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補聴器装用者の要望に応えるために 必要なワイヤレス技術とは

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補聴器装用者の要望に応えるために 必要なワイヤレス技術とは
FILE NAME WP9_ワイヤレス技術h1_4_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
4
補聴器装用者の要望に応えるために
必要なワイヤレス技術とは
ジェニファー・グロス、
ブライアン・ペデルセン
要約
現代社会においてワイヤレスの技術は広く普及しているだけでなく、
ワイヤレス技術には実に多くのタイ
プや方式が採用されている。本論文では、補聴器に利用される複数のワイヤレス技術を要約するととも
に、
ジーエヌリサウンドが2.4GHzワイヤレス技術を基にして独自のシステムを選択した論理的根拠を述べ
る。広範囲の市場調査の結果から、2.4GHzワイヤレス技術を用いることで補聴器装用者のニーズをより
満たせることが分かった。補聴器装用者が現行のワイヤレス技術に求める改善要求として、
「テレビを視聴
する際に発生する音声と映像のずれの問題」をはじめ、
「音声が二重に聞こえてしまうエコー問題」や「専用
の中継器を身に付けなければならない問題」、
さらには「複数のテレビやオーディオ機器に接続できる機能
の実現」などが挙げられる。このように補聴器装用者のニーズに応えるには、中継器や首掛け式のアクセ
サリーを使用しない、補聴器主体のシステム設計が必要であった。2.4GHzワイヤレス技術は、テレビなど
の電子機器との安定した接続および優れた音質を特長としており、
ジーエヌリサウンドのユナイト™ワイヤ
レスシステムを設計する上で欠かせない選択肢となった。
ジーエヌリサウンドジャパン株式会社
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-3 MMパークビル8F
0120-921-310
www.gnresound.jp/
MKD0434 AL11 1106A-1106600
「ワイヤレス」
という用語は、導電体(ワイヤー)
を使用せ
が、使用目的に合わせて適した方式を選択する必要があ
ずに多種多様な目的のために情報を伝送する様々な技
る。特に補聴器の場合はその方式による差が顕著であ
術に適用される。長い間、補聴器はテレコイルとFMシス
る。補聴器に最も適したデジタルワイヤレス技術を選択
テムというアナログのワイヤレス技術を使用してきた。こ
する際、補聴器装用者のニーズに対してその機器に技術
の技術は特定の状況下では信号対雑音比
(SN比)
を大幅
的な問題が無いかを慎重に検討することが重要である。
に改善するため、補聴器装用者に恩恵をもたらすことが
例えばBluetooth(ブルートゥース )は携帯電話をはじ
できる。最近になり、左右の補聴器間で情報を交換した
めとする情報伝達に用いられ、数多くの機器に対応して
り、テレビや電話などの別の音源から音声信号を受信し
いるデジタルワイヤレス技術の規格である。このことか
たりすることを目的に、
デジタルワイヤレス技術を応用し
らブルートゥース が補聴器に最適だろうと推測する人が
た補聴器が登場した。デジタル補聴器はデジタルワイヤ
いるかもしれない。
しかしながら、
ブルートゥース は音声
レス技術を用いることにより、
アナログタイプよりも信号
信号を遅延させるので、
すべての状況下において装用者
処理の可能性が広がる。一般にデジタルワイヤレス技術
のニーズを満たすことが出来ないばかりか、電力消費量
はアナログ方式よりもSN比が向上するとともに、電波に
が極めて多いため、補聴器での使用はあまり現実的で
よる干渉を受けにくいので通信が安定する。このように、
はない。
補聴器に搭載されたデジタルワイヤレス技術は、従来の
ジーエヌリサウンドの補聴器に搭載されているデジタル
アナログワイヤレス方式のメリットをさらに拡張・拡大し
ワイヤレス技術は、2.4GHzのISM周波数帯(Industry
たものと言える。
Science Medical band)
を使用した独自のシステムで
「デジタルワイヤレス技術」は多種多様な通信に適用さ
ある。本論文は、補聴器装用者と聴覚専門家(フィッター)
れる用語である。さまざまなデジタルワイヤレス技術の
のニーズの分析、実行可能性、設計に基づいてジーエヌ
うち、特にどれが突出して優れているということはない
リサウンドがこの技術を選択した背景を考察する。
FILE NAME WP9_ワイヤレス技術P2_3_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
4
補聴器装用者のニーズに合ったワイヤレス技術
何人かの聴覚専門家は、
このタイプの補聴器に対して音
聴器装用者の最も重要なニーズに応えることは出来な
ヤーやマイクなどのブルートゥース 対応機器からワイ
ジーエヌリサウンドは、MarkeTrakなどの公表された
量とプログラムを同時に変更できる簡便性を重視してい
かったであろう。なぜなら補聴器装用者のニーズに応え
ヤレスヘッドホンなどの 受 信 装 置に音 声を伝 送する
データと市場調査(Groth & Anthonsen, 2010)
に基
たが、大半の聴覚専門家は、相互にフィッティングされた
るには、
ワイヤレスシステムの主体を中継器ではなく補
A2DP( Advanced Audio Distribution Profile:高品
づいて、補聴器のワイヤレスシステムに対する補聴器装
補聴器間のワイヤレス通信は補聴器装用者の聴力をほ
聴器にする必要があったためである。NFMIでは、誘導性
質オーディオデータ伝送プロファイル)
という方式を使用
用者のニーズを定義した。補聴器装用者とは、補聴器を
んのわずかしか改善できないという見方を示した。
ドイ
ネックループが付いた装着式中継器がシステムの主体で
している。
この方式による遅延時間は40ミリ秒を超えて
実際に装用する聴覚障害者と補聴器のフィッティングを
ツ、
フランス、
アメリカのグループを対象とした市場調査
ある。
この機器は遠方の音源から信号を受信し、誘導性
おり、さらにはこのシステムで一般的に用いられる音声
行う専門家を指す。デジタルワイヤレス技術を搭載した
および、聴覚専門家と補聴器装用者を対象とした調査か
によって補聴器へ中継する。NFMIの受信範囲はわずか
圧縮技術を併用する事で遅延時間はさらに増え、最大
補聴器は数年前から市販されているため、補聴器装用者
ら、次のような一致した結果が得られた。
テレビや電話と
50~60センチメートルなので、装用者が中継器のすぐ近
125ミリ秒にもなる。補聴器マイクで増幅された音声や
による既存製品の使用状況を観察、分析するとともに、
の接続性を目的としたワイヤレスアクセサリーの使用は
くにいて、かつ補聴器が磁場に対して最適な方向を向い
オープンフィッティングで外耳道に入る直接音とワイヤレ
その結果に基づいて補聴器装用者のニーズをさらに追
補聴器装用者の満足度に大きな影響を及ぼしていると
ている場合に限り
(具体例として中継器が身体に装着さ
