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第 3 章 経済概況 - JBIC 国際協力銀行

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第 3 章 経済概況 - JBIC 国際協力銀行
第3章
経済概況
1. 経済概観
2012 年のフィリピン経済は、GDP 成長率が 6.6%21と目標を上回る成長を達成した他、
フィリピン証券取引所の株価指数も 1 年間で 33%上昇するなど好調であった。GDP の高
成長は、製造(対前年比 5.4%増)、建設(同 14.4%増)の他、商業サービス(同 7.5%増)、住宅・
不動産サービス(同 7.9%増)、金融サービス(同 7.8%増)、その他サービス(同 7.2%)増などサ
ービス部門全般の力強い成長に牽引された。
フィリピンの GDP の 7 割強は民間消費による(図表 3-1、図表 3-2)。この内需を支える
大きな要因となっているフィリピン人海外労働者(OFW)からの送金額は、2005 年からの 6
年間で倍近くに増えた。2011 年に 200 億ドルを超え、2012 年は更に 6.3%増の 214 億ド
ルに達し、過去最高額を更新した。フィリピン全体の失業率は、失業率の定義が改訂され
た 2006 年以降 7%前後と横ばい状態が続いており、ASEAN 諸国の中では、インドネシア
と並んで高いレベルにある。
一方、英語を公用語とし、比較的高い教育を受けた若年労働力が豊富なフィリピンでは、
英語圏向けのコールセンターやビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業が大き
く成長し、2011 年には 64 万人を超える雇用と、110 億ドルを超える売上高の産業となっ
ている。
図表 3-1 フィリピンの支出別国民総生産(実質:2000 年価格)
(単位:10億ペソ)
部門
個人消費支出
政府消費支出
総資本形成
総固定資本形成
建設
耐久設備
種蓄・農園開発
知的財産
在庫変動
財・サービス輸出
財・サービス輸入
総計
GDP成長率(%)
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
2,984
400
939
826
339
385
101
19
94
1,870
2,184
4,008
5.0
3,162
408
918
840
336
402
102
22
55
2,108
2,320
4,277
6.7
3,302
417
945
861
329
430
102
22
62
2,213
2,395
4,481
4.8
3,440
461
802
907
354
444
109
24
-129
2,492
2,478
4,716
5.2
3,598
493
798
957
394
452
110
23
-181
2,660
2,521
5,028
6.6
3,731
494
985
989
411
476
102
22
-26
2,589
2,561
5,237
4.2
3,818
548
899
969
418
453
99
24
-94
2,386
2,354
5,297
1.1
3,946
570
1,184
1,157
491
568
99
25
1
2,886
2,884
5,702
7.6
(出所) NSCB (2012 年データは 2013 年 1 月 31 日発表のもの)より作成
21
2013 年 1 月 31 日国家統計調整委員会(NSCB)発表
26
4,195
576
1,280
1,184
460
597
99
28
96
2,765
2,890
5,924
3.9
4,451
644
1,223
1,287
523
631
100
32
-64
3,005
3,012
6,315
6.6
GDP比
(2012年)
70.5%
10.2%
19.4%
20.4%
8.3%
10.0%
1.6%
0.5%
-1.0%
100%
図表 3-2 フィリピンの支出別国民総生産(実質:2000 年価格)
110.0%
90.0%
70.0%
50.0%
30.0%
10.0%
-10.0%
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
個人消費支出
政府消費支出
総固定資本形成
在庫変動
純輸出
誤差
(出所) NSCB (2012 年データは 2013 年 1 月 31 日発表のもの)より作成
経済が好調なフィリピンには、海外からの投資マネーが流入し、為替市場はペソ高基調
が続いている。2009 年末に 1 ドルあたり 43.36 ペソだった為替レートは、2012 年末に 41.0
ペソ、2013 年 1 月末時点で 1 ドル約 40.60 ペソまで上昇している。ペソ高によって輸入
物価が上昇しにくい事も影響し、2012 年のインフレ率は年平均 3.2%と、物価は比較的安
定している。
2013 年のフィリピンの GDP 成長率見通しは IMF が 6.0%、ADB が 5.0%と発表してい
る。2013 年 1 月 23 日にフィリピンの GDP 成長率予測を 2013 年 6.0%、2014 年 5.5%と
上方修正した IMF は、力強い内需と歳出増が堅調な成長の背景にあるという声明を出し
ている。フィリピンは、統一選挙が実施される年に選挙特需による消費の押上げ効果があ
り、5 月 13 日投票の統一選挙が実施される 2013 年もこの影響を受けた高成長を期待する
声もある。
一方で、ペソ高は重要な成長分野である BPO 産業のコスト競争力にはマイナスの影響
が出る他、海外出稼ぎ労働者からの送金(ドル建)を受取った家族が国内消費用にペソに
