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畜産の研究 第68巻 第8号 (立ち読み)

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畜産の研究 第68巻 第8号 (立ち読み)
2014年8月1日発行(毎月1回1日発行)ISSN0009−3874 CODEN:CKNKAJ
畜産 の研 究
Sustainable Livestock Production and Human Welfare
目 次
株式会社
養賢堂
2014
第68巻・第 8 号
787
デンマークの豚肉生産と豚肉貿易の
最近の動向を分析する
第 2 部:生体豚や豚肉の貿易の構造と動向
ハンス・ウイルヘルム・ヴィントホルスト 1著
杉 山 道 雄 2・ 大 島 俊 三 3・ 棚 橋 亜 矢 子 4・ 高 山 侑 樹
5
共 訳
前号の第 1 部で,過去 20 年においてデンマーク
できたが,1990 年代の中期頃に達成した豚肉輸出国
の養豚と豚肉生産は著しい変化があったと指摘し
としての第 1 位を維持することはできなかった。世
た。1970 年に始まった養豚の集約化は依然として続
界輸出における割合は 2000 年ではまだ 18.6%で
いてきた。それによって養豚業の平均飼養規模は引
あったが,2011 年では 11.8%に落ちた。ドイツの
き続き拡大した。その結果,繁殖母豚においても肥
急速な輸出増とアメリカの輸出増の結果,デンマー
育豚においても,最大の飼養頭数を抱える養豚業が
クは第 3 位に追いやられた。4 位以下の諸国,スペ
優位となった。豚の育成(Primary production)やト畜
イン,カナダやオランダとの格差は大きいので,デ
と処理加工における高い経費の対処として将来も
ンマークが中期的に見てこの地位を脅かされるこ
集約化は進むだろう。第 2 部では,構造変化が豚肉
とはないであろう。
の世界貿易におけるデンマークの立ち位置にどん
な影響を及ぼしたか,1990 年代の初期以降に個々の
豚肉製品の重要度や輸出先にどのような変化をも
たらしたかを究明しようと思う。
デ ン マ ー ク の 対 外 貿 易 経 済 と
豚肉の世界貿易の枠内において
豚 肉 輸 出 が 占 め る 位 置
輸 出 品 目 の 構 成 に お け る 変 化
過去 20 年における生体豚と豚肉のデンマークの
輸出の推移の精緻な分析をすれば,顕著な変化があ
ることがわかる。注目すべきは輸出量が豚肉生産よ
りも多いことである(第 1 部の表 7)。これは生きた
まま輸出された豚は生産量に計算されず,輸出の際
には肉等量(Fleischäquivalente,訳注:1 頭から得ら
生体豚と豚肉の輸出はデンマークの対外貿易に
れる平均の食肉量)に換算されていたからである。
とってかなり重要である。国の総輸出に占める割合
表 8 および図 6 からわかるように,1992 年と 2012
はこれまで 5.2%から 5.6%の間にあった。食料品
年の間におけるデンマークの生体豚と豚肉の輸出
の輸出に占める割合は約 22%の数値であった。動物
はおよそ 86 万トン,すなわち 80.8%増加した。し
性の製品の輸出におけるその割合はここ数年顕著
かし,このような増加は全品目で均一ではなかった。
に後退した。1990 年代の初めにはその割合はまだ
1992 年ではカット肉が約 60%を占め,次いで保存
50%以上であったが,2012 年では 37.8%となった。
肉,副産物およびベーコンがそれぞれ 12%か 13%
その理由の主なものは,牛乳および乳製品や鶏肉の
を占めた。2012 年までに品目の構成割合はかなり変
輸出の増加である。
化した。確かにカット肉の比率は総輸出の 53.5%を
世界の豚生産量におけるデンマークの生産割合
は 1.7%であり,順位で 11 番目を維持することが
占めていたが,生体豚輸出の比率は 16.6%となり,
輸出品目の 2 位に上がった。1992 年以降のこの顕著
1.著者はドイツ,ベヒタ大学名誉教授
な増加はドイツへの輸出が急速に増加したからで
2.畜産研究会代表(Michio Sugiyama)
ある。これについては後で詳しく触れたい。また
3.名古屋芸術大学名誉教授(Toshimi Oshima)
副産物の輸出も大きく成長した。これは中国や東
4.東海学院大学管理栄養学科助手(Ayako Tanahashi)
ヨーロッパで新規の市場が獲得されたからである。
