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ISAKプロジェクトネパール - ISAK`S project nepal
ISAKプロジェクトネパール 2016年度 事業・決算報告書 目次: ISAKプロジェクトネパールについて 今年度の活動 今後の活動予定 決算報告 最後に 1 アウトカーストの女性 ネパール、シンドゥーパルチョク郡にて June 2015 ©Phurwa Dhondup ISAKプロジェクトネパールについて ISAKプロジェクトネパールは軽井沢にあるインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井 沢(ISAK)の生徒によってネパール大地震の2日後に発足したネパール復興支援非営利団体 です。 12人の留学生からなる私たちプロジェクトチームは大きなNPOやNPOの支援を受けることが できていない農村・山岳地帯に注目して支援を行うことにしました。プロジェクト開始以来 私たちは教育と医療に焦点を置いて活動し、常に被災地を声を直に聞くことで本当に必要な サポートを必要なだけ提供することに尽力しています。 また、ISAKプロジェクトネパールは学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽 井沢で活動するCAS (創造性・活動・奉仕)グループの一つです。CASは私たちが履行する教 育プログラム「国際バカロレアプログラム」の基本理念の一つであり、勉学だけでなく、ボ ランティア活動を行うことで包括的な人材を育てることを目標としています。 この2016年度事業・決算報告書は2015年度財務報告書以来のISAKプロジェクネパールの活動 と業績をまとめたものです。 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 2 昨年の事業・決算報告書概要(2015年12月報告書) 昨年の事業・決算報告書は2015年12月までの活動の報告です。主な事業は13校の仮説学校の 建設、ツム渓谷とプルピンカティでの医療キャンプへの援助、シンドゥーパルチョク郡ナラ ヤンサン村の診療所の再建設が挙げられます。 常設学校の建設に関しては、シンドゥーパルチョク郡ゴルサリ村に建設する予定でしたが、 後に現地担当が追加調査を行なった結果、村の協力を得られなかったためプロジェクトの遂 行が困難となりました。また、石油の高騰や地滑りなどの障害を払拭するのに時間がかかり 村の学生がすでに近隣の村の学校への入学を決めてしまったことも原因の一つでした。 この2016年度報告書では新常設学校プロジェクトの進捗とその他の新しいプロジェクトにつ いて記載します。 今年度の活動 1月ー3月: 春のプロジェクトウェーク:東京 春のプロジェクトウィークでは、プロジェクトネパールを長期的なプロジェクトにしていく ためのアドバイスを受けるために様々な機関(Hands on Tokyo, Peace Winds Japan, JOICFP, Human Rights Watch Japan そしてAmina Collection)に赴き、各NGOがどのように活動を持 続させているのかを学ばさせていただきました。また、New International School, Tokyoで は私たちのプロジェクトのこととISAKのリーダーシップ理念についてのプレゼンテーション を行いました。 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 3 JOICFPでは各個人に注目し家族計画の支援から長期的に活動を進めていることを学び、 Human Rights Watch, Japanではプロジェクトネパールの活動はネパールを復興だけでなく ネパールの社会規範そして文化にまで影響を与える活動との評価をいただきました。また、 Hands on Tokyoでは資金集めやチャリティーイベントの機会をいかに作るかを学び、今後 のコラボの可能性も話し合いました。 春のプロジェクトウィーク中は各NGOからこのプロジェクトを長期的に成功させるためのノ ウハウを多く学ぶことができました。多くの課題がありますが、次のステップに進むための 有意義なプロセスを踏むことができました。 4月 ー 6月: ネパール大地震から一年 地震発生から1年が経った2016年4月25日にISAKでネパール物販会を開催しました。これは 小さなイベントで地道な活動ですが、ここで得た収入はプロジェクトネパールの大切な資金 源となっています。また、その頃に起きた熊本の地震は私たちに大きな衝撃を与えました。 ネパールの地震が起こった後、日本から多大な支援を受けていたので、小さいながらも恩返 しとして、熊本への支援を考えこのイベントの収益金の一部を熊本地震の被災地に募金しま した。 6月ー8月: 夏のネパール訪問 チームメンバー一同は6月にネパール視察を行いました。首都のカトマンズではLet’s Build Schools Campaignの代表者に話を伺い、地震後の教育環境を見るため Central School for the Deafを訪問しました。また、計画に1年間を費やしたシンドゥーパルチョク郡ナラヤンサ ン村に建設した診療所も訪れました。村の人々にインタビューすることで雨がよく降るこの 地域では排水のシステムが必要だということを知り、次の改良の計画に加わりました。 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 4 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 5 ネパール視察の最後には物販会やイベント、オンラインで販売するためのネパール商品を仕 入れ、帰国しました。 *シンドゥーパルチョク郡ナラヤンサン村に建設を計画していた常設学校は事情により中止 となりました。詳細は昨年の財務報告書をご覧ください。