換金した場合の金額が目減りし、GDP の 70%を占める個人消費に影響が出る事も懸念さ
れる。
こうした中、格付け機関によるフィリピン国債の相次ぐ格上げが生じている。ムーディ
ーズは、2012 年 10 月 29 日、フィリピンの長期債格付けを「Ba2」から「Ba1」に引き上
27
げた。投資適格級から 1 段階下の格付けとなり、適格級への引き上げが期待される。格付
け引き上げにあたって同社は、
「世界的に需要が落ち込む中でもフィリピンは歳入が伸びて
おり、中期的な経済成長見通しは上向き」としている。S&P も 2012 年 7 月にフィリピ
ン国債格付けを「BB」から「BB+」に引き上げ、同年 12 月 20 日、格付見通しを「安定
的」から「ポジティブ」に引き上げた。更に S&P は 2013 年 5 月 2 日、
「BB+」から投資
適格の「BBB-」に格上げし、格付見通しは「安定的」とされた。S&P による格付引上
げの主な理由は政治状況の改善である。又、歳入基盤も安定し、過去 2 年間の歳入は名目
GDP を上回っているほか、経常収支の黒字化が定着してきている。一方、フィッチ・レー
ティングスは 2013 年 3 月 27 日、フィリピンの外貨建て長期国債格付けを「BB+」から
投資適格の最低基準である「BBB-」へと一段引上げ、格付け見通しは「安定的」とされ
た。フィリピンが投資適格級となるのは初めてとなった。又、長期ペソ建て IDR とカント
リー・シーリングに関しては、「BBB-」から「BBB」へと引き上げられた。フィッチは
2012 年の世界景気が軟調な中で 6.6%の GDP 成長率を達成したこと、経常収支が黒字を
継続していること、対外支払い能力が強化されていること、政治的な透明性、安定性が改
善していることなどを評価し、フィリピンを投資適格へと昇格した。
図表 3-3 フィリピンの GDP 成長率、消費者物価上昇率、失業率の推移
14.0
実質GDP成長率(%) - 基準年:2000年
消費者物価上昇率(%)-年平均
12.0
10.0 11.4
11.4
11.8
失業率(%)
11.4
8.0
8.0
(%)
6.7
6.5
5.5
6.0
5.0
6.6
8.3
7.5
7.6
7.0
7.4
4.8
5.2
3.6
4.2
6.6
4.1
3.9
2.9
3.9
3.2
2.3
2.7
0.0
2002年
6.8
7.3
4.6
4.8
4.0
2.0
7.3
1.1
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
(注)2006 年以降の失業率については、失業率の定義が変更になったため、それ以前のデータと
の単純比較はできない。2012 年の失業率は 10 月時点、2012 年の消費者物価上昇率は 1 月から
12 月までの月毎の上昇率の平均、2012 年の GDP 成長率は 2013 年 1 月 31 日 NSCB 発表の数値。
(出所)フィリピン中央銀行(BSP)のデータより作成
28
図表 3-4 フィリピンペソの対ドル為替レートの推移
60
56.27
55.57
55
55.09
53.10
56.04
54.20
ペソ/ドル
50
51.31
53.07
51.60
47.68
47.49
49.13
46.15
45
45.11
44.32
46.36
43.93
42.23
43.89
43.31
41.40
40
41.01
35
為替レート(期中平均値、対ドルレート)
為替レート(期末値、対ドルレート)
30
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
(出所)フィリピン中央銀行(BSP)のデータより作成
図表 3-5 フィリピンの GDP 成長率と 1 人あたり GDP の推移
8.0
7.6
1,918
6.0
5.2
5.0
3.0
2,000
1,827
1,684
4.8
5.0
4.0
2,123
6.6
6.7
1,500
1,405
1,015
4.2
1,209
3.6
1,025
2,500
3.9
1,093
1,000
2.0
500
1.1
1.0
0.0
2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
一人あたり名目GDP(ドル)
実質GDP成長率(%) -2000年基準
(出所)NSCB 及び IMF のデータより作成
29
一人当たり名目GDP(ドル)
実質GDP成長率(%)
7.0
2,345
図表 3-6 フィリピンの主要経済指標の推移
実質GDP成長率(%) 2000年基準
名目GDP総額
一人あたりの名目GDP
消費者物価上昇率
消費者物価指数 (2006 = 100)
失業率
経常収支(国際収支ベース)
%
億ドル
ドル
%
%
億ドル
2002
2003
3.6
5
813
839
1,015 1,025
2.7
2.3
83
84.9
11.4
11.4
-2.8
2.9
2004
2005
2006
2007
6.7
4.8
5.2
6.6
914 1,031 1,222 1,494
1,093 1,209 1,405 1,684
4.8
6.5
5.5
2.9
89
94.8
100 102.9
11.8
11.4
8
7.3
16.3
19.8
53.4
71.1
2008
2009
4.2
1.1
1,742 1,683
1,918 1,827
8.3
4.1
111.4
116
7.4
7.5
36.3
93.6
2010
7.6
1,996
2,123
3.9
120.5
7.3
89.2
2011
3.9
2,248
2,345
4.6
126.1
7
69.9
