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IV. 今後の方向性 - 大田区ホームページ

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IV. 今後の方向性 - 大田区ホームページ
IV.今後の方向性
1 調査結果のまとめ
1-1.視点1:基礎技術集積の受発注構造について
1.基盤技術集積の
受発注構造
■工場数の減少によるフルセット型の工業集積、受注機会への影響
■工場数の減少や物流の発展等による受発注取引の広域化の実態
<調査を通じて確認されたポイント>
【区内事業所の概要】
○大田区では、「一般機械」と「金属製品」などを中心に機械・金属加工系の事業所が多く
8 割超を占める。事業所の従業者規模をみると、「3 人以下」が半数程度を占めており、
これに「4~9 人」を加えた「9 人以下」のシェアは 8 割弱(事業所ベース)に達する。
○多品種少量生産を手掛ける事業所が多く、「切削、レーザー・放電加工(30.9%)」や
「研削・研磨(20.8%)」などをはじめ、多様なものづくり技術が区内に集積している。
【受注形態】
○受注形態をみると、下請型加工・生産を主体とする事業所が 7 割強を占める一方で、自社
製品の開発・設計等を主体とする事業所が、ファブレス型企業を含めて 15%程度存在する。
○下請型加工・生産が 100%を占める事業所は小規模・零細企業の割合が高く、地元・近隣
エリアからの受注が中心で、特定の受注先への依存度が高い。また、売上高や従業者数、
設備投資が最近減少している事業所が多く、今後の展望としても減少基調の見方が強い。
○これに対して、自社製品の開発指向が強い事業所では、多様な受注先と広域的な取引を行
っている傾向がうかがえるほか、今後の事業展開に対しても積極的な意向が強い。
【区内の受発注取引のネットワーク:水平的な連携ネットワークの存在】
○区内事業者間の取引状況をみると、従業者数が少ない企業や下請型加工・生産を主体とす
る事業所では受注・外注とも区内取引が密に行われており、従来からの大田区ものづくり
産業の強みである「仲間回し」的なネットワークの存在が改めて確認された。
○また、大田区で現在操業することの利点については、従業者規模が小さい企業ほど、「材
料・工具等を入手しやすい」「他社との連携が図りやすい」「相談できる仲間企業が多い」
等を高く評価しており、水平的な連携ネットワークの存在が区内の小規模・零細事業者や
下請事業者にとって大きなメリットとなっている。
【区内の受発注取引のネットワーク:区内事業者間のネットワークの弱体化に対する懸念】
○区内での取引自体は減少傾向にある。区内からの受注額及び区内への外注額の過去 3 年間
における推移をみると、いずれも「減少基調」が「増加基調」を大きく上回っており、小
規模・零細事業者や下請型加工・生産を主体とする事業者ではその傾向が強い。
○同業種・関連業種の集積メリットとしては、下請型加工・生産を主体とする事業所を中心
に、受注能力を超える場合や得意分野に応じて仕事を互いに融通できる点などが高く評価
されているものの、7 割弱に及ぶ事業所が外注先の転廃業・移転が進んでいると感じてお
り、従業者規模が小さい企業や外注比率が高い事業所ほど、そのような認識が強い。
○以上の点から、大田区の強みである中小企業間の取引ネットワークが近年弱まっていること
が懸念され、今後、こうしたネットワークの維持・活性化が重要になってくる。
219
1-2.視点2:事業承継、技術継承について
2.事業承継、技術
継承
■技術や受注があるが、事業承継ができないために撤退・廃業している可能性
■高度技能者の高齢化等による受注確保への影響
<調査を通じて確認されたポイント>
【事業継続】
○現在の事業所を「現状のまま継続」したい事業所が 8 割を超える一方、「廃止」「縮小」
「移転」を考えている事業所が合計 1 割強存在している。
○事業所の「廃止」意向は、従業者 3 人以下の小規模事業者、設備の老朽化や陳腐化が進み、
事業推進上かなり問題がある事業所において比較的多くみられる。
○移転・新設の理由として、「施設拡張が困難」「適切な用地・施設の確保が困難」といっ
た区内でのスペース確保の難しさ、住工混在による操業環境の問題が挙げられている。
【区内立地のデメリット】
○大田区で操業することの問題について、「特にない」とする事業所が最も多く 3 割強を占
める。
○これに対し、「受注先の減少」「外注先の減少」といった取引ネットワークの弱体化を立
地上の課題とみなす事業所がそれぞれ 2 割超となっている。また、「住工混在で創業しに
くい」「立地コストが高い」等、宅地化の進展に伴う操業環境の悪化を指摘する事業所も
2 割弱みられる。
【高齢化への対応】
○従業者の退職や高齢化が技術・技能の継承に及ぼす影響について、区内でも危機感が高ま
っている(既に影響が出ている:約 2 割、今後影響が出てくる:約 4 割)。
○特に、現事業所の廃止や縮小を考えている事業者では「影響が既に生じている」との見方
が 4 割弱と、事業所の建替・拡張や現状のままでの継続などを考えている事業者に比べて
割合が高くなっており、技術・技能を継承できないことが廃業や事業縮小の要因にもなっ
ていると推測される。
○従業者の退職や高齢化による影響があるとした事業所のうち約 4 割が、高齢化等への対応
として「自社内で若手従業者を育成して技術・技能を継承する」こととしている。一方、
約 35%の事業所が「対策はない」としており、なかでも、従業者 3 人以下の事業者や「下
請型(全て下請型加工・生産)」タイプでは、こうした厳しい見方をする事業所が多い。
○区内の製造業事業者の 6 割強が事業の継承者を「決めていない」としており、従業者規模
が小さいほど、事業の継承者を決めていない事業者の割合が高くなる。また、継承者を決
めていない事業者の約 4 割が、「継ぐ意志のある子息・親族がいない」ことを、その理由
に挙げている。
○区内事業所を対象としたヒアリングでは、ものづくりに興味・関心を抱く若手を区内外か
