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「さいたま市墓地行政の基本方針」(PDF形式:3380KB)

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「さいたま市墓地行政の基本方針」(PDF形式:3380KB)
さいたま市墓地行政の基本方針
平成 27 年9月
さいたま市
はじめに
お墓は、全ての人間に訪れる「死」という事象に対
して、死者が生きた証を残す場所であると同時に、残
された方が死者に対して追悼を行う慰霊の場所でもあ
ります。
さいたま市では、合併前の旧大宮市と旧浦和市にお
いて「思い出の里市営霊園」をはじめとする5つの市
営墓地の管理運営を行ってまいりました。一方で、市
内には寺院墓地、共同墓地、個人墓地などが数多く存
在し、こうした地域に根差した墓地が古くから先祖
代々にわたり利用されてきました。
現在、さいたま市は平均寿命が延び超高齢化が進む中、亡くなる方は年々増加傾向に
あります。また、少子化、核家族化、生涯未婚率の上昇といった世帯構成の変化により、
お墓を引き継ぐ方がおらずお墓が管理できなくなってしまったり、遺骨を引き取る方が
だれもいないといった問題が起こっており、お墓をはじめとする従来の葬送儀礼に対す
る考え方も変わってきているのではないでしょうか。
お墓はともすると敬遠されがちですが、市民生活において欠かすことのできないもの
でもあります。私は、超高齢社会・多死社会を迎えても、死後安らかに眠ることができ
るまちを実現したいと考えております。
そこで、さいたま市では市営墓地に求められる役割を整理し、適正な墓地行政を進め
ていくため、「さいたま市墓地行政の基本方針」を策定いたしました。今後は、だれも
が安心して利用できるよう、本方針に基づき取り組んでまいります。
最後になりましたが、本方針の策定に際しまして貴重なご意見、ご助言をいただきま
した「さいたま市墓地行政のあり方研究会」委員の皆様、また、アンケート調査にご協
力いただきました市民の皆様に心から感謝申し上げます。
平成 27 年9月
さいたま市長
清水 勇人
目
次
1.基本方針策定にあたって................................................................................................. 1
(1)基本方針策定の経緯................................................................................................. 1
(2)人口推計と死亡者の推移 ......................................................................................... 1
(3)方針策定に向けた検討フロー .................................................................................. 3
2.市営墓地の現状 ............................................................................................................... 4
(1)市営墓地の概要 ........................................................................................................ 4
(2)市営墓地における無縁化の状況 .............................................................................. 8
3.過去の整備経緯等の検証............................................................................................... 10
(1)市営墓地の整備経緯............................................................................................... 10
(2)墓地等のあり方の変遷 ........................................................................................... 14
(3)まとめ .................................................................................................................... 15
4.民間墓地の現状 ............................................................................................................. 16
(1)民間墓地の概要 ...................................................................................................... 16
(2)ヒアリング調査による民間事業者の動向の把握 ................................................... 18
5.孤立死等による無縁遺骨の状況及び動向の整理 .......................................................... 20
(1)無縁遺骨の状況 ...................................................................................................... 20
(2)無縁遺骨の動向 ...................................................................................................... 22
6.市民意識調査と墓地需要数の推計 ................................................................................ 25
(1)市民意識調査 ......................................................................................................... 25
(2)墓地需要数の推計 .................................................................................................. 34
7.さいたま市の墓地行政が抱えている課題 ..................................................................... 36
(1)需要量・供給量に関する課題 ................................................................................ 36
(2)墓地ニーズに関する課題 ....................................................................................... 36
(3)墓地の無縁化に関する課題.................................................................................... 36
(4)市営墓地に求められる役割の変化......................................................................... 37
8.今後の墓地行政の方針と取組 ....................................................................................... 39
(1)基本方針の整理 ...................................................................................................... 39
(2)市営墓地の取組方針............................................................................................... 41
9.資料編 ............................................................................................................................ 46
(1)関係法令 ................................................................................................................. 46
(2)関連計画 ................................................................................................................. 48
(3)その他の推計方法による墓地需要推計 ................................................................. 49
(4)他自治体における課題解決に向けた取組事例 ...................................................... 51
(5)さいたま市墓地行政のあり方研究会 ..................................................................... 61
(6)用語集 .................................................................................................................... 64
1.基本方針策定にあたって
(1)基本方針策定の経緯
本市では、これまで「思い出の里市営霊園」をはじめとする市内5箇所、合計で約 24,000 区画
の市営墓地の管理運営を行うとともに、民間墓地の経営許可等により墓地行政の運営に取り組ん
できましたが、市営墓地については、平成24年度をもって新規の募集は終了し、今後は返還さ
れた墓地の再募集のみとなっています。
しかし、超高齢社会に突入し墓地需要の増加が見込まれるなか、少子化・核家族化の進展、生
涯未婚率の上昇などの社会情勢の変化や、市民の墓地に対する考え方の変化等に対応することが
求められています。
こうした状況の下、平成25年度に庁内研究会を組織し、市営墓地の現状を整理するなかで、
承継者がおらず管理されなくなってしまった墓地や孤立死等による無縁遺骨の問題への取組が必
要であることが明らかとなりました。
平成26年度は、墓地を取り巻く問題に関して、市営墓地及び民間墓地の現状や、市民の墓地
に対するニーズ、他自治体における取組などについて調査を進めるとともに、新たに設置した「さ
いたま市墓地行政のあり方研究会」の協力を得ながら、様々な角度から検討を行い、官民の役割
分担や多様化する墓地ニーズへの対応など、今後の墓地行政を総合的に展開していく際の基本的
な考え方と、取組の方向性をまとめた基本方針を策定することとしました。
(2)人口推計と死亡者の推移
1)年齢別人口
本市の最上位計画である「さいたま市総合振興計画
後期基本計画」によれば、総人口は、平
成 22 年に約 122 万人となっています。年齢別人口の将来推計としては、平成 37 年まで増加を続
けピークを迎えた後、減少に転じる見通しです。
高齢化率は、平成 22 年の国勢調査では 19.1%、平成 25 年度の住民基本台帳においては 20%
を超えており、今後も上昇が見込まれています。
■ 年齢4区分別の人口見通し
(資料:さいたま市総合振興計画 後期基本計画)
1
2)世帯数
世帯数については、平成 22 年において約 50 万世帯で過半を核家族世帯が占めており、平成 42
年まで増加する見通しとなっています。世帯類型別にみると、単独世帯の増加はピーク後も続き、
なかでも高齢者の単独世帯は当面の間増加する見込みとなっています。
■ 世帯類型別一般世帯の見通し
(資料:さいたま市総合振興計画 後期基本計画)
3)死亡者数
死亡者数の推移をみると、平成 26 年には 9,588 人となっており、人口及び高齢化率の上昇に応
じて増加傾向にあることから、今後もしばらくの間、死亡者数の増加が予想されます。
■ 死亡者数と高齢化率の推移*1
(人)
12,000
10,000
15.7
16.5
17.2
17.9
18.4
18.7
19.2
20.1
20.8
20.0
8,000
15.0
6,000
4,000
(%)
7,585
7,679
8,039
8,137
8,693
8,777
9,392
9,539
9,588
10.0
5.0
2,000
0
0.0
H18
H19
H20
H21
H22
死亡者数
H23
H24
H25
H26
高齢化率
(資料:さいたま市)
*1 「死亡者数」は各年1月1日から 12 月 31 日までの死亡者数。
「高齢化率」は各年1月1日時
点の市の総人口に占める 65 歳以上の人口の割合。
2
(3)方針策定に向けた検討フロー
さいたま市内の墓地の状況の整理
さいたま市内の市営・民間墓地の状況について整理しました。
市営墓地について
民間墓地について
2.市営墓地の現状
4.民間墓地の現状
(1)市営墓地の概要
(2)市営墓地における無縁化の状況
(1)民間墓地の概要
(2)ヒアリング調査による
民間墓地の動向の把握
3.過去の整備経緯等の検証
(1)市営墓地の整備経緯
(2)墓地等のあり方の変遷
(3)まとめ
5.孤立死等による無縁遺骨の状況及び動向の整理
(1)無縁遺骨の状況
(2)無縁遺骨の動向
ニーズの把握
市民の墓地に対するニーズや今後の墓地需要数の把握を行いました。
6.市民意識調査と墓地需要数の推計
(1)市民意識調査
(2)墓地需要数の推計
基本方針の検討
現況やニーズを踏まえ、さいたま市の墓地行政が抱えている課題を整理したうえで、墓地行
政の基本方針と、市営墓地の取組方針を検討しました。
7.さいたま市の墓地行政が抱えている課題
(参考)他自治体における課題
(1)需要量・供給量に関する課題
(2)墓地ニーズに関する課題
(3)墓地の無縁化に関する課題
(4)市営墓地に求められる役割の変化
解決に向けた取組事例
(1)樹林型(樹木型)墓地の整備
(2)無縁化墓地の整理
(3)墓地の無縁化防止対策
8.今後の墓地行政の方針と取組
(1)基本方針の整理
(2)市営墓地の取組方針
3
2.市営墓地の現状
(1)市営墓地の概要
1)市営墓地の整備状況
市内には、「思い出の里市営霊園」「青山苑墓地」「諏訪入墓地」
「諏訪入第2墓地」「善前墓地」
の5箇所、約 24,000 区画の市営墓地が整備されています。
思い出の里市営霊園には、芝生墓地、普通墓地、立体墓地(屋内、屋外)
、合葬式墓地等が整備
されており、その他の市営墓地は全て普通墓地となっています。
■ 市営墓地の区画数及び料金一覧
名称
全
区画数
①思い出の里市営霊園
21,121
(昭和 51 年供用開始)
施設
区画数
使用料
芝生墓地(3.3 ㎡)
13,741
芝生墓地(4.5 ㎡)
1,292
普通墓地(5.0 ㎡)
1,846
立体墓地(屋内・6 体用) 1,064
立体墓地(屋内・8 体用) 1,176
立体墓地
267
(屋外・4体用・上段)
立体墓地
260
(屋外・4 体用・中段)
立体墓地
267
(屋外・8 体用・下段)
合葬式墓地
1,200
(単身・夫婦用)
263,010
358,650
443,000
691,000
773,000
移転墓地
8
第1∼第8
②青山苑墓地
(平成2年供用開始)
③諏訪入墓地
(昭和 14 年設置)
④諏訪入第2墓地
(昭和 57 年設置)
⑤善前墓地
(昭和 22 年設置)
合計
1,623
1,059
第9(雛壇)
80
第 10∼第 14
484
管理料
(年額)
1,280
円/㎡
6,780
円/区画
214,000
214,000
2,950
円/区画
317,000
140,000
−
79,700
円/㎡
910,000
円/区画
960,000
円/区画
315,000
円/㎡
1,280
円/㎡
5,400
円/区画
1,790
円/㎡
661
−
661
130,000
530 円/㎡
126
−
126
130,000
530 円/㎡
514
−
514
130,000
530 円/㎡
24,045
−
−
−
−
4
■ 市営墓地において供給している墓の形態
墓の形態
設置場所
・思い出の里市営霊園
普通墓地(和型墓地)
・青山苑墓地
日本の伝統的なお墓。墓石の
・諏訪入墓地
ほかに囲障、墓誌、灯篭類等
・諏訪入第2墓地
を設置することができる。
・善前墓地
芝生墓地
・思い出の里市営霊園
芝地の上に仕切り(外柵)を設
けずに墓石を建てるお墓で、
景観的にも優れている。
立体墓地【屋内】
鉄筋コンクリート造3階建て
・思い出の里市営霊園
で、各階に個別に墓石を設置
するお墓。
写真:外観(上)
、内観(下)
5
墓の形態
設置場所
合葬式墓地
多くの遺骨を地下に一緒に埋
・思い出の里市営霊園
蔵し、正面の祭壇に共同で参
拝するお墓。
写真:外観(上)
、地階内観(下)
立体墓地【屋外】
石造り3段の立体壁面構造
・思い出の里市営霊園
で、祭壇奥及び下部に遺骨を
埋蔵するお墓。
写真:遠景(上)
、近景(下)
6
2)公募状況
平成 14 年度以降の市営5墓地における墓地の公募結果をみると、毎年、公募数を申込数が上回
っています。特に、平成 18 年度以降は、公募に対する残数はほぼ生じておらず、平成 21 年度か
ら平成 25 年度*2にかけては、毎回 1,000 件を超える応募がありました。
■ 市営5墓地の公募結果
(件)
3,500
(倍)
25.00
3,000
20.00
2,500
2,000
15.00
1,500
10.00
1,000
5.00
500
0
公募数 564 1,627 563
81
975
244
64
申込数 773 1,914 2,622 504 1,269 719
公募残 116
倍率
0.00
H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25
230
99
0
180
96
253
243
245
155
244 1,088 1,750 1,480 1,190 3,044
0
0
0
0
0
1
0
1.37 1.18 4.66 6.22 1.30 2.95 3.81 11.33 6.92 6.09 4.86 19.64
墓地の形態別に直近 3 年間(平成 23∼25 年度)の公募状況をみると、普通墓地や芝生墓地と
いった、個々に区画された墓地が高倍率となっています。また、合葬式墓地の公募では、一定の
申込数があり、1 体用よりも 2 体用の人気が高くなっています。
■ 形態別にみた公募状況
年 度
・直近過去3年間
個々に区画されたお墓
芝生墓地
立体墓地(屋内)
普通墓地
公募数
申込数
倍率
公募数
申込数
倍率
23
41
673
16.41
−
−
24
−
−
−
−
25
15
340
22.67
140
立体墓地(屋外)
合葬式墓地
公募数 申込数
倍率
公募数
申込数
倍率
公募数
申込数
倍率
−
202
807
4.00
−
−
−
−
−
−
−
−
218
808
3.71
16
206
12.88
11
195
17.73
2,704
19.31
−
−
−
−
−
−
−
−
−
24
25
・合葬式墓地の公募状況
年度
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
公募数
94
182
17
-
50
30
24
20
-
-
4
-
合葬式 申込数
(1体) 倍率
62
101
46
-
92
57
56
77
-
-
59
-
0.66
0.55
2.71
-
1.84
1.90
2.33
3.85
-
-
公募残
33
81
3
-
0
0
0
0
-
-
0
-
公募数
26
188
18
-
125
34
40
46
-
-
7
-
合葬式 申込数
(2体) 倍率
公募残
14.75
-
231
343
145
-
263
155
188
218
-
-
136
-
8.88
1.82
8.06
-
2.10
4.56
4.70
4.74
-
-
19.43
-
3
1
3
-
0
0
0
0
-
-
*2 平成 25 年度は返還された墓地の再募集
7
0
-
(2)市営墓地における無縁化の状況
1)墓地利用許可の取消しと利用権の消滅
現在、利用者の死亡や管理料が未納となっている墓地に関して、さいたま市墓地及び納骨堂条
例(以下「条例」とする)において、管理料を3年間納付しないときは、墓地の利用許可を取り
消すことができる(条例第 9 条第 1 項第 2 号)こととなっています。
さらに、利用者が死亡した日から3年を経過しても祭祀を継承する者がいないとき、又は、利
用者が住所不明となって7年を経過したときは、墓地の利用権が消滅する(条例第 11 条)ことと
なっています。
※抜粋 さいたま市墓地及び納骨堂条例(平成 13 年 5 月 1 日条例第 193 号)
第 9 条 市長は、利用者が次の各号のいずれかに該当するときは、墓地の利用許可を取り消すこ
とができる。
(1) 墓地の利用権を譲渡し、又は転貸したとき。
(2) 管理料を 3 年間納付しないとき。
(3) 法令又はこの条例若しくはこの条例に基づく規則に違反したとき。
第 11 条 墓地(合葬式墓地を除く。)の利用権は、次の各号のいずれかに該当するときは、消滅
する。
(1) 利用者が死亡した日から起算して 3 年を経過しても祭祀を継承する者がないとき。
(2) 利用者が住所不明となって 7 年を経過したとき。
内
容
対
応
許可を取消す
ことができる
管理料を 3 年間納付しないとき
利用者が死亡した日から起算して 3 年を経過しても祭祀を継承する
者がない
利用権消滅
