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省エネルギー技術戦略 (中間とりまとめ)
省エネルギー技術戦略 (中間とりまとめ) 平成18年9月 資源エネルギー庁 省エネルギー対策課 省エネルギー技術戦略(中間取りまとめ) 目次 1. 省エネルギー分野の技術戦略 2. 超燃焼システム技術の技術戦略マップ 3. 時空を超えたエネルギー利用技術の技術戦略マップ 4. 省エネ型情報生活空間創生技術の技術戦略マップ 5. 先進交通社会確立技術の技術戦略マップ 6. 次世代省エネデバイス技術の技術戦略マップ 7. その他 ・省エネルギー技術戦略研究会 委員名簿 ・用語集 省エネルギー分野の技術戦略 1.背景 世界的な原油価格の高騰、化石燃料の資源的制約、京都議定書の達成およびポスト京都の一層の推進な どエネルギーをめぐる課題がクローズアップされてきている。省エネルギーの推進、エネルギー利用効率 の向上は、これらの課題に対する確実、かつ重要な対策である。 国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立、エネルギー問題と環境問題の一体的解決による持続可能 な成長基盤の確立およびアジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献を目標として、2006年5 月、 「新・国家エネルギー戦略」が策定された。ここでは、2030年に向けて官民で共有すべき数値目 標が設定され、省エネルギーの一層の推進を行い30%以上のエネルギー消費効率の改善行う事などが盛 り込まれた。 我が国が1970年代以来取り組んできた省エネルギーは、新たな製造技術の導入等により相当程度の 成功を収めてきた。今後30年にわたり同様の成果をあげ続けるためには、産業部門はもとより、全部門 において、エネルギー利用効率の向上に資する技術開発とその成果の受入を促していくことが不可欠であ る。 2.省エネルギー技術戦略 新・国家エネルギー戦略では30%以上のエネルギー消費効率を改善していくための方策の大きな柱と して、長期的視点に立った省エネルギー技術戦略を策定し、省エネルギー技術開発および支援の重点化を 行うことが示された。 この省エネルギー技術戦略は、産官学や異なる事業分野、メーカーとユーザーなど、様々な主体間での 連携を促すことにより、革新的な技術開発を推進するとともに、今後想定される社会的経済的ニーズに対 応し、目指すべき技術開発のステージを広く関係者間で共有していくことを目的として、策定するもので ある。2030年に向けて、省エネルギー技術を日本の国際社会における「産業競争力の源泉」とし、資 源制約・環境制約を乗り越え、尊敬される「世界一の省エネ国家」の実現を目指すことを目標に、省エネ ルギー技術開発戦略をとりまとめた。 3.技術課題の抽出および重点技術分野 エネルギー消費は人間活動の基本であり、生活における節エネルギー、利用機器の効率改善、エネルギ ー供給方式の最適化など省エネルギー技術はあらゆる人間活動に関連する広範な技術である。このため、 省エネルギー技術を検討するに際して考慮すべき論点を、一次エネルギーの転換分野からエネルギー便益 の消費分野までのエネルギーフローに沿って整理した。特に、消費分野のエネルギー便益を損なわないニ ーズ技術を考慮した省エネルギー技術や、エネルギー流通分野におけるエネルギーを高温から低温まで上 手に使い回すための技術を重要な技術とした。 また、省エネルギー技術は、需要サイド、ニーズ志向の開発要請が強く、個々の分野における漸進・改 良型の技術開発が重要となる。他方、大きなブレークスルーを実現するためには、異なる事業分野等様々 な主体間の連携、シナジー効果が必要である。したがって、ここではまず省エネルギー技術を省エネポテ ンシャル、技術成熟度、他分野への波及効果等を総合的に評価し、幹となる重要な省エネルギー技術を抽 出した。さらに、技術開発の相互連携によりシナジー効果が発揮され、社会システムの変革にあわせた省 1-1 エネルギー技術開発が促進されるよう、抽出された技術を分野・部門を横断する形で組合せて、5つの重 点技術分野に整理した。 重点技術分野 ・超燃焼システム技術 ・時空を超えたエネルギー利用技術 ・省エネ型情報生活空間創生技術 ・先進交通社会確立技術 ・次世代省エネデバイス技術 4.重点化した省エネルギー技術分野の概要 1) 超燃焼システム技術 産業部門においては、これまでも積極的に省エネ対策が進められてきており、現状の業態における既 知の対応策は既に着手され、更なる効率改善を図るには、従来の発想を超えた抜本的なプロセス改善等 が必要である。産業分野の中でエネルギー消費比率の上位にある鉄鋼・非鉄、石油精製、化学、窯業・ セラミックスなどのプロセス産業では化石燃料を燃焼させて得た熱エネルギーの利用がエネルギー消 費の多くを占めている。特に、無為の燃焼利用は最小化したうえで、燃焼工程そのものを最大限高効率 化し、生成される熱エネルギーを極限まで有効利用することが、産業分野における抜本的な省エネルギ ー/CO2排出量削減につながるとの認識から、燃焼利用を可能な限り省いた革新的な製造システム実 現に向けた技術開発を積極的に進めること、同時に従来型燃焼とは異なる反応制御型燃焼、熱物質再生 燃焼やプロセス複合型燃焼など燃焼高度化技術を併せて「超燃焼システム技術」と定義する。 具体的には、高温をうまく作り、化石燃料の持つエネルギーを高効率に利用するという観点から、上 述の燃焼高度化・複合化技術の開発を進め、素材製造工程にプラズマ技術、マイクロ波、化学反応、バ イオプロセスなどを活用することにより、燃焼工程を代替・補完する革新的な技術開発を推進していく ことが必要である。 更には、プロセスに関連し、省エネに必要な部材開発を進めていくとともに、産業間連携によるエネ ルギーの有効利用や物質とエネルギーの併産(コプロダクション)等の技術開発を実施していく。 2) 時空を超えたエネルギー利用技術 熱や電気等のエネルギーを蓄積したり、移動する場合にはロスが発生する。工場において発生する余 剰エネルギー(廃熱)は、近隣に需要がなければ、時間的・空間的輸送が困難であることから、十分に 利用されないまま排出されることが多い。他方、民生部門等のエネルギー需要は各地に存在する。この ようなエネルギー需給のミスマッチ(不一致)に対して、例えば蓄熱技術により、時空を超えたエネル ギー利用が実現すれば、大幅な省エネルギーが実現する。究極は、夏の熱を冬に暖房用として使う、冬 の冷熱を夏の冷房に活用する、というエネルギー最適利用社会が実現する。 しかしながら、現状では産業分野と民生分野での使用時間帯や場所、エネルギーの質や量が異なるた め利用できずに廃棄されることが多い。また、民生分野においては、時間的ミスマッチにより熱や再生 可能エネルギーが有効に利用できない場合がある。 このように、エネルギーの需要と供給とのバランスを図るうえで制約条件となっている「時間」 、 「空 間(場所) 」のミスマッチを技術によって解消し、産業分野では使えなくても民生部門ではまだ使える 1-2 ようなエネルギーを捨てることなく使いまわすという、時空を超えてエネルギーの高効率利用を達成す る技術を実現していくことが重要である。 具体的には、 「熱エネルギー」 、 「電気エネルギー」 、 「化学エネルギー」の3形態により、エネルギーの 貯蔵、輸送を行うことを想定する。 「熱エネルギー」では、長距離の輸送が困難となっている現状を踏 まえ、潜熱蓄熱(雪氷などのPCM(相変化物質)による季節間蓄熱等) 、吸収・吸着、真空断熱パイ プラインなどの技術による解消を図る。 「電気エネルギー」では、貯蔵が困難となっている現状を踏ま え、蓄電の高度化を図っていく。また、水素、合成ガス、天然ガスなどの「化学エネルギー」は、貯蔵・ 輸送が比較的容易であることから、コプロダクションなどによるエネルギー回収、燃料電池やコージェ ネレーションなどの分散型エネルギー利用技術の革新によりその利用を進めることが必要である。 更には、ヒートポンプや吸収式冷凍機などにより「熱エネルギー」の質を高める、パワーエレクトロ ニクス技術により「電気エネルギー」の質を高めることにより、より高度なエネルギー利用が可能とな る。また、熱電発電、高品質なエネルギーと排熱の組合せによる発電により、余すことなくエネルギー を利用し尽くしていく。 最後に、需要側と供給側の計測と動向予測、制御技術の確立などにより、これらの3形態を最適に活 用するための最適評価方法を確立していくことが、実際の導入にあたっては重要な要素となるため、こ の分野における研究開発も進めていく。 3) 省エネ型情報生活空間創生技術 民生家庭・業務部門では、これまで主要な家電品や事務機器などにトップランナー基準を適用するな どの省エネルギー推進策をとってきた結果、個別の機器の効率は大幅に向上してきた。しかし、高度情 報化、豊かさを求めるライフスタイルの変化、および高齢化社会への推移などに伴って、エネルギー消 費は継続的に増加しており、これを賢く抑制し、快適で効率的な生活・業務環境の実現を図る技術の開 発、普及が求められる。 このためには、まずは機械器具自体の省エネルギー化を一層進めることが重要である。特に、エネル ギー消費の大きい冷暖房・給湯用のヒートポンプ技術の小型・高性能化、高い発光効率を可能とするL EDや有機EL等の光源技術、次世代省エネ型ディスプレイ、大容量・高速通信を低消費電力で実現す るための通信装置、ネットワーク関連機器の技術等の省エネ技術の開発が必要である。 また、建物・生活環境の省エネ技術として、自然エネルギー活用も含めた住宅・ビル躯体(構造体、 窓,断熱・遮熱材等)の省エネ化や、住宅・ビルの範囲を超えたクラスター型のエネルギー・マネージ メント・システムの確立が重要である。さらには、IT技術との融合を進め、人の好みや行動パターン に応じた制御技術、センサー技術の開発等によるエネルギー利用の最適化を推進する。 4) 先進交通社会確立技術 現在、自動車燃費の改善や物流部門の効率化などの省エネ対策は取組が進んできているものの、運輸 部門の大幅なエネルギー消費量の削減は思うように進んでいない。自家用乗用車および貨物自動車のエ ネルギー消費量は運輸部門の消費量の84%を占めることから、先進交通社会の確立に向けた最重要課 題は、自動車によるエネルギー使用を削減するための技術開発であると考えられる。 省エネによる先進的な交通社会を確立するためには、自動車の電動化が重要である。先進的な自動車 技術として電気自動車や燃料電池自動車、ハイブリッド車等の自動車電動化の技術開発を進めるが、こ れらの価格や技術レベル面での課題を考慮すると内燃機関(あるいはエンジン)の一層の低燃費化、ま 1-3 た双方につながる技術として車体軽量化・低摩擦部材の高度化を進めることも必要である。 また、自動車の利用形態の高度化(走行の円滑化)を進めることも、重要なエネルギー使用量削減の 取組であり、円滑な交通流体策の実現のため、車両間通信技術や交通制御システムの開発等のITS高 度化のための技術開発を進めていく。 更には、 乗用車から公共交通への移行や、トラックから他の物流システムへの転換を促進するために、 バイモーダルシステムを確立していくための技術開発を進める。具体的には、路面電車のように軌道走 行とバスのように一般道路走行の併用走行を可能とするシステムや超小型車両による共同利用システ ム、市街地内での荷捌きを行う小型貨物電気自動車などの開発が必要である。 5) 次世代省エネデバイス技術 現代社会は、半導体シリコン(Si)を中核とするエレクトロニクスに支えられており、その省エネ 化は重要な課題である。また、省エネという視点からは、Siを中心とする従来のデバイス技術では原 理的に実現不可能な高性能デバイスの実現も要請されている。例えば、SiC等のワイドバンドギャッ プ半導体を用いたデバイスの通電状態でのオン抵抗値は、原理的には従来のSi半導体と比較して、約 2桁以上低くなり、結果として電力損失が大幅に削減されることから、大きな省エネ効果が期待される。 半導体デバイスとしては、LSIに代表される電子デバイス、インバーターなどのパワーデバイス、 情報通信分野における高周波デバイス、光化デバイス等があげられるが、中でも、パワーデバイスにつ いては、民生部門から産業、運輸部門まで広範囲に用いられるものであり、高効率化のニーズが高い。 このため、SiC、GaN、ダイヤモンド等のパワーデバイスに係る技術開発を推進していくことが 重要である。 5.今後の推進に向けて 今回、整理した省エネルギー技術戦略については、経済産業省及びNEDOが、省エネルギーセンター の協力を得て、数ヶ月に渡る有識者による検討会での検討等を踏まえ、第1次版として策定したものであ る。今後、ホームページ等で内容を公表するとともに、シンポジウム等を活用しながら、産業界の研究者 等も含めて広く意見を求めることとし、内容を適宜見直していく予定である。 また、来年度以降の省エネルギープログラムの策定や、NEDO省エネ技術開発提案公募事業での優先 的な採択を図っていくなど、省エネルギー技術戦略の実現に向けて、予算の重点配分を進めることとする。 加えて、省エネ技術戦略に掲げられた技術開発を推進するための、具体的なプロジェクト化を研究会メ ンバー、WGメンバーの協力を得ながら進めていくこととする。 なお、今回策定した省エネルギー技術戦略は、エネルギー技術全体の技術戦略マップの一部として位置 づけられるとともに、今後の技術進展等に応じて、定期的にローリングされるものである。 また、2030年に向けては、省エネルギー技術戦略の推進と併せて、助成措置や税制、若しくは規制 等と通じた初期需要の創出促進策などを積極的に組み合わせつつ、技術革新とそれを受け入れる社会シス テム側の変革との好循環を確立していくことが重要である。 1-4 省エネルギー技術戦略 「全体技術マップ」 エネルギー便益の活用技術 二次エネルギーの利用技術 負荷・需要 商品・サービス 利用機器・システム 二次エネルギーの流通技術 供給・回収・貯蔵 二次エネルギー 一次エネルギーの転換技術 二次エネルギー 発電・精製等 超燃焼システム技術 化石燃料に頼らない技術の開発 電気、ガス 灯油、重油 ガソリン、 コークス、 軽油 等 化石燃料をうまく使う技術の開発 高温をうまく作る技術の開発 必要な部材を作る技術の開発 化学反応をうまく利用する技術の開発 時空を超えたエネルギー利用技術 可能な限り連携する技術の開発 ・コプロダクション ・産業間連携 熱、電気、化学エネルギーの3形態のエネルギーを、時空 を超えて利用し尽す技術 ・・・・ 資源制約・環境制約を乗り越え、 尊敬される 「世界一の省エネ国家」の実現 省エネ型情報生活空間創生技術 次世代省エネ型ディスプレ イ クラスター型エネルギーマネージメントシステム 次世代高効率照明 社会システム技術 次世代高速通信 豊かな生活、 十分な便益を 享受しながら 省エネルギーを 達成する 社会の実現 先進交通社会確立技術 化学エネルギー ⇒ 輸送・貯蔵の容易性を活用する技術開発 熱、電気、化学エネルギーの3形態のエネルギーを、時空 を超えて利用しやすくする技術 次世代蓄電・蓄熱技術 介護支援システム ・発電技術 ・燃料精製/改質/加工技術 熱エネルギー ⇒ 質の向上を達成する技術の開発 電気エネルギー ⇒ 質を系統並にする技術の開発 わが国の 産業競争力の 源泉となる 省エネルギー 技術の確立 熱を電気に変換 ⇒ 輸送を可能にする技術の開発 熱、電気、化学エネルギーの3形態のエネルギーを、最適 に活用する技術 個車技術 低燃料走行 ・ 先進自動車の開発 効率的な走行の実施 / 走行支援システム 部分負荷効率向上 全領域の効率向上 交通流の円滑化 / 交通流制御 安全性を確保した軽量化 クリーン代替燃料・電力 時間的、空間的な 供給変動の克服に よる自然エネルギー 利用拡大 風力 太陽光 バイオマス -------太陽熱 雪氷 走行量の低減 自動車から公共交通への移動手段のシフト /バイモーダルシステム トラックから他の輸送手段へのシフト /インテリジェント集配システム ・・・・・・・ 輸送用エネルギー技術 利用技術・公共利用技術 走行方法改善による燃料消費低減(ITS) 電気エネルギー ⇒ 貯蔵を可能にする技術開発 機器・設備の省エネルギー技術の開発 情報家電 高効率ヒートポンプ 住宅・ビル躯体の省エネ(負荷低減) 石炭 石油 天然ガス ------原子力 水力 熱エネルギー ⇒ 輸送適正距離の拡大、長時間貯蔵を 可能にする技術開発 余すところなく エネルギーを 利用し尽くし、 「世界一の省エネ国家」 を実現 ・・・・・・・ 民生用エネルギー技術 建物・生活環境の省エネルギー技術の開発 共通基盤技術 ・高効率送電技術、 ・ガス・石油等の燃料輸送術、供給技術 ・・・・・・・・・・・・・・・ 産業用エネルギー技術 常温に近い条件を使う技術の開発 省エネ型共通基盤 技術の確立により、 各分野での省エネ を下支え デバイスの応用・展開技術の開発 車載用パワーデバイス 車載用通信デバイス パワーデバイス 情報家電デバイス 次世代省エネデバイス技術 ・ パワーデバイス パワーデバイス 情報通信デバイス 1-5 高性能デバイス素子の開発 Si高性能デバイス SiC等高性能デバイス ・SiCパワー半導体デバイス ・GaNパワー半導体デバイス ・ダイアモンドパワー半導体デバイス 一次エネルギー 超燃焼システム技術の技術戦略マップ Ⅰ.基本的な考え方 産業部門においては、これまでも積極的に省エネ対策が進められてきており、現状の業態に おける既知の対応策は既に着手され、更なる効率改善を図るには、従来の発想を超えた抜本的 なプロセス改善等が必要である。産業分野の中でエネルギー消費比率の上位にある鉄鋼・非鉄、 石油・石化、化学、窯業・セラミックスなどのプロセス産業では化石燃料を燃焼させて得た熱 エネルギーの利用がエネルギー消費の多くを占めている。特に燃焼炉で燃焼ガスを発生させて から加熱に使う場合や蒸気を発生させユーティリティとして使用する場合、材料や装置の耐熱 性等の制限から燃焼ガスの温度レベルを余り高く出来ないことや、効率的なカスケード利用が なされていないことなどから、利用困難な廃熱を多く発生させる結果となっている。 従って、無為の燃焼利用は最小化したうえで、燃焼工程そのものを最大限高効率化し、生成 される熱エネルギーを極限まで有効利用することが、産業分野における抜本的な省エネルギー /CO2排出量削減につながるとの認識から、燃焼利用を可能な限り省いた革新的な製造シス テム実現に向けた技術開発を積極的に進めること、と同時に従来型燃焼とは異なる反応制御型 燃焼、熱物質再生燃焼やプロセス複合型燃焼など燃焼高度化技術を併せて「超燃焼システム技 術」と定義する。 「超燃焼システム技術」によって実現される廃熱最小化を目指した省エネルギ ー型の産業構造、エネルギー利用体系のシナリオを検討し、その実現のための長期的視点に立 った革新的な技術戦略を策定した。 具体的には、高温をうまく作り、化石燃料の持つエネルギーを高効率に利用するという観点 から、上述の燃焼高度化・複合化技術の開発を進め、また、素材製造工程にプラズマ技術、マ イクロ波、化学反応、バイオプロセスなどを活用することにより、燃焼工程を代替・補完する 革新的な技術開発を推進していくことが必要である。 更には、プロセスに関連し、省エネに必要な部材開発を進めていくとともに、産業間連携に よるエネルギーの有効利用や物質とエネルギーの併産(コプロダクション)等の技術開発を実 施していく。 Ⅱ.導入シナリオ 本技術戦略では産業セクターの様々な分野をカバーし、それらのそれぞれについて燃焼高度 化、省エネプロセス及び材料開発、統合化システム構築という異なる切り口の課題を含んでい る。物理的なスケールで言えば材料からプロセスへ、プロセスからシステムへと発展的に技術 の実用化が展開していくと考えられるが、ベースとなる現状の技術レベルがそれぞれ異なるこ とから、実用化が可能な課題からできるだけ早期に実際の省エネルギーが発現できるようにシ ナリオを構成する。 Ⅲ.技術マップ及びロードマップ 1.技術マップ 技術マップとして高温を作り使う技術及び常温を使う技術という高温(燃焼温度)から常 温までの温度レベルを意識した技術課題の仕分けに、化学反応による省エネプロセス技術と、 横串としての材料・部材技術およびシステム統合化技術を加えて全体構成とした。特に材料・ 部材技術については基盤技術を含めて目的が明確に省エネルギーになるものを重点化(選定、 抽出)した。 2-1 2.重要技術の考え方 ①「高温をうまく作る」課題: 燃焼高度化・複合化技術 「化石燃料を燃やすならばできるだけ高効率に」との視点から、熱を作る側の燃焼技術 について、効率=生成物/(投入材料+エネルギー)を向上させることを省エネ・省資源 化の評価軸に据えた。また、プロセスからの副生物・熱を減らす,または有効利用するこ と,プロセス内での物質・熱の回収・再生利用も考慮することでエココンビナートや物質 を再循環しつつ排気を浄化し,効率的に燃焼熱を利用する概念等、種々の製造プロセスへ の適用も可能な技術を取り込んだ。 ②「化学反応をうまく利用する」課題:鉄・非鉄金属製造プロセス、化学製造プロセス、分 離プロセス、ガラス製造プロセス、セラミックス製造プロセスなど 鉄・非鉄金属分野については、鉄鋼や高機能チタン製造などの生産プロセスの高効率化 に主眼をおいた。化学分野については、化学プロセスそのものの省エネに加えて、ナノテ ク材料の生産、精製に重要な役割を果たす乾燥プロセスの省エネについても検討した。セ ラミックスについては、高温耐熱材料としての機能が省エネ技術に深くつながることから、 セラミックス材料を利用することによる省エネと材料製造時の省エネを区別し整理した。 ③「可能な限り連携する」課題:産業間連携、コプロダクション、合成ガスからの各種燃料 製造など コプロダクション・システムは、化学・製鉄等の製造プロセスと発電等のエネルギー転 換プロセスを複合化した新しいシステムの構築により、物質生産とエネルギー生産を同時 に高効率に行うことにより化石燃料の使用量を極限まで小さくし、トータルの CO2 排出量 を大幅に低減することを目指したシステムである。 また産業間連携では、各産業で過不足が生じる物質やエネルギーを業種の壁を越えて利 用することにより、省資源・省エネルギーをはかろうとしている。これら、大規模なシス テムの構築に際して必要なシステム化技術と、それを可能にするガス化等の要素技術を対 象として検討を行った。さらに①②及び⑤を横断的に繋ぐ役割も担っている。 ④「省エネに必要な部材を作る」課題:鉄鋼材料、化学・セラミックス材料など ①②⑤に関連する材料技術、部材技術を整理した。目的が明確に省エネルギーになるも のを重点化(選定、抽出)した。 ⑤「常温に近い条件を使う」課題:生物反応による高効率プロセス 生物機能を利用した省エネ型循環産業の構築に資することを目的として、原料・燃料転 換(植物や微生物などを利用したバイオリファイナリーなど)、物質生産から廃棄物処理に おける省エネルギー(汚泥処理などの高度化など)、廃棄物処理からの原料・エネルギーの 回収(メタン発酵など)の3つの技術および 2030 年までの実用化が見えるための基盤研究 を整理した。 3.ロードマップ ロードマップは技術マップで提示された課題について技術開発の時期、普及時期を示した。 2-2 超燃焼システム技術の導入シナリオ 2005 2010 2015 2020 2025 2030 エネルギー消費効率改善 30% 国 内 外 の 背 景 新・国家エネルギー戦略 大幅な省エネニーズ、劣質原料対策 京都議定書 第一約束期間 (∼2012) 石油依存度 40% 将来枠組み (ポスト京都) (2013∼) 原油価格は高水準で推移する見込み 燃料多様化対応 多様燃料による発電システムの構築 燃料多様化対応 基礎技術蓄積 高 温 を う ま く 作 る コプロダクションにおける実機 燃焼試験 各種実燃焼器・システムへの展開 (含むCCT・CCS) 石炭利用基礎技術蓄積 循環・回生の 効率化・高度化 燃焼排熱・未利用物質・ エネルギー回収システム技術 基礎燃焼 技術複合 化・システ ム化 回生過程効率化・高度化 (酸素燃焼要素技術) 複合プロセス・ 副生利用 水素等副生物利用燃焼技 術(水素燃焼) 圧縮自着火型燃焼制御技術開発 複合プロセス化への展開 (水素燃焼・酸素燃焼システム) 劣質原料・環境対応型革新製鉄プロセス 既設の室炉コークス炉更新 大幅な省エネニーズ、劣質原料対策 SCOPE21 ・SCOPE21導入 ・高反応性新塊成物導入 ・新製銑プロセスの適用拡大 高反応性新塊成物開発、高炉低温操業技術開発 次世代熱間圧延プロセス 結晶粒超微細化技術の活用による製品の高機能化。