いました。今回
その内容を議論の流れがある程度判るようにまとめま
した。
議題となりうるテーマは数多くあり、また本番でも
議論の主題となりうるテーマが続出しましたが、中心
となった議題を7つにまとめています。
<議題>
1.地球人Bチームが送った「?」マークの妥当性につ
いて
2.FCSにおける軍事オプションについて
3.20光年離れた相手の星系に宇宙船を送る妥当性
4.地球人が異星人になりきるためのルール(手法)
5.地球人が異星人が相互理解をするためのきっかけ
6.異星人と通信できた時に何が知りたいか
7.ワールド・ビルドを考える
また議論の流れを少しでも掴みやすいように、以下
のようにまとめています。
<テーマ>
「議論の背景」
(1)論点1
この問題について次のような意見が出た。
・意見1
この意見について次のような議論があった。
「賛成」
「反論1」
「反論2」
「再反論1」
図1 CONTACT Japan 3で地球人チームBが送った図
で、どのような疑問-回答システムが可能で又妥当だろ
うか?
CONTACT Japan 3では地球人チームBが「?」マー
クを使って
1+1→? 2
という形式で質問したり、疑問の例として数式、化学
結合式などを使用した中に
「扉が閉まっている」
→「扉が開いて中に人が居る」
図が入っていたのが議論になった。(図1参照)
(1)扉を開けた図に関して
これに関しては次のような意見が出された。
・数式、化学式は日本人である異星人側には自明だっ
たが扉の図はわざと曲解するまでもなく意味不明
だった。
・扉がしまる、扉が開いている としか考えられな
かった。
・「シュレディンガーの宇宙人」ではないかと思っ
た。
<地球人 B チームが送った「?」マークの
妥当性について>
「議論の背景」
CONTACT Japan 3やCONTACT Japan 4で行われた通信
で、様々な形式の疑問文が使われたが、それらの妥当
性はどうだったかを検討する。
数字や元素記号などはドット絵である程度相互に了
解済み、ドット絵で簡単な文字列などが送れる状態
(2)「?」マークの使用は妥当か? 疑問文というのを
記号で表すのは妥当か?
これについては次のような意見が出された。
・地球が多言語であるように、異星人も複数の言語を
有しているというのが自然な想定だ。そうすれば、
その中に記号で疑問を表す言語もきっとあるだろう
・解読する以上は、我々が送ったものを色んな角度か
ら検討するはずで、相手の解読能力を信じてもいい
CONTACT Japan Newsletter
- 2 -
のではないか。又、「?」が疑問を表すということ
に気づかない程度の解読能力しかない異星人とは通
信できないのでは?(中くらいの人間原理)
この意見に対しては
「しかし、やはりどれだけ分かりやすい通信にする
か、相手に期待しなくてもよい判りやすい表現はない
か」
との反論もあった。
・そもそも、全ての言語に疑問を表す記号があるの
か?
この疑問に対しては
「地球の言語に関しては、ほとんどの言語に疑問の表
記がある。すくなくとも記述方式を持っている言語に
は必ず疑問文であることを表す標識がある」
「疑問を表す記号は有効なシステムだから普遍性があ
る」
「そうするとこれが疑問であるということを示す汎宇
宙的構造を、作りうるのではないか」
などの意見が出された。
・疑問文だと我々が思っているのは、実は『答えろ』
という要求を意味しているのではないか? たとえ
ばCONTACT Japan 3の例では?と?の逆とボイドの
3つで『答えろ』ということを示しているようにも
見える。だから前半の「例示」の部分には別の記号
を使った方が誤解が少ないかも知れない
・数式の場合、矢印とクエスチョンと逆さクエスチョ
ンの3つで等号という解釈もあり得る。つまり方向
の問題で、かけ算などは逆向きに読めば因数分解に
もとれる。それをどうコントロールするのか
この意見に対しては
「最初に図の再構成方法や方向がわかるような図を送
ればよい」
との意見が出され、さらにこれに対して
「データを送る順と読む方向が一致するとは限らない
のでは。アラビア語でもデータの転送は左から右だ
が、文字自体は逆方向から読む」
「沢山の例を送ることで推理してもらうしかない」
「時間感覚が我々とちがう異星人もありうる」
といった議論が行われた。
・数学の演算みたいな物とたとえば明日の天気を聞く
のとでは同じ疑問文でも表現の仕方が全然ちがうの
では?
この意見については
「数学の演算式の場合は基本的には答えは一つしかな
いが、そういうものとふつうの質問のように答えが一
義的でないものを同じ形式で扱えるのか?」
「数学の概念で本当に「疑問」「要求」などという概
念を表せるのだろうか?」
「例示を十分にすれば可能ではないか?」
「たとえば化学反応にも「+」、加算の演算にも
「+」を使うのは地球の慣習であって、両者は同じ概
念とは言えない。異星人との通信では「1概念・1演
算子」の方がいいのではないか」
「地球人は「化合」と「加算」を似た概念として感じ
る、ということを示す意味もあるので、例示を増やせ
ばむしろ相互理解につながるのでは?」
といった議論が行われた。
・企画運営上からいうと、?のように地球人には意味
が明らかなものを、異星人役の地球人に送る場合に
は、すぐ意図がわかってしまうという難点がある
この意見に対しては
「あらかじめ、沢山の記号の例を用意するなどの準備
が必要」
「単なる言い換えならば、単なる「クイズ」になるだ
けではないか?」
といった議論があった。
< 20 光年離れた相手の星系に宇宙船を送る
妥当性>
「議論の背景」
CONTACT Japan 3 の企画では相手は20光年のところ
にいた。20光年と言うと近いと感じるが、やってみた
らけっこう遠かった。
恒星間宇宙船を建造するには、有人でも無人でも莫
大なコストとエネルギーと時間がかかる。しかも、光
より遅いので20年以上かからないと到着しない。到着
しても、さらに20年かからないと報告すら送ってこな
い。
それだけの時間がかかるものを送ってメリットがあ
るのか?
