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パワフル保健室138 (思春期 輝くときNo94)

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パワフル保健室138 (思春期 輝くときNo94)
やすこママのパワフル保健室138
思春期・・・輝くとき№94
・・・・・福井県敦賀市立粟野中学校
「それぞれの文化」
養護教諭
奥田
康子
う、あそびとなるゆれ幅を見守りながら与
えてやることです。
物の見方や考え方が違うのは、人それ
「違いを知ること」
ぞれに文化があるからです。文化と言うと
あまりにも大げさで、堅いイメージを持つ
「他」を知ることで人は、自分の文化に
のですが、ここで言う文化とは、行動や生
疑問を抱いたり、考えを新たにしたり、ま
活の様式を含めたその人の生き方や生き様
た意志を固めたりと、何らかの影響を受け
のようなもののことです。
ます。他と我を張り合って揉めたり、自分
人は皆違った文化を生きています。その
の考えと全く違う流れに巻き込まれたり、
文 化 の 創 造 に は 、「 こ う す れ ば こ う な る 」
闘わなければならないこともあれば、集団
といったマニュアル的な言葉や文字面から
から離れて自分を守ることが必要な時もあ
の学びよりも、自身の経験の積み重ねによ
るでしょう。いずれにしても、自分が生き
って実際に体感したことのほうが遙かに大
てきたテリトリーを飛び出し、今まで見た
きく作用するものです。手がかかり、やん
こともない場所で数々の「びっくり」に触
ちゃをしては叱られたり、言って聞かされ
れながら、文化はとどまるところなく上書
たりと、お互い心を揺らすことが多かった
きされていくのでしょう。
先日、今年成人した100人を越える教
子どもほど、生きる甲斐性を身につけてい
え子たちが同窓会に招待してくれました。
くことを、私たち教師は知っています。
誰とも違う自分だけの文化は、親や、その
音頭をとったのはやはり「ちょいやんち
命に向きあう多くの人との関わりや、褒め
ゃ」だった面々。懐かしい顔にに久しぶり
られたり叱られたり、たくさんの失敗や苦
に会えて感慨もひとしお。幼さは見事に消
労や悲しみ、それを越える楽しみや充実感
え、皆素敵に立派になっていました。
など、まだまだ他にも人間だから経験でき
思い出話に花を咲かせ、次々に近況や卒
る数々の思いにさらされることで創り上げ
業後の苦労話をしてくれて、その大人びた
られていくものなのでしょう。
顔が、たかが5年、されど5年だったこと
子どもの文化形成にかかわる私たちにで
を物語っていました。それぞれにまた、新
きることは、何の経験もしないうちに、さ
たな文化を積んだのだろうことを感じ、人
も分かったような小さく狭い文化の定義に
としての成長を心から嬉しく思いました。
小さな枠で自分を縛らず、様々な経験に
苦しむ「大人子ども」を作らないこと。
柔らかに心を揺らし、果敢に生きて、自分
また、子どもが集団の中で、その時点ま
らしく文化を広げていきたいものです。
でに育てた文化を柔軟に調整していけるよ
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