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今、なぜ「授業構想・授業展開」の改善が必要なのか? 「授業構想・授業

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今、なぜ「授業構想・授業展開」の改善が必要なのか? 「授業構想・授業
B 授業力 「授業構想」
「授業展開」
今、なぜ「授業構想・授業展開」の改善が必要なのか?
教員は「授業が勝負」とよく言われますが、子どもたちが生き生きとした授業は、そう簡単にできるものではあ
りません。日々の授業がうまくいかず、いつも悩み続けているのが多くの教員の姿ではないでしょうか。さまざま
な環境のもとで過ごす多様な個性をもった子どもたちの力を引き出し、伸ばし、育てる授業は並大抵の努力では達
成できません。平成 20 年 7 月に出された大阪府学校教育審議会答申「これからの大阪の教育がめざす方向につい
て」の中では、大阪の教育をめぐる課題として学力とともに子どもたちの学ぶ意欲、生活や家庭学習の様子など、
学力の根底にある課題についても指摘されています。また小中高等学校及び支援学校の新学習指導要領の解説書の
中でも同様の指摘があります。
大阪の学校がこうした課題を解決し、子どもたちが変化の激しい社会を力強く生き抜くためには、何といっても
学校生活の大半を占める授業の中で、教員が基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図るとともに、学ぶべき
姿勢や学習習慣を身に付けさせ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動する力をはぐくむ必要があります。
そのためには綿密な教材研究と授業構想・授業展開が必要になってきます。
「授業構想・授業展開」で授業力を高める4つの観点!
ではどうすれば子どもたちが生き生きとする「よい授業」がスムーズに展開できるのでしょうか。やはりそこに
は段階を踏んだ合理的な授業構想・授業展開が必要になってきます。以下にその流れを考えてみます。
観点① 子どもの実態を把握する。
学習のねらいを設定するためにはまず、クラスの児童生徒のその単元・教材に対する習熟度や経験等を把握する
必要があります。実態を知らないまま授業を行うとねらいが低すぎたり、高くなりすぎたりしてしまします。本当
に教科として身に付けさせねばならないことが不十分になってしまう可能性があります。
観点② 学習のねらいを明確にする。
授業には必ずねらいがあります。教材研究に努め、そのねらいをはっきりと教員が認識することが必要です。教
員の教材研究が深まれば深まるほど、ねらいは明確になり、児童生徒が独力ではたどり着けない新しい世界に連れ
て行くこともできます。新しい世界の発見は、必ずや児童生徒の意欲を喚起することでしょう。
観点③ 授業構想を確立する。
学習のねらいの達成のためには授業の綿密な構想が必要です。ねらいと学習活動が一貫したものになるように構
想を組み立てることです。そのために学習活動を導入・展開・まとめの 3 段階に分け、あらゆる活動が、ねらいに
向かって、そのベクトルが集中するように組み立てて、授業を展開していくように工夫することです。特にねらい
を達成するために、留意したいことは「学習活動」における教師の発問です。この時間の中心発問を考えた上で補
助発問も考え、子どもたちの思考活動を活発にする計画を立てることです。また机上の理解に終わるのではなく、
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「今の授業は納得できた。
」という真の実感をどのようにして子どもたちにもたせるかも計画立案の中で重要にな
ります。身体を使ったり、声に出したりすることなども真の実感が得られる有効な方策でしょう。
また指導方法や形態を工夫する必要もあります。授業のねらいに応じ、授業形態を一斉指導、個別指導、習熟度
別指導等に分けることも一つの方法です。また教具についてもICTの活用等、同一の教材・単元の中でも工夫し
て考えることが重要です。
観点④ ねらいの達成度を評価する。
授業において児童生徒のねらいに対する達成度を評価するための計画ですので、導入・展開・まとめの中で、適
切な評価規準を設定します。一般的には「指導上の留意点」等で、ねらいとのかかわりをおさえるようにします。
以上のことを図に表します。
授業力を高めるサイクル
児童生徒理解
