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第 章 システマティック レビュー
第 4 章 システマティック レビュー 1 システマティックレビューの概要······························································30 2 エビデンスの収集··································································································32 3 エビデンス総体の評価 ·······················································································34 4 エビデンス総体の統合 ·······················································································37 5 エビデンス総体のエビデンスの強さの決定 ·········································39 6 システマティックレビューレポートの作成 ·········································39 第 4 章 システマティックレビュー 1 システマティックレビューの概要 1)システマティックレビューとは システマティックレビュー (systematic review)とは,クリニカルクエスチョン (clinical question;CQ)に対して,研究を網羅的に調査し,同質の研究をまとめ, バイアスを評価しながら分析・統合を行うことである。Cochrane レビューをはじ めとし,数多くのシステマティックレビューあるいはメタアナリシスが発表されて いる。現在,システマティックレビューを計画時点で登録するウェブサイトが運用 されている。診療ガイドラインのための CQ に基づくシステマティックレビューも 論文としての発表を計画する場合には,個々に PROSPERO (International prospec tive register of systematic reviews)への登録を検討する必要がある。 ・定性的システマティックレビュー 研究や除外された研究の数,対象者の特性と人数,比較と介入の方法,バイアス リスクの評価などを記述し,深い理解を与えるために定性的にまとめたものをいう。 定性的システマティックレビューの結果はエビデンスの強さの判定に反映させる。 ・定量的システマティックレビュー (メタアナリシス) 定量的システマティックレビューでも,いわゆるメタアナリシスの前にバイアス の評価など定性的な評価を行い,定量的に統合できるか異質性(heterogeneity)を 検討する必要がある。メタアナリシスとは,効果指標の値を統計学的に統合し,統 合値と信頼区間を計算し,定量的統合を行うことである。 2)既存のシステマティックレビューの利用 診療ガイドライン作成を目的としたシステマティックレビューは,通常のシステ マティックレビューとは異なり,エビデンス総体の強さを評価し推奨の作成に役立 てることを目的としている。特に注意すべき点は,明確な CQ に対する網羅的文献 検索と文献採用基準が求められること,益と害のアウトカムの両方が重要視される こと,同じ研究でもアウトカムが異なると質の評価が異なること,同じ研究が異な るアウトカムに対して適用される可能性があるため文献管理を一元的に行う工夫が 必要となることである。 既に同じ CQ に対応するシステマティックレビューが出版されている場合には, それを利用することが可能な場合もある。図 4 ─ 1 にその際の方針を示すように, 既に同じ CQ に対応する診療ガイドラインが出版されていて,そこに含まれるシステ マティックレビューを利用しようとする場合には,AGREE Ⅱ(Appraisal of Guide 30 lines for Research & Evaluation Ⅱ) ,AMSTAR (Assessment of Multiple Systematic Reviews)などのツールを用いて評価し,質の高いものを選択し,同じ方針を採用 する。 ① 統合結果をそのまま利用する。 ② 論 文で採択されているもとの研究のデータを再評価し,もとの研究から CQ に 適合するものを選択してシステマティックレビューを行う。 ③ 同じ文献検索戦略を用い得られた文献で,新たにシステマティックレビューを 行う。 ④ 新しい研究を追加してメタアナリシスを行うか定性的な統合を行う。 ビューを行う。 第 ⑤ 文 献検索戦略の一部を用いて得られた文献で,新たにシステマティックレ 章 4 どの方針を用いるかは,そのシステマティックレビュー出版後の新たな研究がど れくらいあるか,それらの結果を含めると結果が変わる可能性があるかなどを評価 なし 既存の SR* あり AMSTAR 全項目“はい” はい CQ の PICO に合致 いいえ はい いいえ 最新の研究が既知 ① ●そのまま利用** いいえ はい ● ④新しい研究を追加し てメタアナリシスを 行うか定性的統合を 行う * 新たに SR 実施する 文献検索戦略が 適切 いいえ いいえ はい 最新の研究まで参照 はい いいえ 一部の研究が CQ に対応 はい ● ②感度分析実施 ● ③同じ文献検索戦略で 得られた文献で 新たに SR 実施 いいえ 文献検索戦略の 一部が CQ に対応 はい ⑤ ●文献検索戦略の一部を 用いて得られた文献で 新たに SR 実施 :既存の診療ガイドラインに含まれるシステマティックレビュー(SR)も対象とする。 :エビデンス総体の評価シートに追加する(Step2)。 ** (①〜⑤は,本文の同番号を示す) 図 4 ─ 1 既存のシステマティックレビューを利用する場合の方針 3)システマティックレビューの手順の概略 ガイドライン作成グループから受け取ったスコープは,システマティックレ ビューチーム (SR チーム)に対するシステマティックレビューの指示書とも言える 31 システマティックレビュー して決める。 第 4 章 システマティックレビュー ものである。スコープに記載されたシステマティックレビュー方法論を確認・検討 し,独立した SR チームは中立的な立場でスコープに記載してある方法に従い,以 下の手順でシステマティックレビューを行う。PROSPERO に準じたシステマ ティックレビューのプロトコールを作成することが望ましい( 参考 1 ) 。 参考 1 システマティックレビュープロトコール(p.112) ① PICO に基づく包括的な文献検索 ② 介入 / 要因ばく露とアウトカムの組み合わせごとに明示的な基準に基づく一次ス クリーニング (タイトルとアブストラクトによる選定)および二次スクリーニング (全文の評価による選定) による文献集合の作成。二次スクリーニングで除外した 研究のリストを作成し除外理由を記録しておく。 ③ 各アウトカムについて介入 / 要因ばく露とアウトカムおよび研究デザインの組み 合わせごとに,個別研究の質的評価を行う。この際に,PICO の非直接性の評価 を必ず行い,コメントを記述する。(定性的システマティックレビュー) ④ PICO の類似性が高く,効果指標算出のためのデータが得られる研究については 定量的システマティックレビューを行う。 ⑤ エビデンス総体を評価し,エビデンスの強さを決定する。 ⑥ システマティックレビューの結果をシステマティックレビューレポート (SR レ ポート) にまとめ,ガイドライン作成グループに提出する。 2 エビデンスの収集 1)先行するガイドラインの検索 国内・海外の先行する診療ガイドラインの検索は,現状把握のためのスコーピン グサーチの一環としてスコープ作成時に行うことが望ましい。参考 2 に示すよう に,NGC (National Guideline Clearinghouse),NICE(National Institute for Health and Care Excellence)などを検索する。国内の質の高いガイドラインは Minds に 収載されているので,特にほかの作成団体による先行するガイドラインが公表され ている場合は十分に吟味し,整合性についてあらかじめ検討する。 参考 2 主な診療ガイドライン検索のためのデータベース(p.113) 2)文献検索データベース 網羅的な検索を行うため,PubMed/MEDLINE,The Cochrane Library,医中 誌 Web の 3 つ の デ ー タ ベ ー ス は 必 ず 検 索 す る。 医 学 領 域 の EMBASE や 32 JMEDPlus,社会・心理学的研究の PsycINFOⓇ や看護研究の CINAHLⓇ など重要 なデータベースも併せて検索する。必要と考えられる場合は,PROSPERO,臨床 試験登録,会議録,医薬品副作用情報なども検索することを検討する。特に,事前 登録された大規模な未発表のランダム化比較試験 (RCT)が既知であるときには, Grey Literature Report (New York Academy of Sciences)などの情報も積極的に 拾い上げる。 参考 3 文献検索データベース(p.113) 3)文献検索戦略 検索式を 2 名 (1 名は図書館員など医学文献検索専門家であることが望ましい)が独 4 章 立して立て,最適な検索式を作成する。データベースごとに検索式,検索期間,検 第 SR チームは,CQ ごとにキーワード,シソーラス (MeSH など)を組み合わせた 索日を記載する。検索文献の引用文献,教科書の参照などの情報収集を行った場合 は記録しておく。 すべての検索,文献選択の経過は,【テンプレート ID:4 ─ 2 文献検索フロー チャート R 】に示すように,CQ ごとに,PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta ─ Analyses) 声明のフローダイアグラムを改変したフ ローチャートに記載する。 【テンプレート ID:4 ─ 2 文献検索フローチャート R 】 参考 4 益の検索の進め方(p.114)に検索例を示す。 4)スクリーニング あらかじめスコープで決められた文献選択基準,除外基準に基づいてスクリーニ ングを実施する。 ❶ 一次スクリーニング 原則として SR チーム 2 名が独立して一次スクリーニングを行う。一次スクリー ニングでは,タイトル,アブストラクトから CQ に合っていないものを除外する。 抄録で判断できないものは原則として残す。2 名の結果を照合し,二次スクリーニ ング用データセットを作成し,文献本文を収集する。 ❷ 二次スクリーニング 原則として SR チーム 2 名が独立してフルテキストを読み,二次スクリーニング を行う。選択基準に合った論文を選び,2 名の結果を照合するが,2 名の意見が異 * 1:テンプレートは名称の最後に以下のように使用するドキュメントに対応した記号が付されて いる。 R:システマティックレビューレポート 33 システマティックレビュー 【テンプレート ID:4 ─ 1 データベース検索結果 R * 1】 第 4 章 システマティックレビュー なる場合は第 3 者の意見を取り入れ,採用論文を決定する。研究の二次スクリーニ ング後の一覧表を 【テンプレート ID:4 ─ 3 二次スクリーニング後の一覧表 R 】と してまとめる。 