ス送信された音声を同時に聴取すると、
システムの遅延
究することが可能である。人間とコンピュータの相互作
ともに、
ワイヤレスアクセサリーに対して改善が望まれる
れている様な状態)、音声送信が可能となる。携帯電話や
によりテレビ視聴時にはエコーの知覚や映像と音声のず
用を専門とする科学者、
ソフトウェア設計者、聴覚学者か
重要なポイントであった。
このような補聴器装用者の優
一部のデジタル音楽プレーヤーに見られるブルートゥー
れ
(リップシンク)の問題が生じる恐れがある。遅延が小さ
ら構成されたチームが実際に聴覚専門家のクリニックを
先的ニーズの大部分を満たすことを目的として、
ジーエ
ス 技術を内蔵した音源は、中継器に直接送信すること
い場合でも、音声信号と視覚信号の不一致はテレビ視聴
訪問し、既存のワイヤレス補聴器がどのように使用され
ヌリサウンドは数あるワイヤレスの方式の中から2.4GHz
が可能だが、
ブルートゥース ワイヤレス技術を使用して
に著しい悪影響を及ぼす
(Reeves & Voelker, 1993)。
ているか、
また、既存製品が補聴器装用者に対しどのよう
ワイヤレス技術を採用した。
中継器に音を伝えるには、音源と接続するための第3の
にカウンセリングされているかについて調査した。その結
果、
ワイヤレスシステムがフィッティングとカウンセリング
[聴覚専門家のニーズ]
機器が必要だ。
このようにNFMIベースの技術では、身体
図1は、
ホームステレオからワイヤレスシステムを介して
に装着する機器を使いたくないという補聴器装用者の
補聴器に送信された音声信号の遅延を比較したもので
ニーズを満たすことが出来ない。
ある。遅延時間はスピーカーからKEMAR(マネキン)の
を潤滑に進める上でどのように寄与しているか、逆に、
ど
●ケーブルや中継器が不要
のような場合に問題が生じているのかが明らかになっ
●長距離通信が可能
た。例えば、ある製品ではフィッティング中にソフトウェア
●干渉の無い安定した接続
これ以外にも、
ブルートゥース が最適なワイヤレス通信
たスピーカーから耳までの音声の到達を比較して計測さ
が明確な接続状態を示していなかったので、聴覚専門家
●ペアリングとインストールの簡単さ
手段になりえないことを示す例がある。
ブルートゥース
れた。
ブルートゥース を使用して音源からストリーミング
が気付かずに接続を切断してしまうケースが見られた。
●使いやすいフィッティングシステム
はジーエヌリサウンドの独自技術と同じ2.4GHz ISMバ
するNFMIベースのシステムは、聴取者が不快感を覚え
ンドを使用し、
ワイヤレス通信において多く利用されてい
る可能性がある非常に大きな遅延を示した。
このように
る。
ブルートゥース はオーディオ信号の送受信をカバー
NFMI技術方式では、優れた音質とリップシンクの問題
別の製品では、補聴器を装用者の耳に挿入するタイミン
グを知るために、聴覚専門家はプログラミングインター
[補聴器装用者のニーズ]
耳までの音声の到達と、
ワイヤレス送信と補聴器を介し
フェイスの点滅光を解読する必要があった。
この2つの異
●身に付けるアクセサリーが不要
するだけでなく、
ワイヤレスコンピュータネットワークや
解消を望む補聴器装用者のニーズを満たすことができ
なるシステムに共通して観察された問題点は、
ワイヤレ
●テレビや携帯電話との接続性
ゲームコントローラなどの多様な用途にも使用可能であ
ない。
スのプログラミングインターフェイスを選択するメリット
●長距離通信と安定した接続
る。現在、
ブルートゥース 対応製品は12,000種類近く存
が聴覚専門家にとって明白でないことであった。
このよう
●優れた音質
在する。
ブルートゥース を用いた通信では多数のニーズ
な問題から、多くの聴覚専門家が現在でも「ワイヤレス」
●テレビ映像と音声の遅延
(ずれ)
がゼロ
に応えるため、非常に広範でフレキシブルでなければな
補聴器のフィッティング時にケーブルを使用しているの
または極めて少ないこと
らない。そのためブルートゥース は、補聴器などの特殊
ドイツでは、調査対象となった152
は驚くにあたらない。
●設定と使用が簡単
用途の設計と比べて多くの電力を必要とする。通信にお
人の聴覚専門家のうち約半数が、
ワイヤレスフィッティン
●複数の音響装置への接続性、
同一の音源に
ける電力消費量の抑制は補聴器装用者の最も重要な
グ可能な製品でありながらほぼ100%ケーブルを使用し
複数の補聴器装用者が接続可
ニーズではなかったが、
ブルートゥース を補聴器へ直接
システムA:NFMI方式とブルートゥース を組み合わせたシステム
130ミリ秒
システムB:NFMI方式とブルートゥース を組み合わせたシステム
60ミリ秒
導入することは実現可能性が低い。
ていると回答した。
システムC:2.4GHzユナイト ワイヤレスシステム
補聴器装用者のニーズに応えるための課題
補聴器装用者と聴覚専門家の双方を対象とした広範囲
補聴器装用者のニーズのいくつかは、大多数の補聴器に
ブルートゥース 通信を用いたワイヤレス補聴器はNFMI
な分析から、最も重要視される補聴器装用者のニーズが
搭 載 されて いるN F M (
I Near Field Magnetic
ベースのワイヤレス技術を使用してワイヤレス通信が行
判明した。興味深い知見として、市場では補聴器間のコ
Induction:近傍磁界誘導)
というデジタルワイヤレス技
われているが、
このシステムを使用すると、補聴器への直
ミュニケーション機能が付いた補聴器が広く認知されて
術では満たすことが不可能である。NFMIベースの技術
接音とテレビなどから送信された音声が混在する場合
は、
ブルートゥース を使用して音源から装着式中継器に音声を送信す
いるにも関わらず、
この機能はテレビなどの電子機器と
は、研究開発投資の観点から見て実施が最も容易だが、
や、
テレビの視聴時において不適切な遅延問題が発生す
るため、大きな遅延が発生する。システムBでは「低密度」の音声圧縮
の接続に比べて高く評価されていないことが分かった。
もしジーエヌリサウンドがこの技術を採用したならば、補
る。
ブルートゥース ベースのシステムでは、MP3プレー
18ミリ秒
図1. 2種類のNFMIベースのワイヤレスシステムとジーエヌリサウンド
の2.4GHzワイヤレスシステムの音声遅延を示す。NFMIシステムで
を使用するので音質が劣化する。一方、
ジーエヌリサウンドのシステム
は高密度のオーディオ圧縮を行うため、遅延を小さく抑えて最適な音
質を実現する。
2
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FILE NAME WP9_ワイヤレス技術P2_3_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
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補聴器装用者のニーズに合ったワイヤレス技術
何人かの聴覚専門家は、
このタイプの補聴器に対して音
聴器装用者の最も重要なニーズに応えることは出来な
ヤーやマイクなどのブルートゥース 対応機器からワイ