授業評価
単元や教材に対
する習熟度や経
験等の把握
児童生徒のねらい
への到達度を評価
学習のねらい
教材研究の深まりに
伴うねらいの明確化
授業構想
ねらいに応じた発問や
指導方法の工夫
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B 授業力 「授業構想」「授業展開」
意欲がきらめく授業に向けて
-貝塚市の
授業力向上への取組-
B
授業構想・授業展開
経験の少ない教員に対する
授業力向上に向けての取組
授業の主人公は子どもたちである。意欲がきらめく授業とは、子どもたちが意
欲をもって臨み、子どもたちの発言で授業が進み、子どもたちが充実感や達成感
を持つ授業のことである。
そのためには、集中させたり、いきいきと活動したり発言を行う場を設けたりと、授業に
メリハリをつけリズムをつけることが必要である。いかに授業をデザインするのか?教員の
授業力が問われる。では、どのように教員の授業に対する意識を高めていけばよいのか。こ
こでは、貝塚市の教職員の資質向上のためのシステムを紹介する。
貝塚市の取組の特徴・実践例・授業構成の工夫等
【貝塚市の教育フォーラムとはー貝塚市教育委員会 久保富洋 参事 よりー】
貝塚市の教育フォーラムの取組は、講師の方の講演をお聞きして終わりという形態ではな
く、プロジェクト委員が講師の方の助言を受けながら現場で実践等を行い、当日はそれらを組
み入れ、講師の方からお話を聞くというスタイルが定着しつつある。
フォーラムで取り上げたテーマや研修内容が、具体事例を提供することで、当日参加した教
職員から市内各校園に広がりをもつことが出来るのではと考えている。
フォーラムを開催するようになって 3 年経ったが、プロジェクト委員の果たす役割が各校園
にも少しずつ浸透してきている。委員になることで負担も増えるが、それ以上のおみやげも持
って帰ってくれるのでは・・・。経験の少ない教職員と連携し教育フォーラムを創る過程を通
して、次代を担う教職員の育成を図ることができつつあると実感している。
【分科会「脳の準備運動」の取組】
●構成メンバーとテーマ決定について
平成 21 年度貝塚市教育フォーラムに向けて、
「脳の準備運動」をテーマにした分科会のプロ
ジェクトチームが結成された。チームメンバーは校種や教科を越えた教員5名である。小学校
の教員は3人で、1 年生、5年生、支援学級の担当、中学校の教員は2人で、社会と家庭科の
担当である。
校種や教科が違うメンバーが一つのテーマをもとに取
り組んだことが、特徴の一つである。
授業の始めに百マス計算に取り組んでいる学校も少な
くない。計算力をつけるだけでなく、脳の準備運動をさ
せ授業への集中力を高めることが重要な目的である。
しかし、国語など算数や数学以外の授業のときには違
和感がある。そこで、このチームは百マス計算にこだわ
分科会の集まり
らず、子どもたちの集中力を高める教材を開発すること
をテーマに研究を進めた。
1 回目より 2 回目、2 回目より 3 回目会うたび
に先生たちの目がいきいきしている!!
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●府立千里青雲高等学校
北校長先生との出会い
校長先生
相談
府立千里 青雲高等学校
秀和
言者が必要だ!
相談
北
相談
大阪府教育センター
関する指導助
貝塚市教育委員会
この取組に
そうです。はじめ貝塚市の教育フォーラムの依頼がきたときには、テーマが脳の準備運動とい
うことで、それなりの根拠をもった取組、日常的に継続していける取組にどう仕上げていくか、
これがポイントだと思いました。百マス計算はかなり古くから取り組まれていますが、持続的な
ものとして広がりを持っているか、現実にはそうではないと判断されます。いくつかのところで
は持続的になっているのですが・・・そこで、私なりに総括して何がポイントかを示すことが課
題であると考えました。一言で言うと、脳の血流を高める取組をしたなら、そのまますぐに授業
に入るというのがポイントです。百マス計算でも、音読でもそうです。また、脳の血流を高める
ものは、教育として訓練された手や口の動作と思考とがセットになる取組だということです。こ
れが脳の準備運動としてふさわしいが、どんな活動がそれにあたるのか、いろんな教科で検討し
てやってみて、結果を検証するという方向で指導助言しました。
4 月になり、メンバーそれぞれの受け
もつ学年が決まった。
小学校低学年・高学年・支援学級、中