5.愛知教育大学大学院生 (Yuki Takayama)
0369-5247/14/\500/1 論文/JCOPY
788
畜産の研究
第68巻
第8号
(2014年)
カット肉と生体豚は最重要の輸出品である
表8
1992 年と 2012 年の間におけるデンマークの
生体豚と豚肉の輸出の推移(単位:トン)
(出典:Danish agriculture and Food Council;
statistics 2012 Pigmeat,p.30)
輸出品目
1992
2002
2012
変化 (%)
カット肉
602,087
948,161
1,032,345
+715
生体豚
19,041
82,919
319,588 +1548.4
副産物
127,060
247,611
316,180
ベーコン
123,941
121,942
97,225
-21.6
ト体半丸
18,377
68,188
73,369
+299.2
保存肉
136,760
88,009
59,415
-56.6
ソーセージ
40,015
40,338
31,691
-20.8
1,067,281
1,597,169
1,929,813
+80.8
合 計
+148.8
1,200
1992
1,000
2002
輸出量 (1,000トン)
2012
800
600
400
200
0
カット肉
図6
生体豚
副産物 ベーコン ト体半丸 保存肉 ソーセージ
1992 年と 2012 年の間におけるデンマークの
生体豚および豚肉輸出の推移
(作図:Anna Wilke)
およそ輸出の 70%が EU 加盟国に向う
さらにト体半丸の輸出も大きく伸び,ほぼ 4 倍と
なった。ドイツとの貿易の絡みがあるので,これに
ついては後で触れたい。観察期間においてベーコン,
保存肉とソーセージの輸出は後退傾向にあった。こ
れらの品目の輸出は主としてドイツやイギリス向
けであるが,途上国へも出荷されている。
EU 加 盟 国 が 最 重 要 な 販 売 先 で あ る
表9
2012 年におけるデンマークの生体豚および豚肉
の EU とその他の諸国への輸出(単位:トン)
(出典:Danish Agriculture and Food Council:
Statistics 2012 Pig meat p.24)
品 目
EU (27)
カット肉
728,109
その他の国
304,236
1,032,345
計
生体豚
313,173
6,415
319,588
97,225
ベーコン
95,173
1,483
2002 年において生体豚と豚肉の輸出の 63.1%は
ト体半丸
73,054
316
73,369
EU 加盟国向けであった。その後 EU 加盟国の数は
副産物
68,970
247,210
316,180
増えたことを考慮して比較しなければならないが,
保存肉
40,280
19,135
59,415
EU 加 盟 諸 国 へ の 輸 出 割 合 は 2012 年 に お い て
ソーセージ
17,855
13,837
31,691
1,337,183
592,630
1,929,813
69.3
30.7
100.0
69.3%となった。確実なことは,EU は最も重要な
販売市場であるということである(表 9)。
合 計
割合 (%)
793
養 豚 に お け る フ ァ ク ト デ ー タ と そ の 考 察 (1)
阿 部
考
亮
*
<ファクトデータ集>
察
日本飼養標準における豚の養分要求量の表から
1.肥育豚の成長過程(日本飼養標準)
新生豚
生時体重 1~1.5kg
哺乳期
体重1~5kg 離乳3~4週齢
5kg)が 20 日,離乳期(体重 5~10kg)が 20 日,育成
離乳期
体重5~10kg 期(体重 10~30kg)が 36 日,肥育前期(体重 30~
育成期
体重10~30kg 70kg)が 50 日,肥育後期(体重 70~115kg)が日増体
肥育前期
体重30~70kg
量の違いによって 45~53 日である。
肥育後期
体重70~115kg
肥育豚のライフサイクルを見ると,哺乳期(体重 1~
171~179 日の期間,飼養され,115kg でと畜され
るという生産様式が栄養学的に推奨されている。
2.肥育もと豚と肥育豚の能力(家畜改良増殖目標)
実際の数値はどうか,芦原のデータ(データ 5)で
は 168 日前後で 117kg 前後の仕上げ体重,家畜改良
平成22年
目標
(平成32年度)
10.5
11.0
肥育もと豚
増殖目標に見られる平成 22 年時点の成績では,出
1腹当たりの生産頭数