5)文献管理 電子的に収集した文献をインターネット上のクラウドなどで共有する,あるいは 大量に印刷して配布するなどの行為は,著作権侵害に当たる可能性があるので十分 注意する。文献は,文献コードによって一元的に管理することが望ましい。文献管 理の方法はいくつかあるが,異なる CQ で何度も同じ文献が出てくる可能性がある ことから,著者名,発行年で本文中に挿入し,CQ ごとにまとめて引用文献を記載 するハーバード方式 (例:Smith 2013)を推奨する。引用文献は,CQ ごとに採用論 文 , 不採用論文 , その他の引用論文に分けて筆頭著者のアルファベット順に列挙す る。不採用論文についてはその理由を記録に残すことが重要である。 【テンプレート ID:4 ─ 4 引用文献リスト R 】 エビデンスの統合は研究デザイン,介入 / 要因ばく露の組み合わせごとにまとめ られたアウトカムについて行われ,アウトカムがまとめられてエビデンス総体を形 成する。【テンプレート ID:4 ─ 3 二次スクリーニング後の一覧表 R 】にまとめら れた文献集合をアウトカムごと,研究デザインごとに並べ替え,エビデンス総体の 評価の準備をする。 3 エビデンス総体の評価 1)エビデンス総体とエビデンス総体の総括 ❶ エビデンス総体 (body of evidence) ある CQ に対して収集しえたすべての研究報告を,介入 / 要因ばく露の組み合わ せごとにアウトカムごと,研究デザインごとに評価し,その結果をまとめたものを エビデンス総体 (body of evidence)と呼び,強さを決定する (表 4 ─ 1,p.39 参照) 。 ❷ エビデンス総体の総括 エビデンス総体をアウトカム横断的に統合した全体を,「エビデンス総体の総括」 と呼ぶ。ガイドライン作成過程において,CQ に対する推奨診療を提示する場合 (表 5 ─ 1,p.53 参照) に,エビデンス総体の総括としての強さをひとつだけ決定する。 2)エビデンス総体の評価の概要 アウトカムごとにまとめられた文献集合の個々の論文について RCT,観察研究 34 など研究デザインごとにバイアスリスク,非直接性 (indirectness)を評価し,対象 人数を抽出する。次に,研究デザインごとにそれぞれの論文をまとめ直し,改めて 非直接性,非一貫性 (inconsistency),不精確(imprecision),出版(報告)バイアス (publication bias)などを評価する。本書では,具体的な作業手順として Step 1, Step 2 の 2 段階の評価方法を紹介する。 Step 1 では,個別研究に対し評価シートを用いて評価する。個々の論文につい てバイアスリスク,非直接性,リスク人数,効果指標,信頼区間を記載する。 Step 2 では,エビデンス総体の評価シートを用いて最終的にエビデンスの強さ を決定する。研究デザインごとにまとめられた論文に対し,バイアスリスク (Step 非一貫性,不精確,出版 (報告)バイアス,評価を上げる 3 項目等について評価す 4 章 る。さらに可能であればリスク人数(アウトカム率)の合計値,効果指標,信頼区間 第 1 の結果をまとめる) ,非直接性 (Step 1 の各個評価+複数論文としてのまとめ) , を計算し,記載する。この結果を用いて,エビデンス総体のエビデンスの強さを決 定し,アウトカムの重要性を再評価する。 ・RCT 評価用 【テンプレート ID:4 ─ 5 評価シート 介入研究 R 】 ・観察研究評価用 【テンプレート ID:4 ─ 6 評価シート 観察研究 R 】 ・ Step 2 で用いるテンプレート ・エビデンス総体評価用 【テンプレート ID:4 ─ 7 評価シート エビデンス総体 R 】 3)各研究のバイアスリスク,非直接性の評価と効果指標に関連するデータ の抽出 【テンプレート ID:4 ─ 5 評価シート 介入研究 R 】, 【テンプレート ID:4 ─ 6 評価シート 観察研究 R 】 を用いて,各研究のバイアスリスク,批判的吟味としての PICO の成分の同質性の評価を行う。効果指標に関連するデータの抽出を行い,効 1 果指標の提示方法が異なる場合は,リスク比,リスク差などに統一して記載する。 2 RevMan (Review などを用いてメタアナリシスと併せて計算すると簡便 3 Manager) である。 〔4 章 4 2) ,p.38 参照〕 5 6 ❶ バイアスリスク ( risk of bias) 7 個々の論文の質を評価する方法としてバイアスリスクがある。各ドメインの概念 8 はランダム化比較試験向けだが,観察研究にも適用される。 9 ① 選択バイアス:ランダム割り付け,割り付けの隠蔽(コンシールメント) 研究対象の割り付けの偏りにより生じるバイアス。特に,比較される群の研究 35 システマティックレビュー ・ Step 1 で用いるテンプレート 第 4 章 システマティックレビュー 対象が介入や危険因子への曝露以外の点で異なることによってアウトカムが影 響を受けるバイアス。 ② 実行バイアス:参加者と医療提供者の盲検化 比較される群で介入・ケアの実行に系統的な差がある場合に生じるバイアス。 ③ 検出バイアス:アウトカム測定者の盲検化 比較される群でアウトカム測定に系統的な差がある場合に生じるバイアス。 ④ 症例減少バイアス:ITT (intention-to-treat)解析,不完全アウトカムデータ 比較される群で解析対象となる症例の減少に系統的な差がある場合に生じるバ イアス。減少した分の症例はアウトカムが不明であると考えられるので,不完 全アウトカムデータとしてとらえられる。ITT 解析は治療企図分析のことで, RCT の統計解析において,脱落例やプロトコール非合致例を無効例として割 り付け通りに解析することで,症例減少バイアスを減らす方法である(用語集, p.118 参照) 。 ⑤ その他のバイアスリスク ・選択的アウトカム報告バイアス 測定された複数のアウトカムのうち一部しか報告されていない場合,効果の大 きい都合のいい結果だけが報告されるという報告バイアスを生じる可能性があ る。 ・早期試験中止バイアス 中間解析が計画されたデザインでないにもかかわらず,あるいは適切に計画さ れたデザインでないにもかかわらず,当初計画されたサンプルサイズを満たす 前に効果が証明されたとして中止された臨床試験の場合,効果が過大評価され るバイアスが生じる可能性がある。 ❷ 非直接性 (indirectness) 一般に,外的妥当性 (external validity),一般化可能性(generalizability),適用 可能性 (applicability)と同義で使われている。CQ と評価される研究の間の臨床状 況・集団・条件との相違である。Minds では Step 1 で個々の研究について評価し たのち,Step 2 の総合評価として以下の項目について改めて検討する方法を「手引 き 2014」 で採用した。 ① 研究対象集団の違い ② 介入の違い ③ 比較の違い ④ アウトカム測定の違い ❸ 非一貫性(inconsistency) アウトカムに関連して抽出されたすべての研究をみると,報告によって治療効果 の推定値が大きく異なる 〔すなわち,結果に異質性(heterogeneity) または,ばらつき が存在する〕 ことを指し,根本的な治療効果に真の差異が存在することを意味する。 36 ❹ 不精確 (imprecision) サンプルサイズやイベント数が少なく,そのために効果推定値の信頼区間が幅広 い。プロトコールに示された予定症例数が達成されていることが必要である。 ❺ その他のバイアス ・出版 (報告) バイアス(publication bias) 研究が選択的に出版されることによって,根底にある益と害の効果が系統的に過 小評価または過大評価されることをいう。forest plot で判定されることもある。 4)エビデンス総体のバイアスリスク,非直接性,非一貫性,不精確,出版 第 (報告) バイアスなどの評価 ・評価を下げる 5 項目 4 章 研究の限界について前述の 5 項目〔❶ バイアスリスク,❷ 非直接性,❸ 非一貫 性,❹ 不精確,❺ 出版 (報告) バイアス〕に対し,以下の 3 段階で評価する。 軽度の問題あり 0 コメントを記載 深刻な問題あり - 1 コメントを記載 重大な問題あり - 2 コメントを記載 注:0〜2 は,各項目の深刻さを示しているものであり, 加算するものではない。 ・評価を上げる 3 項目 観察研究の場合は,下記 3 項目についても評価する。 ① 介入による大きな効果 ② 用量─反応勾配 ③ 可能性のある交絡因子による効果の減弱 4 エビデンス総体の統合 1)定性的システマティックレビュー エビデンスを質的に統合することを定性的システマティックレビューという。定 性的システマティックレビューは各研究のバイアスリスクの評価と非直接性の評 価,それらを反映したエビデンス総体のバイアスリスクと非直接性の評価,エビデ ンス総体を構成する研究間の非一貫性,不精確,出版バイアスなどの評価と臨床的 37 システマティックレビュー 全く問題なし 0 第 4 章 システマティックレビュー 文脈の評価も含まれる。 定量的システマティックレビューを行った場合でも,効果指標の統合値と信頼区 間だけでエビデンスの強さを決定せず,定性的システマティックレビューの結果も エビデンスの強さの評価に反映させる。 研究論文がひとつしかないとき,あるいは研究間の異質性が高いときは量的統合 に進まず,エビデンスの定性的システマティックレビューからエビデンスの強さを 決定し,推奨を決定する。 【テンプレート ID:4 ─ 8 定性的システマティックレビュー R 】 2)定量的システマティックレビュー(メタアナリシス) 診療ガイドライン作成のためのシステマティックレビューで,研究デザインが同 じで,PICO の各項目の類似性が高い場合には,効果指標を量的に統合するメタア ナリシスが可能となる。メタアナリシスの結果,効果指標の統合値と信頼区間が得 られるとともに,forest plot が得られる。このプロットは非一貫性,不精確の判定 にも有用となる。固定効果モデルとランダム効果モデルの 2 つのモデルが用いられ るが,複数の研究の効果指標の平均値と信頼区間だけを問題にすればよい場合には 前者を,研究間のばらつきを考慮すべき場合には後者を用いる。通常は,後者を用 いることが推奨される。 【テンプレート ID:4 ─ 9 メタアナリシス R 】 ・メタアナリシスのためのソフトウェア メタアナリシスのためのソフトウェアは多数存在するので,それぞれが使いやす いと思われるものを必要な機能に応じて使用すればよい。無料で公開されているソ フトウェアを示す。 ・Review Manager(RevMan) (現バージョンは 5.2.9) http://tech.cochrane.org/revman/download ・metafor (R をプラットフォームとする) http://www.r-project.org/ 38 5 エビデンス総体のエビデンスの強さの決定 診療ガイドラインにおけるエビデンスの強さは,その治療効果などの推定値が推 奨を支持するうえでどの程度十分かを示す。表 4 ─ 1 にエビデンスの強さの例を示 すが,作成グループにおいてどのような基準を採用するか,スコープであらかじめ 決めておく。研究報告単位の研究デザインのみに基づいたエビデンスレベル付けは 行わない。 