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特許第3665813号 - J
JP 3665813 B2 2005.6.29 (57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】 【請求項1】 葯において異種遺伝子を特異的に発現させるための方法であって: 配列番号1で示される配列からなるDNAを有するイネCatA遺伝子プロモーター;お よび 異種遺伝子が該プロモーターと発現可能に接続されるように、該異種遺伝子を挿入するた めの部位、 を含む、植物発現用カセットを提供する工程; 該異種遺伝子を該挿入部位に挿入して、組換え発現ベクターを形成する工程; 植物細胞を、該組換え発現ベクターで形質転換する工程;ならびに 10 該形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程 を包含し、 ここで、該異種遺伝子は葯において、同じ植物体の他の組織または器官の少なくとも1種 におけるよりも多く発現する、 方法。 【請求項2】 前記植物細胞が単子葉植物細胞である、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記植物細胞が双子葉植物細胞である、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 20 (2) JP 3665813 B2 2005.6.29 花粉において異種遺伝子を特異的に発現させるための方法であって: 配列番号1で示される配列からなるDNA;および 異種遺伝子が該プロモーターと発現可能に接続されるように、該異種遺伝子を挿入するた めの部位、 を含む、植物発現用カセットを提供する工程; 該異種遺伝子を該挿入部位に挿入して、組換え発現ベクターを形成する工程; 植物細胞を、該組換え発現ベクターで形質転換する工程;ならびに 該形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程 ここで、該異種遺伝子は花粉において、同じ植物体の他の組織または器官の少なくとも1 種におけるよりも多く発現する、 10 を包含する、方法。 【請求項5】 前記植物細胞が単子葉植物細胞である、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 前記植物細胞が双子葉植物細胞である、請求項4に記載の方法。 【発明の詳細な説明】 技術分野 本願発明は、植物遺伝子のプロモーターを用いる、有用植物の育種に関する。さらに詳し く は 、 イ ネ の カ タ ラ ー ゼ 遺 伝 子 A( 以 下 、 CatAと い う ) の プ ロ モ ー タ ー 遺 伝 子 を 用 い る 有 用植物の育種に関する。 20 背景技術 品種間の交配で生じるF1ハイブリッド(雑種第一代)が両親よりも優れた特性を示すこ とがあることが知られており、作物の品種改良の方法として従来から注目されていた。イ ネなどの自家受粉を行う作物においては、この性質を利用するための必要な技術の一つと して、花粉が稔性を持たない雄性不稔系統の作出方法が研究されている。従来は、植物遺 伝資源の中から雄性不稔系統を探したり、突然変異を誘発して雄性不稔系統を選抜したり していたが、実用品種にその遺伝子を導入するのは容易ではなく、利用は限られていた。 最近になって、バイオテクノロジーを利用した方法として、葯および/または花粉で発現 するプロモーターにこれらの器官の形成を阻害する機能を持つ遺伝子(例えば、ヌクレア ーゼ、プロテアーゼ、グルカナーゼ等をコードする遺伝子)をつなげて植物に導入し、稔 30 性 の あ る 花 粉 形 成 を 阻 止 す る 方 法 が 提 案 さ れ て い る ( 例 え ば 、 Marianiら , Nature 347:73 7-741(1990)) 。 あ る い は 、 葯 お よ び / ま た は 花 粉 で 発 現 す る プ ロ モ ー タ ー を 利 用 し て 、 こ れ ら の 器 官 の 形 成 時 に 発 現 す る 遺 伝 子 の ア ン チ セ ン ス RNAを 転 写 さ せ た り 、 こ れ ら の mRN Aを 分 解 す る リ ボ ザ イ ム を 導 入 す る 方 法 が 有 望 視 さ れ て い る 。 葯および/または花粉で発現する遺伝子のプロモーターは、トマト,シロイヌナズナ、ト ウ モ ロ コ シ な ど で 数 種 類 が 知 ら れ て い る ( 例 え ば 、 Twellら , Plant Physiol. 91:1270-12 74(1989); Paulら , Plant Molecular Biology 19:611-622(1992); Guerreroら , Mol.Gen. Genet. 224:161-168(1990)) 。 し か し 、 そ の 活 性 は 、 実 用 的 に 用 い ら れ る に は 低 い と い う 問題点がある。さらに、葯および/または花粉の形成を人為的に制御するためには、これ らの器官の各発生段階のいずれかで機能するプロモーターを単離し、それぞれの特徴を明 40 らかにした上で、高い活性を持ったプロモーター含有カセットを作成できれば、非常に有 用である。 従って、イネの遺伝子から、活性が高く、実用的にも使用され得る葯および/または花粉 用のプロモーターが取得できれば、イネ等の作物を含む有用植物の品種改良に大いに貢献 できる。 発明の開示 本願発明は、遺伝子工学的手法による植物の育種に関し、その目的は、葯および/または 花粉で高い活性を有する植物遺伝子プロモーターを含有する、植物発現用カセットおよび 組換えプラスミド、ならびにその利用方法を提供することにある。 本 願 発 明 者 ら は 、 イ ネ の カ タ ラ ー ゼ A( CatA) 遺 伝 子 が 葯 お よ び 花 粉 で 高 い プ ロ モ ー タ ー 50 (3) JP 3665813 B2 2005.6.29 活性を示すことを見いだし、この知見に基づいて本願発明を完成したものである。 本願発明は、葯および/または花粉において異種遺伝子を特異的に発現させるための植物 発現用カセットを提供する。この発現用カセットは、配列番号1で示される配列、または その一部を有する配列であって配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する、イ ネ CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー を 含 み 、 さ ら に 、 異 種 遺 伝 子 が こ の プ ロ モ ー タ ー と 発 現 可 能 に 接続されるように、異種遺伝子を挿入するための部位を含む。ここで、配列番号1で示さ れ る 配 列 は 、 イ ネ CatA構 造 遺 伝 子 の 5 ’ 上 流 域 お よ び 第 1 イ ン ト ロ ン を 含 む 配 列 で あ る 。 本願発明はまた、葯および/または花粉において異種遺伝子を特異的に発現させるための 組換えプラスミドを提供する。