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「学校英語教育」の理念としての 「観光立国」の提案 - JAFIT

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「学校英語教育」の理念としての 「観光立国」の提案 - JAFIT
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
《論 文》
「学校英語教育」の理念としての
「観光立国」の提案
さ い と う
か つ
み
斎藤 勝己
元ブラックボックス・ネットワークサービス㈱
代表取締役社長
The purpose of this paper is to introduce the principle of Tourism Oriented Country, which is one of the Japanese national
policy, into the School English education. However, Tourism is managed by Ministry of Land, Infrastructure, Transport and
Tourism(MLIT), on the other hand, English education is managed by Ministry of Education, Culture, Sports, Science and
Technology(MEXT). Through discussions of this paper, it is advocated that the two Ministries should cooperate each other, in
order to achieve both objectives, better English communication skills for MEXT and more satisfied incoming travelers for MLIT.
As a result, this cooperative movement will improve the international relationship between foreign countries and Japan by doing
various cultural exchanges in English among ordinary Japanese people.
キーワード:学校英語教育、観光立国、文部科学省、国土交通省、英語による国際交流
Keywords;School English education, Tourism Oriented Country, Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology
(MEXT),Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism(MLIT)
, English communication skills
1.はじめに
から目標の2000万人、さらに、3000万人
単な英語で的確且つ丁寧に答えることは
本論文は「学校英語教育」の理念の一
にする土台になるのではないか。一方、
最も基本的なコミュニケーションであっ
つとして「観光立国」を導入することを
いわば2020年東京五輪のキーワードであ
て、最も初歩的な「ソフトパワー」では
提案するものである。「観光立国」という
る「おもてなし」は、接客態度やモノや
ないのか。小さなコミュニケーションが
国策が、草の根レベルでの文化交流を通
サービスをツールにした接客法としか理
積み重なれば、近未来において「ソフト
じて、究極的に「国際平和」に貢献する
解されていないのが現状ではないか。と
パワー」が定義する「国際関係」に必ず
ことに着目したからである。
ころが、接客時に言葉で互いの意思と関
好ましい結果がもたらされるだろう。
今やインバウンド観光客2000万人時代
心を伝え合うことがなければ、せっかく
が到来しようとしている。2015年1月21
の「おもてなし」がしっかりと相手の心
2.先行研究
日付けの朝日新聞朝刊が次のような記事
に届かないだろう。そのために国際共通
前章において取り上げた「おもてな
を載せた。
「2014年に日本を訪れた外国人
語である英語を必然的に使うことになる
し」
、
「ソフトパワー」及び「国際平和」
は、過去最多の1341万4千人に達した。
のではないか。実際に国際共通語である
については先行研究がある。
「おもてな
日本で使ったお金も2兆305億円と過去
英語を使うことは非常に重要で、観光が
し」に関しては、英語でHospitalityと表
最高になり、ホテルや小売業には好影響
「ソフトパワー」
と呼ばれるものの一つと
現され、最近では五十嵐元一(2013)(3)
(1)
だ。
」
まさに観光はビジネスである。ホ
な る 可 能 性 を 秘 め て い る。「ソ フ ト パ
の先行研究がある。
この研究の副題は「ホ
テルや小売業ばかりではなく、交通機関、
ワー」とは「ソフトパワー時代の外国人