診療ガイドライン作成のためのシステマティックレビューの中で,エビデンス総 RCT では初期評価 「A (強) 」から評価を開始し,本章での評価結果を参考にして, 4 章 評価を下げる必要の有無や程度に応じて A,B,C,D を決定する。観察研究では, 第 体のエビデンスの強さを決定する具体的な作業例は,以下のごとくである。 初期評価 「C (弱) 」から開始し,同様に評価を下げる 5 項目について評価する。この 場合,同時に評価を上げる 3 項目についても評価検討し,強さを決定する。 A(強) : B(中) : C(弱) : D(とても弱い) : 効果の推定値に強く確信がある 効果の推定値に中程度の確信がある 効果の推定値に対する確信は限定的である 効果の推定値がほとんど確信できない エビデンスの強さの評価についての詳細は,以下も参照されたい。 ・GRADE http://www.gradeworkinggroup.org/ ・The Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions http://handbook.cochrane.org/ 6 システマティックレビューレポートの作成 SR チームは,質的,または量的システマティックレビューの結果をエビデンス 総体の強さとして SR レポートにまとめ,推奨作成を行うガイドライン作成グルー プに提出する。 【テンプレート ID:4 ─ 10 SR レポートのまとめ R 】 CQ のうち,適切な論文が検索されなかった場合,または検索されたすべての論 文の質が高くなかった場合は,CQ 取り下げをガイドライン作成グループに提案す 39 システマティックレビュー 表 4 ─ 1 システマティックレビューのエビデンス総体の強さの評価と定義 第 4 章 システマティックレビュー る。将来的な研究が必要と判断される場合は,future research question として記 載する。 【テンプレート ID:4 ─ 11 future research question R 】 ガイドライン作成グループは,提出された SR レポートをもとに推奨作成のス テップに進む。 40 4 ─ 1 データベース検索結果 R:記入方法 タイトル:混同のないようすべてのテンプレートにタイトルを記載する CQ:混同のないようすべてのテンプレートに CQ 番号と CQ 文を記載する データベース:データベース名とその検索期間を記載 日付:検索日を記載 検索者:2 名の検索者を記載。公開時には削除または,イニシャルに変更すること ♯ 検索式 文献数 検索式を AND/OR,ti/ab/kw などを含めて記載 文献数を記載 システマティックレビュー 41 4 章 検索を行ったデータベースの数だけ作成されるが, 代表的なもののみ診療ガイドラインに記載してもよい。 第 最終検索結果は,最上段,最下段いずれ でもよいが,全体で統一する。 第 4 章 システマティックレビュー 4 ─ 2 文献検索フローチャート R:記入方法 NGC NICE PubMed Cochrane 医中誌 EMBASE WHO PsycINFO® CINAHL Others( ) 各 CQ ごとに使用した文献 DB から得られた文献数を記載。使用しなかったものは NA とする。CQ の数だけできるが,代表的なものを診療ガイドライン巻末に資料として掲載するのでもよい。 文献検索で見つからなかったが有用な文献が あれば追加してもよい。 Total records identified through database searching(n = ) Additional records identified through other sources(n = ) 複数の DB から同じ論文が見つ かることも多いので重複を削除 Records screened ( 1st Screening ) (n = ) Full-text articles assessed for eligibility ( 2nd Screening ) (n = ) Records excluded (n = ) Full-text articles excluded, with reasons (n = ) テンプレート 4 ─ 4 の不採用 論文の数と一致する。 Studies included in qualitative synthesis (n = ) テンプレート 4 ─ 4 の採用 論文の数と一致する。 Studies included in quantitative synthesis (meta-analysis) (n = ) メタアナリシスを行わない場合は 0 と記入 〔PRISMA 声明を改変〕 42 4 ─ 3 二次スクリーニング後の一覧表 R:記入方法 研究デザイン 著 者 名, 出 版 名 で一元的に管理 P I C O 除外 文献 コメント サンプル数, 記載されて 記載されて 記載されて セッティン い る I と そ いる C とそ いる O とそ の形式 の形式 グ,P の特 の形式 徴を記載 第 二次スクリーニングには残ったが,バイアスリ スクの検討などで後に除外された論文がある場 合はここに明記し,コメントに理由を記載する。 章 4 4 ─ 4 引用文献リスト R:記入方法 採用論文 ハーバード方式による文献 【4 ─ 3 二次スクリーニング後の一覧表 R】に残った,システ 整理 ID(本文と対応) マティックレビューに使用した論文の書誌情報 不採用論文 ハーバード方式による文献 【4 ─ 3 二次スクリーニング後の一覧表 R】からその後のス 整理 ID(本文と対応) テップで削除された論文の書誌情報 その他の 引用論文 ハーバード方式による文献 総論や,疫学などシステマティックレビューを行わない章に 整理 ID(本文と対応) おいて引用した論文の書誌情報 43 システマティックレビュー P:Patients,Population,I:Interventions,C:Controls,Comparisons,Comparators,O:Outcomes. 