学校社会・家庭科とバラバラである。
どうしたらいいんだろう・・・
府立千里青雲高等学校
北校長先生から、アドバイスを受
け、メンバーは肩の力を抜くことができ、いろいろなアイ
デアを出し合い、検討していく意欲が出てきた。
い ろい ろ や っ てみ た ら
いいんだよ!(北校長)
●開発した教材について(※リンクへ)
小学校低学年では、マスの中に○をいくつも描いていったり、描いてある線をなぞったりす
ることを考えた。ただ、子どもの反応から、しりとりや詩の音読が中心になった。
小学校高学年では、時間内に漢字をたくさん書かせたり、都道府県名を書かせたりした。
支援学級では、100マスではなく、5×5の25マスでの計算や、○書きなど、個人にあ
わせた活動を考えた。
中学校家庭科では、波縫いなどの裁縫や、食品の分類などを行った。
中学校社会科では、小学校高学年と同じように都道府県名や地図記号を書かせたりした。
どの教材も、取り組ませる時間を 2 分間とした。いろいろ試みた結果、子どもたちが集中で
きるのに適した時間であることが分かった。
このように、異校種間で交流することにより、小学生に考えたものが、中学生にも
使えたりすることに気付き、シート作成や改良への意見交換も活発となった。
●教材のねらいと効果についてープロジェクトチームよりー
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この教材のねらいは、休み時間と授業の気持ちの切り替えや、授業への集中力を高めるこ
とである。
下の図1,2は、チームが作成したアンケート用紙(※リンクへ)を用いて、子どもたち
この取組を行ったメンバーの感想
●取り組んでみて、自分に変化がありましたか。
・脳の血流が up したまま授業に入れるように、どのようにすればよいか考えるようになった。
全員が意欲的に取り組めるように、ワークシートを工夫していった。授業の途中で、集中して
欲しい部分などの前(そのとき)に音読を行うことにした。
・なかなか考えていることを行動に移すことが、時間のなさのせいにして、できていなかった
ので、今回のチャンスを頂いて行動に移すよい機会になりました。勇気を出してやってみるこ
との大切さ、時間は少なくてもできると感じました。
●少人数で一つの課題に向かって取り組んだこの活動の感想
・5人いるチームでできたことが、自分の気持ちを持続させられたと思います。メンバーで、
悩みを言い合ったり、日々の授業でのことを言い合えたことがすごくよかったです。励ましあ
い、取り組むことができすごく心強かったです。このメンバーだからやり切れたと思います。
・学校、学年、校種が違う中で同じテーマに取り組む難しさを感じるとともに、共有できるも
のがたくさんあることに驚きました。同じ方向性で協力できると、たくさんの知恵が出ること
を感じました。
これらの取組を支える貝塚市のシステムとは?
貝塚市教育委員会
久保参事より
府立千里青雲高等学校
北校長より
初任者研修はどの市町村でもやっていることです。
その後の若い先生をどのように育てていくか、その仕
組みとしてなかなかすばらしいものにできあがってい
特徴のポイントを、あと1点
ると思います。2~4年目の先生の取組として、テーマを決
上げるとすれば、プロジェクト
め、授業研究をするというのはすばらしいです。集中力を高
委員に市教委へ何度も来ても
めるというテーマで授業を見直したという発言があり
らうので、 若手教職員にとって
ましたが、今回について言えば、脳の準備運動として
教育委員会の敷居がとても低く
何が適当か、というテーマをもって、そのような作業
なってきて いる。 本 音 を 語 り 合
的な課題を各教科において見いだすということを課題
う親睦交流会も開催している。
カッコよく言えば、ボトムアップ
とトップダウ ンの融 合 が こ の フ
ォーラムの取組ではかられて
いるのではないだろうか。
として設定し、適当ではないかと考えられる課題につい
て、授業で実際に取り組んでみて、適当であるかどうか検証
するという研究的スタンスで取組を進めているところが
すばらしいと思います。私自身でいえば、算数・数学
的なものとしてはある程度想定できていましたが、社
会や家庭科など普段なじみのない教科においても、い
ろいろと方法があることが実践に裏付けられた形でわ
先生方の授業への
意識向上に大切な
ことは・・・
かったことがよかったと思っています。これからも、
この方法を進めていかれることを期待します。
「教員のつながる場」の設定!