この組換えプラスミドは、配列番号1で示される配列、ま たはその一部を有する配列であって配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する 10 、 イ ネ CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー を 含 み 、 さ ら に 、 こ の プ ロ モ ー タ ー と 発 現 可 能 に 接 続 さ れ た異種遺伝子を含む。 本願発明はさらに、葯および/または花粉における特異的な発現が所望される異種遺伝子 を植物に導入する方法を提供する。この方法は、上記の組換えプラスミドで植物細胞を形 質転換する工程、および形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程を包 含する。 上記の異種遺伝子は、葯および/または花粉の形成を阻害する機能を持つ遺伝子であり得 る。このような遺伝子を上記方法において使用することにより、雄生不稔植物を作製し得 る。また、上記方法において、植物細胞は、単子葉植物細胞または双子葉植物細胞のいず れかであり得る。 20 【図面の簡単な説明】 図 1 は 、 プ ラ ス ミ ド CatA− GUS− Δ 0 の 作 製 を 示 す 模 式 図 で あ る 。 図2は、各プロモーターの活性を比較した図である。 図 3 は 、 葯 の GUS組 織 染 色 の 結 果 を 示 す 写 真 で あ る 。 図 4 は 、 花 粉 の GUS組 織 染 色 の 結 果 を 示 す 写 真 で あ る 。 発明を実施するための最良の形態 本願発明について、以下に、より詳細に説明する。 ( イ ネ CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー の 単 離 ) イ ネ の カ タ ラ ー ゼ A( CatA) 遺 伝 子 の 単 離 方 法 、 お よ び 本 願 発 明 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 を 含 む ゲ ノ ミ ッ ク CatA遺 伝 子 の 塩 基 配 列 は 、 本 願 発 明 者 ら に よ り 日 本 農 芸 化 学 会 1992年 大 会 講 30 演 要 旨 集 : 日 本 農 芸 化 学 会 誌 66(3),488(1992)、 お よ び Higoら , Plant Molecular Biology 30:505-521(1996)で 発 表 さ れ て い る 。 た だ し 、 葯 お よ び 花 粉 で の CatA遺 伝 子 発 現 の 有 無 、及び形質転換イネの解析については、発表されていない。 イ ネ CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー は 、 イ ネ の ゲ ノ ミ ッ ク ラ イ ブ ラ リ ー か ら ス ク リ ー ニ ン グ さ れ 得 る 。 米 国 ク ロ ー ン テ ッ ク 社 ( CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, CA) が 市 販 し て い る イ ネ の ゲ ノ ミ ッ ク DNAラ イ ブ ラ リ ー ( Rice Genomic Library) が 用 い ら れ 得 る 。 ス ク リ ー ニ ン グ 用 の プ ロ ー ブ と し て は 、 本 願 発 明 者 ら が 単 離 し た イ ネ CatA cDNAが 用 い ら れ 得 る 。 イ ネ CatA cDNAの 単 離 方 法 お よ び 塩 基 配 列 は 、 本 願 発 明 者 ら に よ り 既 に 発 表 さ れ て い る ( Moriら , Plant Molecular Biology 18:973-976(1992)) 。 まず、ファージλを用いて作成されたイネゲノミック遺伝子ライブラリーを大腸菌に感染 40 させてプラークを形成させる。このプラークを常法に従って、ニトロセルロース等のメン ブレンに移し、標識したスクリーニング用プローブでハイブリダイズさせる。ハイブリダ イズ終了後、洗浄し、オートラジオグラフィーにかけ、ハイブリダイズすることが確認さ れ た フ ァ ー ジ か ら DNAを 調 製 す る 。 調 製 し た フ ァ ー ジ DNAを 、 適 当 な 制 限 酵 素 を 組 み 合 わ せ て 消 化 し 、 そ の 消 化 物 を ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 で 分 離 す る 。 分 離 し た DNA断 片 を ナ イ ロ ン メ ン ブ レ ン に 移 し て 、 上 記 の ス クリーニング用プローブをハイブリダイズさせ、シグナルの強さとバンドパターンの相違 に基づいて、スクリーニングする。 最 も シ グ ナ ル の 強 い ク ロ ー ン は CatA遺 伝 子 を 含 み 、 弱 い シ グ ナ ル の ク ロ ー ン は CatAに 類 似 し て い る が CatAで は な い 遺 伝 子 を 含 ん で い る と 考 え ら れ る 。 ま た 、 バ ン ド パ タ ー ン の 比 較 50 (4) JP 3665813 B2 2005.6.29 により、遺伝子の一部を欠損したクローンを識別できる。さらに、バンドパターンに基づ く各クローンの物理地図を作製することにより、プロモーターを構成すると推定される、 構 造 遺 伝 子 の 5 ’ 上 流 域 の 長 さ が 約 1.5Kbp程 度 あ る ク ロ ー ン を 特 定 で き る 。 以 上 の 様 に し て 、 完 全 な CatAゲ ノ ミ ッ ク 遺 伝 子 が 、 単 離 さ れ 得 る 。 CatAゲ ノ ミ ッ ク 遺 伝 子 の 塩 基 配 列 を CatA cDNAの 塩 基 配 列 と 比 較 す る こ と に よ り 、 プ ロ モ ーター領域が特定され得る。プロモーター配列としては、ゲノミック遺伝子がイントロン を有する場合は、構造遺伝子の5’上流域だけではなく、第1イントロン等の領域をも含 み得る。 ( GUS活 性 の 測 定 に よ る プ ロ モ ー タ ー 活 性 部 分 の 特 定 ) CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 が 特 定 さ れ る と 、 そ の 配 列 を 切 り 出 し て 、 植 物 発 現 用 ベ ク 10 ターにつなぎ込み得る。つなぎ込まれたプロモーターの活性を評価するために、そのプロ モーターの下流にレポーター遺伝子、例えば、適当な酵素をコードする遺伝子を連結した プラスミドを作成し得る。このプラスミドを植物細胞中に導入し、遺伝子の発現を、例え ば、酵素活性を測定して、観察する。植物を宿主とする場合には、例えば、pBI221 等 の よ う な プ ラ ス ミ ド を 用 い て 、 β − グ ル ク ロ ニ ダ ー ゼ ( GUS) の 発 現 を 指 標 と し て 測 定 す る の が 一 般 的 で あ り 、 本 願 明 細 書 に お い て も 、 GUSの 発 現 で 測 定 す る 方 法 が 適 用 さ れ 得 る。 GUS活 性 は 、 Jeffersonら の 方 法 ( EMBO J 6:3901-3907(1987)) に 基 本 的 に 従 っ て 測 定 さ れ 得 る 。 