Comments
Description
Transcript
二足歩行における速度姿勢変化による分布荷重解析 1班 大田能士
二足歩行における速度姿勢変化による分布荷重解析 1班 大田能士 1、はじめに 私たち人類は、日常いとも簡単に二足歩行を行っている が、ほかに二足歩行を行う生物は少なく、その行為自体 は簡単なものではないと思われる。最近では、ロボット が二足歩行を行っているがそれには重心の移動が関係し ていると思われる。そこで、二足歩行における重心移動 の役割を、数値シミュレーション技術を用いて解析する。 重心の移動を考えるためには、どのような荷重が脚のど の部分にかかっているのかを検証する。つまり歩行速度 と歩行姿勢を変えていきながら荷重解析の実験を行うこ とが一番重要だと考えた。重心の動きは移動方向と平行 で直線的になるのか、もしくは曲線的になるのかについ て簡略化したモデルを作成して検討を加えることにした。 図2 モデル③ モデル④を図3に示す。モデル③では大腿部の断面が変 化する部分にのみ荷重分布が集中しすぎたため修正を加 え、断面が変化しない形状とした。 2、実験方法 歩行の1周期の動きを分解して、典型的な足の形状をモ デル化した。モデル作成には CAD simulation を使用し た。データを基に Excel でグラフ化する。 3、モデル 本研究では,人間の歩行モデルを作成した。モデルは, 荷重のかかる部分が出来るだけかわらないようにしなが ら,人間の骨格を出来るだけ簡略化した。そのモデルの 特徴を以下に示す。 モデル①を図1に示す。骨の部分は四角柱関節で、ドー ナツ型とドーナツ型を合わせてその間をピンで固定した。 図3 モデル④ モデル⑤を図4に示す。 ほかとは違い少し単純なモデルではないが実際の骨の大 きさを忠実に再現し、頸骨と腓骨の再現も行った。脛骨 と腓骨を再現した理由はのちにモデル比較を行う際に出 来るだけ忠実な形状を必要とするためである。 また関節部の形状も今までのモデルとは異なり、より人 間に近く接地しているだけにしている。 図4の(c)に示すように脚が一つであるのは解析上の 都合である。 図1 モデル① モデル②として関節等を考慮せず形状を模し一体型モデ ルを作成した。これはモデル①と比較し関節の影響を調 べるために作成した。 モデル③を図2に示す。このモデルは骨格だけでなく筋 肉なども入れた足全体の寸法を考慮した。 (a) (b) 図4 モデル⑤ (c) Ⅳ 3、実験条件 一般的な歩く速度を、1.1m/s、走る速度を 5.5m/s とする。 この場合、三秒間で最高速度に至ると仮定し F=ma で慣 性力を計算すると、22.2N と 111N となる。上半身から の力は 352N とした。今回は,変化を明確に見るために, それぞれの約2倍の値,すなわち,それぞれ 50N 250N 700N とした。 また材質は人骨に近いとされるチタン合金とした。 モデル⑤を使い図5に示す姿勢で解析実験を行った。 Ⅰ,Ⅲ Ⅱ,Ⅳ 図5 姿勢変化 4.1解析結果および考察 Ⅰ 解析結果(A) Ⅱ 解析結果(D) 図6 解析結果 グラフの横軸は1,2,3となっており、これは図5に おける姿勢に移り変わりを番号で表示しているためであ る。 ・全体的に股関節への負担はどの速さ、姿勢でも小さい ことがわかる。 ・ 図6(A)と(B)を比較すると同速度で姿勢を低く すると,とくに膝と足首に大きな負担がかかるが,部位 による応力のかかりかたには大きな変化はないことがわ かる。つまりⅡのように低い姿勢で歩くと膝と足首に大 きな負担がかかることがわかる。 ・図6(A)と(D)を比較すると応力の変化はよく似て いることがわかる。また、グラフの形状は非常によく似 ている。速度、姿勢、どちらの条件も変更しているのだ がこの結果となった。しかしⅣのように姿勢が大きく傾 くと,足首にかかる応力がおおきくなることがわかった。 ・図6(B)と(D)を比較すると同じ姿勢でもゆっくり 歩いたときと走ったときでは,Ⅱのように歩いた方が膝 への負担が大きい事がわかった。 ・図6の(C)のⅢに注目すると、どの結果とも異なり、 各部分に大きさの変化は見て取れるが、グラフが全く交 差しておらず荷重分布が一定になっていることがわかる。 推測のいきだがこの走り方は競歩に似ており骨格への負 担が小さいことに比例し、筋肉への負担が大きいことが 考えられる。 ・以上より歩くには歩く姿勢、走るには走る姿勢が最も 適している。という結論に至った。 ・現代人は一般的に腓骨に体重をかけて歩行していると いわれているため、実験データをとったが、今回のモデ ルでは腓骨に荷重分布の変化はほぼ見られなかった。よ ってすべて今回の実験データは脛骨の実験値を用いてい る。 4.2モデル比較による最適モデルの考察 解析結果(B) Ⅲ 解析結果(C) 今回の実験ではすべてのモデルにおいて同じ姿勢、同じ 荷重で応力分布の違いをモデル⑤を基準として比較した。 モデル⑤の特徴は最大荷重点が関節部ではなく、応力分 布が条件を変えるたびに円を描くように変化することで ある。まずモデル①では最大荷重点と応力分布の様子が 酷似していた。モデル②でもおおよそモデル①と同様に なった。モデル③では最大荷重点が関節の断面変化部に 集中し、応力分布がほとんど観察できなかった。モデル ④では最大荷重点が関節の断面変化部に集中し、応力分 布も間作できたが、姿勢変化と荷重変化を加えても応力 分布に変化が見られなかった。 材料力学的観点から考えるとこの結果はおおむね信用で きるものと考えられる。したがって、今回のテーマに即 した最適な単純なモデルは①であったと考えられる。