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Title ノイバラ(Rosa multiflora)の遺伝的形質特性( 本文 (FULLTEXT) ) Author(s) 庄, 得鳳 Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第592号 Issue Date 2013-03-13 Type 博士論文 Version publisher URL http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/47975 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。 ノイバラ(伽∫α〝捌〟卿川)の遺伝的形質特性 庄 得鳳 目 緒 次 言 第一章 且朋〟喝伽rαの根腐病抵抗性の遺伝機構 第1節 凡望〟呵わ川の根腐病抵抗性遺伝 l.材料および方法 供試植物 供試菌株 根腐病抵抗性検定 褐変度の判定 再分離 2.結果および考察 第2節 鳳椚〟喝伽′αの根における抗菌性物質の探索 14 l.材料および方法 供試植物および供試菌株 根からのフェノール化合物の抽出 抽出物の菌糸伸長抑制検定 結合型フェノール抽出物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分離 2.結果および考察 第3飾 バラ根腐病抵抗性物質のバラ間差異 1.材料および方法 供試植物 根の採取とフェノール化合物の抽出 HPLCによる結合型フェノール化合物の分離 23 ⅠⅠ 2.結果 結合型フェノール化合物0)HPLC分析 各ピーク面積における主成分分析 3.考察 結合型フェノール化合物のHPLC分析 各ピーク面積における主成分分析 バラ根腐病抵抗性を持つ且ワ〟喝助川のDNAマーカーの開発 第二章 1.材料および方法 供試材料 DNA抽出 RandomAmplinedPolymorphicDNA(RAPD)分析 SequenceCharacterizedAmpli丘edRegion(SCAR)分析 且椚〟JJ抑)rα特異的バンドの回収 ライゲーション(Ligation) 形質転換(rItansfbrmation) コロニーPCR PCR産物の精製 シーケンスPCR シーケンスの解析およびプライマーセットの設計 設計したプライマーの汎用性の確認 2.結果 RAPD分析 R.multiPora特異的遺伝子の解明とSequenceThggedSite(STS)化 SCAK16プライマーの汎用性の確認 3.考察 5$ III 第三章 且`PEXcongel,と且朋〟喝伽rαとの交雑後代の特性 第1飾`PEKcougel,とR.朋〟叩わrαとの交雑後代の獲得 l.材料および方法 供試材料 殺菌 培地 順化 倍数性検定 雑種判定 2.結果および考察 第2飾`PEKcougel,×4倍性`MatsⅦ血imaNo.3,の交雑後代の特性 91 l.材料および方法 供試植物 .供試菌株 根頭がんしゆ病抵抗性検定 発根特性および切り花品種との接ぎ木親和性の検定 2∴結果および考察 第四草 月.′柳∫α(ハマナス)とR.椚〟上村わ′αとの交雑後代の特性 第1節 且r昭〃∫αのバラ根腐病抵抗性検定 l.材料および方法 供試植物 方法 2.結果および考察 第2節 鳳川即朋と鳳刑〟喝伽′αとの交雑後代の特性 109 1.材料および方法 2.結果および考察 第3節 且r昭〃∫αとR.椚〟呵わrαとの交雑個体をR.′喝〃∫αに戻し交雑した後代の ⅠⅤ 特性 総合考察 114 122 旨 12` Abstract 130 謝 133 要 辞 引用文献 135 1 緒 呂 バラの栽培の歴史は古く,紀元前においてもその記述が ある.そのころからバラは観賞植物と して人々の関心を引 き,選抜が繰り返されてきた.バラの育種が劇的に進んだ のは人工交雑が利用された18世紀以降で,観賞価値を高め るために花形,花色,芳香,樹勢などの形質を求めて交雑 や選堺.が行われ,現在では数万品種が登録されている(鈴 木,1996) 日本においても種苗法が整備されて育種家の 権利が保護されるようになったことから,国内での新品種 の作出も増加傾向にある. 育種において,鑑賞価値を高めるための育種と同様に病 害に対する抵抗性育種は非常に重要な要素である.抵抗性 品種の作出は,農薬散布回数の減少など栽培の省力化や環 境保全、型農業の推進につながる.バラ生産において重大な 硬害をもたらす病害に,根頭がんしゆ病とバラ根腐病が挙 げられる.どちらも土壌伝染性病害であり,根部または地 際部から感染する病害である.そのため抵抗性台木を育成 し,台木を用いることで,穂木における抵抗性の有無に関 わらず防除が可能となる. バラ根頭がんしゆ病はRhizobiumradiobacter(Beijerinck and van Delden1902)Young et al.2001により引き起こされ る多犯性の土壌病害であり,一度感染すると植物体全体が 汚染されるため,感染後の防除がほとんど不可能である. 2 しく した植物は,根も この菌に感染 は地際部にこぶ状の Gallを形成し,新芽の発生不良やブライ ンドシュートの発 生,貧弱な開花枝の発生がみられ,樹勢が低下する.この ため,バラ切り花生産に.おいては採花数が減少するなど被 害が大きい(周 ら,1999) 根頭がんしゆ病に対して を示すこ 月0∫α`PEKcougel,が高い抵抗性 とが明らかとなっており(周 ら,1999),この抵 抗性形質は後代に遺伝すること ら,2000) も明らかとなっている(周 `PEKcougel,の根頭がん が植物体の傷害部位を感知するフェノール物質 rαdブ0∂αCJer の一種の しゆ病抵抗性は,凡 アセト シリ ンゴンの生合成能力 が低 く,凡 ら,2004) rαdブ0∂αCJerが傷害部位に誘導されないこと(Tan や,傷害部位の細胞壁表面にレクチン様タンパク と推定さ れる繊維状物質が分泌されて,菌の付着を阻害する (Tan と こ ら,2005)などが関与している. バラ根腐病は Pythium helicoides 引き起 Drechslerにより こされる水媒性の病害である.P.力eJブcoブde∫は宿主植物に感 染する と菌糸を伸ばして宿主植物の柔組織を壊死させる. そのため,感染した植物は根の褐変や腐敗を引き起こ 下葉から次第に黄化して枯死すると て次々 し, と もに,遊走子によっ と伝搬して多大な被害をもたらす(Kageyama ら, 2002) PγJカブ〝椚 属菌は土壌伝染性病害のひとつであ り,卵菌 類に属し,菌糸を伸ばして宿主植物に進入して柔組織を 壊死させる.また,PγJカメ〟椚 属菌は多犯性で,多く の作 3 物で根腐病や立ち枯れ病を引 き起こ 耐久生存器官は卵胞子や遊走子の して胞子の の う で,柔組織の残液中 や土壌中に遊離して存在してお と湿度条件を満た している.これら り,ある一定の温度条件 した場合に発芽 して根に付着 し,増殖 う や卵胞子を形成する(景山・宇井,1980). また,水分の多いと ころでは遊走子が形成され,水に媒 介して他の宿主植物へと感染する.感染後に組織は壊死 するため,その組織に対して別の菌によろ二次的感染が 起こ り 枯死に至る.P.力eJブcoメde∫の特徴と 温性である こ して比較的高 とが挙げられ,これが夏季に集中 して発病 する大きな要因となっている(Kageyamaら,2002) R.multiflora'Matsushima No.3'(ノ イ バラ`松島3号') はバラ根腐病に対して高い抵抗性を示すことが明らかとな っている(Liら,2007a) `Matsushima No.3,のバラ根腐病 抵抗性の発現は感染の初期段階ではなく,菌糸が表皮組織 や内部組織に侵入する段階で発現し,根組織内での菌糸伸 長が抑制されていることになる(Liら,2007b) 一植物は病原菌の侵入を受けると防御反応を発現し,バラ 科植物では傷害によって誘導された酵、素反応によってタン こ ニン類が加水分解され,抗菌活性物質が遊離される 知られている(橋床・田原,1997) また,キュウリのう どんこ病(Faweら,1998)やオリーブの疫病(DelRio ら, 2003)において,フェノール化合物が菌糸伸長を阻害する こ とが報告されている.バラ とが の根頭がん 腐病抵抗性の作用機構については未解明の部分がある し ゆ病および根 4 が,根内部におけるフェノール化合物が関与する と推定さ れ(柘植,2007),特に根腐病については二次代謝産物が 深 く 関与 と 考えた. している 交雑個体からの病害抵抗性個体の選抜に当たって,これ らの抵抗性に関わる物質の量的発現に基づいて行う とが こ 可能である.根腐病抵抗性に関わる物質は,酸分解を経て 得られる結合型フェノール画分に含まれるこ とが分かって おり,本研究ではこれらの物質について検討を行った. Liら(2007a)は,根腐病抵抗性検定方法と して挿し木後 の接種と病徴発現による評価を用いているが,この方法は 挿し木から評価終了まで1か月以上要し,病徴発現の評価 には研究者の主観が入りやすいことから,物質レベルでの 選抜基準の確立は抵抗性個体の選抜に大き く貢献するもの と考える. 同様に,交雑個体からの病害抵抗性個体の選抜に当たっ て,罷病性個体を評価判別す る こ と も 可能で あ る. 』タカα〝0椚γCe∫属菌においては,休眠状態にあった病原菌の各 種耐久生存器官が宿主の特異的物質に反応して賦活化する 事例があり,A.raphaniKendrickはカンランが分泌するイン ドールー3-アルデヒドに,A・euteichesDrechs・f.sp.PisiPfend. & Hag・はエンドウの根が分泌するプルネチンに,また,d. COChlioides Drechslerはテンサイの地際胚軸やホウ 根部に分泌される レンソ 5一ハイドロキシー6,7-メチレンジオキシフ ラボンに感応して遊走子が誘引され感染する(横沢・国永, 1979;Yokosawa ら,1986,1988;堀尾ら,1991) これら ウ 5 とから,バラの根においても遊走子を賦活化させるフ のこ とが推定されたため,本研究に ェノール物質が存在するこ おいては罷病性個体の評価についても検討した. 本研究の `PEKcougel'と `Matsushima 目 的 と して,根頭がん バ ラ 根 腐 病 し に 対 し ゆ病抵抗性を持つ て 抵 抗 性 No.3'を交配し,両病害に対する複合抵抗性を 持つ台木の作出することと したが,交配後代の交雑性を検 定する必要がある.従来より行われている交雑性の検定方 法には形態学的,生理学的,発生学的な表現形質による方 法があるが,これらの形質は環境要因に左右されやすく, 交雑性の検定を行う上で研究者の主観が入りやすく,信頼 性の高い交雑判定を行う ことが困難であった. 近年の分子生物学の発展に伴って遺伝子を使った検定が 行われ始め,本研究でもこの手法の導入を試みた.本研究 における遺伝子を使った検定法と しては,`Matsushima No・3'は一季咲きであり,`PEKcougel,は四季咲きである形質 から,`pEKcougel'の遺伝子を検定する場合には四季咲き形 質に関する遺伝子(片∫Ⅳ遺伝子)を指標にして検定する方∫Ⅳ プライマーを用いた(岩田,2004) このプライマーは `PEKcougel'が花粉親の場合には雑種判定が可能となるが, `Matsushima No.3'が花粉親の場合には検定が不可能であっ た・そこで本研究では,乱調〝JJブ′Jorαの根腐病抵抗性の遺伝 機構を調査するとともに,月.椚〟JJブ′Jorαを識別できるプライ マーの開発を試みた. を 持 っ 6 第一章 凡 椚〟JJげJ〃川の根腐病抵抗性の遺伝機構 根腐■病抵抗性の月.椚〟J才げJorαとバラ根頭がんしゆ病抵抗 性の`PEKcougel,とを交配し,複合抵抗性台木の育成を行う に当たり,各々の抵抗性形質が後代に遺伝することが確認 できている必要がある.`PEKcougel,の持つ根頭がんしゆ病 抵抗性形質についてはZhouら(2001)が既に検討しており, `PEKcougel'と罷病性品種`Dukat,との正逆交雑後代に遺伝 することを確認している・しかし,凡 の根腐病 例〟J′≠′Jorα 抵抗性形質については遺伝特性が明 らかになってお ら ず,根腐病抵抗性台木の育成のためは,この解明が不可 欠 で あ っ た. そこで本章では,凡研〝J〆げJorαの根腐病抵抗性の形質遺伝 特性を調査するために,凡椚〟JJげJorαと血縁関係にある品 種について根腐病抵抗性の形質調査を行った.また,根 腐病抵抗性に関わる と考えられる根内部のフェノ 化合物(柘植,2007)についても調査した. ール 7 第1節 点.椚〟〃力け"用の根腐病抵抗性遺伝 月.椚〟JJげJorαの根腐病抵抗性形質の遺伝特性を明 ら か にするために,月.朋〝JJブ′Jorαとの血縁関係にある品種を用 いて抵抗性の調査を行い,根腐病抵抗性の遺伝について 検討 した. 1.材料および方法 供試植物 供試植物として,月.椚〟J〆げJorαと血縁関係にある 23種類 のバラ(第1-1表)を岐阜県立花フェスタ記念公園より提供 を受け,応用生物科学部附属岐阜フィールド科学教育研究 センター農場のガラス温室で栽培して実験に供試した.こ れらのバラについては,血縁関係を指標化するために を100%と multiflora し て 血縁度(Relatedness multiflora)を算出した・算出例とLして,R.'TapIS の交配系譜がSeedling(R・luciae multiflora 出は 0+50/2 x 月. with R. Volant, xUnknown)×Seedling(R. Ballerina)となっていることから,血縁度の算 = 25%のように種子親と花粉親と分けて 椚〝Jオブ′Jorαとの血縁度を計算した. これらのバラに加えて,過去の根腐病抵抗性が評価され ている`MatsushimaNo・3',R.'Nakashima91,('中島91,), 月. 8 R・`Fashion Parade',R・Odorata,R.'Dr.Huey,および岐阜県 内から採取した月.椚〟JJブ′Jorαを加えた29種類を供試した. 供試菌株 P・如/∼coブde∫ の中で,比較的安定して病害感染能力を持 つ菌株B5(Kageyamaら,2002)を用いた. 根腐病抵抗性検定 Liら(2007a)の報告から,挿し木1か月後の`Nakashima 91'の根でバラ根腐病が発症し,`Matsushima No.3,が抵抗性 を示したことから,挿し木1か月後の根を供試材料とした. PH調整済みピートモス培養土(BM-2,Berger)とパーライ トを2‥1で混合した培養土を充填した200穴セルトレイに, 充分に伸長したシュートの中央部から採取した1節を挿し 木し,人工光閉鎖型苗生産装置(苗テラス,太洋興業)を 用いて温度25℃,湿度90%以上,4,0001Ⅹ,24時間照明下 で発根させた・挿し穂の基部には,0.5%インドール酪酸粉 剤(バイエルクロツプサイエンス)を処理した. 接種源は Waterhouse(1967)の 作成した・Corn Glassblade法を用いて MealAgar(CMA)平板培地上に供試菌 株を含んだゲルブロックを中心に置床し,その周辺にあ らかじめオートク べ,25℃で 内の貯水池の水を トク レーブし・た芝の切片を同心円状に並 24 時間培養を行った.蒸留水と岐阜大学構 2‥1で混合したものをろ過し,オー レーブをかけた培養液に芝の切片を浮かべ,25℃で 9 さ らに 時間培養し,その後血球計算盤を用いて遊走 24 子数を計測し,6.0×103 懸濁液を接種源と 個になるよ う に調整した遊走子 した. 接種方法は,第ト1図のような接種装置を作製して挿 し木後1か月間育苗し,充分に発根したものをセルト レ イごとバットに入れた.バットの排出口を閉じて遊走子 懸濁液を 5cmの水深まで満たし,1時間浸漬して菌を感 染させた・1時間の感染後,排出口を開いて遊走子懸濁 液を 3 Lの養液タンクに混合した.その後養液を1日 回,2分間バット内に 5cmの水深まで満たして潅液を行 30℃で行い,1週間後 った・接種およびその後の感染は にセルト 4 レイから植物体を堀上げ,根を水洗して根の褐 変度を調査した・また,対照区と して遊走子懸濁液を接 種しないで養液を潅液した無接種区を設け,同様に調査 た. を行っ 褐変度の判定 根の褐変程度は,根の褐変状態に基づいて判定した. 褐変状態は 7 段階の褐変指数で評価し,0‥ 根腐がまっ たく起きていない健常な白色根,0.5‥根の一部分が薄く 褐変している状態,1‥根の一部分が褐変している状態, 1・5‥ 根の 根の 50%が褐変している状態,2‥ 75%が褐変 している状態,2・5‥根が全体にわたり褐変しているが, 地上部が枯死していない状態,3‥ 地上部も枯死している状態と 根はすべて褐変し, し,褐変度は以下の式よ り 10 算出 した. ∑(指数×個体数) 褐変度(%) ×100% 供試個体数×指数の最大値 また,上記の式により算出した褐変度から,罷病性品 種`Nakashima 91,の褐変度を基準に相対褐変度を算出し た・算出方法は,`Nakashima `Nakashima に よ り 算出 91,の褐変度を1と定め, 91'の褐変度で他のバラの褐変度を割る と した. 抵抗性は相対褐変度の値に基づいて,3 た;<0・60‥ こ 抵抗性,0・60-0.99‥ つの段階に分け 中程度抵抗性,1.00<‥ 性. 再分離 根腐病がP・如才血メde∫の伝染から起こされたかどうかチ ェックするために,P・如Jね0ブde∫の再分離を行なった.根は 水道水で用土を洗い落とし,根の表面の水をろ紙で取り除 いて,病害を備えた根の部分を5mmのセグメントへ切り取 り,Pythium選択培地AP2(CMA+5mg・L-1pimaricin+100 mg・LLlagrimycin+50mg・L-1pentachloronitrobenzene)(景 山・宇井,1980)上に置床し,30℃・暗所で24時間培養して, 病原菌の存在を確認した. 再分離率(%)=∑(Pγ才力≠〟研を分離された根のセグメント /総根のセグメント)/供試個体数×100% 梶病 11 2.t結果および考察 褐変した根からP・如才如才de∫が再分離されたことから, 接種の7日後に観察されたすべて中根の褐変がタ.如才ブcoブde∫ の感染によって引き起こされたことが確認できた.29種類 のバラの相対褐変度は 0.16∼1.52 までの範囲に分布した (表1-2) 岐阜県内から採取した野生種凡 椚〟J′≠′Jorαの相対褐変度 は0・47を示し,根腐病に対して抵抗性を示すことが明らかと なった・月・研〟J′ブ′Jorα からトゲなし台木として選抜された `MatsushimaNo・3,・R・multifloraの変種(variant)cathayensis および月・椚〟JJげJorαの品種(rorma)cα川eαはいずれも褐変 度が0・26・0・34,0・27と低く,根腐病抵抗性が確認できた. このことから,根腐病抵抗性は凡 椚〝JJげJorα固有の特性で あった・花色とバラ根頭がんしゅ病抵抗性の関係の報告が あった(Brownら,1923;周ら,1999)・乱用〟J〆げJorαとの 血縁度が100%であった3種類のバラは白色からピンク色ま での花色変異があったことから,これらの花色の形質と根 腐病抵抗性形質は連鎖していなかった. 凡 椚〟J′げJorαとの血縁度が50%以上の品種は5品種あり, これらの褐変度は0・86から0・44までに分布しており,抵抗 性と中程度抵抗性に分痙された.月.椚〝〃り甘"Ⅷとの血縁度が 明らかとなっている 21種類のバラの褐変度をみると,乱 用〟J′ブ′Jorαと同等の抵抗性を示すものから梶病性と判断で きるものまで連続的な分布が見られた.この結果から,Linde 12 ら(2004)が述べているバラうどんこ病にみられるように, 根腐病抵抗性因子は単一の優性,あるいは劣性の遺伝子に 支配されるものではなく,複数の遺伝子に支配されている と推定された・これはDengら(2005)が報告したカラジウ ムのP・myriotylumDrechslerに対する根腐病抵抗性と一致し ている・また,月・椚〟/オブ′Jorαと 50%の血縁度のバラについて みると相対褐変度に大きな差が見られた.これらのバラに ついて相対褐変度と交配組み合わせとの関係をみた結果, 種子親,花粉親にかかわらず高い褐変度と低い褐変度を示 すものがみられ,このことから 月・椚〟J′ブ′Jorαの抵抗性因子 は細胞質遺伝様式ではなく,核遺伝形質であると判断でき た. 凡椚〟J′ブ′Jorαとの血縁度が50%以下のバラについて,相対 褐変度が`Veichanblan,の0・31から`Goldfinch,の1.52まで分 布した・血縁度と相対褐変度との関係を第1_2図に示した. 月・刑〟JJげJorαとの血縁度が低くなるほど,相対褐変度は高く なり・特に血縁度が 25%以下になると相対褐変度は急速に 増加する傾向が認められた・しかし,血縁度が同じ値のバ ラにおいても相対褐変度のバラツキは大きくなり,血縁度 が低くなるに従って相対褐変度が大きい個体が現れる傾向 がみられた・また,凡 25%の`Dance 例〟JJブ′Jorαが複数回交配されている de Feu,や 6.25%の`Veilchenblau,は 刑〟J′ブ′Jorαの相対褐変度と類似していたことから,交雑後代 の中から抵抗性が有する個体を選抜することも可能と考え た. R. 13 乱用〟JJげJorαと血縁がなく,ロックウール栽培で最も多く 用いられている台木月.odorαJαの相対褐変度は0.92であっ た・R・Odol・u[aのffl)k系譜はR・Chi"e"SisJacq・・1∼・giga77Iea Collett ex Cr6pinと推定されており,その交配親のいずれも が中国南西部の高地に自生しており,高温に対して抵抗性 が低いと推定される・従って,高温性の タ.カeアブc∂ブde∫の菌 糸伸長に最適な条件では生育が衰え,抵抗性が弱いと考え られる(大川,1999)・また,凡朋〟Jオブ′Jorαとの血縁度が不 明な`Fashion Parade,と`Dr.Huey,の相対褐変度は0.42およ び0・16であり,抵抗性を示した.`Dr.Huey,は一般的に台木 と して用いられているバラであるが,今回の検定結果では 凡 例〟Jオブ′Jorαと血縁関係にないものの強い抵抗性を示した. このことから根腐病抵抗性には 性メ ガニズムがある 凡 こ とは別の抵抗 椚〟J′ブ′Jorα と が示唆された.一方`Fashi。n parade'については,ミニチュアローズ品種であることから, その育成の過程で月・椚〟J′ブ′′orαが関与していると推定され, 凡椚〟J′げJorαの抵抗性形質が付与されていると考える. 本節で用いた検定方法は環境要因の影響を受けにくい方 法ではあるが,季節の影響を完全に除去することは難しい. 各バラの褐変度を実験反復ごとに詳細に検討した結果,実 験反復ごとで褐変度が大きく異なる事例が認められた.そ こで,罷病性バラ品種と判定されている`Nakashima 対照と して供試して相対褐変度を算出し,実験反復ごとの 誤差を小さくすることでこの間題を解決した. 91,を 14 第 2飾 凡例〟JJげJ〃川の根における抗菌性物質の探索 植物は病原菌の侵入を受けると防御反応が生じ,キュウ リのうどんこ病(Faweら,1998)やオリーブの疫病(DelRi。 ら,2003)ではフェノール化合物が菌糸伸長を阻害するこ とが報告されている・凡椚〟J′ブ′Jorαのバラ根腐病抵抗性に関 係するフェノール化合物についての報告はないものの,月. 椚〟J′げJorα にはフェノール化合物のカテキン重合体(橋床・ 田原,1997)やケンフェロール誘導体のマルチフロリン A (丸山ら,2009)などのフラボノール配糖体の存在が明ら かとなっており,これらの物質がバラ根腐病抵抗性に関与 している可能性が考えられる. そこで本節では,ノイバラの根に含まれるバラ根腐病菌 の菌糸伸長抑制物質の存在を検証するために,抵抗性の `Matsushima No・3'と 罷病性の ミ ニチュ `Nakashima91'の根からフェノール化合物を抽出し,抽出物 の菌糸伸長抑制効果を検討した. 1.材料および方法 供試植物および供試菌株 供試植物として,バラ根腐病抵抗性を示す`Mats。Shima No・3,と碍病性を示す`Nakashima91,を用いた.バラ根腐病 ア ロ ーズ品種 15 菌株は,P.如ノブcoブde∫B-5を用いた. 根からのフェノール化合物の抽出 挿し木は前節と同じ方法で・行った.発根した苗を流水で 洗浄した後,根を切断して表面の水を取り除き,生体重を 計量して約10倍量の 80%エタノール中で磨砕した. フェノール化合物の抽出は,Faweら(1998)の方法を参 考にした・磨砕エタノール懸濁液を暗所,4℃で2日間静置 してエタノール可溶性成分を抽出した.磨砕エタノール懸 濁液を濾過し,エタノール層をロータリーエバボレータで 減圧濃縮した後,pH 振と 2.0 に調整し,石油エーテルを加えて う した.石油エーテル層の不飽和脂肪酸を取り除いた 後,水屑に等量の酢酸エチルを加えて振と う し,酢酸エチ ル画分と水溶性画分に分けた. 酢酸エチル画分はロータリーエバボレータで減圧乾固し, 根5g(r・W・)・mL■1となるように99%エタノールで溶解した ものを遊離型フェノール抽出物とした.