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実大火災実験を実施した木造3階建て学校の床衝撃音遮断性能(1)

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実大火災実験を実施した木造3階建て学校の床衝撃音遮断性能(1)
実大火災実験を実施した木造3階建て学校の床衝撃音遮断性能(1)
独立行政法人
建築研究所
環境研究グループ 主任研究員 平光厚雄
Ⅰ はじめに
平成22年に「公共建築物等における木
材の利用の促進に関する法律」の施行さ
れた。ストレスの緩和などの教育環境改
善の効果などから、学校施設については、
木造化への検討がなされることが多くなっ
ている。そこで、建築基準の規制見直しの
研究の一環として、1時間準耐火構造の
部材を用いて木造3階建て学校を建設し,
実大火災実験が行われた。
一方、木造建築物の床衝撃音遮断性能
は ンクリ ト構造と比較すると 般的
は、コンクリート構造と比較すると一般的
に低いため、木造建築物の増加により床
衝撃音が問題となると考えられる。そこで、
実大火災実験を実施した木造3階建て学
校を対象とした床衝撃音遮断性能の検証
を行った。
写真1 建物外観
W-1,W-2
音源室
J-1,J-2,J-3
音源室
W-3
音源室
Ⅱ 建物・床断面仕様概要
建物は、1フロアーが50m×16mの大き
さの3階建て(延べ床面積:約2,260m2)で
あった。左から2スパンは枠組壁工法、そ
の他は軸組工法の2種類の工法を採用し
た。
図1 建物平面図(上:3階、下:2階)
J-1
軸組工法の床断面仕
様は、J-3は構造用合
板の上にALC版を載せ
た構造、J-2はJ-3の床
上に乾式二重床構造
J-2
を設置したもの、J-1は
J-2の小梁間に天井を
設置したものとした。
枠組壁工法の床断面
仕様は、平行弦トラス
J-3
の床根太をもち、W-1
床根太をも
は独立天井、W-2はW1の床上に乾式二重床
構造を設置したもの、
W-3は直張天井とした。
図2 床断面詳細図 (左:軸組工法 右:枠組壁工法)
W-1,W-2
受音室
J-1,J-2,J-3
受音室
W-3
受音室
W-1
用
せっこうボード(t=12.5)
構造 合板(t=24)
版用
乾式二重床構造
ALC (t=75)
構造 合板(t=28)
乙梁 90x90@1000
甲
平行弦トラス(2枚合せ)
H900@455
吊木受:I形ジョイスト302
(2枚合せ)@910
小梁
220x350@1000
小梁 220x350@1000
せっこうボード(t=12.5)
ロックウール化粧吸音板(t=9)
ロックウール(t=55)
野縁202@455(格子)
せっこうボード
せっこうホ
ト
(t=12.5×2)
大梁
220x650
W-2
乾式二重床構造
乾式二重床構造
用
版用
せっこうボード(t=12.5)
構造 合板(t=24)
甲
ALC (t=75)
構造 合板(t=28)
乙梁 90x90@1000
平行弦トラス(2枚合せ)
H900@455
小梁
220x350@1000
小梁 220x350@1000
吊木受:I形ジョイスト302
(2枚合せ)@910
大梁
220x650
版用
W 3
W-3
ALC (t=75)
構造 合板(t=28)
乙梁 90x90@1000
用
せっこうボード(t=12.5)
構造 合板(t=24)
甲
小梁 220x350@1000
ロックウール(t=55)
野縁202@455(格子)
せっこうボード
(t=12.5×2)
小梁
220x350@1000
平行弦トラス(2枚合せ)
H900@455
大梁
220x650
野縁202@455(格子)
せっこうボード
(t=12.5×2)
実大火災実験を実施した木造3階建て学校の床衝撃音遮断性能(2)
建築研究所
独立行政法人
環境研究グループ 主任研究員 平光厚雄
Ⅲ 床衝撃音遮断性能測定結果
軸組工法では、Lr数でみると天井がない場合のJ-2の方が天井を有するJ-1より重量床
衝撃音遮断性能が高い結果となった。軽量床衝撃音遮断性能では、乾式二重床構造や
天井の設置により、性能向上がみられた。乾式二重床構造と小梁間への天井の設置によ
り、重量床衝撃音でLr-65、軽量床衝撃音でLr-55の性能となった。
枠組壁 法では、独立天井と乾式 重床構造を設置したW 2、独立天井のW 1、直張
枠組壁工法では、独立天井と乾式二重床構造を設置したW-2、独立天井のW-1、直張
天井のW-3の順番に性能が高くなった。試験床W-2では,重量床衝撃音でLr-55、軽量床
衝撃音でLr-50と非常に高い性能が得られた。