-155.2
貿易収支(国際収支ベース)
億ドル
-55.3
-58.5
-56.8
-77.7
-67.3
-83.9
-128.9
-88.4
-109.7
外貨準備高 (金を除く)
億ドル
133.3
136.6
131.2
159.3
200.3
302.1
331.9
387.8
553.6
672.9
対外債務残高
億ドル
538.0
575.7
550.3
543.5
539.0
554.7
543.3
548.6
600.5
617.1
輸出額 (FOB)
億ドル
350.9
360.6
395.9
410.1
474.1
504.7
490.8
383.4
515.0
479.7
輸入額 (CFI)
億ドル
392.4
404.7
440.4
440.5
517.7
555.1
567.5
430.1
549.3
601.4
直接投資受入額 (認可ベース)
億ドル
8.9
6.3
31.1
17.4
32.5
46.7
41.1
25.6
43.5
59.1
(注)失業率:2006 年から新しい定義のもとに算出されている
直接投資受入額:BOI(投資委員会)、PEZA(フィリピン経済区庁)、
SBMA(スービック湾首都圏庁)、CDC(クラーク開発公社)による認可額の合計
(出所) 実質 GDP 成長率、名目 GDP 総額、直接投資受入額:フィリピン国家統計調整委員
会(NSCB)
1 人あたりの GDP :IMF "World Economic Outlook Database"
消費者物価指数、経常収支、貿易収支、対外債務残高:フィリピン中央銀行(BSP)
失業率、輸出額、輸入額:フィリピン国家統計局(NSO)
外貨準備高、為替レート:IMF
通貨供給量伸び率:IMF "International Financial Statistics Yearbook"
2. 産業構造
フィリピンでは、GDP の 6 割近くをサービス業が占め、続いて約 3 割が鉱工業、農林
業が約 1 割である(図表 3-7)。
図表 3-7 フィリピン GDP の産業別構成 (実質:2000 年価格)
7,000
農林水産業
6,000
鉱工業
サービス業
10億ペソ
5,000
57%
4,000
3,000
52%
2,000
1,000
32%
34%
14%
0
2003年 2004年
11%
2005年
2006年
2007年
(出所)NSCB データより作成
30
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
サービス業への依存度が高い構造は長年変わっていないが、ここ 10 年間にサービス業
の割合は 52%から 57%へと増加し、その分、農林業、鉱工業の割合がそれぞれ微減してい
る。サービス業の中では商業が最も大きく、続いて住宅・不動産業、好調なビジネス・プ
ロセス・アウトソーシング(BPO)業界を含むその他民間サービスとなっている。鉱工業の
7 割を占める製造業を更に詳しく見ると、製造業生産高の 38%は食品加工、続いて 17%が
ラジオ、テレビ、通信機器で、この 2 分野で製造業の過半数を占める。
2012 年の各産業別の伸びを見ると、農業が 2.7%、鉱工業 6.5%、サービス業 7.4%とな
っており、構成比でも最大のサービス業が堅調に増加した。サービス業は、運輸・倉庫・
通信が 9.1%、不動産業が 7.9%、金融業が 7.8%、BPO 業界を含むその他民間サービスが
7.2%、商業が 7.5%とほぼ全ての部門で 7%を超える成長であった。BPO の業界団体であ
る BPAP(Business Processing Association Philippines)によると、2012 年の売上高は前年
比 22%増の 134 億ドルであった。鉱業、製造業、建設業、電気・ガス・水道からなる鉱工
業の 2012 年をみると、建設業が 14.4%増と大きく伸びた他、製造業も 5.4%増、電気・ガ
ス・水道も 5.1%増加したが、鉱業は 3.7%減であった。
図表 3-8 フィリピン GDP の産業別構成推移
(2000年基準実質値、単位:100万ペソ)
部門
農林水産業
鉱工業
鉱業
製造業
建設業
電気・ガス・水道
サービス業
輸送・倉庫・通信
商業
金融業
住宅・不動産
公共サービス・国防
その他民間サービス
総計
2003年
559,470
1,336,430
39,547
961,264
187,312
148,307
2,112,569
300,683
650,490
217,494
358,651
196,030
389,220
4,008,469
2004年
583,629
1,406,338
37,631
1,011,618
198,404
158,685
2,286,974
337,039
698,830
232,730
392,961
210,720
414,694
4,276,941
2005年
596,727
1,465,272
43,624
1,062,612
198,154
160,882
2,419,280
360,885
740,311
257,301
419,523
212,055
429,205
4,481,279
2006年
618,457
1,532,814
43,535
1,106,052
217,637
165,591
2,564,959
376,398
784,443
287,793
446,975
219,563
449,788
4,716,231
2007年
647,687
1,621,226
51,649
1,145,529
249,379
174,670
2,759,375
408,076
851,892
317,104
482,493
222,665
477,145
