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10月号 - 北関東循環器病院
夏 秋 号 シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 『銀河鉄道』 −異次元空間の旅− 内科部長 熊倉 久夫 『銀河鉄道の夜』は、主人公のジョバンニが銀河を走る不思議な鉄道に乗って旅 する、宮沢賢治の幻想的な物語です。ケンタウルス祭の夜、ジョバンニは同級生た ちの仲間に入れず、ひとり牧場の丘に登り寝そべっているうちに銀河鉄道の軽便列 車に乗ってしまいます。向かいの席にいたのは同じクラスのカンパネルラ。そこで ジョバンニは彼といっしょに銀河鉄道の旅に出かけます。この不思議な異次元空間 の中で、ジョバンニと同じ列車に乗り合わせた多数の人々や、車窓から見える幻想 的な風景を通して物語は進んでいきます。 この物語のテーマは、“本当の幸いとは何か”との自分に対する問いと、さらに “自己犠牲”と“死”という難問です。ジョバンニは“本当の幸せとは何か“に対す る答えを探して銀河鉄道に乗ったと思われますが、この物語は過去に亡くなった人 達への挽歌としての性格もあります。 銀河鉄道に乗り込んできたのは、黒い外套を着た家庭教師に連れられた男の子と 女の子でした。そこで青年は氷山に衝突して沈んだ船の話をするのですが、二人は どうやら沈んだ船の乗客だったようです。さらにこの物語は、妹トシを追い求めた 追憶の旅でもあります。賢治の詩「永訣の朝」では、結核で亡くなった妹トシへの 心情が切々と歌われています。懸命の看病の甲斐なく亡くなった妹の死は、賢治に 大きな影響を与えました。生き方の問題で父親と対立していた彼を、家族の中で最 も理解してくれる存在だった妹は、肉親を越えて心の通い合う賢治の支えでもあり ました。 この旅の最後で、ジョバンニは人々の幸福のために生きることを決心します。銀 河鉄道の旅をしたのは賢治そのものであり、賢治の気持ちは妹トシの追憶から離れ 「すべてのいきもののほんとうの幸福をさがさなければいけない」という考えに至り ます。カムパネルラは天上で下車することなく現実へともどり、病気の母のために 牛乳を買いに走り出します。 東北の貧しい人々のために命をかけて働いた賢治の詩の特徴は、自然の風景や心 −1− シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 の中の揺らぎを、ありのままに連続的に描き続 けていくことです。彼はそれを心象スケッチと いっていました。 「銀河鉄道の夜」を初めとした 数々の物語も、 何度となく書き換えられました。 刻々と変化する人間の心の変容を描き続け、賢 治は自分の命をかけて人々の役に立とうと奔走 しました。その中で、この『銀河鉄道の夜』は 最も雄大で幻想的な読者の心を引きつける作品 です。銀河鉄道に乗ってみたい。この物語の読 者の多くはそう思うでしょう。 銀河鉄道ではありませんが、2027年に東 京・名古屋間を40分で結ぶリニア鉄道が開通 するとの報道がありました。リニア新幹線の路線はそのほとんどが大深度地下トン ネルで、14%しかない地上区間もコンクリート製のフードの中を走るようです。こ の列車に我々が乗れるかどうかはわかりませんが、真っ暗闇のトンネル中を時速 500kmで走る列車の中で、未来の乗客は何を考えどんな夢を見るのでしょうか。東 北を初めとした日本の社会はどう変容し、人々の気持ちはどのように変わっている でしょうか。「すべてのいきもののほんとうの幸福」を願った賢治の意志を未来に向 かって生かしていきたいものです。 北関東循環器病院理念・基本方針 ・患者中心の医療 ・循環器疾患を中心とした全人的医療、医学 基本方針 ∼基本方針のキーワード∼ 1.人権、倫理、安全 2.医療の質 3.医療連携 4.人材育成 5.改革 ・私たちは、患者の人権の尊重と医療倫理の遵守により、公平かつ安心な医療の提供に努めます。 ・私たちは、患者の立場に立ち、ひとり一人の患者の思いを受け止め、理解と納得に基づいた医療に努めます。 ・私たちは、全人的医療を行うため、全職員の専門性を結集したチーム医療に努めます。 ・私たちは、地域の医療機関との密接な連携を図り、地域に開かれた医療に努めます。 ・私たちは、地域に健康情報を発信し、適切な医療の啓蒙に努めます。 ・私たちは、日々進歩する医療・医学の自己研鑽に努めるとともに、優れた医療人の人材育成・人材教育に努めます。 ・私たちは、より良い医療サービス提供のため、改革の精神をもって活力かつ誇りある職場づくりに努めます。 −2− シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 以下に内容を紹介いたします (テレビ東京、主治医が見つかる診療所のホームページで見られます) http://www.tv-tokyo.co.jp/shijii/ パワーウォーキング 一定の脈拍をキープしながら歩くという、ちょっと変わった歩行法。 やり方は簡単、疲れたらペースダウン、更に毎日する必要無し! 特徴は ・心臓に負担をかけないので、高齢の方でもできる運動。 ・心拍数を上げすぎないので安全、しかも有酸素運動を持続するので、体脂肪 が燃焼しやすい。 ・エネルギーの使われ方が良くなるため、基礎代謝も上がる。 この歩行法を推奨するのは心臓外科の世界的名医 南 和友 医師 世界最大級の心臓病センター(ドイツ;バード・ユーンハウゼン心臓病センター) 設立に参加。 心臓手術2万例以上、心臓移植は500例以上を手掛けてきたスーパードクター。 そんな南医師が、この歩行法を自ら行う様になったきっかけは、モスクワ五輪 50km競歩金メダリスト、ハートヴィッヒ・ガウダー氏との出会い。心臓病 を患ったガウダー氏が、闘病とリハビリの経験を基に完成させたのが「パワー ウォーキング」。 ◆ポイント① 目標心拍数の範囲内でウォーキングする。 ∼目標心拍数∼ 上限:220-年齢×0.75 下限:220-年齢×0.6 (例)30歳…114∼143、40歳…108∼135、50歳…102∼128、60歳… 96∼120 目標心拍数の範囲内⇒適度な有酸素運動が維持でき、脂肪を燃やすのに最適。 目標心拍数以上⇒心臓の動きが小さくなり、体に取り込む酸素の量が減る。 目標心拍数を大きく超えた場合⇒いわゆる無酸素運動になる。(長く続けば、 心臓病を引き起こす可能性が高くなる。) ◆ポイント② カカト着地…ふくらはぎの筋肉が、血液を押し上げる。→心臓の負担が軽くなる 足裏全体で着地するより、カカト着地の方が、35%以上もふくらはぎの筋肉の 運動量がアップする。 パワーウォーキングの方法 (1)腕をしっかり振って、カカトから着地。 (2)普段の1.5倍ほどの早歩き。 (3)目標心拍数を覚えておき、上限でペースダウン&下限でペースアップ。 (10秒間の脈を数えて6倍すれば、1分間の心拍数がわかる) (4)週に2∼3回、1回30分以上行うと良い。 −3− シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 第25回 前橋ウォーキングジャンボリー (パワーウォーキング) 日時 2013年 11月23日(土・祝日) 8:00∼9:00 場所 前橋公園(緑の散歩エリア) 第3回 第4回 パワーウォーキング講習会 in渋川 in n渋川 日時 2013年 11月23日 (土・祝日) 15:00∼16:00 場所 渋川市子持社会体育館 (上履き持参) 講演 ハートヴィッヒ・ガウダー氏 (モスクワ五輪競歩金メダリスト) −4− シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 環境美化委員会紹介 板坂 まち子 環境美化委員会て何?院内の環境を美しくする会? 実際行っている活動は、風除室にある「みんなの花壇」 の管理と、玄関のロータリーに置いてあるプランター の植え替え(年2回)です。 環境美化委員会は平成 17 年から活動が始まりました。 正面玄関に続く風除室があまりにも広々した殺風景な空 間だったため、なにか患者様のために利用できないか案 を募ったところ、お花を置くことに決まりました。「み んなの花壇」の鉢植えは、各部署の委員が1ヶ月毎に当 番になり、当番の好みの花を購入し、お世話をしていま す。それぞれ好みが違うので楽しみです。プランターの 植え替えは春、秋の年2回おこなっています。委員全員 で植え替え作業をおこないますが、土に触れる作業は楽 しく、あっという間に終わってしまいます。 お花のお世話をしていると患者様からよく「きれいで すね。」のお声をかけられます。そんな時、患者様も喜 んでくださっていると、こちらも嬉しくなります。これ からも、患者様の癒しの空間のひとつとして楽しんでい ただけるように、心をこめてお世話をしていきたいと思 います。 演題:医療事故の初期対応 講師:東京海上日動火災保険株式会社 医療賠責室 松浦 俊彦 内容:日本のリスクマネージメント/医療に関する国民意識 紛争化した事例をあげて、どんな初期対応が良いか、当院での取り組みについてなど。 普段お世話になっているご近所 の皆さん、職員及びその家族の皆 さんが親睦を兼ねて楽しいひと時 を過ごしました。 汗を拭き拭きバーベキュー −5− シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 院長の最新刊、 いまこそ求められる医療制度改革 “日本の医療危機の真実” の目次をご紹介します。 南 和友院長と16人の医療スペシャリストが、 日本の医療危機の実態を抉り、 改革の処方箋を用意! 第1章 起い きま て、 日 い本 るの こ医 と療 現 場 で 第2章 医 師 と 患 者 の 間 第3章 医 師 を 育 て る 第4章 仕医 組療 み改 づ革 くを り進 め る 第5章 創日 る本 たの め医 に療 を ①日本の医療がドイツから学ぶべきこと 川渕 孝一 (東京医科歯科大学大学院医療経済学分野教授) ②日本の医療の問題点 村井 隆三 (おなかクリニック院長) ③勤務医の負担は軽減できるか 小柳 俊哉 (社会医療法人杏嶺会一宮西病院副院長 兼 心臓血管外科統括部長) ④中堅心臓外科医の日常勤務の実態 依田 真隆 (医療法人社団誠馨会新東京病院心臓血管外科医) ⑤医師不足解消のために NP、 PAの役割 前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 主任教授、 心臓血管・呼吸器) ①患者に選ばれる病院づくり ジョン・C・ウォーカー (亀田総合病院特命副院長) ②医師に望むこと、 患者に望むこと 百々 秀心 (こどもの木クリニック院長) ③良い医師を見つける患者力 田辺 功 (医療ジャーナリスト) ①医師養成のあるべき姿 福井 次矢 (聖路加国際病院院長) 信友 浩一 (福岡市医師会成人病センター前院長/九州大学名誉教授) 成島 香里 (医療ライター) ②日本で良い外科医を育てるために 藤堂 省 (北海道大学大学院移植外科学特任教授/聖マリア病院研究所長) ③海外で活躍する日本人医師 福島 孝徳 (アメリカ・デューク大学教授) ①医療改革のためのリーダーシップ 田島 知郎 (東海大学医学部名誉教授) ②医療・福祉の向上と経済成長 中川 暢三 (大阪市北区長/前加西市長) ③在宅チーム医療での特定看護師の役割 草間 朋子 (東京医療保健大学副学長) 川渕 孝一、 村井 隆三、 成島 香里 ①日本の医療と海外の医療の違い ②必要な医療の再編 ③高齢社会の介護の実態 ④これからの日本の医療改革 現実的な処方箋 −6− シーシージェイだより Vol.25 No.4 平成25年10月発行 案内図 編 集 後 記 色々な秋がありますが、その内にス ポーツの秋があります。 私は、最近運動不足を感じており、 野山が秋色に染まり始めるこの季節、 そろそろジョギングでも始めようか と、意気込んでいます。 11月には『ぐんま県民マラソン』 や、当院と関係のある『パワーウォー キング講習会in渋川』などが催され、 運動のきっかけ作りにも最適な時期か と思います。 適度な運動は、体力向上だけでなく、 免疫力も高めます。 秋の食欲に身を任せるだけでなく、 ご一緒に運動を始めませんか?体調の 崩しやすい季節の変り目ですが、皆様 の心身のご健康を願っております。 編集委員 今井遼太 至渋川 至新潟 渋川市 北橘支所 渋 川 駅 橘小 渋川・ 伊香保I.C 利 根 川 Aコープ 木曾三社神社 渋 坂東橋 八 木 原 駅 川・ 大 小児医療 センター 胡 線 下箱田 木曾神社 入口バス停 橘山 消防学校 関 越 自 動 車 道 上 越 線 田口 郵便局 渋川バイパス 至東京 −7− 群馬大学 教育学部 北関東 循環器病院 R 17 至前橋市街 至 大 胡