荷月齢が 195 日,出荷体重が 112kg であるが,この
育成率 %
89
95
年間分娩回数 回
2.2
2.3
20.6
24.0
値を平成 32 年には,それぞれ 183 日,113kg にする
という目標が設定されている。
給与飼料の栄養価はどうか。このプログラムは,
1腹当たり年間離乳頭数
肥育豚
出荷日齢
195
183
肥育期間中,乾物中の TDN 含量が 85%という高い
出荷体重
112
113
エネルギー含量を持つ配合飼料を給与することに
飼料要求率
3.0
2.9
よって実行される。日増体量は肥育前期では 0.78~
0.85kg,肥育後期では 0.85~1.00kg という増体量
が飼養標準では設定され,実際の飼養試験でもそれ
に近い成績が得られている(データ 4)。
目標の体重に早い速度で到達するという技術目
3.日本飼養標準における肥育豚の飼料要求量と
給与飼料の栄養価
体重
30~50 50~70
Kg
Kg
70~115
Kg
0.78
0.85
0.85
1.00
風乾物
1.86
2.41
3.07
3.43
乾物
1.64
2.12
2.70
3.02
風乾物中
75
75
75
75
乾物中
85
85
85
85
風乾物中
15.5
14.5
13.0
13.5
乾物中
17.6
16.4
14.8
15.3
風乾物ベース
2.38
2.84
3.61
3.43
し,肥育豚を 1,000 頭以上持つ約 39%の養豚農家が全
乾物ベース
2.10
2.49
3.17
3.02
国の肥育豚の約 86%をカバーしている(データ 10)。生
乾物換算:飼料の水分含量を88%として計算
期待日増体量kg
標が育種改良と栄養管理の双方から推進された結
飼料量kg
果と評価される。配合飼料の内容はトウモロコシや
マイロ等の穀類が 70%,大豆粕やナタネ粕等の油粕類
が 17%,これらが主原料であるが,その大部分は輸入
であることが大きな問題であり,アキレス腱である。
このような高エネルギー飼料の給与が体重の増
加に伴う体脂肪と体蛋白質の蓄積量の変化に及ぼ
す影響も解明され,と畜時には体脂肪の蓄積量は体
蛋白質の約 2 倍になる(データ 6)。
養豚農家一戸当たりの平均飼養頭数は経年的に増加
飼料のT DN含量% 飼料の粗蛋白質含量%
飼料要求率
物工業・企業的な側面を強めてきていると言ってよい。
*畜産飼料調査所(Akira Abe)
0369-5247/14/\500/1 論文/JCOPY
794
畜産の研究
第68巻
第8号
4.配合飼料による肥育豚の飼養・肥育成績(LWD)
(全国畜産農業協同組合連合会及び宮崎大学高橋ら)
全畜連リキッド 高橋ら乾燥
飼料
飼料A
頭数
(2014年)
7.と畜の生体構成(食肉便覧)
比率%
体重kg
高橋ら乾燥
飼料B
生体
100
100
枝肉
77
70 (100)
54
49 (70)
6
4
8
開始時体重kg
62.1±1.3
68.5±1.3
68.6±4.7
出荷時体重kg
117.8±1.1
110.4±1.4
107.6±1.3
増体量kg
55.7±1.4
41.5±2.1
39.1±5.5
肥育日数
66.3±2.3
44.0±4.0
39.5±5.1
内蔵
13
12
日増体量kg
0.84±0.02
0.95±0.09
0.99±0.07
頭足
6
5
皮
9
8
2.9
その他(血液等)
5
5
()内は枝肉に対する%
部分肉
骨
脂肪
3.2
3.0
乾物ベース
2.7
2.6
2.5
枝肉歩留まり%
63.4±0.9
64.9±1.0
65.9
枝肉重量kg
74.6±0.9
71.4
70.9±1.8
1 (2)
豚大型種ばら
脂身つき
和牛ばら
脂身つき
脂質
13.2
26.4
4
26.2
26.7
168±8 (5.6 ヶ月)
ステアリン酸(C18:0)
13.5
11.3
オレイン酸(C18:1)
44.9
46.7
リノール酸(C18:2)
7.3
1.8
116.9±7.3
と畜時体重kg
1
パルミチン酸(C16:0)
芦原データ(日本飼養標準の栄養素要求量を満たす飼料給与)
と畜時日齢
13 (18)
8.豚ばら肉の脂肪含量と脂肪酸組成(日本食品
脂溶性成分表)(g/食肉 100g)
5.出生直後からと畜までの飼養成績(芦原)を基準に
ファクトデータ 4 の肥育試験の平均値を組み合わ
せて得られる豚の生産性
頭数
7 (10)
14
その他(くず肉等)
飼料要求率
風乾物ベース
8
飼料摂取量kg
3日齢~28日齢
4.1±0.5
29日齢~と畜時
307.8±18.2
