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Environmental Policy Research 2010 – Australia

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Environmental Policy Research 2010 – Australia
オーストラリアの環境に対する市民意識と環境関連政策
日本貿易振興機構
海外調査部
地球温暖化問題への関心を受け、各国では環境関連政策の整備が進み、政府の啓発活動
に伴い市民の環境に対する意識が高まりつつある。
環境意識の高まりは地球温暖化問題だけに向けられているものではなく、健康、安心・
安全、居心地の快適さ、バリアフリーなどへの関心と相まっており、意識の高まりに伴い、
市場が大きく変化する兆しを見せている。こうした動きは先進国だけでなく新興国でも見
られ、特に台湾や ASEAN ではビジネス環境の急転が見込まれている。サッカー・ワール
ド・カップとオリンピックを控えているブラジルでも、政府や自治体は市民に対する環境
教育にいっそう力を入れるようになった。
こうした世界的なトレンドを受け、ジェトロでは、主要 30 カ国・地域を選び、市民の
環境への意識および環境関連政策について、概要を取りまとめることとした。
環境関連政策としては、(1)電力・エネルギー、(2)廃棄物処理、(3)交通、(4)住宅・建築を
とりあげた。また、ビジネスの参考として、環境関連の経済指標および当該国・地域の気
候関連情報についても盛り込むこととした。
本レポートは、この一連の調査のオーストラリア版である。
なお本レポートは、 環境政策関連のデータベースを運用する民間のシンクタンク、
Enhesa, Inc.1に委託した調査の報告書「Environmental Policy Research 2010 」を基に、ジ
ェトロが編集・改訂を行ったものである。
2011 年 3 月
海外調査部
「環境に対する市民意識と環境関連政策」レポート掲載国・地域一覧
EU、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、ハンガリー、ポー
ランド、デンマーク、チェコ、サウジアラビア、UAE、インド、シンガポール、マレーシ
ア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、カンボジア、台湾、中国、韓国、オー
ストラリア、カナダ、米国、メキシコ、ブラジル、チリ。
1
www.enhesa.com
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1
1. 位置・気候
オーストラリアは南半球に位置し、国土の面積は約 770 万平方キロメートルで、オース
トラリア大陸の全土、タスマニア島、および周辺の 1 万 2,000 の島々で構成される2。オー
ストラリア本土は、南緯 10 度 41 分から 43 度 38 分に位置する。
オーストラリア大陸は、他の大陸に比べると平坦で低地が多く、内陸部の土壌は乾燥し
ている。高地は、南東部に位置するグレート・ディバイディング山脈のスノーウィー・マ
ウンテンズ(ニュー・サウス・ウェールズ州)とビクトリアン・アルプス(ビクトリア
州)に広がり、これらの山脈によって、沿岸部の大都市圏が内陸の他の地域から分けられ
ている。
オーストラリア大陸の気候は極めて多彩である。サバンナ気候に属する北部では、年間
を通じて毎日の最高気温が 30C を超え、降水量も比較的多い。中央部は降水量が著しく尐
なく乾燥し、夏は気温が非常に高く 45C を超えることもある。東部および南部の沿岸には
主要都市が集中しており、夏は暑いが穏やかな気候である。主要都市部の平均最高気温は、
7 月が 15C、1 月が 25~30C である。ただし、夏には熱波が続いて気温が 35~45C に達
する場合がある。
なお、英国による領有は、1770 年にボタニー湾周辺に対して宣言したのが始めで、
1788 年にオーストラリア大陸の東半分にニュー・サウス・ウェールズ州を設け、1825 年
にはヴァン・ディメンズ・ランド(タスマニア島)を、1829 年には大陸西半分にスワン・リ
バー・コロニーを設けて、分割統治していた。1901 年に英国から独立したが、英連邦を構
成している。現在の州とほぼ同じフレームは 1911 年に成立した。
現在、州、州に準じた行政府として、ニュー・サウス・ウェールズ州、ビクトリア州、
クイーンズランド州、西オーストラリア州、南オーストラリア州、タスマニア州、オース
トラリア首都特別地域、ノーザンテリトリーがある。各州はそれぞれ英連邦として総督が
任命されている。
こ の 他 に 、 特 別 地 域 と し て 、 連 邦 政 府 直 轄 の ジ ャ ー ビ ス 湾 特 別 地 域 (Jervis Bay
Territory。オーストラリア大陸南東部)、クリスマス島、ココス諸島、ハード島、マクドナ
ルド諸島(以上インド洋)、珊瑚海諸島、ノーフォーク島(以上南太平洋)、ノーザンテリトリ
ーの首都ダーウィン市が管理するアシュモア・カルティエ諸島(インド洋)がある。ジャー
ビス湾特別地域は、ニュー・サウス・ウェールズ州南東部の沿岸部で、1915 年に首都キャ
ンベラの外港として連邦政府直轄に移行した。1989 年にキャンベラがオーストラリア首都
特別地域として自治権を持ったことにより、連邦直轄地として残された。また、オースト
ラリアは、南極の 9 つの地域に対する領土権を主張している(ただし南極条約批准により領
土権は棚上げしている)。
2. 環境に対する市民意識
諸外国と同様に、オーストラリアでもこの数十年間に、環境に対する意識が高まりつつ
ある。07~08 年に政府が実施した調査3によると、成人の 82%は環境問題を危惧している
と答え、回答者の 53%が、自然環境が悪化している傾向にあると指摘した。
市民にとって最大の環境問題は水不足である。89%がこの問題に対する懸念を示し、気
候変動問題(73%)、家庭ゴミの処理(69%)と続く。オーストラリアでは、降水量の変
2
Australian Bureau of Statistics Year Book 2009-10,
www.abs.gov.au,
3
www.abs.gov.au p.87.
