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不動産賃貸借におし~て、解約保証金返還債務を免除した場合に、不動産

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不動産賃貸借におし~て、解約保証金返還債務を免除した場合に、不動産
③賃借人は賃貸人に対して予約証拠金と
7はじめに
して500万円を預託。証拠金は敷金に充
賃貸人が賃借人等から金員の融通を受けて
当する。予約完結と同時に500万円を敷
賃借人の求める仕様の建物を建築し、賃借人
金として差し入れ。
に賃貸するいわゆるオーダーリースによる建
④賃貸借期間15年。
築物の賃貸借は広く行われており、通常この
⑤賃料は240万円(その後改定され210
ような賃貸借契約では、賃借人が解約する場
合には賃貸人に何らかの利益を供与する旨が
定められている場合が多いようです。
万円)。
⑥賃借人が本契約を中途解約する場合
Iま、賃貸人が本件建物等の建築のため金
本件でも、賃借人が解約時に、賃貸人に対
融機関から借り入れた資金の残債務相当
して利益を供与しており、これが不動産所得
額を、貸借人が損害金として支払わなけ
となるのかが争われました。
ればならない(原告は、金融機関から’億
賃借人の賃貸人に対する利益供与が不動産
L000万円を借り入れた。)。また、この場
所得にあたるのかについて争われた初めての
合、賃借人は、保証金の返還請求権も失
事案であり、オーダーリース契約における解
う
。
約時の約定に対して実務的な影響があり得る
(2)平成2年9月22日賃借人が賃貸人に
対して、保証金5,000万円を、契約締結時、
ため取り上げました。
2妻鳶の概要
匡寸
…一
…‐蕊溺
建物棟上時、建物竣工時に3回に分けて預
一一…−−−−.−−…識
託する。保証金は、賃貸借終了時に無利息
…一…
(1)平成2年9月22日賃貸人が、賃借人か
で一括返済する旨を合意。
らの保証金と金融機関からの借入金を原資
(3)平成3年6月28日本件予約契約が完
として建物及び駐車場(以下、「本件建物等」
結され、本件建物等に係る賃貸借契約が開
という。)の建設資金とし、本件建物等を賃
始したことを確認。
借人が借り入れて店舗として営業するとの
(4)平成16年6月27日賃借人は、店舗の
約定で、賃借人に対して賃貸借予約契約を
売上げが低迷しているため、同年7月末で
締結。
賃貸人に対して同店舗を閉店する旨伝え
<賃貸借予約契約概要>
た。
①賃借人が指定する仕様により賃貸人が
建物を建築。
②引渡し時に予約が完結し、賃貸借契約
が開始。
12薙贈鍵参NQ17682a921
(5)平成16年9月1日、賃借人は賃貸人に対
し、本件建物で営業していた店舗は閉店し
たので本件建物を使用することはないもの
の、本件契約を解約せずに期間満了まで賃
〆qF
料を支払うとの内容の提案をしたが、賃貸
いので臨時所得に該当しない、②ただし、
人は、未使用で放置すると本件建物が傷む
情状酌量の余地はあるので嘆願又は更正の
こと及び同契約の期間が満了した場合には
請求の余地はあるのではないかと回答があ
本件保証金を返還しなければならないこと
った。
から、当該提案を拒否した。
(6)平成17年1月残債務は1,077万2,777
年分の所得税について本件利益を不動産所
円(以下、「本件残債務」という。)であっ
得の総収入金額に含めて申告。申告害には、
た。
臨時所得の適用を受けるために必要な法
(7)平成17年2月2日本件建物等を新賃
借人に賃貸することが決まった。
(8)平成17年2月25日、本件建物等に関す
る賃貸借契約(賃料95万円)を締結した。
ー
(9)平成17年3月賃貸人と賃借人が、本件
90条4項所定の事項を記載しなかった。
⑫平成19年2月27日賃貸人は、処分行
政庁に対し、本件利益は臨時所得に該当す
ると主張して、更正の請求。
⑬平成19年6月15日付けで、賃貸人に対
契約を中途解約する旨の合意。
し、本件利益は臨時所得には当たらないと
<解約合意概要>
して、更正をすべき理由がない旨の通知。
①賃借人は平成17年1月まで賃料を支
払う。
②賃借人の申入れにより、平成17年1月
31日をもって本件契約を解約する。
③本件建物内に現存する内装、設備類等
は撤去等する。賃借人は、撤去費用260万
円を全額負担。
④賃貸人が利用継続する場合は営業して
いた店舗の容姿を残存させず、かつ、当
該店舗と類似しない建物にしなければな
らない。
⑤敷金500万円は、賃貸人が新たなテナ
F・可
(11)平成18年3月14日賃貸人が、平成17
(14)平成19年8月6日賃貸人は、国税不服