9.養豚用配合飼料の原料使用割合(配合内容%)
平成 26 年 2 月分(飼料月報)
日増体量kg
3日齢~28日齢
0.13±0.05
とうもろこし
0.2 魚粉
0.5
29日齢~と畜時
0.69±0.02
マイロ
7.0 米ぬか油粕
0.9 脱脂粉乳
0.1
小麦
7.6 グルテンフイード
1.1 ホエイパウダー 0.3
飼料要求率
48.8 米ぬか
3日齢~28日齢
1.20±0.30
大裸麦
1.0 DDGS
1.2 肉骨粉
0.2
29日齢~と畜時
2.80±0.10
米
3.3 その他の糟糠類
0.3 油脂類
1.0
小麦粉
1.0 アルファルファミール 0.2 糖蜜
0.4
その他の穀類
1.4 大豆粕
11.1 飼料添加物
0.6
大豆・きなこ
0.2 菜種粕
5.7 特殊飼料
1.9
ふすま
1.8 その他の植物油粕
0.5 その他の飼料
1.6
データ4の3つの試験成績(平均値)を用いた芦原データ(平均値)
の補完
枝肉重量 75.6kg (枝肉歩留まり64.7%)
部分肉重量 52.9kg (食肉便覧、部分肉の枝肉中割合70%)
部分肉1kgを生産するに要した飼料量 5.9kg
3日齢からと畜時までの飼料費(平成26年2月飼料月報,育成用
配合飼料と肥育用配合飼料のバラ積みの平均価格64.0円/kg
を適用)
→ 19,962円
10.豚の飼養動向と配合飼料生産量及びと畜頭数の推移
(農林水産省・畜産の動向,飼料をめぐる情勢,ALIC
畜産の情報)
部分肉1kgを作るのに要した飼料費 377円
6.肥育豚における蛋白質と脂肪の蓄積量の体重
増に伴う変化(秦らの推定式からの計算)
体重 (W) 脂肪 0.0198W 1.5589 蛋白質 0.1515W 0.9846
平成16年 平成20年 平成25年
飼養戸数 千戸
8.9
7.2
5.6
飼養頭数 千頭
9,724
9,745
9,685
一戸当たり平均飼養頭数
1,739
1,095
1,348
子取り用雌豚数 千頭
918
910
900
27.2
33.7
38.5
kg
kg
kg
肥育豚千頭以上の戸数シェア
20
2.1
2.9
肥育豚千頭以上層の頭数シェア
74.7
80.8
85.5
養豚用配合飼料生産量 千トン
6,030
6,094
6,068*
と畜頭数(千頭)と平均枝肉重量kg
16,486
16,331
16,751*
76.6
77.1
77.3*
40
6.2
5.7
70
14.9
9.9
100
26.0
14.1
110
30.1
15.5
*平成24年度の数値
頭数等は各年の2月1日現在
807
ベ ト ナ ム の 家 畜 (4)
森 山 浩 光
*
導入種が飼育されている。ホーチミン市周辺には,
Ⅱ . ベ ト ナ ム の 家 畜
1989 年に英国の Cherry Vally と畜産研究所が JV を
組んで導入した Vit Sup Po M 種や,1997 年に導入
10.アヒル(Con Vit)
した Vit CV-2000 種などが普及している。
比較的ハノイ周辺に多く,そのほか Thanh Hoa
省,鳥の研究所のある南部海岸部の Binh Dinh 省に
写真 44
アヒル(マイチョウにて)
表 10
品種名
Vit Co
写真 45
池でのアヒル飼育(Vinh Phuc 省)
ベトナムのアヒルの品種と主な特徴
特徴
1年間に150~250個の卵を
オスの体重
メスの体重
1.6kg
1.5kg
1.6~1.8kg
1.4~1.7kg
分布
ハノイ周辺およびNgeh An省
産む。一個平均65g
Vit Bau Quy
162~168日目から産み始め,
1個70-75gの卵を34週で
ハノイ,Ha Tay省,Thanh Hoa省,
Ngeh An省
122~124個産んだ
Vit Bau Ben
154日目から産み始め,1個
青首アヒル
64-66gの卵を34週で134
1.3~1.7kg
1.6~1.8kg
1.5kg
1.4kg
3.2~3.8kg
3.2~3.5kg
Ngeh An省、Hoa Binh省等
~146個産んだ
Vit Moc
140日目から,1個55gの卵を
Binh Dinh省
25週間で90個産む
Vit Sup Po M
49週で2.8kg,1個79~82gの
卵を40週間で200個産む
1989年に英国のCherry Valley社
から導入された。白色種。
ハノイ市・ホーチミン市周辺で飼育
されている
Vit CV -2000
1年間に250~300個の卵を
1.8~2.0kg
産む。一個平均70~75g
1997年に英国から導入された。白