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2
動が著しく、近年は頻繁に干ばつに見舞われている。また 11 年は北東部で記録的な洪水に
見舞われた。
旱魃と他の OECD 諸国に比した高い人口増加率が相まり、市民の多くが水不足に対する
懸念を抱くようになっている。
大量の水を必要とする農業部門が国内総生産に占める割合はわずか 2.5%程に過ぎないが、
農業部門の水の使用量は 75%を占める。オーストラリアは小麦輸出においては米国に次ぐ
世界 2 位と、食糧供給において重要な役割を担っている。
多くの家庭が節水対策をしており、節水機器(雨水タンク、節水型シャワーヘッド、デ
ュアル水洗トイレなど)を設置したり、家庭からの排水を庭の水撒きに再利用している。
干ばつが生じると、都市部では給水制限が行われることが多く、この間、各家庭では屋
外での水利用(庭の水撒き、洗車、プールなど)が制約される。市民の多くがこうした給
水制限を支持し、従っている。
今世紀に入ってからの南西部と南東部で続いている干ばつ、熱波、さらに森林火災が、
国民の間に気候変動問題に対する懸念を増大させている。気候変動問題が重要な争点とな
った 07 年の連邦総選挙では、取り組みを重視するオーストラリア労働党が勝利を収めた。
新政府が最初に取り組んだのは 1998 年に署名していた京都議定書の批准であった。
しかし、気候変動問題に対する政府の取り組みは、09 年と 10 年の 2 度にわたって、議
会が排出量取引制度の法制化を否定したことから進展していない。気候関連の法案の議会
通過を実現できなかったことが、10 年の下院の選挙において労働党が 11 議席を減らした
主な要因と考えられる。労働党は単独過半数を得られず、緑の党と連立することで政権を
維持することになった。
なお、1970 年代以降、オーストラリアでは根強い原発反対運動が展開されている。国内
のウラン鉱業部門は大規模であるが、原子力発電所は皆無で、歴代政権は、原子力エネル
ギーの開発を見合わせている。
3. 環境関連政策
オーストラリアは連邦制をとっており、環境に関する政策決定システムは複雑である。
行政機構は、連邦政府、6 つの州政府と州に準じる 2 つの地域政府、数百の地方自治体の、
3 段階となっている。
オーストラリア憲法は、連邦政府に対して、環境保護の法制化に関する権限を明示的に
付与していない。しかし、この分野では、連邦政府が定める法令の比重が増加している。
一般に、連邦政府は、次の環境問題に関する規制の責任を有している。
1)国際的な環境条約の履行
2)絶滅危惧種への取り組み
3)温室効果ガスに関する報告(今後の排出量取引制度や炭素税など)
4)オゾン層保護
5)連邦的に重要な環境問題(世界遺産、原子力開発など)
州政府が規制に関する責任を有しているのは、次の事項である。
1)環境汚染
2)森林
3)廃棄物
4)電力政策
5)水資源
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3
(1) 電力・エネルギー政策
オーストラリアの一人当たりの温室効果ガス排出量は、CO2 換算 28.3 トンと、世界平
均の 6.5 トン、先進国平均の 15.6 トンと比べて多い4。CO2 だけの排出量をみても、18.5
トンと、世界平均の 4.4 トン、OECD 平均の 10.6 トンと比べて多い。
主な原因は、発電を石炭火力に依存していることにある。石炭はエネルギー部門の 44%
を占め、再生可能エネルギーのシェアは、エネルギー部門の約 5%にすぎない。豊富な石
炭と天然ガス資源を有し、エネルギーが比較的安価なため、エネルギー消費効率の改善や
新たな CO2 排出が尐ないエネルギー源に対する市民の関心は比較的低い5。
エネルギー部門は主に州政府レベルで規制されており、関係当局の間で高度な調整が図
られている。エネルギーの全国市場が整備され、その下で州ベースの市場が送電網で相互
に接続されており、州間での電力取引が可能となっている。
04 年版のエネルギー白書では、燃料税導入などによる交通エネルギー部門の改革、連邦
レベルのエネルギー市場の創設、太陽光エネルギーや低排出技術に対する新たな投資など
の政策課題について記述されていた。これに続くエネルギー白書の作成は 08 年に着手さ
れたが、現在なお、作業が進められている。
07 年、連邦政府は CO2 排出量取引制度の導入を表明した。政府は、この炭素汚染削減
制度6 に関する具体的な法的枠組みを整備したものの、10 年の選挙までに、法制化に必要
な議会の支持を得ることができなかった。連邦政府は、この制度の実施が、京都議定書の
第一約束期間が終了する 12 年以降にずれ込むとの見通しを明らかにしている。しかも、
政治状況から、この計画が現行の形のままで採用される可能性は低いと考えられている。
10 年の選挙以降、政権内部では、排出量取引制度の導入に向けた暫定的な政策として炭
素税を導入することを議論している。
炭素汚染削減制度の法制化過程では、20 年末までに、00 年比 5%ないし 25%削減すると
いう中期排出量削減目標が設定された。5%は、最低限のコミットメントである。25%は、
気候変動問題に関する有効な世界規模の合意が成立し、すべての先進国が参加するコミッ
トメントが含まれる場合の削減目標としている。この目標は、09 年の COP15 のコペンハ
ーゲン合意における、オーストラリアのコミットメントに盛り込まれている。
再生可能エネルギー開発の目標
オーストラリアでは、01 年以降、再生可能エネルギーに関する義務的目標が、連邦と州
の レ ベ ル で 導 入 さ れ て い る 。 09 年 に は 、 The Renewable Energy (Electricity)
Amendment Act が連邦議会を通過し、連邦レベルの再生可能エネルギー目標(RET)が
引き上げられるとともに、州ごとの制度が全国共通の単一の制度に統合された。
この制度では、電力卸売・購買事業者(「責任主体」と称される電力小売業者と電力の
大口ユーザー)に対して、再生可能なエネルギー源からの電力を購入し、再生可能エネル
ギーの年間目標の達成に寄与するよう、法的責任を課している。
4
Ecofys, Factors Underpinning Future Action Country Factsheets,
http://ecofys.com/com/publications/brochures_newsletters/documents/report_factors_underpinning_future_actionsimple_country_factsheets_2009_update.pdf , p.13.
