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dai 1 kai gijiroku

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dai 1 kai gijiroku
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
知花
開会いたします。委員の皆さまには、あり方検討委員会の委員を快くお引き受け
くださいまして、大変にありがとうございます。
また、本日第 1 回の委員会につきましても、ご多忙にもかかわらず、ご出席を賜
り重ねて御礼を申し上げます。
本日の、司会進行役を務めさせていただきます、あり方委員会事務局の知花と申
します。よろしくお願いいたします。
では、早速ではございますが、開会に先立ちまして渋田町長よりあいさつがあり
ます。
町長、よろしくお願いいたします。
渋田
厚沢部町長の渋田でございます。
厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会を東日本税理士法人代表社員、全日
本病院協会の参与であります長先生にご相談申し上げたころ、本日の開催となりま
した。
委員の皆さまがたには大変、ご多用の折、出席をいただきまして厚く感謝を申し
上げます。
ご案内のように、国では平成 19 年の 12 月に最初の公立病院改革ガイドラインを
全国に通知して公立病院改革プランの策定を求められております。公立病院を設置
する地方公共団体に対して数値目標を伴う経営効率化や病院経営形態の改変、民間
的経営手法の導入などを求めています。過疎地の不採算公立病院を運営する地方公
共団体としても、財政健全化が強く求められております。
地方公共団体が医療提供体制を維持するために、地方交付税によりまして支援さ
れてきたところでございます。しかし、公立病院をめぐる環境は依然として厳しい
状況にありまして、一般会計からの繰り入れを含めて赤字経営の状態から抜け出る
ことができない、非常事態と考えております。
特に、昨年 6 月地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係
法律の整備等に関する法律が成立したところでありまして、医療制度改革は新たな
局面を迎えております。
北海道庁は、地域医療構想調整会議を起こし、南檜山圏域の医療構想会議が 10 月
2 日に江差町で開催されております。将来における病院の病床機能について、医療事
情に対応した医療提供体制の在り方を分析して、病床機能を検討し、南檜山医事医
1
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(渋田)
療圏における医療構想の策定をすることとしております。
急激な人口減少と高齢者の増加、そして、これに対応する医療介護体制をどう構
築していくべきかという課題を最も緊急かつ重要でありまして、本日の病院の在り
方検討をお願いを申し上げるところであります。
委員の皆さま方には、大変遠路のところ、しかも、公私ともにご多用の折、出席
を願いましたこと重ねて心から感謝を申し上げまして、開会に当たってのあいさつ
とさせていただきます。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
知花
ありがとうございました。
それでは、本日、第 1 回の検討会議につきまして、出席委員 5 名とアドバイザー1
名のご紹介をさせていただきたいと思います。
お名前を呼ばれました委員の方は、その場でご起立いただければと思いますので
よろしくお願いいたします。
東日本税理士法人代表社員、全日本病院協会参与であります、長隆様。
長
長でございます。
知花
アドバイザーで北海道保健支部地域医療推進局長、荒田吉彦様。
荒田
荒田でございます。よろしくお願いいたします。
知花
厚生労働省地域医療再生基金に係る有識者会議副座長でございます、林謙治様。
林
林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
知花
北海道立江差病院事務長、野崎耕二様。
野崎
野崎でございます。よろしくお願いいたします。
知花
社会医療法人高橋病院理事長 高橋肇様。
高橋
高橋です。よろしくお願いします。
知花
社会医療法人財団せせらぎ会東栄町国民健康保険東栄病院理事長院長でありま
す、丹羽治男様。
丹羽
丹羽治男です。よろしくお願いします。
知花
本日は、以上 6 名で進めてまいりたいと思います。
まず初めに、委員長の選任のほうを行ってまいりたいと思います。
委員長の選任は委員の互選により決定することになっておりますので、自薦、他
薦ありましたらよろしくお願いいたします。
2
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
知花
林様。
林
全国の公立病院の改革にいろいろ尽力され、しかも豊富な経験をお持ちでいらっ
しゃいます長隆先生をご推薦申し上げたいと思います。
知花
ありがとうございます。
ただいま、長委員を委員長という声がございましたが、その他にありませんでし
ょうか。
ないようですので、長氏を委員長に決定でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、長隆様を委員長といたしまして、あり方委員
会を進めてまいりたいと思います。
病院の紹介を厚沢部国保病院事務長であります森理生様、概況説明をお願いいた
します。
森
国保病院の森です。本日はお忙しいところ、ご足労いただきましてありがとうご
ざいます。よろしくお願いいたします。
では、別紙の国保病院資料に基づきまして説明を差し上げたいと思います。
国保病院につきましては、構造、面積、築年数については記載のとおりでござい
ます。設備も記載のとおりでございます。
以下、診療報酬件数表 3 点における施設基準届け出についてです。
看護基準は、一般病棟が 15 対 1 入院基本料で病床数は 45 床となっております。
加算につきましては、看護配置加算と看護互助加算となっております。療養病棟
は特別に入院基本料で算定しております。病床数は 24 床となっております。
診療報酬関係につきましては、種別に記載しておりますとおり、入院時食事療養
費(1)を適応適用。マルチスライス CT。あと、救急病院告示を受けております。
他は、以下記載のとおりとなっておりますので、2 ページをご覧ください。
病院の施設の沿革です。本町の医療は開拓初期から長い間入院施設のない診療所
で住民医療を支えていました。
終戦後、
民生安定のため医療の充実が緊急の課題となったことから昭和 25 年 5 月、
木造平屋建て 23 床の病院を建設し、昭和 25 年 11 月、北海道農業協同組合連合会に
経営を全面委託し開設したのが本病院の始まりです。
その後、不採算経営の理由によりまして昭和 33 年 4 月から町直営病院となり、昭
和 40 年に新病棟、44 年に病床を増改築を行い病床数 77 床の施設となりました。昭
3
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(森)
和 62 年には全面改築を行い、現在の建物となっております。診療科は内科、外科の
診療でありました。平成 15 年 8 月医療法が改正に伴いまして、病床数を一般病床
53 床、療養型病床で 18 床の計 71 床へ変更。その後、平成 17 年 11 月には一般病棟
45 床、療養 24 床の計 69 床と、現在の病床数となっております。
入院基本料における看護体制は先ほど説明しましたとおり 15 対 1 で実施しており
ます。
また、平成 22 年 1 月から非常勤医師による、眼科診療が開始され、月 3 週程度、
火、水の週 2 日間実施し、現在は 3 課の外来診療体制となっております。
入院の稼働状況は、一般病床のみで稼働率は平成 24 年度で 36.7 パーセント、平
成 25 年度末で 44.2 パーセント、平成 26 年度末で 46.8 パーセント、平成 27 年 9 月
末で 51.4 パーセントと上昇傾向にありますが、国が示す 70 パーセントには達して
おりません。
続きまして、2 番目、厚沢部病院の役割と実現についてです。
当院は町内で唯一の医療機関として町民の健康を役割を担っています。特に、町
民も高齢化している中、函館方面に通院していた患者も年々通院が困難となってき
ております。町内での通院加療を望んで来院している実情にございます。
入院患者は 80 歳以上の高齢者が多く、特に脳疾患を発症し都市部で急性期治療を
終え、自宅や看護施設では対応できない患者が多い状況です。
1 次産業基盤としている本町においては地域病院としての役割は極めて重要であ
り、特に在宅療養の高齢者に対してはケアマネジャーとの連携による、住民への医
療、介護サービス活用の推進、北海道総合在宅ケア事業団による訪問看護ステーシ
ョン看護師や医師から訪問看護指示書の作成。さらには、医師、看護師長による家
族も含めてカンファレンスや入院相談を行うとともに、地域包括センターとの情報
共有を行い、住民が安心して暮らせるための保健医療福祉の連携に取り組んでいま
す。また、特養施設や有料老人ホームの入所者には回診や健康相談等の実施、救急
告示病院南檜山圏域の休日当番院制、医療機関としての参加。院長による町民への
地区懇談会の実施など、町内唯一の医療機関として、重要な役割を果たしています。
続きまして、病院診療所の広域的な連携の状況です。
自治体病院の再編においては 2 次医療機関である南檜山圏域、江差、上ノ国、厚
沢部、乙部町 4 町に奥尻町を含む 5 町の枠組みで示されていますが、この中で、公
4
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(森)
立の国保病院は厚沢部、乙部、奥尻の 3 町であり、これを再編した場合、本町には
民間病院もないことから唯一の医療施設が確保されない状況が想定されます。
現状は、急性期治療が必要な場合に置いては、2 次医療圏の機関病院である道立江
差病院を初めとする函館市近郊の病院に依存せざるを得ない状況であり、それらの
病院に治療入院後、一定期間を経て、さらに継続入院が必要な場合に当院の転院が
行われています。
また、特に高齢者の安静を要する治療や独居老人、老夫婦世帯では、退院後の福
祉支援も必要となり、療養に近い状態にある患者さんは、町内の入院施設での対応
が求められることから、家族を含め、安心できる医療体制の確保と夜間救急対応や
地域住民の健康管理面でも現状から低下しない体制が必要であります。
当院といたしましては、町内唯一の医療機関としてできる限りの初期治療を行い、
重篤な患者さんにつきましては、道立江差病院や函館市近郊の病院との連携を図り
ながら取り組んでいきます。
次に、職員体制です。そのまま、こちらについても、読み上げさせていただきま
す。
平成 27 年 11 月 1 日現在の状況です。医師 4 名。これは、常勤を含めての話です。
看護師 12 名、准看 7 名、補助看 7 名、薬剤師 1 名、薬剤助手 1 名、エックス線技師
1 名、検査技師 1 名、検査助手 1 名、管理栄養士 1 名、事務職 3 名、その他 2 名。
計 41 名で、職員区分の内訳は記載のとおりとなっております。
4 ページに入ります。
受診状況です。説明は 26 年度のみとさせていただきます。
外来受診状況、内科 7917 人、外科 3395 人、眼科 1105 人、計 1 万 2417 人です。
1 日平均受診者数は 62 人となっております。1 人当たり平均診療費は 5198 円です。
入院状況です。内科、5991 人、外科 1698 人、眼科 3 人、計 7692 人です。1 日平
均入院者数は 21.1 人。1 人当たり平均診療費は 1 万 6363 円となっております。
5 ページに入ります。
経営状況推移です。こちらも、説明は 26 年度のみとさせていただきます。
26 年度の収入です。医業収益、2 億 1168 万 3000 円。医療外収益は 2 億 5472 万
円、経常収益合計は 4 億 6640 万 3000 円です。
支出です。医業費用は 4 億 4932 万 5000 円。医業外費用は 1620 万 9000 円。経
5
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(森)
常費用合計は 4 億 6553 万 5000 円です。
経常損益は、86 万 8000 円であり、累積欠損金は 4 億 5662 万 8000 円となってお
ります。
以下、諸係数等につきましては記載のとおりでございますので、ご覧ください。
以上でございます。
知花
ありがとうございました。
続きまして、
「厚沢部町国保病院の今後の方向性として決断を迫られる厚沢部町国
保病院」と題しまして、長先生よりお話をいただきたいと思います。よろしくお願
いいたします。
長
この病院を何とか存続していただきたいという願いを込めて、説明させていただ
きます。本日は厚沢部町よりも人口の少ない愛知県唯一の僻地であります国保東栄
町病院の理事長にもご出席いただいております。諦めないで、がんばろうと勇気を
与えてもらえる先行事例で、委員になっていただきました。
次回は札幌医大の地域医療の教授の再生事例のよきモデルとしての松前病院につ
いてお話をしていただくことになっております。
厚沢部だけではなくて、江差と 3 病院が統合して札幌医大の付属病院ということ
も考えられるんじゃないかとも思います。
最終日には、高橋知事にもお時間をとっていただくことと報告書をご覧いただく
ことをお願いしてるところであります。
全国の遠隔地、過疎地の病院を何でもかんでも診療所にしたいとか、政府は考え
ていないと思います。(新公立病院改革ガイドライン Q&A、平成 27 年 10 月 16 日)
住民の方にも公開をしております。住民の皆さんのご理解がなければ全く進まな
いということであります。本日、議員さんもお見えになっております。議会の同意
がなければできません。
10 年総務省が公立病院改革ガイドラインを策定したときの座長として以来は全国
の公立病院の改革に関与してきました。この厚沢部町は世界一すてきな過疎の町を
目指しておられます。ここに住み続けることができるような医療環境を堅持する、
発展させること、これが本委員会の目的です。
町長からは診療所にするしかないのかとお尋ねがありました。私は、努力をしな
い公立病院については、厳しいことを国は考えてますが、努力してるようなこうい
6
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(長)
う病院については、がんばってやってもらうじゃないかという趣旨ですということ
を申し上げたところであります。(Q&A
Q26、A26)
厚沢部町の国保病院の現状は、事実は事実として受け止めざるを得ない。平成 26
年度の厚沢部町国保病院の収入に対する繰り入れは 112.3 パーセントである。一般会
計からこれだけ補填してるということであります。人口 4000 の町の負担能力を越え
るのではないか。この事実は、町民の皆さんもご理解いただかなければいけないと
思います。
人件費につきましても、収入の 147.5 パーセントであるということであります。
職員が仕事をしていないというわけではなくて、構造的な問題でありますが、根本
的に仕組みを変えざるを得ないんじゃないかと思います。
病床利用率につきまして、常勤医 3 人いらっしゃいますが、院長先生がお一人で
がんばっていらっしゃるというふうに伺っております。
3 月末に新しいガイドラインができました。アメとムチが非常に厳しくなっており
ます。ムチも厳しいですけど、アメもすごい。
旧ガイドラインでは、3 年連続して 70 パーセント未満になった場合には診療所に
なるか、大幅な病床削減を行うべきである。相当の衝撃を与えたというふうに聞い
ておりますが、7 年の間にかなり努力された結果が出ております。
しかしながら、改革は進んでいない。医師にとって魅力のあるような病院ができ
ないがためです。病床が有効に活用されていない。それは、住民のためにならない。
地方交付税は 1 病床当たり年間 70 万。許可病床から稼働病床に替えると、当たり前
は当たり前なんですが、大改正が行われました。今回厚沢部町も改革委員会を設け
ざるを得なくなった一番大きな理由であろうと思います。一般会計からお金を出し
続けられなくなるということであります。
現在、26 年度は国からは許可病床の 69 床については 4878 万 3000 円と、救急告
示病院になってますので、3600 万。1 億 4300 万、国は厚沢部町にお出ししてると
いうことであります。
稼働病床に切り替えるということに合理性はあったとしても、その影響は極めて
大きい。この病床を減らすということは人員の削減を伴いますので、あまりにも、
影響が大き過ぎるので、激変緩和措置が設けられました(Q70,A70)。平成 27 年度
から 5 年間で稼働病床まで減らす。金額的には、平成 30 年以降は、約 4000 万近く
7
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(長)
減る。この規模の町で、このくらい減らすということは、死ねということなのかと、
極端に言うとなるわけです。何らかの大胆な改革をしないと、住民のためにならな
いというふうに考えております。
今回のガイドラインは、27 年度、今 28 年度中に作ってくださいということにな
っています(Q13,A13)。
今後 5 年間でどういうふうにしてやっていきますかということであります。地域
医療構想に対応してやってくださいということです。病院機能の見直しに取り組ん
で下さいということです。
方法は、いろいろあると思います。私と林委員は、新潟県魚沼病院方式とか、滋
賀県の滋賀医大方式のように大学が、公立病院を付属にするということがもっとベ
ストだと考えております。選択肢である、地方公営企業法の全部適用はどうかです
(新公立病院改革ガイドライン否定的(4)
、経営形態の見直し(1))
。
事業管理者に対して、人事予算等に関する権限を付与して自律的経営が可能にな
るのですが…。実は、昨日の北海道新聞に北海道立病院は、企業法の全部適用(全
適)に変更しようとしているようであります。
総務省は評価していません。旧ガイドラインで全部適用した病院の業績はほとん