テル業界の人的資源とそのマーケティン
飲食店にもお金が落ちていく。観光ビジ
観光客誘致」
(同友館)
によると、
「国
グ」であり、とくに、ホテル業界の調査・
ネスは経済効果だが、見逃してはならな
際関係における好ましい結果を、強制や
分析を通してホスピタリティの現状を報
いのがビジネスの影に隠れた文化交流だ
報酬によってではなく、魅力によって実
告している。しかし、五十嵐(2013)の
ろう。
現するようなパワーを指す。
」
この定義で
研究は、観光業界の「人材育成」におけ
インバウンド観光客を迎えることは、
大事なことは、
「ソフトパワー」は「好ま
る幾つかの先行研究に言及しつつも、国
人と人の触れ合いを意味し、外国文化と
しい結果を魅力によって実現する」もの
民的レベルのホスピタリティに言及する
日本文化の交流につながる。実は草の根
であるということだろう。
ことはなく、外国人観光客とのコミュニ
的交流がインバウンド観光客を1000万人
たとえば、外国人に道を訊かれて、簡
ケーション・ツールとして重要な英語の
(2)
-73-
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
能力開発対策にも言及していない。また、
「ソフトパワー」及び「国際平和」に関し
3.「観光立国」の究極の目標は「国際平
和」
も日本は歴史認識と領土を巡って政治的
緊張を抱えている。しかしながら、草の
が、国連世界観
まず本論文は、序章で「観光立国」と
根レベルの文化交流が積み重なれば、一
光機関(UNWTO)のスローガンである
いう国策が、草の根レベルでの文化交流
般論として、次第に国民同士の無知と怨
「観光は平和へのパスポート」という視点
を通じて、究極的に「国際平和」に貢献
嗟はなくなっていき、互いの国民の間に
から、とくに「ソフトパワー」に注目し、
すると述べた。以下はそれに関する概略
信頼が生まれ、
「国際平和」への最も実際
幾つかの先行研究を紹介しながら、
「ソフ
的論述である。まず次節で「国際平和」
的な道筋が少しずつ出来上がっていくの
トパワー」を国家戦略としての「安全保
というものを定義したい。
ではないか。そして、観光は、日本が韓
ては、岩田賢(2015)
(4)
国・中国と恒久的に「平和」を構築する
障」という「平和」に結びつけている。
岩田(2015)は「まとめ」の中でこう論
3・1 「国際平和」の定義
重要な「ソフトパワー」となる可能性を
じている。
「ソフトパワーの一手段として
本論文が定義する「国際平和」とは、
秘めているといえるのではないか。
「ソフ
インバウンド誘客を活用するにあたって
日本へのインバウンド観光客が多い諸国
トパワー」が定義する「国際関係」の最
は、
戦略的に活用すべきである。つまり、
との政治的関係の緊張度の少なさであ
終目標は「平和」と考えられるからであ
観光は平和へのパスポートの含蓄とし
る。何故なら、ある国のインバウンド観
る。
て、観光を通じて相互理解が深まり、世
光客が多ければ多いほど、その国の国民
界平和の達成に寄与するという受動的な
が日本文化をじかに知る機会が増え、日
とらえ方だけではなく、わが国における
本人も彼等の文化を身近に知ることにな
望ましい安全保障環境を確保するため
る、つまり、観光が日常化することによ
しかし、目下のところ、上記の草の根
に、インバウンド誘客を能動的に目的志
って政治的関係の緊張が少なくなると考
レベルの文化交流の姿は鮮明に見えてい
向で活用すべきである。」
えられるからである。とくに、我々の身
ない。マスメディアもそのレベルの文化
しかし、国家戦略としての「安全保障」
近にある「国際平和」を強調することは、
交流に焦点を絞った記事を詳細に書くま
は政治性が強く、魅力によって実現する
観光というものに単なる経済的効果しか
でには至っていないのだろう。
「観光白
ような「ソフトパワー」との親和性が乏
みない考え方に大きな変化をもたらすだ
書」でも草の根の文化交流という発想が
しいように思われる。さらに、岩田(2015)
ろう。
まだないように思われる。実際に草の根
3・3 文化交流としての「観光立国」と
そのツールとしての英語
の文化交流の実情の把握は決して簡単で
の研究は文化交流としての観光の重要性
にも言及しているが、文化交流を実現す
3・2 文化交流としての「観光立国」
はないだろう。しかし、学校単位、市町
る「ソフトパワー」をあまりに政治的な
「観光立国」
とはまず観光がもたらす大
村単位の文化交流活動に眼を向ければ、
戦略に利用しすぎるきらいがあろう。一
きな経済効果を重視する立場であろう。
小さな文化交流の姿が少し見えてくる可
方、本論文は、ホスピタリティを伝える
一方、本論文は経済効果の影に隠れた文
能性があるのではないか。そして、学校
ツールとしての英語の大きな役割を強調
化交流という効果を強調するものであ
単位、市町村単位の文化交流活動は、現
するものである。さらに、英語の役割を
る。さらに本論文は究極目標に「国際平
在でも隠れた「ソフトパワー」となって
確かなものとするために、我が国の「学
和」の構築を掲げた。
「国際平和」とは、
草の根の交流を支えているはずである。
校英語教育」に「観光立国」の理念を導