す な わ ち 、 タ ン パ ク 質 量 に し て 50μ g 相 当 の プ ロ ト プ ラ ス ト 抽 出 液 と 25μ l の 20mM 4-methyl umbelliferryl glucuronide(4MUG)、 そ れ に 抽 出 バ ッ フ ァ ー 、 さ ら に 植 物 組 織 20 内 在 性 の GUS様 活 性 を 抑 制 す る た め に 100μ l メ タ ノ ー ル ( Kosugiら , Plant Science 70:1 33-140(1990)) を 加 え て か ら 全 量 を 500μ l と し 、 37℃ で イ ン キ ュ ベ ー ト す る 。 2 時 間 後 に 反 応 液 か ら 200μ l を 採 取 し 、 0.2M Na2CO3を 0.8mL加 え て 反 応 を 停 止 さ せ る 。 蛍 光 分 光 光 度 計 に よ り 、 365nmの 励 起 光 で 455nmの 蛍 光 を 測 定 す る 。 酵 素 活 性 を 4-MU pmol/min/mg p roteinで 表 示 す る 。 CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 の 様 々 な 欠 失 体 、 例 え ば 、 5 ’ 上 流 側 か ら 様 々 な 長 さ に 欠 損 さ せ た CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 を GUS遺 伝 子 と 融 合 さ せ た プ ラ ス ミ ド を 用 い て プ ロモーター活性を測定し、その活性に必須な部分等を特定し得る。このような活性部分の 特 定 の た め の 手 法 は 、 当 業 者 に は 公 知 で あ る 。 従 っ て 、 例 え ば 、 CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 に 不 要 な 配 列 を 除 去 し て 得 ら れ る 、 CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー と 同 等 の 活 性 を 有 す 30 る配列も本願発明の範囲内にある。 い っ た ん CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 お よ び そ の 活 性 部 分 が 特 定 さ れ る と 、 さ ら に そ の 配列を改変して、プロモーター活性を高めたり、発現する組織について特異性を変更させ る こ と も 可 能 で あ る 。 例 え ば 、 CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 ま た は そ の 活 性 部 分 を 一 部 改変して得られる、改変前と同等の活性を有する配列も本願発明の範囲内にある。 配列番号1の配列を有するプロモーター領域は、葯および/または花粉において特異的に その活性を発現する。従って、本願明細書において、プロモーター活性について「同等」 であるとは、活性の強度が、少なくとも、基準となるプロモーター領域の活性の強度と同 程度であると共に、活性の特異性も、少なくとも、基準となるプロモーター領域の活性の 特異性と同程度であることをいう。用語「同等」は、活性の強度および活性の特異性が、 40 基準となるプロモーター領域と比較して、明らかに高い場合を除外する意図ではないこと に留意すべきである。「配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する」とは、例 え ば 、 本 願 明 細 書 の 下 記 実 施 例 と 同 様 の 条 件 で プ ロ ト プ ラ ス ト に お い て GUS遺 伝 子 を 発 現 さ せ た と き 、 そ の GUS活 性 が 、 配 列 番 号 1 の 配 列 に つ い て の GUS活 性 の 約 5 0 % 以 上 、 好 ま しくは約70%以上、より好ましくは約90%以上であり、かつ、葯および/または花粉 において特異的にその活性を発現することをいう。 本願明細書において、葯および/または花粉において「特異的に」発現するとは、目的と する遺伝子産物を葯および花粉の少なくとも一方において、同じ植物体の他の組織または 器官の少なくとも1種におけるよりも多く発現することをいう。例えば、遺伝子産物を、 葯および花粉において、同じ植物体の任意の部位の葉身におけるよりも多く発現すること 50 (5) JP 3665813 B2 2005.6.29 をいう。このような発現の特異性は、本願明細書の下記実施例と同様の条件で形質転換植 物を作製することにより評価し得る。 (発現カセットおよび組換えプラスミドの構築およびその利用) 活 性 が 確 認 さ れ た CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 ま た は そ の 活 性 部 分 を 有 す る 配 列 は 、 適 当な植物発現ベクターに組み込まれ得る。この植物発現用ベクターに組み込まれた配列の 3’末端側に、適当なリンカー配列、例えばマルチプルクローニングサイトを有するリン カーを導入して、植物宿主に適した発現カセットが作成され得る。従って、本願明細書に おいて「異種遺伝子を挿入するための部位」とは、リンカーまたはリンカーと同様に作用 する配列に含まれる部位をいう。この発現カセットには、所望により他の調節エレメント が含まれ得る。例えば、発現効率を向上させるため等の目的で、ターミネーター配列が含 10 まれ得る。このターミネーター配列は、上記マルチプルクローニングサイトを有するリン カー配列を介して、プロモーター配列と結合され得る。 上記植物発現用カセットのプロモーターの3’下流、例えばマルチプルクローニングサイ トに、発現が意図される異種遺伝子が発現可能に接続されて、組換えプラスミドを生じる 。 本 願 明 細 書 に お い て 「 異 種 遺 伝 子 」 と は 、 CatA遺 伝 子 以 外 の イ ネ ま た は 他 の 植 物 に お い て内因性の遺伝子、または植物に対して外来の遺伝子であって、その遺伝子産物の発現が 葯および/または花粉において所望される任意の遺伝子をいう。 このようにして生じた組換えプラスミドを用いて、植物細胞が形質転換され得る。植物細 胞の形質転換は、アグロバクテリウムを用いる方法、プロトプラストへのエレクトロポレ ーションによる方法など、当業者に公知の任意の方法によって行い得る。例えば、植物細 20 胞 の プ ロ ト プ ラ ス ト の 作 成 は 、 Kyozukaら , Mol.Gen.Genet. 246:408-413(1987)に 記 載 の 方法に従って行い得る。 形質転換された植物細胞を常法により再分化させて、形質転換された植物組織とし、さら に 植 物 体 と す る こ と が で き る 。 形 質 転 換 の た め の 組 換 え プ ラ ス ミ ド の 作 成 に あ た っ て 、 Ca tA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー は 、 例 え ば 、 細 菌 と 植 物 の 両 宿 主 で 発 現 可 能 な バ イ ナ リ ー ベ ク タ ー に組み込むことが可能である。このようなバイナリーベクターは当業者に周知である。例 えば、アグロバクテリウムの発現系を含む、pBI系などのベクターを用いると、微生物 による植物への感染のシステムを利用し得る。