どよくなっていません。全部適用して良くなった病院もあるとは聞いてます。全部
適用は改革したふりをしているだけであって、抜本的な解決とはならない可能性が
大きいと、書いてあります。改革したふりをするだけだからです。
要するに、予算編成権・人事権が企業管理者に与えられます。しかし、本庁の事
務方が経営をしているのが実態であります。よくなるわけはないのです。私は一貫
して否定的です。
現在北海道庁が考えていることについては全く同意できません。
安易に取り組めるわけですが、努力したものが報われるような病院にできないと
いうことなんです。
有名なのは那覇市立病院。那覇市立病院がなんで地方独立行政法人(非公務員型)
にしたか。7 対 1 にしたかったのです。看護師を 80 人に増やしたかったのです。全
部適用はできなかったんです。公務員の 5 パーセント削減という法律がある。5 パー
セント減らせということは、法の定めです。病院が 80 名の看護師を採用して、7 対
1 にして住民の期待に応えたくても全部適用。公設公営ではできないんです。80 名
8
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(長)
を増やしたかったら、160 名、別の部門で減らせということです。
柔軟な採用ができる特地方独立行政法人に切り替えたのです。山形県の日本海総
合病院と同じように、業績が素晴らしくよくなっているのです。業績とは何か。財
政だけじゃないのです。医師・看護師が用意できたということなのです。そこが一
番重要なんです。北海道庁、労働組合は、独法にすれば職員の待遇もよくなること
が分かっていません。
給与体系も然りです。議会の同意が必要です。全部適用は給料の決定も給与条例
をその都度改正しなければならない。そんなばかなことをやっていたんじゃ経営に
なりません。
私は、改革したふりをするだけで抜本的な解決にはならないということを北海道
に強く警告します。全部適用で改革できるはずがない。道立病院の業績は全て極め
て厳しい。夕張より厳しい。新公営企業会計基準で巨額な債務超過になりました。
既に破綻しているのです。
借入金を資本の部に計上してきたのです。巨額な粉飾をしたまま改革を迫られる
のはまずは北海道立病院というべきです。
厚沢部は地方独立行政法人化を目指すべきです。組合の同意は得られると思いま
す。公設公営でありますけど身分は非公務員になります。独法化に反対する動きを
組合がすると一般的には言われていますが、決してそんなことはありません。職場
を守り、待遇が良くなる。医療環境を守れる。労働組合と経営者側、住民、議会等
の意見は一致してきています。
私が関与したので有名なのは、十和田中央病院 400 床です。この改革は、私が委
員長をさせてもらいました。委員には東北大学の総長になられた里見先生。弘前大
学の学長などがなってくれました。皆さん感動してくれました。何に感動したかと
いうと、十和田中央病院の労働組合が、私の方針に賛成してくれたんです。労働組
合は職場を守る・地域医療を守る点では一致するので、労働組合が反対することは
100 パーセントなかったということです。
私立金沢医大の付属になった氷見市民病院は、今でも労働争議が続いています。
執行委員長と書記長が地位保全で戦ってます。解雇したわけじゃなくて、市立の金
沢医大学に採用してくれというめずらしい事例です。指定管理者制度になるときに、
富山医大は全部引き上げましたけれども、市長が一生懸命全職員に 7 回手紙を出し
9
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(長)
て、引き止めた。結果的には立派に再生できています。組合が、徹底抗戦された例
はあることはありますけれども、最終的には話し合いはつく。職場を 100 パーセン
ト守るということでは、意見の相違はあり得ない。知事市長がブレないことが重要
です。
過去、北海道は指定管理者制度に挑戦した。東栄町が指定管理者制度を 8 年前に
やっていただきました。先生、8 年前、病床は何床でしたっけ。
丹羽
8 年前 70 床で、今 40 床です。
長
40。指定管理者制度は公設民営で、ハードルが高い。かなり普及しているのです
が、大型の指定管理者で大きな問題が出てきました。徳洲会などの指定管理者の契
約を履行していないところがでてきた。
徳田虎雄氏は、立派だったと思います。僻地離島の医療に貢献したことは認めま
す。かなり問題が出てきた。今回のガイドラインでは、指定管理者制度につきまし
ては、安易に民間に委託してはいけないことにされている。静内の徳洲会病院に行
ったら、本当に感心したんです。静内市立病院があまりよくないので、ぜひ見てく
れと言ったら、素晴らしいところでした。静内徳洲会の何が素晴らしいかと言った
ら、まず、徳田虎雄氏の大きな写真が飾ってある。その次に感心したのは、職員が
走り回っている。公立病院で走り回っている病院はない。お医者さんは、一生懸命
やっている、そういう面は私は評価していたのですが、徳洲会は今はあの体たらく
です。
この指定管理者制度につきましては、きょう続けるべきか、続けるべきではない
かは、東栄町が是非を発表してくれます。
北海道も七つの道立病院の指定管理者制度を議会に諮りました。引き受け手がい
ないという理由で腰砕けになりました。引き受け手が出るような体制にしないから
だけであって、引き受け手は山ほど出たはずです。
今度は、この憲法みたいな法律の定めによる地域医療構想に基づいて、計画の見
直しをしなきゃいけない。
人口は厚沢部が 4000、乙部が 4000、江差が 8000。15 キロ程度で行ける地区では
一つに統合したほうがいいんじゃないか。178 床を減らしてもらわなければいけませ
ん。こんなことはできるわけないじゃないかと、みんな言うと思うんですが、来年
度中にはやらざるを得ないことになります。各町議会と道は、委員会の答申を受け
10
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(長)
て、統合再編を選ばざるを得ないだろうと思います。
全国平均の一般病床から見れば 120 床ぐらいが妥当。ただ人口減とか、いろいろ
函館館内に依存してる状況から見れば 3 病院合計で 100 床ぐらいの、一般病院でい
いのではないか。
外来につきましては、厚沢部町国保病院で厚沢部の人を見れるのは 32 パーセント
にすぎない。入院につきましても、ほぼ 3 割です。主に江差町、または函館市で入
院していると。経営形態の変更は 2 次医療圏全体でやらなきゃいけない。厚沢部だ
けということは考えられません。
私と林委員が推薦するのは新潟県魚沼方式、過疎ですけど新潟大学の付属病院に
した例が一番ベスト。国立滋賀医大もやったのはベストなんです。金沢医大の能登
医療研究所みたいなのもいいんです。前提として、厚沢部国保病院の 69 床と、道立
江差病院 202 床、乙部国保病院 62 床を統合すべきだという考え方であります。
経営形態は、地域拠点病院として 100 床程度、その他は無床診療所。物理的には
どこかの病院を中核にするんじゃなくて新しい病院を、厚沢部に造ることが一番現
実的ではないか。国は、再編統合してくれればお金を出しますということです。札
幌医大の関連病院として小さくても地域医療の機関として役割を果たせる形。臨床
教授を全国に公募するということもあるだろう。北海道は、道立病院を地方公営企
業法の全部適用を 2 年以内にする。挫折するでしょう。
三つの病院を物理的に取り壊すなど、そういうことは全然考えていません。診療
所は置いてもいいのではないか。厚沢部は全国のモデルになってます。CCRC がリ
タイアメントコミュニティーのモデルとして、病院を取り込むことができればベス
ト。
独法にした場合は公務員にの身分のまま経営させるのはナンセンス。独立行政法
人の役員は民間病院から起用して民間的経営者を採用することが望ましい。
札幌医大の教授の委員から、松前の経営がいいのではないかと聞きました。一般
会計からの繰り出しが非常に少ないんです。6 人で総合診療をやっている。全科診療
でやっている。その話を、次回でご説明してくださる。道立が 100 床手放して、松
前町立病院になったんです。常勤 6 人をそろえて 100 床で、全科診療をやってるの
で、税金投入が一番少なくなった。財政支援措置の説明をしておきます。
道立病院の貸借対照表を見ると資本の部が、258 億。大会社みたいに見えます。と
11
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(長)
ころが、これが全然駄目なんです。借入資本金とある。247 億 6757 万 1000 円。26
年度決算から、借入資本金は負債のほうに持っていって、今後、巨額な債務超過に
なります。
では、委員の皆さんから忌憚のないご意見を伺います。遠慮なく言ってください。
まずは高橋先生にご意見を頂戴したいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
高橋
高橋病院の高橋です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。座らせていただ
きます。
今回は、長委員長から今後の厚沢部国保病院含め、3 病院の在り方について再編統
合も含めてお話しいただけないかということでありました。
今日のお話、このように皆さんに見られると思ってなかったので、ちょっと厳し
い内容も含まれていると思うのですけれども、ただ、同じ道南勢としまして、また、
厚沢部国保病院初め上ノ国診療所など、私たちが年間 120 日ぐらい医師派遣をさせ
ていただいております。そういったことも含めまして、一つの案としてきょうのお
話をお許しいただければ思います。
よろしくお願いいたします。
一般的に、再編統合に当たって考えるべき課題としては、やはり、地域医療構想、
超急性期、急性期、回復期、慢性期、在宅を含んでと。これを考えざるを得ないと
思うのですね。特に南檜山圏域、南渡島圏域というのは、患者さんの出入りがあり
ますし、医師の派遣等々もありますので、圏域を越えた役割機能分担というのが、
地域医療構想、調整会議の中でも、やはり、一応一度顔合わせをしなければならな
いのではないかなと思っています。
それから、もう一つ、地域包括ケアシステム。ご存じのように 2025 年なんですけ
どもに向けて、自治体として、どういうふうに、何を目指すのかということだと思
うんです。新たなまちづくり、それも自助公助ということで、そのアクティブシニ
ア、元気なご老人をつくっていくということでは、渋田町長初め、厚沢部は非常に
先進的な取り組みをされているなと思うんですけど、その中で医療機関というのは、
どういう役割を持っているんだということも大事なのではないかなと。
それから、交通アクセス、それからもう一つ、公立病院の新ガイドラインにも入
りましたけれども、やはり、ICT ネットワークによってどのように効率的に無駄ム
12
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
ダ、ムラ、無理ムリなく情報共有を図るかということ、それから、人材確保、それ
と、少しお話ししますけれども、地域医療連携推進法人、特にガバナンスの問題が
あると思います。この辺りを中心にお話ししたいと思います。
やはり、北海道というのは特殊なところです。私は講演を年間に 50 回ぐらい行っ
ておりそれから、またいろいろな病院の方とや、地域包括ケアシステム、地域医療
構想の設計に関わられている松田晋哉先生とか、それから田中滋先生とか、人口創
生会議でデータを構築された国際医療福祉大学の高橋泰教授には 15 回ぐらい来てい
ただいていますが、いろいろな方が、私どもの病院を見学に来られるのですけれど
も、その中で、やっぱり北海道は特殊であると。札幌と根室の距離がちょうど、東
京、大阪間に相当して、3 次医療圏が六つ、普通、都道府県に 1 個ですから、6 つの
県があるということですね。世界地図で見ますと、ちょうどオランダとデンマーク
を足した土地、面積になるんですね。北海道の人口はデンマークと同じ 540 万人ぐ
らいです。九州、四国、沖縄を飲み込んでもまだ土地が余ると。世界で 21 番目の島
です。
その南に位置する道南なのですけれども、2 次医療圏はご存じのように 3 つありま
す。この面積というのは、ちょうど京都府と大阪府を足した面積でございます。
この函館に、超急性期、すなわち心臓疾患、あるいは脳卒中などは函館に集まっ
てくると。ため、圏域を越えた連携ネットワークが非常に重要なところだと思って
います。このスライドは、道立江差病院のパンフレットからちょっと非常に見やす
いのでいただいたのですけれども、こちら、江差町を囲んで厚沢部町、乙部町、上
ノ国町の 3 つがあり、離島の奥尻町もあります。非常に鉄道網がありませんので、
散在型集落が多く形成されている地理的条件などから、鉄道網もないこともあり自
動車交通への依存度が高く、道路は住民生活の上できわめて重要な役割を担ってい
ると考えられます。
道路は非常に大事な地理的条件を満たす依存度が高いところなのかなと思っており
申し上げます。道立江差病院、厚沢部国保病院、乙部国保病院の 3 つが地理的に非
常に近いというのがこの圏域の特徴だと思います。統廃合と、ちょっと言葉が厳し
いんですけれども、患者さんの行き来ができやすいところではないかなと、また入
院中のお見舞いの家族にとっても、です。
それから、ちょっと長先生の話とかぶるんですけれども、人口は全土に比べて全
13
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
道に比べて当該圏域は 2 万 5000 人ということで、全道の人口の 0.47 パーセントと
いうことです。特に、65 歳以上、あるいは後期高齢者の方たちです。が非常に多い
ところなのかなと思っています。これも、長先生と同じグラフで、南檜山圏域では
全人口が減っていくのですが、高齢者人口も減っています、10 年後にはです。そう
いうところであるということです。
それから、これは人口創生会議で出された、よく消滅する町はどこだということ
をあらわした表ですけれども、この五つ南檜山圏域の 5 つの町では 20 歳から 39 歳
の女性の方が 2040 年には、マイナス 60%ぐらいになることを示しています。これ
はどういうことを意味するかというと、やはり、高齢者を支える年代層が減少する
と、多分、在宅サービス事業所を担うにしても、あるいは街づくりをするにしても、
非常にこの辺りが問題になってくるのかなと。コンパクトシティというところを考
えていく一つのポイントなのかなと思っております。
これは、1 次医療圏では、私は自分でプロットしてみたんですけれども、人口若年
女性が減る率というのは、この圏域は非常に大きいのです。函館は大体マイナス 60%
ということなので、結構、将来をきちんと見据えて考えなければならないだろうと
いうことです。
南檜山圏域の、これは、いろいろな病院事情を私なりにまとめてみました。先ほ
どと同じように、外来、入院自給率が、厚沢部国保病院が 30%前半で特に低い。こ
れは函館、あるいは江差に患者さんが移動していることをあらわしていると思いま
す。
それから、医療機関の状況なのですけれども、平成 26 年 4 月 1 日現在、175 床過
剰地域となっています。厚沢部国保病院のほうは療養病床が 90 床されてると休止さ
れているようですけれども、一般 45 床の稼働率が 45%、今現在は 50%を超えてい
るということですけれども、そうすると、大体稼働ベッド数は 20 床近辺あたりなの
かなと思っています。
それから、この圏域の診療所の有床ベッドですが、函館新都市病院、勤医協陵北
病院系列の診療所の有床数は非常に少ないのかなと。やはりベッドを持つ、有床に
するということは、それだけリスクがあるという考え方なのかもしれません。
それから、医師数。問題の医師数なのですが、この圏域は全国、全道平均の半分
ぐらいです。ちなみに全道の平均を上回る圏域は札幌圏と旭川のある上川中部圏域
14
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
だけでございます。このグラフは、将来を見据えてベッドをどうするか、必要病床
数の試算なのですが、こちらはケアレビュー社からの資料ですが、例えば、居住人
口ベースでいうと、2014 年に比べて 2025 年は 58.7 パーセントのベッド数でいいよ
ということです。青が一般病床、赤が療養病床です。対しまして、患者流出入調整
後の方は、31.8 パーセントとなっており、2025 年には一般、療養併せて 143 床でこ
の南檜山圏域はいいのかという話にもなるのかなと思っています。こういった資料
は地域医療構想を考えるヒントになろうかと思っています。
平成 26 年度から病床機能報告制度というのが、全ての病院・有床診療所で義務化さ
れるようになりました。
昨年から始まって、今年も、既に始まっているわけなんですけれども、3 つの病院で
提出されたものを見てみました。厚沢部 1003 ですけれども、6 年後自分たちはどう
なるよということも、同時に出すわけですけれども、厚沢部国保病院では変更はな
いですよということです。看護職以外の職種はあまりおられないのかなと思ってい
ます。この辺りを見ていると、一つの傾向が見えるのかなと思っています。
少し、厳しいお話になるのですけれども、差別化として今後かかりつけ病院、あ
るいはかかりつけ診療所になって、病床の余ったところと言ったら変ですけれども、
そこに在宅系施設です。ケアハウスなり、あるいは、サポージュ、サ高住なり、そ
ういったものを作って、外付けでサービスを担うというところも、一つの手ではな
いのかなと思っています。そうすると、コストもパフォーマンスも良くなると思っ
ています。
それから、乙部国保病院ですね。こちらも 6 年後の変更予定なしで、一般病棟の
構成は 15 対 1、平均稼働率 46.1 日と、大体、厚沢部国保病院と似ているのかなと思
っています。
あまり、看取りのほうは、外来ではされてはいないのかなと。それからリハビリ
もないということで、こちらも同じような傾向かなと思っています。
今回は、大きなテーマではないのかもしれませんけれども、道立江差病院、ちょ
っと事務長さんがおられるので、言いづらいところもあるのですけれども、亜急性
病床は昨年の 9 月で制度として終わっていますので、今は地域包括ケア病床になっ
ているのでしょうか?