0 ECASS Ⅱ RCT 44 ECASS Ⅱ EPITHET IST ─ 3 0 ダム 4 名の ブロッ クラン 0 −1 コメント (該当するセルに記入) 0 0 RCT IST ─ 3 実行バ 検出バ イアス イアス 在だが 差なし ─6 時 間が混 1─ 3 時 間と 3 影響しな いと判断 だがアウ トカムに 途中から オープン 0 0 0 0 0 0 コン 研究デ ランダ シール 盲検化 盲検化 ザイン ム化 メント 選択バイアス バイアスリスク* 発症 6 カ月後の総死亡 対照 プラセボ 0 0 0 ITT その他 0 脱落例 あり 0 −1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 −1 −1 −1 −1 介入 0 判定 −1 −1 多い 90 日 時点で 判定 用量が 日本よ り多い り多い リスク人数(アウトカム率) −1 −1 391 49 −1 1520 42 7 407 10.7 14.3 409 52 26.8 1515 43 13 408 10.5 25 26.9 アウト 対照群 対照群 介入群 介入群 まとめ (%) (%) カム 分母 分子 分母 分子 90 日 時点で 0 0 0 対照 8 0 歳 用量が 以上が 日本よ 80 歳 用量が 以上が 日本よ 4 分の り多い 1位 0 −1 −1 対象 非直接性* 各アウトカムごとに別紙にまとめる *各項目の評価は “高 (−2) ” , “中 / 疑い (−1) ” , “低 (0) ” の 3 段階 まとめは “高 (−2) ” , “中 (−1) ” , “低 (0) ” の 3 段階でエビデンス総体に反映させる 不完全 選択的 その他 アウト アウト 早期試 のバイ まとめ カム カム 験中止 アス データ 報告 症例減少 バイアス 介入 6 時間以内のアルテプラーゼ 0.6mg/kg 静注 EPITHET RCT 研究 コード 個別研究 アウトカム 虚血性脳卒中に対するアルテプラーゼ 対象 虚血性脳卒中 (79 歳までの成人) 診療ガイドライン RR RR RR 信頼区間 0.979 0.65 ─ 1.46 1.75 0.76 ─ 4.02 1.006 0.89 ─ 1.13 効果 効果 指標 指標 (種類) (値) 第 4 章 システマティックレビュー 4 ─ 5 評価シート 介入研究 R:記入例 コホート 研究 コホート 研究 コホート 研究 −2 −2 −2 疑われ 同上 る 疑われ 同上 る 後ろ向き コホート 同上 研究の単 一群 後ろ向き コホート 同上 研究の単 一群 同上 同上 0 0 0 0 0 0 −2 −2 −2 −2 介入 単一群 のため 評価な し。 プレド ニゾロ ン+ア ザチオ 同上 プリン が標準 治療 プレド ニゾロ ン+ア ザチオ 同上 プリン が標準 治療 初診時 23% 同上 が肝硬 変 −1 対照 非直接性* アザチ オプリ 軽症例 ンが我 のみの が国で 解析 は使え ない −1 −1 −2 初診時 約 30 %が肝 硬変 0 0 0 C o x の比例 ハザー ド解析 が用い られて いる 0 0 0 英国人 主体 −2 −2 −2 ロジス ティッ ク回帰 分析が 行われ ている 多変量 フォロー 解析で アップ の調整 期間が は未施 不定 行 0 −1 −2 単一群 のため 疑われ 同上の内 大きい 同上 る 単一群 とみな す −1 −1 −1 多変量 フォロー 解析で アップ の調整 期間が は未施 不定 行 0 0 0 組織学 的寛解 評価は 一部で 軽症例 後ろ向き で マ ッ 疑われ あるが コホート A L T チさせ る 研究 測定で ている 十分と 考えら れる −1 −1 −1 生化学的・組織学的寛解 バイアスリスク* 症例減 選択バ 実行バ 検出バ 少バイ その他 上昇要因** イアス イアス イアス アス 不適切 不完全 不十分 その他 研究 背景因 ケアの なアウ なフォ 量反応 効果減 効果の な交絡 のバイ まとめ まとめ 対象 デザイン 子の差 差 トカム ロー 関係 弱交絡 大きさ の調整 アス 測定 アップ コホート −1 −1 0 −1 −2 −2 0 0 0 0 −2 研究 コメント (該当するセルに記入) Feld JJ 2005 Al-Chalabi 2008 Czaja 2008 Czaja 2008 研究コード アウトカム 個別研究 リスク人数(アウトカム率) 寛解の定 義: 症 状 消 失, 黄 疸 な し, 血 清 ALT 正常ない し上限2 倍 未 満, γ -gl 正 常, 肝 組 織正常化 ミニマル チェンジ 0 0 0 0 −2 NA −2 NA −2 NA −2 8 7 非寛解 人数に 換算 NA NA NA 235 99 NA NA 72 206 NA 87.5 15.2 NA 4.26 NA 36.9 NA 45.8 RR 非寛解 率を表 す 非寛解 非寛解 人数に 率を表 換算 す 評価者 が計算 NA NA NA 0.52 効果 効果 指標 指標 (種類)(値) 非寛解 非寛解 人数に 率を表 換算 す 15 10 76 33 アウト 対照群 対照群 介入群 介入群 まとめ (%) (%) カム 分母 分子 分母 分子 *バイアスリスク,非直接性 各項目の評価は “高 (−2) ” , “中 / 疑い (−1) ” , “低 (0) ” の 3 段階 まとめは” 高 (−2) ” , “中 (−1) ” , ” 低 (0) ” の 3 段階でエビデンス総体に反映させる **上昇要因 