100
100
タイヤ衝撃源
90
90
Lr-60
Lr-55
50
Lr-50
Lr-45
40
30
Lr-65
Lr-60
Lr-55
50
Lr-50
Lr-45
40
性:53.7dB)
性:62.6dB)
性:92.7dB)
63
125 250 500 1000 2000 4000
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
Lr-50
Lr-45
40
-●- W‐1 (Lr数:62、A
-■- W‐2 (Lr数:56、A
-▲- W‐3 (Lr数:71、A
63
125 250 500 1000 2000 4000
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
図3 床衝撃音レベル測定結果 (軸組工法)
Lr-65
Lr-60
Lr-55
50
Lr-50
Lr-45
40
20
性:61.9dB)
性:55.6dB)
性:71.2dB)
0
31.5
Lr-70
60
30
10
0
31.5
Lr-75
-●- W‐1 (Lr数:68、A
-■- W‐2 (Lr数:52、A
-▲- W‐3 (Lr数:84、A
10
特特 特
-●- J‐1 (Lr数:54、A
-■- J‐2 (Lr数:61、A
-▲- J‐3 (Lr数:92、A
10
0
Lr-55
50
特特 特
10
Lr-60
20
20
性:62.8dB)
性:62.6dB)
性:69.2dB)
特特 特
-●- J‐1 (Lr数:66、A
-■- J‐2 (Lr数:63、A
-▲- J‐3 (Lr数:69、A
特特 特
20
Lr-65
60
30
30
70
Lr-70
Lr-70
60
Lr-85
Lr-80
Lr-75
70
床衝撃音レベル [dB]
Lr-65
床衝撃音レベル [dB]
床衝撃音レベル [dB]
Lr-70
80
Lr-80
Lr-75
70
Lr-90
Lr-85
80
Lr-80
Lr-75
60
Lr-90
Lr-85
80
Lr-80
70
90
Lr-90
Lr-85
タッピングマシン
90
Lr-90
80
100
タッピングマシン
タイヤ衝撃源
床衝撃音レベル [dB]
100
性:68.2dB)
性:51.1dB)
性:83.2dB)
0
31.5
63
125 250 500 1000 2000 4000
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
31.5
63
125 250 500 1000 2000 4000
オクターブバンド中心周波数 [Hz]
図4 床衝撃音レベル測定結果 (枠組壁工法)
Ⅳ 床衝撃音遮断性能の評価
日本建築学会編「建築物の遮音性能基準と設計指針(第二版)」と「日本建築学会環境
基準 AIJES-S-001-2008 学校施設の音環境保全規準・設計指針」 による評価を行った。
学校施設の音環境保全規準・設計指針
表1 床衝撃音レベルに関する適用等級 (抜粋)
表3 床衝撃音遮断性能推奨値
部位
衝撃源
界
学校
普通教室 教室間 床
重量衝撃源
軽量衝撃源
適 等級
級
1級
2級
影響を受ける室
生
室 途
特
用
物
建築
用
建築物の遮音性能基準と設計指針(第二版)
3級
L-50 L-55 L-60 L-65
衝撃を発
する室
軽量衝撃が主となる室(一般教室、音楽室など)
軽量衝撃と重量衝撃の両方が含まれる室
(技術工作室、厨房)
表2 床衝撃音遮断性能評価結果
重量衝撃源
軽量衝撃源
W-1
2級
-
W-2
1級
B:静かな
W-3
-
-
J-1
3級
1級
J-2
3級
2級
J-3
-
-
50
55
45
-
40
態が望ましい室(教室、工作室、職員室等)
表4 床衝撃音遮断性能評価結果
生
級
B
A:静かな 態が必要とされる室(音楽室、講堂、保健室等)
特
床断面
状 状
重量衝撃が主となる室(体育館、室内プール)
A
衝撃を発
影響を受ける室
する室
軽量衝撃が主となる室(一般教室、音楽室など)
軽量衝撃と重量衝撃の両方が含まれる室
(技術工作室、厨房)
重量衝撃が主となる室(体育館、室内プール)
A
W-2
-
B
W-2、J-1
W-2(ゴムボール衝撃源のみ)、
軽量は該当なし
該当なし
謝辞 本研究は国土交通省「木造建築基準の高度化推進事業」(研究代表者:長谷見雄二)のもと、(独)建築研究所と国土交通省国土技術政策総合研究所との共同研究の一環と
して行われたものです。ここに記して、関係各位に謝意を表します。
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