色種。ハノイ市・ホーチミン市周辺
で飼育されている
Vit Kha Ki Cam Ben
150日目から産み始め,1個
カーキーキャンベル種
65-70gの卵を一年で260~
300個産む
1.3~1.7kg
生誕時は45g, 1989年に英国から導入された。
60日で1.5kg, ハノイ周辺および南中沿岸地区
1.8~2.0kg
で飼育されている。
資料:At lat Cac Giong Vat Nuoi o Viet Nam 2004 pp71-77.
* 東京農工大学 非常勤講師 獣医師,技術士(農業)
(Hiromitsu Moriyama)
0369-5247/14/¥500/1 論文/JCOPY
808
畜産の研究
表 11
品種名
Ngan Noi
第68巻
第8号
(2014年)
ベトナムのバリケンの品種と主な特徴
特徴
オスの体重
メスの体重
5か月齢から産卵,1年間
NganRe
NganRe
に3~5回,卵は60~75
2.8~2.9kg
1.7~1.75kg
個/年
NganSen
NganSen
2.9~3.0kg
1.7~1.8kg
NganTrau
NganTrau
分布
北部
羽の色により3種に分かれる
白いNgan Re,白黒のNganSen,
黒いNganTrau
Ngan Phap R51
200~205日齢から産卵
12週齢で3.5kg, 2001年8月にフランスからハノイ
フランス系R51
110個/年,1個75g
24週齢で4.0kg
市の畜産研究所に導入された
北部の各省で飼育,ハノイ市,
Ha Tay,BacNinh,Vinh Phuc,
Than Hoa の各省
Ngan Phap R71
200~205日齢から産卵
12週齢で3.6kg, 2001年8月にフランスからハノイ
フランス系R7
185~195個/年
24週齢で4.2kg
市の畜産研究所に導入された
ハノイ市,Thai Nguyen,Vinh
Phucの各省
Ngan Phap Sieu
165~185日齢から産卵
1週齢で150g,
1998年5月にフランスからハノイ
Nang
95~100個/28週
6週齢で1.8kg,
市の畜産研究所に導入された
1個80g
12週齢で4.4kg
資料:At lat Cac Giong Vat Nuoi o Viet Nam 2004 pp78-81.
11.バリケン(Con Ngan)
バリケンは,日本では「台湾アヒル」などとも呼
ばれることもある,目の周りが赤い家禽である。
北部のハノイ市の周辺の各省で飼育されている。
南部にほとんどいない。
12.ガチョウ(Con Ngong)
中国およびハンガリーからの導入種である。
あまり多くはないが,鳴き声が大きいことから番犬
写真 46
バリケン(Ngan Phap R51)
用を兼ねて飼っている例を見かけたことがある。
13.ホロホロチョウ(Ga Sao)
2002 年にハンガリーから導入し,ハノイ市の畜産
研究所で研究用に飼育されている。
孵化時は 29.5 g,6 週齢 0.6 kg。27 週齢で 2.0 kg,
38 週齢で 2.1~2.7 kg。26 週齢で産卵を開始し,28
週間で 50~100 個を産卵する。
また,ホーチミン市の動物園でも飼育されている。
14.七面鳥(Ga Tay)
写真 47
バリケンと雛
黒いシチメンチョウと白いシチメンチョウの2 種が
飼育されている。
北部の HungYen 省で飼育されている。
黒シチメンチョウは雄 5 kg,雌 3 kg。180~240 日
齢から産卵を開始し,6~7 月で 50~55 個を産卵する。
白シチメンチョウは,1997 年にフランスから導入し
た。9 週齢で 3.7 kg,16 週齢で 7.6~8.0 kg。12~16
週齢から産卵を開始する。
写真 48
ガチョウ
819
幼齢豚におけるイソロイシン要求量
大 成
イソロイシン(Isoleucine)は必須アミノ酸の一種
で,1903 年に Ehrlich が甜菜糖から単離確認した
清
*
11kg のプレスターター豚に対し,イソロイシンの要
求量について研究している。
(1904 年とする説もある)。
まず最初に今までの可消化イソロイシン要求量
Bouveault と Locquin が,1905 年に合成に成功し
についての研究をみると,表 1 のとおりである。
ている。
表 1 には 10 篇の報告が採りあげられているが,
化学的性質がロイシンと類似し,相互の分離が困
このうち 8 篇は J. Anim. Sci.誌のもので,
他は J. Nutr.