水屑画分は 4 塩酸を等量加えた後,100℃で1時間熱処理して加水分解し, 冷却後に酢酸エチルを等量加えて振とう し,酢酸エチル画 分を得た・酢酸エチル画分はロータリーエバボレータで減 圧乾固し,根5g(f.w.)・mL,1となるように99%エタノール に溶解して結合型フェノール抽出物とした(図1_3) 抽出物の菌糸伸長抑制検定 P・カピノブcoブde∫B-5を CMA培地で増殖させ,シャーレ上の Nの 菌糸を培地ごと 5mm角の菌糸ブロックとして切り取り, タγ才力ブ〟椚選択培地 AP2(景山・宇井,1980)を分注したシャ ーレの中心に置床した. シャーレの 4隅に・遊離型フェノール抽出物,暗合型フ ェノール抽出物あるいは後述の HPLC 5 マイクロピペットで 甲ピーク分取画分を 甚ずっ滴下し,30℃・暗所で培養し て12時間ごとに写真撮影した(図ト4) 撮影画像の菌糸 伸長領域を画像処理ソフトウェア(AdobePhotoshop5.5)で 範囲指定し,葉面積測定ソフトウェア(LIA for win32,名 古屋大学)を用いて菌糸拡散面積を算出した.シャーレの4 隅に99%エタノールを5甚ずっ滴下したものを対照区とし た・フェノール化合物の抽出は3反復行い,菌糸伸長抑制 検定もそれぞれ 3反復行った. 結合型フェノール抽出物の高速液体クロマトグラフィー (ⅡPLC)による分離 結合型フェノール抽出物をHPLC(LC-8020ModelII,東 ソー)で分離した・カラムは分離カ ラム COSMOSIL 5C18-MS-II型(4・6×250mm)(ナカライテスク)を用いた. 溶離液は2%酢酸-アセトニトリルを用い,溶離液のアセト ニトリル濃度を 0%から 40分後に 40%とするアセトニトリ ル濃度勾配を用いた.検出は300nmで行った. `Matsushima No・3,と`Nakashima 91,のクロマトグラムか ら・両バラ間で差異のみられたピーク(A)に着目し, `Matsushima No・3,および`Nakashima91,のピーク(A)の物 質を分取した・根からの抽出は第1-3図の方法で行い,結合 型フェノール抽出物を根30g(r.w.)・mL 1となるように99% エタノールに溶解し,分取カラムCOSMOSIL5C18_MS_II型 (20×150mm)を用いてピーク(A)を分取した.溶離液は 上述の分離カラムでの条件と同じとし,アセトニトリル濃 度を 0%から 40分後に 40%とするアセトニトリル濃度勾配 を用いた・根からの抽出および分取は 3 回反復した.分取 した試料を蒸発乾固し,99%エタノールで根 mL 30g(f.w.)・ 1となるように溶解して菌糸抑制効果の検定試料とした. 99%エタノールをシャーレの4隅に5ドLずっ滴下し,対照 区とした・菌糸伸長抑制検定は,分取試料ごとに っ た. 2.結果および考察 `Matsushima No・3'の根から抽出した結合型フェノール抽 出物と遊離型フェノール抽出物について,菌糸伸長抑制効 果を検定し,第1-5図に示した・接種72時間後の対照区の 菌糸拡散面積は4,787mm2で,シャーレ全面に菌糸伸長がみ られたのに対して,遊離型フェノール抽出物の菌糸拡散面 積は2,661mm2と有意に小さかった.また,結合型フェノー ル抽出物を滴下した培地では,菌糸の伸長がほとんど認め られず,菌糸拡散面積は、36mm2で,対照区および遊離型フ ェノール抽出物に比べて有意に小さかった. 3 回行 結合型フェノール抽出物の菌糸拡散面積が著しく小さく, 菌糸伸長がほとんどみられなかったことから,`Matsushima No・3'の根にはバラ根腐病菌の菌糸伸長を強く抑制するフェ ノール化合物が配糖体の型で含まれていることが明らかと なった・フェノール化合物は植物体内では低毒性の配糖体 として存在しており,植物体が病原菌の感染や傷害を受け ることによってグリコシダーゼやハイドラーゼなどが活性 化し,アグリコンが遊離して抗菌力が発揮される(白石, 1998) Faweら(1998)は,本研究と同様の方法でキュウ リの菓からフェノール化合物を抽由し,塩酸で加水分解し たフラボノール・アグリコン(結合型フェノール抽出物)が うどんこ病に東して強い抗菌活性を示したと報告している. 従って・本節の`Matsushima No・3,の根においても,バラ根 腐病菌に対する菌糸伸長抑制物質が配糖体として含まれて おり,植物体への病原菌の感染によってアグリコンが遊離 して抗菌力を発揮するものと考える. 遊離型フェノール抽出物の菌糸拡散面積は,対照区に比 べて有意に小さかったものの,結合型フェノール抽出物に 比べると菌糸伸長抑制効果は高いとはいえなかった.本節 における遊離型フェノール抽出物は,挿し木発根した健全 な根を磨砕したエタノール可溶性成分中に含まれるアグリ コンである・従って,健全な`Matsushima ラ根腐病菌に対する菌糸伸長抑制物質が含まれている可能 性が示唆されたが,その量は少ないと考える.採取した根 は速やかに磨砕してエタノール抽出を行ったが,根の切除 No.3,の根にもバ 19 時の傷によって遊離型フェノールが産生された可能性や抽 出操作の過程で結合型フェノール化合物が加水分解された 人工産物である可能性も考えられた.いずれにせよ,遊離 型フェノールは結合型フェノールに比べて菌糸伸長抑制効 果は高く なく,重要性は低いと考えられた. `Matsushima No・3'と`Nakashima 91,の根から抽出した結 合型フェノール抽出物の菌糸伸長抑制効果を比較すると (図1-6),24時間後までは`MatsushimaNo.3,,`Nakashima 91'および対照区ともに菌糸伸長がほとんど認められなかっ た・しかし,対照区の菌糸拡散面積は 36時間後には1,545 mm2となり,その後急速に増大して60時間後にはシャーレ 全面に広がった・これに対し,`Matsushima フェノール抽出物の原液では有意に菌糸 おり,72 No.3,の結合型 伸長が抑制されて 時間後の菌糸拡散面積は130 mm2に留まった.3 および10倍に希釈した`MatsushimaNo.3,の結合型フェノー ル抽出物の菌糸拡散面積は希釈倍率に応じて増加し,72時 間後の菌糸拡散面積は3倍希釈区で3,543 mm2,10倍希釈 区では対照区と同様にシャーレ全面に菌糸が広がっていた. これに対し,`Nakashima91,の結合型フェノール抽出物原液 では,48時間後までは対照区の1/2程度の菌糸拡散面積を 示し,`Matsushima No.3,には及ばないもののわずかに菌糸 の伸長抑制効果が認められた.`Nakashima91,の結合型フェ ノール抽出物を3および10倍希釈すると,菌糸伸長抑制効 果が小さくなり,10倍希釈したものは対照区と有意差が認 められなかった・`Matsushima No・3,の結合型フェノール抽 出物の10倍希釈液と,`Nakashima 91,の結合型フェノール 抽出物原液の菌糸拡散面積の推移は同じであった. Temgo・Boyomo(2002)は,CocoyamのP・myriotylumに 対する抵抗性に,菌糸伸長抑制効果を持つフェノール化合 物が関●係していることを示唆している.本節において,バ ラ根腐病抵抗性を示す`Matsushima No.3,の結合型フェノー ル抽出物が極めて高い菌糸伸長抑制効果を示したことから, Cocoyam と同様にバラ根腐病に対する抵抗性にフェノール 化合物が関与していると考えられた. 本節において,バラ根腐病に対 して羅病性である `Nakashima91'の結合型フェノール抽出物において,対照区 に比べて菌糸伸長が抑制されており,その抑制効果は `MatsushimaNo・3'の10倍希釈液と同等であった.第1節は, バラ育成過程における 凡 椚〟JJげJorαせの交雑系譜から 朋〟J′ブ′Jorαとの血縁度を求め,血縁度が低くなるに従ってP. 如才ブcoブde∫ `Nakashima の発病指数が高まることを明らかにしている. 91'とR・multifloraとの血縁度は不明であるが, 本品種はミニチュアローズに分類され,その育成過程にお いて凡椚〟J′げJorαが交雑されていると推定される.従って, `Nakashima91'は完全な罷病性ではなく,極めて低い抵抗性 を示すと考えられた.Dengら(2005)は,カラジウムのP. 椚γrブoJγJ〟朋 に対する根腐病抵抗性は,抵抗性物質の量的な 差異によるものであると報告しており,本節における `Matsushima No・3'と`Nakashima 91,の結合型フェノール抽 出物における菌糸伸長抑制効果の差異からみて,これらの 月. バラの菌糸伸長抑制効果は結合型フェノール抽出物に含ま れる菌糸伸長抑制物質の量的差異が関係していると考えら れた. `Matsushima No・3'の結合型フェノール抽出物が強い菌糸 抑制効果を示したことから,抵抗性に関係する菌糸伸長抑 制物質を詳 し く 調べるために,`Matsushima `Nakashima91'の結合型フェノール抽出物をHPLCで解析し た(図1-7) 5∼6分,8∼9分,10分前後に溶出する物質 が確認され,それらは`Nakashima No・3'の方が多かった・特に10 91,に比べて`Matsushima 分前後に溶出する物質は, `Nakashima 91,のピークが明瞭ではなかったのに対して, `Matsushima No・3'は明らかなピークを示し,その高さは `Nakashima91'の約3倍を示した(以後ピーク(A)とする). `Matsushima No・3'と`Nakashima 91,の間で明らかな差が みられたピーク(A)の菌糸伸長抑制効果を検定するために, 両バラのピーク(A)に相当する物質を分取し,菌糸伸長抑 制効果を検討した(図1-8) 対照区(99%エタノール)で は・84時間後に菌糸がシャーレ全体に伸長して菌糸拡散面 積が5,674mm2に達したのに対し,`MatsushimaNo.3,のピー ク(A)分取原液では84時間後に3,723mm2に留まり,有 意な抑制効果が認められた・`MatsushimaNo.3,のピーク(A) ・の分取原液を3および10倍に希釈したものの菌糸拡散面積 は,それぞれ4,860および4,737mm2となり,対照区の菌糸 拡散面積と有意差がみられなくなった・これに対し, `NakashimaJ91,のピーク(A)の分取原液の菌糸拡散面積は No.3,と 5,017mm2となり,対照区と有意差が認められず,同様に3 および10倍希釈液も対照区と有意差が認められなかった. このことから,`MatsushimaNo.3,のピーク(A)に含まれ る物質はタ・如才ブcoブde∫の菌糸伸長を抑制する効果を持っこ とが確認され,これがノイバラのバラ根腐病抵抗性に関係 していると考えた・しかし,その効果は第1_6 `Matsushima No・3'の結合型フェノール抽出物の菌糸伸長抑 制効果に比べて小さく,さらにピーク(A)以外にも両バラ 間で量的差異のある・ピークが多数存在していることから, `MatsushimaNo・3'の菌糸伸長抑制効果はピーク(A)を含む 複数のフェノール化合物によるものであることが示唆され た. 今後ピーク(A)の物質を単離し,MassSpectrometer(MS) 解析などを行ってバラ根腐病抵抗性物質を明らかにすると ともに,バラ根腐病抵抗性物質の生合成機構を解明する必 要がある. 図に示した 23 第 3飾 バラ根腐病抵抗性物質のバラ間差異 凡例〟J′げJorαに含まれる物質はP.カピノブco≠de∫の菌糸伸長を 抑制する効果を持つことが明らかになっている.しかし, 抵抗性と罷病性バラ間で量的差異のある物質が多数存在し ていることから,凡研〝J′げJorαの菌糸伸長抑制効果は複数の フェノール化合物によるものであること考えた. そこで本節では,月.研〟J′≠′Jorαの罷病性および抵抗性に関 わる根由来のフェノール化合物を抽出し,梶病性と抵抗性 との関係を検討するため,甲pLCを用いて結合型フェノール 画分に含まれる物質ピークの詳細な分析を行った. 1.材料および方法 供試植物 バラ根腐病抵抗性バラ`Matsushima No.3,と罷病性バラ `Nakashima91'および本章第1節の結果からR.multifloraと の血縁関係 と根腐病抵抗性が明 らかと 沼〟JJブ′JorαVar・Cα才力αγe〃∫ブ∫と凡 なっている 朋〝J〆げ/orαと血縁関係にあ る`Veilchenblau,,`TheGarland,,`Rush,,`CecileBrunner,, `Margo Koster,,`Apple `Nathalie `Cameo,,`Ghislaine Nypels,,`Kew Blossom,,`Miss Rambler,,`Rambling deFeligonde,,`ClaireJacquier,,`Blush Edith Cavell,, Rector,, 月. 24 Rambler,,`Leonie Lamesch,,`CoralClustar,,`Russelliana,, `Goldfinch',およびバラ野生種R.odorata,血縁関係が不明 の`Dr.Huey',`Fashion Parade,加えて 24種類のバラを供試 した. 根の採取とフェノール化合物の抽出 本章第 2節と同じよ う に行った. ⅡPLCによる結合型フェノール化合物の分離 結合型フェノール抽出物をH-PLC(LC-8020ModelII,東 ソ ー)を用 いて分離を行っ た.カ ラ ム は分離カ ラ ム COSMOSIL5C18-MS-II型(4.6×250mm)(ナカライテスク) を用いた・分析はアイソクラティ ツク条件で前半部と後半 部で溶離液の条件を変えて行った.前半部は1%酢酸水-5% アセトニトリル(ACN5%)を用い 分の分析,後半部は 20 1%酢酸水-12%アセトニトリル(ACN12%)を用い 分析を行った・カラムオーブン35℃,送液流量1mL・min 50分の 1, インジェクションボリュームは10卜Lとし,検出は300nm で行った・結合型フェノール化合物の抽出は各バラ 3 行い,それぞれについてHPLC分析を前半部 3回・後半部 回行い,その平均値を利用した. 得られたクロマトグラムの波形処理は手動で行い,分離 できないピークはグループピークと した.各溶出時間にお けるピーク面積および高さについて,褐変度および血縁度 との関係をみるため,Excel統計を用いて主成分分析を行っ 反復 3 25 た. 2.結果 結合型フェノール化合物のⅡPLC分析 逆相モードで分離を行う場合,物質の極性によって溶出 時間が異なり,極性が低い物質ほど溶出時間が長くなる. また,溶出に用いる溶媒アセトニトリル(ACN)の濃度が 高くなるほど溶出時間は短くなる.そこで,極性が高く溶 出時間が短い,すなわちクロマトグラム前半で検出される 物質の分析はACN5%条件で行い,極性が低く溶出時間が長 い,すなわちクロマトグラム後半で検出される物質の分析 は ACN12%条件で行った. ACN12%条件の溶出時間 は 7.88 分以前に確認されるピーク ACN5%条件で検出される範囲であると推察されたため, ACN12%条件では 7.88 分以後のピークを検証対象と ACN5%条件での溶出において,溶出時間6.85分に検出され たピーク(以後ACN5%-6.85 と表記する)は2つ以上のピー クが重なっており,分離できなかったためグループピーク として扱った・同様のグループピークには,ACN5%_6.85以 外 に,ACN5%-15・30,ACN12%-8.52,ACN12%-10.06, ACN12%vll・33, ACN12%-18・29,ACN12%-20. ACN12%-15・02, 14,ACN12%-28.57があった. 分離できたピークは前半のACN5%条件では26ピーク(図 ACN12%-16.57, した. 26 1-9),後半の ACN12%条件では 23 ピーク(図1-10)の合 計49ピークであった・しかし,ACN5%-3.96,ACN5%-5.14, ACN5%-6・25,ACN5%-9・87,ACN5%-10・28,ACN5%-12.63, ACN5%-13・36,ACN5%-14・21,ACN5%-16.12,ACN5%-18.79, ACN5%-19・50・ ACN12%-24・38, ACN12%-23・11, ACN12%-23.77, ACN12%-25・12, ACN12%-37.09, ACN12%-41・32,ACN12%-44.45,ACN12%-46.51は検出され たバラが少なく,また分離も不明瞭で小さかったため,主 成分分析での考察には供試しなかった.また分離された主 要ピークはすべてのバラで確認されたため,バラの抵抗性 が物質の質的な差によるものではないことが明らかとなっ た. 49 ピークそれぞれについてバラ別にピーク面積を比較し た・褐変度に関する一定した傾向はみられなかったものの, 罷病性バラにおいて面積が大きい傾向にあるピークが存在 した・ACN5%-3・38,ACN5%-4・63,ACN5%-5.53,ACN5%-7.43, ACN5%-8・17,ACN5%-11・09,ACN12%-7・88,ACN12%-10.06, ACN12%-11・33, ACN12%-16・57, ACN12%-22.28, ACN12%-26・53,ACN12%-29.79,ACN12%-34.92では強い抵 抗性を示す`Dr・Huey,,`MatsushimaNo・3,,R・multifloravar. Cα′カαγe〃∫ブ∫でピーク面積が小さ く,強い梶病性を示す`Coral Cluster',`Russelliana',`?oldfinch,でピーク面積が大きい 傾向がみられた.しかし,その他の中間バラでバラツキが 大きかったため,単一でバラの抵抗性を判別できるピーク とはいえなかった・従って,単一物質でバラの根腐病に対 27 する抵抗性が決定されているのではなく,複数の物質が量 的に梶病性に関係していることが示唆された.ピークの高 さにおいても検証を行ったが,ほとんどのピークで面積と 同様の傾向を示し,傾向が異なるピークはグループピーク として扱ったピークであった・また 凡 椚〟JJブ′Jorαとの血縁 度に関する各ピークの面積との関係においても一定の傾向 は認め られなかった. 各ピーク面積における主成分分析 全23項のうち固有値1以上の情報量を持っ主成分は第1 主成分から第16主成分までであり,第16主成分までの累 積寄与率は 97.00%であった(表1-3) また,固有値のス クリープロットから第1∼4主成分が有効な主成分であるこ と が示唆された. 第1主成分の寄与率が24.12%であったことから,第1主 成分は全23項の情報量の24.12%を説明しており,第2主成 分は16・50%,第3主成分は11.56%,第4主成分は7.34%を 説明していた.特に第1主成分の寄与率が高かったことか ら第1主成分と第2主成分,第1主成分と第3主成分,第1 主成分と第 4主成分,第2主成分と第 3主成分に対するバ ラごとの得点を平面状にプロットし,検証を行った.第1 主成分と第2主成分の累積寄与率は40.62%で,第1主成分 と第 3 主成分では 35.77%,第1主成分と第 31・46%,第2主成分と第3主成分では28.15%であった. 供試したバラの主成分得点第1-11分布図に示すように, 4主成分では 28 第1主成分と第 4 主成分において,抵抗性バラ と罷病性バ ラが混在する分布を示し,両者を区別する っ こ と はできなか た. 第1主成分と第 おいて第 2主成分の主成分得点分布(図1-12)に 主成分得点の正の象限に羅病性バラが分布し, 2 負の象限には抵抗性バラが分布する傾向がみられた.抵抗 性バラ10種類のバラのうち第2主成分得点が負の値を示し たものは ち第 6種類のバラがあり,罷病性の 7種類のバラのう 2主成分得点が正の値を示したものは あった.`Blush 4種類のバラが Rambler,,`Laonie よび`C。ral Lamesch,お Cluster'は罷病性バラであったが第2主成分得点が負の値を 示した.しかし,いずれも第 2 主成分得点は-2.0 った・また,抵抗性バラで第 2 主成分得点が正の値を示し たバラは 以上であ 種類のバラがみられた.褐変度が中程度抵抗性 4 バラの分布は散在し,第 2 主成分得点による区別はできな かった・また強い抵抗性を示す`Dr.Huey,,`Matsushima No・3'・R・mtI/1if/ol・(1Var.Ca/ha.l-e7tSi.l・の 主成分得点が正の値で第 布 2 3 挿類のバラは第l 主成分得点が負の値の象限に分 した. 第1主成分と第 みると,第 3主成分の主成分得点分布(図・1_13)を 3 主成分得点の正の象限に抵抗性バラが多く分 布し,篠病性バラと中程度抵抗性バラは第 3 主成分得点の 負の象限に多く分布する傾向がみられた.このことは,第2 主成分と第 3 主成分の主成分得点分布(図 も同様にみられた.しかし強い抵抗性を示す`Matsushima ト14)において 29 No・3'と 乱川〝Jオブ′JorαVar.CαJゐαγe〃∫ブ∫で第3主成分得点が負 の値を示し,強い羅病性を示す`ClaierJacquier,で正の値を 示すな ど例外もみられた. 主成分とピーク面積値の相関を表す主成分負荷量に着目 し,検討した.全供試バラのピーク面積の平均値からピー ク面積100mV・秒未満のピーク,ピーク面積100mV・秒以上 500mV・秒未満のピーク,ピーク面積500mV・秒以上のピー クに分類し,主成分負荷量との関係をみた. 第1主成分負荷量においてはACN5%-10.64,ACN5%-17.18, ACN12%-8・52, ACN12%-11・33, ACN12%-14.13 , ACN12%-16・57,ACN12%-18.29,ACN12%-20.14で正の相関 がみられ,特に では ACN5%-10.64,ACN5%-17.18,ACN12%_8.52 0・7以上と高い相関係数を示した.また ACN5%-6.85, ACN5%-8・17・ACN5%-8・75,ACN5%-11・09,ACN5%-15.30, ACN5%-18・05,ACN12%-7・88,ACN12%-10・06,ACN12%-13.43, ACN12%-26.53,ACN12%-28.57,ACN12%-34.92においては 負の相関があ り,特に ACN5%-11.09,ACN5%-15.30, ACN5%-18・05,ACN12%-7・88,ACN12%-28.57,ACN12%-34.92 で-0.7以下と高い負の相・関係数を示した. 第 2 主成分負荷量では ACN5%-3.38,ACN5%-4.63, ACN5%-7・43,ACN5%-8・17,ACN5%-8・75,ACN5%-11.09, ACN12%-8・52・ ACN12%-10・06, ACN12%-11.33 ACN12%-15・02, ACN12%-16・57, ACN12%-18.29, ACN12%-20・14, ACN12%-22.28, ACN12%-26.53 ACN12%-29・79,ACN12%-34.92 で相関係数が高く,特に , 30 ACN5%-7・43,ACN12%-15・02,ACN12%-20.14では相関係数 が 0・7以上と、大きかった.ACN5%-11.61においては負の相 関がみられた(表1-4).第1主成分と第2主成分の主成分 負荷量を示す散布図から,検出されたピークの多くは第 2 主成分と正の相関があり,特に面積の大きいピークでその 相関が強かった(図1-15) また第1主成分と第3主成分 の主成分負荷量では面積の大きいピークは第 し,第 3 4象限に分布 主成分と負の相関がみられた.しかし,各ピーク の分布に一定の傾向は認められなかった(図1-16) 主成分と第 クは第 3 第 主成分の主成分負荷量では面積の大きいピー 4象限に分布し,多くのピークの第 相関があった(図 2主成分と正の ト17) 次に血縁度について主成分得点分布との関係を検討した. 供試したバラを月.研〟Jオブ′Jorαとの血縁度から 50%以上のバ ラ,10%以上50%未満のバラ,10%未満のバラに分類し,第 1主成分得点と第2主成分得点,第1主成分得点と第3主成 分得点・第1主成分得点と第4主成分得点との関係を検討 した・いずれの主成分においても 月・刑〝JJげJorαとの血縁度 の大小と各種成分得点との間に一定の傾向は認められなか った・従って,血縁度と各主成分との間には相関がみられ なかった. 2 31 3.考察 結合型フェノール化合物のⅡPLC分析 結合型フェノール画分の HpLCクロマトグラムから分離 されたピーク数がバラ間で差が見られなかったことから, 抽出された物質はバラに普遍的な物質であることが判明し た. Liら(2007b)の報告から乱研〟Jオブ′Jorαが有する抵抗性は 病原菌の侵入段階で発現することから,病原菌の攻撃によ って新たに誘導される動的抵抗性であるとされている.本 節では,菌侵入によ り植物体の酵素系が活性化し 椚〟JJブ′Jorα特異的に生成されるフェノール化合物の存在に 着目してきた・一般的に植物に広く存在するフラボン,ク ロログン酸,タンニンなどのフェノール化合物は抗菌活性 を持っため抵抗性に関与する物質と考えられている.フェ ノール化合物は菌の感染によって増加するが,これはペン トースリン酸経路が菌の攻撃によって活性化し,この経路 の産物であるフェノール化合物が蓄積するためと考えられ ている・フェノール化合物はそれ自身あるいはその酸化物 がフォスフォリラーゼ,トランスアミナーゼ,ペクチナー ゼなどの活性を阻害するため,病原菌の生育や,宿主細胞 間隙への蔓延を阻害するとされている(柘植,2007) 病気は宿主植物(素因)・病原体(主因)・環境条件(誘 引)の条件がそろったときのみ発生する.Li(2006)の結 果から 凡 甜〟J′ブ′Jorαにおいて発病が認められない根からも 月. 32 P.