5
Australian Government Energy White Paper 2004,
http://www.efa.com.au/Library/CthEnergyWhitePaper.pdf, p.10
6
Department of Climate Change and Energy Efficiency, ‘Carbon Pollution Reduction Scheme’,
http://www.climatechange.gov.au/government/initiatives/cprs.aspx
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4
目標値を年々引き上げ、制度全体としては、20 年に、再生可能なエネルギー源による比
率を 20%とする目標を掲げている。20 年における年間目標は 4 万 5,850 GWh で、制度が
終了する 30 年までは、この目標値を維持する。
RET の制度の下では、再生可能エネルギーの生産者には再生可能エネルギー証書
(REC)の作成が認められる。各証書は、生産された再生可能エネルギー1 MWh を単位
とし、電力小売業者や電力の大口ユーザーへの販売が可能である。
この手法は、再生可能エネルギーによる電力を証券化することによって流動化させ、直
接接続していない発電事業体間や電力の大口ユーザーとの取引を可能としたものである。
小売業者や大口ユーザーは、法律に従って、購入した REC を再生可能エネルギー担当
官事務所に提出しなければならない。これらの義務を果たすことができない事業主体は、
課徴金を支払うことになる。他の電力源との比率を示す再生可能電力比率(RPP)は、毎
年、関連の規則で決定される。
11 年 1 月 1 日に、RET は、小規模再生可能エネルギー・スキーム(SRES)と大規模再
生可能エネルギー目標(LRET)に分けられた7。制度変更の目的は、09 年のソーラー・ク
レジットの導入後に生じた、REC 価格の急騰への対応である。
ソーラー・クレジットは、小規模な太陽光、風力、水力発電システムを導入する家庭、
小規模事業者、組合などに対し、追加的な REC を提供する制度である。一般家庭と、大
規模な再生エネルギー開発の目標を区別することで、連邦政府は、REC の市場価格に影響
を与えることなく、一般家庭向けの新たなインセンティブを提供することを可能とした。
SRES は、家庭、小規模事業者、住民組織などが設置する小規模な再生可能エネルギ
ー・システムに適用される。LRET では、産業界による大規模な再生可能エネルギーの開
発に重点が置かれている。
各制度の下で、責任主体には異なる義務が適用される。この制度変更により、連邦政府
は、20 年までに目標とする再生可能エネルギー比率 20%を達成できると期待している。
固定価格買取制度(Feed in Tariff)
オーストラリアには、全国一律の固定価格買い取り制度はないが、全ての州政府と首都
特別地域政府が、独自の固定価格買い取り制度を実施している。またノーザンテリトリー
政府は、一つの市で試験的にこの制度を実施している。このため、各州で異なる買い取り
価格や算定方法が用いられている。
ニュー・サウス・ウェールズ州では 1 kWh あたり 0.20 豪ドル(1 豪ドル=83.5 円)である
が8、ビクトリア州では 5 kW 規模までの太陽電池システムに対し 1 kWh あたり 0.60 豪ド
ルと条件次第で 3 倍の開きがある9。
各州で、再生可能エネルギー・システムの規模に対して、独自の上限が設けられている。
ビクトリア、タスマニア、クイーンズランド、西オーストラリア、南オーストラリアの各
州では、価格を発電量の正味ベースで計算し、一方、ニュー・サウス・ウェールズと首都
特別地域では、総量ベースで計算している。
7
http://www.orer.gov.au/publications/pubs/LRET-SRES-the%20basics%200111.pdf
New South Wales Department of Industry and Investment,
http://www.industry.nsw.gov.au/energy/sustainable/renewable/solar/solar-scheme
9
Victorian Department of Primary Industries,
http://new.dpi.vic.gov.au/energy/policy/greenhouse-challenge/feed-in-tariffs
8
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5
エネルギー消費効率向上製品普及への取り組み
エネルギー消費効率基準とラベリング制度の法制化は、従来から州と特別地域政府の責
任で進められており、ビクトリア州とニュー・サウス・ウェールズ州では、1980 年代に電
気製品に対する初のエネルギー消費効率義務基準が策定された。その後、連邦レベルの統
一基準を設け、それらを州の法律に盛り込むこととなった。
連邦政府気候変動・エネルギー効率省は、最小エネルギー性能基準(MEPS)とエネル
ギー・レーティング・ラベリング要件の整備を所管している10。連邦政府は 03 年に新たな
連邦基準を策定し、現在では、テレビ、照明機器、業務用冷蔵庫、家庭用冷蔵庫、エアコ
ンなど様々な家電製品に対して、承認を受けたエネルギー・レーティング・ラベルの表示
が義務付けられている。
空調機のエネルギー・レーティング・ラベルの例
冷房機能のみ
暖房機能のみ
冷暖房機能
出所: 連邦政府気候変動・エネルギー効率省
MEPS およびラベリング制度の対象製品のサプライヤーは、州ベースの 4 つの規制当局
のいずれか 1 つにおいて、製品を登録しなければならない11。
なお、連邦政府は、州政府と共同でオフィスのエコ化に向けた「グリーン・オフィス・
ガイド」というガイダンスをウェッブに掲載している12。
温暖化ガス低排出技術の開発
現在、連邦政府は、低排出エネルギー技術の可能性を示すためのプロジェクトを多数実
行している。オーストラリアは石炭資源が豊富であるため、炭素回収・貯留プロジェクト
に関する関心が高い。例えば、ビクトリア州で行われているオトウェイ二酸化炭素貯留試
験13は、二酸化炭素の地中隔離の可能性を探る試みである。シェブロンが西オーストラリア
州で進めているゴルゴンガス田プロジェクト14では、天然ガスの採掘に伴って排出される二
10
Energy Rating,
http://www.energyrating.gov.au/index.html
11
Energy Rating, ‘Regulatory Contacts’,
http://www.energyrating.gov.au/reg.html#contacts
12
http://www.energyrating.gov.au/library/pubs/greenofficeguide.pdf
13
Victorian Department of Primary Industries, ‘Otways Carbon Dioxide Storage Trials (Geosequestration)’
http://new.dpi.vic.gov.au/energy/projects-research-development/etis/otways.
