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11/2 - kagakucafe.org
3.11以後の科学とは
3.11前後の発行になった拙著
「職業としての科学」(岩波新書)と
「量子力学は世界を記述できるか」(青土社)
の問題意識を「3.11」以後の 事態の中で考察してみ
たい。
佐藤文隆
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科学界 ここ数年のup and down
私的近況 二つの著書
制度科学の現在
科学と「科学」の歴史:ロマン主義、国民国家
科学者魂とは Mach vs Planck, Popper vs Kuhn
「3.11以後の・・・・・・」
•
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•
•
教育:理科、STEM,科学、イノヴェーション
科学/技術 グローバルと国内
エコロジズムと近代
理か誠か?
前置き
• 「日々、確信する」と「日々、改まる」
• 「人のいうことに感激」
と「 人のいうことは自己点検用、感激は危険」
・ 真理へは自力で、知識は他から学ぶ
・ 科学者向けに「科学と社会」の考察を語る
世界物理年2005
アインシュタインの四つの顔
佐藤文隆
2005 1
1
1
3
3
4
4
竹島から38度線へ
5
レーザー・リレー
6
6
6
7
7
7
来日写真:杉元賢治
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8
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2006 1
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19
26
11
22
朝日新聞紙面 高村 薫と対談 世界物理年
読売新聞紙面 科学部長インタビュー 世界物理年
レーザー学会特別講演 けいはんなプラザ
日本物理学会 相対論シンポ講演 東京理科大
日本物理学会 科学史シンポ講演 東京理科大
関西医大教養部 講義
韓国物理学会WYP 韓国清州市忠北大学
大阪産業大学講演会
JSPS Japan Science Forum, WashingtonDC、 英文パンフ
甲南大総合研講演会
KSI―WYP2005 京大基研
尼崎市老人大学
尼崎市社協
日本物理学会九州支部講演会 九州大
けいはんなフォーラム けいはんなプラザ
飛騨アカデミー
古川市
甲南大世界物理年講演会
甲南大
日本物理学会市民講演会
大阪市大
天文講演会
和歌山大社会教育センター
日本物理学会市民講演会
同志社大―田辺
日本天文学会市民講演会
札幌市国際ホール
世界物理年秋のイヴェント
タワーホール船堀
日独文化研公開シンポ講演
京大 芝欄会館
光科学館ふぉとんこども科学教室 木津町
滝高校講演会
江南市
愛知大学WYP講演会
名古屋市
御茶ノ水大学講演会
お茶の水女子大学
WYP講演会
西はりま天文台
平成基礎科学財団楽しむ科学教室 富山市
アインシュタインが考えたこと
科学と幸福
1946
アインシュタイ
ンの四つの顔
1979
1919
革命の人
権威崩壊
2005
2006
2007
YT100記念 講演テーマ 「なぜエライ?」
戦後復興の星
・・・・・・・:社会と公共
湯川秀樹著「目に見えないもの」
1943年12月
二つの方法
単行本 1946年
37歳
“現象論”
と
“原子論”
原子論なぜ必要?「電子知らずとも電灯線の故障直せる」
医者を見てみよう
現象論
と
黴菌
「黴菌の研究が病気駆除」を人々は認めている
「原子は黴菌におとらず確実、差は何か?」
「ただ何となく実生活と縁が遠く、役にたたぬものと考えられやすいというだけのこ
とかも知れない」
「出来るだけ親しみを感じるように仕向けることが科学普及の一つの眼目であると
いっても、あながち我田引水にはならないであろう」
社会システム、インフラ、生存、安全・・・
は
大半の人間には 「目に見えないもの」の上に築かれている
公衆
見る
観る
診る
知識、情報、技術、責任の非対称性
信頼、負託、・・
科学、技術、専門家
看る
目に見えるもの
測定機器、数値、因果・確率、・・
目に見えないもの
2007.7 自公 参院でねじれ
2008.9 リーマンショック
2008.10 ノーベル賞
2009.春 インフルエンザ騒動
2009.9 民主政権
FIRST騒動
2010.3 「仕分け」
2010.6 「はやぶさ」
2010.7 民主 参院でねじれ
2010.10 ノーベル賞
宇宙飛行士、国家戦略技術、リニア
2011.3.11
はやぶさ2010年6月
宇宙飛行士にかかる費用は?
