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義務教育費国庫負担制度について (PDF:136KB)

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義務教育費国庫負担制度について (PDF:136KB)
○ 義務教育費国庫負担制度について
総額裁量制により、使い勝手がよい負担金となっている
算定方法
国庫負担額
=
都道府県ごとの給与単価
×
標準法による標準定数
× 1/2
導入に伴う改善点
①給与の種類・額を自由に決定
諸手当
≪従来≫
給
≪改革後≫
料
期末勤勉手当
管理職手当
住居手当・通勤手当
総額裁量制
等
給料・諸手当の費目ごとに国の基準を超える額は
国庫負担の対象外
費目ごとの国庫負担限度額がなくなり,
総額の中で自由に使用可能
②教職員数を自由に決定
活用
≪改革後≫
給与水準
給与水準
国(準拠
≪従来≫
)
教職員数 (標準法)
給与水準,教職員数について定められた上限を越える
部分は国庫負担の対象外
教職員数 (標準法)
給与水準の調整により教職員を増員し,
習熟度別指導の充実や30人学級の実施
が可能
1
総額裁量制を活用した主な取組(例)
都道府県
活
宮城県
35人学級の実施
長野県
35人学級の実施
用
措
置
小学校1・2年生を対象
小学校全学年を対象
非常勤講師の配置
和歌山県
学力テストの結果を踏まえ重点配置し、学習指導・生徒
指導を充実
30人学級の実施
鳥取県
島根県
小学校1・2年生、中学1年生(36人以上の学級)を
対象
30人学級の実施
小学校1・2年生を対象
2
義務教育費国庫負担制度の必要性
① 義務教育の根幹(機会均等、水準確保、無償制)の堅持は国の責任
憲法の要請に基づく義務教育については、目的を特定した国による財源保障が
必要。 (国による財源保障の必要性は、歴史的経緯から明らか)
② 国が義務教育費を保障するのは先進主要国の潮流
義務教育は国民を育成するもの。主要先進国は義務教育を国家戦略として位置
づけており、国が義務教育費を負担する方向へ。
③ 国庫負担金の一般財源化は、地域格差を生じさせる
一般財源化されれば40の道府県で財源不足。これは地方交付税では調整でき
ず、結果として地域格差が生じる。 (一般財源化した教材費や学校図書費整備費の
例からも明らか)
3
① 義務教育のための財源保障は
いつの時代も重要な役割を果たしてきた
1.国庫補助制度の確立 (明治33年)
義務教育の完全就学を実現するために国庫補助による無償制を確立。これにより、就学率が
55%(明治25年)から、95.6%(明治38年)に向上。
2.県費負担制度と義務教育費国庫負担制度の確立 (昭和15年)
財政力の弱い市町村においても安定的に義務教育を実施するために、教職員の給与を市町村
ではなく府県が負担することとし、その2分の1を国庫負担する仕組みを確立。
3.義務教育費国庫負担法の復活 (昭和28年)
シャウプ勧告に基づき、昭和25年に義務教育費国庫負担金は廃止。新たに設けられた地方財
政平衡交付金に吸収されたが、教育条件の地域間格差が拡大した。そこで、全国知事会議の決
議等を背景として、昭和28年に復活した。
義務教育費の確保は、一般的な財源調整制度によっては難しく、義務教育費に目的を特定し
た国による財源保障が必要であった。
4
②-1 世界的に義務教育は大競争時代
どの主要先進国も力を入れている
1.主要先進国では全額負担する国が多い
フランス、ドイツ、イタリア、韓国、シンガポールなどは、義務教育の教職員について、給与費の全額を
国負担(連邦国家では州) 、身分を国家公務員としている(ドイツでは州公務員)。
2. 全額負担していない米英でも中央政府の役割が近年増大
主要先進国で義務教育の教職員給与費を全額負担していないのは、アメリカとイギリス。
–
しかし、アメリカでは学区の学校税のほか、州が教育目的税を設けている場合も多く、州の負担割合は増大(学
区が40.9%、州が49.5%、連邦が7.3%)。
–
イギリスでも、中央政府が積極的な役割を果たすようになってきている(教員給与負担:国75%、地方25%)。
3.各国では教育投資を拡充する方向で改革
いずれの国も、国策として学力向上を目指し、教育水準保障のために国家が教育投資を拡充する方
向で改革推進。
–
国内総生産(GDP)に占める公財政による初等中等教育費の割合:
フランス4.0%、アメリカ3.5%、イギリス3.4%、韓国3.3%、ドイツ2.9%、日本2.7%
日本が教育費を削減すれば世界的潮流に逆行する
5
②-2 主要先進国は教育予算の充実を図っている
1.各国首脳の教育に対する考え方
フランス
アメリカ合衆国
イギリス
大韓民国
ドイツ
日本
「知識だけでなく価値
を伝え、生きる力が必
要」(シラク大統領)
「教育は、私の政策の
最重要課題」
(ブッシュ大統領)
「第一に教育、第二に教
