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資料公開中! - 日本溶接協会(JWES)

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資料公開中! - 日本溶接協会(JWES)
表紙デザイン
川崎 信史
(日本原子力研究開発機構)
明日のエネルギーの礎に−高速炉 材料・構造開発 <昨日・今日・明日>
目次
1.はじめに
・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.高速炉構造・材料研究経緯
2.1 開発の歴史
2.2 材料研究のトピックス
2.3 構造研究のトピックス
2.4 将来の規格・基準に向けて
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
2
7
14
19
3.明日への提言
3.1 アンケートの実施
3.2 アンケートの分析結果
3.3 特別提言
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
21
22
47
4.構造・材料関連文献リスト
4.1 研究発表・論文リスト
4.2 関連文献リスト
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
55
55
64
・・・・・・・・・・・・・・・・・
68
編集後記
1.はじめに
電力供給の主力である石油、石炭等の化石燃料は埋蔵量が有限であり、これらへの依存度
を低減しエネルギーの多様化を図る必要があります。また、化石燃料は、燃焼による炭酸ガ
スを放出して地球温暖化をもたらし、環境の悪化を引き起こす要因ともされています。これ
ら、エネルギーの多様化及び地球環境保全を達成する有力な選択肢として原子力発電が考え
られ、現在発電の主力となっている軽水炉に続き、ウラン資源をさらに有効に活用できる高
速炉の実用化が計画されています。
現在までの高速炉の実用化にあたっては、国内9電力会社及び電源開発株式会社の委託を
受けた日本原子力発電株式会社、日本原子力研究開発機構(旧核燃料サイクル開発機構、及
び旧日本原子力研究所)
、
(財)電力中央研究所、学協会及び大学などの密接な協力のもと、
官民学一体となって取り組んできました。
高速炉の構造・材料に関する研究は、もんじゅ、実証炉、実用炉を対象に継続して実施さ
れてきており、現在までに新規で高度な技術が多数開発され、各々の開発時点での最新知見を
反映した評価法、規格・基準をこれまでに策定してきました。
高速炉新材料の開発に関しては、古くは 1985 年の FSG 小委員会に遡り、それ以降 FNC 小委
員会、FME 小委員会、設計手法高度化委員会と引き継がれてきました。<2.25Cr、9Cr、12Cr
系といったフェライト系鋼及び 18Cr、22Cr といったオーステナイト系鋼から SG 用材料を絞り
込んでいった FSG 時代>、<実証炉 1 号機への適用を念頭に 9Cr 系鋼を最適化していった
FNC(Nine-Cr)時代>、<実証炉の許認可に向けて材料強度基準や強度評価法を開発していった
FME(Material-Evaluation)時代>、<実用炉への適用を目指し 12Cr 系鋼の最適化と構造設計基
準の高度化を一体となって推進した設計手法高度化委員会>と、各委員会の名前が如実に表現す
るとおり、ニーズと技術の変化に合わせ、委員会は名称、目的、メンバーを変えながら、構造・
材料の技術を発展・維持し続けてきました。これら研究の成果は、1995 年にこれまでの技術成果
を FME 小委員会の 10 周年記念誌として取り纏め(冊子:
「明日のエネルギーの礎に」
)
、また、
1999 年に実証炉用構造・材料の開発が一区切りついた時に、再度技術成果報告を纏めました(冊
子:
「明日のエネルギーの礎に」
)
。
高速炉構造設計に関する研究は、原型炉構造設計方針(BDS)を踏まえた上で、機器の大型化
や実証炉特有の構造を考慮した実証炉用構造設計方針案(DDS(案))の検討を 1998 年から行って
きました。この研究成果は、高速炉高温構造設計調査特別委員会、高温構造設計方針評価委員会
での学識経験者の意見を反映した DDS(案)として 1998 年度に取り纏めました。
2000 年度からは、
「FBR サイクル実用化戦略調査研究」が開始され、構造・材料に関する研究
も実用炉を対象に計画・実施してきました。2005 年度には研究の一区切りとして、構造設計方針
DDS(案)をベースに合理化方法を採用した実用炉高温構造設計方針暫定案(FDS 暫定案)を纏
めました。
一方、近年・近い将来の情勢を見ると、これまでに研究開発を支えてきた技術者・研究者
の退職、若手技術者の不足、高速炉に対する研究資金投入の不安定性、高速炉実用化までの
見通しの不確定さ等々将来の技術開発に対する不安が指摘されつつあります。そのため、こ
れまでの構造・材料研究の変遷を振り返るとともに、今後の開発課題、技術伝承、活性化方策に
ついての議論を通じて、明日への展望を切り開く試みを計画いたしました。
本冊子は、
「高速炉構造・材料の明日を考える会」が中心となり、高速炉構造・材料の今ま
での研究経緯・知見を纏めるとともに、今後の研究開発に対する関係者の提言を纏めたもので、
高速炉構造・材料研究の明日への活力として、また今までの成果技術の伝承の参考として、読ん
でいただけることを期待するものです。
1
2.高速炉構造・材料研究経緯
2.1
開発の歴史
2.1.1 もんじゅ時代
高速炉用構造・材料研究は高速原型炉「もんじゅ」の開発具体化と共に開始され、
昭和 43 年頃から日本溶接協会、日本機械学会及び動力炉・核燃料開発事業団(PNC)
での委員会等を中心に推進されてきた。その結果は、
「高速原型炉第1種機器の高温構造
設計方針」
(BDS)及び 2.25Cr-1Mo、SUS304、SUS316、SUS321 鋼を対象とした「高速原
型炉高温構造設計方針 材料強度基準等」並びにこれらの解説書として整備され、この基
準を用いて「もんじゅ」は設計・製作された。
2.1.2 実証炉開発時代(昭和 57∼平成 10)
:
「蒸気発生器用材料の研究」
(1)予備検討(昭和 57 年∼昭和 59 年)
高速増殖実証炉では経済性の観点から一体貫流型蒸気発生器の採用を計画し、この蒸気発生
器用として高温強度並びに水・蒸気環境での耐食・耐SCC性及び製作性に優れた材料が要求
された。この要求に対する材料開発・選定として電気事業連合会高速増殖炉開発準備室の参画
のもと「高速炉構造新材料に関する調査研究」が実施され[2.1-1、2.1-2]、一体貫流型蒸気発生
器用材料として 2.25Cr∼Alloy800 系鋼のフェライト系鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼
の中から、高温強度及びナトリウムと水・蒸気に対する耐食性の両特性に優れた基本鋼種とし
て9Cr 系鋼を選定し有力候補として提起された。
:
「蒸気発生器用材料の研究」
(2)第1期研究(昭和 60 年∼昭和 63 年)
昭和 60 年に電気事業連合会高速増殖炉開発準備室から「蒸気発生器構造材料の研究」に関
する委託を受け(昭和 60 年 11 月以降委託元は日本原子力発電株式会社に移行)社団法人日本
溶接協会原子力研究委員会内にFSG小委員会(FSG:FBR Steam Generator)を設置し
研究を推進することとなった。研究の主眼は一体貫流型蒸気発生器用材料として、9Cr 系鋼
の中で材料及び溶接部に対して優れた成分系の材料の選定と実証炉への適当性の検討であっ
た。昭和 63 年に9Cr 系鋼の中から Nb、V、N、Si 等の微量添加元素量を適正化し、長時間
強度と延性を安定して維持できる鋼種として改良 9Cr−1Mo 鋼を候補材料に選定し、
平成元年
からは小委員会名称もFNC小委員会(FBR Nine Chromium)として改良 9Cr−1Mo 鋼の実
証炉への適用のための研究を開始した。
(3)第2期研究(平成 2 年∼平成4年)
:
「蒸気発生器用材料の研究」
「1次系材料の研究」
「構造
設計方針の研究」
平成2年からは材料に関する研究を継続すると共に、新たに日本原子力発電株式会社とファ
ブリケータとで構造設計に関する研究が開始された。
材料研究は、平成 2 年からは蒸気発生器用材料の他に、炉容器及び1次系用新材料でとして長
時間強度と共にクリープ疲労強度に優れた高速炉構造用 SUS316(通称:316FR 鋼)の実用
化研究も本小委員会にて推進することとなり、これに伴い小委員会名称をFME小委員会(F
ME:FBR Materials Evaluation)とした。
2
改良9Cr−1Mo 鋼に関する研究では、本鋼を最初に開発した DOE(ORNL:米国国立オー
クリッジ研究所)との共同研究が開始され、5万時間以上の長時間データを入手した。また、当
初は高温強度が低かった極厚材に対し、薄肉板並みの強度を有する極厚鍛造材の製作方法を確
立するとともに基準化に関する予備的検討を開始した。1次系用材料の 316FR 鋼に関しては
母材、溶接材料及び溶接継手の強度特性を把握するとともに材料仕様を提案した。
構造設計方針に関しては、機器の簡素化、高温化を図るため 316FR 鋼と改良9Cr 鋼の新
材料を適用することに加え、機器の大型化や実証炉特有の構造にも対応するため、BDS
をふまえた上で破損様式に着目した新たな構造設計の指針として実証炉用構造設計方針
(案)(略称:DDS)の検討に着手した。
(4)第3期研究(平成5年∼平成7年)
:
「材料の研究」
「構造設計方針の研究」
材料については、平成5年からは 316FR 鋼と改良9Cr 鋼の基準化及び構造設計具体化のた
めの研究を重点化した。特に、高温構造設計で重要な疲労強度に及ぼす長時間保持や低ひずみ
の影響、長時間熱時効による靭性・延性の変化等に関する材料データ取得を行い、クリープ疲
労評価法及び溶接部強度評価法の検討を行った。 オーステナイト系鋼を用いる高温配管部の
改良 9Cr−1Mo 鋼とステンレス鋼、及び原子炉容器/ルーフデッキ部の 316RR 鋼と炭素鋼の2
種類の異材継手強度特性評価に関する研究を開始した。316FR 鋼については、ASME への新
材料規格化提案を睨んだ米国 DOE(ORNL)との委託研究を開始し、ASME との情報交換、日
米ラウンドロビン試験、長時間デ−タの取得が行われた。また、平成7年には、それまでに得
られた評価法及び強度基準に関する素案を「明日のエネルギ−の礎に−高速炉を支える材料技
術−」として冊子にまとめた。
構造設計法ついては、BDS をベースとした液面ラチェット、ひずみ評価法、中間保持、継
手強度評価法、弾性解析による評価法、配管設計評価法や特定構造物設計法等の高度化を完成
させた。
また、平成6年から平成 8 年の 3 ヵ年に、日本原子力発電株式会社の委託の下で、日本電
気協会に「高速炉高温構造設計調査特別委員会(略称:高特委)
」を設置し、学識経験の
参加を得て、許認可性を十分備えた実機設計に適用できる高温構造設計方針(案)の考え
を纏めた。
(5)第4期研究(平成8年∼平成 11 年)
:
「材料の研究」
「構造設計方針の研究」
平成 8 年から 3 ヵ年は 316FR 鋼及び改良9Cr-1Mo 鋼の高速増殖実証炉への適用性研究の
集大成として、材料強度基準策定に必要なデ−タの整備を行い、信頼性を確認した国内のデ−
タに基づいた材料強度基準(案)を策定した。また、高温構造設計のためのクリ−プ疲労評価
法及び溶接部強度評価法に関連するバックデ−タの整備を行なった。
材料に関する研究の中心として活動してきた FME 小委員会は平成 10 年度で終了し、それ
までの成果を「明日のエネルギ−の礎に−高速炉新材料の実用化に向けて−」と題する冊子に
纏め、情報の公開を行った。
構造設計についは、平成8年度から3ヵ年間、日本原子力発電株式会社の委託により日本
3
溶接協会に高温構造設計方針評価委員会(DDS委員会)を設置し、実証炉用構造設計方
針に関して高特委からの意見や設計からのニーズを反映し、新しい基準体系、荷重の扱い、
非弾性解析の導入等の課題を対象としてDDS(案)の改良検討を行った。
実証炉を対象とした構造・材料研究は平成 11 年度をもって終了し、これまでの研究成
果は、
「高速増殖実証炉高温構造設計方針」
「高速増殖実証炉高温構造設計方針 材料強度
基準」及びこれらの解説書として整備された。
2.1.3 実用炉開発へ(平成 12 年以降)
平成 12 年度からは、
「FBR サイクル実用化戦略調査研究」が開始され、構造・材料に関
する研究も実用炉を対象に計画・実施されている。この研究は、電力と核燃料サイクル開
発機構が一体となり、加えて、熱荷重設定法やR/Vの塑性変形領域に踏み込んだ非弾性
解析法等の課題を対象にして、プラント設計と構造・材料研究が一体となって進められて
いる。研究は、構造、材料に加え、新たに将来の斬新な規格化を目指した「システム化規
格」の3課題を対象としている。
「システム化規格」は、プラント設計・建設・運転・維
持のライフサイクルを一貫評価することにより総合的に裕度を適正化し、プラントの抜本
的な合理化によるライフサイクルコストの低減を図る新たな規格基準体系である。平成 17
年度には、FBR サイクル実用化戦略調査研究 Phase-Ⅱ研究の成果として、実用高速炉高温
構造設計指針、材料強度基準の暫定案を纏めると共に、システム化規格の概念の具体化を
行った。
以上の高速炉構造・材料研究の推移を表 2.1-1、2.1-2 にまとめる。
2.1.4 参加機関
高速炉構造・材料の開発・評価を国内材料技術の総力を結集し全日本的立場から推進すると
の主旨で、委託者、国内の大学、中立研究機関、電力会社、原子力ファブリケ−タ、材料メ−
カ、学・協会及び海外協力としての米国ORNL(国立オ−クリッジ研究所)が参画し推進し
てきた。
[参考文献]
[2.1-1]馬場;,“高速炉構造新材料に関する調査研究”,火力原子力発電,Vol.36,No.1, (1985),p.45
[2.1-2]馬場;“高速炉構造新材料に関する調査研究(Ⅱ)”
,
,火力原子力発電,Vol.37,No.6, (1986),p.64
[2.1-3]FME 小委員会;,“明日のエネルギ−の礎に−高速炉を支える材料技術−”,日本溶接協会
原子力研究委員会,平成7年 11 月
[2.1-4]FME 小委員会;,“明日のエネルギ−の礎に−高速炉新材料の実用化に向けて−”,日本溶
接協会 原子力研究委員会,平成 11 年 5 月
4
表2−1
年 度
実証炉
設計研究
1982
(昭和 57)
1983
(昭和 58)
1984
(昭和 59)
高速増殖炉概念
に関する研究
1985
(昭和 60)
合理化設計研究
1986
(昭和 61)
1987
(昭和 62)
1988
(昭和 63)
革新的技術を含めた
システム化研究
高速炉構造設計方針及び新材料研究の歩み
1989
(平成 1)
1990
(平成 2)
1991
(平成 3)
実証炉予備的
概念設計研究
炉型評
価研究
1992
(平成 4)
1993
(平成 5)
実証炉プラント
概念設計研究
改良9Cr−1Mo鋼DOE(ORNL)共研
一体貫流型蒸気発生器用候補材料
の調査(FPO/メーカ共研)
一次系候補材料の開発
・選定研究(316FR)
FBR用高強度ステンレス鋼の開発研究(メーカ自主研究)
構造・材料
研究内容
1995
(平成 7)
1996
(平成 8)
1997
(平成 9)
1998
(平成 10)
1999
(平成 11)
実証炉プラント
最適化研究Ⅱ
実証炉プラント
最適化研究
316FR鋼DOE(ORNL)委託研究
基準化用データの整備・基準化計画
(改良9Cr/316FR)
蒸気発生器用候補材料の開発・選定研究
(改良9Cr−1Mo鋼)
1994
(平成 6)
316FR鋼、改良9Cr−1Mo鋼
材料強度基準(案)・強度評価法策定のためのデータ蓄積
母材・溶接部強度評価法の検討
材料強度基準化方針/基準(案)策定
構造設計方針 {DDS(案)根拠充実、解析手法と検証試験} {
(原型炉設計方針(BDS)並の実機適用性・許認可性を有するDDS(案)の策定 )
{機器の大型化や実証炉特有の構造に対応}⇒液面ラチェット、ひずみ評価法、中間保持、継手強度評価法、弾性解析による評価法、特定構造物設計法
座屈評価法
配管設計評価法
LBB 評価法
炉心支持構造物設計評価法
F M E
・
設計方針・
基準の整備
▽
DDS(案)
高特委意見及び設計研究からのニー
ズ等を反映した改良
・もんじゅ漏洩事故
・もんじゅ初発電
高速炉高温構造設計調査特別委員会 高温構造設計方針評価委員会
(DDS委員会:日本溶接協会)
(高特委:日本電気協会)
・もんじゅ初臨界
・実証炉トップエント
リー型の採用決定
・実証炉に316FR
鋼の採用決定
・実証炉に改良9Cr
鋼の採用決定
・もんじゅ起工式
・SPX臨界
高速炉関連
の動き
・DDS案・解説作成
▽
DDS(暫定案)
に対する課題整理
・電共研データベース管理
システム
▽
DDS(暫定案)
・DOE委託研による316
FR鋼の長時間データ取得
・溶接部強度評価法
・クリープ疲労強度評価法
・材料強度基準用データ取得
着手
・溶接部の施工法・挙動評価
着手
・DOE共研による強度評価
法の検討
・DOE共研による改良9
Cr鋼長時間データの入手
・ FNC
・一次系材:316FR鋼選定
・動燃データシステムSMA
T利用開始
・SG用材:9Cr系鋼選定
5
成果
トピックス
F S G
・SG材:改良9Cr鋼選定
材料委員会(日本溶接協会)
2−2
年度
Phase-Ⅰ
2000(平成 12)
2001(平成 13)
2002(平成 14)
高速炉用構造設計方針及び材料研究の歩み
FBR サイクル実用化戦力調査研究
Phase-Ⅱ
2003(平成 15)
2004(平成 16)
2005(平成 17)
Phase-Ⅱ暫定案
構 造 設 計 手 法 に 関 す る 研 究
実用炉設計研究
設 計 手 法 高 度 化 に 関 す る 研 究
設 計 手 法 高 度 化 委 員 会(METI)
全体計画
実用化構
造設計基
準(FDS)
NC カーブ、
破損クライテリアの高度化、
実用高速炉高温構造設
計方針
確認試験(ラチェット疲労)
非弾性設計解析指針の策定、 構成式、 設計評価法
検証
熱荷重設定指針の策定、
実施適用評価、
系統熱過渡荷重設定法
構造・材料
研究内容
電共研
全体計画
12Cr 鋼 :火力材料熱処理条件調整
FBR 適用性確認試験
新材料
:
非弾性設計解析に関する
ガイドライン
構造物モデル試験
熱荷重設定に関する
ガイドライン
例題集作成
サーマルストライピング過重設定法
W 調整
SPECTRA 検証試験
熱流動試験
▼ 候補材仕様絞込み
材料強度特性式
材料強度基準値
溶接施工法検討・/継手評価法の開発
継手評価法見通し
6
FBR 用材料強度基準策定用材料試験
溶接継手 試験計画
「新材料の基準化」の考え方について検討
システム
化規格
全体計画
課題の整理
全体概念・体系検討
H13 年 12 月
WG 設置 ▲
システム化規格の
概念の具体化
例題による裕度交換、技術的選択肢の検討 (エンドキャップ、ノズル)
▲(H14 年 5 月)システム化規格ミニシンポジュウム
成果トピックス
・高速炉用構造
設計規格の
民間規格化
・もんじゅ改造
工事開始
・もんじゅ改造
工事地元了
解
・もんじゅ改造
工事認可
高速炉関連の動き
Phase-Ⅲ
2006(平成 18)∼
2.2 材料研究のトピックス
高速炉の原子炉出口温度は、軽水炉では高々300℃程度であるのに対し、500℃以上と高く
なっている。一方、原子炉容器の運転圧力は軽水炉の場合、機種により異なるが、約 70
kgf/cm2から約 160kgf/cm2と高圧であるのに対し、高速炉では沸点の高いナトリウムを冷却
材として用いているため加圧する必要がなく、高々数 kgf/cm2程度である。また、 蒸気温
度も原子炉出口温度に対応して、軽水炉が 300℃以下であるのに対し、高速炉では 500℃近
くと高温になっている。
高速炉ではこのように、機器の使用条件が高温となるためクリ−プを考慮すべき温度領域
に入ること 及び冷却材ナトリウムの熱容量が小さく熱過渡時の温度変化量及び変化速度が
大きく、熱応力が大きくなることから、使用材料には優れた高温強度が要求される。さらに、
冷却材であるナトリウムとの共存性が要求されるほかに、当然のことながら成型・加工性、
溶接性、 信頼性、 経済性等も重要となる[2.2-1]。
原型炉「もんじゅ」ではこれらの諸条件を考慮して、原子炉容器等の主要機器に対しては
オーステナイト系ステンレス鋼の中で、高温強度と疲労強度の両特性に優れた SUS304 鋼が
使用されており、また蒸気発生器用材料としては、温度の低い蒸発器には実績のある 2.25Cr1Mo鋼が、
温度の高い過熱器には耐 SCC 性と高温強度に優れた SUS321 鋼が用いられている。
汎用化され複数機の建設が見込まれる実用炉のパイロットプラントとしての位置付けを持つ
実証炉は、経済性の観点から原子炉出口温度 550℃と、原型炉より約 20℃高温化された設計
を目標としていた。当時、実証炉の建設計画は、電事連レベルも含め合意された計画であり、
その建設に答えるため、メーカはより高温強度に優れた新材料の開発に向け自主研究を実施
していた。その結果、設計ニーズと材料シーズとが一致し、原子炉出口温度を原型炉に比べ
て約 20℃高くすること、蒸気発生器は原型炉では蒸発器と過熱器から構成されているが、実
証炉では蒸発器と過熱器をシステム合理化の観点から一体化した一体貫流方式を採用する
ことが可能となった。材料としては、原子炉容器等の1次系高温機器には高温強度及び疲労
強度に優れた 316FR 鋼を、 蒸気発生器には耐 SCC 性と高温強度を兼ね備えた改良
9Cr-1Mo 鋼をそれぞれ採用することとした。
実用炉では、更なる合理化が求められている。そこで、配管長の短縮を狙いのひとつとし
して熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高く、更に高い高温強度を有する 12Cr 系フェライト
鋼の開発が進められている。
以下に、実証炉以降に研究されてきた材料に関するトピックスを紹介する。
2.2.1 材料データ取得及び材料基準
(1)改良9Cr-1Mo 鋼
改良9Cr-1Mo 鋼は、一体貫流型蒸気発生器用として高温強度並びに水・蒸気環境での耐
食・耐 SCC 性及び製作性に優れた材料として開発されたもので、従来の9Cr-1Mo 鋼(ASTM
A387-G9、ASTM A213-T9)に対して、V(0.18∼0.25%)及びNb(0.06∼0.10)を添加し、
7
Ni(0.40%以下)及びN(0.030∼0.070%)の含有量を制限し、焼ならし及び焼もどしの熱
処理を施した焼きもどしマルテンサイト組織を有する材料である。V及びNbの添加効果
としては、析出強化(もしくは微細分散強化)
、Vによる炭化物の粗大化遅延効果、及び
Nbによる細粒化効果がある。クリ−プ及びクリ−プ疲労強度は、2.25Cr−1Mo 鋼を大き
く上回り、かつ SUS304 鋼とほぼ同等レベルである。
改良9Cr-1Mo 鋼を対象として、以下のような試験データの取得及び評価法の検討が行わ
れている。
[2.2-2]
① 材料強度基準策定及び検証のためのデータ
材料強度基準策定用及び検証用データは、もんじゅ用材料の基準策定の考え方を参考とし
て計画を立案し、下記試験のデータ取得を行った。
大気
:引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、応力緩和、
衝撃、高温加熱
ナトリウム:引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、腐食・脱浸
炭、ウエステージ
水・蒸気 :SCC、腐食
材料強度基準策定は、母材を対象とした標準試験片を用いて大気中で取得したデータに基
づいて行った。特殊試験片、溶接部データ、溶接材料データ及び環境中データは検証用に用
いた。
大気中クリープ試験データは、500∼600℃で最大5万時間を含む 120 点以上が、大気
中低サイクル疲労・クリープ疲労データは 110 点以上が取得され、
これらデータを基に、
改良 9Cr-1Mo 鋼の材料強度基準が策定された。
なお、上記データのうち、引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、応
力緩和、衝撃、高温加熱の材料強度・変形に関するデータは、後述する材料データベー
スに登録されている。
② クリ−プ疲労評価法の検討
高速増殖炉は冷却材として高温の液体ナトリウムを使用するため、機器の起動停止に
伴う繰返し熱応力と運転中の高温保持によるクリ−プが重畳したクリ−プ疲労損傷が
支配因子となる。そこで、実機設計法への反映・バックアップを目的として、クリ−ク
リ−プ疲労評価法に関する検討を行った。この検討には、日本原子力発電株式会社と米
国エネルギ−省(DOE)との共同研究を通じ入手した米国のデ−タをも活用した。ク
リ−プ疲労評価法の検討に用いるために、実機で重要な低ひずみ速度に疲労試験及び長
時間保持のクリ−プ疲労試験(例:試験温度 550℃、ひずみ範囲 1%、ひずみ速度
0.0001%/s の疲労試験、ひずみ範囲 0.5%、引張保持時間 5 時間のクリープ試験)
、実機
で想定される中間保持試験を実施した。
クリ−プ疲労評価法として時間消耗則だけでなく延性消耗則の適用性が評価できこ
とも考慮し、低速度繰返し変形挙動試験、応力緩和試験、ステップ状変動応力下のクリ
