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水
木
川
食
動物
暮らし
植物
人
森からひろがる
どんぐりの森活動プログラム集
―小学校中学年での環境学習に向けて―
【発行】上越市
1
目次
1. プログラム集の目的と使い方
1-1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
1-2 プログラム集の構成について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2. ようこそどんぐりの森へ
2-1 上越の森のどんぐり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2-2 どんぐりの森はすごい ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2-3 どんぐりの森と世界の森で起きていること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
・ どんぐりの森は今
・ 日本と世界の森のつながり
3. いってみよう!やってみよう!
3-1 活動の前に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
・ 森に入る時のマナー
・ フィールドに隠れている危険性と対処方法
・ 危険な生き物と対処方法
3-2 どんぐりを切り口とした環境学習プログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
・ 森林への導入プログラム
・ 森林学習プログラム
・ 森林資源活用プログラム
3-3 年間計画モデル例と教科・行事とのつながり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
4.
もっと知りたい!学びたい!
4-1 身近な自然を活用できる体験施設、フィールドを紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
4-2 プログラム集についての相談、支援などの問合せ先一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
引用・参考文献・プログラム協力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
2
1.プログラム集の目的と使い方
1-1 はじめに
かつての子ども達は、暮らしや遊びを通して自然とふれあい、その豊かさや不思議、いのちの大切さを感
じ取りながら、自然とともに生きる知恵や技術を身につけてきました。また子ども同士で遊ぶことや、創意工夫
しながら自然にあるものを使って遊ぶことで、自主性や創造力、コミュニケーション能力を高めてきました。さ
らにはすり傷や切り傷を作ったり、小さなけがを重ねることで、危険予知などの認知判断能力や問題解決能
力の育みにもつながっていたといわれています。
しかし、近年の社会環境の変化や都市化によって、身近な自然が少なくなり、外で遊ぶ子ども達の姿をみ
かけることが少なくなりました。子どもと自然との距離が離れ、自然とのふれあいが減少することは、子どもの
運動能力やコミュニケーション能力の低下、いのちの重さが実感できないなど様々な心や体の問題を引き起
こす要因にもなっているといわれています。
このような中、全国の小・中学校における「総合的な学習の時間」の導入や、平成 15 年の「環境の保全の
ための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(通称:環境教育推進法)」の施行により、学校教育な
どにおける環境学習・体験学習などの充実が図られてきました。しかし、自然体験をテーマとした取組におい
ては、指導者、協力者などの人材の不足や安全管理の難しさ、環境学習が実施できるフィールドが限られて
いること、移動手段が得にくいなど多くの問題を抱えています。
そこで上越市では、平成 15~18 年度、子どもたちに親しみのあるどんぐりの育成や植栽を通して、森林の
二酸化炭素固定機能や国土の保全、水源涵養などの多面的機能への認識を深めるとともに、環境問題に
対する意識の啓発を図ることで、環境学習の推進に寄与することを目的に「どんぐりの森整備モデル事業」を
実施しました。
本書は、この事業において上越市内の小学校がモデル校となったどんぐりを切り口とした様々な環境学習
プログラムの実施例を中心に、小学校中学年を対象とする指導者に向けて、主に森林をテーマとした環境学
習・体験学習に取り組む際の参考ガイドとしてまとめました。森林に親しむ・興味を持つといった導入のプロ
グラムから、調査や実験など理解を深めるためのプログラム、工作などの森林を活用するプログラムまで 12
種類のプログラムを「身近な自然を活かして活動する」ことを軸に提案しています。
森林や自然環境への理解と関心を深めるために、本書をご活用頂ければ幸いです。
プログラム集に出てくるマークの解説
:学校での活動、
z
z
z
z
:フィールドでの活動を指します
:学びをより深めるためのチャレンジ活動
おすすめ資料:活動内容をより詳しく知りたい時の文献やホームページ
:
このまま
使えるシート
:指導者が活動時に持参して使用できるシートや子ども達が観察・実験内容などを
記入できるシート。実際に活動時に使用したものです。
3
1-2 プログラム集の構成について
本プログラム集の構成は以下の通りです。
2.ようこそどんぐりの森へ(5~7 ページ)
どんぐりの種類、森林の多面的機能、世界の森林の現状などこれから活動を行う際の基礎的
な情報を掲載しています。
3.いってみよう!やってみよう!
3-1
活動の前に(8~11 ページ)
森に入るときのマナー、フィールドに隠れている危険性と対処方法、安全確認につい
て掲載しています。活動を行う際の安全確認にお使いください。
3-2
どんぐりを切り口とした環境学習プログラム
平成 15~18 年度の間にモデル小学校で実施されたプログラムから抜粋し、指導者が
取り組みやすく、かつ身近な自然を活かして活動できるプログラムを掲載しています。
◆森林への導入プログラム(13~18 ページ)
・ひらけ耳!‐森の音を探し、みんなでわかちあう‐
・ひらけ鼻!‐においを手がかりに森を歩き、森の様子を探る‐
・森のふしぎ発見隊‐森の中で見られる不思議を楽しみながら発見する‐
◆森林学習プログラム(19~31 ページ)
・どんぐりを育てよう‐身近で親しみのある木「どんぐり」を育てて、森の未来を考える‐
・森は緑のダム‐森の重要な機能の一つ「水源涵養機能」について実験を通して学ぶ‐
・森を救え!(ごみ編)
‐森の問題のひとつ「不法投棄」の問題を通して、自分たちのくらしふりかえる‐
・森を救え!(森の手入れ編)‐荒廃している森の現状に触れ、手入れをして森を元気にする‐
◆森林資源活用プログラム(32~40 ページ)
・森の遊び場づくり‐手入れ後の森や材を活かして、森の遊び場を作って遊ぶ‐
・森の恵みでネームプレート‐森の恵を素敵な作品作り‐
・葉っぱで遊ぼう!作ろう!‐葉っぱを使った遊びや工作に挑戦‐
・どんぐりを食べよう‐どんぐりの食べ方をクッキー作りを通して学ぶ‐
・どんぐりを染めよう‐どんぐりを使って染め物に挑戦‐
3-3
年間計画モデル例と教科・行事とのつながり(42~43 ページ)
モデル小学校で実際に実施した年間計画事例のほか、各教科などと結びつきが強いプ
ログラムを一覧で掲載しています。
4.もっと知りたい!学びたい!(44~45 ページ)
身近な自然を活用できる体験施設、フィールドを紹介しているほか、プログラム集の
相談、支援などの問合せ先を掲載しています。
4
2.ようこそどんぐりの森へ
2-1 上越の森のどんぐり
どんぐりは、ブナ科の植物のつける実または種子のことを総称した名前で、「どんぐり」いう名の木があ
るわけではありません。日本にはどんぐりのなる木は約 20 種類あり、そのうち上越地域には約 6 種類が
自生しています。公園や街路樹には、本来上越地域には自生していない、人の手によって植えられたど
んぐりもあります。
ブナ科の木には落葉樹と常緑樹があり、花が咲き受粉して、その秋に実になるもの(一年成)と、翌年
の秋に実るもの(二年成)があります。上越地域に自生するどんぐりは全て落葉樹で、クヌギ以外は一年
成です。
ようしん
葉身の形は
さまざま
【コナラ】
【ミズナラ】
里山に見られる。葉は
ミ ズ ナ ラと 似る が 葉
柄が長い。
実 は ミ ズナ ラよ り 少
し小さめ。
里山や山地に見られ
る。葉はコナラと似る
が葉柄がほとんど無
い。実はコナラより少
し大きめ。
ようへい
葉柄が短い
葉柄が長い
【ブナ】
山地帯に見られる。旧
上越市内では、桑取や
南葉山に自生する。実
は三角錐状でとげの
ある皮に包まれる。
【クヌギ】
山 林 や 民家 近く に 見
られる。葉は楕円形で
縁が尖っている。実は
丸い。
このまま食べても
香ばしい!
【クリ】
【ナラガシワ】
ブナ科なのでどんぐ
りの仲間。実はいがに
包まれ、食用にされ
る。
タ ル 型 の大 きな ド ン
グリ。平地に生える。
参考資料:
「どんぐりの図鑑」伊藤ふくお著/トンボ出版、
「探して楽しむ ドングリと松ぼっくり」片桐啓子著/山と溪谷社
5
2-2 どんぐりの森はすごい!
森林には多面的な機能があります。それらが総合的に働くことで効果が発揮され、私たち人間はもちろ
ん、様々な生き物が生きる環境や自然環境がバランスよく保たれています。特にどんぐりの木が生えている
ような雑木林では、人工林よりもこれらの効果が大きいといわれています。子ども達が森で活動し、森につ
いて学ぶことは、森林が持つ機能や豊かな自然の大切さに気づき、守っていこうという意識を高めることに
つながります。
■おいしい空気を
つくる
森の木々や植物は、成長す
る時に日光を浴びて、光合
成をすることにより、二酸
化炭素を吸収し、酸素をつ
くってくれる。
■熱い空気を涼しくする
■癒しの場・学びの場
葉っぱの中に含まれている
水は、日光を浴びて蒸発する
時に、まわりの熱を奪って温
度を下げてくれる。街の中よ
りも森の中の方が涼しく感
じるのはこの働きのおかげ。
森林浴やハイキング、キャ
ンプなど森で過ごすこと
を通して、森は私たちにや
すらぎを与えてくれる。ま
た自然体験や環境学習な
ど学びを深める実践の場
にもなる。
■生き物を育む
■騒音をシャットダウン
森は木(葉、幹、根)、落
ち葉、土と様々な環境があ
ることで、多くの生き物の
えさ場やすみか、繁殖の場
所となる。
森の木々や草の葉が、私たち
の家の窓と同じような働き
をして、音をさえぎるため、
森の中は外の騒音が聞こえ
にくくなり、静かに感じる。
■森は恵みの宝庫
■海を育む
森は私たちに、建築に使う
木材や燃料となる薪や炭、
山菜やキノコ、木の実とい
った食べ物など多くの恵み
を与えてくれる。
森の土からしみ出たミネ
ラルを含んだ雨水が、川か
ら海へと流れ、海藻や植物
性プランクトンの栄養と
なり、それらをエサとする
魚を育てる。
■水をきれいに美味し
くする
■水をためる・洪水を
防ぐ
雨水が森の土の中をゆっ
くりと流れていくうちに、
土の層がフィルターの役
目となって、汚れた水をき
れいにする。また岩などの
ミネラル分が溶け込んで
美味しい水へと変化する。
森に降りそそいだ雨は、一
時森の土に貯えられ、少し
ずつ地下水や川へしみ出
し、洪水や水不足を防いで
くれる。
6
■土砂崩れを防ぐ
森の木々の根は、土壌と基
岩層との境界をしっかり
と押さえてくれるので、山
が崩れ、土砂が流れるのを
防いでくれる。
2-3 どんぐりの森と世界の森で起きていること
■どんぐりの森は今…
どんぐりの木が生えているような雑木林は、
昭和 40 年代頃までは人の手によってきちん
と管理されていました。森から暮らしに必要
な材や燃料、山菜などの食料を採取しながら、
採りすぎず、切りすぎずとバランスよく使うこと
で、森が手入れされ、若返り、元気な森に育
こんな
暗い森には
住めないよ
っていたのです。このような人と自然とが共存
した森は「里山林」と呼ばれ、今注目を集め
ています。
森が荒廃することで起きている問題
→土砂崩れや洪水などの災害
→日の当たらなくなった森は植物の種類が減り、動物
も減少
→すみかを失った動物が人里に寄り付き事故が多発
→木の高齢化により病害虫に対抗できず枯死が増加
など
しかし、昭和 30 年代に起きた炭から石油
への燃料革命により、炭や薪が必要とされな
くなり、人が森に入らなくなってしまいました。
人の手の入らなくなった里山はツルや下草
に覆われ、暗く、若い木が育たない元気のな
い森へと変わり、本来森が持っていた様々な機能が働かなくなりつつあります。
■日本と世界の森のつながり
昭和 30 年代に木材の輸入自由化が始まって以降、日本の林業は安い輸入材に太刀打ちできな
くなってしまいました。植林されたスギやヒノキ、カラマツなどの針葉樹のほとんどは、使われ
ることなく放置されています。平成 17 年度の日本の木材自給率はわずか 20%にまで落ち込み、
木材の大部分をアメリカやカナダ、東南アジア、ロシアなどからの輸入に頼っているのが現状で
す。
日本は国土面積 67%が森林に覆われている世界有数の森林王国ですが、木材の使用量も世界
でトップクラスです。日本が自分の国の森を使わずに、他の国の森を切りつくし、森が無くなっ
てしまった国や砂漠化が進んでいる国もあります。木材の輸入に頼ることは、使われず手入れさ
れなくなってしまった日本の森
12,000
10,000
80%
7 1 .4 %
自
給
60%
率
供
8,000
給
量
6,000
%
)
万
㎥
4 5 .0 %
)
の活かし方について考えてみま
100%
(
の木の文化を見直し、日本の森
自給率
(
「森の民」と呼ばれた日本人
外材(輸入材)
8 6 .7 %
く、世界の森を破壊することに
もつながっているのです。
国産材
9 4 .5 %
の荒廃を招いているだけではな
40%
3 5 .6 %
4,000
3 5 .9 %
3 1 .7 %
しょう。
2 6 .4 %
2 0 .0 %
20%
2,000
2 0 .5 %
1 8 .2 %
0
0%
S30
S35
S40
S45
S50
S55
S60
H2
H7
H12
H17
資料:林野庁「木材需給表」
7
3.いってみよう!やってみよう!
