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あり(2012年)

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あり(2012年)
中長期ボランティア・アメリカ
ACE・California,Arizona
参加者レポート
~目次~
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
名前
はじめに
事業の概要
参加者・協力者
活動期間中の日程
事業のねらい、ワーク、その成果
ワーク以外の活動
生活
自分自身の変化
提案と今後の構想
終わりに
:馬場 淳輝
活動期間:2012/4/7~2012/8/11
1)はじめに
私は以前から環境問題や自然に興味があり、大学で森林、特に自然公園の管理・維持・利用について学ん
できました。そして、大学 4 年時の期間を休学して実際にアメリカの国立公園を訪れて自分の目でその現状
を見てみたいと思って、中長期ボランティアでアメリカの ACE に参加することにしました。ACE はアメリ
カ人の学生インターン、また世界各地から国際的なボランティアを募って、アメリカの国立公園や国定公園
で保全ボランティアを行う NPO 団体です。カリフォルニアとアリゾナに拠点があり、作業の要請を受ける
と自然公園へ赴いて現地の管理団体と共に保全作業を行います。私は 3 カ月間をカリフォルニアで、1 ヶ月
半をアリゾナで過ごし、ヨーロッパを中心に世界各地からやってきた参加者と交流を深めながら約 4 カ月保
全ボランティアを行いました。この 4 カ月で日本では味わうことができない実に様々な体験をすることがで
き、将来について考える時間を十分に取ることができました。そして、世界中にたくさんの友人を作れたこ
とが何よりの財産になりました。今後この経験を生かして、さらに自分の勉強を深め、前に進んでいきたい
です。
2)事業の概要
2-1)事業名
2-2)開催期間
中長期ボランティア・アメリカ ACE
2012 年 4 月 7 日~8 月 11 日(127 日間)
2-3)開催地
California Santa Cruz, Arizona Flagstaff
2-4)事業目的
①
②
③
2-5)参加者
*共に活動したボランティア:約 20 ヶ国約 40 名
*様々な形で参加した住民 :約
名
詳しくは、
「3)参加者と協力者」を参照
2-6)ワーク内容
①
②
③
協力的な労働と保全プロジェクトを通して国際理解を深める。
グローバルレベルで生態系を意識した生活を創造する。
ボランティア参加者の情熱やエネルギーを保全活動に費やす。
各自然公園においての登山道整備。
各自然公園においての外来種駆除。
各自然公園においてのフェンス建設。
2-7)他の活動
在来種の植樹、原生地域の保護など。休みに日にプロジェクトサイトで
ハイキング、友人とロードトリップなど。
2-8)生活方法
宿泊:プロジェクト中はテントでキャンプ生活。休みの日はシェアハウ
ス。
食事:キャンプ生活で参加者と一緒に。休みの日は自炊。
2-9)言語
2-10)協力
英語。
各自然公園の National Park Service。国有林の場合は National Forest
Service。
3)参加者・協力者
3-1)共に期間中活動したボランティア(女
姓名:難しい場合ふりがな
Grant Kessler
Bengt Torstensson
Duco Claringbould
Da Yeon Yonni Kang
在住地
アメリカ
スウェーデ
ン
オランダ
韓国
名:男
名)
性 年
職業(専攻)
男 25 ACE super visor
男 27 自営業
備考
プロジェクト中のリーダー。
熱心な活動者。
男 22 経済学
女 22 教育学
アウトドアに熟知。
英語の先生志望。
3-2)協力団体・協力者の方々
・Pinnacles National Monument, Merced River Recreational Area, Sequoia National Park, Walnut
Canyon National Monument, Navayo National Monument, Bryce Canyon National Park の Park Service
または National Forest Service の職員の方々。
4)開催中の日程と出来事
4-1)大まかなスケジュール
月
4
活動内容
重点事項
