Comments
Description
Transcript
発表資料 - UNISEC 大学宇宙工学コンソーシアム
UNISEC宇宙匠賞 受賞記念講演 10年前を振り返り・・・ 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 東京工業大学CUTE-I開発チーム 東京工業大学 松永研究室OB 此上 一也 2013.2.11 UNISEC10周年記念イベント @東京大学 武田ホール 1 自己紹介 東京工業大学・松永研究室にて 2000CUTE-Iプロジェクト本格始動 プロジェクトマネージャ、通信系 2003.6.30 CUTE-I 打上げ(ROCKOT@plesetsk,ロシア) UNISEC誕生 2004.1- Cute-1.7 プロジェクト開始(松永研2機目) 通信系担当 2006.2.22 Cute-1.7 + APD I 打上げ(M-V@内之浦) 2006- JAXA 研究開発本部 ロボティクスグループ(PD) 宇宙ロボットの研究 JEM曝露部利用ミッションREX-Jプロジェクト立上げ(現在実験中) 2008- JAXA 宇宙利用ミッション本部 利用推進プログラムSE室 利用衛星プロジェクトの概念検討等(アーリースタディ) 現在、超低高度衛星技術試験機(SLATS)プロジェクト推進チームにて、 2 衛星システム(電気系全般)、光学センサを担当 東工大CUTE-I開発&運用チーム 2000年12月撮影(本格始動時) 2003年3月撮影(打上げ直前) 2004年6月撮影(打上げ1周年) 3 CubeSat CUTE-I CUbical Tokyotech Engineering satellite – I (CO-55, CUBESAT-OSCAR-55) ▼構造・形状: 10cm x 10cm x 10cm, 1kg, Al6061/Magnesium alloy Body ▼OBC H8 (Hitachi),4Mbit SRAM ▼通信諸元 (アマチュア無線帯利用) ビーコン:430MHz帯,CW, 100mW FMパケット:430MHz帯,AFSK,1200bps,350mW コマンド:144MHz帯,FM DTMFトーン ▼搭載バッテリ ▼機構 リチウムイオン2次電池 展開型太陽電池パドル ▼センサ CMOSカメラ(太陽センサ),ジャイロ, 加速度センサ,サーミスタ,電圧,電流 世界初のCubeSat 同時打上げの中でもミッションフルサクセスは 東工大・東大のみだった 4 CUTE-I&XI-IVが拓いた世界 世界各国の1kg級CubeSat(2013/2/7現在) L/N Satellite 1 AAU-Cubesat 1 2 AAUSAT 2 Date Launcher Rokot-KM PSLV (3) 30.06.2003 28.04.2008 Weight (kg) 1 1 ・ ・ ・ 32 CUNYSat 1 33 CUTE 1 34 DragonSat 1 30.06.2003 Falcon-9 v1.1 Rokot-KM Minotaur-1 1 1 1 Vega Rokot-KM Kosmos-3M 1 1 1 1 1 1 1 ・ ・ ・ 112 113 114 115 116 117 118 XaTcobeo XI 4 XI 5 YamSat 1A YamSat 1B YamSat 1C ZACube 1 13.02.2012 30.06.2003 27.10.2005 cancelled cancelled cancelled 2013 Gunter’s space page より (http://space.skyrocket.de) 1kg級(1 cube)のCubesatだけでも、世界各国で現在118基! 6kg級(6 cube)まで含めると、241基も存在している模様 取り組んでいるのは大学のみならず、メーカ、研究機関も多数 確かに、「超小型衛星」という新しい世界を切り拓いたようです 5 CUTE-Iの変遷 地味な衛星に見えますが・・・ - 親子衛星 - 子衛星をテザーで放出 - カメラにより,画像取得 - 4枚の太陽電池パドル展開 現実的な思考を持ちつつ、 何らかのこだわりを持ち続けることで モチベーションも維持されます 学生だから失敗してもいい、というのは間違い 