審判所長に対して審査請求。
⑮平成20年4月15日審査請求を棄却す
る旨の裁決。
⑯平成20年10月9日賃貸人(以下、「原
告」という。)は、本件訴えを提起。
(17)平成22年3月26日一審判決
(18)平成22年9月30日控訴審判決
⑲平成23年8月現在上告中
3轍祥の主葱義点
(1)本件利益の不動産所得該当性
ントと契約を締結した後、直ちに賃借人
(2)本件利益の臨時所得該当性
に返還。
(3)法90条5項所定のやむを得ない事情が
⑥賃借人から預託された本件保証金
5.000万円を返還しない。
⑦賃貸人が本件建物等の建築のために金
あるか
識
4当昌言者の主張
−−〆鱗
融機関から借り入れた資金で、本件契約
(1)本件利益の不動産所得該当性
の終了時点における残債務(本件残債務)
(原告の主張)
相当額は、原告が負担する。
・賃貸借契約においては原告が模様替えを
(10リ平成18年3月8日税務署に対し、賃貸
する義務を負うこととされていたが、解約
人の税理士が電話で照会。これに対し、①
契約においては新賃借人が模様替えをする
保証金返還請求権の免除によって賃貸人が
こととされた。実際に、原告は、新賃借人
受けた利益(以下、「本件利益」という。)
に対し、本件建物等を現状のまま引き渡し
は、月額賃料(210万円)の3年分に満たな
ており、改装費用は負担していない。
N
O
1
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錨
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鍵
参
1
3
,解約契約の交渉の過程において、原告と
賃料を補償している場合に、別途本件残債
賃借人が利益の内訳について明確に話し
務相当額も補償するものとすれば、賃料を
合ったことはなく、本件確認書にも内訳は
二重に補償することとなる。したがって、
記載されなかった。
本件利益には本件残債務相当額の支払義
,所得税法26条1項が、不動産の貸付け
務の補償は含まれない。
「による所得」として、不動産貸付けとの間
(被告の主張)
の因果関係について直接的な強い結びつ
・解約契約は、賃貸借契約の中途解約条項
きを求める文言を用いていること及び不
を前提に交渉が進められ、その枠内で締結
動産貸付けの本質が目的物の使用収益で
されたものである。本件契約の際に付した
あることからすれば、目的物の使用収益と
条件が成就したことによるものであり、本
直接的な強い結びつきを有しない経済的
件利益は同契約と因果関係を有している。
利益は、不動産所得には当たらず、一時所
・原告は、不動産所得を生ずべき業務を営
得又は雑所得と解すべきである。
んでいる者であるところ、本件利益は、中
・通常は解約契約による和解金には賃料
途解約条項を前提とする解約契約により
の補償が含まれる。本件では、解約契約締
返還を要しないこととなった保証金に係
結時の本件建物等の賃料の相場が本件契
る経済的利益として不動産等を貸し付け
約の当時の賃料(月額210万円)よりも低
たことと因果関係のある収入である。
かったため、利益には、当該賃料と相場賃
・不動産所得(所得税法26条1項)とは、
料との差額賃料分の補償が含まれる(差額
他人に不動産等を貸し付けたことと因果
賃料は、210万円-95万円の115万円であ
関係のある所得のうち、事業所得又は譲渡
り、残賃貸借期間が17ヶ月であるから、補
所得に該当するものを除いた一切のもの
償分は115万円×17=1,955万円という計
をいうと解すべきであり、不動産所得を生
算となる。)。
ずべき業務を行う居住者が受けた当該業
.(5,000万円のうち、上記1,955万円を控
務の体廃止その他の事由によりその収益
除した)3,045万円は、対価性のない経済的
の補償として取得する補償金等は、不動産
利益の供与であるから不動産所得には当
所得に係る収入金額に含まれる(所得税法
たらず、営利を目的とする継続的行為から
施行令94条1項本文、2号)。
生じた所得以外の一時の所得であって労
(2)本件利益の臨時所得該当性
務その他の役務又は資産の譲渡の対価で
(原告の主張)
もないので、一時所得に当たる。
.仮に、本件利益の全額が不動産所得に当
・解約契約の交渉の過程において、本件賃
たるとしても、本件利益は本件解約契約に
借人の本件残債務相当額(平成17年1月
基づく和解金であるところ、損害賠償金と
時点の本件残債務の額は1,007万2,777円
和解金が極めて近い関係にあることから
であった。)の支払義務は免除されたので
すれば、本件利益には所得税法基本通達
あって、本件利益がその補償を含むと解す
2−37(3)が準用される。当該通達によれば、