利用者が住所不明となって 7 年を経過
現在、墓地の「無縁化」についての定めはありませんが、条例第 9 条第 1 項第 2 号及び条例第
11 条第 1 項第 1 号、第 2 号に該当する墓地のうち、特に、利用者が死亡している又は住所不明と
なっている墓地は、無縁化している疑いが高いと考えられます。
なお、条例第 9 条の規定により許可を取り消された場合は、墓地を原状に回復し市長に返還し
なければならず、利用者が行わない場合は、市長が代わりに行い、これに要した費用は利用者負
担となります(条例第 10 条)
。
また、条例第 11 条の規定により利用権が消滅したときは、市長は、埋蔵されている焼骨等を一
定の場所に改葬し、かつ、墓石等を撤去することができます(条例第 12 条)
。
※抜粋 さいたま市墓地及び納骨堂条例(平成 13 年 5 月 1 日条例第 193 号)
第 10 条 利用者は、前条の規定により利用の許可を取り消されたとき又は墓地を利用する必要
がなくなったときは、直ちに当該墓地を原状に回復し、市長に返還しなければならない。
2 利用者が前項の措置を行わないときは、市長が当該利用者に代わってこれを行い、これに要
した費用は、利用者の負担とする。
第 12 条 市長は、前条の規定により利用権が消滅したときは、当該墓地に埋蔵されている焼骨
等を一定の場所に改葬し、かつ、墓石その他の物件を撤去することができる。
8
2)無縁化が疑われる墓地数の推移
市営墓地における、条例に基づく利用許
可の取消し及び利用権の消滅の対象となる
■ 市営墓地における利用許可取消及び利用権
消滅の対象となる墓地数の推移
墓地数の推移は、右図のとおりとなってい
ます。いずれも、年々増加傾向にあり、無
縁化が疑われる墓地は、合計で 141 区画と
なっています。
(区画)
160
141
140
120
100
80
111
96
73
60
40
20
23
19
0
平成23年度
52
44
36
34
平成24年度
3年以上滞納者
39
30
平成25年度
利用者死亡
平成26年度
所在不明
(平成 23∼25 年度は 3 月末時点の値、
平成 26 年度は 8 月 25 日時点の値)
3)無縁化が疑われる墓地への対応状況
①利用者死亡時等の対応と承継手続き
現利用者が死亡した場合は、現利用区画への埋蔵届の提出が必要となることから、その際に承
継手続きをあわせて実施することとなります。
現利用者の死亡時に承継手続きが行われない場合や住所不明となった場合は、戸籍等を取り寄
せて縁故者調査を実施しています。その他墓所へ立札を設置する等、縁故者の特定を図り、縁故
者が存在する場合は、承継手続きの実施を促しています。調査の結果、現利用者が死亡又は所在
不明であるにもかかわらず、承継者(縁故者)が特定できない墓地が、いわゆる「無縁化墓地」
となる可能性があります。
現利用の埋蔵届時に
死亡
承継手続
新たな利用者(承継
者)による管理
現利用者
特定
承継手続が未実施
縁故者による
承継手続き
戸 籍調 査 に
現利用者の所在不明
よ る縁 故 者
(管理料の未納、督促
の調査
特定できない又は
通知宛所不明等によ
連絡が取れない
り判明)
現利用者及び承継
者不明
②無縁改葬等の対応
条例に基づく利用許可の取消しと改葬を行う場合、墓石等の撤去に伴い発生する費用を利用者
に請求することとなっており、この撤去費用がさらに未納となるおそれがあることなどから、こ
れまでに管理料の未納による無縁改葬を実施した例はありません。
9
3.過去の整備経緯等の検証
(1)市営墓地の整備経緯
1)市営墓地整備の沿革
本市における市営墓地の沿革は以下のとおりです。
本市最大の市営墓地である思い出の里市営霊園の整備は、当初、旧大宮市の市制施行 30 周年記
念事業として実施されました。さらに合併後に、旧大宮市で策定した市営霊園再整備基本計画に
基づき、拡張整備が行われました。
年
度
旧浦和市
昭和 14 年度
・諏訪入墓地使用開始
昭和 22 年度
・善前墓地使用開始
旧大宮市
・市政 30 周年記念事業として市営霊園建
昭和 46 年度
設計画を作成
・24.3ha が都市計画決定及び事業認可
・「大宮市営霊園基本計画」策定
昭和 49 年度
・市営霊園の建設に着手
昭和 51 年度
・大宮市営霊園使用開始
昭和 57 年度
・諏訪入第二墓地使用開始
平成2年度
・青山苑墓地使用開始
・管理事務所・納骨堂使用開始
・市営霊園の愛称を「思い出の里」と決定
平成5年度
・「市営霊園再整備基本計画」策定
・大宮市都市計画墓園の変更
平成8年度
(墓園事業 24.3⇒27.0ha)
平成 12 年度
・青山苑第 2 墓地工事開始
・さいたま市誕生(浦和市・大宮市・与野市の合併)
平成 13 年度
・思い出の里市営霊園再整備第一期建設工事(∼平成 14 年度)
(立体墓地(屋内)824 区画、立体墓地(屋外)794 区画、合葬式墓地 600 区画)
平成 16 年度
平成 17 年度
平成 22 年度
・青山苑第 2 墓地公募
・思い出の里市営霊園再整備第二期建設工事(立体墓地(屋内)800 区画、合葬式墓
地 300 区画)
・思い出の里市営霊園再整備第三期建設工事(立体墓地(屋内)616 区画)
10
2)思い出の里市営霊園の整備
①「大宮市営霊園基本計画」
(昭和 49 年度)の概要
昭和 49 年の「大宮市営霊園基本計画」においては、既存墓地には無い、機能性、デザイン性へ
の配慮に加え、近隣住民へのサービスとして、広場や園地の開放、外周の公道整備等が位置付け
られました。
・市の墓地の絶対量の不足に対し、その供給が主たる目的。
・機能的、デザイン的にも満足された公園墓地として整備。
・年間を通じ、多目的利用(レクリエーション利用)に対応できる計画。
計画の目的・
背景等
・昭和 34 年「墓地計画標準(建設省)
」の通達により国庫補助の措置が取ら
れるようになり、昭和 44 年には都市計画法が改正され、
「墓園」は墓地と
区別されて公共空地として位置付けられ、緑地的役割、風致地区の要素の
強いものとして確立。
・市内の既存墓地はほぼ境内墓地(全 89 箇所、墓所面積 71,918 ㎡)
。
需要数の推計
・昭和 60 年までの必要量を約 5,000 基(大阪府方式)と見込む。
・敷地面積 243,000 ㎡、墓域は 79,020 ㎡(32.5%)
。墓域の他は、道路、広
計画概要
場、園地、駐車場、遊水地、施設、緑地等。
・計画墓所総数:18,101 基(芝生特別墓地、芝生普通墓地、普通墓地)
・中央広場を計画し、記念碑、噴水、慰霊碑、モニュメント等を設置
②「市営霊園再整備基本計画」
(平成8年度)の概要
「市営霊園再整備基本計画」においては、市営霊園の供給終了に伴い、さらなる墓地需要に対
応するため、既存市営霊園内の墓所を拡張し、新規霊園整備を検討することが位置づけられまし
た。
また、家族観の変化等、社会情勢の変化を踏まえ、
「合葬式墓地」等、新たな形態の墓地の整備
が位置づけられました。
・
「大宮市営霊園基本計画」に基づく墓地供給は残り2年程度で終了(芝生墓
地約 14,000 基、普通墓地約 2,000 基が整備済み)
。
計画の目的・
背景等
・人口増加、高齢化、核家族化等により墓地需要の増加を見込む。
・家族観の変化とともに墓地観が多様化し、他の公営墓地において多様なニ
ーズに対応する墓地の供給が行われはじめている。
・緑地として残されている未利用地を活用し、諸施設の機能充実を含め、市
営霊園の再整備を実施。
需要数の推計
・大阪府方式、森岡方式の中間値として、年間約 1,300 基、20 年間で約 30,000
基程度の需要を見込む。
・既存市営霊園は、環境を考慮しつつ、できる限り新規墓所整備を行い、10
年間で約 5,000 基程度を整備。
計画概要
・将来的に、用地確保により、市域東西のバランスを考慮しながら新規霊園
を整備し、新しい墓地形態の導入を検討。
・約 5,000 基程度の納骨堂、無縁遺骨を集約する合葬式墓地を整備。
11
③合併前後の思い出の里市営霊園の整備
「市営霊園再整備基本計画」に基づき、基礎調査(平成 9 年度)
、基本設計(平成 10 年度)
、実
施設計(平成 11 年度)が行われ、第一期工事(平成 13 年度∼)
、第二期工事(平成 17 年度∼)
、
第三期工事(平成 22 年度∼)の整備が進められました。これにより、立体墓地(屋内)2,240 区
画、立体墓地(屋外)794 区画、合葬式墓地 1,200 体分の供給を行い、順次公募を行ってきまし
た。このうち立体墓地(屋外)は、公募数に対し申込数が下回ることがあったため、第二期・第
三期の工事を見合わせており、二期・三期分の建設予定地が現在まで空き地となっています。
3)青山苑墓地の整備
①青山苑墓地(浦和市営中野田霊園)基本計画(昭和 62 年度)の概要
青山苑墓地は、当時、既存の市営墓地4ヶ所の設置年が古く、面積・区画数も少ないこと等か
ら、将来の人口増加からみて墓地の需要が増大することや高齢化に対応した生活環境の整備を目
的として計画されました。
計画の目的・
背景等
需要数の推計
計画概要
・市民の墓地需要に応えるため、都市景観と調和するよう、また市民の利用
のし易さ等に十分留意し、早期に市営霊園を拡充していく。また、納骨堂
について検討していく(
「第 3 次浦和市市勢振興計画」
)
。
・長期的には大規模な墓地の必要性が考えられたが、短期的に実現可能な規
模の整備が急務であったことから、早期に実現可能な面積規模(15,000 ㎡)
を計画。
・昭和 61 年の死亡者数約 1,700 人から、大阪府方式により 10 年間で約 3,700
区画の需要を見込む。
・新規墓地として、墓地 1,050 区画、納骨堂 300 区画の合計 1,350 区画を整
備し、墓地形態は一般的な和型墓地のみの供給。
・墓地・納骨堂の他、管理棟、休憩所、調整池、駐車場、墓地外縁部を緑地
で囲み、並木や遊歩道を設置する等、市民の休息や散策といった憩いの場
としての機能。
②青山苑第 2 墓地(上野田墓地)基本設計報告書(平成 9 年度)の概要
青山苑第2墓地は、市営霊園の供給が終わり更なる墓地需要に対応するため、また、市営の鯛
ヶ窪墓地が都市計画道路「町谷・本太線」の改良工事のため移転が必要であったことから計画さ
れました。
計画の目的・
背景等
計画概要
・墓地に対する市民ニーズは非常に高く、その内容も多様化しており、より
長期的な視点に立ち、新たな墓地整備の検討を行っていく(
「第 4 次浦和市
市勢振興計画」
)
。
・人口が年間 7,400~8,200 人増加し、平成 11 年度の死亡者数約 2,500 人で
あることなどから、さらなる墓地の整備を実施。
・既存の青山苑墓地に隣接する形で、移転対象となっていた鯛ヶ窪墓地の 247
区画+αの区画を整備。
・墓地の形態については、壁式、ロッカー式等が検討されたが、移転対象が
主体であることから一般的な和型墓地を設置。その他の施設として、無縁
遺骨用合葬施設を整備。
12
③合併前後の青山苑墓地の整備
「青山苑第 2 墓地(上野田墓地)基本設計報告書」に基づき、基本設計・実施設計を経て平成
12 年度から工事が開始されました。無縁遺骨用合葬施設を含む 522 区画が整備され、廃止となっ
た鯛ヶ窪墓地の移転と、その他の 252 区画の公募が平成 16 年度に行われました。
13
(2)墓地等のあり方の変遷
墓地、埋葬等に関する法律は、
「墓地、納骨堂等の管理及び埋葬は、公衆衛生その他公共の福祉
の見地から支障なく行うこと」を目的としています。
また、昭和 43 年の厚生省通知においては、永続性、非営利性を確保するため、墓地等の経営は
原則として地方公共団体が行い、これにより難い場合であっても、宗教法人、公益法人等に限る
とされています。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年五月三十一日法律第四十八号)
第一条 この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合
し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
墓地、納骨堂又は火葬場の経営の許可の取扱いについて
(昭和四三年四月五日、厚生省環境衛生局環境衛生課長通知)
墓地、納骨堂又は火葬場の経営主体については(中略)
、原則として市町村等の地方公共団体
でなければならず、これにより難い事情がある場合であっても宗教法人、公益法人等に限るこ
ととされてきたところである。これは墓地等の経営については、その永続性と非営利性が確保
されなければならないという趣旨によるものであり、
(以下略)
昭和中期から後期にかけては、墓地等のあり方として、「公衆衛生」や「公共の福祉」に加え、
「永続性・非営利性」が重要視されていたことがうかがえます。
【墓地等のあり方】
公衆衛生 ・ 公共の福祉 ・ 永続性 ・ 非営利性
平成 12 年の厚生省通知では、
「公衆衛生もさることながら、公共の福祉との調整が重要」とあ
り、火葬率の上昇等から、
「公衆衛生」に加え、
「永続性の確保」や、
「利用者の多様なニーズへの
対応など」についての重要性が高まっていることが指摘されています。また、納骨堂の利用や、
有期限制の墓地利用等、墓地供給に関する新しい視点の重要性についても述べられています。
墓地経営・管理の指針等について(平成 12 年 12 月 6 日、厚生省生活衛生局長通知)
墓地埋葬法第 1 条には(中略)
、単に公衆衛生上の規制にとどまらず、その他の公共の福祉の
見地からも制約を加え、調整を行うべきものとされている。近年の火葬率の上昇(平成 10 年度
で約 98.4%)にかんがみると、公衆衛生の確保もさることながら、これ以外の部分、例えば墓
地の永続性(安定的な経営・管理)の確保、利用者の多様なニーズへの対応など、利用者の利益
の保護、あるいは広域的な需給バランスの確保、周辺の生活環境との調和等の公共の福祉との
調整が重要である(中略)
一方、我が国の歴史をみても、個々に墓石を建立した墓地に葬るという習慣が一般大衆まで
広く普及したのは比較的新しいこととされており、またこのような葬法は万国共通の普遍のも
のというわけではない。家族の多様化や、狭い国土での墓地造成に限りがあること等も考える
と、納骨堂の利用や、有期限制の墓地利用など、墓地供給についての新たな視点も重要と考え
られる。
(以下略)
これらのことから、時代の変遷とともに、墓地の担うべき役割が「永続性」に加え、
「多様なニ
ーズへの対応」や「新たな視点での墓地供給」を重視する方向へと変化しています。
【墓地等のあり方】
永続性 ・ 多様なニーズへの対応 ・ 新たな視点での墓地供給
14
(3)まとめ
墓地を取り巻く社会情勢の変化や、本市の過去の検討経緯等を整理すると以下のようになりま
す。
墓地を取り巻く社会情勢等
市営墓地の役割
・跡継ぎを前提とした家制度
○墓地・埋葬に関する法律(S23)
・公衆衛生・公共の福祉
○厚生省通知(S43)
・永続性、非営利性
公衆衛生 ・ 永続性 ・ 非営利性
・高度経済成長
大宮市営霊園基本計画 策定(S49)
・都市部への人口流入
・機能性、デザイン性に配慮
・核家族化
・公園墓地として多目的利用、近隣へ開放
・火葬率の向上
青山苑墓地基本計画 策定(S62)
・生活環境の整備を目的
・早期に実現可能な規模、和型墓地中心
・市民の憩いの場として機能
・核家族化の進展
・少子高齢化
・過疎化・都市部への人口集中
公衆衛生・永続性・非営利性
+
・ 公平性
・ 先導的役割(多様なニーズ)
市営霊園再整備基本計画 策定(H8)
・さらなる墓地需要への対応
・合葬式墓地等、新たな形態の墓地を整備
○厚生省通知(H12)
・永続性
・多様なニーズへの対応
・新たな視点での墓地供給
・超高齢社会(多死社会)
・高齢単身世帯の増加
・人口減少
15
4.民間墓地の現状
(1)民間墓地の概要
1)近年の供給状況
過去 15 年間(平成 10∼24 年度)の市内における墓地の許可件数(新規及び区域変更含む)は
69 件、27,632 区画でした。年間あたりの供給数は、平均すると約 1,800 区画となっています。
許可年度
平成 10∼14 年度
計画区分
新規
拡張等
5
14
区画数
備考
7,767
平成 15∼19 年度
8
14
8,373
平成 20∼24 年度
10
18
11,492
合計
23
46
27,632
・「さいたま市墓地等の経営の許可等に関す
る条例」
(平成 17 年 4 月 1 日施行)
⇒緑地帯、駐車場、水場、管理棟の設置基
準を設ける
・「さいたま市墓地等の経営の許可等に関す
る条例」改正(平成 22 年 1 月 1 日施行)
⇒埋蔵を行う墓地についても、「住宅の境
界線まで 100m以上であること」
2)空き区画状況
過去 15 年間に許可された民間墓地のうち 38 施設を対象とした調査(平成 25 年度実施)の結
果、空き区画数は以下のとおりでした。
調査対象施設数
38
(うち5施設は未回答)
事業型墓地
境内墓地
計
約 5,600
約 1,900
約 7,500
16
3)立地状況
過去 15 年間で整備された、民間墓地の立地状況は以下のとおりです。
特に、境内墓地は浦和区や岩槻区に多く、事業型墓地は西区や緑区、見沼区などを中心に整備
されています。
■ 民間墓地の立地状況
17
(2)ヒアリング調査による民間事業者の動向の把握
民間墓地の今後の整備動向及び、無縁化墓地への対応等について把握するため、市内で墓地を
経営する民間事業者を対象としたヒアリング調査(平成 26 年 7 月∼9 月)を実施しました。
1)調査概要
調査の概要は以下のとおりです。
調査対象
平成 25 年度に空き区画調査を実施した市内で墓地を経営する宗教法人等
計 31 法人
調査方法
対面によるヒアリング(5法人)
空き区画調査において「墓地を拡張する予定が有る」と回答した宗教法人等の
うち、5法人を対象に、対面によるヒアリング調査を実施した。なお、質問事項
は事前に提示した。
郵送による調査票の配布・回収(26 法人)
対面によるヒアリングを実施する5法人を除く 26 法人については、郵送により
調査を実施し、13 法人より回答が得られた。
2)調査結果概要
調査結果の概要は以下のとおりです。
①整備に関する事項
各法人が所有する墓地
区画数の将来需要への
対応について
11 法人が「足りていない」
「将来的には足りなくなる」と回答した。
今後の墓地の整備予定
8法人が「将来的にはしたい」等、墓地整備に前向きな姿勢を示して
なお、「足りている」と回答した法人は全て檀家用の境内墓地のみを
経営する法人であった。
おり、そのうち具体的な計画のあるものは2法人であった。なお、2
法人とも、100 区画以下の小規模な計画であった。
合葬式墓地の有無と今
後の設置予定
「合葬式墓地は無い」と回答したのは3法人のみであった。
対面によるヒアリングを行った法人においては、無縁改葬用の合葬式
墓地と、はじめから合葬を希望する方の合葬式墓地を共用していた。
今後、具体的な整備予定のある法人は 1 法人のみであった。
さいたま市内での墓地
整備で負担となること
条例における許可基準の内容に関する意見が多くを占めており、特に
駐車場の設置台数の制約や緑地の確保が負担になるとの意見が多く
聞かれた。次いで、用地の取得や緑地の維持管理等に関する意見があ
った。
18
②経営(維持管理)に関する事項
無縁改葬の実施
利用者の申し出により墓地の返還を行う場合を除き、改葬を実施した
例は少ない状況である。連絡がとれない、管理料が支払われない利用
者への対応については、各法人とも苦慮している状況がうかがえた。
また、利用者との関わりの強い境内墓地においては、利用者の経済状
況等への配慮もみられた。
改葬した区画数
利用者の申し出があったケースを含めても数区画∼数十区画程度で
あった。
改葬していない理由
「該当する墓地が無い」との回答のほか、「無縁化の判断が難しく、
利用者に無断で改葬することはできない」「無縁化の判断のための手
続き、調査が負担である」との回答が多くみられた。
無縁化した、もしくは
疑いのある墓地の有無
と区画数
「無縁化」の判断基準
8法人が「ある」と回答し、区画数は、数区画∼最大で 100 区画程
度であった。
「管理料が支払われない」
「利用者と連絡が取れない」という状況か
ら総合的に判断されていた。ただし、なかにはお墓参りに来た形跡が
あるなど、一概には判断できない状況であった。また、無縁化に備え、
契約時に契約者と別の世帯の連絡先の登録を求める法人もあった。
無縁化により発生して
いる問題、課題等
墓地の維持管理に関する回答が多く、利用者に代わり区画内の清掃を
行うケースもあった。また、追跡調査が負担であるとの回答もみられ
た。
管理料の納付方法
1法人を除き、概ね1年ごとに支払う形であった。
「3年ごとに支払
う」と回答した法人においては、毎年郵便物を発送し、3年間の間に
利用者と連絡が取れなくなることが無いよう配慮していた。
③利用者に関すること
利用者の、市内・県内・ 境内墓地は市内居住者が利用者の半数以上を占めている。
県外在住者の割合
事業型墓地でも、市内居住者の利用が多くを占めているものの、市境
に近い墓地など、立地によっては市外からの利用者も多い。
19
5.孤立死等による無縁遺骨の状況及び動向の整理
(1)無縁遺骨の状況
1)無縁遺骨の対応
孤立死等が発生した場合、葬祭執行者の有無等により、葬祭執行者の責任において葬祭を行う
か、
「生活保護法」
・
「行旅病人及行旅死亡人取扱法(以下「行旅法」という。
)
」
・
「墓地、埋葬等に
関する法律」のいずれかに従って葬祭等を行うこととなります。
このうち、最終的に引き取る者がいない遺骨がいわゆる「無縁遺骨」となります。こうした無
縁遺骨は、近年、生活保護法による葬祭扶助で対応したケースが多くを占めている状況です。
■ 孤立死等への法的対応の整理
身元不明ではない
葬祭執行者
あり
身元不明である
葬祭執行者
なし
葬祭執行者
あり
葬祭執行者
なし
行旅死亡人に該当する
該当しない
行旅病人及行旅死亡人取扱法
墓地、埋葬等に関する法律
葬祭執行者が
葬祭執行者が
扶養義務者
扶養義務者以外
①死者に遺留金
品がある
②扶養義務者に
資力がある
死者に遺留金
品がなく、扶養
義務者に資力
がない
①死者に遺留金
品がある
②葬祭執行者が
費用負担する
葬祭執行者の責任で葬祭を行う
死者に遺留金品
がなく、葬祭執行
者が費用負担し
ない
生活保護法(葬祭扶助)
20
2)葬祭扶助業務の範囲
生活保護法による葬祭扶助を適用する場合で、葬祭執行者から葬祭業者の選定を依頼された場
合は、福祉事務所が市葬祭業者登録名簿より葬祭業者を選定し、選定された葬祭業者は下表の業
務を行います。
遺骨の引き取り手が無い場合は、無縁遺骨となり、専用の施設(以下「無縁遺骨用合葬施設」)
へ納められます。この無縁遺骨用合葬施設は、思い出の里市営霊園と青山苑墓地にそれぞれ各 1
箇所整備されているほか、ひかり会館や諏訪入墓地でも一部収蔵、埋蔵をしていますが、いずれ
も当初の予定数を超えている状況です。
■ 葬祭扶助業務
遺体の搬送
遺体の安置
死亡診断書の受領