適切な組換えプラスミドを用いることによ り、イネ等の単子葉植物およびタバコ等の双子葉植物を含む任意の形質転換可能な植物に 目的の異種遺伝子を導入し得る。 30 上 述 の よ う に 、 CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー は 、 葯 お よ び / ま た は 花 粉 に お い て 特 異 的 に 発 現 し得る。従って、異種遺伝子として、葯および/または花粉の形成を阻害する機能を持つ 遺伝子を利用することにより、雄性不稔植物を作製することができる。本願明細書におい て「葯および/または花粉の形成を阻害する機能を持つ遺伝子」とは、その遺伝子産物が 稔性のある花粉の形成を阻止し得るもの(例えば、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、グルカ ナーゼ等をコードする遺伝子)と、その遺伝子自体が葯および/または花粉の形成を阻害 する機能を示すもの(例えば、葯および/または花粉の形成時に発現する内因性遺伝子の ア ン チ セ ン ス RNA、 お よ び そ の よ う な 内 因 性 遺 伝 子 を 分 解 し 得 る リ ボ ザ イ ム ) と を 含 ん で いう。雄性不稔植物の選抜およびそれを用いる植物の品種改良のための手法は、当業者に 周知である。 40 上記の形質転換植物の作製はまた、雄性不稔以外の形質を植物に付与するためにも利用し 得る。例えば、毒性タンパク質をコードする異種遺伝子を用いることにより、花粉を摂食 する害虫などの制御を図ることができる。あるいは、栄養素となり得るタンパク質をコー ドする異種遺伝子を用いることにより、作物の栄養価を高めることができる。葯および/ または花粉での特異的な遺伝子発現を利用する、任意の有用植物の作製が、本願発明の範 囲内にある。 本願発明により、イネの遺伝子から、葯および/または花粉で活性が高い、実用的なプロ モーターの使用が提供される。従って、本願発明は、イネの品種改良のみならず、他の種 々の植物の品種改良に利用され得る。 (実施例) 50 (6) JP 3665813 B2 2005.6.29 以下に、実施例に基づいて本願発明を説明するが、本願発明の範囲は、実施例のみに限定 されるものではない。 1 . イ ネ CatAゲ ノ ミ ッ ク 遺 伝 子 の 単 離 : ゲ ノ ミ ッ ク ラ イ ブ ラ リ ー か ら の ス ク リ ー ニ ン グ CatA cDNA( Moriら ,( 1992; 前 出 ) の 一 部 を 、 CatAゲ ノ ミ ッ ク 遺 伝 子 の ク ロ ー ニ ン グ に 用 い た 。 CatA cDNAの ク ロ ー ニ ン グ の 過 程 で 得 ら れ た 不 完 全 長 cDNA( 全 長 1.8kbpの う ち 、 5 ’ 非 翻 訳 領 域 及 び 若 干 の コ ー ド 領 域 の 合 計 約 0.45Kbpを 欠 損 す る 3 ’ 末 端 側 の 1.35Kbp) を 含 む ラ ム ダ フ ァ ー ジ ( ク ロ ー ン No.51) の イ ン サ ー ト 部 分 を P C R で 増 幅 し た 。 同 フ ァ ー ジ よ り DNAを 調 製 し て こ れ を テ ン プ レ ー ト と し 、 プ ラ イ マ ー と し て λ gt11-Forward Primer 及 び λ gtll-Reverse Primer( 東 洋 紡 ) を 用 い た 。 生 成 物 を セ ン ト リ コ ン − 100(Amicon)で 精 製 し 、 濃 度 を 25ng/ 10μ l に し て 、 マ ル チ プ ラ イ ム ラ ベ ル 法 ( Amersham) の プ ロ ー ブ と 10 した。 米 国 ク ロ ー ン テ ッ ク 社 ( CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, CA) か ら 購 入 し た イ ネ の ゲ ノ ミ ッ ク DNAラ イ ブ ラ リ ー ( Rice Genomic Library) を 用 い て CatA遺 伝 子 を ス ク リ ー ニ ン グ し た 。 ゲ ノ ミ ッ ク ラ イ ブ ラ リ ー を 構 成 す る フ ァ ー ジ λ EMBL-3を 常 法 に 従 っ て 、 E. coli NM538株 に 感 染 さ せ 、 フ ァ ー ジ プ ラ ー ク を 形 成 さ せ た 。 こ の フ ァ ー ジ プ ラ ー ク を ナ イ ロンメンブレンに移し、下記の標準的条件で上記プローブとハイブリダイズさせた。なお 、プローブは 32 Pで標識した。 ハ イ ブ リ ダ イ ズ 溶 液 : 6x SSC-0.1% SDS, 5x Denhardt's, 100 microgram/ml salmon sper m DNA; ハ イ ブ リ ダ イ ズ 温 度 : 65℃ ; ハ イ ブ リ ダ イ ズ 時 間 : 一 晩 次 に 、 メ ン ブ レ ン を 、 以 下 の 条 件 で 洗 浄 し た 。 洗 浄 条 件 : 2x SSC-0.1% SDS室 温 5 分 プ ラ 20 ス 3 0 分 ; 1x SSC-0.1% SDS; 68℃ 、 1 時 間 洗浄後、常法に従って、ナイロンメンブレンをオートラジオグラフィーにかけ、プローブ とハイブリダイズしたクローンを検出した。ハイブリダイズすることが確認されたファー ジ か ら そ れ ぞ れ DNAを 調 製 し た 。 上 記 フ ァ ー ジ の DNAを SalIと ScaIな ど の 2 、 3 種 類 の 制 限 酵 素 を 組 み 合 わ せ て 消 化 し 、 そ の 消 化 物 を ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 で 分 離 し た 。 分 離 し た DNA断 片 を ナ イ ロ ン メ ン ブ レ ン に 移 し て 、 上 述 の CatA cDNA断 片 を プ ロ ー ブ と し て ハ イ ブ リ ダ イ ズ さ せ た 。 ハ イ ブ リ ダ イ ズ の 条 件 は 上 記 と 同 じ で あ り 、 メ ン ブ レ ン 洗 浄 は 以 下 の 条 件 で 行 っ た 。 洗 浄 条 件 : 2x SSC 室 温 5 ∼ 1 0 分 2 回 ; 2x SSC-0.1% SDS 6 5 ℃ 、 3 0 分 洗浄後、常法に従って、ナイロンメンブレンをオートラジオグラフィーにかけ、プローブ 30 と ハ イ ブ リ ダ イ ズ し た DNA断 片 を 検 出 し た 。 シグナルの強さとバンドのパターンがほぼ同一の、従って同じ構造を持つと推定される一 群のクローンと、バンドパターンが一部しか一致しないクローンがある。 シ グ ナ ル の 強 さ と バ ン ド の パ タ ー ン が ほ ぼ 一 致 す る ク ロ ー ン は 、 CatA遺 伝 子 に 対 応 す る 考 え ら れ る 。 バ ン ド の パ タ ー ン の 一 部 が 欠 落 し て い る ク ロ ー ン は 、 CatA遺 伝 子 の 一 部 が 欠 損 し て い る ク ロ ー ン と 考 え ら れ る 。 ま た 、 シ グ ナ ル が 弱 い ク ロ ー ン は 、 CatAに 類 似 し た 構 造 を持つ別のカタラーゼ(アイソザイム)の遺伝子と考えられる。 