国際
ISS
ITER
ALMA
ILC
TMT
・・・・
東日本地震・津波
福島原発事故
私的近況
• 停年研究者の知的生活術
• もの書き(2011.1-.6 日経“明日への話題”、週一回執筆)
• 制度科学
不信:技術、科学、専門家、合理的行政・・・、
「嫌われる学び」「反知性主義」・・・
• 量子力学
傍観系から制御系へ
もの書き科学者
• 広告塔湯川のおひざ元
• 林忠四郎先生が僕にマル投げ
• 横書きのものは縦になって読み、縦書きのものは横に
なって読む
• 年中 横で、iPad
• 1995年「科学と幸福」
• 冷戦崩壊とSSC
• 文化戦争の終結 基礎科学のぜい弱化
1996 IUPAP after Cold-war
1999
ブタペスト会議宣言
岩波新書2011-1
•歴史のつもりが少しアクチュ
アルに 資料1「新書構想変
遷」
•「仕分け」話題の時期と重な
る。JSTサイエンスポータル
の インタビュー第46回
http://scienceportal.jp/HotTo
pics/interview/
3.11 震災・原発岩波新書 5冊
はじめに
1 転換期にある科学という制度
2 知的自由としての科学―啓蒙・ロマン・専
門
3 科学者精神とはーマッハ対プランク
4 制度科学のエートスーポッパー対クーン
5 理の系譜―日本文化の中の科学
6 知的爽快―国家・教育・アカウンタビリテイ
7 科学制度の規模―食っていけるのは何人
か
8 科学技術エンタープライズで雇用拡大を
あとがき
佐藤文隆『科学と・・・』
2009/11/2
ここで「科学」とは19世紀に興隆し、20世紀には国民国家の制度的一翼を担うことと
なった制度としての科学である。二つの大戦と冷戦体制の中で国の政治の一部となり、
科学技術は巨大な力と支配的な文化的存在に急成長した。科学を支えるイデオロ
ギーは冷戦終了とともに急速に変容しつつあり、あらためて社会における存在意義が
問われている。『科学と幸福』以来の著作で展開してきたこのような時代認識の下、市
民生活や教育といった局面に題材を求めつつ、新しい科学のあり方を問う。
はじめに:科学は真理か
1 科学者は何をしているのか
学術会議?の統計によれば、日本には約80万人の「科学者」がいる。これは世界的
にも最大規模の専門家集団である。彼らはなぜその道を選び、何のために育成され、
職を得ていくのか。このシステムはどのようにしてできてきたのか。
2 国家と科学――二つの世界大戦と冷戦体制 (科学と社会の四つのつながり)
3 アインシュタイン像の虚実
(制度化、「天才」、専門家集団)
4 日本科学の来歴
(ドイツ式大学の輸入、和魂洋才から洋魂洋才へ)
5 江戸時代の専門家たちの意識 (米作と養蚕、寺子屋、地図、和魂洋才)
6 「社会のための科学」とは何か (冷戦崩壊、大競争、ブダペスト宣言)
7 次世代に何を教えるのか (教科書、学歴、専門家育成?)