ジーエヌリサウンドは、MarkeTrakなどの公表された
量とプログラムを同時に変更できる簡便性を重視してい
かったであろう。なぜなら補聴器装用者のニーズに応え
ヤレスヘッドホンなどの 受 信 装 置に音 声を伝 送する
データと市場調査(Groth & Anthonsen, 2010)
に基
たが、大半の聴覚専門家は、相互にフィッティングされた
るには、
ワイヤレスシステムの主体を中継器ではなく補
A2DP( Advanced Audio Distribution Profile:高品
づいて、補聴器のワイヤレスシステムに対する補聴器装
補聴器間のワイヤレス通信は補聴器装用者の聴力をほ
聴器にする必要があったためである。NFMIでは、誘導性
質オーディオデータ伝送プロファイル)
という方式を使用
用者のニーズを定義した。補聴器装用者とは、補聴器を
んのわずかしか改善できないという見方を示した。
ドイ
ネックループが付いた装着式中継器がシステムの主体で
している。
この方式による遅延時間は40ミリ秒を超えて
実際に装用する聴覚障害者と補聴器のフィッティングを
ツ、
フランス、
アメリカのグループを対象とした市場調査
ある。
この機器は遠方の音源から信号を受信し、誘導性
おり、さらにはこのシステムで一般的に用いられる音声
行う専門家を指す。デジタルワイヤレス技術を搭載した
および、聴覚専門家と補聴器装用者を対象とした調査か
によって補聴器へ中継する。NFMIの受信範囲はわずか
圧縮技術を併用する事で遅延時間はさらに増え、最大
補聴器は数年前から市販されているため、補聴器装用者
ら、次のような一致した結果が得られた。
テレビや電話と
50~60センチメートルなので、装用者が中継器のすぐ近
125ミリ秒にもなる。補聴器マイクで増幅された音声や
による既存製品の使用状況を観察、分析するとともに、
の接続性を目的としたワイヤレスアクセサリーの使用は
くにいて、かつ補聴器が磁場に対して最適な方向を向い
オープンフィッティングで外耳道に入る直接音とワイヤレ
その結果に基づいて補聴器装用者のニーズをさらに追
補聴器装用者の満足度に大きな影響を及ぼしていると
ている場合に限り
(具体例として中継器が身体に装着さ
ス送信された音声を同時に聴取すると、
システムの遅延
究することが可能である。人間とコンピュータの相互作
ともに、
ワイヤレスアクセサリーに対して改善が望まれる
れている様な状態)、音声送信が可能となる。携帯電話や
によりテレビ視聴時にはエコーの知覚や映像と音声のず
用を専門とする科学者、
ソフトウェア設計者、聴覚学者か
重要なポイントであった。
このような補聴器装用者の優
一部のデジタル音楽プレーヤーに見られるブルートゥー
れ
(リップシンク)の問題が生じる恐れがある。遅延が小さ
ら構成されたチームが実際に聴覚専門家のクリニックを
先的ニーズの大部分を満たすことを目的として、
ジーエ
ス 技術を内蔵した音源は、中継器に直接送信すること
い場合でも、音声信号と視覚信号の不一致はテレビ視聴
訪問し、既存のワイヤレス補聴器がどのように使用され
ヌリサウンドは数あるワイヤレスの方式の中から2.4GHz
が可能だが、
ブルートゥース ワイヤレス技術を使用して
に著しい悪影響を及ぼす
(Reeves & Voelker, 1993)。
ているか、
また、既存製品が補聴器装用者に対しどのよう
ワイヤレス技術を採用した。
中継器に音を伝えるには、音源と接続するための第3の
にカウンセリングされているかについて調査した。その結
果、
ワイヤレスシステムがフィッティングとカウンセリング
[聴覚専門家のニーズ]
機器が必要だ。
このようにNFMIベースの技術では、身体
図1は、
ホームステレオからワイヤレスシステムを介して
に装着する機器を使いたくないという補聴器装用者の
補聴器に送信された音声信号の遅延を比較したもので
ニーズを満たすことが出来ない。
ある。遅延時間はスピーカーからKEMAR(マネキン)の
を潤滑に進める上でどのように寄与しているか、逆に、
ど
●ケーブルや中継器が不要
のような場合に問題が生じているのかが明らかになっ
●長距離通信が可能
た。例えば、ある製品ではフィッティング中にソフトウェア
●干渉の無い安定した接続
これ以外にも、
ブルートゥース が最適なワイヤレス通信
たスピーカーから耳までの音声の到達を比較して計測さ
が明確な接続状態を示していなかったので、聴覚専門家
●ペアリングとインストールの簡単さ
手段になりえないことを示す例がある。
ブルートゥース
れた。
ブルートゥース を使用して音源からストリーミング
が気付かずに接続を切断してしまうケースが見られた。
●使いやすいフィッティングシステム
はジーエヌリサウンドの独自技術と同じ2.4GHz ISMバ
するNFMIベースのシステムは、聴取者が不快感を覚え
ンドを使用し、
ワイヤレス通信において多く利用されてい
る可能性がある非常に大きな遅延を示した。
このように
る。
ブルートゥース はオーディオ信号の送受信をカバー
NFMI技術方式では、優れた音質とリップシンクの問題
別の製品では、補聴器を装用者の耳に挿入するタイミン
グを知るために、聴覚専門家はプログラミングインター
[補聴器装用者のニーズ]
耳までの音声の到達と、
ワイヤレス送信と補聴器を介し
フェイスの点滅光を解読する必要があった。
この2つの異
●身に付けるアクセサリーが不要
するだけでなく、
ワイヤレスコンピュータネットワークや
解消を望む補聴器装用者のニーズを満たすことができ
なるシステムに共通して観察された問題点は、
ワイヤレ
●テレビや携帯電話との接続性
ゲームコントローラなどの多様な用途にも使用可能であ
ない。
スのプログラミングインターフェイスを選択するメリット
●長距離通信と安定した接続
る。現在、
ブルートゥース 対応製品は12,000種類近く存
が聴覚専門家にとって明白でないことであった。
このよう
●優れた音質
在する。
ブルートゥース を用いた通信では多数のニーズ
な問題から、多くの聴覚専門家が現在でも「ワイヤレス」
●テレビ映像と音声の遅延
(ずれ)
がゼロ
に応えるため、非常に広範でフレキシブルでなければな
補聴器のフィッティング時にケーブルを使用しているの
または極めて少ないこと
らない。そのためブルートゥース は、補聴器などの特殊
ドイツでは、調査対象となった152
は驚くにあたらない。
●設定と使用が簡単
用途の設計と比べて多くの電力を必要とする。通信にお
人の聴覚専門家のうち約半数が、
ワイヤレスフィッティン
●複数の音響装置への接続性、
同一の音源に
ける電力消費量の抑制は補聴器装用者の最も重要な
グ可能な製品でありながらほぼ100%ケーブルを使用し
複数の補聴器装用者が接続可
ニーズではなかったが、
ブルートゥース を補聴器へ直接
システムA:NFMI方式とブルートゥース を組み合わせたシステム
130ミリ秒
システムB:NFMI方式とブルートゥース を組み合わせたシステム
60ミリ秒
導入することは実現可能性が低い。
ていると回答した。
システムC:2.4GHzユナイト ワイヤレスシステム
補聴器装用者のニーズに応えるための課題
補聴器装用者と聴覚専門家の双方を対象とした広範囲
補聴器装用者のニーズのいくつかは、大多数の補聴器に
ブルートゥース 通信を用いたワイヤレス補聴器はNFMI