「CONTACT Japan 3の企画で実際に宇宙船を送ったチー
ムの理由」
・地球人が使っているソフトとメディアと再生装置一
式をそのまま送ることで、ややこしい通信プロトコ
ルの問題を全部解決してしまおうとした。実物を
送って、向こうがそれを解析すれば、データ圧縮で
も色信号の問題でも解決(Bチーム)
・公営ギャンブルとして送った。つまり、ちゃんとた
どり着けるか?データは返ってくるか? を賭の対
象にしてもうけようとした。(Sチーム)
・探査目的、自分たちの目で確認したかった(Cチー
CONTACT Japan Newsletter
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ム)
・相手をだまして楽しむため(U)
・物理的に会いたい(D)
・調教したペットを送ったチームもあった。
(1)宇宙船をおくるメリットとは?
これについては
・実際にメリットがあるとは思えない。充分な意思の
疎通があれば、通信でもかなりのことははっきりす
る。ややこしい問題を無理してクリアしてまで、そ
れに見合った成果が得られるか疑問
という意見が出され、これについて
「通信で知り得るものも多いが、自分たちの装置で見
てみないと分からないものもある。」
という反論もあった。
(2)送らないデメリットは何か
この点について次のような意見が出された。
・相手の言うことを全部信じるしかない。検証できな
い。
この意見に対して
「観測でカバーできないのか?」
「求める情報によるだろう。単にスペクトルを取れば
分かるようなことは、光学観測すればいい。しかし、
実際の映像を見ないと分からない、ホントの映像が欲
しいとなれば、解像度の問題があって、行かないとダ
メだということが出てくる。」
との議論があった。
・コンタクト自体がじょじょに立ち消えになってしま
うかも知れない。
(3)宇宙船を送ることのデメリットは何か
これについて次のような意見があった。
・有人の場合、捕獲されると向こうにはこちらの生物
学的情報が筒抜けだが、こちらは相手のことが何も
判らない状況になる。
この意見に関して
「宇宙船のスペックからこちらの技術レベルが判って
しまう。」
「CONTACT Japan 4 でも、手の内を明かさないため、
わざわざ一世代前の技術を使ってプローブを送っ
た。」
という意見もあった。
(4)コストの問題をどう考えるか
この点については以下のような意見があった。
・理由はどうあれ、異星人の存在が判ったら必ず宇宙
船を送ろうという意見がでるだろう。同時に、そん
な金があるのなら他に使え、という意見も必ず出
る。あとはバランスと費用対効果の問題。
・CONTACT Japan 3では宇宙船を送れるようにするた
めに、あらかじめ設定で経済成長率などを調整し
た。現実には必要な技術の開発も含め、莫大なコス
トがかかるだろう。
・新しいテクノロジーを開発するのはマイナスばかり
ではない。それを契機に経済が飛躍する可能性もあ
る
(5)結果が戻ってくるのに半世紀以上かかるプロジェク
トを維持できるか? 執行機関がずっと残っているか
どうか? 例えば20光年と言うことは、光速で行った
として1960年に出発して、1980年に到着して、2000年
に報告が返ってくる。ガガーリンから現在くらいまで
の時間がある。
この問題については次のような意見があった。
・プロジェクトXをみても、向こうから送ってくるもの
に新しい情報があれば、関心は取り戻せる。
・ローマカソリックみたいに2000年も続いている組織
もある。長期プロジェクトを維持することのモチ
ベーションを維持すればいい。送りだせば、レー
ザー推進とかでない限りそんなにコストはかからな
い。
・相手があることだから、プローブを出したけど、そ
れっきり知らない、というのは難しいのでは?
・たぶん、細々とは続くだろう。社会が熱狂的になっ
てしぼんでというサイクルがあっても。
(6)宇宙船を送る場合、有人か無人か、無人ならフライ
バイか現地停止型かを選択するのはどんなポイントに
よるか?
これに関して次のような議論があった。
・やはりコストが一番関係するのではないか。できる
ものから順番にやるのでは?
「単純にコストだけだろうか? 例えば20光年先に200
年かけてフライバイする方が40年でフライバイするよ
りは安くつくだろうが、220年後にしか結果が得られな
いものに金を出すだろうか? 支援設備の維持も考え
ると40年の方がいいのでは?」
「その長期間の間に技術が進歩して、プローブに載せ
た機械よりも、直接観測の方が情報を得られて、プ
ローブが無駄になる可能性もある。」
「本当に有人の前に無人を送らなければいけないの
か? いきなり有人機の方がコストは安いはず。」
「苦労して無人機を派遣しても、すぐに壊されるかも
知れないしニセ情報を与えられるかも知れない。メ
CONTACT Japan Newsletter
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リットは無いのでは?」
・相手がプローブを送ってくるとじゃあ、こっちも、
という傾向がある
(7)フライバイで無人機を送るとすればどのような観測
機材を載せるか
この点に関しては次のような議論が行われた。
・やはり光学系ではないか。もっとも欲しいのは相手
の画像だろう。
「ほとんどの光学系の観測は地球近傍に巨大観測基地
を作った方がいい。惑星表面の精密マップなどは、も
ちろんプローブの方がいいが、フライバイではほとん
どそのようなパッシヴな観測は無理だろう」
・生命にとって重要な磁場の有無などはやはり現地に
行かないとわかりにくいだろう
「莫大なコストをかけて磁場だけというのは割に合わ
ないのでは」
「その程度の情報なら相手に提供してもらった方が早
い」
・途中の恒星間空間の観測もできる
・観測以外の機能は無いか?