各項目の評価は “高 (+2) ” , “中 (+1) ” , “低 (0) ” の 3 段階 まとめは “高 (+2) ” , “中 (+1) ” , “低 (0) ” の 3 段階でエビデンス総体に反映させる 各アウトカムごとに別紙にまとめる システマティックレビュー 45 章 自己免疫性肝炎 対象 自己免疫性肝炎 介入 / 要因曝露 PSL 単独または AZP 併用療法 対照 無治療 第 診療ガイドライン NA NA NA 0.16 ─ 0.89 信頼区間 4 ─ 6 評価シート 観察研究 R:記入例 4 46 1976 409 42 7 7.7% 1.8% 1960 100.0% 391 49 Risk Ratio −1 −1 −1 1.01[0.91, 1.13] 1976 104 1515 49.0% 6.2% 1960 100.0% 16 1520 49 Risk Ratio Year 4.43[2.07, 9.48] 29 Risk Ratio IV, Random, 95% Cl 464 分子 144 効果 Alteplase 7 RR 60 RR 23 RR Placebo 4.43 0.93 1.01 統合値 効果指標 (種類) (%) 指標 187 28 1976 409 52 961 1515 211 29 31.5% 8.3% 60.1% 1960 100.0% 391 49 968 1520 Weight Risk Ratio 強(A) 中(B) 重要 コメント 0.93[0.84, 1.03] Risk Ratio IV, Random, 95%Cl 0.01 0.1 1 10 100 Favours Alteplase Favours Placebo 0.85[0.74, 0.97] 1998 0.91[0.65, 1.28] 2008 0.98[0.93, 1.03] 2012 Year 9 脳出血例のほとんどが死亡 7 mRS0 ─ 2 がアウトカム 9 差がない 性*** IV, Random, 95% Cl 2.07 ─ 9.48 0.84 ─ 1.03 強(A) 強さ ** ンスの エビデ Total events 1176 1226 Heterogeneity:Tau2=0.00;Chi2=3.62,df=2(P=0.16);l2=45% Test for overall effect:Z=1.37(P=0.17) Total(95% Cl) ECASS Ⅱ EPITHET IST ─ 3 信頼区間 0.91 ─ 1.13 Study or Subgroup Events Total Events Total 依存性 1.5 1976 62.6 1976 1176 0.01 0.1 1 10 100 Favours Alteplase Favours Placebo 6.52[3.87, 10.99] 2012 8.49[0.47, 153.70] 2008 2.65[1.43, 4.92] 1998 IV, Random, 95% Cl Risk Ratio 1960 分母 介入群 介入群 23.3 1976 (%) 0.01 0.1 1 10 100 Favours Alteplase Favours Placebo 0.98[0.65, 1.46] 1998 456 分子 1960 1226 1960 分母 対照群 対照群 リスク人数 (アウトカム率) 重要性はアウトカムの重要性 (1~9) *** ** エビデンスの強さは” 強 (A) ” , ” 中 (B) ” , ” 弱 (C) ” , ” 非常に弱 (D) ” の 4 段階 各項目は”高(− 2)”,”中 / 疑い(− 1)”,”低(0)”の 3 段階 エビデンスの強さは RCT は” 強 (A) ” からスタート,観察研究は弱 (C) からスタート。 * IV, Random, 95%Cl * 研究) Year 0 0 0 * など) 1.75[0.76, 4.02] 2008 Total events 144 29 Heterogeneity:Tau2=0.24;Chi2=4.95,df=2 (P=0.08) ;l2=60% Test for overall effect:Z=3.83(P=0.0001) Total(95% Cl) IST ─ 3 0 391 44.8% 52 13 4 EPITHET 409 36 ECASS Ⅱ Placebo Weight Alteplase Study or Subgroup Events Total Events Total 頭蓋内出血 要因 上昇 イアス (観察 1.01[0.89, 1.13] 2012 Total events 464 456 Heterogeneity:Tau2=0.00;Chi2=1.70,df=2 (P=0.43) ;l2=0% Test for overall effect:Z=0.24(P=0.81) Total(95% Cl) 43 ECASS Ⅱ 52 407 1520 90.5% 13 EPITHET 408 1515 IST ─ 3 0 0 0 接性 * 非直 (出版バ その他 IV, Random, 95% Cl * 確 不精 Weight 0 0 0 * 貫性 非一 Study or Subgroup Events Total Events Total 総死亡 Placebo 0 1 週間以内の脳出血 RCT/3 Alteplase 0 (mRS0 ─ 2) RCT/3 6 か月後の依存性 0 ク 研究数 * スリス イン / 研究デザ バイア 6 か月後の総死亡 RCT/3 アウトカム エビデンス総体 対照 プラセボ 介入 6 時間以内のアルテプラーゼ 0.6mg/kg 静注 対象 虚血性脳卒中 (79 歳までの成人) 診療ガイドライン 