Pinnacles National Monument で ・作業に慣れる。
登山道整備作業。
・体力をつける。
・英語をたくさん話す。
出来事
・多くの友人と仲良くなる。
・作業のきつさに驚く。
5
Merced River Recreation Area で ・キャンプ生活の中で協力するこ ・ 週 末 に 念 願 の Yosemite
外来種の駆除作業。
とを大事にする。
National Park を訪れる。
・英語をもっと話す。
・健康管理。
6
Pinnacles National Monument で ・仲間と協力してモチベーション ・100%心から楽しめるよう
外 来 種 の 駆 除 作 業 。 Sequoia 維持。
になる。
National Park で管理火災下準備。 ・健康維持。
・友人とロードトリップに 1
・オンとオフの切り替え。
週間出かける。
7
Walnut
Canyon
National ・仲間と協力してモチベーション カリフォルニアからアリゾ
Monument でフェンス建設作業。 維持。
ナに移る。新たな仲間に出
Navayo National Monument で外 ・英語のさらなる上達。
会う。
来種の駆除作業。
8
Bryce Canyon National Park で ・集大成のつもりで作業に打ち込 ・友人と別れてサンフラン
フェンス建設作業。
む。
シスコで最後の週末を過ご
・英語もまだまだ頑張る。
す。
4-2)基本的な週間スケジュール
曜日
◆月曜日
作業場所への移動日。グルーブで車移動。作業
は行わず、キャンプ場でプロジェクトパートナー
である Park Service の職員から簡単な説明を受
ける。
◆火曜日
6 時に起床して 7 時から作業スタート。1 日 10
時間労働なので 17 時半まで働く
(昼食休憩 30 分)
。
夕食作りの当番のため夜は調理をする。
◆土曜日
休日は、遅めに起きて、プロジェクトが同じメ
ンバーで一緒によくハイキングに行っていた。
4-3)基本的な1日のスケジュール
・日中暑くなる夏の時期は 1 時間早起きして、16
時半に作業を終える場合もあった。
予定
移動日
活動内容
グループで車移動。
到着してキャンプの準備
をする。
火
活動日
フェンスの建設作業。
水
活動日
フェンスの建設作業。
木
活動日
フェンスの建設作業。
金
活動日
フェンスの建設作業。
土
休日
公園内をハイキング。
日
休日
近くの街に食材調達のた
め買い物に出かける。
月
時間
6:00
行動
起床。朝食を済ませて、7 時までに作業
の準備をする。
7:00
作業スタート。
10:15
1 回目の休憩(15 分)。
12:30
昼食(30 分)
。
14:30
2 回目の休憩(15 分)。
17:30
作業終了。キャンプ場へ戻る。
18:30
夕食
団欒
就寝
21:00
5)事業のねらいワーク、その成果
5-1)本事業のねらいと背景
本事業の目的は主に、以下の3つである。
世界各地から来ているボランティア参加者の力で米自然公園の保全活動に貢献する。
保全ボランティアを通して、参加者が国際的に交流し、国際理解を深める。
保全ボランティアを通して、生態系に意識した行動の意識を高める。
①
②
③
それぞれの背景は、以下の通りである。
① アメリカの国立公園は 68 存在し、総面積は約
34 万平方 km と広大である。各国立公園には管
理団体として国立公園局がいて、主体になって
管理している。しかしながら、広大な面積を所
有していることもあり、国立公園局の職員のみ
ならず、一般のボランティアの参加が自然保護
のためには不可欠となっている現状があり、実
際に多くの市民ボランティアが公園管理に貢献
している。ACE にはカリフォルニア、アリゾナ
周辺の自然公園の公園局から保全作業の要請が
あった場合に、10 人前後のグループを派遣し、
協同で保全作業をするようになっている。ACE
に所属するヨーロッパを中心とした世界各地か
ら来た参加者はアメリカの自然公園の保全活動
に貢献している。
② 基本的に保全作業は 10 人前後のグループで公
園内のキャンプ場でキャンプ生活をしながら 1
週間から 2 週間続く。その間は朝昼晩ずっと一
緒の共同生活を続けることになるので、参加者
同士の交流は想像以上に密なものになる。お互
いの国のことや文化、参加理由などを話す時間
はたくさんあり、国際理解を深めることができ
る環境である。
③ ACE のボランティア参加者は 1 つの場所で同じ
保全作業を続けるわけではなく、複数の自然公
園を訪れ、場所によって異なる保全作業を行う。
