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第1回懇談会におけるポイント(事務局作成資料)

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第1回懇談会におけるポイント(事務局作成資料)
第一回懇談会のひとつの総括案(事務局作成)
懇談会のテーマ
検討にあたって、3つのキーワードがある。
第一は、経済社会の「持続性」である。ケネディ大統領は、就任演説で、
「アメリカ市民の皆さん、
国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようでは
ありませんか。世界市民の皆さん、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の
自由のために共に何ができるかを考えようではありませんか。」と述べた。
現在の日本における国民と政府の関係は、国に不信感を抱きつつ、かつ、国に依存する形にも見
え、そのことが、低い租税負担率と歳出拡大圧力になって、公債残高の拡大につながっていると言
えるかもしれない。
・ これからの社会は、何かにチャレンジできる社会であってほしい。国に何かをしてほしいという
発想はなく、国は民間をサポートする存在であってほしい。
第二は、
「パブリックの再定義と支え方」であり、個人、共助、公助のあり方である。
今後の少子高齢化が進展するなかで、成長のダイナミズムをさらに高めるとともに、政府におい
ても、その役割分担を再定義し、歳出・歳入の見直しを迫られざるを得ない。
・ パブリックというと、日本では「国のもの」という意識が強いが、欧米では「私たちのもの」。
自分たちがどうしていきたいかということが重要。
私たちの観点から、「パブリック」をあらためて吟味した上で、政府(公助)、共助、個人それぞ
れの役割を、全体として再定義する必要がある。個人の主体性をベースに置く、社会づくりであり、
政府(公助)、家族等の共同体(共助)、個人(自助)のバランスについては、保守主義をベースと
しつつ、脱家族化の空白を個人と新しい共同体で埋めていくという一つの方向性が考えられる。
その際、パブリックの支え方は、お金(税金)に限られない。お金に寄らない負担の仕方はいろ
いろある。また、官製 Association ではなく、真の Association をつくるべき。
人口構造の問題は、そもそも我々がどういう社会像を選択できるかに関わる大事なテーマ。政治
家は現役世代を中心に考える傾向があるので、民主制では、将来世代の話は後回しにされがち。国
家のグランドデザインを、どこで誰がどう考えるか。20 年後の人口構造を考えた時に、20 年後の社
会を担う世代で議論すべき。
・ 議論して筋の通ったストーリーを描かないといけない。真ん中という意見は、往々にして「低負
担高福祉」というまやかしの結論に陥りがち。A か B かの両方が成り立たないなら、誰かに我
慢してもらわないと今後の持続的社会は成り立たない。
(参考)Association について
・米国では「Association(自発的結社)」、欧州では「政党」を通じて国民がつながっているが、
日本ではその両者とも国民をつなげる機能が弱い。
・日本は明治時代から政府が Association を肩代わりしてきたが、今になり政府が手一杯になって
くると、今度は Association でやろうというのは、矛盾しているのではないか。日本の政府は不
満も要求も投げ込むブラックボックスになってしまっている。今こそ Association の役割、機能
について議論する必要がある。
・長年の政策の中で、NPO はアウトソーシング先、安い下請け先になってしまった。NPO が活
躍するためには、行政は干渉するのではなく、サポートに徹することが大事。
・Association と Community については、マッキーバーが論じたように、特定の利害関係に基づ
く集団である Association と、自然的契機(地縁・血縁など)に基づく集団である Community
に分かれるが、近年、PTA など Association を立ち上げる動きが加速化したため、自治会など
の Community はすっかり骨抜きになり、今では、回覧板と慰安旅行しかやっていない状況。
今後は、法人格の有無に限られない、広義の NPO といった新しい Association が出来れば、保
守主義(今までの日本)の課題である脱家族化の隙間を埋められると思う。
・名古屋の東山動物園ではコアラのエサ代が年間 5700 万円かかっていたが、クラウドファンディ