医療機関、警察署から遺体を引き取り、安置する場所まで搬送

安置した場所から火葬場へ搬送

自宅での安置が不可能な場合等、業者の施設等に安置

葬祭執行者が死亡診断書若しくは死体検案書を医療機関から受領で
きない場合、代わりに受領
死亡届の提出

死亡届を福祉事務所に提示したうえで、各区役所へ提出
火葬の予約

火葬場を予約し、福祉事務所へ報告

減免に該当する場合、減免申請書を火葬当日までに火葬場へ提出

遺骨を骨壺に納め、市職員が指示する場所へ搬送
火葬場使用料に係
る減免書類の提出
遺骨の搬送
21
(2)無縁遺骨の動向
1)無縁遺骨の発生状況
①純増数の推移
各年度における葬祭扶助の件数と行旅死亡人をあわせた数値と無縁遺骨の純増数*3について、
平成 17 年度は合計が 148 件、このうち無縁遺骨の純増数は 51 件となっています。平成 23 年度
以降の純増数は毎年 100 件以上で推移しており、平成 25 年度は合計が 284 件、無縁遺骨の純増
数が 120 件となり、平成 17 年度と比べてどちらも倍増しています。
■ 無縁遺骨純増数の推移
②累計の推移
無縁遺骨用合葬施設へ埋蔵される無縁遺骨の累計は、純増数の増加に伴い、年々増加していま
す。合併後の平成 14 年度には 398 件でしたが、平成 25 年度には 1,216 件で、およそ3倍となっ
ています。
■ 無縁遺骨数(累計)の推移
*3 年度中に無縁遺骨用合葬施設に埋蔵される無縁遺骨から、引取られた無縁遺骨を引いた数。
22
2)統計データからみた無縁遺骨の状況
①高齢者人口及び被保護世帯数の推移
高齢者人口の増加とともに、被保護世帯数及び葬祭扶助を受ける世帯数も増加傾向にあります。
また、葬祭扶助を受ける世帯数の増加に伴い、無縁遺骨純増数も増加しています。
■ 高齢者人口及び被保護世帯数の推移
②被保護世帯数の推移と内訳
年度毎の被保護世帯数の推移と内訳をみると、各年度とも単身世帯の占める割合が多くなって
います。なかでも、将来的に葬祭扶助が必要となる可能性が高い単身高齢者世帯が占める割合が
最も高く、平成 17 年度以降増加が続いており、平成 25 年度には、平成 17 年度の約 2.3 倍とな
っています。
■ 被保護世帯数の推移と内訳
(被保護世帯数は、毎年度3月次の値)
23
③無縁遺骨純増数と単身高齢者被保護世帯数の比較
単身高齢者の被保護世帯に対する無縁遺骨の純増数の割合は、2.0%∼2.4%の値で推移してい
ます。高齢者人口は平成 57 年頃までは増加し続けると推計されていることから*4、単身高齢者の
被保護世帯も増加するものと考えられ、無縁遺骨は、今後当面の間、毎年一定の割合で発生し続
けることが考えられます。
■ 無縁遺骨純増数と単身高齢者被保護世帯数の比較
(被保護世帯数は、毎年度3月次の値)
*4 さいたま市総合振興計画
後期基本計画 における推計値。
24
6.市民意識調査と墓地需要数の推計
(1)市民意識調査
1)調査の概要
市民が所有する墓地の状況や、今後の取得意向、墓地整備に対する考え方等を把握するため、
市民を対象としたアンケート調査を実施しました。調査の概要は以下のとおりです。
調査対象
20 歳∼80 歳から無作為に抽出した市民 5,000 人
調査方法
郵送配布、郵送回収
調査時期
平成 26 年8月 11 日∼8月 25 日
配布数
4,975 票(郵送した 5,000 票のうち、宛先不明の 25 票を除く)
回収数・回収率
2,227 票(白票 1 票を除く)
・44.8%
25
2)調査結果(抜粋)
1.墓地に対するニーズ
□墓地の取得希望は、
「希望する」が22.5%、
「希望しない」が71.6%となっており、平成20年度の
調査と比べ、「希望する」の割合が増加しています。
□墓地の取得を希望する理由は、
「遺骨はないが、将来のために取得したい」が17.5%で、
「他都市に
ある墓地をさいたま市に移したい」は2.2%、
「遺骨があるので墓地がほしい」は1.5%となってい
ます。
□墓地の取得を希望する人のうち、取得するときに重視する事項は、
「お墓の価格、維持管理費」が
1,002ポイントと最も高くなっています。
「自宅からの距離」と「交通の便」はあわせて897ポ
イントで、平成20年度の調査と同様の傾向がみられます。
□取得したい墓地の種類は、
「公営墓地」が1,048ポイントと最も高く、安価であることや公設である
ことの安心感などが理由と考えられます。一方で、
「公益法人墓地」が434ポイント、「こだわら
ない」が311ポイントなど、公営墓地以外にも一定の回答が集まっています。
□取得したい墓地の形態は、
「個々に区画されたお墓」が1,050ポイントと最も高く、次いで「納骨
堂」の505ポイント、
「樹林型の合葬式墓地」の475ポイントとなっています。
①墓地の取得希望とその理由(N=2,227、単回答)
【問 4,5,11】
0%
20%
40%
60%
希望する
22.5
1.5
80%
100%
希望しない
71.6
無回答
5.9
0.7
17.5
希望する
希望しない
2.2 0.5
13.2
39.6
遺骨があるので墓地がほしい
他都市にある墓地をさいたま市に移したい
無回答
自分が取得した墓地があるため
お墓に入りたくないため
無回答
5.2
9.8
3.8
5.9
遺骨はないが、将来のために取得したい
その他
自分の代以前から墓地があるため
その他
■ [参考]平成 20 年度市民意識調査結果(N=2,684、単回答)
0%
20%
40%
60%
希望する
18.4
80%
希望しない
78.4%
100%
無回答
3.1
1.3
3.1
14.0
希望する
希望しない
30.9
46.3
すぐに購入したい
将来、購入したい
今は購入することを考えていない
その他
数年以内に購入したい
すでにお墓をもっている
26
1.2 3.1
②墓地を取得する際に重視する事項(N=501、複数回答)
【問 8】
※1番目=3点、2番目=2点、3番目=1点として集計。
0
200
400
600
800
1000
お墓の価格、維持管理費
1200
1002
墓地の設置者に対する信頼や安心感
399
自宅からの距離
580
交通の便
317
宗教的理由(宗旨・宗派)
33
墓地の雰囲気や周辺の環境
247
無縁化防止など将来的な管理に対する安心感
231
こだわらない
21
その他
15
■ [参考]平成 20 年度市民意識調査結果(N=495、単回答)
0%
20%
40%
お墓の価格、維持管理費などが安価
35.4
自宅から近く、交通の利便が良い
34.7
管理がよく、経営者が信頼できる
60%
80%
100%
1000
1200
14.5
宗派を問わず購入できる
4.2
自分の宗派に合っている
1.4
特になし
3.4
その他
1.0
無回答
5.3
③取得したい墓地の種類(N=501、複数回答)
【問 9】
※第1希望=3点、第2希望=2点、第3希望=1点として集計。
0
200
400
600
800
公営墓地
1048
公益法人墓地
434
宗教法人墓地
292
信者・檀家墓地
22
こだわらない
311
その他
49
わからない、または考えていない
341
④墓地の形態(N=501、複数回答)
【問 10】
※第1希望=3点、第2希望=2点、第3希望=1点として集計。
0
200
400
600
個々に区画されたお墓
1000
1200
1050
納骨堂
505
樹林型の合葬式墓地
475
慰霊碑型の合葬式墓地
295
こだわらない
その他
800
118
45
27
2.墓地整備に対する考え方
□本市が公営墓地を計画するとしたら、どのような墓地にすべきかという設問では、
「豊かな緑に囲ま
れ散策や憩いの場として利用できる公園の機能を持った墓地」が57.4%と最も高く、次いで「個々
に区画されたお墓、納骨堂、合葬型のお墓など様々な形態を提供できる墓地」が39.9%となって
います。
□近隣に墓地造成が可能な土地があると仮定した場合、墓地の設置者がとるべき措置の1番目は「緑
地や広場などがあり、公園のようにする」が25.0%と最も高くなっています。特に年齢別では、
65歳以上において「緑地や広場などがあり、公園のようにする」の割合が高くなっています。
①公営墓地を計画する場合の墓地の形態(N=2,227、複数回答)
【問 15】
0%
20%
日本の伝統的な和型墓石を中心とした墓地
40%
60%
80%
100%
17.0
豊かな緑に囲まれ散策や憩いの場として利用できる公園の機能を
持った墓地
57.4
幅広い市民の方が利用できるスポーツや文化施設等を併設した墓
地
9.7
災害時等の防災面を考慮した緑地やフリースペースとしての機能を
持った墓地
28.8
個々に区画されたお墓、納骨堂、合葬型のお墓など様々な形態を提
供できる墓地
39.9
合葬型のお墓や期限付きのお墓を中心とした循環的に利用ができる
墓地
24.0
その他
2.8
無回答
3.2
②年齢別の墓地の設置者がとるべき措置(1番目)
(N=1,370)
【問 16-2】
0%
20%
40%
60%
80%
0.4
1.4
全体
9.3
20∼29 歳
11.1
30∼39 歳
9.3
25.0
20.3
17.2
15.7
9.9
11.1
20.2
18.0
13.4
10.6
4.7
8.1
7.0 2.3
3.0
0.7
17.8
15.2
14.0
100%
1.0
1.2
13.1
19.2
0.8
40∼49 歳
12.6
13.4
13.8
14.6
7.1 2.8
15.8
0.4
18.6
1.2
50∼59 歳
9.7
23.4
19.4
14.9
5.2 4.4
21.4
0.4
1.4
60∼64 歳
7.0
23.1
6.3
31.5
4.9
9.1 0.7
1.6
65∼69 歳
6.3
36.5
23.8
3.7
9.0
2.3
70 歳以上
8.3
43.2
20.1
6.1
18.0
0.4
3.4 1.1
周囲から墓石を見えないようにする
緑地や広場などがあり、公園のようにする
自然との調和や周辺環境に配慮した外観にする
自宅から一定の距離がある
お盆やお彼岸に交通安全、渋滞対策(警備員等の配置)をとる
建設工事による影響(防塵、防音、振動、工事車両関係等)対策をとる
開園後の運営(夜間等の防犯対策、供物等の衛生対策、線香の煙等)について配慮する
特に必要だと思う措置はない
その他
無回答
28
16.1
1.1
15.2
3.所有している墓地について
□墓地の取得を希望しない人のうち、お墓を持っている人のお墓参りの頻度は、「年2∼3回」が
32.4%、
「年4∼5回」が20.6%などとなっており、
「数年に1回程度」
「お墓参りをしない」はあ
わせて15.5%となっています。世帯構成別では、
「親と子と孫」の世帯で「年6回以上」の割合が
20.2%と高い一方で、
「一人暮らし」
「夫婦だけ」の世帯で「数年に1回程度」
「お墓参りをしない」
の割合が高くなっています。
□将来も含めた墓地の心配事は、
「承継者がいない又は今後いなくなるかもしれない」が23.4%と最
も高く、次いで「心配事はない」が20.8%となっています。年齢別では、60歳以上において「承
継者がいない又は今後いなくなるかもしれない」
「承継者がいるが負担はかけたくない」の割合が
高くなっている一方、
「心配事はない」の割合も高くなっています。世帯構成別では、
「一人暮ら
し」
「夫婦だけ」の世帯で「承継者がいない又は今後いなくなるかもしれない」の割合が高くなっ
ています。
①家族構成別のお墓参りの頻度(N=1,175、単回答)
【問 11-7】
0%
20%
全体
13.0
一人暮らし
12.3
親子(2世代)
11.7
親と子と孫(3世代以上)
年6回以上
21.8
11.5
27.8
年2∼3回
年1回
13.9
数年に1回程度
2.2
6.5
3.5 0.8
11.4
26.0
27.8
3.0
9.7
19.0
28.8
年4∼5回
14.9
14.8
35.0
4.3 1.0
11.2
20.8
34.3
18.6
100%
17.4
20.8
20.2
8.3
80%
32.4
20.2
その他
60%
20.6
18.8
夫婦だけ
40%
9.6
2.9 1.0
11.1
11.1
お墓参りはしない
無回答
②年齢、家族構成別の心配事(N=1,175、複数回答)
【問 11-6】
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2.0
全体
6.0
23.4
10.2 3.2
16.5
2.4 2.1
20.8
13.4
1.6
20∼29 歳
9.3
20.2
8.5
14.7
5.4
18.6
17.1
3.1 1.6
0.9
30∼39 歳
7.5
19.7
3.1
17.5
13.2
14.0
17.5
4.4
2.2
1.7
40∼49 歳
7.6
50∼59 歳 3.2
60∼64 歳
65∼69 歳
70 歳以上
26.2
22.5
4.1
27.2
7.2
4.7
24.5
22.7
20.4
24.1
18.8
18.3
14.0
3.2
1.4
8.2 2.0 10.9
3.5
12.3
18.0
4.4
11.9
13.4
13.7
1.7
11.0 3.3
4.4
1.9
0.9
10.7
3.8
1.5 1.2
19.7
1.8 2.1
16.3
3.4
2.0
1.1 2.2
26.0
2.5
29.5
3.1
0.7
一人暮らし
4.9
夫婦だけ
6.4
親子(2世代)
6.2
親と子と孫(3世代以上)
5.7
その他 3.6
28.7
28.3
16.8
21.9
13.5
3.5 10.5
1.1
12.3 2.7
7.7
15.4
11.9
11.4
16.4
3.5 5.7
21.3
12.7
30.9
管理費が高い
承継者はいるが負担をかけたくない
将来管理する墓地が増える可能性がある
寺院、教会等の今後に対する不安
その他
3.8
14.7
2.1 1.4
21.9
1.6 1.3
18.9
2.4 2.6
3.5
32.6
9.2 2.8
12.7
1.6