したがって、様々な自然に触れ合う機会を得る
ことができ、観光として訪れても行くことがで
きない場所に行けたりもするので、素晴らしい
自然環境や風景を体験して感じることが多いは
ずである。
5-2)ねらい①への成果
・ブライスキャニオン国立公園のフェンス建設作業
ブライスキャニオン国立公園はユタ州の南部に位置する国立公園で、台地の隆起と川・雨など水による浸食
で出来上がった岩の尖塔群フードゥーが見どころである。そのブライスキャニオン国立公園内で老朽化した
フェンスの撤去と建設の作業を 12 人のグループで 8 日間行った。フェンスは国立公園と国有林の境界に設置
されており、国有林側に放し飼いにされている牛の侵入を防ぐためのものである。1 日の労働時間は 10 時間
なので、延べ 80 時間の労働時間で、3 か所、長さにして約 1500m のフェンスの撤去と建設を行った。活動風
景は以下の写真の通り。
5-3)ねらい②への成果
ボランティア作業、キャンプ生活を通して多くに外国人と話をする機会があり、外国の文化など様々なこ
とを教えてもらった。また反対に日本の文化なども相手に伝えることができた。
例えば、イギリスの高校でも日本と同様に制服があることや、オランダの人口は 7000 万人と密度が高いこ
となどを知ることができて、これまでひとまとめにヨーロッパと見てきたイメージが変わり、1 つ1つの国
に個性があることがわかった。また、サムライは知ってるけどニンジャは何なのかわからない外国人に忍者
について教えてあげることができた。
5-4)ねらい③への成果
私自身、4 か月の間に 7 つの自然公園を作業で訪れることができた。それぞれの自然に特色があって、ど
れも素晴らしいものばかりで雄大さに圧倒されっぱなしだった。こんなに雄大な自然ならば、人間が少しく
らい開発をしてもびくともしないのではと勘違いしそうになるほどだったが、それは間違いで国立公園局の
職員から人間の活動が生態系に強いインパクトを与えていることを説明されたし、だからこそ保全活動を行
っているのだと気づけた。また、そのような議論を同じ参加者と英語でできたことも有意義だった。
6)ワーク以外の活動
6-1)シェアハウス
ACE には休日を過ごすためのシェアハウスがある。
作業から帰ってきた世界各国からの参加者がいて、
一緒に生活している。休日でも共同生活は続くので、
言葉も文化も異なる友人と英語を通じて協力し合う
のはとても刺激的だった。
6-3)ハイキング
2 週間作業がある場合、作業場所の自然公園で週末
を過ごすことが多かった。そのときは、決まって公
園内のトレイルをグループメンバーと 1 日ハイキン
グしていた。作業以外でもメンバーと過ごして連帯
感を高めていた。また、自分自身にとっていい気分
転換になっていた。
6-2)クルーディナー
作業から帰ってきた夜は一緒だったメンバーと夕食
に出かけるのが決まりとなっていた。いわゆる打ち
上げのようなもの。仲良くなった友人との仲を一層
深めるものとして大切な時間だった。
<ハイキングの様子>
6-4)ロードトリップ
ACE では労働時間によって与えられる休日の数が
決まっている。
1 日 8 時間労働で 5 日間働いた場合、
2 日休みが与えられて、1 日 10 時間労働で 4 日間働
いた場合、3 日休みが与えられる。1 日 10 時間労働
の作業を 8 日間続けたあとは 6 日間の休日があるの
で、そのような長い休みがある時は友人とレンタカ
ーを借りて遠出していた。ロードトリップでは、ラ
スベガスやパウエル湖、グランドキャニオンなどを
訪れた。
7)生活
7-1)宿泊施設
ボランティア作業中は作業場所でキャンプをして過
ごすが、作業から戻ると、カリフォルニアではサン
タクルーズ、アリゾナではフラグスタッフに休日を
過ごすためのシェアハウスがあって、参加者と共同
で生活をしていた。
7-2)食事
作業中はACEから食事は供給されていた。作業場
所への移動前に期間分の食料を大きなクーラーボッ
クスに積み込んで持っていく。朝食はシリアル、昼
食はサンドイッチを自分で作って持っていき、夕食
は用意された食材でパスタやハンバーガーなど、キ
<シェアハウスの写真>
ャンプで作れる簡単な食事をとっていた。作業中は
熱中症対策で水をこまめに多く飲むように言われて
いて、1 日 5 リットル以上飲んでいた。同時に発汗
で失われた塩分を補うために、塩気のあるスナック
菓子を休憩中に食べていた。
7-3)シャワー
作業場所にもよるが、基本的に作業中はシャワーを
浴びることはできない環境にあった。したがって、