先生方が安心できる場があるから
・一人ではできないことが、仲間がいたから取り組めた。
・校種を越えて意見交流ができた。
・半年ほどで取り組める研究的スタンスがあった。
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こそ、授業に意欲をもって取り組む
ことができるのではないだろうか。
B 授業力 「授業構想」「授業展開」
表現力・説明力をはぐくむ授業づくり
B
授業構想・授業展開
一人で考え、小グループ内
で説明し合い、全体交流を
行う場面のある授業づくり
-茨木市立彩都西小学校の授業力向上への取組-
自らの考えや思いを「表現する力」は、今子どもたちに培わなければならない学力の要
素として重要である。とりわけ、具体物や絵、図表・グラフ等と関連させながら「説明す
る力」は、非常に重要視されている。そのような力が、生活の中で実際に生きて働く力と
なっていくのである。
ここでは、算数科の授業展開の中に「(操作活動等を行いながら)一人で考える場面」
「(隣どうし等)小グループ内で説明し合う場面」
「全体で交流する場面」を丁寧に組み込
みながら授業力向上に取り組まれた茨木市立彩都西小学校の実践について紹介するもの
である。
茨木市立彩都西小学校における取組について
【取組の特徴】
(1)外部講師を活用しながら、「研究授業を伴う校内研修」を徹底して積み重ねることにより、
授業力向上をめざしてきた。研修への取り組み方の枠組みとしては、以下のことが挙げられ
る。
①大阪教育大学、大阪府教育センター等から講師を招聘して取り組む。
②事前に研究授業参観の観点を教員間で共有し合う。
③事前研においても授業に取り組み、でき得る限り改善案としての研究授業を実施する。
④研究討議会においては、グループ討議を経て、全体討議を行う。グループ討議の際は、特
に重点的に話し合う観点をグループ毎に割り振っておき、討議にメリハリをつける。
(2)授業構想・授業展開において、学校として以下の点に留意してきた。
①子どもたちの意欲を引き出す導入方法を工夫する。
②教具の工夫に努める。
③「一人で考える場面」
「小グループ内で説明し合う場面」
「全体で交流する場面」を各授業
に組み込んでいく。
④授業目標を達成する手段としてのICT(OHC、電子黒板等)活用に取り組む。
⑤子どもからの評価・感想を把握し、授業改善に生かす。
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◎算数科授業の具体例
○学年・単元名:第6学年「体積」
○使用教具:キズネール棒
○使用ICT:電子黒板
○本時の目標:1㎤のいくつ分の考えで
直方体をつくり、体積を測定する。
○本時の展開
①つかむ:
「キズネール棒を使って、いろいろな直方体をつくろう」―1㎤24個分で直方体
をつくる―
②見通す:「何種類できるか」「どのキズネール棒が使えるか」
③解決する:1㎤24個分でいろいろな直方体を作る。たて・横・高さの数を書く。
◇となりどうしで説明し合う。
・つくった直方体を示しながら、話し言葉で丁寧に説明をする。
④深める:考えたことを全体の場で発表する。
◇電子黒板の画面を操作しながら、話し言葉で丁寧に説明をする。
⑤まとめる:学習のまとめをする。
教員の取組意欲・意識の醸成
①単に研究授業に取り組むのではなく、事前授業で把握できた課題について、当日まで
に改善案を準備して臨み、より望ましい授業改善に結び付けようとする姿勢ができて
きた。
②時間配分は難しいが、多くの授業で「一人で考え、小グループ内で説明し合い、全体
で交流」することができるようにし、表現力・説明力を育む授業を具現化するように
なった。
③導入方法・教具・必要に応じたICT活用の工夫等によって授業を分かりやすいもの
とし、また子どもの意欲を引き出しやすいものにしようとする姿勢もできてきた。
これらの取組を支える彩都西小学校のシステムとは?
