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処分場概念に基づく設計・安全評価の 知識ベース化の検討 仕様書

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処分場概念に基づく設計・安全評価の 知識ベース化の検討 仕様書
処分場概念に基づく設計・安全評価の
知識ベース化の検討
仕様書
2016年 12月
原子力発電環境整備機構
1. 委託件名
処分場概念に基づく設計・安全評価の知識ベース化の検討
2. 委託業務の内容
2.1 背景・目的
わが国の地層処分場候補地においては多様な地質環境条件が想定され,これらに対して地層
処分システムの安全機能を確保し得るような,サイトを特定しない一般的な処分場概念が既往
の研究開発によって提示されている。今後,機構の行う事業においては,こうした一般的な処
分場概念に加えて,サイト固有の地質環境の特徴を考慮し適切な対策を講ずることによってよ
りサイトへの適合性の高いものへと個別最適化(カスタマイズ)することが,最善の技術の適
用という観点だけでなく種々のステークホルダの合意形成という観点からも重要である。また,
このようなサイトスペシフィックな処分場概念を具体化する作業は,文献調査以降の調査によ
って当該地点の地質環境条件を把握する作業と並行して相互に連携しつつ遅滞なく進める必
要があることから,候補地の特定に先立って十分な準備を行っておくことが重要である。
本業務は,今後機構の行う地質環境条件に適合した処分場概念を選定し,具体的な設計・安
全評価作業を円滑かつ効率的に進めていくための体系的なシステムを構築する上で必要とな
る国内外における広範な技術情報を収集し,体系的に整理・分析することを目的として実施す
る。
2.2 委託業務の項目
① 処分場概念オプションカタログおよび関連する情報の拡充
② 既往の処分場概念と対応するセーフティケースの比較に関する情報収集・分析
③ 地質環境の特徴に応じた処分場概念の個別化に係る判断の基準やルールに関する情報
収集・分析
3. 委託業務の概要
3.1 処分場概念オプションカタログおよび関連する情報の拡充
これまで機構が整備した高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物地層処分のための処分場
概念オプションカタログに対して,オプションの追加・詳細化を行うとともに,オプションの
評価に資する情報の収集・整理を設計因子(閉鎖後安全性,操業安全性,工学的成立性/品質
保証,工学的信頼性,サイト調査とモニタリング,回収可能性,環境影響,社会的側面)を念
頭に行うことによって更なる拡充を図る。
3.1.1 処分場概念オプションの拡充
以下の観点から,国内外の情報を収集・分析し,処分場概念のオプションを設定しカタログ
を拡充する。なお,情報の収集・分析においては,地層処分以外の先進的な分野(例えば,CCS
など)も対象とする。
x
TRU廃棄物処分場の閉じ込め性能の強化(I129の閉じ込め性能の強化,廃棄体に含有する
硝酸塩影響の低減など)
1
x
回収可能性の向上
x
事業実施段階での自然環境への影響
3.1.2 閉鎖後長期の安全性の観点からのオプションの評価に資する情報の収集・整理
TRU廃棄物処分場の閉じ込め性能を強化した概念(2種類以上)について,3次元の物質移
行解析に基づく核種移行解析を行い,閉じ込め性能を評価する。なお,3次元の物質移行解析
には,解析コードPartridgeまたはこれと同等の機能を持つものを用いることとする。なお,
Partridgeと同等の機能を持つものとは,以下の要件を満足するものとする。ただし,Partridge
以外の解析コードを使用する場合は,Partridgeによる物質移行解析との比較・検証を実施する
ものとし,その解析条件は機構と協議の上決定する。
z
亀裂頻度,亀裂透水量係数分布,走行分布の統計量を用い,縦,横,および厚さそ
れぞれ100m以上の空間領域で3次元に分布した亀裂の作成ができること
z
亀裂以外の母岩部の透水性が考慮できること
z
DFNまたは等価多孔質媒体近似で地下水流動解析の実施が可能なこと
z
地下水流動解析結果に基づき,DFNおよびDFNと多孔質媒体のハイブリットモデル
による物質移行解析が可能なこと。物質移行解析においては,母岩マトリクスへの
拡散(マトリクス拡散)を考慮可能であること
z
人工バリアおよび掘削影響領域(EDZ)の領域,坑道について,設計条件に合わせ
た,詳細なモデル化が可能であること
3.1.3 社会的要請面からのオプション評価に資する情報の収集・整理
地層処分事業の実施段階(調査・建設・操業および閉鎖)において,社会的要請面から様々
なオプションの実施が想定される。その中で,回収可能性に関するオプション,自然環境への
影響に配慮したオプションを対象として,事業への影響を評価するために必要となる情報を整
備する。
上記2つのオプションケースの検討に際し,レファレンスケース(地質環境やスケジュール
などの前提条件)を設定する。レファレンスケースに関する情報は,機構より提示する。
レファレンスケースの設定後,以下の手順で,影響を評価するための準備作業を実施する。
z
オプションケースの実施において変更となる項目(数量や時期を含む)を抽出する。
項目のレベルについては,機構と協議の上,設定する。
z
変更となる項目について,その要因を分析し,影響を及ぼすパラメータおよび影響