ら幅広く集め、区内事業者と連携し、技能修得を目的とした長期インターンシップなどの
プログラムを通じて、地域で人材を育てていくための仕組みの必要性が指摘されている。
220
1-3.視点3:研究開発型(ファブレス型を含む)企業について
3.研究開発型
(ファブレス型
を含む)の企業
■区内ものづくり企業の技術力、ネットワークを活用した研究開発型企業の
立地の動向
<調査を通じて確認されたポイント>
【区内における開発・設計系の事業所の割合】
○区内では下請型の加工・生産を主体とする事業所が大半を占めるなか、自社製品・他社製
品を問わず、何らかの「開発・設計系業務」を手がけている事業所が約 3 割を占めている。
特に、業種別では「電気機械」などにおいて、開発・設計系の事業所が多くみられる。
○企業あるいは事業所の従業者規模が大きいほど、また、事業所の開設時期が新しいほど、
開発・設計志向の事業所の構成比が高くなる傾向がある。
○これら事業所は、首都圏外など、広域的なエリアから受注する傾向が相対的に強い。加え
て、今後の事業展開についても、下請型加工・生産や設計を含む加工・生産を主体とする
事業所に比べ拡大志向が強いことから、今後、区内ものづくり産業の発展・成長の一翼を
担っていく「コネクターハブ企業」としての役割が期待される。
【ファブレス型の事業所の実態】
○区内には、少品種・少量で付加価値の高い製品の開発・設計業務に特化し、他社に対する
優位性を発揮する事業者がみられる。区内の製造業事業所のうち、自社製品の開発等を主
体とする事業所は約 15%を占める。
○自事業所では開発・設計を主とし、製造の過半を外部に委託する「ファブレス型自社製品
開発等が主体」の事業所は、全体の 3.4%を占めている。
【開発・設計を手掛ける事業所が抱える課題】
○試作品開発を手掛ける区内事業所のなかには、研究開発型の企業だけでなく、これまで受
注してきた量産業務が減少したことにより、試作品開発も受注するようになった事業所も
みられる。こうした事業所からは、量産に比べ試作品開発を手掛けることの効率の悪さに
対する指摘があるとともに、分野によっては試作品開発の受注単価が低下している実態も
ある。そのため、必ずしも全ての区内事業所にとって、試作品開発を手掛けるようになる
ことが、経営上望ましい状態であるとはいえない点には留意が必要である。
○開発・設計系の業務を手がけているものの、そのウエイトが低い事業所では、「対象分野
の市場性・成長性の見極めが困難」や「資金調達が困難」を課題として挙げる割合が相対
的に高く、参入市場の見極めと資金確保が重要なポイントとなっている。
○開発・設計系業務の割合の上昇とともに、「製品企画力、商品企画力が不足」の割合が高
まる傾向があり、開発・設計系業務の実績を一定程度有する事業所では、新規製品・商品
に対する企画・提案力の強化が求められている。
221
1-4.視点4:区内企業のマーケットについて
4.区内企業の
マーケット
■医療・介護、環境・エネルギー、航空・宇宙分野等の新たなマーケットへの
進出意向、実態に関する動向
<調査を通じて確認されたポイント>
【販路開拓に対する意向、営業方針】
○区内の製造業事業者では、「新たな販路・受注先の開拓」や「優秀な人材の確保」に関し
て、今後取り組みたいと考えている事業所の割合が、現在取り組んでいる事業所の割合を
大きく上回っており、今後の新規開拓、人材確保に対する積極性をうかがうことができる。
○既存分野での新規顧客開拓に関する意向を持つ事業所が全体の約 1/4、また、異業種や新
事業分野への積極的な開拓意向を示す事業所も 1 割弱を占めており、約 1/3 の事業所が
既存取組の事業分野もしくは異業種等での新規顧客開拓に関心を持っている。
○企業の従業者規模が大きくなるほど、あるいは、事業所の開設時期が新しい事業所や、近年
売上高が増加基調の事業所ほど、新規顧客の開拓に積極的である。また、受注形態別にみる
と、ファブレス型を含む自社製品を開発する事業所だけでなく、下請型の加工・生産を主体
とする事業所等においても、新規顧客の開拓に対する積極的な取組意向がうかがえる。
【新規分野の開拓】
○新規開拓先の関心分野として、従来から手掛けている「製造装置・産業機械」を挙げる事
業所が多い。これに対して、「医療・介護」「環境・エネルギー」「航空宇宙」といった、
いわゆる成長分野には、異業種からの関心が多く寄せられている。
○新規分野の開拓理由として、「既存の技術・ノウハウを活かせる」ことを挙げる事業所が
突出して多く約 8 割を占める。特に、企業の従業者規模が大きくなるほど、
「既存の技術・
ノウハウを活かせる」ことや「既存の営業・販売ルートを活かせる」ことを、新規分野の
開拓・参入の理由に挙げる事業所が多い。この点には、現在保有する技術やネットワーク
をベースに新規顧客を開拓する傾向をうかがうことができる。
○一方、新規事業展開にあたり、情報収集力や分野の市場性・成長性の見極めの難しさ、製
品開発力や商品企画力の不足、営業人材の確保などがネックになっている。
【海外事業展開】
○約 85%の製造業事業所が、現在も今後も海外における事業展開の意向はないとしている。
その理由として、過半の事業所が「国内需要を重視している」ことを挙げている。
○これに対して、従業者規模が大きいほど、あるいは開設時期が新しいほど、そして、自社
製品の開発型事業所ほど、海外事業展開に積極的である傾向がみられる。
【他の企業・団体との事業連携】
○他の企業・団体と連携した事業活動について、「活動を行ったことはなく、今後も予定は
ない」とする事業所が、全体の約 85%を占めている。
○企業の従業者規模が大きいほど他機関との事業連携の実績は高い。また、開設年次別にみ
ると、平成 17 年以降に開設された事業所では、それ以前に開設された事業所に比べ、今
後の事業連携に対する意向を有する事業所が比較的多い。
222
1-5.視点5:区外企業の進出、区内創業について
5.区外企業の進出、
区内創業
■区外からの企業移転、進出の意向・実態
■区内での創業の実態