日本へのインバウンド観光客の多い諸国
では、
「ソフトパワー」のツールとして
入することを提案している。本論文でも
との政治的関係の緊張度の少なさと定義
の言語は何が使われているのだろうか。
「国際平和」を実現するための「ソフトパ
されているので、以下に国別インバウン
たとえば、韓国人観光客のツアーガイド
ワー」を取り上げているが、国家戦略と
ド観光客数を示す。
としては韓国語を話せる者が、中国人観
しての「観光立国」のためのツールの一
下記の図表から、インバウンド観光客
光客のツアーガイドとしては中国語を話
つとしてであって、政治性の強いもので
が年間200万人を超える台湾、韓国、中国
せる者が担当するが、一般の日本人が韓
はない。しかも、本論文が強調する文化
が、2・1で定義された「国際平和」に貢
国人・中国人観光客と個人的に話をする
交流は、草の根レベルから高度の交流ま
献する諸国家に該当するといえるだろう
となると、やはり英語を使うことになる
でを含み、その結果としての「国際平和」
か。韓国および中国については、不幸に
のではないか。互いに小中高大の学校教
(5)
を強調するもので、観光業という特定の
業界に特化するものではない。
図表1 インバウンド観光客数(平成26年度)
単位:万人
台 湾
韓 国
中 国
香 港
米 国
タ イ
その他
合計
283
276
241
93
89
66
293
1341
出典:平成27年版観光白書
-74-
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
育で英語を勉強しているからである。こ
図表2 訪日観光客の主要目的
こに、
「学校英語教育」に対して「観光立
和食を食べる
ショッピング
自然・景勝地観光
繁華街歩き
国」という理念を導入しようという本論
78%
58%
45%
40%
文の提案の基礎がある。ある調査機関の
(以上の%は複数回答可のアンケート調査であると思われる)
調べでは、70%近い飲食店がいまだ「特
5・1 「学校英語教育」と「観光事業」の
に外国人集客のための対策をとっていな
育」の理念とする提案は、初めから無理
い」という。かりに、対策をとっていて
なものなのであろうか。
結論からいえば、
も、残りの30%近い飲食店が、メニュー
それは行政機関同士の真剣な対話によっ
まず、本論文の提案には、各界におけ
に中国語などの外国語を加えているのみ
て実現可能であり、それが本格的な「観
る戸惑いあるいは抵抗が予想される。
「観
である。
光立国」への道につながると考えられる。
光」は国土交通省・観光庁の管轄であり、
これでは本格的な「観光立国」
(6)
管轄官庁の違い
のあるべき姿から程遠いといっても過言
とくに、観光庁は、次章で述べるように、
ではないだろう。
その行動憲章で他省庁に対して開かれた
る。各々が異なる省庁の管轄下にある。
姿勢を示しており、文部科学省も決して
さらに観光業界と英語教育界には全くと
4.現状に対する考察
頑なではない。また、関係する各行政機
いってよいほど接点がないであろう。
「観
現状は「インバウンド観光客」との草
関が、観光は草の根の文化交流であると
光立国」は国土交通省・観光庁が掲げる
の根の文化交流が十分に行われていると
いう姿勢を鮮明にし、街の商店に対する
理念であり、文部科学省は「学校英語教
はいえないだろう。そのことは前章末尾
啓蒙活動を活発にすれば、飲食店ならず
育」に「グローバル人材の育成」という
の調査から明らかといえる。では、現状
とも、草の根の交流を担う街の有志を数
理念を掲げている。ただし、観光庁は平
のままでも、何が達成可能で、何が達成
多く育てることになるだろう。では、
「イ
成20年10月31日発表の行動憲章において
不可能なのであろうか。課題となるのは
ンバウンド観光客」側の訪日目的とはど
「民間、地方自治体、他省庁などと交流
草の根レベルのコミュニケーションであ
のようなものであろうか。彼等の目的が
し、新しい力を発揮する」(8)と謳ってお
る。たとえば、有志による一声かけ運動
我々日本人にとって不可能なことでは、
り、本論文が国土交通省・観光庁側から
は達成可能だろう。いわば単語だけを並
何をしても意味がない。つまり、課題と
文部科学省へのアプローチのきっかけに
べて外国人観光客を助けるということで
なるのは受け入れ側とのマッチングであ
なる、あるいは、その空気を醸成するこ
ある。おそらく、現状のまま何もしなけ
ろう。
とになれば幸いである。
れば、それが精一杯なのではないか。
上記の調査機関が Web に掲載した観
その理由としては、従来から市井の一
光客の主要な「訪日目的」
(観光庁調べ
般市民は、教科書で学んだ英語を実際に
2015)を上の図表で示す。(7)
使う機会が全くなく、英語の大まかな文
ここに「草の根の文化交流」という項
一方、「学校英語教育」の理念を「グ
法すら記憶していないからであろう。こ
目はないが、どの項目もその底で草の根
ローバル人材の育成」に置く文部科学省
のまま何もしないならば、いわば数少な
の文化交流に直接つながるものである。
はどうであろうか。
「英語教育、
迫り来る
「学校英語教育」は文部科学省管轄であ
5・2 「グローバル人材の育成」のあら
まし
