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指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正
指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正する省令案 主要な改正点の逐条説明 目次 本則の改正により,条文が第28条までになることから,目次を改めることとしている。 第3条(電子証明書の提供等) 1 本条は,指定公証人の権限を証する電子証明書の提供主体(公証人認証機関)や提供 の方法等について規定するものである。 今回の改正においては,これまでの指定法務局長を公証人認証機関とする制度を改め て,法務大臣を公証人認証機関とすることで,法務省汎用受付システムを通じて署名検 証を行うとの法制上の措置との整合性を図ることとしている。 2 第1項 第1項は,公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整理をすることとしている。 なお,第1項の後段においては,今般,法務大臣が指定公証人電子証明書の発行権限 を直接行使することとなることから,公証人の指導監督機関としての権限を分掌する法 務局又は地方法務局の長を経由する旨を定める必要性がなくなるため,削ることとして いる(注)。 3 第2項 公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整理をすることとしている。 また,次期電子公証システムにおける指定公証人電子証明書の提供の方法については, 法務省内部の事務処理にすぎないことから,提供を受けようとする場合の手続としては, 書面(申出書)を提出することのみを定めることとしている。 4 第3項 1で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,指定公証人電子証明書に 表すべき情報から,指定法務局長についての情報を定める第4号を削ることとしている。 また,指定公証人電子証明書に記録すべき事項として,第2号に「指定公証人名」が あるが,実際の指定公証人電子証明書には,指定公証人を特定するに足りる符号(固有 の数字とされる予定))が記録されることから,記録事項を改めることとしている。 5 第4項 第4項は,指定公証人電子証明書の有効期間(第3項第3号の「証明すべき期間」) が経過した場合における指定法務局長の指定公証人電子証明書の提供義務及び提供を受 けるためのの手続について,第1項及び第2項の規定を準用することを定めたものであ る。 しかしながら,法務大臣が「公証人を指定公証人に指定した場合」における指定公証 人電子証明書の提供義務を負い,指定公証人電子証明書には法務大臣が定める有効期間 が設定されている以上,指定公証人が電磁的記録に関する事務を取り扱っている間は, 有効期間ごとに,新しい指定公証人電子証明書の提供義務が第1項の規定に基づいて発 生するものと解するのが論理的であり,有効期間の確認等の事務の取扱いの在り方とし ても相当であると考えられる。 - 1 - そこで,現行第4項の規定を削ることとしている。 (注)同様に,「経由」の規定を削るものとして,第26条(新第24条)がある。 第4条(電子証明書管理ファイル) 1 本条は,公証人認証機関による指定公証人電子証明書を提供した場合における電子証 明書の記録に関するファイルの調製・保存について規定するものである。 2 第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整 理をすることとしている。 第5条(電子証明書の使用の廃止の申出) 1 本条は,指定公証人電子証明書の使用を継続することが相当でない場合における公証 人認証機関に対する指定公証人による申出及び申出をした場合の指定公証人の義務につ いて定めるものである。 2 第1項 第1項は,指定公証人が自己の指定公証人電子証明書の使用を継続することが相当で ないと認める場合(注)における公証人認証機関に対する指定公証人電子証明書の使用 の廃止の申出義務について規定することとしている。第3条の逐条説明で述べたとおり, 公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整理をするものであるが,現行第3項に おいて定められている指定公証人電子証明書の使用をしてはならない義務について,指 定公証人電子証明書の使用を継続することが相当でないと認める場合には,申出をする までもなく直ちにその使用をやめるべき義務を負うこととしている。 また,申出をする内容について,「指定公証人電子証明書の使用を継続することが相 当でないと認める旨」を理由として「使用の廃止」の申出をするものとすれば簡明であ ることから,そのように改めることとしている。 3 第3項 第3項は,指定公証人電子証明書の使用の廃止の申出をした場合における指定公証人 の指定公証人電子証明書の使用をしてはならない義務について定めるものである。 2で述べたとおり,上記の義務は,申出前に生ずるものとして第1項に移すこととし ている。 一方,指定公証人電子証明書の使用の廃止の申出があった場合における法務大臣の対 応について,併せて本条において規定するのが,一覧性があり,規定の理解を容易にす るものということができる。 そこで,現行第8条第3項において定められている,電子証明書管理ファイルに使用 の廃止の申出があった旨を記録する義務について,本条第3項に規定することとしてい る。 4 第4項 現行第8条第4項において,指定公証人電子証明書の使用の廃止の申出がされた場合 における新たな指定公証人電子証明書の提供について定められているところ,これも, 廃止の申出がされたことに伴う法務大臣の対応について定めるものであり,一覧性の観 点から,本条に第4項を追加して,現行第8条第4項に相当する内容を定めることとし - 2 - ている。その際,第3条第2項については,同じ書面による申出の方式が第2項におい て規定されているので,準用の対象から除外することとしている。 (注)「指定公証人電子証明書の使用を継続することが相当でないと認める場合」とは, 例えば,指定公証人がするデジタル署名が破られ,電磁的記録の改ざんがされるおそ れがある場合であり,第6条の「指定公証人電子証明書を使用することができない場 合」が,指定公証人の疾病や長期出張等により,一時的に指定公証人電子証明書を使 用することができない場合などを指すのとは,内容を異にする。 第6条(電子証明書の使用の休止の申出) 1 本条は,一定の事由により一時的に電磁的記録に関する事務を取り扱うことができな い指定公証人からの申出により,指定公証人電子証明書の使用を廃止することについて 規定するものである。 現行では使用の「休止」とされているが,次期電子公証システムにおいては,使用を 休止するという手続を設けたとしても,当該指定公証人電子証明書は廃止されることと なる(次期電子公証システムが接続する法務省汎用受付システムにおいては,官職証明 書の一時使用休止(有効性確認の一時留保)の機能は用意されておらず,使用すること をやめる電子証明書については,廃止の処理をすることとなる。)ため,第5条第1項 とは異なる事由(疾病その他の指定公証人電子証明書を使用することができない場合) を理由とする使用の廃止の手続を定める規定とすることとしている。 2 見出し 1で述べたとおり,第5条とともに指定公証人電子証明書の使用の廃止を定める規定 とすることから,見出しを削って,第5条の見出しを同条及び第6条の共通見出しとす ることとしている。 3 第1項 第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整 理をすることとしている。 その際,申出の内容について,「指定公証人電子証明書を使用することができない旨 」を理由として「使用の廃止」の申出をするものとすれば簡明であることから,そのよ うに改めることとしている 4 なお,第5条の改正により,第2項における第5条第2項及び第3項の規定の準用の 内容が変わることとなる(第5条第3項の準用により,使用の廃止の申出を受けた法務 大臣が,指定公証人電子証明書の使用の廃止の旨を電子証明書管理ファイルに記録する 義務を負うこととなる。)。指定公証人電子証明書を使用してはならない旨の義務につ いては,本条第1項に定める事由により廃止の申出をした指定公証人に課すべき義務と しては不相当であると考えられることから,本条においては規定を設けないこととして いる。 第7条(電子証明書の使用の再開の申出) 1 本条は,第6条の規定により一時指定公証人電子証明書の使用を休止した指定公証人 が,休止すべき一定の事由がやんだことを理由として,電磁的記録に関する事務を再び - 3 - 取り扱うために,指定公証人電子証明書の使用の再開の申出をすることについて規定す るものである。 第6条の逐条説明で述べたとおり,「一時使用の休止」という概念が次期電子公証シ ステムでは存在しないため,使用不能を理由とした指定公証人電子証明書の廃止がされ た場合において,使用不能の事由がやんだときの新たな指定公証人電子証明書の提供の 申出の手続を定める規定に改めることとしている。 2 第1項 1で述べたとおり,新たな指定公証人電子証明書の提供を受けるための手続とするた めに,文言を改めることとしている。 また,第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,文 言の整理をすることとしている。 3 第2項 第2項は,指定公証人電子証明書の使用の再開の手続として提出する書面について, 第5条第2項の規定を準用することを定めているが,新たな指定公証人電子証明書の提 供を受けるための手続を用意することから,第5条第2項の規定に加え,第3条第1項 の規定を法務大臣が提供の申出を受けた場合について準用することとしている。 4 第3項 現行第3項は,第6条第2項において準用する第5条第3項の規定と相俟って,使用 の休止の申出をしたときに生ずる指定公証人電子証明書を使用してはならない義務が, 再開の申出をしたときに解除されることを定めたものである。 第6条において指定公証人電子証明書の廃止の申出をすることとされたことから,新 たな指定公証人電子証明書の提供を受けるまでは,その使用をすることもできない以上, 現行の第3項に相当する規定を設ける必要がないこととなるので,第3項を削ることと している。 第8条(公証人認証機関による通知等) 1 本条は,公証人法第7条ノ2第4項の規定に基づき,公証人認証機関において,指定 公証人電子証明書の使用を継続することが相当でないと認める場合における通知及び指 定公証人からの申出を受けた公証人認証機関が採るべき措置について規定するものであ る。 2 見出し及び第1項 第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整 理をすることとしている。 その際,通知をする内容について,「指定公証人電子証明書の使用を継続することが 相当でないと認める旨」を理由として「使用の廃止をすべき旨」の通知をするものとす れば簡明であることから,そのように改めることとしている。そのため,見出しを「法 務大臣による電子証明書の使用の廃止の通知」に改めることとしている。 3 第2項 第2項は,公証人認証機関から通知があった場合における指定公証人電子証明書を使 用してはならない義務について,第5条第3項の規定を準用することにより定めている。 - 4 - 第5条の逐条説明で述べたとおり,同条第3項の規定内容は,同条第1項に移すこと として,義務が生ずる時期も申出時ではなく指定公証人電子証明書の使用を継続するこ とが相当でないと認めるときに遡らせることとしている。 そこで,第2項において,現行の規定内容を書き下ろすこととしている。 4 第3項 第3項は,第5条から本条までの申出又は通知に伴う公証人認証機関の採るべき措置 について定めるものであるところ,第3項の規定内容は,申出に伴う電子証明書管理フ ァイルへの記録の義務を,第5条から第7条までにおいて,各申出ごとに規定すること としている。 そこで,第3項の規定内容を改めて,法務大臣が通知をした場合における電子証明書 管理ファイルへの記録及び通知によって指定公証人電子証明書を使用することができな くなったことによる新たな指定公証人電子証明書の提供の義務について,第3条第1項 及び第5条第3項の規定を準用することにより定めることとしている。 5 第4項 第4項は,指定公証人電子証明書の使用の廃止の申出又は廃止すべき旨の通知によっ て指定公証人電子証明書を使用することができなくなることから,新たな指定公証人電 子証明書の提供の義務及び手続について,第3条第1項及び第2項の規定を準用するこ とで定めるものであるが,その内容は,第3項において定めることとしているため,第 4項を削ることとしている。 第3章(電磁的記録に関する事務の処理)(前注) 1 第3条の逐条説明1で述べたとおり,法務省汎用受付システムを通じてオンラインに よる嘱託及び請求をすることとするため,現行電子公証システムに特有の規定(嘱託人 電子証明書の事前提出を定めた第9条),オフライン嘱託等の原則に対する例外として のオンライン嘱託等についての規定(第10条第2項,第14条の2及び第18条)を 削ることとしている。 2 以下の逐条説明においては,上記の規定を削って条番号がずれるために,新たな条番 号によることとして「新第○○条」と表記することとしている。 新第9条(電磁的記録の認証) 1 本条は,電磁的記録の認証の付与の嘱託の方式について規定するものである。 2 現行電子公証システムにおいては,原則として,商業登記制度に基づく電子認証制度 の下で発行される電子証明書(現行第9条第1項において「嘱託人電子証明書」の略称 が定められている。)を利用することとされ,電磁的記録に関する事務に係る嘱託(及 び請求)をしようとする者は,あらかじめ,嘱託人電子証明書を記録したフロッピーデ ィスクを指定公証人に提出することとしていた。 法務省汎用受付システムを通じて嘱託等を受けるためには,このような措置は不要で あるから,現行第9条を削り,現行第10条を新第9条として,電磁的記録の認証の嘱 託の方式を新たに定めることとしている。 3 第1項 - 5 - 第1項は,公証人法第62条ノ6第3項の規定に基づき,嘱託の方式として,認証を 受けようとする情報を電気通信回線により指定公証人に送信してすることを定めること としている。これにより,電磁的記録に関する事務についての嘱託は,法務省汎用受付 システムを通じたオンライン申請によらなければならないことが定められる。 また,電磁的記録の認証は,いわゆる自認認証(既にされた電子署名が自己の意思に 基づくものであることを陳述したことの認証)に加えて,目撃認証(指定公証人の面前 で電子署名がされたことの認証)もすることができるものとされているところ(公証人 法第62条ノ6第1項第1号及び第2号),次期電子公証システムにおいては,現行電 子公証システムにおいて目撃認証の例が皆無であることを踏まえて,自認認証による方 法に特化してシステムが構築されていることから,本項において,あらかじめ電子署名 及び電子証明書を付さなければならない旨を定めることとしている。 なお,本項において,嘱託しようとする者が付することができる電子証明書(新第1 5条第1項において情報の同一性に関する証明及び同一情報の提供の請求にも用いるこ とを定めるものであることから,現行の「嘱託人電子証明書」から「電子証明書」に略 称を改めている。)を,公的個人認証サービスにおけるもののほか,法務大臣が指定す るものとすることとしている。この「指定」については,新第3項の規定により,法務 大臣が告示してすることとしている。 4 新第2項 本項は,認証を受けようとする情報の形式について定めるものである。 現行電子公証システムは,システムで取り扱うことができるように情報の作成形式を 法務大臣の告示により定めていたところ,法務省汎用受付システムに接続した次期電子 公証システムにおいても,同様に情報の作成形式を定める必要があることから,文言の 整理をすることとしている。 なお,オフライン嘱託の原則に対する例外としてのオンライン嘱託について定める現 行第2項は,嘱託の方式がすべてオンラインとされることに伴って削られ,項ずれによ り現行第3項を新第2項とすることとしている。 5 新第3項 本項は,嘱託人電子証明書及び認証を受けようとする情報の形式の指定の方式につい て定めるものである。 現行第3項においては,認証を受けようとする情報の形式の指定の方式のみを定めて いたが,第1項において嘱託人電子証明書についても法務大臣が指定するものとされた ことから,文言の整理を行い,項ずれにより第3項とすることとしている。 6 新第4項 現行第11条第3項は,数個の代理嘱託をする場合において,本人確認のための資料 として証明書が提出されるときには,嘱託事件ごとに1通の提出を要せず,まとめて1 通の証明書を提出すれば足りることとする規定であり,公証人法施行規則(昭和24年 法務府令第9号)第14条第1項に相当する。 今回の改正に際しては,条文の位置を移して,同様の規定である不動産登記規則第3 7条第1項を参考に,規定の内容も含めて(嘱託一般について適用することとする。), 同様の書き振りに改めることとしている。 - 6 - 7 新第5項 第5項を設けて,新第4項の規定により一の嘱託について情報の提供がされた旨を他 の嘱託について提供すべき内容とすべき旨を定めることとしている(不動産登記規則第 37条第2項参照)。 8 新第6項 第6項を設けて,公証人法第62条ノ6第1項柱書の規定に基づき,指定公証人が認 証を与えようとする場合における認証の対象である情報についてすべき措置及び情報を 嘱託人の支配下に移転するための方法を定めることとしている。 現行第5項においては,法が定める認証に際して採るべき措置に加えて,認証を与え る場合における対象の情報に付すべき情報を定めることとしている。 次期電子公証システムにおいても,認証を与える段階では,嘱託人は指定公証人の役 場に出頭し,既にした電子署名を自認することになることから,出頭した嘱託人に,認 証を与えた情報をフロッピーディスクその他これに準ずる記録媒体で法務大臣が定める もの(CD−R,CD−RW及びUSBメモリを想定している。)に記録して交付する こととしている(したがって,交付の段階は,現行電子公証システムにおけるのと同様 の取扱いをすることとなる。)。 新第10条(認証の場合の本人確認) 1 本条は,公証人法第7条ノ2第4項の規定に基づき,電磁的記録に認証を与える場合 における嘱託人の本人確認の手続を規定するものである。 2 第1項 本項の定める本人確認の手続は,公正証書の作成又は私署証書の認証の付与の嘱託に おけるのと同様であるが,急迫の場合の事後の資料の追完の手続は許していない(公証 人法第28条第3項及び第4項並びに第60条及び第62条ノ3第4項参照)。 そこで,現行第10条が新第9条に改められることに伴い,文言を整理することとし ている。 3 新第2項 第2項は,代理による嘱託がされたときにおける代理人の本人確認の手続について定 めるものである。 現行第2項においては,代理嘱託における代理人の本人確認及び代理権限の証明がま とめて規定されているため,規定内容が分かりにくくなっている。 そこで,第2項を書き改めて,代理嘱託における代理人の本人確認についての規定と して,第1項の本人確認の手続の規定を準用することとしている。 4 新第3項 第3項は,代理嘱託における代理権限の証明の手続について定めるものである。 現行第3項においては,数個の嘱託をする場合における取扱いを定めているが,新第 2項に代理嘱託における代理人の本人確認の手続を定めることとするので,残る代理権 限の証明の手続を定めることとしている。 新第11条(通訳及び立会人の選定) - 7 - 1 本条は,電磁的記録の認証に際して,通訳及び立会人が必要とされる場合における選 定の手続等を規定するものである(公証人法第34条並びに第60条及び第62条ノ3 第4項に相当する)。 2 第3項においては,公証人法第34条第3項と同様に,立会人の欠格事由を定めてい るが,電磁的記録の認証について「署名をすることができないこと」が挙げられている のは不相当であることから,これを削ることとしている。 新第12条(宣誓認証の準用) 1 本条は,私署証書の認証のうちいわゆる宣誓認証(公証人法第58条ノ2)における 宣誓の方式等を定める公証人法施行規則第13条の3の規定を準用することを規定する ものである。 2 準用に際して,読替規定を設けているところ,通常の読替規定とは異なる規定振りと なっているので,この際,通常の規定振りに改めることとしている。 新第13条(日付情報の付与) 1 本条は,民法施行法第7条第2項の規定に基づく電磁的記録に記録された情報への日 付情報の付与(電子確定日付の付与)の請求の方式及び同法第5条第2項の規定に基づ く日付情報の付与の方式について定めたものである。 2 見出し及び新第1項 現行第1項は,電気通信回線を利用した日付情報の付与の請求の方式について規定す るものであり,その実質は,次期電子公証システムにおける請求の方式においても通用 する内容となっている。 そこで,本条が日付情報の付与の請求の方式を定めるものであることを示すように見 出しを改めるとともに,現行第14条の2の定めているのと同様に,日付情報の付与を 求める情報に請求者の電子署名及び電子証明書を付さないでするオンライン請求の方式 に改めることから,体裁も含めて,現行第1項の規定を全部改めることとしている。 3 第2項 第2項は,日付情報の付与を受けようとする情報の形式及び形式を告示して法務大臣 が定めることについて,電磁的記録の認証に関する第9条第2項及び第3項の規定を準 用することにより定めるものである。 現行第2項において引用している第10条(新第9条)の条番号及び項番号がずれる ことに伴い,文言の整理をすることとしている。 4 第3項 第3項は,指定公証人が日付情報の付与をする方法及び日付情報を付与した情報を請 求をした者の支配下に移転する方法について定めたものである。 新第9条第4項の規定の形式に合わせて,オンラインにより請求をした者に対して日 付情報を付与した情報を送信することについても定めることとしている。 5 第4項 現行第4項は,日付情報を付与した情報をオンラインにより送信することを定めてい るが,第3項においてこの点も含めて定めるため,第4項を削ることとしている。 - 8 - 新第14条(電磁的記録の保存) 1 本条は,公証人法第62条ノ7第1項(民法施行法第7条第1項において準用する場 合を含む。)の規定に基づく電磁的記録の保存の方式及び公証人法第7条ノ2第4項の 規定に基づく同法第62条ノ7第2項(民法施行法第7条第1項において準用する場合 を含む。)に規定する保存の請求の方式について規定するものである。 2 次期電子公証システムにおいても,必要的保存及び請求による保存についての実質は 変更されないことから,条ずれ,準用条文の引用の仕方等の文言の整理のみをすること としている。 新第15条(情報の同一性に関する証明) 1 本条は,公証人法第62条の7第5項(民法施行法第7条第1項において準用する場 合を含む。)の規定による公証人法第62条ノ7第3項第1号(民法施行法第7条第1 項において準用する場合を含む。)に規定する同一性に関する証明の請求及び証明の方 式について規定するものである。 2 第1項 第1項は,請求の方式について規定するものである。次期電子公証システムにおいて は,同一性に関する証明の請求は,オンライン請求に1本化されることから,新第9条 (電磁的記録の認証)と同様の形式に規定を改めることとしている(日付情報の付与の 請求とは異なり,請求者の本人確認を行う必要があることから,電子署名及び電子証明 書を付することを求めることとしているのは,現行第18条第1項と同様である。)。 なお,数個の請求を同時にすることが考えられることや,請求者の本人確認・代理権 限の証明を求める必要が考えられることから,電磁的記録の認証の付与の嘱託に関する 第9条第4項及び第5項並びに第10条の規定を準用することとしている。 3 第2項 第2項は,同一性に関する証明の方法について定めるものである。 次期電子公証システムの導入によっても,情報の同一性に関する証明の方法は変わら ず,文言の整理のみをすることとしている。 4 第3項 第3項は,情報の同一性に関する証明を行う方式について規定するものである。現在 は,請求に係る情報をフロッピーディスクに記録して請求者に交付するのが原則とされ, 現行第18条第1項及び第3項の規定により,特例としてオンラインにより証明を行う ことを認めているが,次期電子公証システムにおいては,このうち特例型のみを採用す ることとしている。 これは,情報の同一性に関する証明を請求する者は,請求に係る情報を保有している ものであり,利害関係の証明もその事由を請求情報として表示することで十分証明する ことができると考えられることから,請求に対する証明の方式としても,現行第18条 第1項及び第3項の規定による場合と同様,オンラインにより証明情報を送信すること としている。 - 9 - 新第16条(同一の情報の提供) 1 本条は,公証人法第62条の7第5項(民法施行法第7条第1項において準用する場 合を含む。)の規定に基づき,公証人法第62条ノ7第3項第2号(民法施行法第7条 第1項において準用する場合を含む。)に規定する同一の情報の提供の請求の方法及び 提供の方式について規定するものである。 2 第1項 第1項は,同一の情報の提供の請求の方式について規定するものである。次期電子公 証システムにおいては,同一性に関する証明の請求の方法は,現在のオフラインからオ ンラインに変更されることから,新第9条(電磁的記録の認証)と同様の形式に規定を 改めることとしている(日付情報の付与の請求とは異なり,請求者の本人確認を行う必 要があることから,電子署名及び電子証明書を付することを求めることとしているが, 現行第18条第2項において準用する同条第1項と同様である。)。 なお,現行第17条第1項においては,公証人法第62条ノ7第3項第2号を民法施 行法第7条第1項において準用する場合にも適用されるのかどうかが明らかでないため, 同項において準用する場合を含む旨を明示することとしている(かっこ書)。 3 第2項 第2項は,同一の情報の提供を行う方式について規定するものである。現在は,現行 第16条第3項の規定を準用することで,請求に係る情報をフロッピーディスクに記録 して請求者に交付するのが原則とされ,現行第18条第2項及び第3項の規定により, 特例としてオンラインによる提供を認めているが,次期電子公証システムにおいては, このうち原則型のみを採用することとしている。 これは,同一の情報の提供を請求する者は,請求に係る情報を保有しているものとは 限らず,利害関係の証明もその事由を請求情報として表示するだけでなく,指定公証人 の役場に出頭させた上で証明情報を提供させることが適切な場合も多いと考えられるこ とによるものである。そこで,請求に対する証明の方式としては,オフラインにより同 一の情報を記録媒体に記録して交付することとしている。 新第17条(書面による同一の情報の提供) 1 本条は,公証人法第62条ノ7第4項(民法施行法第7条第1項において準用する場 合を含む。)に規定する書面の交付による同一の情報の提供の方式について規定するも のである。したがって,同一の情報の提供の請求については,新第16条の規定による こととなる。 2 第1項 第1項は,提供すべき書面の記載内容について規定するものである。条ずれに伴い, 文言の整理をすることとしている。 新第18条(電磁的記録に関する事務に係る情報の記録の保存) 1 本条は,電磁的記録に関する事務において嘱託人等から提供された情報を記録して保 存することを規定するものである。 2 第1項 - 10 - 現行第20条は項立てされていないが,新第18条において第2項を加えることとさ れているため,第1項となるところ,指定公証人が電磁的記録に関する事務に係る情報 を記録して保存する義務を負うことを規定することとしている。 なお,現行第20条第2号では,現行電子公証システムにおける識別符号が記録・保 存の対象とされているが,次期電子公証システムにおいては利用されないものであるこ とから,同号を削って号ずれの整理をするとともに,第1号及び第3号(新第2号)の 文言の整理をすることとしている。 3 第2項 現行第20条においては,私署証書の認証,宣誓認証及び定款の認証における認証簿 の記載事項に相当する情報の記録・保存が義務付けられているところ(公証人法第62 条各号参照),認証を与えた証書・定款の正本・謄本の交付請求のために提出される書 類の編てつについて定める公証人法施行規則第25条第2項の規定に相当する規定は設 けられていないので,新第18条に第2項を設け,情報の保存について定めることとし ている。 新第19条(電磁的記録に関する事務に関して提出された書類) 1 本条は,電磁的記録に関する事務において嘱託人・請求者から提出された書類の整理 の方法について規定するものである。 2 第1項 現行第21条については,電磁的記録に関する事務に係る「嘱託」だけでなく,日付 情報の付与,同一性に関する証明又は同一情報の提供の「請求」も含むことを明らかに するために,文言の整理をすることとしている。 3 第1項ただし書及び第2項 電磁的記録に関する事務においても,提出された書類についての原本還付の手続を設 けておくことが必要であると考えられ,現在も事実上行われているものと考えられるこ とから,第1項に公証人法第41条第1項ただし書に倣ってただし書を設けるとともに, 第2項を設けて公証人法施行規則第15条の規定を準用することとしている。 4 以上の他はその実質を変更しておらず,条ずれの整理をすることとしている。 新第20条(規則の適用除外等) 1 本条は,電磁的記録に関する事務において公証人法施行規則第20条の規定の適用を 除外すること等を規定するものである。 2 第2項 現行第22条第2項については,現行電子公証システムにおける識別符号が,公証人 手数料令第4条第2項の規定により交付すべき計算書の記載事項とされているが(第1 号),次期電子公証システムにおいては利用されないものであることから,第1号を削 って号ずれの整理をするとともに,第2号(新第1号)及び第3号(新第2号)の順序 及び文言の整理をすることとしている。 新第21条(計算簿の特例) - 11 - 1 本条は,指定公証人が作成する計算簿の様式についての特例を定めるものである。 2 第1項 現行第23条の規定振りは,通常の特例及び適用読替えとは異なるものであることか ら,公証人法施行規則第23条第1項の規定の特例を設けることができる旨をまず規定 することとしている。 3 第2項 現行第23条後段は,指定公証人が,公証人法施行規則第23条第1項が定める計算 簿の様式とは異なる様式の計算簿に記載することに加え,公証人法施行規則第23条第 1項ただし書中の適用読替えについて規定しているが,その規定振りは,通常の適用読 替えとは異なっている。 そこで,新第21条に第2項を設けて読替えの内容を定めることとしている。 新第22条(磁気ディスクの複製等) 1 本条は,公証人法第62条ノ7第1項(民法施行法第7条第1項において準用する場 合を含む。)及び第2項(民法施行法第7条第1項において準用する場合を含む。)の 規定により保存した情報を記録した磁気ディスクの複製を作成し,その保存・滅失時の 回復を行うこと等について規定するものである。 2 第3項及び第4項 第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整 理をすることとしている。 新第23条(情報等の保存期間) 1 本条は,公証人法第62条ノ7第1項(民法施行法第7条第1項において準用する場 合を含む。)及び第2項(民法施行法第7条第1項において準用する場合を含む。)並 びに新第18条の規定により保存すべき情報並びに新第19条の規定により備え置くべ き書類の保存期間等について規定するものである。 2 第1項 柱書及び各号について,各保存期間の起算点や根拠規定を明らかにする文言の整備を することとしている。 新第24条(情報等の廃棄) 1 本条は,新第23条の規定により保存した情報等の廃棄の手続について規定するもの である。ここにいう「指定公証人」は,すべての電磁的記録に関する事務に係る情報の 廃棄の認可を求めることができると解される(現行第29条第1項参照)。 2 第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,文言の整 理をすることとしている。後段を削る点は,第3条第1項後段についてと同様の理由に よるものである。 新第25条(嘱託の拒絶の特例) 1 本条は,電磁的記録に関する事務について嘱託を拒んだ場合における拒絶の理由の告 - 12 - 知の方式について,公証人法施行規則第12条の特例を規定するものである。 2 公証人法施行規則第12条は,嘱託を拒んだ場合における拒絶の理由を告知すべきも のとして,その方式として理由書を交付すべきものと規定している。 電磁的記録に関する事務については,次期電子公証システムの下で電気通信回線を利 用して嘱託等を受けることから,嘱託を拒絶する場合には,指定公証人の役場に嘱託人 が出頭した段階で拒絶するときは理由書の交付により,嘱託に係る情報を送信された段 階で拒絶するときは電気通信回線で拒絶の理由を内容とする情報を送信する方法による ことができることとしている。 新第26条(指定公証人の執務時間の特例) 1 本条は,電磁的記録に関する事務については,公証人法施行規則第9条第2項の規定 により,休日等の嘱託に対して応ずる必要はない旨を規定するものである。 2 指定公証人の役場の端末と電子公証事務を集中的に管理するセンターとを電気通信回 線で結んでいるところ,センターには,電磁的記録に関する事務を取り扱うために必要 なサーバ,監視端末等の機器類が備えられており,日本公証人連合会から委託を受けた 運用管理業者が配置されて機器類の管理を行っており,現状では,公証人の通常の執務 時間を超えて機器類を稼働させることが困難であるため,執務時間の特例を定める公証 人法施行規則第9条第2項の規定を適用しないこととしている。 3 次期電子公証システムの下においても,以上の取扱いに変わりはないことから,条ず れの整理をすることとしている。 新第27条(指定公証人の情報の管理等) 1 本条は,電磁的記録に関する事務については,法令の規定により保存すべき情報の管 理主体について定めるものである。 2 実質としては,第20条(新第18条)第1項の規定による電磁的記録に記録された 情報の保存は,①個々の指定公証人が行うのか,②指定公証人全員で設立する観念的な 合同役場において行うのかの法制的整理として,②とするとの前提に立っており,その ため,第1項において,指定公証人が全員で管理義務を負うものとされている。これを 受けて,全員で管理している情報について,情報の同一性に関する証明及び同一の情報 の提供の請求がされた場合には,当初嘱託を受けた指定公証人以外の指定公証人であっ ても,請求に応ずることができるものとされている。 3 次期電子公証システムの下においても,以上の実質は変わりがないことから,第2項 中の「嘱託」を「請求」に改めるほかは,条ずれの整理をすることとしている。 新第28条(指定公証人名簿等) 1 本条は,指定公証人名簿の備え置きについて規定するものである。 2 第3条の逐条説明で述べたとおり,公証人認証機関を法務大臣とするため,第1項の 文言の整理をすることとしている。 予定される附則の内容 - 13 - 次のような規定を置くことを予定している。 1 施行期日 この省令は平成19年4月1日から施行する(運用開始は翌2日)。 2 経過措置並びに現行電子公証システムにおいて保存した情報についての情報の同一性 に関する証明及び同一の情報の提供の請求がされた場合の取扱いについての特例 経過措置については,原則として,この省令の施行前にされた嘱託又は請求について は,なお従前の例によることとすることが考えられる。 これに対して,現行電子公証システムにおいて保存した情報(ハッシュ値及び請求に 係る情報)は,次期電子公証システムにデータを移行して更に保存期間満了まで保存す ることとしているが,データの形式が次期電子公証システムのものと異なることから, 次期電子公証システムにおいて他のデータと同様に取り扱うことはできないものである ため,現行電子公証システムにおいて保存された情報の同一性に関する証明及び同一の 情報の提供の請求の方法及び証明又は提供の方式についての経過措置を設けることとし ている。 具体的には,次のとおりである。 ① 情報の同一性に関する証明 直接指定公証人の公証人役場において請求を受けることとする(オンライン請求の 対象とはしない。)。証明の方式は,保存された情報と請求に係る情報とが同一であ る旨を証明する内容を記載した書面の交付によるものとする。請求の方式については 公証人法第62条ノ7第5項において準用する第62条ノ6第3項の規定に,証明の 方法については包括委任規定である公証人法第7条ノ2第4項の規定に,それぞれ基 づくものである。 ② 同一の情報の提供 直接指定公証人の公証人役場において請求を受けることとする(オンライン請求の 対象とはしない。)。証明の方式は,保存された情報と同一の内容である旨を記載し た書面の交付の方法によるものとする。請求の方式については公証人法第62条ノ7 第5項において準用する第62条ノ6第3項の規定に,証明の方法については包括委 任規定である公証人法第7条ノ2第4項及び書面の交付による提供を定める第62条 ノ7第4項の規定に,それぞれ基づくものである。 3 公証人法施行規則の一部改正 ① 公証人法施行規則第4条第2項の整備 現在,公証人法施行規則第4条第2項(打ち抜き契印の特例)の適用対象について, 契印すべきことが法定されている場合のうち,宣誓認証の対象となる私署証書の公証 人役場保存分と附属書類との連綴に際して契印すべきとき(公証人法第60条ノ2第 2項において準用する第41条第2項の規定に基づく)が含まれていないが,整備漏 れであると考えられることから,今回の改正に際して整備をすることとしている。 ② 同規則第25条第2項の整備 今回の改正においては,電磁的記録に関する事務における本人確認・代理権限証明 に用いた資料を含め,関係の情報及び書類の保存期間が,その起算点を明らかにする ことで明確にされているところである(本則による改正後の指定公証人の行う電磁的 - 14 - 記録に関する事務に関する省令第23条第1項)。 そこで,この改正に伴い,私署証書(公証人が保存すべき私署証書を除く。)の認 証の嘱託に際して提出された本人確認資料や代理人の権限を証明する資料の保存につ いて明文の規定が存しないことから,これらの資料を保存する根拠規定である第25 条第2項に例示を加えることで,保存の対象となることを明らかにすることとしてい る。 ③ 同規則第27条第1項の整備 今回の改正では,電磁的記録に関する事務における情報及び書類の保存期間につい て,期間の起算点を含めた手当てがされる(本則による改正後の指定公証人の行う電 磁的記録に関する事務に関する省令第23条第1項)ことに伴い,純然たる私署証書 の認証の嘱託に際して提出される資料(本人確認・代理権限の証明のための書類等) の保存につき,金融取引における本人確認・取引記録の保存期間に倣って,同等の保 存期間(7年)を確保することとしている。 4 法務省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報 通信の技術の利用に関する規則の一部改正 標記の規則の別表中で引用される指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する 省令の条文の条ずれを整備することとしているが,規定内容の実質には何ら変更がない。 - 15 -