8
−プ試験によるロビンソン則成立性確認試験、繰返し後のクリ−プ試験を実施した。
(2)316FR 鋼
316FR 鋼は、1次系機器用とクリープ及びクリープ疲労特性に優れた材料として開発さ
され、従来の SUS316 鋼(0.05%C−0.02%N)に対して、Cを低減(0.01%)し、Nを添
加(0.07%)し、高温使用による炭化物及び Laves 相の析出を抑制した、長時間組織安定
な材料である。316FR 鋼のクリ−プ及びクリ−プ疲労強度は、SUS304 鋼及び SUS316 鋼を
大きく上回り、かつ延性も優れている。
316R 鋼を対象としては、以下のような試験データの取得及び評価法の検討が行われてい
る。
[2.2-2]
① 材料強度基準策定及び検証のためのデータ
材料強度基準策定用及び検証用データは、もんじゅ用材料の基準策定の考え方を参考とし
て計画を立案し、下記試験のデータ取得を行った。
大気
:引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、応力緩和、
衝撃、高温加熱
ナトリウム:引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、脱窒・脱浸
炭
材料強度基準策定は、母材を対象とした標準試験片を用いて大気中で取得したデータ
に基づいて行った。特殊試験片、溶接部データ、溶接材料データ及び環境中データは検
証用に用いた。
大気中クリープ試験データは、500∼600℃で最大6万時間を含む 140 点以上が、大気
中低サイクル疲労・クリープ疲労データは 210 点以上が取得され、
これらデータを基に、
316FR 鋼の材料強度基準が策定された。
なお、上記データのうち、引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、応
力緩和、衝撃、高温加熱の材料強度・変形に関するデータは、後述する材料データベー
スに登録されている。
② クリ−プ疲労評価法の検討
改良9Cr-1Mo 鋼と同様に、実機設計法への反映・バックアップを目的として、クリ
−プ疲労評価法に関する検討を行った。この検討には、日本原子力発電株式会社と米国
エネルギ−省(DOE)との共同研究を通じ入手した米国のデ−タをも活用した。クリ
−プ疲労評価法の検討に用いるために、実機で重要な低ひずみ範囲で長時間保持のクリ
−プ疲労試験(例:550℃、ひずみ範囲 0.61%で 10 時間引張保持保持、ひずみ範囲 0.4%
で 10 分引張保持試験)
、実機で想定される中間保持試験、SF 波や SF 波にクリープを
重畳したクリープ疲労試験を実施した。
クリ−プ疲労評価法として時間消耗則だけでなく延性消耗則の適用性が評価できる
ことも考慮し、低速度繰返し変形挙動試験、中途止め試験片を低ひずみ引張試験により
破断させる残存延性把握試験、応力緩和試験、ステップ状変動応力下のクリ−プ試験に
9
よるロビンソン則成立性確認試験、応力緩和挙動に及ぼす保持直前のひずみ速度依存性
試験、繰返し後のクリ−プ試験を実施した。
(3)12Cr 系鋼
熱膨張係数が小さく、熱伝導率の高いフェライト系鋼の中でも、12Cr 系鋼は、改良
9Cr-1Mo 鋼よりも熱的特性及び高温強度に優れており火力では実機に使用されている
[2.2-3]。12Cr 鋼は高温強度は非常に優れているが、一方、クリープ疲労強度や長時間延
性・靭性の点で、
改良 9Cr-1Mo 鋼より劣る場合がある。
そこで、
550℃の温度で、
改良 9Cr-1Mo
鋼並みのクリープ疲労強度を有し、延性・靭性に優れ、更に長時間組織安定性を維持する
12Cr 系鋼の開発が行われている。12Cr 系鋼の強度は、Mo、W 及び Nb、V の添加量に支配さ
れる。特に、Mo と W の添加量・比率が重要となる。このため、これら Mo と W の調整材料
の研究が現在進められている[2.2-4]。図 2.2-1 はその一例であるが、Wo 及び W の量によ
り、長時間熱時効後の靭性の違いが出ている。
なお、上記データのうち、引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、応力
緩和、衝撃、高温加熱の材料強度・変形に関するデータは、後述する材料データベースに
登録されている。
Absorbed energy (J)
250
200
150
100
50
0
-100
-50
0
50
100
Temperature (℃)
150
300
Absorbed energy (J)
11Cr-0.4Mo-2W
11Cr-1.2Mo-0.3W
11Cr-1.5Mo
Mod.9Cr-1Mo
300
250
200
150
100
50
0
-100
200
11Cr-0.4Mo-2W 600℃-6,000h
11Cr-1.2Mo-0.3W 600℃-6,000h
11Cr-1.5Mo 600℃-6,000h
Mod.9Cr-1Mo 550℃-5,000h
-50
0
50
100
Temperature (℃)
Backscattered Electron Image (BEI) of the steels aged at 600℃ for 6,000h
図 2.2-1 Mo、W が異なる12Cr 鋼の熱時効後の衝撃特性
(4)高速炉用特殊材料
① インコネル 718
10
150
200
サーマルストライピングに伴う高サイクル疲労への対策として、被覆部材としてイン
コネル718 の使用が提案された。
この適用に関し、
高サイクル疲労データのみではなく、
炉心上部機構への適用の妥当性を確認するために、クリープ特性、ナトリウム環境との
適合性、長時間加熱及び中性子照射の影響などに関する文献調査が行われた。
② SGV410
SGV410 は、実証炉設計において、原子炉容器ガードベッセル(第3種容器)に使用さ
れることになっていた。原子炉容器ガードベッセルの最高使用温度は、通常時で 450℃、
冷却材漏洩時で 575℃となっている。一方、第3種容器に対しては、適用基準である告
告示 501 号ベースでは、許容引張応力S値による必要板厚の規格計算が要求される。S
値は設計引張強さ Su 及び設計降伏点 Sy により定められるが、これらの高温強度データ
がないので、これらを完備するため、高温引張試験を実施した。
2.2.2 溶接部強度評価法
(1)改良9Cr-1Mo 鋼
継手試験片を母材部・熱影響部・溶接金属部の力学的結合体として強度評価する3要素
モデルにおいて必要となる各部の疲労特性及びクリープ特性の取得試験を実施した。
また、溶接部強度評価法として特に重要なクリ−プ疲労に関しては、板曲げ試験は、大
型板状試験片を用いて曲げ荷重を負荷する実機により近い板曲げ試験を実施した。この結
果は、溶接部強度評価法の検証に用いられた。
(2)316FR 鋼
実証炉では原子炉容器の大型化により高応力が発生する炉容器ナトリウム液面近傍に
も溶接部が存在するため、溶接部の高温強度評価法に関する検討を行った。
316FR 鋼の継手試験片の低サイクル疲労試験は、標点間距離(以下、GL と略す)外破
断が多く、繰返し硬軟化後でも溶接部に比べ母材が軟らかいため、溶接部から離れた母材
一般部にひずみ集中し破断する。その結果として継手試験片の GL 長さにより疲労寿命が
異なることが明らかになつた。そこで大型試験片により高温繰返し中の各部のひずみを測
定する溶接部∼母材部のひずみ分布把握試験、GL 中の母材部・母材硬化部・溶接金属の割
合が異なる試験片によりGL 中の溶接金属部の割合が低サイクル疲労寿命へ及ぼす影響把
握試験、ビ−ド方向と負荷方向の角度を変化させた試験片により継手強度が最弱となるビ
−ド方向が把握できる試験を実施した。また、横継手については、実機で重要となる低ひ
ずみ範囲側(∼0.35%)の継手強度試験を行った。
継手試験片を母材部・母材硬化部・溶接金属部の力学的結合体として強度評価する3要
素モデルにおいて必要となる各部の疲労特性及びクリ−プ特性を把握した。溶接金属部と
母材硬化部は異方性が予想されたので、溶接線と負荷方向が一致する L 方向試験、直交す
る T 方向試験、実機で重要となる継手クリ−プ疲労を検討するために継手及び各構成材の
試験を実施し、継手のクリ−プ疲労強度の3要素モデルによる評価を検討できるようにし
11
た。
(3)異材継手評価法
高速増殖炉の機器設計では,各々の設備の温度条件や環境条件などに対応して最適な材
料の選定が行われている。そのため,プラント全体として考えた場合には,異なる材料同
士の接合である異材継手が必要となる。実証炉設計での異材継手部位の例としては、316FR
鋼製の原子炉容器と炭素鋼(SGV)製のル−フデッキの接合部、改良9Cr-1Mo 鋼製の蒸気
発生器と SUS304 鋼製の2次系配管の接合部などが挙げられる。このような異材継手では
同材継手に比べて疲労やクリ−プ強度が低下する可能性があるため、その構造健全性を十
分に確認した上で実機に採用する必要がある。
① 316FR 鋼/SGV410 鋼
ルーフデッキは冷却されており原子炉容器内面には断熱層が設けられているため、異
材継手部の想定温度は最大でも 200℃程度である。従って、クリ−プなどの影響を考え
る必要はない。
炭素鋼側にインコネルを肉盛り及び熱処理を行った後、開先を加工し溶材としてイン
コネルを用いた溶接を行い、200℃の疲労試験、継手全体を用いた板曲げ疲労試験、部
分疲労試験としてインコネル 82 溶接金属、炭素鋼(SGV410 鋼)の母材及び熱影響部、
316FR 鋼母材及び母材硬化部の5種類を実施した。また,部分継手試験として炭素鋼
(SGV410 鋼)/インコネルの溶接継手と 316FR 鋼/インコネルの溶接継手の2種類を実
施した。その結果、316FR 鋼/炭素鋼(SGV410 鋼)異材継手強度は、316FR 鋼母材硬化
部に支配されているものと判断された。
② 改良9Cr-1Mo 鋼/SUS304 鋼
2次系配管内を流れるナトリウムの温度は約520℃であり、
試験温度は保守的に550℃
とした。異材継手がクリ−プ温度域であるため、疲労強度、クリ−プ強度及びクリ−プ
疲労強度の確認試験を行った。
溶接施工は、改良9Cr-1Mo 鋼側にインコネルの肉盛り及び熱処理を行い、開先加工
した後、インコネルにて溶接を行い、継手全体を用いた板曲げ疲労及びクリ−プ疲労試
験、部分要素疲労試験、部分要素クリ−プ破断試験、部分継手クリ−プ破断試験、部分
継手疲労試験、部分継手クリ−プ疲労試験及び組織観察を実施した。
その結果、改良9Cr-1Mo 鋼とインコネルの異材継手では 550℃で 5000 時間より長時
間側のクリ−プ破断試験及び 550℃で破断時間 200 時間より長時間側でのクリ−プ疲労
試験では改良9Cr-1Mo 鋼とインコネルバタリングとの界面で破断した。このため、フ
ェライト鋼とステンレス鋼の異材継手をクリープ領域に適用することに関しては、さら
に見直しを含めた検討を進める必要がある事を示唆した。
2.2.3 材料データベース
FBR 構造材料の引張、クリープ・クリープ破断、疲労・クリープ疲労、応力緩和、衝撃、
12
高温加熱の材料強度・変形に関するデータは、従来下記の2つのシステムに登録保管され
てきている。
1) SMAT(FBR Structural Material Data Processing System : FBR 構造材料データ
処理システム)
(日本原子力研究開発機構:旧核燃料サイクル開発機構所有)
2) MANADAS(System of Management for Material Data in FBR :FBR 用材料データ管
理システム)
(日本原子力発電株式会社所有)
SMAT には「もんじゅ」用材料の各種強度・挙動データ及び旧核燃料サイクル開発機構が
取得した改良 9Cr-1Mo 鋼、316FR 鋼及び 12Cr 系鋼のデータが登録され、上記で述べられた
同鋼の基準化や評価に活用されている。また、MANADAS には、電力が取得してきた改良
9Cr-1Mo 鋼、316FR 鋼及び 12Cr 系鋼のデータが登録保管されてきた。
平成 17 年度に実用化戦略調査研究の PhaseⅡが終了するのに合わせ、今後は2つの材料
データベースを SMAT に統合することになり、更に SMAT も公開することで検討がなされて
いる。今後は、構造材料研究者に豊富なデータの提供が可能となり、FBR 構造材料の開発
に大いに寄与することが期待される。
[参考文献]
[2.2-1] UETA, M.,et al;,
“The Development of Demonstration Fast Breeder Reactor",
The 13th SmiRT,Porto Alegre,Aug.,(1995),Vol.1,Div.E,p.359
[2.2-2] FME 小委員会;,“明日のエネルギ−の礎に−高速炉新材料の実用化に向けて−”,
日本溶接協会,原子力研究委員会,平成 11 年 5 月
[2.2-3] F.Masuyama,:Proc. of 7th Liege Conf.,Ⅲ(2002)
[2.2-4] T.WAKAI, et al; “The Present Status of Development of High Chromium Steel
for FBR”,Proc. of 30th MPA Seminnar Vol.2, pp.28-1∼28-14, MPA Stuttgart,
6-7/Oct./2004.
13
2.3 構造研究のトピックス
2.3.1 BDSからDDSへ
もんじゅの高温構造設計用に動燃事業団を中心に昭和 53 年から 56 年にかけて開発され
た高速原型炉第 1 種機器の高温構造設計方針(略称:BDS)は、ASME Code Case-N47 を
基にしつつ、それまでに国内で行われた配管要素等の構造物試験及び材料試験の結果を反
映して規定の追加や材料強度基準を作成するとともに、非弾性ひずみやクリープ疲労損傷
を合理的に評価するため弾性追従効果やそれによるひずみ集中効果の評価法の具体化な
どを図ったものである。これにより懸案であった 1 次系配管の高所水平引き回しが可能に
なるとともに各機器の弾性解析ベースの構造設計を実現することができた。
もんじゅの建設が進められると同時に、次の高速実証炉の設計が開始された。高速実証
炉の設計に当っては、機器の簡素化、高温化を図るため 316FR 鋼と改良9Cr 鋼という新材
料を適用することに加え、機器の大型化や実証炉特有の構造にも対応するため、BDSを
ふまえた上で新たな構造設計の指針として高速実証炉高温構造設計方針(案)(略称:DD
S)の策定を行った。DDSは実証炉の設計を行う日本原子力発電(株)により昭和 62 年
から準備が開始され、平成 10 年度にその暫定案と解説が作成された。BDSからの主要
な改良項目を以下に紹介する。
(1)液面熱ラチェット及びひずみ評価法の高度化
まず、実証炉設計段階で課題となった最大のもののひとつとして、液面熱ラチェット現
象に対する評価法が上げられる。液面熱ラチェット現象とは、円筒構造物の軸方向に高温
の液面が上昇するような場合に、その繰り返しにより円筒が縮径する現象である。もんじ
ゅの設計ではオーバーフロー系で液位の変動が無い様に設計していたため問題にならな
かったが、実証炉で起動や停止などの際に液位が変動することからその評価法が必要とな
った。
ナトリウムを用いた実験だけでなく、高周波コイルによる加熱と水冷却による液面の移
動をモデル化した実験が行われ、非弾性解析も含めてそのメカニズムと評価法の研究が進
められた。評価方法の基礎となったのは、液面上下の階段状温度差によって生ずる周方向
膜応力の制限である。
周方向膜応力σm が降伏応力σy を超えるとラチェットが発生する。
これを基に各種試験・検討を行って更に詳細化が図られていった。一方では、非弾性解析
による評価も考えられる時代となりその研究も進められた。
更に液面熱ラチェットが契機となって、従来からの Bree ラチェット以外のラチェット
現象の発生も考えられたため、膜+膜型ラチェットや2次型ラチェットの制限も加える形
となり、従来からある促進クリープひずみ評価も改良され、ひずみの制限全体の高度化が
図られた。
(2)クリープ疲労評価における中間保持の考慮
クリープ疲労損傷の制限についても各種の高度化・合理化が検討された。まず、実際の
構造物においては熱過渡事象により熱応力が発生しその後応力が下がってから高温保持
14
される場合が多いことに着眼した。すなわち、クリープ損傷を評価するときの応力の中間
保持概念の導入である。ひずみサイクルにおける保持開始位置の違いによる寿命の違いに
ついては、材料の面からも検討されているが、これを考慮し中間保持を考慮した初期応力
の設定によりクリープ損傷の合理的な評価を可能とした。
(3)継手強度評価法
母材を中心とした評価法の検討が先行して進められたが、継手に対する評価法の整備も開始
された。BDS開発時点では、高応力部に溶接継手を設けないという基本方針があったが、実
証炉では容器の大型化及びコストダウン要求から比較的高い応力が発生する位置でも溶接継
手を設ける方針となり、溶接継手の適切な評価法が望まれるようになった。継手評価法は、鋼
種によりそれぞれ設定される形となり、SUS304-308 系の継手では溶接金属と母材の冶金的不
連続による強度低下を考慮して、ひずみ集中係数Ke’の割り増しを図る形となっている。
316FR 鋼では、疲労寿命低減係数 Kf=1.3 とクリープ初期応力の割り増し係数 1.2 を採用し、
改良 9Cr1Mo 鋼では疲労寿命低減係数 Kf=1.4 とクリープ初期応力の割り増し係数 1.2 に加え
緩和損傷係数D*の時間係数を3倍(時間係数αc1/3 に相当)にすることとしている。
(4)弾性解析による評価法の改良
BDSでは弾性追従係数を一律にq=3 としていたが、ここにかなりの裕度が含まれる
との判断から条件ごとにqを設定する方針とした。その結果、軸方向温度勾配を受ける円
筒胴ではq=2 に合理化された。更に、弾性追従係数を総体的構造不連続に対する弾性追従
係数qn以外に、ピーク応力に対する弾性追従係数qpや緩和に関する弾性追従係数qc
を別途設定するなど、よりきめ細かいものとしている。
一方、BDSではピーク応力の緩和損傷として別に考慮されていた D**をクリープ緩和
損傷D*に統一したり、弾性追従係数の合理化に伴って Neuber 則に基づくひずみ集中評価
法をKKe'から本来のK2Ke'とするなどの変更も行っている。
(5)部分非弾性解析の導入
計算機の進歩に伴い、設計においても非弾性解析が実用化される時代となったことを背
景に、非弾性解析による設計法も検討が進められた。非弾性解析による設計については後
述のFDSを待つことになるが、DDSにおいても部分非弾性解析の適用を許容した。部
分非弾性解析とは、評価対象部のラチェットひずみあるいは弾性追従係数のように対象を
限定したうえで非弾性解析により求めるものである。これを適用することにより、ラチェ
ットひずみや弾性追従係数をより合理的に設定できるようになった。
(6)配管設計法の合理化
実証炉では配管の引回しスペースの大幅な合理化のため少数エルボ配管(逆 U 字管)を
採用した。この配管の評価を合理的に行うため直管の変位制御型荷重による座屈評価法や
繰り返し強制変位によるラチェット評価法などの開発を行った。更に、従来の熱膨張荷重
に対する規定であるSe制限(熱膨張により生ずる応力強さ範囲Seを3Sm(-)以下に
制限)に代えて、配管系の弾性追従挙動とラチェット挙動を評価して非弾性ひずみを制限
15
値以下に抑える規定に見直した。
(7)特定構造物の評価法
BDSでは、容器と配管の設計法を与えていたが、実際の設計に当っては特殊な評価法
が必要なものが幾つかあった。
・ベローズ設計評価法
EJMAの応力算出法等が知られていたが、動燃事業団の研究などを基に応力評価法、
ベローズのラチェットメカニズムに立脚したひずみの評価法、コンボリューション相互の
ばらつきを考慮したひずみ集中評価法、塑性崩壊、弾塑性崩壊、コラムスクワームなどの
座屈挙動を評価する体系としてまとめた。
・管板設計評価法
伝熱管の孔周りの評価のため、ASMEの手法などが知られていたが、コンパクト化を
指向するため、孔−孔管のピッチが小さくなった場合の評価法などを加えた動燃事業団の
研究などを取り入れて評価法をまとめた。
・炉心支持構造物評価法
炉心支持構造物の合理化のため板を溶接で組み立てるボックス構造の実現を目指して、
突合せ溶接以外のT字型などの完全溶け込み溶接を対象とした評価法を作成した。
(8)座屈評価法
電力中央研究所を中心に、円筒容器の曲げ座屈及びせん断座屈に関する研究が行われ、
そこで作成されたせん断と曲げを同時に受ける円筒容器の座屈評価法を採用している。ま
た、地震時には弾塑性応答挙動をすることから、塑性エネルギー吸収による動的応答低減
係数Dsを考慮することとした。また、中間熱交換器の流入窓部を想定した孔を有する円
筒構造の座屈評価法が作成された。配管についても、(6)で述べたように強制変位を受け
る直管の座屈評価法が追加されている。
この他にも、ラチェット現象を研究するための非弾性解析法における大野−王モデルや電
中研のモデルなど非弾性構成則の高度化等の急速な進歩が上げられる。これら各種の評価法
の研究を取り入れDDSの高度化が図られた。また、LBBについても検討が行われ、従来
と比べて合理的な評価が可能になった。
2.3.2 DDSからFDSへ
DDSに続いて、平成12年度より通産省発電用新型炉技術確証試験の中の設計手法高
度化確証試験の一環として実用高速炉高温構造設計方針(暫定案)(略称FDS)の研究が
行われ、平成16年度に暫定案および解説が作成された。DDSからの主要な改良項目を
以下に紹介する。
(1)非弾性解析の実用化
DDSで採用された部分非弾性解析をさらに一歩進め、構造物の設計を非弾性解析を用
16
いて実施するために必要となる構成式、設計評価法および必要な物性値等をガイドライン
として与えることとした。ハードウェア及びソフトウェアを含む計算機環境の一層の進歩
により、非弾性解析を設計で利用するためのハードルは低くなる一方で、非弾性解析を用
いた場合の構成式や解析方法の選択肢の多さ、機器の負荷形態などに起因する解析結果の
幅やあいまいさが問題となって、これまで実用化が先送りされていた。FDSでは、材料
や荷重の特徴を考慮し、適用範囲を限定することで保守性を確保した形で統一的な非弾性
解析による設計方法を与えている。
ここで、応力とひずみの両者を保守的に計算することは不可能であることから、ラチェ
ット変形とクリープ疲労損傷との関連が強いひずみを保守的に評価する方針とした。構成
式としては、簡易であるが商用コードに備わっている2直線モデルをひずみを大きめに算
出するように運用する比較的古典的な手法と、近年最も現象を良く表すもののひとつとさ
れている電中研の解析モデルを設計用に保守的になるよう設定したFDS用電中研モデ
ルを推奨している。また、負荷履歴効果を考慮してひずみが大きめになる荷重履歴設定法
についても規定している。クリープ疲労損傷評価については、非弾性解析により予測した
ひずみから疲労損傷とクリープ損傷の両者を保守的に評価する方法を与えている。
(2)熱荷重設定法の明確化
これまで構造設計の上流側で設定されていた荷重に比較的大きな裕度が含まれている
ことが多かったこと及び荷重を含めて評価法を考慮しなければならない場合があること
の両者から、高速炉で重要な熱荷重の設定法をガイドラインとして設定した。前者の代表
として起動やトリップなどの系統熱過渡荷重の合理的設定法として、従来から用いられて
きた多直線化による方法と、合理化効果の大きい実験計画法を用いた手法を新たに開発し
与えている。後者の代表として、高低温流体の合流部での高サイクル熱疲労の評価法を与
えている。高低温流体合流部では、流体の温度の揺らぎの周波数だけではなく、これに構
造物の温度変化の追従を同時に考慮しなければならず、熱荷重の繰り返しと発生応力の繰
り返しが同一ではないため、両者を独立に設定するだけでは適切な評価が得られない問題
である。
(3)防止すべき破損モード拡充
DDSでも液面ラチェットなど新たな現象の評価法を加えてきたが、さらに設計の適用
範囲を広げる観点などから防止すべき破損モードの拡充を図っている。ひとつは、ラチェ
ット疲労評価法であり、一定のラチェットひずみを許容した設計を念頭に、ラチェットひ
ずみが疲労強度に及ぼす影響について研究を行い、現状FDSのひずみの制限下において
は有意な強度低減は生じないことを確認している。また、もんじゅ熱電対ウェル破損に代
表されるような高サイクル疲労や(2)項の高低温流体合流部の高サイクル熱疲労などに
ついても考慮する体系となった。
(4)評価法の高度化
設計の合理化を狙って、クリープ設計領域を従来の最高使用温度で判定する方法から、
17
温度と使用時間の関係を表す negligible creep 曲線によって設定する方法を採用してい
る。また、DDSでは特殊構造として一部設計評価法を与えたものがあるが、より一層構
造が多様化し3次元構造物が増加することを踏まえ、この場合の1次応力の評価法を準備
した。これは材料定数等が変化しても応力が変化しない骨格点応力を1次応力の評価点と
して採用するものであり、今後設計の合理化のために多様な構造を採用することを可能に
している。
[参考文献]
[2.3-1] Takakura,K.,et al ," Elevated temperature Structural Design Guide for DFBR in
Japan",1993,SMiRT-12 Trans., Vol. E,pp.77-88.