長いときは 2 週間シャワーを浴びれずウェットペー
パーで体をふくことしかできなかった。作業が終わ
り、シェアハウスに戻ればシャワーを浴びることは
できた。
8)自分自身の変化
8-1)モチベーションの変遷
8-2)モチベーションの変化の分析
アメリカ到着直後は、不安を抱えながらもボランティアに対する高いモチベーションを持っていた。しかしな
がら、最初に訪れた Pinnacles National Monument でのワークが想像以上にハードで体がついてゆけず、ワーク
に対するモチベーションは下がった。そんななかでも、周囲のテンションの高い仲間に元気をもらいながら、全
体的なモチベーションはある程度保てていたと思う。最初のワークを乗り越えたことで自信もついたし、モチベ
ーションも取り戻せた。しかし、4 週目からの別の場所での作業は外来種の駆除作業など単調ですぐに飽きてしま
うものばかりで、そのような作業を 2 週間も続けないといけなかったりしたので、どうしてもモチベーションを
保つのは難しく、だんだんと下がっていった。そんな最悪の状態で迎えた 8 週目からの Upper Merced Recreation
Area での作業は再び外来種の駆除でこれまで同様やる気は起きていなかったのであるが、ある日の作業を終えて
から自分でも不思議なくらい急に 100%作業を楽しいと思えるようになった。一番つらい時期をなんとか頑張って
乗り越えたことでびっくりするくらい心の持ちようが変化した。モチベーションを 180 度変えることができたの
は周りの仲間に助けれたところが大きい。決して楽しいとはいえない作業のなかで、常に誰かが雰囲気を盛り上
げてくれていたし、協力し合う雰囲気を作り出してくれていた。この体験をしてから、どんなことがあってもも
う大丈夫だと思えるようになった。実際に 10~11 週目にかけての Sequoia National Park での作業は過去にない
くらい良いモチベーションで臨むことができたし、何より小さいことは気にせず、全ての状況を楽しむことがで
きた。7 月(12 週目)にアリゾナに移動してからはまた新鮮な気持ちで過ごすことができ、退屈な作業内容にモ
チベーションを下げることはあったけれど 、前の経験を生かして早く修正できるようになった。16 週目の最後の
Bryce Canyon National Park での作業は素晴らしいものになった。
8-3)活動を通じて得たことや気づき
活動を通じて気付けたことは大きく分けて 3 つある。それらは 1 人では決して社会の中でうまくやっていけな
いこと、
「やったほうがよい」環境と「やるしか仕方のない」環境はかなり違うこと、どんな自分も本当の自分と
して受け入れられるようになったこと、である。
まず、1 人では社会の中でうまくやっていけないということに気付けたことに関してであるが、ボランティア作
業やキャンプ、シェアハウス、ロードトリップなどかなり多くの時間を共同生活で過ごしたことにより、協力す
ることや自分の意見を主張することを学んだ。そんななかで自分自身としては周囲の友人に助けられてばかりだ
った。英語がうまいほうではなくて、おとなしいほうだった自分に積極的に話しかけてくれる友人の存在は大き
かったし、周りに目を配って自分のことより皆のために行動する友人にも幾度となく助けられた。自然と誰かの
ために自分を犠牲にして行動できる寛大さはとても勉強にもなった。上記でも書いたように、下がったモチベー
ションを再び上げることができた大きな要因になったのも周囲の友人の励ましだった。180 度心の持ちようが変わ
った体験をしたが、自分のおかげで変われたのではなく、周囲の友人が常に場を盛り上げてくれたり、話しかけ
てくれたりしたおかげだったと強く思う。周囲の友人には感謝してもしきれないし、決して 1 人では社会でうま
く生きていけないのだなと心から気付くことができた。
次に「やったほうがよい」環境と「やるより仕方のない」環境がかなり違うということに関してであるが、こ
れは英語とアウトドア生活について言えると思う。日本にいたころは英語の勉強は「やったほうがいい」程度の
もので英語を使わないからといって特に不便な環境ではなかったのでそこまで上達することはなかった。しかし、
アメリカに行って日本人が他に誰もいなくて英語を「使うより仕方のない」環境を経験すると、明らかに英語を
使えるようになった。「やるより仕方のない」環境に置かれると、人間は案外頑張れるものなのだなと気付けた。
アウトドア生活についても同じことが言える。日本に戻った今の状況で、自分が実際に経験したキャンプ生活を