ングで支援者を募ったら、一日で目標額が集まった。ベネフィットが可視化できれば、それに
共感する人たちが新しいコミュニティを作って、お互いに支え合うことも可能。その延長線上
で、お互いに関わり合いながら、公共的な部分を担う可能性もあるのではないか。
・ただし、先ほどの件がクラウドファンディングでできるのは、コアラだから。ハダカデバネズ
ミでは集まらない。そういうウケないものをどうするかも問題。
第三は、行政における、
「民主主義と革新(イノベーション)の役割」である。
オープンガバメントをベースとしつつ、ITを活用しながら、国民参加を高めること、民主主義
プロセスの改善を通じて、政府への信頼感を醸成し、国民の福利厚生を高めていくことが重要では
ないか。
・民主主義に関しては、ノルウェーでは 16 歳から選挙権があり、民主主義の仕組みを勉強するが、
日本では民主主義について大した勉強もなく、いきなり憲法改正の国民投票など重大な決断を
迫られることになる。いきなり国民に重大な判断を仰ぐのではなく、いかに段階的に自立や主
体性を準備していくのかを考えるべき。
・この国に安全などない。安全は白から黒のグラデーションの中にしかない。自分の力で少しで
も白に近いグレーを選ぶことが大事。これは選挙や民主主義にも言えること。自分がよく分か
らないから、信頼できる人の意見と同じにしようというのが今の選挙だが、自分自身で考え意
思決定できないと真の民主主義とは言えない。
これらのことは、個人の自立や主体性とも関わっている。
今後の議論の進め方
車座方式、ワークショップ形式、分科会方式など、さまざまな手法を駆使しながら、議論を積極
的・建設的に行っていく。
・議論の進め方として、それぞれのバックグラウンドからの意見を言って終わりではなく、もっと
みんなの意見をぶつけ合いながら、統合していかないともったいない。皆の意見を尊重して事務
局にまとめてもらうのでは、整合的でない言葉が並ぶだけであり、十分議論を尽くして、AかB
か決めることが大事。
・AとBをぶつけるのではなく、ワークショップ形式で議論したい。テーマによっては、それぞれ
のテーブルを設けて、役人にも入ってもらってワークショップ形式で議論してはどうか。
・新しい Association 論をやると、しばしば対立構造が生まれる場合があるが、みんなが求めている
ものは実は同じだったりするので、そこは議論のさせ方、問の設定の仕方が重要になってくる。
例えば仕組みのデザインを変えるだけで結果が大きく変わる場合もある。
・行政の無謬性神話もあり、新たな取組に二の足を踏む。政策に対する利害対立も激しくなり、皆
が共に一致することが難しく、その意見集約機能を行政が担えなくなっている。どう克服するの
か、議論を通じてアイデアが出たらいい。
いずれにせよ、総花的な放談会で終わってはいけない。意見集約とともに、どう政策に活かして
いくかという点も大事。そのためには、テーマを決めて、具体的に何について議論するのか絞って
いく。議論してまとめる際に誰がまとめるのかも重要。事務局ではなくメンバーがまとめたらいい。
・ここに集まっているメンバーは例外的にアクティブな人達だが、National なものを考える場合、
アクティブではない人達も取り込んだものである必要がある。また、グローバル化についても、
とかく欧米中心の議論になりがちであるが、少なくともインプットについては前広にとらえてい
くべきである。
・誰が問題意識を持っていて、その人が何を変えたいと思っているのか、まずはその点をクリアに
しないと、議論の焦点がぼやける。その上で、我々がどのような貢献ができるか。
・この懇談会で取り上げたいことは、①起業、②クールジャパン、③民主主義。日本は制度的には
改善されてきているのに起業率が一貫して低い。起業率を上げることは経済活性化の源なので、
行革の取組として取り上げる価値あり。クールジャパンについては、その推進を謳う一方で、自
由な文化を規制する動きが放置されている。全体を整合的に考える必要がある。
提案
最終的には、将来を支えていくこのメンバーで、メッセージをまとめて発していくことが重要で
はないか。わが国の経済社会やパブリックを考えていくうえでの「指針となるコンセプト」を考え
ていくとともに、若手行政官も参加して、具体的な施策につながっていく「行政の革新のタネ」が
発見できないか。
議論の進展具合によっては、一人が一つ以上のメッセージを提案し、それを議論、集約して、報
告とするのも一案ではないか?
<文責:行政改革推進本部事務局>
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