[2.3-2] Takakura ,K., et al ," Improvement of Elevated temperature Structural Design Guide
for DFBR in Japan",1995,SMiRT-13 Trans., Vol. E,pp.389-400.
[2.3-3] Kawasaki.N, et al "Recent Design Improvements of Elevated Temperature Structural
Design Guide for FBR in Japan",1999, SMiRT-15 Trans., Vol. F,pp.161-168.
[2.3-4] Sadahiro.D, et al "The Design Standard for Strain limitation in Japanese Demonstration
FBR Design ",1999, SMiRT-15 Trans., Vol. F,pp.169-176.
[2.3-5] Akiyama.H "Seismic resistance of Fast Breeder reactor components influenced by
buckling" Kajima Institute Publishing.
[2.3-6] Kasahara.N "THERMAL FATIGUE EVALUATION METHOD BASED ON POWER SPECTRUM DENSITY
FUNCTIONS AGAINST FLUID TEMPERATURE FLUCTUATION" 2005 ASME PVP, PVP2005-71307
[2.3-7] Shibamoto.H "DEVELOPMENT OF GUIDELINES FOR THERMAL LOAD MODELING"2005 ASME PVP,
PVP2005-71630
[2.3-8] Nagashima.H "APPLICATION OF A CLASSIFICATION METHOD TO OBTAIN PRIMARY STRESSES
WITHOUT EVALUATION SECTIONS TO PERFORATED STRUCTURES" 2005 ASME PVP, PVP2005-71690
18
2.4 将来の規格・基準に向けて
2.4.1 システム化規格の導入
BDSからDDS、FDSまでは、建設時の構造設計を行う方法をまとめた設計規格あ
るいは材料規格の枠の中での高度化研究が進められてきた。一方で、プラント設計・建設・
運転・維持のライフサイクルを一貫評価することにより総合的に裕度を適正化し、プラン
トの抜本的な合理化によるライフサイクルコストの低減を図る新たな規格基準体系構想
として「システム化規格」概念が朝田東大名誉教授により提案され、その具体化が通産省
発電用新型炉技術確証試験の中の設計手法高度化確証試験の一環として検討された。シス
テム化規格とは、規格基準に含まれる幾つかの技術項目の間で余裕を相互交換可能にする
ことにより、余裕の重複を避け過剰な余裕を適正な水準に合理的に設定することを目標と
する柔軟な基準規格体系とされている。これを実現するため、技術的詳細事項を規定する
部分規格と、それらに含まれる余裕を機器設備全体の総合的健全性を与えることにより最
適化する方法を与える管制規格を設定している。部分規格の間で余裕を交換するための指
標として、信頼度指数を用いることを検討しており、信頼度指数はリスク概念技術におけ
るリスクによって定量化される品質保証水準といったものや、リスクの計算が困難な場合
に相対値で部分信頼度指数を与える簡易な方法などが検討されている。これらの方法につ
いては、配管エンドキャップやノズルといった比較的単純な具体的問題を設定し、原子力
以外の分野を含むエキスパートが行う設計選択肢の分析などを実施しその妥当性の確認
を積み重ねている。
システム化規格の考え方は、従来の規格の規定・範疇にとらわれない、斬新な考え方で
あるため、現在、日本国内の原子力構造分野関係者及び米国機械学会関係者にて、規格の
考え方、方向性の議論を実施している段階である。国内では日本溶接協会に「SBC 委員会」
が設けられ、国際的には 2006 年度の ICONE などにおいて特別セッションが計画されるな
ど、活発な検討が展開されている。
2.4.2 BDSの民間規格化
もうひとつの規格基準の動向として、設計基準の性能規定化、詳細評価法の民間規格化
があげられる。構造健全性に関する規定について国が定める部分を性能規定化することに
伴い、従来の告示501号などの設計評価法の詳細部分が、民間規格化されている。軽水
炉の設計に対しては、告示501号等に相当する部分を日本機械学会において、設計・建
設規格として整備している。高速原型炉の設計評価法の詳細部分であるBDSに相当する
部分についても同様に、機械学会設計・建設規格の第2編として整備が進められている。
[参考文献]
[2.4-1] Asada Y., et al., "System Based Code -Principal Concept", Tenth International
Conference on Nuclear Engineering, 2002 April, (2002)
19
[2.4-2] Asada Y., et al., "System Based Code - Basic Structure", Tenth International
Conference on Nuclear Engineering, 2002 April, (2002)
[2.4-3] Asayama, T., et al., "Development of the System Based Code for Fast Breeder Reactors
and Light Water Reactors - Basic scheme -", Tenth International Conference on Nuclear
Engineering, 2002 April, (2002)
[2.4-4] Asayama, T., et al., "Development of the System Based Code for Fast Breeder Reactors
- Probabilistic methods in creep-fatigue evaluation -", Tenth International
Conference on Nuclear Engineering, 2002 April, (2002)
[2.4-5] Asayama, T., et al., "Development of the System Based Code for Structural Integrity
of FBRs", ASME PVP Vol.439, (2002) 265
[2.4-6] 発電用原子力設備規格 設計・建設規格 第Ⅱ編 高速炉規格(案)
械学会(公衆審査版)
20
平成 16 年 日本機
3.明日への提言
3.1 アンケートの実施
高速炉用構造・材料に関する技術伝承や活性化方策に対する具体的な方策を検討し、実施
していくために、アンケート調査を実施した。
アンケート内容は下記の4項目であり、40名の方々からご回答を頂いた。
① 技術伝承(1)
:どのような方法をもってすれば技術伝承は可能となるか
② 技術伝承(2)
:皆様の周りでの技術伝承の例をご紹介ください
③ 活性化方策:本分野の研究を活性化していくアイディアがあればご教授ください
④ その他:構造材料分野の研究開発に対し、ご要望・ご提案など、ご自由に記載ください。
21
3.2
アンケートの分析結果
以下の4つの設問に対し、アンケートを実施した。回答者は、基本的に構造・材
料関連研究者及び炉心材料、流体など関連分野の研究者である。なお、現役研究者、
元研究者(現マネージャ、現他分野)の両者が回答しており、割合としては、元研
究者の方が多いものとなっている。
設問1:どのような方法をもってすれば技術伝承は可能となるか
設問2:周囲の技術伝承の例
設問3:本分野の研究を活性化していくアイディア
設問4:構造材料分野の研究開発に対する要望・提案
これらの回答に対し、回答の傾向、回答の要点、今後可能な方策案を分析した。
無論、分析自体は、分析者の私見に左右されており、回答数自体も決して多くない。
そのため、回答そのものも添付し、読者が自ら判断できるようにした(表 3-3
ア
ンケート回答集)。
1. 技術伝承(1)
設問:どのような方法をもってすれば技術伝承は可能となるか
回答の傾向
i.
ニーズの存在
ii.
プロジェクトの存在
iii.
公的機関の関与
iv.
質の良い情報の存在
v.
実体験の有無
vi.
経験者の参画
vii.
人の確保
viii. 議論できる場の存在
ix.
雰囲気・伝達方法・環境
回答数:
3
8
1
16
3
7
5
5
4
回答の要点
ⅰのニーズは、伝統技術の伝承ではないので、まずはニーズだという意見。技術に
は汎用性があるので、ニーズを探し、ニーズへの解答を作ることでのみ以前の技術を
凌駕し、伝承も可能になるという意見。また、技術伝承の必要性自体も冷静に議論す
べきとの意見もあった。
ⅱのプロジェクトは、i のニーズとも関連するが、商用レベルの材料開発、既存プラ
ントの改造、試験設備の設計・建設・運転、保安院のエンドースまでを念頭においた
規格策定・改訂作業が有効という意見。プロジェクト検討・計画提案だけでも意義が
22
ある。プロジェクトがなければ、予算がなく、人がいなくなる。プラント(実物)に
適当して初めて、技術の価値が認識できる。との意見もあった。また、国策としてプ
ラント建設が必要、10 年に 1 基の建設が必要との意見もあった。
ⅲの公的機関の関与は、継続的な費用負担が必要など、公的機関の関与を求める意
見。
ⅳの質の良い情報の存在は、思想的な背景、解説、根拠、理由、標準化、体系化が
必要、公開データベース、教科書、報告書、次の世代が読める平易な解説書なども必
要とする意見。まず伝承対象を明確にすることが重要との意見もあった。
ⅴの実体験は、試験においては、データのばらつきや、熱処理、成分など考慮すべ
きパラメータが多く、判断力を養う上で実体験が欠かせない。計算機や解析コードで
はなく、本物を見て、試行錯誤する必要がある。試行錯誤する能力は、経験を通して
のみ身につくとする意見。
ⅵの経験者は、現役管理職、リタイアした技術者の技術職への復帰、OJT、経験者
と若手の意見交換が必要とする意見。
ⅶの人は、バランスの取れた人員配置、人材の確保が必要、また、個人を指名した
上で対策が必要という意見。大手メーカーでも既に人材確保は不可能であり、公的機
関(JAEA など)での人材確保が必要との意見もあった。
ⅷの議論できる場は、勉強会、専門家集団の非公式、公式会合、関係世代間技術者
WG の継続的活動、若手の出向、懇親会などを通し、議論の積み重ねが重要とする意
見。現状は、資料の体裁や末梢的な正確さにこだわりすぎで、議論できていないとい
う意見もあった。
ⅸの雰囲気・伝達方法・環境は、情報発信者自身が議論しやすい雰囲気を作る、世
代により伝承方法が異なる、誇りを持てるような雰囲気、人材育成できる環境の整備
といった意見。
回答の分析
プロジェクト自体の存在を重要視する意見がほとんどではないかという予測が、ア
ンケート前にあった。しかしながら、アンケート結果からは、プロジェクト自体より
も、プロジェクトが存在することで、本気で議論する場が確保できる、人が確保でき
る、といったプロジェクトの効果を重要視する意見が多く、またプロジェクト以外の
項目を指摘する回答も多かった。一方、質の良い情報、経験者の参画を指摘する回答
も多数見受けられた。
プロジェクトに関しては、前述のように、議論の場、適用の場、人材確保の場とし
ての位置づけをした回答が多く、そのため、商用レベルであること、既存炉の改造計
画を提案していくこと、試験設備の設計を実施すること、エンドースを前提とした規
格策定作業をすること、といったプロジェクトの性格について言及した回答が多数を
23
占めた。
質の良い情報としては、思想的な背景、解説、根拠、理由、標準化、体系化、公開
データベース、教科書などが挙げられており、現在は、論文(新規知見)に価値観が
偏りすぎているとの意見もあった。現在は、情報量は多いが、玉石混合で、質が必ず
しも高くないと感じている技術者が多いと思われる。
経験者の参画の意見も多かったが、一方で本回答を受けて、現状では経験者を再雇
用しても有効に活用されていない、つまり資料をまとめているものの、反映先が明確
でなく、せっかく作成しても、また埋もれていくだけとの意見も回答分析会議の中で
出た。結局、経験者の参画は、議論への参画や資料の質の向上、体系化、公開化に向
けられるべきで、それらとリンクしないケースも現状では見受けられるということだ
と思われる。
議論の積み重ねの必要性、その場の確保を求める声が、予想外に多かった。メンバ
ー構成の段階から戦略をもった分野ごとの世代間に亘る会合が今後必要となるものと
思われる。
今後可能な方策案
活性化方策とも関連するが、戦略的な議論の場の創出、それと関連したプロジェク
トの戦略的創出、情報の集約と質の向上、体系化、公開化、共有化、経験者の活用方
法の再検討、が有効と思われる。
具体的には、活性化方策の項目で記す。
なお、既に経験者を委員として迎え入れて、効果的な活動をしている委員会(機械
学会耐震設計分科会等)では、経験者は、協力したがっている、リタイアした方に委
員として来ていただいている例もある、彼らは、前向きに協力してくれる姿勢を持っ
ており、自らうまく使えという意見を彼ら自身持っているとの意見も出た。
2.技術伝承(2)
設問:皆様の周りでの技術伝承の例をご紹介ください
回答の要点(要並べ替え)
・ 6,7 年に一度の継続的、定期的な人材投入。
・ 設計部門との人脈強化
・ 10 年以上に亘る該当分野の研究への従事
・ 体での体験
・ 設計マニュアルの作成(公開)
・ 最適仕様、最適構成、最適構造を記載した設計基準書の作成
・ 退職者の再雇用
・ 技術の可視化(ビデオ)
・ 資料のデータベース化
・ 定例会における設計事例の紹介
24
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
後継者の育成
定期的な年長者による設計事例の紹介
設定根拠書、変更来歴書の作成
実物を前にした現場での技術伝授
意識の向上(得られた知識は世の中に還元しようといった)
委員=若手、オブザーバー=経験者という構成の委員会
試験装置の設計・建設・運転
設計指針と解説書の作成
教科書(東大大学院)の作成と講義・演習
もんじゅ後の常陽 Mk.Ⅲ
成功体験
ガイドブックの作成
技術継承資料の作成と伝承
意識的、計画的な現場調査
委員会への積極的参加
回答の分析及び今後可能な方策案
回答例を分析すると、以下の分野に別けられると思う。解説書、教科書、試験方法、
適用例、議論の場。それぞれの分野での構造・材料分野での該当例を挙げると以下の
ようになる。
(執筆者の把握しているものをリストアップしたため、多少内容には偏り
がある。
)
解説書:
ASME のバックグラウンド
・Pressure Vessels and Piping : Design and Analysis, A Decade of Progress, Volume
One - Analysis, G.J.Bohm, R.L.Cloud, L.C.Hsu, D.H.Pai, R.F.Reedy, ASME, 1972
・Pressure Vessels and Piping : Design and Analysis, A Decade of Progress, Volume
Two - Components and Structural Dynamics, G.J.Bohm, R.L.Cloud, L.C.Hsu,
D.H.Pai, R.F.Reedy,ASME, 1972
・Pressure Vessels and Piping : Design Technology -1982-, A Decade of Progress,
S.Y.Zamrik, D.Dietrich, ASME, 1982
・Companion Guide to the ASME Boiler & Pressure Vessel Code Volume 1, K.R.Rao,
ASME, 2002
・Companion Guide to the ASME Boiler & Pressure Vessel Code Volume 2, K.R.Rao,
ASME, 2002
・Criteria of the ASME Pressure Vessel Code for Design by Analysis in Sections III and
VIII, Division 2, ASME, 1969
・Criteria for Design of Elevated Temperature Class 1 Components in Section III,
Division 1, of the ASME Boiler and Pressure Vessel Code, ASME, 1976
BDS,DDS,FDS の解説
・解説 高速原型炉第 1 種機器の高温構造設計方針, 動力炉核燃料開発事業団, PNC
TN241 84-14, 昭和 59 年 12 月
・解説 高速原型炉高温構造設計方針 材料強度基準等, 動力炉核燃料開発事業団, PNC
TN241 84-10, 昭和 59 年 12 月
・Structural Design Guide for Class 1 Components of Prototype Fast Breeder Reactor
25
for Elevated Temperature Service, Power Reactor and Nuclear Fuel Development
Corporation, PNC N241 84-08(1)TR, September 1984
・Structural Design Guide for Class 1 Components of Prototype Fast Breeder Reactor
for Elevated Temperature Service ‐ Standard for Strength of Materials, Power
Reactor and Nuclear Fuel Development Corporation, PNC N241 84-08(2)TR,
September 1984
・明日のエネルギーの礎に ‐高速炉を支える材料技術‐, (社)日本溶接協会, 1995
・明日のエネルギーの礎に ‐高速炉新材料の実用化に向けて‐, (社)日本溶接協会, 1999
・実用高速炉高温構造設計方針(暫定案)概説/本文/解説、非弾性設計解析に関するガ
イドライン(暫定案)概説/本文/解説、熱荷重設定に関するガイドライン(暫定案)
概説/本文/解説
教科書
表 3-1 に高温構造・材料関連の教科書のリストを示す。
試験方法
・低サイクル疲労の VAMAS 国際ラウンドロビン試験に関する資料 VAMAS 低サイク
ル疲労委員会,日本鉄鋼協会(1992)
・高温低サイクル疲労試験法標準 日本材料学会 高温強度部門委員会(2003)
・高速炉構造材料のクリープ疲労き裂伝播に関する試験研究(I)∼(IV) 動力炉核
燃料開発事業団委託研究 社団法人日本溶接協会 FCC 小委員会 (S59-62)、JNC
TJ225 84-01, JNC TJ225 85-03, JNC TJ2534 86-003, JNC TJ2534 87-002VOL1
適用例
・Recommended Practices in Elevated Temperature Design : A Compendium of Breeder
Reactor Experiences (1970-1987) Volume I – Current Status and Future Directions,
A.K.Dhalla, WELDING RESEARCH COUNCIL, Bulletin 362, April 1991
・Recommended Practices in Elevated Temperature Design : A Compendium of Breeder
Reactor Experiences (1970-1987) Volume II – Preliminary Design and Simplified
Methods, A.K.Dhalla, WELDING RESEARCH COUNCIL, Bulletin 363, April 1991
・Recommended Practices in Elevated Temperature Design : A Compendium of Breeder
Reactor Experiences (1970-1987) Volume III – Inelastic Analysis, A.K.Dhalla,
WELDING RESEARCH COUNCIL, Bulletin 365, April 1991
・実用高速炉高温構造設計方針(暫定案)適用例題集
過去の委員会、WG 報告書
表 3-2 に高速炉構造・材料関連の委員会のリストを示す。ただし、現在部分的に確
認できている委員会等であり、全体を網羅できているわけではない。
議論の場
日本機械学会規格
発電用設備規格委員会
材料分科会:シニアメンバーを委員に
発電用設備規格委員会
耐震設計分科:リタイアメンバーを委
迎え、検討中。
日本機械学会規格
26
員に迎え、検討中。
その他委員会
なお、資料自体の作成はなされているが、存在自体を認識されていない、非専門家
向けの平易な資料が少ないといった問題点が同時に挙げられた。今後、本検討資料等
を溶接協会のサーバー(http://www.jwes.or.jp)で公開するなどの方法を通じ、情報の
共有化を図っていく予定である。
3.活性化方策
設問:本分野の研究を活性化していくアイディアがあればご教授ください
回答の傾向
i. オールジャパン体制でのプロジェクトの創出
ii. 議論の場の存在
iii. 技術理解の促進
iv. 他産業・他分野の構造・材料研究との協力
v. もんじゅの活用方策提言
vi. その他
回答数:
14
8
7
6
2
1
回答の要点
ⅰのプロジェクトの創出は、長期スパンの計画、パイロットプラントを含むロード
マップといった計画自体から、産官学の役割分担、行政と所轄官庁への働きかけ、電
中研、原電、大学、JAEA、学協会、NIMS などのリーダーシップを希望する意見であ
る。なお、民間や大学だけでは立ち行かない政府関連機関のリーダーシップが必要と
いう意見もあった。プロジェクトが進行している実感を 5 年、10 年単位で成果をまと
めていくことで出していく、欧州の蒸気発電プロジェクトを参考にしてはという意見
もあった。
ⅱの議論の場は、プロジェクト主導の議論の場で、アイディア創出、技術伝承を図
る、戦略的試験計画の検討、若手勉強会を支援する委員会を挙げた意見。
ⅲの技術理解の促進は、可視化されたソフトウエア、パンフレット、平易な解説書、
討論会、教科書などアピール度の高い成果物を作成し、分野自体の PR をする、周囲
への理解促進を図るという意見。論文に価値観が偏重した結果、分野の重要性の認識
が低下した、体系化がなされていないという意見もあった。