<調査を通じて確認されたポイント>
【近年の区内進出事業者の特徴】
○平成 17 年以降の直近約 10 年間に開設された事業所の約 15%が支所・支社・支店であ
り、それ以前に開設された事業所に比べ高い割合となっている。このことから、平成 17
年以降に開設された事業所は、比較的規模の大きな企業のブランチ的な役割を担う拠点が
多いことがうかがえる。
○受注形態別にみると、平成 17 年以降に開設された事業所では、「下請型」の事業所の構
成比はやや低い。一方、「ファブレス型」や「自社製品開発型」の事業所が若干多くみら
れる点に特徴があり、それ以前に開設された事業所に比べ、開発・設計志向が強い傾向が
ある。
○平成 17 年以降に開設された事業所は、営業利益率が比較的高く、売上高の推移も増加基
調あるいは横ばいとする事業所が多い。また、こうした業績等の影響を受け、新たな販路・
受発注先の開拓にも積極的な事業所が多くみられる。
【大田区への進出意向】
○全国のものづくり系企業約 3,000 社を対象に実施したアンケート調査の結果、約 3 割の
企業が大田区の立地環境に関する印象や評価として「空港が近い」ことを挙げている。次
いで「高度な基盤技術を持つ企業が集積している」ことを挙げる企業が多く、交通アクセ
スやものづくりの集積基盤に対する評価が確認された。
○今後、大田区内に工場や研究開発拠点を新設・移設することについて、「前向きに検討し
たい」「条件が整えば検討したい」とする意向を 16 社から得た。
○大田区への進出意向とは別に、73 社から「大田区を含む、京浜臨海部における受注先の
開拓を行いたい」、37 社から「大田区を含む、京浜臨海部における外注先の開拓を行い
たい」との回答を得た。
【大田区での創業意向】
○1 都 3 県に立地する公的・民間のインキュベーション施設を対象としたアンケート調査の
結果、ものづくり系企業では、インキュベーション施設の卒業後の次の入居・立地施設の
選定条件として、「低廉な賃料」や「賃貸スペースのバリエーションが豊富」であること、
さらには取引先との関係や従業者の通勤を念頭に「道路交通、鉄道・バス等のアクセスが
便利」が重視される傾向にあることが把握された。
○1 都 3 県に立地する公的・民間のインキュベーション施設のうち 18 機関から、施設を卒
業する企業の次の転出先として、「大田区が有力な候補になる」との意向を得た。
○ヒアリング調査の結果、区外のインキュベーション施設の入居企業の転出先の検討におい
ては、「立地(交通アクセス)」「広さ」「家賃」が重視され、特に、「広さ」の面では
60~100 ㎡程度の規模を求める企業が多いとの示唆を得た。
223
1-6.ものづくりを支える関連産業(非製造業)について
<調査を通じて確認されたポイント>
【製造業との取引実態】
○区内のものづくり関連産業の事業所では、製造業を相手とする取引が比較的多く、なかで
も「京浜地域」や「北関東・甲信地域」に立地する製造業と取引を行う事業所は、それぞ
れ 4 割強を占めている。また、大田区内の製造業事業所との取引があるものづくり関連産
業の事業所は、全体の約 1/4 となっている。
○業種区分別にみると、金属材料や機械器具等を扱う「卸売業」では、商品・サービスの主
たる取引先として区内製造業を挙げる事業所が多い。また、「機械等修理業」では、6 割
強の事業所が京浜地域に立地する製造業事業者と取引を行っている。このように区内もの
づくり関連産業の事業所には、大田区や近隣地域に立地する製造業との受発注取引を通じ
た密接な関係をうかがうことができる。
○約 4 割の区内ものづくり関連産業の事業所では、近年の売上は「ほぼ横ばい」となってい
るが、その一方で、3 割強の事業所で売上が「縮小」している。また、対製造業の売上の
推移についても、同様に 3 割強の事業所が「ほぼ横ばい」としているが、「縮小」基調に
ある事業所も 1/4 程度見受けられる。
○区内ものづくり関連産業の事業所の売上の変化の理由として、約 6 割が「既存の販売先へ
の売上の減少」を挙げている。区内ものづくり関連産業の事業所における対製造業の売上
が一定程度を占めていることを踏まえると、区内をはじめとした製造業事業所の縮小・廃
業の影響が関連産業にも波及しているものと推察される。
【ものづくり関連産業における研究開発】
○自社製品の研究開発、企画・設計を行う区内ものづくり関連産業の事業者が約 15%を占
めるほか、他社製品の企画・設計等を行う事業者も 5%程度みられる。
○製品の企画・設計等を行う事業者の約 3 割が、生産の全てを他社に委託している。また、
委託先地域として「関東・東北以外のその他国内」を挙げる事業者が 3 割を占める一方、
大田区内の外注先に委託をしている事業者も約 15%みられる。
○業種区分別には、「情報通信サービス」「学術研究・技術サービス」を中心に、製品の研
究開発、企画・設計を手掛ける事業者が多い。特に、「学術研究・技術サービス」では、
該当事業者の半数が生産の全てを他社に委託しており特徴的であるが、その生産委託先は
広域化している。
【区内に立地するものづくり関連産業との連携可能性】
○区内で物流業を営む事業者のなかには、製造業との長年の取引の結果、梱包等に関する特
化したノウハウを有する事業者がみられる。こうした事業者が有する個別具体のノウハウ
を活かし、区内の関連事業者とのマッチング、相談事業を実施することで、区内事業者の
サービス等の質の向上、付加価値の向上を図ることも考えられる。
○区内に立地する情報通信サービス業のなかには、ものづくり現場で活用可能な
CAD/CAM ソフトウェアの開発等を手掛ける事業者もみられる。そのため、生産現場の
設備等の高度化に向けた導入支援や、新たな製品開発に向けたマッチング等を行うことも
考えられる。
224
2 区内ものづくり産業等の課題・意向への対応策
本調査を通じて把握した区内ものづくり等の「現況や課題」と「今後の支援の方向性」と
の関係を整理したものが以下の図表である。
図表 IV-1 区内ものづくり産業等の現況と今後の方向性との関係性
視 点
視点1.
