...

女性のワーク・ライフ・バランスと公務員の魅力

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

女性のワーク・ライフ・バランスと公務員の魅力
§語らい②
―女性のワーク・ライフ・バランスと公務員の魅力§
少子高齢化の時代を迎え、また女性の社会進出がめざましいなか、働く女性の「ワーク・ライフ・
バランス」が注目されています。女性の就業には、出産・育児・介護といったさまざまなハードル
が待ち受けています。公務員は、女性のワーク・ライフ・バランスを実現するうえで、もっとも魅
力的なキャリアの1つです。公務員試験の合格者の多くは女子学生が占めています。公共政策の現
場にも、女性職員が多く存在します。自らもワーク・ライフ・バランスを実現し、社会で働く女性
の支援のために政策を担う、それが女子学生にとっての公務員の魅力です。
ここでは、人気の政令指定都市である横浜市
の職員として働く岡室栄子さん(創価大学法学
部18期生)と、公務員に合格した法学部の女
子学生たちの代表が、女性にとっての公務員の
魅力を語ります。岡室さんは、公共政策ワーク
ショップでも講師を務めています。
岡室さんのご自宅に、公共政策プログラムの女子学生(法学部4年生)の代表が、インタビューに行
ってきました。濱田藍さん(東京都庁、福岡市などに最終合格)、伊東沙恵さん(国土交通省、埼玉県
庁などに最終合格)
、杉田信代さん(労働基準監督官に最終合格)のほか、公共政策プログラム1期生
で東京都庁に勤務する小澤伸江さんが、岡室さんを囲んで、女性のワーク・ライフ・バランスと公務員
の魅力について語ります。岡室さんは、横浜市役所の職員として20年近く勤務しながら、3人のお子
さんの母親として家庭でも奮闘されています。
岡室:私は、創価大学法学部の18期生ですが、
私たちの頃は、法学部には女子は、クラス
に5人くらいしかいませんでした。しか
も、地味な(笑)。ですので、いまこのよ
うに優秀で見目麗しい女子学生たちが、法
学部にたくさんいて、活躍していることに
驚きと感動を覚えます。法学部もやはり女
性の時代だな、と。
●仕事と生活の両立は大変
小澤:お久しぶりです。公共政策ワークショップでは、大変にお世話になりました。いまでも、あの時の講
義を良く覚えています。おかげさまで現在は、東京都庁に勤務して2年目になります。今日は、公共政
策プログラムの女子学生の後輩たちと一緒に、女性のワーク・ライフ・バランスと公務員についてお話
しをうかがいたく、お邪魔させて頂きました。私たちプログラムの1期生も、とくに女性が政令指定都
市や中核市でいま頑張っています。ただ、仕事はだんだんとやりがいが出てきたんですが、まだ仕事た
けで精いっぱいで、今後、結婚や出産、育児を考えると、どうやったら時間を作れるんだろうと考えて
しまいます。どのようにして時間のやりくりをしたんでしょうか。
岡室:たしかに仕事も育児も、頭で考えると、とてもできないと思ってしまうので、今日はこれとこれは絶
対やる、と決めて、がむしゃらに自分を乗っけて、回していくしかないですね。できるかどうかなんて、
考えている暇もないような(笑)
。私は、前日の夜に、翌日やるべきことをすべて箇条書きにしておい
て、翌朝、
「よし、やるぞ」と決意して臨んでいました。
伊東:来年から、私も公務員として勤務することになるわけですが、進路を決定する時も人生において大き
な決断でした。これから女性として働いていくうえで、結婚や出産も大きな決断になると思うのですが。
岡室:そうですね、公務員は、男性も女性も職務内容の点で対等ですので、働き出して何年か経つと、よう
やく仕事にやりがいも感じるようになってきます。ですから、仕事も家庭も、というのはたしかに抱え
込む事柄が多くなるので、人生の大きな転機でした。たしかに、役所のなかでも、出産や育児の時期は、
仕事の内容によっては、やりたい仕事であってもできないこともあります。でも、人生にはそれぞれの
人に時というか、めぐりあわせというものがあると思うんです。
伊東:とくに、出産・育児は、女性にとっては大変ですよね。
岡室:はい、嵐のように大変な時期が続きます(笑)。でも、出産して育児休暇に入るときも、職場の上司
も理解があって、
「育児休暇をとっても大丈夫だから、自分の人生を大切にしなさい」と言っていただ
きました。病院の検診に行ったとき、主人が超音波診断で聞こえてくる胎児の心音を聞いて、「この鼓
動はこれから80年間続いていくんだね」と言ってくれ、生命の尊さを感じました。大変でしたけど、
出産と育児を通して、大切なことを子どもたちから教えてもらったと感じています。
●家庭生活への支援体制は?
濱田:育児休暇に入るときに不安はなかったですか。
岡室:横浜市はすでに育休制度が軌道に乗っていた時期ですので、また職場の周りの人も女性が多かったの
ですので、育児休暇に入るとき、本当に理解があって助かりました。一人目と二人目の時は、1年間、
育休を取りました。3人目の時は、制度も充実してきていて、思い切って3年とりました。上司も快く
理解してくれました。公務員はワーク・ライフ・バランスを率先して推進していかなきゃいけませんか
ら(笑)。
濱田:職場復帰する時はどうでしたか。大変でしたか。
岡室:3年取った時は、さすがに職場の同僚もけっこう移動していて、復帰したときは、新人みたいでした。
でも、知っている女性の先輩の方が、
「あらっ、岡室さん、久しぶりじゃない」って感じで、笑って迎
えてくれました。
杉田:子育て期は、保育所のお迎えもあると思うんですが、職場での残業とかどうなるんでしょうか。延長
保育にも時間的に限界があるかと。
岡室:公務員の場合は、いろいろな部署があって、子育て期は、子育てをしながらやっていける部署に配属
してもらうことが可能です。夫の仕事の状況とか、保育所の時間帯とかを考慮してもらえます。
小澤:私の上司でも、子育てをしている方がいますが、仕事をてきぱきやって、時間が来ると、保育所に一
直線という感じで両立している方がいらっしゃいます。すごいなあ、と。でも、民間だと、なかなかこ
うはいかないのではないか、と思います。
岡室:ママ友と話していても、たしかに民間では、子育て期に保育所の時間に融通をつけることは、制度が
充実した大企業でもないと、なかなか大変なようです。公務員の場合は、仕事と出産・育児を両立した
いと考えている女性が多くいますので、そうするとおのずと職務配置のパターンができてきます。です
から、子育て期の人は、こういう部署に、というパターンが出来ていることがありがたいです。
杉田:職場にはどれくらい女性がいるんですか。
岡室:部署にもよりますが、区役所勤務の時だと、
半分くらい女性だったこともあります。女性
は多いですよ。
杉田:ええっ、そんなにいるんですか。やっぱり、
私たち女子学生にとっては、仕事にやりがい
があるという点に加えて、家庭とも両立でき
る職場であるというところに、大きな魅力を
感じますね。
濱田:3人のお子さんを育てながら、働き続けるのは大変だったと思うんですけど、仕事を辞めようと思っ
たことはありませんでしたか。
岡室:仕事と子育てはたしかに嵐のように大変でしたが、仕事を辞めようと思ったことはなかったです。仕
事のやりがいという点でも、横浜市だと本庁勤務としてバリバリ働くこともありえますし、区役所の勤
務で育児との両立を図ることも可能です。多様な働き方が可能だと思います。
濱田:出産や育児の時期を経験すると、それが管理職をめざすうえで壁になってしまうということはないん
でしょうか。
岡室:キャリアの活かし方という点でも、これだけ女性が増えてくると、管理職も当然に女性が多く登用さ
れています。ですから、管理職の方でも、育児休暇をとっている人もいますし、子育て期には時短もと
って、お迎えのために、早く帰ることも可能です。時間については、管理職であっても配慮はしてもら
えます。また、横浜市では、管理職と平職員という区別だけでなく、管理職と並行して、専任職という
のができました。長く働くなかで培ったスキルを活かすために、たとえば税務とか特定の部署の職務で
専任職として、キャリアを活かしていくこともできます。ですから、子育て期が終わった後に、管理職
とは別に、スキルを活かした専任職として自己実現を図る道もあります。
伊東:公務員として20年近く働かれて、一番、良かったと思う点は何でしょうか。
●公務員として、妻として、母として
岡室:やっぱり、仕事や家族やその他のことも、ここまで何の犠牲も払わずに、ここまでやってこれたこと
が一番、良かったことかな。また、夫や子どもたちに助けてもらって、仕事と家庭の両立ができたと思
っていますので本当に感謝しています。子どもたちから得たものはとても大きいですし、私自身が子ど
もたちを通して成長させてもらったと思っています。また、夫の支えと理解も大きかったです。
伊東:私たちも、公共政策ワークショップで女性のワーク・ライフ・バランスの実現のためには、男性の育
児参加こそが大事だと学びました(笑)
。
岡室:どこまでも、「人のために頑張れる」
というのが、創大生の原点だと思って、
後に続く女子学生の後輩たちの道を切
り開こうと自分なりに頑張ってきまし
た。今日は、その後輩たちと語り合えて、
本当に嬉しかったです。公共政策ワーク
ショップで会ったときよりも、みんなす
ごく成長していて、感動しました。さす
がに難関の試験に合格するだけはある
なと。社会に出ると大変なこともあるか
と思いますが、これからのみなさんの活
躍を楽しみにしています。
Fly UP