3-1 活動の前に…
森にはたくさんの体験や学びがあふれています。しかし私たちが森に入ることで、その自然を汚したり、
傷つけたりしては仕方がありません。また、森には様々な危険も隠れています。森に入る前にまずは、森で
活動する時のマナーやフィールドに隠れている危険性を知っておくことが大切です。
■森に入る時のマナー
以下の 4 つは森の中に入って活動するとき、必ず守ってほしいマナーです。自然を大切にしようと
いう心の育くみにもつながりますので、子ども達と一緒に必ず確認をしておきましょう。
・ 動物や植物をむやみにとらない、傷つけない(観察や調べもの、工作などで採取する場合
は、採取してよい数などルールをみんなで決めて、守るように促す)
・ 森は多くの生き物の生息場所であり、地元の人が林業やキノコ、山菜の採取場所として利
用する暮らしに必要な場でもある。「お邪魔します」という謙虚な気持ちで森に入ること
・ ごみは必ず持ち帰る(景観を損ねるだけではなく、食べ物のごみは人間の食べ物の味を動
物が覚え、動物を人里に引き寄せるようになりとても危険)
・ フィールドとする森の所有者を調べ、許可を取ってから入る(森は個人や市、県、国など必
ず所有者がいる。植物の採取を禁止しているところもあるため注意が必要)
■フィールドに隠れている危険性と対処方法
9~10 ページのシートを参考に、フィールドの下見や危険な生き物に対する予防策、服装、持ち物の
確認などを活動の前に徹底することで、事故の発生を最小限に抑えることが可能です。また万が一起き
てしまったケガや事故などの緊急時において、スムーズな対応が事前に考えられていることも、ケガの
症状を軽減させる重要な課題です。森の中での搬送や移動方法、最寄りの病院を確認し、シミュレーシ
ョンをしておきましょう。
いつも同じフィールドを利用していても、時期によって事象が変化するため、活動に入る前には必ず
確認をしましょう。野外・屋内に関わらず、暑さや水分補給不足による日射病、熱射病などにも注意しま
しょう。途中の休憩や水分補給はとりわけ子どもの場合、頻繁に必要です。
■危険な生き物と対処方法
森の活動中に出合う代表的な危険な生き物とその応急処置法を 11 ページで紹介します。危険な動
物、植物から身を守るために以下の 3 つのことを共通して気をつけましょう。
① 危険な生き物には「近よらない」「さわらない」
「口に入れない」
② ヘビやハチには、慌てず、刺激をせずに静かにその場から離れる
③ 危険な生き物を見つけたら周りの人に危険があることを伝える
8
このまま
使えるシート
フィールドにおける確認事項
【活動前の確認事項】
□ 森フィールドの危険の有無を下記を参考にして、確認と対策を行う
9
チェックポイントと対策
ハチの巣
→木のうろや枝、地面周辺をハチが飛び回っている時は、巣が近い証拠なので注意。巣があった場合は、危
険なので近づかないようにするか、業者に除去を依頼
かぶれる植物(ヤマウルシ、ツタウルシ、ヌルデ)
→日の当たるところに生えていることが多い。除去またはテープなどで目印をつけておき、注意を促す
有毒植物(トリカブト、マムシグサなど)
→除去または実物を見せて注意を促す
とげ植物(サルトリイバラ、モミジイチゴ、イラクサなど)
→除去または実物を見せて注意を促す
枯れ木
→頭上の枝の落下(特に杉の枯れ枝は高所から落ちてくるので注意)や倒木は、危険なので近寄らないか、
事前に切っておく(大木の場合は専門家に依頼)
足場の悪いところ
→倒木、石、根などつまずきやすいところや、穴、崖、滑りやすいところなどを確認し、除去、近寄らない、
目印をつけて注意を促すなどの対策をとる
目の高さに突き出た枝
→ササや小枝は、はねて目にあたりやすい。見つけたら除去する。森を歩く時は前の人のはらいのけた枝に
注意するように促す
ヘビ
→岩の間や倒木の陰、やぶに潜んでいるので、そのような場所に近寄らないか、下草刈りをして、ヘビが潜
みにくい環境に変える。晴れの日は、日当たりの良い石やブロックの上、道路に寝ていることが多い。い
つも同じ場所にいることがあるので、2 度同じ所で見たら注意する
ケムシ
→春から夏にかけて被害が多く、食樹となるバラ、サクラ、カエデ、ツバキなどにつきやすい。木に目印を
つけたり、注意を促す
!森の活動の際に最低限必要な持ち物と服装!
□ 持ち物確認(指導者)・・・救急セット・笛・クマ鈴・ハチ駆除スプレー、活動に必要な準備物
□ 持ち物確認(子ども)・・・水筒・タオル(汗拭き用兼、首を保護し虫刺されを防ぐ)・カッパ(活動しやすい
上下に分かれているタイプ)
・ビニール袋(自然物の採取や拾い物をした時にあると便利。買い物袋程度の大き
さ)・筆記用具(学校で使用している「探検バック」がよい)・着替え
□ 服装確認・・・長袖・長ズボン・帽子・軍手・長靴(紫外線や注意を要する生物、ケガなどから体を守る。帽
子は日射病から身を守るため必ず着用する)
【フィールドにおける注意事項の確認】
!フィールドに出発する前に一度、フィールドに着いたら現場や実物を見ながら再確認する!
□ 森のマナーや決めたルールの再確認
□ 活動範囲の設定
見渡せる範囲(子どもから見れば先生が見えるところまで)、声が届く範囲と決めてみんなで確認をしてか
ら活動を始める
□ 休憩・水分補給を忘れずに!
9
暑い時やたくさん体を動かす活動時は、30 分間に 1 回程度休憩し、水分を補給する。また、子どもが水分を欲
しがる時には飲ませた方が良い(子どもの症状は急激に変化するため、我慢をすると熱射病や日射病になりやす
くなる。ただし、飲みすぎると腹痛を起こすこともあるので様子を見ながら)
□ 森における注意事項(生き物、植物、危険箇所など)と、対処方法を確認する
「ハチが近づいてきたらどうしよう?」
<予防策>
z
ブーンという羽音やカチカチという威嚇の音がしたらみんなに知らせる(何匹か飛び回っている場
合は、巣が近くにある証拠なのでそれ以上近寄らない)
z
音のするほうに近寄らない(そこが活動場所であっても、一旦その場を離れて安全を確認するまでは近寄
らないようにする)
z
足元が見えないようなやぶには入らない
<対処方法>
z
近づいてきたら静止する、またはしゃがんで静かにやり過ごす(1 匹で巡回している場合は偵察をし
ているハチなので、このハチに危害を与えないようにし、ハチの仲間を呼ばないようにする)
z
みんなに知らせる(2,30 人で活動していると、一部の人がわかっていても他の人が知らずに事故が起き
てしまうことがある。そのため発見したらすぐに声をかけ、みんなに周知する)
<絶対にしてはいけないこと>
z
騒ぐ・大声を出す
z
手で追い払う、叩く
(刺激を与え、集団で襲ってくる危険がある)
「ヘビが出てきたらどうしよう?」
<予防策>
z
長ズボン、長靴の徹底
z
ヤブや岩、倒木の陰にむやみに手を入れない(保護色をしているのでフィールドでは気づきにくい。軍
手の着用で事故を軽減することができる)
<対処方法>
z
ヘビに近寄らない
z
速やかにその場を離れる(通常であればまもなくヘビのほうから逃げていくが、ヘビは近眼のため、間違
えて向かってきてしまうことがある。その場合は、慌てず距離をとりながら道を譲る)
z
みんなに知らせる(ヘビがいた場所や逃げて行った方角をみんなに知らせ、その場所に近寄らないように
する)
<絶対にしてはいけないこと>
z
つついたり追い回したりしない(ヘビに刺激を与え、噛み付いてくる危険がある)
野外での安全対策には「レスキュー・ハンドブック」山と渓谷社、「野外毒本」羽根田治著/山と渓谷社なども参照してくだ
さい。
10
このまま
使えるシート
危険な生き物と応急処置法マニュアル
【危険な生き物】
種類
予防策
応急処置法
・ 巣に近づかない(土の中に巣 ① 針が残っていれば毛抜きかテープで抜く
があることも)
② 水でよく洗う
・ ハチ駆除スプレーの携帯
③ 抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏(以下軟
・ 黒い服装を避ける
膏)を塗る
・ 一度刺されたことがあると ④ 患部を冷やしながら、病院へ
体がアレルギー反応を起こ
しやすくなるので事前に確
認しておく
① あわてず、まず安静に
ヘビ
・ 長ズボン、長靴を着用
(特にマムシ、ヤ ・ ヤブや岩、倒木の陰に手を入 ② 傷口から心臓寄りのところを軽くしばる
マカガシ)
れない
③ すぐに病院へ(咬まれたヘビの模様を覚えておくとよ
い)
・ ヘビに近寄らない
(H19 現在の血清常備病院:
・ 驚かさない
上越地域医療センター病院 025-523-2131、
銭型模様が特徴→
新潟労災病院 025-543-3123)
ハチ
(特にスズメバ
チ、アシナガバ
チ)
① 毒毛を水で洗い流すか、テープなどで取り除く(掻
いたり、こすらないように)
② 軟膏を塗る
③ 冷やすことで痛みを軽減
刺されても殆ど痛みはないが、10 日ほどすると刺
ツツガムシ
・ 長袖、長ズボンを着用
( ダ ニ の 仲 間 で ・ 土の上に直接座らない(刺さ された個所がかさぶたや潰瘍になり、発熱や発疹リ
0.3 ㎜)
れる個所はお尻などの皮膚 ンパ節腫脹が現れる。
そうした場合はすぐ病院へ行って診察を受ける(抗
の柔らかいところが多い)
・ 新潟では春と秋に被害が多 生物質の投与を受ける)
いので注意する
ケ ム シ 、 ド ク ・ さわらない
ガ、イラガ
・ 軍手を着用
・ 刺されたらこすらない
【さわるとかぶれる植物(個人差がある)】
種類
ヤマウルシ
ツタウルシ
ヌルデ
ハゼノキ
予防策
・ 長袖、長ズボン、軍手の着用
・ さわらない
・ 事前に撤去
・ 一度かぶれたことがあると
体がアレルギー反応を起こ
しかぶれやすくなるので事
前に確認しておく
処置方法
① 水で洗う(掻いたり、こすらないように)
② 軟膏を塗る
③ 冷やして腫れや痒みを軽減
④ 症状がひどい場合は病院へ
傘のような円形に広がる葉で、茎が赤い
のが特徴→
【口にしてはいけない植物】
種類
トリカブト、
マムシグサ
毒キノコ
予防
・ 口に入れない
・ 事前に撤去
処置
① 水かぬるま湯を飲んで何度もはき出す
② 全身を保温し病院へ(食べたものを持参)
薄紫色をした筒状
の花→
ここで紹介した内容は、あくまでも応急処置法のため、処置後病状が悪化するようであればただちに病院の診察を受けてくださ
い。またアレルギーなど個々の状態により処置法も異なります。あらかじめ子ども達の健康状態を知っておくことが重要です。
11
3-2 どんぐりを切り口とした環境学習プログラム
森林への導入プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13~18
遊びや五感を通した自然体験など森に親しむ活動
森林学習プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19~31
調査や観察、森林整備を通して森の機能や現状、問題に触れ森への関心を深める活動
森林資源活用プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32~41
作る・食べる・染めるなど森の資源を様々な視点から活用し、森の恵みを感じる活動
ここに紹介されているプログラムは、平成 15~18 年度の間にモデル小学校で実施されたプログラムのなか
から抜粋し、指導者が取り組みやすく、かつ身近な自然を生かして活動できるプログラムとしてアレンジされ
たものです。記載されている時間や道具、展開などはあくまでも例示ですので、実施に当たっては、ねらいや
学習深度、地域の環境、活用できるフィールドに応じてお使いいただくことをおすすめします。
また、それぞれのプログラムを組み合わせてより効果的な指導を実施することができます。詳しくは 42 ペー
ジからの年間計画モデル例を参照下さい。
12
森林への導入プログラム
ひらけ耳!