詳 細 な サ ザ ン 分 析 、 部 分 塩 基 配 列 の 解 析 、 CatA cDNA塩 基 配 列 に 基 づ く P C R 解 析 な ど か ら 、 CatA cDNAに 対 応 す る 遺 伝 子 と 、 そ の 5 ’ 上 流 に プ ロ モ ー タ ー 領 域 と 推 定 さ れ る 約 1.5 Kbpか ら な る 配 列 を 含 む ク ロ ー ン λ EM74/81を 得 た 。 40 ク ロ ー ン λ EM74/81の 挿 入 部 分 を HindIII及 び EcoRI消 化 で 切 り 出 し 、 シ ー ケ ン ス 解 析 用 の ベ ク タ ー pBluescript II KS+あ る い は SK+(Stratagene,CA)に 挿 入 し た 。 5 ’ 側 か ら お よ び 3’側側から段階的欠損プラスミドを多数作成し、塩基配列決定を行った。4,670b pの配列が決定された。配列番号2にその全配列を示す。 ゲ ノ ミ ッ ク CatA遺 伝 子 の 塩 基 配 列 は 、 本 願 発 明 者 ら に よ り 発 表 さ れ て い る ( 日 本 農 芸 化 学 会 誌 (1992; 前 出 )) 、 お よ び Higoら (1996; 前 出 )。 国 際 DNA塩 基 配 列 デ ー タ ベ ー ス DDBJに は 、 図 1 に 示 し た と 同 じ く 、 HindIII切 断 部 位 か ら EcoRI切 断 部 位 ま で の 4 , 6 7 0 塩 基 の 配 列 を 登 録 し た ( ア ク セ ッ シ ョ ン 番 号 D 2 9 9 6 6 )。 Higoら (1996; 前 出 )に は 、 HindIII 認 識 配 列 と EcoRI認 識 配 列 を 前 後 に 加 え て 、 4 , 6 7 6 塩 基 の 配 列 を 発 表 し た 2 . CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー を 有 す る 組 換 え プ ラ ス ミ ド の 作 成 50 (7) JP 3665813 B2 2005.6.29 上 記 1 . で 得 ら れ た CatA遺 伝 子 は 、 4 , 6 7 0 b p で あ っ た 。 そ し て 、 配 列 番 号 2 の 1 , 560番目から1,605番目に第1エクソン、1,894番目から2,694番目に第 2エクソン、2,781番目から3,380番目に第3エクソン、3,730番目から4 ,117番目に第4エクソンが存在すること、および、それぞれのエクソンの間に、第1 から第3イントロンが存在することがわかった。 この配列情報に基づいて、プロモーターと推定される領域を切り出すことができる。 イ ネ CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー を 有 す る プ ラ ス ミ ド 、 CatA− GUS− Δ 0 の 作 製 を 図 1 に 示 す 。 ク ロ ー ン λ EM74/81を Eco521で 消 化 し 、 平 滑 末 端 化 処 理 し 、 次 い で HindIIIで 消 化 し 、 ア ガ ロ ー ス 電 気 泳 動 に よ り 約 1 . 9 Kbpの 断 片 を 回 収 し た 。 ク ロ ー ン λ EM74/81挿 入 配 列 の 1 番 10 目から1,901番目までの配列を有する断片が得られた。この断片には、第1エクソン の上流側の配列、第1イントロン、第2エクソンの一部が含まれていた。断片の5’末端 側 は 、 HindIII部 位 で あ り 、 3 ’ 末 端 は 平 滑 末 端 で あ る 。 植 物 細 胞 用 発 現 ベ ク タ ー p B I 2 2 1 ( CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, CA) は 、 カ リ フ ラ ワ ー モ ザ イ ク ウ イ ル ス ( CaMV) 35Sプ ロ モ ー タ ー 、 β − グ ル ク ロ ニ ダ ー ゼ ( G US) コ ー デ ィ ン グ 領 域 お よ び ノ パ リ ン シ ン タ ー ゼ の タ ー ミ ネ ー タ ー ( NOS-T) を 有 し て い る 。 こ の p B I 2 2 1 を HindIIIお よ び SmaIで 消 化 し 、 大 断 片 を 回 収 し た 。 こ の 大 断 片 は 、 p B I 2 2 1 か ら CaMVの 35Sプ ロ モ ー タ ー 領 域 が 削 除 さ れ た 断 片 で あ る 。 こ の 断 片 と 、 上 記 ク ロ ー ン λ EM74/81挿 入 配 列 の 1 番 目 か ら 1 9 0 1 番 目 ま で の 配 列 を 有 す る 断 片 を 連 結 さ せ 、 CatA− GUS− Δ 0 を 作 製 し た 。 こ の 方 法 は 、 CatA遺 伝 子 の 塩 基 配 列 と と も に 、 既 20 に 本 願 発 明 者 に よ っ て 公 表 さ れ て い る ( Higoら (1996; 前 出 )) 。 3 . イ ネ 培 養 細 胞 プ ロ ト プ ラ ス ト の 形 質 転 換 と GUS遺 伝 子 の 発 現 上 記 2 . に お い て 得 ら れ た プ ラ ス ミ ド を 、 Higoら (1996; 前 出 )に 記 載 さ れ て い る よ う に 、 イネ培養細胞(Oc細胞)のプロトプラストに導入した。コントロールとして、pBI2 21を用いた。 イネ培養細胞(Oc細胞)からのプロトプラスト調製方法、エレクトロポレーションによ る プ ロ ト プ ラ ス ト の 形 質 転 換 、 お よ び プ ロ ト プ ラ ス ト 抽 出 液 を 用 い て の GUS遺 伝 子 の 発 現 の 測 定 は 、 Higoら (1996; 前 出 )に 記 載 さ れ て い る 方 法 で 実 施 し た 。 結 果 を 図 2 に 示 す 。 こ の 結 果 は 、 CatA遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー が 、 コ ン ト ロ ー ル で あ る CaMV の 35Sプ ロ モ ー タ ー の 約 1 . 5 倍 の 高 い 活 性 を 示 し た 。 30 4 . 形 質 転 換 イ ネ ( T0世 代 ) の 作 成 上記3.において、イネ培養細胞(Oc細胞)プロトプラストで高い活性を持つことが確 認 さ れ た CatA− GUS− Δ 0 プ ラ ス ミ ド を 用 い て 、 以 下 の よ う に イ ネ を 形 質 転 換 し た 。 赤 木 ら の 方 法 ( Mol. Gen. Genet. 215:501-506(1989)) に 準 じ て 、 イ ネ ( 品 種 : キ ヌ ヒ カ リ)から懸濁細胞を確立し、次いでこの懸濁細胞を用いてプロトプラストを調製し、エレ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン 法 ( Tadaら , Theor. Appl. Genet. 80:475-480( 1990) に 準 ず る ) で プ ラ ス ミ ド を 導 入 し 、 再 分 化 ( Fujimuraら ., Plant Tissue Culture Lett. 2:74-75(1985 )に 準 ず る ) さ せ 、 GUS染 色 に よ り 選 抜 し て 形 質 転 換 イ ネ を 得 た 。 