14
Chevron, Gorgon Gas Project,
http://www.chevronaustralia.com/ourbusinesses/gorgon.aspx.
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6
酸化炭素の貯留を目指している。同州では、波力の商業利用の可能性を探るプロジェクト
も進行中である15。
風力発電業界はまだ小規模であるが、関心が強く、計画段階のものを含め、多くのプロ
ジェクトが推進されている16。その他にも、石炭乾燥技術をはじめとする石炭業界で利用可
能な排出量削減技術について、検討が進められている。
ソーラー・シティ・プロジェクト
ソーラー・シティは、太陽光発電、スマート電力メーター、エネルギー消費効率、およ
び固定買い取り価格制度の利用促進を目的とした実証プロジェクトである。このプロジェ
クトは、7 都市で実施されているパイロットプログラムの一つである。各家庭や事業者に
対して、スマートメーターの無償供与や太陽光パネルの設置に対する補助金などの支援を
行い、太陽光発電の利用を奨励している。このプロジェクトには、連邦政府とともに、州
政府と地方自治体も参加している。連邦政府は、グリーン・スタート・プログラムの下で
各家庭や住民組織がエネルギー評価を行う際の費用を助成している。州政府は、各家庭と
小規模事業者による再生可能エネルギー活用策(特に、太陽熱温水器)に対し、費用の払
い戻し制度を設けている。
(2)廃棄物処理政策
廃棄物のリサイクルは一般家庭には義務付けられていないが、連邦統計局の調査では、
ほぼすべての家庭(99%)が、廃棄物のリサイクルや再利用を行っている17。都市部の家庭
の多くは、週に 1 回のリサイクル品回収サービスを利用することができる。
近年、廃棄物の発生量は増加しているが、埋め立て処理の比率は低下している。02~03
年には、廃棄物全体(家庭ゴミ、事業ゴミ、建築廃材)の約 46%がリサイクルされた18 。
しかし、埋め立て処理される廃棄物の量は依然として増えている19。さらに、一人当たりの
廃棄物の量も増加している20。
連邦政府、州・特別領域政府の環境担当相で構成する環境保護・文化遺産審議会21が、廃
棄物やリサイクル政策を含めた環境政策を策定し、これが連邦レベルで実施される。連邦
政府はまた、有害廃棄物の輸出入や廃棄物の海洋投棄などに関する法整備に対して、責任
を有している。
廃棄物は主として、州・特別領域の政府当局が所管し、各自治体と共同で取り組んでい
る。しかしながら、廃棄物管理に関しては複数の統治系統があり、連邦と州、自治体間で
15
See, for example, Carnegie Wave Energy,
http://www.carnegiecorp.com.au/.
16
Australian Bureau of Agriculture and Resource Economics, ‘Australian Energy Resource Assessment’,
http://www.abare.gov.au/publications_html/energy/energy_10/ch_9.pdf, p.256.
17
Australian Bureau of Statistics Year Book 2009-10,
www.abs.gov.au, p.96.
18
Productivity Commission, ‘Waste Management’,
http://www.pc.gov.au/__data/assets/pdf_file/0014/21614/waste.pdf, p.22.
19
Australian Bureau of Statistics Year Book 2009-10,
www.abs.gov.au, p.96.
20
Productivity Commission, ‘Waste Management’,
http://www.pc.gov.au/__data/assets/pdf_file/0014/21614/waste.pdf, p.17.