5,028,288
2008年
668,550
1,699,171
50,926
1,194,921
266,751
186,572
2,869,379
423,952
863,732
322,672
526,116
227,223
505,683
5,237,101
2009年
663,744
1,666,601
59,130
1,137,534
284,994
184,943
2,966,895
423,398
875,616
340,329
547,866
241,009
538,677
5,297,240
2010年
662,665
1,859,515
65,898
1,264,523
325,820
203,274
3,179,358
427,766
948,743
374,716
588,947
255,087
584,100
5,701,539
2011年
680,445
1,901,401
70,509
1,324,330
304,014
204,547
3,342,564
446,026
980,514
394,371
643,459
255,776
622,418
5,924,409
2012年
698,736
2,024,580
67,883
1,396,140
345,481
215,077
3,591,549
486,535
1,053,974
425,224
694,182
264,326
667,309
6,314,866
(出所)NSCB データより作成
図表 3-9 フィリピン GDP の部門別成長率
部門
農林水産業
鉱工業
鉱業
製造業
建設業
電気・ガス・水道
サービス業
輸送・倉庫・通信
商業
金融業
住宅・不動産
公共サービス・国防
その他民間サービス
総計
02-03
4.7
4.3
13.1
3.7
3.2
7.4
5.5
12.2
5.1
6.2
5.3
3.4
2.2
5.0
03-04
4.3
5.2
-4.8
5.2
5.9
7.0
8.3
12.1
7.4
7.0
9.6
7.5
6.5
6.7
04-05
2.2
4.2
15.9
5.0
-0.1
1.4
5.8
7.1
5.9
10.6
6.8
0.6
3.5
4.8
05-06
3.6
4.6
-0.2
4.1
9.8
2.9
6.0
4.3
6.0
11.9
6.5
3.5
4.8
5.2
(出所)NSCB データより作成
31
06-07
4.7
5.8
18.6
3.6
14.6
5.5
7.6
8.4
8.6
10.2
7.9
1.4
6.1
6.6
07-08
3.2
4.8
-1.4
4.3
7.0
6.8
4.0
3.9
1.4
1.8
9.0
2.0
6.0
4.2
08-09
-0.7
-1.9
16.1
-4.8
6.8
-0.9
3.4
-0.1
1.4
5.5
4.1
6.1
6.5
1.1
(2000年基準実質値、単位:%)
09-10
10-11
11-12
-0.2
2.7
2.7
11.6
2.3
6.5
11.4
7.0
-3.7
11.2
4.7
5.4
14.3
-7.3
14.4
9.9
0.6
5.1
7.2
5.1
7.4
1.0
4.3
9.1
8.4
3.3
7.5
10.1
5.2
7.8
7.5
9.3
7.9
5.8
0.3
3.3
8.4
6.6
7.2
7.6
3.9
6.6
図表 3-10 製造業の部門別生産高
(2000年基準実質値、単位:100万ペソ)
製造業部門
2011
2012
食品加工
ラジオ、テレビ、通信機器
化学/化学製品
飲料
石油その他燃料製品
家具
衣類
非金属鉱物製品
電気機械
繊維製品
運輸設備
その他
製造業総計
494,349
242,616
91,401
58,743
50,806
39,326
27,976
32,991
32,515
30,763
29,565
193,279
1,324,330
528,394
237,319
95,018
61,346
48,809
54,559
40,303
37,979
35,835
30,624
33,195
192,759
1,396,140
2010-2011
成長率(%)
3.1
-0.4
18.1
17.2
-9.1
94.8
5.7
2.9
7.0
-2.3
-6.4
4.0
4.7
2011-2012
成長率(%)
6.9
-2.2
4.0
4.4
-3.9
38.7
44.1
15.1
10.2
-0.5
12.3
0.3
5.4
2011-2012
成長率(%)
37.8%
17.0%
6.8%
4.4%
3.5%
3.9%
2.9%
2.7%
2.6%
2.2%
2.4%
13.8%
100.0%
(出所)NSCB データより作成
3. 貿易構造
フィリピンの貿易額は、1990 年から 2011 年までの 21 年間で輸出が約 6 倍、輸入が約
5 倍に拡大した。2011 年の輸出総額は約 480 億ドル(前年比 6.7%減)、輸入総額は約 600
億ドル(前年比 9.5%増)で、1990 年以来最大となる約 120 億ドルの輸入超過(貿易赤字)
であった(図表 3-11)。
図表 3-11 フィリピンの輸出入総額の推移
(FOB、単位:100 万ドル)
70,000
輸出
輸入
輸出 - 輸入
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
-10,000
-20,000
11
20
10
20
09
20
08
20
07
20
06
20
05
20
04
20
03
20
02
20
01
20
00
20
99
19
98
19
97
19
96
19
95
19
94
19
93
19
92
19
91
19
90
19
(出所)NSO データより作成
