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ブラジルの砂糖・エタノール産業 ~バイオエタノールを中心に

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ブラジルの砂糖・エタノール産業 ~バイオエタノールを中心に
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日本 貿易 振 興 機 構
ブラジルは
砂糖・エタノール主要産国
ブラジルで は 16世 紀 の 植 民 地 時 代
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巨丁RO),毎 外 調 査 部 中南 米 課
二宮 康史
砂 糖 政 策 が見 直 されることで、これまで
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農 業 補 助 政 策 の 恩 恵 を受 けてきたEU
スト的 に安 く生 産 効 率 が 高 い .エ ネル
ギ ー抽 出効 率 をみるとトウモロコシは約
産砂 糖 の輸 出量 が 減 るという予 想 が あ
る。その結 果 、ブラジル産砂 糖 へ の 引き
13、
サ トウキビは約 8の 効 率 が ある。エ
ネルギ ー効 率 の観 点 か らもブラジルのサ
導 入 され、19世 紀 にか けて砂 糖 産 業 は
合 いが増 える可 能性 がある。
エ タノールも砂 糖 同様 にサ トウキビか
ブラジルの主 要 産 業 を担 ってきた。この
ら作 られ る。エ タノール にお いて もブラ
ブラジルのサトウキビの 主 な産 地 は南
ため、ブラジルは現 在 でも世 界 の 砂 糖
生 産 に占める位 置 付 けは高 い。
ジル は世 界 で 重 要 な地 位 を占め て い
る。生 産 量 は 米 国 に次 いで 世 界 第 二
東 音るに広 が り、およそ6∼ 7割 が サ ンパ ウ
ロ州 に集 中して い るcサ トウキビの精 製
生 産 量 は世 界 第 一 位 で 約 2割 を占め
位 。輸 出 量 は世 界 第 一 位 で、総 輸 出
量 の 約 半 分 を占めて い る。米 国 は自国
工 場 はUsinaと 呼 ばれ 、サ トウキビか ら
砂 糖 もエ タノールもつ くる。その 割 合 は
る。輸 出量 でも世界 第 一 位 で4割 弱 を
内 での 消 費 が 多 い もの の 、ブラジルで
原 料に 対 し砂 糖 とエ タノールが 50対 50
占める。またブラジルは砂 糖 消 費 量 でも
は国 内消 費以 上 に生 産 余 力 があり、価
という配 分 だ。
世 界 第 三 位 という状 況 だ。
格 競 争 力 も高 い ため輸 出 で 高 いプレゼ
か らサトウキビを原 料 とす る砂 糖 産 業 が
世 界 シェアにお けるブラジルの 砂 糖
トウキビの 方 が優 れているc
精 製 所 の 数 は2003年 には336カ 所 。
ンスを言
今る。
2009年 まで に は 73カ 所 が 新 設 され 、
2010年 には 約 400カ 所 となる見 込 み で
加 傾 向 にある。それ に伴 って砂 糖 単価
現 在 バ イオエ タノールの 飼 料 価 格 ヘ
の 影 響 が 指 摘 され て い るが 、これ らの
は上 昇 傾 向 にあり、特 に2004年 以 降 は
議 論 の 対 象 は主 にトウモ ロコシにある。
ノールの 年 間生 産 量 は平 均 5万 キロリッ
急 速 に増 加 している (表 1)。
サ トウキビは飼 料 としても消 費されるトウ
モロコシほど食 糧 市 場 へ のインパ クトは
トルで 原 料 として 150万 トンの サ トウキビ
そ の主 な要 因 は新 興 国を中心 とした
砂 糖 消 費 の伸 びである。ブラジルの主
な輸 出先 はロシア、および エ ジプト、イラ
大 きくない 。また生 産 地 の 拡 大 で他 の
作 物 の生 産 減 少 に結 び つ くとい う意 見
サトウキビの収 穫 時 期 は、ブラジルの