8 科学がわかるとはどういうことか (コスモロジー?、リテラシー、社会的合意)
おわりに:理か誠か
マックス・ウエーバー「職業としての学問」
1917、1919 第一次大戦敗北、帝国崩壊、ワイマール期、超インフレ、ソ連建国、
などの激動期の青年に対する講演、脅し、怒号の中 1864-1919
1919 アインシュタイン熱狂、 1922 来日
Wissenschaft als Beruf、
Science as a Vocation
現実の代わりに理想を、事実の代わりに世界観を、
認識の代わりに体験、専門家の代わりに全人を、
教師の代わりに指導者を
真の実在への道、真の芸術への道、新の自然への道、真の神への道などが、す
べてかつての幻影として滅び去ったこんにち、学問の職分とは・・・・トルストイはい
う。それは無意味な存在である、なぜならそれはわれわれにとってもっとも大切な
問題、われわれはなにをなすべきか、いかにいきるべきか、になにも答えない。
それ自身としては疑う余地のない事実である。
問題となるのは
どのような意味でなにごとへも答えないか、
これに答えないかわりにそれが、
正しい問い方をするものにたいしてはなにか別のことで貢献するのではないか、
ということである
真の実在
真の芸術
真の自然
真の神
真の幸福
現実 vs 理想
事実 vs 世界観
認識 vs 体験
専門家 vs 全人
教師 vs 指導者
知的権威の争奪
トルストイ
感じる、知る、信じる
坊主か?、職人か?
科学者の分際
vs ポアンカレ「科学と真理」
加藤周一「科学と文学」
佐藤「科学」1994年5月 巻頭言
1995
1999講座「科学/技術と人間」
岡田、佐藤、竹内、長尾、中村、
村上、吉川
2004
2001
2007
「hのない量子力学」
「力のない力学」
2009
2011
2011
開沼博「フクシマ」論、修論、11月毎日出版賞
2007年7月5日
多世界
ギブスアンサンブル
多世界を使って推定
無撞着歴史
「観測」は崩壊でなく「条件設定」
「まだらな記憶をつなぐ」
宇宙は計算過程
「10^90ビット情報に10^120opsの
論理演算を行っている情報マシン」
S. Lloyd
EPR 1935
Everett 1957
量子力学の新展開
不思議を解明、不思議を使う(制御する)
物理過程は機械過程?物理過程は計算過程?
コンピュータ
科学
物質の科学
量子力学
情報理論
暗号理論
地文台1998?
研究会 2004-
宇宙線、太陽系環境、地球気候変
動、大量種絶滅、エネルギー問題
2011/10/31(月)-11/2(水)
東工大くらまえホール
第6回地文台シンポジウム&東工
大流動機構国際ワークショップ
軌道に至り、地を見る
地を観て、天を識る
天と地を識って、過去と未来を語る
Reach the Orbit, then Look down
the Earth
Observe the Earth, then
Understand the Universe
Understand the Earth and the
Universe, then tell the Past and
the Future
宇宙天気予報・・・
丸山茂徳
「雲のソムリエ」
ルーク・ハワード
科学のイメージ
• 夢がある
• 挑戦
• 優雅な職業
• 役立つ 健康
• 生活を変える 自動車、IT
• 恐ろしい力 核兵器、環境汚染
世間を超越
世間そのもの
科学と「科学」制度
日本の政府の重要政策
科学技術創造立国
科学技術基本計画
•
•
•
•
•
•
第一期1996-2000 17兆
第二期2001-2005 24兆
第三期2006-2010 25兆
GDPの1パーセント
異常に大きな比率でのび
理科離れ
橋本内閣
行革と一体で決定
18兆円
国予算
3.3兆
教育費 2+2=4兆
科学技術の重点課題
第一、二期重点推進4分野
• ライフサイエンス
• 情報通信
• 環境
• ナノテクノロジー・材料
推進4分野
• エネルギー、
• ものづくり技術
• 社会基盤(防災、テロ・治安、交通・輸送)
• フロンテイア(宇宙開発、海洋開発)
横断的分野
横断的分野
・第三期国家基幹技術
宇宙輸送システム
海洋地球観測探査システム
高速増殖炉サイクルシステム
次世代スーパーコンピュータ
X線自由レーザー
・安心安全社会
研究者とは?