ー森の音を探し、みんなでわかちあうー
ねらい
◆ 場所:学校近くの森や森林公園(起伏が少なくひら
けていると活動しやすい)など
普段視覚に頼ることの多い生活の中で、あえてその一
つを閉じて耳を使うことを意識し、森には様々な音が
◇ 時間:30 分
あることに気づきます。また心を落ち着かせ、気持ち
◆ 時期:春、夏、秋、冬いつでも
◇ 道具:とくになし
をリラックスさせる効果もあります。
すすめ方
1. 導入
はじめに、子どもが森に対してどのようなイメージを持っているのかを尋ねます。
森での活動経験が少ない子どもにとって、森は未知の世界であり不安も多く、また普段室内でのゲー
ム遊びなどが多い子どもにとっては、森の中でどのように遊んだらよいのか分かりません。
「森が怖
い」「森なんてつまらない」と話している子どもが、森での活動を通してどのように変化していくの
か長期的に見ていきましょう。
2. ひらけ耳!(森の音を探そう)
① 森へ移動します。
② 「今からみんなに『森に棲むウサギ』になってもらいます。ウサ
ギのまねをしてみてください」と呼びかけ、手を耳の後ろにつけ
ます。
「ウサギは長い耳で色々な音を聞いています。今から 1 分間静か
にして、森の音聞いてみましょう。どんな音が聞こえたか覚えてお
いてください。」
③ 1 分後…「どんな音が聞こえましたか?」
聞こえてきた音をとりあげて、音の正体を想像し、森の中には
風の音、虫の声、鳥の声、
葉のなる音、飛行機の音…
様々な音があることや、たくさんの生き物たちが棲んでいること
を、音を通して感じます。
声がけ
の例
・ 春の森であれば…小鳥たちの声がたくさん聞こえるはずです。
「小鳥の声がたくさん聞こえるね。
何種類聞こえたかな?」
「春の森は、小鳥たちが子育てで飛び回っているから、とても賑やかなん
だよ。
」
・ 「風の音はどんな音だった?」→「ヒュー」
「ゴォッ」
「さらさら」→「どこから聞こえてきたの?」
「同じ音が聞こえた人はいるかな?」
「同じ風でも、森を抜けてくる風の音や耳元で風が葉をゆら
す音など様々な『風』があることに気づいたかな。」
ポイント
ここでは、鳥や虫の名前を覚えるよりも、森の音を感じ、声の主を想像する
楽しみを優先するように心がけましょう
13
森林への導入プログラム
④ 「音を聞くことで、『場所がわかる』森の音や川の音、町の音。『鳴いている生き物』がここにいる
ことがわかる。カエルの声や鳥の声、虫の声。
『何が起きている』かわかる。雨が降っている、雪が
降っている、大風が吹いている。
『季節』がわかるなど」音には色々な情報が詰まっていることを伝
えます。
発 展
ひらけ耳!
z
聞こえた音を、「音の地図」として表現し、子どもたち同士で見合い、話合うことで、より深く音を
感じ取ります。
① 全員に画用紙と鉛筆を配ります。
② 「画用紙の真ん中に×印を書きます。これが自分の位置です。」
③ 「今度は5分間静かにして、森の音を聞いてみましょう。」「聞こえてきた音を画用紙に線や記号
などで描きます。例えば、私ならカラスの声は
こんなふうに、虫の声は
こんな感じに
描きます(一例を示す)。音の形は決まっていないので、自由に描いてみましょう」
④ 描き方がわかったら、音が聞こえてきそうな場所に散らばって座ります。
⑤ 合図とともに静かにして音を描きます。
⑥ 5 分ほどしたら、描いた紙を持って集まります。
×
⑦ 「グループになって絵を見せ合いましょう。一つ一つの音について、どん
な音で、どこから、どんなふうに聞こえてきたのか、友達に絵の説明をし
描き込み例
てあげてください。」少人数であれば、全員で輪になって1人ずつ発表
してもよいです。
ポイント
季節ごとに同様の活動を行い、季節による「音の地図」の変化を調べ
るのもよいでしょう。またフィールドを変えて、田んぼや川でも行っ
てみましょう。カエルの鳴き声や川に住む生き物、水の音など新たな
描き方にはこだわらず自由
に表現できるように、固まっ
て座らずに、できるだけ1人
で活動できるように指示し
ます
発見が見つかります。
安全対策
発展の活動時は、あらかじめ散らばる範囲を設定し、危険な場所には行かないように注意します。
教科や行事とのつながり事例
z
音楽・文化祭で…
森の音を素材に、音楽の作曲に挑戦。森の木や竹を使っての楽器作り
や、小鳥のさえずりをリコーダーで表現など、工夫をして森の音を表
現します。
おすすめ資料:「自然と遊ぼう森の楽校」小林毅著/山と渓谷社(五感を使った森遊びをたくさんの写真と絵で紹介)、「声が
聞こえる野鳥図鑑」文一総合出版(付属の機器で鳥の声が読み取れる)、「上越市の自然シリーズ 2 野鳥」上越市市民生活部環
境企画課(身近な野鳥を紹介)、「鳴く虫たち」加納康嗣著/保育社
14
森林への導入プログラム
ひらけ鼻!
ーにおいを手がかりに森を歩き、森の様子を探るー
ねらい
◆ 場所:学校近くの森や森林公園(起伏が少なくひら
けていると活動しやすい)など
私たちは普段、意識をせずに鼻を使い、生活をしてい
ます。自然の中でにおいを手がかりに、においから分
◇ 時間:30 分
かることを発見し、みんなでわかちあいます。
◆ 時期:春、夏、秋、冬いつでも
◇ 道具:フィルムケースなど
すすめ方
1. 導入
この活動は、五感を通して行う森への導入の活動として、「ひらけ耳!」プログラムの活動に続けて
行うことをお勧めします。2つの活動を続けて行うことで、聴覚、嗅覚を使うことへの意識をより高
めることができます。
2. 活動前の準備
活動に入る前に、あらかじめ森を下見し、においのするものを数種類(グループで
活動するため、できればグループごとに違う種類が良い)集めて、フィルムケース
などに入れておきます。
3. ひらけ鼻!(森のにおいを探そう)
① 「みんなの鼻はなんのためについているのかな?」
声がけ
の例
「においを嗅ぐため?ではにおいは何の役に立っているのかな?」
「おいしいにおいをかぐと食欲が出るね。いいにおいがすると気分が良くなるね。くさいにおいは危
険な信号だ!私たちは生活の中でけっこう鼻を使っているんだよ。
」
「森の中でもにおいを手がかりに探検してみましょう」
② グループで協力して行います。
準備しておいたフィルムケースの中身の匂いを目をつむって嗅いでもらい、においを覚えたら、森の
中に探しにいきます。
「植物のにおいをかぐ時は、葉や花をちぎらずに、指でそっとこ
すってかぐようにします。とげがある植物もあるのでよく見て注
意しましょう。」
「答えの植物を見つけたら1つ持ってきてください。
グループで協
力して探しましょう。」
③ 10 分ほどしたら、みんなを集めて正解を伝えます。
みんなでにおいを確認してみましょう。
「どんなにおいかな?」
「においを何か似ているものに例えてみよう」
自然の中には様々なにおいがあることを体感しましょう。
15
スーッとする、つーんとす
る、ピリッとする、レモン
みたい…
森林への導入プログラム
④ 目をつぶって今度は森のにおいを嗅いでみましょう。森の空気がさわやかに感じるのは、木や草が
色々な成分※を出しているからです。
※ 成分の 1 つに「フィトンチッド」といって、樹木が自己防衛や他の生物に対して攻撃する成分があります。
この成分は人体にとって有益になるものが多く(例外として毒キノコなど)、自律神経が安定する作用(リ
フレッシュ)や消臭・抗菌・防虫などの効用があります。
⑤ 「においには色々な秘密が隠れています。たとえば、においで『場所』が分かる。森のにおいや川
のにおい、土のにおい。
『誰がいる』か分かる。お父さんのにおいやお母さんのにおい、動物のにお
ひらけ鼻!
い。たくさんのことがにおいから分かるんだね。」
森は季節によってもにおいが違います。春・夏・秋・冬とどんなにおいがするのかな?
森の中にある特徴のある香り
サンショウ
オオバクロモジ
(ミカン科)
ウナギにかける
薬味。幹にとげが
あるので注意!
(クスノキ科)
枝を折るとよい香りがす
る。高級爪楊枝に用いる
クサギ
クズ
(マメ科)
ツル性の大形草本で
手入れのされない森に
多く生えている。花は甘い
香りがする
(クマツヅラ科)
秋にピンクの星型のがく
の中に藍色の実をつける。
枝や葉にナッツのような
独特な香りがある
ポイント
グラウンドや花壇には、香りのある木や花が植栽されていることが多いで
す。森へ出かけなくても、身近な植物を有効に活用しましょう、
発 展
z
ここでは嗅覚と聴覚を使った活動を紹介しましたが、その他の五感「視覚」
「触覚」
「味覚」も使った
活動も心がけ、森を体全体で感じる体験を意識的に取り入れましょう。味覚の活動を行う際には、有
毒植物の誤食による事故を防ぐために、有識者に事前に安全性を判断してもらうようにします。
安全対策
森の中を自由に行動する際には、範囲を設定し、危険な場所には行かないように注意しましょう。ウ
ルシなどの有毒植物がある場合は、活動中に触らないように除去をするか、植物を見せて覚えてから
活動に入るようにします。サンショウなどとげ植物にも、触れる時には注意しましょう。
おすすめ資料:「自然と遊ぼう森の楽校」小林毅著/山と渓谷社(五感を使った森遊びをたくさんの写真と絵で紹介)
16
森林への導入プログラム
森のふしぎ発見隊
ー森の中で見られる不思議を楽しみながら発見するー
◆ 場所:学校近くの森や森林公園(起伏が少なくひら
ねらい
けていると活動しやすい)など
探検隊の気分になって、
「森の不思議」を発見してい
くことで、森への関心を高め、楽しみながら森の多様
◇ 時間:30 分~1 時間
◆ 時期:春、夏、秋、冬いつでも
性に触れます。
◇ 道具:ビニール袋(拾いもの用)
、筆記用具、
あればルーペ、図鑑など
すすめ方
1. 森の不思議を探しに行こう
① 森へ移動します。
② 「みんなは今から『森の不思議発見隊』です。これから森の中を自由に歩いて、
『不思議なモノ』や
『見たことのないモノ』などをたくさん探してみましょう。」「目には見えないくらいの小さなモノ
や、葉っぱや枝の裏側にも何かあるかもしれないので、よく注意して見てみましょう。
」
③ 「見つけたモノは持ってきてください。植物など生えているモノの場合は、たくさん採らずに、1
つだけにしましょう。」「大きくて持ってこられないモノは、場所を覚えておいてください。あとで
みんなで見にいきましょう。」
ポイント
グループに分かれて活動する場合は、隊長やグループ名を決めることで、より子どもたちの意欲が高
まります。
2. みんなで観察してみよう
① 10分ほどしたら、発見したモノを持って集まります。
「どんな『森の不思議』を発見したかをみんなに紹介しましょう」
と促し、子どもから紹介をしてもらいましょう。
② 興味を引き出し、驚きや感動をみんなで分かち合います。
声がけ
の例
「どんなところで見つけたの?」
「どんな特徴があるの?臭いはある?手触りは?色は?・・・」
「○○さんが見つけた不思議なモノを知っている人はいるかな?」
ポイント
一方的に先生が説明するのではなく、子ども達が想像し、話せる場を作ります。植
物や昆虫など生き物に詳しい子どもがいれば、みんなに説明してもらいましょう。
ルーペや双眼実体顕微鏡(ネイチャ
-スコープといって、フィールド用の
顕微鏡)があれば、小さなモノも観察
することができます。
ミクロの世界が見えてくるぞ!森
や土の上には、小さな昆虫や不思
議なものがいっぱいだ!
17
森林への導入プログラム
③ 不思議なモノに、
「キラキラしている」
「○○に似ている」
「毛が生えている」など特徴を探して、自
分たちだけの名前をつけてみましょう。
特徴をつかむと同時に、生き物への関心を高めます。
発見したモノを記録しておくと、後で調べる際に参考になります。
ポイント
森のふしぎ発見隊
モノの名称を書くのではなく、絵や言葉で感じたままに描く
ことで、生き物の形や色、におい、手触りにも着目できます。
④ 「『森の不思議発見隊』の発見したモノは全部でいくつあったかな?