詳 細 を 、 下 記 に 示 す 。 1)イネ胚盤からのカルス誘導 1.1) 培 地 を 以 下 の よ う に 調 製 し た : 40 ▲ 1 ▼ MS基 本 培 地 に 2ppm 2,4-D、 0.1%カ ゼ イ ン 加 水 分 解 物 、 3%シ ョ 糖 を 添 加 し 、 pH5.5に 調 整 す る 。 ▲ 2 ▼ 培 地 に 1%寒 天 を 加 え 、 オ ー ト ク レ ー ブ す る 。 ▲ 3 ▼ ク リ ー ン ベ ン チ 内 で 深 型 の φ 9 cmシ ャ ー レ に 分 注 す る ( 約 40ml/シ ャ ー レ ) 。 1.2) 種 子 の 殺 菌 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲ 1 ▼ キ ヌ ヒ カ リ の 種 子 を 剥 皮 し 、 玄 米 を 取 り 出 す 。 ▲ 2 ▼ 玄 米 を 50mLビ ー カ ー に 入 れ 、 70% エ タ ノ ー ル に 30秒 間 浸 す 。 ▲ 3 ▼ 水 道 水 で 3 回 す す ぐ 。 ▲ 4 ▼ 5% 次 亜 鉛 素 酸 ソ ー ダ ( Tween20を 数 滴 添 加 )で 20分 間 殺 菌 す る 。 ▲ 5 ▼ 滅 菌 水 で 3 回 す す ぐ 。 ▲ 6 ▼ ピ ン セ ッ ト を 用 い て 、 寒 天 培 地 に 置 床 す る ( 9粒 / φ 9 cmシ ャ ー レ ) 。 ▲ 7 ▼ 約 300lux、 26℃ で 約 1 カ 月間培養する。 2)サスペンションの確立 50 (8) JP 3665813 B2 2005.6.29 2.1) 培 地 を 以 下 の よ う に 調 製 し た : ▲ 1 ▼ R2無 機 塩 と B5ビ タ ミ ン の 基 本 培 地 に 、 1ppm 2,4-D、 3%シ ョ 糖 、 0.3%カ ゼ イ ン 加 水 分 解 物 を 添 加 し 、 pHを 5.5に 調 整 す る 。 ▲ 2 ▼ 100ml培 養 フ ラ ス コ に 20mlの 培 地 を 分 注 、 オ ー トクレーブで滅菌する。 2.2) サ ス ペ ン シ ョ ン の 確 立 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲1▼完熟種子の胚盤由来のフライブルなカルスを液体培地に移植する。▲2▼移植した フ ラ ス コ を 、 26℃ 、 弱 光 下 、 80rpmで 旋 回 培 養 す る 。 ▲ 3 ▼ 移 植 後 3日 目 に 、 新 鮮 な 培 地 に 交 換 す る 。 ▲ 4 ▼ さ ら に 4日 間 培 養 を 続 け る 。 ▲ 5 ▼ カ ル ス 培 養 ピ ペ ッ ト を 用 い て 、 カ ル ス を 分 散 さ せ 、 カ ル ス 部 分 の み を 移 植 す る 。 ▲ 6 ▼ 1週 間 毎 に 新 鮮 な 培 地 に 移 植 す る 。 3)プロトプラストへの遺伝子導入 10 3.1) 酵 素 液 を 以 下 の よ う に 調 製 し た : ▲ 1 ▼ Cellulase onozuka RS 4g、 Macerozyme R-10 1g、 CaCl2・ 2H2O 0.5g、 Mannitol 7. 28gを 100mLビ ー カ ー に 入 れ 混 和 す る 。 水 を 加 え 、 ス タ ー ラ ー で 攪 拌 、 溶 解 す る 。 ▲ 2 ▼ pH 5.5に 調 整 し 、 100mLに メ ス ア ッ プ す る 。 ▲ 3 ▼ 37℃ で 20分 間 放 置 し た 後 、 12000rpmで 15分 間 遠 心 す る 。 ▲ 4 ▼ 上 清 を 10mLづ つ 遠 心 管 に 分 注 。 パ ラ フ ィ ル ム で シ ー ル し 、 冷 凍 保 存 す る。▲5▼湯浴で溶解し、濾過滅菌する。 3.2) プ ロ ト プ ラ ス ト の 単 離 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲ 1 ▼ 培 養 4日 目 の サ ス ペ ン シ ョ ン セ ル を 用 い る 。 ▲ 2 ▼ カ ル ス 培 養 ピ ペ ッ ト で サ ス ペ ン シ ョ ン セ ル の み を 10mLの 酵 素 液 の 入 っ た 100mLフ ラ ス コ に 移 す 。 (約 10g)▲ 3 ▼ 27℃ の イ ン キ ュ ベ ー タ で 5時 間 静 置 す る 。 20 3.3) プ ロ ト プ ラ ス ト の 精 製 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲1▼フラスコを軽く廻し、底に沈んだセルを浮遊される。▲2▼浮遊させたセルを素早 く 155μ mの メ ッ シ ュ に デ カ ン ト す る 。 ▲ 3 ▼ メ ッ シ ュ を 軽 く 上 下 さ せ 、 酵 素 液 が 完 全 に 落 ち る の を 待 つ 。 ▲ 4 ▼ 濾 過 し た 酵 素 液 を 77μ mの メ ッ シ ュ に ビ ー カ ー か ら 直 接 デ カ ン ト 。 ▲ 5 ▼ メ ッ シ ュ を 軽 く 引 き 上 げ 、 酵 素 液 を 落 と す 。 ▲ 6 ▼ 濾 過 し た 酵 素 液 を 、 さ ら に 31μ mの メ ッ シ ュ に デ カ ン ト 。 ▲ 7 ▼ メ ッ シ ュ を 軽 く 引 き 上 げ 、 酵 素 液 を 落 と す 。 ▲ 8 ▼ 酵 素 液 を ビ ー カ ー か ら 遠 心 管 に デ カ ン ト で 移 す 。 ▲ 9 ▼ 600rpmで 1分 間 遠 心 。 ▲ 10▼ デ ィ ス ポ ピ ペ ッ ト で 上 清 を 新 し い 遠 心 管 に 移 す 。 ▲ 11▼ 900rpmで 3分 間 遠 心 。 上 清 を 捨 て る 。 ▲ 12 ▼ 0.4Mグ ル コ ー ス を 遠 心 管 の 壁 面 に 沿 っ て 入 れ 、 プ ロ ト プ ラ ス ト を 懸 濁 。 ▲ 13▼ 900rpmで 3分 間 遠 心 。 上 清 を 捨 て る 。 ▲ 14▼ AAバ ッ フ ァ ー を 遠 心 管 の 壁 面 に 沿 っ て 入 れ 、 プ ロ ト プ 30 ラ ス ト を 懸 濁 。 ▲ 15▼ 900rpmで 3分 間 遠 心 。 上 清 を 捨 て る 。 ▲ 16▼ 少 量 の AAバ ッ フ ァ ー を 壁 面 を 這 わ せ て 入 れ る 。 ▲ 17▼ 血 球 計 算 盤 を 用 い て 、 プ ロ ト プ ラ ス ト を カ ウ ン ト す る 。 ▲ 18▼ プ ロ ト プ ラ ス ト 懸 濁 液 の 液 量 を 計 る 。 ▲ 19▼ AAバ ッ フ ァ ー を 用 い て プ ロ ト プ ラ ス ト 密 度 を 1× 107個 /mLに 調 整 。 こ こ で 、 AAバ ッ フ ァ ー は : 35mM K-Asparatic acid, 5mM Ca-Glu conate, 5mM Mg-Asparatic acid, 5mM MES, 0.4M mannitol, pH5.8(調 整 不 要 )で あ る 。 3.4) 遺 伝 子 導 入 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲ 1 ▼ エ レ ク ト ロ ポ レ ー シ ョ ン 用 チ ャ ン バ ー を 70%エ タ ノ ー ル で 滅 菌 す る 。 ▲ 2 ▼ プ ロ ト プ ラ ス ト 懸 濁 液 に TEに 溶 解 し た プ ラ ス ミ ド (1μ g/μ L)を 添 加 す る 。 こ こ で 、 添 加 し た プ ラ ス ミ ド の 最 終 濃 度 は 、 HPT2(ハ イ グ ロ )が 50μ g/mL; CatA− GUS− Δ 0 が 100μ g/mLで あ る 。 ハ イ グ ロ マ イ シ ン 選 抜 用 プ ラ ス ミ ド HPTの 構 造 は 報 告 さ れ て い る ( Tadaら , Theor. Appl. 40 Genet. 80:475-480( 1990) ) 。 ▲ 3 ▼ 試 験 管 を 氷 上 に 立 て 、 20分 間 放 置 す る 。 ▲ 4 ▼ チ ャンバーに移す。▲5▼コンデンサーに充電した電気を放電する。ここで、放電条件は: 880μ F、 475V/cm、 時 定 数 は 約 30msecで あ る 。 ▲ 6 ▼ 10秒 以 上 放 置 後 、 遠 心 管 に 回 収 す る 。 ▲ 7 ▼ 室 温 で 20分 間 放 置 す る 。 3.5) プ ロ ト プ ラ ス ト 培 養 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲ 1 ▼ 900rpmで 3分 間 遠 心 。 上 清 を 捨 て る 。 ▲ 2 ▼ c-medを 遠 心 管 の 壁 面 に 沿 っ て 入 れ 、 プ ロ ト プ ラ ス ト を 懸 濁 す る 。 c-medで 1× 106個 /mLに 調 整 す る 。 c-medは 培 養 後 3日 目 の サ ス ペ ン シ ョ ン か ら 培 地 の み を 回 収 し 、 12000rpmで 浮 遊 物 を 除 去 す る 。 培 地 40mLに 対 し て 、 2,4D(100ppm)を 200μ L、 B5 vitaminsを 400μ L、 sucroseを 5.46g添 加 し 、 pH4.3に 調 整 す る 。 冷 凍 し て 保 存 。 使 用 直 前 に 融 解 、 濾 過 滅 菌 す る 。 ▲ 3 ▼ コ ー テ ィ ン グ シ ャ ー レ (Falcon #3 50 (9) JP 3665813 B2 2005.6.29 002)に 750μ Lを 分 注 す る 。 ▲ 4 ▼ コ ン ラ ー ジ 棒 を 用 い て シ ャ ー レ 全 体 に 拡 げ る 。 ▲ 5 ▼ パ ラフィルムでシールする。▲6▼シャーレをタッパウエアに入れる。ここで、乾燥防止の た め 、 水 を 入 れ た ビ ー カ ー 等 を 入 れ て お く 。 ▲ 7 ▼ 27℃ 、 暗 所 で 培 養 す る 。 4)形質転換植物の再生 4.1)形 質 転 換 細 胞 の 選 抜 ・ 増 殖 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲ 1 ▼ 培 養 14日 後 に GI培 地 を 600μ L添 加 す る 。 こ こ で 、 GI培 地 は 、 R2培 地 に 2ppm 2,4-D、 0.4Mグ ル コ ー ス を 添 加 し 、 pH4.9に 調 整 し た も の で あ る 。 ▲ 2 ▼ ハ イ グ ロ マ イ シ ン 耐 性 カ ル ス を 選 抜 す る た め に 、 GI培 地 に ハ イ グ ロ マ イ シ ン 50μ g/mLを 添 加 す る 。 ▲ 3 ▼ GI培 地 添 加 2 週 間 後 、 増 殖 し て き た カ ル ス を GII寒 天 培 地 上 に 移 植 す る 。 こ こ で 、 GII寒 天 培 地 は 、 R2培 地 に 2ppm 2,4-D、 3%シ ョ 糖 を 添 加 し 、 pH4.9に 調 整 し た 後 、 1%寒 天 を 添 加 し 、 オ ー ト 10 ク レ ー ブ し 、 φ 9cm× 10mmシ ャ ー レ に 10mLづ つ 分 注 し た も の で あ る 。 4.2)形 質 転 換 植 物 の 再 生 を 以 下 の よ う に 行 っ た : ▲ 1 ▼ N6無 機 塩 、 B5ビ タ ミ ン 、 3%シ ョ 糖 、 NAA 1ppm、 カ イ ネ チ ン 4ppm、 3%ソ ル ビ ト ー ル 、 0.03%カ ゼ イ ン 加 水 分 解 物 を 含 む 培 地 の pHを 5.8に 調 整 し 、 1.5%寒 天 を 添 加 し て オ ー ト ク レ ー ブ す る 。 ▲ 2 ▼ ク リ ー ン ベ ン チ 内 で φ 90mm× 20mmの 深 型 プ ラ ス チ ッ ク シ ャ ー レ に 培 地 を 分 注 す る ( 40∼ 50mL/ シ ャ ー レ ) 。 ▲ 3 ▼ 直 径 が 3mm程 度 に 増 殖 し た カ ル ス を 寒 天 培 地 上 に 移 植 す る 。 ▲ 4 ▼ シ ャ ー レ 当 た り 20個 程 度 の カ ル ス を 置 床 す る 。 ▲ 5 ▼ 27℃ 、 3000lux の 連 続 光 下 で 培 養 す る 。 4週 間 程 度 で 植 物 体 が 再 生 し て く る 。 ▲ 6 ▼ 分 化 培 地 上 で 分 化 し た 植 物 体 で 、 シ ュ ー ト の 長 さ が 3cm程 度 に 成 長 し た も の を 根 が 付 い た 状 態 で 、 マ ジ ェ ン ダ ボ ッ ク ス に 移 植 す る 。 ボ ッ ク ス 当 た り 9本 の シ ュ ー ト を 移 植 す る 。 培 地 は 、 1/2MS培 地 に 1% 20 シ ョ 糖 を 添 加 し 、 pHを 5.8に 調 整 す る 。 0.15%ゲ ル ラ イ ト を 添 加 、 加 熱 溶 解 後 、 マ ジ ェ ン ダ ボ ッ ク ス に 50mLづ つ 分 注 し て オ ー ト ク レ ー ブ す る 。 ▲ 7 ▼ 27℃ 、 10000lux連 続 光 下 で 培 養 す る 。 ▲ 8 ▼ 1週 間 程 度 で 、 先 端 が 完 全 に 蓋 で 頭 打 ち と な る 。 場 合 に よ り 、 培 地 中 の 2価 カ チオンが奪われ、培地が液状化することがある。 以 上 の よ う に し て 得 ら れ た 、 再 分 化 し た 個 体 ( T0世 代 イ ネ ) を ポ ッ ト に 移 植 し た 。 成 長 し た 個 体 の 中 か ら 、 葉 を GUS組 織 染 色 し 、 GUSが 発 現 し て い る 個 体 を 選 抜 し た 。 形 質 転 換 植 物 の 選 抜 の た め の GUS染 色 は 、 次 の 手 順 で 行 っ た : ▲ 1 ▼ 1mM X-Gluc, 50mM so dium phosphate buffer(pH7.0), 10% Me-OHの 染 色 液 を 調 製 す る 。 ▲ 2 ▼ ▲ 1 ▼ の 染 色 液 5 00μ Lを 2mLの マ イ ク ロ チ ュ ー ブ に 分 注 す る 。 ▲ 3 ▼ 再 生 し た 植 物 の 葉 の 切 片 を 入 れ る 。 ▲ 4 ▼ 37℃ で 24時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト 。 ▲ 5 ▼ 70%Et-OHで ク ロ ロ フ ィ ル を 除 去 す る 。 ▲ 6 ▼ GU 30 S染 色 さ れ た イ ネ を 選 抜 す る 。 