南 東 部 サ ンパ ウロ州 の 周 辺 で 4月 また
ンなど途 上 国 向 けが 中心 で ある。さら
もあるが 、ブラジルの 業 界 関係 者 の 話
は5月 頃 か ら収 穫 を開 始 し、9∼ 10月 ま
にEUの 砂 糖 政 策 の 変 更 も今 後 重 要 な
によれ ば、ブラジルの広 大 な未 利 用 の
で。その 期 間 工 場 は稼 動 す る。11月 か
要 因 となろう。EUは ブラジルに次 ぐ砂
農 地 面積 を考 えれ ば、それも決 定 的 な
根 拠 にはなりづ らい としている。
ら3月 の期 間 は端 境 期 で、工 場 のメンテ
現 在 、国 際 的 に砂 糖 の 消 費 量 が 増
えてお り、ブラジルの 砂 糖 輸 出量 は増
糖 輸 出 国 で あるが 、アフリカなど旧 植
民 地 か ら砂 糖 を輸 入 して い る。EUの
米 国 の 生 産 コス トは025ド ル /リ ット
ある。ひとつ の 精 製 所 で つ くられるエ タ
を要 す る。
ナ ンスと畑 の 手 入 れを行 う。最 近 エ タノ
ール需 要 が伸 びて い るため、若 干 植 え
表 1 砂糖輸出も増加傾向
ブラジルの砂糖輸出推移
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新興国など国際的な砂糖
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通 しにより、ますます需
要拡大の見込み。
輸出先はロシア、エジプ
ト、イランなど途上国向
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その他】
【
る。国家 アルコール計 画 のもとで政 府 は
組 んで いる。ブラジルの基 本 的な考 え
は、自国のみでエタノール供給を目指す
のではなく、他 国もエタノール生 産に取
欧米ではサトウキビ農 園における労
働者 の扱 いが奴隷 的との批 判がある。
全 てエ タノールを買 い 上 げ て 市 場 に供
給 した 。1979年 には 100%含 水 エ タノ
り組むことによって普及が進むというも
のである。
機械化 が進んだ農 園以外 は人手 に頼
る部分が 多く、労働者 の条件 が悪 い。
た。なお、この当時 は石 油 ショックにより
原 油 価 格 高 騰 が 見 られ た 時 期 で もあ
ールで走 行 す るエ タノール車 が登 場 し、
「 E100」 の 利 用 よって 国 内 市 場 が 急
速 に拡 大 した。
しか し1980年 代 後 半 になると、石 油
価 格 の 低 下 によリエ タノール燃 料 の 優
ブラジルの エタノ…ル産業の
課題
エ タノールを世 界 的に供 給 できる国
従 来サトウキビ栽 培 には奴隷制度があ
って成立 してい た歴 史的背景 がある。
ブラジルとしてはこうしたマイナスイメー
ジの払 拭が必要になってくるであろう。
今後、ブラジルのエ タノール燃料 のビ
は限られている。ブラジルはその筆 頭
である。しかし世 界 に供 給す る上では、
価格 やインフラ整 備 などの課題を解 決
ジネスに参入していくには、燃料購入 と
しなくてはいけない。
い ろい ろな課 程 で起 こるビジネスチ ャン
トウキビ原 料 確 保 が 困 難 な状 況 となっ
た。その結 果 、1990年 代 前 半 にエ タノ
インフラ整備】
【
スをどうつ か むかが 必 要 であろう。ブラ
ジルにお けるエ タノールビジネスは、輸
ールは下 火 となるが 2003年 頃 か らふ た
てはまだ未 整 備 な部 分 が ある。もともと
たび 脚 光 を浴 びるようになった。そのき
ブラジルのエ タノールは輸 出用 ではなか
入 だ けではなく、パ イプライン等 のインフ
ラ整 備 、生 産 部 門 へ の参 入 、精 製所 向
っか けは、
「 E100」 でも「 E25」 どちらで
ったため、大 量 輸 送 向 けのロジステイッ
けの機 械 販 売 、セルロース系 エ タノール
も燃 料 として走 行 できるフレックス燃 料