「示威行動」
「プローブに対する相手のリアクションで技術レベル
などを推測できる」
(8)現地停止型宇宙船を送る意味
次のような意見が出た。
・相手の文化を知るためには、人間なりAIなりが直接
接触する必要がある。
・情報のやり取りだけではできない物資の交換
この意見に対しては、
「通信で得られないもので実物が必要なのは生命体く
らいではないか」
「芸術品はどうか」
との意見があった。
・我々の機材で我々の方法で分析しないと相手の見方
からの情報だけでは分からない事が多い
これについては
「こちらから設計図を送ってこっちの機材を相手に
作ってもらえばいいのでは?」
という意見があった。
(9)有人機のメリットは何か
これに関しては、次のような議論があった。
・タイムラグなしのコミュニケーションが可能
「タイムラグなしなのは現地の飛行士の話であって地
球とはやはり20年のタイムラグがある。長期間の飛行
後にどんな状態かわからない人々に交渉を任せられる
のか?」
「どうなっているかわからないような状態の要員しか
送れないというのは「有人飛行が可能になった」とは
言わないだろう」
・人間は安上がり。人間ほどに柔軟で多機能なAIを開
発するより、人間を長期間生存させる方がコストパ
フォーマンスがいいはず。
・人の命がかかっていれば交流を継続する動機が強く
なる
・こちらが有人機を送れば相手も有人機を送ってくる
可能性が高くなり、更に交流を継続させやすくなる
だろう。
<地球人が異星人になりきるためのルール
(手法)>
「議論の背景」
FCSでは、実際は地球人である我々が異星人のふりを
して相手(地球人)と相対することになる。自分自身
でないものの役になりきるために有効なルール・手法
はどのようなものかを議論する。
(1)異星人だが本当は地球人だということで、困ったこ
と。反省点
・相手の曲解を狙ったり、何を聞かれても理解できな
いからほっとこうという反応をしてしまった
・相手に判らないようにすることに過剰に対応してし
まった。
・設定に説明されている部分を別の表現を使ってチー
ム内で話をして、疑問が残ってなりきるのに苦労し
た。設定は全部きちんと読んで理解しておくことが
必要。
・異星人として議論をしているはずなのに、企画の進
行を考慮した(地球人の行動を理解し尽くした)話
し合いを行っている。
・文字、単位、進数を決めてもそれを生かしきれてい
ない。
・設定の細かい点は「地球とだいたい同じ」でいい加
減に済ましてしまう。
・異星人を見ていると、こいつらは日本人だと思う。
結局、類型が自分らの中にしかみえてこない。
・合理的である程度の文明を持っていたらそれは地球
人と近い考え方をするというふうに思ってしまう。
でもそれは正しいことは保証されない。
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(2)有効な方法1:名前をつける
・自分たち(異星人)に固有の名称を与えて「我々○
○は」というように議論をしていくことでなりきるこ
とができた。
この意見に対して
「逆に最後まで自分たちに名前をつけず、自分たちの
ことは『自分たち』で通しても強く感情移入すること
ができた。名前をつけることは必ずしも必要なことで
はない」
との議論があった。
(編集補:コンタクトが成立していない段階では自分
たちを相対化する対象はいないのだから、自分たちと
相手を区別する名前は必要ないということ)
(3)有効な方法2:メンタリティを決める
・細かく設定を作っていくより、何を考えているの
か、こういう時にどう行動するだろうかという話し
合いを積み重ねたほうが後々の行動決定がすんなり
とできる。そういうメンタル面についてより多く話
し合うことが有効だと思う。
・メンタルな部分で具体的にどういう物の考え方をす
るかを決めるとよかった。基本理念のようなキー
ワードがあると参加者もイメージ統一しやすい。
アネカワン=>大阪商人のたぬき
テモテ=>江戸っ子の植木等
この意見に対して
「しかしそれは人間のもつイメージで、全く異質な知
性体となるとかえって邪魔になる」
「非常に類型的になって反応も単純になってしまう。
所詮は人間のバリエーションでしかない」
これに対しては
「Day CONTACT のように短時間の企画にはキーワード
から入るというのはありだと思う。類型的だとしても
参加者がそれぞれ勝手な想像をして、それで話し合っ
ているとキーワードとはかけ離れた結果が生まれる。
しかしみんなの頭には非常に短時間で共通のイメージ
が形成されることになる」
という議論があった。
(4)有効な方法3:歴史から行動パターンを考える
・CONTACT Japan 4 のアヒストのように、過去のコン
タクトで相手に彗星を打ち込んだという設定で、ア
ヒストの行動パターンを類推することができ、イ
メージしやすかった。
テーマのとははずれるが、以下のような議論もあっ
た。
(5)生物学的設定から異星人を構築する
・CONTACT Japan のイベントでは肉体的特徴が軽視さ
れる傾向がある。しかし、生物学的な条件というの
はその生物の精神を規定するはず。
この意見に対し
「アメリカでのCONTACTに出てくるケンタウロス型異
星人は頭骨の違いから設定をして、鼻孔が大きいから
声を出すと非常に大声になる。また嗅覚が非常に発達
している。そういうところから彼らがどういう文化を
もつかを考えていくのは非常におもしろい。」
との意見があった。
・生物学的に人間に近いと人間的な考え方が入ってく
るが、全く違う形にすると入れたくても入れられな
いから全然違うものができるのではないかと思う。
メンタリティも一から考える必要があるが、過去に
SF大会で行った独楽型の異星人と凧型の異星人は短
時間で形になった。この形態だとこういう生活をし
ていないと駄目で、そうするとこういう精神が発達
するんじゃないかという風に決まっていく。
これに対しては
「しかしあまりに異質だとコンタクトできないから注
意が必要である」
との意見があった。
<地球人が異星人が相互理解をするための
きっかけ>
「議論の背景」
今まで様々な異星人を設定してきたし、FCS企画
も何度もやってきたが、相互理解に至るのは大変難し
かった。どのような時、どんな条件があれば相互理解
に至れるのであろうか。そのきっかけとは何か、等に
ついて議論した。
(1)CONTACT Japan 3 ではどの瞬間に分かり合えた、
と感じたか
これについて、当時の参加者から、以下のような意
見が出た。
・相手星系から見た恒星配置図 → 相手の平面の認
識方法や相互の位置が分かった、と感じた。
・原子模型の絵で元素を示せた時
・通信・宇宙船の進行を示すダイアグラムを見て日程
や相手の受諾の有無などが分かった
・周期律表を送った後、トリチウムの崩壊で時間を表
すことに成功したとき
・こちらが送った通信に対して、こちらに了解可能な
形で返事があったとき(B−Fペアの例)
CONTACT Japan Newsletter
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・YES-Noシステムに対して、それに乗っ取った形で答
えが返ってきたとき(B−Fペアの例)
ただし、これについては
「実際には相手は理解しているかどうか不安に思って
いた」
「質問−解答の仕組みは出来たがホントにコミュニ
ケーションがなり立ったのか疑問だった」
「相手の欲するものが分からなかったので、分かり合
えたという実感は無かった」
との意見もあった。
(2)相互理解を得るためのステップはどんなものか
この問題については以下のような意見が出た。
・素数や周期律表の交換などの初期のステップは相互
理解に役立つのか? 無駄ではないか
この意見については次のような意見があった。
「お互いの知識の基盤を確認するという意味で最初の
内容としてはいいのじゃないか」
「情報を送るときにはやはり簡単な物から段々と複雑
な物にしていく方がいいのではないか」
「素数がだめとは言わないが何年も素数だけというの
はあまりにも情報量が少なすぎる」
「素数の意味は人工信号であると言うのを示すとされ
てきたが、そもそも通信のシグナルは非常に人工的な
パターンなので、中の情報が何であっても人工信号で
あるのが一目瞭然ではないのか? もう少し意味のあ
るメッセージをのせてもいいのでは? 現に地球から
の最初の通信(アレシボ・メッセージ)は絵である」
「周期律表は素数と違って後々役に立つので、素数と
は違う。有効な情報とそうでない情報があるので
は?」
・では、どんな情報を載せれば、将来的に相互理解に
役立つのか?