15
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
森
一般です。
高橋
一般にされたんですね、はい。ありがとうございます。
PT、OT のリハビリの方が 3 名おられるということですね。対応の調整部分退院
調整部門もありますし、血管連続撮影装置等もあると。看取りはされていない。手
術数は全身麻酔下では 17 件ということです。こういうことを眺めていくと、大体高
校病院の今の立ち位置、あるいは今後のあるべき姿というのは見えてくるのかなと
思っています。
気になる医師数なのですけれども、定位数 18 のところが、現在 13 名あいるとい
うことです。見てますと、内科系が多いのかなという印象と、問題は応援医師のと
ころですが、道立江差病院さんが道立という冠を外して民間になると、非常にこの
応援部隊が来なくなる可能性があるのかなと、こういうところは、やはり、障害に
はなるのかなと思っています。
見づらくて申し訳ないのですけれども、この 3 つの病院を、ちょっとまとめてみ
たのですけれども、やはりポイントとなるのは、道立江差病院に対する札医大から
の医局派遣というところです。こちら、北海道のほうも、なかなか医師、いわゆる
応援する支援付きのセンターとか、あるいは大学自体も非常に人材不足になってい
ますので、ここをどう解決していくかというのがポイントだと思います。
それから救急受け入れ患者の 3 病院比較ですが、年間時間外患者数で下のかっこ
内がうち入院患者数となります。下段は年間救急自動車搬送受け入れ人員です。こ
のぐらい受診するけれども実際入院したのは 1 割未満という、先生方の負担になる
コンビニ受診というところも中にはあるかもしれません。この辺りは住民の方のご
理解も必要なのかなと思っております。
こちら、長先生の宿題になったところですけれども、地域拠点病院、これは、今
お話をお伺いしましたら、江差病院でなくてもいいということなんですけれども、
いずれにせよ、こうであるならば、やはり現在各病院に入院中の患者病態像を把握
する必要があろうかと。地域で何科が求められているのか、残すべき役割は一体何
だろうか。それから、地域医療構想でいうと、慢性期、特に在宅医療をどう考えて
いるかということだと思います。それは訪問するとかそういうのを含めて、あるい
は在宅サービス事業者を何を持ってくるかと。それから、外付けの確か施設を作っ
た場合、どういうサービスが必要かというところです。
16
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
それから、私どもの病院も、うちの職員、470 名おりまして、組合もあります。で
すので、こういうところ、財務諸表は、やはり毎日眺めているわけなんですけれど
も、こういうものを眺めて頂きつつ、大事なのは南檜山圏域にある 3 病院がどのく
らい急性期患者を南渡島圏域にお送りしたとき地元にまた戻ってくるかということ
で、このような転院数の把握も必要なのではないかなと思っています。
今後、基幹病院の病床数を 100 床未満ということをお話がありましたけども、例
として一般病棟を 50 床、残り 50 床を回復期リハ病棟あるいは医療療養病棟や地域
包括ケア病棟にする。あるいは 40 床を一般病棟、40 床を回復期リハ病棟とし、残
り 20 床は現在厚労省の療養病床のあり方検討委員会で議論されている外付けサービ
スによる在宅施設にする。すなわち、病院の中にサ高住とか、ケアハウスとか、有
料老人ホームを作る。病院の中ですので医師もいるし、看護師配置が少なくて済み
ますので、マンパワーが生まれるということです。やはり、マンパワーというのは
非常に大事だと思いますので、どうやって、少ない人材をうまく活用していくかと
いうことだと思います。
それから、虚血性疾患、脳血管疾患の超急性期は全部函館に救急搬送している実
態がありますが、そうすると現在の診療も、よりコンパクトにして、松前病院を模
範として総合診療を特徴とした病院、かかりつけ病院を目指す。そして、訪問診療
も行うということも、一つの手なのかなと思っています。そうすると、内科系の医
師が主流で、あるいは小外科、そして整形外科は外来でよろしいのかなと。ですの
で、医師の確保というところではそういうところも考えて少なく済むよう調節して
いくことが必要であるかなと思っています。
この辺り、またディスカッションのところでお話しできればと思っているのです
けれども。こちら長先生のスライドにそれぞれコメントを付け加えさせて頂いたも
のです。例えば、役員を民間病院からということでいうと、やはり、派遣医師が来
なくなる可能性が高くなると、これは非常に大きな問題であって、ちなみに、この
地域のという話ではないのですけれど、私も全日病などの役員をさせて頂いていま
すが、知り合いの病院経営者に北海道で幾つかの助けを必要としている病院があっ
たとしたら、ホールディングカンパニーみたいなことをやりますかと聞きましたと
ころ、有名なある医療グループは北海道では無理と言われ、北海道に展開している
板橋中央グループに聞いてみたらどうですかと言われました。
17
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
それから、道内病院団体の役員に聞いてみたのですけれども、やはり、一番の問
題は医師の派遣であるということです。もし、本州とかの病院が経営をするのであ
れば、医師数はその地域で確保できるような形というのが一つの条件なのだろうな
と思っております。
それから、全科診療医を育成するということでは、先ほど、長先生のほうからお
話が出ましたけれども、松前病院がお手本であろうと。指導者による若手育成、つ
まり、指導者がいないと来ない。若い先生たちは給与そのものよりも、医師教育を
重視する。ただ、そこにずっといるかというと、やはり期間限定なところもあるの
かなと思います。
そして、最後、3 施設の一部を福祉施設に転用というところですが、私のほうでこ
の地域の福祉サービスがどのくらいあるかというのは、ちょっと押さえてないので
すけれども。厚沢部ではゆいまーるがありますよね。非常に素晴らしいなと、お手
本になるなと思っているんですけれども。やはり、資金が確保されれば施設転用は
大いに有効ではないかなと思っています。特に住民に安心を提供できますし、それ
から、そういう施設を作ったときに、どのような外付けサービス、在宅サービス事
業所をどのように持ってくるか。それから、もう一つ大事なのは、やはり、地域包
括ケアシステム、アクティブシニア向けの施設づくりをすることによって、地元に
移住していただくということを大きく考える必要があるのかなと思っています。
それから、ちょっと話が変わるのですが、医療介護連携をいろいろと構築するに
当たっては、ICT は必須だと思っています。私たちは、IT をやっておりまして、こ
のいろいろな ICT 物を作っておりまして、総務省の年間最優秀賞とか、経済産業省
から表彰を受けているのですけれども、一つが ID リンク、聞いたことございますで
しょうか。これは、市立函館病院と手前どもが始めたもので、今現在 37 都道府県約
5000 施設に広まっております。先ほど、長先生がお話しておられました日本海総合
病院を含めて、いろんなところの連携ネットワークが ID リンクというのを取り入れ
ていただいております。
これが成り立つために、やはり、何でもそうなんでしょうけれども、強いリーダ
ーシップがあるかどうかにかかっています。この図は、道庁の大竹地域医療推進課
長さんのものをちょっと頂いたのですけれども、北海道内の医療連携ネットワーク
を見ると、これだけシステムの種類があるのかと思われるでしょうが違うんですね。
18
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
正解はネットワーク協議会の数を表しています。この緑の円で示したように半分く
らいが ID-Link の運営協議会であって、そして南檜山の地域医療連携システムも、
地域医療再生基金によって全ての医療機関がこの ID リンクにつながっています。電
子的につながっているというのは情報共有をする意味では、非常に患者さんのやり
とりを含めていいのかなと思っています。
もっというと、札幌も含めて広域連携ができます。当然奥尻も入っていますし、
海の外、海外ではないんですけれど、青森の大間も入っています。地域を超えた情
報共有というのは、これから人材が不足する中では、一人一人の生産性向上をどう
いうふうに図っていくかということでは非常に大事であろうかなと思っておりま
す。生産性向上をどうやって ICT がカバーしていくかというのは、これも非常に考
えなければならないという問題なのかなと思っております。
これは最後の 1 枚なんですけれども、地域医療連携推進法人です。以前はホール
ディングカンパニーといわれたものですけれども、法人の設立前はこのように一つ
一つが少ない人数でやりくりして大変だというところを、急性期病院は過剰であろ
うから適正化を図り、一方リハビリ的なところ、特にお年寄りが増えてきますと、
回復期的なところは大事だろうと思いますけれど、そこを充実する。それから在宅
医療、訪問診療も含めて、今はクリニックなど施設を構えなくても訪問診療ができ
るという仕組みをいま国で検討されておりますので、日本医師会もお認めになりま
したので、新しいタイプの在宅医というのが出てくると思います。
その中で、右側、手に手を取り合ってといいますか、競争から協調の時代という
ことですが、例えば、民間法人が入るにしても、じゃあ一つの法人ではなくて、民
間法人同士が手を取り合ってという形も、いろいろあろうかなと思っております。
ちょっと早口で申し訳ありませんでしたが、私のほうからは以上です。
ありがとうございました。
長
そうです。特に冬は、交通網は道路が狭くなったり遮断されたりもしますので、
ただ、あれは視認飛行ですから、天気が悪いときはヘリコプターもなかなか難しい
のかなと思っているのですけれど、実際、厚沢部国保病院や道立江差病院ではヘリ
コプターが飛んだという事例がありますが、それはどちらのほうに、市立函館病院
のほうですか?