ⅳの他産業・他分野の構造・材料研究との協力は、適用可能な分野の調査、軽水炉
や他の高温構造分野(超臨界圧を含む火力や石油化学のことと思われる)との協力、
高性能、長寿命燃料開発へのコミット強化を含む炉心材料分野との協力、流動と構造
の境界領域での研究推進といった意見。
27
ⅴのもんじゅの活用方策提言は、もんじゅ(常陽)の順調な運転だけでなく、新型
機器や新型構造のプラントへの組込みによる評価法の適用性評価、経年変化のデータ
取得、運転方法合理化提言、運転コスト低減といった意見。机上プラントではなく、
実際の適用が必要という主張もあった。
回答の分析
現実的には困難な点も多いが、国策を含む明確な長期計画を求める意見が圧倒的に
多かった。その中でも産官学の役割分担、リーダーシップを挙げる意見も多く、関連
機関間での協力が十分でないと認識している関係者も少なからず存在するものと思わ
れる。なお、担当者、担当機関に当事者意識が薄い、自分自身で未来へのビジョンを
持てとの意見もあった。
議論の場を挙げる意見は、ここでも多く、現在の委員会体制がかつてはうまくいっ
ていたが、現状にはそぐわないと感じている方もいるようである。
アピール度高い資料を求める意見が、関係者の間からも挙がっている。過去多くの
研究知見があるにも関わらず、このような認識がなされているということは、これま
での知識の蓄積のあり方を再考する必要性があることを示唆していると思われる。
もんじゅ、常陽といった既存炉に関しては、順調な運転のみならず構造・材料・製
作・計測・検査の技術確証試験炉としての役割を期待する意見が多かった。もんじゅ
に関しては、オールジャパン体制で今後の活用方法を検討すべきだという意見もあっ
た。
問題点
一方、上記のような活性化方策の一部は、既にこれまでに試されており、それでも
活性化しない原因を検討していくべきとの意見もあった。関連し挙げられた問題点は
以下の通りである。
現実には、公募型研究を含め、関連機関の協力体制は、以前より緊密になってきて
いる。それでも本分野では、予算確保、予算配分がほとんどなく、研究分野自体が陳
腐と認識されている傾向がある。
これまでにも、高速炉での高温設計技術を火力・石油化学分野へ展開しようとする
活動は存在した。しかしながら、活動自体は活発とはいえない。火力・石油化学分野
では、検査・補修への比重が高く、解析による設計を必ずしも必要としないのではな
いか。
委員会参加に対する会社のサポートは必ずしも多いといえず、個人の責任による参
加という面を持つことも多い。
解説書やパンフレットなどは、製作者が複数になるため、個人の成果物として考慮
される比重が少なく、社内的な評価が低い。
28
運転を最重要視するサイトと研究を重視する研究・開発部隊の間には、大きな認識
の差があり、なかなか運転と研究の溝が埋まらない。
既に、人はほとんどおらず、ごく少数の人間で、膨大な範囲の業務を実施せざるを
得ない状況になっている。
今後可能な方策案
上記回答の傾向、問題点を踏まえると以下のような方策が考えられる。なお、これ
らの意見は案として挙げられたものであり、会として合意を得た結論ではない。議論
の開始点として、ここに記載するものである。
研究計画立案時の関連機関の協力強化:
研究計画の検討、宣伝段階からのより緊密な協力が必要。マネージャークラスの関
係者には、契約前からの関係機関と検討作業を行うことに対する理解を求めたい。
なお、炉心安全の分野ではあるが、国内試験計画をセラフという形で提案したが、
試験炉の建設には至らず、その後、海外の TREAT(米)、CABRI(仏)、IGR(カザフ)
といった施設での試験を持って日の目を見た例もあるので、長期的な取り組みと試験
計画の改良、宣伝活動が有効であるものと思われる。
今後、公募研究応募に関連し、具体的な検討が、流動・構造分野、炉心・構造材料
分野などで進められることとなると思われるが、その際に関連機関のより一層の協力
強化、具体化提案を期待したい。
アイディア創出、プロジェクト創出、技術伝承を目的とする議論中心の委員会の開催:
既に関係する若手研究者の数は、少なくなっているが、このような委員会活動に対
する各社内での理解をまず求めたい。その上で、議論中心で、他業務への時間的影響
が少ない実施可能な、若手と経験者の混在する専門家集団の検討会が必要であろう。
プロジェクト提言、知識の体系化、公開化などの目標がなければ、議論の質が上がら
ないため、反映先を見極めた検討会が必要であると思われる。
資料のアピール性への評価:
新規性以外の思想的な背景、解説、根拠、理由、標準化、体系化、公開性、わかり
やすさへの評価を高め、本分野の評価を高める努力がしやすいようにする。論文数を
増やすという価値観から、本分野の 10 年後、20 年後において必要となる知識を作り
出すとともに、本分野の知識を維持、伝承していくために必要となる作業・検討を行
い、標準化、体系化、平易化に勤める必要性があると思われる。
29
既存炉の活用方策の提言:
常陽における IHX 交換時の 316FR の採用、自己作動型炉停止機構(SASS)の設置
などをふまえ、クリープ領域で設計されており、SG も有するもんじゅの活用方策を
提言していく。もんじゅは 3 ループプラントであるので、1ループのみ材料や機器を
変更するといった大胆な活用方法が期待できる。研究実証用の計測機器を設置し新型
モニタリングシステムを構築する、新型施工法の実証をするといったプラント活用方
策を検討していく。なによりも運転部門と研究部門間の交流を増加し、アイディアを
交換していくことが重要である。
伝承対象、重点検討分野の絞込み:
非重点分野の切捨てを含む思い切った絞込みが必要。何を残すべきか、今後どのよ
うな提案をしていくかという議論であり、新規提案にもつながりうる。
4.その他
設問:構造材料分野の研究開発に対する要望・提案
回答の傾向
i. 反映先意識を持つ
ii. 研究計画・試験計画の PR
iii. 成果のまとめ
iv. 結果の可視化、わかりやすさの追求
v. 他分野との交流
vi. 分野ごとの戦略的長期計画
vii. 人材・研究活動の確保
viii. リーダーシップ
ix. 世界 No.1の認識を持つ
回答数:
3
1
1
4
6
8
2
1
2
回答の要点
ⅰの反映先意識は、強度と物量のバランス、汎用性を考慮していくべき、ⅱの研究
計画・試験計画は、予算化への長期的活動が必要とするもの、ⅲの成果のまとめは、
成果のとりまとめを求める意見である。
ⅳの結果の可視化、わかりやすさの追求 は、成果の説明の平易化、構造最適化など
構造健全性評価結果の設計へのフィードバック、応力の高精度把握システムなどの実
施を求める意見である。
ⅴの他分野との交流は、火力、超臨界圧、ガスタービン、半導体、宇宙、航空、炉
心材料などの分野が挙げられた。
ⅶの分野ごとの戦略的長期計画 は、高温設計、冷却材の種別、施工法(溶接)とい
った対象分野ごとに戦略を検討する。5 年、10 年、20 年後に必要となる技術といった
30
観点から全体開発計画を考えるといった意見である。
ⅶは、人材・研究活動を確保する、ⅷ、ⅸは、リーダーシップ、矜持の要望である。
基本的に、活性化方策と同じ種類の要望となっている。
31
表 3-1 高温構造・材料関連教科書リスト
和文
・金属材料の強度と破壊,
日本金属学会強度委員会編,
・熱応力と熱疲労−基礎倫理と設計への応用−,
・材料の高温強度論,
平修二, 大谷隆一,
・現代材料力学, 平修二,
・材料強度学,
平修二,
横堀武夫,
丸善株式会社(S43)
日刊工業新聞社(S49)
オーム社(1980)
オーム社(S48)
日本材料学会(1996)
・有限要素法による熱応力・クリープ・熱伝導解析, 矢川元基, 宮崎則幸, サイエンス社(1985)
・高温強度の材料科学−クリープ理論と実用材料への適用−, 丸山公一編署,
内田老鶴圃
(1997)
・金属クリープの基礎, Garofalo, 足立訳,
丸善株式会社(1965)
・高温機器部品の損傷メカニズムと寿命評価, R. Viswanathan 著, 増山不二光, 丸山公一訳, 日
刊工業新聞社(1993)
・原子力プラントの構造設計, 安藤良夫, 岡林邦夫, 東京大学出版会(1977)
・総合材料強度学講座7
環境・高温強度学
・総合材料強度学講座 8
機械構造強度学
・動力プラント・構造物の余寿命評価技術,
・原子炉構造設計
大谷隆一, 駒井謙治郎, オーム社(1984)
朝田泰英, 鯉渕興二,
オーム社(1984)
日本機械学会編, 技報堂出版(1992)
数値解析から耐震設計まで
矢川元基, 一宮正和, 培風館
・クリープ強さの理論, F.K.G.オドクヴィスト, J.ハルト,培風館(1967)
・熱応力, 竹内洋一郎, 日進出版(1975)
〔英文〕
・High Temperature Component Life Assessment, Webster, Ainsworth, Chapman&Hall (1994)
・Design for Creep second edition, Penny and Marriott, Chapman & Hall (1995)
32
表 3-2 高速炉構造・材料関連委員会(現在確認できている委員会等)
.1 日本機械学会(委託元:動力炉・核燃料開発事業団)
委員会名称
研究件名
EPICC
「非弾性構造解析法の調査と試用」
EPICC
「非弾性構造解析法の実用化に関する研究」
EPICC
「非弾性構造解析法の設計適用法に関する研究」
期間
S49∼S51
S51∼S53
S54∼S56
.2 日本溶接協会
.2.1 日本溶接協会 原子力研究委員会(委託元:科学技術庁)
小委員会名称
研究件名
原子炉材料の疲労とクリープの相互効果を考慮した構造設計
48FCI
基準に関する試験研究
49FCI
50FCI
FPF
FBR の配管健全性、供用期間中検査に関する調査
期間
S48.5∼S49.7
S49.10∼S50.3
S50.7∼S51.3
S56
.2.2 日本溶接協会 原子力研究委員会(委託元:動力炉・核燃料開発事業団)
小委員会名称
研究件名
期間
FBR
高速炉用ステンレス鋼に関する調査
S43.6∼S45.5
FRW
高速炉構造用ステンレス鋼の溶接施工に関する研究
S44.12∼S46.12
FRW
高速炉蒸気発生器構造部材の溶接施工に関する研究
∼S49.10
FNA
高速炉構造材料ナトリウム中試験にともなう試験研究
S46.9∼S50.3
FNA
高速炉構造材料のナトリウム環境効果
∼S51.3
SPN
高速炉の構造解析ならびに構造設計に関する調査
S47∼S52、
S57∼S59
FRW
高速炉蒸気発生器構造部材の溶接施工に関する研究
S46.11∼S49.10
PFW
高速原型炉用構造材料の溶接に関する研究開発の調査
∼S51.3
PFW-A
SUS304,316 および 21/4Cr-1Mo 鋼の溶接施工法選定試験
∼S52.10
PFW-B
ナトリウム配管補修溶接法試験
PFW-C
高速原型炉主冷却系配管の製作に関する試験研究
∼S53.3
FAE
高速炉構造材料のAE特性に関する試験研究
S53∼S54
WQF
高速炉構造材料溶接部の品質評価に関する調査
∼S53.10
P.PCI
高速炉構造材料の設計許容応力の評価検討
S53
P.PCI
疲労およびクリープ疲労標準試験方法に関する研究
S53∼S54
FNW
高速炉構造材料溶接部の非破壊試験に関する研究
S54∼S57
ESJ
高速炉高温機器の溶接部強度特性評価のための試験研究
S54∼S57
FWP
高速炉用溶接施工法の確立に関する研究
S54∼S57
FAET
AE 法による高速炉構造材料の健全性評価に関する試験研究 S56∼S59
FCC
高速炉構造材料のクリープ疲労き裂伝播に関する試験研究
S58∼S61
FCC
高速炉の構造健全性に関する基礎研究
S62∼H2
FNE
高速炉構造材料溶接部の非破壊試験技術確立に関する研究
S58∼S60
FWS
高速炉構造材料の溶接継手強度に及ぼす溶接施工パラメータ S60
の影響に関する試験研
FFW
SUS304 大型鍛鋼溶接部の品質向上に関する試験研究
S61∼H2
.
2.3 日本溶接協会 原子力研究委員会(委託元:日本原子力発電(株))
小委員会名称
研究件名
期間
FSG
蒸気発生器の構造材の品質向上の研究
S60∼S63
FNC
改良9Cr 鋼材料のデータの評価研究
H1
FME
改良9Cr 鋼データの評価研究及び高速炉構造用 SUS316 の H2∼H10
評価研究
33
3.日本高圧力技術協会
名称
委員会名称(略称)
期間
ETD
米国 PVRC の高温設計委員会(ETD 委員会)との国際協力。 H2∼H5
もんじゅ用構造設計指針の一般高温構造用設計指針への拡張
ETD
構造物非弾性挙動高速計算法の開発に関する調査研究(米国 H6∼H10
PVRC との共同研究)
ETD
火力発電設備、石油化学設備等の高温構造機器に対する一般 H11∼
的高温強度評価技術指針を検討
4. 評価委員会
設置場所
委員会名称(略称)
日本電気協会 高速炉高温構造設計調査特別委員会(高特委)
日本溶接協会 高温構造設計評価委員会(DDS)
日本原子力発 設計手法高度化委員会(METI)
電(株)
5. 動力炉・核燃料開発事業団内部の組織的活動(メーカも参加)
検討会名称
検討作業
設計基準 WG
高速原型炉高温構造設計方針の作成
非弾性 TF
非弾性設計解析のガイドライン作成
座屈 TF
座屈設計基準の策定
管板検討会
管板設計法のガイドライン作成
中 性 子 照 射 効 クリープ強度に及ぼす熱中性子照射効果を検討。設計基準
果 TG
WG 下の TG。
PDS-TF
高温第1種管構造設計基準(PDS)検討タスクフォース
高温第1種管構造設計基準(案)(S53)を作成
VDS-JG
高温第1種容器構造設計基準(VDS)検討ジョブグループ
高温第1種容器構造設計基準(案)
(S53)を作成
BDS-JG
基本設計基準(BDS)ジョブグループ、材料強度基準(MSS)
MSS-JG
ジョブグループ、各種設計基準(MDS)ジョブグループに
MDS-JG
より、高温第1種機器構造設計基準(BDS)、材料強度基準
(MSS-国産材料データを中心に策定)、第1種機器以外の
設計基準を作成
KOM-MSS-WG 材料強度基準の改良案作成(第1∼5S/G)
その他
構造解析手法 TG(S58),原子炉容器内構造物設計基準 J/G
(S53)、第 3・4 種機器 J/G(S53)
6. 電力中央研究所の研究
タンク型 FBR フィージビリティスタディ
・原子炉構造の耐震特性
・原子炉上部構造の熱・荷重変形特性
・原子炉容器内流動特性
・原子炉容器内隔壁構造
・燃料移送設備の耐震・作動特性
発電用新型炉技術確証試験(高速増殖炉技術確証試験)
・高温構造健全性評価技術確証試験
・薄肉構造物座屈評価技術確証試験
・FBR免震システム確証試験
34
期間
H6∼H8
H9∼H10
H13∼H16
期間
S51∼S59
S58.5∼S59.3
S58.5∼S59.5
S56∼S57
S57
S52
S53
S54
S61,62
S56-58
S62-H9
表 3-3 アンケート回答集
設問1:どのような方法をもってすれば技術伝承は可能となるか
i.
No
1
2
3
ii.
No
1
2
3
4
5
6
7
ニーズの存在
回答
ニーズを明確化し、研究資金を確保できれば、自ずと技術伝承されていくものと思いますが、こ
れが難しいのかも知れません。
伝統技術の伝承ではないので、まずはニーズがなくてはだめ。規模は問わずとも新しい技術を取
り込んだ炉を建設・運転することが一番早く確実であり、これを本線とすべきである。とはいっ
ても現在の環境では簡単ではない。まずは、必要とする技術を発掘することが大事である。それ
が、一旦は高速炉に限定はされない技術であるかもしれない。しかし、技術には汎用性はある。
若い技術者が、自らの手で新しい技術を開発してこそ国際競争ができる。保護されてはいけない。
技術継承では、若い技術者が以前の技術を凌駕して、先進的な技術を、夢と意欲を持って積極的
に取り込んでいける仕組みを築くことである。
・日本において技術伝承する必要があるのか/他分野への活用の機会があるのか否かを、冷静に
検討すべきでは?技術伝承ありきは、将来への伝承を負わされる若手技術者にとっては負担が多
い。
・文章にできるものはできるだけ文章にすること。
・文章に出来ないものは、映画や写真など media を使って記録をとる努力をする。(その時に、
予め、Know how を分析してどのような記録が可能か、優先度の順位付け、などやり方に対する
分析が必要かもしれない。)
・増殖炉のような私企業として伝承出来ない開発案件は、国策なので、できれば国プロとして実
施するのが良い。この分野の OB のボランティヤまたは再雇用で実施する方法が良いと思われる。
(残す必要が明確であれば)
プロジェクトの存在
回答
現在の社会状況において技術の伝承は高速炉用材料に限らず日本全体の構造用材料の共通問題と
なっています。技術の伝承は、その分野での活性化に大きく関ってきます。FBR に関しては計画、
新設等の将来像が見えない事が技術伝承に問題を呈していると思われます。企業に於いても FBR
の案件が無く、予算がつかず、最初に研究費が削減され、投入する人がいなくなり、継承する人
がいなくなります。やはり人だと思います。リストラが進み企業に余力の無い現状では必然的に
技術伝承の問題は生じます。従っていかに活性化するかが技術伝承のかぎとなります。機械学会
でも技術伝承を問題にしていました。
プラントの建設や大規模試験などの実施が、やはり有効。なかなか実施できないが、プロジェク
トを検討・計画し、提案していくだけでも効果はあると思う。研究実施のみに目をやらず、計画
自体に、もう少し労力を掛けるべき。
対象(プラント)の存在(基本設計、開発工程が合意されている)、明確な開発材料に対する要求仕様、
妥当な開発工程と予算確保の下での産官学連携による「商用材料」開発プロジェクトを持つこと。
「商用レベル」の材料開発でなければ真のノウハウは後継できないと思う。
規模は小さくても良いので実際のプラントを作ることが一番効果があると思います。既存プラン
トの改造やある程度の規模の試験施設の設計・建設・運転もかなり効果があると思います。
試験施設を含む、定期的な高温構造システムの建設と運転
技術は使う場面や使う機会がなければ、必要がなくなり、すたる。技術の意義や価値は、実際の
物(プラント)に適用し、効果を出してはじめて認知されるので、規模は小さくとも適用の場が
必要である。そこでは、経験豊かな年輩者から若年者までがチームを組んで技術を高め、適用す
る経験を得る。これが技術伝承として最も効果的だ。新規プラントの建設が無理となれば、既存
プラントの改良プロジェクトを起こす。
メーカの立場で言わせていただくと、適用する新規製品があってこその技術であり、メーカは然
るべき人材を充て、技術伝承も自ずと行われるものと考えます。従って、FBRについていえば、
新規のプラント建設計画が必要です。実際に実機を設計し、許認可を通し、建設、試運転、商用
運転を通してのトラブル対策も含めた各種経験により技術は確立され、そういった確かな技術だ
けが伝承されていくものと考えます。しかし、現在のFBRのように20年くらいに1基しか建
35
8
設されないようでは技術維持・伝承は困難であり、ある特定の技術分野のチームの人員構成(ベ
テラン、中堅、新人)を考慮すると、長くても10年に1基程度の頻度で建設されて行かねば技
術伝承はできないと考えます。最近のIT技術を活用したドキュメントの蓄積があったとしても、
技術はモチベーションを有する人から人へでないと伝承されないと考えるためです。
お金さえ付けば人も付くので、作業を通じて自然と技術伝承が行われる。現在は個人個人でこな
すような小さな作業しかないため、周りの人と絡む機会が極端に少ない。
プラントの設計/製作や許認可等のノウハウは、プラントの継続的な建設が不可欠である。技術
が絶えないように、国策としてプラント建設を推進すべきだと考える。
iii.
No
1
公的機関の関与
回答
少ない人でも関係する人を残して、技術を伝承させることだと思います。人がいなくなれば、資
料が残っていても分からなくなり、技術は伝わらなくなると思います。メーカで出来なくなれば、
国や公共機関での費用負担を継続的にお願いすることが大切と思います
iv.
No
1
質の良い情報の存在
回答
構造設計基準策定の観点において、規格解説等には結論的な内容が多く、思想的な背景が少ない
ものも多数ある。このような背景は、議論に加わった人にしか残っていないと考えられ、後々不
都合が生じると考えている。計算法、評価法等は、設計ツール化する等で技術継承可能と考える。
上記の思想的な箇所は、実施の可否は別として思いつくものを列挙すると、 残っていれば、過
去の議事録等を確認して、重要事項をまとめ直す、 解説を充実させる場を設ける、 今回のよう
な場を定期的に設け、その際の資料を技術資料として束ねておく等があると考える。
設計基準の解説を充実させる。
成果をまとめて文書化しておくことも、後から振り返って立ち上げるときには必要。
弊社に於きましても、熟練労働者及び若手技術者の減少が進んでおり、技術伝承は重要な課題と
認識しております。特に現場における細かいノウハウは、伝承が難しく、十分な対策はありませ
んが、極力文書化したり、データベース化するようなことを心がけるようにしております。
この会のメンバー、及び関係者誰もが覗けるホームページの作成
< ホームページの中身 > 重要(討議し決める)事項の記事、解説記事(根拠、理由)の記
載
個人の現場現物経験(当然多くの失敗経験も含む)をベースとした技術の伝承はまず無理と考えて
います。一方、研究成果の大半は報告書で伝承できると思います。高速炉の材料・構造の技術は
後者ではないでしょうか。(但し、特殊な研究であって、研究実施者が得た技術知見で報告書には
載らないような技術の伝承は無理と思いますが)。
伝承すべき技術の根拠をしっかり伝えておく工夫が重要であることを言いたい。構造基準、材料
基準で設定される、クライテリアや許容値の策定根拠は、時に無視される事があるが、これまで
の研究者がこれを残すことは責務と思うことにより伝承を可能にするひとつの方法と思う。
ものつくり以外では、保安院のエンドースまでを明確な目的とした規格・基準の高度化・改訂作
業もよいと思います。
JAEA 等中立機関サーバへの情報の集約と継続的なメンテナンス
基準化や教科書作成を通した、技術の体系化
万一の事故・故障時には原因究明や防止対策にグループを編成して取り組む。どのような場合に
も、技術の高度化やその根拠の文書化、技術の標準化(基準化、計算コード)を心がける。
技術的知識の蓄積
報告書やマニュアルの整備で可能。しかしこれらは技術の“干物”。
現在ある高速炉関連の原子力委員会で出された報告書は膨大である意味では宝の山なのですが、
次の世代の人がこれを一から読むのは大変です。また関係した人も退職された方が多いのが現状
です。何か高速炉の技術に関する平易な解説書があればと思いますが。
(すでにあるのであればご
容赦ください。)
企業としては継続しての仕事があることが最重要です。また、今後の長計が明確になっているこ
とも必要です。但し、1 企業としては限界があるので、公的機関での資料の保管・公開も必要か
と思います。
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
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14
36
15
16
v.