思い出すと、不便なことが多くあり、よくあんなことに耐えていたな、もう 1 度やるのは無理だななどと思って
しまうが、そのとき、その状況にいた自分は「やるより仕方がなかった」のであり、特に嫌だななどとは感じな
かったのである。活動を通じて、このような違いにも気付けた。
最後にどんな自分も本当の自分として受け入れられるようになったことに関してである。作業中モチベーショ
ンが落ちたりしたときに、そこでもうひと踏ん張り頑張って乗り越えようとはしたけれど、なかなかできないと
きのほうが多かった。
「きついから頑張りたくない、サボりたい」というマイナスな気持ちを否定して、頑張り抜
くということも選択肢としてあったかもしれないのだが、私は自分がどんな性格の人間なのかに興味があったの
で、マイナスな気持ちもいったんニュートラルな状態で受け入れて、どうしてそんな気持ちを抱いたのかをより
深く考えるようにした。そうすると、頑張りたいと思う自分も本当の自分で、頑張りたくないと思う自分もまた
本当の自分だと心から思えるようになった。言い換えると、自分の二面性をネガティブにではなく、本当の自分
として自然と認められるようになった。
以上の 3 つが活動を通して気付けたことである。
8-4)今後どのようにこの経験を生かしていくか
私はどちらかというと内向きな性格で、他人と関わるということがあまり得意ではなく、積極的に自分から行
動するということをしてこなかった。しかし、4 か月の保全ボランティアを通して、自分は社会の中で生きていて
他人と関わらないでうまく生きてゆくことなどできないという以前から何となくは感じていたことを心から気付
くことができた。得意であろうが不得意であろうが、気付けたことで社会の中でどううまく生きていくかという
ことに向き合えるようになった。そして、自分の二面性を自然と認められるようになって、自分は自分のペース
を崩して頑張りすぎると、かえって悪い方向に行ってしまうということがわかったので、社会の中で自分のこと
ばかり考えてはいられないけれど、あくまで自分のペースで何事にも取り組んでいくべきだと思えた。また、「や
るより仕方のない」環境では特に嫌に感じることなく、想像以上に頑張れていた。そのような環境にいると、思
った以上に頑張れることが実感できたのだが、いつも「やるより仕方のない」環境ばかりではない。日本にいれ
ば、
「やったほうがよい」環境のほうがむしろ多くなっていくことが予想される。今後の課題として、どんな環境
にいても自分のペースを崩さないでどううまくやっていくのかが挙げられると思う。
9)提言と今後の構想
国立公園や国定公園などの自然公園で保全ボランティアを行ったが、現地の管理団体(National Park
Service)との交流が思ったほど多くなかった。作業前の説明などはあったが、一緒に働くなどは場所にもよ
るがほとんどなかった。もっと現地の管理団体との交流が増えれば、作業場所の国立公園のことをより知る
ことができるし、作業が有意義なものになると思う。また、アメリカ人の参加者はインターンとして来てい
る人がほとんどであることもあったのか、アメリカ人はアメリカ人のみで異なるプロジェクトに行くことが
多くて、他の参加者と一緒に作業することがない場合もあった。世界各国の参加者と友人にはなれたが、ア
メリカ人の参加者とも多く知り合いになれればよかったと感じた。
10)おわりに
日本人が誰もいない環境に 1 人で飛び込んで、英語だけで 4 か月過ごしたことで、それなりにタフになれ
た。日本語がしゃべれない環境で悩むこともあったが、終わって振り返ってみると精神的に強くなれたしよ
かったなと思えた。また、大学での研究に関連してアメリカの国立公園の現状をみてみたいと思い参加しの
であるが、アメリカの大自然を自分の足で訪れることができて、その場所に実際に行ってみないと感じるこ
とが多くあった。
「一人称」としての体験はとても自分にとって大切なことであり、これからも大切にしてい
きたいと思った。そして、なにより 1 番参加してよかったのは世界各地からやってきた参加者と友人になれ
たことである。作業やキャンプ、シェアハウスでの共同生活を通して、ずっと同じ時間を共に過ごすことば
かりだったので、旅行や留学などでは味わえない密度の濃い交流ができたし、とても仲良くなることができ
た。これは、何物にも代えがたい財産であり、これからもずっとつながりを大事にしていきたい。
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