クが未 整 備 な状 況 である。最 近 は内 陸
の生 産技 術 開発 など幅 が ある。
車 の 登場 である。
部 に生 産 地 が 移 行 し、そこか ら海 岸 部
へ の 輸 送 がネックとなってい る。既 存 の
経 済 の 低 迷 もあって これ まで希 薄 だっ
パ イプラインはエ タノール専 用 で はない
た感 がある。今 ではブラジル経 済 と日本
ガソリン車 とフレックス車 との 価 格 差 が
ため 専 用 パ イプライン建 設 の 必 要 性 も
ほとんどなく、車種 も多 い 。燃 費性 能 は
指 摘 されている。
経 済 の 両 方 の 回復 もあって再 び 緊 密
化 して い る.2008年 にはブラジル移 民
ガソリン車 のおよそ7割 程 度 と言 われ て
い るが、燃 料 価 格 が安 い 。日本 でエ タノ
価格と供給】
【
100周 年 の節 目の年 を迎 える。今 後 エ タ
エ タノール価 格 は単 にエ タノールの
ノール燃 料 の導 入 も含 めて、より良好 な
ール燃 料 の 普 及 をはかるため にはや は
需要だけでなく、砂糖価格 に影響 を受
けてきた。そうした観点からどういったリ
スクヘッジをしていくかが大変重要であ
ビジネス上 の 関係 構 築 が 必 要 となって
位 性 が 崩 れ て くる。また、砂 糖 の 国 際
価 格 が 上 昇 したことで、砂 糖 の 利 益 が
大 きか ったため エ タノール燃 料 用 のサ
ブラジルでは現 在 、市 場 の8割 をフレ
ックス燃 料 車 が 占 めて い る。現 在 で は
り低 価 格 であることが重 要 であろう。
ブラジルのエ タノール輸 出単 価 をみる
と2005年 以 降 は顕 著 な上 昇 傾 向 を示
して い る。関 連 産 業 にはブラジル企 業
輸 出促 進 が 進 むなかインフラにつ い
る。また今までエ タノールについては短
期 契約 がほとんどであったが、安 定供
ている状 況 である。一 方 、ブラジル政 府
給 のためには長期 契約 が必要である。
さらに日本 向けに輸 出するとガソリンよ
はエ タノール に関 して積 極 的 な外 交 を
り割高 となる問題もある。
進 め、主 要 国 との連 携 を深 めている。ブ
ッシュ大 統 領 のブラジル訪 問 時 には エ
食糧関係】
【
だ けで はなく外 国 企 業 も活 発 に参 入 し
タノール燃 料 に 関す る協 力 覚 書 を締 結
し、バ イオ燃 料 推 進 を両 国 で協 力 す る
他 の作物との 関係も重要である。サ
トウキビはトウモロコシのような穀物では
ないことから直接 的な影響 はないと見
られているが、栽培 面積が拡大するこ
姿 勢 を示 した。また他 のサ トウキビ生 産
国 で あるオーストラリアやインドでの エ タ
とで他 の作物 の栽培 が減少するなどの
ノール生 産 奨 励 にむけての協 力 に取 り
影響 が指摘されている。
いう視 点 のみではなく、生 産 や流 通 など
ブラジルと日本 との経 済 関係 は、日本
いる。
※以 上 は筆 者 の個 人 的 見解 であり、ジ
ェトロの見 解 ではあ りませ ん。
〈
著者略歴〉
二宮康史 (に のみや やすし)
上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業 (1997
年3月 )
サンパウロ大学経済研究財団 (F PE/∪ SP)MBA
コース修了 (2004年 8月 ∼2005年 10月 )。
1997年 に日本貿易振興会 (ジ ェトロ、現日本貿易
振興機構)入 会。農水産部、展示部リスボン国際博
覧会課、山形貿易情報センターを経て、2003年
3月 ∼ 2007年 6月 までジェトロ サンパウロセン
ター調査担当所員。2007年 7月 より本部海外調
査部中南米課。
著 書 に「ブラジル 経 済 の 基 礎 知 識J(ジ ェトロ、
2007年 11月 発刊)。
食品 と開発
VOL 43 N0 1
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