21
Environment Protection and Heritage Council,
http://www.ephc.gov.au/
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7
廃棄物関連の法令に不一致が生じ、企業が負担する法令遵守のコストが増大しているケー
スがある。また各政府機関の担う役割にも不透明さが残っている。
すべての州・特別地域において、州・特別領域の政府は、廃棄物の分類や有害廃棄物の
管理などに関する法を整備し、廃棄物処理計画(埋立地整備計画など)を作成し、主に自
治体が廃棄物の回収と処理を行う。
埋め立て処理は、オーストラリアで最も利用されている廃棄物処理方法である。この数
年、州と特別地域政府は、ビクトリア州の「廃棄物ゼロ戦略22」やニュー・サウス・ウェー
ルズ州の「廃棄物回避・資源回収戦略23」のような廃棄物削減戦略を採用している。州政府
の廃棄物政策においても、資源回収に対する関心が高まっている。
09 年 11 月に開かれた環境保護・文化遺産審議会の会合で、関係機関は廃棄物政策「廃
棄物削減・資源回収強化(Less Waste, More Resources)」24 に合意した。この政策には、
連邦政府、州・特別地域政府が運用すべき、廃棄物管理政策における次の 16 の戦略が示
されている。
1) 連邦政府は、州と特別領域政府との提携のもと、既存の任意の規定の製品管理と製品生産
者の拡大責任スキームに支えられた連邦レベルの枠組みを確立する。
2) 全ての政府は商品調達者として、持続可能な購買原則と習慣を確立する。
3) 連邦政府は、州と特別領域政府、産業界などとともに、環境負荷低減に向けた家庭での
リサイクルやゴミ減尐を図る包装管理に取り組む。
4) 連邦政府は、州と特別領域政府の協力のもと、国際協定の定義に沿った廃棄物に関する
連邦の定義と分類システムを策定する。
5) 連邦政府は州・特別領域政府との提携のもと、潜在廃棄物による効率的な市場の発展と
運営の妨げを排除するため、The Environment Protection and Heritage Council を通じ
て連邦として統一した原則、仕様、指針、規格の策定を促す。
6) 連邦政府は州・特別領域政府、自治体、産業界やコミュニティとの提携のもと、持続可
能な調達、商習慣の知識へのアクセスおよび専門的技術を提供する。
7) 州・特別領域政府は、微生物処理する埋め立てゴミの減量を図る。
8)州・特別領域政府は、埋め立て地から発生するガスの安全とリスク管理を、規則。免許
要件などにより万全を期す。
9) 連邦政府は州・特別領域政府との提携のもと、廃棄物処理からの排出物を測定する手法
の戦略を発展させる。
10)州・地区別領域政府と自治体は、連邦、産業界とともに、商業レベル、産業レベルでの
浪費の回避と再利用の促進に向けた改善を図る。
11)すべての政府は廃棄物管理と工事・自然破壊からの資源回復の最もよい慣行を奨励する。
12) 連邦政府州・特別領域政府の協力のもと、次のことを確実に行う。
・国際的な責務に合致させる。
・廃棄物に混入する危険物を減らす。
・有害廃棄物の国境を越えた移動は効果的、効率的かつ、オーストラリアと国際的
な要求に従う。
・潜在的に危険な素材が含まれる製品は無害化されるまでの製品管理を行う。
・有害廃棄物処分の施設の機能は、環境面で無害な方法に適応させる。
22
Sustainability Victoria, ‘Towards Zero Waste’,
http://www.sustainability.vic.gov.au/www/html/1344-towards-zero-waste.asp
23
New South Wales Department of Environment, Climate Change and Water, ‘Waste Avoidance and Resource
Recovery Strategy’,
http://www.environment.nsw.gov.au/warr/WARRStrategy2007.htm
24
National Waste Policy: Less Waste, More Resources,
http://www.environment.gov.au/wastepolicy/publications/national-waste-policy.html
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8
13) 連邦政府は州・特別領域政府の提携のもと、有害物質の製品寿命の間に人の健康、
安全、環境について潜在的にリスクがある製品・部品の国内販売を減らすため、
国際的なアプローチと歩調を合わせる。
14) 州・特別領域政府は、地域、僻地における廃棄処理を明確化し、コミュニティへの
適切なサービスを提供するための自然回復活動の能力を高める。
15)連邦政府は、オーストラリア審議会の遠隔地の先住民の住宅パートナーシップ協定
に則り、既存の廃棄物処理のインフラと地域の処理能力を再編する25
16) 連邦政府は州・特別領域政府の協力を得て 3 年ごとに廃棄物と資源の再利用の報告書
を作成する。
これらの戦略を基に、次の活動が実施される。
a)連邦政府は、州・特別地域政府の協力の下に法律に基づく連邦レベルの枠組みを策定
し、共同規制や規制当局による自主的な製品管理、および製品寿命に伴う影響を管理
するための拡大生産者責任制度を支援する。
b)関係政府は、新たな全国包装協定などを通じて、廃棄物削減とリサイクルの拡大に向
けて、製品の包装に関する改善を推進する。
c)関係政府は、国際条約に準じる内容で、製品や原料が役割を終え廃棄物となるタイミ
ングに関する定義を盛り込んでいる、国レベルの新たな廃棄物分類システム(有害廃
棄物および医療廃棄物を含む)を導入する。この作業には 4 年以上要するとみられる。
d)州・特別地域政府が産業界と協力し、商業・工業廃棄物が排出される主要な分野にお
ける廃棄物回避および原料の再利用を推進する。
e)連邦政府は、以下の事項が確実に実施されるよう努める。
・廃棄物に関する国際的な義務が履行されること。
・廃棄物の流れに加わる有害物質が削減されること。
・有害廃棄物の越境移動が国際的要件を遵守していること。
・有害性が疑われる物質を含む製品の寿命に伴う影響を管理するために、製品管理制
度を導入すること。
・有害物質を安全に取扱い、処理するための施設が利用可能であること。
f)連邦政府は、国際的なアプローチに準じた対策を取り入れ、オーストラリアで販売さ
れる製品に含まれる有害物質に制限を設ける。さらに、今後 3 年以内に、国内で採用
されている政策について評価を実施する。
g)州・特別地域政府は、地方自治体と協力し、管轄域内および辺境のコミュニティにお
いて適切な廃棄物・資源回収プログラムが実施されるよう努める。
h)連邦政府は、廃棄物・資源回収の現状および今後の動向に関する全国廃棄物報告書を
3 年ごとに作成する。
すでに、これらの戦略は次の動きにつながっている。
1)廃棄電子・電気機器に関する新たな製品管理条件の制定。
※環境保護・文化遺産審議会は、廃棄テレビとコンピュータに関する規制影響報告
書を発表し、その中で、これらの廃棄物を管理するための様々な政策案について、
その費用・効果、および事業に及ぼす影響について検討している。
2)オーストラリアにおける使用済みタイヤのリサイクル率を高めるための、業界によ
る自主的制度の制定。
25