32
(1) 輸出入品の品目別構成
貿易構造は、電子機器の半完成品を輸入し、それを加工して輸出するという中間貿易が
主流である。電子機器は、2011 年の輸出総額 480 億ドルのうちの 250 億ドル(約 53%)を
占め、最大の輸出品目ではあるが、2010 年の輸出額 325 億ドルと(輸出総額の 62%)と比較
すると輸出額は 22%減少した。電子機器に次ぐ輸出品目は、ココナツ油やバナナ等の果物
を中心とする農産物(8.4%)や鉱物(約 5.5%)である。
図表 3-12 フィリピンの輸入品目構成 (FOB ベース)
品目
資本財
発電及び特殊機械
オフィス及びEDP機械
通信機器、電気機械
その他
原材料及び中間財
未加工原材料
半加工原材料
化学品
製造品
電子機器製造のための材料等
その他
鉱物性燃料等
石炭
原油
その他
消費材
耐久消費財
車両
家電
その他
非耐久消費財
食品、食用動物
飲料、タバコ
衣料、アクセサリー
特殊取引
一時的に輸入され、輸出されたもの
その他
輸入総計
2010
2011
( 1 0 0 万ドル) ( 1 0 0 万ドル)
16,516
2,976
2,455
8,767
2,317
20,560
2,530
18,030
5,238
4,234
7,671
888
9,589
466
5,433
3,689
7,408
2,955
1,762
286
907
4,453
4,278
65
110
861
275
586
54,933
(出所)NSO データより作成
33
15,275
3,510
1,829
7,733
2,203
24,574
2,554
22,020
6,337
5,340
8,833
1,511
12,463
596
7,785
4,083
6,983
3,209
1,637
343
1,229
3,774
3,504
70
199
843
287
556
60,139
成長率
2011年
( %)
構成比( %)
-7.5
18.0
-25.5
-11.8
-0.0
19.5
1.0
22.1
21.0
26.1
15.2
0.7
30.0
27.7
43.3
10.7
-5.7
8.6
-7.1
19.9
35.5
-15.3
-18.1
8.2
80.7
-2.0
4.4
-5.1
9.5
25.4%
5.8%
3.0%
12.9%
3.7%
40.9%
4.2%
36.6%
10.5%
8.9%
14.7%
2.5%
20.7%
1.0%
12.9%
6.8%
11.6%
5.3%
2.7%
0.6%
2.0%
6.3%
5.8%
0.1%
0.3%
1.4%
0.5%
0.9%
100.0%
図表 3-13 フィリピンの輸出品目構成 (FOB ベース)
2011
品目
2010
(100万ドル) ( 100万ドル)
農産物
ココナツ製品(主にココナツ油)
成長率
2011年
(%)
構成比(%)
4,009
1,784
2,922
1,508
37.2%
18.3%
8.4%
3.7%
390
979
856
52
651
710
649.3%
50.2%
20.6%
0.8%
2.0%
1.8%
50
2,657
28
1,929
79.6%
37.7%
0.1%
5.5%
1,128
214
1,315
805
128
997
40.2%
67.7%
31.9%
2.4%
0.4%
2.7%
648
39,175
23,722
371
44,694
31,080
74.5%
-12.3%
-23.7%
1.3%
81.7%
49.5%
電子機器、部品(半導体)
電子データ処理機械
17,723
4,243
23,831
5,485
-25.6%
-22.6%
36.9%
8.8%
自動車用エレクトロニクス
その他
その他エレクトロニクス製品
786
971
1,448
380
1,383
1,473
106.7%
-29.8%
-1.7%
1.6%
2.0%
3.0%
衣料
木材製品
化学製品
1,895
1,684
1,886
1,701
1,029
1,567
11.4%
63.7%
20.4%
4.0%
3.5%
3.9%
機械、輸送設備
加工食品及び飲料
2,774
1,033
2,568
932
8.0%
10.9%
5.8%
2.2%
4,733
1,428
670
4,345
1,553
612
8.9%
-8.1%
9.5%
9.9%
3.0%
1.4%
47,967
51,498
-6.9%
100.0%
砂糖製品
果物、野菜
その他
林業製品
鉱物
銅
金
その他
石油製品
製造品
電子製品
その他
特殊取引
再輸出
輸出総計
(出所)NSO データより作成
(2) 輸出入の国別動向
2011 年の輸出先上位 3 ヶ国は日本、米国、中国、輸入元上位 3 ヶ国は米国、日本、中
国であった。2007 年から 2011 年まで 4 年間の貿易相手国別の貿易額の変化を見ると、米
国との貿易額が輸出、輸入ともに減っている。一方、中国、韓国との貿易額は輸出、輸入
ともに増加している。特に中国からの輸入額は 4 年間で 1.5 倍に拡大した。又、対日貿易
では、同 4 年間で日本からの輸入がやや減少し、輸出は 22%増加している。
34
図表 3-14 フィリピンの主要貿易相手国別の輸出入金額
国(地域)名
日本
米国
中国
韓国
台湾
香港
ASEAN合計
シンガポール
タイ
マレーシア
インドネシア
ベトナム
ミャンマー
ブルネイ
カンボジア
ラオス
オーストラリア
ヨーロッパ
合計
(上記以外の国を含む)
2007
輸出
輸入
7,304
6,842
8,594
7,835
5,750
4,001
1,784
3,278
1,973
4,062
5,804
2,219
8,032 12,875