基盤技術集積の
受発注構造
視点2.
事業承継、技術
継承
視点3.
研究開発型
(ファブレス型を
含む)企業
視点4.
区内企業の
マーケット
調査を通じて把握されたポイント
○小規模・零細事業者や下請事業者を中心に区内取引が密に行われて
おり、得意分野に応じて仕事を互いに融通できるなど、事業者に
とっては企業間の水平的な連携ネットワークの存在が大きなメリッ
トとなっている。
○一方、区内事業者間の取引自体は減少傾向にあり、大半の事業者が
外注先の転廃業・移転が進んでいると感じている。大田区のものづ
くり産業の強みである「仲間回し」的なネットワークの弱体化が懸
念されている。
○現事業所の廃止、縮小、移転のいずれかを考えている事業所が1割
強を占めている。
○なかでも、移転を考えている事業所からは、操業上の問題点として、
立地コストの高さや住工混在により操業しにくいことなどが指摘さ
れており、これら要因が工場の区外流出につながっていると考えら
れる。
○技術・技能の継承に関して従業者の退職や高齢化の「影響が既に生
じている」、あるいは「今後影響が出る」と危機感を感じている製
造業事業者が約6割を占める。
○特に、現事業所の廃止や縮小を考えている事業者では、「影響が既
に生じている」との見方が強く、技術・技能を継承できないことが
廃業や事業縮小の要因にもなっていると推測される。
○区内では、下請型の加工・生産を主体とする事業所が大半を占める
なか、自社製品・他社製品を問わず何らかの「開発・設計系業務」
を手掛ける事業所が約3割存在している。
○これら事業所は、首都圏外など、広域的なエリアから仕事を獲得し
ており、今後の事業展開に対しても拡大志向が強い。今後、区内も
のづくり産業の発展・成長の一翼を担っていく「コネクターハブ企
業」としての役割が期待される。
○区内の製造業事業者にとって、新たな販路・受注先の開拓は、今後
取り組むべき重要な事業戦略の一つとなっており、約1/3の事業者
が既存の技術やノウハウ等をベースに新規顧客を開拓したいとの意
向を持っている。
○これらのなかには、自社製品の開発・設計等を主に手掛ける事業者
のみならず、下請型の加工・生産を主体とする事業者も含まれてお
り、新規分野開拓の担い手は多岐にわたる。
○ターゲット分野としては、「医療・介護」「環境・エネルギー」
「航空宇宙」といった成長分野に対して異業種から高い関心が寄せ
られている。
○ただし、具体的な取り組みに向けて、情報収集力の不足をはじめ、
企画・開発力の不足、参入市場の見極め、営業人材の確保などが
ネックになっている。
○平成17年以降に区内に新規開設された事業所は、開発・設計志向
が強く、また、新たな販路・受発注先の開拓にも積極的な事業所が
多い。
視点5.