21.0
18.2
5.5
12.7
3.6
承継者がいない又は今後いなくなるかもしれない
お墓の手入れが行き届かない
お墓までの交通が不便
心配事はない
無回答
29
2.1
4.新たなニーズに対する考え方
□墓地の使用期限を定める制度については、
“積極的に取り入れたほうがよい”
“やむを得ない”など
をあわせた肯定的意見が57.1%となっています。男女別では、
「男性」で「墓地は子孫に残すべ
きと考えるので、使用期限を定めるべきではない」が35.0%と高くなっています。
□合葬式墓地については、
「積極的に設置すべき」
「承継者がいなければやむを得ない」があわせて
79.6%となっており、
「墓地として好ましくない」
「考え方が理解できない」はあわせて10.7%と
なっています。年齢別では、40代や50代で肯定的な意見の割合が高くなっています。
□樹林型合葬式墓地については、
「積極的に設置すべき」の割合が22.7%と合葬式墓地よりも高くな
っており、特に年齢別では、20代や50代で「積極的に設置すべき」の割合が高くなっています。
□樹林型合葬墓の利用については、
「利用したい」
「利用を検討したい」があわせて41.1%となってお
り、
「自分は利用したくないが家族が望めば叶えたい」が29.3%となっています。年齢別では50
代や60代前半、家族構成別では「一人暮らし」
「夫婦だけ」の世帯において、
「利用したい」の割
合が高くなっています。
①男女、年齢別の墓地の使用期限に対する考え方(N=2,227、単回答)
【問 12】
0%
20%
40%
60%
80%
100%
1.9
全体
16.7
30.1
4.6
3.5 6.2
17.4
19.5
1.7
男性
18.4
17.8
35.0
3.6
4.1 5.1
14.3
2.0
女性
16.0
26.5
20.5
4.8
3.0 7.1
20.0
1.1
20∼29 歳
30.1
30∼39 歳
29.8
17.6
23.9
23.6
3.0
1.6 8.2
13.8
18.4
1.7
2.3 8.5
14.8
1.6
1.7
40∼49 歳
50∼59 歳
29.2
22.6
17.2
23.7
20.2
24.5
2.4
2.4 6.1
18.4
1.1
2.1
4.3 4.5
19.7
2.4
60∼64 歳
31.0
13.8
20.5
4.3 5.2
19.0
3.8
2.1
65∼69 歳
16.3
12.4
36.7
14.8
6.0
5.7
6.0
2.0
70 歳以上
31.9
12.7
13.8
19.0
4.1 5.9
10.6
墓地は子孫に残すべきと考えるので、使用期限を定めるべきではない
期限ごとに更新できるのであれば、この制度を取り入れても構わない
承継者がいなくなると無縁墓地となるため、この制度もやむを得ない
期限後に合葬墓等に移されるのであれば、将来的な管理の心配がなくなるので取り入れた方が良い
承継者がいない墓地を他の人が再使用できるため、積極的にこの制度を取り入れたほうがよい
わからない
その他
無回答
30
②年齢別の合葬式墓地についての考え方(N=2,227、単回答)
【問 13】
0%
20%
全体
40%
60%
19.2
20∼29 歳
16.5
30∼39 歳
15.7
40∼49 歳
60.4
100%
6.7 4.0 3.4 6.4
59.7
10.2
64.3
6.8 4.0 2.8
6.9
21.0
50∼59 歳
80%
3.9 6.2 3.0
64.9
22.9
5.0 3.8 3.3
1.9
63.8
5.9
2.9
2.1
2.7
1.4
60∼64 歳
22.4
65∼69 歳
17.3
70 歳以上
17.9
60.0
4.8 5.2
58.3
9.9
52.7
6.3
6.2
3.5 3.9
4.5 2.5
7.1
16.1
積極的に設置すべき
承継者がいなければやむを得ない
墓地として好ましくない
考え方が理解できない
その他
無回答
③年齢別の樹林型合葬式墓地についての考え方(N=2,227、単回答)
【問 14】
0%
全体
20%
40%
22.0
40∼49 歳
22.4
50∼59 歳
60∼64 歳
65∼69 歳
70 歳以上
積極的に設置すべき
考え方が理解できない
3.5 4.3 5.1
7.1
9.2
3.5 5.7
2.3
17.6
6.8
17.0
12.7
42.3
18.3
4.9
5.9 4.5
5.7 4.3
10.0
43.5
21.2
6.6
11.7
49.5
23.3
9.5
9.9
47.6
8.3
6.8 3.4
9.2
8.2
50.7
27.9
5.3
9.1
14.2
46.2
100%
6.2
11.8
39.8
26.7
30∼39 歳
80%
45.9
22.7
20∼29 歳
60%
承継者がいなければやむを得ない
その他
墓地として好ましくない
無回答
④家族構成別の樹林型合葬式墓地の利用意向(N=1,527、単回答)
【問 14-1】
0%
全体
20%
29.4
一人暮らし
34.9
夫婦だけ
35.3
親子(2世代)
26.4
親と子と孫(3世代以上)
25.2
その他
40%
60%
20.8
29.3
11.7
19.2
14.4
23.7
15.2
20.5
29.5
利用したい
自分は利用したくないが家族が望めば叶えたい
その他
31
18.0
22.5
40.5
5.4
24.7
20.8
32.9
9.9
80%
18.2
27.3
100%
6.9
1.8
4.8
2.1
5.2
2.6
1.7
8.4
6.3
4.5
墓地の承継者がいないため、利用を検討したい
利用しない
無回答
5.結果のまとめ
(墓地に対するニーズ)
・墓地取得を希望する人の割合がわずかに増加しており、墓地の取得に際しては、前回調査と同様、
「お
墓の価格、維持管理費」
、
「自宅からの距離」や「交通の便」を重視する傾向がみられます。
・取得したい墓地の種類では、公営墓地を希望する割合が最も多く、比較的安価であることや、公設
であることの安心感などから、公営墓地に需要が集まっていると考えられます。
・一方で、
「公益法人墓地」や「宗教法人墓地」などの民間墓地、「こだわらない」の回答をあわせる
と公営墓地と同程度となっており、公営墓地以外でもよいと考えている人が一定数いることがわか
ります。
・取得したい墓地の形態では、個々に区画されたお墓を希望する割合が最も多くなっており、次いで
納骨堂、樹林型の合葬式墓地となっています。
(合葬式墓地や使用期限に対する理解)
・墓地を所有している人では、将来も含めた墓地の心配事として、
「承継者がいない又は今後いなくな
るかもしれない」
「承継者はいるが負担をかけたくない」をあげる人が約4割となっており、墓地を
所有しているものの、今後の墓地の維持管理について不安に思う人が多くなっています。
・納骨堂や樹林型の合葬式墓地を希望する割合をあわせると、個々に区画されたお墓と同程度となっ
ています。これらは、比較的少ない面積で多くの遺骨を収納でき、承継者の負担や金銭的な負担が
少ないことに加え、納骨堂については、交通の便がよい場所にも立地可能であること、樹林型の合
葬式墓地については、承継者がいない場合でも利用できること、自然に還りたいなど新たなニーズ
にも対応できること、景観的にも優れていることなどの利点から、ニーズが高まっているものと考
えられます。
・合葬式墓地及び樹林型合葬式墓地については、
「やむを得ない」をあわせて約7∼8割が設置すべき
と回答しています。また、樹林型合葬式墓地の利用については、このうち約4割が「利用したい」
「承
継者がいないため利用を検討したい」と考えていて、合葬式墓地の利用意向に比べ若干高くなって
おり、特に一人暮らしや夫婦だけの世帯など、承継者に不安のある人の利用意向が高くなっていま
す。
・墓地の使用期限を定める制度については、
「無縁化防止のためやむを得ない」、
「将来的な管理の心配
がなくなる」など、約6割が肯定的意見であり、個々に区画されたお墓についても、無縁化防止の
ための対策を歓迎する傾向がみられます。
(墓地整備に対する考え方)
・今後、本市が市営墓地を計画するとした場合、緑豊かで散策や憩いの場として利用できる公園墓地
に対するニーズが最も多く、また、2番目に多いのは「様々な形態を提供できる墓地」であり、核
家族化や、単独世帯の増加など、時代の変化や家族構成の変化による墓地ニーズへの対応が求めら
れていると考えられます。
・近隣で墓地造成が行われる場合においても、設置者が取るべき措置として、
「緑地や広場があり公園
のようにする」ことを求める人が多くなっています。そのため、明るい雰囲気で日ごろから人が集
まる、地域コミュニティの場となる墓地へのニーズが高まっているものと考えられます。
32
(参考)市民意識調査結果
1)平成 20 年度市民意識調査
問.現在、お墓の購入を考えているか。
「すぐ購入したい」が 1.3%、
「数年以内に購入したい」が 3.1%、
「将来購入したい」が 14.0%
となり、あわせて全体の 18.4%が購入を検討しているという結果でした。
問.どのようなお墓を購入したいか。
購入したいお墓のタイプは、
「公営墓地」が 57.0%、
「民営墓地」が 14.3%という結果でした。
問.お墓を購入する場合の最重視ポイント。
「お墓の価格、維持管理費が安価」が 35.4%と最も多く、次いで「自宅から近く、交通の利
便が良い」が 34.7%「管理がよく、経営者が信頼できる」が 14.5%という結果でした。
2)平成 25 年度インターネット市民意識調査
問.お墓を持っているか。
⇒「持っている」が 52.5%、「持っていない」が
47.5%でした。
問.お墓について何か不安や問題を感じているか。
⇒「お墓を承継する人がいない、もしくは今後いな
くなるかもしれない不安」が 31%と最も多く、次い
で「お墓が永続的に管理されるか不安」が 27.0%、
「お
墓までの交通が不便」が 22.3%という結果でした。
問.知っているお墓等の形態
「立体式納骨堂」が 57.6%、
「芝生式のお墓」が 50.1%、
「合葬式のお墓」が 34.6%、
「どれ
も知らない」が 28.9%という結果でした。
問.合葬型のお墓についてどう思うか。
「必要だと思う」が 40.7%、
「どちらかといえば必要だと思う」が 37.6%であわせて約8割
の人が肯定的な考えを持っていることがうかがえました。
33
(2)墓地需要数の推計
本市の人口は、
「1.
(1)基本方針策定の経緯」で述べたように、平成 37 年度まで増加し続け
る見通しとなっており、また、高齢化率の上昇や死亡者数の増加により、今後も墓地需要の増加
が予想されています。
そこで、将来的に必要となる墓地の数を把握するため、墓地需要数の推計を行います。
ただし、墓地需要数推計の基礎資料となる死亡者数が推計値であることや、本市などの都市部
においては、人口の流出入が激しく、家族構成も様々であり、墓地取得に対する市民の考え方も
多様であることが考えられるため、実態に即した需要数の把握が難しい状況となっています。そ
のため、算出する推計値は、墓地行政の基本方針を検討するうえでの参考指標の一つとして算出
することとします。
1)推計手法の概要
墓地の需要推計方法には、複数の手法があります。主な手法について、以下に整理します。
①大阪府方式(横浜市方式)
大阪府方式は、
「死亡者の発生により墓地需要が生じる」という考え方をベースとした計算方法
となっており、
「死亡者はいないが将来的に墓地を取得しておきたい」「遠方に所有している墓地
をさいたま市に移したい」といった生前取得及び改葬等による墓地需要を考慮しておらず、実際
の墓地需要よりも小さい値となる傾向があります。
また、市民アンケート調査等を元に「墓地需要率(墓地取得を希望する人の割合)
」「定住志向
率(現居住地に定住する意向を持つ人の割合)
」等の数値を把握し使用するという点も、大阪府方
式の特徴であるといえます。
また、この大阪府方式より派生した推計方法である横浜市方式は、遺骨を保有している親族世
帯を現在の墓地必要数とし、これに、将来的に死亡者の発生により生じる将来需要数を足しあわ
せて算出する方法となっています。
②森岡方式
森岡方式は、ある期間に成立した世帯の数を墓地需要量の主な対象とし、
「世帯数の増加により
墓地需要が生じる」という考え方による計算方法です。
世帯数、平均世帯人員、死亡率など、全て統計データを元に算出する手法であることから、個
人の墓地の取得意向や定住意向等に配慮しておらず、実際よりも過大な数値となる傾向がありま
す。
34
2)墓地需要数の推計(大阪府方式による推計)
今回の推計では、市民意識調査において墓地の取得意向や定住意向等を調査しており、これら
の調査結果を反映させることで、より実態に即した数値が得られると考えられることから、大阪
府方式を採用し推計を行うこととします。
①前提条件の整理
大阪府方式は、以下の計算式により推計値を算出します。
(計算式)
将来必要数(A)=推定死亡者数×墓地需要率×定住志向率
将来必要数(B)=推定死亡者数×傍系世帯率×定住志向率
墓地需要数 = { 将来必要数(A)+将来必要数(B)}÷2
推定死亡者数*5は、国立社会保障・人口問題研究所による平成 46 年までの推計値(日本の地域
別将来推計人口、平成 25 年3月推計)を使用します。
墓地需要率、定住志向率、傍系世帯率は市民意識調査の結果を使用します。墓地需要率は、市
内に墓地の取得を希望すると回答した方の割合(22.5%)
、定住志向率は、市内にずっと住み続け
たいと回答した方の割合(62.0%)
、傍系世帯率は、先祖のお墓を守る立場にないと思うと回答し
た方の割合(36.7%)とします。
②墓地需要推計
算定結果は以下のとおりです。平成 27 年から平成 46 年までの墓地需要数の累計値は、48,847
件となります。
1年あたり、平均して 2,054∼2,792 件の間で需要が発生し続ける見込みとなります。
推定死亡者数 墓地需要率
H27∼31
55,955
H32∼36
63,611
H37∼41