森の中にはみんなの知らないたくさんの不思議があるのだね。次に来たらまた新しい発見があるか
もしれません!」と森への興味を促し、次回の活動につなげましょう。
発 展
z
同じ場所でも春、夏、秋、冬と探検し、季節により変化を見つけるようにすると、さらに発見が増え
るでしょう。
z
気になったモノを図鑑やインターネットで調べます。また調べてもわからないものは写真を撮り、発
表やクイズを行いながら、みんなで答えを探っていくことで、楽しみながら森への興味を高めること
ができます。
安全対策
森の中を自由に行動する際には、範囲を設定し、危険な場所には行かないように注意しましょう。ウ
ルシなどの有毒植物がある場合は、活動中に触らないように除去するか、植物を見せて覚えてから、
活動に入るようにします。
教科や行事とのつながり事例
★ 理科で…
4 年生で学習する「動物、植物の様子」の単元とつなげて学ぶことができます。
おすすめ資料:「上越市の自然シリーズ 1 山野草」上越市市民生活部環境企画課(身近に見られる山野草を紹介)、「上越市の
自然シリーズ6樹木Ⅰ」上越市市民生活部環境企画課(身近に見られる木を紹介)、「虫こぶハンドブック」文一総合出版(森
の不思議なモノの代表「虫こぶ」〔昆虫が植物の組織に卵を産み付け、植物の組織が異常に発達しこぶ状になったもの〕を写真
で解説)、「土の中の小さな生き物ハンドブック」皆越ようせい著/文一総合出版、「アニマルトラック&バードトラックハンド
ブック」今泉忠明著/自由国民社(森に残された動物の痕跡を調べるのに役立つ)
18
森林学習プログラム
どんぐりを育てよう
ー身近で親しみのある木「どんぐり」を育てて、森の未来を考えるー
ねらい
◇ 場所:学校近くの森や森林公園など(どんぐりの木
どんぐりの育成を通して、命が芽生え、育っていく過
が自生している場所。採取する活動なので必ず地権
程への関心を高めると同時に、木を育てることの楽し
者や管理者の許可を得る)
さや大変さを実践を通して体感します。
1. 時間:各活動は 30 分程度
◇ 時期:春~11 月頃までの長期活動
2. 道具:シャベル、ポット、プランター、腐葉土
すすめ方
1. 春の森に出かけよう
近くの森や雑木林など、どんぐりの木が生えている場所に出かけます。
春の森では、木々が芽吹きだし、地面には木の赤ちゃん達が芽を出しているのが見られます。
2. どんぐりの木を探してみよう
コナラやミズナラ、クヌギなどのどんぐりの木をみんなで探してみましょう(4ページの写真参考)
。
声がけ
の例
その木を見上げながらどんぐりについて紹介します。
「この木がどんぐりのなる木です。『どんぐり』の木にはいくつか種類があって、どんぐりや葉っぱ
の形の違いによって名前が違います。上越には約 6 種類のどんぐりのなる木があります。日本には約
20 種類、世界だと 600 種類以上もあって、どんぐりの形も様々です。」
3. どんぐりの赤ちゃんを探そう
「これは大人の大きな木だけれど、木の赤ちゃん(実生※)を見たことはあるか
な?」※実生とは、植物の種子が地面に落ちて発芽したものです。どんぐりは秋
に落ちると、根はすぐに出てきますが、葉は雪解けの4月初め頃に芽吹きます。
「みんなで木の赤ちゃんを探してみましょう。」(コナラやミズナラの実生は、
葉の形は親の葉と同じだが、一回り小さくした葉で、10 ㎝
程度の高さ。一番上にだけ葉がついている)。
実生には、まだどんぐり
(実)がついているよ!
4. 実生を持ち帰る
① 実生を根を切らないようにシャベルで掘り出します。
② ポット(ビニール袋でもよい)に植え替え、森の土も一緒にポットに入れて、今までの環境と同じ
ようにして、学校へ持ち帰ります。
5. 実生を育てよう
① 持ち帰ったどんぐりをプランターに移し変えます。
(森の土が足りない場合は、ホームセンターなどで購入できる赤玉
土と腐葉土を 7:3 の割合で混ぜて使うと良い)
19
森林学習プログラム
② 「これからみんなは木の赤ちゃんの『お母さん』です。木の赤ちゃんが育つためには何が必要かな?」
→光、栄養、土などがそろわないと大きくなれないことや、大人の木に成長できるのは ごくわず
かであることを伝えましょう。
③ 水やりや観察日をいつにするかなど、みんなでルールを作ります(夏休みなどの長期休みは、交代
での水やりが必要)。
どんぐりを育てよう
z
どんぐりへの水やりの目安としてまつぼっくりを 1 つプラン
ターの中に入れておきます。まつぼっくりは、空気が乾燥し
ているとカサが開き、湿度があるとカサが閉じ
るので、カサが開いている時に水をあげます。
④ 定期的に成長の様子を観察し、成長過程での発見を記録しましょう。自
分の育てる木に名前をつけると、木への愛着と育てることへの意識が高
記入シート参照
21ページへ→
まります。
⑤ 樹木が冬期間の休眠期に入る 11 月頃、育成したどんぐりを元の森やグラウンドなどへ移植します
(40 ㎝以上に育っていれば、森に戻した時に実生から育つよりも生存率は高くなる)
。植栽する前
に、どんぐりの育つ環境を整備しておきましょう(日が当たるように、下草刈りや間伐を行う)。ま
た木と木の間隔は 1m 以上空けるようにします。
発 展
z
自分たちの育てているどんぐりについて調べ、活動への意欲を高めます(種類による実や木、葉の
違いや、育て方など)。
z
どんぐりの実生だけではなく、大きく育ったどんぐり木の観察も同時に行います(森で見つけた木
に目印を付けて観察用とする)。5 月頃に咲く花の様子や、どんぐりのできる様子など、普段なか
なか目にしないところに着目して記録します。
z
育成したどんぐりを近くに移植できる場合は、次年度以降もどんぐりの成長を見守る活動ができる
ように(観察や手入れなど)、学校全体で森づくりへのビジョンをもって取り組むとよいでしょう。
森の設計図(画用紙に、みんなが思い描く未来の森の様子を絵や言葉で表現)などを描いてワーク
ショップや発表を行い、森づくりへの意識を高めます。
教科や行事とのつながり事例
★ 理科で…
4 年生で学習する「動物、植物の様子」の単元とつなげて学ぶことができます。
●コラム● 木の成長
木は草よりもゆっくりと成長します。生育環境にもよりますが、ミズナラは1年間に5㎜ぐらいずつ
幹が太くなります。初めの 1 年(春から秋)は特に、実生の状態からぐんぐん芽を伸ばし、葉もたく
さんつけていくため、育成、観察、記録に適しています。一番成長の早い植物は竹で、節に成長点があ
るため、各節が同時に成長し、なんと 1 日に 1、2m も伸びた記録もあります。今ある大きな木は、
どれほどの時間をかけて育ったのかを考え、森が育つことの大変さと重要性に気づきましょう。
おすすめ資料:「校外学習に役立つみぢかな飼育と栽培16ドングリ」七尾純著/国土社、「樹木と遊ぶ図鑑(アウトドアガイドシ
リーズ)」おくやまひさし著/地球丸(どんぐりの育て方を紹介)
、へんてこ樹木図鑑 HP http://www.ki-net.jp/index.html(様々
な木の芽生えを写真で紹介)
20
このまま
使えるシート
どんぐりの木観察シート
名前:
日にち:
高さ:
月
日
幹の太さ:
cm
mm
葉っぱの枚数:
まい
元気度チェック!
□日当たりはよい?
□ツルはまきついていない?
□かれているはっぱはない?
□草におおわれていない?
□はっぱを食べる虫はいない?
絵や気づいたことを書こう
21
森林学習プログラム
森は緑のダム
ー森の重要な機能の一つ「水源涵養機能」について実験を通して学ぶー
ねらい
◆ 場所:学校近くの森(土を採取する活動なので、必
ず地権者や管理者の許可を得る)
森が持つ様々な機能は、目で見えることが少なく実感
しにくいものです。このプログラムでは、森の機能の
1つである「水源涵養機能」を取り上げ、実験を通し
て体感します。
◇ 時間: 2 時間
◆ 時期:春、夏、秋
◇ 道具:軍手、シャベル、新聞紙、ペットボトル3本、
カッター(ハサミ)
、ガムテープ、バケツ、ジョウロ、
筆記用具、記入シート
すすめ方
1. 導入
森の機能についてみんなで考えてみましょう(6ページ参照)。
声がけ
の例
「森は毎日私たちや生き物、地球のためにたくさん働いてくれています。どんな『働き』をしてい
るかみんなは知っているかな?」
「例えば、森の木はたくさんの葉っぱをつけているね。葉っぱは太陽の光を浴びて、私たちが吐き
出した二酸化炭素を吸って、酸素を作るという大事な働きをして
います。」
「木の幹や枝はどうかな?鳥やリス、昆虫たちが住む生き物のす
みかになっているね。」
「では、木の下の根っこはどんな働きをしていると思う?」
ポイント
ここでは、森の機能について答
えを先に教えてしまうのではな
く、森をイメージしながら、考
え、想像させるような声がけを
します。
今日は、この「根っこと木の根がささえる土」がどんな働きをしているかを学びます。
2. 森の土を掘り出そう
① 森に移動します。
② まずは、腐葉土でふかふかした森の土の感触を、足でふんで体感しましょう。
③ 土を下絵のように掘り出します。
④ 土を掘り出した後、新聞紙の上に掘り出した順番に並べていきます。また、手で触れて土の感触を
覚えておきましょう。
→ペットボトル 1 本が
入るくらいの幅・深さの
土を掘り出す
22
森林学習プログラム
3. 実験前の準備
① 調査道具を作ります。
調査道具の作り方
↑
2つをガムテープで止める
② 実験の比較として、砂(グラウンドや砂場など)を森の土と同じ量ぐらい採取します。
4. 実験
① 採取した森の土を、掘り出した順番にペットボトルに入れます。下には下層の土が、
上には上層の土がくるようにします。上から少し押して圧縮しましょう(森と同じ
環境をペットボトルの中に作る)
② ①に、雨と過程して水1ℓをジョウロに入れて少しずつ上から注ぎます。
③ 水の浸み出してくる様子を観察し、シートに記入します。
④ 次に、砂をペットボトルに入れて、②と同じように水を注ぎ、観察します。
→水は浸み込んでいきますが、溜め続けることができま
せん。水を注ぎ続けると、土砂崩れのように急にペット
ボトルの口から砂が流れでます。
記入シート参照
24 ページへ→
5. 実験の結果を考察
・ 森の土と砂の実験結果をふりかえり、違いを比べましょう。
・ 森の土が水を溜められる理由を考えましょう。
声がけ
の例
「森の土にあって砂に無いものは何かな?土を掘り出した時のことを思い出してみましょう。木の根
だらけで掘りにくくなかった?木の根は、森の土を支える大事な働きをしています。」
「森の土の中にはアリやダンゴムシ、ミミズ、モグラなど小さな生き物がたくさん生活しています。
これらの生き物は落ち葉や枯れ枝、動物の死骸やフンを食べて、土の中に穴を掘って移動します。そ
のおかげで、森の土は細かくスポンジのようになり、降った雨を溜めることができるのです(裸地の
3 倍もの保水力があるといわれている。スポンジの保水力を例に出すとイメージしやすい)
。そして
少しずつ土の下へ、川へと流しています。実験でも、少しずつ水が出てきたね。だから雨が降っても
洪水が起こりにくく、日照りが続いても、地下水や川の水が枯れてしまうことがないのです。
」
「砂の場合は、たくさんの水を含むと、水を溜めることができずに、砂ごと流れ出してしまったね。
これは土砂崩れと同じような現象です。森がなくなって山が土や石ころだけになってしまったところ
や、手入れのされなくなった荒れた森で、土砂崩れが年々増えています。
」
23
森は緑のダム
① ペットボトルを 2 本用意する
② 片方(A)はカッターやはさみで底だけを切り取る
③ A にカッターで、水抜き穴として 3 ㎝ほどの切れ込みを
4 箇所入れる(右写真の線)
④ もう片方(B)は底と口を切り取る
⑤ 2 本のペットボトルをつなぎ、ガムテープで止める
森林学習プログラム
ポイント
本来実験では、土や水の量など正確な数値を出して、土の保水力をパーセントを
使って割り出すことができます。しかしここでは 4 年生を対象としているため、
パーセントについては未学習として、数値の出し方は説明していません。まずは、
実験から体感すること(土の感触やペットボトルの土が含む水の重さを手で感じ
る)を重視して、実験の比較を行うようにしましょう。
森は緑のダム
発 展
z
水源涵養機能が高い森は、杉などの人工林よりも雑木林、さらには
ブナ林といわれています。ブナ林を見学し、土を掘り出して観察し
てみましょう。杉林の土と比べると、ブナ林の根はとても細かく、
掘りにくいです。またナイフなどで土の層を切り出すと(右写真)、
腐葉土が何層も重なりスポンジのようになっていること(水を溜め
られる証拠)が確かめられます。
z
双眼実体顕微鏡(フィールド用の顕微鏡)や通常の顕微鏡を使って森の土を採取し観察します。スポ
ンジのような細かい粒でできている土の様子や小さな生き物を発見し、普段あまり見ることのない土
の秘密に着目してみましょう。
安全対策
・ 土を掘り出す際には必ず軍手をはめ、土中のムカデなどの毒虫に刺されるのを防ぎます。
・ 調査道具を作る際、カッターを使用するので、ケガをしないように注意します。
教科や行事とのつながり事例
★ 社会で…
4 年生で学習する「水」の単元とつなげられます。降った雨の行方を森~川~ダム~浄水場と水の流
れを追って見学、体験学習を行うことで、水の流れと森の関係性をよく理解し、実感することができ
ます。
水源の森(ブナ林)散策 →水源・湧き水見学
→正善寺ダム見学
→城山浄水場見学
おすすめ資料:「ぽたりんのじょうえつ水・奇跡の旅」NPO 法人かみえちご山里ファン倶楽部編/上越市ガス水道局発行(上越
の水について小学生向けに書かれた冊子)、「里山から学ぶ〔P.115 森は自然のダム〕」濁川明男著/北越出版発行(森の土壌
含水率を比較する実験を紹介)、「土の中の小さな生き物ハンドブック」皆越ようせい著/文一総合出版発行
24
このまま
使えるシート
森の保水力調査(森の土がどのくらい水をためられるのか調べよう)
名前:
日にち:
月
日
取 っ て き た 場 所 土やしみ出してくる水の様子を観察して、絵や気づいたことを
やその様子
書こう
森の土
砂
(
)
25
森林学習プログラム
森を救え!(ごみ編)
ー森の問題のひとつ「不法投棄」の問題を通して、自分たちの暮らしをふりかえるー
ねらい
◆ 場所:森の周辺にある不法投棄場所
身近な森に起きている問題を発見し、問題について意
◇ 時間: 2 時間
欲的に考える力を養います。また自分の暮らしをふり
◆ 時期:春、夏、秋
かえり、ごみの出る暮らしを見直すきっかけを作りま
◇ 道具:軍手、筆記用具、記入シート、記録用カメラ
など
す。
すすめ方
1. 導入
「森林破壊」や「酸性雨」「砂漠化」など世界で起きている地球環境問題は耳にすることが多いで
すが、身近な森で起きていることについてはあまり知られていません。今身近な森の多くは、不法投
棄や森の荒廃、荒廃による土砂崩れなどに悩まされています。このプログラムでは、森に起きている
ごみ問題を取り上げ、探っていきます。
「近くの森から『悩み相談』が来ています。とっても困っているらしいのですが、どんな悩みだと
思いますか?みんなで予想してみましょう」
声がけ
の例
2. 不法投棄現場直撃!