な分析から、最も重要視される補聴器装用者のニーズが
搭 載 されて いるN F M (
I Near Field Magnetic
ベースのワイヤレス技術を使用してワイヤレス通信が行
判明した。興味深い知見として、市場では補聴器間のコ
Induction:近傍磁界誘導)
というデジタルワイヤレス技
われているが、
このシステムを使用すると、補聴器への直
ミュニケーション機能が付いた補聴器が広く認知されて
術では満たすことが不可能である。NFMIベースの技術
接音とテレビなどから送信された音声が混在する場合
は、
ブルートゥース を使用して音源から装着式中継器に音声を送信す
いるにも関わらず、
この機能はテレビなどの電子機器と
は、研究開発投資の観点から見て実施が最も容易だが、
や、
テレビの視聴時において不適切な遅延問題が発生す
るため、大きな遅延が発生する。システムBでは「低密度」の音声圧縮
の接続に比べて高く評価されていないことが分かった。
もしジーエヌリサウンドがこの技術を採用したならば、補
る。
ブルートゥース ベースのシステムでは、MP3プレー
18ミリ秒
図1. 2種類のNFMIベースのワイヤレスシステムとジーエヌリサウンド
の2.4GHzワイヤレスシステムの音声遅延を示す。NFMIシステムで
を使用するので音質が劣化する。一方、
ジーエヌリサウンドのシステム
は高密度のオーディオ圧縮を行うため、遅延を小さく抑えて最適な音
質を実現する。
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FILE NAME WP9_ワイヤレス技術P4_5_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
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NFMIとブルートゥース による音声送信の最後の問題
器は、身体に装着された中継器に従属している。
ジーエヌ
だけとみなされる。
このコンセプトは補聴器装用者に簡
点は、音源と装着式中継器の間に1対1の関係しか存在し
リサウンドが選択した2.4GHzワイヤレス技術は、
より柔
単に理解してもらうことが出来、大多数の参加者が先述
ないことである。つまり、同じワイヤレス機能をもつ補聴
軟なシステム設計が可能である。
ジーエヌリサウンドは製
のNFMIベースの方式よりも望ましいと回答した。
また、
器をそれぞれ装用している夫婦は、
自宅で中継器を共有
品開発の過程で補聴器装用者に2種類の異なるコンセプ
このソリューションは、既存の方式では得られない簡便性
できない。
テレビや電話には、2台の別々の中継器を接続
トを提示し、
どちらがシンプルに感じられるか評価しても
と可動性を備えている。補聴器装用者は補聴器を複数の
する必要がある。同様に、
リビングルームと寝室の両方に
らった。最初のコンセプトは「通信専用機器」をシステム
機器に接続出来るだけでなく、別の補聴器装用者とワイ
第2の防御ラインは、周波数ホッピングである。基本的に
テレビを設置している補聴器装用者は、別々の中継器に
の主体としており、
既存のNFMIベースのシステムと似て
ヤレスアクセサリーを共有することも可能である。例え
新しいデータを送信しようとするたびに、使用可能な35
接続することが不可能であり、同じ中継器を部屋から部
いた。相違点は、
ワイヤレス送信の範囲が大きいため、補
ば、
この機器の装用者が同じシステムを使用する友人の
チャンネルの中から新しくチャンネルが選択される。補聴
屋へ持ち運ばなければならない。その結果、複数のオー
聴器装用者は使用時に必ずしも中継器を装着する必要
家を訪問した際、友人のテレビユナイトに接続して一緒
器はどのチャンネルから次のデータパケットが伝送され
ディオ機器に接続したり、接続を共有したりといった補
がないことであった。
この通信器には2.4GHzワイヤレス
にサッカーの試合を観戦することが出来る。
るかについて、
ワイヤレスアクセサリーと相互に参照し合
聴器装用者の希望を満たすことが出来ない。
技術とブルートゥース 受信機の両方が含まれた。
これは
結論として、NFMIおよびブルートゥース はワイヤレス
ワイヤレスLAN
時間
図3. ジーエヌリサウンドは2.4GHzバンドを使用するその他の通信機
器との干渉を避けるため、
データを極めて短い間隔で送信する。
う。
この周波数帯に対応するさまざまな機器はそれぞれ
補聴器のリモコン、携帯電話やその他のブルートゥース
長距離でも安定した接続性
異なる選択法を使用しているので、常にお互いの衝突が
対応機器の中継と音声の送信機の役割を果たした。
ジーエヌリサウンドの2.4GHzワイヤレス技術の転送能
回避される。
力は、携帯電話の100分の1未満であるが、最大約7メー
機能に対する補聴器装用者のニーズのほとんどに不適
格であり、
ワイヤレス技術プラットフォームとして受け入
図2に示すように、2つ目のコンセプトは補聴器を主体に
トルの範囲で接続が可能である。2.4GHzの周波数帯は
れがたい。
システムを構成した。
このコンセプトでは補聴器がすべて
相互干渉の可能性がある多数のワイヤレス機器に対応
の接続をコントロールするため、補聴器装用者はワイヤ
しているため、安定した接続性の確保が開発の主眼で
補聴器装用者のニーズに応える
レス機能を使用出来るように補聴器を設定するだけでよ
あった。
ジーエヌリサウンドのワイヤレスシステムは、2.4
シンプル設計により装着式のアクセサリーが不要
リビングでテレビを見て別の部屋でホームステレオを
い。
GHzの周波数帯を35チャンネルに分割している。別の機
前述したように、NFMIベースのシステムは装着式の中
楽しむ場合など、複数の機器からの送信に異なる送信機
器が補聴器と同じチャンネルから伝送を行うと、伝送中
継器をワイヤレス補聴器システムの主体としている。テ
が使用される場合でも、
このシステムでは個別の解決策
のデータパケットが壊れて削除されてしまう可能性があ
レビや電話、そして補聴器本体と接続されるその他の機
とみなされるのではなく、補聴器に別の接続が加わった
り、
このような干渉からデータ伝送を守る必要がある。
チャンネル
ブルートゥース
ワイヤレス
キーボード
ワイヤレスマウス
リサウンド・アレラ
エアリンク™
携帯ユナイト™
USB接続
1 23
TVユナイト™
リモコンユナイト™
携帯電話
ケーブル接続
ワイヤレス
ネットワーク
時間
図4. 極めて短い間隔
(横軸)
でデータ送信することに加え、
ジーエヌリ
ジーエヌリサウンドのユナイト ワイヤレスシステムで
ユナイト™ワイヤレスシステム
Aventa 3
ワイヤレスマウス
サウンドの技術は他のワイヤレス機器からの干渉を回避するために
は、データはデジタルに変換された情報の小さなまとま
2.4 GHzの周波数帯で35チャンネル
(縦軸)
を活用している。このグラ
り
(パケット)として伝送される。ジーエヌリサウンドは
フは、ジーエヌリサウンドのパケット通信に対し、その他のワイヤレス
機器の通信がどのように分配されるかを示している。
データパケットのワイヤレス送信を干渉から守るため、2
つの方法を用いている。2.4GHzの周波数帯を支配する