これについては、以下のような意見が出た。
「相手が存在しているかどうかでそれは違うのでは?
相手がいるかどうか分からない状態では、素数だけ
でもよいのでは?」
「あまりに通信間隔が長いので、相手の有無は関係な
いのじゃないか」
「相手が知っているに違いない情報を送ることに意味
があるのか?」
「お互いが知っていることを基盤にして(言語)が確
立できる」
「数学や物理学を送ることでホントに会話が出来るよ
うになるのか?」
「数学を使って『もし…ならば』とか『すなわち…』
とかは伝えられても、『私』『あなた』などは伝えら
れるのか?」
「さらに高度な科学知識の交換ができれば、言語的な
理解が出来る?」
「科学知識と抽象的な会話の間にはギャップがあるの
では?」
「やはり辞書が必要」
「メンタリティも分からない相手に、いきなり辞書を
送っても理解できるのか?」
「疑問・質問の概念が一番重要で、それがあれば分か
らなければ尋ねることができる」
「一番伝えたい内容は『私』『あなた』の概念と『時
間』『因果関係』のように思う」
・では、そのような情報をどうやって送ればよいか?
この点については、次のように議論があった。
「絵文字を使って数式が送れれば論理式は送れる。」
「絵文字では誤解が生じることがさけられない」
「言語を使っても誤解が生じるのは避けられないのだ
から、いっそ直感的なダイアグラムの方がましかもし
れない」
「動画でおくれば一目瞭然ではないか」
「足がない生物に『歩いている人間』の動画を送って
『歩く』が伝わるか?」
「『歩くネコ』『走る犬』など次々に送れば、『移動
する』という概念は伝えられる」
「概念の単純化は慎重にしなければならないのでは。
『歩く』『走る』を『移動する』にまとめるのは人間
の解釈」
「三次元を二次元に投影したペラペラ漫画をほんとに
理解してもらえるか?」
「三次元画像の「ペラペラ3D」を送ればよい」
「絵と図は違う。抽象化した図は視覚生物でなくても
理解できるが、絵は無理では」
「ドットの集まりを「絵」と思うかどうかは疑問」
「太陽系図のような抽象化の仕方はOKなのか? ス
ケールも実際と違うが」
「アレシボやパイオニアメッセージは理解できるとは
思えない」
「抽象化の仕方自体が人間の生物学的条件に関係して
いるのではないか」
「動画で遅れないメンタルな概念、たとえば『決断す
る』『望む』などを伝えるには別の手段が必要」
「例文を沢山送ることでなんとかならないか?」
「意味を限定して、簡略化した言語が必要」
<異星人と通信できた時に何が知りたいか>
「議論の背景」
実際に異星人と通信によるコンタクトが可能になっ
CONTACT Japan Newsletter
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たとき、相手に何を求めるだろうかか。またコンタク
トをすることからどんなメリットが得られるのかを考
える。
(1)CONTACT Japan 3 の時の動機
・大きな災厄に備え、技術的・社会的に有効な情報を
得ること。(異星人Sチーム)
・災厄の迫る状況での新たな知識獲得。新しい交易の
可能性。太陽系の知性に対する知的興味。(異星人
Uチーム)
・通信内容を賭けの対象にして相手の情報を利益に転
化する、特殊な動機付け。(異星人Tチーム)
・受身的な立場でスタートしたため明確な動機付けは
なく、何らかの情報を得るというコミュニケーショ
ン自体が目的化。(地球人チーム)
(2)比較対象としての動機
・どんな異星人であれ、地球文化を比較する対象とな
る。例えば、単性生殖の生物が技術文明を築いた場
合の人間文明との差異など。文明比較の一つの基準
になるのではないか。
「しかし、人類にとって価値観の相反する存在が多
かった場合には、支障があるのではないだろうか」
・現在の地球の問題を把握することが重要だと思う。
その解決法や有用な情報が得られれば、非常に有効
だと思う
・滅亡や戦争の危機をどうやって回避したのかを知り
たい。地球文明を存続させる何らかの方法が見つか
るかもしれない。
「逆に相手から、今まで文明の危機をどうやって回避
たか聞かれたら何と答えればよいか?」
・進化の系統樹が知りたい。人間の知性の発生は偶然
かも知れないと言われているので、他の知性がどう
いう経緯から発生したのか、人間とは別のルートあ
るのかといったことを知りたい。
「それがわかると、知性が一般的かどうかという話に
もつながる」
「進化の系統樹とも関係あるが、DNAベースなのか
など、生化学的な特性を聞きたい。」
・相手が我々に似ている方が嬉しいのか?違っている
方が嬉しいのか?
