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財政学

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財政学
公務員
試験
大 卒 程 度 対 応
過去問
Q
M
ク問
ー
ウォ
地上・国Ⅱ・国税・国Ⅰ
uick
11
aster
財政学
第2版
平成22年度本試験問題を追加
過去問題集 + テキスト
=オールインワン過去問集
短期合格Web講義指定テキスト
www.lec-jp.com/koumuin/
過去問集だけで公務員試験に合格する
優れた過去問集でありながら同時に優れた参考書たりうること。それが本シ
リーズ「ウォーク問 過去問Quick Master」の基本コンセプトです。合格に必
要な良問を選び抜いていることはもちろん,実際に過去問を解くための知識・
理解の習得についても超合理的な学習法を実現しました。本シリーズは,過去
問集だけで合格を勝ち取るための,まさに「贅沢なオールインワン過去問集」
ということができるでしょう。
親しみやすい工夫と構成
公務員試験における過去問の重要性については,あらためていうまでもあり
ません。しかし,実際に過去問に取り組んでみるとなかなか思うようにはかど
らないものです。そこで本シリーズでは,自然に過去問学習に親しめるようさ
まざまな工夫を取り入れています。①最重要の知識・理解に絞り込んで学べる
講義ページ,②基本事項を手軽に確認できる基礎力チェック,③効率的な学習
の指針となる出題傾向分析,④受験のツボをマスターする10の秘訣など,実
際にページを開きながら,これまでの問題集とは一線を画す構成を確かめてく
ださい。
まったくあたらしい過去問題集
そしてもう 1 つ。わたしたちがこだわったのは,さまざまな角度から過去問
へアプローチすることでした。受験のプロであるLEC講師陣・制作スタッフ
は,過去問学習についての分析・研究を日々重ねており,そのすべての成果が
本シリーズに凝縮されているのです。「ウォーク問 過去問Quick Master」は,
これまでの過去問集の常識を超えるまったくあたらしい過去問集です。
平成22年実施の良問を追加
平成22年に実施された各種公務員試験の問題の中から,必ずチェックして
おくべき問題,似たような内容での出題が予想される問題を多数収録するとと
もに,内容の見直しを行いました。最新の試験動向を反映することで,今後の
公務員試験に向け,ますますパワーアップし,より適した内容に生まれ変わり
ました。
みなさんが本書を徹底的に活用し,合格を勝ち取っていただけたら,わたし
たちにとってもそれに勝る喜びはありません。
2010年10月吉日
株式会社 東京リーガルマインド
LEC総合研究所 公務員試験部
第
1
章
財政の機能
財
政
と
は
何
か
1 財政の機能
本 文
シンプルでわか
りやすい解説に仕
上げました。じっ
くり読んで必要な
基本的知識・理解
を身につけたら,
さっそく過去問に
チャレンジ!
完全競争市場では,市場取引の結果,総余剰が
最大となり,このとき資源配分は効率的です。
「効
率的」とは無駄がないこと,すなわち,資源の存
在が限られているなかで,社会全体の利益の和が
最大となるように生産や消費が行われていること
を意味します。しかし,市場の失敗が発生するケー
スでは,完全競争市場であっても資源配分が非効
率となり,政府の財政活動により,効率的な資源
配分を実現する必要に迫られます。その財政の機
能について,財政学を体系化し,現在の財政学の
標 準 的 理 論 を 形 成 し た マ ス グ レ イ ブ は, 以 下
の 3 つに分類しています。
①資源配分上の機能……ミクロ経済学でみた「市
場の失敗」
・公共財の最適供給 ⇒ 国防,道路整備
・外部性の発生への対処 ⇒ ピグー的政策
・自然独占の発生への対処 ⇒ 価格規制
⇒ 社会的費用や社会的便益が市場で内部化
されていないのが原因!