現在はシンドゥーパルチョク郡 デュスクンVDCにLet’s Build Schools Campaignと協力して新たな学校を再建設する計画が 立っています。 8月ー10月 新メンバーの参加 新年度から5名のメンバーが新たに加わりました。 ゾイ・コノリー・バスデオ(ケイマン島出身) カシディット・フィクロヒット(タイ出身) ハンナ・ヒューズ(カナダ/日本出身) グルマック・シング(インド出身) ドルマ・ツェリング・ラマ(ネパール出身) 新たなメンバーが中心となってプロジェクトを12月から引き継ぎ、旧メンバーは国際バカ ロレアのテストに集中することになります。しかし、旧メンバーは卒業後もこのプロジェク トへの貢献は続けていく考えです。発足メンバーはこのプロジェクトが今後もISAKの CAS として永続的に続いてほしいと心から願っており、関わる生徒全てが自分を成長させるとと もに、ポジティブな変革をネパールにもたらして欲しいと思っています。 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 6 Dr. Car Project 2015年9月16日にちより公式にドクターカープロジェクトを開始しました。キャンピング カーを製造しているトイファクトリーインターナショナルと提携して行なっているプロジェ クトです。ドクターカーとは発展途上国で医療設備にアクセスの無い人々が健康に日々を暮 らすことができる環境作りの一環としてトイファクトリーが製造している医療回診車です。 ネパールでは地震の際に多くの診療所が倒壊し、現在も周辺住民は医療を受けることができ ていません。そこで、ネパールでドクターカーをシラハ地方に導入するためにISAKプロジェ クトネパールとトイファクトリーが協力することが決定しました。現在政府の補助金などを 受けるため申請を行っていますが、ドクターカーは高額なため、運用費などの資金調達が今 後の課題です。 ドクターカープロジェクト(医療回診車)費用内訳 科目 費用 (¥) トヨタ ハイエース 10,000,000 医療設備 7,000,000 輸送費 1,000,000 運転手の給与 600,000 運用費(年間) 保険 90,000 (他国での導入例から算出) メンテナンス費 300,000 燃料代 480,000 合計 19,400,000 上記には合計¥19,400,000と算出されていますが、現在¥20,000,000 を目標として資金を集 めています。(今後の運用費の一部として) ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 7 ドクターカーは非常に高額なため、現在草の根・人間の安全保障無償資金協力から補助を受 けるために申請を行なっています。慎重にアセッスメントを進めた結果、車両をプル・クマ リ・マハット・メモリアル病院(PKMMH)に導入することに決定しました。PKMMHは今 年の8月に必要書類を揃えて、ネパールの保健省の推薦とともに在ネパール日本大使館に提 出しました。現在審査中で、12月から1月の間には審査の結果が出ます。審査に合格すれ ば、10,000,000円の補助が見込まれます。 草の根・人間の安全保障無償資金協力について: http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/kaigai/human_ah/ 今後の活動 2016年秋のプロジェクトウィーク 10月24日から一週間は秋のプロジェクトウィークというISAK内のCASグループがプロジェク ト活動強化週間に入ります。 このプロジェクトウィーク期間中はプロジェクト紹介ビデオ を作成するなどの仕事をこなしていくと共に、新メンバーに今までの活動から培ったノウハ ウを伝えていきます。その他にも今週は長野を拠点に活動しているネパール人主体のプロ ジェクトチームや東京のネパール大使館などを訪問しISAKプロジェクトネパールを支えてく ださっているNGOの々方と今後の活動について話し合いを重ねる予定です。 プロジェクト・ゴミ シンドゥーパルチョク郡、ナラヤンサン村の診療所を視察した際、村にはゴミ処理のシステ ムがなくゴミ箱さえもありませんでした。家庭ゴミが村のいたるところに無造作に捨てられ ており、後にこれは国全体どこでもそうであることを現地のパートナーから知りました。そ こで、ISAKプロジェクトネパールがゴミの処理を進めるために、プロジェクト・ゴミを開始 しました。プロジェクト・ゴミでは村にゴミ箱を設置することから始め、ゴミを捨てる習慣 をナラヤサン村の人々に理解してもらうところから始めたいと考えています。これは非常に 小さなプロジェクトですが、最終的に村民の健康を維持するために重要なことであると考え ます。現在このプロジェクトには3万円のみを当てていますが、ゴミ処理場の計画など今後 必要に応じて予算を拡大していく予定です。 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 8 決算報告 科目 必要経費 (¥) 不足経費 (¥) 現地 パートナー 詳細 診療所 800,000 0 Mingmar Sherpa シンドゥーパル チョク郡、ナラヤ ンサン村に診療所 を建設 完了 Koji Furuki, Toy Factory International トイファクトリー インターナショナ ルとシラハ地方に 医療回診車の導入 進行中 Dilli Ram Subedi, LBSC シンドゥーパル チョク郡に学校を 再建設 進行中 N/A ネパール物販 の販売 進行中 ドクターカー (医療回診車) 20,000,000 シュリー・マヘンド ラ・プラタップ 小 中高一貫校 再建設 4,274,101 ネパール物販売上 N/A 資金 合計 (¥) GoFundMe サイト 1,733,634 ISAKファウン ダーの皆さん 1,450,000 現金での 寄付・その他 1,087,301 合計 4,270,935 19,397,220 2,829,817 N/A 進捗状況 注釈: 配分・使用された 金額の合計 (¥) 1,740,457 残高(¥) 2,530,478 資金の寄付は日本円、アメリカドル、カナダドル など様々な国の通貨で行われました。