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中玉トマトのカルシュウム剤施用試験結果(H25) [705KB pdfファイル]
中玉トマトのカルシウム欠乏対策試験結果(H25) 目的 平成24年度試験結果から有機質肥料利用で収量は十分確保できることが分かった。しかし、培 土のpHがアルカリ性であったので石灰の施用をしなかった結果カルシウム欠乏症(尻腐れ果) の発生が多くなった。今年度はピートモス・赤玉土・鹿沼土等を調合してpHを調整し、「畑の カルシウム」を施用量比較試験を行うこととする。 1 試験の概要 試験区 試験区割 1区 1区:畑のカルシウム(無) 2区:畑のカルシウム水道水(100g) 3区:畑のカルシウム(200g)4区:畑のカルシウム(300g) 2区 3区 栽培方法:簡易ベッドで栽培 品種:中玉トマト「フルティカ」 2 4区 各区9本植え(株間:33㎝) 施肥量 元 肥 追 肥 肥料・用土名、施肥量 若葉めぐみ 3.6kg 発酵鶏糞 2.7 ㎏ 液肥2号 土 ピートモス 壌 腐葉土 改 赤玉土 良 鹿沼土 材 畑のカルシウム N 7.44 9.58∼11.29 40 ㏄×18 回 18.0 成分量 35.02∼36.73 6.0kg 6.0kg 6.0kg 6.0kg 0g、300g、600g、900g P K 17.4∼24.36 12.96 11.25∼17.33 10.13∼12.15 5.4 34.05∼47.09 9 32.09∼34.11 (施肥量:1/500 プランター×3個分) 3 栽培記録 3月27日:播種 7月5日:収穫開始 4 4月22日:鉢上げ 7月12日:蔓下げ 5月7日:定植 6月11日:追肥 8月27日:芯止め 9月20日:収穫終了 実施結果 ○ 定植後開花までの日数 第 1 花房 第 2 花房 第 3 花房 第 4 花房 第 5 花房 第6花房 1区 12.4 20 26.3 32.4 38.2 44.8 2区 11.4 19.6 26.1 31.7 38.1 44.3 3区 13 20.2 26 31.7 37.8 44 4区 12.8 20.8 26.8 32.9 38.6 45.4 第1花房の開花は3区が最も遅くなったが、第3花房からは3区が早くなった。 *2区の第1花房は1株が6節目に花房が分化し、平均でも0.5節分花芽分化節位が低く開 花が早くなったと思われる。 ○収量調査 個数 1区 2区 3区 4区 重さ 1区 2区 3区 4区 7月 242 251 256 251 7月 10.83 11.22 11.57 11.64 8月 249 281 262 274 8月 9.33 9.46 9.90 9.85 9月 127 142 155 147 9月 3.78 4.08 4.65 4.06 合計 618 674 673 672 合計 23.94 24.76 26.12 25.55 1個平均重(g) 1区 7月 8月 9月 2区 3区 4区 44.75 44.7 45.19 46.37 37.47 33.67 37.78 35.95 29.76 28.73 30.00 27.62 収穫数は、2・3・4区が多くなった。1区は個数・重量とも少なかった。重量では3区が 1 個平均重が重くなったため収量が多くなった。 ○尻腐れ果発生数 月日 7月 22 日 7月 30 日 8月 4日 8月 9日 8月 19 日 計 1区 2 1 0 0 6 9 2区 6 1 0 1 1 9 3区 4 4 3 1 3 15 4区 3 1 2 0 1 7 尻腐れ果数は3区が多くなった。但し、定植後自動潅水装置の操作ミスで1晩中水を流してしまい、 養分を流亡させ、第3花房から落果が多くなった。なお、尻腐れ果の調査は、赤く着色する前に落果 したものは含まなかった。収穫時の発生果のみの実数である。従って、3区は未熟果での落果が少な かったことも考えられる。第4花房以後は液肥潅水で落花が収まり、収量は持ち直した。しかし、カ ルシウム剤施肥効果の試験は不完全なものとなった。 また、7月から8月にかけての天候不順でガラス室内の温度管理が難しいのと日照不足の影響で落 花がどの区も多くなった。 ○糖度 平均糖度 1区 7月 8月 9月 2区 5.9 5.78 6.3 3区 6.33 6.33 6.5 6.35 6.35 6.35 4区 6.13 5.98 6.15 2・3区の糖度は全期間を通して高くなり、1区は低くなった。 (調査個体数が少なくばらつきがあ るので正確な比較にはならない) 5月20日 5月28日 1区 8.91 10.06 2区 9.03 10.31 3区 8.92 10.73 4区 8.9 10.17 根元の茎の太さは、3区が太くなったが、3節目付近が13∼20㎜と太くなり、蔓ボケ状態になっ た。第3花房の開花前後に1晩中水を流してしまったことも一因と思われる。 5 まとめ 元肥に発酵鶏糞を施用したが、初期生育が旺盛になり、蔓ボケを起こした。元肥は少なくして、追 肥の回数を多くする栽培が良いと思われる。 カルシウム剤施用効果はあると思われた。また、徐々に果実が小さくなるのは追肥回数を計画通り 18回できなかったため栄養不足によるものと思われる。 参考資料 ○各花房までの草丈 1区 2区 3区 4区 1 段目 42.8 39.3 41 42.9 2 段目 64.4 62.7 61.8 63.7 3 段目 80.7 81.6 78.5 81.3 4 段目 101.1 104.2 99.4 103.6 5 段目 124.7 128.9 124.5 127.9 6 段目 150.3 151.6 150.4 152 7 段目 177.6 177.2 176.6 178.2 8 段目 203.4 202.8 201.7 202.4 9 段目 233.6 233 231.9 231.8 10 段目 259.4 259.2 256.7 257.4 11 段目 287.9 286.2 283.9 284.9 記録写真 定植時 1区 2区 3区 4区 1区 2区 3区 4区 収穫 原因不明の落果(花房中間) 着果状況(花房中間落果) 3区 蔓下げ後の状態(1区) 4区 2区 蔓下げ3回目後