No
1
2
3
vi.
No
1
2
3
4
5
6
7
「技術伝承」とよく言われるが伝承するに値する「技術」は何かを伝承する側がはっきりさせる
必要がある。2.
「学術的」
「データ」
「経験」
「Know−How」など分野によって多分異なる。一番
重要なのは「課題の見つけ方」「解決の仕方」など考え方・プロセスではないかと思います。
関連各機関に対し、開発研究としての業務が継続できるような発注があることが前提だと考えら
れる。しかしながら、上記は不安定となる可能性があり、少なくとも、研究の成果をデータベー
スとして使いやすい形でオープンにしておくことで風化してしまわないようにすることが必要で
はないかと考える。検討内容が分かる資料を残していくことが望まれる。
実体験の有無
回答
技術資料やデータシート等の書類では無理で、OJT が必要と思います。特にクリープ試験、衝撃
試験、組織観察等のデータのばらつきや、除外すべきデータと採用すべきデータの見極めや熱処
理条件の所定温度の前後の影響や成分のばらつきの影響等に関する判断力は、ノウハウと経験が
必要と思います。また、自分で実際の試験を実施して、TP 及び材料をさわって、設備も見て、
材料製造プロセスも見て、トラブルを経験し OJT すること及び良い指導者がいることが技術伝承
の正道と思います。
計算機と解析コードに頼った研究が多い。計算機の中の数式で表された仮想世界だけでなく、本
物をみて考えることの重要性を認識する必要がある。技術は自らが試行錯誤する中で習得され向
上していくものと考える。従って適切なテーマと環境を次の世代に引き継ぐ努力が必要である。
技術を開発し、蓄積した知識を再実体化できる人材の育成
技術は属人的なものなので、技術伝承の中心は人材育成になるはず。この人材育成は、個人の
中で技術開発のプロセスを追体験させることによって“技術開発できる人”に仕立て上げること。
教えてから実際にやらせてみる他はない。
基本から実際に作業させ、定石や流儀をを覚えさせる。定石や流儀は集団ごとに異なっていて
よい。
うまくいかない場合の対処を経験させる。不具合部分を特定するために、対象の切り分けがで
きるようになることが重要。
危険に事前対処する癖を付けさせる。万一異常事態になった場合の被害程度を予測する勘と、
異常音等に気付いたらすぐに前の状態に戻れる(=逃げ道を用意しておく)周到さを養う。
これを繰り返すうちに、未知の課題に対しても臆せずに試行錯誤が可能になる。試行錯誤がで
きるようになれば、自分で経験を積み、自分なりの定石や流儀を整えていけるようになる。
(いわ
ゆる“守破離”)
なお、人には向き不向きがあるので、向いていない素材は他分野に転向させないと、資源を浪
費する羽目になる。
経験者の参画
回答
過去に技術で活躍され 現在マネジメントをされていたり あるいはリタイアされた方々に技術者と
して再度活躍いただくのもいいかもしれません。
OJT に勝る伝承はない。この分野の技術が必要なプロジェクトの立ち上げが最も有効。
今後も、今回のような場を設けていただき、経験者と若手との意見交流を継続すれば、技術伝承
の芽が生まれると期待します。
この会のメンバー、及び関係者誰もが覗けるホームページの作成
< ホームページの中身 > 昔の関係者(本会メンバーその他)に問うQ&Aコーナーの設置
経験の豊富な経験者を管理職としてではなく、研究者として雇用するキャリアパスを作成する。
技術資料やコードなどの道具類が形として残っているのが最低限必要で、情報の検索やコード類
の使い方までは、これらの道具が残っていればなんとかなる。が、形に残りにくいノウハウや道
具の正しい使い道(実戦力?)、など無形のものが伝わらないことが問題で、100%以上の伝承のた
めには伝統工芸並みにマンツーマン的なやり方でなければ無理かも。
月並みな答えですが、上司と部下がチームとしてひとつの仕事に当ることで、部下は上司の技術
的知識を吸収し、判断力や見識について多くを学ぶことができ、自然な形で技術が伝承されてい
くのではないでしょうか。また、組織を問わず、委員会等の場で、熟練者が若い世代を指導する
ような機会が多いほど、ひとつの価値観に偏らない技術的素養を身につけることも容易になると
考えます。もちろん、構造材料のような専門的な分野で技術の伝承を行うためには、ある程度の
37
時間が必要であり、また伝承していく人にも一定の基礎的な技術力が要求されると考えられます。
vii.
No
1
2
3
4
5
viii.
No
1
2
3
4
5
ix.
No
1
人の確保
回答
規格化 マニュアル化などがまず考えられるでしょうが 「人」に付属する部分も多く 各機関
企業が最低限の個人を指名、もっと具体的には委員会を作るなり 研究発表の場を設けるなりの
施策をとったらどうでしょう。海外機関との協力も有効かと思います。高速炉開発の最近の事情
をよく知りませんが いずれ時間軸が相当に長くなるものと推測しますので 細く長い活動が必
要かも知りません。
世代のバランスが取れた人員配置とその要因を確保することが必須と考える。技術伝承は、日常
の業務遂行の中で行われるのではないだろうか。
勉強会の場の提供
若い世代の原子力離れが懸念され始めて既に久しいですが、構造材料を専攻する学生も減少して
いるような気がします。伝承の方法とともに、伝承していける人をいかに確保するかも重要かと
思います。
設計基準通りの設計は表面的には出来るかもしれないが、基準の本質およびベースとなる材料特
性を理解していない場合、製作設計レベルの詳細な寸法形状を決める上で、ミスが出る可能性が
高く、それをチェックできる人もいない。メーカには、常陽、もんじゅの設計者はすでにおらず、
再度同じ機器を作ることも出来ないのが現状である。仮に 5 年後に機器を作るという話があった
としても受注できる状況にはない。定検でメンテナンスをするのがやっとの状況である。メーカ
の設計者を育てるためには、毎年適正な規模の受注を約束されなければ撤退もやむなしであり、
今の世の中では、大手メーカといえども将来の保証はないことから、基本的には、JAEAで研
究者、設計者を育成するべきである。
議論できる場の存在
回答
現在取り組まれている1企業を越えた関係世代間技術者 WG の活動の継続的活動。
基盤技術、主要技術をどのようにしたら、伝えることができるかについての議論の積み重ねが重
要。議論できる環境であることが必要で、思いつきでも、議論の積み重ねにより技術対象(プラ
ント、機器、技術分野)及び時代にマッチした方法が出てくる可能性がある。伝承には 1)情報を
残す(紙、DB、電子情報、ビデオ等をもちいて)、2)残した情報を伝える(マニュアル、情報リ
スト、人から人へ言葉 等)、3)情報の伝達を継続することが必要で、更に4)陽に表に出ない情
報を如何に伝えるか が重要と考える。1)2)はよく言われることであるが、伝達が途中で途絶え
てしまうと(特に、高速炉のように、開発に非常な長期間を有する場合は)、それまでの努力が余
りや役に立たないことになる。したがって、3)の工夫ができれば、技術伝承は可能となると思う。
3)4)については、人と人が直接伝えることにより、成し遂げられる可能性が大きい。
資料の体裁、詳細にこだわるのでなく、課題の本質、アプローチ方法、仮定、考察など本質的な
部分を議論し、資料として残していけば、自然に技術伝承が可能となる。技術伝承ができていな
いのは、方針なく、検討を開始し、資料に対し、方針なくコメントをしていく、研究開発の方針、
リーダシップのなさが原因。
火力を含め、高速炉技術の活用を働きかけ、実機感覚を維持する。企業の枠を超えた、専門家集
団の非公式、公式会合、情報交換、協力の地道な継続。公平性、透明性、技術者倫理の上に立っ
た、情報の共有化。分野によっては、日本単独での継承が困難な場合があり、欧米以外の諸国を
含む国際協力
仕事に従事した者の内、若手の人材を出向等で受入れる等も有効な手段と思われます。
雰囲気・伝達方法・環境
回答
最も重要な点は、技術者同士のコミュニケーションである。
各自がコミュニケーションをとっている「つもり」のままでは、技術伝承は望めない。予算配
分などから下火になったテーマの技術伝承はもちろん、メイン業務でさえも、コミュニケーショ
ン不足による「業務遅延」
「無駄な作業」
「
(本来なら防止できたであろう)ミスの出現」が発生し
ている。
過去において美徳とされた「耐え忍びながら先達の知恵を取得する」時代ではない。しかしな
38
2
3
4
がら、技術伝達側にはこの意識が根強く残っており、一方技術を受け取る側にこの意識は無い。
双方が「この技術は重要であり、これを伝えることは使命である」と共に認識することを出発
点とすることが必要である。
具体的な方法としては、
・ 質問(議論)しやすい雰囲気の形成(=質問するたびに、上位者が怒っていたり、質問者を馬
鹿にしていては質問しにくくなる)
・ +α の情報提供(=「苦労して得た知識は身につくが、教えてもらった知識は身につかない」
と確信している人が多い。しかし、意欲のある者に対してはもったいぶらずに情報提供し、可能
であれば+α の情報も追加する。
)
・ 誰でも知ることのできる場所に情報を集結させる(ここを見れば、この情報は得られる、とい
うエリアを設定する。図書室、サーバー、など、共通利用できる場の活用)
・ 現場での共同作業による、双方の認識あわせ。(意識にズレが無いことを常にチェックできる
機構が必要。
)
・ 現場作業のノウハウで、言葉にしにくいものは、視覚的な記録を残す。
(ビデオ、写真を多用
したマニュアル)
以上、5点が考えられるのではないか。
技術伝承ができなくなったのはなぜでしょうか。私は、幼いころの遊び方に原因の一つを求める
ことはできるのではないかと思っています。大きい子のマネをして遊んだ自分たちの時代とは異
なり、今の子供たちは、スポーツクラブ、スポーツ少年団など、大人から与えられた枠の中で大
人に教わりながら遊んでいます。そういうバックグラウンドを持つ者に背中を見て学ぶことを期
待するのは無理です。具体的な方法を提案することはできませんが、まず心構えとして、自分た
ちが習得してきた方法で、人に伝承しようとしても無理がある場合があるということを伝える側
が認識するべきです。伝えられる側の素養・バックグラウンドに対する配慮が足りないと、不幸
な結果になることがあると思います。
効果的な技術伝承のためには、分厚い書きものや膨大なデータベースを作成する、といったわか
りやすい作業に加えて、伝承すべき技術をもっている方々が誇りをもてるような組織の雰囲気を
つくることも重要と考える。そうでないと、若い世代が技術を習得しようというモチベーション
は働かない。しかし近年の民間会社では実現は難しい。
人材育成ができる環境の整備
育ちそうな素材をどれだけ確保できるか,という政治的立ち回りの上手さが必要になる。予算
がいくら確保できても,計画と評価だけやって実際の作業は外部の人間にやらせていては人材は
育たず,育てる環境もいずれ失われる。
設問2:周囲の技術伝承の例
No
1
2
3
回答
まだ FBR がもんじゅ、実証炉、実用炉と将来像が見え活性化していたときの研究サイトからの技
術伝承例について述べます。設問 1 で述べたように将来を見据えて人の継続的、定期的な投入が
必用です。各企業の規模にもよるが FBR 材料研究担当者として将来技術を伝承出来るキイパーソ
ンを 6 から 7 年に 1 人投入する。このキイパーソンには研究以外の部門交流、特に設計部門との
人脈を強化させる。そして少なくとも 10 年間は FBR 材料の研究を担当させる。FBR の状況が苦
しくなってきてもがこのことは守って行けばこのキイパーソンが次に受け継いでくれる。研究部
門にこの考えを根付かせる。
私ごとで、恐縮ですが、小生は設計所属であったため、自分で試験する環境にはありませんでし
たが、上記を強く指導していただいた上長と研究所の方にアドバイスを受けて、自分の手で実際
の試験を行なってデータを取って、整理し組織 TP も自分で研磨、樹脂に埋め込み、顕微鏡をの
ぞきました。さすがに溶接は自分ではできないので、溶接する現場を溶接員にくっついて、溶込
み、湯流れ、スラグの状態を覗かせてもらいました。また、材料メーカを何社も見させてさせて
いただき、様々な材料の様々な製造方法を一通り実感させていただきました。材料は奥が深く、
一朝一夕では技術伝承はできないため、FBR 用材料という特殊な適用分野であっても同じで体で
経験させることが最良と思います。
小生は、現在全く別の設計部隊におりますが、その部隊での技術伝承は下記を実施しています。
(1)設計マニュアルと称して、その中に、各技術テーマ毎に技術の具体的内容を分割(A4 サイズで
数ページずつ)して、使い方、設計での取扱いを記述して、係わっている人は誰でも見れるように
39
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
している。(2)製品全体については、1 冊の設計基準を作り、製品の最適仕様、最適構成、最適構
造を記載している。(3)退職者をエキスパートと称して、再雇用し若手と一緒に業務をすることに
より、オン ザ ジョブ トレーニングを実施している。
「物作り技術専門チーム」を作ったり 技術を可視化( ビデオで残す。) したりして ともすれ
ば低コスト国に流れかねない技術の維持に努めています。ただ逆に積極的に低コスト国を活用す
るのもひとつの方法かも知れません。
打合せ資料、技術資料はデータベース化して残す。 定例会を設けて、設計事例等の紹介を行う。
後継者の育成と伝承技術の活動維持、継続。
定期的な年長者による設計事例の紹介。技術レポートとしてのまとめ。
社)原子力産業会議が、H16 年夏に、基盤強化委員会/人材問題小委員会で取組んできた、人材
育成・強化と将来の人材確保に関する提言をまとめております。原子力産業に関わる人材問題・
技術伝承などに関してまとめられていたかと思います。事情を説明すれば、内容をご教示いただ
けるのではないかと思います。
後生の技術者に判りやすい技術図書を残すことで、開発設計課の例ですが、以下の書類を充実さ
せることが大事で、特に主要事項や構造をどのように決めたかなどの設定根拠書や変更来歴が技
術伝承には重要におもわれます。
・ 基本設計及び計画図
・ 機器設計書(個別)
・ 各設計段階の設計根拠書、変更来歴書
多くの部門で技術経験、知見をドキュメント化していますが、ドキュメント化出来ない技術の伝
承が問題と思います
技術伝承=DB、電子図書等になりがちで、電子図書化することで安心しているのが大方(電子図
書化は情報を残す一つのツールであり、これだけでは伝承はできない)。自分の場合、講習会や指
導の機会がある都度、実際の物(プラント、機械装置、試験設備、試験片等、検査記録、試験デ
ータ等:物はどこにでもある)を見ながら、できるなら現場(プラント、機器製作、検査、実験
室等)で、自分の持っている技術を伝えるように努めている。
工場現場で、リタイアした熟練工を「シニア社員」と称し、技術伝承のために再雇用する取り組
みがある。
【1】 技術伝承の場
成果報告会(技術検討会、学会、セミナーなど)
、現場作業時、業務(遂行時=本人の調査、打
合せ時=情報収集)
、お昼休みなど業務時間外
【2】 技術伝承の雰囲気
公式の場では、双方の立場を踏まえた上での議論、技術継承がなされる。
私的な場では、「とっておきの情報」が得られる場合がある。
【3】 問題点
「技術(=ものづくり)
」という点では、書類に現れないノウハウが多く、これらは文書化する
とわかりにくくなる傾向がある。こうしたケースは、共同作業(実験、試験、製作)が必要で、
机上の論理だけではカバーできない。
「技術情報」という点では、私的な場に限って重要な情報が伝達される傾向がある(これはど
の国でも同じか、日本特有のものかは疑問であるが)ため、各自の人間性に依存する。
【4】 解決策
本来は、各人が「知識を深めよう」
「得られえた知識は最大限、世の中に還元しよう」と思って
いれば、このような問題はあまり発生しないのかもしれない。
現職場でそれを語るほどの経験を持ち合わせてはおりませんが、高校生のころ所属していた部活
動は、当該競技において未経験者である顧問の先生に率いられていましたが、毎年それなりの競
技成績を収めていました。それは先輩から後輩への技術伝承が行われていたからと思います。自
分自身は先輩から手取り足取りしてもらった記憶も、後輩にそうしてあげた記憶もありません。
先輩のマネをしながら覚えていった、先輩の背中を見て育ったのだと思います。しかし、母校に
帰ると、今の子供にはそれができないと聞きます。そのためか、母校には立派な競技歴を持った
教員が赴任し、毎日、ことこまかに指導をされているそうです。
「継続」しなければ「技術伝承」あるいは「技術」の産業化は困難であるという事例。
かつてわが国は「石油危機」に対応して国家プロジェクトとして石炭液化技術開発に本格的に取
組んだことがある。プロジェクトをマネージした通産官僚の話です。
当時、産官学の努力により「極めて現実的かつ良好な技術」を開発したが石油危機は比較的短期
40
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18
19
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26
のうちに回避されたこともあり、コストが問題となって収束することとなった。当時の試算では
石油が$20/バレル程度になれば競合可能とされた(当時は約$16/バレル)。将来を見越し技術伝承
のための資料を作成、報告したが、今日当時の3倍以上に石油の価格が高騰しているにも関らず、
誰もその技術を振り返ろうとしない。
当時の関係者、特に産業界の技術者が四散してしまっていることが再立上げはもちろん検討すら
困難なものとしているというのが官僚の方の分析です。
JSME 原子力専門委員会高温規格分科会材料基準作業会では最近の状況に対応するために許容値
の改訂作業を行っていますが、あえて経験豊かな方々をメンバーとせず、各社の若手(30代前
半∼)に委員になっていただいています。経験豊かな方(日立:祐川氏)にはオブザーバとして
(作業会が自立できるまで?)毎回出席いただき、アドバイスをいただいています。
Na 試験装置の設計・建設と運転
設計指針とその解説書の作成
大学院用の教科書作成と講義・演習
これまでは一つのプロジェクトに対応する中で、OJT により技術継承ができた。原子力開発の大
きな成長が一段落すると、次第に年齢構成の偏り・高齢化が目立ち、技術伝承する相手が減って
いる。その中で、やはり新しい技術の開発に積極的に取り組んでいるところが、若手技術者の関
心を集め、結果としてその分野の技術伝承(というよりも発展)がなされているようである。
近すぎず、遠すぎない世代での指導を受けつつ、独自の研究を行える場を整える。
「もんじゅ」用の技術開発が一段落したあと、
「常陽」MK- 計画に 316FR 適用。
大学院生に実験指導をしたことがある。充分な教科書的知識と平均以上の理解力を持った学生だ
が、最初は“実験の理論と目的は知っている。しかし、どこから手を付ければよいかが判らない”
状態だった。配管のつなぎ方等の基礎から、やってみせて、何故そうするのかを説明して、本人
にやらせていくうちに、“こうすればできるかもしれない、やってみよう”と考えて行動できるよ
うになり、自分で実験のできる院生になった。具体的な技術伝承の事例ではないが、成功体験を
通じて自信をつけていくことは、人材育成について共通のことだと思う。
(特に、若い人に対して
は)
溶接協会内の専門委員会でトラブル事例のガイドブックを作成し、それをテキストとして講習会
を実施しています。最近の傾向として失敗事例が注目されていますが、確かにいろいろな世代の
人を交えてガイドブックを作成しそれを公開していくことは勉強になりひいては技術伝承につな
がると思います。
常々、苦労している。しいて言えば、研究論文よりも、技術継承資料の作成と伝承、社内データ
ベース化。意識的、計画的な現場調査。
技術伝承の一助としての例としては、個別製品単位の設計図書の中から製品共通に使える資料を
抽出した資料を束ねた設計資料の蓄積。また、IT技術を使ったそのデータベース化があります。
委員会等に積極的に参加し、世代の違う先輩と議論する機会を設けている。しかし、基本的には、
OJT が最も効率的である。
残念ながら、将来の事業に結び付くものでなければ伝承は旨く行っていません。
近未来に、改修や更新工事が見えている分野は、OB を嘱託にして温存していますが、若手の技
術者の育成は特にやっていません
設問3:本分野の研究を活性化していくアイディア
i.
No
1
2
オールジャパン体制でのプロジェクトの創出
回答
リストラが進み企業に余力の無い現状では研究部門で人を維持する事も難しくなる。材料研究が
おろそかになれば次に設計→製造部門→企業→日本での FBR が衰退するのは必須であろう。FBR
材料研究の活性化は FBR の将来必然性を見込み、周囲を理解させ、50 年以上のスパンを見据え、
長期国プロの提案による国策で対応すべきである。計画提案は原電、学協会、NIMS(金材研)、
電中研が個々或いは共同で行う。実働部隊は実験・研究が可能な NIMS とし、その中に FBR 材料
研究部門を設置する。企業、大学、公私研究機関も加え国全体でのプロジェクトの特色を強調す
る。国プロ予算がつかねば FBR 材料研究の衰退は免れない。(ヨーロッパにおける蒸気発電プラ
ントの開発プログラムを参考にされたい)
最近の開発の進め方では、産官学の協調体制が研究開発の加速スタイルですので、賛否両論ある
41
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
ii.
No
1
2
3
4
とは思いますが、やはり、電力/メーカ/公的研究機関/大学に加えて、行政のバックアップと
資金援助が有効と思います。このためには、行政と所轄官庁への積極的予算化活動と有効活用(他
分野含む)のメリットを説明していくことが良いと思います。
関係機関 企業が同一テーマを分担するなり 競争するなりして刺激しあうのもいいかと思います。
ただやはり当面 資金面の制約があるでしょうから これをどう対策するかが課題でしょう。
長期的視野を維持できる電中研、大学中心とした、研究活動推進のリーダーシップ。
この分野は民間や大学だけでは、検討を深めることは難しいかと思います。本格的に研究を行う
のであれば、政府か関連の団体が主体となって、研究開発費用の調達も含めた取組みが必要かと
思います。
妙案はありませんが、要は何事も資金ではないかと思いますので、この会の有志でも良いと思い
ますが、良い研究開発のテーマをMETI、MEXTなどの公募に応募し、資金を獲得したら如
何でしょうか。
事業化、製品化のスケジュールがはっきりしていれば、自ずと活性化するのでしょうが
もんじゅの順調な運転と新規プラントの建設。
次善の策としては、本格的な「商用材料」開発でなくても、試作レベルでの材料開発や材料設計
技術開発、経年化材料評価等の関係テーマを産官学の協力の枠を維持しつつ、かつ途切れさすこ
となく実施する。
2050年に FBR 導入というような長期目標は重要ですが、活性化のためには5年か10年で区
切った目標を策定し、裏づけとなる資金を確保することが必要と思います。また、節目節目では、
技術的な割り切りも行い、関係者が「プロジェクトが進んでいる」という実感をもてるようにす
ることが大切と思います。
関係者が一同に介することが可能な規模のプロジェクト(公募研究、等)の立ち上げ
実用炉の建設を推進していくことが活性化する唯一の道と考える。
材料研究はその材料のニーズが明確であることが活性化には不可欠と考えます。従って、その成
果がある特定のプラントに適用されることが明確であることです。FBRは、2050年頃実用
化と言われていますが、そこに至るまでの国がオーソライズしたロードマップが必要です。当然、
その中には先行するパイロットプラントの建設計画が含まれねばなりません。
新規プラント計画を推進する以外手がなし。以前は活性であったと思われるが、悪化してから活
性化するアイディアを募るとは何事かと思う。このような、議論をしなければいけなくなったこ
と自体が大きな問題で、これは定年を迎える先輩方の責任が大きい。何故、停滞したのか。反省
を先輩方に聞きたい。
「そういったように世の中が変わった」というのであれば、今更、活性化の
アイディアを求めても仕方ないように思われる。
議論の場の存在
回答
プロジェクトを明確にすることが重要であるが、ここでは技術者の立場から一言。研究者・技術
者が、定期的に議論する機会をつくる。学会等は自分の成果の PR の場であるが、自身の PR に
拘らないで、研究者・技術者が励みとなるような議論の場を、プロジェクト主催で設ける。
(この
中で、アイディアの創出や技術伝承が行えれば理想的)
委員会の型式を変える。
参加者は、若手主体とする。
議題も議論をメインとし、課題設定、これまでに実施した解決方法の紹介を発表、参加委員から
意見をいただく。
プライドを捨て、周囲から意見やアイデアをもらうとともに、実質的な議論を始めなければ、活
性化など無理。
大規模試験の実施。ただし、計画検討をしっかり行う必要性あり。計画がしっかりしていないと
予算も確保できないので、予算確保も念頭におき、戦略的な試験計画を検討し、具体化する必要
があると感じる。
コミュニケーションの強化。コミュニケーションには幾つかの範囲が考えられる。
(1) 構造材設計側(解析評価)の専門家の集合
(2) 構造材製作(照射前)側の専門家の集合
(3) 構造材 PIE(照射後)側の専門家の集合
(4) 炉心材設計側の専門家の集合
42
5
6
7
8
iii.