カピノブcoブde∫の菌糸侵入が認められている.ア.力ピノブcoブde∫に よるバラ根腐病は幼若苗で発病するこ とが多く,成熟した 苗は発病しにくい傾向がある.P.カeJブcoブde∫の菌糸伸長が活 発になる温度は 35℃前後であり,これはバラの生育にとっ て不適な環境といえる・Liら(2007b)は月.椚〟J′げJorαの根 では罷病性バラの`Nakashima 91,に比べて菌糸伸長が緩や かであったと報告しているが,この要因と よる 月・沼〟JJげJorα して菌の侵入に に特異的な抵抗性物質の生成の他に,月. の高温条件下における根の環境耐性能力が考え 椚〝J′ブ′Jorα られた・バラの生育適温は 20∼22℃であり,この温度域に おいてバラの根の生育が良好となる.従って,この温度域 では病原菌の菌糸の伸長より先んじて根の損傷を修復する 能力・生長能力が優るため菌糸が拡大できず,結果として感 染が成立しないと推察できる.しかし,夏場の高温期にな ると根の生育が衰え,温度によるスト レスの影響でこれら の耐性が衰退することが考えられる.根の環境耐性が衰え る一方で P.カeJブcoブde∫の菌糸伸長には最適な条件となるた め被害が大きくなったと考える.月.椚〟JJブ′Jorαは日本在来の 野生種であり亜熱帯地域にも分布することから高温に対す る抵抗性が強いと推察される.これに対してロ 栽培で台木と ック ウール して最も多く用いられている台木は罷病性 月. 0加rαJαで,その交配親のいずれもが中国南西部の高地に自 生し高温に対する抵抗性が弱いとが考えられる(大川, 1999) 温度以外に栄養条件も発病の要因となり うる.イネいも 33 ち病は一般にイネに窒素肥料を多く施用しすぎると病原菌 の栄養源と してのアミ ノ酸が植物体内に増加するため激し く発病する.また窒素多用によって植物体が徒長して軟弱 化すること抵抗性低下と関連があると言われている(柘植, 2007)・P)・・1hitI川属菌においても P.(7P/=川idermaIt(771(Edson) Fitzp.による病害ではエンドウやト ウモロコシでは硝酸態 窒素によって発病が増加し,キュウリではアンモニア態窒 素によって発病が増加する.緩効性固形肥料の追加施与に よってバラ根腐病の被害が助長されることが明らかになっ ており,その要因について塩類集積による植物体の抵抗力 の低下の可能性が示唆された(渡辺ら,2009) 凡 これよ 研〟JJブ′Jorα の塩類集積に対する抵抗性の可能性が推察さ れた. また,今回各バラで 3 反復抽出を行ったが,バラ内でピ ーク面積の差が大きく現れるバラが存在した.挿し木後の 条件は各反復とも同じであるが,挿し穂の採取時期は反復 によって異なるバラも存在する.またバラによって発根し にく いバラや,挿し木から根を採取するまでの日数にバラ ツキが存在した.これらのバラツキが抽出される物質の量 的変化にどのような影響を及ばすかに一定の傾向は認めら れなかった・今後 て環境耐性要因の観点から 乱 用〟Jオブ/Jorα特異的根腐病抵抗性につい 凡 椚〟J〆げJorαの高温条件下およ び多肥条件下での板の形態的・化学的調査が必要であると 示唆された. り 34 各ピーク面積における主成分分析 結合型フェノール画分の詳細なピーク分離を行った結果, 単回帰では一定の傾向が認められなかったが,主成分分析 を行った結果,第1主成分得点と第 より,第 2 2主成分得点の散布図 主成分得点の正の象限に篠病性バラが分布し, 負の象限に抵抗性バラが分布する傾向がみられた(図1-12). このことから,第 2 主成分の正負によって抵抗性バラと篠 病性バラの判別が可能であると考えられた.また,強い抵 抗性を示す`Dr・Huey,,`MatsushimaNo・、3,,R・multifloravar・ CαJカαγe〃∫ブ∫の 3種類のバラは,第1主成分得点が正の値で 第 2 主成分得点が負の値の象限に分布した.このことから 第 4 象限に分布するバラは強い抵抗性を持ったバラである 可能性が高いと考えられ,より高い選抜をかけることがで きると推察された・また,第1主成分得点と第 点および第 第 3 2主成分得点と第 3主成分得 3主成分得点の散布図より, 主成分得点の正の象限に抵抗性バラが分布し,負の象 限に中間バラと罷病性バラが分布した(図1-13,14).従っ て,第 3 主成分得点による抵抗性の選抜も可能であると考 えられた・しかし,強い抵抗性バラである`MatsushimaNo.3,, 月・椚〝J′ブ′JorαVar・CαJ力αγe那ブ∫が当てはまらなかったため, 信頼性は低いと考えられた. 一方,主成分分析における第1主成分と第 2主成分の主 成分負荷量を示す散布図から,検出されたピークの多くは 第 2 主成分と正の相関があり,特に面積の大きいピークで その相関が強かった(図1-15) 主成分得点の結果とこれ 35 より,褐変度は第 2主成分と正の相関があり,第 2主成分 と正の相関が強いピークは第 2 主成分の主要構成要素と考 えられた・このことから,第 2 主成分と正の相関が強い物 質は褐変度に影響する物質であると推察され,バラに関わ らず普遍的に存在する主要フェノール化合物であることが 示唆された. 根頭がんしゆ病の感染においてアセトシリ ンゴンなどの フェノール物質は障害部位への菌の走行性を誘導し,さら には発病に関する遺伝子領域を活性化させることが知られ ている(陶山・羽柴,2007) 本節での主成分分析結果にお いて,褐変度と強い相関がある第 2 主成分がバラの梶病性 に特徴的なフェノール化合物群セあることが示唆された. これらはP・如才ブcoブde∫の遊走子や菌糸伸長を誘導する物質 やその代謝系に関係している可能性が考えられるが,これ らを特定することはできなかった.複数の物質からなる主 成分で罷病性との関係が説明できたことから,単一物質が 菌糸伸長促進や二次感染における遊走子の誘導を行うので はなく,根頭がんしゆ病におけるアセトシリンゴンのよう に,活性部位を有する化合物群が複雑に遊走子誘導や菌糸 伸長促進に関わっている可能性が考えられた(Tanら,2004). また,組織褐変は植物の細胞が損傷を受けた場合に細胞 中の酵素ポリフェノールオキシダーゼ(ppo)がフェノール 物質を酸化・してキノン体とし,これが非酵素的に酸化重合 して褐色の巨大分子を形成するものであり,植物の生理障 害に伴って褐変物質が生合成される(濱渦,2007) 本節 36 において,褐変度とフェノール化合物との間に正の相関が 認められたことから,P.力eノブco≠de∫の感染によって生じた褐 変によってフェノール◆化合物が生成され,これがさらなる 遊走子の誘導や菌糸伸長を促している可能性が考えられた. 今後抵抗性バラ と羅病性バラの P.カピノブcoブde∫感染根と健全ノ 根の結合型フェノール化合物を抽出し,生物検定を行い, 検証していきたい. 37 =_∴T&blel烹慧≡vero減ⅧeSdectedinreldedne$で也箪悪霊 Cultivarnameorspecies R.m嘲om(%) 凡〝血吻伽昭 凡椚〟J材70rα`MatsushmaNo.3, 凡〝血吻伽皿Var・Cα助町e〃血 且椚〟J吋70rα工cdmeβ 100.00 月.`Rusb' 54・10 R.'AppleBlossom' 50・00 R・`RamblingRector' 50.00 100.00 100.00 100.00 見`Seag山1' 50・00 R.`TheGarland' 50.00 凡`MargoEoster' 43・75 凡`BlusbR社汀1bler' 37・50 R.`Leonie 31・25 LⅡneSCb' ParentageZ 兄〝皿卿〃′〃 凡〝山崎‰川 R〝糾明/h川 且〝Ⅲ卿〃和 UmamedSeedling@al1erinaxBritamia(CoralCluster(SeedlingofMadameNorbertLev即aSSeur (MadameNorbertLeNaVaSSeur(CrimsonRambler(hybridof凡mJLbyZoTaXUnkn0wn)×Gloiredes Polymtha(SeedlingofMlgnOnette(M如onette(Seedling岬.polyantha(RmJLLQZoraxUnknown)× Uhknown)×ChinaRose)×Uhkn0wn)×(SeedlingofMignonette(Mignonette(Seedling田.polyantha 凪mJLbyZoTaXUnknown)×Uhkn0wn)×ChinaRose)×Unknown)))×Unkn0Ⅵn))×Seedlingof MadameNorbertLevavasseur(MadameNorbertLevavasseur(CrimsonRami,1er(b沖ridof凡tnzLLLyZora XUhkn0wn)×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette(Mignonette(Seedling田.polyantha(LL mJLby70raXUnkn0wn)×Unknown)×ChlnaRose)×Uhkn0wn)×(SeedlingofMlgnOnette(MigrlOnette (Seedling田,POlyantha(凡nLgZoTaXUnkn0wn)×Unkn0wn)×ChinaRose)×Unkn0wn)))× Unkn0wn)))×Bblouissant(Seedling笹muLLyZo,aXUhknow可×CramoisiSup6rieur)))×R 見川gOぶdX兄椚〟卿〃rα 見〃肌卿〃′α×見川0∫C力αね LL〝Ⅲ喝伽TaXG6niralJacqueminot 凡かw矧励×R〃仙崎鮎川 DanielLaconibe(凡fnZLhyZoTaXMargarita)×WeisserHerumStreicher(DanielLacombe(RtnuhyZoTaX Margarita)×Piquerette(Seedling田・POb,antha笹m・・卿oraxUnkn0wn)×Uhkn0wn)×Unkn0wn) CrimsonRambler(Seedling(Rm・LhmoraxUnkn0wn))×TheGarland田.bnLnOniixRmJLLLy70ra) Aglaia(RmuLLyZoTaXR合vedrOr)×KleinerAl&ed(Ama-MariadeMontravel(Polyanthaalbaplena 凡`Russelliana' 25.00 R.'TapisVolant' 25・00 R.`Gold丘ncb' 18・75 R・'GhislainedeFeligonde' 9・38 SarmentOSa(RmJLLyZoraxUhkn0wn)×MadamedeTartas)×ShirleyHibberd) Polyanthaalbaplena(凡mJLLLy70TIaXUhkn0wn)×MadamedeTartas R・卯か細加(R〝仙郷〃rα×U血0Ⅵ叫×Tea Paul'sScaJletClimberxSeedlingof凡mJL卿ora hybrldofRmJLbyZol・aXUnknown Seedling田tluciaexUnknown)×Seedling(凡mzLhyZoTaXBallerina) Hiline(Se■edling(SeedlingxAglaia(且mulWoraxRevedIOr))×CrirnsonRambler笹JnuhyZorax Uhkn0wn))×Uhknown Gold丘nch(H占1血e(Seedling(SeedlingxAglaia(凡m・L坤ZoTaXReved.Or))×CrimsonRambler(R 且`Cameo' 7・81 mJLhyZol・aXUnkn0wn))×Unkn0wn)×Unkn0wn SeedlingofMadameNotbertLevavasseur(MadameNotbertLevavasseur(CrimsonRambler(吋bridof且 R.`CecileBrunner' 25・00 凡`ClaireJac甲eir' 25・00 R.'DanCe 25・00 deFeu' mJLLmoTaXUnknown)×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette(MlgnOnette(Seedling田. POlyantha(RmJLLmoTaXUhknow可×Uhkn0wn)×ChinaRose)×Uhkn0叫)×SeedlingofMignonette (Mignonette(Seedling岬・POlyantha(凡m・L岬oTaXUnkn0wn)×Uhkn0wn)×ChinaRose)× Uhkn0wn)))×Uhkn0wn)×SeedlingofMadameNofbertLevavasseurr(MadameNorbertLevavasseur (CrimsonRambler(如bridofR・m・LLWoTaXU血ow可×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette (Mignonette(Seedling四・POlymtha(R仙hyZo,aXUnkn0wn)×Uhkn0ⅥⅦ)×ChinaRose)×Unkn0Ⅵ屯) R.`CoralClustar' R.`MissEdithCavell, 7.8l ×SeedlingofMignonette(Mignonette(Seedling田・pOlyantha(凡〝皿LiPoTaXUnkn0wn)×Uhknown)× Cb血aRose)×U血own)))×U血0VⅥn) SeedlingofMadameNotbertLevavwseur(MadameNorbertLevavasseur(CrimsonRanibler(hybridofR 7.8l mJL卿0,aXUhknovm)×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette(M如onette(Seedling田. POlyantha(RmJLLLy70raXUnkn0wn)×Unknovm)×ChinaRose)×Unknow可×SeedlingofMignonette (Mignonette(Seedling(凡polymtha(RmzLLLyZoTaXUnkn0wn)×Unknown)×ClmaRose)× Unknown)))×UnknovⅧ)xSeedlingofMadameNod)ertLevavasseurr(MadameNotbertLevavasseur (CrimsonRambler(hybridofRm・LLLyZoTaXUnkn0叫)×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette (Mignonette(Seedling田・pOlymtha(Rm・LhyZoTaXUnkn0wn)×Unkn0wn)×ChinaRose)×Uhknovm) ×SeedlingofMignonette(Mignonette(Seedling田・pOlyantha(Rm・LLmoraxUhkn0wn) ×Unkn0叫)× ChinaRose)×Unkn0wn)))×Unkn0wn) SeedlingofMadameNorbertLevavasseur(MadameNorbertLevavasseur(CrimsonRambler(吋bridofR mJLLLyZoTaXUnkn0叫)×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette(Mignonette(Seedling岬. polyantha(RmJLLyZo川×Uhkn0wn)×Unkn0wn)×ChinaRose)×U血ow可×SeedlingofMignonette (Mignonette(Seedling田・POlymtha(Rm・Lhy70,aXUhkn0wn)×Unkn0wn)×ChinaRose)× Unkn0wn)))×Uhknovm)×SeedlingofMadameNorbertLevavasseurr(MadameNod)ertLevavasseu, (CrimsonRambler(hybridofLtmuLLyZoTaXUhknow可×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette (Mignonette(Seedling田・POlyantha(RmJLhyZoraxU血10wn)×Uhkn0wn)×ChinaRose)×Unknovm) ×SeedlingofMignonette(M如onette(Seedling田・pOlyantha(R〝仙喝鮎川xUhkn0wn)×Unknow可× ChinaRose)×Uhkn0wn)))×Unkn0wn) R.`EewRmbler' 6・25 R.`Veilchenblau' 6・25 R・`NathalieNypels' 3・91 ParentageandRelatednesswithR.muLqGorawascalculated丘om R・SOulieanaxmawatha(CrimsonRambler(hybridofRfrLuLLyZoraxUhknown)×PaulrsCamine Pil血) Seedling(CrimsonRambler(吋bridofR〝仙郷oraxUnkn0Ⅵn)×Unkn0Ⅷ)×ErinnerunganBrod 0rlianSRose(SeedlingofMadameNotbertLevavasseur(MadameNorbertLevavasseur(Crimson Rambler(叫)ridofLLm・LL4fZo,aXUhkn0wn)×GloiredesPolyantha(SeedlingofMignonette 叫ignonette(Seedling岬・pOb,antha(RmJLhy70TaXUnkn0wn)×Unknown)×ChinaRose)×Unknovm) ×SeedlingofMLgnOnette(M如onette(Seedling田・POlyantha鱒muLWoTaXUnkn0wn)×Unkn0wn)× ChlnaRose)×Uhkn0叫)))×Unkn0wn)×SeedlingofMadameNorbertLevavasseurr(MadameNorbe,t Levavasseur(CrimsonRambler(hybridofRmJLLQZo,aXUnkn0wn)×GloiredesPobantha(Seedlingof Mignonette(Mignonette(Seedling田・POlyantha(RmzLhyZoraxUnknom)×Unkn0wn)×ChinaRose) ×Unkn0wn)×SeedlingofMignonette(Mignonette(Seedling畔・pOlyantha(RmJLhyZoTaXUhknow可× Unknown)× Cb血aRose)× U血own)))× Uhkn0wn))×Unkn0wn thedataofbreedinginHelpMeFind(http=〟ww.helpmefind.com/rose/; 2011/山1y/01). Fig・1-1・SelflmadeEbb&FlowwaterlngSyStemWaSuSedfortheevaluationof rootrotdisease・Rootedcuttingsinplugtrqyweresoakedwiththezoospore SuSPenSionforlh,andthenzoospore-COntainednutrient Circulatedintheplantbedandtanked4timeseverydayfor2mineachtime. solutionwas Tbblel-2・Relativerootrotseverityofrosesusedinthis Relatednesswith Rosesname 尺・人血//坤〝Ⅵ 尺′仙//坤〃Ⅵ `MatsushimaNo.3, 凡′〃〟/J坤〝Ⅵ R・multiPo7u (%)Z 100.00 lOO.00 100.00 Var・Cα娩の′e〃∫i∫* 凡珊血物鮎川 £cα〝1eα* 且`Rush,* R・'AppleBlossom,* R・'RamblingRector,* 且`Seagull'* lOO.00 Relative rootrot Relatednesswith Resistance 0.26a 0.34abcd 0.27ab resistant 月.`Russelliana,* resIStant 月・`T叩isVola鵬'* resIStant 且`Gold丘nch,* 0.53abcde resistant 凡`Cameo'* 50.00 0.52abcde resIStant 0・86def 慧y 慧y 0・72cdef 50.00 0.44abcd 43.75 0.57abcde R.'BlushRambler,* 37・50 l・41gh susceptible R.'LeomieLamesch,* 3l・25 1・01執 susceptible R.'CecileBrunner,* 25.00 0.49abcde R・'MargoKoster'* R・'ClaireJacqueir,* R.'DancedeFeu,* 25・00 1・45h 25.00 0.38abcd 18.75 deFeligonde'* 54.10 50・00 R・multiPora (%) Relative rootrot Resistance severity 1・08砂 susceptible O.46abcd resistant 1・52h susceptible o.71bcdef mOderately R.'Ghislaine resistant 50・00 R.'TheGarland,* Rosesname severity 0.47abcdy eXPerlment. resIS也皿t 0.94e短 moderately R.'CoralClustar,* 1・19執 susceptible R.'MissEdithCavell,* o.75cdef mOderately resIS触 resIS触 慧慧y R.'KewRambler,* 6.25 0・85def resistant R.'Veilchenblau,* 6.25 O.31abc resistant R・'NathalieNypels'* 3.91 0・90ef 慧y R.'Nakashima91, l・00短 susceptible 且`FashionParade, O.41abcd resistant resIStant R・'Dr・Huey, O.16a resIS也血 susceptible 月.0ゐれプね 0.92e短 resISは鵬 moderately resIStant resIStant ZDegreeofrelatednesswithR. multiPofmalculatedfromthedataofbreedinginHelpMeFind(加p‥〟ww・helpmennd.com/rose/; yValueswithdi飴rentlettersaresigmificantatp=0・05byFisher,sLSDtest(n≧3). *RosesfromFlowerFestivalCbrrmemorativeParkofGifuPrefbcture. 2011/July/01). 曾JOAOS-○こ00JOA叫ヨ0出 〇.00 〇4 20 40 60 80 RelatednesswithR・multiPora(%) Fig・l-2・Correlationbetweenrelativerootrotseverityandrelatedne亭SWithR・mukiPora. *SignincantCOrrelationwasindicatedatP<0.05. 100 Roots Extractin80%ethanol(40c,2days) Residue Etbanolpbase 「 Evaporateinvacuo Ⅵねterphase ExtractwithpetroleumetheratpH2.0 Elutewithethylacetate r Ethylacetate丘・actio ▼▼ 「fvaporateinvacuo Acidolysiswith4NHCl(1000c,1h) n(Freephenolicsubstances) Elutewithethylacetate aCetatephase Ⅵねter base 「Evaporateinvacuo Ethylacetate&actionaReracidolysis(Boundphenolicsubstances) Fig・1-3・IsolationprotocolforphenolicsubstanCeS丘omroot. Imageofgermtubeelongation Fig・1q4・Procedureformeasuringgermtubeelongationarea(modelchan). 6,0 0 ●ヽ‥ (N∈旦N票岳眉亀喜一已UOq占〓芦市ロ 000 4 000 3.