研究への才能と情熱と忍耐をあわせ持つ人
・
・
・
研究で食っていける人 ->現実
•
•
•
•
日本に何人? 博士研究者 約60万
数の算出法
人口比で世界一
世界で100年間で数百倍増
->理念
2010年はRoyal Society 350年
1660 1700
1800
啓蒙
ロマン 専門
1900
産業 国家 冷戦
グロバル
化学・電気
交通・情報
1768- 1840
The Age of Wonder
プリンキピア
ビクトリア朝
1837-1901
2000
2010
19世紀ロマン主義
• 啓蒙- ロマン 専門産業
国民国家 冷戦グローバル
• 理科とSTEM(「職業と」144p、資料6「理科」)
• 素晴らしいのは何か?
• ポール・ヴァレリー, ギリシャ的とは?
笑気(亜酸化窒
素N2O)
実験
王立研究所
笑気(亜酸化窒素N2O)
吸引体験ショウ―
デーヴィー
デヴィーがファラデイーを見出す
クリスマス・レクチャー 「ろうそくの科学」など
“Masters of Theory:Cambridge and
the rise of Mathematical Physics”
by A.Warwick
ロマンから専門へ
Mathematical Tripos
J. Herschel,Whewell,Babbage,
Richard Jones
To the solid ground of
Nature trusts the mind
which builds for aye
(ever)
---Wordsworth
国家は研究に金を
出すべきか?
Airy
vs
Lockyer
グリニッチ経度
パスツール 仏1822-1895
Lord Kelvin
キューリー夫妻
ラザフォード
21世紀の科学技術をめぐる情勢
20世紀と科学
•
•
•
•
•
•
常人の職業としての科学者
国民国家の教育と科学
国民国家の戦争と科学
国民国家と産業政策
国民国家と冷戦体制 安全保障と文化
国民国家とITによるグローバル化
国民国家の崩壊
アメリカ、物理学博士号取得者推移 ピーク時に約3万名/年
ブラックホールのオッペンハイマー
ビッグバンのガモフ
海軍 原子力潜水艦ー>原発 リコーバー
オッペン 核爆弾に極限
1999年米物理学会百周年
アトランタ
アトラクションの一つに、デズニーランドでのミッキー
マウスの縫いぐるみよろしく、大物理学者に扮装した
人物があちこち歩き回って、それと一緒に写真を撮る
趣向もあった。その「大物理学者」はアインシュタイン、
キューリー夫人、オッペンハイマー、であった。「オッ
ペンハイマー」は大きなパナマ帽子をかぶり、トレード
マークのマドロスパイプを手にし、長身の人物が扮し
ていた。(「異色と意外の科学者列伝)
Lansing Lamont, Day of Trinity, Artheneum, 1965
Nuel Pharr Davis、Lawrence and Oppenheimer, Simon and Schuster, 1968
Foreword by Philip M. Stern, In the Matter of J.Robert Oppenheimer:Transcript of
Hearing of before Personal Security Board and Texts of Principal Documents and
Letters USAEC、The MIT Press,1970
Glenn T. Seaborg, Nuclear Milestones, W.H.Freeman and Company,1972
Peter Goodchild, J.Robert Oppenheimer, shatterer of worlds, Houghton Mifflin
Company, 1981
J.Robert Oppenheimer, Atom and Void: Essay on Science and Community,
Princeton University Press,1989
Robert Serber, The Los Alamos Primer:the first lectures on how to build an atomic
bomb, edited with an Itroduction by Richard Rhodes, University of California Press,
1992
Alice Kimball Smith and Charles Weiner ed., Robert Oppenheimer : Letters and
Recollections, Harverd University Press in 1980 and Stanford University Press in
1995
Richard Rhodes, Dark Sun, the making of the hydrogen bomb, Simon & Schuster,
1996
S.S.Schweber, In the Shadow of the Bomb;Bethe, Opprnheimer, and the Moral
Responsibility of Scientist, Princeton University Press, 2000
Jeremy Bernstein, Oppenheimer Portrait of an Enigma, Ivan R. Dee, 2004
Kai Bird and Martin J. Sherwin, American Prometheus: the triumph and tragedy of J.