難である。イソとは“同じの”を意味するギリシャ
と Anim. Prod.誌に発表されている。この当時はカン
語で,化学では構造異性体の 1 つを,他と区別する
ザス州立大学やイリノイ大学が研究の中心であった。
供試豚は Pig Improvement 社のライン 326(種雄)
ために用いられている。
4 つの異性体(L-イソロイシン,D-イソロイシン,
×C 22 を用いた。
L-アロイソロイシン,D-アロイソロイシン)がある
が,L-イソロイシンのみが動物に利用される。
水に難溶,アルコールに易溶,融点は 284℃,造
血作用を有しこれを欠くと貪血症,体重減少を招く
といわれている。
給与飼料(%)はトウモロコシ 66.1,大豆粕 6.75,
乾 燥 ホ エ ー 10.0 , 魚 粉 5.0 , 噴 霧 乾 燥 血 粉 (AP
301G)7.5,第 2 リンカル 1.6,炭カル 0.6,脂肪 0.5,
食塩 0.3,ビタミン・ミネラルプレミックス 0.42,
メカドックス 0.25,DL-メチオニン 0.30,L-トレ
脂肪族アミノ酸の一種で,グリシン,アラニン,
セリン,ロイシン,トレオニン,メチオニン,バリ
オニン 0.27,L-トリプトファン 0.05 は,各区共通
の配合割合である。
ンが仲間である。
試験区は結晶イソロイシンを 0.06%ずつ段階的
1. プ レ ス タ ー タ ー (体 重 7~
11kg)豚 の 要 求 量
に添加し,7 種類の試験区を設けた。
1 区は飼料中の可消化イソロイシンが 0.56%
(コーンスターチ 0.36%と L-イソロイシン 0%添
イリノイ大学,アーカンソー大学,ミシシッピー
加),同様の順で 2 区は 0.62%(0.30%+0.06%添
州立大学と USDA-ARC の研究者(2004)は,体重 7~
加),3 区は 0.68%(0.24%+0.12%)となっている。
表1
体重 kg
開始時
終了時
性別
CP
%
増体日量 採食日量 イソロイシン イソロイシン イソロイシン
%
g
g
g/日
mg/増体g
文 献
5.6
8.4
不明
18.2
505
580
0.59
3.42
6.78
Jamesら(2001)
4.7
10.2
不明
22.2
183
360
0.61
2.20
12.02
Becker ら(1963)
5.8
15.7
去勢
14.4
331
534
0.43
2.30
6.95
Oestemer ら(1973)
11.4
23.5
混合
16.7
578
993
0.55
5.46
9.95
Bergst rom ら(1997)
15.1
27.7
不明
13.4
467
939
0.38
3.57
7.64
Becker ら(1957)
18.2
34.9
不明
21.5
604
1,159
0.55
6.37
10.55
Brinegar ら(1950)
18.0
40.0
混合
17.0
685
1,250
0.50
6.25
9.12
Lenis と Van Diepen(1997)
20.5
41.5
去勢
15.8
690
1,597
0.27
4.31
6.25
Bravo ら(1970)
25.0
55.0
若雌
17.5
630
1,594
0.35
5.58
8.86
T aylor ら(1985)
590
1,780
0.29
5.16
8.77
Becker ら(1963)
44.6
94.4
不明
13.4
消化率(%)はSout hern(1991)より
*
豚に対する可消化イソロイシン要求量
家畜栄養コンサルタント (Kiyoshi Onari)
0369-5247/14/\500/1 論文/JCOPY
820
畜産の研究
第68巻
第8号
(2014年)
4 区は 0.74%(0.18%+0.18%),5 区は 0.80%
ある点を過ぎるとカーブは下降線をたどる。この時
(0.12%+0.24%),6 区は 0.86%(0.06%+0.30%),
のカーブの頂点が Maximum quadratic(MQ)で,この
7 区は 0.92%(0%+0.36%)となっている。
場合の値は 0.754%である。