ノ 0 00 2.1 0 0 1 0 00 0 Control Freephenolic Boundphenolic Substances Substances Fig・1-5・Tblerante飽ctsofphenolicsubstances丘om'MatsushimaNo・3,ongermtubeelongatjon. ZGermtubeelongationareawasmeasIUed72baAerinoculation. Free皿dboundphenolicsubstancesweredetectedinrootextractsof5g(fw・)root・mL-1,reSpeCtively. y5pLof99%ethylalcohoIwasaddedat4cornersinapetridish(SeeFig.1-4). XVhlueswithd騰rentsuperscrlptSareSlgmincantatP=0・05byFisher,sLSDtest. Vtrdcalbarsrepresentmean±SE(n=3). ′んU _ノ 000 ×=Control‥99%ethylalcohoIZ (へll≡ニl≡≡〇ニー碧〇一…壬三2つこ 5 ,00 4,000 つJ -ノ 4='MatsushimaNo・3,(0riginalliquid)y □=`Nakashima91,(0riginalliquid) ●:`MatsushimaNo・3,(3timesdilution) ○=`Nakashima91,(3timesdilution) ▲‥`MatsushimaNo・3,(10timesdilution) △:`Nakashima91,(10timesdilution) 00 0 2 0 00 -ノ l 00 -0ノ 0 12 24 36 48 60 72 Postinoculationperiod(hours) Fig・1-6・Tblerant曲ctsofboundphenolicsubstanCeS丘om'MatsushimaNo.3,and `Nakashima91,ongermtubeelongation. Z5pLof99%ethylalcohoIwasaddedat4cornerSinapetridish(seeFig.l-4). yBoundphenolicsubstanCeS(Originalliquid)weredetectedinrootextractsof5g(fw.)root・mL-1. X%1ueswithdi飴rentsuperscriptsaresigni丘cantatp=0・05byFisher,sLSDtest(n=3). (A旦OU焉qJOSqく 0 60 0 0 2 4 6 8 10 Time(min) Fig・1-7・HPLCscanPattemOfboundphenolicsubstanCeS in'MatsushimaNo.3,and'Nakashima91,. 12 14 16 18 20 6■「 0 00 ×:Control‥99%ethylalcohoIZ (篭llニー≧=≡ニー誌-≡一…壬三2つこ 5 00 0 _ノ 4 00 0 ■ノ つJ -ノ 00 0 JI='MatsushimaNo・3,(0riginalliquid)y 口:`Nakashima91,(Originalliquid) ●=`MatsushimaNo・3,(3timesdilution) ○=`Nakashima91,(3timesdilution) ▲:`MatsushimaNo・3,(10timesdilution) △:`Nakashima91,(10timesdilution) 2 000 _ノ l カ0 0 0 12 24 36 48 60 72 84 Postinpculationperiod(h6urs) Fig・1-8・Tblerante飴ctsofsubstancesofpeak'jmom'MatsushimaNo.3,and'Nakashima91, Ongermtubeelongation. Z5pLof99%ethylalcohoIwasaddedat4cornerSinapetridish(seeFig・1-4). yOriglnalliquidcontainedsubstancesofpeak'A?separatingbyHPLCandwas equivalenttorootextractsof30g(fw・)root・mL-1with99%ethylalcohol. X%1ueswithd此rentsuperscriptsaresignificantatp=0・05byFisher,sLSDtest(n=3). 【mv】 (A旦00∈ぷJOSqく Time(min) Fig・1-9・HPLCscanPatternOfboundphenolicsubstanCeSOf'MatsushimarNo・3,inACN5%(Whole). 【mv】 2ロロ.川0 (人見00SqJOSqく =川.0ロ0 のN.NN 寸1.〇N のN.のT 28.00 ヰ0.ロロ [分] ▼・→ ■→ M 卜 卜 00 ぐ( N M 寸 Vl トI(11月=N ▼→ ○\ ⊂〉 ト ぐ一「 N M ▼■-{ 寸 等 岩 音 等 Time(min) Fig・1-10・HPLCscanpa仕ernofboundphenolicsubstancesof'MatsushimaNo・3,inACN12%(Whole). ThbIel-3・Eigenvalues PCAcode Eigenvalue andcontributionratioofprlnCIPal contributionratio(%) COmPOnents. Accumulationcontributionration(%) PCANo.1 PCANo.2 PCANo.3 24.12 40.62 PCANo.4 52.27 PCANo.5 59.61 PCANo.6 65.89 PCANo.7 71.26 PCANo.8 75.93 PCANo.9 PCANo.10 PCANo.11 PCANo.12 PCANo.13 PCANo.14 PCANo.15 PCANo.16 PCANo.17 PCANo.18 PCANo.】9 PCANo.20 PCANo.2I PCANo.22 Ⅰ)CANo.23 80.09 83.61 86.60 89.37 91.37 92.99 94.52 95.89 97.00 97.93 98.60 99.07 ウ9.45 99.75 ウ9.93 IOO.00 00 ′0 巴。。Sl宕已。d宮?l各呂凰竜コ80戸 4 2 ● ● t● 0 ○ ○ ○ OResistancerose ●Moderatelyresistant rose ●Susceptiblerose ー8 t6 -4 -2 0 2 TheBrstprlnCIPal-COmPOnentSCOre Fig・1-11・ThescatterdiagramofthefirstandfourthprincIPal-COmPOnentSCOreininftctionrateofroses. 8 10 00 ′んU 巴。。S竜宮d∈宇-各呂息p已。UOSU戸 4 2 0 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 The丘rstprinclpal-COmPOnentSCOre Fig・1-12・ThescatterdiagramofthehstandsecondprincIPal-COmPOnentSCOreini血tionrateofroses. 8 10 00 ′hU 4 巴。OS苫呂Od∈宍丁官-呂息pJ苫0戸 2 0 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 ThenrstprlnCIPal-COmPOnentSCOre Fig・1-13・ThescatterdiagramOfthenrstandthirdprinclpaトcomponentscoreininfヒctionrateofroses, 8 10 00 ′んU 巴。US盲0□Od∈○?官-呂息pJ苫遥← 4 2 0 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 ThesecondprincIPal-COmPOnentSCOre Fig・l-14・ThescatterdiagramOfthesecondandthirdprlnCIPal-COmPOnentSCOreininfヒctionrateofroses.巴 8 10 54 Tbblelr4・ListoftheloadingofprlnCIPalcomponentateachpeak. Peakcode Thefirst 山一COm 0.3701 ArN㌣㌦-う.り6 i汗略= ACN5%-4.08 0.1556 ACN5%-4.19 -0.0142 --0.3592 A〔1N5?イ,-5.1ヰ A〔二N5(.さもイ).25 ACN5%-6.$5 ACN5%-7.43 ACN5%一札17 け川)l)(■1 Onentloadin Thesecond al-COm 0.5818 -().ヰ82ヰ 0.2127 0.2068 --0.6476 0.0725 -f).ヰlウ5 0.3382 -り.什r雄 り.()7二等2 一0.4943 -0.2294 -0.1312 0.7205 -0.6528 0.5692 -0.4420 0.4436 -り.3り67 什(き385 ().3967 A〔、N5`ゝiクー1け2H ACN5%-10.`4 0.8076 0.3869 -0.7746 0.5510 -0.2868 -0.4520 り.jり17 ACN5%-8.75 A(1N5(ナノi)サ87 ACN5%-11.09 ACN5%-11.61 A(′、N5{モ心12.f)う ACN5`}ふ虞1.う() -け2=)(I け1771 ▲\( (主.1(′り2 l\うー㌦一けコI ACN5%-15.30 .A〔1N5`ナ/i,一拍.12 ACN5%-17.1$ ACN5%-18.05 ÅCN5(.メノもー1R.7リ A〔「N5(さふtt).5り -0.8640 け27()5 ACN12%-10.06 -け16()リ ーり.()5(_きリ 0.0998 -=.14(i2 0.3577 -0.8829 0.2949 ACN12%-7.88 ACN12%一S.52 り.()8引 0.8089 -(主.1Ⅰ27 廿里7ココ -0.8770 0.7695 -0.6197 0.6042 一毛).38ヰ8 けⅠ511 0.1320 0.4264 0.5171 0.5557 ACN12%-13.43 ACN12%-14.13 ACN12%-15.02 -0.5425 0.6907 -0.0292 0.3865 tO.3137 0.4663 0.7143 ACN12%-16.57 ACN12%一18.29 0.4668 0.5714 ACN12%-20.14 0.4615 0.7853 ACN12%-22.28 0.3734 ACN12t′H',-2j.11 (′=)983 A(1Nほ%-2う,77 り.12(氾 A〔1Nほ%-2ヰ,う8 什2351 ACNlユ{!/ムー25.12 ().ヰ51l ACN12%-26.53 0.4109 0.5396 り.コリ2ニー ーり」373 り.18ほ ().】87き; -0.6657 0.6342 -0.8341 0.3624 0.1033 -0.8406 ().ヰヰ6(i 0.4582 A(1Nり%-う7.()9 ÅCN12(シiラーヰ1,う2 ().122Ⅰ ACN12%-28.57 ACN12%-34.タ2 ArNl㌢さノi,一斗f).5l 0.6460 -け1川)8 -(1.2ウリ() -(j.()ヰウ3 (I.17川) -り.()6き‖ り.j635 ACN12-さ・■1,一圭トけ Onentloadin 叫已叫p召〓已呂Od己○?【已-0召dpuOUひS山戸 0 4 0 つム 0 つム 0 0 4 ′んU 0 00 0 - 1 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 The丘rstprincIPal-COmPOnentloading Fig・1-15・ThescatterdiagramofthenrstandsepondprlnClpal-COmPOnentloadinglneaChpeakarea. 0.6 0.8 1 T-i ■ - ■ 0 2 02 ぎ焉○〓∈呂Od∈○?官-0雇dpJ壱0戸 ■ 0 4 O O 4 O O ′んU OO -1 -0・8 -0・6 -0・4 -0・2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 ThefirstprincIPal-COmPOnentloading Fig・1-16・ThescatterdiagramofthenrstandthirdprincIPal-COmPOnentloadingineachpeakarea. 1 0 ′b 如月p宕〓uO星d∈○?【已-呂已pJ苫0声 0 4 0 ■ l -1 -0・8 -0・6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 ThesecondprincIPal-COmPOnentloading Fig・l-17・ThescatterdiagramofthesecondandthirdprincIPal-COmPOnentloadinglneaChpeakarea. 0.6 0.8. 1 58 第二章 バラ根腐病抵抗性を持つ乱川〟J′げJ〃川の DNAマーカーの開発 バラ根頭がんしゆ病と根腐病に対する複合抵抗性を持つ品 種の育成を目的としてR・multげloraと`PEKcougel,との交雑を 行うに当たり,`PEKcougel,を花粉親とした場合には四季咲き 性遺伝子のg∫Ⅳマーカーが既に開発されている,よってが期 待されているが,凡 個体について凡 研〟J〆げJorαを花粉親とした場合の交雑Fl 椚〝J′げJorαの交雑後代であることを証明する DNAマーカーが未開発であった. 本章では,月・研〟J′げJorαを交配親とするバラ品種を用いて, それらに共通する 乱 川〝J〆げJorα特有の遺伝子を見いだし,月. 椚〟J′げJorα を識別できるプライマーの開発を目的と して行っ た. 1.材料および・方法 供試材料 供試材料として,表1-1中で表示されでいる Var・CαJカαγe〃∫ブ∫および凡‥椚〃互〃"Ⅶf.cαr〝eα と血縁関係にある`Apple Blossom,,`Russelliana,,`Rambling Rector',`Seqgull,,`TapISVolant,,`Rush,,`GipsyBoy,,`Margo Koster',`MissEdith Cave11,,`NathalieNypels,,`CoralClustar,, `LeonieLamesch,,`Veilchenblau,,`BlushRambler,,`Goldfinch,, 月・刑〟′′げJorα と凡研〟J〆げJorα 59 `Ghislaine 育成 de Feligonde',`Kew Rambler,および1830年以前に さ れたオールドローズ品種`Queen Denmark,と of `Camaieux'を用いた.また,根腐病抵抗性品種の`Matsushima No・3フと根頭がんしゆ病抵抗性品種の`PEKcougel,およびバラ 野生種月・とα打ね用,凡才αeγブgαJα,凡r〟gO∫α,凡 ∂rαCJeα′α加え て供試した. DNA抽出 DNA抽出にはQIAGEN社のDNeasy Plant MiniKitを用い, プロトコール:植物組織からのトータルDNA精製(Min.iプロ トコール)に従って行った.手順を以下に記す. バラの未展菓約100mgを採取し,-80℃で⊥晩冷凍させた. そして同じく-80℃で冷凍させた乳鉢と乳棒を用いて未展菓 を粉末状にすり潰し,DNeasy Plant MiniKitに付属されてい る Buffer mL 1)4いLを添加し,激しくボルテックスした.この混合液 APlを400 pLと RNase Aストック溶液(100 mg・ を65℃で10分間インキュベー卜した後,BufferAP2を130pL 添加・転倒混和し,氷上で5分間インキュベートした.∴20,000 ⅩGで 5分間ライセートを遠心分離し,上清をろ過フィルター である QIAshredderMiniスピンカラムに移し,20,000xGで2 分間遠心分離した.その後,清澄済みライセートに1.5 量のBuffer 倍容 AP3/Eを添加してピペットで混和した.混合液を メンプレンフィルターである DNeasy Miniスピンカラムに移 し,6,000xGで1分間遠心し,DNA`をメンプレンに吸着させ た・遠心後,メンプレンを洗浄するため,BufferAWを500巨L 60 添加し,6,000 ⅩGで1分間遠心する操作を二度行った.その 後,20,000 で ⅩG DNeasy 分間遠心し,メンプレンを乾燥させた. 2 Miniスピンカラムを新しいチューブに移し,DNAを 溶出するためのBufferAEをメンプレン上に直接100pL添加 後,室温で5分間静置し,6,000xGで1分間遠心分離してDNA を回収した・回収した DNA は,分光光度計 Spectrophotometer(Bio-Rad)で DNA SmartSpec Plus の濃度,純度を測定し た. Random Amplified `Matsu亭hima Polymorphic No・3,,`Russelliana,,`Rambling `PEKcougel'の Rector,, 4種類のバラを用い,OPERON社製の (表2-1)の10 Chain DNA(RAPD)分析 300種類 merランダムプライマーを使い,Polymerase Reaction(PCR)を行った.バンドパターンから, `Matsushima No.3'および `Russe11iana'と`Rambling R.multiflora と血縁関係にある Rector,の3種類のバラの同じ位置に バンドがみられ,R・multifloraと血縁関係にない`PEKcougel, でバンドがみられないプライマーを凡 イマーと 椚〟J〆げJorα特異的プラ し,植物体を増やして第 種は`Matsushima 2次選抜を行った.供試品 No・3,,R・multiflora Var・Cathayensis,`Apple Rector',`Rush',`Seagu11',`TapIS f.carnea,R.multげlora Blossom,,`Russelliana,,`Rambling Vorant',`Gipsy Boy,および `PEKcougel'の10種類のバラとした.凡椚〟J′げJorαを交配親に 持つすべての品種で凡 プライマーを選抜した.pcR 沼〟J〆げJorα特異的なバンドがみられた 反応液は,10×buffer(100 mM 61 Tris-HCl,15mMMgC12・500mMKCl,PH8・3)を1・25pL,2mg・ mLTIBSAを1・25pL,0・25mMdNTPs(TOYOBO)を1pL,0.4 オリゴプライマーを PM 0・625 pL,2・5 U・PL-1r乃q DNA POlymerase(TOYOBO)を0・065pL加え,50ngのゲノ.ムDNA を1ドL,そして全体量が12.5 になるように滅菌超純水 いL (SDW)を加えて調整した・PCRはCyclerTM あるいはApplied ThermalCycler Biosystems2720ThermalCyclerを用いて行 った・pCRの反応条件は,94℃で3分間の熱変性後,94℃で 30秒,35℃で30秒,72℃で1分を1サイクルとした工程を 40サイクル行い,72℃で5分間の伸長反応を行った.pcR産 物は,2%アガロースゲル電気泳動によって分離し,エチジウ ムブロマイド染色を用いて検出した. Sequence 凡 Characterized Amplified Region(SCAR)分析 例〟JJげJ〃rα特異的バンドの回収 選抜された R・multげlora 特異的バン下を Get Kit-Agarose(DOJINDO)を使ってゲルから切り出し,DNAを 回収した・GetpureDNAKit-Agaroseの手順を以下に示す.選 抜されたプライマーを用いて100ドLのpCR産物を用意し, エチジウムブロマイド染色した SeaKem⑧GTG⑧Agarose(FMC Bio・Products)1・5%ゲルで電気泳動を行った・R・multげlora特 異的バンドをゲルから切り出し,Kitに付属しているGellysis buffer300pLと切り出したゲルを混合し,60℃で10分間ゲル が溶解するまでイ Precipitation ンキュベート した.溶解したゲルに solution300pLを加え,15,000xGで5分間遠心 pureDNA 62 分離した・遠心分離後の上晴にCo-PreCipitation solution2pL と 99・5%エタノール800ドLを加えて,15,000 ⅩGで3分間遠 心分離を行った.遠心分離後,上清を捨て70%エタノール1mL を加え,15,000ⅩGで3分間遠心分離を行い,上清のエタノー ルを除去する操作を二度行い,乾燥させた・このDNAを10pL の SDWで溶解し,切り出したバンドが目的のバンドであるか 電気泳動で確認した. ライグーション(Ligatiom) 回収したDNAはTOPOTACloning⑧Kit for いてベクターにインサートさせた・Salt ng・PL Sequencingを用 Solutionを1pL,10 1TOPOvector(pcR4-TOPO)を0・25pL,回収したDNA を2pL,そして全体量が6pLとなるようにSDWを加えて調 整し,23℃で10分間インキュベー 卜 した. 形質転換(Transformation) 大腸菌JMlO9系統であるCompetentCe11(士oYOBO)50pL と Ligationで得られた混合液6 pLを混合し,氷上で20分放 置し,42℃で60秒間ヒートショックを与え,氷上で2分間冷 却する・その後 Tryptone・0・5%Bacto 37℃に温められた SOD medi。m(2% YeastExtract,10mMNaCl,2.5mMKCl, 10mMMgSO4,10mMMgC12,20mMGlucose)を250pL加え て混合し,37℃で mL 60分間インキュベートを行った・50mg・ 1となるようにアンピシリンが加えられたLB培地プレー トを用意し,インキュベート後の混合液を100巨L撒き,表面 Bact。 63 をコンラージ棒でなで続けて乾燥させ,37℃で一晩倒置培養 した・なおLB培地プレートは蒸留水(DW)100mLにBact。 Tryptoneを1g,BactoYeastExtractを0・5g,SodiumChloride (NaCl)を1g,Agarを1.5g加え,オートクレーブしたもの をシャーレに分注し,作成した. コ ロ ニーPCR 形質転換されたクローン個体に,目的のDNAが組み込まれ ているかをPCRで増幅させ確認した.pcR反応液は,10×buffer を2・5pL・2mg・mL 10pM 1BSAを2・5pL,0・25mMdNTPsを2pL, M13PrimerM4(GTTTCCCAGTCACGAC)を0.5pL,10 PMM13PrimerRV(CAGGAAACAGCTATGAC)を0.5pL,2.5U・ pLLlr乃q DNA polymeraseを0.125pL加えて,最後に全体量 が25pLになるようにSDWを用いて調整した.pcR反応液に 滅菌爪楊枝でコロニーを直接入れ,PCRを行った.pcR条件 は94℃で3分間の熱変性後,94℃で30秒,55℃で30秒,72℃ で1分を1サイクルとした工程を 35サイクル行い,72℃で 10分間の伸長反応を行った.pcRで得られた増幅産物は,2% アガロースゲル電気泳動によって分離し,エチジウムブロマ イド染色によ り検出した. PCR産物の精製 GenEluteTMpcRClean-UpKit(SIGMA)を使用してPCR産 物の精製を行った・付属の GenEluteTM COlumnにColumnPreparationSolution500pLを15,000rpmで plasmid minispin 64 1分の遠心で通過させた・100 SolutionをPCR pLのBinding 産物20ドLと混合し,カラムに入れ,15,000rpmで1分間遠 心した・上晴を捨て,WashSolution2を500pLカラムに入れ, 15,000rpmで1分間遠心した・上晴を捨て,15,000rpmで2 分間遠心し,カラムを乾燥させた,50 Solution pLのElution を添加し,室温で1分間インキュベー卜した後,15,000rpm で1分間遠心し,DNAを回収した. シーケンス PCR 精製したDNAを用いてシーケンス PCRを行った.pcR反 応液は,DNAIpL,1・6pMM13primerM4またはM13primer RVを1pL,BigDye⑧Terminatorver・3・1Cycle Sequencing (AppliedBiosystems)Readymixを4pL加えて,最後に全体 量が10ドLとなるようにSDWを用いて調整した.pcR条件は, 96℃で1分間の熱変性後,96℃で10秒,50℃で5秒,60℃で 4分を1サイクルとした工程を25サイクル行った. さらに,1ドLの3M酢酸ナトリウムと22いLの冷99%エタ ノールをシーケンス用のpCR産物10ドLに添加・混合させた 後,-30℃で15分間放置した・その後15,000rpm,4℃で20 分間遠心操作を行い,上清を捨て,150いLの70%エタノール を添加した・その後15,000rpm,4℃で10分間遠心操作を行 い,上清を捨て,真空乾燥機で乾燥させた.