彩都西小学校の取組を支えたもの
○学年の教員全員で練り上げた研究授業を学校全体で
積極的に見せ合い、授業力向上に結び付けていこうと
する流れを作っていること。
・転入者、初任者も、流れに巻き込んで前向きな取組
ができている。
○参観の観点を事前に示した上で研究授業を実施し、討議
会も少人数の協議を経て全体協議に取り組む流れとし
ていること。
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B 授業力 「授業構想」「授業展開」
生徒の心を動かす授業づくり
B
授業構想・授業展開
授業の活性化のために
-「英語」授業実践力向上研修より-
新しい学習指導要領の外国語科の目標のひとつは、
「コミュニケーション能力の基礎(中
学校)」、「コミュニケーション能力(高等学校)」を養うことである。そのためには「聞く
こと」
「話すこと」
「読むこと」
「書くこと」の 4 技能を総合的に育成することが大切である
が、人にことばで思いを伝えるためには、
「話す・書く」ことが特に重要となる。言葉で表
現する力を子どもたちに育てるには、何が必要なのか。そのためにはどのような授業がで
きるのか。平成 21 年度は「英語による発信力育成のための指導法」をテーマに、中学校・
高等学校「英語」授業実践力向上研修を行った。
英語による発信力育成のための指導
【研修のねらい】
英語授業を通して生徒の心を育て、英語でコミュニケーションする力、英語で表現する力を伸
ばす――英語授業の達人として、現場ですぐれた実践をされている講師の先生方による講義とワ
ークショップでは、これからの英語教育の方向性、教材の見方、効果的な指導法などを学ぶ。ま
た、ネイティブスピーカーによる講座では、授業で実際に英語を使用していくことを念頭に、様々
なアクティビティを通して受講者の英語力の向上をめざす。そして、研修の集大成としてマイク
ロティーチングを企画し、グループでの準備、発表、研究協議等の一連の活動を通して、研修で
学んだ内容をどのように授業に活かすのかを考え協力して具体化していく。講師による情報たけ
でなく、研修受講者がお互いのアイディアや指導法を共有することで、自らの授業を考える良い
機会としていく。全6回の研修を通して、生徒が英語で表現する力を伸ばしていくための授業の
在り方という共通の課題に向き合う。その中で、本稿では、ご自分の実際の学習指導案や生徒さ
んの作品等を提示しつつ、発信力育成について語ってくださった稲岡章代先生の講座についてご
紹介する。
【研修内容】
「中学校・高等学校における英語教育の在り方」(講義)
「英語ブラッシュアップ講座(Ⅰ)(Ⅱ)」(演習)
☆「英語による発信力育成のための指導法」(講義・演習)
(Ⅰ)―生徒の心を動かす授業づくりー
姫路市立豊富中学校
(Ⅱ)―新しい学習指導要領で授業はこう変わるー
(Ⅲ)-生徒をやる気にさせる英語指導の実践―
「模擬授業(マイクロティーチング)に向けて」(講義・演習)
「模擬授業(マイクロティーチング)」(演習・研究協議)
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稲岡
章代
先生
生徒の心を動かす授業づくり 稲岡先生のワークショップ
コミュニケーション力とは・・・自分について、自分の持っているもので表現
する力。
稲岡先生のワークショップでは、日常の授業の組み立ての中で、子どもの「発
信力」を育てる工夫をどのように仕込んでいくのかを示していただいた。
・学期、学年、3 年間の単位で指導計画を立て、指導したい内容は、その授業
の時間だけでなく、事前・事後のウォームアップや復習等で、繰り返し取り
上げる。
・教科書本文の内容理解のみを目的とするのではなく、その話題を使って、教
室で友達と話すことをメインの活動にする。結果的に教科書の内容を intake
しやすい。
・本文導入の前に、英語の雑談等を通して生徒の持っている知識を活性化する。
題材についてのイメージを膨らませるよう仕組むのは教師の仕事。
・「発信」型の活動の前には、たっぷりの基礎練習をさせる。
・いつも教師が中心で進行役をする必要はない。生徒が自ら学ぶためのサポー
トをするのが教師の仕事。
(取組の写真)
・ひとはそれぞれの個性を生かしながら思いをたくさん持って、他者とともに
生きるためにことばを使う。そのことばを教えるのが教師。
【ある日の授業例】
1.あいさつ、生徒を 元気付ける small talk
2.ウォーミングアップに英語でチャンツ
3.復習を兼ねて、即興の会話とレポーティン グ
4.新出表現の導入、練習
