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教育委員会の事務に関する 点 検 及 び 評 価 報 告
教育委員会の事務に関する 点 検 及 び 評 価 報 告 (平成21年度対象) 平成22年11月 多 古 町 教 育 委 員 会 目 第1 1 2 3 次 教育委員会の事務に関する点検及び評価について 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正 点検及び評価の導入の目的 学識経験者の知見の活用 多古町教育員会の点検・評価について 目的 実施方法 (1)点検・評価の対象 (2)平成21年度多古町教育の指針 (3)学識経験者の知見の活用 -2- -2- -2- -2- 第2 1 2 -2- -2- -3- -3- -3- -4- 第3 1 -5- -5- -5- -13- -16- -25- 点検及び評価の結果について 教育指針に基づく施策の方向と評価及び学識経験者の意見 (1)学校教育関係 (2)幼稚園教育関係 (3)社会教育関係 (4)学校給食センター -1- 第1 教育委員会の事務に関する点検及び評価について 1 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正 平成20年4月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地 教行法」という。)の一部改正により、教育委員会は教育委員会の責任体 制の明確化の観点から、毎年その権限に属する事務の管理及び執行の状 況について、点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、 これを議会に提出するとともに講評することとされました。 (地教行法第 27 条) 2 点検及び評価の導入の目的 教育委員会制度は、市町村長から独立した機関であり、合議制の教育 委員会が決定する教育行政に関する基本方針のもと、教育長及び事務局 が広範かつ専門的な教育事務を執行するものです。 今回の地教行法の改正において、教育委員会自らが点検及び評価を行 い、その結果を議会に提出し、公表することにより、効果的な教育行政 の推進に資するとともに、町民への説明責任を果たすことを目的として います。 点検及び評価の具体的な項目や指標については、国で項目を定めず、 各教育委員会が、実情を踏まえて決定し、議会や地域住民の指摘を受け て改善していくことになります。 3 学識経験者の知見の活用 点検及び評価を行うに当たっては、あくまでも客観性を確保するとい う趣旨によるものであり、点検及び評価について意見を聴取する機会を 設けるなど、教育に関する学識経験を有する者の知見の活用を図ること が規定されました。 なお、どのような学識経験者の知見を活用するかについては、各教育 委員会で工夫することとなります。 第2 多古町教育委員会の点検・評価について 1 目的 毎年、教育に関する事務事業の取り組み状況について点検及び評価を 行い、課題や対応の方向を明らかにすることにより、効果的な教育行政 の推進を図ることとします。 -2- 点検及び評価の結果に関する報告書を作成し、議会に提出するととも に、町民に公表することにより、説明責任を果たすこととします。 2 実施方法 (1)点検・評価の対象 多古町教育委員会の平成21年度多古町教育の指針に基づく事務事 業を対象としました。 (2)平成21年度多古町教育の指針 ◎学校教育の指針 子どもたち一人ひとりに「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」を育むとと もに、地域に開かれた「信頼される学校づくり」を推進し、多古町の教育の充 実を図る。 1.活きた学力をつける教育の充実 2.豊かな心を育む教育の充実 3.健やかな体を育む教育の充実 4.「開かれた学校」の一層の推進 5.生徒指導体制の確立と指導の充実 6.安全・安心な学校づくりの推進 7.キャリア教育の推進 8.研修活動の充実 9.多古中学校を中心にニュージーランドとの国際交流事業を推進する -3- ◎幼稚園教育の指針 1.幼稚園の教育活動の充実 2.家庭・地域と連携した子育て支援の充実 3.職員研修の充実 4.各園の実態に即して、預かり保育について検討、実施する。 ◎社会教育関係の指針 1.生涯学習の充実 2.家庭及び地域の教育力の向上 3.国際交流を通じての人材育成 4.生涯スポーツとしての社会体育の充実 5.芸術文化活動の振興及び文化財保護の推進 ◎学校給食センターの指針 1.地元産品の活用推進、手作りメニューの拡大を図る 2.学校給食センターと学校との連携強化の推進 (3)学識経験者の知見の活用 点検及び評価を行うに当たっては、教育に関する学識経験を有する者の 知見の活用を図ることにより,客観性を確保するものであり、3名の委員 の方々から意見を得ることができた。 ① 点検評価会議開催日 平成22年11月25日 -4- ② 学識経験者 氏 名 学 識 等 菅 澤 義 則 元町教育委員会教育委員長 加 瀬 正 裕 元県立高等学校校長 宇 井 葉 子 主任児童委員・元教諭 第3 点検及び評価の結果について 1 教育指針に基づく施策の方向と評価及び学識経験者の意見 多古町教育の指針の項目ごとに、教育指針に基づく施策と主な事業内 容ごとの個票を作成し、上段に小項目ごとの施策内容を記載し、下段に 教育委員会の自己評価結果を記載した。また,学識経験者の意見は各分 野ごとに最後に記載した。 (1)学校教育関係 教育指針に基づく主な施策の方向と評価 1 活きた学力をつける教育の充実 (1)知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表 現力を育成する。 (2)学習意欲の向上や学習習慣の確立を図る。 (3)授業時数の確保と授業力の向上を図る。 教育委員会の自己評価 (1)小学校では,平成23年度からの『小学校学習指導要領』全面実施を控 え,移行措置期間中に教授すべき学習内容に留意し学習活動に取り組んだ。 