精製したシーケ ンス用DNAを10pLのホルムアミドで溶解させ,シークエン サーABIPRISM3100(Applied の塩基配列を解読した. Biosystems)を用いて増幅断片 Kit 65 シーケ.ンスの解析およびプライマーセットの設計 ChromasPro た塩基配列と ver・1・5を用いて,Forwardプライマーで解読し Reverse プライマーで解読した塩基配列を照ら し合わせ,塩基配列を決定させた.そして Primer Primer 5.0 を用いてプライマーセットを設計した. 設計したプライマーの汎用性の確認 明らかにした塩基配列を基に設計したプライアーの確認を 行った・供試品種は`Matsushima No・3,,R・multげlora CαJカαγe〃∫ブ∫,凡椚〝J〆げJorαf・Cαr〝eαおよび凡 var. 椚〝J′げJorαと血 縁関係にある`MargoKoster,,`LeonieLamesch,,`Veilchenblau,, `BlushRambler,,`MissEdithCave11,,`NathalieNypels,,`Coral Clustar,,`Goldfinch,,`GhislainedeFeligonde,,'KewRambler,, `Margo Koster,,`Leonie Rambler,,`Miss Lamesch,,`Veilchenblau,,`Blush Edith Cavell,,`Nathalie Nypels,,`Coral Clustar,・`Goldfinch,,`GhislainedeFeligonde,,`KewRambler,, そして乱用〟JJげJorαと血縁関係がない月.∂rαC′eαJα,月.cα〃ブ乃α, R・laevlgata,R・rugOSa,`Queen ofDenmark,,`Camaieux,であ る・PCR反応液は,10×bufferを2・5pL,2mg・mLrlBSAを2.5 Reverse PL,0・25mMdNTPsを2pL,設計した10pMForwardと プライマーを各0・5pL,2・5U・PL-1r乃q 0・125pL加えて,最後に全体量が25pLになるようにSDWを 用いて調整した・PCR条件は,94℃で3分間の熱変性後,94℃ で30秒,55℃で30秒,72℃で1分を1サイクルとした工程 を35サイクル行い,72℃で10分間の伸長反応を行った.pcR DNA polymeraseを 66 で得られた増幅産物は 2%アガロースゲル電気泳動によって 分離し,エチジウムブロマイド染色により検出した. 2.結果 RAPD分析 `Matsushima No・3,,`Russelliana,,`Rambling Rector,, `PEKcougel'の4種類のバラを用い,R.multげlora特異的バン ドを選抜した(図2-1).opNllの囲っているバンドは,血縁 関係がない`PEKcougel'にバンドがあるため,凡椚〝J〆げJorα特異 的なバンドではないと判断した.また,OPAMOlの囲ってあ るバンドは先ほどとは違い`pEEcougel,にバンドはないが, `RamblingRector'にバンドがないので,R.multiflora特異的バ ンドではないと判断した.このよ はぇ うに,これらのプライマー 椚〟J〆げJorα特異的なバンドを有さないプライマーと 除外した.そして,OPAK16 の囲ってあるバンドのよ `pEKcougel'にはバンドがなく その他の植物体には共通のバ ふ〟JJげJorα特有のバンドであると考え, ンドがあるものを凡 この OPAK16は凡 椚〟J〆げJorα特有のバンドを有するプライマ ーであると示唆された・このように,凡椚〟JJげJorα特異的バン ドがみられると示唆されたプライ●マ■-は全部で20個あった. 選抜した 用〟/〆げJorα RAPD の 3 プライマー20 種類のバラ `pEKcougel'を加えたバラを用いて第 0'pAK16の 個(表 2-2)を用いて,乱 と それを交配親に持っ品種に 2次選抜を行った. 800bp(図2-2)付近のバンドは,`Matsushima して う に 67 凡 No.3'および 椚〝JJげJorα と血縁関係にある`Rusb,,`Blush Rambler,,`Russelliana,,`Rambling `Margo Rector,,`Apple Koster',`Gipsy Boy',`Tapis Blossom,, Volant,で検出され,R. 椚〟J〆げJorαと血縁関係がない`pEKcougel,,凡∂rαCJeαJαで検出 されなかったため,この800bpのバンドはぇ沼〝JJげJorα特異 的バンドであると示唆された.このように,OPBDlO した1400bp(図2-3)のバンドと で出現 OPX17で出現した1400bp (図2-4)のバンドが凡例〟JJげJorαに特異的なバンドであると 推察された. 特異的遺伝子の解明と R・multVlora Sequence Tagged (STS)化 凡 れた 1400 研〝J〆げJorα と血縁関係のあるバラで同一バンドが認めら OPAK16の 800 bpのバンド(OPAK168。0),OPBDlOの bpのバンド(OPBDlO1400)と ド(OPX171400)の ついては め,OPAK16soo OPAK16800 OPX17の1400 bpのバン STS化を試みた.しかし,OPBDlO14。。に Transformation と の際コロニーが形成されなかったた OPX171400 の実際の長 の塩基配列を明らかにした, さ は 786 bp(GenBank acc.No. AB474562)であり(図2-5),OpX1714。0の実際の長さは1320 bpであった(図 2-6).両方の塩基配列は,NationalCenterof BiotechnologyInformation(NCBI)データベースに匹敵する点 では他の栽培品種/種すべてで割り当てられるとは限らなか った新しい塩基配列であった. OPAK16786の塩基配列を基に新たに SCAK16 プライマーセ Site 68 ツトを設計した.scAK16-F(5,-TCTGCGTGCTCATTGTGGTA AG-3')と SCAK16-R(5,-ATAGCTTCGAACCCAGTGTTTC_3,). OpX171320の塩基配列を基に4組のプライマーセットSCX17-1, SCX17-2,SCX17-3,SCX17-4を設計した(表 2-3). これらのプライマーセットを用いて 増幅した結果, PCR SCX17-1は145bpに,SCX17-2は254bpにR.multifloraと血 縁関係がない`pEKcougel,,凡 ゐrαCJeαJα を含むすべてのバラ でバンドが確認され,SCX17-3は264bpに,SCX17-4は192bp に R・multげlora と血縁関係がない`PEKcougel,を含む R. ∂rαCJeαJα以外のすべてのバラでバンドが確認され,いずれも 目的の月.椚〟J〆げJorα特異的バンドは得られなかった(図2_7). SCAK16では583bp付近,R.multげloraおよびその交雑品 種ではいずれも 583 bp の位置に単一バンド●がみられ, `PEKcougel'ではバンドがみられなかった(図2-8)ことから, SCAK16から SCARマーカーへの転換が成功した. SCAKl`プライマーの汎用性の確認 得られた 血縁度 SCAK16プライマーの汎用性を検証するために, 50%以下の11品種とオールドローズ`Queen。f Denmark'と`Camaieux'に加えて,野生種の Cα〃ブ〃α,凡JαeγブgαJα,凡 r〟gO∫αの の有無を確認した(図2-9).乱 以下の11品種でも 縁度 R.bracteata,R. 6種を用いて,SCAK165S3 用〟JJげJorαとの血縁度が 583 bpの位置に単一バンドがみられ,血 0%の品種および野生種ではバンドが確認されなかった. このように,凡● 椚〝J〆げJorα との交雑関係とバンドの有無が完 50% 全に一致したことから,月.椚〟JJげJorα が交配親として用いら れた場合には特異的なバンドがみられる可能性が極めて高い とが推.定できた. こ 3.考察 RAPDは,操作が簡易で,コストが低く,分析機器が普及 していることから,品種識別技術としてキク(Shengら,2000), 黒コショウ(Georgeら,20Q5),ニラ(中澤ら,2005)とバ ラ(KauLら,2009)などで頻繁に使用されている.しかし, RAPD反応は非常に敏感であるため反応条件が変化すると結 果が異なることがあり,さらには増幅されたバンドは必ずし も複製可能とは限らない(Ellsworthら,1993) scARマー カーは単一バンドからなり,評価対象となる個体の識別を見 誤ることが少ないことから,RAPDマーカーに対して実用的 であるといわれている(Chowdhuryら,2001).そこで,本章 ではRAPDマーカーのOPAK16から SCARマーカーへの転換 を試みた. RAPD マーカーから SCAR マーカーへの転換は Michelmore(1993)が最初に報告しており,RAPDマーカーか ら転換して得られた SCARマーカーを用いて品種識別を行っ た事例として・チリペッパー(Jangら,2004),サトウキビ (Wangら,2009),モクマオウ(Ghoshら,2011)とバラ(Riaz ら,2012)などがある.本章で得られた は凡 SCAE165害。マーカー 椚〟J〆げJorαとの交配で得られた後代の雑種識別を発芽直 Paran・ 後の初期発育段階で識別することができる. 小野崎ら(2006)はカーネーションの萎凋細菌病抵抗性育 種を行う過程で,萎凋細菌病抵抗性形質と連鎖した抵抗性品 種特有のマーカーを開発し,育種に用いてきている.本章で 開発した SCAK165ぎ3マーカーも根腐病抵抗性形質に連鎖して いる可能性がある・しかし,第 `Blush 2 章第1節で示したように Rambler'と`Goldfinch,は根腐病に対する抵抗性を有し ていないにも関わらず,これらの品種の SCAK16プライマー を用いたPCRの結果において,抵抗性品種である`Mats。Shima No・3,や`Veilchenblau,,`Margo Koster,と同様なバンドが観察 された・従って,SCAK165S3マーカーはぇ研〟頃〃orα種特異 的ではあるものの・根腐病抵抗性形質とは連鎖していないと 考えられた. SCAK165害3マーカーの汎用性を調べるために,凡椚〟J〆げJorα との血縁度が50%未満の10品種と血縁度0%の7品種を用い てバンドの有無を調査した結果,血縁関係にある品種では単 一のバンドが確認されて・血縁度0%のバラではバンドが確認 できなかった・血縁度の低い品種の中の6.25%の品種は4世 代前に凡椚〟J′げJorαが交配された品種であったが明確なバン ドが確認できたことから,SCAK16583マーカーは極めて高い 種特異性を示すDNAマーカーであると考えられた.一般的に, 交配を重ねていくうちに初代交配親の遺伝子は減少していく. しかし,凡椚〟J′げJorαとの血縁度が6.25%と低く交雑4世代を 経た品種においても凡椚〟頃〃orα特異的なバンドが確認でき たことから・このSCAE16583マーカーが凡椚〟′J沼orαの特徴 的な選抜形質と連鎖している可能性は十分考えられる.そこ で凡 椚〟J′げJorαの代表的な特徴である房咲き,一季咲きにつ いて考察を行った. プライマーで増幅される遺伝子が房咲き形質の遺 SCAK16 伝子と連鎖していた場合,交雑後代から「房咲き性」を持つ 個体を選抜し続ける限り,その後代は房咲き形質の遺伝子と 連鎖した遺伝子を有することになる.すなわち,今回供試し た凡 椚〝J〆げJorαと血縁関係にある品種群が,すべて房咲きで あったことから,この SCAK16プライマーで増幅される塩基 配列が房咲き形質と連鎖している可能性は極めて高いと考え られた・今後,SCAK16583マーカーと房咲き形質の関係をさ らに明らかにする必要がある. 同様に一季咲きの特性と SCAE16プライマーで増幅された 遺伝子が連鎖していると仮定した場合,一季咲き性が優性形 質であることは,g∫Ⅳマーカーが四季咲き性の劣性遺伝子と 連鎖していたことでも明らかである・しかし,`MargoKoster,, `Miss Edith `Ghislaine Cavell,,`Nathalie de Nypels,,`Leonie Feligonde',`CoralClustar,の6品種は四季咲き 性であり,これらの品種も SCAE16プライマーで遺伝子が増 幅されたことから,この遺伝子は一季咲き性の形質とは連鎖 していなかった. SCAK16583マーカーは,R.multげloraの種特異のDNAマーカ ーとして,バラ根腐病および根頭がんしゆ病に対する複合抵 抗性台木を育種プログラム中で・得られた多くの凡椚〟′′げJorα と`PEEcougel,の後代を識別することができる. Lamesch,, 72 恥ble2-1. Code Base ThreehundredkindsofRAPDprlmerSuSedinthis SequenCe SequenCe SequenCe OPAOI CAGGCCCTTC 0Ⅰ)NOl CTCACGTTGG OPYOl GTGGCATCTC OPAJOl OPAO2 TGCCGAGCTG OPNO2 ACCAGGGGCA OPYO2 CATCGCCGCA OPAO3 AGTCAGCCAC 0Ⅰ〉NO3 GGTACTCCCC 0PYO3 ACAGCCTGCT 0PNO4 GACCGACCCA 0PYO4 ACAGAACGCC OPAO4 AATCGGGCTG S血dy. SeqnenCe SequenCe ACGGGTCAGA OPAVOl TGAGGGGGAA OPAJO2 TCGCACAGTC OPAVO2 TCACCGTGTC 0PAJO3 AGCACCTCGT 0PAVO3 TGTAGCCGTG GGCTGCAATG 0PAJO4 GAATGCGACC 0PAVO4 TCTGCCATCC 0PYO5 GGCTGCGACA 0PAJO5 CAGCGTTGCC 0PAVO5 GTGAGCCGTG OPAO5 AGGGGTCTTG 0PNO5 OPAO6 GGTCCCTGAC 0PNO6 GAGACGCACA 0PYO6 AAGGCTCACC 0PAJO6 GTCGGAGTGG 0PAVO6 OPAO7 GAAACGGGTG CCCGAGATCC 0PNO7 CAGCCCAGAG 0PYO7 AGAGCCGTCA 0PAJO7 CCCTCCCTAA 0PAVO7 CTACCAGGGA ACCTCAGCTC 0PYOS AGGCAGAGCA 0PAJO害 GTGCTCCCTC 0PAVO8 TGAGAAGCGG TGCCGGCTTG OPYO9 AGCAGCGCAC OPAJO9 ACGGCACGCA OPAVO9 GAGGTCCTAC 0PNlO ACAACTGGGG 0PYlO CAAACGTGGG 0PAJlO GTTACCGCGA 0PAVlO ACCCCTGGCA OPNll TCGCCGCAAA OPYll AGACGATGGG OPAJll GAACGCTGCC OPAVll GACCCCGACA OPAO8 GTGACGTAGG OPAO9 GGGTAACGCC OPAlO GTGATCGCAG 0PNO害 OPNO9 OPAll CAATCGCCGT OPA12 TCGGCGATAG OPN12 CACAGACACC OPY12 AAGCCTGCGA OPAJ12 CAGTTCCCGT OPA13 CAGCACCCAC OPAV12 AGCCGTCGAA 0PN13 AGCGTCACTC 0PY13 GGGTCTCGGT 0Ⅰ〉AJ13 CAGCCGTTCC 0PAV13 CTGACTTCCC TCGTGCGGGT 0PY14 GGTCGATCTG 0PAJ14 ACCGATGCTG 0PAV14 CTCCGGATCA 0PN15 CAGCGACTGT 0PY15 AGTCGCCCTT 0PAJ15 GAATCCGGCA 0PAV15 GGCAGCAGGT OPA14 OPA15 TCTGTGCTGG TTCCGAACCC 0PN14 OPA16 AGCCAGCGAA 0PNl(; AAGCGACCTG 0PY16 GGGCCAATGT 0PAJ16 TCTGGACCGA 0PAVl(; OPA17 GACCGCTTGT GACAAGGACC OPN17 CATTGGGGAG 0PY17 GACGTGGTGA 0PAJ17 ACCCCCTATG OPAV17 CTCGAACCCC OPA18 AGGTGACCGT OPN18 GGTGAGGTCA 0PYl害 GTGGAGTCAG 0PAJl害 GGCTAGGTGG 0PA19 0PAVlg TTGCTCACGG CAAACGTCGG OPN19 GTCCGTACTG OPY19 TGAGGGTCCC OPAJ19 ACAGTGGCCT OPAV19 CTCGATCACC OPN20 GGTGCTCCGT OPY20 AGCCGTGGAA 0PAJ20 ACACGTGGTC 0PAV20 TCATGCGCAC OPSOl CTACTGCGCT OPZOl TCTGTGCCAC OPAEOl TCTGCTACGG 0PBCOl CCTTCGGCTC OPSO2 CCTCTGACTG OPZO2 CCTACGGGGA OPAEO2 CCATCGGAGG OPBCO2 ACAGTAGCGG OPSO3 CAGAGGTCCC 0PZO3 CAGCACCGCA 0PAEO3 GGTCCTACCA 0PBCO3 GOCTTGACCT CACCCCCTTG 0PZO4 AGGCTGTGCT 0PAEO4 AGGGTCGGTC 0PBCO4 CCACGTGCCA TTTGGGGCCT 0PZO5 TCCCATGCTG 0PAEO5 GATGGCAGTC 0PBCO5 GAGGCGATTG OPA20 GTTGCGATCC OPHOI GGTCGGAGAA OPHO2 TCGGACGTGA OPHO3 AGACGTCCAC OPHO4 OPHO5 GGAAGTCGCC AGTCGTCCCC 0PSO4 0PSO5 OPHO6 ACGCATCGCA 0PSO6 GATACCTCGG 0PZO6 GTGCCGTTCA 0PAEO(; TCACGTCCCT OPHO7 0PBCO6 CTGCATCGTG GAAGGCGAGA 0PSO7 TCCGATGCTG 0PZO7 CCAGGAGGAC OPAEO7 CTTGGGGGAC 0PBCO7 GAAACACCCC TGTGCCTGAC 0PSO8 TTCAGGGTGG 0PZO害 GGGTGGGTAA 0PAEO8 CCGAAGGGTG 0PBCO8 GGTCTTCCCT TCCGATGCTG OPZO9 CACCCCAGTC 0PAKO9 AGGTCGGCGT 0PBCO9 GTCATGCGAC ACCGTTCCAG 0PZlO CCGACAAACC 0PAElO CAAGCGTCAC 0PBClO AACGTCGAGG AGTCGGGTGG OPZll CTCAGTCGCA OPAEll CAGTGTGCTC OPBCll TTTTGCCCCC OPHO8 OPHO9 TGTAGCTGGG 0PSO9 OPHlO CCTACGTCAG 0PSlO OPHll CTTCCGCAGT OPIi12 ACGCGCATGT OPS12 CTGGGTGAGT OPZ12 TCAACGGGAC OPAE12 AGTGTAGCCC OPH13 OPBC12 GACGCCACAC CCTGGCACAG 0Ⅰ)S13 GTCGTTCCTG 0PZ13 GACTAAGCCC 0PAK13 TCCCACGAGT 0PBC13 CCTGGCACAG 0PZ14 TCGGAGGTTC 0PAE14 CTGTCATGCC 0PBC14 GGTCCGACGA CAGTTCACGG 0PZ15 CAGGGCTTTC 0PAE15 ACCTGCCGTT 0PBC15 CCAGACTCCA AGGGGGTTCC 0PZ16 TCCCCATCAC 0PAE16 CTGCGTGCTC 0PBC16 CTGGTGCTCA 0PS17 TGGGGACCAC 0PZ17 CCTTCCCACT 0pAE17 CAGCGGAAAC 0PBC17 CCGTTAGTCC OPH14 ACCAGGTTGG OPH15 AATGGCGCAG OPH16 TCTCAGCTGG OPH17 CACTCTCCTC OPSll 0PS14 0Ⅰ〉S15 0PS16 AAAGGGGTCC OPH18 GAATCGGCCA 0PSIS CTGGCGAACT 0PZ18 AGGGTCTGTG 0PAElg ACCCGGAAAC OPH19 0PBC18 CTGACCAGCC GTGAAGGAGG OPS19 GAGTCAGCAG 0PZ19 GTGCGAGCAA OPAE19 TCGCAGCGAG 0PBC19 ACAAGCGCGA OPH20 GGGAGACATC 0PS20 TCTGGACGGA 0PZ20 ACTTTGGCGG 0PAK20 TGATGGCGTC OPIOI 0PBC20 AGCACTGGGG ACCAGGACAC 0PXOl CTGGGCACGA 0PAEOl TGAGGGCCGT 0PAMOl TCACGTACGG 0PBDOl TCACTCGCTC TTCCGCCACC OPAEO2 TCGTTCACCC OPAMO2 ACTTGACGGG OPBDO2 CCTCCCCAAG 0PXO3 TGGCGCAGTG 0PAEO3 CATAGAGCGG 0PAMO3 CTTCCCTGTG 0PBDO3 GAGCCCCGAA 0PXO4 CCGCTACCGA 0PAEO4 CCAGCACTTC 0PAMO4 GAGGGACCTC 0PBDO4 TCGGGTGTTG 0PAEO5 CCTGTCAGTG 0PAMO5 GGGCTATGCC 0PBDO5 GTGCGGAGAG 0PAEO6 GGGGAAGACA 0PAMO6 CTCGGGATGT 0PBDO6 AAGCTGGCGT OPIO2 GGAGGAGAGG OPIO3 CAGAAGCCCA OPIO4 CCGCCTAGTC OPIO5 TGTTCCACGG OPXO2 0PXO5 CCTTTCCCTC OPIO6 AAGGCGGCAG OPIO7 CAGCGACAAG 0PXO7 GAGCCAGGCT 0PAEO7 GTGTCAGTGG 0PAMO7 AACCGCGGCA OPIO8 TTTGCCCGGT 0PBDO7 0PXOぎ GAGCTGGTCC CAGGGGTGGA 0PAEOg CTGGCTCAGA 0PAMOg ACCACGAGTG 0PBDOぎ CATACGGGCT CCAVOGTCAG 0PXO6 ACGCCAGAGG OPIO9 TGGAGAGCAG OPXO9 GGAGCCTCAG OPAEO9 TGCCACGAGG OPAMO9 OPIlO TGCCGGTTCA OpBDO9 ACAACGCGAG 0PXlO CCCTAGACTG 0PAElO CTGAAGCGCA 0PAMlO CAGACCGACC 0PBDlO GACGCTATGG OPAEll AAGACCGGGA OPAMll AGATGCGCGG OPBDll CAACCGAGTC OPIll ACATGCCGTG OPI12 AGAGGGCACA OPX12 TCGCCAGCCA OPAE12 CCGAGCAATC OPAM12 TCTCACCGTC OPI13 CAGGGGCTGA OPBD12 0pX13 GGGAACCGTC ACGGGAGCAA 0PAE13 TGTGGACTGG 0PAM13 CACGGCACAA 0PBD13 CCTGGAACGG 0PX14 ACAGGTGCTG 0PAE14 GAGAGGCTCC 0PAM14 TGGTTGCGGA OPBD14 TCCCTGTGAG 0PX15 CAGACAAGCC 0PAE15 TGCCTGGACC 0PAM15 GATGCGATGG 0PBD15 TGTCGTGGTC 0PX16 CTCTGTTCGG 0PAE16 TCCGTGCTGA 0PAM16 TGGCGGTTTG 0PBD16 GAACTCCCAG GACACGGACC 0PAE17 GGCAGGTTCA 0PAM17 CCTAACGTCC 0PBD17 TGTCGTGGTC OPI14 TGACGGCGGT OPI15 TCATCCGAGG OPI16 TCTCCGCCCT OPXll GGAGCCTCAG OPI17 GGTGGTGATG OPI18 TGCCCAGCCT 0PXlヌ GACTAGGTGG 0PAElg CTGGTGCTGA 0PAM18 ACGGGACTCT OPI19 0PBDIS AATGCGGGAG OPX19 ACGCACACTC TGGCAAGGCA OPAE19 GACAGTCCCT 0PAM19 CCAGGTCTTC OPI20 OPBD19 AAAGTGCGGG GGTTCCTCTC 0PX20 CCCAGCTAGA 0PAE20 TTGACCCCAG 0PAM20 ACCAACCAGG 0PBD20 AGGCGGCACA 0PX17 OPNll OnMOl OPAK16 Fig・2-1・PCRelectrophoreticpronlesofRosamultiPoraspeciesamplinedbyprimerOPN11, OMOl,OR左K16. l,R・multiPora`MatsushimaNo3';2,R.'PEKcougel';3,R.'RamblingRector,; 4,R・`Russelliana'・C,COntrOl・M,mOlecularmafker(0.l-10kbDNAladder). 