優れた音質とリップシンクの解消
規則によると、いかなる機器もひとつのチャンネルから
前述のように、
テレビなどのその他の音源からのブルー
一度に0.4秒を超えて送信することは許されない。言い
トゥース 技術によるデータ送信は、音質が悪く補聴器装
換えると、ひどく混雑しているチャンネルでも、チャンネ
用者のニーズを満たさない。ジーエヌリサウンドは独自
ルが空いているわずかな隙間(タイムスロット)
が発生す
の方式により、A2DPプロトコルに見られるような音質劣
る。ジーエヌリサウンドはこの 点を活 用して、わずか
化が起こらない音声送信を実現した。図1に示すように、
160~500マイクロ秒(0.00016~0.0005秒)の極め
この方式で発生する遅延は極めて短いため、補聴器装用
て短いデータパケットを送信する。このような短いパ
者は自然な聴覚体験が得られ、聴覚と視覚のずれが回避
ケットは、その短さのためにチャンネルを通過する確率
出来る。
これらの問題が解決されただけでなく、聴覚専門
が高い。
家は個別にオーディオストリーミングに対する周波数応
答を調節することが可能であり、補聴器装用者はオー
2.4 GHzワイヤレス接続
ディオストリーミングと補聴器増幅の両方の音量を柔軟
テレビ
オーディオシステム
パソコン
Bluetooth(ブルートゥース) 接続
に調節することが出来る。
図2. ジーエヌリサウンドのユナイト ワイヤレスシステムは、補聴器をシステムの主体と位置付けている。
その他の技術は、
システムの主体となる装着式の中継器が必要であり、補聴器は付属品として扱われる。
4
5
FILE NAME WP9_ワイヤレス技術P4_5_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
4
NFMIとブルートゥース による音声送信の最後の問題
器は、身体に装着された中継器に従属している。
ジーエヌ
だけとみなされる。
このコンセプトは補聴器装用者に簡
点は、音源と装着式中継器の間に1対1の関係しか存在し
リサウンドが選択した2.4GHzワイヤレス技術は、
より柔
単に理解してもらうことが出来、大多数の参加者が先述
ないことである。つまり、同じワイヤレス機能をもつ補聴
軟なシステム設計が可能である。
ジーエヌリサウンドは製
のNFMIベースの方式よりも望ましいと回答した。
また、
器をそれぞれ装用している夫婦は、
自宅で中継器を共有
品開発の過程で補聴器装用者に2種類の異なるコンセプ
このソリューションは、既存の方式では得られない簡便性
できない。
テレビや電話には、2台の別々の中継器を接続
トを提示し、
どちらがシンプルに感じられるか評価しても
と可動性を備えている。補聴器装用者は補聴器を複数の
する必要がある。同様に、
リビングルームと寝室の両方に
らった。最初のコンセプトは「通信専用機器」をシステム
機器に接続出来るだけでなく、別の補聴器装用者とワイ
第2の防御ラインは、周波数ホッピングである。基本的に
テレビを設置している補聴器装用者は、別々の中継器に
の主体としており、
既存のNFMIベースのシステムと似て
ヤレスアクセサリーを共有することも可能である。例え
新しいデータを送信しようとするたびに、使用可能な35
接続することが不可能であり、同じ中継器を部屋から部
いた。相違点は、
ワイヤレス送信の範囲が大きいため、補
ば、
この機器の装用者が同じシステムを使用する友人の
チャンネルの中から新しくチャンネルが選択される。補聴
屋へ持ち運ばなければならない。その結果、複数のオー
聴器装用者は使用時に必ずしも中継器を装着する必要
家を訪問した際、友人のテレビユナイトに接続して一緒
器はどのチャンネルから次のデータパケットが伝送され
ディオ機器に接続したり、接続を共有したりといった補
がないことであった。
この通信器には2.4GHzワイヤレス
にサッカーの試合を観戦することが出来る。
るかについて、
ワイヤレスアクセサリーと相互に参照し合
聴器装用者の希望を満たすことが出来ない。
技術とブルートゥース 受信機の両方が含まれた。
これは
結論として、NFMIおよびブルートゥース はワイヤレス
ワイヤレスLAN
時間
図3. ジーエヌリサウンドは2.4GHzバンドを使用するその他の通信機
器との干渉を避けるため、
データを極めて短い間隔で送信する。
う。
この周波数帯に対応するさまざまな機器はそれぞれ
補聴器のリモコン、携帯電話やその他のブルートゥース
長距離でも安定した接続性
異なる選択法を使用しているので、常にお互いの衝突が
対応機器の中継と音声の送信機の役割を果たした。
ジーエヌリサウンドの2.4GHzワイヤレス技術の転送能
回避される。
力は、携帯電話の100分の1未満であるが、最大約7メー
機能に対する補聴器装用者のニーズのほとんどに不適
格であり、
ワイヤレス技術プラットフォームとして受け入
図2に示すように、2つ目のコンセプトは補聴器を主体に
トルの範囲で接続が可能である。2.4GHzの周波数帯は
れがたい。
システムを構成した。
このコンセプトでは補聴器がすべて
相互干渉の可能性がある多数のワイヤレス機器に対応
の接続をコントロールするため、補聴器装用者はワイヤ
しているため、安定した接続性の確保が開発の主眼で
補聴器装用者のニーズに応える
レス機能を使用出来るように補聴器を設定するだけでよ
あった。
ジーエヌリサウンドのワイヤレスシステムは、2.4
シンプル設計により装着式のアクセサリーが不要
リビングでテレビを見て別の部屋でホームステレオを
い。
GHzの周波数帯を35チャンネルに分割している。別の機
前述したように、NFMIベースのシステムは装着式の中
楽しむ場合など、複数の機器からの送信に異なる送信機
器が補聴器と同じチャンネルから伝送を行うと、伝送中
継器をワイヤレス補聴器システムの主体としている。テ
が使用される場合でも、
このシステムでは個別の解決策
のデータパケットが壊れて削除されてしまう可能性があ
レビや電話、そして補聴器本体と接続されるその他の機
とみなされるのではなく、補聴器に別の接続が加わった
り、
このような干渉からデータ伝送を守る必要がある。
チャンネル
ブルートゥース
ワイヤレス
キーボード
ワイヤレスマウス
リサウンド・アレラ
エアリンク™
携帯ユナイト™
USB接続
1 23
TVユナイト™
リモコンユナイト™
携帯電話
ケーブル接続
ワイヤレス
ネットワーク
時間
図4. 極めて短い間隔
(横軸)
でデータ送信することに加え、
ジーエヌリ
ジーエヌリサウンドのユナイト ワイヤレスシステムで
ユナイト™ワイヤレスシステム
Aventa 3
ワイヤレスマウス
サウンドの技術は他のワイヤレス機器からの干渉を回避するために
は、データはデジタルに変換された情報の小さなまとま
2.4 GHzの周波数帯で35チャンネル
(縦軸)
を活用している。このグラ
り
(パケット)として伝送される。ジーエヌリサウンドは
フは、ジーエヌリサウンドのパケット通信に対し、その他のワイヤレス
機器の通信がどのように分配されるかを示している。
データパケットのワイヤレス送信を干渉から守るため、2
つの方法を用いている。2.4GHzの周波数帯を支配する
優れた音質とリップシンクの解消