最適化研究の進展 製品の高機能化と需要拡大(需要業界との共同開発)の進展 次世代熱間圧延 プロセス研究開発 個々の基盤・要素技術の現行圧延プロセスへの適用 次世代熱間圧延法による 高機能鋼材の工業量産の拡大 断熱型鋳造システム開発 断熱化鋳造シス テムの要素技術 の基本性能達成 断熱化鋳造システム の実用化性能の達 成 断熱型鋳造システムの実用化/普及拡大 既存鉄鋼プロセスの技術利用 化 学 反 応 を う ま く 利 用 す る ガソリン車から燃料電池車への転換 民生への展開 製鉄プロセスの省エネへの貢献 廃プラ、廃タイヤ・バイオマスの製鉄プロセス利用(実用化&実用化の拡大) (民生への展開) 製鉄副生ガス利用による水素及びクリーンエネルギーへの転換(実用化&実用化の拡大) (民生への展開) 高機能チタン合金創製プロセス 小規模プロセス技術 工業量産の拡大、適用先の拡大 リサイクルシステム構築 実規模製造プロセス完成 化学製造プロセス 製造原料の変換技術の開発:SC3の高度利用、分子状酸素の利用 プロセス最適化技術の開発:低温・低圧・高選択化、プロセス数削減、マイクロ波利用 乾燥の熱効率向上技術:高効率精製・分離技術の開発 自然エネルギー利用技術の開発:光触媒 研 2-3 化学産業のエネ ルギー使用量を 2005年レベルの 2/3に削減 研 究 開 発 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ガラス製造プロセス ガラス溶解・成型工程に関 する省エネ技術開発 小規模での実用化 中規模炉におけるガラス溶 解・成型工程に関する省エ ネ技術 中規模での実用化 大規模炉におけるガラス溶 解・成型工程に関する省エ ネ技術 大規模での実用 化 セラミックスの製 造に要するエネ ルギーを2005年 レベルの1/2に削 減を目指す セラミックス製造プロセス 溶媒の最適化とプリカーサを用いた低環境負荷セラミックス製造プロセス セラミックスの全プロセスの完全リターナブル化 ガス化(合成ガスの製造) 従来法(部分酸化法) 原料多様化、高効率化、コスト低減 次世代ガス化(エクセルギー再生型) 開発 可 能 な 限 り 連 携 す る コプロダクションの普及 製鉄・化学プロセスのコプロダクション化 開発・実用化拡大 水素の貯蔵・輸送(民生・運輸への水素供給) 高圧水素タンク 耐久性の向上,高強度材料の開発 液体水素タンク ボイルオフ低減,容器の軽量化・コンパクト化 普及 水素貯蔵材料 材料探索、性能向上 産業間連携(エネルギー・物質のカスケード利用、再生利用) 熱ピンチ プロトタイプ・大規模実証試験 実用化・普及 エネルギー・物質 利用の産業間連 携の本格化 物質ピンチ(水素、水 etc) プロトタイプ・大規模実証試験 物質再生 プロトタイプ・大規模実証試験 高温耐熱耐食材料 必 要 な 部 材 を 作 る 高温耐熱耐食鉄鋼材料研究開発 セラミックス複合材料研究開発 構造体・部材の信頼性検証 石炭ガス化複合発電/天然ガス発電用(タービン部材)への適用 発電プラント用超高純度金属材料 分離膜技術 産業用加熱炉、反応炉等への適用拡大 C1化学反応系に 要するエネルギー を2005年レベル の2/3に削減を目 指す 高度制御反応場の構築とメンブレンリアクター部材としてのC1化学反応系への適用 セラミックス分離膜モジュールの量産技術の確立 燃料電池用部材 燃料電池部材の実 用化性能達成 実用化 生物反応による高効率プロセス 常 温 に 近 い 条 件 を 使 う 導 入 促 進 ・ 関 連 施 策 代謝酵素機能の改変技術の開発 酵素解析技術の開発 糖質への変換技術の開 発 有用菌の導入に よる高速化技術の開発 遺伝子発現技術 の開発 酵素設計技術の開 発 有用宿主生物の 創製 複合酵素利用技術の 確立と実証 化学品生産技術(バイオリファ イナリー)の確立と実証 バイオガス効率的製造 システムの確立と実証 微生物集団の 効率的制御技術 実用化 実用化 高効率廃水・廃棄物 処理システムの確 立と実証 実用化 できるところからの実用化に 対する支援 基盤研究、実用化開発に対する支援 産業間連携、コプロダクションシステム導入に係るインフラ整備 2-4 実用化 実用化 普及 普及 普及 超燃焼システム技術の技術マップ 化石燃料をうまく使う 高温をうまく作る 燃焼高度化・複合化技術 ・プロセス投入過程効率化・高度化技術 ・熱・物質循環・回生過程効率化・高度化燃焼 ・プロダクト最大化・高度化・高機能化技術 ・プロセス副生利用技術 ・革新・高度燃焼技術、複合プロセス対応燃焼技術 鉄・非鉄金属製造プロセスにおける高効率利用 ・革新的鉄鋼製造プロセス ・既存プロセスの技術利用 ・高機能チタン合金創製プロセス技術開発 化学反応をうまく利用する 産 業 分 野 の 省 エ ネ ル ギ 化学製造プロセス ・製造原料の変換 ・低温・低圧・高選択化技術 ・プロセス数削減技術(マイクロ波利用等) ・乾燥の熱効率向上技術 ・自然エネルギー利用技術 ガラス製造プロセス ・ガラス溶解に関する省エネ技術(プラズマ加熱利用 等) ・ガラス成型工程に関する省エネ技術 ・ガラス除冷工程に関する省エネ技術 セラミックス製造プロセス ・低環境負荷型プロセス開発 ー 可能な限り連携する コプロダクション ・ガス化 (合成ガスの製造) ・ガス化と発電のインテグレーション ・プロセスと発電のインテグレーション ・合成ガスからの各種燃料等製造 産業間連携 ・エネルギー・物質のカスケード利用 (ピンチテクノロジー) ・産業用ユーティリティー・インフラ 化石燃料に頼らない 必要な部材を作る 高温をうまく作るための材料 ・高温耐熱耐食材料 ・発電プラント用超高純度金属材料 化学反応をうまく利用するための材料 ・分離膜技術 可能な限り連携するための材料 ・燃料電池用部材 常温に近い条件を使う 生物反応による高効率プロセス ・次世代型製造バイオプロセス技術 ・非石油由来の原材料生産技術 ・バイオガス(メタン・水素)の回収技術 ・廃水・廃棄物処理負荷低減技術 2-5 超燃焼システム技術の技術マップ 大区分 燃焼高度化 ・複合化技術 高温を うまく作る 中区分 小区分 プロセス投入過程効率化・高度化技術 (燃料多様化・高度利用) 熱・物質循環・回生過程効率化・高度化 燃焼 プロダクト最大化・高度化・高機能化技術 バイオマス・社会廃棄物・新燃料(水素・合成ガス・ハイドレート)対応 燃焼、環境調和的石炭利用技術 燃焼排熱・未利用物質・エネルギー回収システム技術 詳細分類 燃焼温度制御技術、省エネ型航空宇宙推進技術開発、圧縮自己着 火型燃焼制御技術 副生物利用型高エクセルギー燃焼システム技術、プロセス副生エネ ルギー燃料製造・貯蔵技術 革新・高度燃焼技術、複合プロセス対応 熱回生型低温緩慢燃焼技術開発、プラントレベル酸素燃焼技術 燃焼技術 燃焼速度制御技術、燃焼温度制御技術 プロセス副生利用技術 鉄・非鉄金属製 革新的鉄鋼製造プロセス 造プロセスにお ける高効率利 用 化 石 燃 料 を う ま く 使 う 化学反応を うまく利用する ・劣質原料・環境対応型革新製銑プロセス ・石炭メルターを用いた溶銑製造 ・稀少資源分離回収 ・合金鉄製造 ・鋳片表層改質 ・次世代熱間圧延プロセス(超微細結晶粒超高機能鋼材、難加工性 鋼材等の製造プロセス) ・鉄鋼材料の革新的高強度・高機能化 ・断熱型鋳造システム開発 既存鉄鋼プロセスの技術利用 ・エネルギー(鉄/ガス)併産 ・副産物利用水素&クリーンエネルギー・燃料等の高効率製造・貯蔵 ・未利用エネルギーの回収・利用 ・エココンビナート構築 ・副生物・発生物の資源化・再利用 カルシウム電解技術、還元捕集技術、分離・取出し・溶解技 高機能チタン合金創製プロセス技術開発 低コスト・省エネチタン新製錬プロセス技術の開発 高機能チタン合金設計・成形プロセス技術の開発 高強度成形性チタン板・複雑形状成形加工技術、高強度高 延性チタン厚板作製・プレスベンド造管技術 バイオマス高度利用 脆さを克服したバイオプラスチック成形材料(複合化PLA) 化学製造プロ 製造原料の変換 カーボンサイクル SC3技術の確立 セス 過酸化水素などによる酸化 分子状酸素の利用(酸素酸化) 光、酵素触媒などによる酸化 高効率酸化触媒の開発 アンモニア製造、エチレン製造など 低温・低圧・高選択化技術 高効率触媒の開発 高機能ナノポーラス材料の量産化 固定化分子触媒、固定化酵素など 新構造エンプラ製造(イソPP、シンジオPSなど) 非定常操作によるプロセス強化 時空間分布制御反応器など マイクロリアクター、ナノ空孔など プロセス数削減技術(マイクロ波利用等) マイクロ空間反応場の構築 PO製造、エポキシなどへの展開 高選択的反応場の構築 フェノール製造、合成ガス製造など 酸素透過メンブレンリアクターなど バイオマスから汎用中間体 協奏的反応場及び外場エネルギー活用による高効率加熱システム マイクロ波加熱、機能性化学品、マイクロ・超臨界、マイク (マイクロ波加熱等) ロ・バイオなど 革新的分離技術 新規吸着材、分離プロセス技術など 乾燥の熱効率向上技術 高機能ナノテク材料、粉体材料、フィルム材料乾燥技術 ナノ粒子、有機顔料、積層フィルムなど UV光、可視光に対する感度の飛躍的な向上 自然エネルギー利用技術 光触媒技術 プロセス排ガスの浄化技術の確立 水素製造技術 インフライティングメルト法 ガラス製造プロ ガラス溶解に関する省エネ技術(プラズ 酸素燃焼、プラズマ燃焼等革新的省エネ技術 真空脱泡省エネ技術 セス マ加熱利用等) 低温溶融省エネ技術 錫バスを使用しないガラス成型工程革新的省エネ技術 アクアフロート法 ガラス成型工程に関する省エネ技術 ガラス除冷工程に関する省エネ技術 高度エネルギーリユース技術 ガラス加工工程に関する省エネ技術 省エネルギー製造技術(コンパクトプロセス) 低温プロセス技術、局所エネルギー照射技術、複雑形状高 セラミックス製 低環境負荷型プロセス開発 精度部材製造技術(加工レス) 造プロセス グリーンプロセス 有機バインダを用いない造形プロセス技術開発 最適プリカーサの設計、合成ならびにプロセス開発 低環境負荷型プロセス プリカーサプロセス開発 高機能材料設計・それに基づきプリカーサによる新材料創 (サブナノスケール材料合成技術の開発) (セラミックス薄板の高機能化) アクアプロセス開発 水を利用した高効率合成プロセス 水系スラリーを用いた低環境負荷プロセス プリカーサを用いた低温セラミックス製造プロセス開発 低環境負荷プロセス開発 リターナブルセラミックス製造プロセス コプロダクショ ン ガス化 (合成ガスの製造) 従来型ガス化技術の向上 次世代ガス化技術 (再生型ガス化) ガス化と発電のインテグレーション 従来型ガス化複合発電 次世代ガス化複合発電 可能な限り 連携する ー 産 業 分 野 の 省 エ ネ ル ギ プロセスと発電のインテグレーション 合成ガスからの各種燃料等製造 産業間連携 エネルギー・物質のカスケード利用 (産業の面的省 (ピンチテクノロジー) エネ) GT/加熱プロセスインテグレーション SOFC/加熱プロセスインテグレーション 水素の貯蔵・輸送 メタノール GTL DME 熱ピンチ 物質ピンチ 物質再生 産業用ユーティリティー・インフラ IEMS ILEN 2-6 部分酸化 水蒸気改質 オートサーマル エクセルギー再生型 IGCC IGFC A-IGCC A-IGFC 合金系: 有機系: 無機系: 炭素系: 次世代GTL合成技術 次世代DME合成技術 コンビナート・ピンチ 産業・民生ピンチ 水素ピンチ 水ピンチ etc 廃棄物の再生利用 マテリアル・カスケード・マネジマント サステーナブル・カーボン・サイクル化学体系(SC3) Industrial Energy Management System (産業集積地のエネルギー管理システム) Industrial Local Energy Network (産業集積地の地域エネルギー・ネットワーク) 大区分 中区分 高温をうまく作 高温耐熱耐食材料 るための材料 発電プラント用超高純度金属材料 必要な部材を 作る 化学反応をうま 分離膜技術 く利用するため の材料 可能な限り連 携するための 材料 燃料電池用部材 小区分 ・高温耐熱耐食鉄鋼材料 ・セラミックス複合材料 発電プラント部材としての超高純度金属材料利用、環境調和的石炭 利用技術、高効率天然ガス発電技術 大型製錬システム実証 ナノ∼サブナノメートルスケールでの多孔体構造制御技術と原子レベ ルでの化学組成制御 成膜技術(膜保持用基材、大面積化) 触媒技術・担持技術 モジュール化技術(触媒、金属製分離膜との複合化) 高度制御反応場の構築 電極触媒 電解質膜 生物反応によ 次世代型製造バイオプロセス技術(微) る高効率プロセ ス 有用宿主生物の創製技術 特異性・反応性の拡大・向上化技術 生産効率・生産量向上化技術 品質高度化技術 非石油由来の原材料生産技術(微・植) 有用宿主生物の創製技術 バイオリファイナリー技術(微) 安全・高効率生産システム化技術(植) 化 石 燃 料 に 頼 ら な い バイオガス(メタン・水素)の回収技術(微)有用宿主生物の創製技術 液体廃棄物からの生産・回収技術 固形物を含む液体廃棄物からの生産・回収技術 常温に近い 条件を使う 固体廃棄物からの生産・回収技術 高効率バイオガス回収技術 バイオエンジニアリング技術 廃水・廃棄物処理負荷低減技術(微) 有用宿主生物の創製技術 高機能窒素除去(硝化・脱窒)技術 高機能化活性汚泥処理技術 固体発酵技術 バイオエンジニアリング技術 2-7 詳細分類 高純度高機能耐火材開発、板材加工・溶接技術・表面処理 技術開発、特定用途向部材開発、超高純度金属のデータ 材料特性・迅速分析システム化技術、低コスト・量産化技術 気体/気体分離、液体/液体分離、気体/液体分離 H2、O2、CO、CO2、H2O、CH3OHの分離 欠陥レス 接合、シール(ハイブリッド材料など) メンブレンリアクター部材としてC1化学反応系への適用 触媒利用率の向上、触媒高活性化、白金低減・白金代替 長寿命化、高温作動膜(耐熱型フッ素系膜、非フッ素系 膜)、ハイブリッド材料など 有用生物等の探索技術 有用生物等の効率的解析と改変技術 特殊条件で使用できる酵素のスクリーニング技術 特殊条件で機能する酵素の機能(耐性)解析技術 特殊条件耐性酵素の設計技術 高効率バイオリアクター技術 次世代培養工学 高度制御システム技術 次世代型精製(分離)技術 有用生物等の探索技術 有用生物等の効率的解析と改変技術 有用基幹物質の精製分離技術 基幹物質に応じた物質生産の多様化技術 ソフトバイオマスの糖化技術 リグニンの有効利用技術 閉鎖系栽培システム制御技術 密閉型植物工場システム技術 植物内での蛋白質高発現と目的組織への輸送技術 有用生物等の探索技術 有用生物等の効率的解析と改変技術 有用菌の発酵槽への導入技術 固定床発酵技術・デザイン化技術 可溶化酵素の大量生産技術 可溶化・メタン生成二段発酵技術 固定床(付着微生物集団)デザイン化技術 高速固体発酵技術 副生産物(アンモニアなど)の除去技術 廃棄物コンポスト化技術 高効率なバイオガス分離技術 高効率バイオリアクター技術(固体発酵システム) 高度制御システム技術 有用生物等の探索技術 有用生物等の効率的解析と改変技術 膜・担体利用技術 微生物集団の効率的空間配置によるデザイン化技術 デザイン化集団の制御・保持技術 トータルシステム化技術 高濃度菌体保持技術 有用微生物添加技術 汚泥低減・消化技術 バルキング抑制技術 汚泥菌叢デザイン化技術 高温処理・好気処理技術 デザイン化による微生物集団の作成・管理技術 高速堆肥化技術 固体バイオリアクター技術 高効率バイオリアクター技術 高度制御システム技術 超燃焼システム技術のロードマップ 分野 項目 2005 2010 2015 2020 2025 2030 燃焼高度化・複合化技術 バイオマス対応燃焼 実証フェー ズ研究 廃棄物対応燃焼 実証フェー ズ研究 新燃料対応燃焼技術 (水素・合成ガス・ハイドレー 実証フェーズ 研究 投入過程効率化・高度化 高 温 を う ま く 作 る スケール アップFS 実機規模システムにおける 燃焼試験 環境調和石炭利用技術 熱・物質回生過程効率化・ 高度化 実燃焼器・システムへの展開 (CCT・CCS技術) 燃焼排熱・未利用物質・ エネルギー回収システム技術 実燃焼器・システムへの展開 回生過程効率化・高度化 (酸素燃焼要素技術) 副生物利用 実燃焼器・ システムへの展開 水素等副生物利用燃焼技 革新・高度燃焼技術 複合プロセス対応燃焼技術 燃焼速度制御技術 燃焼温度制御技術 反応促進・反応高速化技術 実証フェーズ 革新的鉄鋼製造プロセス 先導的研究、実用化基盤研究 高反応性新塊成物 高炉低温操業原理 バイオマス活用 劣質原料・環境対応型革新 製銑プロセス 次世代熱間圧延プロセス 実用化の検討、実適用先の拡大 高炉還元材比の10%削減 大型断熱槽 融合と全体システム構築 溶融金属の連続測温技術 製鉄副生ガス利用による水素 及びクリーンエネルギーへの 製転換 高機能チタン合金創製 プロセス技術開発 次世代熱間 圧延法の工業 生産の開始 プロセス基盤技術・設備技術研究、スケールアップ・最適化研究 断熱型鋳造システム開発 既存鉄鋼プロセスの技術利用 廃プラ、廃タイヤ・バイオマス の製鉄プロセス利用 速度・温度制御型燃焼技術開発 低温・緩慢反応利用技術 廃プラ、廃タイヤ・ バイオマスの製鉄プロ セス利用研究開発 製鉄副生ガス利用 による水素及びク リーンエネルギーへ の転換研究開発 実用化開発&実用化拡大 過渡的には、水素のみではなく、メタン、DME等のエネルギー 供給も可能。 実用化開発&実用化拡大 低コスト・省エネチタン 新製錬プロセス技術の開発 高機能チタン合金設計・ 成形プロセス技術の開発 スケールアップ検討 30%の 低コスト化 実適用先の拡大 歩留まり向上 リサイクルシステムの確立 化学製造プロセス 製造原料の変換 バイオプラスチック成形材料の利用拡大 バイオマスの高度利用 サステイナブル・カーボンサイクル化学体系(SC3)の高度利用 量論・塩素酸化からの転換 過酸化水素利用拡大 直接酸素酸化 高効率酸化触媒の開発 低温・低圧・高選択化技術 化 学 反 応 を う ま く 利 用 す る 高機能ナノポーラス材料の量産化技術 触媒担持技術/担体の組成・ 構造・形態・物性の制御技術 固定化分子触媒 固定化酵素触媒 分子触媒・酵素の設計技術 新構造エンプラ製造触媒(iPP、sPS) 高性能触媒の開発 非定常操作によるプロセス強化 プロセス数削減技術 高選択的反応場 (メンブレンリアクターなど) 電磁波などエネルギー投入による非平衡プロセス マイクロ空間反応場 (マイクロリアクター、ナノ空孔など) 革新的分離プロセス技術 乾燥の熱効率向上技術 高機能ナノテク材料、フィルム材料量産技術 自然エネルギー利用技術 室内清浄、プロセス排ガス浄化技術の確立 太陽光利用水素製造プロセス技術の確立 光触媒技術 ガラス製造プロセス ガラス溶解に関する省エネ技術 ガラス除冷成型工程に関する省エ ネ技術 高温下の短時間プロセス (酸素バーナー、プラズマ加 熱) 錫バスを使用しない成型シス テム開発 中規模プロセスの開発 大規模プロセスの開発 中規模プロセスの開発 大規模プロセスの開発 新たな熱回収利用システム の構築 ガラス除冷工程に関する省エネ技 術 2-8 分野 項目 2005 2010 2015 2020 2025 2030 セラミックス製造プロセス 低環境負荷型プロセス開発 省エネルギー製造技術 (合成・脱脂・焼成・加工プロセスの短時間化、省略化) 低温合成、低温焼成等の低温プロセス技術の開発 高機能断熱材・焼成治具 局所的エネルギー照射プロセス技術の開発 複雑形状高精度部材製造技術(加工レス) セラミックスのグリーンプロセス技術開発 (脱脂プロセスの短時間化、省略化) 有機バインダの低減化技術開発 低環境負荷型プロセス バインダレス造形技術の開発 最適プリカーサ設計 プリカーサプロセス 確立 プリカーサ合成 高機能材料設計に 基づくプリカーサ設計 水を利用した高効率合成プロセス 水系スラリーを用いた低環境負荷プロセス リターナブルセラミックス製造プロセス プリカーサを用いた低温(∼100℃)セラミックス製造プロセス 従来法(部分酸化法) 原料多様化(石油残渣、石炭→低品位炭、バイオマス、廃棄物)、高効率化、コスト低減 ガス化(合成ガスの製造) 次世代ガス化(再生型) 研究開発 実用化 IGCC 実証試験 ン A-IGCC/A-IGFC 研究開発 IGFC 実用化 A-IGCC/A-IGFC 実用化 A-IGCC/A-IGFC 実証試験 GT Integration実用化 効率向上・コスト低減 GTI 実証試験 プロセスと発電のインテグレー ション 効率向上・コスト低減 IGFC 実証試験 SOFCI 実用化 SOFC Integration 実証試験 高圧水素タンク 耐久性の向上,高強度材料の開発 水素の貯蔵・輸送 液体水素タンク ボイルオフ低減,容器の軽量化・コンパクト化 普及 水素貯蔵材料 材料探索、性能向上 合成ガスからの液体燃料の合 成 (GTL/DME) GTL 実証研究 実用化・普及 DME 実証試験 実用化・普及 熱ピンチ 大規模実証化 熱ピンチ 小規模 産 業 間 連 携 エネルギー・物質のカスケード 利用(ピンチテクノロジー) 産業用ユーティリティー・インフ ラ 高温をうまく作るための材料 高温耐熱耐食材料 発電プラント用超高純度 金属材料製造 必 要 な 部 材 を 作 る IGCC 実用化 SOFC 出力、耐久性、コスト ョ 可 能 な 限 り 連 携 す る コ プ ロ ダ ク シ ガス化と発電のインテグレー ション (IGCC/IGFC) 化学反応をうまく利用するための材料 分離膜技術 実用化 物質ピンチ(水素、水 etc) プロトタイプ 物質ピンチ 実証試験 実用化 物質再生 プロトタイプ 実証試験 実用化 IEMS/ILEN FS IEMS 実証試験 実用化 普及 ILEN 実証試験 実用化 普及 低コスト化、易加工性材料開発 特定用途向け部材開発 低コスト新製錬 プロセス技術の開発 大型製錬 システム実証 特定用途向け部材開発 ナノ∼サブナノメートルスケールでの多孔体構造制御技術/原子レベル化 学組成技術開発 H2、O2、CO、CO2の分離 H2O、CH3OHの分離 モジュール化技術(触媒、金属製分離膜との複合化) 高度制御反応場の構築 メンブレンリアクター部材としてC1化学反応系への適用 セラミックス分離膜モジュールの量産技術確立 成膜技術(膜保持用基材の大面積化、触媒技術、担持技術)開発 可能な限り連携するための材料 燃料電池用部材 電極触媒、電解質膜の高性能化・耐久性向上 白金低減技術・白金代替技術の開発 生物反応による高効率プロセス 有用宿主生物の創製技術 植物 微生物 物質生産のための実用作物の作成 有用生物等の効率的解析と改変技術 ゲノミクス、プロテオーム、メタボロームによる総合的な物質生産代謝の解 析 物質生産のための産業用汎用微生物の創出 次世代型製造バイオプロセス技術 特殊条件で機能する酵素のスクリーニング 特殊条件耐性機構の解明 人工進化による特殊条件耐性 酵素の創出 特殊条件で使用可能な宿主・ベクター系の開発 特殊条件で機能する 酵素反応系の構築 物質変換 の高効率化 特殊条件耐性酵素の設計 常 温 に 近 い 条 件 を 使 う 非石油由来の原材料生産技術 植物による生産 植物工場システムによる生産系の確立 微生物による生産 植物工場による物質生産の汎用化 原料供給技術としての適用 収集可能な原材料の選定(ソフト・ハードバイオマス、 食品廃棄物、など)と糖質への変換・回収の実現 バイオリファイナリーによる化学品生産 技術の実用化 生産物質の ラインナップ 次世代型製造技術(高効率バイオリアクター、コンピューター培養制御) バイオガス(メタン・水素)の回収技術 バルキング等の現 液体廃棄物 固体を含む廃棄物 状の問題点の解 決 可溶化に適した菌の探索・育種 固体廃棄物 固体発酵に適した菌の探索 廃水・廃棄物処理負荷低減技術 無機系廃水 好気・嫌気処理 による窒素除去 有機系廃水 活性汚泥処理 有機系廃水 堆肥化処理 機能的微生物 集団のデザイン と人工的創成 有用菌の 探索 /主要菌の 取得 2-9 高効率システムの 確立と実証 既存システムから 高効率システムへの 更新 時空を超えたエネルギー利用技術の技術戦略マップ ∼∼∼∼時空を超えてエネルギーを利用し尽くす省エネ技術∼∼∼∼ Ⅰ.基本的な考え方 産業プロセス等では利用が難しくても民生分野では利用価値のあるエネルギーも存在し、産 業分野から民生分野等へエネルギーを受け渡すことで更なるエネルギー消費の抑制が可能であ る。しかしながら、現状では産業分野と民生分野での使用時間帯や場所、エネルギーの質や量 が異なるため利用できずに廃棄されることが多い。また、民生分野においては、時間的ミスマ ッチにより熱や再生可能エネルギーが有効に利用できない場合がある。 このように、エネルギーの需要と供給とのバランスを図るうえで制約条件となっている「時 間」、 「空間(場所)」のミスマッチ(不一致)を技術によって解消し、産業分野で使えなくても 民生部門ではまだ使えるようなエネルギーを捨てることなく使いまわし、民生ではエネルギー を利用し尽くすため、時空を超えてエネルギーの高効率利用を達成する技術戦略を策定した。 具体的には、 「熱エネルギー」、 「電気エネルギー」、 「化学エネルギー」の3形態により、エネ ルギーの貯蔵、輸送を行うことを想定する。 「熱エネルギー」では、長距離の輸送が困難となっ ている現状を踏まえ、PCMなどによる潜熱蓄熱・バッチ輸送や、デシカントによる吸収・吸 着を利用した熱のバッチ輸送、雪氷による季節間蓄熱の実現、真空断熱パイプラインによる顕 熱輸送のロスの低減、太陽熱利用を利用した温熱や冷熱発生などの技術による解消を図る。 「電 気エネルギー」では、貯蔵が困難となっている現状を踏まえ、蓄電の高度化を図っていく。ま た、水素、合成ガス、天然ガスなどの「化学エネルギー」は、貯蔵・輸送が比較的容易である ことから、産業側でのコプロダクションなどによるエネルギー回収技術と、民生側での燃料電 池やコージェネレーションなどの分散型エネルギー利用技術の革新との連携によりこれまでに 実現できなかった化学エネルギーを橋渡しとした省エネルギーの実現を図る。 更には、ヒートポンプや吸収式冷凍機などにより「熱エネルギー」の質を高め利用率を向上 することと、インバータなどによる電力品質維持技術により太陽光や風力などの「電気エネル ギー」の質を高めることにより、より高度なエネルギー利用を目指す。また、熱電発電や、高 品質なエネルギーと排熱の組合せによる発電により、余剰のエネルギーを余すことなく利用し 尽くしていく。最後に、需要側と供給側の計測と動向予測、制御技術の確立などにより、これ らの3形態を最適に活用するための最適評価方法を確立していくことが、実際の導入にあたっ ては、重要な要素となるため、この分野における研究開発も進めていく。 Ⅱ.導入シナリオ 時間、空間の各ミスマッチを「熱エネルギー」 、「電気エネルギー」、「化学エネルギー」の3 形態によりエネルギーの貯蔵、輸送を行うことで解消し、産業分野における余剰エネルギーの 利用と、民生分野のエネルギーの有効利用を実現することを念頭に置き、 「熱」、 「電気」、 「化学 エネルギー」の各技術と、変換および質の向上によりこれら3つの形態を有機的に結びつける 技術の将来像を描き、予測される技術の成熟度を基に展開させていくシナリオとした。また、 これら3つの形態を有機的に組み合わせ、省エネルギーを実現しうる技術を確立するための、 評価と設計を進める形とした。さらに、これらを促進するために、3分野の技術的な融合を進 めることも重要な導入促施策とした。 Ⅲ.技術マップ及びロードマップ 1.技術マップ 「熱エネルギー」、「電気エネルギー」、「化学エネルギー」の3形態により、エネルギーの 貯蔵、輸送を行うことを想定し、それぞれの有効利用技術、これらの連携を有機的にする質 の向上と転換技術、さらにはこれらを最適に活用するための評価技術をマップにした。 これらの技術の省エネルギー量については、全体のシステム設計とその運用、および今後 の技術開発の動向により大きく異なることから、現時点で定量的な評価は行っていない。今 後、技術戦略をローリングしていく段階において、各技術の評価を行い取捨選択する必要が あろう。 3-1 選定した重要技術は以下のとおり。 (1)3形態のエネルギーのそれぞれについて時空を超えて利用する技術として以下を選定 した。 ・「熱エネルギー」では、 潜熱蓄熱(PCM、雪氷による季節間蓄熱等)、吸収・吸着(デシカント熱輸送等)、 顕熱(真空断熱パイプライン、太陽熱利用) ・「電気エネルギー」では、貯蔵が困難となっている現状を踏まえ、 蓄電の高度化(従来型電池の高度化、新型電力貯蔵の探索) ・水素、合成ガス、天然ガスなどの「化学エネルギー」では、 コプロダクションなどによるエネルギー回収(ガス化、発電とのインテグレーシ ョン、水素分離、水素の貯蔵・輸送、合成燃料技術)、分散型エネルギー利用技術 の革新(燃料電池、従来コージェネレーションの高度化、燃料電池ハイブリッド、 化学再生) (2)3形態のエネルギーのそれぞれを、時空を超えて利用しやすくするための技術として 以下を選定した。 ・「熱の質の向上」では、 ヒートポンプ(超高性能、直接熱交換、蒸気発生、ケミカル、マルチサーマル) 、 吸収式冷凍機(次世代型吸収・吸着・ハイブリッド熱源、低温再生、高吸収化 )、 ターボ冷凍機(性能向上) ・分散電源(風力、太陽光)の「電気エネルギーの質の向上」では、 電力品質維持技術(インバータ、保護機器、コージェネレーションとの連携、大 容量蓄電技術) ・「熱から電気エネルギーへの変換」では、 熱電発電(材料開発、高効率化)高品質なエネルギーと排熱の組合せによる発電 (小型汽力、排熱回収型CC等) (3)熱、電気、化学エネルギーの3形態のエネルギーを最適に活用するための技術として 以下を選定した。 需要側と供給側の計測と動向予測、制御技術の確立、最適評価方法、設計手法 2.ロードマップ ロードマップにおいては、技術マップの項目の技術開発の時期と普及時期について時間軸 に展開した。効率向上を主とする課題については、極力目標値を示し開発の目安とした。 3-2 時空を超えたエネルギー利用技術の導入シナリオ 2010 2020 2030 エネルギー消費効率改善 30% 新・国家エネルギー戦略 国 内 外 の 背 景 京都議定書 第一約束期間 (∼2012) 石油依存度 40% 将来枠組み (ポスト京都) (2013∼) 原油価格は高水準で推移する見込み 短距離、短時間を 超える省エネルギー 技術の確立 全 般 長距離、長時間を 超える省エネルギー 技術の確立 革新技術による 時空の超越 ■熱、電気、化学のエネルギー形態で時空を超える技術 ■熱エネルギーの輸送・貯蔵技術 潜熱蓄熱 バッチによる中温の中近距離熱輸送 PCM、雪氷等による季間蓄熱 日単位の蓄熱技術(HP、コージェネ、太陽熱等) バッチによる高温・冷熱輸送 吸収・吸着 デシカント材による熱輸送 ■電気エネルギーの貯蔵技術 蓄電技術の高度化 従来蓄電技術の高度化 新蓄電技術の探索、研究、開発 ■化学エネルギーへの変換により回収・利用し輸送貯蔵を可能にする技術 研 究 開 発 コプロダクションによるエネルギー回収 合成ガス併産 水素併産輸送 化学エネルギーを利用したエネルギー貯槽・輸送技術の革新的技術の探索 分散電源の利用技術の革新 従来コージェネの 小型純水素FCコージェネ 燃料多様化・高効率化 新コージェネ(FC等)の導入 化学再生式コージェネ導入 熱、電気、化学エネルギーの組み合わせによる省エネルギーの評価、設計 需要と供給: 計測、動向予測 制御技術の確立 最適化評価技術の確立 設計手法の確立 システム検証 連携 ■変換および質の向上 熱の質の向上 ヒートポンプ:性能向上 利用範囲拡大 吸収式冷凍機:小型化、再生温度の低温化 ターボ冷凍機:性能向上、小型化 再生可能分散電源の電力エネルギーの質の向上 インバータ コージェネレーションとの連携 保護断電器低損失化、低コスト化 大容量蓄電との連携 未利用熱の電気への変換 熱電発電:材料開発、高効率化 高質なエネルギーと排熱との組み合わせによる変換: 小型汽力 小型ボイラ、GEへの利用 排熱回収型GTCC 導 入 促 進 ・ 関 連 施 策 導入効 果評価 コージェネの導入促進 ヒートポンプの導入促進 熱、電気、化学エネルギー 3分野の技術融合の促進 インフラ 導入 効果評価 省エネ効果の大きな余剰・未利用エネルギー利用への補助 エネルギー・ネットワーク・インフラの整備 規制緩和、特区の利用 産業と民生の融合を可能にする都市計画 3-3 エ ネ ル ギ ー 顕熱 蓄熱槽:樹脂フォーム 真空断熱材 躯体蓄熱化 を 利 用 し 尽 く す 技 術 解 決 す べき 課 題 時空を超えたエネルギー利用技術の技術マップ Ⅰ 産業分野における余剰エネルギーの利用 (民生や他産業との連携によりプロセスでのエネルギーロスを低減するための エネルギー利用効率向上やエネルギー輸送技術の革新と活用) Ⅱ 民生分野におけるエネルギーの有効利用 (ロスなくエネルギーを利用し尽くす技術) 原因:熱エネルギーでは輸送が、電気エネルギーでは貯蔵が難しい>「時間」と「空間(場所)」のミスマッチが生じる 解 決 策 「熱エネルギー」、「電気エネルギー」、「化学エネルギー」の3形態の相互転換を 技術革新で可能にし、エネルギーの貯蔵、輸送を行う 「熱エネルギー」> 輸送適正距離の拡大、 長時間貯蔵を可能に ・潜熱蓄熱(PCMによる熱輸送・貯蔵、雪氷による季節間蓄熱等) ・顕熱(真空断熱パイプライン、太陽熱利用等) ・吸収・吸着(デシカント等) 「電気エネルギー」>貯蔵を可能に ・蓄電の高度化(従来型電池の高度化、新型電力貯蔵の探索) 水素、合成ガス、天然ガスなどの 「化学エネルギー」>輸送・貯蔵が簡単 ・コプロダクションによるエネルギーの回収(ガス化、発電とのインテグレーション 水素分離、水素の貯蔵・輸送、合成燃料等) ・燃料電池やコージェネレーション等の分散電源の利用技術の革新 (燃料電池、従来コージェネの高度化、燃料電池ハイブリッド、化学再生) ・ヒートポンプ(超高性能、直接熱交換、蒸気発生、ケミカル、マルチサーマル) 「熱エネルギー」の質の向上(転換) 分散電源(風力・太陽光など)の 「電気エネルギー」の質の向上 ・吸収式冷凍機(次世代型吸収・吸着・ハイブリッド熱源、低温再生、高吸収化 ) ・ターボ冷凍機(性能向上) ・電力品質維持(インバータ、保護機器、コージェネとの連携、大容量蓄電等) 「熱エネルギー」を「電気エネルギー」 へ変換し輸送を可能に ・熱電発電(材料開発、効率向上) ・高品質なエネルギーと排熱の組合せによる発電(小型汽力、排熱回収型CC等) 3形態を最適に活用する ・需要と供給の計測と動向予測 ・需要と供給の制御技術 ・最適評価/設計手法の確立 3-4 時空を超えたエネルギー利用技術のロードマップ 項目 時空を超えて(3形態の)エネルギーを利用する技術 2010 現在 2020 2030 中温熱バッチ輸送(∼120℃) 高温・高密度化(120℃以上) 潜熱輸送 輸 送 真空断熱材(輸送コンテナ・建物蓄熱槽) 雪氷熱輸送(約0℃) 耐熱・高断熱化(100℃以上) 顕熱輸送 吸収/吸着 熱輸送 高温熱バッチ輸送 低温潜熱輸送(0℃未満) 真空断熱熱輸送 パッケージ化、耐久化 高エクセルギバッチ輸送 水・氷蓄熱の高度化 普及・効率向上・コストダウン 雪氷熱の季間利用と輸送技術の最適化蓄熱技術検討 雪氷蓄熱 季間利用 効率向上 雪氷熱季間利用 実用化試験 ヒートポンプとのハイブリッド雪氷蓄熱 潜熱を利用した地中蓄熱技術 普及・効率向上・コストダウン 季間利用 普及・効率向上・コストダウン 圧力制御蓄熱 多温度型蓄熱 自己制御蓄熱 アクティブ蓄熱 潜熱蓄熱 次世代昇華潜熱蓄熱材 熱エネルギー ⇒ 輸送適正距離の拡 大、長時間貯蔵を可 能に 昇華潜熱蓄熱 高密度・高温化(60∼90℃) 給湯用蓄熱 耐熱カプセル化、懸濁化 高効率蓄熱熱交換 低熱損失・機能化 蓄 熱 モバイル蓄熱、曇天太陽暖房 躯体化 高密度パッシヴ蓄熱 多機能水・氷蓄熱(蓄熱槽効率3%up) 低コスト、低損失化 季間熱利用 真空断熱材 小型・高温蓄熱 躯体化 顕熱蓄熱 普及・効率向上・コストダウン 実用化試験 熱隔離槽・高機能熱隔離躯体 普及・効率向上・コストダウン 圧力制御蓄熱 自己制御蓄熱 アクティブ蓄熱 高度予測制御 センサレス高度統合蓄熱制御 多点計測制御 蓄熱制御技術 多点計測制御型高度蓄熱制御システム 実用化試験 熱 ネ 高度熱輸送技術 ッ ト 大容量蓄電 電気エネルギー 中容量蓄電 超長距離建物間冷媒搬送 高効率熱搬送・直膨型高効率熱交換 真空断熱パイプライン レドックスフロー、Na/S電池 大容量化、コスト ニッケル水素、リチウムイオン、ゼブラ電池、電気二重層キャパシタ 探索・基礎研究 新型電力貯蔵技術 ー 化 学 ガス化と発電のインテグ エ レーション(IGCC/IGFC) ネ ル ギ プロセスと発電の 地域熱ネットワーク 効率向上 充放電効率向上 ⇒貯蔵を可能に ガス化(合成ガスの製造) 化学エネルギー ⇒輸送・貯蔵が 簡単 合成液体燃料 (GTL/DME) 産 業 間 連 携 物質・エネルギーの カスケード利用 (ピンチテクノロジー) 産業用ユーティリティー ・インフラ 燃 コージェネレーション 料 電 池 効率向上 実証試験 コストダウン 従来法(部分酸化法) 原料多様化、高効率化、コスト低減 次世代ガス化(再生型) 開発 実証試験 次世代ガス化 実用化 IGCC 実証試験 IGCC 実用化 効率向上・コスト低減 SOFC 出力、耐久性、コスト向上 GTI 実証試験 IGFC 実証試験 IGFC 実用化 GT Integration 実用化 効率向上・コスト低減 インテグレーション へ の 変 換 ・ 水素の貯蔵・輸送 コ プ ロ 普及・効率向上・コストダウン SOFCI 実証試験 SOFC Integration 実用化 高圧水素タンク 耐久性の向上、高強度材料の開発 普及 液体水素タンク ボイルオフ低減、容器の軽量化・コンパ 普及 水素貯蔵材料 材料探索、性能向上 GTL 実証研究 普及 実用化・普及 DME 実証試験 実用化・普及 熱ピンチ 大規模実証試験 物質ピンチ(水素、水 etc) プロトタイプ 物質再生 プロトタイプ IEMS/ILEN 実証試験 IEMS/ILEN FS 低温作動SOFC (44%(LHV)) ハイブリッドSOFC (66%(LHV)) 3-5 実用化 実証試験 実用化 実証試験 実用化 実用化 効率向上・コストダウン コストダウン ガスタービン 化学エネルギー ェ ⇒輸送・貯蔵が 簡単 効率向上・コストダウン ガスエンジン ジ 合成燃料の 化学再生技術 ネ レ レシプロエンジン タ 効率向上・コストダウン 燃料電池(高温型) コストダウン ー 圧縮自着火、レーザ着火、セラミック化、要素効率向上、サイクル変革:随時実用化 実用化試験 低エクセルギ燃料利用 効率向上・コストダウン 時空を超えて(3形態の)エネルギーを利用しやすくする技術 定格COP:水冷8、空冷6 期間COP:10以上 定格COP:水冷6、空冷5 超高性能ヒートポンプ 高性能化(要素効率向上・サイクル変革)・随時実用化 汎用ダブルバンドル 普及・効率向上・コストダウン トライバンドルヒートポンプ 普及・効率向上・コストダウン 次世代型吸収・吸着・ハイブリッド熱源機 普及・効率向上・コストダウン 排熱回収・利用 水冷媒冷凍機 熱エネルギー 普及・効率向上・コストダウン 直接熱交換ヒートポンプ 水冷媒ヒートポンプ ⇒質の向上 汎用VRC 普及・効率向上・コストダウン 蒸気製造ヒートポンプ 普及・効率向上・コストダウン 蒸気発生ヒートポンプ ケミカルヒートポンプ ケミカルヒートポンプ 高性能排熱回収ヒートポンプ マルチサーマルヒートポ ンプ 自己昇温型ケミカルヒートポンプ 普及・効率向上・コストダウン マルチサーマルヒートポンプ 普及・効率向上・コストダウン 普及・効率向上・コストダウン インバータ・保護機器 電気エネルギー ⇒質の向上 コージェネレーションとの 連携 普及・効率向上・コストダウン 技術開発 実証試験 普及・効率向上・コストダウン 技術開発 実証試験 大容量蓄電との連携 普及・効率向上・コストダウン 材料開発:酸化物系、アルカリ金属系、希少金属使用削減 熱電発電 性能向上:サーマルマネージメント、接触抵抗低減、カスケード化、ZT値の向上 熱を電気へ変換 ⇒輸送を可能に 余剰熱利用 小型汽力 ガスタービン 3形態を最適に活用 小型ボイラー、ガスエンジンCC等 ノンフロン系媒体利用 排熱回収型 小型化、コストダウン 小型化、コストダウン 需要と供給の 計測・動向予測 調査・計測・評価 予測手法確率 需要と供給の制御技術 制御技術の確立 連携手法の確立 評価手法確率 設計手法確立 最適評価/設計手法の確 導入・普及 立 ※コスト算定・評価については、今後検討が必要。 ※一般に定格COPは設計上保証された使用限度であるが、実際には空調は定格を下回った温湿度条件(理論COPが向上する方向)で 稼動することが多い。したがって、ヒートポンプ熱源機単体を年間で見た場合、季節間で加重平均されたCOP(期間COP)は定格COP より良い値をとる。 ※COPの目標値は、電力分野産業技術戦略の記述に基づいた。 3-6 省エネ型情報生活空間創生技術(民生分野)の技術戦略マップ ∼快適で効率的な生活・業務環境の実現∼ Ⅰ.基本的な考え方 (1)民生(家庭・業務)部門では、ライフスタイルの変化に伴って運輸部門と並んでエネル ギー消費が大きく伸びてきた傾向が今後も加速すると予測されるため、省エネルギー技術 の開発・導入を始めとする実効的な省エネルギー対策の実施は最優先課題である。しかし ながら、産業分野で 1970 年代のオイルショック後に積極的な省エネルギー技術の導入・ 普及を図り、コスト低減及び企業競争力の強化に結びつけてきたような組織的な省エネ対 策は期待できないため、民生部門に適した有効な対策を進める必要がある。 (2)一方、家庭やオフィス等へのエネルギー供給面から将来を予測すると、太陽光や風力、 バイオマスなどの自然エネルギー活用や、電化率の向上、分散型電源の導入・普及、熱と 電気が最適利用されたコージェネの普及拡大などがますます進むと考えられる。また、水 素エネルギー社会の到来も 2030 年から先の近い将来には考慮すべき環境変化と考えられ る。このような多様化するエネルギーを効率的に利用するための技術開発が求められてい る。 (3)家庭やオフィス等では、エネルギー消費の大きな部分を占める冷暖房、給湯などの熱利 用の効率化が従来からの重要な課題である。また、ライフスタイルの変化の観点からは、 全室空調の増加、大画面テレビや高度情報化機器の増加、大型冷凍・冷蔵庫の普及拡大、 夜型生活による照明電力の増加などは、生活の高度化とエネルギー消費の抑制という相反 する課題を満たす技術開発が重要となることを示している。この増エネ要因に対し、トッ プランナー方式による各機器の省エネを進めるとともに、自動的にしっかりと省エネする 仕組みとして、人の好みや行動パターンに応じたエネルギー・マネージメントの普及を促 進するなどの積極的な対応が必要になってきている。その際に、快適性の向上や見守りや 異常検知など安全性向上のシステムなどとも一体的に取り組み、さらなる普及に努めるこ とが重要である。 (4)また、老齢化の進展は介護用ベッド、電動車椅子、家庭用昇降機などのロボット化が進 展することが予想される。ロボット化した各機器の省エネ化技術を開発、促進し、加えて 住宅・建築物など各主体から極力エネルギーを外部に排出しない取組みや、自然エネルギ ーの取込みも必要である。このためには、民生分野における電気、熱、水素エネルギーの 回生、蓄積、転換などの新しい技術開発が不可欠である。そして、この開発に即したエネ ルギー利用技術の開発や、既存のエネルギー供給インフラとの連携・協調技術の開発、さ らには時空を越えた広域のエネルギー・マネージメント技術(CEMS: Cluster Energy Management System)の開発が急務である。 (5)一方、ビルのインテリジェント化や新しい情報ビジネスの拡大等に伴い、通年冷房を行 うビルが拡大し、延べ床面積あたりのエネルギー消費原単位や空調運転時間が増大する傾 向にある。このため、冷熱源設備機器や空調動力における省エネルギー対策や建物構造及 び機能建材による省エネルギー化のみでなく、熱需要を増大させている情報機器や照明及 びそれらへの電力供給設備、さらにこれらの機器・設備を構成する半導体などを含む電 気・電子部品や動力部品の発熱低減のような省エネルギー対策や、オンサイト分散型電 4-1 源・エネルギー貯蔵、ヒートポンプ技術の高度有効利用技術開発も重要である。 Ⅱ.導入シナリオ (1)民生(家庭・業務)部門では、住宅やビルなどの躯体や家電機器、事務機器、ユーティ リティ設備等のハードウェアの省エネを技術開発の促進やトップランナー規制等で推進 すると共に、日々の生活・業務環境でエネルギーの使用方法の改善、すなわちソフトウェ ア的、システム的な省エネを推進することが重要である。特に住宅やビルは一度建設する と簡単に改修はできないことから躯体や設備が組み上がった状態での総合的な性能を事 前に精度よく予測評価するための技術が重要である。さらに、高度情報化社会の広がりと 共に普及が進みつつある情報ネットワークを活用したエネルギー・マネージメント・シス テム(HEMS/BEMS 等)は、重点課題として関連の新技術開発や導入・普及を促進する必要 がある。また、HEMS/BEMS の設置はそれ自体のエネルギー消費によって増エネになること から、待機電力の極小化や、導入・普及によって生じる省エネ効果と利便性の向上効果を 十分に評価した上で適切な箇所に設置を進めることが肝要である。さらに、加速的な普及 に向けては快適性の向上や安全性の向上などの付加的なサービスと一体となった省エネ 技術の開発を進める必要がある。 (2)家庭やオフィス等の現状から判断すると、 「省エネルギー」は必ずしもエネルギー使用機 器・設備のコスト・パーフォーマンスや事業の自立性という観点からは十分な力を持ち合 わせていない。少子高齢化社会における「安心・安全」や「情報サービス」などと合わせ た多様なサービス体系に組み込むことにより、コスト低減や導入の加速化を進める必要が ある。加えて、民間レベルでは回避し難い事業リスクを緩和し、 「省エネルギー」が事業 として自立、強化できるための諸方策を、国のレベルでも積極的にとる必要がある。 Ⅲ.技術マップ及びロードマップ (1)技術マップ 「快適で効率的な生活・業務環境の実現」に必要不可欠な省エネルギー技術開発を、 「Ⅰ. 基本的な考え方」に従い、 「機器・設備の省エネ」と「建物・生活環境の省エネ」に区分し、 省エネポテンシャルと技術の成熟度、経済性、及び他分野への波及効果の観点から重要度 の高い以下の重点技術課題を選定し、技術マップを作成した。なお、家庭やオフィス等へ のエネルギー供給関連の技術については他グループでの検討に委ね、以下ではエネルギー 需要サイドから必要な技術を取上げた。 (2)重点技術課題 選定した重要技術は以下の通り。 1)機器・設備の省エネ技術開発 ①高効率ヒートポンプ CO2 ヒートポンプ給湯器など自然冷媒を使用するヒートポンプ技術の小型・高性能化技術、 及び冷温水器、空調機、乾燥機など、応用機器の研究開発。より一層の省エネ、温室効 果ガスフリー、本質安全を兼ね備えた次世代冷凍技術の研究開発。ガスエンジンヒート ポンプ、吸収式冷温水器などの高効率化に関する技術開発。 ②次世代省エネ型ディスプレイ 4-2 省エネ PDP、省エネ LCD、高分子有機 EL、高機能化システムディスプレイ等の次世代の 省エネ型ディスプレイ及び関連技術の研究開発。 ③情報家電 空調、照明、ディスプレイ、通信機器等の情報家電そのものの省エネ化を進めるととも に、これらをネットワーク化して更なる省エネを始めとする付加サービスを組み込める 技術開発。 ④次世代高速通信 大容量・高速通信を低消費電力で実現するための半導体レーザ、光通信用合波回路機能 光源モジュール、超電導ネットワークデバイス通信装置等の次世代高速通信機器や、フ ォトニックネットワーク技術等のネットワーク関連技術の研究開発。 ⑤次世代蓄電・蓄熱技術 換気・生活排水など住宅から排出されていた熱エネルギーを回収・蓄熱して利用する技 術の開発。エネルギー蓄積密度が高く、安全で使いやすく、しかも充放電(熱)効率の 高い蓄電材料、蓄熱材料及びシステムの開発。 ⑥次世代高効率照明 現在の蛍光灯を上回る発光効率を可能とする光源・機器とその製造技術、 及び白熱電球に 代わる省エネ高演色性光源技術の研究開発。具体的には、白色 LED、白色 EL、蛍光灯の 高効率化技術と製造方法、クラスター発光光源、マイクロキャビティー光源等に関する 技術開発。 ⑦介護支援システム 今後急増する介護ロボットや、歩行支援機器、家庭用エレベータ等の省電力化技術や、 新たに必要となるセンサや情報制御系の省エネ技術開発。 2)建物・生活環境の省エネ技術開発 ①住宅・ビル躯体の省エネ(負荷低減) 自然エネルギー活用も含めた住宅・ビル躯体(構造体、窓、断熱・遮熱材等)の省エネ技 術開発。高度断熱・遮熱材(住宅用真空断熱材等)、高機能窓(採光、断熱、遮熱、スマー トウィンドウ)、高機能レイアウト(人/物の移動量削減等)、木材活用型低環境負荷建築 構造技術、革新的構造材料を利用した新構造システム建築物、室内空気質改善技術に関 する技術開発が含まれる。 ②クラスター型エネルギーマネージメントシステム技術開発 住宅やビルでの高効率な冷暖房・給湯・調理・照明等の効果的な組込み、 人の好みや行動パ ターンに応じた制御技術(HEMS/BEMS)の開発、 及び当該技術の効果把握や予測手法の開発、 ならびに住宅・ビル全体での総合的な省エネ性能、環境性能、利便性向上などを事前に 精度よく予測する技術の開発が必要である。最適負荷運転システム、HEMS/BEMS、必要最 小限のゾーンのタスクアンビエント空調・照明、ユビキタス・センサ・ネットワーク、 BA/FA 統合プラットフォーム技術、予測手法、建築物からの排熱(エネルギー)回収・蓄 熱利用に関する技術開発が含まれる。また、加速的な普及に向けて快適性の向上や安全 性の向上などの付加的なサービスと一体となった省エネ技術の開発を目指す。 さらに、HEMS/BEMS と地域コージェネ技術、自然エネルギー利用との情報、エネルギー 4-3 面での有機的な連携がますます求められてくる。冷暖房、給湯、電力のバランスがとれ た運用には、最適化する範囲を柔軟に拡大・縮小する技術が必要である。従来は別々に 開発されてきた HEMS、BEMS 及び地域コージェネ、排熱回収システム、蓄エネルギーシ ステムなどが有機的に連携する仕組みづくりが重要な課題である。これには、自然エネ ルギーの利用やバイオマスなどの再生エネルギーの利用も組み込むべき課題である。た だし、有機的連携には、まず、各主体が最大限の省エネルギー対策を実施し、その上で エネルギーを融通しあう主体は地域内での省エネルギー最適化とエネルギー供給に責 任を持つことが肝心である。 ③社会システム技術 都市全体の構成や運用などの改善を目指す環境調和省エネ都市プランや既存のエネルギ ー供給インフラと連携・協調する社会システム技術や、都市、ビル内の人と物の移動に 関わるエネルギー消費の低減技術開発も重要な課題である。 (3)ロードマップ 上記(2)により選定した重要技術について、今後の技術課題を中長期的視点から整理 し、ロードマップとして示した。 4-4 省エネ型情報生活空間創生技術(民生分野)の導入シナリオ 2005 2010 2020 2030 エネルギー消費効率改善 30% 新・国家エネルギー戦略 国 内 外 の 背 景 石油依存度 40% 京都議定書 第一約束期間 (∼2012) 将来枠組み (ポスト京都) (2013∼) 原油価格は高水準で推移する見込み 新規冷媒用HCFC全廃 補充冷媒用HCFC全廃 HFC等3ガス規制強化(推定) ノンフロン型省エネ冷凍空調システム開発 低環境負荷冷媒(GWP<150)ヒートポンプ空調機 高効率コンパクトCO2冷媒ヒートポンプ給湯機(家庭用⇒業務用への普及) 給湯/空調総合システム(空気質、換気を含む) ・顕熱潜熱分離空調(輻射空調) ・冷温熱源ネットワーク化 ・湿度制御による健康空調(カビ、ダニ等発生抑制) ・排熱、蓄熱技術によるトータル省エネ 給湯/床暖併用システム 排熱、自然エネルギー利用システム ・燃料電池による熱電供給 ・高効率、高温太陽熱コレクター ・カスケード型蓄熱システム ・生活排水、雨水の熱回収システム 機 器 ・ 設 備 の 省 エ ネ 高温ヒートポンプシステム(蒸気発生) 熱源、熱搬送最適制御 HEMS,BEMSによる建物全体の省エネ制御 換気・空調最適制御(外気冷房) セキュリティシステム CEMSによる省エネ制御 インフラの運用基盤確立 ・情報家電の通信標準化 ・ネットワークノードの省電力化 情報家電のHEMS、BEMS、CEMS連携サービス 次世代省エネ型ディスプレイ、情報家電、次世代高速通信、次世代高効率照明、介護支援システム 研 究 開 発 BEMSアプリケーショ 空調設備の単体からシステム全体の効率化の促進 技術変革に対応した 新しいBEMSアプリ ケーション開発普及 数理計画法・高度モデル化技術等の応用開発 (蓄熱システム、熱電併給システム、ベースライン) 創エネ・燃料電池を含むシステムの最適化・高効率化 BEMS統合化 BA/FA統合開発 統 合 化 促 進 ヒートポンプBEMS統合開発 HEMSネットワーク実証試験 CEMS開発/ 複数主体連携 技術 CEMS普及促進 成熟社会CEMS 都市エネネットワーク実証試験 社会システム研究 建 物 ・ 生 活 環 境 の 省 エ ネ BEMSハードウエア BEMS端末の開発・導入促進 次世代BEMS端末の開発 ZigBeeからユビキタスまでワイヤレス技術のBEMS応用促進 管理・評価技術 技術変革に対応した 新しい管理・評価技 術開発普及 性能評価・削減評価手法の規格化と国際化 (ESCO、ESP、コミッショニング等への普及促進) 断熱・日射遮蔽などの負荷軽減技術の 低コスト化による普及促進 外気冷房などの併用の促進 次世代エコデザイン の開発普及 自然通風などの躯体と設備の連携推進 屋上緑化などヒートアイランド対策の 都市計画との連携 都市と建築コンパクト化による次世代スマートグロース技術の開発と実証試験 運輸分野との連携技術開発 トップランナー規制 エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業 革新的エネルギー利用技術開発促進 導 入 促 進 ・ 関 連 施 策 次世代IT機器省エネ技術開発促進 高齢化対応省エネ技術開発促進 HEMS・BEMS導入・促進事業 生活空間高効率機器・省エネシステム導入促進事業 人の好みや行動パターンに応じたCEMS導入・促進 &付帯サービス事業化導入促進事業 ビルオーナーの省エネ活動推進メリットに関する ビジネスモデル構築 4-5 省エネ型情報生活空間創生技術(民生分野)の技術マップ 目的 課題 機 器 ・ 設 備 の 省 エ ネ 快 適 で 効 率 的 な 生 活 ・ 業 務 環 境 の 実 現 建 物 ・ 生 活 環 境 の 省 エ ネ 施策の方向 対応技術・システム(例) ●高効率ヒートポンプ CO2 ヒートポンプ給湯器など自然冷媒を使用する ・ヒートポンプ高効率圧縮機 ヒートポンプ技術の小型・高性能化技術,及び冷温 ・次世代ヒートポンプ空調機 水器,空調機,乾燥機など,応用機器の技術開 ・多重効用吸収式冷温水器 発。住宅・建築物から極力エネルギーを外に出さな ・高効率CO2ヒートポンプ給湯器 い技術の開発など。 ・HPシステムを利用した衣類乾燥機 ●次世代省エネ型 ディスプレイ ・高機能化システムディスプレイ 次世代省エネ型ディスプレイ技術,および関連技術 ・高効率有機デバイス,高分子有機EL の開発。 ・省エネPDP,省エネLCD ●情報家電 空調,照明,ディスプレイ,通信機器等の情報家電 ・機器のエネルギー消費効率向上技術 そのものの省エネ化を進めるとともに,これらをネッ ・HEMS等の要素としての高度情報化対応技術 トワーク化して更なる省エネをはじめとする付加価 ・デジタル情報機器相互運用基盤開発 値を与える技術の開発。 ●次世代高速通信 ・半導体レーザの開発 ・光通信用合波回路機能光源モジュール 大容量・高速通信を低消費電力で実現するための ・フォトニックネットワーク技術 通信装置,ネットワーク関連技術等の開発。 ・次世代高速通信機器技術 ・超電導ネットワークデバイス ●次世代蓄電・蓄熱技術 住宅・ビルの換気・生活排水などから排出される熱 エネルギーを回収・蓄熱して利用する技術の開発。 ・排熱回収システム エネルギー蓄積密度が高く,安全で使いやすく,し ・蓄電・蓄熱システム(蓄電・蓄熱材料含む) かも充放電(熱)効率の高い蓄電材料,蓄熱材料お ・全熱交換システム よびシステムの開発。 ●次世代高効率照明 ・LED光源,有機EL光源 現在の蛍光灯を上回る発光効率を可能とする光 ・照明器具(高反射性,配光性,デザイン性) 源・機器とその製造技術,および白熱電球に代わる ・省エネ高演色性光源技術(白色LED/EL) 省エネ高演色性光源技術の開発。具体的には,白 ・蛍光材料,蓄光材料の開発 色LED,白色EL,蛍光灯の高効率化技術と製造方 ・クラスター発光光源,マイクロキャビティー光源 法,クラスター発光光源,マイクロキャビティー光源 ・照明制御,ゾーン・タスクアンビエント 等新技術の開発。 ・昼光・蓄光ハイブリッド ●介護支援システム ・介護ロボット・機器 今後急増する介護ロボットや,歩行支援機器,家庭 ・動力系(モータ等) 用エレベータ等の省電力化技術や,新たに必要と ・センサ・情報系 なるセンサや情報制御系の省エネ技術開発。 ・ホームエレベータ ●住宅・ビル躯体の省エネ (負荷低減) ・高度断熱・遮熱材(例:住宅用真空断熱材) ・高機能窓(採光,断熱,遮熱,スマートウィンドウ) 自然エネルギー活用も含めた住宅・ビル躯体(構造 ・高機能レイアウト(人/物の移動量削減等) 体,窓,断熱・遮熱材等)の省エネ技術開発。 ・木材活用型低環境負荷建築構造技術 ・革新的構造材料を利用した新構造システム建築物 ・室内空気質改善技術 ●クラスター型エネルギー マネージメントシステム 住宅・ビル等への高効率な冷暖房・給湯・調理・照 ・住宅・ビル・地域等での人の好みや行動パターンも 明等の効果的な組込み,及び当該技術の効果把 考慮した最適省エネ運用制御(HEMS,BEMS,CEMS 握,人の好みや行動パターンを用いた省エネ、予 等) 測手法や総合的な環境予測手法等の開発。さらに ・HEMS/BEMSと地域コジェネ,自然エネルギー・再生 バランスがとれた効率的な運用のため,最適化す エネルギー利用との有機的連携 る範囲を柔軟に拡大・縮小する技術や,従来は ・ゾーン・タスクアンビエント空調・照明 別々に開発されてきたHEMS,BEMSおよび地域コ ・ユビキタス・センサ・ネットワーク ジェネシステムなどが有機的に連携する仕組みづく ・BA/FA統合プラットフォーム技術 ・予測・評価手法(CAPD等) りの技術開発など。 ●社会システム技術 都市全体の構成や運用などの改善によるエネル ・環境調和省エネ都市プラン ギー消費の低減技術開発。 ・モーダルシフト ●都市エネルギー ネットワークシステム (分散型エネルギー等と需 要側熱電比のマッチング) ・電気(マイクログリッド) 街区等における熱利用・熱搬送の高効率化・低コス ・熱(オンライン,オフライン) ト化に係るインフラのシステム化技術,分散型電源 ・燃料(水素) を組み合わせた高効率熱電併給システム技術,工 ・温熱,冷熱貯蔵システム ・電力貯蔵 場排熱等の利用技術の開発。 ・分散型直流配電・利用システム ●高効率熱電併給システム 技術 エネルギー利用効率化ならびにCO2排出負荷を大 ・ガスタービンコージェネ 幅に低減させるため,家庭用コジェネシステムや数 ・ガスエンジンコージェネ MW級の発電システムなどの高効率化技術,排熱 ・燃料電池コージェネ 有効利用技術,コジェネ出力を都市部などで面的 ・都市普及型高効率ガスエンジン に利用する技術の開発。 ー エ ( ネ他 ル分 ギ野 関 供連 給 ) 重点技術課題 4-6 省エネ型情報生活空間創生技術(民生分野)のロードマップ(1/3) 技術分野 課題 個別技術 高効率ヒートポンプ給湯器 2006 2007 2008 2009 高効率圧縮機技術 2010 2015 高効率ヒートポンプ空調機 寒冷地対応ヒートポンプ技術 潜熱・顕熱分離空調(輻射空調) 低温駆動冷凍システム モニタリング併用型換気システム 高効率換気システム 高効率送風システム 次世代排熱回収換気システム 期間COP7以上 高効率ヒートポンプエアコン 高 効 率 ヒ 空調需要 ト ポ ン プ 高性能排熱回収・無排熱ヒートポンプ 換気排熱・屋内機高効率連携制御 複数HP内蔵屋内機高効率連携制御 超高性能ヒートポンプ 高性能ヒートポンプ セントラル型熱源機 排熱回収型ヒートポンプ CEMS連携最適制御 井水循環型ヒートポン プ 水冷媒冷凍機 汎用ダブルバンドルヒートポンプ 空気熱源ヒートポンプ給湯機 給湯需要 低外気温稼動ヒートポンプ給湯器 小型化 小型ヒートポンプ給湯器 冷蔵庫 ヒートポンプ床暖房 輻射パネル直膨式ヒートポンプ 洗濯乾燥機 高効率熱交換機給湯器 ヒートポンプ式洗濯乾燥機 冷凍・冷蔵システム 排熱回収ヒートポンプ給湯・暖房機 -25℃以下で稼動 住宅設備内機器蔵型ヒートポンプ給湯 蒸気供給 地中熱利用ヒートポンプ給湯・暖房機 瞬間型ヒートポンプ給湯器 食器洗い乾燥機・生ごみ処理機 BEMS・HEMS連携最適制御 排熱利用ヒートポンプ生ゴミ処理機 BEMS・HEMS連携最適制御 ヒートポンプ食洗機 ショーケース・空調一体型ヒートポンプ 空調・冷蔵統合熱利用 蒸気発生ヒートポンプ 蒸気発生ヒートポンプ 4-7 超小型ヒートポンプ給湯器 BEMS・HEMS連携最適制御 高効率排熱利用乾燥機 排熱利用冷蔵庫 冷蔵庫 空調・冷蔵統合的熱利用 BEMS・HEMS連携最適制御 躯体利用高効率輻射空調 ヒートポンプ式生ごみ処理機 その他熱利用家電 自己昇温型ケミカルヒートポンプ 空調排熱の利用 期間COP5以上 -20℃以下で稼動 水冷媒ヒートポンプ トライバンドルヒートポンプ ケミカルヒートポンプ 超高効率ヒートポンプ給湯器 寒冷地 洗濯乾燥機 熱利用家電 高効率輻射制御技術 ハイドレート冷凍機 膨張動力回収システム ケミカルヒートポンプ 床暖房・輻射空調 期間COP8以上 デシカントハイブリッドヒートポンプ 潜顕熱分離処理 換気排熱回収 換気排熱回収 高効率最適制御技術 ー 機 器 ・ 設 備 の 省 エ ネ 技 術 開 発 冷温熱源ネットワーク化 給湯/暖房ハイブリッドシステム 熱駆動ヒートポンプ機 個別分散型エアコン 2030 低環境負荷冷媒技術(自然冷媒性能向上) 高効率ヒートポンプ熱源機 次世代換気システム 2025 小型化による展開(高効率蓄熱材、マイクロコンプレッサー) 高効率熱交換器技術 高効率ヒートポンプ 2020 膨張動力回収技術 空調・冷蔵・給湯統合熱利用 ヒートポンプスチームコンベクションオーブン 省エネ型情報生活空間創生技術(民生分野)のロードマップ(2/3) 技術分野 課題 個別技術 ヒートポンプの高度有効利用 次 世 代 蓄 電 ・ 蓄 熱 技 術 蓄熱高効率制御技術 2006 2007 2008 2009 2010 利用形態にあわせたヒートポンプの高効率利用技術 高度モデル化技術応用 2015 2020 高温ヒートポンプ(蒸気発生) シミュレーション予測技術応用 2025 2030 次世代ヒートポンプ制御技術 予測型高度統合蓄熱制御 未利用エネルギー(太陽熱、地熱)利用 カスケード型蓄熱利用技術 浴室の廃熱回収 革新的エネルギー利用技術 蓄熱槽効率向上 水・氷蓄熱の高度化 蓄熱材開発 クロスオーバーシーズナル蓄熱システム 小規模蓄熱システム 蓄・放熱制御システム・室温平滑化空調システム 躯体蓄熱 次世代蓄熱システム 生活排水の廃熱回収 スラリー蓄熱システム 多温度帯利用蓄熱システ 真空断熱蓄熱槽 カプセル・ケミカル蓄熱材 蓄熱槽効率向上 アクティブ蓄熱槽 基礎・構造蓄熱 蒸発潜熱利用蓄熱槽 蒸発潜熱蓄熱材 ケミカル蓄熱の外気遮断等による長期間蓄熱 真空断熱多温度利用蓄熱槽 熱電併給システムの排熱利用技術 最適化技術 空調熱源、空調システム全体最適化技術 熱電併給システム排熱利用技術 (数理計画法等応用最適化) 熱源システムCOP (補機総合 ) 高温排熱利用技術 (定置型SOFC等の総合効率向上) 空調全体システムCO P 建物全体エネルギーCOP (ビルパフォーマンス) 換気併用空調システム 映像用高効率放電方式(高効率蛍光材料) 省エネPDP 次世代省エネ型ディスプレイ 高効率PDPパネル (発光効率>10 lm/W@2030年) 高効率白色光源 (発光効率>10 lm/W@2030年) 省エネLCD 高透過率パネル LED・ELディスプレイ 機 器 ・ 設 備 の 省 エ ネ 技 術 開 発 情報家電 相互運用基盤 デバイスの高効率化(素子、発光材料、薄膜技術) IP対応通信標準化 サービス 次世代高速通信 WEB2.0型省エネルギーサービス連携 HEMS・BEMSサービス連携 CEMSサービス連携 高効率半導体レーザ 伝送 超長距離低消費電力伝送(高効率EDFA) LAN/SANノードの省電力(センサノードの省電力化) ノードの省電力化 超低消費電力半導体 RFタグ連携 WEB2.0対応情報家電 機器間接続/高速有無線連携 超低消費電力システムLSI コアノードの省電力化(LowPower光スイッ ) エッジノードの省電力化(アダプティブパワー制御、フレキシブルノード) 12.4(mW) 4.2(mW) 自然環境導入省エネ設備開発 自然エネルギー利用技術 複雑なカスケード利用システムの最適化 未利用エネルギーの電力変換 自然エネルギー、未利用エネルギー利用技術 超電導ネットワークデバイス 微細化・高集積化技術によるチップ機能あたりの消費電力(mW/百万トランジスタ) 0.42(mW) 自然の仕組みを用いた設備の無動力化および空調・冷蔵負荷 光触媒を用いた環境改善設備開発 高度モデル化技術応用 数理計画法等応用最適化 予測型高度統合最適制御 熱電変換技術 磁歪変換技術 圧電変換技術 バイオ光変換技術 太陽電池(多接合薄膜化合 物、多接合薄膜シリコン、超 薄型結晶シリコン、ヘテロ接 太陽電池(薄型シリコン、ハイブリッド) 太陽電池(化合物系、薄膜シリコン、バルク結晶シリコン) 太陽光・太陽熱 エネルギーインフ ラや建物付帯設備 の技術変革に対 応した、新しい省 エネ制御 太陽熱コレクター(カスケード型蓄熱利用システム、ヒートポンプとの融合) 地中熱利用ヒートポンプシステム 地熱 地熱利用システム 地熱のカスケード型蓄熱利用システムとの連携 家庭用バイオマス発電 バイオマス 高効率蛍光灯 熱損失低減技術 (発光効率>150 lm/W@2030年) 高効率無水銀蛍光灯 高効率蛍光材料 高効率LED照明 高効率LED素子 (発光効率>150 lm/W@2030年) 白色LED用蛍光材料(高効率近紫外励起蛍光材料) 次世代高効率照明 有機EL照明 高輝度白色EL (発光効率>100 lm/W@2030年) 高効率高演色白色光源(マイクロキャビティ、クラスター発光) 次世代照明 介護ロボット・介護機器 介護支援システム 蓄光技術、燐光材料 高効率アクチュエータ 高効率蓄電技術 高効率ホームエレベータ 家庭用エレベータ 4-8 省エネ型情報生活空間創生技術(民生分野)のロードマップ(3/3) 技術分野 課題 住 宅 ・ ビ ル 躯 体 の 省 エ ネ 個別技術 断熱・遮熱 パッシブ・アク ティブ融合建 築 外断熱、低熱伝導率断熱材、断熱工法、低熱 貫流率窓ガラス 2006 2007 2008 性能の確立 2009 VOC吸着建材、調湿建材 気密 高気密窓、室内空気質改善技術、高効率換 気技術 日射遮蔽 ペアガラス/庇、ブラインド、ローイーガラス、 調光ガラス 性能の確立 低コスト技術 自然通風、自然光利用技術 性能の確立 低コスト技術 屋上緑化・屋上散水、壁面緑化工法、打ち水 効果、水の有効利用 性能の確立 低コスト技術 自然エネルギー ヒートアイランド対策 BA/FA統合プラットフォーム 空調システムの統合 オートメーションインフラ規格統一 統合コンセプト HEMSのネットワーク化/BEMS統合 2020 2025 プラットフォーム統合 HEMSネットワーク 次世代エコデザインの 開発普及 次世代BEMS超省エネ 統合化・フレキシブルBEMS 接続標準化 ヒートポンプ空調のBEMS統合 2015 スマートウィンドウ(採光と低熱貫流,高気密の両立) 熱(顕熱,潜熱)交換換気システム 高効率化・省電力化BEMS BEMS形態 2010 低コスト技術 (注)BA:Building Automation、FA:Factory Automation 統合制御技術 次世代ビルマルチのBEMS一体開発 BEMS統合 統合化 複数主体連携技術 ク ラ ス タ ー 型 エ ネ ル ギ センサネットワーク・端末インテリジェント化 BEMSの省電力化 都市エネルギーネットワーク技術 BEMS機器のワイヤレス化 LEN TEMS 社会デザイン技術の研究・応用 インテリジェントBEMS端末開発 BEMS省電力化 (省電力アクチュエータを含 分散型BEMS(独立/連携制御) センサーネットワーク応用技術 100Mb/s ワイヤレス通信の高速化・大容量化 ICT技術応用(ワイヤレス・ユビキタス化) 成熟社会型CEMS CEMSオペレーション開発 ZigBee 500Mb/s 1Gb/s オールワイヤレスBEMS 端末ワイヤレスBEMS ユビキタスBEMS ー ・ マ ネ BEMS端末(センサー・アクチュエータ)のイン テリジェント化、省電力化 統合化CEMS CEMSコンセプト センサーネットワーク技術のBEMS応用 ー 建 物 ・ 生 活 環 境 の 省 エ ネ 技 術 開 発 連携型エネルギーマネジメント技術 (民生家庭・業務と産業の連携、地域の連携) 地冷、分散エネルギー、創エネのネットワーク 化技術 複数主体が連携するための”ヒトとモノとコト” の関係性技術 遠隔型BEMS技術 ジ メ ン ト ・ シ ス テ ム サービス型BEMS エネルギー管理 (事前評価技術を含む) 遠隔最適オペレーション技術 地冷∼需要家連携制御技術 熱デマンド制御技術 熱のデマンドサイドマネジメント エネルギー管理目標値(原単位)設定技術 需要予測 性能評価技術 施設原単位規格化 需要予測に基づく熱電併給システムの最適運転制御 需要予測に基づく蓄熱・蓄電の最適制御 需要予測に基づく情報家電の最適制御(運転時間の最適化) 管理・評価 技術 機器連携(ハイブリッド化)管理制御 生活価値向上マネジメント ヒートポンプ利用安全社会技術 換気空調・日射・開口部制御 自然通風併用ハイブリッド換気 ライフスタイル連動制御 人の動き(動線)対応技術 ヒートポンプ融雪システム ヒートポンプロードヒーティン グ 削減量評価 省エネ評価(ESCO・ESP規格) (エネルギー削減、CO2削減評価手 CO2評価(アジアでの評価基準) 法) 都市・建築のコンパクト化(社会システム技術) インテリジェント負荷平準化技術 アクティブ可動日射制御 既存建築物のコンパクト化技術 M&V技術 (省エネ手法と評価の規格 CO2削減評価手法の規格化 次世代スマートグロース研究 開口部採光制御 個人の好み(嗜好)対応技術 ヒートポンプ融雪システム 地中熱利用ヒートポンプ融雪システム 国際標準対応 アジアでの拡大規格 コンパクト化実現技術開発 4-9 運輸分野との連携技術開発 自然エネ発電統合自立型 ヒートポンプロードヒーティング 2030 先進交通社会確立技術の技術戦略マップ Ⅰ 基本的考え方 現在、自動車燃費の改善や物流部門の効率化などの省エネ対策は取組が進んできているもの の、運輸部門の大幅なエネルギー消費量の削減は思うように進んでいない。自家用乗用車およ び貨物自動車のエネルギー消費量は運輸部門の消費量の84%を占めることから、先進交通社 会の確立に向けた最重要課題は、自動車によるエネルギー使用を削減するための技術開発であ ると考えられる。 自動車会社が抱えている環境・エネルギー問題を解決し、かつ車の機能を拡大するには自動 車を電動化し小型化することが唯一の手段である。このため、先進的な自動車技術として電気 自動車や燃料電池自動車、ハイブリッド車等の自動車電動化の技術開発を進めるが、これらの 価格や技術レベル面での課題を考慮すると内燃機関(あるいはエンジン)の一層の低燃費化、 また双方につながる技術として車体軽量化・低摩擦部材の高度化を進めることも必要である。 また、ITS(Intelligent Transport Systems)を活用することによって、エネルギー消費量 の削減に資することが期待されている。こうした観点から、交通需要の適正化、交通情報提供 の高度化およびこれらに資するプラットフォーム構築に向けた取り組みが必要である。 更には、乗用車から公共交通への移行や、トラックから他の物流システムへの転換を促進す るために、バイモーダルシステムを確立していくための技術開発を進める。具体的には、超小 型車両による共同利用システム、市街地内での荷捌きを行う小型貨物電気自動車などの開発が 必要である。 Ⅱ 導入シナリオ 1.先進自動車として、従来型の車体軽量化・低摩擦部材の高度化に加え、ハイブリッド車、 電気自動車及び燃料電池車の一層の開発を推進し、長期的には、これらを自動車の主流に する必要がある一方、これらの価格や技術レベル面での課題を考慮すると内燃機関(あるい はエンジン)の一層の低燃費化を並行して推進する必要がある。 2.ハイブリッド車は、主要な移動・輸送手段として、また石油系燃料及び代替燃料に対応し た低燃費、長距離輸送車として導入が進む。電気自動車は、石油節約効果、CO2 削減効果 が大きく、都市内等の限定用途車として導入が進み、蓄電システムの高性能化に伴いその 用途が広がる。燃料電池車は水素エネルギー社会における輸送手段として、燃料電池及び 蓄電システムの低コスト化、水素燃料のインフラ整備に伴い 2020 年には市場展開、2030 年には本格的な普及が始まる。 3.先進自動車の開発と並行して、ITS の導入による交通の円滑化により省エネルギー化を実 現する必要がある。具体的には、発生した交通を処理するだけではなく、需要の適正化や 物流の効率化を推進し、エネルギー消費量の削減に資する総合的な取り組みを行う必要が ある。 4.自動車の低燃費化を進めると同時に、今後はマストランジットへの転換や他の物流システ ムへの転換を行うことが重要である。大都市圏では公共交通システムの利用が進んでいる が、地方主要都市部では公共交通システムへの依存度が小さく、更に減少傾向にある。既 存の中量輸送システムに代る廉価でサービス性に優れた新しい交通システムの実用化が必 要である。 5-1 Ⅲ 技術マップ及びロードマップ 1.技術マップ 燃料消費の低減を目的として、低燃料走行を実現する技術として、現在研究開発を実施し ている低燃費車や、交通を円滑化する技術として ITS を選択した。また、走行量の低減を実 現する技術として、自動車から公共交通への人流モーダルシフトとトラックから鉄道・船舶 への物流モーダルシフトに関する技術を選択し技術マップを作成した。 2.重要技術の考え方 燃費削減ポテンシャル、コスト面等から検討を加え、重要技術を選定し、技術マップ中で 明示した。 ①燃費削減ポテンシャル 当該技術の適用により燃費削減の可能量が大きな技術。 ②コスト・実現性 現状の概算コストや技術レベルを踏まえ、2030 年までに技術が確立し、車両に搭載可能 かを評価。 選定した重要技術の概要は以下のようである。 (1)先進自動車技術 エンジンで走行する自動車の熱効率は高負荷で高く、低負荷で低い特色を持つ。自動 車用エンジンの熱効率改善は低負荷が重要である。そのため、部分負荷の熱効率の改善 として、予混合圧縮自己着火(HCCI)、乗用車のディーゼル化、気筒停止(可変気筒)、 可変圧縮比に関する技術が重要である。 さらに、高負荷から低負荷まで高効率運転が可能な電気自動車(EV)、ハイブリッド車 (HEV、プラグイン HEV) 、燃料電池車(FCV)の開発が重要である。特に EV およびプラ グイン HEV は蓄電技術との関連が強く、これらの開発が実用化の要となる。さらに FCV は車両技術のみならず,燃料エネルギー多様化の切り札である水素の貯蔵・搭載技術の 開発を併せて進める必要がある。 (2)ITS 円滑な交通の流れには、自車両の位置を正確に把握するための自車両位置検知技術、 交通情報を把握するための路側検知技術、道路、車両の情報を伝達するための路車間及 び車車間通信技術、最適経路を適切にドライバーに伝えるための技術などが重要である。 (3)バイモーダルシステム 乗用車から公共交通への移行を促進する人流バイモーダルシステムと、トラックから 他の物流への移行を促進する物流バイモーダルシステムが必要となる。人流バイモーダ ルシステムでは、自動車との混在交通において、路面電車のように軌道走行とバスのよ うに一般道路走行の併用走行を可能とするシステムや市街地中心や住宅地をきめ細かく 巡回するオンデマンド型コミュニティ EV バスや超小型車両による共同利用システムが 重要である。 これらの実現には高性能で長寿命の蓄電装置や高出力インホイールモータ技術が必要 である。 また、物流バイモーダルシステムでは市街地内での荷捌きを行う EV 小型貨物車の技術 が重要である。 3.ロードマップ 技術マップで提示された課題の中から重要な技術項目を選び、技術開発の時期、普及時期 を示した。 5-2 先進交通社会確立技術の導入シナリオ 2005 2010 2020 2030 エネルギー消費効率改善 30% 新・国家エネルギー戦略 国 内 外 の 背 景 京都議定書 第一約束期間(∼2012) 石油依存度 40% 運輸部門石油依存度 現状の98%から80%へ 将来枠組み ポスト京都(2013∼) 原油価格は高水準で推移する見込み GTL、バイオエタノール燃料が普及する見込み 用途限定電気自動車 乗 用 ・ 軽 量 貨 物 ・ 路 線 バ ス 本格的電気自動車 燃料電池車 ハイブリッド車の高度化・車種拡大・価格低下 プラグインハイブリッド車 個 車 技 術 大 型 貨 物 ・ 長 距 離 バ ス 低負荷対応性能の改善 低負荷対応性能改善 ハイブリッド化 燃料電池車 軽量化・低摩擦部材 高性能蓄電システム 共 通 代替液体燃料対応 内燃エンジンの高度化 (可変気筒、圧縮比向上、予混合自己着火) 高効率内燃エンジンの普及 日本版バイモーダルカー、LRTの実用化、普及 利 用 技 術 ・ 公 共 利 用 技 術 施 策 ・ 規 制 緩 和 コミュニティEVバスの実用化、普及 (EV)共同利用システム ITS ドライバー中心の運転支援 ITS システムによる個別最適化 ITS システムによる全体最適化 ICタグ等を利用したインテリジェント集配システム 特定先進企業で活用が進む 共同集配・運送システム 不急輸送と鉄道・船舶併用なども 関連法規の新技術対応 1)安全確保のための規準強化 2)補完技術と併せた規制緩和 事業免許等の柔軟措置 1)総合ITSへの協力レベルで差別化 2)共同利用EV車の保有主体へのインセンティブ 3)不急輸送への(免税)恩典付与 5-3 先進交通社会確立技術の技術マップ 大項目 走行に要する燃料 消費低減 先進自動車の開発 中項目 部分負荷の効率向上 全領域の効率向上 低燃料 走行 安全性を確保した車体の軽量化 走行方法改善による 燃料消費低減 (ITS) 燃 料 消 費 の 低 減 効率的な走行の実施 省エネ運転の促進 交通流の円滑化 道路の有効利用 ボトルネックの改善 情報技術の改善 人と物の移動量を維 持しての走行量低減 自動車から公共交通への 移動手段のシフト 中量公共輸送システムへのシフト 少量公共輸送システムへのシフト パーソナルから共同利用へのシフト トラックからの他の輸送手 段へのシフト 走行量 の低減 都市内輸送の非自動車化 鉄道・船舶輸送時間の短縮 結節点の効率化 社会システム効率化 人と物の移動量適 正化による走行量低 減 交通需要の適正化 パーキング政策 需要管理 輸送・移動の不要化 移動と通信の置き換え 土地利用、都市計画 5-4 先進交通社会確立技術の技術マップ 大項目 走行に要 する燃料 消費低減 中項目 部分負荷の効率向上 小項目 エンジンの高度化 先進自動車の開発 要素技術 エンジンの希薄燃焼化促進(HCCIなど) 気筒停止(可変気筒) ガソリンエンジンの可変圧縮(膨張)比 アイドリングストップ 乗用車のディーゼル化 ・後処理技術の高度化 ・合成燃料(Ex. GTL)の利用 全領域の効率向上 ガソリンエンジンの高圧縮比化 エンジンの摩擦損失低減 動力伝達効率の向上 CVTなどの伝達効率改善 電動化 ハイブリッドおよび電動駆動システム 蓄積装置の高度化 ・高性能Liイオン電池 ・キャパシタ 廃エネルギーの回生(回収) 給電技術(非接触集電システム) 充電制御の高度化 燃料電池システム化 低燃料 走行 安全性を確保した車 体の軽量化 走行方法 改善による 燃料消費 低減 (ITS) 電気配線軽量化 配線のLAN化(多重化) 半導体リレー化 配線細径化 軽量車体材料の開発 高強度、高硬度、軽量、高靭性、耐衝撃性材料 ・鉄(超微細粒鋼板等) ・アルミ合金 ・マグネシウム合金 ・傾斜機能部材 ・ポーラス金属 ・ガラス代替プラスチック材料 効率的な走行の実施 省エネ運転の促進 走行支援 経路誘導での迷走・誤走の防止 エコノミ走行支援 信号同期速度制御 追従走行での空気抵抗低減 交通流の円滑化 道路の有効利用 交通の制御 交通情報提供の充実 交通管制の高度化 車線利用の最適化 動的道路交通情報システム 事故渋滞の低減 事故の低減 ・市街地運転支援 ・高速道路運転支援 ・道路環境情報提供システム 交通流密度の増大 車両誘導システム 道路予約システム 動的経路誘導 経路配分誘導 追従車群走行 超小型車 料金徴収方法の改善 車両IDシステム 自動料金徴収 交差点の改良 交差点高知能化 駐車場の改良 自動パーキングとそのための無人運転システム サグでの減速防止 定速走行装置 知的クルーズ制御 センシング・通信技術 路車・車車協調センシング技術 自車両位置検知技術 狭域路車間通信技術 車車間通信技術 ボトルネックの改善 燃 料 消 費 の 低 減 固体高分子型燃料電池 (高性能、長寿命、高信頼性、低コスト化) オンボード水素貯蔵技術の高度化 情報技術の改善 5-5 高効率 エンジンシステム パラレルHEV シリーズHEV シリーズ・パラレルHEV EV プラグインHEV FCV 大項目 自動車から公共交通 への移動手段のシフト (輸送効率の向上) (定時性の確保) (利便性向上) (乗り心地の向上) 中項目 中量公共輸送システ ムへのシフト 小項目 バスのインテリジェント化 要素技術 優先信号システムの高度化 バスロケシステムの高度化 路面電車のバリアフリー化 路面電車の低床化(LRT) バイモーダルなシステム (電車とバス機能を融合したゴム タイヤLRT) 連結・開放の自動化 ・自動連結器 動力の電動化 ・燃料電池ハイブリッド技術 ・内燃機関ハイブリッド技術 (エンジンの静粛化技術) ・インホイールモータ技術 (ギヤレスアウタロータ化) (高トルク化) ・長寿命蓄電装置 (電気2重層キャパシタ) (リチュウムイオン電池) 人と物の 移動量を 維持しての 走行量低 減 混在交通での車線誘導化 ・同轍制御アルゴリズ ・後輪固定化技術 ・故障時安全装置 ・非接触誘導技術 (電波タグ装置) (白線認識装置) 導入効果予測 ・シミュレーションソフト 少量公共輸送システ ムへのシフト コミュニティEVバス 駅充電システム ・非接触集電装置 ・急速蓄電装置 オンデマンドの高度化 ・経路誘導の高度化 パーソナルから共同 利用へのシフト 共同利用EVシステム 小型一人用車両 ・安全車体技術 ・保安基準見なおし システムの高度化 ・車両自動返却技術 ・車両管理技術 トラックからの他の輸 送手段へのシフト (利便性向上) (リードタイム短縮) (安定運行) 走行量 の低減 都市内輸送の非自動 車化 鉄道・船舶輸送時間 の短縮 自動車によらない配送(台車、ア シスト式電動自転車等の利用) 搬送機器の高度化・電動化 ・蓄電装置 地下鉄等を利用した都市内配送 網 貨物運搬が可能な鉄道車両 ・荷物の固定技術 運行システムの最適化 船舶の知能化 ・衝突・座礁回避システム ・高度海象情報システム 航行支援の高度化 ・安全管理技術 荷役時間の短縮化 RORO船などの荷役に対応したバース (複数ランプウェイ) ・バースの可動技術 ・搬送装置 結節点の効率化 輸出入コンテナのトレーラ輸送の 効率化 オンデマンドシステム 社会システム効率化 インフラ整備 システム体系の構築 インテリジェント集配システム ・ICタグ ・標準化集配制御ソフト 導入効果予測 ・シミュレーションソフト 人と物の 移動量適 正化による 走行量低 減 交通需要の適正化 輸送・移動の不要化 パーキング政策 需要管理 ロードプライシング 移動と通信の置き換 TV会議 土地利用、都市計画 職住近接複合都市 5-6 先進交通社会確立技術のロードマップ 2005 ■高効率エンジンシステム (部分負荷の効率向上) 2010 2020 燃焼制御法確立 実用化開始 HCCI 気筒停止(可変気筒) ガソリンエンジンの可変圧縮(膨張)比 2030 普及拡大 車種拡大拡販 機構改良、車種拡大拡販 機構開発 実用化開始 アイドリングストップ 普及拡大 車種拡大拡販 先 排出ガスのクリーン化 乗用車のクリーンディーゼルエンジン化 進 自 ■EVファミリー Liイオン電池,キャパシタ技術改良 動 電力貯蔵システム 車 の HEV 開 発 プラグインHEV 車種拡大拡販 Liイオン電池,キャパシタ利用技術拡大 車種拡大,拡販,機構改良,蓄電装置の高性能化,ダウンサイジング化 高性能電池の利用 EVの限定用途 EV EVの普及拡大へ スタック,補機の高度化,高信頼性,低コスト化,実証試験の拡大 FCV FCVの普及拡大へ ■安全性を確保した車体の軽量化 電気配線軽量化 多重化、半導体化 軽量車体材料の開発 鉄、Al合金、ポーラス金属 Mg合金、傾斜機能部材 軽量・安全自動車の普及 全体的進展 ドライバー中心の運転支援 システムによる個別最適化 システムによる全体最適化 ■省エネ運転の促進 走行支援 ナビゲーションシステム 信号同期速度制御 普及拡大 エコノミー走行支援 追従走行での空気抵抗低減 ■道路の有効利用 車線利用の最適化 動的道路交通情報 交通の制御 I T S 普及拡大 追従車群走行 普及拡大 動的経路誘導 経路配分誘導 超小型車(安全効率制御) 交通流密度の増大 ■ボトルネックの改善 交差点高知能化 普及拡大 交差点の改良 知的クルーズ制御 サグでの減速防止 普及拡大 ■情報技術の改善 路車・車車協調センシング技術 自車両位置検出技術 普及拡大 狭域路車間通信技術 車車間通信技術 センシング・通信技術 ■バイモーダルシステム 動力の電動化 インホイールモータの開発 公 共 車線誘導技術 交 通 へ ■コミュニティEVバス の 移 小型EVバス 動 手 段 デマンドシステム の シ フ ■共同利用EVシステム ト 蓄電装置の長寿命化開発 内燃機関ハイブリッドシステムの実用化・普及 車両による実証実験 燃料電池ハイブリッドシステムの実用化・普及 車線誘導方式の検討・開発 車両開発 実用化・普及 非接触集電装置の開発 車両による実証実験 経路誘導の高度化 EV車両開発 社会運用実験 実用化・普及 共同利用システムの開発(回収の自動化等) ■運行システムの最適化 ッ ト ラ 衝突・座礁回避システム、高度海象情報システム 船舶の知能化 ク 航行支援の高度化 か ら 他 ■輸出入コンテナのトレーラ輸送の効率化 の 輸 オンデマンドシステム 送 手 段 ■システム体系の構築 へ インテルジェント集配システム の ル シ フ 導入効果予測 ト 安全管理技術 経路誘導の高度化 汎用標準化配送システム(ICタグの高度利用) シミュレーションソフト 5-7 次世代省エネデバイス技術の技術戦略マップ Ⅰ.基本的な考え方 現代社会は、半導体シリコン(Si)を中核とするエレクトロニクスに支えられており、そ の省エネ化は重要な課題である。また、省エネという視点からは、Si を中心とする従来のデ バイスの省エネ化に加え、さらなる高性能デバイスの実現も要請されている。例えば、SiC 等のワイドバンドギャップ半導体を用いたデバイスの通電状態でのオン抵抗値は、原理的に は従来の Si 半導体と比較して、約2桁以上低くなり、結果として電力損失が大幅に削減され ることから、大きな省エネ効果が期待される。 次世代省エネデバイス全般について、 (1)省エネを目的とする技術開発、 (2)省エネ効果 量が大きい技術、 (3)将来、需要が急拡大すると予想され、省エネを進めるべき技術の 3 つ の視点からデバイス技術を整理し、家電機器から産業、運輸分野におけるパワーデバイス技 術、LSI に代表される、広く世の中で用いられている電子デバイスの省エネ化技術、情報通 信及び情報家電分野における高周波デバイス技術、光化デバイス技術及び省エネ分野にパラ ダイムシフトを生む可能性のある未来デバイス技術を省エネルギーの重要課題として抽出し た。 中でも、パワーデバイスについては、民生部門から産業、運輸部門まで広範囲に用いられ るものであり、高効率化のニーズが高い。このため、SiC、GaN、ダイヤモンド等のパワーデ バイスに係る技術開発を推進していくことが重要であるため、今回、まずはパワーデバイス についての技術マップ等を作成した。今後に残された課題として、電子デバイスの省エネ化 技術、光化デバイス技術、未来デバイス技術等がある(参考資料参照) 。 Ⅱ.導入シナリオ 1.次世代省エネデバイスに関する標準化を進める。 2.LSI 省エネ技術、Si 素子技術(IGBT、超接合素子) 、SiC 素子技術(低オン抵抗/大容量 化)GaN 素子技術(ノーマリーオフ、低オン抵抗、大容量化) 、ダイヤモンド素子技術に ついての研究開発を進めて、その製品分野における早期実用化・普及を図る。 3.高品質 SiC 基板メーカーの早期育成と同時に SiC、GaN 用量産装置の開発を図る。欧州に おける EMI 規制により SBD の市場が拡大し、SiC 基板のコスト低減と品質向上を図る。 また、省エネ家電/新エネ関係の支援により、小容量 SiC、GaN 素子の市場を拡大するこ とにより、基板のさらなるコスト低減と品質向上により産業応用への展開を図る。 Ⅲ.技術マップ及びロードマップ 1.技術マップ 次世代省エネデバイスについて幅広く検討し、SiLSI 関係、Si パワーデバイス、SiC パワーデバイス、GaN パワーデバイス、ダイヤモンドパワーデバイスについての技術マ ップを作成した。 6-1 2.重要技術の考え方 各デバイスにおいて、デバイスを実現するために鍵となる技術を重要技術として取り 上げた。 選定された重要技術は以下の通りである。 ① Si パワーデバイス技術 ①-1 シミュレーション技術 ①-2 製造プロセス技術(ウェーハ口径、微細加工、SJ 形成、薄ウェーハ) ①-3 デバイス技術 ①-4 実装技術(電流密度、高温、実装形態) ①-5 制御・回路技術 ①-6 デバイス特性(MOSFET(60V) 、MOSFET(600V) 、MOSFET(1200V) 、IGBT(300V∼8kV) ) プロセス/デバイス技術を統合したシミュレーション技術や高耐圧デバイス用のデバ イスシミュレーターが必要になる。製造プロセス技術では、低コスト化のためにウェー ハ口径の拡大や、微細加工技術は、重要な技術であるが、微細 LSI 技術の進歩が先に進 むので問題ないと思う。 超接合デバイスでは、 微細な P 層 N 層を形成する技術の開発や、 IGBT 用に薄ウェーハの開発が重要となる。デバイス技術では、超接合デバイス、IGBT を超えるデバイスの出現が待たれる。実装技術、制御・回路技術は、パワーデバイスに 共通した問題であり、特に、小型化によるパワー密度の増加がトレンドであり、高温で 使用に耐える実装技術の開発が急務となっている。制御・回路技術では、ソフトスイッ チング技術やマトリックスコンバーター技術の開発が重要となる。 ② SiC パワーデバイス技術 ②-1 ウェーハ(ウェーハ口径、ウェーハ転位密度) ②-2 プロセス,実装(注入面チャネル移動度、酸化膜信頼性、実装) ②-3 デバイス特性(SBD、JFET/SIT、MOSFET、MOSFET(超接合) 、IGBT) ②-4 素子定格(製品) (SBD、JFET/SIT、MOSFET、MOSFET(超接合) 、IGBT) ②-5 応用分野 ウェーハ口径の拡大と品質の向上が急務である。特に、品質は、マイクロパイプ欠陥 は減少してきたが、転位欠陥は、数万個/cm2 程度であり、劇的な減少が急務である。プ ロセス技術では、ノーマリーオフ型の SiC MOSFET の実現のために注入面でのチャネル移 動度やゲート酸化膜の長期信頼性寿命の向上が重要である。デバイス技術においては、 整流素子として SBD が市販されスイッチイング電源に使われ始めている。また、スイッ チング素子として JFET/SIT がサンプル出荷されているが、ノーマリーオン型であり、ノ ーマリーオフにするために工夫が必要であり、SiC の能力を出し切れないでいる。SiC 市場を拡大するために、ノーマリーオフ型の MOSFET の実現が重要である。 6-2 ③ GaN パワーデバイス技術 ③-1 GaN 系ヘテロエピ成長 ・GaN / sapphire or Si 基板 ・GaN / SiC 基板 転位密度(Dislocation Density) ・GaN / sapphire or Si 基板 ③-2 GaN デバイス ・ショットキーダイオード ・スイッチング 用 HFET オン抵抗/耐圧(製品) ・定格電圧・電流(製品) ・GaN 系高周波用 HFET ③-3 GaN 系デバイス応用分野 低コスト化のために、Si 基板上の GaN-SBD、GaN-HFET デバイスの開発が重要である。 通電状態でのコラプス問題(抵抗増加問題)を解決する必要があるが、整流素子は、SBD のサンプル出荷が始まった。また、現在は、耐圧 600V 系を中心に開発が進められている が、市場を拡大するには、耐圧の向上も必要と考えられる。 ④ ダイヤモンドパワーデバイス技術 ④-1 ダイヤモンドウェーハ ・大口径化 ・エピ成長(低欠陥化(転移密度) 、高速成長、高品質(絶縁破壊電界) ) ④-2 プロセス・デバイス化 ・PN 接合、N 型オーミック接触抵抗、動作温度、MIS 界面、信頼性 ④-3 ダイヤモンドデバイス ・ショットキーダイオード、スイッチングデバイス、真空デバイス ④-4 ダイヤモンドデバイス応用分野 結晶の大口径化と PN 接合、N 型オーミック接触抵抗等のデバイス素子化のための要素 技術の開発が急務であり、 目処がつく 2015 年頃から本格的なデバイスの開発が進むと思 われる。 3.ロードマップ 技術マップから選定した上記重要技術について、中長期的視点から検討して、マイルス トーンを設定した。 6-3 次世代省エネデバイス技術 技術マップ (参考資料) 次世代省エネデバイス技術のターゲットとその考え方 1.省エネを目的とする技術 2.省エネ効果量が大きい技術 3.将来、需要が急拡大すると予想され、省エネを進めるべき技術 省エネを目的とする技術開発 大 項 目 パワーデバイス 高周波デバイス デバイス技術 光化技術 通信技術 情報家電 支援技術 その他 小 項 目 Siパワーデバイス SiCパワーデバイス GaNパワーデバイス ダイヤモンドパワーデバイス ◎:最重要、○:重要、△:有効、 -:不明 将来、エネルギー需要の急拡大が 予想され、省エネ技術開発を要す ◎:大、○:中、△:小、-:不明 る項目 省エネ効果量(グロス) 備 考 ◎ ◎ ◎ 最重要課題として検討する。 ○ ○ ○ 重要課題として今後検討する必要がある。 通信技術分野の重要要素技術である。 △ ○ ○ △ ○ ○ ストレージ・メモリの超高機能化技術、 光化技術 ○ ○ ○ コンピュータの本体、周辺への高機能 光技術の導入 △ ○ ○ 光スイッチ技術 (ネットワークからコンピュータ本体まで) - ○ ○ ユビキタス対応の無線等物理的制約を受 けない高度通信機能、移動体通信 - ○ ○ 高周波デバイスと密接に関連する 情報家電対応 (配電、電源、ネットワーク、情報通信、運用) - ○ ◎ 重要課題として今後検討する必要がある。 歩留まり向上技術 工場運営技術 ○ ○ ○ 重要課題として今後検討する必要がある。 知覚インターフェース (画像処理、音声認識) - △ - ディスプレイ用デバイス (有機EL、有機半導体) ○ ○ ○ - - - - - - InPデバイス GaNデバイス LSI等デバイスの微細化技術 SoC(System on Chip) 実装技術 混載技術 重要課題として今後検討する必要がある。 重要課題として今後検討する必要がある。 重要課題であり、生活空間で検討した。 センサ技術 未来デバイス (ナノ応用、有機半導体、超伝導、光制御、光メモリ) 6-4 省エネ分野にパラダイムシフトを生む可能性のある技術 次世代省エネデバイス技術の導入シナリオ 2005 国 内 外 の 背 景 国際 対応 2020 2010 2030 エネルギー消費効率改善 30% 新・国家エネルギー戦略 京都議定書 第一約束期間(~2012) 石油依存度 40% 将来枠組み (ポスト京都) (2013~) 高温測定/信頼性/ SiC基板標準化 LSI省エネ技術 Siパワーデバイス(情報機器、家電、分散電源、産業機器、大電力機器) 研 究 開 発 SiCパワーデバイス 情報機器(整流素子) 家電、分散電源(PV,燃料電池)、産業機器/HEV/EV 配電系機器 (スイッチング素子) 情報機器(整流素子) GaNパワーデバイス 家電、産業機器、無線基地局 車載レーダ等 (スイッチング素子) ダイヤモンドパワーデバイス 情報機器~配電系機器 導 入 促 進 ・ 関 連 施 策 SiC/GaN基板メーカー:高品質/大口径化/低コスト化 SiC/GaN素子量産製造装置 整流素子(SBD) 量産開始 EUのEMI規制 スイッチング素子 (JFET/MOSFET) 量産開始 素子量産拡大 省エネ家電普及支援/ 新エネ支援 6-5 次世代省エネデバイス技術の技術マップ Siパワーデバイス SiCパワーデバイス GaN系パワーデバイス SiC結晶成長技術 ・バルクウェーハ(口径、転位密度) ・エピ成長 (スループット、エピ欠陥、 膜厚・ドーピング均一性、ライフタイム) デ バ イ ス 作 製 基 盤 技 術 ダイヤモンドパワーデバイス GaN系結晶成長技術 1. バルクウェーハ(口径、転位密度) 2. エピ成長 GaN/GaN基板 3. GaN系ヘテロエピ成長 ・GaN / sapphire or Si 基板 ・GaN / SiC基板 転位密度(Dislocation Density) ・GaN / sapphire or Si 基板 4. GaN系組成制御(Al, In) ダイヤモンド結晶成長技術 ・バルクウェーハ 口径 転位密度 ・エピ成長 成長速度 絶縁破壊電界 製造プロセス技術 SiCデバイスプロセス要素技術 ・ウェーハ(大口径化、SOIウェーハ) ・イオン注入 ・微細加工プロセス ・MOS 界面,酸化膜 ・SJ形成プロセス(Deep RIE, 埋め込みエピ) ・オーミック電極 ・薄ウェーハ技術(ハンドリング、裏面活性化) ・ドライエッチング GaN系デバイスプロセス 要素技術 ・ドーピング ・エッチング ・ショットキー電極 ・オーミック電極 (コンタクト抵抗率) ・表面保護膜 ダイヤモンドデバイスプロセス要素技術 ・ドーピング n型高ドープ pn接合界面 ・エッチング ・ショットキー電極 ・オーミック電極 n型コンタクト抵抗率 ・表面保護膜 ・耐熱電極 シミュレーション技術 ・プロセス/デバイスシミュレーション ・回路シミュレーション ・熱・電磁界シミュレーション ・連成シミュレーション SiCデバイスシミュレーション技術 GaN系デバイスシミュレーション技術 ダイヤモンドデバイスシミュレーション技術 SiC物性制御・評価技術 ・結晶欠陥の非破壊検出 ・結晶欠陥と素子特性の相関 ・欠陥のスクリーニング技術 ・ライフタイム制御 ・歪み,反りの制御 GaN系物性制御・評価技術 ダイヤモンド物性制御・評価技術 SiCパワーデバイス ・オン抵抗/耐圧 ・定格電圧・電流 ・動作電流密度 ・動作温度 GaN系パワーデバイス ・オン抵抗/耐圧 ・定格電圧・電流 ダイヤモンドパワーデバイス ・オン抵抗/耐圧 ・定格電圧・電流 ・新実装方式 Siデバイス技術 ・デバイス構造(SJ…) ・特性向上(RonA, Vce(sat), Eoff) ・破壊耐量向上 ・集積化(パワーIC)/複合化(RB,RC) デ 周実バ 辺装 イ 技技 ス 術術技 術 ダイヤモンド真空パワーデバイス技術 ・低電圧大電流化 パワーデバイスに共通の技術 実装技術 ・低熱抵抗・高電流密度・高温実装 ・モジュール(MCM、IPM…) ・高密度実装、システムパッケージ化 ・負荷一体型実装 制御・回路技術 ・高速制御・デジタル制御 ・ソフトスイッチング・マトリクスコンバータ ・高調波・EMI対策、通信機能 Siパワーデバイス 製 品 / 市 場 MOSFET(微細、SJ化) IGBT(トレンチゲート、FS、薄ウェーハ) SBD PiNダイオード BJT GCT SCR SiCパワーデバイス応用分野 GaN系パワーデバイス応用分野 MOSFET IGBT(高速鉄道、電力系統) SBD(情報機器電源) PiNダイオード BJT SBD サイリスタ MESFET JFET/SIT ダイヤモンドパワーデバイス応用分野 (強制冷却フリー、大電流密度、高耐圧) SBD サイリスタ スイッチングHFET 高周波HFET スイッチングトランジスタ 真空パワーデバイス 6-6 次世代省エネデバイス技術のロードマップ (1) Siパワーデバイス 年 項目 2005 2010 2020 2030 ■シミュレーション技術 TCAD、連成シミュレーションの進化 ■製造プロセス技術 ウェーハ口径 6“ 微細加工 0.25µm 0.13µm 90nm 45nm SJ形成 10µmピッチ 4µmピッチ 2µmピッチ 1µmピッチ 薄ウェーハ ■デバイス技術 85µm厚 8” 300mm 65µm厚 素子構造の改良 新規構造 集積化・複合化の進展 ■実装技術 電流密度 高温 実装形態 250A/cm2 500A/cm2 175℃ 200℃ 225℃ 高密度実装、システムパッケージ化、負荷一体型の進展 ■制御・回路技術 高速制御、デジタル制御の進展 ソフトスイッチング、マトリクスコンバータの進展 高調波・EMI対策、通信技術の進展 ■デバイス特性 0.2mΩcm2 0.1mΩcm2 0.05mΩcm2 0.02mΩcm2 10mΩcm2 5mΩcm2 2.5mΩcm2 1mΩcm2 120mΩcm2 40mΩcm2 15mΩcm2 5mΩcm2 MOSFET(60V) MOSFET(600V) MOSFET(1200V) IGBT(300V∼8kV) 高電流密度化、高温動作、低損失化 6-7 次世代省エネデバイス技術のロードマップ (2) SiCパワーデバイス(その1) 年 項目 2005 2010 2020 2030 ■ウェーハ ウェーハ口径 3インチ ウェーハ転位密度 104 cm-2 4インチ 103 cm-2 6インチ 102 cm-2 50 cm-2 10 cm-2 ■プロセス,実装 注入面チャンネル 移動度 30 cm2/Vs 酸化膜信頼性 実装 200℃ 50 cm2/Vs 100 cm2/Vs 200 cm2/Vs 150℃-30年 250℃-30年 250℃ 300℃ 350℃ ■デバイス特性 (上段製品、下段学会) ショットキー ダイオード JFET/SIT 3 mΩcm2, 1.2 kV 1 mΩcm2, 1-2 kV 1-2 mΩcm2, 2 kV 5 mΩcm2, 3 kV 5 mΩcm2, 3 kV 10 mΩcm2, 1.2 kV < 10 mΩcm2, 1.2~1.8 kV 1 mΩcm2, 700 V < 1 mΩcm2, 0.7~1.8 kV 5 mΩcm2, 1.2 kV 2 mΩcm2, 1.2 kV <5 mΩcm2, 1.8-3.5 kV MOSFET 2-3 mΩcm2, 600-900 V <3 mΩcm2, 1.2 kV 0.5-1mΩcm2, 0.6-1.2kV MOSFET (超接合) IGBT 0.1-0.5mΩcm2, 0.6-1.2kV 0.1mΩcm2, 1.2 kV 10 mΩcm2, 5 kV < 10 mΩcm2, 10 kV 100 mΩcm2, 5 kV <10 mΩcm2, 10 kV <10 mΩcm2, 20 kV 注) ワイドバンドギャップ半導体パワーデバイス技術 調査研究報告書(2005年3月、(社)電子情報技術産業協会)を参照 6-8 次世代省エネデバイス技術のロードマップ (3) SiCパワーデバイス(その2) 年 項目 2005 2010 2020 2030 ■素子定格(製品) ショットキー 600V-12A 600V-30A 600V-60A 600V-200A ダイオード 1.2kV-12A 1.2kV-30A 1.2kV-30A 1.2kV-200A 3kV-200A 3kV-500A JFET/SIT 1.2kV-5A 1.2kV-30A 1.2kV-60A 600V-10A 600V-30A 600V-200A MOSFET 1.2kV-30A 1.2kV-60A 1.2kV-200A 3kV-200A 3kV-500A 600V パワー IC 1200V パワー IC PiN ダイオード 5kV-100A BJT/Thy/IGBT MESFET 10kV-100A 20kV-200A 5kV-100A 20kV-1000A 10kV-100A 20kV-200A 20kV-1000A 2GHz-10W 3GHz-50W ■応用分野 ショットキー ダイオード JFET/SIT 情報機器電源 高圧電源 汎用インバータ 分散電源 情報機器電源 情報機器電源 MOSFET 汎用インバータ 分散電源 PiN ダイオード HEV, 家電 高速鉄道 BJT/Thy/IGBT MESFET HEV, 家電 電力系統 高速鉄道 レーダ 電力系統 通信用基地局 注) ワイドバンドギャップ半導体パワーデバイス技術 調査研究報告書(2005年3月、(社)電子情報技術産業協会)を参照 6-9 次世代省エネデバイス技術のロードマップ (4) GaN系パワーデバイス 年 項目 2005 バルクウェーハ (口径、転位密度) 2インチ, DD ~ 105 cm-2 エピ成長 GaN / GaN基板 DD(エピ基板) ∼107 cm-2 2030 2020 2010 2インチ, DD ~ 104 cm-2 4インチ, DD ~ 104 cm-2 5インチ, DD ~ 103 cm-2 DD < 105 cm-2 DD < 104 cm-2 GaN系ヘテロエピ成長 4インチ ・GaN / sapphire or Si 基板 ・GaN / SiC基板 6インチ 3インチ 10インチ 8インチ 5インチ 4インチ 転位密度(Dislocation Density) ・GaN / sapphire or Si 基板 ・ショットキーダイオード ・スイッチング 用HFET オン抵抗/耐圧(製品) 定格電圧・電流(製品) GaN系高周波用HFET GaN系 デバイ ス応用 分野 DD (ヘテロエピ) < 109 cm-2 DD < 109 cm-2 DD < 107 cm-2 600 V, 5 A 600 V, 10A ノーマリオフ ノーマリオン < 3mΩcm2 600V < 1mΩcm2 600V 600 V, 10~30A < 3mΩcm2 < 1 mΩcm2 < 0.5mΩcm2 < 0.5mΩcm2 1.2 kV 1.2 kV 1.2kV 600V 1.2 kV, 10~30A 600V, >50A 1.2 kV, >50A 2GHz 76GHz > 200W 50mW X ‐ Ku band X band 30W >100W 2.5, 3.5, 5.8GHz 100W ショットキー ダイオード スイッチング電源 PC・サーバ用 スイッチン グ用HFET スイッチング電源 家電インバータ 汎用インバータ PC・サーバ用 高周波用 HFET 携帯電話基地局 HEV 衛星通信 レーダ WiMAX 車載レーダ ODU 注) ワイドバンドギャップ半導体パワーデバイス技術 調査研究報告書(2005年3月、(社)電子情報技術産業協会)を参照 6-10 次世代省エネデバイス技術のロードマップ (5) ダイヤモンドパワーデバイス 年 項目 ダイヤモンド ウェー ハ 2005 2030 2020 2010 4-10mm 1インチ 2インチ 3インチ 4インチ 105 cm-2 104 cm-2 103 cm-2 102 cm-2 10cm-2 0.5μm/h 2μm/h 3μm/h 5μm/h 10μm/h 1.7MV/cm 2.4MV/cm 4MV/cm 5.7MV/cm pn接合 n値>7 n値<3 n型オーミック接触 103Ωcm2 10-1Ωcm2 大口径化 エピ成長 低欠陥化(転移密度) 高速成長 高品質(絶縁破壊電界) プロセス・デバイス化 動作温度 n値<2 10-3Ωcm2 125℃ 10-5Ωcm2 400℃ 250℃ MIS界面 1012cm-2eV-1 信頼性 125℃10万h 