Robert Oppenheimer, Alfred A. Knopf,2005
David C. Cassidy, J. Robert Oppenheimer and the American Century, Pi Press, 2005
Cynthia C. Kelly ed., Oppenheimer and the Manhattan Project, World Scientific, 2006
Priscilla J. Mcmillan, The Ruin of J. Robert Oppenheimer and the Birth of the Modern
Arms Race, Penguin Books, 2006
Charles Thorpe, Oppenheimer:the tragic intellect,The University of Chicago
Press,2007
Silvan S, Schweber, Einstein and Oppenheimer:the meaning of genius, Harverd
University Press,2008
中村雄二郎「総論ーなぜいま科学/技術なのか」in講座「科学/技術と人間 第一 巻」
「問われる科学/技術」(岩波書店、1999年1月)
1963
3.3 横須賀集会
3.27原子物理学者
有志声明
6月1600名
4.26 学術会議総
会 寄港反対決議
6.8 末川、湯川など
「よびかけ」
6.19 参議院外務
委 湯川参考人
1964
8.28 閣議決定
核兵器廃絶、自主・民主・公開で平和利用
社会主義国、左翼科学者 ジョリオ・キューリー、バナール、・・・積極的推進
科学理論はそんなに自明なのか?
現在、自然科学は、政治的主義主張や哲学、人生観やイデオロギー、怨念
や宗教心、こうしたオドロオドロしたこととは関りのない、スッキリした精神活
動と思われている。とりわけ数理的な手法で理論化されている物理学などは
全く価値中立な存在であるというイメージが定着してきている。このため世間
での自然科学のイメージは「明るく、新鮮で、健康で、単刀直入で、清潔で、
公明正大で、屈託が無い」ものとして描かれる。これはほめ言葉のようだが、
同時に「潤いがなく、平板的で、余韻がなく、底が浅く、単細胞である」というイ
メージと同居したものとなっている。
社会の中で、科学の存在が大きくなり、安全などをめぐるその社会的影響に
ついては様々な議論はあるが、科学という知的営み自体の意味が問われる
場面はしばらく影を潜めている。筆者が学生であった1950年代までは「思想
としての科学」がむしろ前面に出ていたことを思えば、隔世の感がある。日本
でも先進諸国でも、1960年代から始まった急速な科学界の規模の拡大に
伴って「制度としての科学」が前面に出て、冒頭に記したようなイメージの科
学に変貌したのである。人類の知的活動のなかで、「科学」が前衛的な一つ
の党派的主義主張であった時代から、科学「党派」が他を完全制覇して「対
抗思想」が社会や教育の前面から姿を潜める時代に移り、「科学」が自らの
存立基盤を相対化してみる大きな視点が語られなくなって久しいのである。
潜んでいた声が噴出!!!
