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海外感染症流行等に関する情報提供(27-64)

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海外感染症流行等に関する情報提供(27-64)
海外感染症流行等に関する情報提供(27-64)
平成 27 年 8 月 7 日
要約
1)国立感染症研究所村山庁舎内施設の BSL4 指定(厚生労働省)
2)外務省による「危険情報」の表現の変更(外務省)
3)米国ヨセミテ国立公園におけるペスト(Los Angeles Times)
4)西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況の更新(WHO)
5)韓国における中東呼吸器症候群の発生状況の更新(Korea MOH)
6)北米におけるウエストナイル熱・脳炎の発生状況の更新(CDC、PHAC)
7)成田空港検疫所で対応した動物咬傷に関わる相談に関する検討(成田空港検疫所)
8)ベトナムとインドネシアにおける狂犬病の発生状況(Tuoi Tre News、Jakarta Post)
本文
1)武蔵村山市長との BSL4 施設の稼働についての合意(既報:27-63)を受け、厚生労働
大臣は 8 月 7 日、国立感染症研究所村山庁舎内施設の高度安全検査施設(BSL4 施設)を特
定第一種病原体所持施設として指定しました。BSL4 施設の指定は日本国内では初めてとな
ります。
2)外務省は 8 月 5 日、治安の悪化や感染症が流行した国や地域への渡航自粛等を勧告す
る「危険情報」の表現を 9 月 1 日からわかりやすく改めることを発表しました。
「感染症
危険情報」については、4 段階のカテゴリーを使用して発出しますが、感染症特有の注意
事項として、4 段階のカテゴリーごとの表現に収まらない感染症特有の注意事項を状況に
応じて追加で付記するとしています。詳細については下記のサイトを参照して下さい。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_002373.html
http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/pdf/tokojyoho.pdf
3)8 月 6 日付けの地元報道は、米国のカリフォルニア州での 1 人のペスト患者の発生を伝
えています。患者はロサンジェルス在住の小児で、7 月中旬に家族でヨセミテ国立公園へ
キャンプに出かけた後発症しました。患者は入院治療を受けて現在回復傾向にあり、他の
家族には症状は見られていないようです。同州で最後にペスト患者が報告されたのは 2006
年で 9 年ぶりの患者発生となります。ペストは、リスやネズミなどげっ歯類とそれらに寄
生するノミによって媒介されますが、保健当局は今回の感染源を同定するための調査を実
施しているとのことです。
4)世界保健機関(WHO)は 8 月 5 日、西アフリカにおけるエボラ出血熱(EVD)の発生状
況(既報:27-62)を更新しました。7 月 27 日から 8 月 2 日までの 1 週間に、ギニアで
1 人、シエラレオネで 1 人、合計 2 人の EVD 確定患者が報告されました。この数は、昨年
3 月以降に報告された最も少ない週間患者数であり、3 週連続で減少傾向を示しています。
ギニアでの患者は、28 歳の女性で、首都コナクリで接触歴があり監視中に連絡が取れな
くなっていました。多くの新たなハイリスクの接触者を生み出している可能性がありま
す。シエラレオネでの患者は、前週にトンコリリから報告された患者の世話をしていた
家族です。前週の患者との接触歴から 40 人以上が高い感染リスクを持つと考えられてお
り、さらなる患者が発生する可能性が指摘されています。リベリアでは、新規の患者は
報告されておらず、最後の患者は 7 月 23 日に 2 度目の EVD 検査で陰性が確認された後退
院となっています。8 月 2 日までに、西アフリカ 3 ヵ国での EVD 患者の累計は 27,862 人、
死亡者の累計は 11,281 人となっています。
5)韓国保健福祉省は 8 月 6 日、同国における中東呼吸器症候群(MERS)の発生状況(既
報:27-63)を更新しました。7 月 4 日以降 32 日間にわたって新規患者は報告されておら