No
1
2
3
4
5
6
7
iv.
No
1
2
3
4
5
6
(5) 炉心材製作(照射前)側の専門家の集合
(6) 炉心材 PIE(照射後)側の専門家の集合
大まかには、上記のような集団が考えられる。集団ごとのコミュニケーションももちろん重要で
あるが、
(1)と(2)、
(1)と(3)
、
(1)と(4)など、組み合わせを変えた交流が重要では
ないか。
筆者の例では、材料開発側と設計側の意見交換会に何度か遭遇した経験がある。大抵、両者は自
分の立場のみで発言を行うため、平行線に終わることも多い。しかしながら、打合せ後には別の
意見の存在を認識するはずである。双方合意とまでは行かなくても、同じ「原子力開発」の中で
考えれば、他者の意見(ニーズ)を知ることは技術伝承の上でも重要であろう。
産官学の役割分担を議論していくべき。パイを争うには、パイが小さすぎ。
若手の勉強を支援する委員会
新しい研究課題を明示し、予算を獲得することが結局は基本となる。もちろん、新しく炉を建設
することが理想である。いずれにしても、研究課題の魅力が弱ければ予算はあまりつかず、若い
研究者の興味を集められない。研究の企画において、過去の実績にとらわれれば上澄みの成果し
か示せないので、革新的な概念を提示していくことが不可欠であると思う。若手が集まり、活気
が出れば、新しいアイディアも生まれる。
建設計画のない机上プラントの設計研究では、技術開発に切実さ真剣さが感じられない。実用化
に至るプロジェクトの具体化が最重要。
技術理解の促進
回答
戦略を考えていくことに尽きる。重要な研究であるが、重点的にやる必要がない=予算なし的な
扱いを受けていると思う。予算配分者に対し、この分野の研究がなされなければ、こういうこと
がおきうるといった脅し的態度も現状では必要。
技術伝承をするならば、国全体の学力低下が進んでいる昨今とはいえ、それほど大幅にポテンシ
ャルが下がっているとは思えませんから、伝える側が自分と同じ能力を伝えられる側に期待しな
いことが第一に重要と思います。やり方にしても、自分がしてもらったとおりにしても若い人は
ついてこないということを認識したほうが良いのではないかと思います。
成果物の考え方を、論文を書く=世の中の知識量を増やす、というものから、研究成果の意味、
使い方、方向性を説明する=世の中人間がその知識を理解する、というものに変化させる必要が
ある。
あまりに論文に重きを置きすぎの方が多い気がする。研究開発現場の管理職の方は、きちんとし
た知識に対する評価方針やメジャーを持っていただきたい。
周囲が、その技術を理解し始めれば、活性化は可能。
アピール度の高い成果物の作成を重視する。ビジュアル化が可能なソフトウェア、パンフレット、
解説書、討論会など。
ネガティブなイメージが先行しているように思います。月並みなアイデアですが、何かうまく「温
暖化の対策」としてなどとマスコミに取り上げられるような工夫はないのでしょうか。
もんじゅ設計方針を基礎とした、高温構造設計の考え方の教科書作成
過去の経験などに基づく「知」を纏めることではなくより深く、新たなアプローチによる体系化
を目指す方法は若い人の興味も呼びまた「経験による知」が更に生きてくる。
他産業・他分野の構造・材料研究との協力
回答
高速炉に限らなくて良いから、適用可能な分野を探して範囲を広げていくことが良いと思う
最善策は、具体的な開発プロジェクトを起こすこと。そのためには、次世代炉分野に限定せず、
軽水炉分野、さらには高温構造材料に支えられる他工業界関係者との連携、協力も視野に入れる。
ぜひ、熱流動分野などと協力して頂き、境界領域で新天地を拓くことはいかがでしょうか。
高性能・長寿命燃料の開発へのコミット強化(以前から言われていること)
原子力に対する関心が低下している現状で、原子力に特化した材料分野の社会的必要性が認識さ
れているはずはなく、このままでは活性化する理由がない。地道に必要性を訴えていく以外に、
派生分野で流行のテーマの皮を被って生き延びて春を待つ、といった策が必要。
地道に研究を継続することが一番と思いますが、そのためにはファウンドが必要となり、いかに
43
ファウンドを獲得するかに尽きるかと思います。
高速炉でファウンド獲得が難しい昨今、別のよろいを着るのも良いのではないでしょうか。IT
ER、宇宙,etc。
v.
No
1
2
ⅵ.
No
1
もんじゅの活用方策提言
回答
現状では、具体的な適用プラントがない状態で、規格単独の検討を行っている印象がある。もん
じゅに実構造物を組み込んで、策定した評価法の適用性を評価する等ができれば、検討にも現実
味が出てくるように思う。
「もんじゅ」や「常陽」を利用した何か新しい技術実証プロジェクトが起こせないか。新しい技
術は「もんじゅ」、
「常陽」でも十分なメリットがあること。運転法合理化、運転コスト低減、材
料、高経年化
その他
回答
・近い将来のエネルギー枯渇の現状打破のために、不可欠の技術であり、しかし、人一倍の安全
に関する努力が必要である など、正論で押すことができればと思っている。
・現実は私企業として維持・伝承する必要性が将来事業の観点からは見出せません。
・国策として、国の機関や電力業界の共通技術として電中研等に、将来のためこれまでの成果を
最低限保存しておいては如何でしょうか?(一時的な断絶はあると思いますが、再立上げ時は零
からでないのでメリットはあると思います)
設問4:構造材料分野の研究開発に対する要望・提案
i.
No
1
2
3
ii.
1
反映先意識を持つ
回答
FBR 材料の今後の研究課題の一つに材料側から見たコスト低減がある。高価な合金は耐熱鋼に、
オーステナイト系鋼は高 Cr 鋼に、高 Cr鋼は高張力鋼や炭素鋼にと 1 ランク下げた材料の開発、
適用研究が必要と思う。一方、熱膨張係数の大きいオーステナイト系鋼の大型部品は熱応力、価
格に関し、問題がある。これに関し、現在実施中の新フェライト系 9Cr 鋼の FBR への適用は的
を得た研究テーマと考える。蒸気発電プラントでは 538℃から 650℃に向上させた USC において
同じ問題で苦労し、日本発の新しい耐熱鋼が開発されている。550℃域の FBR に対し、材料、加
工技術、溶接等まだ多く参考となろう。
企業は最後はやはり経営視点からの経済性を考えざるをえず そういう意味では目に見える形で
の将来の経済性合理化を目指すことを重視すると思います。
特に最近の材料高騰の状況下では、特殊仕様の材料は、値段が高いばかりではなくなかなか手に
入りません。できるだけ汎用性の高い一般的な材料を用いた設計が必要と考えます(構造材料分
野の研究開発とは視点が異なりますが。
)
研究計画・試験計画の PR
回答
産官学の国プロで進めるのが好ましいため、予算化あるいは提案のための種まき活動を所轄の官
庁の室レベルでやることを考えていただきたい。(採用から予算化まで2年はかかると思います)
iii.
No
1
成果のまとめ PR
回答
本分野の検討は非常に期間が長く、また特定の方が継続的に取り組んでいるイメージがあるので、
成果は出ていてもそれがどの程度残されているかが課題と思う。今回のような取り組みが行われ
ることは非常に有効と思うので、継続的に実施できるようなやり方が何かあればと思う。
iv.
No
結果の可視化、わかりやすさの追求
回答
44
1
2
3
4
v.
No
1
2
3
4
5
6
vi.
No
1
2
高速炉構造の非弾性的な挙動に伴う損傷を、創意工夫により、弾性解析だけで保守的に評価でき
る方法を開発するという段階は、今後マイナーな修正はあるとしても、成功裡に完了していると
考えている。今後、技術水準を高める方向として、何らかの形での流体解析との高度な連成や弾
塑性クリープ解析の精度向上といった項目が考えられる。しかし、これらの必要性やメリットは、
安全工学等と比較して、専門外の人間には非常に理解し難いため、研究成果をどのようにわかり
やすく表現するか、という点に、
(場合によっては研究自体よりも)大きな労力を割く必要がある。
塑性やクリープやそれらによる応力とひずみの再配分といった複雑な現象に、長年取組んできた
高速炉の構造・材料分野は、他の分野で採用されている類似技術と比較して、技術的には明らか
に高い水準にある。本分野の技術者が絶えてしまうことのないよう、関係者各位の特段の努力を
切に希望する。
設計における能動的な役割を担うための技術開発構造材料分野は、設計において常に最下流に位
置し、与えられたデザインの健全性を判定するために存在するとも言える。しかしこれではあま
りにも受動的である。構造最適化などのアイデアで構造健全性評価を設計にフィードバックでき
るような試みもあると思うが、もっと抜本的で、飛躍的なやり方が考えられないか。
(知識ベース、
人工知能的なシステムで基本デザインを構造的理由により定めるようなイメージ)
応力は目に見えない割れ防止に応力改善技術が有効であるが、そもそも残留応力がどの程度なの
か、また改善された応力分布もいずれも推定するしかない。ひずみゲージ、X 線測定といった測
定手段はあるが、簡易ではないし、実用上の信頼度は十分とは言えないように思われる。実機の
応力を簡易に高精度で把握できるシステムを開発すれば予防保全上非常に価値が高い。
高速炉では、維持・管理や経年化に対する検査において「見えない」、「できない」ということが
多い。こういった環境において、どのように信頼度を確保するのかを構造・材料面でまじめに考
える時期に来ているのではないかと思う。
他分野との交流
回答
ガスタービンも含め火力材料分野との交流を提案する。
半導体や宇宙、航空の分野等と意見交換する機会を設けてはどうでしょうか
火力の分野で Super9Cr 溶接熱影響部のクリープ強度低下が問題になっています(600℃ではクリ
ープ強度が大きく低下します)。但し、550℃位では強度低下しないので、FBR では関係ないと思
いますが
構造材料も炉心材料も、開発を進める上で共通課題が存在すると思います。また、構造材料分野
の知見を炉心材料に活かすことも、その逆も可能かと思います。こうした交流を深めることによ
り、材料開発の未来も少しは明るくなるのではないでしょうか。(炉心材料研究者)
設計側が現場の体験をする、現場側が設計の体験をする、という交流も(時間の無駄と思われる
かもしれませんが)
、長い目で見れば重要なのではないでしょうか。
欧米でプロジェクトが進められている、700℃超級USCボイラ開発に匹敵する国内プロジェク
トを立ち上げ、その中で、
(欧米の後追いの感がある火力規格に対して)高速炉開発で得られた知
見、設計技術、基準化技術の反映することによる設計合理化。
分野ごとの戦略的長期計画
回答
高速炉に限定した構造材料分野の研究開発の継続は、資金的な面、開発期間の長さからして、高
いハードルが待ち受けていると思われる。そこで、高速炉は①原子力②高温③冷却材の3つの技
術の観点から研究開発を進めることで、研究者・技術者の継続が可能にならないか。高温技術で
は、適用材料は異なっても、高温での挙動としては火力も同一。手段は製品対象でも、狙いは技
術対象ということが、見えるような研究の進め方が出来ないか。ただし、研究開発が技術分野の
観点からではなく、製品分野の面から行われている現状では、研究者個人としてはなかなか難し
い課題である。一企業としては、なかなか難しい事であるが、国内の1機関でもそのような取り
組みができればと考える。
(産学官ともに、直ぐに成果が見えないと、良い評価が得られないので、
(高速炉)高温構造材料研究には係わりたくないような環境になってしまっている)
経済産業省、文部科学省などの主催で公募研究制度が盛んに行なわれていますが、いずれも地道
かつ10年を超えて多大な資金を必要とする現実的な「構造材料」開発には不向きな制度である
ように思います。一方で、
「ナノ」や「革新」の名前を冠した遠い将来の材料創造プロジェクトに
はそうした一般公募とは異なった経路から比較的豊富な資金提供がなされているように思われま
45
3
4
5
6
7
8
vii.
No
1
2
す。提案は後者に匹敵する「近未来構造材料開発」を関係機関連携により国のプロジェクトとし
て認可を得る試みをしてはいかがかということです。そのための体制が産官学参加の下できちん
とでき、かつ経済産業省などへ強い働きかけができればと切に思います。
競争的資金と安定的資金(?)が適切な割合で供給されるような環境を整備してほしいと思いま
す。
東大の学生から構造材料分野の研究の必要性は理解できるが、難解で面白みが無いとの意見が出
ている。直接の実用化や基準化には結びつかない先進的研究も一定割合は必要と思われる。
溶接は永遠の課題か?構造材料のトラブルの多くは溶接部及びその近傍で発生している。同じ溶
接施工でも割れたり割れなかったりするのは、施工時の微妙な条件の違いが結果に大きく影響す
ることを意味している。優れた材料でも、現場の溶接に問題があれば割れてしまうかもしれない。
現場の溶接を一層改善する技術開発を望みたい。
昨今公募研究が期間限定で成果を出すことが要求されているが、短期間では困難なことが多く中
途半端になるケースがある。本分野では中間チェックは必要であるが期間を5∼8年程度に延ば
すことが望まれる。
新規プラントの設計/製作計画を早期に立上げ、これに関連する必要な R&D を組織や個々人の
利害を超えて計画する。
材料分野の大掛かりな将来に備えての研究開発は、現状の企業の研究開発の晒され環境から
は難しく思います。具体的に、機器を作る研究開発の一部として組み込む仕組みが必要で
は?
人材・研究活動の確保
回答
構造材料分野の研究開発は、成果がでるまでにとても長期間かかる場合が多く、メーカで実施す
る場合には、研究人員をキープしつづける必要があるが、メーカにはその耐力がないことから、
JAEAの研究者が自ら研究を実施するべきと考えます。
技術力には、体感は不可欠であり、単なる机上論でなく、具体的データ取得、検討、ディスカッ
ションを含む研究活動の維持、継続を望みます。
viii.
No
1
リーダーシップ
回答
構造・材料の研究は継続性が必要とされる。研究の中核機関として日本原子力研究開発機構の役
割は重要でありその責任の自覚と強力な推進を期待する。
ix.
No
1
世界 No.1の認識を持つ
回答
国の機関などにはやはり技術の先端を世界的規模で No1 を目指すような 研究テーマを持って
いただきたいと思います。
高速炉高温構造に関しては、この推進役をどこが担うのかといえば、原子力機構はそのためにで
きたともいえるのではないか。原子力機構は、産学官連携の中核となって、要望を集約し、予算
獲得を含めてそれに応える活動をしていく必要がある。
2
46
3.3
特別提言
パネルディスカッション「高速炉
構造・材料開発<昨日・今日・明日>」におけるパ
ネラーの方々から、基調講演概要、開発課題、技術伝承、活性化方策等についての提言を
頂いた。
(1)東京大学大学院工学系研究科
教授
湯原哲夫
「高速炉構造・材料の明日を考える」
(2)日本原子力発(株)発電管理室(構造技術)部長
「原子力の明日を考える」
(3)エネルギーシンクタンク(株)代表
植田正弘
田下正宣
「技術伝承について」
(4)(株)東芝
電力・社会システム社
原子力機器設計部
「技術伝承について」
以下に、提言を示す。
47
主幹
田口耕世
(1)東京大学大学院工学系研究科 教授
湯原哲夫
「高速炉構造・材料の明日を考える」
48
49
(2)日本原子力発(株)発電管理室(構造技術)部長
植田正弘
「原子力の明日を考える」
一人の日本国民の視点で、FBR 構造・材料に限らず、原子力全般の明日を考えてみたい。
1. 原子力発電の果たしている役割が鮮明になっている
30 数年前、第 4 次中東戦争勃発を契機に、原油価格が 1 バレルあたり 3 ドルから 12 ドル
に跳ね上がり、日本は狂乱物価とモノ不足に見舞われた。銀座のネオンが消え、新聞のペー
ジ数が半減した。いわゆるオイルショックである。30 年後の今、原油価格が再び暴騰し、ほ
んの数年前 1 バレルあたり 10 ドル台だったのが、60 ドルを超えようかという水準に達して
いる。連動して LNG 価格も上昇している。しかし、今度は狂乱物価もモノ不足も起きていな
い。その最も大きな理由は、1 次エネルギーに占める石油の割合が減り、特に原子力発電が
増加して電力の価格と供給が安定していることにある。原子力発電の存在感はかつてなく大
きくなっている。
大気中の CO2 濃度が上昇を続けている。
産業革命以前の 280ppmv が今や 380ppmv に上昇し、
なお 1.5ppmv/年で増加している。過去 100 年で地上平均気温が 1℃上昇し、海面水位が 10∼
25cm 上昇したという。台風やハリケーンが増えている。CO2 濃度が 650ppm を超えると、温暖
化だけでなく、海水の pH が現状の弱アルカリから酸性化し、珊瑚の絶滅、海の砂漠化の恐
れがあると警告する専門家もいる。地球は巨大な慣性を持つシステムであるから、増加傾向
を止めるのは容易でない。CO2 濃度を 550ppm 程度で頭打ちさせようと種々の方策が検討され
ているが、人間が活動すれば必ず放出される CO2 を減らすのは並大抵のことではできない。
2003 年度の東京都内の温室効果ガス排出量は前年度比 6%増となった。東京電力の原発が
長期停止し、代替の火力発電を稼動させたからで、原発がほぼ正常に復帰した 2004 年度に
は元の水準に戻った。中村政雄氏によると、仮にテレビを全国民が全く見ないとして、それ
による CO2 削減量は日本全体の排出量の 0.5%に過ぎない。これは 100 万 kW の原子力発電所 1
基の CO2 削減効果に相当する。
原子力発電は CO2 削減の最も効果的かつ現実に可能な方策であ
る。
にもかかわらず、マスメディアはこの否定できない事実をあまり報道しない。環境庁も省
エネやクールビズを喧伝するだけで、原子力発電には口をモゴモゴさせるばかりである。こ
うなると、原子力関係者がもっと声を大きくするしかない。原子力関係者は相手がどう受け
とめるかを気にして遠慮しすぎる傾向がある。外から見ると、それは自信のなさに映る。数
年前まで声高に語られていた脱原発論は、原油高騰と CO2 排出削減の困難を目の当たりにし
て力を失ってきている。今こそ、原子力の果たしている役割を積極的に説明する好機である。
それが FBR と核燃料サイクルの展望を開く契機ともなる。
2. FBR と核燃料サイクルの開発の必要性も明らかになってきている
中国とインドの経済発展と原発増設計画によりウラン価格も上昇している。2003 年前半ま
で 10$/lb 前後で推移していたが、2005 年にはウランのスポット取引国際価格が 30$/lb を突
破し、約 25 年ぶりの高値水準になった。エネルギー資源と環境の両面から、原子力発電と
ウラン需要は今後も堅調に推移すると予想される。こうなると、ウラン資源を有効利用でき
る FBR と核燃料サイクルの必要性は明白である。FBR と核燃料サイクルは、資金を投入すれ
ばすぐに大々的に展開できるものではないのだから、世界がどうあろうと日本は着実に開発
を進めなければならない。この分野で世界をリードするチャンスである。
50
3. 「もんじゅ」の有効利用
FBR と核燃料サイクルの開発の必要性は明らかとしても、大きな財政赤字を抱える国に多
額の予算をつける余裕はない。この状況で開発を進めるために、「常陽」、「もんじゅ」など既
存の研究開発施設をとことん活用することが肝要である。
「もんじゅ」は、再開後 5 年程度、慎重な運転に徹する。その実績により FBR 技術の名誉回
復を果たす。1995 年のナトリウム漏洩で停止している間、マスメディアが「FBR は技術的に
全く見通しが立たない」と報道し続けてきたため、社会一般にこのような考えがかなり刷り
込まれている。まず、この誤解を事実により正さなければならない。その間に、その後の「も
んじゅ」活用方策を決める。
第 2 段階では、検査技術等 FBR に必要な技術の開発や、新材料、新型 SG 等の技術実証の場
として活用する。これらの開発・実証は「もんじゅ」の安全を確保しながら進めることが大前
提であるから、安全や構造・材料の規格整備を同時に進める必要がある。規格整備は技術伝
承の上からも有益である。第 3 段階では、「もんじゅ」の改造や寿命延長にも挑戦する。
「常陽」についても、FBR 実用化まで長期間運転する意気込みを望む。既存施設に常に課題
を与えて挑戦することが、現実的で有効な技術伝承になると考える。
4. 耐震設計の状況
現在、原子力安全委員会耐震指針検討分科会において、「発電用原子炉施設に関する耐震
設計審査指針」の改訂が公開で審議されている。そこでは、現状の S1,S2 地震に替わる基準地
震動 Ss の決め方などが議論されている。
1995 年 1 月の阪神大震災以降、地震観測網が飛躍的に強化され、これまでの理論では説明
できないデータが得られてきている。去る 8 月 16 日、宮城県沖で起きた地震では、東北電
力女川発電所で解放基盤表面換算の地震動がある周期帯で S2 地震動のスペクトル値を超え
た。プラントは全く健全であるが、設計用限界地震がいとも簡単に超過されたことから、未
だ運転再開ができていない。
現在の耐震設計は地震学の知見不足をあり余る設計余裕でカバーしており、S2 地震動を多
少超えてもプラントの耐震性に不安はない。しかし、地震学の知見が増えることで、耐震設
計への不安が惹起されるとしたらおかしな話である。関係者は、設計余裕の中身をできるだ
け解明し、耐震設計の合理化と説明性向上を図る必要がある。現在、原安委の耐震審査指針
改訂に合わせて、原子力発電所の耐震設計技術指針(JEAG4601)の改定作業が行われている。
そこでは、最新の研究開発成果を取り入れた基準合理化が図られている。たとえば、朝田先
生のご指導を得て実施した機器・配管系の地震時破損挙動に関する一連の試験研究成果を踏
まえて、配管の地震時許容基準の抜本的な改定が提案されている。合理化の必要な課題は数
多くある。今後も大いに研究開発を実施し、合理的な許容基準(案)を作っていく必要がある。
許容基準合理化の妥当性を確認するとともに、合理化について社会の理解を得るため、大型
モデル加振試験は今後も重要な役割を果たす。
以上
51
(3)エネルギーシンクタンク(株)代表
田下正宣
「技術伝承について」
1.技術伝承とは
伝承する物・事は何か?