5.新出表現を使った表現練習→発信へ
新出表現)S want(s) O to do ~
場面設定)留守番電話の伝言を聞く、先生 や友達の思いを聞く、自分の思いを相手に伝える、
自分への手紙を書く
【受講者の感 想】
・本当に内容の濃い 研修で、学ぶことが沢山ありました!素晴らしい講師の先生方のレクチャー
と(職場でもうらやましいと言われました)、マイクロティーチング、あびこまで来た価値が
ありました。教材研究が楽しみになりました。もっと勉強しようと元気と勇気が出ました。早
く生徒たちに返してあげたいと、わくわくしています。
・マイクロティーチング、大変有意義でした。一つの教材へ の様々なアプローチが大変参考にな
りました。指導助言もなるほどなぁと納得できるものでした。現場で生かしていきたいです。
受講者は目的意識、プロ意識をもった方々ばかりで、いわゆる「カリスマ
講師」の話を聞いて満足するだけではなく、実際の授業の場を想定したマイ
クロティーチングでも互いに刺激を与え合い、学んだことを活かしていた。
事後のアンケートでも、目的合致度 4.73/5、充実度 4.81/5 という結果で あった。
新しい情報を吸収した上で、自分の生徒たちのためにその知識をアレンジし、実践に活
か していくという姿勢が大切であろう。
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B 授業力 「授業構想」「授業展開」
内外一体となった授業づくり
一「匠の技」の継承一
B
授業構想・授業展開
経験の浅い教員に対す
る授業力向上の取組
高等学校において、いわゆる団塊の世代の大量退職に伴い、毎年 200 名以上の教員の新
規採用が始まり、猛烈な勢いで世代の交代が進み始めている。その増え続ける経験の浅い教
員にベテラン教員のもつ「匠の技」をいかに伝授していくかが大阪府にとって喫緊の課題と
なっている。港高等学校が取り組み始めた内部における教員の組織化と外部人材の活用が、
課題解決に向けての一つの方向性を示唆してくれている。
港高等学校の取組の特徴・実践例・授業構成の工夫
【取組の特徴】
(1)港高校にとって「よい授業とは」ということを教員全体で確認し、生徒の現状を踏まえた後
、授業力向上プロジェクトチームが結成された。
◎設立の趣旨
初任者・府立二校など、比較的経験の少ない教員を中心にプロジェクトチー
ムを構成し、授業力の向上をめざす。
◎具体的方策 ①ベテランの教員の授業を継続的に参観する。
②各構成員が定期的に授業を公開し、授業の改善をめざす。
③授業を授業だけで完結させない取組
ア 宿題を意識的に課す・・・三連休以上の休日には、できるだけ多くの教科に
呼びかけて、宿題を出す。(学年教務がそれを一枚のプリントにまとめ、
生徒に提示する。)
イ 小テストの実施(生徒のつまずきの発見)
ウ 定期考査二週間前から、成績不振者に対する補習を実施する。
エ 定期考査二週間前から、質問を受ける日時を設定する。
オ 生徒どうしで教え合う雰囲気の醸成に心がける。
④大阪府教育センターカリキュラム研究室の助言と協力を得てすすめる。
今年度は新学習指導要領の主な改善事項の筆頭にあげられた「言語活動の充実
」という観点から「美術」の授業において効果的に鑑賞活動を取り入れた。
山崎指導主事のコメント
1学期の批評会は、指導者が前で全体のコメントを述べる程度の鑑賞
会であったが、2学期の批評会では、生徒が自分の作品について発表し、
各自が感じたことを交流しあいながら進めることができていた。
このような鑑賞活動は、生徒の表現意欲をさらに高めることや、制作
を通して学んだ技法や形、色について振り返ることもでき、題材で学ん
だ学習内容の定着、発展に効果的である。
また、単発で終わらせず継続的に積み上げていくことで、さらに生徒
一人ひとりに力がつき、言語活動の充実にもつながることが期待できる。
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教員の意識変化
①経験の少ない教員の間では、お互いの授業を批評し合うことへの抵抗感が
少なくなった。
②授業チェックシートの活用や研究協議などを通して、授業を成立させるた
めの多様な要素に対する認識が進んだ。
③目的意識をもって授業をし、自己の授業の点検作業ができるようになった。
④教科・教材理解の重要性が理解されつつある。
⑤学期・年間を通じた授業計画が意識されはじめた。
⑥教え方の工夫が進んだ。
⑦板書の工夫が進んだ。
⑧生徒の発言を促す発問の工夫が進んだ。
これらの取組を支える港高等学校のシステムとは?