事前に不法投棄のある場所を調べておいて、そこに子どもたちを連
れていきます。
① 「きちんとごみを処理せずに、勝手に捨てたごみを『不法投棄』と言
います。『不法投棄』される場所になってしまったということがこの
森の悩みだったんだね。」
② 「このような場所を見てどう思うかな?何を感じるかな?」
③ 「どんなごみが捨てられているのか調べてみましょう。」
記入シート参照
28 ページへ→
3. 不法投棄について考えよう
① 学校へ戻り、不法投棄現場にはどんなごみがあったか、挙げてみましょう。
② 土に還るもの、還らないものに分別してみます。ほとんどのごみが土に還らないごみであることに
気づきます。土に還らないごみは、何年経ってもそのままの状態で残ってしまいます。
③ なぜ森にごみを捨てたのか?誰がごみを捨てたのか?考えてみましょう。
④ 森にごみがあることで、どんな影響があるのか考えてみましょう
26
森林学習プログラム
森の動物や植物の気持ちになって考えることで、よりイメージが湧
きやすくなります。すみか
や食べているものなどを
ヒントに、ごみによる影響
ウサギの気持ちになって考え
たよ。針金があると体が絡ま
っちゃうかもしれない…
を考えましょう。
土に還りにくいもの
(やがて腐食して土に返る)
ごみの種類
生ごみ、紙、木、布(綿、毛)
など
鶏や魚の骨、鉄でできているス
チール缶、針金、釘など
自然や生き
物への影響
動物が生ごみで人間の食べ物の
味を覚え、人里に下りてくるよ
うになる・布の糸が絡まって動
けなくなる
動物の足に釘が刺さってケガを
する・針金が体に巻きついたま
ま取れなくなる・空き缶に首を
入れて抜けなくなる
半永久的に土に還らないもの
貝殻、ビン、プラスティック、
ビニール、アルミ缶、冷蔵庫、
テレビなど
動物がごみの破片でケガをす
る・エサと間違えて食べる(消
化できずに死亡することも)
・木
が成長する時にごみを巻き込
む・有害な物質が土や水を汚染
する
4. できることを考えよう
・ 「日本では 1 人 1 日約 1kg のごみを出しています。日本は小さい島国なのに、なんと世界で 2
声がけ
の例
番目にごみをたくさん出している国です。」「みんなも生活の中で思い当たることはないかな?」
「ノートを無駄に使ったり、買ってもらったおもちゃに飽きてすぐに捨てたりしていないかな?」
・ 「粗大ごみは捨てるのにお金がかかるから、分別するのが面倒だからとごみをたくさん出すこと
が、さっき見てきた不法投棄の問題につながっています。問題解決のために私たちにできること
を考えてみましょう。」
発 展
z
不法投棄現場を調査した感想や思い、考えをまとめ、地域に発信していきます。
z
地域ぐるみでのクリーン作戦を提案し、不法投棄のごみの回収や看板の設置などを呼びかけます。
安全対策
ごみには危険なので触らないよう、また長靴や軍手をはめてケガをしないように注意します。ごみの中
を歩くのも危険ですので、なるべく外側から見るようにします。もし、ごみを回収する場合は、厚手の
ビニール手袋やマスクを着用し、十分に注意して行いましょう。
教科や行事とのつながり事例
z
社会で…
・ 4 年生で学習する「ごみ問題やリサイクルの活動」の単元とつなげて、汚泥リサイクルセンターや
クリーンセンターなどの施設を見学し、ごみの資源化について考えます。
・ 4 年生で学習する「古い道具や昔の暮らし」の単元とつなげて、現在も昔ながらの生活の残る地域
(例:上越市中ノ俣地区)を散策し、地球にやさしい暮らしへのヒントを発見します。
おすすめ資料:「ごみがもったいない」環境情報普及センター監修/学習研究社、上越地域学校教育支援センター学習支援センタ
ー作成HP http://www.jorne.or.jp/hiroba/kankyo/(上越市のごみへの取り組みを子ども向けに紹介)
27
森を救え! ごみ編
土に還るもの(微生物によって
分解される)
このまま
使えるシート
ふ ほ う と う き
不法投棄現場ちょくげき調査
名前:
日にち:
不法投棄のあった場所
どのようなものがすてられていましたか?
不法投棄現場を見てどのように思いましたか?感じましたか?
28
月
日
森林学習プログラム
森を救え!(森の手入れ編)
ー荒廃している森の現状に触れ、手入れをして森を元気にするー
ねらい
◆ 場所:学校近くの森や雑木林(木を切る活動なので
必ず地権者や管理者の許可を得る)
森の手入れ体験を通して、森作りの楽しさや大変さに
触れ、また森の現状に触れることで、自分たちにもで
きることとして森への活動意欲を高めます。
◇ 時間:2 時間
◆ 時期:春、秋
◇ 道具:軍手、ヘルメット、手ノコ(手入れ用ノコギ
リで、腰に装着できるようにベルトがあるとよい)、
カマ、笛
すすめ方
1. 導入
子ども達に「森の木を切ることは悪いことかな?良いことかな?」
「私たちの周りの森は今元気だと思う?元気じゃないと思う?その理由は?」と尋ねてみましょう。
メディアでは森林伐採や砂漠化、地球温暖化などの問題が取り上げられることが多く、木を切ること
は悪いことと思っている子どもがほとんどです。しかし昭和 40 年代までは、暮らしに必要な材や燃
料は自分たちで採取し、かつ森が絶えないようにバランスよく森を使ってきました。その結果森はい
つも手入れされ、日が当たり、ツルに覆われることなく、元気に育っていました。でも今の森はどう
でしょうか…?一見緑豊かに見える森は今、人の手が入らずに荒れているところが増えています。森
の木々が枯れたり倒れたりしてしまうと、土砂崩れなどの災害が起こりやすくなるなど森が持ってい
た様々な機能が働かなくなってしまいます。
2. 森の元気度をチェックしよう
森に出かけて森の様子をチェックしてみましょう。次のうち1
つでも当てはまれば森が荒れ、手入れが必要な状況です。
□ 木がツルに巻かれている(ツルの締め付けにより木の生長が
妨げられたり、ツルの葉に覆われ日光が遮られたりする)
□ 木と木の間が狭い(栄養不足で細い木しか育たない)
□ 森が暗い・下草が全く無い(日光が当たらないと下草さえ育
たず、植物の種類が少なくなり、かつ動物のすみかにも適さ
みんなの近くの森は、こんな
症状が起きていませんか?
ない)
□ 下草だらけで入れない(下草が多すぎると、小さな木が育た
ない)
3. 森を元気にしよう
① ヘルメットと手ノコを装着します。
② 道具の使い方と注意事項を説明します。
・ 手ノコやカマは引く時に切れます(実演して見せる)。叩くと道具が壊れてしまうのでやめまし
29
森林学習プログラム
ょう。
・ 木を切る時意外は、手ノコをさやから出さないようにしまし
ょう。ふりまわすと大変危険です。
・ カマを使わない時は、場所を決めて置くようにします(土の
上にあると、見えずに踏んでケガの元となる)
① 手入れの仕方を説明します。
森を救え!森の手入れ編
(ア) まずは足元をきれいにして、安全に作業ができるようにしま
す(草刈、枯れ枝の撤去など)
ツル採り
(イ) ツル切り:木に巻きついているツルをノコギリで切って木か
ら外します。
(ウ) 間伐:木と木の間が混み合っているところや枯れた木を切っ
て、日光が当たるようにします。
・ なるべく根元から切ります。(株が残っていると、足を引っ
掛ける危険や、株が雪に押され腐り、新しい芽の成長が妨げ
られてしまう)。
・ 周りに人がいないか確認し、倒れる時は合図をしましょう(笛
を吹く、大きな声で知らせる)。
・ 「腕よりも細い木を切る(直径 5 ㎝くらい)」などわかりや
株になって生えている木は、
何本か残して切る
すい指標を決めて作業します。直径 10cm ほどの木を切る場
合は、必ず大人がついて作業します。またそれ以上の太い木
は、作業に危険を伴うため、専門家にお願いするようにしま
しょう。
(エ) 運び出す:切った木が足元にあるとつまずいて危険です。場
所を決めて運び出します。
(オ) 玉切り:切った木を細かくします。切った木を今後どのよう
に活用するか考えて処理をしましょう。
用途にあわせて、木を処理する
→薪や焚き付け(30cm くらいの長さに切る)
→キノコのほだぎ(ナラやクルミがよい。太さ 10 ㎝以上で、長さは 50cm ほど)
→遊び場作りなどの材(枯れ枝は危険なので使用しない)
→使うあてが無い場合は、30cm くらいの長さに切っておく(土に分解されやすい)
② グループごとに(イ)(ウ)(エ)の作業に分かれて、2,30 分おきにローテンションし、各作業を体験でき
るようにします。
ポイント
植物も生き物です。木やツルをむやみやたらに切ってしまうのではなく、そこには命があることを伝えまし
ょう(年輪を数えて木の生長の年月を感じるなど)
。また昔の人達は、切った木を余すことなく上手に利用し
てきました。切った木やその場所の使い途も考えながら作業することで、森を大切にする心を育てます。
30
日の当たり方や木と木の間隔、下草の様子がどのように変わったか、手入れ前と後で森の変化を比
べてみましょう(手入れ前の状態を写真で撮っておくとよい)。
森林学習プログラム
4. 手入れ終了後
発 展
z
18 ページの「どんぐりを育てよう」の活動の森づくりにもつながります。手入れ後の森がどのよう
など、希望によって今後の森の手入れの方法も異なります。案を持って専門家に相談してみましょう。
z
採取したツルを利用してツル編みやリース作りに、切った木を使って木工作(33 ページ参照)や基
地作り(31 ページ参照)
、薪作り、キノコのほだぎにと、切った木をムダにせずに活かすアイディア
を考えます。
z
森が荒廃することで、どんな問題が起きているか、森の近くに住む人や森で仕事をしている人にイン
タビューをして、森の変化や暮らしの変化について調べます(6ページ参照)。
森が荒れ、木が弱る
と 支 え ていた根も
細くなり、土砂崩れ
が 起 こ りやすくな
る
「カシノナガキク
イムシ」という小さ
な虫が、ナラ類の幹
に入ることで木が
枯れてしまう。虫が
入った木は、幹に小
さな穴と木くずが
見られる
安全対策
・ 危険が多い活動なので、保護者や地域の方へ働きかけ、安全面で協力をお願いしましょう。
・ ウルシの木などのかぶれやすい木を切らないように注意しましょう。事前に下見をし、除去する
かテープなどで目印をつけておきます。
・ 作業に熱中すると周囲が見えなくなりケガの元となります。集中力も途切れてしまうので、休憩
と作業内容の交代を 30 分程度で行うようにします。
・ 刃物を持った人同士が接近して作業すると大変危険です。両手を広げて回りに人がいないことを
確認してから作業をするようにと、ルールを決めて徹底します。
・ 休憩時に注意事項を再確認します(足元の注意、伐倒時の合図、刃物を使っている人の側に近寄
らないなど)
注意!