74 Tbble2-2・ListofRJWDprlmerSbasedonthenrst-Selection Code Base OPHO3 AGACGTCCAC 0PH13 GACGCCACAC 0PH19 CTGACCAGCC 0PIO2 GGAGGAGAGG 0PI18 TGCCCAGCCT 0PNOl CTCACGTTGG OPSO3 CAGAGGTCCC 0PX17 GACACGGACC 0RAEOl TGAGGGCCGT OPAE19 GACAGTCCCT 0nU15 GAjWCCGGCA 0nU18 GGCTAGGTGG 0R互KO4 AGGGTCGGTC 0臥Kll CAGTGTGCTC OPAK16 CTGCGTGCTC 0Mll AGArGCGCGG OnW19 CTCGAACCCC 0PBDO3 GAGCCCCGAA 0PBDlO GACGCl二ÅrGG OPBD12 GGGAACCGTC 800b Fig・2-2・PCRelectrophoreticpronleofRosamultiPoraspeciesamPliBedbyprimerOPAJ(16. 1,R・multdtora'MatsushimaNo・3';2,R・'PEKcougel,;3,R.multiPorafcarnea;4,R. mulliPoravar・Caihqyensis;5,R・'AppleBlossom,;6,R・'Russe11iana,;7,R・'Rambling Rector';8,R・'Rush';9,R・'Seagull';10,R・'T如isⅥ)lant,;11,R.'GipsyBoy,.C,COntrOl. M,mOlecularmarker(0.1-10kbDNAladder). 1500bp Fig・2-3・PCRelectrophoreticpromeofRosamultiPoraspeciesamPlinedbyprimerOPBD10. 1,R・mu岬ora'MatsushimaNo3,;2,R・`PEKcougel,;3,R・'Russelliana,;4,R・'Rambling Rector';5,R・Bracteata;6,R:`ThpisⅥ)1ant,;7,R・multiPoravaLCathqyensis;8,R・multiPoraf Carnea;9,R・'AppleBlossom,・C,COntrOl・M,mOlecularmarker(2kbDNAladder). 1500bp Fig・2-4・PCRelectrophoreticpromeofRosamu岬oraspeciesamplinedbyprimerOPX17. l,R・multiPora'MatsushimaNo・3,;2,R・'PEKcougel,;3,R・'Russelliana,;4,R・'Rambling Rector';5,R・bracねah2;6,R・`TbisⅥ)1ant,;7,R・multiPoravar・Cathqyensis;8,R・multiPoraf Carnea;9,R・`AppleBlossom,・C,COntrOl・M,mOlecularmarker(2kbDNAladder). 5'一些型GACTTGGTGTCTGTTACATC ATTAG AACGTG TACAAACCA GATGCAACTTGCAATCAAAACAIAIuGGGTTTCAAACTT TGTTCTC AAAAAACACTTTGTCArATTTCAAAAAAAACAAr A瓜TGAGGAAIArTTTCT一塊TCTTTTACAA班rGAAAJmCAAArTT¶uACAAAG GGCACAACTACCCGATCCACAArTCTGGGCCTACAATCAAGCACnATGTTTCT A舶CA∬TArGACAAATTACACAAATCArCCPCAACTCArTG4cTCATTCTG ArTCCTTCCATTACTGACACAGCA匹Ⅰ'CTCCTTCCTCAAAACTCCACCTCAAGTT GGAGTGIArGTTAArTACACTCAACTTGCCAAGAAAAGCTTTAAACTGTGCTGC ACTCACTGGTTTAGTAAACAGArCAGTCGGCTGCTCCTGGGTTCTAATGTGAGC TGTTTTGArCACTCCTCTTTGCACTTTCTCACGCACCACArGACAA工左AArCTCT ATGTGTTTTGTGCACTCArGAAACACT AAGArTGTCACAÅmAC GGGTTC GAAGCTATArGAArTGCAGC TTAACTGGTT?CTTGTGArGl込TGTTC4AArCACGC AAI込TGCTACTCAGCCAAGTl込TTTCACAAC4CGTTGTCGCCArTGArCGAⅢrT CTATCTCAGCACTAGAGCGTGCCACAGTGCTTTGTTTCTTTGTCTTCCArGAAAr AGGTGCATTTCCAAGGd GC4CGC4GA-3, Fig・2r5・Nucleotidesequenceofthe丘agmentamPlinedwithRAPDprimerOPAK16(GeneBankacc. AB474562)・ArrowsindicatethepositionsoffbrTardandreverseofSCARprimerSCAK16andRAPDprlmerOPAK16,andtheSCARprlmerPalrSareShowninboldandthe RAPDprlmerisshowninitalics,reSPeCtively・ 5'-GACACGGACCCTTCACCArGATTGTTCGÅ仏AAAATTGAAAGAGAAAmGGAGAAG AGGGTTTTGTGCTGTAGGGGAGAAGAATGGGAGTGTGAAIⅥJAAArCGTAjuGGAGGAA ACCCTAGAAmGGTGTTTGGTGAGAGAGTGGGTTTGGGGCGTTGGArTTTGGGTTGGGA GGCGGTGTGGTGTTTTAGGCCGTTGATTTGGAAGAAAAGTCTCGGGGCCTTTCGArGAC CTCGAGTGTCGCGAGGGAGAGTGGTGTTTGGCAI肘TCGCCGTTTTGGTGCTGTTTTAAT GCCACGTTGTGAAAAGAGAAGCArTTTTCTTCTTTTTGGTGTGCTGTGCTGTTTTCTTCT GmACTArT∬TTCAA∬TTAGCCAAAAAAAAACArTAGGⅦJGTTGGCTTTArTGAG AAAATTGTTCTTCTCCTATCArTCACmAAAAAACCATCTTACTACAAACCACCTTGTGTA GTAAGATTAGTTGAGTGACCCAAGTCArGTTTGAGAGArCTTCGAArTCTTGCArTCTGT GACAGAArATTAGTTTAACTTACTGGAAr∬TTTCGTAGArTTTGATTAArTl昔rTCAAAAC ACTGACTGAArGGGTGTGTTACTAACArCAGTGTGACTTACTArTTTACCTCCGATCAAAA TAAAAAAACGACACACAAA瓜GAA仏CCTTCGCAATTTTTCACCCAIATCGGAmGAGGA TAArTGTAGAAGArTAAAAAArCACTGACAAjuCTTAGAGGTGCATGACCTGGTAACTCG CTCjmGCTCTTTTTTCAArTTTTTTTTTTTTTCCTGTTGGCCAATGGGACAAArTGCTGG TTGACAAmGArTTGAAAAGAAmCCAGAACCArCAArTCACAAAArTACCTTGGCArTA CTACAIAÅ仏ACCAAÅmArCACCTTGGCATTACTACArAATACTTGGCCmrCTGAACGTC mGGCTmrTCAGGTATGGTTTTCAAAAGAGAAACCCTGCTGCTCAGAAAAAAACACAA CCAGCCATAGTTCACATCGCTTCTAACTGAA仙AGACAACCAACTArGAACAAG CÅmAAAACGTTCAAATCCACCTACmrÅrACCArGmJGTCAAArGACCAAAGCACAC CCAAArTGArTCTTAGTTGCCTTGCACGATAGAGCTAACAAGTAACCGTTGAAGCTⅧA GACGCCGCACCTCCAACTTCATAGTTCGTNTAGGACTTTACTGGTGAGTTGAATTTCCTT GAAGGAGACCATCTCTmrCTGTGAAGCAATGTCTTTCACAGCACCAGG7℃CG7G7C-3, Fig・2-6・NucleotidesequenceofthefragmentamPlinedwithRAPDprlmerOPX17 ● MDprlmerOPX17isshowninitalics. ● Thble2-3・TheprlmerSetdeslgned丘omOPX171320・ Length(bp) Primer Forward Tbrget 19 SCX17-1 ● Tm(℃)GC% Sequence 56 42.9 TTCACArCGCTTCTAACTG 145 Reverse 19 61 47.3 CTCTArCGTGCAAGGCAAC Forward 19 52 40.8 MACTTGGCCTArCTGA SCX17-2 254 Reverse 18 51 39.6 AACGGTTACTTGTTAGCT Fonv訂d 18 53 41.9 CCÅrÅrCGGAIAGAGGAr SCX17-3 264 Reverse 18 52 44.2 CTAGACGTTCAGAmGGC FonⅥ汀d 20 57 45.9 GTTCACArCGCTTCTAACTG 70 51.6 GAAGTTGGAGGTGCGGCG SCX17-4 192 Reverse 18 81 SCX17-1 M12 3 4 SCX17_2 5 6 78C12 3 4 5 SCX17-3 M12 3 4 5 6 6 7 8 C M SCX17-4 7 8 C 12 3 4 5 6 78 CM Fig・2-7・PCRelectrophoreticpro丘IesofRosamultiPoraspeciesamPlifiedby SCARprimerSCX17. 1・R・multiPora'MatsushimaNo・3';2,R.multiPoravar.cathqyensis; 3,R・multiPorafcarnea;4,R・'Russelliana';5,R.'Rambling Rector';6,R・'AppleBlossom,;7・R・'PEKcougel,;8,R・bracteata. C,COntrOl・M,mOlecularmarker(2kbDNAladder). 500bp Fig・2r8・PCRelectrophoreticpronleofRosamultiPoraspeciesamplifiedbySCARprimerSCAK16. l,R・multiPora'MatsushimaNo・3,;2,R・'PEKcougel,;3,R・multdlorafcarnea; 4,R・mult#oravar・Cathqyensis;5,R・'AppleBlossom,;6,R・'Russelliana,;7,R・'Rambling Rector';8,R・`Rush,;9,R・'Seagull,;10,Rt'ThpisⅥ)1ant,;11,R・'GipsyBoy,. C,COntrOl・M,mOlecularmarker(0.1-10kbDNAladder). 500bp Fig・2-9・PCRelectrophoreticpronleofRosamultiPoraspeciesamPlinedbySCARprimerSCAK16. 1,R・bfVCteata・2,R・Canina,3,R・hleVigata,4,R・rugOSa,5,R・'QueenofDenmark,, 6,R・'Camaieux,,7,R・`MargoKoster,,8,R・'LeonieLamesch,,9,R・'Vtilchenblau,, 10,R・'BlushRambler,,11,R・'MissEdithCavell,,12,R・`NathalieNypels,,13,R.'Coral Clustar',14,R・'Gold丘nch,,15,R・`GhislainedeFeligonde,,16;R.'KewRambler,. C,COntrOl,M,mOlecularmarker(0.ト10kbDNAladder). 84 第三章 ・ 月・椚〟〃カ甘"Ⅶの交雑後代の特性 バラ根頭がんしゅ病と根腐病に対する複合抵抗性台木の作 出を目的として・`PEKcougel,と`MatsushimaNo.3,の交配を行 った・しかし,切り花品種である`PEEcougel,は4倍体であり, ・台木品種である`Matsushima No・3,が2倍体であることから, 両者の交雑で得られる後代は理論的には3倍体となり,その 後の後代を得ることが困難となる.そこで,Fukui・Yokota (2007)は発芽直後の種子にコルヒチン処理を行うことで 倍性の`Matsushima 4 No.3,を得た. 切り花品種の`PEKcougel,は,数千年にわたって中国とヨー ロッパで行われた種間交雑個体の選抜によって育成された現 代バラ品種群(Modern Roses)の後代であり,その育成に当 たって乱用〟J′沼orαも関与しているとされている.しかし, 凡 例〟JJげJorα は房咲・き性のフロリバンダ系品種やスプレー系 品種,あるいはミニチュアローズ品種などの育成に関与して いるとされ,スタンダード系の切り花品種の育成には関与し ていないと推定される・従って,`PEKcougel,と `Matsushima No・3'との交雑個体の獲得には困難が生ずると推 定された. そこで本章では・`PEKcougel,と4倍性`MatsushimaNo.3,と の交雑個体の獲得を目的として・未熟胚培養などの検討を行 うとともに,得られた後代の特性を調査した. 4 倍性 85 第1飾 `PEEcougel'と凡椚〟JJげJ〃rαとの交雑後代の獲得 4倍性`Matsushima No・3,と`PEKcougel,との交雑個体を播種 すると,発芽直後の子葉展開期に胚軸が褐変し,枯死する現 象がみられ,健全な交雑個体を得ることができなかった.ま た,高温条件で交雑個体を育苗した結果,栽培3 常温で育苗した時と同じ褐変症状が発生し,最終的に全ての 個体が枯死した・褐変症状は成長点の下部の胚軸から発生し, 症状は株全体に広がった・従って,高温条件で育苗すること によって発芽後の座死を回避することはできなかった・. 胚軸の褐変は,胚が成熟に至る段階での発育異常によって 生じるのではないかと考えられた・これを回避する方法とし て,未熟胚培養がある・未熟胚培養は主に交配後の胚の退化 などによって生ずる胚の発育不全を回避する方法として用い られており・その方法には未熟胚から不定胚を誘導する方法 と胚の発育を促す方法の2つがある・不定胚誘導は,バラ以 外でもトマト(Chen・Adachi,1994)やオーク(Ehsanpour・Zahedi, 2006)など様々な植物に用いられている.バラにおいてはKim ら(2003)がバラの未熟胚から不定胚を誘導して正常な個体 を作出している・岐阜大学応用生物科学部園芸学研究室にお いて・未熟胚からの不定胚形成を試みたが,不定胚形成に適 切な発育ステージや培養条件を明らかにすることができず, 不定胚形成には至らなかった・未熟胚培養には不定胚誘導の 日目頃から 86 他に胚の発育を促して発芽個体を得る方法がある.Marchant ら(1993)やMohapatra・Rout(2004)はバラを用いて成熟し た交雑種子の発芽では後代個体を得ることができなかったが, 未熟胚培養では後代個体を獲得できたと報告している.そこ で本節では,未熟胚培養による 4 倍性`Matsushima No.3,と `PEKcougel'との交雑個体の獲得を試みた. 1.材料および方法 供試材料 根頭が′んしゆ病抵抗性の`PEKcougel,とバラ根腐病に対し て抵抗性を持っ 4 `PEKcougel'×4倍性`Matsushima できた交配100 倍性`Matsushima No.3,を交配し, No.3,において子葉胚が確認 日後の未熟胚を培養に供試した.4 `MatsushimaNo・3'×`PEKcougel,では,交配100日後では目的 とした子葉胚が確認できなかったため,交配120日後の未熟 胚を用いた. 殺菌 肥大した幼果から種子を取り出し,中性洗剤で洗浄し,水 道水で洗浄した・その後・70%エタノールで1分間振とう洗 浄した後・クリーンベンチ内でTween20を2∼3滴添加した次 亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素1%)で10分間表面殺菌 し,滅菌水で5回すすいだ・表面殺菌した種子から,クリー 倍性 87 ンベンチ内で胚を取り出し,胚を培地上に置床した. 培地 培地は・GA3を1・0×10-7Mを添加したMurashige&Skoog 培地(MS培地)(pH5・7・スクロース30g・L-1)にゲルライ ト3g・L 1を加えたものを用いた・オートクレーブ(115℃,3 分)してゲルライトを融解させ,q}22×100mmの管瓶に10mL ずっ分注しアルミ箔で蓋をして,オートクレーブ(115℃,15 分)で滅菌した・置床した未熟胚は,2か月間5℃暗所で休眠 打破を行い・休眠打破後25土1℃,3,0001Ⅹ,16時間日長下で 培養を行った. 順化 培養後・本葉が2枚展菓した個体から順次順化を行った. 順化はアルミ箔の蓋にメンプレンシール(MilliSeal, MI′LLIPORE)を取り付けた順化用アルミ箔に取り替えて,管 瓶中の湿度を下げ,2週間後に培地から植物体を取り出した. 植物体は流水で洗浄して・植物体周囲に付着する培地に含ま れる糖を完全に取り除いた・洗浄後,BM-2:赤玉土:パーラ イト(2‥1‥1,Ⅴ/v)の混合培土に定植し,・人工光閉鎖型苗生産 装置苗テラスの中で湿度90%以上の高湿度条件に置き,鉢の 底か、ら根が確認できるまで育苗した・根が鉢の底から確認で きた個体から順次加温温室に移して栽培を行った. 88 倍数性検定 倍数性検定・にはフローサイトメーター(Partec・社 Ploidy Analyser)を用いた・核の単離溶液および染色液は植物用の High ResolutionDNAStaining kit(Partec社)を用いた.本葉 を展開した個体から未展開菓(約 5 mm角)を切り取ってシ ャーレ上に置き,核の単離溶液(溶液A)を200匹L加え,溶 液 中で組織をカミソリで細かく切断し(chopping法; A Galbraithら,1983),5分間放置して核の単離を促した.その 後,試料を30巨Mメッシュに通して残漆を取り除き,サンプ ルチューブに移した・その後,4,,6-diamino-2-Phenylindole (DAPI)を含む染色液(溶液B)1000ドLをサンプルチュー ブに加えて混合し,約2分間放置し,フローサイトメーター にかけて倍数性の検定を行った・検定を行うに当たって2倍 体の`MatsushimaNo・3,を2倍体の指標とし,2倍体のピークが 約100の位置(GAIN562)に現れるように設定した. 雑種判定 凡 沼〝JJげJorα特異的マーカーである SCAE165S3マーカーを 用いて・雑種判定を行った・方法は第二章に従って行った. 2.結果および考察 `PEKcougel'×4倍性`MatsushimaNo・3,の147個体の胚を培 地に置床したが・26個体が雑菌に汚染されて枯死し,97個体 89 が通常に播種した場合と同様の胚軸や成長点の褐変がみられ て枯死した(図3-1-A).本葉の展開がみられた24個体を順化 操作に移した.しかし,順化の過程においても成長点からの 褐変が始まる個体がみられ,18個体が枯死し(図3-1-B),最 終的に6個体の生存個体を得ることができた(図3_トC). 2 倍体である`Matsushima No.3,のフローサイトメトリーの 結果を図3-2に示した・2倍体の`MatsushimaNo.3,のピークは, 付近にあらわれたのに対して,本節で得られたすべての 100 生存個体のピークは2倍体の`Matsushima である No.3,の2倍の位置 200付近にピークが現れた(図3-3一).従って,本節で 得られた6個体は,全て4倍体であると判断した. 本節で得られた雑種の交配の組み合わせは`PEEcougel,×4 倍性`Matsushima `Matsushima No・3,であることから花粉親である 倍性 No・3'特有の遺伝子の存在を確かめることで雑種 であることを判定できる・そこで,凡 カーである 4 例〟JJげJorα特異的マ← SCAE165S3マーカーによる雑種判定の結果,生存 個体No・1,No・5,No.6で583bpの位置にバンドが確認でき (図3-4)・これらの3個体は`PEKcougel,×4倍性`Matsushima No・3,の雑種であると判断でき・残りの3個体は,`PEKcougel, の自家受粉個体であると判断した. 種間雑種の種子が発芽しない,もしくは発芽後枯死するの は胚乳の崩壊が原因の1つであるといわれており,.Kubo (2006)はカラーの種間雑種で胚乳の崩壊を確認している. 胚乳が崩壊している種子では発芽時に必要な養分を胚乳から ら 90 得られず枯死する・未熟胚培養では胚乳に代わって培地が糖 や無機成分などの養分を未熟胚に供給することができるため, 胚の枯死を回避できたと考えられた. 岐阜大学応用生物科学部園芸学研究室において,球状胚や 心臓型胚を用いて未熟胚培養が試みられてきているが,これ まで`PEKcougel,と4倍性`MatsushimaNo・3,の交雑後代を得る ことができていなかった・これは,球状胚や心臓型胚では胚 が未熟であるため発芽能力が低かったことが原因と考える. これに対して本節では,子葉胚まで発育したものを用いて胚 培養を行ったことが交雑個体の獲得に繋がったと考える. フローサイトメトリーと DNAマーカーによる雑種検定に よって6個体の生存個体のうち3個体が`PEKcougel,×4倍性 `Matsushima No・3'の雑種個体であると判断でき,他の3個体 は`PEKcougel,の自家受粉個体と判断した・これらの自殖個体 は,除雄操作の際に薪を傷っけたことによって花粉が薪から 放出されて雌蕊に付着したものと考える. 91 第 2飾 `PEKcougel,×4倍性`Matsushima]No.3,の交雑後代の特性 `PEKcougel'×4倍性`Matsushima,No.3,の交配で得られた 3 個体の交雑後代の特性を調査した.特に,これらの個体が根 頭がんしゆ病抵抗性および根腐病抵抗性を持っている場合に は栄養繁殖性の複合抵抗性台木として利用可能であることか ら,これらの抵抗性形質および台木としての特性調査を行っ た. 1.材料および方法 供試植物 供試植物として応用生物科学部附属岐阜フィールド科学教 育研究センター農場の温室内で栽培されている`PEKcougel,× 4倍性`Matsushima `FINo.6,の No.3,の交雑後代`FINo.1,,`FIN。.5,と 3個体を用いた. 根頭がんしゆ病抵抗性検定においては,対照として抵抗性 品種の`PEKcougel,,罷病性品種のR・'Dukat,を用いた.台木 特性の検定においては,これらの を対照品種と 3個体に加えて凡。d。rαJα して用いた. 供試菌株 供試菌と して岐阜県内で分離されたノパリ ン型の 凡 92 菌株`GOUl,を用いた.接種源は,供試菌を rαdブ0∂αCJer (Bacto yeast beef extract(Difco extract(Difco YEB Labotatorise)5g・L-1+Bacto Labotatorise)1g・L-1+Peptone(ミクニ 化学産業株式会社)5g・L-1+Sucrose5g・L-1+MgSO4・・7H20 0・493g・L∼1+Agar15g・L-1・PH7・2)平板培地で48時間25℃ 暗所の条件で培養し,YEB液体培地10mLを入れたポリプロ ピレンラウンドチューブに形成されたコロニーを白金耳で10 回すくい入れ,24時間 1・0×1010個・mL 25℃暗所で振とう培養し,菌濃度を 1に調整したもめを用いた. 根頭がんしゆ病抵抗性検定 根頭がんしゅ病抵抗性検定は本研究室で開発した ex vitro 浸漬検定法を用いて行った. 株元から発生した15∼25cmのシュートの完全に展開する間 際の幼菓から上部2節の幼章節間部を検定に用いた.ソユー トの側芽を除いた節部を中性洗剤で洗浄し,20分間水道水で 流水洗浄した・その後,70%アルコールで洗浄し,有効塩素 1%の次亜塩素酸ナトリ ウム水溶液(界面活性剤と Tween20を100mL当たり数滴添加)で20分間表面殺菌した. 表面殺菌後,クリーンベンチ内において滅菌水で4回洗浄し クリーンベンチ内で試料の節間部を厚さ5土1mmに横切し, 菌液に約5分間浸漬した・浸漬後,植物ホルモン無添加のMS 培地に置床し,25℃・3,0001Ⅹ,16時間日長の培養条件で72 して 93 時間共存培養した・共存培養後,茎切片をステンレスメッシ ュ龍に入れ,100,200,500mg・L 1に調整したセフォタキシ ムナトリウム水溶液(Claforan,Sanofiaventis)でそれぞれ順 に約1分間ずっ振とう洗浄し,セフォタキシムナトリウム 100mg・L 1を添加した植物ホルモ.