3.11後
専門知識者の働き場と公共
(イ) 物の理の堅持と向上、社会的に独立した思考、専
門を維持する交流組織、
(ロ)民主主義と専門知識 巻きこまれる市民、
マートンのCUDOS 1930年代
公有制communality
普遍性universality
私的利益からの解放disinterestedness
系統的懐疑主義wellorganized-skepticism
ヒポクラテスの誓い
この法律がこれまでの科学技術政策と異なるのは、研究
目的を明確にすることを強く意識している点である。伝統
的に日本の科学界にはこれとは逆に、研究は実用から遠
いものほど、政治や経済から遠いものほど高級という思
い込みが根強くあった。よく言えば純粋、悪く言えば退行
的な心理がアカデミズムを覆ってきたのであり、これが反
軍事、反産業という戦後左翼的な心情に由来するもので
あったことは明らかである
米本昌平、1996
「日本人はなぜ「科学」でなく「理科」
を選んだのか」藤島弘純
「「理科」の再発見」小川正賢
学校教育の「理科」、歴史、指導要領
(イ)自然もロゴスで語れることを子供に教える。
(ロ)ロゴスでは表せない自然のすばらしさを感じ取れる子供を育てる。
(ハ)ロゴス化さる人間の営みのすばらしさを教える。
観察系
制御系
伝統的生業と自然観
“科学的”自然観
正す(糺す)と追加
• ポワンカレの真理の探求(資料7「終焉とは))
• 「宇宙がビッグバンで始まったという知識は一文
の値打もない」
• 数理ツールとは
• 自然をありのままに「見ない」修行
• 「車庫入れのゲージ理論」佐藤「数理科学」2000年5月号
• 「真の理論」と「よい理論」 赤池AIC
幅10cmの頭を縦に半分に切る
•
•
•
•
•
•
•
切る人を止める
切られる頭をよける
割れないように頭を押さえる
110番に電話
119番に電話
写真を撮る
5cmになる
朝永振一郎
• ドイツ留学時代、インド人留学生、雪の森で凍死
悲しみにくれている時、ハイゼンベルクは、死の事実をかん
たんにのべたあと、物理の数式を黒板に書きはじめた。
・ Nobel賞メダルのデザイン、 女神のベールを上げる
Dis-cover
カバーをめくるのは「失礼」「下品」・・・・
講演テープ売っていた
・ 「物理学とはなんだろうか」岩波新書
手を加えない自然、地球科学
勉強好きな子の生きる制度世界
• 「原爆の知」の限界、賢人依存・専門家依存の限界
• 科学の分際、観念のうごめきの整流、仕方がない
• 煽りの文化、鎮めの文化
• ホッブス史観 「リヴァサン」万人の闘い
• グレシャム、アダム・スミス、ヒューム、・・
• 市場主義
• ヴォルテール「カンデイート」、吉見俊哉「大学とは」
漢語:公=公明正大=宮
私=邪悪
和語:おほやけ
わたくし(一人称)
大家、大宅
溝口雄三「公私」三省堂
こやけ、おやけ、小宅
共同倉庫建物、地名として各地にあった、commons
教えることの論争継続
ID intelligent design
「創造説」主義者
学校教育
米国政治、州政府
2009 ダーウイン生誕200年
種の起源 150年
政治
医療
研究費
手を加えない
知らせると
人間を越えた崇
高な理念を捨て
ると道徳的に堕
落する
知ると怖い社会思想へ
•
•
•
•
•
•
•
適者生存 弱者消滅
「進歩」は強者が導く、競争主義
資本主義 資本家と労働者
帝国主義 帝国と植民地
優性学
「進化」の医療技術、選定
市場主義 市場で淘汰、社会保障不要、・・
・・・・・・・・
国民国家興隆による「19世紀テク
ノシステム」のpostponed
(「職業と」の207p)
• 冷戦崩壊で「19世紀型」へ
啓蒙- ロマン 専門産業
( 国民国家 冷戦)グローバル産業
グローバル
健康、長寿
「産業」 理工から医療・製薬へ、理工は背後の支え
富の保存法 子供ー>金融ー>不安定化
人口増加
10月末で70億人
21世紀中、後期
「成長の山」をどう乗
り越える?