ここで取り上げた手入れの方法は、里山、雑木林などの色々な種類の木が生えている場所においての方法です。杉
林などの人工林は、手入れの方法が違い、また間伐作業などは子ども達だけでは危険が伴う難しい作業ですので、必
ず専門家に指導をお願いしましょう。
おすすめ資料:「Q&A 里山林ハンドブック」林進監/日本林業調査会(里山の保全・整備のための実践的技術と知識を一問一答
方式でわかりやすく解説)、「森づくりテキストブック」中川重年著/山と渓谷社(森の手入れや利用方法の基礎知識を学ぶこと
ができる)、「図解樹木の診断と手当」掘大才著/農文協(木の育つ仕組みや樹形から木の状態を読み取る方法を図でわかりやす
く解説)、「樹皮ハンドブック」文一総合出版(木の見分け方を樹皮と葉で解説)
31
森を救え!森の手入れ編
になって欲しいか、みんなで考えます。「動物が来て欲しい」「色々な種類の植物が育つ森」「遊べる森」
森林資源活用プログラム
森の遊び場作り
ー手入れ後の森や材を活かして、森の遊び場を作るー
ねらい
◆ 場所:手入れをした森
手入れ後の材を活かすことで、木の利用について考え
◇ 時間:2 時間
ます。また、話し合い協力しながら活動することで、
◆ 時期:春、秋(森の手入れ後)
子ども同士の人間関係を育て、個々の創造力や主体性
◇ 道具:軍手、ロープ、手ノコ、あればハンモック、
荒縄など
を養います。
すすめ方
1. 導入
③ 手入れをした場所や切り出した材を使ってどんな森の遊び場を作り
たいかみんなでアイディアを出し合います。模造紙にイメージ図を描
いてもよいです。
④ 特別な道具がなくても、森の木や落ち葉や枝で様々な遊びができます
が、ここでは導入として、ロープやハンモック(※)を使って、遊
びの幅や創造力を広げていきます。これらの道具は立ち木を傷つ
けにくいこともよい点です。
子ども達の描いた遊び設
計図。「秘密基地を作りた
い」
「ブランコがほしいな」
※ ロープは(耐摩耗性・耐候性のあるクレナモロープ、直径 1 ㎝ほど
の太さがよい)ホームセンターで 130 円/m から、ハンモックは、アウトドアやスポーツ用品店で 2,000
円前後から購入できる。
2. 遊び場作りにチャレンジ
① まずは森の中を歩いて、どんな場所にどんなものを作るか決めます。
② 枯れ木を確認して、枯れ木には登らない、ロープを結ばないように注意します。
③ ロープを結ぶ場合は、どんな木が良いか説明します。太くて丈夫な木を選びます(直径 15 ㎝以上
の木)
。
④ ロープの結び方はたくさんの種類がありますが、子どもにはかた結びなどの普段の暮らしの中で使
っている取れにくい縛り方を教えてあげましょう。時間があれば事前に調べて練習しておきます。
<ロープを使った遊び場の例>
手入れで出た材とロープを使った
ハシゴ。
ハンモックは 2m ほど離れた2本
の太目の木を選び結ぶ
手入れで切ったツルをそのまま利
用した天然のターザン。足を乗せる
場所に枝をつけてもよい
32
ロープを木に巻きつけるとジャ
ングルジムに変身!
森林資源活用プログラム
ササやススキなどを採取して屋
根をふく
ぼくらの秘密基地の完成!
ポイント
森の手入れで出た材を積極的に使いましょう。小屋の骨組みやブランコ、ハシゴ、ターザンなどの足場にも
利用できます。長さは手ノコで切って調節します。材が腐っていないか確かめてから使います。
3. 遊び場ができあがったら
・ お互いどんな遊び場を作ったのか、紹介し合って遊びましょう。
・ グループごとに旗を作ると、盛り上がります。
4. 活動終了後
・ 作るうえで、大変だったことや工夫したところ、楽しかったこと
などを聞いてみましょう。
・ 遊具はそのまま設置しておいてもよいですが、森に負荷をかけないためにも、できるだけ取り外
して元の森の姿に戻します(その後も遊具を設置しておきたい場合は、その都度安全を点検して、
事故のないようにします。知らずに遊んでケガをしないように他の子どもにも周知します。また
ロープが木の幹に食い込むことで木の成長を妨げないように、幹とロープの間にタオルなどを挟
んでおくとよいでしょう)。
発 展
z
地域の人から子ども時代の森で遊んでいた内容を聞いて、実際に教えてもらいます。
z
地域の人から、昔の暮らしの中での木の使われ方を聞き、森と暮らしが密につながっていたことや木
の使い方の知恵や工夫に触れます。
安全対策
・ 危険が多い活動なので、保護者や地域の方へ働きかけ、安全面で協力をお願いしましょう。
・ 作った遊具は遊ぶ前に必ず、大人がロープの結び目や張り、強度を点検します。
・ 危険な箇所、遊具には大人が安全確保に立つようにします。
・ 切ったツルを利用したターザンは、日が経つとツルが枯れて折れてしまうため、その日のみの使
用にします。
おすすめ資料:「アウトドアロープワークハンドブック」スタジオ・ビーイング編/池田書店、「アウトドア・ロープテクニック」
山と渓谷社、「里山から学ぶ〔P.184 森でロープで遊ぶ、小屋を作る〕」濁川明男著/北越出版、「山の遊び方 地球元気村遊
びテキスト1」大蔵喜福著/旬報社、
「自然の学校 プロが教える自然遊び術」小学館
33
森の遊び場作り
手入れで出た材を使い小屋の
骨組みを作る。荒縄で木と木
を縛る
森林資源活用プログラム
森の恵みでネームプレート
ー森の恵を素敵な作品づくりー
ねらい
自然物を素材として自分の好きな作品を作りなが
ら、創造性を高め、作る楽しさを味わいます。また木
工所や建具屋から出る端材も使うことで、森の木の活
◆ 場所:学校近くの森や森林公園、室内
◇ 時間:素材探し1時間、ものづくり2時間
◆ 時期:秋(10 月頃)
◇ 道具:どんぐりなどの実や枝、葉の自然物、ビニー
ル袋、グルーガン(ホットボンドともいう。ボンド
用についても考えます。
が早く固まるので使いやすい。手芸洋品店で 1,000
円前後で購入できる)または木工用ボンド、ノコギ
リ、作業台、ブルーシート、軍手、あれば万力、木
工所や建具屋から出る端材、キリまたはドリル、紐
すすめ方
1. 導入
ここでは、森の自然物を使って、家や部屋に飾るネームプレートを作ります。見本(34 ページ写
真)を見せてイメージを膨らませてから作品を作ってもよいですし、見本のイメージに固まらないよ
うに、あえて見本を見せずに好きなように作ってもよいです。
2. 森の恵を集めに行こう
①
秋の森は、どんぐりやまつぼっくりなど森の木々から実が落ち、足元を埋め、紅葉や落葉が始まっ
ています(11 月半ばを過ぎると、落ちたどんぐりはリスやネズミの食料として持っていかれてし
まうのでそれより前に計画を立てましょう)。
②
ビニール袋を持って、素材となる自然物を探して採取します。葉っぱなどの水分の多いモノは日持
ちしないため、小枝や実などの落下物が適しています。
③
「森のふしぎ発見隊(16 ページ)」の活動をしながら採取してもよいでしょう。秋の森で、不思議
なモノが新たに見つかるかもしれません。
3. ネームプレート作り
① 集めた自然物をビニール袋から出して、濡れていればタオルで水分をふき取ります(濡れていると
ボンドがつきにくい)
② プレートとなる部分を端材の中から見つけます。大きさは好みに合わせ
て、ノコギリで切って調節します。
(小さすぎると字が入らなくなってし
まうので、10 ㎝×30 ㎝以上の大きさがよい)
③ ②にどのようなネームプレートを作る
か、自然物を置いて位置を決めます(鉛
筆で薄く下書きをしておくと作業がし
やすい)
ポイント
万力があれば万力に木を挟ん
で切ります。無い場合は二人一
組になって、一人が木を押さえ
て切ります。
④ グルーガン、または木工用ボンドを自然
物に塗って、プレートの板に付けていきます。
34
森林資源活用プログラム
⑤ 最後に上の部分 2 箇所にキリか、ドリルで穴を開けて紐を通しま
す。
4. 作品の鑑賞会
・ 作品を並べてみんなで鑑賞し、工夫したところや自分のお気に
入りのポイントなどを紹介し合います。
・ 「板に使った端材は、ここで使われなければごみとなって燃や
されてしまうものです。日本中でたくさんの端材が再利用され
ることなく燃やされています。今回はみんなが使ってくれたお
かげで、この端材は素敵な作品に生まれ変わりました。」
「みん
なの暮らしの中には木でできたものがたくさんありますね?
家や机や鉛筆やノートや…。これら自然のモノを無駄にせずに使う工夫をみんなで考えてみまし
ょう」
発 展
z
森の素材を使って色々なものづくりに挑戦してみましょう
→下記おすすめ資料参考
端材と木の実
を使った自由
木工作
どんぐりにキリ
で穴を開け、ツマヨ
ウジを刺せばコマ
に変身!
採取したツルを輪
にし、余りのツルを
クルクルと絡ませ
ていけば、簡単リー
スのできあがり。仕
上げに木の実をつ
けるとおしゃれに
安全対策
z
刃物の使用時は、刃物を持たない手に軍手をはめます(持つ手に軍手をすると滑ってしまうた。
また押さえている人も必ず軍手を着用します。
z
グルーガンの使用時は、ボンドが出る部分やボンドそのものがとても熱いので触れないように、
火傷をしないように注意します。
教科や行事とのつながり事例
★ 図工・文化祭で…
作品を文化祭で展示したり、体験コーナーを作って他の生徒に教えたりします。
おすすめ資料:「森の標本箱」小学館、「まるごとどんぐり」大滝玲子著/草土文化、「ドングリと木のみのこうさく」竹井史郎
著/小峰書店(木の実を使った工作や遊びをわかりやすいイラストや写真を使って紹介)
35
森の恵みでネームプレート
・ どんな自然物があったか振り返ってみましょう。
森林資源活用プログラム
葉っぱで遊ぼう!作ろう!
ー葉っぱを使った遊びや工作に挑戦ー
ねらい
◆ 場所:学校近くの森、森林公園など(森に限らず木
や草生えているところであればよい)
葉っぱに着目し、遊びと工作を通して、森にはたくさ
んの種類の植物があることを楽しみながら学び、また
◇ 時間:2時間
子どもの創造力を豊かにします。
◆ 時期:春、夏、秋
◇ 道具:葉っぱ、絵の具(布にはアクリル絵の具)、筆、
ブルーシート、新聞紙、スタンプするもの(布や画
用紙など凹凸の少ないものが適)
すすめ方
1. 葉っぱで遊ぼう「葉っぱじゃんけん」
z
フィールドへ移動します。
z
色々な種類の葉っぱを 1 人 10 種類ずつ探して採ってきます。葉っ
ぱの採り方(むやみに採らず枚数を選んで採ることで観察力を高め
る)や生き物の役割を話し(葉は日の光を浴びて栄養を作り出す工
場のような場所で、草や木にとって大事なもの。また他の生き物の
エサやすみかにもなる)、最小限に採ることを伝えます。
z
2 人組(グループでもよい)になって、葉っぱを使ってじゃんけんをします。
「とがった葉っぱじゃんけん!じゃんけんぽん!」
と、葉っぱの特徴をテーマにお題を出して、じゃんけんをします(
「つる
つるの葉っぱ」「虫の穴の多い葉っぱ」
「濃い緑色の葉っぱ」など)。採
ってきた葉っぱの中からこれはと思うものを出して見せ合います。
何回かじゃんけんをしながら葉っぱへの興味を深めましょう。
z
ポイント
勝ち負けにはあまりこだわら
ないようにしましょう。ここで
は、楽しみながら葉っぱに色々
な特徴があることに気づくこ
とがねらいです。
じゃんけんの他にもこんな遊び方もあります。
採ってきた葉っぱを小さい葉っぱの順、虫食いの多い順、色の薄い順などテーマを決めて 1 列
に並べていきます。順番に並べていくことで、観察力を高め、葉っぱの多様性に気づきます。
2. 葉っぱで作ろう「葉っぱスタンプ」
1. お気に入りの葉っぱを持ち帰ります(ハンカチほどの大きさにス
タンプするのであれば 1 人 10 枚ほど)。
2. 絵の具が床に移らないようにブルーシートをしき、その上に新聞
紙を置きます。
3. 新聞紙の上で、葉っぱの裏側に絵の具を塗ります(裏面には、葉
脈があるので葉の模様が写りやすい)
。絵の具は水に溶かずに、そのまま塗ります(葉脈がぼけずに
きれいにスタンプできる)
。
36
森林資源活用プログラム
4. 葉っぱを布や紙に当て、上から別の新聞紙をかぶせて、手でこす
ります(強くこすりすぎると、葉脈がつぶれて模様が出なくなっ
てしまうので注意)
。
5. 新聞紙と葉っぱをそっと取ると、できあがり!