伝承=過去+現在+新たな方向性
2.伝承方法
プロジェクト型・平時型
教育
自育
3.課題は何か?
根本的:現状に対する不満・理想
一般的課題
経済性 :LWR で資本費あと2割削減
単純化 :GIF の目標 CDF 確率を一桁下げる.
材料特性:ミクロからマクロまで
52
(4)(株)東芝
電力・社会システム社
原子力機器設計部
主幹
田口耕世
「技術継承について」
「最近、JR宝塚線の脱線事故、航空機のトラブル、原子力発電所のトラブルなど、
安全対策にかかわる問題が増えてきている。システムや企業風土に問題もあるが、結
果的には人的な問題がトラブルの要因として深くかかわっている。新しい技術革新が
進む中で、技術継承や人の教育、育成が課題であるといわれて久しいが、ますますこ
の問題の重要性が増してきていると感じる。いくら仕組みを工夫し、システム化して
いっても、最終的には人が関係する。専門技術者の育成には優秀なコーチと発展の段
階を経るための時間が必要であろう。・・・・・」これは、小生がある学会誌の編集後記
に載せた文章の一部であるが、技術継承は、高速炉や原子力の分野に限らず、現在の
日本における大きな問題となっているものであり、それに対する提言など小生にはと
てもできる代物ではない。
今回パネラーを仰せつかったのは、高速炉材料に関する(社)日本溶接協会の小委
員会の幹事、WGリーダを約10年間やらせて頂いたことが理由のようである。この
小委員会の完了時にまとめられた小冊子「明日のエネルギーの礎に−高速炉新材料の
実用化に向けて−」
(1999 年 5 月、(社)日本溶接協会
原子力研究委員会
FME
小委員会)の主査挨拶で朝田先生は「技術面での成果もさることながら、この小委員
会の場が技術の伝承と若手技術者の育成にも大きな役割を果たしてきたことを指摘
することができます。高速増殖炉計画の様に息の長い仕事は一世代の技術者集団で成
就する事は出来ません。経験を伝え生かしつつ、そこに新しい考えを入れて常に発展
していく事が必要です。」と述べられている。そこで、この小委員会で育てて頂いた
一人と(勝手に)思っている小生としては、そのときの経験等を少し記載させて頂く。
この小委員会に始めて参加した当時は研究所に属しており、30歳そこそこであっ
た。委員会活動はほとんど経験が無かったが、改良9Cr鋼の非弾性挙動WGのリー
ダを急遽やることになった。鋼材メーカ、溶接棒メーカ、製造メーカ、学識経験者と
まさに専門家の集まりであった。戸惑うことが多かったが、継続できたことで、技術
面だけでなく、いろいろなことを学ばせてもらった。改良9Cr鋼の溶接は当時難し
い面があり、いくつかの不適合が発生し、その毎に各分野の専門家に集まってもらい
議論を重ねることで対応していった。このときのいわゆるOJTで、現場的対応を含
め、溶接に関する専門的な知識をかなり学ばせてもらった。また、会議運営のやり方、
リーダの役割といったことや、わかりやすい資料とは、わかりやすい説明とは、とい
ったことなども含め、単なる専門家で無いすばらしい先輩たちを目の当たりにして何
とか近づけないものかと感じたものである。結果的に、社内にいるよりも非常に多く
のことを学び、広い視野で技術をみられるようになったように思っている。当時は高
速実証炉開発という大きな目標をもったプロジェクトがあり、予算もあり、この分野
53
に人と金を投入できる環境があった。専門家が集まり、議論できる場が提供されてい
た恵まれた状況であったといわざるを得ない。
次に小生の今の状況を見てみる。軽水炉の設計、製造、保全においても、創世記の
技術者(専門家)がいなくなり、現場の熟練技能者や創造的で経験豊かな技術者が不
足するなど、日本の他産業でも問題となっている技術継承の問題が出てきている。
これに対して技術の体系化が重要であるといわれる。例えば、材料力学は体系化さ
れた学問であり、基本的な教養は必要であるが、誰にでも理解できるはずである。し
かし、それを実際の機械の設計、評価に適用するには、どの部分の評価にはどの考え
方を用いて、その際の境界条件はどうするのか、などノウハウが必要であろう。
FEM解析も、基本的な使い方を指導すれば、マニュアル通りに入力して解析し、
解を得ることができる。しかし、解析結果は入力条件、境界条件によりいくらでも変
わりうる。実際の機械の設計、評価をどのような条件で解析したらよいか、出てきた
結果を見て妥当な結果となっているのか見極める能力が必要であり、指導と経験が必
要である。
こうした中にあってもトラブル対応では、特に新しい技術課題を含む場合は否応な
く技術の進歩がはかられてきた。トラブルに学ぶことは非常に重要なことであり、工
学の発展はまさにトラブルを克服によるところが大きいことは周知の事実である。こ
れは、実際に「もの」にふれて、実際に経験することとも無関係ではないだろう。
雑然としたことを列記したが、専門技術者の育成には優秀な指導者と発展の段階を
経るための時間(経験)が必要と考えざるを得ない。よって、技術継承にはやはり当
たり前ではあるが以下の対応が重要と思える。
・すぐれた指導者となりうる専門家を確保する
・専門家と次世代を担う中堅(若手)技術者が一緒に議論できる場を設ける
・上記の活動を通して(平行させて)、専門家の経験を記録に残し(これは専門家
の役割でもある)、その記録を理解できる後継者をつくる
これは伝統芸能の継承方法と同じであり、やはり具体的な提言などとは程遠いもの
となってしまっているが、日頃感じていることを書かせて頂いた。少しでも議論のき
っかけとなって頂ければ幸いである。
以上
54
4.構造・材料関連文献リスト
4.1 研究発表・論文リスト
4.1.1
開発全般
(1)BDS
1)永田敬,岡林邦夫,他,"高速炉用高温構造設計基準に関する研究開発",動燃技法
No.65, 39(1988)
2)和田雄作,他,"ステンレス鋼のクリープ疲労損傷機構とその評価に関する研究"
動燃技法No.87,1(1993)
3)青砥紀身,他"クロムモリブデン鋼のクリープ広評価法に関する研究"動燃技法
No.88, 5(1993)
4) 佐 近 淑 郎 , 他 " も ん じ ゅ 構 造 材 料 の 高 温 強 度 評 価 " 三 菱 重 工 技 報 Vol.23
No.6(1986)
5) Iida, K. et al., 'Construction Codes for Prototype FBR MONJU', NED 98, pp283/288.,
(1987)
(2)DDS
1)Takakura ,K., et al.," Development of elevated temperature structural
Design Guide for Japanese Demonstration Breeder Reactor",1991,Post
SMiRT-11 Seminar, Construction Codes and Engineering Mechanics,pp.1-18.
2)Takakura,K.,et al ," Elevated temperature Structural Design Guide for DFBR
in Japan",1993,SMiRT-12 Trans., Vol. E,pp.77-88.
3)Takakura ,K., et al ," Improvement of Elevated temperature Structural Design
Guide for DFBR in Japan",1995,SMiRT-13 Trans., Vol. E,pp.389-400.
4)Ueta, M., “Concept of Advanced Design Standards for DFBR”, 2ND INTERNATIONAL
WORKSHOP ON THE INTEGRITY OF NUCLEAR COMPONENTS, 1998, pp1-12.
5)Kaguchi, H., et al., "Status of DDS Committee WG1 -Guideline System & Stress
Classification-” ,US/Japan Information Exchange on ASME-SG-ETD, San Diego, 1998.
6) Kawasaki,N. et.al., Recent Design Improvements of Elevated Temperature Structural Design
Guide for DFBR in Japan, SMiRT15, Div.F, F04/4,(1999)
(3)FDS
1)笠原直人,浅山泰,森下正樹,
耐熱設計思想に基づく高温構造設計基準の検討,圧力技
術,第 39 巻,第 5 号,pp26-38,(2001)
2)N.Kasahara, K.Nakamura, M.Morishita, H.Shibamoto, H. Nagashima, K. Inoue, “Recent
Developments for Fast Reactor Structural Design Standard (FDS) ”, SMiRT18 (2005).
(4)システム化規格
1) Y.Asada, M.Tashimo, M.Ueta, “ System Based Code –Principal Concept-”, Proceedings of
ICONE10 (2002).
55
2) Y.Asada, M.Tashimo, M.Ueta, “ System Based Code –Basic Structure”, Proceedings of
ICONE10 (2002).
3) Asayama, T., et al., "Development of the System Based Code for Fast Breeder Reactors and
Light Water Reactors - Basic scheme -", Tenth International Conference on Nuclear
Engineering, 2002 April, (2002)
4) Asayama, T., et al., "Development of the System Based Code for Fast Breeder Reactors Probabilistic methods in creep-fatigue evaluation -", Tenth International Conference on
Nuclear Engineering, 2002 April, (2002)
5) Asayama, T., et al., "Development of the System Based Code for Structural Integrity of
FBRs", ASME PVP Vol.439, (2002) 265
4.1.2
実証炉以降構造
(1)クリープ疲労損傷関連
1)Kishi,S., et al .,"Inelastic behavior of the FBR reactor vessel wall around
sodium free level",1991,SMiRT-11 Trans.,Vol.,pp.61-66.
2)Hirayama ,H., et al.," Creep-Fatigue Evaluation rules in design guide for
DFBR in japan",1994,ASME-PVP.
3) 藤 岡 他 4 名
M&M
'96 日 本 機 会 学 会 材 料 力 学 部 門 講 演 会 論 文 集 .Vol B
(1996),p171.
4)Asano ,et al PVP-VOL.338,Pressure Vessel and Piping Codes and Standards
Volume1 ASME 1996
5)Masaaki HAYASHI、Terutaka FUJIOKA、Yukio TAKAHASHI、Takashi SHIMAKAWA、
Yoichi, UEKI、Masakazu JINBO、Tomomi OHTANI、Hiroshi MORITA ,Structural
Design of Demonstration Fast Breeder Reactor (DFBR) Applying Elastic
Follow-up Factors Estimated by Inelastic Analysis, ,ASME PVP 1998
6) T. Otani, H. Wada, H. Koto & T. Fujioka, “The Evaluation Method of Creep Fatihue
Damage of 316FR Stainless Steel Welded Joint”, ASME PVP 1998
7)Fujioka, T., et al., " Status of the Creep-Fatigue Damage Evaluation Rules for the Japanese
Demonstration Fast Breeder Reactor Design Guideline", The 3rd EJCC Status Report, 1998.
8)Shimakawa, T., et al., "Status of DDS Committee WG2 Creep-Fatigue Evaluation” ,US/Japan
Information Exchange on ASME-SG-ETD, San Diego, 1998.
9) Jimbo, M., et al., "Elevated Temperature Strength Evaluation Rules for Box Structure in
DFBR, SMiRT 15, Div.F, F02/1, Seoul , Korea, 1999.
(3)ラチェット評価法関連
1)Ogawa ,K., et al.," Application of simplified estimation method to thermal
ratchetting of FBR components",Trans.1991,SMiRT-11,Vol.E,pp.209
56
2)Wada, H., et al., "Proposal of a New Estimation Method for the Thermal
Ratchetting of a Cylinder Subjected to a Moving Temperature Distribution,"
Nuclear Engineering and Design, 139, 1993, pp. 261-267.
3)Kitade, S., et al., "Thermal Ratchetting of Cylinder Subjected to Short
Travel of Axial Temperature Distribution," PVP-Vol. 266, Creep, Fatigue
Evaluation, and Leak-Before-Break Assessment, ASME 1993, pp. 81-88.
4)Igari, T., Wada, H. and Ueta, M., "Mechanism-based Evaluation of Thermal
Ratchetting Due to Moving Temperature Distribution," PVP-Vol. 313-2,
International Pressure Vessels and Piping Codes and Standards: Volume 2 Current Perspectives, ASME 1995, Honolulu, 1995, pp. 471-480.
5)Igari, T., et al, "Ratchetting Response of Pipes and Elbows under Cyclic
Displacement Controlled Loads," Transactions of14th SMiRT, Vol. F, Lyon,
1997, pp. 117-124.
6)Igari, T., et al., "Inelastic Analysis of New Thermal Ratchetting Due to
Moving Temperature Front - Results of Benchmark Project (A) by JSMS,"
Transactions of the 14th SMiRT, Vol. L, Lyon, 1997, pp. 213-220.
7)Wada, H., Otani, T. and Fujioka, T., "The Ratchetting Evaluation Methods
in Japanese Demonstration FBR Design, " Transactions of 14th SMiRT, Vol.
F, Lyon, 1997, pp. 125-132.
8) Igari, T., Otani, T. Wada, H., Jimbo M. and Fujioka, T.,”Influence of creep
and thermal aging on thermal ratchetting”, ASME/JSME PVP, 1998
9) Fujioka, T., et al., "Status of the Development and Validations in Ratchetting Evaluation
Methods for the Japanese Demonstration Fast Breeder Reactor Design Guideline", EJCC
Structural Integrity Detailed Information, 1998.
10) Hayashi, M., et al., "Status of DDS Committee WG3 Ratcheting Evaluation
Method” ,US/Japan
Information Exchange on ASME-SG-ETD, San Diego, 1998.
11) Sadahiro.D, et al "The Design Standard for Strain limitation in Japanese Demonstration
FBR Design ",1999, SMiRT-15 Trans., Vol. F,pp.169-176.
(3)ラチェット疲労評価法
1) N.Isobe, K.Nakayama, H.Shibamoto, H.Nagashima, K.Inoue, M.Sukekawa, “Design Criteria
for Ratcheting Fatigue of 316FR Steel under Fast Reactor Conditions”, SMiRT18 (2005).
(4)非弾性歪み総合評価法
1)H.Ozaki et.al.,Evaluation of Inelastic Strain in Elevated Temperature
Components, ASME PVP 1993
2) Hayashi, M., et al., Structural Design of Demonstration Fast Breeder Reactor (DFBR)
57
Applying Elastic Follow-up Factors Estimated by Inelastic Analysis" ASME/JSME PVP, San
Diego, 1998
(5)配管評価法
1)Y.Kamishima, K.Dosaki, M.Ueta "The Effect of Stiff Ends on Stress Index of Welding
Elbow" SMiRT12, 1993
2) H.Machida, Y.Kamishima, M.Ueta, K.Dosaki "Stress Index of 45 and 90 Degree Elbow
Subjected to In-Plane and Out-of-Plane Moment" SMiRT13, 1995
3)Igari, T., H. Wada and M. Ueta, 1996, Plastic buckling and ratchetting of
straight pipes subjected to deformation-controlled monotonic and cyclic
bending, ASME PVP, Vol.96, Book No. H01059, Ed. by A. A. Dermenjian, pp.47-54
4)Kaguchi, H., H. Wada, J. Orita, T. Fujioka, M. Jimbo, and H. Morita,A
simplified design method of piping subjected to thermal loads at elevated
temperature, Volume 3, Division F, Trans. of the 14th SMIRT, 1997,Lyon,
pp.207-214
5)Orita, J., K. Nakamura, Y. Kamishima, T. Fujioka and M. Morita, 1997, Elastic
follow-up evaluation in pipes and elbows under displacement controlled loads
at elevated temperature, Volume 3, Division F,
Trans. of the 14th SMIRT,
Lyon, pp. 191-198
6)Igari, T., H. Kaguchi, T. Fujioka, M. Jimbo and H. Morita, 1997,
Ratchetting response of pipes and elbows under cyclic displacement
controlled loads at elevated temperature, Volume 3, Division F,
Trans. of
the 14th SMIRT, Lyon, pp.117-124
7)H. Kaguchi, J. Orita, H. Morita, M. Jimbo, T. Fujioka, 1998, Design Procedure
of Piping under Thermal Expansion at Elevated Temperature, ASME PVP 1998
8) Fujioka, T., et al., " Status of the Piping Evaluation Rules for the Japanese Demonstration
Fast Breeder Reactor Design Guideline ", EJCC Structural Integrity Detailed Information,
1998.
(6)管台評価法
1)和田宏,猪狩敏秀,重谷卓哉,神島吉郎,植田正弘,堂崎浩二,
「熱膨張荷重を
受ける配管管台部の変位制御型座屈評価法」
,日本機械学会[No.920-72]材料力学
部門講演会論文集,1992
2)T. Igari, H. Wada and M. Ueta, “Plastic Buckling and Ratchetting of Straight
Pipes Subjected to Deformation-controlled Monotonic and Cyclic Bending",
PVP-vol.96, Pressure Vessels and Piping Design, Analysis and Severe
Accidents, Book No. H01059, 1996
(7)非弾性解析
58
1) 笠原直人,島川貴司,安藤昌教,非弾性解析による設計アプローチ,機械学会,計算力学
部門講演会論文集,117,pp33-34,(2001)
2) Y.Tanaka et al : “Development of the guideline on inelastic analysis for design”,
ASME,PVP2004, PVP-Vol.472, pp53/60,(2004)
3) Y. Takahashi, N. Kasahara, H. Shibamoto, K. Inoue, “Improvement of Inelastic Constitutive
Model for Austenitic Stainless Steel for Design Use”, SMiRT18 (2005).
(8)熱荷重設定法
1) N.Kasahara and H.Takasho., Stress response functions to multi-dimensional spatial
fluctuations of fluid temperature, ASME, PVP-Vol.443-1, pp25/31, (2002)
2) Naoto KASAHARA, Masakazu JINBO and Hiromi HOSOGAI, Mitigation Method of
Thermal Transient Stressby Thermal hydraulic-Structure Total Analysis, SMiRT17,
F03-1,(2003)
3) Naoto KASAHARA, Shinichi Hasebe, Sumio Kobayashi, Masanori Ando, Nobuchika
kawasaki, Spectra thermal fatigue test under frequency controlled fluid temperature variation
- Development of test equipment and preliminary tests 4) H.Shibamoto, H.Nagashima, K.Inoue, N.Kasahara, M.Jimbo, I.Furuhashi, “Development of
Guidelines for Thermal Load Modeling”, ASME PVP (2005) PVP2005-71630.
5) Naoto KASAHARA, Nobuyuki KIMURA and Hideki KAMIDE, Thermal Stress Evaluation
by Power Spectrum Density Function against Fluid Temperature Fluctuation, ASME,
PVP2005-71307, (2005)
6)笠原直人,上出英樹,五十嵐実,細貝広視,高正英樹,周波数特性に着目した流体温度ゆら
ぎによる熱疲労損傷の評価法,機械学会,材料力学部門講演論文集 pp415-416,(2002)
7) 日本機学会基準 JSME S 017-2003 配管の高サイクル熱疲労に関する評価指針
(9)1 次応力評価法
1) Seshadri, R., Fernando, C.P.D., 1992, “Limit Loads of Mechanical Components and
Structures using the GLOSS R-Node Method,” Journal of Pressure Vessel Technology, Vol.
114, pp. 201-208
2)
Hideaki
NAGASHIMA,Hiroshi
SHIBAMOTO
and
Kazuhiko
INOUE,
Naoto
KASAHARA, Daisuke SADAHIRO, Application of a Classification Method to Obtain
Primary
Stresses
without
Evaluation
Sections
to
Perforated
Structure,
ASME,
PVP2005-71690,(2005)
(10)LBB
1) H.Wada, M.Ueta, T.Uno, O.Maeda, S.Takahashi "Evaluation Method on LBB for The Piping
of Demonstration FBR" ASME PVP Book No.H0978B-1995
59
4.1.3
実証炉以降材料
(1)改良9Cr-1Mo 鋼
1) Y.Asada, K.Douzaki, M.Ueta, M.Ichimiya, K.Mori, M.Kitagawa, T.Nishida,
and
M.Sukekawa; “ Research and Development on 9Cr-Steels for Steam
Generator of
DFBR in Japan(1) - Fatigue Properties ”, SMiRT 11
Transactions, Vol.L, (1991),pp.109-114.
2) Y.Asada, M.Ueta, M.Ichimiya, K.Douzaki, T.Nishida, T.Sakon, K.Mori, and
M.Sukekawa; “ Research and Development on 9Cr-Steels for Steam
Generator of DFBR in Japan(2) - Creep Properties ”, SMiRT 11 Transactions,
Vol.L, (1991),pp.115-120.
3) Y.Asada, T.Simakawa, M.Ueta, M.Ichimiya, K.Douzaki, M.Miyahara, and
M.Sukekawa; “ Research and Development on 9Cr-Steels for Steam
Generator of DFBR in Japan(3) - Crack Resistance Properties ”, SMiRT 11
Transactions, Vol.L, (1991),pp.121-124.
4) Y.Asada, M.Ueta, K.Douzaki, M.Sukekawa, K.taguchi, and H.Koto; “ Creep,
Fatigue and Creep-Fatigue Properties of Modified 9Cr-Mo Steel and its
Weldments for Steam Generator of Fast Breeder Reactor ”, PVP-Vol.230,
Stress Classification, Robust Methods, and Elevated Temperature Design,
ASME, (1992), pp.41-46.
5) K.Taguchi, M.Ueta, K.Douzaki, M.Sukekawa, H.Koto and Y.Asada; “ CreepFatigue Life Prediction for Modified 9Cr-Mo Steel ”, PVP-Vol.262, HighTemperature Service and Time-Dependent Failure, ASME, (1993),
pp.175-180.
6) Y.Asada, K.Douzaki, M.Ueta, M.Ichimiya, K.Mori, K.Taguchi, M.kitagawa,
T.Nishida, T.Sakon, and M.Sukekawa; “ Exploratory Research on Creep and
Fatigue Properties of 9Cr-Steels for Steam Generator of FBR”, Nuclear
Engineering and Design, Vol.139, (1993), pp.269-275.
7) K.Taguchi, M.Ueta, H.Koto, and M.Sukekawa; “ Creep-Damage Evaluation
of Modified 9Cr-Steel Based on a Time-Fraction Concept ”, PVP-Vol.313-2,
International Pressure Vessels and Piping Code and Standards: Vol.2Current
Perspectives, ASME, (1995), pp.449-456.
8) M.Ueta, K.Ohno, Y.Ymashita, S.Maruyama, and T.Satoh; “ Status of the
Development of Advanced Structural Materials for Japanese DFBR ”,
SMiRT 13,Transactions, Vol.1,Dev.E, E263,(1995),
9) K.Taguchi, T.Fujioka, Y.Yamashita, H.Koto, K.Takanashi, Y.Toya, and
T.Sato; “ Creep, Fatigue, and Creep-Fatigue Properties of Modified 9Cr-1Mo
60
Steel Weldments ”, PVP-Vol.336, Structural Integrity, NDE, Risk and
Materials Performance for Petroleum, Process and Power, ASME, (1996),
pp.295-301.
