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機能性蛋白質β-コングリシニンに富む大豆「ななほまれ」
機能性蛋白質β-コングリシニンに富む大豆「ななほまれ」 1 育成機関 2 特性の概要 中信農業試験場 ○「ななほまれ」は、貯蔵蛋白質の主要成分である11 S 蛋白質(グリシニン)を欠 失した国内初の実用系統です。 ○通常品種に比べて7 S 蛋白質(β-コングリシニン)を多く含み、イソフラボン含量 も高い機能性大豆です。7 S 蛋白質には、血液中の中性脂肪低下、体脂肪率低下効果 が確認されています。 ○成熟期が「ナカセンナリ」よりやや晩熟の晩生種で、収量と品質は「ナカセンナリ」並 です。 ○「ナカセンナリ」に比べダイズシストセンチュウ抵抗性は劣りますが、紫斑病とうどん こ病には抵抗性があります。 ○機能性食品原料として利用できますが、11 S 蛋白質が無く低蛋白質のため、従来の 製造方法では豆腐の凝固性が劣ります。 3 普及の見込みおよび適地 機能性食品原料として需要のある民間企業との契約栽培を通じて、大豆生産者の経営 安定化が促進できます。 県内の「ナカセンナリ」栽培地帯、県外の「タマホマレ」栽培地帯への普及が見込まれ る。 4 写真 子実の形態(標播栽培) 草本の形態(標播栽培) 「ななほまれ」(左)は、 「ナカセンナリ」(右)に に比べると短茎 「ななほまれ」(左)は「ナカセンナリ」 並の中粒種。 「ななほまれ」は11S蛋白質欠失という特性をもつ国内初の大豆系統で、機能性蛋白質として注目さ れる7S成分を多く含んでいます。また、11S成分を欠失するため7S成分の分離が容易で生産コスト の削減という優位性もあり、機能性食品の新たな原料として期待されています。 【対象品種との比較】 項 目 ななほまれ ナカセンナリ タマホマレ 備 考 6月1日/10月24日 6月1日/10月19日 6月1日/10月27日 平成15~19年の平均 播種期/成熟期 早晩性 晩 晩の早 晩 39.6kg/a(104) 37.9kg/a(100) 39.0kg/a(103) 平成15~19年の平均 百粒重 29.7g 30.8g 34.7g 平成15~19年の平均 品 質 中中 中中 中上 平成15~19年の平均 蛋白質含量 40.6% 43.1% 41.5% 平成15~19年の平均 α,α,’β (全保有) α,α,’β (全保有) α,α,’β (全保有) 全欠失 (Ⅰ,Ⅱa,Ⅱb欠) Ⅰ,Ⅱb保有 Ⅰ,Ⅱb保有 7S成分含有量(標準対比) 153 - 100 ダイズモザイク病抵抗性 中 中 中 ダイズシストセンチュウ抵抗性 弱 中 弱 うどんこ病抵抗性 強 弱 強 収量(標準対比) 蛋白質組成 7S成分 11S成分 注1) 「ななほまれ」は11S蛋白質を欠失した国内初の系統。 2) 7S蛋白質の機能性として、血中中性脂質低減効果や体脂肪率低下効果が臨 床試験で実証されている。 サブユニット(群) 7S 1 2 3 α’ α β Ⅱb(酸 性) 11S Ⅱa(酸 性) Ⅰ (酸 性) Ⅱa(塩基性) Ⅰ (塩基性) Ⅱb(塩基性) 図 「ななほまれ」の蛋白質サブユニット構成図 注) 11S全保有型(フクユタカ等、レーン1)、全欠失型 の「ななほまれ」(レーン2)およびⅡa欠失型(ナカ センナリ、タマホマレ等、レーン3)の蛋白質電気 泳動パターンを模式図で示した.