い有志的運動しか期待できず、「観光立
「学校英語教育」が街中で役立つとすれ
(9)
破綻」
によると、文部科学省管轄の「グ
国」が志向する国民的運動には程遠い状
ば、未来の日本人にとって、何故英語を
ローバル人材育成推進会議まとめ」が
態が続くことになると考えられる。
学ぶかの目的意識が明確となり、英語教
2012年6月4日に発表された。
「グローバ
そして、「学校」という草の根レベル、
育が日常で生きてくるであろう。
ル人材育成推進会議のまとめによると、
それも「学校英語教育」という領域で、
「観光立国」の意識を育てようとする本論
文の提案は、筆者の知る限り、従来各方
面で議論されてこなかった。その理由は、
グローバル人材とは、要素Ⅰ:語学力・
5.本論文の提案をどのように実現する
のかの考察
コミュニケーション能力。要素Ⅱ:主体
性・積極性、チャレンジ精神、協調性・
そこで、どのようにすれば本論分の提
柔軟性、責任感・使命感。要素Ⅲ:異文
「学校英語教育」を管轄する文部科学省と
案が実現可能であるのか、仮に実現すれ
化に対する理解と日本人としてのアイデ
「観光」を管轄する国土交通省・観光庁の
ば、
「学校英語教育」および我々日本人の
ンティであり、語学力は次のように説明
間に、草の根レベルの交流としての「観
「コミュニケーション能力」
にどのような
されている。グローバル人材の能力水準
光」を議論しようとする空気が醸成され
寄与があるのかを以下の各節および各章
の目安を(初歩から上級まで)段階別に
なかったということであろう。つまり、
で考察する。
示すと、①海外旅行会話レベル、②日常
両者の間に議論の接点がなかったのであ
生活会話レベル、③業務上の文書・会話
る。一方、「観光立国」を「学校英語教
レベル、④二者間折衝・交渉レベル、⑤
-75-
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
多者間折衝・交渉レベル。この中で、①
するかの具体的ヴィジョンであり、本論
では、
「語学力・コミュニケーション能
②③レベルのグローバル人材の裾野の拡
文は次章以降で、
「学校英語教育」の理念
力」の基礎、すなわち、きちんとした英
大については着実に進捗。今後は更に、
としての「観光立国」の意義を含めて詳
語の文法で自分の意思と考えをある程度
④⑤レベルの人材が継続的に育成され、
述する。
まで相手に伝えるという学習しか出来な
いという難しさがある。また、鳥飼玖美
一定数の『人材層』として確保されるこ
とが国際社会における今後の我が国の経
済社会の発展にとって極めて重要」と述
6・2 「コミュニケーション能力」とは
どのようなものか?
子氏の語る「多層的かつダイナミックな
能力」を「学校英語教育」の中で磨くこ
とはきわめてむずかしいだろう。
べられている。じつは、現在の「学校英
一方、前章で紹介した「グローバル人
語教育」で実現可能であるのは、上記の
材の育成 要素Ⅰ:語学力・コミュニ
「要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能
ケーション能力」では、コミュニケーシ
力」だけではないのか。そして、①②③
ョン能力というものの分析がなされてい
レベルの「グローバル人材の裾野の拡大
ない。また、コミュニケーション能力を
本論文は「観光立国」の究極の目的は
については着実に進捗。」という部分が何
支える要素の具体像も何一つ語られてい
2・1で定義された「国際平和」の構築に
を根拠にしているのか明確ではない。ま
ない。
あることを提案している。しかも草の根
た、
「まとめ」が言う「要素Ⅱと要素Ⅲ
そこで、
「コミュニケーション」を支え
レベルの文化交流のツールは英語であろ
は、いわば「全人教育」によって実現可
る諸要素を分析し、諸要素の具体像を明
うと主張するものである。
能であろう。本論文でこれについて論ず
らかにする必要がある。しかし、全体像
ここに「学校英語教育」の理念として
る余裕枚数はない。そのために「要素Ⅰ」
を本論文で網羅するのは不可能である。
の「観光立国」の意義がある。しかし、
のみが本論文の論述の対象になる。
そのために、
「英語教育、
迫り来る破綻」
前章最後で言及したように、従来からの
から鳥飼玖美子氏の言葉を引用して、鳥
座学だけでは十分に「観光立国」の目的
飼氏が語る「コミュニケーション」の概
を達成出来ないであろう。そこで、
「観光
ケーション」学習の難しさ
略を示すことにする。
「人間が行うコミュ
立国」の目的達成のために、草の根レベ
6・1 実用的な技能を求めて
ニケーションは、相手との相互作用であ
ルの英語のコミュニケーションの具体的
上記の概略的分析によっても2012年の
り、人間同士の関係作りなのです。その
ヴィジョンを以下に論じる。
文部科学省の方針はあまりに理想に走り
ようなコミュニケーションを可能にする
すぎたものであった。そのためであろう
ためのコミュニケーション能力には、文
か、2014年9月29日、
「グローバル人材育
法や語彙などの言語知識は無論のこと、
成推進会議」は「『読む 書く 聞く 話
一貫性をもって話したり書いたりする能
第1章において、筆者は「おもてなし」
す』の4技能を求める英語教育改革」の
力、言語を状況に応じて適切に使える能