注意!アクリル絵の具は洋服に付くと落ちなくなります。
z
作品を並べてみんなで鑑賞しましょう。
z
何種類の葉っぱがあるか数えてみましょう。身近なところにはたくさんの草や木が生えている
ことに気づきます。
z
スタンプするものによって色々な作品ができあがります(旗、カーテン、のれん、ハンカチ、
ランチョンマット、T シャツ、手提げ、手ぬぐい、画用紙など)。
大きな布にスタンプをして
クラスのはた作り
世界で一枚のランチョン
マットのできあがり
葉っぱをそのまま画用紙に
はりつけてもおもしろい
発 展
1.
葉っぱを使って、草花遊びや草笛に挑戦します。→下記おすすめ資料参考
ホオノキ
の葉でお面
作り
ササの葉を
丸めて笛に
アオソの葉は裏に
毛があるので、衣
類に貼りつきや
すい。洋服にはり
つけて、アート
に挑戦
安全対策
ウルシなどかぶれる植物やとげのある植物は、事前に、実物を見せ、触らないよう呼びかけます。
教科や行事とのつながり事例
★ 理科で…
4 年生で学習する「植物の様子」の単元とつなげて学びながら、植物への興味を深めます。
★ 図工・文化祭で…
作品を文化祭で展示したり、体験コーナーを作って他の生徒に教えたりします。
おすすめ資料:「野山で草花あそび」濁川明男著/北越出版(身近な草花を使った遊びをわかりやすく解説)、「上越市の自然シ
リーズ1山野草」上越市市民生活部環境企画課(身近に見られる山野草を紹介)、「葉っぱの不思議な力」鷲谷 いづみ著/山と
渓谷社
37
葉っぱで作ろう!遊ぼう!
3. 作品の鑑賞会
森林資源活用プログラム
どんぐりを食べよう
ーどんぐりの食べ方をクッキー作りを通して学ぶー
ねらい
◆ 場所:室内(家庭科室など調理のできるところ)
人の暮らしと森との関わりを、食体験を通して意識
◇ 時間:どんぐりペースト・アク抜き作業一昼夜、
クッキー作り 2 時間
し、また身近な自然を上手に利用しながら生活してき
た人間の知恵や苦労に触れます。
◆ 時期:秋、冬
◇ 道具:ボール、計り、泡立て器、オーブン、クッキ
ングペーパー、クッキーの材料(どんぐりペースト
※どんぐりが無い、ペーストを作る時間が無い場合は、
100g【どんぐりパウダー80g※】、薄力粉 100g、
どんぐりパウダー(どんぐりペーストを乾燥させたも
バター50g、砂糖 50g、卵の白身 1 つ、ベーキン
の)をインターネットで検索し、専門店から購入する
グパウダー少々)→約 30 枚分作れます
こともできます。
ポイント
すすめ方
どんぐり集めからクッキー作りまで 2 回か 3 回に活動を分
けて行います。
6. 導入
縄文時代は、アワやヒエと同じく大切な主食とされていたどんぐり。今ではほとんど食べることはあ
りませんが、保存食や郷土食としてどんぐり料理が伝承されている地域が今もあります(岩手県、高
知県、長崎県など)
。クリとブナを除いて、上越に自生するミズナラ、コナラ、クヌギ、ナラガシワ
は全てアク(渋味)が強い種類で、アク抜きをしなければ食べられません。昔の人達のアク抜きの知
恵を調理を通して学びます。
事前学習として、どんぐりの食べる文化や調理方法について調べておくと、子ども達の活動への意欲
が高まります。
7. どんぐりペーストをつくる
① 森でどんぐりを集めます。
・ どんぐりを水につけて浮くものを取り除きます(浮いたどんぐ
りの中には虫がいる)。
② どんぐりのアクを抜きます。
z
外の殻をペンチやトンカチなどを使って割り、渋皮
も取ります。
z
ミキサーやすり鉢で細かくします(細かくするほどアクが抜けやすくなる)。
③ 何度も水をかえて中火で煮て、アクをとり、一晩水にさらします(少量の重曹やワラ灰を入れても
よい)
。
④ フキンで濾してできあがり。
z
長期保存する場合は冷凍庫に入れます。
z
アク抜き前のどんぐりとアク抜き後のどんぐりをかじって渋を体験してみましょう
(少量)。
38
森林資源活用プログラム
8. どんぐりクッキーに挑戦!
① 手を洗い、材料と道具を確認します。
② バター50g を湯煎またはレンジで温めて溶かします。
③ 溶かしたバターに砂糖 50g(どんぐりの自然な味を出したいとき
は 30g)を加えて、泡だて器でクリーム状に練ります。
ボールの中で生地をよ
く混ぜ合わせる
⑤ ④にどんぐりペースト 100g(またはパウダー80g)と薄力粉
100g を加え、さっくり混ぜて生地を作ります。生地が柔らかい
場合は、薄力粉を足して調節します。
⑥ 好みの形や厚さに形作ります(生地を伸ばして型で抜く、好きな
形を作るなど)。
⑦ 160℃のオーブンで 10 分ほど焼いたらできあがり。
発 展
z
だんごや豆腐、コーヒーなどどんぐりを使ったメニューを調べて
葉っぱやどんぐりの形
にしてみたよ
作ってみましょう。→下記おすすめ資料参考
z
どんぐり以外にも森の中で食べられる植物を探して(実際に食べられると良い)
、森の恵の豊かさを
感じます。→下記おすすめ資料参考
z
森の中では何種類の生き物がどんぐりを餌としているのか調べて、どんぐりの木が育む生態系の大き
さに気づきます(クマ、ネズミ、リス、カケス、小さな昆虫など、大小様々な生き物がどんぐりを食
べて生きています)
。
●コラム● どんぐりの中で生きる虫
●コラム● どんぐり渋いランキング
穴のあいたどんぐりをそのままにしておくと、やがて
5 ㎜ほどの幼虫(イモムシ)が出てくる。成長途中のど
んぐりの殻斗(かくと)に穴を開けて、卵を産み付け
る昆虫の赤ちゃんである。孵化した幼虫は、どんぐりの
中身を食べて大きくなり、やがてどんぐりから出てきて
地面にもぐってさなぎになり、成虫の姿(下記の絵)と
なって出てくる。
殻斗(かくと)
もぞもぞ
どんぐりの渋の正体は「タンニン」という成分で、多
く含まれほど渋味が強い。上越に自生するどんぐりは、
クリ、ブナ以外は全てアク抜きが必要でそのまま食べる
ことができない。暖地に自生するマテバシイなどシイの
仲間はタンニンが少ないため生食が可能。
種類
タンニンの量
ミズナラ
6.7%
コナラ
4.8%
クヌギ
1.3%
マテバシイ(生食)
0.5%
出典:
「ものと人間の文化史 47 木の実」松山利夫著/法政大学
安全対策
コンロやオーブンの使用時は必ず大人がついているようにし、やけどに注意します。
おすすめ資料:「どんぐりノート」いわさゆうこ著/文化出版局(どんぐりの食べ方をイラストで紹介)、
「まるごとどんぐり」大
滝玲子著/草土文化、
「木の実・草の実」甘中照雄著/保育社(木の実や草の実を検索できる図鑑。有毒な実も紹介)、
「どんぐりの
穴のひみつ」高柳芳恵著/偕成社(どんぐりを食べる虫について解説)
39
どんぐりを食べよう
④ ③に卵の白身 1 個分を混ぜ合わせます。
森林資源活用プログラム
どんぐりで染めよう
ーどんぐりを使って染め物に挑戦ー
ねらい
◆ 場所:室内
人の暮らしと森との関わりを、染め物を通して意識
◇ 時間:4 時間
し、身近な自然を上手に利用しながら生活してきた人
◆ 時期:秋、冬
間の知恵に触れます。また自然の色の多様さを知り、
◇ 道具:どんぐり(布の重さと同じ量以上が必要)、染
める布、はかり、鍋、バケツ、割り箸、輪ゴム(模
植物への関心を高めます。
様をつける時に必要)、媒染剤(ミョウバン
布の重
さの 6%)
すすめ方
1. 導入
声がけ
の例
「色の名前には植物の色からついた名前がありますが知っているかな?(桃色、山吹色、藍色など)
」
「これらは、植物そのものの色や、糸や布を染める時に使っていた原料をそのまま色の名前にしたもの
がほとんどです。昔の人達は身近な植物を使って布や糸を染めていました。植物には色の素となる成分
が含まれていて、染めたい色によって材料となる植物を使い分けていたのです。
」
「昔の人はどんぐりの中でもクヌギ(クヌギは昔『橡色(つるばみいろ)』と呼ばれていた)を使って、
布を染めて衣服にしていました。今日は、その『どんぐり染め』に挑戦してみましょう!」
2. どんぐりの準備
・ 森で集めてきたどんぐり(色々な種類の混ぜ合わせや、種類ごとに分けて色の出かたを実験など
好きな方法で)を水洗いして汚れをとり、そのまま使用します。また、殻斗や枝、樹皮、葉(緑
色のもの)も染料として使用できます(枝、樹皮、葉を使用する際は1~2㎝程に切っておく)。
・ どんぐりをトンカチで割って中身を出し、殻は染め物に、中身はどんぐりクッキーに利用するこ
ともできます(この場合、水に浮かべて浮いた虫食いのどんぐりは、クッキーに使用しないでく
ださい)。
3. 染液をつくる
① どんぐりを鍋に入れて、布が浸るくらいの水を注ぎ、色が出るまで
中火で煮ます(30 分ほど)。
② 染液を作っている間に、布に模様をつける作業をします(どんぐり
やビー玉を中に入れて輪ゴムで縛る)。1 つ縛ると 1 つの円の模様
ができます。
③ 新しい布の場合は、水に浸して糊を取っておきます(糊がついたま
まだと染まりにくい)。
4. 媒染液を作る
媒染液とは、草花の色素を糸や布に「定着」「発色」させる役割があるため、洗濯による色落ちを防
ぎます。媒染剤には、ミョウバンや鉄、アルミなどがあり、使うものによって染まる色も変わります。
40
バケツに、水を入れミョウバン(布の重さの 6%くらい)を溶かしておきます。
5. どんぐり染めに挑戦!
① できた染液に布を浸します。
どんぐりは取り出さずにそのまま入れておくと、より濃い染液
どんぐりで染めよう
になります。
弱火で 20 分ほど煮た後、染液から布を出して水洗いします。
② 媒染液(ミョウバン)に浸します。
20 分ほど浸し、
時々かき回して布の全体がつかるようにします。
③ 媒染液から布を取り出し、水洗いします。
④ 2 度目の染色
①~③を繰り返します。
⑤ 乾燥させてできあがり!
染め物は色がつくだけでなく、どんぐりの成分によって布が丈夫
になり、防菌効果もあります。
色や模様に違いがあり、
世界で一つの作品に!