規則によると、いかなる機器もひとつのチャンネルから
前述のように、
テレビなどのその他の音源からのブルー
一度に0.4秒を超えて送信することは許されない。言い
トゥース 技術によるデータ送信は、音質が悪く補聴器装
換えると、ひどく混雑しているチャンネルでも、チャンネ
用者のニーズを満たさない。ジーエヌリサウンドは独自
ルが空いているわずかな隙間(タイムスロット)
が発生す
の方式により、A2DPプロトコルに見られるような音質劣
る。ジーエヌリサウンドはこの 点を活 用して、わずか
化が起こらない音声送信を実現した。図1に示すように、
160~500マイクロ秒(0.00016~0.0005秒)の極め
この方式で発生する遅延は極めて短いため、補聴器装用
て短いデータパケットを送信する。このような短いパ
者は自然な聴覚体験が得られ、聴覚と視覚のずれが回避
ケットは、その短さのためにチャンネルを通過する確率
出来る。
これらの問題が解決されただけでなく、聴覚専門
が高い。
家は個別にオーディオストリーミングに対する周波数応
答を調節することが可能であり、補聴器装用者はオー
2.4 GHzワイヤレス接続
ディオストリーミングと補聴器増幅の両方の音量を柔軟
テレビ
オーディオシステム
パソコン
Bluetooth(ブルートゥース) 接続
に調節することが出来る。
図2. ジーエヌリサウンドのユナイト ワイヤレスシステムは、補聴器をシステムの主体と位置付けている。
その他の技術は、
システムの主体となる装着式の中継器が必要であり、補聴器は付属品として扱われる。
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FILE NAME WP9_ワイヤレス技術P6_7_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
4
聴覚専門家(フィッター)のニーズに応える
ングには当てはまらない。
ワイヤレスのプログラミングイ
補聴器のフィッティングを行う聴覚専門家の主なニーズ
ンターフェイスからフィッティングに関する情報(例:利得
は、実際のフィッティングプロセスに関連したものであ
の設定)のデータパケットが送信されると、近くの補聴器
る。ほぼすべての補聴器メーカーの製品は、標準的なプ
全てがこのデータを受信する。
ログラミングインターフェイス
(ハイプロ・スピードリンク
などを指す)
と互換性を持つが、聴覚専門家は過去20年
すべての補聴器がデータを受信するため、受信された
近く、煩雑なフィッティングケーブルやコネクタと格闘し
データのフィルタリングが必要である。
この点を解決す
なければならなかった。初の「ワイヤレス」
プログラミング
るため、
ジーエヌリサウンドのすべてのワイヤレス製品に
インターフェイスは業界標準のノアリンクであるが、
これ
は、工場出荷時に認識番号(固有アドレス)が割り当てら
はパソコンとプログラミングインターフェイスの間だけ
れている。識別子はデータパケットの送り先に関する情
がワイヤレスであり、
プログラミングケーブル、
プログラ
報と合致しなければならず、合致しなければこのパケット
ミングシュー、
プログラミングピルは依然として必要であ
は該当する補聴器に属さないものとして拒否される。
る。NFMIベースのワイヤレス補聴器も、
ワイヤレスプロ
グラミングを特長としているがノアリンクと同様、
このタ
このようなアドレス方式を使用することで、正しいアドレ
イプの補聴器もブルートゥース 経由でパソコンと通信
スをもつ補聴器のみがそのアドレス宛てのデータを受信
するための装着式の中継器が必要である。NFMIの利点
するので、
ワイヤレスプログラミング機器と補聴器の間
図6 「発見」のプロセスの間、
ワイヤレスプログラミング機器は受信範囲内にあるすべての補聴器を検索し、画面に
は、装着式のプログラミングインターフェイスと補聴器を
に固有の接続が確立される。その結果、複数のエアリン
表示する。聴覚専門家が装用者の左右の耳に適切な補聴器を選択すると割り当てが行われ、接続が確立される。
接続する物理的なコネクタが不要なことである。
これは
ク が同時にアクティブになっている店舗や施設でも、確
正しい方向に一歩踏み出したとは言えるが、依然として
実に目的の補聴器をフィッティングすることが可能であ
在しうる)場合、近くの機器を発見するためのメカニズム
に与える影響について考察した。補聴器装用者の主な
中継器を装着しなければならないという点でNFMIは補
る。図5に示すように、
「アドレスAの補聴器」
と
「アドレスB
が必要だ。
このため、ひとつのアドレスが選択されて「発
ニーズは、優れた音質で外部音源に安定した接続が出来
聴器装用者のニーズを完全に満たしていない。例えば
の補聴器」が同じパケットを受信した場合でも、そのパ
見」のプロセスに使用される。補聴器のスイッチを入れた
る補聴器主体のシンプルなシステムであった。現在のと
ある製 品では、大きなメダ ル のようなノアリンクと、
ケットを処理するのは
「アドレスAの補聴器」
だけである。
最初の2分間、補聴器から
「私が必要ならばアドレスXで
ころ、2.4GHzワイヤレス技術は補聴器装用者のニーズ
見つかりますよ」
という短いデータが共通アドレスに送信
を満たすための最も適切な解決策といえる。
NFMIベースの通信用の誘導コイルを収納した物々しい
フックが組み合わされている。補聴器装用者はフィッティ
アドレスAに向けたパケット通信
ングの際にフックを首にかけなければならない。ジーエ
ヌリサウンドの2.4GHzワイヤレス技術は、中継器を使
リサウンド・アレラ
エアリンク™
用せずに約3メートルの範囲までメモリスティックに似
た小型USBデバイスから補聴器に直接伝送する機能を
USB接続
備えている。このUSBデバイスはエアリンク と呼ば
アドレスAの補聴器は
データを受け取り実行
アドレスBの補聴器は
データを無視
れ、補聴器装用者は補聴器以外の機器を装着する必要
がないので直接接続のニーズも達成された。
Aventa 3
干渉の無い安定した接続
図5 ワイヤレスプログラミングインターフェイスは個々の補聴器と固
聴覚専門家が持つその他のニーズとしては、安定した接
有の接続を確立することが可能であり、工場出荷時に各補聴器に割り
続の確立と維持である。従来の補聴器フィッティングで
当てられた固有アドレスを使用することで、個々の補聴器と確実に
データを交換する。補聴器は自分宛でないデータも受信するがその
は、
ハイプロまたは専用インターフェイスなどのプログラ
場合はデータを無視する。
ミング機器を介して補聴器とコンピュータがワイヤー接
される。
フィッティングソフトウェアが発見のプロセスを開
始すると、
ワイヤレスプログラミング機器はこの情報を受
参考文献
け取り、
コミュニケーション可能な機器のアドレスを学習
Groth J, Anthonsen A. 2010. Fewer wires, less
する。図6に示すように、発見されたすべての補聴器が
complexity and more connections: The new
フィッティングソフトウェアに表示されるので、聴覚専門
challenge for wireless hearing instruments.