「個人的な希望としては違っていた方が嬉しいが、全
く生化学的基盤を異にする者同士が共存できるかと考
えると似ている方がいいかと思う。」
「違っていると、医学知識も利用できない。」
「利害が衝突しないという考え方があるかもしれな
い。」
「基本構造は同じだ使用している分子が違う場合、D
NAベースと言えるのか?」
「似たような物質を使っていれば良いのでは。」
「似ているがちょっと違う、というのが一番嬉しい」
「全く同じだと、神様がいるという奴が必ず出てくる
からいや。」
「ベースが一緒で進化が違ったら面白いと思う」
・知的生命体が発見されたときに、宗教界の受けるイ
ンパクトは大きい。あなたたちの神は我々の神と同
じですかというような質問を聞きたがると思う。
「宗教家の中でも上部の人間は心の準備はできてお
り、布教の可能性も。」
・一般人が最初に知りたいのは、人間の目から見た異
星人の姿(外見)だと思う。
そして、触れるものなら、触りたくなるのではない
か。
(3)相手の異星人のレベルは自分たちと比べてどのくら
いがいいか
・ちょっと高いのが、メリットが大きく一番嬉しい。
「上下といった分け方はあまり適当ではないと思
う。」
「自分たちより少し上の文明があったとして、素直に
教えを請うか?」
「攻撃的か平和的かといった相手のタイプによる。」
・上下ではなく、完全に異質でなおかつコミュニケー
ションが取れたという状態が一番楽しいと思う。
・お互いに比較して、ある分野では向こうの方が上、
ある分野ではこちらの方が上で、技術交換ができる
関係が一番良いと思う。
・恒星船やエンジンの設計図といった技術情報は教え
てもらいたいのか? それとも、教えてなんか貰わ
なくていい、自分たちで同じものを作ると思うの
か?
「コンピュータ業界の人間なら今の1億倍の計算速度
があると言われたら、やはり教えて欲しい。」
「有ると言われたら、それを自分たちがもう一回作る
のかと思ってしまう。」
「中身まで教えてもらわなくても、あることだけ教え
てもらえたらそれで励みになる。」
・我々より技術レベルが低く、電波通信もできない段
階の相手を見つけてしまった場合、どう扱えばよい
CONTACT Japan Newsletter
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か。
「物を与えないというようなことをを守りつつ、交流
は行なっても良いと思う。」
のか。
「最低でも返信に数十年かかることはわかってるか
ら、100年くらいは絶対に続ける。」
(4)異文明接触によって起こると思われる社会の変化
・相手の方が良い社会の場合、頼るという発想がある
かもしれない。
・理想的な社会構造になっている社会と接触した場
合、相手を手本にして変化すればよいのはわかって
いても、既得権益を守ろうとする人もいるし、自分
自身も嫌な思いをしなくてはならない場合のジレン
マがあると思う。
「変化するときには、常に変化したくない人がい
る。」
「宗教のように接触により世界観がひっくり返ってし
・ある程度リスクを負ってでも技術情報を得たいか、
危険な相手とはなべく関わり合いになりたくない
か。
「他の存在を確認した場合、後のメリットの前にま
ず、安全を確認して安心するのが先だと思う。」
「距離による。距離が遠ければ身近に脅威があるわけ
ではないので、どんな知識を得られるかということの
方が優先的になると思う。」
まうような人々には、何も求めたくないという強い反
応もあってしかるべき。」
断っても問題の根本解決にはならない。むしろ自分
たちの身を守るためにやらなくてはならないことが
増えてくるのではないか。
・途中で電波を絶ってくれた方が宇宙開発が莫大に進
むかもしれない。
・一旦コンタクトを始めてしまったら、やり続けなけ
ればならない。
・現在の地球文明はまだまだ安泰というわけではな
く、今後もクリティカルな局面が多いと思う。その
ため、何らかのメリットを見つけようとして、コン
タクトは行なうと思う。「どんなメリットがあるか
ではなく、メリットを見つけるために続ける。」
「個人的には、将来地球が滅んでも、コンタクトして
こちらのことを教えておけば、太陽系の片隅にこんな
知的生物がいたということを誰かが覚えていてくれる
という非常に消極的なメリットがある。」
・本来、地球人は自主的な意思で、自分たちにあった
方法で変わるべきなのに、ひとつの手本の登場によ
り社会的な仕組みが壊れてしまう。
「手本とは限らず、反面教師かもしれない。」
・独自性が失われやすいというのはある。
「生物、歴史、社会性と全然違うバックグラウンドを
持っているのだから、相手を研究することはできて
も、共通化することは無理だと思う。」
・新しいものと接触したら、何かの変化が起きるのは
避けられない。また抵抗勢力があるのもしかたがな
い。止めようと思っても止まるものではないし、無
理やり進めようと思っても進むものでもない。
・コンタクトをとり続けるためにはそれなりにコスト
が必要だが、そのためには社会の了解が必要。嫌な
ものなら交流しない可能性もかなりあるのではない
か。
・完全に異質なほうが、許容されやすいかもしれな
い。
(5)コンタクトを行う時の安全性について
・相手が危険だったらコンタクトを打ち切るという選
択も有り得ると思う。
「我々が返信をしなくても相手から通信が継続してい
た場合、コンタクトをやめたことになるのか。」
・危険だったら打ち切るというのはいいが、逆に我々
がコンタクトしていて突然やめられたらどうする?
我々に続けたいという意思がある場合は継続する
・コンタクトの結果、相手がかなり危険なメンタリ
ティを持った異星人だった場合、こちらから接触を
(6)企画内では、地球側は統一された政体で行なう事が
多いが、現実にはどうなるだろうか?