19
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
野崎
当院からの施設間搬送ですけども、既に10件ほどの実績があります。あと、搬
送先医療機関は、特に固定ということではなくて、渡島圏域の 2 次の病院のほうに
医師間の紹介によって搬送先を決めてるという実態ですので、特に固定の病院に集
中してるという状況ではございません。
高橋
函館の場合は、今お話しにありましたように、2 次救急が輪番制で決まっておりま
すので、循環器あるいは脳卒中は 24 時間 365 日見られる体制は整っているというこ
とでいうと、やはり、ヘリコプターというのは、非常にこれからは有効な手段にな
るとは考えております。よろしいでしょうか。
長
道庁さんのヘリの配置はどうなってるんですか。
荒田
ドクターヘリにつきましては、4 機目を道南の市立函館病院に導入して、これで半
年過ぎました。2 月 16 からスタートしてます。
長
どうもありがとうございました。
では、引き続き、東栄病院 丹羽治男理事長から、パワーポイントありますか。
丹羽
はい。
自己紹介を兼ねて少し。
愛知県の北設楽郡にあります東栄町というところから参りました。大勢の前でし
ゃべるのは非常に緊張しております。不慣れですので、聞きづらい点があったらお
許しください。
地図持ってまいりませんでしたので、愛知県の長野県境、静岡県境、名古屋から
大体 100 キロのところにあります。ここへ来るには、昨日は羽田に泊まりましたが、
浜松まで車で 70 キロ弱ぐらいです。豊橋も 50 キロ。飯田も 50 キロぐらいというよ
うな感覚の場所にあります。
山間僻地です。東栄町自身は、現在大体人口は 3500 人ぐらい。病院が背景とする
人口は周辺の町村がありますので、大体 7000~8000 人ぐらいだというふうに思い
ます。高齢化率も 50 パーセント近くに達しています。大体圏域の中で。東栄町は、
10 年前はちょうど、ここにお見えになる、長さんが総務省の経営アドバイザーとし
て東栄町にお越しになりました。その後、改革委員会を経て、平成 19 年より、指定
管理者制度利用料金制度による公設民営だというのを経験しております。
私自身は自治医大卒業で、平成 6 年に医師になって 3 年目に、今の東栄病院に赴
任しまして、2 年間途中勉強に出た時期がありますけど、ほぼ、約 20 年ずっと医者
20
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
になったほとんどの人生を東栄町で過ごさせていただいております。
平成 15 年に副院長になりまして、平成 17 年に転機を迎えて、平成 19 年から、公
設民営化と、公務員から一民間人になりまして、平成 22 年より院長として、今の病
院のかじ取りを行っております。
10 年前は東栄町は大体人口 4400 人です。年間 2 パーセント強の人口減少が続い
ておりまして、ちょうど、例えば、この厚沢部町の 10 年前の姿かなというふうに思
います。ちょうど国政調査がありましたので、どれくらい人口が減ってるか分かり
ませんけど、前回の平成 17 年から平成 22 年は 13.8 パーセントの人口減少で、恐ら
く今回も 10 パーセント超える人口減少です。日本全国僻地と言われるところは大体
そのような状況に見舞われていて、いろんな問題、例えば、ここの地域よりも少し
高齢化が進んでる分、それから人口減少が進んでる分先取りした課題に物当たって
きたというふうに思いますので、何かご参考になればなと思います。
高齢化、先進した僻地の一事例としてご報告させていただければと思います。
私ども、公設民営化しましたけど、国保の病院です。国保の仲間として現場のい
ろんな意見があると思いますけど、現場は現場で非常に苦労しておますので、現場
の皆さま方の少しでもお役に立てればというふうに考えております。
平成 17 年に長さんにおいでいただきましたが、東栄病院は、経営が非常に悪くて
ずっと 1 億 5000 万前後ぐらいの繰り入れをしてもらってました。病院はずっと 70
床で推移していましたが、私が東栄病院に赴任してしばらくしてから、新しい病院
を建て直そうと、昭和 47 年に建った病院なものですから、建て直そうという話が出
たんですけど、いろんな理由でとん挫しました。一番は、資金繰りがつかなかった
と。病院もすごく赤字でこんな病院建てられるのかという話でしたが、住民の皆さ
んは、新しい病院大賛成でしたけども、地元の地区だけは、自分たちが石を積んだ
記憶があるという病院で、そんな粗末に扱うとは何事だと、すごく怒られました
しかし、委員会の中ではいろんな各立場の方が、言った、言わないかの国会の答
弁のような状況になりまして、惨憺たる状況でしたけど、住民の皆さんを集めて 1
年間かけて、医療は、これ今考えれば地域包括ケアの在り方を住民みんなで考えた、
住民の代表者でみんなで考えたということだったんですけど、そういうものを報告
書にまとめてた。ちょっと見にくくて恐縮ですが、ありきたりのことで、特別なこ
とは何も書いてありませんが、1 年かけて地区の区長さんだとか、各種団体の方だと
21
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
か、病院の介護関連の方が集まって、こういう計画を作ったというのが、非常に私
自身にとってはすごくよい経験になりました。
おおむね、総務省からのアドバイザー派遣ということもありましたけど、これに
沿った形で、ここ 10 年ぐらい経営改善を重ねることができることができたかと思い
ます。
平成 15 年は、いろいろ私も副院長になりましたが、新しい町長さんが誕生したり
の中でも、当時は合併協議会のさなかでした。厚沢部町も合併してないですね。東
栄町も周辺の自治体がどんどん合併していく中で病院の赤字があるからという理由
が最後には決め手になったのか、東栄町は合併してもらえず単独で今でもやってま
す。それが結果的には良かったんじゃないかというふうに私自身は考えています。
副院長に就任、前夏目院長が就任したときに、赤字問題に手を付け始めたという
ことです。手持ちのお金と、それから繰り入れをした上でもなおかつ赤字が出てま
したので、手持ちの資金が 3 年でなくなるよという計算が当然立ちます。1 億 5000
万ぐらいの手持ちしかないのに、5000 万ずつ毎年減っていっては 3 年持ちませんと
いう話を病院職員全体に向けて話をしまして、ここから経営改善をいろいろ、でき
るだけ知恵を絞りました。
町のほうでは、市町村合併を失敗しましたので、単独でやっていかないといけな
い。お金もないので、とにかく財政をよくするためにということで、あらゆる事業
を停止、採用も中止ということで、病院も当然同じです。町長さんの一声で全て新
規の設備投資が止まりましたし、採用もできないと、職員が辞めたら辞めっ放しで
採用ならずということでした。
でしたので、とにかく何とか病院から役場に意見できる状態を目指しましょうと
いうことで、やれること全部、短期間にやりました。
その中で、収支そのものは 1 年、2 年で、当時は、まだ人手に余裕が多少あったお
かげで、改善しました。これで、18 年度公設公営最終年度では、減価償却 4000 万
ぐらいありましたけど、減価償却の部分の負と収支均衡とかちょっとプラスになる
ぐらいで、繰り入れなしで、多分、やっていけるだろうというところまで経営改善
ができていました。
平成 17 年に長さんに来ていただいたときは、ちょうど役場の町長さんと病院側が
本当に険悪な状況で話し合いがほぼできない状態で、長さんが来ていただいて鶴の
22
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
一声で公設民営化だという話になりまして、お互いに乗ってしまったと。給与体系
も変えないと駄目だということは職員の年齢から考えれば当然でありましたし、病
院の事務職場から 2、3 年ごとに変わっていけば、経営ができないのは当たり前の話
です。他町村への医療の支援、今で言う連携、他の町村、他の医療機間との連携も
身の丈にあった医療をということで、もとから昭和 30 年代から、さらに山の中のほ
うに、富山診療所に医師を出したりした経緯があったので、それも中止せよという
話になりまして、このままでは自分たちの病院を維持するのが難しいことになった
わけです。
アドバイザーにお越しいただきまして公設民営化だということで、全職員に面談
をして、病院の理念と言っても当たり前の理念ですが、地域に貢献するという当た
り前の理念に向かったお互いに力を出し合いましょう、いがみ合ってもしょうがな
いので、目の前の、その力を発揮させることが自分の力にもなるということで病院
全体で地域に最大限貢献しましょうという面談をコツコツ、全職員 100 名ぐらいい
ましたけどやりました。
当然、辞める人もあり、また、逆に来てくれる人も、役場へわざわざやってきて
くれる人もありました。今の事務長もそうです。
新しい給与体系で何とか若手の人たちに手厚くして、30 代で都会へ出る看護師は
たくさんいましたので、何とか引き留めたいなということで、それから、定年も当
時は 60 歳定年でしたけど、65 まで雇用延長して、場合によってはもっと長く常勤
に準じた手当を出すような形にして、とにかく長く勤めてもらおうということを考
えていました。
ただ、当時から衰退していく地域の中でどうやったスタッフを集められるかとい
うのが、最大の課題であると。過去の病院の歴史をひも解くと、昭和 60 年ぐらいの
当時の小倉院長先生がほとんど同じことを書いてました。手記の中で、どうやって
職員を集めるのだと。結局、いつまでたっても僻地は町へ人も資源も吸い取られて
いくだけで、自分たちの町を守っていくという気概のある子どもたちを育てられて
こなかったというのが、本当に現場では感じられることです。
こんな古い病院、いまだに病院建て替えの話は進んでいません。今度の選挙で、
ひとまず、ちょっと病院建て替えの話が進んだんですけど、4 月の選挙で今は白紙撤
回となっています。
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【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
個人的には、古い病院、古いお寺が好きなものですから、古い病院でもいいかな
と思ってますし、これからお話ししますけど、今病院の形、在り方もどんどん変わ
っていっています。建物よりも、やっぱり仕組みだろうなというふうに思います。
公設民営化、目標はやっぱり初めから地域存続です。目標は地域存続。人口減少
が激しいのは、もう実感していますし、高齢者ですら、住めなくなって出ていって
しまったという地域ですので、地域存続なくしては医療機関の必要性はないと。で
すから、医療機関を守るのではなくて、地域を守るために医療機関はどうあるべき
かという議論が本来の議論だと思います。守られるのは地域の医療でも、病院でも
ないと思います。今でもそう思います。
地域の力をつけるためには、外へ出てみて考えたということですけど、地域包括
支援センター介護保険の中で位置づけられてますが、初年度 18 年度は惨憺たるもの
でしたので、公設民営化を機に病院に委託へ出してもらいました。定員は基準だと
1.5 人ですけど、3 人ないし 4 人の配置をして、ここを核に病院の出城として地域の
中で進めていく、いろんな活動を進めるような地域の包括ケアそのものを広げてい
くような活動を始めています。
保健師さんも若い保健師さんが来てはやめての繰り返しをしてるので、何とかバ
ックアップしたいなと思いますし、やっぱり結局役場がうまく機能しなければ地域
もうまくいかんだろうなという結論に、この時に達しました。
ですので、どうやったら、役場とうまくやれるのか、いろいろないがみ合いもあ
りましたけど、どうやったら役場の職員がうまく力を発揮できるかということを、
この時ぐらいから考えるようになりました
今、院長先生と町長さんの仲はどうでしょうか。
佐々木
普通。
丹羽
普通ですか。地域の将来だとか、地域の医療をどうしていったらいいかと、そう
いう話し合いってよくされていますか。
佐々木
してます。
丹羽
してますか。素晴らしいですね。なかなか難しいんですよね。本当に苦労してき
ましたけど。
体制を変えたか、こんなことをやりました。できるだけ見直して、委託職員、パ
ート職員は、本人が希望しない場合を除き全て常勤化しました。地域包括支援セン
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【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
ターを受けたりとか、それから、公設民営化で体制が変わることを機に、町内 11 区
に分けて、全地区年に 1 回、必ず回るようにして、夕方第 2 金曜日を今は 7 時半か
ら 1 時間から 1 時間半ぐらい、病院職員が出掛けていって、最初は病院の現状と地
域の将来というテーマで話をしていたんですけど、話してるとみんな暗い顔をする
ので、最近は勉強会みたいなことをずっとやってます。その中で意見交換をしたり
だとか、後で言いますけど、救急夜間受け入れ停止だとか、老健の休止の話だとか
というようなことを順次お話をしていって、地区によっては、住民 3 人で職員が 10
人だとかというところもありますけど、一つ一つの地区が残っていくことが重要な
ので、やめず続けています。
組合のほうは、公設民営化を機に解散になりました。やっぱり病院の職員の意識
改革を心がけたんですが、私自信の人徳がないとなかなかうまくいきません。
この当時、病院がこれからどうあるかに関して、いろいろ考えてみました。スタ
ッフの確保が最重要課題です。あとは、地域の崩壊どうなっていくか。介護療養に、
そのときは抱えてましたけど、いつまでの無理だろうなと。それから後方の、ここ
で言う江差と同じような立場にある新城市民病院(医療崩壊を経験しています)
、そ
こがどういうふうに再生するかというところが大きな因子だろうなというふうに考
えました。
それぞれ、やっぱり手当をわれわれができることをやっていこうという形になっ
ていました。
公設民営後の 5 年間は、21 年に制度が発足して社会医療法人財団へ、それから、
22 年からは県の仲介で名古屋の日赤から、通年 1 人ずつの医者派遣をしていただく
事業が始まりました。これは、再生計画の一部にもなっているかと思いますが、今
年で 5 年、6 年になりますけど、ちょうど、新臨床研修が終わって、さらに、今度、
新しい専門医制度の総合診療の部分だとか、内科の研修の部分とちょうどうまく重
なるものですから、院内にプライマリケアの指導医だったり、内科の専門医を持っ
てるものがいるので、引き続き、恐らく今後も、どういう形になっても日赤から 1
人ずつ確保ができるかなと思っています。
平成 22 年からは、療養病床を、これは看護師がいなくなって、夜勤を病院内に 4
人置くことができなくなったので、1 人減らすために、療養病床を老健にしました。
このときは、町執行部に話しにいったんですけど、うまくいかずに議会に直談判し
25
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
て、無理やり老健にしました。本当に話を決めてから一気に物事を進めていったの
で、これは、本当に公設民営化して良かったなというふうに思ってます。
新城市民病院、後方病院の新城市民病院が厳しい状態が続いていましたので、全
面的に支援をわれわれができる範囲ということで、医師派遣を開始したりだとか、
いろんな職種の行き来を、こちらの臨床工学技士とか薬剤師を支援いただいたりと
か、今は精神科の先生に来ていただいてますけど、そういういろんな人の交流をこ
の時点から 4 年、5 年になりますが始めています。
23 年には看護基準 10 対 1 を何とかとることができましたが、残念ながら、この 9
月に 13 対 1 に戻りました。
病院でなくなるなんていう記事が新聞に載っておまえも苦労しとるなと、中学校
の同級生から年賀状が来ました。
平成 23 年に町長選で選挙戦に巻き込まれまして、院長を辞めさせるだのと言う話
になってしまいましたけど、幸い辞めずに済みました。いろんな包括の事業とタイ
アップしながら、病院全体で地域の活動に力を注ぐようになって、認知症対策だと
か、ロコモ対策、それから温泉をどうしたらいいのかというようなことをやってい
ます。
繰り返し住民、それから議会と合わせて、介護、医療、福祉のことについて繰り
返し繰り返し、議論を持っていただくようにしました。
それでも、病院の方向が定まらないというところが現状です。