家はフィッティングのために左右の耳に適切な補聴器を
Hearing Review, 17(6), 28-36.
割り当てることが出来る。補聴器装用者がフィッティング
用に1~2台の機器を選択すると、固有の接続が確立され
Reeves B, Voelker D. 1993. Effects of
フィッティングを開始することができる。
audio-video asynchrony on viewers' memory,
evaluation of content, and detection ability.
結論
Stanford University: Research report prepared
ジーエヌリサウンドが開発した2.4GHzベースのワイヤレ
for Pixel Instruments.
この
スシステムは、業界初の優れた技術的達成である。
方式の選択は、補聴器装用者の優先的ニーズの体系的
続されるため、ケーブルに送られたデータが、1)ケーブ
ここで新たな問題が発生する。
ワイヤレスのプログラミ
な分析、ニーズを満たす解決策に関する慎重な考察、潜
ルから目指す補聴器に到達し、2)データが送られるたび
ングインターフェイス
(エアリンク )は、
どうやって伝送
在的な技術的解決に関する厳密な研究のたまものであ
に同じ機器に伝達されることが推測出来る。当たり前に
すべき補聴器のアドレスを認識するのだろうか。すべて
る。本論文は補聴器装用者のニーズの定義に加え、補聴
思えるかもしれないが、
この推測はワイヤレスフィッティ
のアドレスが固有である
(40億通りを超えるアドレスが存
器装用者のニーズがワイヤレス補聴器システムの設計
6
7
FILE NAME WP9_ワイヤレス技術P6_7_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
4
聴覚専門家(フィッター)のニーズに応える
ングには当てはまらない。
ワイヤレスのプログラミングイ
補聴器のフィッティングを行う聴覚専門家の主なニーズ
ンターフェイスからフィッティングに関する情報(例:利得
は、実際のフィッティングプロセスに関連したものであ
の設定)のデータパケットが送信されると、近くの補聴器
る。ほぼすべての補聴器メーカーの製品は、標準的なプ
全てがこのデータを受信する。
ログラミングインターフェイス
(ハイプロ・スピードリンク
などを指す)
と互換性を持つが、聴覚専門家は過去20年
すべての補聴器がデータを受信するため、受信された
近く、煩雑なフィッティングケーブルやコネクタと格闘し
データのフィルタリングが必要である。
この点を解決す
なければならなかった。初の「ワイヤレス」
プログラミング
るため、
ジーエヌリサウンドのすべてのワイヤレス製品に
インターフェイスは業界標準のノアリンクであるが、
これ
は、工場出荷時に認識番号(固有アドレス)が割り当てら
はパソコンとプログラミングインターフェイスの間だけ
れている。識別子はデータパケットの送り先に関する情
がワイヤレスであり、
プログラミングケーブル、
プログラ
報と合致しなければならず、合致しなければこのパケット
ミングシュー、
プログラミングピルは依然として必要であ
は該当する補聴器に属さないものとして拒否される。
る。NFMIベースのワイヤレス補聴器も、
ワイヤレスプロ
グラミングを特長としているがノアリンクと同様、
このタ
このようなアドレス方式を使用することで、正しいアドレ
イプの補聴器もブルートゥース 経由でパソコンと通信
スをもつ補聴器のみがそのアドレス宛てのデータを受信
するための装着式の中継器が必要である。NFMIの利点
するので、
ワイヤレスプログラミング機器と補聴器の間
図6 「発見」のプロセスの間、
ワイヤレスプログラミング機器は受信範囲内にあるすべての補聴器を検索し、画面に
は、装着式のプログラミングインターフェイスと補聴器を
に固有の接続が確立される。その結果、複数のエアリン
表示する。聴覚専門家が装用者の左右の耳に適切な補聴器を選択すると割り当てが行われ、接続が確立される。
接続する物理的なコネクタが不要なことである。
これは
ク が同時にアクティブになっている店舗や施設でも、確
正しい方向に一歩踏み出したとは言えるが、依然として
実に目的の補聴器をフィッティングすることが可能であ
在しうる)場合、近くの機器を発見するためのメカニズム
に与える影響について考察した。補聴器装用者の主な
中継器を装着しなければならないという点でNFMIは補
る。図5に示すように、
「アドレスAの補聴器」
と
「アドレスB
が必要だ。
このため、ひとつのアドレスが選択されて「発
ニーズは、優れた音質で外部音源に安定した接続が出来
聴器装用者のニーズを完全に満たしていない。例えば
の補聴器」が同じパケットを受信した場合でも、そのパ
見」のプロセスに使用される。補聴器のスイッチを入れた
る補聴器主体のシンプルなシステムであった。現在のと
ある製 品では、大きなメダ ル のようなノアリンクと、
ケットを処理するのは
「アドレスAの補聴器」
だけである。
最初の2分間、補聴器から
「私が必要ならばアドレスXで
ころ、2.4GHzワイヤレス技術は補聴器装用者のニーズ
見つかりますよ」
という短いデータが共通アドレスに送信
を満たすための最も適切な解決策といえる。
NFMIベースの通信用の誘導コイルを収納した物々しい
フックが組み合わされている。補聴器装用者はフィッティ
アドレスAに向けたパケット通信
ングの際にフックを首にかけなければならない。ジーエ
ヌリサウンドの2.4GHzワイヤレス技術は、中継器を使
リサウンド・アレラ
エアリンク™
用せずに約3メートルの範囲までメモリスティックに似
た小型USBデバイスから補聴器に直接伝送する機能を
USB接続
備えている。このUSBデバイスはエアリンク と呼ば
アドレスAの補聴器は
データを受け取り実行
アドレスBの補聴器は
データを無視
れ、補聴器装用者は補聴器以外の機器を装着する必要
がないので直接接続のニーズも達成された。
Aventa 3
干渉の無い安定した接続
図5 ワイヤレスプログラミングインターフェイスは個々の補聴器と固
聴覚専門家が持つその他のニーズとしては、安定した接
有の接続を確立することが可能であり、工場出荷時に各補聴器に割り
続の確立と維持である。従来の補聴器フィッティングで
当てられた固有アドレスを使用することで、個々の補聴器と確実に
データを交換する。補聴器は自分宛でないデータも受信するがその
は、
ハイプロまたは専用インターフェイスなどのプログラ
場合はデータを無視する。
ミング機器を介して補聴器とコンピュータがワイヤー接
される。
フィッティングソフトウェアが発見のプロセスを開
始すると、
ワイヤレスプログラミング機器はこの情報を受
参考文献
け取り、
コミュニケーション可能な機器のアドレスを学習
Groth J, Anthonsen A. 2010. Fewer wires, less
する。図6に示すように、発見されたすべての補聴器が
complexity and more connections: The new
フィッティングソフトウェアに表示されるので、聴覚専門
challenge for wireless hearing instruments.