②所得再分配機能……所得分配の公平性の確保
・最低生活水準の保障 ⇒ 生活保護制度
・過大な所得格差の是正 ⇒ 税制,社会保障
制度
・世代間の所得再分配 ⇒ 公的年金,高齢者
医療
・地域間再分配 ⇒ 地方交付税制度
③経済安定化機能……マクロ経済的な変動の最小化
Y
YF
時間
公共財とは,次の つの
性質を持つ財のことをい
います。①すべての人が
同時に同じ量を消費でき
る(非競合性)と,②対
価を支払わない人の消費
を排除することができな
い(排除不可能性)です。
不況期には,人々の所得
は一般に減少するため,
累進所得税制度の下では
従来よりも低い税率が適
用されます。よって,減
税と同様の効果がもたら
されて消費拡大や景気浮
揚につながります。
5
図 表
側 注
ビジュアルイメージが記
本文で伝えきれないポイ
憶喚起を強力にサポート!
ントやちょっとしたヒント
ふんだんに盛り込まれた
が盛りだくさん! 過去問
図表があなたの理解をより
を解くときの勘どころも押
一層豊かで確かなものにし
さえてあります。詳しくは
ていきます。
次のページへ。
基礎力CHECK
いきなり過去問に立
ち向かうのはちょっと
第
1
章
…。ならば予選で肩慣
Q 1 市場の失敗が発生しても,政府による規制は必要ではない。
らし。自分の基礎力を
Q2
マスグレイブは財政の機能を,資源配分上の機能,経済安定化機能
の 2 つに分類した。
確かめるだけでなく,
Q3
ビルトイン・イン・スタビライザーとは,増減税などによって,経済状
態を安定化させることである。
スピーディーな復習に
財
政
と
は
何
か
フィスカル・ポリシーとは,そのときの経済状態に応じて,財政出動な
Q 4 どの裁量的財政政策を行い,結果,経済全体を安定させることを目標に
している。
も活用してください。
過去問ページチェック欄
前回解いた日を確認したり
苦手な問題をマークしたり,い
重要度
ろいろな使い方を考え工夫して
みてください。過去問は解けば
A B C の三段階です。
解くほど味わい深いものです。
A:必ず解いてほしい
問題
過去問・問題
5
チェック欄
重要度
B:合格の可能性をよ
A
我が国の財政制度に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
(国Ⅱ2009)
1 国の予算の内容は,予算総則,歳入歳出予算,継続費,繰越明許費及び国
庫債務負担行為から成っている。このうち,継続費とは,工事,製造その他
の事業で完成に数会計年度を要するものについて,経費の総額及び年割額を
定め,あらかじめ国会の議決を経て,数年度にわたって支出するものである。
2 建設国債は,財政法に基づき,公共事業費の財源に充てる場合にのみ発行
されるものである。他方,特例国債(赤字国債)は,単年度立法ではなく別
途特別に制定されている恒久法に基づくもので,公共事業費以外の財源に充
てる場合に発行されるものである。
3 特別会計は,国が行う事業や国の有する機能に着目し,これらにかかる収
支を明確化するために,一般会計と区分して設けられる会計であり,国家行
政組織法で例外として認められている。このため,特別会計は,一般会計と
は異なり,国会審議が不要となっており,より弾力的・効率的な運営が可能
となっている。
4 地方交付税は,
税源の偏在からくる地方公共団体間の財政力格差を調整し,
財政力の弱い自治体であっても,ナショナルミニマムとしての行政サービス
を維持できるよう必要な財源を保障する機能を持っている。そのため,行政
サービスを維持するという条件の下,その使途を特定して,すべての地方公
共団体に交付されている
第
2
章
国
の
予
算
制
度
り高めるために解
くべき問題
C:トップ合格を狙う
なら解きたい問題
試験種の名称表記について
本書では,問題文の末尾に試験種の略称と出題年度を記載しています。
試験種
地方公務員上級採用試験(※)
国税専門官採用試験
労働基準監督官採用試験
裁判所事務官採用試験
家庭裁判所調査官補採用試験
国家公務員Ⅰ種採用試験
国家公務員Ⅱ種採用試験
国立大学法人等職員採用試験
表 記
「地上」,
「東京都」,
「特別区」,
「大阪府」
「国税」
「労基」
「裁事」
「家裁」
「国Ⅰ」
「国Ⅱ」
「国立大学法人」
※各都道府県,政令指定都市,政令指定都市以外の市役所,東京都特別区などの職員採用試験
気軽に読んでくださ
理解した内容をもう
大切だけどわかりに
いね。でもけっこう
一押し。ヒントにな
くい用語などをピッ
重要なツボを押さえ
るアドバイスをここ
クアップしました。
てあります。
ろがけました。
財政学をマスターする
の秘訣
財政は制度・事情・理論を
バランスよく学習することが重要。
最初から暗記しようなどとは考えないこと。
常識を働かせることが出来れば得点は可能。
制度対策は,予算原則と地方財政が重要!