70,539
H42∼46
76,064
0.225
傍系世帯率
0.367
定住志向率
0.62
墓地必要数 (年平均)
10,269
2,054
10,269
11,674
2,335
21,943
12,945
2,589
34,888
13,959
2,792
48,847
*5 推定死亡者数は、将来推計人口に、1から生残率を引いた値を掛けあわせて算出
35
累計
7.さいたま市の墓地行政が抱えている課題
(1)需要量・供給量に関する課題
1)墓地需要への対応
本市においては、平成 46 年までの 20 年間で約 49,000 件、1年あたり 2,000∼2,500 件の墓地
需要が発生すると見込まれています。市による新たな墓地の整備は用地の確保や財政的な面から
容易ではなく、市営墓地のみで対応していくことはできません。
一方、民間墓地においては、平成 25 年度時点で約 7,500 区画の空き区画があることが明らかと
なっているほか、過去の整備状況やヒアリング等から、今後も一定の新規整備が想定されます。
これらの状況から、墓地供給においては、特に新たな墓地区画の量的確保の面で、民間墓地の
協力を得ながら進める必要があります。
2)社会情勢に見合った適正な墓地供給
近年、墓地に対する関心の高まりとともに、市営墓地の公募倍率が高くなっており、多くの市
民が市営墓地の利用を望んでいる状況にあります。墓地需要に直結する本市の死亡者数は、しば
らくの間増加が予想されますが、その後は全国的に見込まれる人口減少に連動して減少するもの
と考えられます。
そのため、既存墓地における将来的な空き区画の増加(利用率の低下)や無縁化の進展を考慮
する必要があり、個々に区画された墓地を前提とした供給を続けることは、供給過剰の状態を招
き、墓地の安定的な運営に支障をきたすおそれがあります。
(2)墓地ニーズに関する課題
1)墓地ニーズの多様化
「墓地に関する市民意識調査」において、求める墓地形態については「個々に区画されたお墓」
に対するニーズが高い一方で、「合葬式墓地(樹林型合葬式墓地含む)」に対する一定のニーズが
みられました。また、墓地取得時に最も重視する事項として「価格、維持管理費」をあげていま
す。さらに、今後の心配事として、「承継者がいなくなることへの不安」をあげる方が最も多く、
「子供に負担をかけたくない」といった意見もみられるなど、
“安価”で“承継者がいなくても安
心して利用できる墓地”に対するニーズがみられる結果となりました。
これらの結果を踏まえ、官民の役割を考慮しながら、墓地に対するニーズの多様化に対応する
必要があります。
(3)墓地の無縁化に関する課題
1)市営墓地における無縁化
市営墓地においては、条例によって許可の取消し及び利用権の消滅が定められているものの、
現状では、管理料の長期滞納や、利用者の連絡先が不明な状況であっても、
「無縁化した」と判断
できず、無縁改葬を行った実績はありませんが、無縁化が疑われる墓地が年々増加傾向にあるた
め、今後は速やかな改葬を実施していく必要があります。
36
2)民間墓地における無縁化
民間墓地では、各施設で無縁化した墓地の数は多くないものの、ヒアリングにおいて、将来的
な無縁化に関する不安が聞かれました。また、無縁化に対し、独自に対策を行っている事業者が
みられたほか、特に境内墓地において、
「利用者が全て檀家であることから、無縁化した可能性が
あったとしても、改葬等の手段を講じる考えは無い」という意見もあり、事業者や事業型・境内
型の別によって対応が様々であることがうかがえました。
また、連絡が取れない、あるいは管理料の滞納により無縁化が疑われる墓地に対する追跡調査
等の手続きの煩雑さや、利用者に代わっての維持管理等が、事業者にとって負担となりつつある
ことが明らかとなりました。
(4)市営墓地に求められる役割の変化
今後の市営墓地には、これまでの「永続性」「公平性」「先導的役割」等に加え、以下の2点が
新たに求められているといえます。
1)人生の終末期における福祉的サービスの役割
墓地の将来についての不安をあげる方が多く、単身高齢者世帯や子供がいない世帯といった、
承継者がいない方が安心して利用できる墓地や、生活に困窮し、お墓の取得が困難で遺骨を保管
している方が利用できる安価な墓地、公募における有遺骨区分の設定など、福祉的な視点からの
墓地の供給が求められています。
なかでも、孤立死等の無縁遺骨への対応といった、特に福祉的な意味合いが強い事業は、市が
対応していく必要があり、現在の無縁遺骨用合葬施設の飽和状態を早急に改善する必要がありま
す。
2)誰もが親しめる緑豊かな公共空間としての活用
「墓地に関する市民意意識調査」において、今後、市営墓地を整備する場合にはどのような墓
地が望ましいか、という問いに対し、
「豊かな緑に囲まれ散策や憩いの場として利用できる公園の
機能を持った墓地」が 57.4%と、最も高い結果となりました。
今後の市営墓地は、緑豊かな地域の憩いの場となるよう、誰もが親しめる公共空間として活用
する視点で整備を行うことも必要となります。
市営墓地の役割
①永続的な管理運営と継続的な墓地供給による永続性の担保
②可能な限り多くの市民が利用できる公平性の担保
③市民ニーズの変化に対応する先導的役割
新たに求められる役割
④人生の終末期における福祉的サービスの役割
⑤誰もが親しめる緑豊かな公共空間としての活用
37
(参考)他自治体における課題解決に向けた取組事例
本市が抱える墓地行政の課題については、本市だけでなく、全国的な問題として広がりつつ
あります。他の自治体においては、多様化する墓地ニーズへの対応や、無縁化した墓地の整理、
墓地の無縁化防止策対策への取組が様々な形で進められています。
(1).樹林型(樹木型)墓地の整備
多様化する墓地のニーズに関して、東京都、横浜市、浦安市では墓石を墓標とするのではな
く、樹木を墓標とする新たな形態の墓地が整備されています。また、埼玉県では県営墓地の設
置に向けた検討が行われています。
■ 東京都(左:樹林墓地、中央・右:樹木型合葬埋蔵施設)
(資料:東京都 HP)
(資料:平成 26 年度東京都立霊園使用者の募集)
(埋蔵場所の一例)
■ 横浜市(樹林型合葬式墓地)
(資料:横浜市 HP)
(2).無縁化墓地の整理
川崎市、横浜市、宮崎市では、無縁化した墓地の遺骨を合葬式墓地に改葬し、墓石を撤去す
ることで、無縁化墓地の整理を行っています。また、整理して空いた区画を新たに供給するこ
とで、循環的な利用が可能となっています。
(3).墓地の無縁化防止対策
墓地の無縁化を未然に防ぐ取組として、東京都や市川市では、承継者がいなくなると予想さ
れる利用者等を対象とした、遺骨の合葬式墓地への改葬の誘導、相模原市では、循環利用を見
据えた使用期限付きの墓地の供給などが行われています。
【詳細は資料編】
38
8.今後の墓地行政の方針と取組
(1)基本方針の整理
「7.さいたま市の墓地行政が抱えている課題」を踏まえ、今後の本市全体の墓地のあり方と
して、以下の3つの方針を念頭に取り組む必要があります。
需要量・供給量に関する課題
基本方針1
1)墓地需要への対応
墓地需要に対し、官民の役割分担
による墓地供給を図ります。
2)社会情勢に見合った適正
な墓地供給
墓地ニーズに関する課題
1)墓地ニーズの多様化
基本方針2
新たな墓地形態や利用方法を導入
し、ニーズの変化に対応します。
墓地の無縁化に関する課題
1)市営墓地の無縁化
2)民間墓地の無縁化
市営墓地に求められる役割の変化
基本方針3
1)人生の終末期における福
祉的サービスの役割
墓地を適切に管理するため、無縁
化防止に努め、循環利用を進めま
す。
2)誰もが親しめる緑豊かな
公共空間としての活用
39
基本方針1
墓地需要に対し、官民の役割分担による墓地供給を図ります。
これまで本市では、約 24,000 区画の市営墓地を供給し、市営墓地で対応しきれない墓地需要に
対しては、境内墓地・共同墓地・事業型墓地といった民間墓地がその受け皿となっています。
市営墓地では、承継者がいない方や経済的な不安を抱える方が安心して利用できる、
「承継者が
不要」で「安価な料金」の墓地の供給、孤立死等による無縁遺骨への対応等といった福祉的な視
点からの墓地の供給及び墓地の公共空間としての活用を中心に進めていく必要があります。
民間墓地に対しては、引き続き市が適正な審査を実施しながら、立地場所、取得時期、デザイ
ン等を自由に選択できるという特性を活かし、これまで同様に墓地供給の中心的な役割を担うこ
とを期待します。
こうした役割分担を図りつつ、将来的に市全体で供給過多とならないよう需給バランスに注視
しながら対応していきます。
基本方針2
新たな墓地形態や利用方法を導入し、ニーズの変化に対応します。
社会情勢や家族形態の変化により、市民が求める墓地の形態や利用方法にも変化が生じており、
官民が利用者のニーズを捉え、対応していくことが望まれます。
「将来の承継者がいなくなる」といった不安や、
「承継者を必要としない墓地」といったニーズ
の変化に対応するため、墓地に使用期限を設けることや、合葬式墓地や樹林型合葬式墓地の整備
を行う必要があります。こうした墓地については、市が先導的な役割を果たしていきます。
一方、依然としてニーズの高い個別に区画された墓地の供給は、民間墓地の協力を得ながら進
め、市全体でニーズの変化に対応していきます。
基本方針3
墓地を適切に管理するため、無縁化防止に努め、循環利用を進めます。
多くの市民が市営墓地の利用を望んでいることや、公共施設である市営墓地では施設利用者が
管理にかかる費用を負担する「受益者負担」の考え方が原則であることから、市営墓地における
管理料の滞納は市民感情面の問題があるだけでなく、公共財産の適正な利用、さらには今後の墓
地の維持管理・運営に影響を及ぼすこととなります。
民間墓地においても、管理料の滞納が経営面に影響を及ぼすだけでなく、追跡調査や清掃等の
維持管理が負担となりつつあります。
そのため、官民を問わず、墓地の無縁化防止に向け、適切な維持管理に努めるとともに、無縁
化しないための仕組みづくりに取り組む必要があります。市営墓地では、無縁化が疑われる墓地
の整理と、あらかじめ合葬墓へ改葬することや使用期限を設けるといった無縁化防止策の導入を
検討し、循環利用を進め、市営墓地における取組を、民間墓地の参考となるよう積極的な周知を
行っていきます。
40
(2)市営墓地の取組方針
墓地行政の基本方針の実現に向け、官民がそれぞれに取り組む必要がありますが、市営墓地と
しては、以下の取組を中心に進めます。
特に、喫緊の課題であるといえる市営墓地の量的ニーズへの対応、墓地の無縁化への対策に関
連するものとして「思い出の里市営霊園における合葬式墓地の整備」
「無縁化墓地の改葬整理によ
る循環利用の推進」
「孤立死等による無縁遺骨への対策」は、早急に取り組むべきものとして、短
期的な取組として位置付けます。
中長期的な取組としては、
「墓地需要の見直し」「公園型墓地の整備に向けた検討」の2点を位
置付けます。
市営墓地の取組
墓地行政の基本方針
①短期的な取組
基本方針1
墓地需要に対し、官民
の役割分担による墓地
供給を図ります。
無縁化墓地の改葬整理による循環利用の推進
孤立死等による無縁遺骨への対策
基本方針2
新たな墓地形態や利用
方法を導入し、ニーズ
の変化に対応します。
②中長期的な取組
墓地需要の見直し
基本方針3
墓地を適切に管理する
ため、無縁化防止に努
め、循環利用を進めま
す。
公園型墓地の整備に向けた検討
41
1)短期的な取組
思い出の里市営霊園における合葬式墓地の整備
核家族化・少子化・未婚率の上昇や、人口減少社会の到来により、墓地の承継者となる後継ぎ
の不在が今後大きな課題となることが予想されます。一方で、超高齢社会に突入し、一定期間に
わたる死者の増加が見込まれることから、量的なニーズに対応でき、承継者が不要で、比較的安
価で利用できる合葬式墓地の整備は、福祉的な側面からも望ましいと考えられます。
また、
「他自治体における課題解決に向けた取組事例(38 頁参照)
」でみられたとおり、合葬式
墓地は、
「無縁化した墓地の整理」
、
「墓地の無縁化の防止」どちらの対策においても、効果的な役
割を果たしていることから、将来的な墓地の管理不全や管理料未納を防ぎ、墓地の永続的な管理
に寄与するだけでなく、改葬後に新たな区画が生まれることで、墓地の循環的な利用が可能とな
ります。
合葬式墓地の、土地の効率的利用や承継者不要で安価な墓地の供給、新しい墓地形態に対する
市民ニーズへの対応といった「ハード面の有効性」と、無縁化墓地の整理や無縁化防止への対策
としての「ソフト面の有効性」の両面を活用することで、現在抱えている墓地の問題と、将来予
想される問題について、より柔軟に対応することができます。
そこで、思い出の里市営霊園において、現在空き地となっている場所へ合葬式墓地の整備を行
います。整備にあたっては、官民の役割分担を踏まえ墓地需要数に対する適正な供給量と、実現
可能な規模を調査・検討していくこととします。
■ 合葬式墓地整備による墓地問題への対応のイメージ
無縁化墓地の整理
ソフト面の
有効性
無縁化した墓地の改葬先とし
て利用することで、無縁化した
墓地の整理が可能
土地の有効活用
少ない面積に多くの遺骨を埋
蔵することで、土地を有効に活
用。長期の供給や使用料を安価
に設定することが可能
墓地の無縁化防止
無縁化が予想される墓地の共
同埋蔵場所として利用するこ
とで、無縁化を防止
多様なニーズへの対応
家族構成や社会情勢の変化に
よる、新しい墓地形態に対する
ニーズに応えることが可能
42
ハード面の
有効性
無縁化墓地の改葬整理による循環利用の推進
①改葬整理に向けた無縁化墓地の判断基準と具体的な改葬手法の検討
市営墓地において、無縁化が疑われる墓地は年々増加傾向にあり、平成 26 年度には管理料滞納
が 141 件、このうち利用者死亡が 39 件、利用者所在不明が 52 件となっています。
これらの墓地の改葬整理の実施に向け、以下の内容について、検討を行います。