ン無添加のMS培地に置床 して1週間ごとに同様の培地で6週間継代培養した. 継代培養後,茎切片の商変の有無から接種した茎切片の生 死を評価すると同時に茎切片からのカルス形成の有無,形成 されたカルスの褐変の有無について観察した(図3_5). 形成されたカルスが根頭がんしゅ病の感染によって形成さ れたgallであるかをオパインアッセイで検定した.対照とし て根頭がんしゅ病膵病性品種の`Dukat,にR.radiobacterを感 染させて形成したgallを用い,ノパリンマーカーとした.電 気泳動移動マーカーとしてメチレンブルー(10mg・mL-1)を 用いた. 茎切片に形成されたカルスを切り取り,摩砕した懸濁液を 試料として用いた・ペーパークロマトグラフィー用濾紙(No. 50,ADVANTEC)を12×18cふに切り取り,上部から8cmの 位置にスポットポイントを1・5cm間隔に7個記した.スポッ トポイントの左から順にマーカー,対照,gall試料をそれぞ れ5-Lスポットした・スポットした後,濾紙を泳動液(ギ酸: 酢酸:滅菌水=1:3‥10(Ⅴ‥Ⅴ))に浸し,泳動槽にセットし,250 Vで約25分間泳動して十分に移動マーカーが泳動しているの を確認した後・泳動槽から濾紙を取り出した.濾紙をドライ 94 ヤーで十分に乾燥させ,染色液(PhenanthrenequinonelOmg+ 99%ethano150mL+NaOH5g+60%ethano150mL)をスプレ ーで吹きかけ,再びドライヤーで十分に乾燥させた.その後, UVランプを照射してノパリンの存在の有無によって gallの 判別を行った. 発根特性および切り花品種との接ぎ木親和性の検定 `FINo・1',`FINo・5'および`FINo.6,を用い,これらに切 花品種`サムライ08,を接ぎ挿し法で接ぎ木した.接ぎ挿し 後の発根率および接ぎ木親和性を調査した. また・岐阜大学応用生物科学部潮究圃場において栽培した `FINo・1'および`FINo・6'については開花時の形態調査を行 っ た. 2.結果および考察 継代培養後に生存した茎切片におけるカルス形成率を図 3-6に示した・`FINo・1,,`FINo・5■,と`FINo.6,のカルス形 成率はいずれも`Dukat,の91%に対して有意に低く 20∼29%で あり,`pEKcougel,と同程度であった. 継代培養後に生存した茎切片における gall形成率を図 に示した・`FINo・1,・`FINo・5,と`FINo・6,のgall形成率は `Dukat'の `PEKcougel'の 77%に対して有意に低く gall形成率は0%であった. 25%前後であった. 3_7 95 `FINo・1'・`FINo・5'と`FINo・6'と抵抗性品種`PEKcougel, および罷病性品種`Dukat,で形成されたカルスについてgallの 検定を行った結果,いずれの品種においても形成されたカル スの一部が gallと判定された. 一般的に外植片を培養すると切り口からカルスが形成され る・カルスの形成はオーキシンによって誘導されサイトカイ ニンによって増殖が促進される(竹内,1987).本節で培養し た茎切片は,頂芽や側芽などの植物ホルモン生合成能が高い 成長点組織を含まない節間部分を用いているため,茎切片中 での植物ホルモンの生合成は行われていないと考えられる. さらに,茎切片は植物ホルモン無添加の培地に置床していた ことから,茎切片で形成されたカルスは茎切片内に残存して いる植物ホルモンによって誘導され,増殖したものと考えら れる・本節の結果から・カルス形成率は必ずしもgall形成率 とは一致せず,根頭がんしゆ病抵抗性の判定には本節で用い たgall形成率を用いるのが好ましいと考える.` 本節の ex vitro浸漬法での抵抗性検定において,褐変枯死 する茎切片がみられた.褐変枯死した茎切片の中にはカルス を形成しているものも観察された.褐変枯死した茎切片にお いて形成されたカルスには,根頭がんしゆ病菌が感染して gallを形成した後に茎切片の褐変が始まり枯死したものと, 感染の成立とは別にカルスが形成された後に褐変枯死したも のが含まれる・また,カルスとgallを形成せず褐変枯死した 茎切片については,褐変枯死の時期と感染成立の前後の時期 96 との関係を評価できないことから,単純に褐変枯死した茎切 片のカルス形成の状況から抵抗性を評価することはできない と考える・そこで生存した切片のみを対象としてgall形成率 を算出し,その結果を用いた. その結果,`FINo.1,,`FINo.5,,`FINo.6,のいずれにお いても根頭がんしゆ病抵抗性を有することが明らかとなった. 栄養繁殖性の台木に必要とされる重要な形質の1つに高い 親和性がある・切花品種`サムライ08,を接ぎ挿し法で接ぎ 木し,園芸品種との親和性を調査した.3 れも高い親和性を有した(図 個体の雑種はいず 3-8).`FINo.5,の活着率のみ 100%に達しなかった.また,発根率は`FINo.5,がやや低かっ たが,`FINo.1,および`FINo.6,は100%であった. 2012年5月に`FINo.1,および`FINo.6,が開花した.これ らは一季咲き性で,花色は`FINo.1,がクリーム色,`FIN。.6, はピンク色であった(図 3-9).4倍性`Matsushima N。.3,は白 色で,`PEKcougel,は薄ピンク色であることから,`PEKcougel, は劣性形質の黄色遺伝子を持っていたと判断できた.いずれ も房咲きであったことから,房咲き遺伝子は優性と考えられ た. 今後,複合抵抗性台木の作出を目的として 根腐病抵抗性検定を行うとともに台木として重要な形質につ いても調査を継続する. 3個体の雑種の Fig・3-1・Di脆rentstatusofFlplantlets舟omRosa`PEKcougel,×tetraploidR・ `MatsushimaNo.3'invitroculture. A,Brownlngplantletatter-germination;B,Brownlngplantletafter-aCClimatization; C,Aliveplantlet. F一幅:7695 Peak[ndex 05.01.10 0フ:4司:0∠l TotaICount:1953 GatedCount:1953 ⅥZ ● 一nV ● l L▲U▲U ・l 打て1 Z L 血V ● nV血V t▲ : 】n Z5血V l l一l S G55d▲ 【rl】Z ▲R=′b一「▲U l一 b爪l l 甲ll] Ar8a Area%CV% 墓】溺ヨ昌芸 ≡字溺J品書ざ.亨6字:ヨ書 300 t一 Me!an 【1ロ0.00%I れr人目 ★ Mode l ∧U Ⅵ I 爪V qノqJ qノ 350 SrEED 【pl/S】¢.5¢ RnTE 【1/S】 dOO 450 FL1500 Lf椚P【h】1ZO301 5 qノqJ qJ qJ q′qノ Fig・3-2・FlowcytometritpromefordiploidRosamultiPora'MatsushimaNo.3, Parte⊂ FiIe:7698 Peaklndex 05.01.1ロ TotalCount ロ8:ロ5:52 2724 G細edCount:272d 1 Mode 1.000 Mean 198 Area Area%CV% 199.861115`柑.93 5.13 【180.00%) 300 COunt 0 300 心爪 pt ▲R I I I S l ワ山 4一 【」 爪V 〟uV●l Z nV m ■ 血V _ l L nV l nV mV I nV qJ qノ S〓月 rコ .1 qノqノ Z L 爪V ■ 一nV 仁リ Z Hn 5 ム.一nV Il G l L▼L I 下一丁l ★ A‖TI p▲E ED ▲H■lE 【〃l′S】 【l′S】 350 上100 ◎.10 d50FL1500 paHec LnMr【h】1Z¢勤 0 qJ qノ qノqノnコ Fig.3-3.Flowcytometricprofi1eforaliveplantlet No.3from Rosa'PEKcougel'×tetraploidR.mult#ora'MatsushimaNo.3' 583bp-ト Fig.3-4.PCRelectrophoreticpro丘1eofF]aliveplantletsformRosa'PEKcougel'×tetraploid R.multiPora'MatsushimaNo.3'ampli茄edbySCARprimerSCAK16. 1,R.multiPora'MatsushimaNo.3';2,R.'PEKcougel';3,AliveplantletNo.1; 4,AliveplantletNo.2;5,AliveplantletNo.3;6,SurvivalplantletNo.4;7,AliveplantletNo.5; 8,AliveplantletNo.6;C,COntrOl,M,mOlecularmarker(2.OkbDNAladder). Fig・3-5・Thestatusofstemsegmentsformedcallusa氏er6weeksofculture. a,b,C:Alivestemsegments;d,e,嚢Deadstemsegments; a,d:Stemsegmentswithoutcallus;b,e:Stemsegmentswithcallus; C,ftBrownedstemsegmentswithcallus. (㌔)snコ日pO∈h丘苫0∈棚ひS∈0-S-○ひ扇JO占ト 90 80 70 `U ダ妄.室≡…一室一L「一′圭一……く′室L 1 00 0 50 40 0 臼 20 妻 つJ l 10 妻 0 享 R.'Dukat, `FINo・1, `FINo.5' `FINo・6, Fig.3-6.Therateofalivestemsegmentsformedca11usafter6weeksofculturein5roses・ Zvalueswithdi飴rentsuperscriptsareSlgni丘cantatp=0.05byFisher'sLSDtest・ Vtrticalbarsrepresentmean±SE(n=3). R・'PEKcougel, (㌔)コ品已き○←U pO∈J丘苫0∈地心S∈曇S-○中馬hO`← 10 0 qノ 0 00 0 70 `U 0 50 40 つJ 0 20 10 0 R.'Dukat, `FINo.1' `FINo・5, `FINo.6' Fig.3-7.Therateofalivestemsegmentsformedcrowngallafter6weeksofculturein5roses・ ZⅥ11ueswithdi飴rentsuperscriptsareslgni丘cantatP=0.05byFisher'sLSDtest. Verticalbarsrepresentmean±SE(n=3). R.'PEKcougel' 0ノ0 00 0 「一一書妻妻誉仁一董 l0 0 (㌔)ひ扇h-空-己nS弔已ロ 70 ′0 0 50 40 つJ 0 20 10 0 ...‖..ト‖..........‖....;.....‖.... `FINo・1, `FINo・5, `FINo.6' Fig.3-8.Gra氏survivalrateofhybridsfrom Rosa'PEKcougel'×tetraploidR.multiPora'MatsushimaNo.3'. `FINo・1, `FINo・6, Fig・3-9・FlowerlngOf'FINo・1,and'FINo・6,from Rosa'PEKcougel'×tetraploidR.multiflora'MatsushimaNo.3,. 106 第四草 月・r〟g〃∫α(ハマナス)と 乱椚〟JJげJ〃川との交雑後代の特性 バラ根腐病の抵抗性遺伝子は,複数の遺伝子によって支配 される量的遺伝形質と推定され,これらの遺伝形質を明らか にする方法としてQTL解析がある.QTL解析には主に組換え による変異が少なく,発現する形質が現れやすい 2倍体同士 の交配が用いられる.しかし,前章で示したよ うに根腐病と 根頭がんしゆ病に対する複合抵抗性品種の開発においては 4 倍性の個体相互の交配を行い,得られた交雑後代は あり,必ずしも qTL 解析に適した交配とはいえない.また, バラ根腐病においては 2倍体の`Matsushima 持つことが明らかとなっているが,篠病性を示す 種は明らかとなっていない. そこで本節では,篠病性の2倍体野生種として月.r〟gO∫dを 候補として挙げ,月.r〟gO∫dのバラ根腐病抵抗性検定を行うと ともに,R・rugOSaと`MatsushimaNo.3,との交配を行い,さら に,得られた交雑種の形質を調査した. 月.r〟gO∫αは,バラ科バラ属の落葉低木.東アジアの温帯か ら冷帯にかけて分布する.日本では北海道に多く,南は茨城 県,西は島根県まで分布する.主に海岸の砂地に自生し,1.0 ∼1.5 m 4倍体で に成長する低木で.5∼11月に濃いピンクを開花し, 8∼10月に結実する(上田,1996). No.3,が抵抗性を 2倍体の品 107 第1節 点.r〟g〃∫αのバラ根腐病抵抗性検定 1.材料および方法 供試植物 供試植物体として `Nakashima 月.川gO∫α とバラ根腐病に篠病性を示す 91'を用い,供試菌株として P.helicoides の菌株 を用いた. B5 方法 根腐病抵抗性検定方法およびその評価方法は第一章第1節 と 同 じ と した. `Nよkashima91,とR.rugos。で発根の速さが異なっていたた め,`Nakashima91,は約1か月間,R.rugosa Ej:約2か月間の 発根期間を確保することで発根度合いを等しく させた. 2.結果および考察 第 4-1図に,接種区と無接種区での各供試個体の褐変度を 示した・無接種区ではR.rugosaと`Nakashima91,はそれぞれ 12・1%,7・9%と低い褐変度を示したのに対して,接種区ではそ れぞれ52・4%,41.7%と有意に高い褐変度を示した.再分離で は接種区の褐変した根からのみP.ゐeJ∼coブde∫が分離された. R・rugOSaと`Nakashima91,を比較すると R.rugosaは羅病性晶 108 種の`Nakashima 91,より も高い褐変度を示したことから,R. rugosaは`Nakashima91,と同様にP.helicoidesに対して篠病性 である と判断した. 月.川gO∫αは高緯度地方の亜寒帯から寒帯が主な生息域であ る(上田,1996).これに対してP.如才ブcoブde∫によるバラ根腐 病は夏季に集中して発病する高温性の病原菌であって,この ため高温性の病原菌である P.カeJfco∼de∫は冷涼な地域では根 腐病を発病することができず,月.川即∫αが抵抗性を獲得でき なかったと考える. 109 第 2節 点.′〟g〃∫αと R・rugOSa R.朋〟J′げJ〃川との交絆後代の特性 No.3,との交配で合計 X`Matsushima を獲得することができた.これらの種子を 446個の種子 5℃暗所で 3 か月 間休眠打破を行い,その後にpH調整済みピートモス培養土と パーライトを2:1で混合した培養土に播種し,20℃で発芽さ せた・発芽した273個の約10 cm苗を岐阜大学応用生物科学 部研究圃場のプラスチックハウス内に定植した. 開発した月.椚〟JJブ〃orα特異的マーカーである SCAK16583マ R. ーカー用いて雑種判定を行った.得られた個体は全て rugosa x`Matsushima とが分かった.これら No.3,の交雑種こ の種間交雑種を用いて,形質の観察を行った. 1.材料および方法 R・rugOSa X`Matsushima No.3,の種間交雑個体岐阜大学応用 生物科学部研究圃場に定植し,61個体を用いて,以下の項目 について観察し,比較した. 樹形;刺;開花時期;花序;花弁の色;新芽の長さ. 新芽の長さについて,2011年4月 28 日と 査した.毎株無作為に3個の新芽を選択して形質を測定した. 2011年に開花した個体については,種間交雑個体相互で交 雑を行うとともに,種間交雑個体×月.r〟gO∫α,種間交雑個体× 6月 24日 2回調 110 `MatsushimaNo.3',R.rugosa x種間交雑個体,`MatsushimaNo.3, ×種間交雑個体の組み合わせで交雑を行った. 2.結果および考察 3年生に達した種間交雑個体の樹形を調査した結果,樹勢 が強く樹冠幅が広い`Matsushima No.3,に近い樹形を示すA群, 樹勢が強いが樹冠幅が狭く伸長したシュートが柔らかく弓な .りに湾曲する B群,樹勢が-弱く樹高が低いコンパクトな樹形 を示すC群に分類することができ,A群は9株,B群は43株, C群は 9株であった.種間交雑個体の樹形が 3種類に分類さ れ,樹勢が強いものの樹冠幅が狭く伸長したシュートが柔ら かく 弓なりに湾曲する B群に属する個体が最も多かったが, この樹形はR.rugosaと`MatsushimaNo.3,の中間の形態を示す と考えられたが,`Mat?uShima No.3,に樹形が近いA群やわい 性の樹形を示すC群少ないながらも認められたことから,樹 形に関連する遺伝子は単一遺伝子で支配されておらず,複雑 な遺伝形質であることが推察できた. バラの植栽利用は庭園での観賞植物の他,市街地の公園な どでの緑化植物と しても有用である.特に緑化植物と 利用では,ボーダープランツと ープランツと しての利用やグラウンドカバ しての利用など様々な樹形の活用が考えられる. しての 111 今後,これらの種間交雑個体の後代の樹形についてさらに 調査することで,栽植場所や目的に適用できる樹形の育種を 発展させていきたい. 月・椚〟J〆げJorαは刺なし台木種であるのに対して,月.r〟gO∫α は著しく多い刺毛を有している.種間交雑個体の刺の形質を 調査した結果,様々な異なった大きさの刺が認められたが, うな刺毛を持つものはみられなかった(図4-2). 月・r〟gO∫αのよ 種間交雑個■体のすべてが刺を有 `Matsushima た・2012 `Matsushima していた こ と か ら, No.3,の刺なし形質の遺伝子型は劣性遺伝と考え 年 5 月 に種間交雑個体の`FINo.175,の花粉を No.3'に戻し交雑しており,これらの後代の刺の 有無が1:1に分離すること可能性が期待できる. 種間交雑個体の開花期を調査した結果,2011年に開花した 16個体では 5月 した36個体では4月 ー季咲きであった(図 の開花期は 5 3 日から 5月 30日から 22 日に開花し,2012年に開花 5月15 日に開花し,いずれも 4-3).交配親である`Matsushima No.3, 月上中旬で一季咲きであるのに対して,R. r〟gO∫αが5月から11月まで継続して開花する半四咲きである. Kawamuraら(2011)は開花期に変異をもたらす遺伝子と して 月0ダrが関与していることを指摘しており,今後これらの種間 交雑個体の開花期と 属0ダrとの関係を検討していきたい. 花序についてみると,`Matsushima No.3,は円錐散房花序で あり,月.川gO∫αが岐散花序であるに対して,種間交雑個体は 複合的岐散花序と単項花序であった.このうち単項花序であ 112 B群の樹勢が強いが樹冠幅が狭く伸長した った個体の樹形は シュート が柔らか.く Kawamura ら(2011)は花序の形質は単一遺伝子座に支配され 弓な り に湾曲する ものであった. ない形質であると報告しており,本節の結果でもこれが実証 された. 花弁の色は`MatsushimaNo.3,が白色,R.rugosaが濃いピン ク色であったのに対して,種間交雑個体はすべてピンク色で あった(図 4-4).ピンク色の花色は単一の優性遺伝子で支配 されていると報告されており(Debener・Mattiesch,1999), 本節の結果でもこれが実証できた. 新梢の長さに個体間でバラツキが認められたため,2011年 4月 28 日 と 6月 24 日の 28 2回調査した.4月 日 と 6月 24 のいずれにおいても新梢の伸長が旺盛であった個体の樹形は A群の樹勢が強く樹冠幅が広い`Matsushima であった.これに対して, 4月 あったものの6月 No.3,に近い樹形 28 日の新梢の伸長は旺盛で 24日では伸長が衰えた個体の樹形はC群の 樹勢が弱く樹高が低いコンパクトな樹形を示した.これら以 外の個体は4月 28 日の新梢の伸長が悪く 伸長が一定ではなく,これらの樹形はB群を示した(図4-5). 新梢の伸長開始時期は地温に対する反応性と関係があると 考えられ,これらの新梢伸長開始時期と耐寒性との間に一定 の関係があるものと推定されたが,本節ではこれを実証する こ と はできなかった. 2011,2012年に人工授粉を行ったが,種間交雑個体を種子 6月 24 日の新梢の 日 113 親と して受粉させたものではまったく結実せず,受粉後2週間 程度で花托部が黄変して落果した.しかし,`MatsushimaNo.3, と点.r〟gO∫αを種子親と して種間交雑個体の花粉を交雑した場 合には約70%の結実率を示した.月.r〟gO∫α×属.椚〟JJ沼orαおよ び月・椚〟JJブ〃orα×月.r〟gO∫αのFlを用いて交配を行ったところ, いずれも結実しなかったと報告されている(滝谷美香・今博計, 2002).染色体数(ゲノム)の異なる2倍体同士の種間交雑で 育成された後代は両親のゲノムを半数ずつもつ複半数体と呼 ばれており,これらは減数分裂の異常によ、り不稔であること が知られており,これらを種子親と て困難である と考えられた. した場合には結実が極め 114 第 3節 点.r〟g〃∫αと R.刑〟JJげJ〃川との交雑個体をR.r〟g〃∫αに 戻し交雑した後代の特性 qTL解析には目的遺伝子を持つ個体と持たない個体との交 配によ り,最低でも雑種第二世代以上の個体群が必要である. R.rugosa No.3,の種間交雑種の中から稔性が高 x`Matsushima い個体No.175を選抜し,花粉親に用い,種子親の月.r〟gO∫α に戻し交雑を行って,855 年に 個体の種子を獲得した.2012 189個体を発芽し,175個を定植した. 開発した点.椚〟JJげ70rα特異的マーカーである SCAK16583マ う ち PCRを行った結果,得られた158個体の ーカー用いて 79 個体で特異的バンドがみられ,バンドの有無の比は1:1とな × った.R.r〟gO∫α SCAK16583 月.∽〟Jオブ〃orα の種周交雑個体はすべて とから, マーカーの特異的バンドが認められたこ この特異的マーカーと連鎖する形質を調査するこ とで遺伝子 解析が可能になると推定した. とで 一般的に,一季咲きのバラは,冬の低温の遭遇するこ 花芽分化が誘導されて翌年春に開花する.戻し交雑個体は 2012年4月に定植したものであるが,10月 10月11日 に 2個体はいずれも No.99が開花した(図 8 日に No.57が, 4-6).従って,開花した 月.r〟gO∫αの四季咲き性を示していると推定 された. 現代バラに四季咲き性をもたら したのは,中国古来の栽培 115 バラである 月.cカ∼〃e那ブ∫(コウシンバラ(庚申蕎薇):年中咲 き続けるという意味)の突然変異に基づく単一の劣性遺伝子 座に支配されている(荻巣,2008).この遺伝子はコウシンバ ラに因んで片∫Ⅳと命名されている.しかし,R.r〟gO∫αの四季 咲き性は∬∫Ⅳ遺伝子とは異なることが知られており(堀部ら, 2012),今後これらの戻し交雑後代個体の開花特■性を調査する ことで 月・r〟gO∫α に起因する四季咲き性遺伝子の解析を行い たい. 2012年10月に開花した個体の花序について調査した結果 (図4-6),No.57は散房花序,No.99は複合的岐散花序であ り,No・57はSCAK16583マーカーの特異的バンドが認められ たが,No・99は認められなかった.第二章はSCAK16583マー カーが房咲き形質と連鎖して・いる可能性を指摘しており,今 後開花する個体の花序と していきたい. SCAK16583マーカーとの関係を検討 (㌔)倉hぎOSlOこ00出 0 R・nUSa R・'Nakashima91, Non-inoculated R・'Nakashima91, R・rugOSa Inoculated Fig.4-l.Rootrotseverityofnon-inoculatedandinoculated RosarugosaandR.'Nakashima91'withPythiumhelicoi(ねs. Fig.4-2.ThornOfhybrids丘omR・rugOSaXdiploidR・multiflora'MatsushimaNo・3'・ 7 ■2012year ♯2011year -ヨp写竃属地已thひき○屯JOhOq∈nN ● 、l∵二。-1き∵註、 1√1 1√〉 l√) れ 、-、 、、 \D 、-、 l√l 至れ Date 闘 酬寸〓れ れ N-\れ 寸 、、 〓\れ M Ot\れ 毒 l√1 N 、、 ∞\れ M ー・■ 、、 Ml\れ ⊂) ■ - ㌔t\れ 芸れ 卜 00 ▼-■ ▼・・・■ 、-・、 、、 れ れ くっ\ -・} \ l√) ⊂) N 牒 ▼・・・→ N 、、 \ l√l れ Fig・4-3・Firstflowerlngdateofbybridsfrom Rbsarugosa X diploidR.multylora'MatsushimaNo.3,. N 示 尺り.