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12.人や環境にやさしい床づくり

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12.人や環境にやさしい床づくり
事例に見る中小企業の経営革新12
人や環境にやさしい床づくり
∼日本ヘルシー(株)∼
企業調査研究グループ 鶴坂貴恵
企業名
日本ヘルシー株式会社
代表者
代表取締役 倉内英介
資本金
10百万円
従業者
13名
事業内容
住所
水性フッ素アクリル樹脂床塗布剤マイ
ナスイオン入り、天然生薬入浴剤、天
然無害難燃剤など
ホームページ
吹田市内本町1丁目17番18号
http://www.nhcorp.co.jp
年齢や、ハンディーのあるなしに関係なく、あらゆる人が使いやすいように製品、建築物、環境をデザ
インすること、いわゆる「ユニバーサルデザイン」は、1974アメリカのR.メース氏が提唱した概念で
す。この10年ほどで、わが国においてもこの考え方が広がり、具体的に商品やビルなどに採用されていま
す。今回は、積極的にユニバーサルデザインのコンセプトを床メンテナンスに取り入れ、事業を展開しよ
うと計画されている企業をご紹介します。
産学官の取り組み
日本ヘルシー株式会社は昭和61年に設立されたインテリア製品等を新築マンションのデベロッパーやハ
ウスメーカー等へ販売・施工する企業です。同社は既存事業を行う中で「床」に着目し、「人や環境にや
さしい床を作りだすにはどうすればよいか」といった研究を産学連携で始めました。この研究会を「セル
研究会」と名付け、同社のほかに、大阪市立大学生活科学部居住環境科学科土井研究室、床コーティング
剤のメーカーであるコルペエコー社などがメンバーとなり新しい製品やメンテナンスシステムの開発に取
り組みました。ちなみに「セル=CELL」とは「クリーンネス(清潔) Cleanness」、「イージーケア Easy care」、「ロングラスティング(長持ち) Long lasting」、「ローコスト Low cost」の頭文字を
とったものです。
住居の床にフローリングが普及する一方で、シックハウスやアレルギーなどの問題が大きくなり、床を
安全・安心、清潔に保ちたいといった消費者ニーズが拡大してきました。床コーティングによるメンテナ
ンス方法には色々ありますが、ニーズの拡大と共に、コーティングサービスは価格競争に陥っている傾向
があります。同社は「単に安いだけでいいのだろうか?」という疑問を持ち、子供から高齢者まで、また
ハンディーのあるなしに関係なく、本当に歩きやすい床を作っていきたいという思いを強く持ちました。
それを形にしたのが、新しいコーティング剤である「ブライトG」を使った「ノンスキッド工法」です。
「ブライトG」の優位性
http://www.pref.osaka.jp/aid/n-kakusin12/n-kakusin12.html (1/2) [09/07/06 14:37:56]
事例に見る中小企業の経営革新12
「ブライトG」は水性の床コーティング剤で、フッ素ポリマーとアクリル樹脂を特殊イオン処理により
混合したものです。そもそもフッ素ポリマーとアクリル樹脂は混合しにくいのですが、その点を克服した
点に新規性があります。また従来のコーティング剤は石油系溶剤で、施行後、シックハウスの原因になる
揮発性有機化合物を発生させますが、本製品の発生率はゼロと、その心配がありません。また基本的に
コーティングの下地剤が必要としないため短時間で施工ができます。木質からコルク、ピータイル等の床
にも使え、表面の塗装膜が強く耐久性に優れているといった特徴を持っています。「ブライトG」を使用
してコーティングしますと、ワックス掛けが不要で水拭きが可能です。また次にコーティングする際には
前のコーティング剤を剥離する必要がないので、水質汚濁の原因を作る心配がないといった点も環境に配
慮した特徴といえます。フッ素を活用したコーティング剤は他社製品も存在しますが、本製品は上述のよ
うに様々な新規性を有し、環境や人にも配慮した製品であり、社会的にも意義があると言えましょう。
営業面では、「ブライトG」を活用した「ノンスキッド工法」を、自社で施工するだけでなく、施工代
理店を募集して普及させていく方法を計画しています。そのために、同社では色々な機会を利用して、説
明会を開催しています。さらに同社では、工法を広めていくと同時に、「ブライトG」の原液を卸店を経
るなどさせて販売する予定です(床メンテナンスの施工サービスの価格や、原液の販売価格については同
社までお問い合わせください)。
インプリケーション
近年、中小企業の技術や製品開発において、大学と連携して取り組むことが注目を浴びています。し
かし、その取り組みを成功させることは簡単なことではありません。中小企業と大学研究室の互いの
ニーズや認識のギャップ、研究に要する資金などいくつかのハードルがあります。それらのハードルを
越え、製品開発に結びついた同社の取り組みは評価できます。焦点を明確にした取り組みテーマを両者
が共有できたことが成功のポイントといえます。
さらに、着目したいのは同社が「人や環境にやさしい」という事業コンセプトを掲げていることで
す。近年は社会貢献を重視する中小企業も増えてきました。欧米では、消費者が企業の製品やサービス
を購入、利用するのに、その企業の社会貢献を評価して決定する傾向が強く、わが国においてもその傾
向が強くなっています。同社が価格競争の激しい市場に存在しているにも関わらず高邁な理念を掲げる
ことができたのは、強い思いに支えられてのことです。コンセプトに基づいて同社の取り組みはまだま
だ広がりが予測されます。同社の今後の事業拡大が楽しみです。
同様の内容は、社団法人大阪能率協会『産業能率』2003年8月号に掲載しています。
http://www.pref.osaka.jp/aid/n-kakusin12/n-kakusin12.html (2/2) [09/07/06 14:37:56]
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