という「ソフトパワー」を紹介した。こ
方針を発表した。
ここではその詳細に
力、うまく話が通じない時にどうするか
のレベルのコミュニケーション活動は
立ち入らず、
「聞く 話す」というコミュ
という方略的能力があり、さらには、相
「観光立国」に沿う文化交流のいわばフ
ニケーション能力が強調されていること
手の話の真意を汲み取る能力など、極め
ァーストステージである。さらに、筆者
を指摘すれば十分であろう。これはこれ
て多層的かつダイナミックな能力が関わ
は第1章で、
「インバウンド観光客を迎え
までの「読む 書く」を中心とする「学
ってきます。そのような言語に対する能
ることは、人と人の触れ合いを意味し、
校英語教育」への反省から生まれたもの
力の基盤となるのは、世界に関する一般
外国文化と日本文化の交流につながる。」
であることはいうまでもない。この「聞
的な知識であり、人間に対する洞察力や
と述べた。
く 話す」の技能については、2018年以
共感、ものごとを学んで理解しようとす
それは「観光立国」に沿う文化交流の
降に予定されている大学入試改革におい
る意欲など、いわば、全人的な資質が関
セカンドステージである。セカンドス
て、TOEICや英検などの英語資格試験を
わってきます。
」
この発言は誰しもその経
テージを実現出来れば、
「ソフトパワー」
活用することが検討されているとい
験から納得出来るであろう。そして、英
は単なる「おもてなし」を超えて魅力の
う。
語に関しては、鳥飼玖美子氏の語る「コ
あるコミュニケーションとなるだろう。
従来の「読む 書く」重視からの転換
ミュニケーション能力」は「学校英語教
「観光」の裾野は幅広く、インバウンド外
は、
「学校英語教育」でコミュニケーショ
育」だけで達成出来るものではないこと
国人観光客が年間1300万人を超えた現
ン能力を向上させる手段として一定の評
も確かなことであろう。つまり、たとえ
在、英語によるコミュニケーション機会
価が与えられてもよいだろう。残された
「観光立国」
を理念としてもちこんだとし
は日常にいくらでもある。つまり、今後、
課題は、いつどこでその学習をどう活用
ても、従来から続く座学中心の英語教育
日本全国で日常的に小中高生が外国人と
6.
「学校英語教育」における「コミュニ
(10)
(11)
(9)
-76-
7.
「学校英語教育」の理念としての「観
光立国」の意義
7・1 英語による「コミュニケーション」
の三つのステージ
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
触れ合う機会が増え、大なり小なり異文
は MICE が観光立国政策の大きな柱の一
とることなどが考えられる。これは学
化との交流が可能となり、実質的に上記
つに位置づけられていることをよく認識
校英語教育で十分可能である。小中高、
のファーストステージとセカンドステー
する必要があろう。文部科学省が掲げる
大学生、主婦などが英会話アレルギー
ジが実現するであろう。
「グローバル人材の育成の要素」
のすべて
を払拭すればよい。
さらに、より高度なサードステージの
が、5・1で述べられた各ステージの活動
中位レベル:外国人観光客との会話の中
「観光立国」に沿う文化交流の機会として
から自ずと実現される可能性があるから
で、彼等の意思をある程度正しく理解
である。
し、彼等の目的地、目的物の特徴を大
は MICE と呼ばれる国際ビジネス分野
(12)
雑把に説明する、あるいは、店舗で外
がある。この分野に一層の力を入れれば、
若者が小中高大学を通じてスキルアップ
8.「観光立国」が理念として「学校英語
国人観光客に商品の特徴を含めてその
した英語力を生かす機会が飛躍的に増
教育」に導入された場合の寄与-「自
魅力を大雑把にでも伝えることが出来
え、
「グローバル人材の育成」も観念的・
動的コミュニケーション」の具体的ヴ
る、さらに、飲食店で外国人観光客に
抽象的なものでなくなるだろう。
ィジョン
各料理の特徴とその味の魅力を大雑把
以上の英語のコミュニケーション活動
この章では「観光立国」が理念として
に説明出来ることなどが考えられる。
がもたらす文化交流の各ステージをまと
「学校英語教育」
に導入された場合の寄与
これは学校英語教育及びある程度の本
を論じる。ただし以下の論述は近未来の
人の追加的学習で可能である。例えば、
ことなのであくまで仮説である。
アルバイトの高校生、大学生が関心の
まず「観光立国」の理念に沿う「コミ
ある分野で自ら追加的学習をすればこ
ュニケーション」の具体的ヴィジョンを
のレベルを実現出来る。
めると、次の表のようになる。
7・2 「語学力・コミュニケーション能
力」と「観光立国」の親和性
上位レベル:外国人観光客との会話の中
下記に掲げた、英語によるコミュニ
明らかにする。ヴィジョンが明らかにな
ケーションの三つのステージを考慮する
ることによって、
「学校英語教育」の現場
で、彼等の意思を的確に把握理解し、
と、
「観光立国」と「グローバル人材の育
は「理念」を具体的に教えやすくなるで
その目的地、目的物の特徴を細かく教
成の要素Ⅰ:語学力・コミュニケーショ
あろう。ヴィジョンには二つの種類があ
えることが出来る。あるいは、店舗で