3,139
6,219
1,403
2,277
2,507
2,283
524
1,250
436
843
8
3
6
0
9
1
0
0
528
717
8,471
5,508
2008
輸出
輸入
7,683
6,604
8,205
7,221
5,467
4,246
2,521
2,962
1,859
3,835
4,985
1,958
7,082 14,380
2,598
5,945
1,509
2,786
1,958
2,444
603
1,465
385
1,653
11
3
10
81
7
1
1
0
471
902
8,360
4,696
2009
輸出
輸入
6,208
5,363
6,789
5,113
2,934
3,807
1,828
3,005
1,325
3,014
3,213
1,457
5,844 10,968
2,477
3,724
1,236
2,451
1,360
1,693
383
1,774
365
1,287
7
8
5
22
9
9
2
0
296
732
7,939
3,614
(FOB、単位:100万ドル)
2010
2011
輸出
輸入
輸出
輸入
7,841
6,744
8,886
6,516
7,559
5,887
7,102
6,536
5,724
4,628
6,237
6,085
1
3,833
2,237
4,420
1,752
3,676
1,993
4,209
4,336
1,470
3,701
1,510
11,986 15,492
8,694 14,337
7,319
5,187
4,279
4,899
1,783
3,871
1,906
3,464
1,396
2,515
1,099
2,640
499
2,295
627
2,459
572
1,608
752
849
11
12
14
19
6
2
6
5
449
2
10
1
0
0
1
0
350
839
394
1,071
6,602
4,593
5,885
6,142
50,466 55,514 49,07 8 56,746 38,4 36 43 ,092 51,498 5 4,933 48,305 6 0,496
(出所)NSO データより作成
図表 3-15 フィリピンの主要貿易相手国
(出所)NSO データより作成
4. ASEAN の中でのフィリピン
フィリピンは、ASEAN でインドネシアに次いで人口が多い国である。2012 年の推定人
口は 9,770 万人と、1 億人に迫っている。国全体の名目 GDP 額では ASEAN10 ヶ国中、
第 5 位、一人当たりの GDP 額では第 6 位となっている(図表 3-16)。
35
図表 3-16 ASEAN 各国とフィリピン、日本の基礎データ比較(2011 年)
国(地域)
シンガポール
ブルネイ
マレーシア
タイ
インドネシア
フィリピン
ベトナム
ラオス
カンボジア
ミャンマー
ASEAN合計(平均)
【参考】
日本
中国
インド
EU (27カ国)
NAFTA (3カ国)
人口
(万人)
面積
(平方Km2)
名目GDP
(億ドル)
1人あたり所得
(ドル)
527
43
2,873
6,408
24,103
9,5 86
8,932
656
1,510
6,242
60,8 78
0.7
6
331
513
1,911
300
349
237
181
677
4,505
2,598
155
2,787
3,456
8,457
2,131
1,227
79
129
519
21,539
49,271
36,584
9,700
5,394
3,509
2,223
1,374
1,204
852
832
3,538
12,782
134,812
120,692
50,056
46,012
378
9,597
3,287
4,326
21,578
58,695
72,981
16,761
175,777
179,857
45,920
5,414
1,389
35,116
39,089
(出所)IMF、外務省データより作成
フィリピンと ASEAN 諸国との貿易総額は、2011 年の輸出が計約 87 億ドルで、対日輸
出額とほぼ同額、輸入が約 143 億ドルで、日本からの輸入額の 2.2 倍と、ASEAN 諸国は
フィリピンにとって非常に重要な取引国となっている(図表 3-17)。ASEAN 諸国との貿易
は、2001 年から 2011 年までの 10 年間で輸出が 1.7 倍、輸入が 2.8 倍に拡大した。ASEAN
の中では、シンガポール、タイ、マレーシアとの貿易額が上位を占めるが、ここ数年間の
貿易額の伸びが大きいのはタイとインドネシア、ミャンマーからの輸入である。
図表 3-17 フィリピンの対 ASEAN 諸国貿易(2001 年から 2011 年の変化)
国(地域)
ASEAN合計
シンガポール
インドネシア
マレーシア
タイ
ブルネイ
ベトナム
ミャンマー
ラオス
カンボジア
日本
中国
香港
韓国
台湾
2001
輸出
4,983
2,308
133
1,112
1,358
4
62
6
0
-5,055
793
1,580
1,044
2,127
2011
輸入
5,121
2,073
760
1,080
925
0
280
3
0
-6,633
975
1,335
2,082
1,970
輸出
8,684
4,279
627
1,099
1,906
6
752
14
1
-8,885
6,237
3,701
2,237
1,993
(出所)NSO データより作成
36
2011/2001 (10年間の変化)
輸入
14,335
4,899
2,459
2,640
3,464
5
849
19
--6,516
6,085
1,510
4,420
4,209
輸出 (倍)
1.7