飼料の含有成分(%)をみると,CP は計算値で全
つぎに一次式の折れ線モデルと,二次式の曲線モ
区 20.48(分析値は 20.44~20.07),Ca は 0.85,有
デルを重ねると,二次曲線が折れ線モデルのプラト
効 P は 0.56,ME は 3,340kcal/kg である。
ウな直線と重なる。この切点が飼料中のイソロイシ
全リジンは全区 1.37(1.35~1.31),全イソロイシ
ンは 0.56~0.92(0.55~0.86),可消化リジンは全区
ン含量で 0.702%ということになる(図 1 参照)。
○採食日量
1.25,可消化イソロイシンは 0.47~0.83 である。
可消化トレオニンは全区 0.90,可消化トリプト
ファンは全区 0.24,可消化メチオニン+シスチンは
ブレークポイントは 0.672%,QD は 0.770%で,
両者の重なった切点は 0.729%である。
○飼料効率(G:F,g/kg)
BP は 0.616%,QD は 0.729%,両者の重なった
全区 0.83,可消化フエニルアラニン+チロシンは全
区 1.47,可消化ロイシンは全区 2.03,可消化バリ
切点は 0.659%である。
ンは全区 1.18,可消化ロイシン:イソロイシンは
○血漿中の尿素態窒素
BP は 0.606%,QD は 0.720%,両者の重なった
4.32~2.45 となっている。
供試豚は 1 豚房に 20 頭を収容し,1 試験区当たり
12 豚房の繰返しである。供試頭数は 20 頭×12×7
切点は 0.645%である。
○増体 1g に要するイソロイシン量
区=1.680 頭となる。試験開始体重は 6.6kg,終了
時体重は 10.9kg,試験期間は 16 日間である。
増体日量と採食日量から得られる交差ポイント
から計算すると,増体 1g に要する可消化イソロイ
1 区の全イソロイシンは 0.56%,可消化イソロイ
シン量は 9.1mg といえる。
NRC 標準(1998)におけるイソロイシンの要求量
シンは 0.47%,2 区は 0.62-0.53%,3 区は 0.68
-0.59%,4 区は 0.74-0.65%,5 区は 0.80-0.71%,
は,体重 5~10kg のプレスターター豚の場合,真の
6 区は 0.86-0.77%,7 区は 0.92-0.83%である。
回腸消化率をもとにした場合は 0.65%となって
試験の結果をみると,増体日量は 149~305g,採
いる。
食日量は 267~403g,飼料効率(g/kg)は 560~755g,
いまかりに飼料効率を飼料価値判断の指標とす
血漿中の尿素態窒素は 29.6~25.0mg/dl となり,い
るならば,上記の試験結果では可消化イソロイシン
ずれの区も飼料中のイソロイシン含量に応じて,一
含量は 0.659%となり,NRC 標準と近似している。
次直線的にも二次曲線的にも有意な
反応を示している。
350
○増体日量
325
300
決めるため,まず一次直線反応の数値
275
から折れ線モデルを描いてみた。飼料
中の可消化イソロイシン量の増加に
伴い増体日量が改善されていくのだ
増体日量
飼料中の可消化イソロイシン量を
Break point
=0.658%
Break point
Quadratic intercept
=0.702%
250
225
(g) 200
が,ある点以降は増体日量は横這いに
175
なり,プラトウに移る。この結節点が
150
Break Point(BP)で,その値は 0.658%
125
である。
100
0.45
一方,二次曲線反応の数値を用いて
カーブを描いてみると,飼料中の可消
化イソロイシン含量の増加につれ,増
体日量はドンドン上っていくのだが,
Maximum quadratic
=0.754%
図1
0.50
0.55
0.65
0.70
0.60
可消化イソロイシン(%)
0.75
0.80
体重 7~11kg 豚の可消化イソロイシン要求量
B.J.Kerr ら(2004)
0.85
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