ン能力」という二つの理念が決して矛盾
って、
「受動的」と「能動的」に分かたれ
外国人観光客に商品の特徴を含めてそ
するものではないということが明らかで
る。この章では、まず「受動的コミュニ
の魅力を詳しく説明出来る。飲食店で
ある。そして、
「観光立国」という理念が
ケーション」活動の具体的ヴィジョンを
外国人観光客に各料理の特徴とその味
「学校英語教育」において最も大きな効果
論じ、
「能動的コミュニケーション」活動
の魅力、さらに他の料理との比較を細
を発揮するのはとくにコミュニケーショ
の具体的ヴィジョンを次章で論じる。
「受
かく説明出来る。
このレベルになると、
ンであろう。実際に日本人と何らかのコ
動的コミュニケーション」活動の具体的
互いの文化と文物の違いの背景につい
ミュニケーションをとりたがっている外
ヴィジョンとしては次の事象が考えられ
て意見を交わす文化交流が可能にな
国人観光客が街中にいるからである。
る。
り、専門志向の大学生および意欲をも
MICE レベルになると、高度のコミュ
外国人観光客との接触種類とそのレベル
って十分に追加的学習を行った店員が
ニケーションが必要になり、語学力と教
基本レベル:外国人観光客に英語で道順
実現出来る。
養を備えた本格的な「グローバル人材」
飲食店でマスター
を教える、あるいは、
ここで留意すべきは、以上の事象が、
が活躍出来るだろう。そして文部科学省
あるいはパートの店員が英語で注文を
5・1で述べた「観光立国」に沿う文化交
流のファーストステージからセカンドス
図表3 文化交流の各ステージのまとめ
テージをすべて含んでいるということで
ファーストステージ 道順を教える、飲食店での接客などの「おもてなし」
ある。
基 本 的 な コ ミ ュ ニ 「グローバル人材育成推進会議まとめ」の語学力の中で、①海外旅行
ケーションレベル
会話レベルに対応。しかし、これでもそれなりの訓練を必要とする。
9.
「観光立国」が理念として「学校英語
セカンドステージ
教育」に導入された場合の寄与 ―「能
互いの文化交流につながる触れ合い
応用度の高いコミュ 「グローバル人材育成推進会議まとめ」の語学力の中で、②日常生活
ニケーションレベル 会話レベルに対応。これはかなり長期に渡る訓練を必要とする。
サードステージ
MICE などでの活動
「グローバル人材育成推進会議まとめ」の語学力では、③業務上の文
極めて高度なコミュ
書・会話レベル、④二者間折衝・交渉レベル⑤多者間折衝・交渉レベ
ニケーションレベル
ルに対応。この分野は国際ビジネスの分野でもある。
動的コミュニケーション」活動の具体
的ヴィジョン
この章の論述は、いわば第5章でまと
めた本格的「観光立国」に沿う文化交流
のセカンドステージとサードステージを
準備するものであり、場合によってはそ
(筆者作成)
-77-
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
不可欠の英語学習機会になるだろう。
の活動そのものがセカンドステージ、あ
10・2 「観光立国」を支えるための社会
人向けの生涯教育
るいは、サードステージになることがあ
9・4 海外の英語圏諸国からの教員招請
るだろう。
拡充
本論文は、前節で「観光立国」を支え
る社会人の役割の重要性を強調したが、
9・1 学生ボランティアガイドの養成
文部科学省は平成27年から英語圏諸国か
社会人には「学校英語教育」とは別の「英
社会人に限らず、高校生・大学生にも
らの外国語指導助手(ALT)を増やす方
語コミュニケーション教室」が必要なの
ひろげるべきである。「観光立国」に沿う
針を各都道府県の教育委員会に通達し
ではないだろうか。
「英語コミュニケーシ
コミュニケーション活動のための英語教
た。 ALTという外国人英語教員に対し
ョン教室」には優秀な講師と施設が必要
育には実践活動が最も有効であろう。ち
ても、
「読む 書く 聞く 話す」の4技
であり、外国人観光客の地方への呼び込
なみに、日本の青少年の国際交流活動は
能を、日本の「観光立国」の場面々々で
みの視点から、都道府県を含む各地方自
諸外国(韓国、米、英、独、仏など)と
どう生かすかをよく勉強してもらう必要
治体が率先して資金を投じるべきであろ
比較して極めて低い。近未来の「学校英
がある。我々日本人が気づかぬ点から英
う。
語教育」の現場は積極的草の根ボランテ
語指導をしてくれるようになるだろう。
「英語コミュニケーション教室」では、
(13)
第6章のすべてのレベルの「受動的コミ
ィア活動に対して大きな評価を与えるべ
10.「観光立国」
を支える社会人の大きな
きだろう。
役割
ュニケーション」を網羅した講義内容を
含み、実際に即した英語によるコミュニ
9・2 YouTube や SNS の活用
10・1「観光立国」を支えるのは社会人
ケーションを「多層的かつダイナミック
学校英語教育の現場は、とくに中高生
さて、
「観光立国」を支える草の根レベ
に」
教えることになろう。
「能動的コミュ
に対して、可能な限り YouTube やスマ
ルの文化交流とは小中高生を含む学生だ
ニケーション」に関しては、参加者にSNS
ホのSNSを通じて積極的に海外とのやり
けではない。むしろ「学校英語教育」を