・むしろこの分裂している社会を統合する方向に働く
のではないか。
「自分の勢力を伸ばそうとする働きもあると思う。」
「分裂していた場合に結果として団結するという考え
方もあると思うが、逆に分裂する可能性もあると思
う。」
「現在の世界情勢ならアメリカが抑えて回るだろう
が、10年後はかわからない。」
「20年後には恐らく中国がかなり勢力を付けているか
ら、また2つに分裂してるかもしれない。」
「距離にもよると思う。例えば10光月の距離なら、恐
らくそういう人は多数出るだろうが、20光年先で40年
たたないと返事が返ってこない状態だと、返信が来る
までの間に地球上の他の勢力から叩かれる。」
CONTACT Japan Newsletter
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・どこかの国際機関でまとめようという動きが絶対に
出て、公式に行なうだろう。現在ならアメリカが主
体になるのは確実だから、それ以外の勢力は軍事力
で抑えるだろう。冷戦時代なら、もう少しバランス
が違ったかもしれないが。
・相手が、かつての米ソのように2大超大国があっ
て、こちらからの通信に対して2種類返事が返って
くる可能性もある。しかも、それぞれ勝手に考えた
絵文字、フォーマット等で、混乱・矛盾してると思
うかもしれない。
・CONTACT Japan 4 では、危機が高まるとそれまで意
見の対立があった人たちが、異星人排除という事で
意見を統一して団結した。恐らく、内部で争ってい
る場合ではないという意見が大勢を占めるのではな
いかと思う。
・電波を出す能力があるということは、異星人から電
波が来たという事の意味をちゃんと理解できるかど
うかということにも関わってくると思う。
<ワールド・ビルドを考える>
「議論の背景」
ワールド・ビルドは、時間と知識の限界から最近敬
遠される傾向にあるが、非常に面白く、もっと知識が
欲しくなるという意味では、非常にすばらしい企画で
ある。
もっと活動を活発化させるため過去の反省を踏まえ
て今後のワールド・ビルドをどのように行っていくか
を考える。
(1)問題点
・2001年SF大会で長時間ワールド・ビルド企画を
行ったが、環境から帰納的・演繹的に生物を構築し、
さらに演繹的に文化を構築するというのは難しかっ
た。
・ワ−ルドビルドは企画としては楽しいが、我々の知
識レベルの低さから、設定に対する必然性が感じら
れない。その設定でそのままFCSを行うことには無理
があるのではないか。
「アメリカでもFCSと、ワールド・ビルドの企画分科会
は別に行っている。」
・我々レベルでのワールド・ビルド企画では、時間、
知識等の制約からある程度強引に設定を進めること
になり、知識の有る人間は納得がいかず、知識の無
い人間には不安がある。それを割り切るかどうかが
ワールド・ビルド企画に対する評価の分かれるとこ
ろではないか。
・ワールド・ビルド企画では、人間と全然違う形態の
生物を構築しようという傾向があるが、その姿勢に
疑問を感じることがある。
・ワールド・ビルドを行うと、あまりの人類の知識の
なさに不遜な感じがし、安易に設定していくことに
罪悪感を感じる。
・今までの常識が覆され、例えば恒星に近いハビタル
ゾーンのような位置にガスジャイアントが発見され
たりなど、現実は考えてる以上に複雑なのに、単純
化して企画を進めなくてはならないという罪悪感が
常にある。
・十数時間程度ではなく、数ヶ月という期間をかけれ
ばもう少し成果があがるのではないか。
(2)どのように行えばいいか
・Day CONTACT 1 の異星人は、メンタリティがある程
度明確だったため、形態の多様性にかかわらず意思
統一ができコンタクトが成立した。手法の一つとし
て、メンタリティありきというのもあるのではない
か。
「生物設定を踏まえてのメンタリティ構築ということ
も考えていくべきだと思う。」
「FCSの相手はメンタリティがポイントになるため、メ
ンタリティを設定してから歴史や生物の設定をしても
いいのではないか。」
・生物構築は行わず、人間をベースに、歴史、文化、
宗教、政治、技術等の設定だけを行うのなら、我々
の知識で対応できるのではないか。
・人間をベースにするのではなく、ある程度雛形の生
命体を設定しておき、そこから文化を創造するのも
面白い気はする。
・初期条件を地球と同様にし、DNAベース、たんぱ
く質有りという条件でスタートし、生命のバリエー
ションを考えるというのであれば、我々でもできる
と思う。
・生物構築の手法として、複数の条件を無作為に組み
合わせてバリエーション作るといったレベルの手法
もあるのではないか。但し、ワールド・ビルドを楽
しむことはできなくなる。
・集合知性についてきちんと検討をしたことが無い
が、面白いのではないか。
「集合知性とは、個体の区別がなく、神経系というか
精神系はすべて接続されている。
個体で見ると知性がないけども、全体で見ると知性が
ある。」
「人間から見た場合、見かけ上、知性があるようにし
か思えない場合もあるのではないか。」
CONTACT Japan Newsletter
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「見かけ上知性があるのなら、知性があるといってよ
い気もする。」
「その場合、知性の定義とは何かというややこしい話
になる。」
「観測で違いが見つけられなければ、同じなのではな
いか。」
「以前、集合知性というか群体生命体に知性が宿った
らどうなるか考えたときは、個々の区別がないため、
量と言う概念は発達しているが数と言う概念が存在し
ない知性が発達する可能性があると言うことを考え
た。時間の概念があるかどうかも謎。」
・形態について、人間とほぼ同じなのに目の形状や手
足のバランス等一部のみ違うという異様性はインパ
クトが強いと思う。
「異星人構築の際に形態にこだわるのは、FCSの相手と
して人間と異なるメンタリティを設定するための入り
口として求めるからだと思う。」
(3)知性を生むにはどうすればいいか。
・生物が生きるのに一生懸命になる必要のない環境を
考えればよいのではないか。
「しかし、地球上の生命もすべて生きるのに一生懸命
で、それが積み重なってきた結果今の世界がある。現
在でも人類はともかく、他の生物はすべて生きるのに
一生懸命。」
「一生懸命になれば生き抜けるから知性が発生しない