ることは当事者の合理的意思に反する。ま
不動産に係る和解金で、その金額の計算の
た、本件残債務は、本来本件契約の期間満
基礎とされた期間が3年以上の場合には、
了までの賃料収入によって賄われるべき
所得税法施行令8条のいわゆる柱書きの
もので、本件残債務相当額の支払義務は賃
「類する所得」として臨時所得に当たる。本
料補償の一形態であるところ、本件利益が
件利益は専ら差額賃料の補償であり賃料
14撚淡鍵碁NQ17682a921
一、
の補償分である約43か月分(=5,000万÷
書に同項所定の事項を記載することは現実
差額賃料月額115万円)であるから、本件
的には不可能であり、これをしなかったこ
利益は臨時所得に当たる。
とについてやむを得ない事情が認められ
・原告の平成17年分の変動所得及び臨時
所得の合計額(5,000万円)は同年分の総所
(被告の主張の要旨)
得金額の100分の20を超え、所得税法90
.所得税法90条5項のやむを得ない事情
条1項所定の要件を満たすから、平均課税
とは、自然災害等の天災やその他本人の責
が適用されるべきである。
めに帰すことのできない客観的な事情を意
(被告の主張)
r一
味し、個人的な事情は該当しない。
・本件利益は原告の不動産貸付業務に係る
、税務指導は納税者の判断を法的に拘束す
収益の補償であるが、所得税法施行令8条
るものではなく、その責任を免除するもの
3号所定の補償金に係る所得に「類する所
でもない。
得」(同条のいわゆる柱書き)として臨時所
得に当たる可能性がある。
・所得税法施行令8条3号にいう所得の補
5裁判I所の判I鱗日
(1)本件利益の不動産所得該当性
償とは、不動産貸付業務を継続した場合に
・不動産所得とは、不動産、不動産の上に
得られたはずの所得の補償を意味し、その
存する権利等の貸付けによる所得(事業所
所得を得るために継続して生ずる費用も併
得又は譲渡所得に該当するものを除く。)を
せて補償すべきであるから、収入金額(所
いう(所得税法26条1項)。
得額と費用の額の合計額)に相当する金額
、貸付けとは、これによって貸主に一定の
を補償して初めて所得の補償に当たるとい
経済的利益をもたらすものをいい、有償契
うべきである。
約である賃貸借契約がその中心となるもの
・本件利益の額が本件建物等の貸付業務に
と解される。経済的利益とは、賃料がその
係る3年分の収入金額未満である(36ケ
典型であるが、これに限らず、賃借人から
月×210万円=7,560万円>5,000万円)か
賃貸人に移転される経済的利益のうち、目
ら臨時所得に該当しない。
的物を使用収益する対価としての性質を有
(3)所得税法90条5項所定のやむを得ない
F一勺
る。
事‘情があるか
(原告の主張の要旨)
するもの又はこれに代わる性質を有するも
のをいう。
、所得税法施行令94条1項2号は、上記の
・原告補佐人税理士が賃貸借契約害及び中
考え方を受けて、不動産所得を生ずべき業
途解約契約書を税務署に提出し、本件利益
務に関し、当該業務の全部又は一部の休止、
が臨時所得に当たるか否かについて照会し
転換又は廃止その他の事由により当該業務
た。税務署職員が更正請求をするように指
の収益の補償として取得する補償金その他
導したこと及び同職員が臨時所得に該当し
これに類するもので、その業務の遂行によ
ないと回答したため平均課税を適用して確
り生ずべき所得に係る収入金額に代わる性
定申告をした場合に過少申告加算税を課さ
質を有するものも不動産所得に係る収入金
れることが予想されたことから、所得税法
90条4項所定の事項を記載せずに本件申
告書を提出した。
.以上の経緯からすれば、原告が本件申告
額に当たるものとする旨規定している。
、不動産所得に当たるというためには、賃
借人から賃貸人に移転される経済的利益
で、目的物を使用収益する対価としての性
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塁
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1
5
質又はこれに代わる性質を有するものであ
れぱ足り、必ずしも目的物の使用収益と直
接的かつ強度の結びつきを有するものに限
定されるものではない。
概ね当該代替案に沿う形で本件解約契約
が締結されたこと。
⑤賃借人の申入れにより本件契約を中途
解約する旨、原告は本件保証金を本件賃
賃貸人は’億1,000万円を借り入れ、保
借人に返還しない旨及び本件残債務相当
証金5,000万円を預かっており、あわせて
額は原告が負担する旨が1通の本件確認
建築費用に充てているのだから、保証金合
書に記載されて合意されていること。