…J●〃g…`J DiploidR.multylora'MatsushimaNo・3' Fig.4J4・Pinknowerofhybrids丘omR・rugOSaXdiploidR・multiPora'MatsushimaNo・3'・ 180 160 「…董妻…≦ペ≦喜盲…毒妻「室…室至童」蚕室 200 ■ 聾6/24 B 80 60 帖過 ‥、:.‥睾 、.…t∴…ト… (∈U)卓ぎ0〓00戻 1 00 4/26 姦章要望好蔓蔓濾.宍 -- N・- N HybridsofRosarugosaX Fig.4-5.ShootlengthofhybridsfromR.rugosaX 的〓Nめ れ寸 Nト 切寸 卜∞【 -- れれ一 一一・-・・一・・- 一Nl ▼一 れNl - トM一 ▼・- tNN N か∞- -- ○〔M ■→ ん.NON __‥.1‥‥‥‥∴二‥. 宍g買戻某誌誌£E涙宍三悪巴$宍芸霊=琶コ崇gひ N diploidR.multiPora'MatsushimaNo・3' diploidR・multylora'MatsushimaNo・3'in2011・ `BCINo.57' `BCINo.99' Fig・4-6・FlowerlngOf'BCINo・57,and'BCINo・99,fromRosarugosaX`FINo・175, WhichcrossedfromR.rugosaX diploidR.multylora'MatsushimaNo.3,. 122 総考察 バラはいつの時代にも需要の多い品目であり,もらってう れしい花,日本人の好きな花のランキング上位となっている・ ブライダルやギフト用アレンジメントには欠かせない品目で あり,一年を通して需要が絶えない.切りバラはキク・カー ネーションに続き 3番目に取扱数量の多い切り花であり,ま た,鉢物のバラもシクラメン・プリムラ・パンジーに続き 番目に取扱数量の多い品目となっている(2009年における花 き品一種別流通動向分析調査:財団法人日本花普及センター)・ しかし,近年国内のバラの生産量は年々減少傾向にある・そ の原因には燃料の高騰,バラの市場価格の低迷,後継者問題, 輸入バラの脅威による,生産意欲減退などがあげられ,生産 経営上の問題が大きな割合を占めていると推察される・年間 を通して気候が一定であるケニアやコロンビアなど赤道直下 の高山地帯では低コストで大規模生産が可能な一方で,夏の 高温多湿や冬の低温など気候変動が大きい日本では,生産コ ストが高く,バラの生産に不向きな環境といえる.夏場の高 温多湿は病害虫の発生を促し,近年では高温期に発生する根 腐病が生産上の大きな問題となっている.本研究では,根腐 病抵抗性品種`Matsushima No.3,と根頭がんしゆ病抵抗性品種 `PEKcougel,を交雑による複合抵抗性台木を育成し,これによ って病害防除や病害の発生に伴う生産性の低下を回避し,日 本国内のバラ生産振興に寄与することを目的とした・ バラ根腐病抵抗性物質のバラ品種間差異では,抵抗性品種 4 123 に顕著に多く 含まれている化合物のピークは分離されなかっ た.また,月.∽〟J〆げJorα との血縁度に関しても一定の傾向は 認められなかった.従って,抽出した画分には 月.椚〟J〆げ70rα 特異的物質はないと示唆され,月.∽〟J〆げ70rα 根腐病抵抗性に強くリ ンク したフェノール化合物 抽出した画分には含まれていないこ 後,フェノール化合物 する に特異的なバラ とが明らかとなった.今 して,抽出方法を検討 Aの物質に注目 と共に,さ Aの物質は らにバラ品種間差異について研究を進め行き たい. 近年 報告されている.これ DNAマーカーの開発研究が多く らは育種者権の保護や有用形質を持つ品種選抜に大きく貢献 する.花きにおける DNA マーカーの開発に関する報告には, ら, バラの黒星病抵抗性に連鎖したマーカーの開発(Malek 2000),RAPD マーカーを利用したボタンの品種識別(杉山, 2004),RAP・Dおよび SSRマーカーによるカーネーショ ンの萎 凋細菌病抵抗性に連鎖したマーカーの開発(八木ら,2006), ササリ ンドゥにおける花色識別マーカーの開発(柿崎ら, 2009)などが報告されている.本研究で開発した マーカ ーは,バ ラ 根腐病 SCAK16583 と 連鎖 して い なかっ たが,月. 椚〟J〆げJorα の根腐病抵抗性が後代に遺伝することが分かって おり,点.椚〟JJげJorα を交配親と して用い,根腐病抵抗性台木 して用いるこ の育種において,交雑種の判定マーカーと 可能となった. また,バラの育種における 月.椚〃J〃〃orαの導入の歴史的過 程において,1700年代後半に中国からヨーロ ッパに導入され とが 124 たと される中国古代バラが大き く 関与している る(福井,2010).本研究で開発した といわれてい SCAK.16583マーカーは, 月.椚〟Jオブ〃orαの種特異的DNAマーカーであり,1700年代後半 以降のバラ育種の歴史の未解明な部分を明らかにすることが 可能となる.今後,中国古来のバラ品種およびその交雑品種 を収集し,R.椚おJJ∼〃orα特異的DNAマーカーを用いてこれら との関係を明らかにする予定である. 月.椚〟JJ≠〃orα は房咲きの特性を持ち,小輪の花が房状に咲 くポリアンサローズやハイプリ ットマルチフローラの育種親 と して使用されている.また,ポリ アンサローズとハイプリ ツトティーとの交配から,中輪の花が房状に咲く ダローズが育成され,フロリバンダローズとハイプリ フロリバン ットテ ィーとの交配から,大輪の房咲き系統であるグランディフロ ーラが育成されている(福井,2010).本研究で得られた 3個 体の雑種は,4倍体の現代バラに倍数化したR.∽〟J〆げJorαを 交配した新たな系統であり,複合抵抗性台木の育成に貢献す ることに加えて,フロリバンダローズやスプレーバラの育成 系譜を新たに検証することが可能になると共に,今後のバラ 園芸品種の育種素材と しても期待できる. 現在,バラ品種は園芸品種だけで数万種類があり,そのう ち数千種類が実際に栽培されている.これら園芸品種の作出 に約120種あるバラ野生種のうち,日本原産の などわずか8種しか,関与していないといわれており(鈴木, 1996),バラの品種の遺伝的背景は狭い.今後,新たな野生種 の導入によってバラの多様性の拡大が不可欠であり,本研究 R.椚〟JJげJorα 125 の四倍性月.椚〟JJブ〃orαを用いた育種手法は新たなバラの育種 に大きく貢献できる・また,同様に,点.r〟gO∫αを用いた交配 によって病害に対する強い抵抗性の付与も期待でき,今後さ らに遺伝的な特性を調査し,バラ品種の改良に貢献できるも のと考える. 126 要 Pythium helicoides radiobacter(Beijerinck Drechsler and 旨 Rhizobium によるバラ根腐病と van Young Delden1902) et 2001による根頭がんしゆ病は国内の切りバラ生産に大きな損害 を与えている.両病害に対する抵抗性台木の利用は,殺菌剤の使用 に対する環境保全型農業の観点から有効な防除方法である.そこ で根腐病抵抗性品種Rosa No.3,(ノイ multiflora'Matsushima バラ`松島3号')と根頭がんしゆ病抵抗性品種R.'PEKcougel, の交雑による複合抵抗性台木の育成を目的にした.本研究で は,育成に当たって,月.椚〟JJブ〃orα の根腐病抵抗性の遺伝機 構を調査するとともに,月.椚〟JJf〃orα るために との交雑後代を確認す 月.椚〟J〆げJorαを識別できる特異的プライマーの開発 を行った.また,`PEKcougel,と四倍性`Matsushima No.3,と の交雑後代の特性を調査した. バラ根腐病抵抗性の遺伝様式の解明のために,月.椚〟Jオブ〃orα および月.椚〟JJg〃orαとの交配系譜が明らかとなっているバラ を供試材料として根腐病抵抗性を調査した.月.椚〟J〃〃orαの4 系統はすべて根腐病に対して抵抗性を示した.月.椚〟JJげ70rα との血縁度が50%の4品種の相対褐変度は異なっており,月. 椚〟J〃〃orαの抵抗性は単一遺伝子で支配されていないと判断 できた.月.∽〟J〆げJorαを種子親あるいは花粉親と 相対褐変度に有意差がみられなかったことから,根腐病抵抗 性は細胞質遺伝によるものではなく核遺伝であると推定した. 褐変度と血縁度との間には負の相関がみられ,血縁度が低く した品種間で al. 127 なり,さ なるに従って褐変度が高く 向がみられたこ らに分散も大き く なる傾 とから,根腐病抵抗性は複数の遺伝子によっ と考えられた. て支配されている 植物の組織内への菌糸侵入阻害にはフェノール化合物が関 与する といわれている.`Matsushima 91,の根からフェノール化合物 ュアローズ品種R.'Nakashima を 抽 出 出 物 し,抽 `Matsushima No.3,と雁病性のミニチ の 菌 糸 伸 長抑制 No.3,の根には 効果 を 検討 し た. 抑 P.helicoidesの菌糸伸長を強く 制する物質が含まれており,この物質は根の中では結合型フ ェノール化合物(配糖体)と して存在し,加水分解されて遊 離型となった場合に高い菌糸伸長抑制活性を示した.両品種 の抵抗性と篠病性の差は,根に含まれる菌糸伸長抑制物資の 量的差異が関係している 出物の高速液体ク `hiatsushima と考えられた.結合型フェノール抽 ロマトグラフィー(HPLC)分析結果から, No.3,で10 `Nakashima91,のそれの約 分前後に溶出する物質のピークが 3倍を示した.'=のピークの物質を 分取し,その菌糸伸長抑制効果を検討した結果,このピーク の物質は有意な菌糸抑制効果を示し,これが属∴∽〟J〆げJorαの バラ根腐病抵抗性の発現に関係する と考えられた.また,属. 椚〟JJ≠〃orα を交配親とする品種の根から抽出した結合型フェ ノール画分に含まれる物質を HPLC で分析した.各ピーク面 積について品種の抵抗性との関係をみた結果,抵抗性と強い 関連性を示したピークは認められなかった.各ピーク値を用 いて主成分分析を行い,主成分と褐変度との関係を検討した. 第1主成分と第 2主成分の主成分得点の分布から,第 2主成 128 分得点の正の象限に篠病性品種が多く分布し,負の象限には 抵抗性品種が分布する傾向がみられ,第 2主成分の正負によ って篠病性品種を選抜することが可能であった. 凡→椚〟亘〃仇用の交雑後代を判定するため七,R.椚〟J〆げJorα特 異的DNAマーカーの開発を行った.300種類のRAPDプライ マーを用いて,属.椚〟J〃〃orα 特異的バンドを増幅された OPAK16プライマーを選抜した.点.椚〟JJブ〃orαと類縁関係を持 つバラではすべて特異的バンドが形成されたのに対して,類 縁関係を持たないバラではバンドが形成されなかった.得ら れた特異的な増幅断片の塩基配列を決定し,SCARプライマー SCAK16の STS化を行った.R.multij70raと類縁関係にあるバ ラ品種でのみ583bpのバンドが確認でき,SCAK16583プライ マーは 月.椚〟Jオブ〃orα種特異的であった. `PEKcougel'と 4倍性`Matsushima No.3,との交配から雑種個 体が得られ,その形質特性を調査した.未熟培養法で 3個体 の交雑個体が獲得できた.2012年5月に`FINo.1,および`FI No.6'が開花した.これらは一季咲き性で,花色は`FINo.1 がクリ 倍性 ーム色,`FINo.6,はピンク色であった.4 `MatsushimaNo・3'は白色で,`PEKcougel,は薄ピンク色である ことから,`PEKcougel,は劣性形質の黄色遺伝子を持っていた と判断できた・いずれも房咲きであっキことから,房咲き遺 伝子は優性と考え られた.3 個体の雑種は,いずれも `PEKcougel,と同程度の高い根頭がんしゆ病抵抗性を示した. 切り花品種との接木親和性検定の結果,3 れも高い親和性を有した. 個体の雑種はいず 129 バラの遺伝子を探索するため,根腐病雁病性の月.r〟gO∫αと 抵抗性の Flを 2倍体`Matsushima 月.川gO∫αに戻し交雑して No.3,との交配を行い,得られた BCl個体を得た. 130 ThegeneticcharacteristicsofmorphologyinRosamu喝伽fW Abstract RoserootrotdiseasecausedbyPythiumhelicoiゐsDrechslerandcrowngalldisease CauSedby(Rhizobiumra成obacter(BejerinckandvanDelden1902)Youngetal.2001) haveledtoseriouseconomiclossesincutroseproductioninJqpan・Usingresistant rootstockagalnStdiseaseisavaluablestrategytowardtheconservationorientedagrlCulture・ MultipleresistantrOOtStOCkagainstroserootrotandcrowngalldiseaseistryingtodevelop byusingtetraploidRosamultiPora'MatsushimaNo・3,andR・'PEKcougel,・Inthisstudy, theinheritanCemeChanismofresistanCetOrOSerOOtrOtdiseasewasclari丘ed・Development Ofspecies-SPeCincSCARmarkersofrosespeciesforidentifyinghybridsofR.multiPora WaSCamiedout・Inaddition,thecharacteristicofthehybridsfrom'PEKcougel,×R・ multiPorawasobserved. InordertoclarifytheinheritanCeOfresistanCetOrOSerOOtrOtdisease,R.multiPoraand rosecultivarswhichR・multylorawascrossedasparent,WereuSedforplantmaterials,and theirresistibilitywereinvestigated.FourR.multiPorashowedresistanCetOrOOtrOtdisease. ItwasinfbrredthatinherentresistantCharaCteristicinR・multiPorawasnotcontrolledby Only slngle mqor gene,becausefourvarieties that were50%ofrelatedness multiPorawerevariedinrelativerootrotseverity・Inaddition,aStherewasnosigni丘cant diffbrenceinrelativerootrotseverltybetweenrosecultivarsofpatemalormatemal hybrids,itwaspresumedthattheresistibilityinR・multiPorawascontrolledbynot CytOPlasmicbutnuclearheredity・Therewassigni丘cantnegativerelationbetweenrelative rootrotseverityandrelatednesswithR.multiPora.FurthermOre,VarianCeOfrelativeroot rotseverityhadatendencytoexpandasrelatednesswithR.multiPorareduced.Itwas withR. 131 SuggeStedthattheresistibilityofR・multiPorawascontrolledbymultigenes. PhenolicsubstanCeSarelinkedtopreventingthegermtubefrompenetratingtissuein Plant・PhenolicsubstanCeSWereeXtraCtedfromtherootsoftolerantrose'MatsushimaN。.3, andsusceptibleroseR・'Nakashima91,,andweexaminedtheretardantaCtivity・The SubstanCeSWhichrestrainedgermtubeelongationofPhelicoidbsweredetectedintheroot Of'MatsushimaNo・3,,andtheseexistedasboundphenolicsubstanCeS(glycosides)inthe root・ThesesubstanCeSShowhighretardantactivitywhenhydrolyzedandchangetOfree PhenolicsubstanCeS・Thedi飴rencebetweenthetolerantandsusceptibleroseqppearstobe duetothequantitativedi飴renceintheretardantSCOntainedintheroots.Fromtheresults OfHigh PerformanCe Liquid Chromatography(HPLC)analysis ofbound phenolic SubstanCeS,thepeakofthesubstanCeelutedbeforeoraRerlOminutesin'Matsushima No・3,was about threefold higherthanthat of'Nakashima91,.The HPLCfraction COntainingthispeakwastestedforretardantaCtivity・Thisfractionshowedsigni丘cantly higherretardantaCtivity,anditisspeculatedthatthesubstanCeCOntainedinthisfractionis relatedtotheexpressionoftoleranCeOf'MatsushimaNo.3,.Inaddition,thesubstanCe COntainedintheboundphenolicsubstanCeSfromrosevarietieswhichR.multiPoraas ParentWaSanalyzedbyHPLC.Therewasnorelationbetweentheresistancetoroseroot rotdiseaseandeachpeakarea・Therefore,Principalcomponentanalysis(PCA)wasusedto examinetherelationshipbetweentheprlnCIPalcomponentsandrelativerootrotseverity・ InthescatterdiagramOfthe丘rstandsecondprlnCipal-COmPOnentSCOre,mOStSuSCePtible rosesweredistributedthepositivequadrantOfthesecondprlnCIPalcomponent,andmost tolerantrOSeWeredistributedthenegativequadrant・Itwaspossibletoselectsusceptible rosebasedonthepositive/negativeofthe2ndprlnCIPal-COmPOnentSCOre. ForidentifyinghybridsofR・multiPora,WeattemPtedtodevelopofspeci丘cDNA markersofR・multiPora・ThreehundredlOmerrandomoligonucleotideprimerswere 132 SCreened,andauniquepolymorphicfragmentinR.multyloraamPlifiedbyOPAK16 Prlmer WaSidenti丘ed・This fragment could distinguish between roses with CrOSS-ftrtilizationgenealogywithR・multyloraandroseswithnorelationshipwithR. multiPora・Thisspeci丘cfragmentwascloned,SequenCedandconvertedintoasequence Characterizedamplifiedregion(SCAR)marker-SCAK16,WhichcanamPlifya583base Pair(bp)fragmentonlyinrosewhichhadrelatednesswithR.multiPora.Thisresult indicatedthattheSCAK16583WaSaSPeCies-SPeCi丘cmarkerofR.multiPora. The3hybridswereobtainedbyimmaturityembryoculture丘om'PEKcougel,and tetraploid'MatsushimaNo・3,,andthecharacteristicwasinvestigated・The'FINo.1,and `FINo・6,wereseasonalflowerandcluster-floweredinMay,2012,itwassuggestedthat thecluster-floweredwascontrolledbydominantgene・Theflowercolorof'FINo.1,and `FINo・6,wasmilkywhiteandpink,reSPeCtively,itwascon丘rmedthat'PEKcougel,hada recessive ye1low gene because `PEKcougel,w?Sthinpink・The theflower color al13hybrids of'MatsushimaNo.3,was showedhighresistanCetO diseaseslike'PEKcougel,,andhighcompatibilityongraftwithcut-flowervariety・ Forthepurposeofsearchingforrosegenes,TheFlandBCIPOPulationwereobtained fromR・nJgOSaWhichweresusceptible `MatsushimaNo.3,. speciestoroserootrotdiseasesanddiploid whiteand CrOwngall 133 謝 辞 本研究を遂行するにあたり,終始懇篤なるご指導,ご助言 を賜り本論文の御校閲を戴いた岐阜大学応用生物科学部教授 福井博一博士に謹んで感謝の意を表す次第である.本研究に 有益なご助言とご鞭撞を戴く とともに本論文のご校閲を戴い た岐阜大学田中逸夫教授ならびに静岡大学大野始教授に深く 感謝の意を表する. 本研究の根腐病検定と DNA マーカーの開発についてご指 導を戴いた岐阜大学流域圏科学研究センター教授景山幸二博 士,高速液体クロマトグラフィーでの検定に関して,多くの ご協力とご助言を戴いた岐阜大学応用生物科学部中野浩平准 教授に心から感謝の意を表する.供試材料を提供していただ いた岐阜県花フェスタ記念公園浅野洋一氏をはじめとする職 員の方々に深く感謝の意を表する. また,岐阜大学応用生物科学部園芸学研究室の博士課程修 了生李連花氏,石黒泰氏,修士課程修了生長岡史祥氏,立松 翼氏,青木八一郎氏,杉本浩基氏,林未知子氏,博士課程蓼 易氏,小笠原利恵氏,そして修士課程船橋辰吾氏をはじめと する専攻生諸氏には多大なご助力を戴いた,本当に深く感謝 する次第である. 留学期間には財団法人岐阜県国際交流センター外国人留学 生奨学金と岐阜大学私費外国人留学生学習奨励を戴き,岐阜 大学連合農学研究科の職員の皆様をはじめ大学の方々から多 くの援助を戴いた,ここに衷心から感謝の意を表する. 134 最後に,苦楽をともにし,常に暖かく支えてくれた家族に も感謝の意を表する. 135 引用文献 Brown,N・A.1923・Experiments PrOduce with to resistance Chen,L・Z・and crown Paris daisy gall・Phytopathology13:87-99・ T.Adachi.1994.Plant regeneration via somatic from protoplasts of tomato embryogenesis (Lycopersicom to rose and cotyledon Science Mill).Breeding esculentum 44: 257-262. 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