1010cm-2eV-1 250℃10万h デバイス ショットキーダイオード 3KV 4KV 7KV ノーマリオン スイッチングデバイス 100A/cm2@300V 真空デバイス ノーマリオフ 1000A/cm2@100V HEV 高圧電源 ショットキー ダイオード 情報機器電源 デバイス 応用分野 分散電源 スイッチング デバイス インバータ 高速鉄道 電力系統 注) ワイドバンドギャップ半導体パワーデバイス技術 調査研究報告書(2005年3月、(社)電子情報技術産業協会)を参照 6-11 省エネデバイスの導入シナリオとその省エネルギー効果 (参考資料) 5000 4466 4000 省エネルギー量 原油換算 ウェーハ供給確立 による積み増し (主としてモータ ドライブへの普及 拡大) デバイス開発計画 による予測 3000 2634 高品質・低コストウェーハ供 給による導入普及の前倒し モータドライブの インバータ化率向上 2000 1766 分散電源 圧延機 無停電電源 コンピュータ用電源 モータドライブ 901 1000 800 万kl/y 489 電気自動車・ 燃料電池自動車 2005 2010 2015 2020 年 6-12 2025 2030 注)・パワエレ機器のインバーター化の促進及び インバーター効率向上による省エネ効果 ・成功率は100%で試算 省エネルギー技術戦略研究会 委員名簿 役名 氏名 所属・役職 委員長 横山 明彦 東京大学 大学院 工学系研究科 電気工学専攻 教授 委員 松橋 隆治 東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻 教授 委員 佐藤 春樹 慶応義塾大学 大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻 教授 委員 堤 敦司 東京大学 大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 助教授 委員 杉山 大志 (財)電力中央研究所 社会経済研究所 重点課題責任者 委員 赤井 誠 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 分散システムグループ グループ長 委員 瀬戸口 泰史 みずほ情報総研(株) ビジネスイノベーション部 環境戦略ソリューション室 室長 委員 角本 輝充 (財)エネルギー総合工学研究所 プロジェクト試験研究部 主管研究員 (超燃焼システム技術WG) 主査 中岩 勝 (独)産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 熱利用化学システムグループ グループ長 (時空を超えたエネルギー利用技術WG) 主査 古谷 博秀 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 分散システム 主任研究員 (省エネ型情報生活空間創生技術WG) 主査 新 誠一 電気通信大学 電気通信学部システム工学科 教授 (先進交通社会確立技術WG) 主査 青木 啓二 トヨタ自動車(株) IT・IST企画部 部長 (次世代省エネデバイス技術WG) 主査 福田 憲司 (独)産業技術総合研究所 パワーエレクトロニクス研究センター デバイスプロセスチーム1 チームリーダー 7-1 省エネルギー技術戦略WG 委員名簿 超燃焼システム技術WG 名簿 役名 氏名 所属・役職 主査 中岩 勝 (独)産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 熱利用化学システムグループ グループ長 委員 小野 春明 (財)日本エネルギー経済研究所 産業研究ユニット 石油グループ 客員研究員 委員 丸田 薫 東北大学 流体科学研究所 極限熱現象研究分野 助教授 委員 桜井 誠 東京農工大学 共生科学技術研究院 生存科学研究拠点 助教授 委員 大村 直也 財団法人電力中央研究所 環境ソリューションセンター 上席研究員 時空を超えたエネルギー利用技術WG 名簿 役名 氏名 所属・役職 主査 古谷 博秀 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 分散システム 主任研究員 委員 平野 聡 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 熱利用グループ 主任研究員 委員 小野 春明 (財)日本エネルギー経済研究所 産業研究ユニット 石油グループ 客員研究員 委員 矢田部 隆志 (財)ヒートポンプ・蓄熱センター 業務部 課長 委員 冨田 鏡二 (社)日本ガス協会 エネルギーシステム部 部長 省エネ型情報生活空間創生技術WG 名簿 役名 氏名 所属・役職 主査 新 誠一 電気通信大学 電気通信学部システム工学科 教授 委員 中野 幸夫 (財)電力中央研究所 システム技術研究所 上席研究員 委員 松林 成彰 松下電器産業(株) くらし環境開発センター チームリーダ 委員 松嶋 弘章 (株)日立製作所 機械研究所 所長付 委員 福田 一成 (株)山武 コミュニケーションマーケティング部 部長 委員 栗山 知広 (株) 日建設計総合研究所 環境・エネルギー研究センター 所長 委員 矢田部 隆志 (財)ヒートポンプ・蓄熱センター 業務部 課長 先進交通社会確立技術WG 名簿 役名 氏名 所属・役職 主査 青木 啓二 トヨタ自動車(株) IT・IST企画部 部長 委員 保坂 明夫 (技)走行支援道路システム開発機構 プロジェクト推進室 部長 委員 伊藤 哲志 トヨタ自動車(株) BRエネルギィー調査企画室 主担当員 委員 岡野 邦彦 (財)電力中央研究所 原子力技術研究所 上席研究員 委員 室賀 利一 (株)日通総合研究所 物流技術環境部 環境グループ 研究主事 委員 岩井 信夫 (財)日本自動車研究所 RV・EVセンター 主席研究員 次世代省エネデバイス技術WG 名簿 役名 氏名 所属・役職 主査 福田 憲司 (独)産業技術総合研究所 パワーエレクトロニクス研究センター デバイスプロセスチーム1 チームリーダー 委員 四戸 孝 (株)東芝 研究開発センター 先端電子デバイスラボラトリー 研究主幹 委員 土田 秀一 財団法人電力中央研究所 材料科学研究所 機能・機構発現領域 上席研究員 7-2 項目 日本文 CCT CCS 超燃焼システム技術 用語集 英文 内容 Clean Coal Technology かっての石炭のダーティーなイメージを払拭し、小さな環境負荷で高効率に石炭を利用する新技 術の総称。排煙の高度脱硫/脱硝/脱塵、燃焼灰の高度処理、石炭の改質/無灰化/液化、ガス化 コンバインドサイクル等による発電効率向上/CO2削減等、現在開発中または実用化しつつある 様々な技術を包含する。 二酸化炭素(CO2)回収・貯留 Carbon Dioxide Capture and Storage SCOP21 SC3 二酸化炭素(CO2)を吸収(化学的、物理的)法や分離(膜、吸着、深冷)法で回収し、地中への貯 留や海洋への隔離を行う技術 原料炭を乾燥、予熱しコークス炉に装入し、急速に昇温することにより粘結性を向上させ、資源量 の少ない強粘結炭の配合比低減、コークス強度向上を達成し、また予熱及び乾留時間の大幅短 縮によって大きな省エネルギー効果を挙げる21世紀型コークス製造プロセス開発プロジェクトの名 称 石炭、バイオマス、重質油をガス化して得られる合成ガス(CO、H2)から、エチレン、プロピレン、 BTX を生産し、さらにプラスチックなどの化学品を生産する。製品は廃棄物としてガス化プロセス に入れることより合成ガスとし原材料にリサイクルする。これにより、必要とする原料資源量を大幅 に削減する。この化学体系をサステイナブル・カーボンサイクル化学体系(SC3)と呼ぶ。 サステイナブル・カーボンサイ クル化学体系 BTX 石油化学原料のベンゼン、トルエン、キシレンの総称、頭文字を並べたもの。 C1化学 C1-Chemistry 合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)やメタン、メタノールといった炭素数が1の化合物を原料 に用いて、炭素数が1の化合物の相互変換をしたり、炭素数が2以上の化合物を合成する技術法 のことであり、有機工業化学の1分野である。 合成ガス 一酸化炭素と水素の混合ガス。石炭や天然ガス、重質油、石油排ガス、オイルシェールやバイオ マスなどから水蒸気改質、部分酸化などにより作られる。 ハイドレート ガスハイドレートは水包接化合物とも呼ばれ、水素結合による水分子のカゴ状構造の中に他の物 質の分子が入り込んだ構造を持つ。内包物質によりメタン(CH4)ハイドレートや二酸化炭素 (CO2)ハイドレートがある。 カルシウム電解技術 次世代型チタン製造プロセスの一方式。CaCl2 溶融塩電解法とCa熱還元法を組み合わせること で、連続的な製造プロセスの実現を可能としている。 PLA ポリ乳酸 エンプラ エンジニアリングプラスチック ス アイソタクチックポリプロピレン Iso-PP イソPP Poly Lactic Acid 植物由来の樹脂、生分解性プラスチック 「耐熱性:100℃以上」・「強度:49.0MPa 以上」・「曲げ弾性率2.4GPa以上」あるプラスチックス メタロセン触媒を用いた高機能性を有する次世代型ポリプロピレン。メタロセン触媒はメタロセン化 合物と有機金属化合物を組み合わせた触媒系。この触媒により、特に立体規則性に優れたポリ マーが数多く得られるようになった。 7-3 超燃焼システム技術 用語集 項目 シンジオPS PO製造 日本文 英文 シンジオタクチックポリスチレ SPS ン 酸化プロピレン Propylene oxide プロピレンオキサイド メンブレンリアクター 内容 メタロセン触媒を用いた高機能性を有する次世代型ポリスチレン。 プロピレングリコール(ポリエステル樹脂原料ほか)、ポリプロピレングリコール(ウレタンフォーム 原料ほか)、顔料、医薬品中間体、殺菌剤などの原料 membrane reactor 分離膜を利用し物質分離(ガス、液体)を行う装置 プリカーサ 先駆物質 Precursor ある化学物質を製造する場合、その原料となる前駆物質の総称。例えば、PAN系炭素繊維のプリ カーサはアクリル長繊維であり、これを焼成して製造する。 PAN ポリアクリロニトリル Polyacrylonitrile アクリロニトリルを50%以上含む基ポリマーを主成分とする耐薬品性、ガスバリヤー性、保香性、 薬品性分の低吸着性、剛性等の特長を持ったプラスチック。主な用途は、食品包装、医薬品、化 粧品包装、化学薬品包装、電子部品搬送容器など。 ピンチテクノロジー プラントや工場で使われる全ての熱エネルギーを整理し、設備ごとの熱需要と排熱供給に係る データとしてそれぞれ解析して、熱融通の最適状態を調べる手法。 熱ピンチ ピンチテクノロジーにより熱エネルギーフローを解析する手法。 モジュール Module 工学などにおける設計上の概念で、システムを構成する要素となるもの。いくつかの部品的機能 を集め、まとまりのある機能を持った部品のこと。 鋳片表層改質 鉄スクラップの再使用処理工程での有害元素(銅、錫等)の無害化を実現するため、プラズマ及び 電磁気技術を用いて鋼材表層を均一かつ安定に溶融するとともに、所定濃度の無害化元素を溶 融部に添加する技術 インフライティングメルト法 誘導結合型熱プラズマ中に微粒子状のガラス原料を供給し、ガラスの気中溶解を行うことにより、 ガラス溶解を高速で行う技術。ガラス原料の粒径が100μm程度であればほぼ100%のガラス化反 応が数μsで完了する。 アクアフロート法 アクアフロート法の原理は、溶融ガラスを成形に適した温度(粘性)領域で、含水多孔質基材の上 に流下して、ガラスの持込素地顕熱により瞬時に生成した蒸気膜の上にガラス素地自身を浮上保 持しつつ、張力を掛けて成形するものである。 IGCC ガス化複合発電 Integrated Gasification. Combined Cycle 石炭、重質油、バイオマス等を部分酸化法によって合成ガスとし、精製してガスタービンで利用し、 排ガスから蒸気を生成し蒸気タービンで利用し発電する技術。ボイラで直接燃焼して蒸気タービン のみに利用するランキンサイクルよりも発電技術として高効率であると共に、合成ガスの一部を水 素または化学合成用(C1化学)の原料ガスとして用い物質とエネルギーを併産するコプロダクショ ン・システムとしても利用できる。合成ガスを精製する過程でCO2を分離し、CO2フリーの水素発電 システムにすることも可能である。 7-4 項目 IGFC 日本文 ガス化燃料電池複合発電 超燃焼システム技術 用語集 英文 内容 Integrated Gasification Fuel 石炭、重質油、バイオマス等を部分酸化法によって合成ガスとし、高度に精製・改質して燃料電池 Cell Combiend Cycle で高効率発電すると共に、ガスタービン複合サイクルを組み合わせる3重の複合サイクルであり、 IGCCよりも更に発電効率が高い。燃料電池の形式により精製改質ガスの要求品質、排ガス温 度、排ガス中の残留未反応ガス等が異なるので、組み合わせ方式が異なるが主として高温型燃 料電池であるSOFCが想定されており、その高温排ガスと精製ガスのうち燃料電池に適さない成 分を直接ガスタービン燃料に供給する。 A-IGCC 次世代高効率ガス化複合発 電 A-IGFC 次世代高効率ガス化燃料電 池複合発電 IEMS 産業用地域エネルギー管理 システム ILEN 産業用地域エネルギー・ネット Industrial Local Energy ワーク Network 産業集積地の地域エネルギー・ネットワーク。 コンビナート等の産業集積地において、工場または地域のユーティリティー・センターで発生するエ ネルギー並びに産業用汎用ユーティリティーの過不足を相互融通し産業間連携を図る。電気、各 種圧力の蒸気、水素、合成ガス、酸素、窒素、各種純度の工業用水、冷却水等々を含む。 高圧PSA法 吸着法 吸着剤の詰まった吸着槽へ圧縮した空気を送り込むと、不必要なガスは吸着剤に吸着され必要 なガスのみが分離される。吸着されたガスは吸着槽を大気圧まで戻すことで脱着される。この加 圧、減圧を繰り返すことでガスを分離精製する。窒素PSAでは吸着剤はカーボンモレキュラシーブ で酸素、炭酸ガス、水蒸気等を吸着し、酸素PSAでは合成ゼオライトで窒素、炭酸ガス、水蒸気等 を吸着する。 地球上のバイオマスの大部分を占める木質系バイオマスは、主に樹木からなり、セルロース (45%)、ヘミセルロース(30%)、リグニン(25%)などの成分で構成されている。光合成を通して莫 大な量のリグニンが年々地球上に蓄積していますが、それに匹敵する量のリグニンが微生物によ り分解されている。これを化学工業原料やエネルギー源として利用する。 リグニン バルキング Advanced Integrated IGCCが利用するガス化プロセスは部分酸化法であるのに対し、吸熱反応である水蒸気改質を組 Gasification. Combined Cycle み合わせ、廃熱のエクセルギーを利用して水素リッチガスに転換することによりエネルギーの化学 再生を行う次世代型ガス化複合発電サイクルであり、従来型のIGCCよりも更に発電効率が高くな る。 Advanced Integrated A-IGCCと同様に、IGFCのガス化プロセスに吸熱反応である水蒸気改質を組み合わせ、廃熱のエ Gasification Fuel Cell クセルギーを利用して水素リッチガスに転換することによりエネルギーの化学再生を行う次世代ガ Combiend Cycle ス化燃料電池複合発電サイクルであり、従来型のIGFCよりも更に発電効率が高くなる。 Industrial Energy Management 産業集積地のエネルギー管理システム。 System 産業用地域エネルギー・ネットワークを通じて相互融通されるエネルギーの利用を総合的に最適 化するための管理システムであり、CEMS、TEMSの産業版。 IT技術を活用し、各工場・ユーティリティーセンターでのエネルギーの使用状況・発生状況をリアル タイムで把握するとともに、生産計画に基づく予測情報を考慮し、ピンチ・テクノロジーを用いたモ デルによって、コンビナート全体のエネルギーの量と質の需給バランスを同時に最適化する。 Pressur Swing Adsorption Lignin 膨化 Bulking 汚泥処理において糸状菌等の細菌が異常に増殖し沈殿槽でもこれらが絡み合ったまま沈降もせ ず圧密もせず上澄水が出来ない現象。沈殿槽で汚泥が分離できず、汚泥があふれ出る。 7-5 超燃焼システム技術 用語集 項目 英文 Dimethyl Ether 内容 メタノール2分子を脱水反応させエーテル結合したもので、スプレー剤等として利用されている。メ タノールを経ずに、天然ガス、炭層メタンの水蒸気改質、石炭やバイオマス等のガス化によって得 られる合成ガスから直接製造する技術が実証、確立されつつある。LPGに近い物性で容易に液 化してハンドリングに優れ、LPGの代替燃料、燃料電池用等のクリーンな次世代燃料として期待さ れている。セタン価が高くディーゼルエンジン向きであり、酸素含有率が高く黒煙が出ないため、 環境負荷の少ないディーゼル燃料としても期待されている。 ゲノミクス genomics ゲノム(genome)は「遺伝子(gene)の集団(ome)」を意味し、生物の全遺伝子情報の集合体。狭義で はゲノムの全塩基配列を決定すること。広義ではゲノムの全塩基配列の決定を出発点とし、生命 現象に関わる分子や遺伝子を網羅的に収集し系統的に整理し、その生命現象を理解する研究ア プローチのことを言う。 プロテオーム proteinome 「タンパク質(protein)の集団(ome)」を意味する言葉です。具体的には、特定の細胞が特定の条件 下に置かれたときに、その細胞内に存在する全タンパク質のことを指します。細胞の活動に必要 な全タンパク質をひとまとめにして捉えた概念がプロテオームであり、プロテオームを研究するこ と、あるいはその方法論のことを「プロテオミクス」と呼称する。 メタボローム metabolite 生体内では、必要な化学エネルギーを得るために多種多様の複雑な化学反応や、生体の機能を 維持するために必要な分子の生成が行われています。そして、その化学反応に応じて様々な代謝 物質(metabolite)が産出されています。特定の環境下において、数百種類以上ある代謝産物を総 称してメタボローム (metabolome)と呼びます。このメタボロームの解析と、これまでのゲノムやプロ テオームの解析データを組み合わせることで、より詳細な、またこれまで発見されていなかった新 規の代謝経路が明らかになる。 DME コプロダクション バイオリアクター 日本文 ジメチル・エーテル 化石燃料の保有するエネルギーを単に燃焼して熱エネルギーとして利用するだけでなく、複合的 かつ多様に利用することによって損失を最小限とする技術、あるいはそのようなエネルギー利用 方式の総称。代表例として、機械エネルギーや電気エネルギーに転換できなかった残余の熱エネ ルギーを化学反応に利用して水素等の燃料に転換し、エネルギーと物質とを併産する方法等が ある。 生体触媒を用いて生化学反応を行う装置の総称。バイオリアクターを用いた場合、通常の触媒反 応器にくらべ穏和な条件で反応が行える他、副生成物が少ない、工程が少ない、収率がよいなど の利点があることが多い。現在、バイオリアクターの生体触媒には、酵素などの生体高分子や、微 生物、植物あるいは動物細胞などが用いられる。 宿主生物 ここでは、狭義に遺伝子操作により人工的に構築された遺伝子組み換え生物を意味する。宿主生 物種としては、微生物あるいは植物である。 バイオリファイナリー 生物が触媒する反応を利用して、バイオマスや廃棄物なども含む再生可能な資源から化学品原 材料やエネルギー物質を生産する技術の総称。米国生まれの新規造語である。 7-6 超燃焼システム技術 用語集 項目 非ナフィオン 日本文 英文 内容 固体高分子型燃料電池の電解質にはアメリカのデュポン社が開発した水素イオン導電性の商品 名ナフィオン115 が用いられている。この電解質膜の動作温度は80℃程度であり、より高温動作 の水素イオン導電性膜の開発が行われている。 7-7 項目 日本文 顕熱蓄熱 時空を超えたエネルギー利用技術 用語集 英文 内容 Sensible Heat Thermal Energy 物質の熱容量あるいは比熱を利用して熱の出し入れをする。水の比熱は約4.2J/g・℃なので、1g Storage 当たりに4.2Jの熱(仕事)を貯蔵・放出できる。 潜熱蓄熱 Latent Heat Thermal Energy Storage 融解熱や気化熱などの転移熱を利用して熱の出し入れをする。氷の融解熱は大気圧下で334J/ gなので、1g 当たりに334Jの熱(仕事)、水の気化熱は大気圧下で2260J/g なので、1g当たりで 2260 Jの熱(仕事)の貯蔵・放出できる。顕熱蓄熱の2∼3桁大きい。 化学蓄熱 Chemical Heat Thermal Energy Storage PCM Phase change material 化学反応を利用して熱の出し入れをする。水酸化カルシウム(消石灰)に低圧下で250∼500℃ の 熱を加えると、炭酸カルシウム(石灰石)を経て酸化カルシウム(生石灰)になりこれを貯蔵する。 貯蔵生石灰に水を掛けると、500℃余りの反応熱を放出する。化学蓄熱は、分離した物質を別々 の場所に保管し、必要な時に反応させ生じる反応熱を利用する。取り出す圧力や温度を蓄熱時と 変えることにより、蓄熱時よりも多くの熱を取り出したり、蓄熱時よりも高温の熱を取り出したりする ことも出来る。 相変化潜熱蓄熱材料。氷(∼0℃)、塩化ナトリウム(∼-22℃)、酢酸ソーダ(∼55℃)、フッ化リチ ウム(∼850℃)等、目的とする温度域で種々の材料がある。 吸収 吸着 デシカント ヒートポンプ 乾燥剤、吸湿剤 desiccant Heat pumps ある物質が他物質に内包される現象。熱サイクルではガス吸収が利用される。ガス吸収には物理 および化学吸収がある。 物理吸収:気体と液体間で化学反応を伴わず溶解度又は気液平衡関係で吸収・放出が設定され る。 化学吸収:気体と液体間で化学反応が起こり生成物を含めた溶解度又は気液平衡関係で吸収・ 放出が設定される。 ある物質が他物質表面に接着する現象。物理吸着と化学吸着がある。 物理吸着:分子間引力によって吸着する現象で、加熱などのエネルギーを加えることにより吸着 分子を分離する。 化学吸着:表面に残留している酸素や水素からなるさまざまな化合物の官能基のイオン結合によ り吸着する。外部エネルギーを加えても簡単には分離せず、吸着物質にもよりが、やがて分解さ れる。 水分の吸脱着性能に優れた乾燥剤で、ゼオライト、シリカゲル等がある。 デシカント(除湿)空調とは、一般的にゼオライト、シリカゲル等の乾燥剤(吸湿剤)を用いて空気中 の湿気を除湿して空調するシステムである。 熱エネルギーを輸送する熱機関。圧縮式(電気式)、吸収式、吸着式、熱電子式などがある。ただ し、特別な説明がない限り、圧縮式を指す。圧縮式はボイル・シャルルの法則により気体を圧縮す ると温度が上がり、膨張させると温度が下がる現象を利用して熱エネルギーを移動させるもの。理 論効率は(逆)カルノーサイクルで表すことができる。一般的には輸送効率を高めるために、熱輸 送媒体(熱媒または冷媒)の液相−気相の相変化(蒸発・凝縮潜熱)も利用する。 7-8 項目 ケミカルヒートポンプ 日本文 時空を超えたエネルギー利用技術 用語集 英文 内容 液相−気相の相変化ではなく、可逆的な化学反応に伴う発熱・吸熱を利用するものをケミカル(化 学)ヒートポンプという。ある与えられた状態(圧力、温度など)での平衡状態から、別の平衡状態 に変えたときに起こる化学反応を利用するため、原理的には平衡状態を変えない限りエネルギー の散逸が生じないので、蓄熱システムに適する。 電気式(圧縮式)ヒートポンプ motor driven heat pump 電動モーターを用いて圧縮機(往復式、回転式、遠心式)で冷媒を機械的に圧縮し、冷温熱を得る システムのこと。一般的に成績係数(COP)が高い。 ダブルバンドルヒートポンプ Double bandle heat pump 冷温水同時取り出しのヒートポンプをいう。ヒートポンプ熱源機で冷水を製造する際に生じる温排 熱を大気中に放出せず、回収して温水を同時に製造を行う為、高効率運転が可能である。また熱 源機が一元化され設備容量の縮小も可能である。 トライバンドルヒートポンプ Tri-bandle heat pump 熱エネルギーインフラストラクチャーとして温水、冷水、蒸気を用いるケースが多く、その3温度領 域を同一機器でまかなうことができるヒートポンプ熱源機。ダブルバンドル同様、排熱も回収し有 効利用が可能。 マルチサーマルヒートポンプ 多段ヒートポンプで高温温熱、中温温熱、中温冷熱、低温冷熱、極低温冷熱、潜熱を同時に取り 出すことができる。各温度帯で熱エネルギーの授受を行うことで排熱を最小限に抑える。 吸収式冷凍機・冷温水器 吸収式冷凍機とは、冷媒(水)と吸収剤(臭化リチウム)を用い冷水製造過程で加熱を必要とする 冷凍システムのこと。低温の蒸発器で冷媒である水を蒸発させることにより熱を奪い冷水を製造 する。吸収式冷温水器は冷暖の切り替えにより温水も供給可能なシステムのこと。 吸着式冷凍機 真空下でシリカゲルと水を利用し、再生行程と吸着行程の2工程を交互に繰り返し、冷熱を発生さ せる。 再生工程:固体吸着剤を温水で加熱し、吸着していた冷媒蒸気を脱着し、冷却水が通っている凝 縮器で冷媒を凝縮する。 吸着工程:固体吸着剤を冷却水で冷却し、冷媒蒸気を吸着する。このとき冷水が通っている蒸発 器から冷媒液が蒸発しその潜熱で冷却する。 圧縮機に遠心式を採用した圧縮式の冷凍機。ターボ冷凍機の構造は回転している羽根車(インペ ラー)の遠心力により冷媒ガスを放射状に吹き飛ばして加速し、その後、出口に設けたディフュー ザで徐々に減速させ、その分、圧力が高まっていく方式。羽根車とディフューザを組み合わせた単 純な構造であることが特長。遠心力を利用しているため回転数が数千∼数万rpmと高い。回転の 駆動源にはモーター、蒸気タービンなどが使用される。 ターボ冷凍機 centrifugal refrigerator インバータ GTL 逆変換器すなわち直流電力を交流電力に変換する装置。これに対してコンバータ((順)変換器) すなわち交流電力を直流電力に整流する装置がある。燃料電池、太陽電池等の直流電源の場合 は変換部と配電系統に接続するための保護機器を含めてインバータ、モータ制御等の交流電源 からの場合はコンバータ部、インバータ部、保護機器を含めてインバータと呼称する。 Gas to Liquid 天然ガスを原料としてFT(フィッシャー・トロプシュ)反応により製造された灯軽油等の合成液体燃 料。 