意は本件賃貸借契約に不可欠で一体のもの
解約契約によって原告が得た本件利益
である。
は、その全額が、同契約によって原告に生
いわゆるオーダーリースにおいては、賃
じる一切の経済的損失を、原告に実際に生
貸される建物は賃借人が指定した仕様によ
じる損失の多寡にかかわらず補償するとい
り建築されたもので一般的に汎用性が乏し
う性質を有するものというべきである(こ
く、賃貸借契約の中途解約がされた場合、
こで補償される原告の経済的損失には、将
賃貸人については、賃料収入を失う上、再
来の賃料収入を得られないこと及び中途解
賃貸後の賃料の減収等の損失が生ずること
約条項によれば負担を免れるはずであった
が予想される。本件保証金と同様の性格の
本件残債務を負担することになったことが
保証金は、建物等の建築費用に充てられる
含まれる。)。
ため賃貸人の手元には残っておらず、その
(原告の主張について)
返還義務を負うとすると、賃貸人は、その
・原告と新賃借人との間の賃貸借契約の具
ための資金の調達の負担を負うこととな
体的な内容(賃料が月額95万円であること
るo
等)までを認識していたことをうかがわせ
金融機関からの借入金の返済や本件保証
る事情は認められないから、本件賃借人が
金の返還に充てるべき収入を特段有してい
原告の主張するところの差額賃料を基に本
なかったことがうかがわれることからすれ
件利益の額を決定したものとは考え難い。
ば、同契約の期間満了までに得られる賃料
そのほか、原告と本件賃借人が、本件利益
収入の一部をもって本件残債務の返済及び
の具体的な内訳について合意した事実も認
本件保証金の返還に充てることが想定され
めることができない。
ていた。
この前提に立ち、以下の事情がある
・3,045万円は対価性がないとの主張も、そ
れだけの多額の利益供与をする理由を見い
①15年と長期の賃貸借に設定し、賃貸人
だすことはできず、その全額が本件解約契
が建築費用を回収することが出来るよう
約によって原告に生じる一切の経済的損失
な契約であったこと。
を補償したものと解するのが当事者の合理
②中途解約の場合には、残債務を損害金
として支払い、保証金返還請求も出来な
くなるという契約であること。
的意思に沿うものというべきである。
・解約契約は賃貸借契約の条項を前提とし
た交渉の結果締結されたものであり、原告
③賃借人が残期間の賃料支払いを提案し
Iま、同契約の結果、本件残債務を負担する
たのに対して、保証金返還請求権が発生
こととなる一方で本件保証金の返還義務を
することを嫌ってそれを拒んだこと。
免れたものであるから、本件利益には原告
④保証金の返還義務は負わないという条
が本件残債務を負担することとなったこと
件で中途解約する旨の代替案を提案し、
に対する補償が含まれるものと解したとし
16タ鈎霞催碁NQ17682a927
句
〆守
ても、同契約を締結した当事者の合理的意
本件課税処分が取り消されるべきもので
思に反するものとはいえないというべきで
はない以上本件義務付けの訴えは、行政事
ある。
件訴訟法37条の3第1項2号の要件を欠
・本件利益には原告が本件残債務を負担す
ることとなったことに対する補償が含まれ
るものと解したとしても、同契約を締結し
た当事者の合理的意思に反するものとはい
えないというべきである。
(3)所得税法90条5項所定のやむを得ない
(1)不動産所得にあたるかどうかについて
本件の賃貸借のようないわゆるオーダー
リースの契約において、途中解約の際に賃
借人から賃貸人に支払われる金員は、賃料
ア所得税法90条1項の適用
の補償としての性格を有するという点は違
納税者が確定申告害に同条1項の規定
和感なく受け容れられるものであるように
思います。
の適用を受ける旨及び同項各号に掲げ
そして、不動産の貸付けによる経済的利
る金額の合計額の計算に関する明細を
益であれば、目的物を使用収益する対価と
記載する必要があるところ(同条4
しての性質を有するもの又はこれに代わる
項)、本件申告書にはこれらの事項は記
性質を有するものが不動産所得となるとの
載されていなかった。したがって、本
判示も理解できます。
件利益は、平均課税の適用を受けるた
めの要件を欠く。
イ所得税法90条5項の適用
戸 司
騒鍵
6検討卜
事‘情があるか
・平均課税の適用を受けるためには、
一 今
き、不適法として却下を免れない。
原告は、この点について、所得税法26条
1項が「による所得」と規定していることか
ら直接の利得のみが不動産所得に含まれる
・平均課税に係る宥恕規定である法
と主張しています。不動産所得、山林所得
90条5項は、例外的に平均課税の適用
及び譲渡所得においては「による所得」と