育、そして第三に教育」
(ブレア首相)
優秀教員確保法を制定
教育条件改善事業を実
施中(35人学級の実
現)
教育は、将来のドイツ
を形つくる政策の中
心」(シュレーダー連
邦首相)
「米百俵の精神」
(小泉総理)
「人間力戦略ビジョ
ン:新しい時代を切り
拓くたくましい日本人
の育成」
2.各国の国と地方の教員給与負担比率
100%
地方
地方
50%
国
(25%)
地方
州
州
国
国
(75%)
国
0%
フ ラ ンス
アメリカ合衆国
イギリス
大韓民国
ドイ ツ
日本
3.公財政による初等中等教育費の国内総生産(GDP)に対する比率(2000年)
4.0%
4 .0 %
3.0%
3 .5 %
3 .4 %
3 .3 %
2 .9 %
2.0%
2 .7 %
1.0%
0.0%
フラン ス
ア メ リカ 合 衆 国
イ ギ リス
大韓民国
ドイツ
日本
6
2-③ 州が教育行財政を担っているドイツでは
州による成績格差が大きい
(このためドイツの成績は平均水準以下となっている)
(参考)日本
557
バイエルン州
516
バーデン・ヴュルテンベルク州
512
501
ザクセン州
OECD平均
500
テューリンゲン州
493
ドイツ平均
490
シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州
490
ラインラント・プファルツ州
488
ザールラント州
487
ヘッセン州
486
484
メクレンブルク・フォアポンメルン州
480
ノルトライン・ヴェストファーレン州
ニーダーザクセン州
478
ザクセン・アンハルト州
477
472
ブランデンブルク州
452
ブレーメン市
400
420
440
460
480
500
520
540
560
ドイツの州ごとの数学の成績(PISAによる) 7
③-1 義務教育費国庫負担金が一般財源化されたら
40道府県で財源不足となる
120%
沖 縄
鹿児島
宮 崎
大 分
熊 本
長 崎
佐 賀
福 岡
高 知
愛 媛
香 川
徳 島
山 口
広 島
岡 山
島 根
鳥 取
和歌山
奈 良
兵 庫
大 阪
京 都
滋 賀
三 重
愛 知
静 岡
岐 阜
長 野
山 梨
福 井
石 川
富 山
新 潟
神奈川
東 京
千 葉
埼 玉
群 馬
栃 木
茨 城
福 島
山 形
秋 田
宮 城
岩 手
青 森
北海道
-60%
税フラット税率により全額税源移譲したと仮定した
場合の都道府県別増減率(県民所得で試算)
80%
義務教育費国庫負担金を廃止し、相当額を個人住民
100%
60%
40%
20%
0%
-20%
-40%
8
③-2 地方交付税は、わずか5年で2割以上が消滅 (20兆円→16兆円へ)
一方、地方借入金は、すでに200兆円を超えている
22
210
21.4
地方交付税
21
20.3
20
204
205
19.5
199
200
19
194
195
18.1
地方借入金
○ 今後、骨太の方針に基づく
交付税改革が進めば、交付
税の規模はさらに小さくなる
18
190
188
16.9
17
185
16
181
○ 交付税では、税源移譲で生じ
る地方格差を調整できない
180
15
175
14
○ 地方借入金がふくらむ中で、
どう教育費が確保されるのか
170
13
0兆円
0兆円
165
12
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
地方借入金=交付税特会借入金残高(地方負担分)+公営企業債残高(普通会計負担分)+地方債残高
9
③-3 過去に一般財源化された教材費・教員旅費は
国の基準を下回った予算措置しかされていない
措置率(%)
義務教育費国庫負担金が一般財源化されれば同様に
各県の財政状況に影響されるおそれ
130
地方債(兆円)
140
130
教材費
120
地方債現在高
120
110
110
100
旅費
90
100
80
70
90
60
50
80
40
60 61 62 63 元 2
3
4
教材費・教員旅費が一般財源化
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15
10
③-4 一般財源で措置されている学校図書整備費は
各県の予算措置に相当な格差が生じている
万円
80
義務教育費国庫負担金が一般財源化されれば
同様に各県の格差が生じるおそれ
60
全国平均
40
20
0
沖縄県
鹿児島
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
愛知県
静岡県
岐阜県
長野県
山梨県
福井県
石川県
富山県
新潟県
神奈川
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
(小学校1校当たりの図書購入費・平成14年度)
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