の活用を奨励するのもよいだろう。
と り を 奨 励 す べ き で あ る。た と え ば
終えた人士こそ「観光立国」を担う人材
YouTube のコメントには言語の制限が
層といえるだろう。何故なら、インバウ
ない。YouTube や SNS には一般の外国
ンド外国人観光客を街中で迎えるのは圧
人の文章を「読み」、一般の外国人に向け
倒的に「学校英語教育」を終えた人士だ
本論文が主張するのは草の根レベルの
て「書く」という草の根の交流がある。
からである。たとえば、彼等は、街のカ
文化交流である。政府が主導する官製の
小中高のどのレベルでも、英語教師は英
フェからコンビニ、土産物屋、レストラ
文化交流でもなく、大手旅行会社や大手
語に触れる機会を活用することを教える
ン、旅館等々、増え続ける外国人観光客
ホテルといった従来の観光ビジネス業者
べきである。
と受動的コミュニケーションをとる機会
でもない。かりに、街のカフェが数多く
に恵まれている。ここには、とくに文化
の外国人観光客を呼び込み、第6章で論
交流の魅力的なセカンドステージを充実
じたセカンド・ステージを実現できたら、
させる源泉があり、
「ソフトパワー」を全
それこそ草の根レベルの文化交流といえ
大学観光学部・学科に所属する学生に
国民的レベルにひろげる人材の隠れた宝
るだろう。かりに、最近、外国人観光客
対する英語学習の強化は、MICE 分野へ
庫がある。
「観光立国」
を草の根レベルで
に人気の「立ち食いそば」で互いの生活
の就職を飛躍的に増やす可能性がある。
支える社会人を飛躍的に増やすために
習慣を伝え合うといったセカンド・ス
さらに、第4章で紹介したように、コミ
は、
「学校英語教育」の現場で、教師が学
テージを実現できたら、それも草の根レ
ュニケーションとは単なる会話能力では
生にその意義をよく理解させる必要があ
ベルの文化交流といえるのではないか。
ない。実際に最高レベルの英会話能力で
り、現場の実地教育によって、未来の社
社会人として草の根レベルの文化交流を
は、図表3で解説した極めて高度なコミ
会人は「観光立国」における自分の役割
主に支えるのは街の商売人層だといって
ュニケーションが求められ、特に高度な
をよく認識出来るようになるだろう。
も過言ではないだろう。魅力ある潜在的
9・3 大学観光学部・学科における英語
学習の強化
10・3 セカンド・ステージとしての草
の根レベルの文化交流
な「ソフトパワー」は街中にあるのであ
MICE 分野に進みたい意欲をもつ学生に
る。
図表4 13歳から29歳の各国の青年層の国際交流活動 「我が国と諸外国の若者の
10・4 本格的な「観光立国」とは何か
意識に関する調査」(内閣府 2013年度)
日本
韓国
米
2.6%
9%
39%
出典 鎌田敏彦 @tmaita77 jun15
英
独
仏
スイス
一方、現在の日本では、高校と大学を
52%
53%
39.7%
62.9%
卒業後、本格的に外国人観光客と触れ合
(上記の%は対象となる年齢層全体との人口比である)
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う機会を得る者とそうでない者とに別れ
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
てしまう。前者にとっては、「観光立国」
悉している人物の考えとして、JTB会長・
という理念に基づく学校での様々な学習
田川博己氏の言葉を紹介したい。
「観光は
が、
社会人になってから生きてくる。「受
国家戦略なのだから、担当官庁を観光庁
(5)
動的コミュニケーション」のみならず、
ではなく観光省に格上げしてもいいので
(6)
観光ビジネスや MICE の様々な場で、外
はないか。諸外国では観光大臣の地位は
国人と触れ合う機会が飛躍的に増えてい
高い。日本はさらに踏み込んで名称も国
(7)‌‌
くであろう。ところが、後者については、
際交流省にしてもいいかもしれない。
」
(8)
実用的な英語を学ぶ環境に乏しい現状へ
ここには観光を文化交流とみなす考えが
の不満と批判がある(14)。本格的な「観光
ある。とくに、
文化交流のセカンドステー
立国」とは、全国民が英語というツール
ジの分厚い貢献は「国際平和」の実質的
を使い、少なくとも文化交流のセカンド・
な基礎となるものであろう。この分厚い
ステージのレベルで、外国人観光客とコ
貢献とは、小さくても魅力的な草の根レ
(10)
ミュニケーションがとれるような国家で
ベルの活動の積み重ねであり、本論文が
なければならないだろう。そこで初めて
取り上げた「ソフトパワー」の実質的源
「ソフトパワー」が本物のパワーとなり、
泉となるものであろう。
「ソフトパワー」
「観光立国」を支える真の土台になるので
とは目立たぬところから実現されていく
はないか。
(15)
ものなのではないか。本論文は「国際平
和」を第2章で狭義の「国際」として定
に与える意義の考察」
論文集22号 123
頁
平成27年版観光白書 13頁
Foodist http://wwww.actzero.jp/
guidebook/report-11669.html
同上
観光庁行動白書 http://wwww.mlit.