7-9 項目 時空を超えたエネルギー利用技術 用語集 英文 内容 Dimethyl Ether メタノール2分子を脱水反応させエーテル結合したもので、スプレー剤等として利用されている。メ タノールを経ずに、天然ガス、炭層メタンの水蒸気改質、石炭やバイオマス等のガス化によって得 られる合成ガスから直接製造する技術が実証、確立されつつある。LPGに近い物性で容易に液 化してハンドリングに優れ、LPGの代替燃料、燃料電池用等のクリーンな次世代燃料として期待さ れている。セタン価が高くディーゼルエンジン向きであり、酸素含有率が高く黒煙が出ないため、 環境負荷の少ないディーゼル燃料としても期待されている。 DME 日本文 ジメチル・エーテル FC 燃料電池 Fuel Cell 燃料から直接電力に変換する直接発電装置。燃料を改質した水素と酸素(空気)の反応エネル ギーを電力に変換する水素・酸素燃料電池が実用化されている。イオン導電性電解質(膜)の片 面に水素、他面に酸素を供給し、水素・酸素反応が持つ化学ポテンシャルにより電解質中のイオ ンを一方向に動かす事により発電する。電解質の種類により、固体高分子型(PEFC)、アルカリ電 解質型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体電解質型(SOFC)等がある。 MCFC 溶融炭酸塩型燃料電池 Molten Carbonate Fuel Cell 電解質として炭酸イオン(CO3--)が移動する溶融した炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸カリウムなど) を使用した燃料電池。溶融炭酸塩を溶融し、発電に必要が導電性を得るために動作温度は600℃ ∼700℃程度である。 SOFC 固体電解質型燃料電池 Solid Oxide Fuel Cells 電解質として酸素イオン(O2-)が移動する安定化ジルコニアやランタン・ガリウムのペロブスカイト 酸化物などのイオン伝導性セラミックスを利用した燃料電池。発電に必要が導電性を得るために 動作温度は700℃∼1000℃程度である。 GE ガスエンジン Gas Engine ガス燃料を利用するレシプロ(往復動)エンジン。ガソリンエンジンから転用された火花点火式の オットーサイクルエンジンと、ディーゼルエンジンから転用された助燃液体燃料を噴霧して圧縮点 火するディーゼルサイクルエンジンとがある。複数のシリンダーで位相をずらせて圧縮/膨張を繰 り返し、クランクシャフトで回転動力を得る。回転動力をそのまま利用する場合と、発電機を回して 電気として利用する場合とがある。 GT ガスタービン Gas Turbine ガス燃料を利用する連続式エンジン。空気をコンプレッサーで圧縮して燃焼器に供給し、連続燃焼 させ、得られた高温高圧ガスをタービンで膨張させて回転動力を得る。回転動力をそのまま利用 する場合と、発電機を回して電気として利用する場合とがある。 CC コンバインドサイクル、複合サ Combined Cycle イクル GTCC レドックスフロー電池 熱エネルギーを機械エネルギーに転換する複数の熱サイクルを組み合わせる複合サイクルのこ と。ガスタービンによるブレイトンサイクルと、蒸気タービンによるランキンサイクルの組み合わせ 等が代表的である。得られた回転動力をそのまま利用する場合と、発電機を回して電気として利 用する場合とがある。 ガスタービンコンバインドサイ Gas Turbine Combined Cycle ガスタービンサイクルと他の熱サイクルを組み合わせた複合サイクルの略称。 クル redox cell レドックス (Redox) とは、酸化還元 (Reduction/Oxidation) を示す略語。二種類の化学種の酸化と 還元が不活性電極表面で生じる電気化学システムであり、現在のレドックスフロー電池では、正 極液に4価のバナジウム、負極液に3価のバナジウム硫酸溶液を使用し、タンクに貯蔵した両極液 をポンプでセルに送液・循環しながら充放電する。 7-10 項目 日本文 Na/S電池 時空を超えたエネルギー利用技術 用語集 英文 内容 硫黄を正極(+)に、ナトリウムを負極(-)に、両極を分離する固体電解質にβアルミナを利用した二 次電池である。特に、大規模の電力貯蔵用に作られ、昼夜の負荷平準などに用いられる。従来の 鉛蓄電池に比べて体積、重量が1/3程度とコンパクトである。 ニッケル水素電池 正極に水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液(KOH aq.)を用い たものである。 リチウムイオン電池 電解質イオンとしてリチウムを用い、かつ金属状のリチウムを電池内に含まない二次電池の総称 である。代表的な構成としては負極に炭素、正極にコバルト酸リチウムなどのリチウム遷移金属 酸化物、電解質に炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒+六フッ化リン酸リチウムといった リチウム塩を使った物が挙げられるが、負極、正極、電解質それぞれの材料は、リチウムイオンを 移動し、かつ電荷の授受により充放電可能であればよいので、非常に多くの構成をとりうる電池で ある。 英国Beta Research & Development Ltd.が主に電気自動車用に開発したナトリウム/塩化ニッケ ル二次電池 ゼブラ電池 Zebra battery 電気二重層キャパシタ キャパシタ(コンデンサー)は薄い誘電体を電極で挟んだ構造で電気の充放電する部品である。誘 電体は誘電率が大きく薄いほど高性能である。表面積が極めて広い活性炭を電極として、この活 性炭表面に特殊な有機分子を吸着させ、これを誘電体として用いる。誘電体層が分子レベルの厚 さであり、極めて薄いものとなる。吸着した有機分子は僅かな電位差で容易に破壊されるため、耐 圧は数Vと非常に低く、通常複数の素子を直列にして用いる。電力の蓄積用に使用され、近年電 気自動車などの電源として注目されている。 VRCヒートポンプ 蒸気再圧縮(VRC)式ヒートポ Vapor re-compression ンプ 水を冷媒としたオープンサイクルヒートポンプは蒸気再圧縮(VRC)式ヒートポンプとして各種溶液 の蒸留・濃縮などの用途で採用されている。例えば、乾燥工程にて発生する高温の蒸気を更に圧 縮し高温加熱源とし熱交換器で発生蒸気を凝縮するヒートポンプと乾燥工程を組み合わせたシス テムは乾燥室内の熱をムダなく利用できるため、省エネルギー効果が高い。 ZT値 性能指数Z×作動温度T 熱電材料の性能はZ=S2/κρによって優劣が比較される(Sはゼーベック係数と呼ばれる熱電 能、κは熱伝導率、ρは電気抵抗率)。また、Zを無次元化したZTも性能指数として用いられる(T は動作温度で絶対温度)。ZT値=1は、従来これを超える材料が得られず一つの壁であったが、 近年、この壁を越す材料が得られるようになっている。 COP 成績係数 coefficient of performance 加えられた仕事または熱の何倍の熱を移動させたかの比率によって冷凍機・ヒートポンプの効率 を表す性能指数。 理想的な場合次のような関係が成り立つ。 * ヒートポンプの成績係数 = 冷凍機としての成績係数 + 1 * 低温熱源と高温熱源の温度差が小さいほど大きくなる。 7-11 項目 期間COP 日本文 時空を超えたエネルギー利用技術 用語集 英文 内容 COPは高低温度条件等を標準状態にして測定した成績係数である。しかし、実条件においては季 節により高低温度条件は一定ではなくCOPはその都度変わる。このため冷房期間や暖房期間を 決めて、その期間での高低温度条件におけるCOPを計算する。 バッチ輸送 連続輸送の反対語。回分輸送。エネルギーをガス燃料、液体燃料、高温流体としてパイプラインで 連続的に輸送したり、電流として電線で連続的に輸送したりする代わりに、蓄熱体、蓄エネルギー 物質等としてトラック等で往復輸送する方式。 高エクセルギバッチ輸送 エネルギーのうちでもエクセルギー率、すなわち有効エネルギー率の高いエネルギーは高温であ るとか、放熱すると凝固するとかの問題から、パイプライン等で連続輸送しようとすると保温やパイ プの耐熱のためにコストが嵩む。一方エクセルギー率の高い蓄エネルギー物質は体積当たりのエ ネルギー密度が大きい場合が多いので、バッチ輸送の経済性が成立することが期待される。この ような点から余剰エネルギーをできるだけ高エクセルギー物質に転換して、時空を超えて輸送す る方法、およびそのための技術。 ガスタービン等の連続エンジンの反対語。往復動エンジン。ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン 及びこれから発展したガスエンジン等を指す。複数のピストンで圧縮、着火、膨張、排気を繰り返 し、ピストンを往復動させ、クランクシャフトで回転動力に転換する。 レシプロエンジン 熱電発電 熱電発電とは、金属や半導体などの電気を通す材料の両端に温度差を与えると電力が発生する 「ゼーベック効果」と呼ぶ現象を利用した直接発電方式。ビスマステルル(Bi2Te3)、鉛テルル (PbTe)、シリコンゲルマ(SiGe)等の半導体熱電材料がある。 7-12 項目 PDP LCD 有機EL LED 日本文 プラズマディスプレイ 液晶ディスプレイ 発光ダイオード 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 Plasma Display Panel Liquid Crystal Display organic electroluminescence 電圧をかけると発光する物質を利用したディスプレイ。発光体を ガラス基板に蒸着し、5∼10Vの 直流電圧をかけて表示を行う。発光体にジアミン類など の有機物を使うことから有機ELと呼ばれ る。 Light Emitting Diode 電流を流すと発光する半導体素子の一種。アノード(anode)とカソード(cathode) の2つの端子があ り、アノードに正、カソードに負の電圧をかけると、数ボルトの電圧で 電流が流れ、発光する。 クラスター発光光源 クラスターとは葡萄の房を意味する(数十∼数百個の)原子・分子の集まりであり、クラスターにマ イクロ波を照射することによって得られるクラスターからの熱放射を光源として利用する。従来の 白熱電球と原理同じだが白熱電球よりも高温に加熱することができる。これによりクラスター光源 は白熱電球よりも効率のよい演色性を持ち、かつ長寿命の次世代光源となる。 マイクロキャビティー光源 タングステン表面に1平方ミリメートル当り百万個以上の空洞(キャビティ)を形成したマイクロキャ ビティ放射体は赤外線を徹底的に抑制して、発光効率を飛躍的に向上できる白熱フィラントとして 利用できる。また、このような放射体は小型太陽熱冷房システムを実現できる高効率太陽熱吸収 体としても期待される。 昼光・蓄光ハイブリッド 蓄光材料とは、昼光・蛍光灯(電灯)・ブラックライトなどのエネルギーを吸収して一時的に蓄え、こ れを徐々に放出して発光する材料。光を与えれば、何度でも吸着蓄積し発光を繰り返す。 発光効率 ランプ効率 Luminous efficacy 光源の効率を現すもので、単位電力あたりの全光束 lm/W (ルーメン毎ワット)で現す。単位の定 義とエネルギー保存の法則により発光効率が 683 lm/W を超えることはない。光束(単位lm(ルー メン))とはランプから発せられる可視光の総量。 ハイドレート ハイドレートとは、水の結晶の中に他の分子が入り込み、クラスレート化合物を生成したものです。 クラスレート化合物とは、三次元の骨組みをとる結晶の隙間に他の分子が一定比で閉じこめられ た状態の化合物のことを指す。 スラリー蓄熱システム スラリーとは細かい固体粒子が水中に懸濁している、あるいは固体と液体 との混合物を言う。潜 熱媒体の一つとして、ハイドレート(包接水和物)がある。包接水和物は、水分子が網状構造など (包接格子)をつくり、その隙間にゲスト分子(水和剤)が入り込んだ構造をなす化合物である。水 和物を生成する水和剤としてはさまざまな物質があり、フロンガスやメタンガスなどのガスをゲスト 分子としたガス系包接水和物が知られている。水和剤の一例としてテトラn-ブチルアンモニウム塩 がある。 建物の構造躯体などを利用するパッシブ蓄熱と蓄熱材を利用するアクティブ蓄熱にニ分類 され る。アクティブ蓄熱は、システム蓄熱とも呼ばれ、熱を生産する熱源機器と消費する 負荷との間に 蓄熱材を介在させて両者の時間的なズレを調整するシステムである。 アクティブ蓄熱 カプセル・ケミカル蓄熱材 カプセルボール内部に塩化ナトリウム等の潜熱蓄熱体を充填した潜熱蓄熱体。貯槽への蓄熱体 の充填密度を高めるとともに熱媒体の流路を確保するため球形の蓄熱体が開発されている。 7-13 項目 多温度帯利用蓄熱システム 日本文 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 同一蓄熱槽を冷凍・冷房・暖房・加熱など多温度帯で利用することにより、蓄熱槽効率、年間稼働 率の向上を図るもの。単位面積・体積あたりの熱利用率の向上や季節間での稼動率も向上する ため設置面積・体積を縮小化により蓄熱システムの設置阻害要因を取り除くことが見込まれる。 クロスオーバーシーズナル蓄 熱 欧州では夏場の温熱を蓄え冬の暖房に使う季節間蓄熱がある。これに、冬の冷熱を蓄え夏の冷 房に使う機能も付加し、温熱を蓄えながら同時に冷熱を放熱する(冬場は冷熱を蓄え温熱を放熱) ことで年間で熱収支をバランスさせる蓄熱システムをいう。 HCFC ハイドロクロロ フルオロカーボ ン 代替フロン 圧縮式冷凍機の主要冷媒 CFC: クロロフルオロカーボン(Chloro Fluoro Carbon) HCFC: ハイドロクロロフルオロカーボン(Hydro Chloro Fluoro Carbon) HFC: ハイドロフルオロカーボン(Hydro Fluoro Carbon) HFC ハイドロフルオロカーボン 代替フロン GWP 温暖化係数 Global Warming Potential CO2を基準にして、温室効果ガスそれぞれの温室効果の程度を示す数値。それぞれのガスの寿 命が異なるため、温室効果算出期間の長さによって値は変化する。IPCC第2次評価報告書(100 年間での計算)での温暖化係数は、CO2比で、メタンは21倍、亜酸化窒素は310倍、フロン類は数 百∼数万倍である。 VOC 揮発性有機化合物 volatile organic compounds 健康への影響が懸念され、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トル エン、キシレン、酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれる。 CO2 refrigerant heat pump water heater CO2を冷媒とした圧縮式ヒートポンプを採用した給湯機 CO2ヒートポンプ給湯器 ガスエンジンヒートポンプ 電気モータに代わりガスエンジンで圧縮機を駆動する圧縮式ヒートポンプ 吸収式冷温水器 吸収式冷凍機とは、冷媒(水)と吸収剤(臭化リチウム)を用い冷水製造過程で加熱を必要とする 冷凍システムのこと。低温の蒸発器で冷媒である水を蒸発させることにより熱を奪い冷水を製造 する。 吸収式冷温水器は冷暖の切り替えにより温水も供給可能なシステムのこと。 蒸気を熱源とした、再生器で2段階の熱利用を行うものである。蒸気が夏季も供給される病院・ホ テル・工場で用いられるほか、信頼性を高めたヘビーロードタイプが地域熱供給で導入されてい る。バーナーの燃焼で再生器を直接熱し3段階の熱利用を行うものも開発されている。高温再生 器が高温高圧となるためボイラー・圧力容器としての規制を受けるが、COP1.6以上が可能であ る。 空気の温度と湿度を別々に処理することで高効率化と快適性を目指す空調システム。除湿には デシカント(除湿)空調という一般的にゼオライト、シリカゲル等の乾燥剤(吸湿剤)を用い、温度調 整には圧縮式ヒートポンプを用いる。このデシカント空調とヒートポンプ冷暖房機を有機的に組み 合わせた空調システムをいう。 多重効用吸収式冷温水器 デシカントハイブリッドヒートポ ンプ 7-14 項目 ダブルバンドルヒートポンプ 日本文 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 Double bandle heat pump 冷温水同時取り出しのヒートポンプをいう。ヒートポンプ熱源機で冷水を製造する際に生じる温排 熱を大気中に放出せず、回収して温水を同時に製造を行う為、高効率運転が可能である。また熱 源機が一元化され設備容量の縮小も可能である。 アクチュエータ アクチュエータとはモータやエアシリンダ、油圧シリンダ、ピエゾ(圧電素子)等、動力を発生する装 置や物質の総称であるが、 油圧シリンダ等、直線運動をする駆動装置のことを指す例が多い。 (例:油圧アクチュエータ) タスクアンビエント空調 室内全体を適温に空調するのではなく、通常人のいない場所(アンビエント域)は許容できる範囲 内で温度を高く設定し、人のいる場所(タスク域)だけを適温に制御する快適性と省エネルギーの 両立を狙った空調。 VWV/VWT制御 変流量/変温度制御 Variable Water Volume/Variable Water Temperature 水熱源空調システムにおいて可変パラメーターとして流量と温度がある。部分負荷に対応する場 合に搬送動力を低減させるVWV( 変流量制御:Variable Water Volume)と熱源機器の効率を上 げるVWT(設定値変更制御:Variable Water Temperature)は相互に影響を及ぼすため、それぞれ を独立した制御として考えるのではなく、総合的な判断で最適な設定を行うことが省エネルギー上 重要である。個々の最適からシステムの最適にインテグレートしていく必要がある。 全熱交換システム 熱交換には温度だけを交換する顕熱交換と顕熱(温度)と潜熱(水蒸気)も交換する全熱交換の二 つの方法がある。 全熱交換は、外気の温度も湿度も混合中和する。すなわち、外気湿度80%、室内湿度60%の場 合、外気の80%の湿度を70%程度にまで落として、室内に吸気する。外気湿度40%とし、室内 湿度60%の場合50%程度まで外気の湿度を上げて室内に吸気する。 スマートウィンドウ 2枚の透明電導膜付きプラスチック・フィルムに液晶シートを挟んだガラス窓。電圧が加えられてい ない時は、液晶が不規則に並んでいるので不透明であるが、電圧をかけると液晶が一定方向に 整列するので透明になる。透明なガラスを瞬時に不透明に、また不透明から透明に変化させる機 能を備えた瞬間調光ガラス。 ペアガラス 複層ガラス ペアガラスとは、2枚の板ガラスをスペーサーにより一定間隔に保持し、周囲を封着剤で 密封して スペーサー内の乾燥剤により、内部の空気を常に乾燥状態に保った断熱性の高いガラス。 ローイーガラス 低放射ガラス 放射率が低いガラス。放射率が低いため室内の暖房エネルギーを室内に反射することができる。 太陽熱は透過し室内熱の放射が低いため、断熱性を向上させる。通常のガラスの放射率0・85に 対して、lowーe(ローイー)ガラスは0.1以下。 調光ガラス 調光ガラスとは、ガラスの透過率・反射率・色などを可逆的に変化させることのできるガラスのこと で、特に窓ガラスとして用いることで、省エネルギー効率の高いガラスが実現できるものと期待さ れている。調光ガラスには、電気的に変化させるエレクトロクロミックガラス、温度で変化するサー モクロミックガラスなどがある。 7-15 項目 日本文 ユビキタス 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 ubiquitous ユビキタスの語源はラテン語で、いたるところに存在する(遍在)という意味。インターネットなどの 情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境を指し、ユビキタスが普及すると、 場所にとらわれない働き方や娯楽が実現出来るようになる。 IP対応通信 ビルや工場設備の制御をインターネットやイントラネットで統合するIP技術(Internet Protocol)。 BA/FA統合プラットフォーム技 術 ZigBee BA:Building Automation FA:Factory Automation ジグビー 従来その市場が異なることからそれぞれ独自に技術開発が行われ、ネットワークやアプリケーショ ンなどが異なる製品とシステムが供給されてきた。しかし、情報通信技術の普及により両分野での 汎用化が進みつつあり、ビルや工場設備の制御を同一のネットワークで統合する方向が出てき た。これによって住環境と生産現場のエネルギー管理を一体化することが可能となり、複数主体で のエネルギー連携も今後促進する。 センサーネットワークの技術基盤としての短距離無線通信規格の一つ。アドホックにネットワーク を構築できるなど設置が容易であるほか、省電力で低コストという利点がある。そういった特長か ら空調・照明・セキュリティなどのビルディングオートメーションや家電・ホームオートメーション、工 場系のプラントモニタリングなどのアプリケーション・プロファイルが順次策定されている。 ESP Energy Service Provider 需要家におけるエネルギーの利用、調達に関するマネジメントのアウトソーシングサービス。ESC Oが省エネプロジェクトのアウトソーシングであり何らかの設備導入を事業の主体とするのに対し、 ESPはモニタリングに始まり、最適な設備の運転や設定などを行う省エネチューニングから中長 期の省エネ計画の策定などマネジメント領域を事業の主体とするところに特徴がある。 RFタグ/ICタグ Radio Frequency Tag Integrated Circuit Tag RFタグは、非接触ICチップを使った記憶媒体とアンテナを埋め込んだプレート(タグ)で、衣類や電 化製品などの商品に取り付けて使用する。RFタグには取り付けた商品の商品情報などが書き込 まれており、人の出入りの激しい店舗において商品の万引き防止などセキュリティに使われるほ か、倉庫や運送など物流の場面では商品を取り出さずに検品できるなどの利点がある。 RFID(Radio Frequency IDentification:電波方式認識)はRFタグを自動認識するシステム。 WEB2.0対応情報家電 EDFA 従来のWebでは一方的に情報を発信するが、Web 2.0では双方向で情報交換を行う。特徴として、 (1)ユーザーによる情報の自由な整理 従来のWebでは、ディレクトリ型に整理して配置する。Web 2.0では、ユーザーの手によってこれら の枠組みに捉われることなく、自由に情報を配置できる。 (2)リッチなユーザー体験 従来のWebでは、HTMLなどを利用してサービスが提供される。Web 2.0では、Ajax技術等を応用し てサービスを構築し、豊かなユーザ体験を提供できる。 Erbium Doped Fiber Amplifier Erbiumは希土類(Rare Earth)元素 のひとつで、石英光ファイバーにErbiumをドープしたシングル・ モード・ファイバー。1.47ミクロンのレーザでコア中のEr3+イオンを励起することにより1.55ミクロン の波長の信号を増幅できる。放射線や紫外線を吸収して蛍光を発するので放射線や紫外線のセ ンサーとしても利用できる。 7-16 項目 LAN 日本文 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 Local Area Network より対線や同軸ケーブル、光ファイバーなどを使って、同じ建物の中にあるコンピュータやプリンタ などを接続し、データをやり取りするネットワーク。 SAN Storage Area Network サーバとストレージ間を接続する専用のネットワークです。広義には、ストレージ統合、異種サー バ間データ共有、ストレージ統合管理の実現にまで言及する広い概念です。現在は、ファイバチャ ネルを用いて、サーバとストレージをネットワークのように接続する形態が実用化されており、一般 的にはこれが 「SAN」 と言い習わされている。 ノード Node ノードとは、「結び目」のあることを指した用語で、ネットワークに接続された機器や、ネットワークと ネットワークを接続する機器、いわゆるワークステーション、クライアント、ネットワークユーザ、ある いは パソコン、ハブのことをさし、サーバやプリンタなどの周辺機器も含めた総称。また、パソコン 通信サービスでは、ユーザーが電話をかけるアクセスポイントなどをノードと呼ぶ。ノードはケーブ ルなどのリンクを経由して他のノードと通信することができる。 コアノード/エッジノード エッジノードとは、網とその他の網を接続するために用いられるノードで、ルータやVPN装置などを 指す。コアノードとは網内のトラヒックを伝送するために中継されるノードのことである。コアノード はトラヒックを高速に処理するために、単純な機能だけを実装すべきであり、エッジノードにおいて 可能な処理は、全てエッジノードにおいて処理することで、コアノードの負荷を減らす。 フレキシブルノード 提供サービス、付加機能の拡大にフレキシブルに対応できるエッジノードに関する技術 SANノード アダプティブパワー制御 光通信用合波回路 フォトニックネットワーク Storage Area Network クライアントPCとサーバーをつなぐイーサネットLANとは別に,サーバーとディスク装置やテープ装 置などのストレージ間をつなぐ専用ネットワークをSAN(Storage Area Network)と呼ぶ。SANノードと はストレージ装置を称して呼ぶ。 電話回線の伝送速度を高速化する技術。送信側キャリアーの出力レベルを回線によって調整す る。このことによりPCM化による高調波歪を避けることが可能になる。PCM(Pulse Code Modulation)とは、 音声データをデジタル化する方式で、音質はサンプリング周波数と量子化ビット 数で設定される。 光合分波回路は、波長の異なる複数の光信号を1つの出力に合波したり、多重化された波長の異 なる複数の光信号を波長ごとの複数の出力に分波する機能を持つものであり、光波長多重伝送 システムに必要な回路デバイスである。 光分岐結合回路は、1つの光信号を2個以上の出力に分岐したり、2個以上の入力信号を1個の 出力に結合する機能を持つものであり、光加入者への光信号の分配やノードにおける分岐・挿入 や信号のモニターなどに使用される。 フォトニックネットワークとは、伝送、 多重化、 多重分離、 スイッチング、 ルーティングなどのネット ワーク転送機能を光領域で行うネットワークである。 