将来の衛星開発への礎として、 バス衛星を実現(堅い衛星) せっかく作るのだから失敗したくない (成功第一) できる範囲でのチャレンジをしたい (展開機構(モータ)を搭載) 6 とことんやりぬく 手作りクリーンブース 手作り地上局 可能な限りの試験 有識者との 意見交換 外部対応 何が正しいのかはわかりませんが、すべて自分たちで 手を動かして、まずはやってみるのが結果的に近道 (衛星の作り方のテキストは存在しない) 7 プロジェクト開発のSE的な考え方 要求分析・定義 システム運用 システム 試験計画 システム設計 サブシステム設計 分割 サブシステム 試験計画 システム試験 サブシステム試験 コンポーネント 試験計画 コンポーネント設計 統合 コンポーネント試験 製造 たった1kgの衛星でも結果的に、この一連のサイクルを経験しました 8 東大という存在 東大:統率感のある優等生集団(?) 東工大:こだわり多い大工衆(?) - 定期的な合同会議(対決の場?)を開くことで、互いに意見を ぶつけあい、フィードバックしあう。 - 相手の様子を見て、刺激を受ける(モチベーションアップ) 教えて教えて、ではなく、必要なのはGive and Take 9 10年前の記憶(2003.6.30) いざ、プレセツクへ 2003/6/30 14:15:26(UTC), 23:15:16(JST) LIFT-OFF!!! 10 10年前の記憶(2003.6.30) 東大 東工大 Plesetsk Plesetskと日本はインターネットで結ばれた 11 10年前の記憶(2003.6.30) モールス信号の解析 歓喜に沸く研究室! (東工大無線研究会) 切り離しに成功 7/1 3:00頃 「ロンドン(G6LVB)にてCUTE-IのCWを受信」の報が東大から届く ⇒ その後、XI-IV受信の報せを、東工大が東大に知らせる 12 最後に ■ CUTE-Iプロマネとして(10年前に思ったこと) 良かった点; - 衛星を打ち上げ・運用するところまで持ってこれた.充実感は人一倍? - 外部とのやりとり(書類等)が多く,学生として普通はやらないような部分を経験できた. - いい意味でも悪い意味でも責任が発生する. - 人的ネットワークが大きく広がった. 大変だった点; - 10数人とはいえ,個性的なメンバーをまとめなくてはならないところ. (外部より,内部とのやりとりが一番大変!) - 海外とのやりとり(語学) 学んだ点; - いろいろなメンバーがいるので,各自を理解する必要がある.特に,自分の意見をあま り出さない(出せない)メンバーの意図も随時組み入れる. 悪かった点; - スケジュール管理があまり厳しくなかった(開発工程の遅れ) ...その他多数 + コストの考え方は当時は甘かった(学生だって立派な人工) 10年経って、今振り返ると、実際(JAXA)の 衛星プロジェクトそのもの 13 地球・天体観測技術実証衛星「TSUBAME」 CUTE-I, Cute1.7+APD, Cute1.7+APDIIに続く4機目の衛星。2013年打上予定。 TSUBAME 外観 サイズ 500×500×470 mm(打上げ時) 質量 50 kg 設計寿命 1年 想定軌道 太陽同期軌道 (高度500kmの円軌道) 電源供給 InGaP/InGaAs/Ge系太陽電池セル、 展開式太陽電池パドル 通信 アマチュア低速通信(1200bps) S-Band高速通信(最大100kbps) 超小型コントロールモーメントジャイロ(CMG)による高速姿勢変更技術の実証 超小型光学カメラによる高分解能撮像 硬X線偏光計を用いたガンマ線バースト(GRB)の偏光観測 松永研は、技術実証、科学観測でも攻め続けています! CMG 超小型光学カメラ 理科大・木村研 硬X線偏光計・河合研 どうもありがとうございました UNISECのさらなる発展を期待しています 新たな衛星軌道(超低高度軌道) (km) 高 度 700 陸域観測衛星 「だいち」 600 温室効果ガス 観測衛星「いぶき」 500 400 300 200 ©JAXA/MELCO 超低高度衛星技術試験機(SLATS) 100 0 国際宇宙ステーション (ISS) 重力場観測衛星 「GOCE」 超低高度衛星 超低高度衛星 超低高度軌道 15 他システムとの高度の比較 15