のではないか。単なる努力では克服できないような環
境が出てくれば、ブレイクスルーを生み出すか滅びる
かどちらしかない。」
「知性で乗り切れる時期がないとだめということ。」
「知性があれば危機が回避できるのか?」
・CONTACT Japan 3 の異星人の母星は周期的な自然災
害に襲われるという特徴があり、彼らの文明知性は
それを試練として成長してきた。そういう試練は知
性の発生に必然なのか。
「退化という選択を取る生物もいる。なまけものと
か。」
・Day CONTACT 2 では、別の知性体に後天的に知性化
された生物を構築したが、生きることに全然努力を
必要としない環境の中で、どう考えても能天気な生
物にしかならなかった。
「知性が進化の必然とか必要能力として生まれたわけ
ではない例。」
「特定の関係性しか持たない知性でコンタクトを行う
のは非常に興味深かったが、実際のコンタクトは全然
面白くなかった。」
「ある意味、あれこそまさにメンタリティの違う生物
の出会いと言える。」
・知性体がなかなか発生しないのは実際にその通りだ
からだと思う。だからこそ、人間という知性体の意
味が重要なのではないか。
・生きるのに一生懸命な生物しか作れないというの
は、知性をもった生命体がいかにできにくいかとい
うことの裏返し。
・2001年SF大会の長時間ワールドビルド企画で、生
物構築後の知性が発生し文明を築く過程を検討した
かった。生物学的側面から文明が発生する部分もあ
るが、環境、歴史などで決定される部分もあると思
う。
(4)教育とワールド・ビルド
・教育目的というのには関心を持っているが、レベル
をどこに設定するかが難しい。
・教育目的でのワールド・ビルドというのも、科学へ
の関心を引き出し、自分自身や人類の意義、地球に
ついて等を学ぶことの面白さを伝えることができる
意味のある企画だと思う。
・ワールド・ビルドを教育に使う場合、異なった環境
でも人間(生物)が存在し得るということを若い世
代に教える価値はすごくある。そういう場合にどう
いう手法をとるか、具体的に考える価値があると思
う。
・ワールド・ビルドを行う場合、何十億年もかけて今
日に至った経過を数時間で行うためには省略は不可
欠。しかしミュレーションとしては単純であって
も、ビッグ・バンから生命が誕生し得る環境ができあ
がるまでの複雑なプロセスの結果として知性体が存
在するという、プロセスの存在を明確にしたい。
「ワールド・ビルドを教育目的で行うのであれば、プ
ロセスは必要。サイコロで決定するのではゲームに
なってしまう。」
・ワールド・ビルドを行うと、いかにレアな環境でし
か、地球のような文明が発生し歴史をたどることが
できないかということを感じる。教育目的にも非常
に有用だと思う。
・CONTACT Japan 1 の生物構築時、納得できる選択を
一つ一つ積み重ねていくと、最終的に既存の生物に
似た生物になってしまった。自分たちの生きている
世界を再認識させられた。
・「もしも月がなかったら」という有名な本がある
が、それにも、いかに我々の文明が非常に微妙な合
CONTACT Japan Newsletter
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理性でできているかということが書いてある。
< AC1 参加レポート>
今回のイベントは事前のお知らせからちょっとコン
タクトジャパン2の日帰り版、みたいな想像をしてい
ました。実行委員会から事前に連絡のあった当日の議
題は過去のコンタクトで生じた疑問点、時間の問題か
ら「とりあえず∼は理解できたことにして先に進む」
ことにした問題とか、今後コンタクト企画を行なう上
でそのままにしておくのは色々影響のありそうな議題
があがっていましたからそういう印象を持ったのかも
しれません。
それぞれの議題は話し合って結論の出るような物で
はありませんが、それぞれの問題についてどのように
考えるか?知らないうちにかってな思い込みで物事を
進めてはいなかったか?といったことを考える手掛か
りにはなったと思います。
手元のメモには演算子の意味→使用対象ごとに替え
るか?(数学、元素)数学的表記を利用してQ&Aシス
テムをつくるのは適切か?演算記号を理解させるには
例はどのくらい必要か?空白が回答を求めていること
を示せるか?、軍事オプションは必要か?何が軍事オ
プションを呼ぶか→距離?技術差?とるべき選択肢が
少ないので意義は少ない?、疑問符を使わないでもの
を尋ねるにはどうしたらいいのか?「宇宙のあいさ
つ」は必要か?必要としたらどんな内容か?だいたい
行ったことの無い外惑星とかに対して地球人は領有権
があるんだろうか?…といったような各議題から派生
した項目が残ってます。これらの問題も今後コンタク
トを行なうとき大いに参考になると思います。私に
とって一番面白かったのは「20光年離れた相手の星
系に宇宙船を送る妥当性。観測を強化し通信を密にす
るのと、プローブを建造・発信させるのとは、どちら
が有効か」という議題の時に「他の太陽系に対する観
測で最終的に有人飛行を行なうべきか?それはなぜ
か?」という質問に対して「天文学者は光と電波でし
か観測しないから遠隔観測でもいいかもしれないが生
物学者とか民族学者とかは現地に行って現物に触れな
いと研究が進まない分野の人間は絶対に行きたがるに
ちがいない」という答えがあがって大いに納得した時
でした。
上記のような形でいろいろ考えていると実際に星の
距離をこえて通信なり旅行ができても先ずコミュニ
ケーションが成立する方法があるんだろうか?とそっ
ちが不安になります。数学や自然科学に関する問題は
多少の立脚点の違いは置き換えで対応できるのに対し
て、生物学的行動、社会構造みたいなものになって来
ると例えば絵で表す、なんてことは困難でしょう。共
通の肉体を持った人間同士でもボディランゲージなん
てものは地域ごとに細かい違いがあって時として逆の
意味を持つ事もあるのに共通の基盤のない相手とは更
に何を表すかわかった物ではありません。(コンタク
トの時右手をあげてしまってそれが実は相手側に対し
ては威嚇のサインだったりしたら…)
当日は途中からNHKの取材の人が来ましたが、20∼
30分くらいは目に見えてかなりテンションが下がった
かと思ったらたちまち元にもどったのが面白かったで
す。 (前田裕之さん)
翻訳プロジェクト、現在進行中!