虚血性脳卒中に対するアルテプラーゼ 第 4 章 システマティックレビュー 4 ─ 7 ─ ① 評価シート エビデンス総体 R:記入例 める つにまと 入群は 1 研究の介 2008 の Czaja コメント (該当するセルに記入) 研究 /3 組織学的寛解 −2 ク* 研究数 コホート スリス イン / 研究デザ バイア 生化学的・ アウトカム エビデンス総体 対照 無治療 −1 確* 貫性* 0 不精 非一 介入 PSL + AZA または PSL 単体 −2 * ど) 接性* イアスな 非直 (出版バ その他 上昇要因 * 究) (観察研 8 分母 7 分子 対照群 対照群 18.7 NA 81% は 値 指標 効果 NA (種類)統合値 寛解率 101 分子 効果 (%) 指標 のみの 540 分母 介入群 介入群 軽症例 90 (%) リスク人数 (アウトカム率) 重要性はアウトカムの重要性 (1~9) *** ** NA 信頼区間 弱(C) 強さ** ンスの エビデ エビデンスの強さは “強 (A) ” , “中 (B) ” , “弱 (C) ” , “非常に弱 (D) ” の 4 段階 各項目は “高 (−2)”,“中 / 疑い(−1)”,“低(0)”の 3 段階 重要 8 性*** エビデンスの強さは RCT は “強 (A) ” からスタート,観察研究は弱 (C) からスタート。 * システマティックレビュー 47 章 対象 自己免疫性肝炎 第 診療ガイドライン 自己免疫性肝炎 寛解導入に有効と考えられる PSL + AZA または PSL 単体は コメント 4 ─ 7 ─ ② 評価シート エビデンス総体 R:記入例 4 第 4 章 システマティックレビュー 4 ─ 8 定性的システマティックレビュー R:記入方法 CQ 管理番号 CQ の文章を記入 P CQ の文章を補足する十分詳細な記述。タイミングやセッティングも必要に応じて記述する。 I 介入の詳細 C 比較は 1:1 の比較が望ましいが,必要に応じて複数の比較を行う。 臨床的文脈 O1 診療のプロセスのどこに位置づけられるか,診断,治療,予防,予後予測,その他のいず れに分類されるかなどを記述する。 害のように CQ の文章に表れない場合もあるがエビデンス総体の対象がわかるよう に記述する。 非直接性のまとめ CQ と得られたエビデンス総体の間の乖離について記述する。介入の比較が非直接的 である場合や日本人患者への適用に問題がある場合には必ず記述する。 バイアスリスクの 特に問題となるバイアスリスク,推奨の決定に影響を及ぼすバイアスリスクを記述す まとめ る。 非一貫性その他の 複数の研究間の相違の大きさ,信頼区間やバイアスリスクから判定した不確実性,効 まとめ 果の大きさなどについてまとめを記述する。研究デザインが異なるものをまとめた場 合はそれについて記述する。 コメント このアウトカムに関するエビデンス総体の評価において特に注意すべき点があればそ れを記述する。 O2 O3 48 4 ─ 9 メタアナリシス R:記入方法 CQ 【4 ─ 8 定性的システマティックレビュー】 と同様に CQ の文章を記入 P I C O 研究デザイン 文献数 コード 以下,記入例を示す 効果指標 リスク比 Forest plot Inverse-variance method (RevMan5.2) 統合値 Alteplase 0.93 ( 0.84 − 1.03 ) p = 0.17 Placebo Study or Subgroup Events Total Events Total 例 IST ─ 3 EPITHET ECASS Ⅱ 961 1515 28 52 187 409 986 1520 29 49 211 391 Risk Ratio Weight 60.1% 8.3% 31.5% IV, Random, 95% Cl Year IV, Random, 95%Cl 0.98[0.93, 1.03] 2012 0.91[0.65, 1.28] 2008 0.85[0.74, 0.97] 1998 Total(95% Cl) 1976 1960 100.0% 0.93[0.84, 1.03] Total events 1176 1226 2 2 2 Heterogeneity:Tau =0.00;Chi =3.62,df=2(P=0.16);l =45% Test for overall effect:Z=1.37(P=0.17) 0.01 0.1 1 10 100 Favours Alteplase Favours Placebo =14.3 程度の効果が期待されるという結果である コメント:NNT=1/ (1 ─ 0.93) が,有意水準に達していない。 Funnel plot 0 SE(log[RR]) 0.05 例 0.1 0.15 0.2 0.01 RR 0.1 1 10 100 コメント:報告バイアスを示唆する分布は認められない。 施行せず。 その他の解析 □ メ タ リ グ レ ッ ション □ 感度分析 コメント: 有意水準に達しない。 49 4 Risk Ratio システマティックレビュー 方法 章 ランダム効果 第 モデル 第 4 章 システマティックレビュー 4 ─ 10 SR レポートのまとめ R:記入方法 【4 ─ 8 定性的システマティックレビュー R】 , 【4 ─ 9 メタアナリシス R】の結果をまとめる。 スコープで決定した内容で改訂が必要なものを明記する。 4 ─ 11 future research question R:記入方法 現在までの研究では解明されていない課題から,将来の研究で回答が得られるであろうクリニカルクエ スチョンを作成する。以下の項目を記述する。 ・リサーチクエスチョン ・背景 ・可能な研究計画の概略 50