http://www.coag.gov.au/intergov_agreements/federal_financial_relations/docs/national_partnership/national_partnership_
on_remote_indigenous_housing.pdf#search='COAG National Indigenous Housing Partnership agreement'
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3)オーストラリアで販売される電気機器を対象とする、EU が実施中の有害物質規制
(RoHS)に類する新たな有害物質規制の導入。
製品管理・回収制度
EU 諸国に比べ、オーストラリアには強制的な製品管理制度が尐ない。強制的な製品管
理制度には、消費者向け包装 26と使用済み油27 を対象とするものがある。飲料容器に関する
強制的なデポジット制度28は、1977 年から南オーストラリア州で実施されている。電池や
電子・電気機器の強制的な回収制度は設けられていないが、連邦廃棄物政策の一環として、
こうした制度の整備が提案されている。携帯電話の回収や一部の化学物質の処理について
は、任意制度が設けられている。
(3)交通政策
交通部門は、08 年における温室効果ガス排出量の 14.6%を占めており、その排出量は増
加傾向にある29。主な排出源は道路交通(交通部門の 86.3%)である。
オーストラリアでは、人の移動手段の主流は自動車である。成人の 8 割が自家用車を使
用し、主たる移動手段として公共交通を利用しているのは 14%に過ぎない30。
00 年から 09 年の間に、自家用車の使用はわずかながら減尐し、それに伴って公共交通
の利用が増加した。その要因としては、関係当局の政策による成果よりも、この間の燃料
価格の高騰が挙げられる。
交通政策、特に公共交通政策は、主として州と特別地域政府の管轄である。しかし、連
邦政府は、連邦インフラ・交通省31、交通担当相で構成するオーストラリア交通審議会32 、
および連邦交通委員会33を通じて交通政策の策定に関与している。
連邦レベルの交通政策の策定においては、各州・特別地域の政策の調整・融和に重点が
置かれる傾向にある。連邦レベルの政策は、交通政策の経済性(ロードプライシング、イ
ンフラ計画・投資など)のほか、危険物の輸送のような連邦としてのアプローチが必要な
課題が中心となる。
連邦レベルでは、交通政策における環境に関する側面にあまり重点が置かれておらず、
持続可能な交通政策もまだ策定されていない。ただし、オーストラリア交通審議会による
「National Transport Policy Framework34 」には、環境に関する目標が盛り込まれている。こ
26
Department of Sustainability, Environment, Water, Population and Communities, ‘Australian Packaging Covenant’,
http://www.environment.gov.au/settlements/waste/covenant/index.html
27
Department of Sustainability, Environment, Water, Population and Communities, ‘Product Stewardship for Oil Program’,
http://www.environment.gov.au/settlements/waste/oilrecycling/program/index.html
28
EPA South Australia, ‘Container Deposit Refunds’,
http://www.epa.sa.gov.au/households/waste_and_recycling/10c_refund.
29
Australian National Greenhouse Gas Inventory,
http://www.climatechange.gov.au/climate-change/~/media/533BCD85CCC845B68889B8823151EC1C.ashx
30
Australian Bureau of Statistics Year Book 2009-10,
www.abs.gov.au, p.85.
31
Department of Infrastructure and Transport,
http://www.infrastructure.gov.au/index.aspx.
32
Australian Transport Council,
http://www.atcouncil.gov.au/.
33
National Transport Commission,
http://www.ntc.gov.au/.
34
http://www.ntc.gov.au/viewpage.aspx?documentid=1750.
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の枠組みは、連邦、州・特別地域の各政府が参加しているが、連邦レベルの持続可能な交
通政策に関する具体的な取組みには結びついていない。
英国領当時から、鉄道は主として州政府が敷設したため、英国政府から統一政策を策定
するよう勧告されたにもかかわらず、地域によって異なる軌間が採用された。現在は主と
して、ビクトリア州と南オーストラリア州では広軌、ニュー・サウス・ウェールズ州では
標準軌、クイーンズランド州と一部の南オーストラリア州では狭軌、州間鉄道は標準軌に
統一されている。
連邦ないし州政府が直接経営していた路線が多いが、現在は保有と経営の分離により多
くの路線で民間企業が経営を担っている。
04 年に、オースリンク・プログラム35 が始まり、連邦政府は州都を起点とする鉄道の標
準軌への改軌と、異なった輸送機関による貨物の一環輸送(インターモーダル輸送)に向け
ての社会資本整備に努力している。
大手の旅客鉄道会社としては次の企業がある。
1)グレート・サザン・レール36
a)アデレード~アリス・スプリングス~ダーウィン( ザ・ガン)
b)シドニー~パース(インディアン・パシフィック)
c)メルボルン~アデレード(ザ・オーバーランド)
2)ニュー・サウス・ウェールズ鉄道会社37
カントリー・リンク38と呼ばれる州際鉄道も運営。
a)シドニー~ブリスベーン
b)シドニー~メルボルン
c)ニュー・サウス・ウェールズ州内
4)ビクトリア州運輸公社39
・ビクトリア州内
3)クイーンズランド鉄道40 (クイーンズランド州交通局所管の公社)
・クイーンズランド州内
4)トランス・ダブリュエイ41 (西オーストラリア州交通局所管の公社)
・西オーストラリア州内
都市近郊鉄道は、ブリスベーン、シドニー、ニューキャッスル、メルボルン、アデレー
ド、パースで発達している。主な事業体は次の通り。
1)ブリスベーン
シティネットワーク(クイーンズランド鉄道の一部門)
2)シドニー
a. シティ・レール
ニュー・サウス・ウェールズ鉄道の一部門。
35
オースリンク・プログラムには道路整備も含む。
http://www.infrastructure.gov.au/transport/publications/auslink.aspx
08/09-13/14 の社会資本整備計画は次のサイトに掲載されている。
http://www.nationbuildingprogram.gov.au/index.aspx
36
http://www.gsr.com.au/site/home.jsp
37
http://www.railcorp.info/