これから、われわれの地域の医療をどうしていくんだというかということが、な
かなか定まりません。本当に一体誰が決めてくれるのか。町長ですら決められない
というところがあります。人手不足は全職種に及んでいて、この 7 月から老健を休
止、事実上廃止しました。老健 29 床休止して一般床だけに集約しています。
東栄病院では、以前から在宅医療は、普通にやっていて、今でも 50~60 人の患者
を抱えてますけど、在宅の看取りは 10 人ぐらい年間平均であります。ですので、ど
ちら、どこを主に医療を展開していくのかある程度はっきりしてるので、まずは、
外来、在宅、それから介護分野というところに、とにかく力を注ぎたいということ
もあって、入居とか介護の入所の所はできるだけ減らしたほうが町の財政を考える
といいんじゃないかというふうに思っています。
ですので、まず老健を休止、事実上廃止して、一般床をそのままというよりも、
26
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
地域の生活応援病床というふうに勝手に名前を付けまして、老健でやってたような、
本当はいけないのかもしれませんけども、いわゆる社会的入院とかというのも含め
て、地域で生活するために必要な医療ではなくて、医療介護、福祉全体を含めたサ
ービスを提供するような体制で、今老健廃止後も病床を運用しております。
病床稼働は、恐らく今の厚沢部病院もそうだと思いますけど、看護師さんの数で
決まります。常勤看護師、厚沢部病院は今 15 名ですね。そうすると、夜勤が合わせ
る人が大抵 12~13 人しかいないので、15 対 1 といえども、入院患者数持てるのは、
多分、24~25 人持ったら、アップアップだと思うんですね、実際には。もう 2 人ぐ
らい辞めると、15:1 が取れなくなるんじゃないかと思います。本当にわれわれのこ
ろも、ほぼ同じ状況で、透析だとか、いろんな部門を抱えてるので、もう少し数は
いますが、病床に夜勤できる人の数は 13 人しかいなくて、1 人病気すると、もうア
ウトなんです。非常に苦戦しながら、いつ特別入院基本料にするかという議論を常
にしています。
そういう状況で、町とのやりとりもなかなかかなり難しくて、いろんなところで、
仲たがいしていて、本当に困ったなという状況が実際のところです。東栄町はこん
なところです。
先ほど、コンパクトシティというお話も少し出ましたけれども、個人的には公共
施設を分散させたほうがいいかなと思ってます。なので、町の中心に病院を集めた
りだとか、何かするのは極力反対してます。
というのは、東栄町は 10 年前は小学校が七つあったんです。今 1 校にしました。
統合されてます。そうすると、どうなったかというと、やっぱり、ある地域では小
中学生誰もいないようなところが出てきたんです。やっぱり公共施設をなくしてい
くと、どんどんその地域の衰退が進みます。ですので、われわれの最終テーマは地
域の存続ですので、それに反するような活動は、やはり避けたほうがいいと、選択
すべきじゃないと個人的には思います。
ですので、規模の問題はともかく、医療の拠点であったり、出先の機関はどうや
って残すかというところに知恵を絞るべき、どうやってあるものを生かすかという
ところに知恵を絞るべきで、集約して何かできるようになるというのは、誰のため
なのかというところが抜けた課題になるというふうに思います。
今、病院で 40 人のスタッフを例に取ったら、規模の問題ではないです。むしろ、
27
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
地域存続のためにその人の技術があり、資格がある人たちをどのように生かすかと
いうことを、まず先に考えろ。それだけの人を集めるのは大変なことで、一度分散
したら二度と集まらないと思いますので、今いる人たちを地域の将来のためにどう
やって生かすかということこそ、先に考えるべき課題なのかなと思います。
15 歳未満 8 パーセントしかいませんので、本当にどんどん人口が減って、団塊の
世代も結局帰ってきませんでした。道路もよくなったんですけど、どんどん人口の
流出がさらに加速したということです。東栄町は人口のピーク、高齢者の人口のピ
ークは、全国で見ると、2025 年ということですけど、東栄町は、平成 22~23 年が
高齢、後期高齢者の人口のピークでしたので、既に高齢者の人口はどんどん減り始
めています。往診患者さんも減ってきてますので、在宅で済む人も減ってきている
と思います。
一番大事なこと、それから一番難しいことは、ビジョンの一致、目標の一致です。
地域の存続を声高にどこに向けても言い続けていますけど、高齢者の世帯の人に聞
くと必ず、「このうちは私でおしまい」という返事が返ってきます。「この地域も多
分、われわれの世代でなくなる」というふうなところが、かなりあります。実際に、
町の行政区、小さく分けた 15 のうち高齢化率 60 パーセントを超える地域が半数あ
ります。ですので、当然なくなるだろうなと、普通に考えればそう思うんですけど、
そんなふうに簡単に思っちゃっていいのかどうかということを常に問いかけてま
す。
繰り返し繰り返しいろんな人を集めて、地域の現在、将来、そのためには、どん
なサービスが必要なのかということを繰り返し、問いかけるようにしていますが、
それでも、実際には、なかなか話はまとまりません。今あるものを全部欲しいとい
うのが住民の希望ですし、議会ですら残念ながら、そうです。
ですので、誰かが、どこかでよくよく考えて決断しないと物事は進んでいかない
だろうなと思いますし、それは、町長と院長しかないと思います。
町長さん、院長先生も大変だと思いますし、相当批判も浴びると思いますけど、
それは、住民からもそうですし、職員からもだと思いますけど、でも、決断しない
としょうがないですね、やれないものはやれないということです。
東栄町では、とにかく、住み慣れたわが家で最期までということを、在宅医療は
ある程度担保されているということもありますけど、最期までうちで住み続けるた
28
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
めにどうしたらいいのかということをずっと考えてきました。介護保険事業計画の
なかでもそういう話をしています。ですので、ある意味生活を維持するには病床を
どう使うかというところは、そこから漏れるところに対しては在宅や施設のバック
アップにどうするかと、機能をかなり絞られるんです。医療の流れから行くと、函
館に大きな病院があって、リハビリ施設があって、老健があって、老人ホームがあ
って、在宅になる、こういう流れになるかと思いますけど、本来の地域包括ケアの
視点からは全く逆さまで、在宅で済むためには、どんなことが地域の中でできて、
家や地域の中でできて、公的サービスがどんなサポートが出てきて、そこから漏れ
るところを足りないところを、どう、医療が支えていくんだと。地域の医療機間が
どうだ、それができないところは、2 次医療機関、3 次医療機関というのが本来の形
なんですね。逆ピラミッドなんです。ですので、地域包括ケアに携わるものからす
るとピラミッドを逆さまにしないと、順番が逆さまにしないと話がうまくいきませ
ん。
まず、時間がないので、ということで、一生懸命にやってきましたけど、規模の
問題だとか経営形態の問題って、そんなに大事なことじゃないかなというふうに思
います。公設民営化して一番良かった、私自身大きな影響があったかなと思うんで
す。いろんな問題が起きても辞めることができないので、倒れるまで辞めさせても
らえないということが、一番大きなことだったかなと思います。でも、やるべきこ
とはやらないといけないし、いろんなことで言えば、医療事故とかで責任とって辞
めなきゃいけなのかとか、将来あるかもしれませんけど、そういうことが起きない
限りは、がんばってやろうという覚悟だけは決まりました。
あれも欲しい、これも欲しいという住民の視点もありますけど、実際の落としど
ころは、やっぱりよくよく勉強して、それから、トップの方だけではなくて、周り
との連携も非常に重要ですので、その病床も 175 床減らさないといけないといって
も、実際に稼働しているのは多分、今、現状そのままだと思うんです。全然減らす
とかという実感は多分ないと思いますし、それどころかマンパワーの問題からした
ら、むしろもっと少なくしないと供給できないんじゃないかというのが実際の感覚
だと思います。
ですので、どういうふうにまとめていいのか分かりませんけど、住民の生活の視
点、地域の将来の視点から介護、医療全体を含めた大きな計画をもう一遍、いろん
29
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
なセクション、介護の部分、医療だと広域になるかもしれませんけど、地域包括ケ
アの視点のところから、もう一遍、この厚沢部町ならではのところを、もう少し抽
出して、その上でそれぞれの自治体の、地域包括ケアもあると思いますので、すり
合わせを行いながら、共有すべきもの、効率を目指す、変えるべきものを、探って
いくということが本来の姿じゃないのかなというふうに思います。
まとまりがなくて大変恐縮ですが、事務長さん、院長先生が、倒れる手前で、と
まるぐらいで皆さんサポートを、倒れてしまっては元も子もないものですから、で
も、倒れる手前までは働いていただいていいと思います。皆さん、サポートを、協
力をお願いできればなというふうに思います。
長
数字のことに関心があるので、税金投入分はどのくらい確保していたか、今どの
くらいお金がたまりましたか。
丹羽
お金は、右側のほうが平成 19 年から繰り入れが終わりましたので、6 年間繰り入
れなしで過ごしました。残念ながら、病床稼働が落ちると赤字が増えていきます。
3000 万、6000 万、今年 9000 万ぐらいの赤字になっていますけど、残念ながら、そ
れだけ赤字の分だけ、今は入れていただいて、最小限の手持ちの資金で運転してい
ます。
公設民営の契約は 10 年ですので、あと 2 年間。2 年先どうするかということを、
今真剣に話し合っていますし、他町村との連携、新城市民病院との連携も含めて大
きな枠組みでの医療の仕組みづくり、経営形態までは、ちょっと言えるかどうか分
かりませんが、そういうものを、今一生懸命模索しながら連携をするようにしてい
ます。ただ、それがうまくいかなったらどうするのだという、二の手、三の手も当
然考えています。
大体、1 億 5000 万ぐらいずつ繰り入れがあったものはゼロになるわけですので、
町のほうでは、8 年間でかける、入れたものがあるにしても、8 以上のお金は残って
いるかというふうに推定していただければいいのかなというふうに思います。
長
ありがとうございます。
次の第 2 回目以降で、ご質問とか、追加で資料の提供をお願いしたいと思います。
道庁の荒田局長、飛行機の都合があります。局長から一言コメントをいただきます。
荒田
道庁保健福祉部地域医療推進局の荒田です。
厚沢部町、そして南檜山地域の医療につきまして、活発なご議論をいただきまし
30
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(荒田)
て、今日は本当にどうもありがとうございます。
まず、地域医療構想の関係について申し上げますと、南檜山圏域では 10 月 2 日に
第 1 回の調整会議を開催いたしまして、地域医療構想についての考え方についてご
説明し、地域において 2025 年に必要となる医療の量を検討していただいておりま
す。報道では、病床が減るということがかなりセンセーショナルに取り上げられて
きましたが、まず必要となる医療の量を地域の皆様に共通に認識していただくため
に、この作業を進めております。そして、次の段階として、医療機関の連携体制や
個々の医療機関の具体的な役割を検討いただくということで考えております。
地域医療構想は 2025 年の目標ですので、そこに向けての検討は時間がかかる可能
性もあります。もちろん、病院改革プランとの関係がありますので、ある程度早期
に固めていく必要もあると考えておりますが、状況の変化などに対応できるような
形で検討を進めていく必要があると思います。
これからの地域の病院のあり方を考える上では、やはり介護、住宅サービス等を
含めた地域包括ケアの視点を持って、地域の中で高齢者をどのように支えるか、そ
ういった部分についてまでご議論いただければと考えております。また、病床減と
いうことにとらわれることなく、地域の医療を守っていくためにはどうすればいい
のかという視点でご検討をいただければと考えております。
次に、道立病院関係の話も少しここでさせていただきます。長委員長からは生ぬ
るいと言われていますが、昨日道立病院改革プランの検討委員会で中間報告をまと
めていただきまして、その中で全部適応にすべしとの提言を受けました。今後、道
議会で議論しながら検討していくということになります。
道立病院の累積赤字は、先ほどお話もいただきましたように、巨額な数字が出て
います。現在 6 病院でやっていますけれども、コドモックルでは療育部門を病院会
計の中でやっているため、毎年そこでかなりの額の赤字があることも影響している
ものと思います。
とはいえ、江差病院も非常に厳しい状況が続いていることは間違いありません。特
に、江差病院につきましては、札幌医大からの医師派遣を受けて運営しており、そ
れは先ほど高橋先生からもお話がありましたように、そこの部分を今後どうやって
担保していくか、というのが大きな課題になるものと思います。あと、この江差病
院の機能ですけれども、やはり、厚沢部町、乙部町をはじめ、南檜山圏域の各町村
31
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(荒田)
との連携をより一層深めていきたいと考えております。また、函館の医療機関に入
院した患者さんが戻ってこられるような体制を作っていく必要があり、回復期に相
当する病床の確保にも取り組んでおります。
いずれにしても、非常に厳しい状況
が続いているところですから、これからもこうした機会などを通じて議論を深め、
地域の中でよりよい方法を検討していきたいと思っています。
あと、総合診療医の養成や道全体の医師不足の問題なども、本当は触れなければ
いけないのかもしれませんが、それらにつきましては、2 回目以降札幌医大の山本教
授も参加されますので、その中でお話していきたいと思います。
野崎
委員ということで、お呼びいただきましたので一言、感想になるかもしれません
が、ご挨拶を兼ねて発言させていただきたいと思います。
最初に、到着がぎりぎりになって申し訳ございませんでした。12 時 40 分まで高
等看護学校推薦入試の面接官をやっておりまして、終わり次第駆けつけたんですけ
れども、ちょっとぎりぎりになってしまいました。
厚沢部国保さんの方の改革というお話で、ちょっと油断してまいりましたけれど
も、道立江差病院に対する厳しいご指摘をいただきまして、私としても反省をしな
くてはいけない部分は多々あるというふうに思っています。
ただ、お話の中で、やはり、高橋先生のお話にもあったとおり、病院経営の中に
あって、やはり、医療従事者の確保、これをどのように考えていくかが大きな要素
となるのではないかなというふうに思っております。
長先生のほうからもご指摘ありましたとおり、医師をどのように確保するのか、
これが、一番のネックになるのではないかなというふうに思っております。
道立江差病院が道立ということで、現在、全ての診療科の医師は札医大から派遣
をいただいております。応援の医師も、今週もたくさんの先生に応援に来ていただ
いておりますけども、全て札医大の各教室から逐次派遣をいただいているというこ
とで、ある意味、これは、道立という看板があって、辛うじて協力をいただいてい
る面があると思います。
これを、今後どのように維持すればいいのかなということはぜひ、ご検討をいた
だければなと、検討の一つとして、ご議論いただければなというふうに思っており
ます。
それと、地域医療構想の話も出ておりましたけれども、まさしく、今地域におけ
32
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(野崎)
る医療をどう作っていくかという議論が始まったところでございます。
先ほど、丹羽先生のお話にもございましたとおり地域の医療をどうするのかとい
う議論をするときには、地域の声をきちんと聞いていくプロセスというのが、欠か
すことができないと思っております。
行きつく先としては独立行政法人というものも選択肢となりうると思いますが、
経営形態にかかわらずコスト、採算性を確保した形での病院経営というのを考えて