無縁化に関する調査方法及び判断基準の設定
無縁改葬に関するコストの検証
埋蔵されている遺骨の取扱い
建立されている墓石の取扱い
改葬整理の取組の周知
利用許可の取り消し
②合葬式墓地を利用した無縁化墓地対策(循環利用など)
利用者に承継者が無く、将来無縁化が予想される場合に、あらかじめ合葬式墓地に改葬できる
制度を設けるなど、合葬式墓地を利用した無縁化防止策を実施します。
また、合葬式墓地への改葬による墓地の改葬整理に伴い、返還された区画を再貸付することで、
墓地の循環利用を推進します。
さらに、あらかじめ改葬費用を上乗せした使用料の設定等についても検討します。
③期限付き墓地(個別に区画された墓地)の整備
思い出の里市営霊園内の空きスペースに新たに「個別に区画された墓地」を整備する場合は、
区画を小規模化するとともに、従来の代々受け継ぐ形態の墓地ではなく、20∼30 年程度の期限を
設けることとし、期限満了後は、合葬式墓地へ合葬するなどして墓地の無縁化を防止します。
④利用者要件の見直し
利用申請の資格について、遺骨保持者の区分を設けることや、現在の「1年以上居住」から3
∼5年程度に引き上げること、代替わりによって使用者が市民ではなくなった場合に、管理料を
割増しにする等の、利用者要件の見直しを検討します。
孤立死等による無縁遺骨への対策
①埋蔵方法の見直し
本市では、行旅法及び葬祭扶助で対応した「引き取り手のいない遺骨」を年間 100 件程度埋蔵
しており、今後も一定数の受け入れを行っていくこととなります。
現在は、骨壺の状態で埋蔵することとなっていますが、既に長期にわたる埋蔵を行い今後も引
き取り手の見込みがない遺骨も多数存在しています。また、今後は行旅法や葬祭扶助の対象とな
らない「引き取り手のいない遺骨」の発生も懸念されます。このため、現在の埋蔵方法を見直し、
3∼5年程度の一定期間埋蔵した後に、骨壺から取り出し合葬するといった方法に改めて対応し
ていくこととします。
②発生数や費用を検証し、合葬施設整備についての検討
遺骨の埋蔵方法の見直しにあわせ、合葬施設が必要となるため、新たに簡易的な合葬施設を設
けるかについて、今後の無縁遺骨の発生数予測と費用面を検証したうえで、検討します。
43
2)中長期的な取組
墓地需要の見直し
①短期的な取組の効果や、埼玉県及び民間墓地の供給状況を踏まえた墓地需要の検証
市営墓地を新たに整備する場合は、短期的な取組で述べた、市営墓地における合葬式墓地の整
備による無縁化墓地対策等への効果を検証したうえで実施する必要があります。
また、埼玉県において、新たに公園型墓地として(仮称)県営メモリアルガーデンの整備が計
画されていることから、今後は市内だけでなく、広域的な墓地の整備状況を把握していく必要が
あります。さらに、平成 25 年度にも実施した民間墓地の空き区画調査を定期的に実施し、市全体
の墓地の供給状況の把握に努めます。これらを踏まえ、墓地が供給過多にならないよう、新たな
市営墓地の必要性については慎重に検証していくこととします。
②社会情勢等を踏まえた見直し
今後は、今回実施した墓地需要推計結果をもとに墓地の供給に取り組むこととなりますが、将
来的には、社会情勢等の変化にともない、適宜墓地需要の見直しを行う必要があります。
特に、生涯未婚率が上昇しており、20 年∼30 年後に、承継者を必要としない墓地に対するニ
ーズが、単身者において更に増加する可能性があります。
本市においても、平成 17 年度と平成 22 年度の世代別人口に対する未婚者数の割合を比較する
と、35 歳以上の世代で未婚者数の割合が増加傾向にあることから、こうした社会情勢の変化に伴
う墓地需要の変化にも注視していくため、
「墓地に関する市民意識調査」を継続的に実施していく
こととします。
6
■ 生涯未婚率の推移*(全国)
■ 世代別人口に対する未婚者数の割合の推移(さいたま市)
100%
80%
H17
60%
H22
40%
20%
0%
(資料:内閣府男女共同参画白書平成 25 年版)
(資料:国勢調査)
*6 (内閣府ホームページより)総務省「国勢調査」より作成。生涯未婚率とは、50 歳時の未婚
率であり、45∼49 歳と 50∼54 歳の未婚率の単純平均により算出。配偶者不詳を除く。
44
公園型墓地の整備に向けた検討
本市では、
「さいたま市公共施設マネジメント計画」において、今後の公共施設のあり方に関す
る基本的な考え方を示しています。そのなかで、墓地も含め、新たな公共施設整備を行う場合は、
「総量規制の範囲内で、費用対効果を考慮して行う」こととなっています。また、
「さいたま市緑
の基本計画」における緑被率等、公共施設の整備を行うには一定の基準があります。
新たに市営墓地を整備する場合は、思い出の里市営霊園を参考に、景観的な配慮に加え、市民
の散策や憩いの場としての利用に対応できる墓地として整備することを検討する必要があります。
このような公園型墓地の整備は、従来の公衆衛生政策で進めていくには限界があり、都市計画
やまちづくりの観点から進めていくことが重要です。また、整備に向けては一定規模の土地が必
要となることから、公有地や大規模公園計画について、全庁的に継続して情報交換を図りながら
検討していくこととします。
45
9.資料編
(1)関係法令
①墓地、埋葬等に関する法律(抜粋)
第九条
死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村
長が、これを行わなければならない。
2
前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び
行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。
②墓地、埋葬等に関する法律施行規則(抜粋)
第二条
法第五条第一項 の規定により、市町村長の改葬の許可を受けようとする者は、次
の事項を記載した申請書を、同条第二項 に規定する市町村長に提出しなければならない。
一
死亡者の本籍、住所、氏名及び性別(死産の場合は、父母の本籍、住所及び氏名)
二
死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)
三
埋葬又は火葬の場所
四
埋葬又は火葬の年月日
五
改葬の理由
六
改葬の場所
七
申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者(以下「墓
地使用者等」という。)との関係
2
前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一
墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又
は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあっては、市町村長が
必要と認めるこれに準ずる書面)
二
墓地使用者等以外の者にあっては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに
対抗することができる裁判の謄本
三
その他市町村長が特に必要と認める書類
第三条
死亡者の縁故者がない墳墓又は納骨堂(以下「無縁墳墓等」という。)に埋葬し、
又は埋蔵し、若しくは収蔵された死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)又は焼骨
の改葬の許可に係る前条第一項の申請書には、同条第二項の規定にかかわらず、同項第一号
に掲げる書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一
無縁墳墓等の写真及び位置図
二
死亡者の本籍及び氏名並びに墓地使用者等、死亡者の縁故者及び無縁墳墓等に関する
権利を有する者に対し一年以内に申し出るべき旨を、官報に掲載し、かつ、無縁墳墓等の
見やすい場所に設置された立札に一年間掲示して、公告し、その期間中にその申出がなか
つた旨を記載した書面
三
前号に規定する官報の写し及び立札の写真
四
その他市町村長が特に必要と認める書類
46
③生活保護法(抜粋)
第十八条
葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、
左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一
検案
二
死体の運搬
三
火葬又は埋葬
四
納骨その他葬祭のために必要なもの
2
左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各
号の葬祭扶助を行うことができる。
一
被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
二
死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬
祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。
④行旅病人及び行旅死亡人取扱法(抜粋)
第七条
行旅死亡人アルトキハ其ノ所在地市町村ハ其ノ状況相貌遺留物件其ノ他本人ノ認
識ニ必要ナル事項ヲ記録シタル後其ノ死体ノ埋葬又ハ火葬ヲ為スベシ
○2 墓地若ハ火葬場ノ管理者ハ本条ノ埋葬又ハ火葬ヲ拒ムコトヲ得ス
47
(2)関連計画
①さいたま市公共施設マネジメント計画【方針編】
(抜粋)
ハコモノ三原則
■ 新規整備は原則として行わない(総量規制の範囲内で行う)