区外企業の進出、
区内創業
○高い技術力を有する国内のものづくり企業のうち、大田区への新規
立地意向を有する企業、受発注取引を望む企業が一定数把握された。
区内への工場等の新設・移設に関し、16社から検討の意向を得た。
○1都3県に立地する公的・民間のインキュベーション施設のうち、
18機関から、施設の卒業企業の次の転出先の候補となりうるとの
意向を得た。
ものづくりを
支える関連産業
(非製造業)
○区内のものづくり関連産業の事業所では、製造業を相手とする取引
が比較的多い。また、金属材料や機械器具等を扱う「卸売業」を中
心に、区内に立地する製造業との取引がみられる。ただし、約6割
の事業者では「既存の取引先への売上が減少」している。
○情報通信サービス分野、学術研究・技術サービス分野を中心に、研
究開発、企画・設計を手掛ける事業者がやや多い。なかでも、学術
研究・技術サービス分野では、生産を他社に委託する事業者が多い
が、その相手先は広域化している。
225
1)未然に「廃業」を防ぐための対策
2)未然に「区外移転」を防ぐための
対策
今
後
3)廃業、移転後の工場に対する対策
の
方
向
4)顧客企業、外注・協力先等との
マッチングに関する方策
性
5)新規創業、新規立地に関する方策
6)新規分野への参入、受注開拓に
向けた方策
2-1.未然に「廃業」を防ぐための対策
※●印:短期的に実施することが望ましい施策 ○印:実施に向け中長期的に導入検討を行うことが望ましい施策。
※「区」:大田区及び公益財団法人大田区産業振興協会を指す。
<技能継承、人材確保:次世代への技能の継承>
*地域単位あるいは事業者グループによる「技能継承」「若手人材の確保」の取組の実施、
支援
●高齢等の理由により廃業する事業者が有する優れた技術・技能を区内で継承(地域単
位で継承)していくため、区は「大田の工匠」や「大田の工匠による技術指導・相談
事業」を拡充し、廃業事業者に勤めていた高度技能者を認定・登録する。また、技術
者派遣、技能講習会等を通じて、区は新たに登録した高度技能者と区内事業所とのマ
ッチングを積極的に行う。
○ものづくりに関心のある若手人材に対する技術習得の機会を提供するため、数週間~
数ヶ月を単位とするインターンシップ(派遣期間後、派遣先の社員となることもでき
る「紹介予定派遣」制度を活用する場合には最長 6 ヶ月。)、あるいは 3~5 年後
の独立を前提とした就労形態を受け入れる区内の製造業事業所を区は抽出・登録し、
若手人材とのマッチングを行う。
○高等専門学校(高専)や工業系の高等学校・大学等の区内外の教育機関と連携し、区
は区内事業者がものづくりに関心のある若手人材を広域から確保することを目的と
した就職マッチングセミナー等の開催支援(教育機関や区内事業者間の連携調整、広
報等を通じた支援)を行う。
○上記の若手人材を対象とした技能習得プログラム(インターンシップ等)を通じて、
一定程度の技術を身につけた若手ものづくり人材の独立・創業支援を後押しするた
め、区内で廃業・移転した事業所の工場施設、設備等を取得し、居抜きでの利活用を
想定した新たな小規模産業支援施設や、事業者が時間単位で利用可能な共同作業スペ
ースを整備する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体となって取り
組む。
*各社組織内の「技能継承」「若手人材の確保」の取組を促進するための支援
●従業者の高齢化に備えた区内事業者の技能継承、若手人材の確保を促すため、区は一
定の取組を通じて成果を挙げている事業者の認定などを通じ、取り組み事例を区内事
業者に広く周知する。また、区は区内事業者の先駆的な取組事例を調査・収集し、区
内事業者の参考となる事例集(ベストプラクティス)を作成する。
○区内企業に勤める従業者(職人)が独立する際の区による支援措置を、一般の創業支
援よりも手厚くすることにより、「暖簾わけ」を促すことを目的とした支援策を導入
する。
<事業承継:他社への事業の承継、技能の継承>
*M&A などを通じた廃業予定事業者の業務の内製化に対する支援
○廃業を予定している区内の小規模な製造業事業者の意向について、区は同事業者と取
引関係を有する区内事業者等を通じて積極的に情報収集する。また、廃業予定の区内
の製造業事業者と取引関係にある区内事業者が、業務施設・設備、熟練工等の受け入
れや自社従業者への計画的な技能継承を希望する場合、区はこれらの事業承継・技能
継承に係る一部費用を助成し、区内における技術・技能の継承(地域単位で継承)を
促進する。
226
2-2.未然に「区外移転」を防ぐための対策
※●印:短期的に実施することが望ましい施策 ○印:実施に向け中長期的に導入検討を行うことが望ましい施策。
※「区」:大田区及び公益財団法人大田区産業振興協会を指す。
<操業環境の改善:近隣住民の理解の獲得>
*近隣住民との対話・協調による操業環境の確保・改善
●自社工場周辺の環境整備活動の重要性に関する区内事業者の意識啓発を図るため、区
は一定の取組を通じて成果を挙げている事業者の認定などを通じ、取り組み事例を区
内事業者に広く周知する。また、区は区内事業者の先駆的な取組事例を調査・収集し、
区内事業者の参考となる事例集(ベストプラクティス)を作成する。
○住工混在地域を中心に、近隣住民に対し各事業者による騒音対策等の環境整備の取組
状況を説明し、ものづくりに対する住民の理解を得るため、区は地区単位で区内の製
造業事業者と近隣住民との対話の場・機会(例:懇話会)を設置し、住工混在のなか
での工場継続立地の支援を行う。
<区内工業専用地域等における立地支援:住工混在による操業環境の問題の改善>
*島部及び内陸の工業専用地域における工業用地の確保、区内移転の促進
●区内製造業が抱える住工混在に起因する操業環境の問題を改善するため、引き続き防
振、防音、防臭対策の支援を行うとともに、それでも困難な場合は、民間企業等との
連携により、工業専用地域などで移転用地となりうる事業用地を活用して、区内内陸