1.9
4.7
1.0
1.4
1.5
12.1
2.3
--1.8
7.9
2.3
2.1
0.9
輸入 (倍)
2.8
2.4
3.2
2.4
3.7
-3.0
6.3
--1.0
6.2
1.1
2.1
2.1
フィリピンへは、ASEAN 諸国内で 4 番目に多くの日系企業が進出しており、2011 年
10 月時点での進出企業数は 1,171 社である(図表 3-18)。JETRO が 2012 年に行った「在
アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」によると、フィリピンの日系企業は他の
ASEAN 諸国と比較して現地市場開拓志向よりもフィリピンから他国への輸出志向企業が
多い(図表 3-19)。
図表 3-18 ASEAN 各国への日系企業進出状況
国名
備考
日系企業数(社)
マレーシア
タイ
インドネシア
フィリピン
ベトナム
シンガポール
カンボジア
ミャンマー
ラオス
ブルネイ
1,409
1,327
1,255
1,171
940
734
96
68
68
-
2008年7月
2007年3月
2008年8月
2007年9月
2006年11月
2007年9月
2008年8月
2008年11月
2007年9月
-
ジェトロ マレーシア概況
バンコク日本人商工会議所会員数
ジェトロ・ジャカルタ調べ
在フィリピン日本国大使館「進出日系企業実態調査」
ジェトロ ベトナム概況
在シンガポール日本商工会議所加盟企業数
カンボジア日本人商工会加盟企業数
ヤンゴンン日本人商工会議所メンバー数
ジェトロ ラオス概況 (2013年2月22日付)
(出所)JETRO の各国情報より作成
図表 3-19 ASEAN 各国に進出する日系企業の現地市場開拓へ向けた今後の取組み方針
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
57.2
インドネシア(n=173)
カンボジア (n-24)
45.8
タイ(n=706)
45.5
80%
28.3
12.5
8.3
4.04.6 5.8
25.0
35.3
40.2
24.9
15.8
ミャンマー (n=20)
40.0
25.0
15.0
33.5
25.4
フィリピン (n=114)
29.8
24.6
ベトナム (n=244)
27.9
30.3
ラオス (n=17) 5.9
23.5
17.6
8.3
9.6 2.3 7.4
マレーシア (n=241)
シンガポール (n=209)
90% 100%
19.6
21.9
13.7
10.0 10.0
10.0
20.2
18.4
52.9
5.4
17.2
11.5
3.5
6.1
0.0
現地市場開拓を(輸出よりも)優先する
現地市場開拓と輸出に同じ優先度で取組む
現地市場開拓よりも輸出を優先する
輸出志向型のため現地市場には関心無し
わからない
(出所)JETRO 在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査 (2012 年度調査)より作成。国名
の右側( )内の数値は回答企業数。
37
ひとくちメモ (4):フィリピンにおける社会階層
フィリピンは人口に占める貧困層の割合が 26.5%(2009 年)であり、社会格差が大きい国の一つである
と言われている。フィリピン国内消費者市場を視野に入れて投資する場合、社会階層がどのようになってい
るかを知ることは投資決定及び事業戦略上必須であろう。
フィリピンの社会階層は世帯収入を基に A~E の 5 段階に分けられる。一般的に「中間層」と言われるの
は、世帯月収が 1 万 5,000 ペソ以上~10 万ペソ未満のクラス B・C であり、全世帯数に占める割合は約 1
割である(2010 年)。又、世帯月収が 10 万ペソ以上のクラス A になると全世帯の 0.3%と少数になる。更に
世帯月収 30 万ペソ以上をクラス AA とする場合もある。日本ブランドの商品を購入したり日本食レストラ
ンに行ったり出来る層は、クラス C の上位(世帯月収 3 万ペソ)以上である場合が多い。
社会階層区分と世帯数割合
Class A
10万ペソ以上
世帯数割合(%)
(2010年)
0.3%
Class B
5万ペソ以上10万ペソ未満
1%
Class C
1万5,000ペソ以上5万ペソ未満
8.6%
Class D
8,000ペソ以上15,000ペソ未満
62%
世帯収入(ペソ/月)
Class E
8,000ペソ未満
(出所)各種資料より作成
中間層
29%
(出所)NSO データ及び各種資料より作成
フィリピン政府が 3 年に 1 回実施している家計収入・支出調査の直近 2 回分の結果を見ると、2006 年に
約 11 万ペソだった世帯年間所得全国平均が 2009 年には約 21 万ペソまで増加した。特に上位 20%における
階層での伸び率が高い。2009 年における上位 10%の世帯年間所得は約 73 万ペソと全国平均の 3 倍を上回る。
マニラ首都圏に限ってみると世帯年間所得の平均が約 36 万ペソ(全国平均の 1.7 倍)、上位 10%の平均が約
115 万ペソ(月に約 10 万ペソ)とその格差が見てとれる。なお、参考までに 2011 年における大統領の月給
は 12 万ペソである。
現在、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界の成長に伴い、BPO で働く所謂中間層をタ
ーゲットにした小売や飲食店の進出がマニラ首都圏に留まらず地方都市にまで及んでいる。フィリピンは近
隣諸国に比べ中間層が育っていないと言われるが、製造業を始めとした海外からの直接投資が安定雇用を生
み、ひいては購買力をつけた中間層が増えることを期待したい。