事情対策は,当該年度当初予算の特徴を押
さえることが重要!
理論分野は,租税理論が最重要!ミクロの
消費者理論の復習をしておくこと。
研究者になるわけではないので,細部には
こだわらないこと。
まずはAランクの問題から始める。Bランクの
問題まで出来れば,合格レベルに達している。
新傾向の問題は,めったにないので,問題
集を繰り返すことが合格への近道。
最終的に 1 問 3 ∼ 4 分で解けるように,時
間を計ること。
経済が苦手でも,財政学を放棄するな!制度・
事情だけでも合格点へ到達できる!
はしがき
本書の効果的活用法
10の秘訣
第1編
第1章
財政の仕組みと現状
財政とは何か ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
財政の機能 問題
財政学の歴史 問題
第2章
∼
国の予算制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
わが国の財政制度 問題
∼14
予算原則 問題15,
16
予算制度 問題17∼21
国債 問題22∼25
経費の分類 問題26,27
財政投融資制度 問題28
第3章
地方の予算制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75
国と地方の関係 問題29,30
地方財政 問題31∼35
第4章
租税制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97
租税原則 問題36∼41
租税の分類 問題42∼44
わが国の租税制度 問題45∼51
第2編
第1章
財政に関する理論
財政に関する理論 ・・・・・・・・・・・・・・・・
141
従量税と従価税 問題52∼57
価格弾力性と租税負担の関係 問題58∼62
税負担の転嫁と帰着 問題63∼70
税制と資源配分 問題71∼76
ラムゼイ・ルール 問題77,
78
第2章
資源配分政策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
209
公共財 問題79∼82
公共財の最適供給 問題83∼88
投票のパラドックス 問題89
ピグー的政策 問題90∼92
費用逓減産業 問題93∼96
費用便益分析 問題97
第3章
所得分配政策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
99
ローレンツ曲線 問題98,
所得分配政策 問題100
市場メカニズムと政府の役割 問題101
課税の効率性 問題102,103
負の所得税 問題104,
105
公的扶助制度 問題106,107
二重価格制 問題108,
109
255
第4章
経済安定化政策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
291
フィスカル・ポリシー 問題110,
111
均衡予算による財政政策の効果 問題112∼114
政府支出乗数 問題115,116
租税乗数 問題117∼120
移転支出と均衡国民所得 問題121
均衡予算乗数 問題122,123
デフレギャップと減税政策 問題124∼127
開放マクロ経済における財政政策の効果 問題128
政府支出と完全雇用国民所得 問題129
ビルト・イン・スタビライザー 問題130∼134
クラウディング・アウト 問題135
財政・金融政策 問題136∼140
政策のラグ 問題141
マンデルの政策割当論 問題142
マンデル=フレミング・モデル 問題143
IS−LM−BP分析 問題144,
145
第5章
公債の理論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
373
財政赤字 問題146
公債の負担 問題147∼156
公債管理政策 問題157,158
INDEX ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
405
財政の仕組み
と現状
財政とは何か
財政の機能
財政学の歴史
財政学の勉強の始
まりだ。気合を入
れて勉強しよう。
過去5年間の出題傾向
財政の機能
財政学の歴史
2006
2007
2008
国家Ⅰ種 国家Ⅱ種
国税 特別区Ⅰ類
2009
2010
地方上級
出題頻度は少ないですが,財政の 3 機能(資源配分,所得再分配,経
済安定化)は財政学の学習を深めるうえで大切ですので,覚えておきま
しょう。具体的な制度や政策がどの機能に当てはまるのかも確認すると
なおよいです。財政学の歴史については,各学者の主張が「小さな政府」
と「大きな政府」のどちらを支持しているのか整理をすると学習がしや
すくなるでしょう。
4
第1章
財政の機能
財政とは何か
1 財政の機能
完全競争市場では,市場取引の結果,総余剰が
「効
最大となり,このとき資源配分は効率的です。
率的」とは無駄がないこと,すなわち,資源の存
在が限られているなかで,社会全体の利益の和が
最大となるように生産や消費が行われていること
を意味します。
しかし,市場の失敗が発生するケー
スでは,完全競争市場であっても資源配分が非効
率となり,政府の財政活動により,効率的な資源
配分を実現する必要に迫られます。その財政の機
能について,財政学を体系化し,現在の財政学の
標 準 的 理 論 を 形 成 し た マ ス グ レ イ ブ は, 以 下
の 3 つに分類しています。
①資源配分上の機能……ミクロ経済学でみた「市
場の失敗」
・公共財の最適供給 ⇒ 国防,道路整備
・外部性の発生への対処 ⇒ ピグー的政策
・自然独占の発生への対処 ⇒ 価格規制
⇒ 社会的費用や社会的便益が市場で内部化
されていないのが原因!