部等に立地する製造業事業者の移転を図っていく。
○比較的規模が大きい工場が立地する工業専用地域においては、廃業・移転跡地を既存
工場の建て替えや拡張のための種地として確保し、工場の機能更新の促進、または新
規立地等に活用する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的に取り
組む。
○住工混在地域において、街区単位に製造業事業所が一定数立地している場合、街区の
再開発の一環として、事業所の廃業・移転跡地を活用し、街区内工場の再配置や集約
を促していく民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的に取り組む。
<区内事業者との受発注取引の促進:区内立地のメリットの拡大>
*区内事業者との連携強化、マッチング支援
○区内事業者の廃業等により新たな外注先・協力会社の開拓・育成が必要となっている
区内事業者に対し、区は新たな外注先・協力会社の開拓に係る一部費用を助成する。
また、廃業・移転事業者と同等以上の技術・技能を有する区内事業者とのマッチング
を支援する。
○区内事業者との取引関係の希薄化が事業者の区外移転(流出)の一因となっているこ
とから、区は展示会・商談会を通じて区内の関連事業者との取引の一層の促進を図る。
また、区内の関連事業者との共同受注・共同発注等の仕組みの構築に向け、区は事業
者間の連携支援を行う。
<区内創業支援施設等の入居企業の卒業後の立地支援:創業後の立地継続>
*卒業後の新たな入居先施設等の整備、区内における新たな入居先の紹介・あっ旋
●区は、区内の空き工場、空き事務所等に関する情報を不動産事業者等から収集すると
ともに、物件の所在調査などを通じ、創業支援施設等を卒業する事業者に対し新たな
入居施設の紹介を行う。
○区創業支援施設等に入居している企業の契約期間後の区内立地を促進するため、施設
を卒業する事業者が次に入居する施設として、民間のインキュベーション施設等を活
227
用し、その運営を支援することでミドルステージ以降の入居につなげていく。
○廃業・移転した事業所の工場施設、設備等を工場アパートや小規模産業支援施設、事
業者が時間単位で利用可能な共同作業スペース、創業支援施設の卒業企業の立地施設
等として、整備し活用する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的
に取り組む。
<区内での持続的操業支援:区内立地の継続>
*各種支援事業による継続立地の促進
●区は、区内外注率が高い事業者等を中心に、継続的に立地上の課題などのヒアリング
を実施し、各種支援事業を通じて継続立地を促す。
228
2-3.廃業、移転後の工場に対する対策
※●印:短期的に実施することが望ましい施策 ○印:実施に向け中長期的に導入検討を行うことが望ましい施策。
※「区」:大田区及び公益財団法人大田区産業振興協会を指す。
<事業承継:他社への事業の承継、技能の継承>
*M&A などを通じた廃業予定事業者の業務の内製化に対する支援
○廃業を予定している区内の小規模な製造業事業者の意向について、区は同事業者と取
引関係を有する区内事業者等を通じて積極的に情報収集する。また、廃業予定の区内
の製造業事業者と取引関係にある区内事業者が、業務施設・設備、熟練工等の受け入
れや自社従業者への計画的な技能継承を希望する場合、区はこれらの事業承継・技能
継承に係る一部費用を助成し、区内における技術・技能の継承(地域単位で継承)を
促進する。(再掲)
○区内で廃業した製造業事業者の業務施設・設備の受け入れを希望する主体を、区は周
辺街区に立地する事業者等のなかから募集し、両者の調整を支援する。また、区は区
内工業団体等を通じて、廃業事業者の人員等を含めた受け入れ・M&A を希望する区
内事業者を募集し、両者の調整を支援する。
<区内工業用地の維持・確保:工場跡地等の工業系再活用>
*廃業・移転事業者の工業用地の活用
○比較的規模が大きい工場が立地する工業専用地域においては、廃業・移転跡地を既存
工場の建て替えや拡張のための種地として確保し、工場の機能更新の促進、または新
規立地等に活用する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的に取り
組む。(再掲)
○住工混在地域において、街区単位に製造業事業所が一定数立地している場合、街区の
再開発の一環として、事業所の廃業・移転跡地を活用し、街区内工場の再配置や集約
を促していく民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的に取り組む。
(再掲)
<廃業・移転後の工場施設等の利用:工業用地・施設の利用>
*廃業・移転事業者の施設、設備等の活用
○廃業・移転した事業所の工場施設、設備等を工場アパートや小規模産業支援施設、事
業者が時間単位で利用可能な共同作業スペース、創業支援施設の卒業企業の立地施設
等として、整備し活用する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的
に取り組む。(再掲)
229
2-4.顧客企業、外注・協力先等とのマッチングに関する方策
※●印:短期的に実施することが望ましい施策 ○印:実施に向け中長期的に導入検討を行うことが望ましい施策。
※「区」:大田区及び公益財団法人大田区産業振興協会を指す。
<区内事業者との受発注取引の促進:区内立地のメリットの拡大>
*区内事業者との連携強化、マッチング支援
○区内事業者との取引関係の希薄化が事業者の区外移転(流出)の一因となっているこ
とから、区は展示会・商談会を通じて区内の関連事業者との取引の一層の促進を図る。
また、区内の関連事業者との共同受注・共同発注等の仕組みの構築に向け、区は事業
者間の連携支援を行う。(再掲)
<外注先・協力先とのマッチング:外注先の減少による事業縮小の防止、外注先の開拓支援>