長寿命化、アセットマネジメントなど適正な管理を行い、既存施設の有効活用を図り、
新規整備は原則として行わない。

新設が必要な場合は、中長期的な総量規制の範囲内で、費用対効果を考慮して行う。
■ 施設の更新(建替)は複合施設とする

施設の統合・整理や遊休施設の活用、学校を含めた施設の複合化等によって、機能を
維持しつつ、施設総量を縮減する。

複合施設においては、管理・運営についても一元化・効率化する。

施設の複合化により空いた土地は、活用・処分を促進する。
■ 施設総量(総床面積)を縮減する(40 年間で 15%程度の縮減が必要)

本市の施設全体の総床面積を 40 年間で 15%程度縮減することが必要であり、スク
ラップアンドビルドを徹底する。

総人口が今後 25 年で 5%減少することを踏まえ、施設を更新する際には、床面積を
縮小することを基本とする。

旧市単位で設置され重複している施設、分野(小分類)を超えて重複している機能(会
議室、ホール等)については、統合・整理を検討する。

稼働率の低い施設は運営改善を徹底し、なお稼働率が低い場合は、統合・整理を検討
する。
 改修・更新コスト、維持管理コストを縮減する。
②さいたま市公共施設マネジメント計画・第1次アクションプラン(抜粋)
第3章 公共施設マネジメント・分野別アクションプラン
5.保健福祉系施設(個別方針)
保健衛生施設【墓地・納骨堂、斎場・火葬場】
更新時の方向性
配置の考え方
主な機能(諸室)
の考え方
(更新時の方向性)
・施設の統合・整理を行い、墓地・納骨堂については全体の基準面積 4,309
㎡、斎場・火葬場については全体の基準面積 12,814 ㎡を上限に、規模
を検討する。
※ 現状の延床面積:墓地・納骨堂 4,612 ㎡、斎場・火葬場 14,261 ㎡
(配置)
・市レベルの施設として配置する。
(統合・整理の検討条件)
・年間の稼働率が 30%を下回った施設において、期限を区切って対策を
行ったうえで、なお改善しない場合とする。
・墓地・納骨堂:墓地、納骨堂、事務室等
・斎場・火葬場:斎場、火葬場、事務室等
48
(3)その他の推計方法による墓地需要推計
1)横浜市方式
①前提条件の整理
横浜市方式は、以下の計算式により推計値を算出します。
(計算式)
現在必要数(A)=親族世帯数×遺骨保持率
将来必要数(B)=推定死亡者数×墓地需要率×定住志向率
墓地需要数 = { 現在必要数(A)+将来必要数(B)}
遺骨保持率は「墓地に関する市民意識調査」において、
「墓地取得を希望する」と回答した人の
うち、希望する理由として「遺骨があるので墓地が欲しい人」と回答した人の割合(約 1.5%)と
します。
親族世帯数は、最新(平成 22 年度)の国勢調査結果より、世帯数に占める親族世帯数の割合を
算出し、平成 26 年度の住民基本台帳の世帯数に掛けあわせて算出します。
世帯数
国勢調査(平成 22 年度)
503,126
住民基本台帳(平成 26 年4月1日)
523,156
親族世帯数
337,336
②墓地需要推計
算定結果は以下のとおりです。平成 27 年から平成 46 年までの墓地需要数の累計値は、42,486
となります。
1年あたり、平均して 1,561∼2,122 件の間で需要が発生し続ける見込みとなり、大阪府方式よ
りもさらに少ない結果となっています。
現在必要数(H26)
: 523,156×(337,336/503,126)×1.5%≒5,355
推定死亡者数
H26
墓地需要率
定住志向率
墓地必要数
年平均
累計
-
-
-
5,355
-
5,355
H27∼31
55,955
0.225
0.62
7,806
1,561
13,161
H32∼36
63,611
0.225
0.62
8,874
1,775
22,035
H37∼41
70,539
0.225
0.62
9,840
1,968
31,875
H42∼46
76,064
0.225
0.62
10,611
2,122
42,486
49
2)森岡方式
①前提条件の整理
森岡方式は、ある期間に成立した親族世帯が全て墓地を取得するまでにかかる期間(墓所需要
期間(A)
)を算出し、その期間内に発生する年平均墓地需要数(B)を累計した値となります。
(計算式)
墓所需要期間(A)≒1/(1世帯平均人員×死亡率)
年平均墓地需要数(B)=親族世帯増加数÷墓所需要期間
=親族世帯増加数×1世帯平均人員×死亡率
②墓地需要推計
算定結果は以下のとおりです。平成 27 年から平成 42 年までの墓地需要数の累計値は、52,568
となります。
西暦
年平均必要墳墓数
累計
平成 22 年∼26 年
3,687
-
平成 27 年
3,687
3,687
平成 28 年
3,687
7,374
平成 29 年
3,687
11,061
平成 30 年
3,687
14,748
平成 31 年
3,687
18,435
平成 32 年
3,103
21,538
平成 33 年
3,103
24,641
平成 34 年
3,103
27,744
平成 35 年
3,103
30,847
平成 36 年
3,103
33,950
平成 37 年
3,103
37,053
平成 38 年
3,103
40,156
平成 39 年
3,103
43,259
平成 40 年
3,103
46,362
平成 41 年
3,103
49,465
平成 42 年
3,103
52,568
50
(4)他自治体における課題解決に向けた取組事例
1)樹林型(樹木型)墓地の整備
各自治体において、多様な形態の墓地整備への取組が行われていますが、本項では、特に樹林
型墓地に関する動向について、他自治体の取組を整理します。
①東京都(東京都小平霊園)
施設概要(樹林型)
整備年次
平成 23 年
規模等
834 ㎡、10,700 体
公募状況
公募資格
年度
募集数
応募数
倍率
平成 25 年度
1,600
15,833
9.9
平成 26 年度
1,600
16,929
10.6
・都内に 3 年以上継続して居住していること。
・申込遺骨があること等。
※その他資格あり
施設概要(樹木型)
使用料
134,000 円/体(遺骨)
、44,000 円/体(粉砕遺骨)
特徴等
樹林の下に多くの遺骨を一緒に埋蔵し、手前の献花台で参拝する。
整備年次
平成 26 年
規模等
645 ㎡、2,880 体
公募状況
募集数 300 体に対し、受付数 520 体で、倍率は 1.7 倍(平成 26 年度)
公募資格
使用料
特徴等
・都内に 3 年以上継続して居住していること。
・申込遺骨があること等。
184,000 円/1 体用 368,000 円/2 体用
樹木の周辺に、遺骨を納骨袋に入れた状態で、直接土に触れるかたちで
個別に一体ずつ埋蔵し、手前の献花台で参拝する。

整備経緯
※その他資格あり
樹木葬への注目の高まりや、都市における緑の形成に寄与し、景観
的に優れていることなどから、平成 20 年の公園審議会において「樹
林墓地、樹木墓地の供給」が提案されたことによる。
(資料:東京都 HP、都立霊園樹林型合葬埋蔵施設使用の手引、都立霊園樹木型合葬埋蔵施設使用の手引
ほか)
■樹木型合葬埋蔵施設
■樹林墓地
(埋蔵場所の一例)
(資料:東京都 HP)
(資料:平成 26 年度東京都立霊園使用者の募集)
51
②横浜市(横浜市営墓地:メモリアルグリーン)
整備年次
平成 18 年秋より募集及び供用開始
規模等
1,000 体×3箇所 計 3,000 体
・ 平成 25 年度実績
施設概要(合葬式樹木型納骨施設)
募集数
1体用
公募状況
2体用
遺骨保持
生前
遺骨保持
生前
応募数
抽選倍率
78
95
1.22
52
481
9.25
2.45
77(154 体分) 189(378 体分)
52(104 体分) 1,827(3,654 体分) 35.13
【共通】
・ 市内在住3か月以上で、申請時点で引き続き市に住民登録があるこ
と。
公募資格
・ 1人1申込みであること。
・ 生前予約を含む申込みを行う場合は、生前予約対象者に申込者が含
まれていること。
【遺骨保持者】
・ 自宅その他の施設で遺骨をお持ちの方(他の墓地からの改葬も対象)
使用料
特徴等
使用料 14 万円/体、管理料 6 万円/体 (永代使用)
・ シンボルツリーや低木、芝、花などで覆われたマウンド上の区画に、
骨壺をまとめて埋蔵し、手前にある献花台で参拝する
・ 平成 14 年に閉園した遊園地跡地を市が買い取り、
「硬式野球場を備
えた総合公園」と、
「緑豊かな墓園」を一体的に整備することとした。
・ 平成 16 年3月都市計画決定、同7月に墓園経営許可を経て、平成
18 年度秋より墓園の募集及び供用を開始
整備経緯
・ アンケート結果を踏まえた検討を行い、芝生型墓地(7,500 区画)
、
樹木型合葬式墓地、慰霊碑型合葬式墓地(1か所 12,000 体収容)
が整備された。
(資料:横浜市 HP、横浜市営墓地申込みのしおり
■ 樹木型合葬式墓地
ほか)
■ 慰霊碑型合葬式墓地
(資料:横浜市 HP)
52
③浦安市(浦安市墓地公園)
整備年次
整備予定の2箇所のうち、1箇所は平成 27 年 3 月末完成予定
規模等
約 8,300 基(第 1・第 2 を合計した最低整備数)
公募状況
・ 平成 26 年 12 月より、生前申込(100 人)の受付を開始。
・ 遺骨所有者の募集は平成 27 年4月以降の予定。
【生前申込】
施設概要(樹林墓地)
次のすべてに該当する方(本人)
・ 市内に引き続き 1 年以上居住し、浦安市に住民登録があること。
・ 65 才以上であること。
・ 申込者自身が死亡した後に、その焼骨が本市墓地公園墓所に滞りなく埋
公募資格
蔵されるよう、あらかじめ納骨予定者を選定できること。
【遺骨所有者】※墓地公園整備に伴う基本計画(案)より
・ 居住条件:継続1年以上居住
・ 遺骨の条件:焼骨
・ 遺骨との続柄:親族・姻族
・ 申請者:祭祀の主催者
使用料
特徴等
1 焼骨につき 12 万円 (永代供養)
・ 袋に入れた遺骨を、直接土に触れる形で埋蔵する。
・ 生前申請が可能(他の市営墓地では不可能)
。
・ 昭和 63 年に策定された墓地公園基本計画により墓地公園の整備・運営
を進めてきたが、最終整備区域である第3区の整備にあたり、多様化す
整備経緯
るニーズを踏まえて平成 26 年度に基本計画の見直しを行った。
・ 社会情勢の変化や需要の多様化を加味し、樹林墓地等の整備を行うこと
とした。
(資料:浦安市ホームページ及び墓地公園整備に伴う基本計画(案))
■樹林墓地の断面イメージ
■樹林墓地の平面図・立面図
(資料:浦安市墓地公園運営審議会答申)
(資料:浦安市墓地公園運営審議会答申)
53
④埼玉県(県営メモリアルガーデン整備検討)
埼玉県では、人口減少・少子高齢化の進む大都市圏の墓地需要の増加、墓の承継者の減少など
に対応するため、新しいスタイルの緑ゆたかな県営墓園の事業化を目指し、平成 26 年度より、外
部有識者で構成する委員会を設置し、県民ニーズに応える施設づくりに向けた下記の内容につい
て調査・検討を行っています。
検討内容
・
・
・
・
墓地に関する市場調査(需要量、墳墓の形態、価格帯等)
メモリアルガーデンの方向性(埋葬スタイル、施設形態等)
採算性、利用価格の検討
運営方法の検討(施設管理主体、NPO 等市民団体との連携等)
検討委員会は、平成 26 年 4 月から検討が続けられており、下記に示す基本理念や、基本理念を
踏まえた施設設備(ハード)
・管理運営(ソフト)の方針について意見交換が行われています。
〈基本理念〉※抜粋
① 超高齢社会の到来を迎え、増加する墓地需要や新たなニーズに応え、誰もが自分らしく安らかに
眠ることができるよう墓園づくりに取り組む
② 誰もが安心して人生の最期を託すことができるセーフティネットとしての機能を重視する
③ 誰にでも親しまれ地域社会の絆としての役割を果たせる墓園づくりを進める
施設整備・管理運営の方針についての意見交換では、芝生型、樹木葬型墓地、合同墓等の様々
な形態の墓地整備とそれらの利用方法についても検討が行われているほか、防災機能も期待され
る公園部分については、整備箇所の防災上の有効性についても検討が行われています。
〈施設設備(ハード)
・管理運営(ソフト)の方針についての意見交換〉※抜粋
 複数利用が可能な芝生型墓地や個人利用が中心となる樹木葬型墓地については、使用期間や募集条
件をそれぞれ別に整理した方が良い。
 セーフティネットの視点から遺骨を持って困っている人を優先するなど、対象の優先順位を整理し
た方が良い。
 合同墓については、シンボル性の高い外観や設置場所となるよう工夫していくべきである。
■整備イメージ(平成 27 年3月現在)
(資料:埼玉県 HP)
54
2)無縁化墓地への取組
墓地の無縁化が全国的な問題となっているなか、自治体による公営墓地の無縁改葬や循環利用
等の取組が行われはじめています。
政令指定都市である川崎市や横浜市の他、墓地の無縁化は地方においても顕在化していること
から、宮崎市の事例についても整理しています。
①川崎市
川崎市では、市営墓地である緑ヶ丘霊園(昭和 18 年開設)で約 200 箇所、早野聖地霊園(昭
和 54 年開設)で約 50 箇所が無縁化と推定され、改葬に向けた取組が進められています。
無縁化墓地の改葬