38
http://www.countrylink.info/
39
http://www.vline.com.au/
40
http://www.qr.com.au/
41
http://www.transwa.wa.gov.au/
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b. メトロ・トランスポート・シドニー42
トラムとモノレールを運行。経営主体はフランス・エロリア系。
3)ニューキャッスル
カントリー・リンク
ニュー・サウス・ウェールズ鉄道の一部門。
4)メルボルン
a. V ライン
ビクトリア州運輸公社運営の輸送会社で、都市間および都市近郊鉄道、長距離バ
スを運行。
b. Connex43
ビクトリア州が保有するでメルボルン市の 15 路線の都市鉄道メトロを運行。フラ
ンス・エロリア系。
c.ヤラ・トラム44
メルボルン市内 27 路線 250km を運行。487 両を保有。
5)アデレード
トランス・アデレード45 (南オーストラリア州営、トラム46、バス、タクシーも運行)
6)パース
トランス・パース47 (西オーストラリア州営の近郊鉄道)
環境問題に対処するための連邦レベルの政策が個別に実施されている例はある。全国サ
イクリング戦略48は、10 年に連邦政府、州・特別地域政府が採択したものであり、16 年ま
でに、自転車利用者数を倍増することを目標としている。この戦略の効果を判断するのは
時期尚早である。以前の戦略では、自転車通勤者が 00 年の 1.1%から、09 年には 1.5%に
微増したに過ぎなかった。
「炭素排出抑制経済における貨物輸送」49に関する協議資料では、温室効果ガスの排出削
減の必要性を考慮しつつ、貨物業界の将来が検討されている。
燃料基準
燃料の品質基準は、00 年制定の Fuel Quality Standards Act50および 01 年制定の Fuel
Quality Standards Regulations51の下に、連邦レベルで設定されている。これらの法律と
規則を基に、燃料品質基準がガソリン、ディーゼル、バイオディーゼル、オートガス(液
42
http://www.metrotransport.com.au/index.php
http://www.metlinkmelbourne.com.au/
44
http://www.yarratrams.com.au/desktopdefault.aspx
45
http://www.adelaidemetro.com.au/
46
http://en.wikipedia.org/wiki/Glenelg_Tram
47
http://www.transperth.wa.gov.au/
48
Australian Transport Council, ‘National Cycling Strategy’,
http://www.atcouncil.gov.au/documents/files/Australian_National_Cycling_Strategy_2011-2016.pdf.
49
National Transport Commission, ‘Freight Transmission in a Carbon Constrained Economy’,
http://www.ntc.gov.au/viewpage.aspx?AreaId=36&DocumentId=1780.
50
Fuel Quality Standards Act 2000,
http://www.comlaw.gov.au/ComLaw/Legislation/ActCompilation1.nsf/0/3CF3DC118580856DCA2576E20020B765/$file
/FuelQualityStandards2000_WD02.pdf
51
Fuel Quality Standards Regulations 2001,
http://www.comlaw.gov.au/ComLaw/Legislation/LegislativeInstrumentCompilation1.nsf/0/003332F739468629CA2574F
20019A4C1/$file/FuelQualStandReg2001.pdf
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化石油ガス)に適用される。エタノールに関する燃料品質基準も検討されているが、05 年
以降、この問題についてはほとんど進展が見られていない。
情報ラベリングとしては、エタノール混合ガソリンに対するラベル表示義務がある。ガ
ソリンに加えるエタノールの量は、法律により最大 10%と定められている52 。ガソリンに
エタノールを加えることは必須要件ではない。
(4)住宅・建築政策
オーストラリアは人口密度が低く、人口の多くが沿岸部の都市に集中している。オース
トラリアには 700 万戸を超える住宅があり、その大多数(78%)が戸建てである53 。住宅
所有率が比較的高く、居住者の約 7 割は住宅を所有している。シドニーなどの大都市では、
フラットやアパートのような集合住宅のほうが一般的である。
オーストラリアの商業用・工業用建築物の数とタイプについて信頼あるデータを入手す
るのは容易ではないが、この部門は経済に大きく貢献している。08~09 年度には、建築部
門が GDP の 7%を占め、そのほぼ半分が非住居用建物の建築であった。建築基準は州政府
の管轄であるが、オーストラリア建築基準が広く採用されているため、国内の各建築基準
においては高い統一性が見られる。
オーストラリア建築基準(Building Code of Australia; BCA)
オーストラリア建築基準(BCA)54 は、国内の建築環境性能の規制の中心ツールである。
BCA は建築の安全基準に重点を置いているが、エネルギー性能基準も含まれている。エネ
ルギー消費効率に関する要件は、BCA 10 年版の中で、商業建築物のあらゆる分類(オフ
ィス、工場、倉庫、店舗など)について引き上げられた。同基準の 08 年版では、すべて
の新規建築物および既存建築物の大規模工事に対して、便益対費用 比(benefit-to-cost
ratio)5:1 のエネルギー消費効率が義務付けられていたが、10 年版では、この比率が 2:1
に設定されている。
グリーン建築評価制度
オーストラリアには、建築物に対するグリーン評価制度が次の通り、多数設けられてい
る。
1) Green Star55
オーストラリア・グリーン建築審議会が開発したグリーンスター・システムは、
国内で最も良く知られるグリーン建築制度である。これは、商業用建築物の環境へ
の配慮(environmental credentials)を評価・認証する任意制度である。
グリーンスターは新規建築物に適用され、6 段階で評価される。グリーンスター
認証は、4 つ星、5 つ星、6 つ星の建築物に与えられる。評価に際しては、管理状態、
52
Fuel Standard (Petrol) Determination 2001, Section 3A,
http://www.comlaw.gov.au/ComLaw/Legislation/LegislativeInstrumentCompilation1.nsf/0/E9FF36A16798D053CA257
475002563A0/$file/FuelStrdPetrolDet2001.pdf
53
Australian Bureau of Statistics Year Book 2009-10,
www.abs.gov.au, p.318.