短簡に表す ため、すべて日本円に置き換えて計算しました。 交換レートは2016年10月22日のものになります。 不足経費合計: ¥ 21,743,623 常設学校再建設 ¥ 2,346,403 ドクターカー プロジェクト ¥ 19,397,220 (内 ¥10,000,000 をODAとして申請) ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 9 シュリー・マヘンドラ・プラタップ 小中高一貫校 再建設費用内訳 科目 No. 単位 数量 値段/個 金額 (NRs) 1 Site Clearance sqm 2 Earthworks in excavation in foundation cum 63.81 500 31,905 3 Earthwork in filling cum 31.9 500 15,950 4 Dry stone soling 150 mm thickness in foundation cum 6.25 4000 25,000 5 1:2:4 PCC in foundation 100 mm thickness cum 4.18 15000 62,700 6 1:1.5:3 M20 Concrete for RCC in foundation 400mm thickness for footing cum 16.74 22000 368,368 8 1:1.5:3 PCC in RCC members above plinth tie beam for 2 storey cum 7.57 22000 166,540 9 Formwork for RCC Works sqm 60.65 1000 60,650 kg 1395 140 195,300 cum 30 18000 540,000 10 Rebar works in RCC Members 11 Brick Works 0 Wood works door and window frames of sal wood of 100 mm x 75 mm size Door window frames 0 cum 3.98 210000 Timber windows shutter 836,010 0 panelled door shutters of 38 mm thk sal wood frame and planks with medium quality hardware materials sqm 41.5 10000 414,990 Window shutters of sal wood frames and polycarbonate sheets for glazing sqm 77.85 7000 544,929 Laying 500 gauge plastic sheet in floors sqm 78 4000 312,000 75 mm thick PCC with 1:2:4 and neat cement finish sqm 78 6000 468,000 13 40 mm thick 1:4 Cement screeding and 3 mm neat cement finish sqm 78 1300 101,400 14 Plastering works sqm 67.72 1,200.00 81,264 12 Flooring Painting works 0 Exterior wall painting with one coat of cement plaster and 2 coats of weather coat sqm 67.72 500 33,860 15 Interior wall painting with one coat of cement primer and two coats of washable distemper paintings sqm 64.34 500 32,167.5 16 Stainless steel railing with 60 dia pipe at top and 32 mm dia pipes in 3 layers rm 21.6 5,000.00 108,000 4,399,033.50 合計金額(NRs) 合計金額l (¥) 4,274,101 ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 10 最後に ISAKプロジェクトネパールは過去2年間、農村・山岳地帯の人々をサポートするために多く のプロジェクトを成し遂げてきました。しかし、一つのプロジェクトを終了するたびに次の 課題を発見し、常に「次にしなければならないことはなんだろう?そしてどうやって?」と 自問自答していました。これが、私たちのプロジェクトをさらに前進させました。 9月に始まったドクターカープロジェクトや新常設学校の建設プロジェクトを通して、ネ パールの被災者に教育と医療を届けるため、今まで以上に尽力しています。2015年4月に起 こった地震は大きな被害をもたらし、一年半が経とうとする今も状況は改善されていませ ん。ISAKコミュニティーはもちろん。軽井沢・世界中の皆様のご支援により、私たちのプロ ジェクトを通して少しづつですが、一歩づつ復興支援を行うことができています。 ネパール人の声を代弁する形で、ここにご支援いただいた皆さまへの感謝の意を示したいと 思います。「ダンニャバード。」ネパールにポジティブな変化を起こしましょう。復興だけ ではない、さらにその先への変化を。 復興、そしてその先へ ISAKプロジェクトネパール ISAK プロジェクトネパール | 2016年度 事業・決算報告書| 11