ず、
同国における MERS 患者の累計は 186 人、
死亡者の累計は 36 人のままとなっています。
入院治療中の患者は 11 人(既報から 1 人減)で、そのうち 1 人はウイルス陽性のため陰
圧室で隔離されていますが、残りの 10 人はウイルス陰性のため一般病棟で治療を受けて
いるようです。また、11 人のうち、8 人の状態は安定していますが、残りの 3 人の状態は
重篤とのことです。
6)北米におけるウエストナイル熱・脳炎の発生状況の更新です。
①米国:同国疾病対策センター(CDC)は 8 月 4 日、同国におけるウエストナイル熱・脳
炎の発生状況(既報:27-62)を更新しました。患者数は既報から 52 人増と急増して
おり、26 州から計 90 人が報告されています。そのうち、神経侵襲性の患者は 50 人神
経非侵襲性の患者は 40 人となっています。州別には、患者の多い順にアリゾナ州 17
人、テキサス州 8 人、カリフォルニア州 8 人となっており、これら 3 州からそれぞれ 1
人ずつ、全米で計 3 人の死亡者が報告されています。なお、献血血液のスクリーニン
グでの陽性者も、既報から 13 人増の 41 人が報告されています。
②カナダ:同国公衆衛生庁(PHAC)は、本年 7 月 12 日から 18 日までにオンタリオ州で 1
人のウエストナイル熱・脳炎患者が報告されたことを公表しました。この患者は同国
における本年最初の患者となります。患者の病型については確定していないとのこと
です。
7)成田空港検疫所は 7 月 24 日付けで、国立感染症研究所の病原微生物検出情報 (IASR)
に掲載した動物咬傷に関する相談事例を更新しました。2013 年に成田空港検疫所における
海外での動物咬傷に関する相談は、帰国時の健康相談室での相談が 192 件、電話での相談
が 50 件ありました。狂犬病リスクが中~高程度の国で咬傷を受けた者は全体の 81%を占
め、そのうち 56%が咬傷後の狂犬病予防のための暴露後ワクチン接種(RPEP)を受けてい
ませんでした。また、RPEP を受けたものの接種までの日数が 1 日以上経過していた者が
36%に、接種回数が不足していた者が 27%にみられました。これは、一般に狂犬病のリス
クが過小評価されているためと示唆されます。検疫所は海外渡航者に狂犬病のリスクを伴
う動物咬傷の重大性や動物咬傷の起きやすい条件等について積極的に広報するとともに、
動物咬傷を受けた渡航者が RPEP を受けやすいように各国の医療情報について積極的に情
報提供しなければならないとしています。詳細ついては下記のウエブサイトを参照して下
さい。
http://www.nih.go.jp/niid/ja/rabies-m/rabies-iasrd/5402-kj4203.html
8)ベトナムとインドネシアにおける狂犬病の発生状況です
①ベトナム:8 月 4 日付けの報道によりますと、同国南部のホーチミン市では、今年 1 月
初めから 6 月末までの半年間に、16,410 人が動物に咬まれ狂犬病に対する暴露後接種を
受けたとのことです。動物咬傷のうち、83%以上がイヌに、10%近くがネコによるもの
とのことです。同国全体では、1 年間で平均 30 万人が動物に咬まれています。狂犬病ワ
クチンは約 0.5 米ドルと安価であるにもかかわらず、咬傷を受けた人の 4 割は接種を拒
むとのことです。本年の半年間に同国全体で 26 人が狂犬病で死亡し、同国中央部のク
ワンナム省で最多の 4 人が死亡しています。同国では 1995 年に狂犬病による死亡者は
410 人でしたが、以降 2003 年の 34 人まで漸減しました。しかし、2004 年には倍増に転
じ最近は毎年 100 人程度が犠牲となっています。
②インドネシア:7 月 29 日付けの報道によりますと、同国のバリ島で狂犬病による死亡
者が急増しており、一昨年に 1 人、昨年に 2 人だけであった犠牲者が、本年はすでに
12 人であるとのことです。直近の犠牲者は 24 歳の男性で、7 月 27 日にデンパサール
の病院で死亡したことが報告されました。この男性は 6 月に左手指を子犬に咬まれて
いたとのことです。
神戸検疫所、関西空港検疫所、大阪検疫所
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