いかなくてはいけないということを考慮しますと、ある意味切り捨てなくてはいけ
ない部分、これは、住民の方にとってみれば医療サービスの低下ということになろ
うかと思います。
そこを、どのようにして住民の方の思い、組合の職員の同意を取り付けるのもも
ちろん大事ですけれども、それ以上に、地域の皆さんの了解を取り付けるプロセス
をきちんとしていく必要があるのかなというふうに思っております。
それと、道立江差病院という立場でいいますと、厚沢部町さんの、ある意味ご英
断でこの時期に、このような全国の専門的な先生方をこの地に呼んで、病院の在り
方を検討するということは、本当にタイムリーなことだと思うんですけども、私ど
も江差病院は一応二次医療圏の病院ということでございますので、こういった議論
を他の町の皆さん方にどのように波及させていただくのか、そのプロセスをどうす
るのかということも、今後考えていかなくてはいけないのかなというふうに思って
おります。
本来であれば、もう少しきちんとした話をまとめてするべきだと思いますが、感
想という形となってしまいました、申し訳ございません。
長
独立行政法人は、公設民営ですから従来どおり、国立大学ならびに各大学の派遣
についてはいささかも変更はありえません。日本海総合病院ですが、山形県立病院
と酒田市立病院が統合して独法になりまして、1 人も医師は辞めていきません。
山形大学と東北大学ですが、独立行政法人になったから、医師の派遣が厳しくな
ったことはなくて、逆に 40 名増えているんです。やりがいのある独立行政法人にす
れば医師の供給は増えるということです。
独立行政法人にしたら札幌医大が派遣しなくなるというようなことがあると、ど
なたかが言っていますか。
33
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
野崎
具体的に確認をとってるというわけではもちろんございませんけれども、道立病
院から、例えば、移管をした広域紋別は、広域事務組合でやっておるんですけども、
やはり、医師の確保という面では、現実は苦労しているというのは聞いております
ので。
長
総務省は、事務組合はやめてくださいと言っています。
それでは、多少ご質問など受けますが、最後に林委員から、総括も含めてお願い
します。
林
本日は、実際現場で病院運営されてる先生方の話をお聞きして、本当に共感する
ところは多いと感じました。私と、同様な認識を持っておられるというふうに思い
ました。
それで、本来、私は元厚生労働省の研究機関の職員でございましたので、もっと
大所高所からお話ししたほうがいいのかなと思っておりましたが、私、地域医療再
生基金の副座長を務めておりまして、各自治体の、例えば、荒田先生のような方が
大勢、全国から集まって、わが県がこうしてる、ああしてるということで、コメン
トをする立場だったんですけども、そういう話はたくさん聞いておりましたし、私
自身公務員だったものですから、何となく公立病院のイメージというのは、つかめ
てきたつもりなんですが。しかし、実際私も公務員を辞めてから 3 年優にたちまし
たけども、実は辞めてから、昔、私は若いときは産婦人科の医師をやっておりまし
て、しばらく医師を離れておったものですから、私は地域医療をちょっとやってみ
たいなというふうな気持ちになりまして、公務員を離れて、オーソリティが長かっ
たわけですから、もっと現場に沿った仕事がしたいなと思いまして、実は私は、今、
ある医療法人の老健施設におります。それで私が務めてる医療法人というのは、関
西系の法人なんですけども、隅田川のほとりの救急病院で、白鬚橋病院といいまし
て、この江差病院との比べてみますと、何か規模が似ているんです。例えば、江差
病院の医師 13 名に対して白鬚は 16 名。病床数も同じぐらいです。200 床以下です
から、看護師がちょっと多くて、全部で何人か具体的に覚えておりませんが、職員
は病院のほうは 170~180 名近くいるんでしょうか。ところが、私、いろいろお話し
を伺ってると、例えば、白鬚橋病院の職員たちのほうがはるかに働いているんでは
ないか。申し訳ないですけど、そういう印象を持ちます。
というのは、例えば、救急受け入れが年間 580 何人という数字が載っておりまし
34
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(林)
たけども、白鬚の場合、年間、救急車が 9000 台来るんですよね。ということで、そ
れを 16 人の医師でやっております。看護師の確保の問題なんですけど、実は救急病
院は医師は大事なんですけど、看護師はもっと大事なんですね。というのは、ケア
のほうは、全面的に看護師がやりますから、それで 12 対 1 の基準でやりますと、非
常に本来は厳しいんですが、私どもが調査しましたところ、例えば、夜勤の患者さ
んからのコールがあったときに、大半は、8 割以上は、実は医療の問題ではなくて、
水を飲ませてほしいとか、トイレ何とかしてほしいとか、そういう話が多いわけで
すから、看護師の夜勤は極力抑えて、看護補助員を投入しているわけです。それで
十分やりこなせるわけで、結局は年間利益、高橋先生がちょっと先ほどおっしゃっ
てましたけど、先生のところ 1 億ぐらい黒字。
高橋
1 億から 1 億 5000 万。
林
ですよね。白鬚の場合は、今の規模、江差病院と同じ規模で実は減価償却費を全
部差し引いて、純利益が 3 億ですということで、私がいる老健なんですけども、120
床あります。私を含めて、私が常勤で、もう一人パート先生がおります。なんです
が、それでも看護師をうまく訓練して、ミニドクターみたいに訓練するので、それ
で十分回ります。老健というと、普通は、なんかあまり経営採算がよくないんじゃ
ないかという印象がありますけども、実は、私の老健は年間、それで純利益が 1 億
を越えてます。
ということで、どうして、そういうふうに違ってくるんだろうなと、公立病院と
比べて違ってくるんだろうなと考えるところなんですけど、実は、理事長が非常に、
この地域の医療はどうすればいいのか、絶えず考えておられる、方針もびしっと打
ち出す分けですね。病院経営の在り方について、こういう方向へいこうとはっきり
させていて、そういう強いリーダーシップのもとで、しかも権限があるということ
を、うまく運営しているように思えますし、東京都のあちこちでも、赤字だらけの
病院を引き受けてくれ、引き受けてくれと話がたくさん舞い込んでおります。一生
懸命、最小限に抑えてるというのが、やりきれないものですからというような現状
があります。
それで認知症対策なんか、例えば、老健で作りますと、認知症対策に力を入れな
きゃならないわけですけども、認知症対策は必ずしも精神科の先生が得意だと、私
は決して思いません。というのは、入所してきますと、老健に入所してくると、大
35
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(林)
体薬は 13 種類から 14 種類持って入ってくるのを見かけるんですけど、そのときに、
向精神薬を何種類も出してきてるというのが、大体、精神科の病院側からの状況で
す。私が施設長になってから、ほとんど向精神薬は切りました。それで、服薬も 6
種類以下にするということを方針にしておりまして、問題は起きません。
なぜかというと、認知症に対する認識が、どうもドクターでも、あるいは看護師
でも十分にトレーニングされてないんじゃないかというような印象を持っておりま
す。認知症の人は、知的な能力は非常に落ちてしまって、言うことがめちゃくちゃ
なんですけど、感情は十分に残っているということを、私は発見しまして、それを、
うまくよく観察して、対応していけば、暴力は振るいません。そして、向精神薬は
必要なくなります。そして、生活習慣のリズムをきちっと作ってやれば、みんな元
気になります。私は老健にいて 2 年間もいるんですけども、その間、亡くなった方
は 1 人だけです。
ということで、民間の、そういうノウハウは非常に大事じゃないかなというよう
な気がします。
あと、全体的な話なんですけども、長先生といろいろ仕事させていただいて、全
国の例えば、公立病院の物品購入の話を随分検討させていただきましたが、例えば、
北海道の車椅子のレンタル料が、全国最低のところのレンタル料に比べて 6 倍高い
です。それは、分かりました。それと、例えば、江差病院とか、あるいは佐々木先
生のところの病院で、もし、後ほど分かれば教えていただきたいんですけど、眼科
がありますね。そうすると、白内障の手術をするときに、眼内レンズを入れますね。
眼内レンズを幾らで購入されてるかお聞きしたいんですよね、実は。というのは、
病院によっては、1 万円で済むところがたくさんあるんです。公立病院は大体、その
3 倍以上の値で買っています。私どもの調査で。
そういう状況がありまして。というのは、公立病院というのは、あまりそういう
経営感覚が、恐らく非常に鈍感じゃないかという気がしてるわけです。その最大の
理由は、公立病院の院長さんって、正直言いまして、医療のことについては権限が
あるんですけども、経営面では、あまり権限を持たされてない。役所から総務部長
が来られたり事務長が来られたりするわけなんですけれども、でも、役所から来ら
れる事務局長や総務部長は 2 年や 3 年のうちに、また役所に戻っていくケースが多
くて病院の経営のノウハウを蓄積される前に異動してしまうということで、物品購
36
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(林)
入のやり方、経営のやり方について、いつまでたってもプロになれないというとこ
ろがありまして、そこが、私が長先生と意見が一致してるところで、だから、独法
化して民間もノウハウを導入したらどうか。こういう結論に至って、一緒に仕事を
させていただいてるわけでございまして、地域地域によって、その事情は違います
し、必ずしも私が申し上げた、今務めてる病院と比べるような単純比較するわけに
はいかないんですけども、しかし、物の考え方として、そういう方向があってもい
いんじゃないかというふうに思っております。
以上です。
長
ありがとうございます。
これで、各委員からのご意見が済みました。他にどなたか。はい、院長先生、ど
うぞ。
佐々木
厚沢部国保病院の佐々木といいます。本日は、うちの病院のために、いろいろな
ご意見を聞かせていただいて、本当にありがとうございました。
僕はちょうど 2 年前に、町長に、仲は悪くないんですよね。町長が、何とか厚沢
部をたて直してくれということで、2 年前の 9 月に赴任したんですけど、来たときに
思ったのが、3 人目の医師として赴任して、仕事が全然なかったわけですよ。一緒に
働いてる現場の皆さんもいますけど。何で僕がここの病院に来ることになったのか
と分からんぐらいの状態だったんですけど、最初に出された、スライドの中に、う
ちの病院は年間の医療収益が 2 億しかないのに2億 5000 万の繰り入れがあると職員
給与費が 150 パーセントだと。これ見たら運営に携わったことが当たったら、この
数字あり得ないだろうというのがすぐに分かるんですけど、もう、病院に来てみん
なの雰囲気は、うちの病院これでも大丈夫だよという雰囲気で、もう 2 年間たちま
したけど、決してあまり大したこと、誰も困ってないんですよね。実際、今の時点
では。これから先、先ほどの問題が出てきたように、困っていくということになっ
て、ちょっと病院の中でも運営のことについて考えないといけないなというふうな
感覚になってきたところなんですけど、職員の皆さんの代表として、僕が言わせて
いただきたいのは自分たちの病院の在り方を決めるのに、自分たちが意見をしない
ところで決めていいのかというのが現場の戸惑いなんですけど、現場の皆さんも、
実は相当な数字上の変化、おかしさというか、数字上の問題について、やはり、こ
の機会に病院にとってもみんな意識しないといけないのかなと。
37
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(佐々木)
僕が務めてた病院は、沖永良部徳洲会病院という、130 床のふるさとの病院に 10
年ほど勤めましたけど、もう、数字から見て分かるように職員給与の比率というの
は、45 パーセントぐらいで、明らかに営業収益もしっかり確保しないといけないと
いうことで、どうすればいいか。島に一つしかない病院だったので、救急車も通ら
ない。厚沢部の病院が決して、職員の人たちが医療を拒んだりとか、働いたりして
ないわけじゃないんですよ。うちの病院は残念ながら、入院も外来の患者さんも 31
パーセントしか来られない。決してうちが医療を提供できるんだけれども、受診し
てもらってないというか、他の方から流出してると、二つの考え方があって、自分
たちは、動くことによって皆さんの需要に応えられるどうか、答えてないのか、あ
るいは自分たちの病院は 30 パーセントしか頼られないのかというふうに判断する
と、どっちもあるだとうと。そういう意味で、うちの病院の中にもちょうどこの機
会に、病院の運営を改善したりだとか、病院の在り方を自分たちでも考えていこう
という会議が立ち上がって、何とか、先生方の意見も取り入れて、それで、これか
らの病院をどうしていこうかと、自分たちで考えると。でも、やっぱり大事なのは
東栄町の先生が言われたように、地域の存続するために病院が必要だと。病院は地
域に支えられてると。地域も病院が支えようという、みんなで手を組む気持ちとい
うか、意識を持って意識改革こそが大事で、ちょうどそのきっかけに今回の話にな
ったんじゃないかと。
職員の、先ほどの懸念はやはり、公務員から非公務員化になると、給与面とか、
待遇面で大変厳しい状況がくることがあって、そのことに関する懸念が、今の危機
感に結びついていると思うんですけど、だけど、いずれにしたって、これから先、
このままでは、駄目だという共通認識はできたので、やはり、院内改革も進めなが
ら、先生方のご意見を生かせるように、もちろん、最後は先生方とか僕たちが決め
るのではなくて、町から来られてる、この厚沢部町の町民の皆さんが、うちの病院
をどうしていってほしいのか、そして、町民の皆さんの意見が反映できていなかっ
たことも、うちの病院が 30 パーセントの受給率でしかなれなかった大きな要因ない
かと。
僕が何で厚沢部に呼ばれて来たのかというのは、町長しか、あまり分からなくて、
他の方は何のために来たのかが伝わってなかったというのは、やはり病院と行政、
町民の間の意識のずれというか、なので、東栄町の先生が地元にずっと残ってがん
38
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(佐々木)
ばっておられるように、厚沢部病院も地元の皆さんの、どういう病院になってほし
いか、どういう病院であるべきかということに敏感になって、変化していくことが
病院の存続のために一番大事なんじゃないかなと思いました。
なので、まとめにならないんですけど本当に、現場も変わってがんばっていこう
という機運が高まっていますので、ぜひとも、職員の皆さんのことも、頭に入れて
いただきたいなと。
道立病院が非常に厳しいご指摘を受けましたけど、2 次医療圏の中で、道立病院の
看護師さんほど、激務に耐えている現場はないんですよ。3 交代制で、あれを見たら
分かりますけど、その現場の看護師さんの超過勤務手当を見て、
「何だ、超過勤務を
出すような病院になって」と言うんじゃなくて、誰も長く働きたくないけれども、
超過勤務で頑張っている、そういうところにもぜひとも目配りをしてほしい。道立
病院の赤字の指摘も大事だけど、超過勤務で頑張っている現場への皆さんの配慮も
ぜひともやっていただきたいと思います。また、今後ともご指導、宜しくご鞭撻お
願いします。
本日はありがとうございました。
長
どうもありがとうございました。
もちろん現場の意見をよく聞くために今日来たつもりです。
佐々木
改革というのは、1 人では難しいなと思ったのが実感で、数字がすごい自分と気持
ちとはかけ離れても、現場に入ってしまうと、それに対して鈍感になってしまうと、
これでもいいのかなとか、だけど、北海道だからというわけじゃないと思うんです
けど、自分のところと、じゃ、他のところはどうなのかなと、例えば、松前町立病
院が出たりとか、例えば、乙部病院。乙部病院も大体うちと同じ規模で、大体同じ
ぐらいの収益規模なんですけど、ちょっと離れると、熊石国保病院という病院があ
るんですけど、あそこ、ものすごいんですよ。2 人の医師で、大体平均 70 床ぐらい
をずっと持ってて、国からの繰入金をもらって、それでは不安があるので、黒字が
出て、それを、町の一般会計に返すと。ですから、八雲町という病院で、八雲総合
病院でものすごい大赤字を出してる病院があるので、それで、熊石総合病院が町立