②所得再分配機能……所得分配の公平性の確保
・最低生活水準の保障 ⇒ 生活保護制度
・過大な所得格差の是正 ⇒ 税制,社会保障
制度
・世代間の所得再分配 ⇒ 公的年金,高齢者
医療
・地域間再分配 ⇒ 地方交付税制度
③経済安定化機能……マクロ経済的な変動の最小化
Y
YF
時間
公共財とは,次の つの
性質を持つ財のことをい
います。①すべての人が
同時に同じ量を消費でき
る(非競合性)と,②対
価を支払わない人の消費
を排除することができな
い(排除不可能性)です。
不況期には,人々の所得
は一般に減少するため,
累進所得税制度の下では
従来よりも低い税率が適
用されます。よって,減
税と同様の効果がもたら
されて消費拡大や景気浮
揚につながります。
5
・ビルト・イン・スタビライザー(自動安定化
機能)
⇒ 累進所得税・法人税,失業保険
・フィスカル・ポリシー(裁量的財政政策)
⇒ 財政支出の規模の拡大・縮小,増減税
2 財政学の歴史
……ポイントは効率性か公平性か?
財政学の源流……イギリス・フランスの重商主
義,ドイツの官房学
⇒ 成立したばかりの国家をどのように経営す
るか?
小さい政府
①A.スミス…安価な政府
『諸国民の富』
(1776年)
・
「必要悪」
…国防・司法・公共事業・君主
の尊厳維持の 4 つに限定
・
「中立性」… 4 つの課税原則
・
「均衡財政」
…公債の発行を批判
J.S.ミル…スミスを修正
『経済学原理』(1848年)
⇒効率性に加え公平性を!
・直接税の中心の税制へ
国家経費の増加に関して
は,さらにピーコックと
ワイズマンが
「転移効果」
を指摘しています。転移
効果とは,戦争などの特
殊な事情を契機として経
費が飛躍的に増加し,そ
の事情が終わったあとも
経費が高水準を維持し続
ける状態をいいます。
大きな政府
②A.ワグナー
『財政学』(1877-90年)
・財政経費が生産的
⇒経費膨張の法則
さらに建設公債を肯定
・国家には社会福祉を増大させ
る目的がある。
・近代的租税原則
・マネタリスト(フリードマン)
③J.M.ケインズ
『一般理論』(1936年)
・合理的期待形成学派
(ルーカス)
・ハーヴェイロードの前提
⇒公約的な経済政策
(1960年代後半以降) ・有効需要の原理から総需要管
理政策の有効性を唱える。
・サプライサイド学派
(フェルドシュタイン)
⇒過度の所得再分配が生産努力のインセ
ンティブを奪うと主張
・ニューケインジアンの理論
・公共選択学派(J.ブキャナン)
経済学に政治的な側面を導入
経済政策は政治的行動+財政錯覚により財政支出拡大傾向になる。
6
第1章
財政とは何か
Q 1 市場の失敗が発生しても,政府による規制は必要ではない。
Q2
マスグレイブは財政の機能を,資源配分上の機能,経済安定化機能
の 2 つに分類した。
Q3
ビルトイン・イン・スタビライザーとは,増減税などによって,経済状
態を安定化させることである。
フィスカル・ポリシーとは,そのときの経済状態に応じて,財政出動な
Q 4 どの裁量的財政政策を行い,結果,経済全体を安定させることを目標に
している。
Q5
経済安定化機能とは,マクロ経済的な経済変動を最大化することを目標
にしている。
Q6
市場の失敗は,情報の非対称性が存在しても発生しないが,独占的な経
済主体が存在すると発生する。
Q7
自然独占に対処する方法としては価格規制があり,ガスなどの公共料金
を設定する際によくみられる。
Q 8 わが国では地方交付税制度などを通じて,地域間の再分配を図っている。
Q9
「小さな政府」理論は社会経済の公平性を重視する考えであり,
「大きな
政府」理論は効率性を重視する考えである。
Q 10
A.スミスは自由放任主義の下,
「神の見えざる手」により自然と経済全
体の効率性が最大化されると主張した。
Q 11
A.ワグナーは近代的な租税原則を提唱するなど,基本的に「大きな政府」
理論の立場に立っている。
Q 12
ケインズ理論は第二次世界大戦後に生まれ,需要よりも供給を重視する
考え方であった。
新古典派経済理論は「小さな政府」の流れを汲むものであり,その中に