ポイント
①~③の手順を繰り返すと、濃く染まります。煮ているうちに染液が無くなっ
てしまったら、布がこげないように水を足してください(布が浸るくらい)。
6. 作品の鑑賞会
作品を見せ合ってお互いに作品を紹介しあいましょう。
声がけ
の例
「工夫したところはどんなところ?」「想像した色と同じだった?違った?」
「どんぐりの種類によって色に差はあったかな?」
発 展
z
どんぐり以外の木の実や草、木の皮などで、再度染物に挑戦してみましょう。→下記おすすめ資料参考
安全対策
コンロの近くで遊んだり、鍋をかき混ぜている間、やけどをしないように注意します。
教科や行事とのつながり事例
z
社会で…
4 年生で学習する「古い道具や昔の暮らし」の単元とつなげて、地域の染めの歴史や道具を調べます。
「染料には何を使っていたのか?」
「何を染めていたのか?」など、地域の人にインタビューをしてみ
ましょう。
★ 家庭科、文化祭で…
染めた布の縁を縫ってハンカチや小物を作って展示します。
おすすめ資料:「草木染 四季の自然を染める」山崎和樹著/山と渓谷社、「草木染めの絵本」農山漁村文化協会(日本の染めの歴
史や染めの原理などを子ども向けに解説)
41
森林資源活用プログラム
ここでは、薬局やスーパーで購入できるミョウバンを使います。
3-3 年間計画モデル例と教科・行事とのつながり
年間を通して行われる総合的な学習の時間では、継続した活動の長期計画が重要です。各活動の
一つ一つに、気づき・計画・実践・振り返るという流れがあり、その小さな単位が積み重なり長期計画とな
ります。また計画を立てる際には、先生がコーディネーターとしての役割を担うことで、様々な人や地域
を巻き込み、より活動の幅が広がります(フィールドの提供や道具の貸し出し、ボランティア協力など)。
以下にモデル校が実施した年間計画事例を紹介します。
A
小学校 ―森にテーマを絞り、身近な森を活かして活動―
z
年間のねらい:・自然に触れ、観察し、味わうことで森の楽しさを知る。
・森の持つ働きや人と森とのつながりを学ぶことで、森に起きている問題や自然を
大切にする気持ちを高める。
z
活動場所:小学校周辺の森
→同じフィールドを利用することで身近な森に愛着を持ち、四季を通して森の変化を見ることができた。
時期
活動ごとの目的
活動内容
5月
・ 春の森散策(音、匂い探し)
身近な森を通して、森に親しみ、これから育てて
→13~16 ページ
・ どんぐりの苗の植栽
いく森について興味を持つ
→19~21 ページ
・ 鳥の巣箱作り、巣箱かけ
6月
森の持つ働きについて学ぶ
7月
森の現状や問題について学ぶ。手入れをした材の
利用方法を、遊びを通して考える
10 月
11 月
2月
→22~25 ページ
・ 葉っぱスタンプ
→36~37 ページ
・ 森の手入れ体験
→29~31 ページ
・ 秘密基地作り
→32~33 ページ
・ どんぐり拾い
森の恵みを体全体で感じる
・ どんぐり工作
身近な自然について学校全体へ呼びかけて興味
をもってもらう
1月
・ 森の保水力調査
→34~35 ページ
・ 身近な森や活動について発表
・ 工作の展示
・ 冬の森の不思議探し
冬の森の木や生物の様子を観察する
→17~18 ページ
・ 冬の木の調査
一年間の振り返りを行い、自分たちができる環境
保全について考える
・ 森の未来図つくり
→19~21 ページ
・ まとめ、発表
B
小学校 ―社会の授業(水やごみの単元)とつなげ、森を様々な角度から体験し考える―
z
年間のねらい:森と川、人の暮らしとのつながりやそこに起きている問題を学ぶことで、自然を大
切にしようという気持ちを高める。
z
活動場所:小学校周辺の森、市内施設(地球環境学校、くわどり市民の森など)
42
時期
活動ごとの目的
5月
初旬
主な活動内容
身近な森を通して、森に親しみ、これから育てて
いく森について学ぶ
5月
・ 森の手入れ体験
→29~31 ページ
・ どんぐりの苗植栽
→19~21 ページ
・ 不法投棄現場見学、
ごみという視点から森を捉え、森や動物への影響
ごみワークショップ →26~28 ページ
について考える。また、昔の循環型の暮らしに触れ
・
て、今の暮らしを見つめなおす
6月
工作や森の調査を通して、森の多様性やその働き
について学ぶ
6月
水という視点から森を捉え、水源の森の働きにつ
・ 森の保水力調査
→22~25 ページ
・ 葉っぱスタンプ
→36~37 ページ
・ 水源の森散策
いて学ぶ。上流から下流までの水の流れをたどり、
(くわどり市民の森のブナ林)
・ 川の源流、正善寺ダム、第一浄水場の見学
自分の生活との関わりについて考える
7月
里山地域散策(地球環境学校と周辺にて活動)
森と川、人と川とのつながりについて学び、また
川の持つ働きや生態系について学ぶ
・ 川の水生生物観察、水質調査
(地球環境学校にて活動)
・ 汚泥リサイクルパーク見学
10 月
・ 秋の森探検
春の森との違いや森の豊かさを工作を通して体
感する
11 月
育ててきたどんぐりを植栽し、森の未来について
考える
→17~18 ページ
・ どんぐり拾い
・ どんぐり工作
→34~35 ページ
・ どんぐり染め
→40~41 ページ
・ どんぐりの植栽
→19~21 ページ
・ どんぐりクッキー
→38~39 ページ
・ 森の未来を考える
上記2つの事例は、モデル校の活動テーマに沿って実施した内容です。フィールドは学校周辺の森をメイ
ンに選定し、校区では難しい活動や他フィールドとの比較を目的とした活動として、上越市内の施設(くわど
り市民の森、地球環境学校など)を利用しました。
教科・行事とのつながり
プログラムを総合学習から各教科・行事などにつなげることが可能です。下記の表では、各教科と
つながりの深いプログラムを掲載しています。
教科・行事
教科・行事とのつながり
主なプログラム名
掲載ページ
・ 森の不思議発見
17~18
・ どんぐりを育てよう
19~21
・ 葉っぱで遊ぼう!作ろう!
36~37
「水」
・ 森は緑のダム
22~25
「ごみ問題やリサイクル活動」
・ 森を救え!(ごみ編)
26~27
「古い道具や昔の暮らし」
・ どんぐりで染めよう
40~41
音楽・文化祭
森の音を素材に、音楽の作曲に挑戦。
・ ひらけ耳!
13~14
図工・文化祭
作品の展示、体験コーナーなど
・ 森の恵みでネームプレート
34~35
・ 葉っぱで遊ぼう!作ろう!
36~37
・ どんぐりで染めよう
40~41
理科
社会
家庭科・文化祭
「動物・植物の様子」
作品の展示など
43
4.もっと知りたい!学びたい!
4-1.身近な自然を活用できる体験施設、フィールド一覧
分類
名称
体験できる内容等
指導者
の有無
所在地
電話
URL
体験施設
上越市地球環境学校
森・川遊び、観察、畑作、稲
作、里山の暮らし体験などの各
種体験学習。宿泊体験も可
○
上越市大字中ノ
025-541-2310
俣4652-2
http://www.eco.joe
tsu.niigata.jp/nakan
omata/index.html
体験施設
上越市くわどり市民
の森
水源の森(ブナ林)散策、観
察、森林整備、工作、炭焼き体
験などの森林体験学習
○
上越市大字西谷
090-5775-1208
内488-2
http://tatunet.ddo.j
p/shiminnomori/
体験施設
新潟県立大潟水と森
公園
動植物の観察、デイキャンプ、
木工などの各種体験学習
△
上越市大潟区潟
025-534-6190
町1381
http//ogata.greene
ry-niigata.or.jp
体験施設
キューピットバレイ
スキー場 雪冷房施
設
雪氷熱エネルギーの活用方法
△
上越市安塚区須 ㈱キューピットバレイ http://www.yukidar
川
025-593-2041
uma-kogen.com
体験施設
上越市環境情報セン
ター
森の教室(木工工作)、環境実
験室(地球環境問題を学ぶ)な
ど
○
上越市大字土橋
025-527-3616
1914-3
http://www.eco.joe
tsu.niigata.jp/index.
asp
NPO法人
プログラム
かみえちご山里ファ
の提供
ン倶楽部
自然体験、里山の暮らし体験、
森林整備など各種体験学習。学
習内容の提案や会場の手配可
○
上越市大字増沢
025-541-2602
962-1
http://homepage3.
nifty.com/kamiechig
o/
プログラム NPO法人
の提供
木と遊ぶ研究所
森林整備、木工教室など、学習
内容の提案や会場の手配可
△
上越市石橋1丁
025-544-3255
目6-10
プログラム 日本自然学習実践セ
の提供
ンター林床整備林
森林整備、里山の観察
○
上越市頸城区日
025-530-3851
根津116-1
http://www.jpsatoyama.com/
NPO法人
プログラム
日本自然学習実践セ
の提供
ンター里やま学校
日本自然学習実践センター林床
整備林や近隣の里山をテーマと
したワークショップなど
○
上越市頸城区日
025-530-3851
根津116-1
http://www.jpsatoyama.com/
プログラム 自然観察・環境学習
の提供
ハイキング
植物の生息・生き物の生息を学
習しながらのハイキング。学習
内容の提案や会場の手配可
△
上越市安塚区安 (財)雪だるま財団
塚722-3
025-592-3988
http://www.yukidar
uma.or.jp/ZAIDAN/
プログラム 農林漁業体験受入れ
の提供
事業
稲作、畑作、森林体験、漁業体
験。学習内容の提案や会場の手
配可
△
上越市安塚区安 (財)雪だるま財団
塚722-3
025-592-3988
http://www.yukidar
uma.or.jp/ZAIDAN/
フィールド 上越市南葉高原キャ
のみ
ンプ場
自然観察(動物・植物)
×
上越市大字後谷
025-524-9046
251-8
http://www.city.joet
su.niigata.jp/sisetu/
park/nanba/nanba.
html
フィールド 菱ヶ岳グリーンパー
のみ
クキャンプ場
自然観察(ブナ林・動物・植
物)
△
上越市安塚区須 ㈱キューピットバレイ http://www.yukidar
川
025-593-2041
uma-kogen.com
フィールド
菱ヶ岳(山頂周辺)
のみ
自然観察(ブナ林・動物・植
物)
△
上越市安塚区須 ㈱キューピットバレイ http://www.yukidar
川
025-593-2041
uma-kogen.com
フィールド あさひの里田麦ぶな
のみ
の森園
自然観察(ブナ林・動物・植
物)
△
上越市大島区田 大島庄屋の家
麦1096-2
025-594-3848
フィールド 清里区梨平峠ブナの
のみ
森
ブナ林散策、観察
×
清里区産業建設G
上越市清里区梨
025-528-3111
平
(内線265)
フィールド シーサイドパーク名
のみ
立
森林の環境学習、バードウォッ
チング
×
上越市名立区名
025-537-2123
立小泊798-1
http://www.city.joet
su.niigata.jp/nadac
hi/seaside/index.ht
ml
フィールド
犀ヶ池遊歩道
のみ
ブナ林散策、観察
×
牧区産業建設G
上越市牧区宇津
025-533-5141
俣
(内線143)
http://www.city.joet
su.niigata.jp/maki/k
ankou/saigaike/ind
ex.htm
フィールド 牧ふるさと村自然と
のみ
憩の森
自然観察(里山の樹木、植物)
×
上越市牧区池舟
025-533-5603
2
http://www.city.joet
su.niigata.jp/maki/k
ankou/hurusato.ht
m
△は指導者の手配と派遣可
44
http://www.city.joet
su.niigata.jp/oshima
/map/syouya/index.
html
4-2. プログラム集についての相談、支援などの問合せ先一覧
道具の手配や作業手順、フィールドの選定など学校独自でプログラムが行うことが困難な場合、
下記施設へご相談ください。アドバイスや活動の指導、道具の貸し出し、フィールドの提供など
ご相談に応じることが可能です(※内容によっては、実費代、講師代がかかることがありますの
で、問合せの際にお確かめください)。
名称
対応できるプログラム
上越市市民生活部
環境企画課
上越市市民生活部
生活環境課
上越地域振興局農林振興部
林業振興課
上越市 くわどり市民の森
・自然観察など、環境問題全般の講師派遣
が可能。
・
「森を救え!(ごみ編)
:26~28 ページ」
で対応可
・
「森を救え!(森の手入れ編)
:29~31
ページ」で対応可
・
「森を救え!(森の手入れ編)
:29~31
ページ」で対応可
連絡先(TEL)
025-526-5111
025-526-5111
025-526-9466
090-5775-1208
・
「森を救え!
(ごみ編)
:26~28 ページ」、
上越市 地球環境学校
「森を救え!(森の手入れ編):29~31
025-541-2310
ページ」などで対応可
NPO法人 かみえちご山里
ファン倶楽部
・プログラム全般に対応可
025-541-2602
・
「森を救え!(森の手入れ編)
:29~31
NPO法人 木と遊ぶ研究所
ページ」、「森の恵でネームプレート:34
~35 ページ」で対応可
45
025-544-3255
引用・参考文献
・ 「森で遊ぶプログラム集 2 小中学年の総合的な学習」社団法人全国林業改良普及協会
・ 「ネイチャーゲーム1」ジョセフ B.コーネル著/柏書房株式会社
・ 「どんぐりの図鑑」伊藤ふくお著/トンボ出版
・ 「ドングリの謎」盛口満著/どうぶつ社出版
・ 「里山から学ぶ 総合的な学習の時間における教材化の視点」濁川明男著/北越出版
・ 「自然と遊ぼう森の楽校」小林毅著/山と渓谷社
・ 「上越市の自然シリーズ 1 山野草」上越市市民生活部環境企画課
・ 「上越市の自然シリーズ 6 樹木Ⅰ」上越市市民生活部環境企画課
・ 「ちいさな森のどんぐり屋さんの HP」 http://dongurikorokoro.fc2web.com/index.html
プログラム協力(「どんぐりの森整備モデル事業」モデル小学校)
・ 新潟県上越市立戸野目小学校
・ 新潟県上越市立黒田小学校
・ 新潟県上越市立保倉小学校
・ 新潟県上越市立和田小学校
・ 新潟県上越市立末広小学校
森からひろがる どんぐりの森活動プログラム集
―小学校中学年での環境学習に向けて―
発行日:平成 20 年 3 月
編集:NPO 法人かみえちご山里ファン倶楽部
発行:上越市 市民生活部 環境企画課
〒943-8601 上越市木田 1 丁目 1 番 3 号
TEL 025 (526) 5111(代)
FAX 025 (526) 6184
46
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