原発論争:エコノミー派の登場
• エネルギー派
• サイエンス派
• エコロジー派
中山茂 1981年
• エコノミー派
吉岡斉 2011年
脱原発 Ausstieg aus der
Atomenergie(kraft),Kernenergie(kraft))
出口
1975年 松永賞 松永安左エ門
佐高 信「電力と国家」集英社新書
昭和初め 約700社
東京電燈 宇治川電気
2008年
国際
ISS,ITER,ALMA,ILC,・・・・・・
三つの未来国A、B、C(1999、「科学者の将来」)
A:科学研究を国家が運営
B:エコ国家、進歩をさせない科学の国家管理
C:市場原理の中の科学
「パリテイー」
22世紀の物理学
「いま自然をどうみるか」(NPO[あいんしゅたいん」HP)
高木仁三郎氏の著書に「いま自然をどうみるか」(白水社、1985年、増補1998年
)という著作がある。私の著書も参考文献に挙げられているが、特に、ニュート
ンの空間論が自然に従属しない近代的自然観の嚆矢だとする私の文章を長文で引
用している。
高木氏のこの本で彼は世間で日に日に広まっていく種々の「エコロジズム」にま
つわる風潮に苛立っている様子が読み取れるが、基本的にはこれを深めるために
次のような批判的考察を歴史にそって行っている。
彼の問題意識は「エコロジズムは解放の思想たりうるか」というものである。第
一にこれが人間の自然利用を制限することになれば、人間社会の物質的基盤を脅
かすことにならないか、ということである。現在の快適な生活を支えている膨大
なインフラストラクチャをしばしば忘れがちであるが、それは贅沢を支えている
というよりも、人間としての自由や尊厳を支えている基盤になっているのである
。前回、「科学の力不足と人間の抑圧」に書いたように科学の力が多くの人間を
解放してきた歴史を忘れやすい。
高木氏が提起するエコロジズムを問題にする第二のポイントはもう少し精神的な
ものである。「人間の自然的規範への従属を要求し、人間の自由と主体性を著し
く制限することにならないか」ということだ。自然への従順さだけが強調される
と、その社会思潮は個人の自由や尊厳の主張を排除する抑圧的な風潮を助長する
様になりかねない。歴史にはその例を多く見ることが出来る。また、自然への没
入が強調されると合理性を基礎にした人々の対話の尊重も抑圧されてくるだろう
。自然を物神化し、人類の運命をそれに預けるべしという風潮が横溢してくるだ
ろう。
反知性の敵意
「だれがわざわざ、情緒の温かみ、堅固な人格、実践能力、
民主的感情を犠牲にする危険を冒してまで、せいぜい単に
利口なだけ、最悪の場合は危険ですらあるタイプの人間に
敬意を払うだろうか」(「アメリカの反知性主義」)
•
•
•
•
感情:温かい情緒に欠ける
人格:利発、狡猾、魔力
実用性:単なる理論への軽蔑
民主主義:平等主義を無視した差別
Robert Oppenheimer
Geffery Chew
Nuclear Democracy
「破られた対称性」四章
ファッショイタリア
ナチスドイツ
野口雅弘「官僚制批判の論理と心理:デモクラシーの友と敵」中公新書
再び「思想としての科学」か????
50年代物理学科学生の三つの難問
客観世界への闖入者 (量子力学は・・・)
「科学が生み出す技術こそが、この難問の
難しさを軽減する。力が、科学という形をとっ
たときには、善との結びつきが他の力とは
比べものにならないほど強い。なぜなら科学
のない力は、人間の力を権力によって集め
て大きくしたものであり、力を集めて大きくす
る過程そのもの、その力を操作可能なもの
とする過程そのものに悪との親和力が働い
てしまうからである」(加藤尚武「技術と人間
の倫理」NHKライブラリー)
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ベーコン科学の終焉か?
知は力
感染症、食物増産、--人口増
エコロジズムと近代人間理念
権力の補完物
からの脱却
「知の自然観」から「手の自然観」へ (高木)
マルクス主義
プラグマテイズム
しかし何れにせよ日本人の琴線をくすぶるのは理では
なく誠であった。あの人は「間違ってるが、正しい」と
いった言辞にいまもよく出会う。これは「(理屈では)間
違ってるが、(誠を貫いた行動は)正しい」という意味で
ある。誠は人と人の関係のあり方であり、目を凝らして
外から探してくる理とは違う。已むを得ざる自然を生き
ることである。こうした理から誠への転換は自己の体
験と証合して真実を求める江戸の学者の姿勢に由来
する。それは「心即理」の陽明学とも異なる。相良 亨
「誠実と日本人」(ぺりかん社、1980、増補版1998)は
こうした日本の文化、宗教、倫理のながれの中で、理と
誠の関わりを論じるともに、誠主義の危うさを説いてい
る。
(日経 半歩遅れの読書術 2009)
おわり
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