Q 13 はルーカスなどの合理的期待形成学派や,リアルビジネスサイクル理論
も含まれている。
Q 14
ニューケインジアン理論とは,従来のケインズ理論を補強し,価格が硬
直性を持つ背景について,一定の説明を与えた。
7
A 1 × 市場の失敗が存在すれば政府による規制が必要となる。
A 2 ×
マスグレイブが分類したのは,資源配分上の機能,所得再分配機能,
経済安定化機能の 3 つである。
A 3 ×
増減税政策は,裁量的財政政策に含まれ,ビルト・イン・スタビラ
イザーではない。
A 4 〇
そのとおり。フィスカル・ポリシーには財政支出の規模の拡大・縮
小や増減税政策などがある。
経済安定化機能は,マクロ的な経済変動を最小化することを目標と
A 5 × しており,その方法としてフィスカル・ポリシーやビルト・イン・
スタビライザーがある。
A 6 ×
情報の非対称性が存在すると,市場は失敗する。たとえば保険市場
はその一例である。独占的な経済主体についてはそのとおり。
A 7 〇
そのとおり。価格規制の形態としては平均費用価格規制や,限界費
用価格規制と補助金を合わせた政策などがある。
そのとおり。地方交付税制度は地方公共団体の間の財政力格差を解
A 8 〇 消し,財政力の弱い地方公共団体であっても最低限の公共サービス
を行えるようにするものである。
A 9 × 公平性と効率性が逆である。
A 10 〇
そのとおり。A.スミスは「諸国民の富」
(1776年)を著し,自由放
任主義を説いた。
A 11 〇
そのとおり。ワグナーの租税原則とは,能力説に立ち, 9 つの租税
原則からなる。
A 12 ×
ケインズ理論は大恐慌時代に必要とされた理論であり,かつ供給よ
りも需要を重視する考え方である。
A 13 〇
そのとおり。リアルビジネスサイクル理論は,供給側を重視し新古
典派の立場をとっている。
そのとおり。ニューケインジアンたちはケインズ理論の立場に立ち,
A 14 〇 なぜ価格が硬直性を持つことを様々な説を用いて論じた。そのなか
には,メニューコスト理論や効率的賃金仮説などがある。
8
1
チェック欄
重要度
第1章
過去問・問題
A
財政とは何か
一般に財政の役割としては資源配分の調整,所得の再分配,経済の安定化が
挙げられている。これらに関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。
(国税2005)
1 教育や医療は公的主体によって供給される場合があるが,これは,専ら所
得再分配の観点から,相対的に豊かではない所得階層に対しては低廉な価格
でサービスを提供するために行われているものであり,資源配分の調整とい
う機能を担うものではない。
2 競争的な市場機構は効率的で公正な所得分配を実現するとされているが,
現実には,種々の理由による「市場の失敗」が存在することから,財政が所
得再分配機能を担うべきであるとされている。
3 規模の経済が働くような産業においては,市場原理に委ねるだけでは独占
企業が生まれてしまう。このような産業では,政府が企業を強制的に分割し,
分割された各企業に補助金を出すことで,効率的な資源配分を実現すること
ができる。
4 財政が経済安定化に果たす機能として自動安定化機能(ビルト・イン・ス
タビライザー)がある。所得税の累進性を強めたり,失業保険制度を整備す
ることは,この機能を弱めることにつながる。
5 財政による経済安定化政策として裁量的な財政政策(フィスカル・ポリ
シー)がある。ただし,適切な政策実施時期を正しく判断することができな
い場合には,裁量的な財政政策がかえって経済を攪乱するおそれがあるとの
批判もある。
9
正解 5
〈財政の機能〉
1× 教育や医療は公的主体によって供給される場合があるが,これが「資源
配分の調整という機能を担うものではない」旨の記述は妥当でない。すな
わち,教育や医療の一部は市場においても供給可能だが,民間企業にすべ
てを任せていては供給が不十分になるため公的主体によって供給されるの