港高等学校の取組を支えた2つの要素
①内的要素
授業力向上プロジェクトチームを構成し、経験の少ない教員に対し
て経験の深い教員が継続的に指導できる体制を構築するとともに、お
互いの授業を公開し、参観しやすい環境を醸成した。
②外的要素
大阪府教育センターの「授業力向上プロジェクト」の対象校に指定
され、3 ヶ年計画で授業力向上の取組を進めた。教員全員による港高
等学校の現状認識からスタートし、指導教諭による「良い授業とは」
についての講演を経て、港高等学校にとってのよい授業の模索が続い
た。そして理想像を追求し、授業力向上プロジェクトチームが結成さ
れた。直接大阪府教育センターカリキュラム研究室と授業を改善する
ために研究協議の持ち方の工夫や担当指導主事とのやりとりを通し
て個々の教員の授業力向上を支えた。
学校が考えていた経験の少ない教員をベテランの教員が指導するという形態が組
織的に機能した。また、外部人材の活用により内部の活性化を促進するというねら
いが功を奏し、校内に専門家がいない教科についても、教育センターと協力関係を
結ぶことで授業力の向上を図ることができた。
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参 考
美術における学習効果を高めるための指導の工夫と改善
-作品批評会を取り入れた授業の工夫改善-
高等学校の美術においては、学習指導要領で「A表現」
「B鑑賞」の2領域が示されている。しか
し、実際は「A表現」の時間数がほとんどで「B鑑賞」の指導を力点に置いている学校はほとんど
ない。
今回の学習指導要領の改訂では、
「言語活動の充実」に力点が置かれており、教科「美術」で言語
力をはぐくむ活動と言えば、「B鑑賞」である。
府立港高等学校美術科のシラバスでは、他校と同じく「A表現」に突出していた。ここに効果的
に「B鑑賞」を入れて、作品から生徒たちが感じ取る活動ができないかということを提案した。
そこで考えられたのが「作品批評会(発表会)」である。講座人数が 40 名に近い形ではなかなか
一人ひとりの発表の場を保証し、全体の交流を図れる機会をもつことができない。今回の授業の人
数は、20 名ほどなので、かろうじて批評会の場を設けることができる。各学期1題材の制作が中
心になることから、作品完成後の批評会で意見を交流できる場をもち、
「言語活動の充実」の機会を
図った。
1学期は「モザイク画」を制作し、最後の授業で発表会を行った。1学期の場は、全員の作品を
並べて鑑賞させ、レポートで作品に対するコメントを書く形であった。講評はすべて指導者が行い、
生徒どうしが気持ちや感想を交流する場がもてなかった。入学して間がない段階であり、2学期に
つながる形での活動であった。
2学期には、当初は一人ひとりが作品に対して発表する形態を計画していたが、発表だけでは一
方通行になるという理由から、観賞者からの意見を聴く機会をつくるよう助言した。また、発表の
際や自分の意見を発言する機会に、自分の意見や感想を明確に言えるように「制作ノート」
「鑑賞レ
ポート」の項目について考えてみた。
表現(作品制作)中心から、鑑賞(発表)活動を取り入れることにより、生徒が学習内容をより
深く理解し、表現を高めようとするようになる。
ここでの鑑賞(発表)活動をより効果的に進めるために心掛けたことは、
①題材の指導計画立案の際、常に題材のねらいを意識するようになり、まとめの活動を念頭に置
いてワークシートや各授業のポイントを工夫すること。
②生徒が自分の作品について発表する際のポイントをワークシートに反映すること。
③発表会の進め方や交流の仕方について考えて進行すること。
④生徒の考えや作品のよさや美しさ、表現の工夫を引き出すため、発問を工夫すること。
⑤自作品の意図や表現の工夫について分かりやすく説明できるプレゼンテーション力、他の人た
ち意見を聴き、考え方の違いについて交流できる力を身に付けさせることである。
この活動は、効果的とは言え、単発で終わらせても生徒の成長は期待できない。学期ごと学年ご
とに継続し積み上げることにより、学習効果を高めるとともに、言語活動の充実にもつながること
が期待できる。今後の港高等学校での継続を期待したい。
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