家はフィッティングのために左右の耳に適切な補聴器を
Hearing Review, 17(6), 28-36.
割り当てることが出来る。補聴器装用者がフィッティング
用に1~2台の機器を選択すると、固有の接続が確立され
Reeves B, Voelker D. 1993. Effects of
フィッティングを開始することができる。
audio-video asynchrony on viewers' memory,
evaluation of content, and detection ability.
結論
Stanford University: Research report prepared
ジーエヌリサウンドが開発した2.4GHzベースのワイヤレ
for Pixel Instruments.
この
スシステムは、業界初の優れた技術的達成である。
方式の選択は、補聴器装用者の優先的ニーズの体系的
続されるため、ケーブルに送られたデータが、1)ケーブ
ここで新たな問題が発生する。
ワイヤレスのプログラミ
な分析、ニーズを満たす解決策に関する慎重な考察、潜
ルから目指す補聴器に到達し、2)データが送られるたび
ングインターフェイス
(エアリンク )は、
どうやって伝送
在的な技術的解決に関する厳密な研究のたまものであ
に同じ機器に伝達されることが推測出来る。当たり前に
すべき補聴器のアドレスを認識するのだろうか。すべて
る。本論文は補聴器装用者のニーズの定義に加え、補聴
思えるかもしれないが、
この推測はワイヤレスフィッティ
のアドレスが固有である
(40億通りを超えるアドレスが存
器装用者のニーズがワイヤレス補聴器システムの設計
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FILE NAME WP9_ワイヤレス技術h1_4_4_入稿_110617.eps
DATE 2011.06.17 SIZE A3(W420×H297) PRE No.
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補聴器装用者の要望に応えるために
必要なワイヤレス技術とは
ジェニファー・グロス、
ブライアン・ペデルセン
要約
現代社会においてワイヤレスの技術は広く普及しているだけでなく、
ワイヤレス技術には実に多くのタイ
プや方式が採用されている。本論文では、補聴器に利用される複数のワイヤレス技術を要約するととも
に、
ジーエヌリサウンドが2.4GHzワイヤレス技術を基にして独自のシステムを選択した論理的根拠を述べ
る。広範囲の市場調査の結果から、2.4GHzワイヤレス技術を用いることで補聴器装用者のニーズをより
満たせることが分かった。補聴器装用者が現行のワイヤレス技術に求める改善要求として、
「テレビを視聴
する際に発生する音声と映像のずれの問題」をはじめ、
「音声が二重に聞こえてしまうエコー問題」や「専用
の中継器を身に付けなければならない問題」、
さらには「複数のテレビやオーディオ機器に接続できる機能
の実現」などが挙げられる。このように補聴器装用者のニーズに応えるには、中継器や首掛け式のアクセ
サリーを使用しない、補聴器主体のシステム設計が必要であった。2.4GHzワイヤレス技術は、テレビなど
の電子機器との安定した接続および優れた音質を特長としており、
ジーエヌリサウンドのユナイト™ワイヤ
レスシステムを設計する上で欠かせない選択肢となった。
ジーエヌリサウンドジャパン株式会社
〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-3 MMパークビル8F
0120-921-310
www.gnresound.jp/
MKD0434 AL11 1106A-1106600
「ワイヤレス」
という用語は、導電体(ワイヤー)
を使用せ
が、使用目的に合わせて適した方式を選択する必要があ
ずに多種多様な目的のために情報を伝送する様々な技
る。特に補聴器の場合はその方式による差が顕著であ
術に適用される。長い間、補聴器はテレコイルとFMシス
る。補聴器に最も適したデジタルワイヤレス技術を選択
テムというアナログのワイヤレス技術を使用してきた。こ
する際、補聴器装用者のニーズに対してその機器に技術
の技術は特定の状況下では信号対雑音比
(SN比)
を大幅
的な問題が無いかを慎重に検討することが重要である。
に改善するため、補聴器装用者に恩恵をもたらすことが
例えばBluetooth(ブルートゥース )は携帯電話をはじ
できる。最近になり、左右の補聴器間で情報を交換した
めとする情報伝達に用いられ、数多くの機器に対応して
り、テレビや電話などの別の音源から音声信号を受信し
いるデジタルワイヤレス技術の規格である。このことか
たりすることを目的に、
デジタルワイヤレス技術を応用し
らブルートゥース が補聴器に最適だろうと推測する人が
た補聴器が登場した。デジタル補聴器はデジタルワイヤ
いるかもしれない。
しかしながら、
ブルートゥース は音声
レス技術を用いることにより、
アナログタイプよりも信号
信号を遅延させるので、
すべての状況下において装用者
処理の可能性が広がる。一般にデジタルワイヤレス技術
のニーズを満たすことが出来ないばかりか、電力消費量
はアナログ方式よりもSN比が向上するとともに、電波に
が極めて多いため、補聴器での使用はあまり現実的で
よる干渉を受けにくいので通信が安定する。このように、
はない。
補聴器に搭載されたデジタルワイヤレス技術は、従来の
ジーエヌリサウンドの補聴器に搭載されているデジタル
アナログワイヤレス方式のメリットをさらに拡張・拡大し
ワイヤレス技術は、2.4GHzのISM周波数帯(Industry
たものと言える。
Science Medical band)
を使用した独自のシステムで
「デジタルワイヤレス技術」は多種多様な通信に適用さ
ある。本論文は、補聴器装用者と聴覚専門家(フィッター)
れる用語である。さまざまなデジタルワイヤレス技術の
のニーズの分析、実行可能性、設計に基づいてジーエヌ
うち、特にどれが突出して優れているということはない
リサウンドがこの技術を選択した背景を考察する。
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