10)T.Fujioka, H.Koto, M.Sukekawa, K.Kimura; “ Design Fatigue Curve and
Rupture Strength for 316FR and Modified 9Cr-1Mo Steel ” For SG on
Elevated Temperature Design, ASME Code Meeting in September 1997
11)植田,堂崎,祐川,田口,古藤,朝田;
“FBR蒸気発生器9Cr鋼のクリ−プ破断,疲
労特性”,日本機械学会[No.920-72]材料力学部門講演会講演論文,(1992),pp.481482.
12)植田,堂崎,祐川,田口,古藤,朝田;
“FBR蒸気発生器9Cr鋼のクリ−プ疲労特
性”,日本機械学会[No.920-72]材料力学部門講演会講演論文,(1992),pp.483-484.
13)堂崎,浅海,祐川,田口,高鍋;
“改良9Cr−1Mo鋼の疲労特性と設計疲れ線図”,
日本原子力学会「春の学会」講演前刷り集, (1993), p.333.
14)大野,堂崎,藤岡,祐川,田口,古藤;
“FBR高温構造用新材料における高温強度デ
−タの蓄積”,日本機械学会第73期通常総会講演会講演論文,No.96-1,(1996),pp
127-128.
15)大野,堂崎,藤岡,田口,古藤,祐川;
“FBR高温構造用新材料におけるクリ−プ疲
労評価法の検討”,日本機械学会第73期通常総会講演会講演論文集,No.961,(1996),pp.129-130.
16)藤岡,加藤,大野,祐川,田口,西田;
“高速実証炉用高温構造用新材料の材料強度試
験データベ−ス”,日本機械学会
第5回動力・エネルギ−技術シンポジュウム
講演前刷集, (1996),
(2)316FR 鋼
1) Y.Asada, M.Ueta, T.Kanaoka, M.Sukekawa, and T.Nishida; “ Current
Status of the Development of Advanced 316-steel for FBR Structures”,
PVP-Vol.230, Stress Classification, Robust Methods, and Elevated
Temperature Design, ASME, (1992), pp.61-66.
2) T.Nishida, M.Ueta, S.Niinobe, M.Sukekawa, H.Hirayama Y.Asada; “ Creep
and Fatigue Properties of Advanced 316-Steel for FBR Structures ”,
PVP-Vol.262, High-Temperature Service and Time-Dependent Failure,
ASME, (1993), pp.175-180.
3) M.Ueta, T.Nishida, H.Koto, M.Sukekawa, and K.Taguchi; “ Creep-Fatigue
Properties of Advanced 316-Steel for FBR Structures ”,PVP-Vol.B, Current
Perspecives of International Pressue Vessels and Piping Codes and
Standards, ASME,(1995),p423428
4) M.Ueta, K.Ohno, Y.Ymashita, S.Maruyama, and T.Satoh; “ Status of the
61
Development of Advanced Structural Materials for Japanese DFBR ”, SMiRT
13 Transactions, Vol.1,Dev.E, E263,(1995)
5) H.Kaguchi, H.Koto, T.Fujioka, K.Taguchi, and M.Sukkawa; “ Evaluation of
Fatigue Properties of 316FR Stainless Steel Welded Joints at Elevated
Temperature”, PVP-2, Fatigue and Fracture Vol.1, ASME, (1996),
pp.305-315.
6)T.Fujioka, H.Koto, M.Sukekawa, K.Kimura; “ Design Fatigue Curve and
Rupture Strength for 316FR and Modified 9Cr-1Mo Steel ” For SG on
Elevated Temperature Design, ASME Code Meeting in September 1997
7)西田,大野,新延,祐川,平山;“高速炉構造用316ステンレス鋼の高温強度と組
織”,日本機械学会[No.920-73]材料力学部門講演会講演論文集,1993,pp.893-894.
8)植田,西田,堂崎,福田,平山;
“高速炉構造用316ステンレス鋼の高温強度特性”,
日本機械学会[No.920-73]材料力学部門講演会講演論文集,1993,pp.895-896.
9)大野,堂崎,藤岡,祐川,田口,古藤;
“FBR高温構造用新材料における高温強度デ
−タの蓄積”,日本機械学会第73期通常総会講演会講演論文,No.96-1,(1996),pp
127-128
10)大野,堂崎,藤岡,田口,古藤,祐川;
“FBR高温構造用新材料におけるクリ−プ疲
労評価法の検討”,日本機械学会第73期通常総会講演会講演論文集-1,(1996),
pp.129-130.
11)藤岡,加藤,大野,祐川,田口,西田;
“高速実証炉用高温構造用新材料の材料強度試
験データベ−ス”,日本機械学会
講演前刷集,
第5回動力・エネルギ−技術シンポジュウム
(1996),
12)中澤,祐川,古藤,田口,永田,藤岡;
“高速実証炉・高温構造用316FR鋼の長時
間組織変化”材料とプロセス,日本鉄鋼協会,CAMP-ISIJ, Vol.10,(1997),p.1423.
13)藤岡,古藤,伊達,田口,山下;
“高速炉構造用SUS316鋼のクリ−プ疲労強度に
及ぼす波形効果と破壊形態”,第35回高温強度シンポジュウム前刷集,日本材料
学会,
1997,pp.65-69.
14)川崎,伊達,古藤,木村,祐川;“高速増殖炉実証炉構造材料強度デ−タの整備”,平
成10年度総会講演会予稿集,日本材料学会,1998-5
15)川崎,中澤,伊達,古藤,祐川“高速炉構造用SUS316(316FR鋼)の長時
間外挿性の検討”,平成10年度総会講演会予稿集,日本材料学会,1998-5
16)T.Otani, H.Wada, H.Koto, T.Fujioka;“The Evaluation Method of
Creep-fatigue Damage of 316FR Stainless Steel Weld Joint”,ASME PVP
(1998-7)
17)中澤,川崎,祐川,古藤,田口,森本;
“高速実証炉・高温構造用316FR鋼溶接金
属のクリ−プ破断特性”,材料とプロセス,日本鉄鋼協会,CAMP-ISIJ,
62
Vol.11,(1998),p.1172
18)遠矢,古藤,大谷,伊達,祐川,川崎;
“316FR鋼溶接継手のクリ−プ疲労強度評
価法”,第36回高温強度シンポジュウム前刷集,日本材料学会,1998,pp.45-49
(3)12Cr 鋼
1) Takashi WAKAI,Kazumi AOTO,Kazuhiko INOUE,Masayuki SUKEKAWA,Shingo DATE;
“The Present Status of Development of High Chromium Steel for FBR”,
Proceedings of 30th MPA Seminnar Vol.2, pp.28-1∼28-14, MPA Stuttgart,
6-7/Oct./2004.
2) Takashi WAKAI,Kazumi AOTO,Masayuki SUKEKAWA,Shingo Date,Kazuhiko INOUE;
“Present Status of Development of High Chromium Steel for Japanese FBR
Components”,Nuclear Engineering and design(2006年発行見込み)
(投稿中)
.
3)Takashi ONIZAWA,Takashi WAKAI,Masanori ANDO,Kazumi AOTO ; “Effects of
MX precipitates on mechanical properties of high Cr steel”,Nuclear
Engineering and design(2006年発行見込み)
(投稿中)
.
4) 若井 隆純,青砥 紀身; “高クロム鋼の高温破壊靱性試験と同鋼製高速炉配管の
破壊評価 ”,日本機械学会M&M2004(2004年7月,秋田大学)
.
5) Masanori ANDO, Toru TAKAHASHI, Takashi WAKAI, Kazumi AOTO and Kazuhiko
INOUE; “ Development of High Chromium Steel FBR Grade”,独立行政法人物質・
材料研究機構第8回超鉄鋼ワークショップ(2004年7月,つくば)
6) Takashi WAKAI,Kazumi AOTO,Kazuhiko INOUE,Masayuki SUKEKAWA,Shingo DATE;
“The Present Status of Development of High Chromium Steel for FBR”,30th
MPA Seminar(2004年10月,MPA Stuttgart)
.
7)Takashi ONIZAWA,Takashi WAKAI,Masanori ANDO,Kazumi AOTO; “Effect of V
and Nb contents on mechanical properties of high Cr steel”,Proceedings
of International conference on creep and fracture in High Temperature
Components(2005年9月,ECCC Creep Conference, London)
.
63
4.2 関連文献リスト
4.1.1
高 Cr 系鋼
(1)12Cr 系鋼
1)増山不二光、
“超超臨界圧発電用耐熱鋼”
、日本学術振興会
耐熱金属材料第 123
委員会研究報告、Vol.38、No.3、平成9年 11 月、pp211-229
2)住友金属工業株式会社、
“ボイラ用鋼管の開発動向について”
、907 技術資料 No.4028
3)大神、三村、直井、藤田、他 “ボイラ用高強度 9CrW鋼管及び鍛鋼品(NF616)の
開発”新日鐡技報
第 362 号,(1997)pp49-53
4)H. Naoi, M. Ohgami, Y.Hasegawa, T. Fujita, ”Mechanical Properties of
12Cr-W-Co Ferritic Steels with High Creep Rupture Strength”, Materials for
Advanced Power Engineering ,Part1 ,1994,pp425-434
5)Y.Sawaragi, A. Iseda, K.Ogawa, F.Masuyama, ”Development of A High Strength
12Cr Steel” Materials for Advanced Power Engineering ,Part1 ,1994,pp309-318
6)Y.Sawaragi, A.Iseda, K.Ogawa, F.Masuyama, T.Yokoyama, “HCM12A Pipe
Production, Properties and Welding Consumable Development”
7)F.Masuyama, T.Yokoyama,“ NF616 Fabrication Trials in Comparison with
HCM12A”
8)増山、石原、横山、藤田、
“ボイラ用 W 強化型9−12%Cr 鋼管材の実用化”火力
原子力発電、vol.46,No.5,(May 1995),p498
9)K.Ogawa,A.Iseda,Y.Sawaragi,F.Masuyama,T.Yokoyama,S.Matsumoto,
“Properties of 12%Cr High Strength Ferritic Steel Tubes and Pipe Weldments
for Boilers”小川、伊勢田、椹木、松本、増山、
“12%Cr 系高強度ボイラ用鋼管
(HCM12A)の開発(第 2 報)”,住友金属、Vol.47 No.4(1995) p39
10)M. Igarashi, Y. Sawasagi, ”Development of 0.1C-11Cr-3W-3Co-V-Nb-Ta-Nd-N
Ferritic Steel for USC Boilers ”,Proc. Int. Conf. Power Engineering
-97,Vol.2,(1997),p107-112
11)福井
寛、
“高温・高圧蒸気タービン耐熱材料の開発と実用化”溶接学会特別研究会
「極限材料の構造化」シンポジュウム、平成 10 年 11 月 11 日
12) K. Hidaka, Y. Fukui, R.Kaneko, T. Fujita, “Development of 9-12%Cr steels
for all-ferrite steam turbine at target temperature of 650 ℃ ”,
C522/008/97 IMechE 1997
13)志賀、福井、桐原、金子他、
“超超臨界圧タービン用改良12Cr 鋼ロータ材”鉄と鋼
76 年(1999)
14) 志 賀
第
第7号、pp52-59
正男、飯島活巳
“ USC タ ー ビ ン ロ ー タ 用 耐 熱 鋼 の 開 発 ” 金 属 、
(1992-11),p50
15)山田、津田、石井、
“蒸気タービン用 12%Cr 系耐熱鋼の開発と強化機構”
、日本学術
64
振興会
耐熱金属材料第 123 委員会研究報告、Vol.39、No.3、第9回討論会、
平成 10 年、pp303-318
16) Y.Nakabayashi, A.Hizume,et.al “Advanced 12Cr Steel Rotor(TMK1) for EPDC’
Wakamatsu 50MW High Temperature Turbine Step1(593℃/593℃)”,The 1st Int.
Conf. On Improved Coal-Fired Power Plants
17) 角谷、北井、松尾、辻、岸本、土山、岡村、
“先進型 12Cr 鋼ロータ材の 593℃
−700MW 蒸気タービンプラントへの実用化”鉄と鋼、第 78 年(1992)
第 6 号、p910
18) Y. Kadoya, R. Magoshi, I. Tsuji, et.al “Alloy Design and Production of
An
Advanced
12Cr
Steel
Rotor
Applicable
to
Elevated
Steam
Temperatures”,Proceedings of the Fifth International Conference on Clean
Steel,Vol.2, June 1997,pp167-177
19) Y. Fukui, M. Shiga, S. Nakamura, K. Hidaka,”Development of Superclean 12Cr
Steel for Heavy Duty Gas Turbines”, Clean Steel:Superclean Steel ,
Conference Proceedings, March 1995,pp123-131
20)福井、志賀、日高、中村“高温ガスタービンディスク用高強度 12CR 鋼の開発”
第 10 回ガスタービン秋季講演会、講演論文集、A-9、
(1995.8)
(新潟)
21)K.Hidaka, M.Shiga, S.Nakamura, Y.Fukui,” Development of 12Cr Steel Disc
for Heavy Duty Gas Turbines” ,ASME, 94-GT-199
22)M.Shiga, K.Hidaka, S.Nakamura, Y.Fukui,” Development of 12CrNb Steel for
HeavyDuty Gas Turbine Discs” ,ISIJ International,Vol.35, No.11,(1995),
pp1400-1406
(2)12Cr 以上のフェライト系鋼
1)Finkler H, et.al. ”Transformation behavior of the high temperature
marrtensitic
steels
with
8-14%
chromium”
Steel
Res,
Vol.67,No8,pp328-342 (1996)
2)Golovin I S, Sarrak V I, et. al. “Influence of Carbon and Nitrogen on Solid
Solution Decay 475℃ Embrittlement of High-Chromium Ferriticc Steels”,
Metal Trans A,Vol.23,No.9, pp2567-2579,(1992)
3)Golovin I S, Sarrak V I, et. al. “Investigation of 475℃ Embrittlement
of High-Chromium Ferriticc Steels with the use of internal Friction”,
Material Science Formurar, Vol.119/121, pp419-424,(1993)
4)Berns H , “Technological Aspects of New Martensitic Nitrogen Steels”,
Marutensitic Tranform Sci Technology, pp389-396,(1989)
5)木村一弘、他、
“析出硬化型高 Cr フェライト鋼のクリープ強度特性”
、CAMP―ISIJ
Vol.12(1999)-1318
6)戸田佳明、他、
“析出硬化型 15Cr フェライト鋼の金属組織に及ぼす W および Co
65
の影響”,CAMP―ISIJ
Vol.13(2000)-1220
7)関和宏、他、
“析出硬化型 15Cr フェライト鋼のクリープ強度に及ぼす合金元素
の影響”,CAMP―ISIJ
4.1.2
Vol.13(2000)-1231
クライテリア関連
(1) 平均ひずみ関連
1) 青砥,和田;“Mod.9Cr-1Mo(NT)鋼クリープ疲労評価”
,材料,Vol. 44, No. 496,
pp.23-28, 1995
2) 小林,山口,木村,下平;
“各種高温材料の高温低サイクル疲労における圧縮ひ
ずみ保持効果”
,第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.55-59, 1997
3) 磯部,桜井;“Ni 基および Co 基超合金の高温疲労き裂進展に及ぼす圧縮ひずみ
保持の影響”
,第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.124-128, 1997
(2) ひずみ保持関連
1) 緒方,新田;“改良 9Cr-1Mo 鋼のクリープ疲労寿命に及ぼす雰囲気および波形
効果”,第 30 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.149-153, 1992
2) 松原,新田;“改良 9Cr-1Mo 鋼高温疲労強度における圧縮保持による寿命低下
に関する考察”
,第 30 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.154-158, 19921)
3) 青砥,和田;“Mod.9Cr-1Mo(NT)鋼クリープ疲労評価”
,材料,Vol. 44, No. 496,
pp.23-28, 1995
4)磯部,桜井;
“ガスタービン静翼材の実動模擬負荷下でのき裂進展挙動”,第 33
回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.124-128, 1995
5) 筧,坂木,宮本;“Ni 基超合金単結晶の高温強度の引張り圧縮異方性”
,第 33
回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.139-143, 1995
6) 緒方,山本;“改良 9Cr-1Mo 鋼のクリープ疲労寿命に及ぼす長時間ひずみ保持
の影響”
,第 33 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.169-173, 1995
7) 緒方;
“改良 9Cr-1Mo 鋼のクリープ疲労寿命に及ぼす長時間ひずみ保持の影響”,
材料,Vol. 46, No. 1, pp.25-31, 1997
8) 小林,山口,木村,下平;
“各種高温材料の高温低サイクル疲労における圧縮ひ
ずみ保持効果”
,第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.55-59, 1997
9) 藤岡,古藤,伊達,田口,山下;“高速炉構造用 SUS316 鋼のクリープ疲労強
度に及ぼす波形効果と破壊形態”,第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,
pp.65-69, 1997
10) 山本,
緒方;“Ni 基超合金 Inconel738LC のクリープ疲労条件における損傷形態”
,
第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.114-118, 1997
11) 磯部,桜井;“Ni 基および Co 基超合金の高温疲労き裂進展に及ぼす圧縮ひずみ
保持の影響”
,第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.124-128, 1997
66
12) 紀,猪狩,時吉,川島;” 2 1/4Cr-1Mo 鋼のクリープ疲労き裂伝播挙動” 第 38
回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.41-45, 2000
13) 高木,藤山,伊藤; “ガスタービン高温部材の圧縮ひずみ保持下の熱疲労寿命評
価法”, 第 38 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.56-59, 2000
(3) クリープ損傷定義関連
1)荒井,緒方;“クリープ疲労条件下での粒界キャビティの発生形態とその力学的
支配因子”
,第 34 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.26-30, 1996
2) 末吉,中馬,山内;
“低合金鋼およびステンレス鋼の定応力クリープ挙動の検討”,
第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.60-64, 1997
3) 伊藤,野中,木原,馬木;
“改良 9Cr-1Mo 鋼のクリープ損傷特性と評価法”
,第
36 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.1-4, 1998
4) 緒方,屋口;“2.25Cr-1Mo 鋼ボイラ溶接熱影響部のクリープ疲労損傷メカニズ
ム”
,第 36 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.40-44, 1998
(4)多軸効果関連
1) 向井,坂根,大南;
“十字型試験片を用いた高温多軸クリープ疲労損傷”,第 34
回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.56-60, 1996
2) 旭吉,坂根;“Mod.9Cr-1Mo 鋼の繰返しねじり試験におけるき裂伝ぱ挙動”, 第
35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.85-89, 1997
3) 中馬,野中,山内;
“低合金鋼の二軸クリープ強度評価法の検討”
,第 35 回高温
強度シンポジウム前刷り集,pp.174-178, 1997
4) 旭吉,坂根; “Mod.9Cr-1Mo 鋼の繰返しねじり試験におけるき裂伝ぱ挙動”, 第
38 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.36-40, 2000
5) 緒方,山本; “ガスタービン動翼材 IN738LC の実機模擬熱疲労試験に基づく寿
命評価”, 第 38 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.51-55, 2000
(5) 環境効果関連
1) 緒方,新田;“改良 9Cr-1Mo 鋼のクリープ疲労寿命に及ぼす雰囲気および波形
効果”,第 30 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.149-153, 1992
2) 松原,新田;“改良 9Cr-1Mo 鋼高温疲労強度における圧縮保持による寿命低下
に関する考察”
,第 30 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.154-158, 1992
(6)き裂進展(破損の定義)関連
1) 磯部,桜井;“Ni 基および Co 基超合金の高温疲労き裂進展に及ぼす圧縮ひず
み保持の影響”
,第 35 回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.124-128, 1997
2) 紀,猪狩,時吉,川島;” 2 1/4Cr-1Mo 鋼のクリープ疲労き裂伝播挙動” 第 38
回高温強度シンポジウム前刷り集,pp.41-45, 2000
67
編集後記
本小冊子は、
「高速炉 構造・材料の明日を考える会」が中心となり、高速炉用として
新しく開発してきた材料の知見、開発された材料の寿命評価等の構造の知見を取りまと
めたものである。
高速炉新材料の開発は、古くは 1985 年の FSG 小委員会に遡り、それ以降 FNC 小委
員会、FME 小委員会、設計手法高度化委員会と引き継がれてきた。その歴史は、実証
炉1号機、2号機計画、実用炉といった高速炉プラントを支える歴史であり、各々のプ
ラントで達成しようとする概念合わせ、開発材料の目標、構造設計評価法の対象を変化
させてきた歴史でもある。各フェーズにおける技術的成果は、各々のフェーズの終了時
に、技術的成果としてとりまとめを行ってきたが、今回、革新的実用炉の構造・材料設
計基準の開発(材料の大まかな仕様の決定と設計基準のアウトラインの構築)に一段落
をつけ、技術成果として取りまとめる際に、開発に当たったメンバーは、一つの大きな
試みをした。今回の会は、従来の技術成果の報告・技術的議論という枠組みを超え、研
究開発の方向性、技術伝承について議論し、今後の方向性を模索できるものにしようと。
勿論、このチャレンジに関しては、「研究の方向性など現在のメンバーが見定めるもの
であり、他人に聞くものではない。
」
「アンケートやパネルディスカッションをしたとこ
ろで、昔話や漠然とした話が出るだけで、何も進展しない。」などなど、様々な意見が
出された、
結論としては、当初から材料開発に携わっていた古狸の悪知恵によって、、、いや違っ
た、経験豊富な技術者の英断により、今回の会は、この内容となった。この文章を読ん
でいる方々は、材料・構造の研究者かも知れない、否、高速炉システムの研究者、プロ
ジェクト関係者、軽水炉、火力様々な分野の関係者であろう。しかしながら、ある一つ
の技術を開発し、伝承していくという点では、どの分野の研究者であろうと同じ土俵で
議論し、何かしら有益なものを作り上げていくことができると思う。是非とも、今回の
パネルディスカッションを出発点に始まる将来へ向けての議論に参加し、その一翼を担
っていただきたい。
構造・材料の研究は、本年度で終焉を迎えるわけではない、これらの議論を通じ、新
しい方向性を見出し、更に大きく有益に発展していくこととなる。構造・材料研究の話
題を聞いたときには、このような議論を経て、生み出された成果なんだと思ってほしい。
最後に一つ重要な事を書かなければならない。計 20 年にも亘り、研究開発を実施し、
成果を出し続けてきたのは、朝田東大名誉教授の深遠なるリーダシップとそれを実現し
た先輩技術者の方々の努力の賜物である。今回有志という曖昧な立場において、成果を
取りまとめ、パネルディスカッションを開催できるのも、先人の方々の遺産のおかげで
ある。ここに深く尊敬の意を表するとともに、感謝の気持ちを示したいと思う。
どうもありがとうございます。
明日のエネルギーの礎に−高速炉 材料・構造開発 <昨日・今日・明日>−
冊子編集メンバー
朝田泰英(東大名誉教授)
、植田正弘(日本原子力発電㈱)
、
森下正樹(JAEA)、神保雅一(東芝)
、神島吉郎(Artech)、
馬郡明子(日本溶接協会)
、川崎信史(JAEA)
、祐川正之(日立製作所)
68
明日のエネルギーの礎に―高速炉構造材料開発<昨日・今日・明日>
平成17年11月17日印刷
平成17年11月18日発行(第1版)
編集
高速炉構造・材料の明日を考える会
発行
社団法人
冊子編集会
日本溶接協会
The Japan Welding Engineering Society
〒101-0025
電話
東京都千代田区神田佐久間町 1-11
03-3257-1524
http://www.jwes.or.jp/
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