を認める趣旨であるものと解される。
の語が用いられ、その他の所得では「に係
このような趣旨からすれば、同項のや
る所得」との語が用いられていることから、
むを得ない事情とは、自然災害等の天
不動産所得等の所得をその他の所得より狭
災その他本人の責めに帰すことのでき
く解すべきではないかとの見解に立つもの
ない客観的な事情をいうものと解すべ
ですが、そう解すべき必然性は無いように
きであって、申告者の法の不知や事実
思われます。
誤認等の主観的事情はこれに当たらな
い。
・税務署職員は、口頭で嘆願又は更正
また、本件では、解約後の賃貸借契約の
残期間において新賃借人からの賃料の支払
が受けられることをどの程度考慮すべきか
の請求の余地はあるのではないかと回
が問題となっています。確かに、実際に新
答しただけであって、更正の請求をす
賃借人からの賃料収入があるのであれば、
るように指導したものではなく、また、
その分については賃料の補償は不必要であ
更正の請求どおりに更正がされるとも
ると考える余地があります。この点につい
述べてはいない。
て、原告は二重利得法に類似する考え方を
・本件更正請求に理由がないとした本
件処分は適法というべきである。
(4)本件義務付けの訴えの適法'性について
採り、本件利益のうち、新賃料と旧賃料の
差額である1,945万円が不動産所得であ
り、残部の3,045万円が一時所得又は雑所
N
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…
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鎧
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墨
嬢
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得であると主張しています。
用料参の年額の二倍に相当する金額以上であ
しかし、裁判所は、保証金は、賃貸借契
るものに係る所得」を臨時所得であるとし
約の原告の損失(残債務や賃料)一切を填
ています。本件賃貸借契約は、15年間の賃
補する趣旨のものであるとして、この考え
貸借契約ですから、同号の適用を検討すべ
方を否定しています。実質的に見ても、原
きではないかと考えられます。仮に同号の
告が受けられるはずであった賃料3,570万
適用があっても、本件利益は二年分の賃料
円に、原告が負担した本件残債務約1,077
を下回りますが、事例によっては臨時所得
万円を足すと約4,650万円となり、本件利
と認められる場合も出てくるでしょう。
益とほぼ同等の金額となることからする
なお、平成23年度税制改正大綱では、当
と、本件利益は、実質的には原告が受けら
初申告要件の廃止を提言しています。それ
れるはずであった賃料の補償となっている
に基づき、平成23年の所得税法の改正で、
ということができ、結論として妥当である
所得税法90条4項は事後的な修正申告又
といえます。
は更正請求書に記載することで足りると改
(2)臨時所得該当性について
正され、5項は廃止される予定でした(現段
本件では、裁判所は第一審、控訴審とも、
階では改正法は成立していない(平成23年
臨時所得として平均課税の適用を受ける要
8月31日)。)。この改正により、裁判所が実
件として所得税法90条4項の所定の手続
質的な判断をする例が今後増加するものと
を満たしていないから、適用はないと判示
考えられます。
句
し、手続的要件の欠鉄のみで判断を打ち切
り、実質的な臨時所得該当性の判断をして
【参考文献】
いません。
・金子宏「租税法第13版」
では、仮に手続が履践されていたとして、
・DHCコンメンタール所得税法
臨時所得に該当する余地はあるのでしょう
か。
原告は、賃料の補償金相当額の計算の基
礎は、新賃料と旧賃料の差額分と見るべき
であるとし、所得税法施行令8条柱害を根
拠にしています。これに対し、被告は、補
償金相当額の計算の基礎は、旧賃料全額と
見るべきであるとし、同施行令8条3号を
根拠にしているという違いがあります。し
かし、両者ともほぼ同様に、補償金額が3年
分の賃料の合計額以上であるか否かを判断
基準としています。
この点について、所得税法施行令8条2
号は、「不動産(中略)を有する者が、三年
以上の期間、他人にこれらの資産を使用さ
せること(中略)を約することにより一時
に受ける権利金、頭金その他の対価で、そ
の金額が当該契約によるこれらの資産の使
18鎧地嬢と婆NQ17682a921
白雨9
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