のがんばりは評価されてないんですけど、だけど、こういう資料とかを見れば、そ
この病院がどれだけ頑張っているかというのは、見れば数字でしか見てないので何
とも言えませんけど、医業収入というのは、現場の人たちの一つ一つの動きが積み
39
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(佐々木)
重なって数字になってるので、それこそが、一人一人の働きの総合評価というか。
なので、自分は、自分たちの病院の運営会議とかの中でも、熊石総合病院はすごい
よと思ったときに、やはり、そこのスタッフはどうやって、そういうことになって
るかとか、そういうところにも、これから、やっぱり自分たちは配慮したりとか、
そういう熊石総合病院にしても、松前町立にしてもそうですけど、ああいう落ち着
いた病院には、しっかりした事務長がいて、先ほど言った事務長が 2 年ごとに交代
するんじゃなくて、病院の方向性を見据えた、やっぱり展望とか、そういうのも大
事なんじゃないかなと。なので、自分たちも、スタッフも伝えますけど、分からな
いといけないのは、あの、数字というのは、とんでもなくすごい驚くべき数字なの
だよということを職員の皆さんもこれから一緒に共有していきたいと思います。
長
どうぞよろしくお願いします。
他に何かご発言があればどうぞ。
はい、町長。
渋田
私、一つアドバイスもらいたいんですが。今、南檜山の圏域医療調整会議という
のが、南檜山のこの地域の医療調整会議という、今のモデル、次のランクの計画で
す。この中で、今、もう 1 回目の会議がされて、2 日。10 月 2 日の日に 1 回目やら
れてる。今、これから何回かやって最終的には、今年は南圏域の入院ベッドはこれ
だけですよと、抑え方をするはずです。そこで、後の、課長は、われわれが説明を
した中では、あくまでも 45 パーセントの減ということで、目安ですよと、こういう
発言をしました。目安ということは、じゃ、自由に動ける数字なんですねと言った
けども、あくまでも目安という言葉を使わないんですから。
そこで、今私どもこういうふうに、この会議を進めながら、これから、2 回、3 回
とやっていきながら、この、今の調整会議というのは、非常に私は邪魔になってる
ような気がしてるんですが、どんなもんですかね、先生。これ調整会議の中で、平
気で一方的にやるとは思いませんけど、われわれのベッドだって、今 45 減らされた
ら困る。ですから、そんなことは、到底われわれはオーケーできませんけど、オー
ケーはできませんけど、南圏域の中で目安としてどこかにしわ寄せがいくと考えた
ら、ですからわれわれ、今、こっちの検討会議を進めながら、どう、圏域の出し方
に対抗していくか、そして、あるいはわれわれの守り方をするか。
いいアドバイスが欲しいなと思っておりました。
40
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(渋田)
長
お気持ちはよく分かります。連携調整会議が、調整できて、それを実行できる。
しかし、具体案がないとできっこない。江差の超勤がものすごく多くて、病棟も閉
鎖、看護師さんは限界まで働いてるんだと思います。病床を減らすなんてことを誰
がやるんですか。1 人解雇するのも大変ですよね。45 パーセントの人間はどこか行
ってくださいということを言えるわけないじゃないですか。
だから、連携調整会議が結論を出してもかまいませんが、具体的にどの病院で何
名減らさなきゃいけないのか、開設者・院長がどうやって具体的に人員削減するか
とか案を出してもらわないといけない。
渋田
要するに、法律ができて、要するに、交付税をその分減らしますよと、ムチを使
ってくるわけですから。道は、こういうふうに方向にしますよと、南圏域では、オ
ーバーしてる分はオーバーしてますよと、こういう中で圏域の調整が入るわけです。
その中で、要するに調整しても、金は減る。
長
ごく普通の意見です。
あまりお金を掛けずに、今の病院はまだあと 20~30 年使えるでしょうから、過疎
債でも出してもらえば、改装して新しい病院を造れる。
佐々木
造れば来ると思います。
長
最終的に、医師をどのくらい招へいできるか具体案が必要。連携調整会議が具体
案を出せるかです。
林
とてもいい意見だと思います。じゃ、今町長さんがおっしゃったように、じゃ、
道立病院のベッドをバサッと削ればいいじゃないかという発想。そうすると、公立
病院のほうはけがするわけですよね。できたらみんなハッピーで終わらせたいとい
うのが、一番いい回答になると思うんですけどね。果たして、方法があるかどうか
ということなんです。
今、紹介していただいたように、実は私どもが新潟県でやったというのは、魚沼
市立、県立ですか忘れましたけど、あそこですが、まるっきり建て直して、実は県
の医師看護師の教育機関に鞍替えさせてしまったんですけど。そこの、院長さんが、
実は、新潟大学に再生基金で寄付講座作ってもらってるんです。そこの院長さんを
新潟大学の寄付講座の教授にしたんです。その教授を公募するときは、全国公募で
した。そうしますと、今度新潟が出身の学生は、魚沼の病院にみんな行くわけです。
41
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(林)
その先生たちを、研修させながら新潟県の僻地のほうにどんどん派遣していくわけ
です。そうすると、勉強しながら、地域医療も解決できる。そして、2 年間の赴任の
後、帰っていたときに、また、より高度な医療のほうも勉強できる、両方できると
いうことで、新潟の魚沼病院も非常にハッピーだし、そして新潟大学の病院も、非
常にハッピーで、みんなハッピーで終わってるんです。
その県立病院の運営は実は県から、正直言いますと県のお役人さんとも、どこか
天下り先が欲しいわけなんで、そういった社団法人を作って、県立病院の運営に当
たらせたそういう組織を中間に挟んだんです。
そいう形で、県庁もハッピー、みんなハッピー、そういう形にして運営してうま
くやっておりますので、それこそベストの解決案がもし可能だとすれば、江差病院
も札幌医大の関連病院の付属病院みたいな形にして、そしてそこの院長さんも、札
幌医大の教授にするという形であれば、性格はまるっきり変わりますから、教育病
院ですから、単なる地域医療の病院ではありませんから、地域医療の病院だと、法
律にのっとって病床規制も稼働率が悪いから減らせという話になっちゃうんですけ
ど、教育病院だったら性格は一変しますから、また、話の筋書きが違うと、そうい
う仕掛けだったんです。
長
調整会議は、今後頻繁にやるでしょうから、高橋さんみたいな人で、民間の人だ
ったら、きちんとした対案を出してくれると思いますけど。
佐々木院長はどう思われますか。
佐々木
結局、僕がそのときに言ったのは自分たちの病院は、今日開かれるあり方委員会
が開かれる。かたや、総務省の考えで、調整会議が開かれる、そしたら、同じ船に
船頭が 2 人おったら進む方向が決まらんから、上がそういうのを分かっていて、そ
ういうことを言ってるんですかと。結局、このあり方委員会も、一生懸命議論する
んだったら、それが反映されなければ意味がないって、そういうところも考えてい
ただきたい。
高橋
調整会議は、厚労省マターだと思うのですけれども。
佐々木
厚労省ですか。
高橋
ええ。
佐々木
この委員会は総務省。
高橋
実は、その調査会議を私ども、南渡島圏域では、急性期部会と慢性期部会があっ
42
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
て、慢性期部会は、私は座長をやっているんです。あれは、あくまでも、レセプト
データ、DPC データをもとに、その地域でどのくらい病床数が必要なのかという、
あらましを出しただけなんです。その、大もとになるのは、超急性期、急性期、回
復期、慢性期で入院基本料を除いた出来高点数で 3000 点とか 600 点とか、そういう
点数で区切って、ですのでこの町のデータがそのままいってると、それを元に 2 次
医療圏域で出しているということなんです。それで、あくまでも参考値であって、
その地域で何をやりたいかということはそれぞれの圏域の調整会議で話し合って決
めてくださいということなんです。無理やり、提示された病床数に収めろとは言わ
れているわけではないのですけれども、当該地域で何が求められて、何をどうした
いかということは調整会議で提案するとともに、あれは、あくまでも 2 次医療圏で
の話なので、もっと 1 次医療圏ごとに細かくやればそんなに問題がないのかもしれ
ませんけれども、当然のごとく、南渡島圏と南檜山圏は患者さんの流出入がありま
すので、そういうことであれば、調整会議も、私たちのところと時に一緒に合同で
全体を考える、例えば一体ベッドがどのくらい必要なのかということを、そういう
ことを考えていかなければならないので、40%、50%だから、じゃ、そこにしなさ
いよというわけではなくて、あくまでもデータを元にぽこっと出てきたものなので、
松田晋哉先生が言われているように、あまりあの数字に縛られないようにしたほう
がいいんだろうなというのが、先ほど、荒田局長も言われたことだと思うんです。
長
院長さん、この委員会だけで、解決できる問題じゃない。
佐々木
そうです。だから、それぞれの病院の役割を再認識するということでは非常に大
事なので、もちろん、自分たちの病院があり方委員会の中でも、自分たちの病院の
在り方も決まるし、南檜山の中で自分たちの病院の在り方というのも、あらためて
再認識できるので、だけど、新しい病院を造ろうと思ったときに、こっちの意見で、
こっち、こっちの意見でこうすると、どこかでやっぱり詰め寄せで来る、それをし
ないといけないので、だから、僕はその会議で言ったのは自分たちの病院はこうい
うあり方委員会というのができて、自分たちの方向性が近いうちに決まってくるの
で、その意見を調整会議で反映できるようにしたいと、そういうことを。実際に 2
次医療圏決まってないです。乙部国保、道立、佐々木病院などと、奥尻島がありま
す。あそこは郊外なので、多分、別枠になると思います。この四つでもどうするか
です。この四つでどうするかといったら、百何十床減らせと言ったら、町長は考え
43
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(佐々木)
ると。結局減らすということは、さっき言ったように、片方が傷を負えば、片方が
なるという、そういう話にはっきり言って、それを言ってるので、それ以外の何物
でもない。それだけの話です。
僕自身の気持ちからすると、町民の人の 31 パーセントしか受診してないのは、も
しかしたら町民の方の期待に応えられてないのかなというのが、乙部は 50 パーセン
トだったりしますので。
長
そうですか。
佐々木
数字を見ていると。なので、そういう意味では、そういう部分の自分たちの病院
の在り方というのは、内部改革という意味では一つの方向として、その院内では解
決していくべきだし、院外対格の大きな流れの中でも改革は、こういう会議での中
での改革も入れていくことが大事なのかなと思ってます。
林
先生のところは在宅医療をやっておりますか。
佐々木
在宅医療やってるんですけどね。今までで亡くなったのは 2 人です。
林
在宅医療で、広げていくと、患者が集まってくるということはあると思います。
佐々木
在宅医療の希望があれば、受け入れる体制は業務の状況に応じてできるようには
なってます。
林
それと訪問看護ステーションと一緒に組むとか、あるいは病院の中で作るとか、
そういうこともあろうかと思います。
佐々木
今後は、そういう検討です。
林
先ほど高橋先生も、ちょっと仰ってたんですけど、この三つの病院のいずれかが
福祉施設、あるいは在宅に取り込む方向で持っていくと、流れ全体が稼働率がよく
なっていくんじゃないかなという気がするんですよ。私の勤めてるところも、老健
と病院のほうのやりとりも非常に活発です。ですから、うちに来てリハビリやって、
家に帰せる人は帰して、その帰した人は、また、私どものところの中に、訪問看護
ステーションがありますから、その人たちが行って、そしてまた病気になった場合
に病院に戻るとか、そうやって三角形の形で在宅と、老健と病院の三角形の形でや
っていくと、患者が集まってくるという現象が見られますですから、その上に、私
ども、また地域包括支援センターというのを持っていて、区から補助金をもらって、
10 人ぐらいの職員で、その地区全体に、いつも地域活動をやっておりますから、そ
れを通しても、また、利用者というのがいらっしゃるというふうに回して、一つの
44
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(林)
病院とか一つの施設だけで活動すると、活動範囲が広がっていかなので、減速され
て、そこの中でいくら努力しても空回りになってしまう恐れがあるような気がしま
す。それは、私の考えです。
佐々木
町民の皆さんの期待に応えられるような病院に変革していくことしか、どんなふ
うに案を出して、どんなにいいことをしての、町民の皆さんの期待に応えられなけ
れば、全く意味がない。逆にいうと、今のこの 31 パーセントの受診率とか、そうい
うのが上がる方向に行くことこそが、自分たちの病院改革が成功したかの指標にな
るんじゃないかなと。もちろん、それは在宅の方が増えると、受診率とかそういう
のも増えてくるでしょう。そこに対する役割が足りなかったのかもしれないなとい
うのが正直、今の自分の病院の置かれてる状況じゃないかなと思ってます。
長
送迎バスあったみたいですね。今はないんですか。
職員
今もやってます。
長
やってる、何台あるの。
職員
火曜日に、委託でやっています。
長
町長にも既にご提案しました。日本財団が、町長が日本財団に申請をしてくれれ
ば、送迎バス(巡回入浴、床屋、検診)など、寄付してくれるそうです。
佐々木
そうなんですか。
長
前にももらってるんでしょう、日本財団から。
渋田
もらってます。老人ホーム。財団からもらってるの。
長
先週、全米で一番最初にナーシングホームをやったサンフランシスコのオンロッ
クを、たまたま大新聞社の記者が 20 年前取材したという話を聞いたんで、見に行っ
てきたんですよ。それが、今全米のモデルになっているんです。その中で二つ感心
(長)
したのは、すごい立派なベンツの送迎バスが、シカゴ中を回ってお客さんを介護に
連れてきてる。そのバスの中で入浴させるんです。
職員
日本財団は 2 台まで出してくれるんです。
長
ええ、私も調査しましたが、仰るように 2 台までくれるそうですね。だから、CCRC
で働いている人に運転手やってもらうとか、仕事を作りましょう。
高橋
よろしいですか。
長
どうぞ。
高橋
手前どもは患者さんの送迎は昔からやっているんですけども、4 年ほど前から患者
45
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
さんのお見舞い家族を無料でドアツードアで、朝の 8 時から夜の 8 時まで、三つの
タクシー会社の社員を 3 人常勤雇用して、その方たちは観光マイスターを持ってい
たり、ヘルパーを持っていたりしますので、道すがら、いろんな観光あるいはお話
をして、苦情を聞いたりとか、そういうことをやっているんです。そうすると、遠
く離れたご家族の方も、病院のお見舞いに来ることができるようになったというこ
とで、非常に患者入院数が伸びたんですね。そういうことも、手としてはあるんじ
ゃないかなと。それは全国で初めてやらせていただいたんですけども、結構評判は
よろしいかなと思ってます。ちょっとヒントに。
長
高橋先生、その資料を拝見できますか。
高橋
宜しいですよ、今、毎日やっていますので。
長
各公立病院に勧めたいですね。いいですね。
高橋
お見舞い家族の送迎バスサービスを始めたきっかけですが、私たちの病院は函館
山の麓にあります。リハビリテーションを専門にしている病院ですが、ある時、入
院患者さんのご家族の住所を調べたところ、市内の基幹道路である産業道路から向
こうの患者さんはほとんど入院しておらず、産業道路沿いに立地する 5 か所の回復
期リハ病院に関所のように患者さんの動線を止められてしまっていたのです。それ
がわかった 4 年前から病院とお見舞い家族の自宅までドアツードアで無料送迎を毎
日午前 8 時から夜 8 時まで 3 人の運転手で回るようにしました。
佐々木
それはすごいですね。
高橋
入院患者数が増えました。
長
あと、函館の IT は全国モデルになっていますね。
高橋
この ID-Link は地域医療再生交付金を活用して南檜山全域の医療機関も導入され
たわけですけれども、それは患者さんの同意とインターネット環境があれば、例え