こ の よ う に し て GUSが 葉 で 発 現 し て い る T0世 代 イ ネ 1 5 個 体 を 選 び 、 そ の 種 子 ( T1世 代 種 子)を採取した。 5 . T 1 世 代 イ ネ の PCRに よ る 選 抜 上記4.において得られた15系統のうち、10系統のT1種子の籾を1%アンチホルミ ンで1時間処理後、2日間水道水に浸漬し、粒状培土(ボンソル1号、住友化学)に播種 し た 。 幼 苗 の 葉 身 か ら I S O P L A N T ( ニ ッ ポ ン ジ ー ン ) を 用 い て DNAを 抽 出 し た 。 抽 出 さ れ た DNAを テ ン プ レ ー ト と し て 、 プ ラ イ マ ー F 1 8 1 3 ( 5 ’ − C A T G G C T G G T T G A T T C A G C − 3 ’ ; CatA第 1 イ ン ト ロ ン 内 の 配 列 ) と プ ラ イ マ ー R 2 3 6 8 ( 5’−CGTCGGTAATCACCATTCC−3’;GUS遺伝子コード領域内の配 40 列 ) と を 用 い て PCRを 行 い 、 導 入 し た DNA配 列 を 含 ん で い る か ど う か 調 べ た 。 DNAポ リ メ ラ ー ゼ で あ る AmpliTaq Gold( Perkin Elmer) を 用 い て PCRを 行 っ た 。 反 応 条 件 は 9 4 ℃ ・ 1 2分の処理後、94℃・1分、55℃・2分、72℃・3分の処理を35サイクル行った 。反応液を1%アガロース中で電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色して紫外線で照 射 し て PCR産 物 の 有 無 と そ の サ イ ズ を 調 べ 、 遺 伝 子 が 導 入 さ れ て い る T1世 代 の 植 物 体 を 選 んだ。 導 入 し た GUS遺 伝 子 が 発 現 し て い る か 確 認 す る た め に 、 下 記 の GUS組 織 染 色 法 で T 1 植 物 の 葉 身 の GUS活 性 を 調 べ た 。 GUS活 性 の 観 察 の た め の イ ネ の 葉 身 の GUS組 織 染 色 法 と し て 、 「 植 物 の 細 胞 を 観 る 実 験 プ ロ トコール:遺伝子発現から細胞内構造・機能まで」;細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ 50 (10) JP 3665813 B2 2005.6.29 6 2 − 3 ; 細 胞 レ ベ ル で GUS活 性 を 観 る 方 法 ( 高 橋 美 佐 、 森 川 弘 道 ) pp. 71-79( 監 修 福 田裕穂、西村幹夫、中村研三)に記載の方法をもとに、一部改変した方法で行った。 そ の 手 順 は 次 の 通 り : ▲ 1 ▼ X-Gluc溶 液 [ 100mMリ ン 酸 バ ッ フ ァ ー ( pH7.0) 、 1mM X-Gluc , 0.3m M フ ェ リ シ ア ン 化 カ リ ウ ム 、 0.3m M フ ェ ロ シ ア ン 化 カ リ ウ ム 、 0.2% Triton-X100 ] を 調 製 す る 。 ▲ 2 ▼ X-Gluc溶 液 500μ Lを 2 4 穴 タ イ タ ー プ レ ー ト の 各 ウ エ ル に 分 注 す る 。▲3▼イネの各組織あるいは切片をウエルに入れ、28℃、16時間処理する。▲3▼ X-Gluc溶 液 を 除 去 し 、 7 0 % エ タ ノ ー ル を 加 え て 脱 色 す る 。 ▲ 4 ▼ 7 0 % エ タ ノ ー ル を 除 去し、組織・切片を50%グリセロール溶液に浸す。▲5▼顕微鏡あるいは実体顕微鏡で 観察する。 T 1 世 代 植 物 を 、 葉 に お け る GUS遺 伝 子 の 発 現 の 高 さ に よ り グ ル ー プ 分 け し 、 高 度 に 葉 で 10 発 現 し て い る 植 物 か ら 種 子 ( T2世 代 種 子 ) を 採 取 し た 。 6 . T 2 種 子 の 播 種 、 形 質 転 換 体 の PCRに よ る 選 抜 と GUS組 織 染 色 T 2 形 質 転 換 体 の 籾 を 上 述 の よ う に 処 理 し 、 播 種 し た 。 幼 苗 の 葉 身 か ら 上 述 の よ う に DNA を 抽 出 し 、 PCRを 行 い 、 導 入 し た DNA配 列 を 含 ん で い る か ど う か 調 べ た 。 調 べ た T 2 植 物 の う ち 約 半 数 が 導 入 し た GUS遺 伝 子 を 持 つ 形 質 転 換 体 で あ る こ と が わ か っ た 。 ま た 、 導 入 し た GUS遺 伝 子 が 発 現 し て い る か 確 認 す る た め に 、 上 記 の 方 法 で T 2 植 物 の 幼 苗 の 葉 身 の GUS活 性 を 調 べ た 。 PCRで GUS遺 伝 子 の 存 在 が 確 認 さ れ た す べ て の T 2 形 質 転 換 体 に お い て 、 葉 身 で の GUS活 性 が 観 察 さ れ た 。 葉 身 で GUS遺 伝 子 の 発 現 が 確 認 さ れ た 植 物 体 は 引 き 続 き 生 育 さ せ 、 開 花 期 に 葯 を 採 集 し て 、 葯 お よ び 花 粉 で の GUS活 性 を 調 べ た 。 結 果 を 図 3 お よ び 図 4 に 示 す 。 開 花 期 に 葯 を 採 集 し て GUS活 性 を 調 べ た 結 果 、 葉 身 よ り も 高 い GUS活 性 が み ら れ た 。 葯 お よ び 花 粉 を 顕 微 鏡 で 観 察 し た と こ ろ 、 葯 壁 ( 図 3 ) お よ び 花 粉 外 殻 の 内 部 ( 図 4 ) が GUS活 性 に よ っ て 青 く 染 色 さ れ て い た 。 産業上の利用可能性 本 願 発 明 に お け る CatA遺 伝 子 プ ロ モ ー タ ー は 、 葯 お よ び 花 粉 で 非 常 に 高 い 活 性 を 有 し て い る。従って、本願発明は、葯および/または花粉の遺伝子操作による、イネ等の植物の品 種改良のために有用である。 【配列表】 20 (11) JP 3665813 B2 2005.6.29 10 20 30 (12) JP 3665813 B2 2005.6.29 10 20 30 (13) 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 JP 3665813 B2 2005.6.29 (14) JP 3665813 B2 2005.6.29 フロントページの続き (56)参考文献 国際公開第92/013956(WO,A1) Plant Molecular Biology,1996年,Vol.30,p.505-521 Nature,1990年,Vol.347,p.737-741 Plant Molecular Biology,1999年 1月,Vol.39, No.1,p.35-44 7 (58)調査した分野(Int.Cl. ,DB名) C12N 15/00-15/90 A01H 5/00 C12N 5/00-5/14 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq