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秦 茂子 ソプラノ・リサイタル
東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森 2014― ミュージアム・コンサート 秦 茂子 ソプラノ・リサイタル 日時:2014 年 3 月 18 日(火)14:00 開演 会場:国立科学博物館 日本館講堂 フォーレの歌曲 「ネル」は、フランス高踏派の詩人ルコント・ド・リールの詩に 1878 年、付曲された。「イス パーンの薔薇」も同じくルコント・ド・リールの詩に 1884 年、付曲。印象的なピアノ伴奏と、 息を呑むほどに美しい旋律が胸を打つ。「月の光」は 1887 年に書かれ、ヴェルレーヌの 詩に集中的に付曲するきっかけとなった作品でもある。「ひめやかに」も、ヴェルレーヌの 詩による。1891 年に書かれたフォーレの最初の連作歌曲集《5 つの歌曲「ヴェネツィア」》 に収められており、官能的な沈黙に身を委ねるような歌である。「夢のあとに」は、フランス の詩人ロマン・ビュシーヌの詩に付曲されたもの。1865 年に書かれたフォーレ初期の作 品だが、馥郁たる抒情の香を湛えている。 ショーソン:はちすずめ ショーソンが初めて手がけた歌曲集《7 つの歌曲》所収。1882 年に書かれたこの作品は、 ルコント・ド・リールの官能的な詩にふさわしい音楽が付されている。 アーン:クロリスに 17 世紀バロック時代の詩人テオフィル・ド・ヴィオーの詩に 1910 年、付曲された。バロッ ク風の前奏が印象的なアーンの代表的歌曲。その甘美な旋律は師マスネ譲りであろう か。 ドビュッシー:《前奏曲集 第 1 集》より「亜麻色の髪の乙女」 1910 年に完成した《前奏曲集第 1 集》の第 8 曲にあたる本曲は、ドビュッシーのなかで もよく知られた作品の 1 つだろう。ルコント・ド・リールの同名詩のイメージをもとに書かれ たと思われる。ドビュッシーの古い未発表歌曲に同じ旋律が残されている。 《ラ・フォンテーヌの寓話》より 17 世紀フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌが書いた「寓話」は、人間社会を戯画 化したもので、フランスの作曲家たちの想像力を大いに刺激した。多岐にわたるジャンル に印象主義的な作品を残したカプレの「カラスときつね」、オペラやオペレッタで活躍した ルコックの「オオカミと子羊」、ドイツに生まれパリで活躍したオッフェンバックの「アリとセミ」 等、いずれも流麗なフランス語の響きを音楽に乗せて楽しめる歌曲となっている。 クィルターの歌曲 「もう泣いてくれるな」は《7 つのエリザベス朝の叙情曲集》のなかの 1 曲。作詞者不詳だ が、この詩には様々な作曲家が付曲している。「赤い花びら、優しく眠る」は、アルフレッ ド・テニスンの詩による。夜の庭の、静謐な情景を歌う。 プーランク:即興曲 第 15 番《エディット・ピアフに捧ぐ》 全 15 曲からなる《15 の即興曲》所収。その最後を飾る本曲は、フランスの高名なシャン ソン歌手エディット・ピアフに捧げられたもので、1959 年の夏に書かれた。哀愁のパリを感 じさせるメロディが心に響く。 C.シューマンの歌曲 「わたしが美しいために愛してくださるのなら」は、1941 年、リュッケルトの詩に付曲した もので、シューマン夫妻による歌曲集《愛の春》所収。「わたしは暗い夢の中にいた」は 1840 年、ロベルトと結婚した年のクリスマスの贈り物として、ハイネの詩に付曲。穏やかな 旋律だが、恋を失った歌である。「月が静かにのぼってくる」は 1842 年、ガイベルの詩に 付曲。月夜の瞑想を優しく歌う。「たおやかな蓮の花」は 1843 年、同じくガイベルの詩に 付曲。蓮の花に寄り添う白鳥は、夫婦 2 人の投影だろうか。 プーランク:愛の小径 本来はピアノ伴奏付きの独唱歌曲であり、シャンソンの趣が濃厚に香る作品である。ジ ャン・アヌイの舞台作品『レオカディア』の劇中歌として 1940 年に書かれた。 中田喜直の歌曲 「たんぽぽ」は三好達治の詩。頬を撫でる春風のようなピアノ伴奏に乗って、あと幾たび、 タンポポの咲く春を迎えることができるだろうか、と哀しみが歌われる。「さくら横ちょう」は 加藤周一の詩による。春宵のさくらに感じるひんやりとした美しさ、その美しさは追憶と一 体になっている。「サルビア」は、堀内幸枝の詩。サルビアの真紅が呼び起こす激しい感 情を語りかけるように歌う。「歌をください」は、渡辺達生の詩。この世界の希望と平和へ の真摯な祈りの歌である。 © Spring Festival in Tokyo Excective Committee. http://東京・春・音楽祭.jp/