7-17 項目 CEMS 日本文 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 Cluster Energy Management 民生業務・家庭、あるいは産業分野を問わず、複数主体が有機的に連携するためのエネルギー System マネジメントシステム。自然エネルギー・再生エネルギー利用との連携や熱の地域での有効利用 の仕組みづくりなど今後技術開発が必要となる。 HEMS Home Energy Management System BEMS Building Energy Management ITを活用し民生業務用施設において省エネルギー制御を行うとともにエネルギー管理によって環 System 境性や省エネ性の改善を支援するシステム。 LEN Local Energy Network ある地域にあるビル群、団地等のBEMS、HEMSをネットワークし複数主体が連携しエネルギー の効率利用を行うシステム。現状の地域熱供給事業およびさらに広範な地域においてBEMS、 HEMSを利用してエネルギー需給調整を行う。 TEMS Town Energy Management System 都市レベルで、BEMS、HEMSをネットワークし面的エリアにおいて複数主体が連携しエネル ギーの効率利用を行うシステム コミッショニング Commissioning ・それぞれのシステムに対して、システムが設計趣旨に合致した性能を発揮するように、設計、施 工ならびに機能試験が行われ、運転保守が可能な状態であることを検証する過程 ・環境 ・エネルギー並びに使い易さの観点から使用者の求める対象システムの要求性能を取りま とめ、設計・施工・受渡しの過程を通して、その性能実現のための性能検証関連者の判断 ・行為 に対する助言・査閲・確認を行い、必要かつ十分な文書化を行い、機能性能試験を実施して、受 け渡されるシステムの適正な運転保守が可能な状態であることを検証すること ESCO Energy Service Company (従前の利便性を損なうことなく)省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、その顧客の 省エネルギーメリットの一部を報酬として享受する事業である。 また、ESCO事業者は、事業の遂 行にあたり、顧客との間において、エネルギーサービス契約を締結し、一定の省エネルギー効果 を保証する。 アメリカのサスティナブルな都市政策の一つ。長期の視点と全体最適の観点から従来自治体レベ ルで進められていた都市計画を州政府レベルで展開するという成長抑制策である。都市中心部と 校外を包括的に把握することによって都市の効率的制御を可能にし、環境負荷を最小限に抑える 政策で、連邦環境保護局が中心となって「スマートグロース・ネットワーク」が発足している。わが 国においても問題が顕在化している中心市街地や少子高齢化に伴う都市のあり方など特に都市 をコンパクト化する技術は今後研究が必要である。 次世代スマートグロース研究 CAPD C(Check)・A(Action)・P (Plan)・D(Do) ITを活用し民生家庭分野において省エネルギー制御を行うとともにエネルギー管理によって環境 性や省エネ性の改善を支援するシステム。 PDCAとは、P(Plan)・D(Do)・C(Check)・A(Action)という省エネ活動の「計画」「実施」「監視」「改 善」サイクルを表す。このサイクルの順番はC(Check)から始めるべきだとの主張がある。 7-18 項目 M&V技術 熱利用家電 日本文 計測計量及び検証に関わる 技術 省エネ型情報生活空間創生技術 用語集 英文 内容 Technology of Measurement 省エネルギーの効果を検証する技術で計測計量に関する手法なども含まれる総合的な技術。一 & Verification 般にはESCO事業において省エネルギープロジェクトが削減したエネルギーの量を証明あるいは 監査するための方法として用いられる技術で、契約段階でその手法に関し合意をとる必要がある ため国際的なプロトコルとしてIPMVPなどが提唱されている。今後ESCO事業のみならずエネル ギーの削減量を評価することは省エネの推進において重要な要素になる。 白物家電のうち、冷蔵庫、エアコン、給湯機、食器洗い乾燥機、生ごみ処理機、洗濯乾燥機、調理 家電など製品の目的に加熱・冷却が求められる家電製品をいう。 7-19 項目 RFID 日本文 電波方式認識 RFタグ/ICタグ 先進交通社会確立技術 用語集 英文 内容 Radio Frequency RFタグ/ICタグを自動認識するシステム。 Identification Radio Frequency Tag RFタグは、非接触ICチップを使った記憶媒体とアンテナを埋め込んだプレート(タグ)で、衣類や電 Integrated Circuit Tag 化製品などの商品に取り付けて使用する。RFタグには取り付けた商品の商品情報などが書き込 まれており、人の出入りの激しい店舗において商品の万引き防止などセキュリティに使われるほ か、倉庫や運送など物流の場面では商品を取り出さずに検品できるなどの利点がある。 ITS Intelligent Transport Systems 最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークする ことにより、交通事 故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に構築する新しい 交通システム。 ETC Electronic Toll Collection 検札所の通過をスムーズ に行うために自動で料金を精算するシステム。 LRT Light Rail Transit パラレルHEV Hybrid Electric Vehicle 近年、欧米を中心とする各都市において都市内の道路交通渋滞緩和と環境問題の解消を図るた めに導入が進められている新しい交通システムであり、諸外国においては従来の路面電車との違 いを意識して、「路面のみならず地下、高架も走行でき、市街地では歩行者との共存、郊外では専 用化された軌道を高速走行する近代的な高性能な車両を使用するシステムである。」とされてい る。 エンジンとモーターが並列に配置され、ともに車輪を駆動する方式。発進時には電気モーターで、 巡行時はエンジンで、加速時にはエンジンとモーター両方で駆動する。 シリーズHEV Hybrid Electric Vehicle エンジンで発電機をまわし、その電気でモーターを回して駆動する方式。 シリーズパラレルHEV Hybrid Electric Vehicle EV Electric Vehicle シリーズ方式はモータが最大出力を供給する必要があり、小型・軽量・低コスト化に適しない。一 方、シリーズ方式は乗用車ほど低コスト化要求が厳しくないバス、鉄道車両や潜水艦で実用化さ れている。 シリーズ・パラレル併用では、最大出力時にエンジンとモータが半分ずつの負荷を担うため小型・ 軽量・低コスト化の適している。 電気自動車 FCV Fuel Cell Vehicle 燃料電池車 HCCI Homogeneous Charge Compression Ignition 燃料と空気をあらかじめ混合させた予混合気をシリンダーに送り圧縮する。高圧縮することにより 予混合気は加熱され自己(自然)着火する機関。 長所は火炎伝播限界を超えた希薄燃焼が可能であるため低公害、高効率、均一燃焼、火炎温度 の低下により低Noxである。 課題として、着火時期、燃焼期間の制御が未確立、未燃HC、COの排出量が多い。 CVT GTL 無段変速機 Continuously Variable Transmission Gas to Liquid 天然ガスを原料としてFT(フィッシャー・トロプシュ)反応により製造された灯軽油等の合成液体燃 料。 7-20 項目 DME ETBE 日本文 ジメチル・エーテル エチル・ターシャリー・ブチル・ エーテル LAN RORO船 車両IDシステム プラグイン・ハイブリッド車 英文 Dimethyl Ether ロールオンロールオフ船 内容 メタノール2分子を脱水反応させエーテル結合したもので、スプレー剤等として利用されている。メ タノールを経ずに、天然ガス、炭層メタンの水蒸気改質、石炭やバイオマス等のガス化によって得 られる合成ガスから直接製造する技術が実証、確立されつつある。LPGに近い物性で容易に液 化してハンドリングに優れ、LPGの代替燃料、燃料電池用等のクリーンな次世代燃料として期待さ れている。セタン価が高くディーゼルエンジン向きであり、酸素含有率が高く黒煙が出ないため、 環境負荷の少ないディーゼル燃料としても期待されている。 エタノール と石油系ガスであるイソ. ブテンを合成して生成する物質。現行の品質確保法上では、 ガソリンの含酸素率の上限値が1.3%となっていることから、ETBEでは7%程度まで混入可能と見ら れる。バイオマス由来の燃料(バイオ燃料)として、バイオガソリンと呼ばれることもある。 Local Area Network より対線や同軸ケーブル、光ファイバーなどを使って、同じ建物の中にあるコンピュータやプリンタ などを接続し、データをやり取りするネットワーク。 Roll On Roll Off Ship 船の中にトレーラーが自走して乗り込むことが 可能な構造となっており、クレーンを使わずに直接 貨物の積み降ろしが出来る船 identifier 家庭用電源で電池を充電できるハイブリッド車。一般的なハイブリッド車よりも電池の容量を増や すことで,モータによる電気自動車モードで走行できる距離を長くする。長距離走行や高速走行な どはエンジンとモータによるハイブリッド車モードで駆動する。 バイモーダルカー/トラック バイモーダルとは、線路上とともに道路上も走行可能な車両システム。線路上では高効率な電動 機で道路上ではエンジンで走行する。 気筒停止 パワーを必要としない場合には、バルブ制御により4気筒のうち3気筒を休止(燃料供給中止)ある いは4気筒すべてを休止する。これにより燃料消費量を抑え、低燃費も実現する。 可変気筒エンジン variable cylinder engine エコノミ走行支援 動的経路誘導 経路配分誘導 パワーを必要としない場合には、バルブ制御により4気筒のうち3気筒を休止(燃料供給中止)ある いは4気筒すべてを休止する。これにより燃料消費量を抑え、低燃費も実現する。 走行支援システムは、(1)情報提供機能(2)警報機能(3)操作支援機能という3つの機能でドライ バーを支援する。走行時の安全性を確保しより経済的な走行を支援する。 Dynamic Route Guidance System 幹線道路だけでないすべての道路からの交通情報を利用し、過去の蓄積情報から曜日・時刻・天 候別の経路、所要時間を予測し 、リアルタイム情報から蓄積情報を修正・更新しながら交通情報 を動的にドライバーに提供する技術。 ドライバーによっては安心感からどうしても幹線道路を選択する傾向にある。そのために需要にア ンバランスが生じて特定の道路に車が集中して渋滞が発生する状況になっている。各車線毎に、 かつ各車両毎に、それぞれの目的地・走行上の条件等を考慮し,最適な走行車線、直進右左折等 の走行方向を指示するとともに地域に適正に交通流を配分する。 7-21 項目 狭域路車間通信 日本文 英文 内容 路車間通信は、道路に設置された無線設備(基地局及び空中線)と車両に搭載された車載器から 構成し、基地局と車載器の間で双方向の無線通信を行う。この無線信号の届く範囲は数十m程度 に限られており、その区域内で情報を瞬時に交換する路車間通信方式。 交差点高知能化 車と交差点が無線通信により直接情報を交換し、信号を安全かつ無停止で通過する、多くの車が 高密度で通過できるよう制御する交差点 サグ 道路の構造上、交通渋滞が起こりやすい場所。高速道路において、下り坂がゆるやかに上り坂に 変化するような場所は、下り坂では自然にスピードが出ているが、前の車は上り坂であるため自 然にスピードが落ちる場所のことをいう。 バスロケシステム ある時間毎に(例えば30秒程度)バスから送信される位置情報(緯度・経度)を元にバスの運行情 報を表示するシステム。 インホイールモーター 車両のホイール部にモーターを内蔵したシステム。各車輪にそれぞれモータを内蔵することで従 来のエンジンからの駆動伝達部分(駆動軸、ディファレンシャル等)を省略できる。 デマンドバスシステム 利用者は携帯電話等で乗車予約ができ、またバス停ではバスの位置、待ち時間、目的地の到着 時間を知る事ができる。運転手には予約情報により運行ルートの変更を指示する。これによりバ スの利便性を高めつつ、ムダな走行を低減する小型バスシステム。 傾斜機能部材 Functionally Graded Materials 材料はどの部分をとってもみな同じ機能や性質を持つが、例えば、表面は耐熱性があり背面は機 械的強度が強い材料が求められる場合がある。異なる性質の材料を単純に張り合わせるのでは なく、境目をなくすように、連続的に異なる材料を混ぜあわせて作り、機能がなだらかに変化(傾 斜)する材料。 7-22 GaN 日本文 窒化ガリウム 次世代省エネデバイス技術 用語集 英文 内容 Gallium Nitride 主に青色発光ダイオードに用いられる半導体材料。 InP インジウムリン Indium Phosphide インジウムにリンを加えることで、化合物半導体となる。高速電子デバイス用結晶、MISFET、半導 体デバイス太陽電池、赤外線用半導体レーザ素子などに利用される。 SiC シリコンカーバイト Silicon Carbide BJT バイポーラ接合トランジスタ Bipolar Junction Transistor セラミックス構造材料として使われている材料で、近年、実用的な半導体素子材料にもなってい る。 P型とN型の半導体を接合したもので、エミッタ・ベース・コレクタと呼ばれる端子を持つ一般的なト ランジスタ Deep RIE deep反応性イオンエッチング Deep Reactive Ion Etching EMI 電磁干渉 Electromagnetic Interference 不要な電磁波によって他の機器に影響を与え、希望する電磁気信号に障害が起こること。 Eoff スイッチングロス Switching Loss スイッチ素子が「オン」から「オフ」あるいは「オフ」から「オン」に変わる過渡的な期間において、ス イッチ素子で発生する電力損失。 EV Electric Vehicle 電気自動車 HEV Hybrid Electric Vehicle ハイブリッド自動車 Gate Commutated Turn−off ゲートドライブ回路と素子を低インダクタンスの積層基板で接続することにより、インダクタンスを 低減した、省エネ型サイリスタの1形態。 項目 シリコンの複雑な構造物を製作するためなどに広く用いられている。微細加工に適した高精度の エッチングが可能。 GCT ゲート転流形ターンオフ HFET ヘテロ構造電界効果トランジ Heterostructure Field-Effect 異種の半導体が接する界面を流れる電流量を、この電流に垂直な方向に電界を加えることで制 スタ Transistor 御することのできるトランジスタの総称。 IC 集積回路 IGBT 絶縁ゲート型バイポーラトラン Insulated Gate Bipolar ジスタ Transistor MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタ。ゲート・エミッタ間の電圧で駆動され、入 力信号によってオン・オフができる自己消弧形であるため、大電力の高速スイッチングが可能。 IPM インテリジェントパワーモ ジュール 電力を制御するパワーMOSFETやIGBT などのパワーデバイスの駆動回路や自己保護機能を組 み込んだパワーモジュール。従来の種々のIGBTに合わせた駆動回路や保護回路の設計が不要 となり、制御回路の低速フォトカプラでの絶縁が可能になるなどの効果がある。 JFET 接合型電界効果トランジスタ Junction Field-Effect Transistor LSI Large Scale Integration LSI Integrated Circuit Intelligent Power Module トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの素子を集めて基板の上に装着し、各種の機能を 持たせた電子回路。 PN接合を逆バイアスして形成された空乏層領域をゲート電圧で増減しチャネル制御するトランジ スタ。 IC(集積回路)の同義語。 7-23 項目 MCM MESFET MIS界面 MOSFET MOS界面 p型半導体 日本文 マルチチップモジュール 次世代省エネデバイス技術 用語集 英文 内容 Multi Chip Module 基板の上に、むき出しのシリコンチップを複数個を搭載したモジュール。立体的構造がとれるた め、従来のパッケージよりも面積を節約することができる。 金属半導体形電界効果トラン Metal Semiconductor Fieldジスタ Effect Transistor 金属/絶縁体/半導体界面 Metal-InsulatorSemiconductor Interface 金属酸化膜型電界効果トラン Metal Oxide Semiconductor ジスタ Field-Effect transistor 金属酸化膜/半導体界面 Metal Oxide Semiconductor Interface p-type semiconductor n型半導体 n-type semiconductor ゲート部分が金属電極と半導体の直接接合になっているトランジスタ。 金属、絶縁体、半導体の境界面 ゲート部分が半導体の酸化皮膜上の金属電極になっているトランジスタ。 酸化皮膜と半導体の境界面 電荷を運ぶ「キャリア」に正孔(ホール)と呼ばれる電子の欠落が生まれ、これが移動することに よって電流が生じる半導体。高純度のケイ素(シリコン:Si)の中に、ケイ素より価電子数の少ない3 価元素のホウ素(B)を加えることにより生成される。 ODU 屋外機器 Out Door Unit 電荷を運ぶ「キャリア」に自由電子が使われる半導体。高純度のケイ素(シリコン:Si)の中に、ケイ 素より価電子数の一つ多い5価元素のヒ素(As)などをごく微量混ぜることにより生成される。ダイ オードやトランジスタ などの半導体素子は、n型半導体とp型半導体を組み合わせることによって 生まれる。 衛星通信用の屋外機器 PC パーソナルコンピューター Personal computor パーソナルコンピューター PiNダイオード PiNダイオード P-intrinsic-N Diode PN間に電気抵抗の大きな半導体層をはさみ少数キャリア蓄積効果を大きくし逆回復時間を長くし たダイオード。高周波スイッチングに使用される。 PN接合 PN接合 Positive-Negative junction p型半導体とn型半導体を接合したもの、またはその接合点。整流性、エレクトロルミネセンス、光 起電力効果などの現象を示すほか、接合部には電子や正孔の不足する空乏層が発生する。 RB-IGBT 逆阻止IGBT Reverse Blocking IGBT 逆阻止IGBT RC-IGBT 逆導通IGBT Reverse conducting IGBT 逆導通IGBT RonA オン抵抗 Specific on-resistance FETがオン状態のときの、FETのドレイン電極とソース電極間の抵抗値に素子の面積を掛けたも の、オン抵抗が小さいほど挿入損失が小さくなります。 SBD ショットキーバリアダイオード Schottky Barrier Diode SCR シリコン制御整流素子 Silicon Controlled Rectifier 金属と半導体との接合によって生じるショットキー障壁を利用したダイオード。スイッチング特性が 優れているため、標準ロジックICの高速化、オーディオ機器の電源回路、スイッチング電源で使用 される。 サイリスタの別名 7-24 SIT 日本文 静電誘導トランジスタ 次世代省エネデバイス技術 用語集 英文 内容 Static Induction Transistor 半導体のpn接合により電流をオン/オフするタイプのトランジスタ。チャネルが半導体内部にあり、 界面の影響を受けずにすむため、損失低減に有利。 SJ素子 超接合素子 Superjunction device SoC システムオンチップ、システム System on Chip LSI 項目 SOIウエーハ TCAD Silicon on Insulator Wafer P型とN型の柱が交互に存在することにより高耐圧と低抵抗を実現した半導体素子 マイクロプロセッサ、チップセット、ビデオチップ、メモリなどの機能を1つのチップに集積したもの。 実装面積が縮小し、消費電力も複数チップに比べ抑えられる。 Si基板と表面Si層の間にSiO2を挿入した構造の基板。トランジスタの寄生容量を減らせるため、動 作速度向上と消費電力削減に効果がある。 Technology Computer Aided Design コレクタ−エミッタ間飽和電圧 collector-emitter saturation voltage ワイマックス Worldwide Interoperability for Microwave Access 電子デバイスやその作製プロセス、システムをコンピュータ上で開発、モデリング、最適化する手 法。 トランジスタのベース電流に対して、コレクタとエミッタの間にかかる最低限の(飽和状態時の)電 圧。 高速通信光・メタル回線の敷設やDSL等の利用が困難な地域で、ラストワンマイルの接続手段とし て期待されている無線通信技術の一規格。 ウエーハ ウェーハ Wafer ICチップの製造に使われる半導体でできた薄い基板。シリコン製のものが多く、これを特に「シリコ ンウェハ」と呼ぶ。 埋め込みエピ 埋め込みエピ burid epitaxial layer エピタキシャル層に部分的にエッチングをしてできた孔に再度異なる伝導型のエピタキシャル層を 再成長するもの。 エピ欠陥 エピ欠陥、エピ積層欠陥 Epitaxial defects 素子の性能を阻害する基板上に結晶成長させた薄膜中における欠陥。欠陥の種類は複数あり、 種類によって素子に及ぼす影響は異なる。 ゲート酸化膜 ゲート酸化膜 Gate Oxide MOSFETのゲート領域における絶縁膜。酸化Siの膜が多く使用される。 高周波用HFET 高周波用HFET 電流コラプス 電流コラプス サイリスタ サイリスタ High frequency heterojunction 高周波デバイスに使用するHFET field effect transistor Current Collapse GaN系トランジスタにおける表面トラップの影響により大電力動作時にドレイン電流が低下する問 題 Thyristor 3つ以上の接合部を持った半導体素子の総称。最も広く用いられているSCR(商品名、3極伝導サ イリスタ)やトライアック(商品名、3極双方向サイリスタ)などがある。 ショットキーダイオード ショットキーダイオード、ショッ Schottky Barrier Diode トキーバリアダイオード ショットキー電極 ショットキー電極 Vce(sat.) WiMAX Schottky barrier metal 金属と半導体との接合によって生じるショットキー障壁を利用したダイオード。スイッチング特性が 優れているため、標準ロジックICの高速化、オーディオ機器の電源回路、スイッチング電源で使用 される。 金属と半導体との接合がショットキー障壁になる金属のこと 7-25 項目 真空デバイス 日本文 真空デバイス 次世代省エネデバイス技術 用語集 英文 内容 vacuum device 真空中の電子の運動を利用する電子デバイス。 スイッチング電源 スイッチング電源 switching regulator スイッチング用HFET スイッチング用HFET ソフトスイッチング ソフトスイッチング チャネル移動度 チャネル移動度 Switching Heterojunction field スイッチングデバイスに使用するHFET effect transistor Softswitching 半導体スイッチのターンオンまたはターンオフ時の電圧、電流波形を変形させ,スイッチング損失 を小さくさせると共にサージ電圧または電流を低減させる方式。スイッチング電源の省エネルギー に貢献する。 Channel mobility トランジスタ(MOSFET)の性能指標の一つで、トランジスタ内を電子が流れる速度を表わす。この 数値が大きいものほどトランジスタのオン抵抗が下がり、動作スピードが速い。 転位欠陥 転位欠陥 Dislocation エピタキシャル欠陥のひとつ。 結晶がその中のある面に沿ってずれることによって生じる。 転位密度 転位密度 Dislocation Density ドーピング ドーピング Doping 転位欠陥が起きたときの、転位欠陥の規模を示す指標。ある一定領域における転位欠陥面積の 量。 電子や正孔(キャリア)の濃度調整、禁制帯幅などのバンド構造や物理的特性などの制御など、 半導体の性質を変える目的で、結晶に少量の不純物を添加すること。 ノーマリーオフ ノーマリーオフ Normallyoff ノーマリーオン ノーマリーオン Normallyon ヘテロエピ成長 ヘテロエピ成長、ヘテロエピタ Heteroepitaxial Growth キシャル成長 薄膜結晶成長技術のひとつ。基板となる結晶の上に基板とは異なる物質の結晶成長を行い、下 地の基板の結晶面にそろえて配列する方式。 マイクロパイプ欠陥 マイクロパイプ欠陥、中空貫 通欠陥 マトリックスコンバータ Micropipe エピタキシャル欠陥のひとつ。マイクロパイプと呼ばれる孔状の欠陥が生じるもの。 Matrix Converter 三相交流電力を別の周波数,電圧の交流電力に直接変換するもの。 ワイドバンド半導体、ワイド ギャップ半導体 Wide Band Gap Semiconductors バンドギャップの大きい半導体。III-V族半導体、特にGaNなど窒化物半導体が含まれる。発光ダイ オードなどの光半導体、低損失のパワーデバイスなどへの応用がある。 マトリックスコンバータ ワイドバンド半導体 電力を変換・調整するためにスイッチング素子(電気回路の一部をON/OFFできる素子)を用いた 電源装置。特に、直流電力を別の直流電力に変換するDC-DCコンバータ、および交流電力を一 定の直流電力に変換する整流装置によって構成された電源装置を指すことが多い。 ゲートに電圧を印加していないと電流が流れない素子のこと。ほとんどのパワー素子がこの型で ある。 ゲートに電圧を印加していない時にも電流が流れるパワー素子。 7-26