である。ちなみに,こうした財は価値財(メリット財)とよばれ,準公共
財の 1 つである。
2× 競争的な市場機構は公正な資源配分を実現する旨の記述は妥当でない。
すなわち,
市場メカニズムにより効率的な資源配分が達成されたとしても,
同時になされる所得の分配は,必ずしも公正であるとは限らない(厚生経
済学の第 1 基本定理)。
3× 規模の経済がはたらくような産業において,政府が企業を強制的に分割
する旨の記述は妥当でない。このような産業では,供給独占のほうが効率
的である。すなわち,規模の経済が働くような産業では,独占的営業権を
一企業に認める代わりに,独占企業が課す価格に上限を設けるなどで十分
な数量を供給させ,独占に伴う弊害を緩和する必要がある。
4× 所得税の累進性を強めたり,失業保険制度を整備することが,自動安定
化機能(ビルト・イン・スタビライザー)を弱めることにつながる旨の記
述は妥当でない。すなわち,自動安定化機能は,財政の中に制度的に組み
込まれており,経済情勢に応じて自動的に作用して経済を安定化させる。
所得税の累進性を強めたり,失業保険制度を整備することは,この機能を
強めることにつながる。
5○ 裁量的な財政政策(フィスカル・ポリシー)は,不況期には,公債発行
によって財政支出の規模を拡大したり,減税を実施することによって景気
の刺激を図る。一方,景気が過熱しインフレ等が起こるおそれがある場合
には,財政規模の抑制や予算執行の繰延べ,あるいは増税等によって有効
需要の拡大を抑える等が具体例として挙げられる。すなわち,政府がその
ときの経済状況に対応して,裁量的に新たな財政的手段を打ち出すことで
景気の安定化を図るのである。
【ポイント】
価値財(メリット財)は,民間企業に任せていては過小供給になる準公共財
のうち,特定の財・サービスの消費が「価値あるもの」と判断され,一定の消
費量が確保されている財のことである。
10
A
簡素性
A.スミス
6
A.ワグナー
6
100
き
基礎的財政収支
J
30
帰着
143
J.M.ケインズ
6
議定科目
22
J.S.ミル
6
行政科目
22
あ
アダム・スミスの 4 原則
く
100
い
一括固定税
クラウディング・アウト
380
繰越明許費
20
クロヨン
99
108
け
一般会計予算
21
一般財源
77
経済安定化機能
22
継続費
移用
5
20
インフレ・ギャップ
293
限界費用価格形成原理
インフレ・ターゲッティング
356
限定性の原則
20
インボイス方式
102
厳密性の原則
19
お
こ
応益説
99
項
応能説
99
公共財
オーツの地方分権定理
77
公共財の最適供給条件
公共選択学派
か
会計年度独立の原則
248
公平性
20
合理的期待形成学派
21,50
5
211
6
99
6
外国債
375
コースの定理
外部効果
212
国庫債務負担行為
20
国庫支出金
79
価値財
(メリット財)
間接税
完全性の原則
10
214
102
19
405
公務員試験 ウォーク問
過去問Quick Master 財政学 第2版
2009年11月25日 第1版 第1刷発行
2010年10月30日 第2版 第1刷発行
編著者●株式会社 東京リーガルマインド
LEC総合研究所 公務員試験部
発行所●株式会社 東京リーガルマインド
〒164−0001 東京都中野区中野4−11−10
アーバンネット中野ビル
☎03
(5913)5011(代 表)
☎03
(5913)6336(出版部)
☎048
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印刷・製本●秀英堂紙工印刷株式会社
©2010 TOKYO LEGAL MIND K.K., Printed in Japan
ISBN978−4−8449−0451−9
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定価1,575円
KD00451
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