ば、市立函館病院から患者さんが転院された場合、処方薬も画像も検査値も文書も
温度板も、市立函館病院と共有することが出来ます。なので、例えば、厚沢部国保
病院から急性脳卒中で市立函館病院に送った場合、送った患者さんの全ての情報が、
場合によっては診療記録もオープンにできますので見ることが出来る。そうすると
地元に戻ってくるタイミングはいつだろうかとか、今後どうなりますかと急性期病
院に声を掛けたりとか、戻る場合には戻る場所を用意することが出来ます。
奥尻も ID リンクが入ってます。産婦人科とか、そういうところで。
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【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
佐々木
函館は把握していなかったです。
高橋
例えば、極端な話、私たちの病院の患者さんがアメリカに観光に行って、そこで
具合悪くなった場合は、ネットですぐ、本人の同意があれば、こちらの状況が全部
見られるということになってる。
佐々木
じゃあやっています。皆さんに同意してもらって。
高橋
余計なことですけど、他に、私たちは医療者だけのツールだけじゃなしに、サー
ビス事業所、それからご本人と家族、この方たちも巻き込んだ医療・介護・生活支
援統合型ソフトは既に全国で販売していますので、もしご興味があれば、いろいろ
なところの病院も使っていただいていますので、もしよろしければ、また。
やっぱり地域包括ケアシステムを作るには、やはり生活者の視点というのは非常
に大事なので、生活者の今後を支援するためには、その生活者ご自身の情報という
のは、大事だろうということで、ご本人の生活史、個人史は、やっぱり一番大事な
のかなと。そうすると、先ほどのコンパクトシティを目指さなくとも、集中じゃな
しに、分散でできるのか。いわゆる介護予防、生活支援というところは非常に大事
ですので、そういうことも可能なのかなと思っています。
長
なるほど。
他に質問があればどうぞ。
職員
よろしいでしょうか。
職員のものなんですが、貴重なお話し聞かせていただいてありがとうございます。
まず、大きな流れとして、国の施策があって、大きな流れだけでは厚沢部国保病
院ならという立場になりたいというようなことも分かったんですが、厚沢部町国保
病院のあり方検討委員会ということで、国保病院単独してでも、単度としてどうい
う在り方がいいのかという必要だと思いますので、そちらの、委員のほうに職員を
まぜてくれというんじゃなくて院長のかたがたの話した内容とかを、私たち職員も
共用してみたいということもありますし、職員の仲と話しすることによって、今、
ここで出てない問題とか、いろんなものが後課題とか、いろんなものがあると思う
んです。今先生方のお話しされた中でも実際の中の実情と異なってる点も多々あり
ます、実は。物品の購入の問題なんかにしても、ものすごく検討してます。検討し
て納入の実績の価格とか、全部調べてやってるとか、いろんなことをしてますので、
そういうようなことも、院の先生方と中の職員が少しで接点を持って対応できるよ
47
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(職員)
うな機会があれば、私たちも、いろんなことを発言してきまして、内部でもいろい
ろ、今院長先生のほうが、内部でもいろいろ改善するような委員会を作っていきな
さいということで言われまして、私たちもつくって、そういうものを発動させて病
院の中も改革していこうというふうに、今がんばってる最中なんですが、できれば、
そういう先生方と、先手を持ってるお話しして、いろんな問題解決していきたいな
というふうに思っていますので、そういうような機会をぜひ設けていただきたいな
というふうに思います。
長
実はね、一番最初に、貴院の全職員にヒアリングさせてほしいと申し入れしたん
ですが、貴院から断られたんですよ。
職員
そうですか、申し訳ありません。
長
いいんですよ。誰が断ったのか犯人捜しはしません。一番最初に全職員に対して
ヒアリングを行うということを通常申し上げます。こうやって 1 回目をやってみる
と、意外と理解が得られるから、今度はお断りくださらないようにお願いしたいと
思います。
私はコンサルタントじゃないので、コンサルタントするつもりは毛頭ありません
から、改革は自分でやることなんですから、当たり前ですけど。
職員
はい、分かります。
長
助言はもちろんします。だから、私の名刺には医療経営コンサルタントではなく
アドバイザーと表記しています。本業は公認会計士ですけどね。改革は自らやるこ
と。
職員には院長が怖くて言えない意見があるかもしれないから、ヒアリングをした
いと思っていたんです。1 日あれば、大体全員に聞けますので、不利益な情報を流さ
(長)
職員
ないという条件を付けて、お願いをしたんですが。
私は、職員の今の決して自分たちの主張だけ、一方的にしようというようなこと
ではなくて、あくまでも病院をよくするために、いろいろ意見をお聞きしたいとい
うふうに。
長
私どもが強いのは、国の応援があるということと、全国に公開してやってるとい
うことです。病院のほうも、本当に努力をしないと、恥をかくことになるし。
職員
そこら辺も、もちろん町長と院長先生の考えにお任せしますので、ぜひ機会だけ
でもいただければと思います。
48
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
長
協力はしてください。
職員
はい。
長
他には。
職員
他にはですね。
丹羽先生の意見がとても意見といいますか、発表されました内容がとても参考に
なった点があったんですが、地域から病院がなくなれば元も子もないというふうに
私は思うんです。例えば、町村合併でも、私の友人とか、仕事関係で町村合併した
とこで、吸収される側に立った町の人間が、やっぱりしなきゃ良かったという人が
ほとんどです。そのときは、補助金もらったりとか、いろんなアメがあって、いい
思いをしたかもしれませんが、最終的に今に至ったら、もう町村合併した、吸収さ
れたほうも、もうちっちゃくなるばかりで、いいことが全然ない。やっぱり病院も
同じだと思うんです。なくなってしまえば、この地域には、なかなか病院なんてい
うものはできないと思いますし、この小さい地域で、病院で 40 人近い職員というの
は、ものすごく大きな企業でもあるんですが、だから、できればなくしない方向で、
いろんなことを考えていけないかなというふうに思ってます。また、高橋先生のい
ろいろご活躍された内容も、前から聞いてはいたんですけども、大変参考になる面
があったんですが、ID リングなんかもすごいいいものだと思うんですけど、いいも
のなんですが、実際には、なかなか活用されてない面というのが、ちょっと私の口
からいうのはなんですが、あるものですから、そういうものをもっと活用していき
たいなというふうにも、私自身も思います。
高橋
ありがとうございます。ID リング等々は、やっぱり使われる方に、どうやって意
識付けするかというところが非常に問題だと思いますので、もし、機会がありまし
たら、そういうお話もさせていただけるのかなと、これとは別に、ボランティアで
させていただければなと思います。
それから、あと、地域の中でその病院の在り方というのを、これを考えていくと
いうことなんですけども、その病院というものの中に、今は施設も造ることができ
ますよということです。施設の中でそこに、お住まいとして活用もこれからできる
ようになると。そうなると、職員も減らす必要はないのだろうというふうに思って
います。やっぱり、私たちの病院も、今年で 121 年目を迎えます。地域の中でどう
やって生きて、地域のために何が貢献できるかというのを考えて、470 人の職員と、
49
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(高橋)
その家族を守るために、がんばってきたという思いもあるわけなんですけども、そ
の中で、やはり職員が生きがいを持って、働きがいを持ってここにいていいねとい
うふうに思えるような、そういうことは常々考えてますので、ここを辞めたから、
じゃ、どこかに行かなきゃならないねとか、結局、厚沢部国保病院はそこの地域の
核でもあるわけですよね。地域にとって非常に大事なところであると、そういう生
活する場にもなってるわけですので、そういうところは、必ずといいますか、念頭
に置いてお話ししていく必要はあると思ってます。
長
他にどなたかありませんか。はい、丹羽先生、どうぞ。
丹羽
市町村合併のことについてですけど、東栄は単独で幸いだと思いますけど市町村
合併せずにすみましたが、結局どういうことかというと、守るべきものを明確にし
ないまま、アメだけにつられて合併しちゃったということですね。あれもこれも全
部取られたと、取られたことだけしか目が行かないので、何もいいことがなかった
ということだと思います。ですので、逆に医療や介護の分野でいけば、この、医療
のここの部分だけはかっちり守るんだというのさえあれば、あと全部失っちゃって
もいいんだと思うんですよ。別にベッド要らないし、生活して上で、われわれは何
ができるのかということを、何をするのが一番最大の貢献、貢献と言い換えると、
地域の住民がここで住み続けていって、地域に貢献するために、われわれはどんな
支援ができるのかということだと思うんですけど、それは必ずしも入院でもないし、
外来だけでもないかもしれません。ただ、病院の中だけで訪問診療とか、外に出な
いと、実際に、この地域に住むかたがたが、どんなサポートを必要としてるのか、
病院の職員は知らないんですね、実際に。東栄病院ですらそうです。
恐らく外へ出ないとなかなか分からないので、高齢者のかたがたの生活だとか、
例えば、若い世代の職員の人は知らないんじゃないかと思うんですね。
そういう意味ではもっともっと病院職員は地域包括ケアの中で自分たちの役割を
真剣に模索しないと、本来の意味で、生き残れないと思います。地域だとか、函館
だとかの役割分担ができて、連携できる地域とやっぱり一段違うところがあると感
じてませんでしたか。
われわれ僻地の場は役割分担できるほどの部門がないんです。1 人が多機能です逆
に言うと、小規模多機能に近いような感じです。
そういう意味では、1 人が多機能で、核になる職種役割はあるにしても、プラスア
50
【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
ルファの部分を重ね合わせながら、穴を埋めていく作業を、生活する上でしていか
ないといけないので、そういう意味では住民の生活を知りながら、その中で自分た
ちの地域包括ケアを築いていって最後に医療でどこを賄うのかということが決まら
ないと、地域医療構想の中での病床の役割というのは全く決まってこないので、都
市部での病床区分はわれわれには全く意味がないと思うんですよ。われわれ独自の
地域包括ケア、逆の発想で上から攻めていかないと、本当に病床がいるのかどうか
決まらんと思うんですね。ですので、45 床、何床か減らそうかという意味も、意味
不明ですね。守る意味も不明です。そういう意味では。病院の皆さん、町長さん自
身も本当に要るかどうかって分からんじゃないですか、減らせと言われれば、ただ
感情的に反発するだけの話で、ですので、予測ですので、差異はあるにしても、上
から積み上げていく作業を今からでもやったほうがいいんじゃないかと思うんです
ね。
第 6 期の介護保険事業計画の中で厚沢部病院の役割ってどんなふうに位置づけら
れてるんでしょうか。
職員
何が今、困ってるかというと、厚沢部町内ではショートステイを使える施設が決
まってて、そのショートステイというのも、レギュラーというか毎回使う人が決ま
ってるので、新規にショートステイを使うことができないというのが、そういう場
合の患者さんをレスパイト入院というか、そういうのをやりますよと言ったら、最
近は少しずつレスパイト入院の患者さんは増えてきてますけど、介護に対して、じ
ゃ自分たちの病院の役割を僕も含めてスタッフも自覚してるかというと、結論から
言うと、レスパイト入院以外はあまりないかもしれない。もちろん、僕たちも看護
師施設に週に 1 回見には行きますけど、でも、それは介護というよりは、医療に対
(職員)
丹羽
しての医療人として行ってるので、介護の中のお役割はしてないです。
そういう意味では生活を支援する姿勢がプライマリケアレベルでは必須に、これ
からなってくると思いますので、そこの部分ののびしろってすごくたくさんあると
思うんですね。医者の役割、看護師の役割、専門職の役割は、たくさんあると思う
んです。ですので、逆に言うと、病院の入院医療をやってる場合じゃないかもしれ
ないですね。本当に生活していく上に必要な人員、例えば、入院患者さんが増えち
ゃったら、職員倒れるんじゃないでしょうか。今のまま、これで 10 人プラス看護師
が 6 人入って 10 対 1 とれば、35 人入院させれば、経営一気に黒字になると思うん
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【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(丹羽)
ですよ、だけど、そんなことしたら多分、職員倒れますよね。町の財政も倒れると
思うんですけど。ですので、少ない人員で確保も、多分、10 人何てあり得ない話で、
1 人 2 人、やっとやっとがんばってやってるのに、少ない中で、町で本当に必要なわ
れわれができる能力を、もう少し、視野を広げれば、たくさん、たくさんあるんじ
ゃないかなと思いますし、ベッドを残すという選択が本当は正しい選択じゃないか
もしれないというふうに、今、ちょうど東栄町がその辺りにいますので、真剣に検
討してるところです。同じ課題を抱えてやっとやっとベットを維持してるので、本
当にこんな苦しい思いをして、ベッドを維持せなあかんのかなというところに。き
ょうできれば病院の中を見学に行きたかったなと思います。
長
そろそろ終わりにして、病院を見に行きましょう。5 時に出発します。
林
町内で、例えば、そういったショートステイの仕組みがあるとか、病院でそうい
うような利用の仕方があるとか、町民の何パーセントがそれをご存じですか。
職員
結局町民の何パーセントというのはあれですけど、ショートステイを利用される
方は、介護保険を受けてる人なので、ケアマネさんは理解されてると思います。
林
一般町民の。
職員
一般町民の人は、農作業が忙しくなったから入院とか、そういうのは、多分、分
かっておられない方が多いかもしれない。
林
実は私がいる墨田区では、住民の 40 パーセントしか知らないですよ。それが、区
で調査したんですけどね。そういう存在も知らないから、利用の仕方も知らない。
知らせるための努力は果たしてしてきたのかということが、まず問題になるわけで
すね。
それと、介護保険を使ってケアしてもらえるということは、病院の感覚でいくと、
病院が一方的に面倒を見てくれるんだという意識が、とかく住民の間に生じがちな
んですけども、実は介護の面というのは、施設と家庭のケアする方が協働でやって
初めて成り立つ話で、どちらかが全面的に背負うというと、みんなくたびれちゃっ
て、どうにもならなくなる施設側もくたびれて、あるいは逆におうちにいる方もす
っかりくたびれ果てて、それにつながる医療の質が、すなわちその地区では非常に
質が低いという話につながりますので、やはり、先ほどから出てくるように、じゃ、
住民とともに国保病院、あるいは施設が一体どういうことをすれば住民と一体にな
って地区の質を、医療介護の質をあげられ課というコンセプトをしっかりベースに
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【第 1 回 厚沢部町国保病院の今後のあり方検討委員会 議事録】
(林)
して、その上で、どの部分が病院として必要なのか、どの部分が介護として、町と
して、増やしていったほうがいいのかそのバランスの中で視聴できれば、改革も案
というのも自然と浮かび上がるんじゃないかというような気がしますし、道庁に主
張するときも、とても強力な根拠ある説明になるんじゃないかというふうに私は思
います。
長
じゃ、時間がまだ少しあるので、病院を見せてください。ゆいまーる厚沢部も。
ここに住みたいかどうか見ていただきたいのです。
本日会議は録音をして、会議録のほぼ原本を町のほうで公開をお願いします。
それでは、今日はどうもありがとうございました。
また、次回もよろしくお願いします。
(了)
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