因子を抽出する。パラメータは定量的に数値化できるものであり,定量化できない
項目(例えば,材料の仕様や種類,施工の方式など)は,影響因子として抽出する。
2
z
抽出された要因に基づき,その影響度の示し方を設定する。影響度の示し方は,リ
スクマネジメント手法を用いた評価事例などを参考とするが,ここでは発生確率の
設定は実施しない。
z
抽出された要因,影響度の示し方に基づき,必要とすべき事例等の情報を収集・整
理する。
3.2 既往の処分場概念と対応するセーフティケースの比較に関する情報収集・分析
既往の処分場概念については,それぞれ,設計および定量的な安全評価を含む一貫した検討
が行われ,その成果がセーフティケースとして取りまとめられている。国外における事例はわ
が国とは異なる自然・社会条件に即して実施されたものであるが,それぞれの条件に基づく安
全確保戦略から出発してどのような判断プロセスやデータ・手法の適用を経て具体的な処分場
概念に至り,それらに対する安全評価解析の結果が得られ,セーフティケースとして取りまと
められたかという個々の段階を整理することによって,わが国における今後の検討において参
照すべき内容が含まれている。本項目では,各国の事例における種々の判断プロセスを分析し,
わが国において参考とすべき情報の抽出を行い相互比較のための材料を整理する。特に,類似
した地質環境への異なる工学的対応(例:不均質な割れ目ネットワーク内の地下水流動が卓越
する亀裂状岩盤サイトでの長寿命高耐食性容器の採用事例(スウェーデンやフィンランドの銅
製容器等)と多様な分野で使用実績のある鉄製容器を採用した事例(スイスや日本など))に
着目して,安全確保戦略,シナリオ,安全評価モデルやデータセット,安全評価結果やその妥
当性を示す論拠といったセーフティケースの主要な構成要素について比較を行い,処分場概念
オプションの選択等を行う際の留意点等の有用な知見の抽出・整理を行う。なお,上記の詳細
な情報を含む国外の技術報告書は各事業者等の母国語(スウェーデン語,独語,仏語等)のみ
が入手可能な場合が多く,これらの翻訳も必要に応じて実施する。
3.3
地質環境の特徴に応じた処分場概念の個別化に係る判断の基準やルールに関する情報収
集・分析
3.1で実施する情報の拡充と並行して,これらを実際の設計プロセスで活用して行くためのノ
ウハウにあたる知識・情報(下記の例参照)を知識マネジメントの観点から収集・整理すると
ともにその成果を知識ベース(ルールベース等)として体系化する。
① 候補地点における地質環境条件等の与条件および安全確保戦略等の上位の方針に即して
適用性のある処分場概念オプションを選定する際の判断基準等
② 候補地点における具体的な地質環境の特徴(現在の地理・地形および将来の海水準変動
や隆起・侵食によって生ずる変化の予想,断層や破砕帯等の力学的弱部/高透水性構造
の分布,割れ目の統計的特性(頻度,方向,透水性等)
,地下水流動状況,等々)に対応
して処分場深度,坑道レイアウト,坑道形状,人工バリア仕様等の具体的な仕様を設定
する際の設計上の判断基準等
③ 上記①および②の検討を経て具体化される複数の処分場概念オプション間の比較を安全
3
性や施工性あるいは長期安全性等の個別の属性について行う手法およびこれらを属性間
の重みを考慮しつつ総合的に比較する際の判断基準等
上述したノウハウにあたる知識・情報の収集および知識ベースとしての体系化は,機構内の
担当者および国外の同様の経験を有する専門家に対して知識工学分野の技術者がヒアリング
を行うことによって進める。また,とりまとめ方法に関しては地層処分分野等のKMS開発の事
例(JAEA-KMS等)を参考にしつつ行う。
4. 報告書の作成
3. 1,3. 2,および3. 3の成果を報告書としてまとめる。
5. 実施期間
契約締結日 ~ 2017年 3月22日
6. 委託者側実施責任者
原子力発電環境整備機構 技術部長 出口 朗
〔担当箇所:技術部 性能評価技術グループ〕
7. 実施場所
受託者にて適切な実施施設を準備して使用する。
8. 提出書類等
提出書類等一覧表
提出書類等
提出期限
提出先
提出部数
備考
実施計画書注1)
契約締結後速やかに
技術部
1部
印刷物
委託成果報告書
2017年 3月22日
技術部
1部
印刷物
各報告書の電子
ファイル
2017年 3月22日
技術部
1式
マイクロソフトWord形式お
よ び PDF 形 式 で CD ま た は
DVDに保存して提出
数値解析モデル
および入出力デ
ータ
2017年 3月22日
技術部
1式
入出力ファイルは,EXCEL
またはTEXT形式とする。
注1)実施計画書は,仕様書に記載された委託業務の範囲を実行するうえで,具体的な計画,
実施工程,実施体制(再委託を含む)
,品質保証計画等を記載したものとする。
なお,実施計画書は,企画書に記載された内容を反映して作成するものとする。
委託成果報告書は,機構の「業務委託および役務調達における技術報告書作成マニュ
アル」に準拠して作成するものとする。
4
9. 特記事項
① 本仕様書に記載されている事項および本仕様書に記載のない事項について疑義が生じ
た場合には,機構と協議のうえ,その決定に従うものとする。
② 機構が既に行った調査資料で,本業務に必要なものは随時提供する。
③ 納入日より1年以内に受注者の責任に帰すべき瑕疵および不都合が発見された場合に
は,無償にて速やかに必要な措置を講じること。
以上
5
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