54
Australian Building Codes Board, ‘About the Building Code’,
http://www.abcb.gov.au/index.cfm?objectid=959C6DF0-9A12-11DF-A133001143D4D594
55
Green Building Council of Australia, ‘Green Star Overview’,
http://www.gbca.org.au/green-star/green-star-overview/
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室内環境の質、エネルギー、輸送、水、材料、土地利用・エコロジー、排出、革新
性の各項目が考慮される。
2) the National Australian Built Environment Rating System(NABERS) 56
ニュー・サウス・ウェールズ州の環境・気候変動・水資源局が管理する
NABERS は、商業建築の評価に関する任意制度である。このシステムは、既存建
築物に適用される。NABERS は州政府が管理する制度であるが、オーストラリア
内のどこの建物でも利用可能である。
3) the Building Sustainability Index(BASIX)57
建築持続可能性指数 BASIX は、ニュー・サウス・ウェールズ州における自主的
評価ツールであり、住宅の所有者が自宅の環境性能評価を行う際に利用する。
BASIX は新築および改築物件の評価に利用できる。
4) 5 Star Homes58
05 年にビクトリア州で導入された 5 つ星制による住宅基準は、新築住宅に適用さ
れる強制的な建築基準である。他の州でも同様の基準の採用が進んでいる。
エネルギー消費効率の回示義務
10 年制定の The Building Energy Efficiency Disclosure Act は、大規模オフィスの所有
者、土地の所有者/準所有者に対して、物件の販売、賃貸、転貸に先立ち、当該物件のエネ
ルギー消費効率評価を取得・登録することを義務付けている。これらの評価は、オフィス
を販売、賃貸、転貸する際の広告にも掲載する必要がある。開示義務は、10 年 11 月 1 日
から施行されている。施行日から 12 カ月の移行期間が設けられており、この間は、既存
のエネルギー消費効率評価(NABERS 評価など)の使用も認められる。
各オフィスビル(または建物エリア)については、建築物エネルギー消費効率証書
(BEEC)を作成し、気候変動省に登録しなければならない。BEEC は、次の内容を含め
るものとする。
1)オフィスのエネルギー・スター評価
2)販売・賃貸後も当該建物内での使用が想定される照明のエネルギー消費効率評価
3)当該建物のエネルギー消費効率の改善方法に関するガイダンス
56
NABERS,
http://www.nabers.com.au/default.aspx
57
BASIX,
http://www.basix.nsw.gov.au/information/index.jsp
58
Sustainability Victoria, ‘5 Star Homes’,
http://www.sustainability.vic.gov.au/www/html/2035-5-star-homes.asp
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4. 経済指標
①鉄道総延長
39,830 km
(2010年)
②鉄道旅客輸送キロ
14,180 百万人・km (2007-2008年)
③鉄道貨物輸送キロ
198,700 百万トン・km (2006-2007年)
④高速道路・アウトバーン総延長
N/A
⑤国道総延長
815,074 km
(2007年)
⑥水路総延長
2,000 km
(2006年)
⑦住宅戸数
7,144,096 戸
(2010年)
⑧住宅建築着工許可件数
171,089 件
(2010年)
⑨非住宅建築着工許可件数
26,819 件
(2010年)
⑩乗用車登録台数
12,023,098 台
(2009年)
⑪商用車登録台数
2,896,300
(2009年)
⑫乗用車普及率(1,000人あたり)
533 台
(2009年)
⑬商用車普及率(1,000人あたり)
128
(2009年)
⑭廃棄物量
8,903 千トン
(2003年)
⑮廃棄物埋め立て処理率
69.7 %
(2007年)
⑯廃棄物焼却処理率
N/A
⑰水資源使用量(地表水) 24.06 k㎥
(2000年)
⑱一人当たり水使用量
1193 ㎥
(2000年)
⑲CO2排出量
397.5 百万トン
(2008年)
⑳CO2一人当たり排出量
18.48 トン
(2008年)
出所:①オーストラリア統計局、②③⑤社会資本交通省、⑥CIA、⑦~⑬オースト
ラリア統計局、⑭⑮UNSD、⑰⑱WWO、⑲⑳IEA
以上
添付資料:オーストラリアの気象データ
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気象データ
1. 主要都市およびアリス・スプリングスにおける月平均降水量と気温
出所:オーストラリア統計局59
59
Australian Bureau of Statistics Year Book 2009-10, www.abs.gov.au, p.85.
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2. 年平均最高気温
出所:オーストラリア気象局60
3. 年平均最低気温
出所:2.に同じ
60
http://www.bom.gov.au/
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17
4. 1 日平均日照時間(年)
出所:2.に同じ
5.太陽曝露
出所:2.に同じ
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6. Cooling Degree Days
注:sum:{[(最高気温+最低気温/2)-24 度]>24 度} (の年平均)
出所:2.に同じ
7. Heating Degree Days
注:sum:{[(最高気温+最低気温/2)-18 度]<18 度} (の年平均)
出所:2.に同じ
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8. 平均年間降水量
出所:2.に同じ
本レポートの問い合わせ先:グローバルマーケティング課
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