数号前のニューズレターでもお知らせしましたが、
コンタクトジャパンでは有志を集めて、FCS関係の
専門書の翻訳を始めました。今、翻訳を行っているの
は「Alien and Alien Societies」(S.Schmdt著, F&W
Pubns, ISBN0898797063)という本で、SF作家志望
者向けにエイリアンとその社会をどのように構築した
らよいかについて書かれた本です。
昨年よりメーリングリストの形で翻訳作業を進めて
きましたが、なかなかはかどらず、まだ道半ば、と
いったところです。完成はもう少し先になりそうです
が、内容の一部を紹介したいと思います。
「第1章 エイリアンについて書く理由」より
……本書はそのほとんどが多少なりとも「もっともら
しい(plausible)」エイリアンに限定して述べている
ことを強調しておかなくてはならない。あるいは、言
い換えれば、私はファンタジーよりはSFを書くこと
に関心のある読者に向けてコメントしているのであ
る。SFもファンタジーもだいたい似たようなものだ
と思うかもしれない。特に近年では、両者を交換可能
なものだと扱うような風潮もあるので、そう考えても
非難されることはないだろう。実際、両者の境界には
曖昧な部分があり、いくつかの作品については境界の
どちら側にあるのかに議論の余地があるものもある。
しかし、人間の欠点について鋭くみつめ続けた人物が
見いだしたように、「黄昏時があるからと言って、昼
と夜の区別がつかないなどということはない」のだ。
本書では、明確なSFと明確なファンタジーとの間
には重要な差違が確かに存在する、という基本的な想
定をおくものとする。そして、主にSFに関心を向け
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ることにする。SF作家は、「もっともらしい」ある
いはもっともらしく見える事柄を扱うように心がける
ものだ。特に本書の目的に関して言えば、エイリアン
とエイリアンの社会とを「もっともらしく」すること
が主な関心事である、ということになる。
そして、当然のことながら、巨大で基本的で困難な
問題に行き当たる。「もっともらしい」とは何なの
か?……
「第2章 もっともらしさとは何か」より
……同じ基本材料がSFとファンタジーの両方で扱われ
ることはしばしばあり、作家がどのような手法を取る
かということで決められる。例えば、古い童話である
「金の卵を産むガチョウ」は、実際のガチョウは金の
卵を産まないからファンタジーであり、それが可能だ
と信じさせるような物語ではない。単に、もし、そう
だったら何が起こるかを考えさせるだけである。アイ
ザック・アシモフの短編である「Pate de Foie Gras」
は、この基本的なアイディアを取り上げ、生化学的手
法によりそれが可能になるという仮定をすることでSF
に仕上げている。彼は、その仕組みについて十分説明
しているので、読者はそれが実際に起こりうるかどう
かを、自分で判断することができる。
通常、SFとファンタジーは両方とも、一見不可能な
ことを扱っている。違いは、SFはそれが実際に起こる
仕組みを思い描こうとすることだ。ファンタジーは楽
しい、が、少なくとも、ある種の読者にとっては、想
像力の翼を広げるだけでなく、実際の可能性も持って
いる何かしら特別なものが物語の中には存在してい
る。
SFが、どのようにしてこの「疑惑の保留」という段
階を付加するかは、思索の本質に依存している。とき
には、科学と技術の発展に興味を持っていない素人に
は深遠に見えるアイディアを使用するが、このような
発展に興味のあるものにとっては簡単に理解できる、
既に確立した原理に基づいている。例として、40年
代に書かれた宇宙旅行を扱った物語のほとんどがあげ
られる。50年代になって、私が成長して、スプート
ニクIが今にも発射されようとした時代になってさえ、
私の周囲の大人たちの多くは宇宙飛行は不可能だと考
えていた。しかしアスタウンディングのような科学雑
誌や、ロバート・A・ハインラインやアーサー・C・
クラークの小説の読者は、ずっと以前から、技術的な
問題があるけれども、宇宙旅行は明らかに可能である
ことを知っていた。・・・・
……と、今回の紹介はここまで。どうです、面白そう
だと思いませんか? 完成をお楽しみに。
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Day CONTACT 5 開催のお知らせ
一昨年、昨年に名古屋・東京で開催されました Day CONTACT をとうとう大阪で開催する
ことに決定いたしました。
形式としましては、Day CONTACT 1∼4 と同じ形式で行っていく予定です。一日でできる
ことをやってしまおうという気持ちは変わっておりません。
初めて参加される方にも参加しやすい内容となっているとスタッフ一同自負しておりますの
で、お友達などをお誘いあわせの上、是非ご参加ください。
参加要綱は以下の通りです。
日時:4月26日(土)10時∼18時
場所:大阪国際交流センター
大阪府大阪市天王寺区上本町8-2-6
Tel:06-6772-5931
http://www.ih-osaka.or.jp/i.house/
参加費用:500∼1000円(学生割引あり)
定員:50名
申込締切:4月15日(当日消印有効)
問合せ先:〒477-0034
愛知県東海市養父町諸之木26―3 エスポア横須賀802 竹林方
コンタクトジャパン事務局
e-mail : [email protected]
参加申込をされる方は、事務局までご連絡ください。また、CONTACT Japan の
Web Site(http://www.ne.jp/asahi/contact/japan/) でも参加申込を受け付けて
おりますので、ご利用ください。
皆様のご参加をお待ちしております。
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〒 477-0034 東海市養父町諸之木 26-3
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エスポア横須賀 802 竹林方
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CONTACT Japan 事務局
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CONTACT Japan 5 が盛況のうちに終了しました。参加者、
123456789012345678901234567890121234567890123456789012345678901212345678901234567890123456789012
“d•qƒ••[ƒ‹ˆ¶‚Ä•æ
ID
123456789012345678901234567890121234567890123456789012345678901212345678901234567890123456789012
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スタッフともども楽しみ疲れた 3 日間でした。今回参加で
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きなかった皆様にもアフターレポートでじっくりと味わっ
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て頂きたいと思います。というわけで、現在アフターレ
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ポートの作成作業も大詰めとなってきています。
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また、いつもながら、皆様からのご意見ご要望もお待ち
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しています。
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