*新たな外注先の開拓・育成に向けた支援
○区内事業者の廃業等により新たな外注先・協力会社の開拓・育成が必要となっている
区内事業者に対し、区は新たな外注先・協力会社の開拓に係る一部費用を助成する。
また、廃業・移転事業者と同等以上の技術・技能を有する区内事業者とのマッチング
を支援する。(再掲)
*少量、試作品の一部作業に関する外注先とのマッチング支援
●既存業務で逼迫している下請型事業者の場合、これまで取引関係のない事業者からの
少量発注や、量産が確約されていない試作品の少量生産等の依頼の受諾には消極的で
あることが多い。そのため、特に、区内で創業したばかりの製造業事業者や新規立地
事業者を対象に、少量発注を引き受ける意思のある技術力に優れた区内事業者とのマ
ッチングを支援する。
<製造業以外の業種との連携促進:ものづくりを支える産業との連携促進・すそ野の拡大>
*情報通信サービス分野:新製品の開発、新分野の開拓等に向けた事業者間の連携促進
○従業者の高齢化に伴う生産現場の効率化や、新分野の受注開拓に向けたものづくりの
生産現場の設備等の高度化を図るため、区は区内の製造業事業者と例えば、生産管理
システムや CAD/CAM 等を手掛ける区内のものづくり関連産業(特に情報通信サー
ビス分野)の事業者との連携を促進する。
○医療分野では、区内でも製造業事業者だけでなく、3D プリンタの開発・販売等を手
掛けるものづくり関連産業(特に情報通信サービス分野)の事業者にも、同様に新規
分野開拓の意向が見受けられる。そのため、医療分野を中心に、区内製造業事業者と
の協働による新たな製品開発を促すため、区は製造業とものづくり関連産業の事業者
による研究開発等の共同事業に対し、費用の助成を行う(研究開発を中心とした事業
計画に対する助成制度)。
*物流分野:区内製造業向けの物流事業者による配送システムの構築、マッチング支援
○区内の製造業事業者のなかには、広範なエリアに下請等のネットワークを抱えている
ものもおり、こうした事業者のなかには物流事業者との連携ができないまま、部材や
製品等の物流を自社で内製化している事例もある。そのため、区は製造業事業者を対
象とした効率的な物流システムの構築を支援するため、物流センターの検討など、区
内の物流事業者とのマッチングを行う。
○区内のものづくり関連産業(特に物流業)の事業者のなかには、製造業に特化した質
の高い貨物輸送を行う事業者もみられる。こうした先駆的な事業者が有するノウハウ
等を活かし、区内の製造業事業者の付加価値の向上、区内物流事業者のサービスの質
230
の向上を図るため、区は先駆的な取組を行う事業者の協力を得て、事業・サービスの
相談窓口を設置するとともに、区内工業団体等と連携し、ものづくり企業間及び事業
者間のマッチング機会を設ける。
<展示会・商談会のあり方の見直し:より効果的な展示会の開催>
*分野・テーマを限定した展示会・商談会の開催
●分野やテーマを限定した方が受発注に直結する展示会・商談会となることから、区は
期待する出展・来場者のターゲットを明確にし、分野・テーマをより限定した展示会・
商談会の開催を強化する。
●受発注取引の開拓に意欲的な来場者をより多く集めるため、区は出展企業の専門性や
得意技術を事前に明確化した上で、展示会・商談会を開催する。
231
2-5.新規創業、新規立地に関する方策
※●印:短期的に実施することが望ましい施策 ○印:実施に向け中長期的に導入検討を行うことが望ましい施策。
※「区」:大田区及び公益財団法人大田区産業振興協会を指す。
<新規創業、新規立地の促進>
*創業環境の拡充
●国や東京都の関連支援制度について助成申請を検討している事業者に対し、創業時に
必要な設備投資等を促し早期に事業を軌道にのせるため、区は相談窓口機能を強化
し、申請書の作成等に関するアドバイスを行う。
○区内で創業した事業者の試作品開発や少量生産を行うための作業場を確保するため、
区は区創業支援施設や産業支援施設のなかで、組立や一定の実験等が可能な共有の作
業スペースを整備する。
○ものづくり分野での創業を希望する主体を区内に呼び込み、区内のものづくり集積の
基盤の強化を図るため、創業支援施設の追加整備や、廃業した事業所の施設等、既存
施設の転用による創業事業者の入居施設の確保を進める民間事業を区は支援する。ま
た、必要に応じて区が主体的に取り組む。ものづくり分野の創業支援実績の高い民間
インキュベーション施設等を誘致し、その運営を支援する。
*新規立地の促進
●研究開発を行う事業者は、区内企業へ外注を行うなど区内経済への波及効果があるこ
とから、区は、区外の研究開発型事業者やメーカー等の研究開発部門などの誘致を強
化する。
●区は、ファブレス型開発事業者等を区内へ呼び込むため、民間オフィス等の情報収
集・提供を行うとともに、立地助成の活用等で誘致を促す。
<技能継承、人材確保:次世代への技能の継承>
*各社組織内の「技能継承」「若手人材の確保」の取組を促進するための支援
○区内企業に勤める従業者(職人)が独立する際の区による支援措置を、一般の創業支
援よりも手厚くすることにより、「暖簾わけ」を促すことを目的とした支援策を導入
する。(再掲)
*地域単位あるいは事業者グループによる「技能継承」「若手人材の確保」の取組の
実施、支援
○ものづくりに関心のある若手人材に対する技術習得の機会を提供するため、数週間~
数ヶ月を単位とするインターンシップ(派遣期間後、派遣先の社員となることもでき
る「紹介予定派遣」制度を活用する場合には最長 6 ヶ月。)、あるいは 3~5 年後の
独立を前提とした就労形態を受け入れる区内の製造業事業所を区は抽出・登録し、若
手人材とのマッチングを行う。(再掲)
○上記の若手人材を対象とした技能習得プログラム(インターンシップ等)を通じて、
一定程度の技術を身につけた若手ものづくり人材の独立・創業支援を後押しするた
め、区内で廃業・移転した事業所の工場施設、設備等を取得し、居抜きでの利活用を
想定した新たな小規模産業支援施設や、事業者が時間単位で利用可能な共同作業スペ