無縁化した墓地を、平成 26 年整備予定の(仮称)無縁合葬墓へ改葬

改葬後は、墓石を速やかに撤去し、再募集を行う
改葬の対象
・ 墓地使用者が墓地管理手数料を3年以上未納状態であるとき
・ 墓地使用者が死亡又は居所不明のとき
・ 墓地使用者の縁故者調査(血族三親等、婚姻三親等)を行っても祭祀承継者が現れないとき
・ 緑ヶ丘霊堂に収蔵した遺骨については、使用許可後 20 年経過し、縁故者調査を行っても祭
祀継承者が現れないとき
(資料:川崎市パブリックコメント資料)
55
②横浜市
横浜市では、過去に利用者から返還された区画や無縁整理を行った未使用区画(全 2,600 区画)
について、平成 23 年度から 32 年度までの間に順次使用者募集を行うこととしています。
未使用区画の使用者再募集

下記の市営墓地において、募集前年度に残存物の解体・撤去を行い、各年度に 300 区画の再
募集が行われています。


再募集は、自宅等に遺骨を保管している方に限り申込みが可能となっています。
対象となる既存墓地
開設年度
募集年度
久保山墓地
明治7年
平成 23 年度
三ツ沢墓地
明治 41 年
平成 25 年度
日野公園墓地
昭和8年
平成 24 年度
過去に行われた無縁整理の手順は以下のとおりとなっています。
使用者死亡、又は使用者所在不明後 10 年経過
かつ、承継者不在 ⇒使用権が消滅
その他の無縁化防止に向けた取組

管理料の納付通知書を毎年使用者あてに送付し、宛先不明等で戻ってきた場合に戸籍調査等
を実施したうえで、使用者死亡の場合は承継や返還の対応を指導している。
56
③宮崎市
宮崎市では、市内に古くからある8つの墓地が市へ移管され、無縁化が課題となっていました。
そこで、平成 17 年3月に「宮崎市墓地基本計画」を策定し、無縁墓になりにくい仕組みづくり
に取り組むとしたうえで、平成 20 年以降、これら8箇所の墓地において無縁改葬の実施に取組ん
でいます。
無縁化墓地の改葬

対象となった8箇所の墓地において、平成 14 年度以降、使用者及び縁故者調査を行い、使用
者及び縁故者と連絡が取れず、かつ、墓参がない区画を「無縁墳墓」と判断。

遺骨の取り扱いについては、いずれも各墓地に新設した合葬墓に埋蔵。

墓石は全て市が撤去・処分し、改葬に係る費用は利用者へは請求していない。

改葬により整理した墓地区画数は以下のとおり。
実施時期
整理区画数
平成 20 年度
362 区画
平成 21 年度
79 区画
平成 23 年度
53 区画
平成 24 年度
112 区画
平成 25 年度
56 区画
平成 26 年度以降
287 区画(予定)
平成 27 年度以降
235 区画(予定)
取組後の効果等

荒れた区画等が無くなり、墓地環境が向上したため、旧来からの使用者が墓参しやす
くなった。

無縁墳墓改葬を含む整備事業実施後、順次、管理料徴収を開始することで、墓地経営
の適正化だけでなく、使用者の状況把握につながっている。

改葬により空いた区画の再貸付を行うことで、新たな使用料の確保と市民への墓地の
供給が可能となった。
その他の無縁化防止に向けた取組

窓口等において、墓地使用許可申請時に承継者の有無を確認するなど、機会あるごとに、将
来的な墓地の管理について意識するように促している。

墓地管理システムを住民基本台帳と連動させ、墓地使用者が亡くなった状況を把握している。
57
3)墓地の無縁化防止対策
墓地が無縁化することをあらかじめ防止する対策について、他自治体の取組状況を整理します。
①東京都
東京都では、墓地の返還促進策として、承継者がいなくなる場合の合葬式墓地への共同埋蔵の
受付(施設変更制度)等を行っています。
施設変更制度

自分の代で墓地の承継者がいなくなる墓地所有者を対象に、墓地に埋蔵されている遺骨を合
葬式埋蔵施設に合祀し、墓地を返還。

年3回募集している。
墓所返還特例制度(谷中霊園再生事業)

谷中霊園の墓所を、使用者の自己負担なく返還し、墓石等の撤去と遺骨の取り上げを都が代
行するほか、規定に従い「祭し補償料」
「移転雑費保障料」を支払う。

平成 29 年度まで実施予定。
返還後の改葬先
制度の概要
谷中霊園立体式墓地
・使用中の墓所を無償で変更
多磨霊園合葬式墓地
・埋蔵者の氏名を共用墓誌に刻むことができる
小平霊園合葬式墓地
・管理料不要
寺院墓地や都営霊園以外の墓地
・埋葬遺骨の引渡しまで都が無償で代行
(資料:東京都東部公園緑地事務所 HP)
58
②市川市
市川市では、生活事情により墓地管理が困難になった方、跡継ぎが無く無縁化の不安がある方
を対象に、市川市営霊園の有効利用と墓地の無縁化対策として、一般墓地の返還を促進する制度
(一般墓地返還促進事業)を設け、墓地使用料の返還等を行っています。
墓地使用料の返還
・ 一般墓地を市へ返還する場合、使用許可時に納付した墓地使用料を利用者に返還。
対象
返還する金額
使用許可後、3 年以内に未使用(更地)で墓地を返還した場合
墓地使用料の 2 分の 1 を返還
上記以外
墓地使用料の 3 分の 1 を返還
原状回復費用の助成
・ 通常、使用者の費用負担となる墓地返還時の原状回復費用の全部または一部を助成。
返還する一般墓地の規模等
助成限度額
普通墓地
4.0 ㎡
240,000 円
芝生墓地
4.0 ㎡
75,000 円
第2種
普通墓地
6.0 ㎡
290,000 円
第3種
普通墓地
12.0 ㎡
440,000 円
普通墓地
2.5 ㎡
210,000 円
芝生墓地
2.5 ㎡
75,000 円
芝生墓地
1.5 ㎡
75,000 円
第1種
第4種
第5種
市川市霊園合葬式墓地の特例許可
・ 一般墓地返還を条件に、返還対象墓地に埋蔵されている遺骨の改葬先や使用者の将来の埋蔵
場所の確保のため、公募以外で市営霊園の合葬式墓地の使用を許可(生前・遺骨あわせて2
体まで)
。
(資料:市川市 HP)
59
③相模原市
相模原市では、
「相模原市市営墓地の在り方検討委員会 報告書(平成 25 年3月)
」のなかで、
市営墓地の課題の一つとして「無縁墓地の整理」をあげ、無縁墓地の整理に相当の時間と費用が
かかることから、
「無縁墓地を発生させない予防策の取組が重要」としています。具体的な無縁化
予防策としては、峰山霊園の合葬式墓地への改葬を利用者に案内することと、従来型墓地の整備
にあたっては使用期限を定めることが有効としています。
期限付き墓地の供給(峰山霊園)
・ 10 年の使用期限を設けた墓石付芝生墓所で、過去に行われた募集の対象者は遺骨保持者のみ
で、生前取得は不可となっています。
・ 更新を希望する場合は、更新料を支払ったうえで可能となっています。更新しなかった場合
は、改葬等により空いた区画を再供給し、循環利用が可能となっています。
使用期限
墓石付芝生墓所
整備区画数
10 年
392
募集区画数*7
応募者数
447
268
倍率
0.6
(平成 16・19 年度)
合葬式墓所での共同埋蔵(峰山霊園)
・ 平成 22 年度に整備した合葬式墓所において、骨壺で 20 年間安置した後、共同埋蔵すること
となっています。
・ 上記の期限付きの墓石付芝生墓地で使用期限満了後の改葬先としての利用が検討されていま
す。
(10 年期限付墓石付芝生墓所)
(合葬式墓所)
(資料:相模原市市営墓地の在り方検討委員会
*7 応募が募集区画数に満たなかった場合の追加公募区画数を含む。
60
報告書)
(5)さいたま市墓地行政のあり方研究会
本基本方針の策定にあたり、さいたま市墓地行政のあり方研究会においてご意見を頂きました。
①研究会委員名簿
氏名
会
長
所属
いけべ
池邊 このみ
よ こた
むつみ
ありもと
しゅういち
副会長
横田
委
員
有元
委
員
小谷 みどり
委
員
谷口 大造
睦
修一
こ たに
たにぐち
分野
千葉大学大学院 園芸研究科
都市計画
環境造園学領域 環境造園デザイン学 教授
まちづくり
公益社団法人 全日本墓園協会 主任研究員
墓地研究
目白大学 社会学部 地域社会学科 教授
博物館学
(株)第一生命経済研究所
死生学
ライフデザイン研究本部 主席研究員
葬送問題
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科
だいぞう
日本史学
建築・空間デザイン領域 教授
建築設計
②研究会開催経過
開催日
主な議題
・墓地に関する現況整理・課題について
・研究会のスケジュールについて
第1回
平成 26 年7月 15 日(火)
・基本方針策定に向けた方向性(たたき台)につい
て
・墓地需要推計について
・市民意識調査票(案)について
・孤立死等の無縁遺骨について
・市営墓地における無縁化墓地について
・過去の整備経緯を踏まえた市営墓地の方向性につ
第2回
平成 26 年9月 18 日(木)
いて
・官民の役割分担
・民間墓地のヒアリング結果
・市民意識調査の結果(速報)
・市民意識調査の結果について(分析結果)
・墓地需要予測について
第3回
平成 26 年 12 月 10 日(水)
・他自治体における墓地行政の動向調査について
・官民の役割について(続き)
・基本方針素案について
第4回
平成 27 年2月 25 日(火)
・基本方針素案について
61
③要綱
62
63
(6)用語集
(50 音順)
用語
遺骨保持
移転墓地
慰霊碑型合葬式墓地
縁故者
解説
墓地等に埋蔵せず、自宅などで遺骨を保持していること。
本書においては、道路拡幅整備等の対象範囲となったため、思い出
の里市営霊園に移転した墓地。
地上に設けられた人工物のモニュメントを墓標とした、合葬式墓地
の形式の一つ。あわせて設置された献花台等に共同で参拝する。
墓の使用者、又は埋蔵された遺骨に縁のある親族等のこと。
埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼
改葬
骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと。
(墓地・埋葬等に関する法律
第2条第3項)
親族のみで構成された世帯のうち、夫婦のみの世帯、夫婦と子供か
核家族世帯
ら成る世帯、男親と子供から成る世帯、女親と子供からなる世帯の
こと。
管理料
共同墓地
境内墓地
公営墓地
公募
本書においては、年単位で支払う墓地の維持管理費のこと。
本書においては、ごく近隣に居住する人の為に、古くから設置され
ているお墓。
宗教法人の寺院境内地等に設置され、檀信徒による利用を前提とし
た墓地。
都道府県や市町村が経営する墓地。
本書においては、市営墓地の利用にあたって、広く市民に周知し募
集すること。
さいたま市公共施設マネ
さいたま市の公共施設について、全市的・総合的な視点から、効果
ジメント計画
的かつ効率的な管理運営を推進するための方針。平成 24 年度策定。
市政を総合的かつ計画的に運営するため、目指すべき将来都市像の
さいたま市総合振興計画
後期基本計画
実現に向けた施策を総合的かつ体系的に示し、また、市民と市との
協働によって、市民本位の自立した都市づくりを進めていくための
基本的な指針。後期基本計画の計画期間は、平成 26(2014)年度
から平成 32(2020)年度までの 7 年間となっている。
市営墓地(霊園)
事業型墓地
収蔵
受益者負担
公営墓地のうち市が経営する墓地(霊園)
。
宗教法人等が寺院の境内地以外に設置した墓地で、一般的に宗派を
問合わない墓地。
焼骨を納骨堂に納めること。
公共サービスの利益を受ける者が、かかる経費の一部を負担するこ
と。
64
用語
解説
墓石の代わりに、複数又は単体で植樹された樹木を墓標としたお墓。
景観への配慮や自然に還りたいという志向に応えるため導入されて
樹林型(樹木型)墓地
いる。
土中に合同で遺骨を埋蔵する形式や、樹木の周辺に穴を掘り個別に
埋蔵する形式等、施設によって仕様が異なる。
循環利用
返還された墓地や無縁改葬を実施した墓地に新たな利用者を募り、
(墓地の循環的な利用)
墓地の利用を循環させること。
50 歳時点で一度も結婚をしたことが無い人の割合。
生涯未婚率
「50 歳時の未婚率であり,45∼49 歳と 50∼54 歳の未婚率の単純
平均により算出」
(内閣府)
承継(承継者)
使用料
シンボルツリー
生前申込
葬祭扶助
単独世帯
墓地を使用している者が死亡した場合等に、祭祀を主宰して利用す
る権利を受け継ぐこと。
(
「承継者」は、お墓を受け継ぐ人)
。
一括で支払う永代の使用料のこと。いわゆる永代使用料。
本書においては、樹木型合葬式墓地で、墓石の代わりに、墓標とし
て植樹された樹木のこと。
利用者自身が生存している間に墓地の公募に申し込むこと。
困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、
死体の運搬や火葬又は埋葬等を行うもの。
世帯人員が1人の世帯。
墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市長又は区長。
)の
墓地
許可をうけた区域(墓地・埋葬等に関する法律 第2条第5項)の
ことをいうが、本書においては、個々の墳墓がある場所の両者を指
す。
規模や配置等、墓地を都市計画又は都市計画事業として決定する場
墓地計画標準
合の基準として定めたもの。昭和 34 年旧建設省通達。平成 12 年に
その拘束力を失っている。
民間墓地
埋葬
埋蔵
宗教法人等が設置する、境内墓地・事業型墓地、共同墓地、個人墓
地など、公営墓地以外の墓地のことをいう。
死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。
)を土中に葬ること。
(墓地・
埋葬等に関する法律 第2条第1項)
焼骨を墳墓に納めること。
焼骨等を埋蔵、収蔵、改葬する際の届け出。
埋蔵届
「利用者は、焼骨等を埋蔵し、若しくは収蔵し、又は改葬しようと
するときは、その旨を速やかに市長に届け出なければならない」
(さ
いたま市墓地及び納骨堂条例 第7条の2)
無縁遺骨
孤立死等の場合で、引取り手がいない遺骨。
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用語
(墓地の)無縁化
解説
墓地を受け継ぐ者がいないため、祭祀を主宰する者がいなくなって
しまったお墓となること。
無縁改葬
無縁化した墓地の死体や遺骨を改葬すること。
ひかり会館
さいたま市中央区にある市営斎場及び納骨堂。
粉砕遺骨
機械などを使用して粉末状にした遺骨。
墳墓
死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設
墓園
有遺骨(遺骨保持)区分
都市計画法に位置付けられた都市施設。墳墓を設けるための区域と
して都道府県知事の許可を受けたもの。
遺骨保持者を対象とした公募枠のこと。
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