go.jp/common/000058573
大津由起雄 江利川春雄 斎藤兆史
(9)
鳥飼玖美子「英語教育、迫り来る破綻」
(ひつじ書房)
2013年6月27日刊 92頁
平成27年観光白書電子版
http://resemom.jp/article/2014/
09/30/20650html
産経ニュース 2013年12月31日
(11)
http://wwww.sankei.com/life/
news/131231・lif1312310010-nl.html
JTB 総合研究所によると、MICE とは
(12)
11.まとめ
義したが、各国間で「国際平和」がひろ
Meeting(会 議 ・ 研 修 ・ セ ミ ナ ー)
、
本論文は「観光」を異文化との文化交
がれば、長期的な視野では「世界平和」
Incentive tour(報 償 ・ 招 待 旅 行)
、
流と認識するものであり、「学校英語教
につながるものではなかろうか。道のり
Conference(大会・学会)
、Exhibition
育」を実用的にする目的をもっている。
は決して平坦ではないが、観光を通じて
つまり、「観光立国」を「学校英語教育」
互いの国民の文化への知識と理解を深め
の理念の一つとして導入することは、文
ていくことで、持続可能な「世界平和」
部科学省の新しい方針「『読む 書く 聞
が達成される可能性は決して小さくない
く 話す』の4技能を求める英語教育改
であろう。これこそ「ソフトパワー」が
革」に草の根レベルで最も現実的な具体
最終的に求めるものではないのか。本論
像を与えるものなのである。さらに、本
文はそのツールとしての
「学校英語教育」
論文が薦める「受動的コミュニケーショ
の役割を明確にするものである。今後、
ン」及び「能動的コミュニケーション」
二つの省庁が旗振り役となり、小中高大
によって、
「学校英語教育」の理念である
の英語教育界が観光業界と交流を深めて
「グローバル人材の育成」にある「要素
いくことが期待される。
本論文の提案が、
Ⅰ」と「国際平和」の構築を目指す「観
文部科学省と国土交通省・観光庁、さら
光立国」という理念が表裏一体のものと
に将来において「学校英語教育界」と「観
して働く可能性は極めて大きい。
「観光立
光業界」の深い接触の契機となれば幸い
国」の究極の目標が「国際平和」の構築
である。
にあることを互いによく理解すれば、二
つの省庁が「観光立国」の理念を持続的
に共有することは可能であろう。そして、
引用・参考文献
草の根レベルでの文化交流を通じて、究
(1)
極的に「国際平和」に貢献するという本
(2)
論文の主旨は政府にとっても有益であろ
う。観光政策とは経済効果と文化交流効
果の二つの側面を推進すべきものである
ということを政治家もよく認識すべきで
はないか。ここで、観光というものを知
朝日新聞朝刊経済欄 2015年1月21日
島川崇編著「ソフトパワー時代の外国
人観光客誘致」
(同友館)2006年9月15
日刊 1頁
五十嵐元一「ホスピタリティ教育と人
(3)
材育成」論文集第20号 75頁
岩田賢「インバウンド誘客が安全保障
(4)
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(展示会)の頭文字をとったものである。
http://www.tourism.jp/glossary/
mice/
斎藤剛史「外国人を英語教員に グ
(13)
ローバル化対応」
http://benesse.jp/20140722/p4.html
大津由起雄 江利川春雄 斎藤兆史
(14)
鳥飼玖美子「英語教育、迫り来る破綻」
(ひつじ書房)2013年6月27日刊 126
頁、128-129頁
日本経済新聞朝刊
「日曜に考える」2015
(15)
年9月20日
【本論文は所定の査読制度による審査を経たものである。
】
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