世帯収入階層別年間世帯収入の推移
(万ペソ/年)
世帯所得階層別所得推移
80
70
2006
60
2009
50
40
30
21
20
11
10
0
均
平
国
%
全
10
0~
位
%
上
20
~
10
位
%
上
30
~
20
位
%
上
40
~
30
位
%
上
50
~
40
位
%
上
60
~
50
位
%
上
70
~
60
位
%
上
80
~
70
位
%
上
90
~
80
位
0%
上
10
~
90
位
上
(注)海外からの送金を含む
(出所)NSO データより作成
38
ひとくちメモ (5):カジノ大国となるか ~観光業
アジアでカジノといえばマカオ、そして最近はシンガポールも大型の複合カジノ施設を開業し、海外から
の観光客獲得に成果を挙げている。実はフィリピンでも、観光産業振興による国内雇用創出と海外からの観
光客誘致を経済政策の柱の一つとして掲げるアキノ政権下で、マカオやシンガポールに続き、カジノを主要
なアトラクションとする観光開発が進められている。
フィリピンの複合型カジノリゾート第 1 号は、2010 年 11 月に開業したマレーシアのゲンティングループ
によるリゾーツ・ワールド・マニラ (RWM)である。マニラ国際空港第 3 ターミナルの正面という立地に、
カジノ、ホテル、大型劇場、ショッピング街、レストラン街などが集積する複合観光施設である。
今後のフィリピンにおけるカジノ観光の目玉ともいえる最大規模の開発は、マニラ湾沿いの埋立地にある
約 100 ヘクタールの敷地に建設が進む Entertainment City Manila である(地図参照)。ここでは、2013
年から 2016 年にかけて 4 件の大型カジノリゾートの開業が予定されており、全て完成するとホテル客室総
数 5,000 室の大規模観光地となる。PAGCOR (フィリピン娯楽ゲーム公社)からカジノ建設と運営の認可を受
けた 4 事業者は、いずれも最低 10 億ドルの投資が
条件となっており、総工費は 50 億ドルにのぼる。
マカティ市
PAGCOR の認可を受けた 4 件のカジノのうち、
ソレア・リゾート・アンド・カジノは先陣を
マニラ湾
切って 2013 年 3 月に開業、記念式典にはアキノ
大統領も出席した。
金融大手のクレディ・スイスは、2013 年
モール・オブ・アジア
2 月 27 日付けで発表した報告書で、フィリピン
(MOA)
のカジノ産業は 2012 年から 2018 年まで
ソレア・リゾーツ・
年率 28%で成長し、2018 年の市場規模は同年
ベルグランデ
アンド・カジノ・マニラ
リゾーツ・ワールド
のシンガポールの市場規模予測 56 億ドルを
ターミナル3 ・マニラ
リゾーツ・ワー
上回る 61 億ドルに達するという見通しを示し
ルド
タギッグ市
ベイショア
ている。
マニラ国際空港
マニラ・ベイ・
ターミナル2
同じアジアで先行するマカオやシンガポール
リゾーツ
との競合や、カジノ建設予定の日系企業と
ターミナル1
PAGCOR 関係者との間での贈収賄疑惑など、
課題や問題を抱えながらも前進しつつある
フィリピンのカジノ観光開発。
Entertainment City Manila を含む
フィリピンはアジアのカジノ大国となれるのか、 カジノを中心とした観光開発や
富裕層向けコンドミニアム開発が進む パラニャケ市
関心が集まっている。
マニラ湾岸の埋立地。
1 Km
フィリピンの主要な大型複合カジノ施設
カジノ名
場所
事業主
リゾーツ・ワールド・マニラ
(2010年11月開業)
マニラ首都圏パサイ市
マニラ国際空港第3ターミ
ナルの正面
マレーシアのゲンティン・グループと、フィリピン
のアライアンス・グループ(AGI)傘下のトラベラー
ズ・インターナショナル・ホテルグループ
ソレア・リゾーツ・アンド
・カジノ・マニラ
(2013年3月開業)
ベル・グランデ
(2014年開業予定)
マニラ・ベイ・リゾーツ
(2016年完成予定)
リゾーツ・ワールド・ベイショア
(2016年開業予定)
ブルームベリー・リゾーツ
(フィリピン最大の港湾企業インターナショナル・
コンテナ・ターミナル・サービシズ
(ICTSI)の総帥で、フィリピン第3位
の富豪エンリケ・ラソン氏の企業)
規模
カジノテーブル 400
スロットマシーン 1,700台
ホテル 1,225室
飲食店 44店舗
ショプ 54店舗
カジノ面積 27,700平米
ホテル500室
カジノテーブル 300
スロットマシーン 1,200台
レストラン10店舗
駐車場 2,000台
ホテル800室
カジノテーブル 350
スロットマシーン 1,900台
3,000席の劇場
ホテル1,000 室
カジノテーブル 500
スロットマシーン 3,000台
ベルコープ・グループ
マニラ湾岸埋立地の
(フィリピンの富豪痔1位、ヘンリー・シー氏傘下
Entertainment City Manila
の企業)とオーストラリアのメルコ・クラウン・エン
(パサイ市とパラニャケ市に
ターテインメント社(MCE)との合弁
またがる地区)
ユニバーサル・エンターテイメント (日本)子会
社のタイガーリゾート・レジャー・アンド・エンター
テイメント
マレーシアのゲンティン・グループ傘下の香港
ホテル 2,800室
スター・クルーズと、フィリピンのアライアンス・グ
カジノテーブル 800
ループ(AGI)傘下のトラベラーズ・インターナショ
スロットマシーン 5,400台
ナル・ホテルグループ
(出所)地図は Google Map をベースに作成、表は各カジノのホームページ及び各種報道等より作成
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