ースを整備する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体となって取り
組む。(再掲)
<外注先・協力先とのマッチング:外注先の開拓支援>
*少量、試作品の一部作業に関する外注先とのマッチング支援
●既存業務で逼迫している下請型事業者の場合、これまで取引関係のない事業者からの
232
少量発注や、量産が確約されていない試作品の少量生産等の依頼の受諾には消極的で
あることが多い。そのため、特に、区内で創業したばかりの製造業事業者や新規立地
事業者を対象に、少量発注を引き受ける意思のある技術力に優れた区内事業者とのマ
ッチングを支援する。(再掲)
<区内工業用地の維持・確保:新規創業・新規立地主体向けの用地確保>
*廃業・移転事業者の工業用地の活用
○比較的規模が大きい工場が立地する工業専用地域においては、廃業・移転跡地を既存
工場の建て替えや拡張のための種地として確保し、工場の機能更新の促進、または新
規立地等に活用する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的に取り
組む。(再掲)
○住工混在地域において、街区単位に製造業事業所が一定数立地している場合、街区の
再開発の一環として、事業所の廃業・移転跡地を活用し、街区内工場の再配置や集約
を促していく民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的に取り組む。
(再掲)
<廃業・移転後の工場施設等の利用:工業用地・施設の利用>
*廃業・移転事業者の施設、設備等の行政による利活用
○廃業・移転した事業所の工場施設、設備等を工場アパートや小規模産業支援施設、事
業者が時間単位で利用可能な共同作業スペース、創業支援施設の卒業企業の立地施設
等として、整備し活用する民間事業を区は支援する。また、必要に応じて区が主体的
に取り組む。(再掲)
<区内創業支援施設の入居企業の卒業後の立地支援:創業後の立地継続>
*卒業後の新たな入居先施設等の整備、区内における新たな入居先の紹介・あっ旋
●区は、区内の空き工場、空き事務所等に関する情報を不動産事業者等から収集すると
ともに、物件の所在調査などを通じ、創業支援施設等を卒業する事業者に対し新たな
入居施設の紹介を行う。(再掲)
○区創業支援施設等に入居している企業の契約期間後の区内立地を促進するため、施設
を卒業する事業者が次に入居する施設として、民間のインキュベーション施設等を活
用し、その運営を支援することでミドルステージ以降の入居につなげていく。
(再掲)
233
2-6.新規分野への参入、受注開拓に向けた方策
※●印:短期的に実施することが望ましい施策 ○印:実施に向け中長期的に導入検討を行うことが望ましい施策。
※「区」:大田区及び公益財団法人大田区産業振興協会を指す。
<新規分野への参入支援>
*新規分野の受注開拓に必要な連携体制、設備・要件等の確保に向けた支援
●航空・宇宙、医療分野などでは、既存の受注実績の有無が重視されるとともに、小規
模事業者が単独で業務を受注することが難しい場合がある。そのため、区は既にこれ
らの産業分野で受注実績を有する事業者と新規開拓を希望する一定の技術力を有す
る事業者とのマッチングを図り、企業グループとして、新分野の初期受注の開拓(共
同受注)に向けた連携を促す。
●航空・宇宙、医療分野などでは、ISO や JIS 等の認定取得が実質的な参入要件となっ
ている場合がある。区はこうした成長分野に対する事業者の事業参入・分野開拓を後
押しするため、認定・資格の取得に係る費用の一部助成などの支援を強化する。
●国や東京都の関連支援制度について助成申請を検討している事業者に対し、創業時に
必要な設備投資等を促し早期に事業を軌道にのせるため、区は相談窓口機能を強化
し、申請書の作成等に関するアドバイスを行う。(再掲)
<製造業以外の業種との連携促進:ものづくりを支える産業との連携促進・すそ野の拡大>
*情報通信サービス分野:新製品の開発、新分野の開拓等に向けた事業者間の連携促進
○医療分野では、区内でも製造業事業者だけでなく、3D プリンタの開発・販売等を手
掛けるものづくり関連産業(特に情報通信サービス分野)の事業者にも、同様に新規
分野開拓の意向が見受けられる。そのため、医療分野を中心に、区内製造業事業者と
の協働による新たな製品開発を促すため、区は製造業とものづくり関連産業の事業者
による研究開発等の共同事業に対し、費用の助成を行う(研究開発を中心とした事業
計画に対する助成制度)。(再掲)
<展示会・商談会のあり方の見直し:より効果的な展示会の開催>
*分野・テーマを限定した展示会・商談会の開催
●分野やテーマを限定した方が受発注に直結する展示会・商談会となることから、区は
期待する出展・来場者のターゲットを明確にし、分野・テーマをより限定した展示会・
商談会の開催を強化する。(再掲)
●受発注取引の開拓に意欲的な来場者をより多く集めるため、区は出展企業の専門性や
得意技術を事前に明確化した上で、展示会・商談会を開催する。(再掲)
<海外における事業拡大の支援>
*医療等を中心とした成長分野の海外需要の開拓に向けた支援
○医療分野など、海外市場が急拡大している分野では、海外需要を取り込み自社の成長
を企図する事業者も少なくない。一方、単独で海外に営業拠点を設けることが困難な
区内の製造業事業者は多いことから、区はこうした事業者の海外展開に関する意向を
集約し、複数の事業者が共同で海外に営業拠点を設けるための支援を行う。
234
平成 27 年 3 月
大田区ものづくり産業等実態調査 調査報告書
発
行
大田区産業経済部産業振興課
〒144-8621 東京都大田区蒲田五丁目 13 番 14 号
TEL: 03-5744-1376
FAX: 03-5744-1528
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