また,スムーズに新学習指導要領による学習活動が実施できるよう22年 度末を目途に,町で統一した年間指導計画を作成しているところである。 中学校では,平成24年度から全面実施される『中学校学習指導要領』 に向け,先行実施及び一部前倒しして実施するなど,新教育課程に円滑に 移行できるように取り組んでいる。 各教科の指導に当たっては,小・中とも習得した知識・技能を実生活に 結びつけて活用できるような課題設定を工夫することにより,思考力・判 断力・表現力の育成に結びつけた。 来年度以降は,思考力・判断力・表現力を高める上で必要不可欠な言語 活動を全教科で充実させていく指導の改善・工夫が求められる。 (2)県の学校教育の指針にも明示されている人生を拓く「確かな学力」をは ぐくむため学習意欲の向上と学習習慣の確立は,喫緊の課題と捉え各学校 とも重要な課題として取り組んできた。 特に家庭での学習習慣の確立が,授業への自信となり学習意欲の向上に -5- 直結すると考え,学力向上委員会で発達段階を考慮した『家庭学習がんば りシート』を作成し全児童・生徒に配布した。家庭での学習内容や学習時 間を保護者・担任が毎日確認する形態で実施したため,少なからず効果が あったと考えている。また,本取組の効果を検証するため,保護者にもア ンケートを実施した。 (3)教育課程編成上で重要な要素である授業時数については,年間授業日数, 予定授業時数等を明らかにし,計画的に教育課程を実施することにより, 町内全小・中学校が標準授業時数以上を確保することができた。 各学校とも,児童・生徒の実態に応じた独自の課題に対し,授業研究を もとに指導法の工夫改善を実践した。また,校内外の研修に積極的に参加 し教師個々の指導力向上に努めた。 2 豊かな心を育む教育の充実 (1)教育課程に位置づけて,心を育てる読書活動を推進する。 (2)道徳教育の充実,学校内外における奉仕・体験活動の推進を図る。 (3)心を一つにして,楽しく歌う学校にする。 教育委員会の自己評価 (1) 「朝の10分間読書」等,各学校とも工夫して心を育てる読書活動を教育 課程に位置づけて実践している。日本語の持つ美しさやリズム感を体感さ せる暗唱等を積極的に取り入れ効果を上げている学校や,地域の読み聞か せサークル「ぐるんぱ」を招聘し定期的に読み聞かせ会を実施している学 校もあり,心の耕しに力を入れている。 (2)道徳教育は「道徳の時間」を要として各教科,総合的な学習の時間及び 特別活動等学校の教育活動全体を通して,児童生徒の発達段階を考慮した 適切な指導を行っている。 「さわやかおはようタイム」 「地域人材活用」 「家 庭教育学級」 「祖父母家庭教育学級「お年寄りや園児との交流」等家庭や地 域と連携した活動を推進し,豊かな心を育むことができた。また,相手の 立場に立って考え,他者との信頼関係を築くことができるよう,コミュニ ケーション能力を育成するため,「豊かな人間関係づくり実践プログラム」 を教育課程に位置づけ実施しており効果が上がっている。 (3)各学校とも,「朝の会」「帰りの会」「つどい」「集会活動」等で楽しく歌 う活動を行っている。また,校内音楽会や合唱コンクール等の学校行事及 び『多古町児童生徒音楽会』等の行事をいい契機として,みんなで心を一 つにして歌う活動を実践している。歌うことを通して心と心を通い合わせ る「連帯の心作り」は思いやりや支え合う気持ちを育てることに繋がって おり,学校に児童生徒の歌声が響く教育環境は,好ましい仲間づくりや豊 かな情操教育に有効な手だてとなっている。 -6- 3 健やかな体を育む教育の充実 (1)体育の授業を充実し,体育活動の日常化を図る。 (2) 「食育基本法」を踏まえ,家庭と連携しながら「食に関する指導」を充実 する。 (3)肥満傾向の児童生徒の指導を進める。-多古中央病院小児科との連携 教育委員会の自己評価 (1)文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」でも明らかにされて いるように,子どもの体力・運動能力は昭和60年頃から現在に至るまで 低下傾向が続いている。ライフスタイル等の変化が原因と考えられている が,直接的な原因としては室内遊び時間の増加による外遊びの減少,空き 地等の減少,学校外の学習活動などによる仲間の減少があげられる。これ らを受け,体育の授業では『運動の適時性』を柱に,楽しみながら運動量 を確保できる授業を組み立て実践している。 特に,小学校では,業間活動,クラブ活動,運動会,遠足等の学校教育 活動及び千葉県教育委員会主催『遊・友スポーツランキングちば』を通し て,自ら進んで運動に親しむための基礎を培うことができた。 (2)学校における「食に関する指導」は,給食の時間をはじめとして学校教 育活動全体を通じて総合的に推進している。また,学年だよりや保健だよ り等を通し各家庭に食育の大切さについて啓発するとともに,家庭との連 携により食事のマナーや食事を通した人間関係能力の育成に努めている。 さらに,町給食センターの栄養士に協力を依頼し,給食の時間や生活科の 時間に食育指導を実施した。 (3)運動能力の低下と呼応するように,偏った栄養摂取による肥満傾向児童 生徒も増加している。一昨年までは医師・栄養士・養護教諭の協力体制の もと「小児生活習慣病健診事後学習会」を実施してきたが,今年度は運動 と栄養に焦点を当て,小学校4年生全員と5年生の有所見者及び保護者も 一緒に参加してのヨガ教室と栄養教室を実施した。運動や栄養のバランス の大切さに気づくきっかけとなり児童生徒の健康管理に効果的であった。 4 「開かれた学校」の一層の推進 (1)家庭・地域社会との連携を深め,信頼される学校づくりに努める。 (2)地域の教育力を生かした活動を推進する。 (3)外部評価を積極的に導入する。 教育委員会の自己評価 (1)人間関係の基盤づくりを学校・家庭・地域が連携して行うという共通認 識のもと,信頼される学校づくりを推進した。各学校では学校フリーデイ, 授業参観週間等の実施や学校だより等の発行により学校の情報を伝えるこ とができた。また, 『学校を核とした県内1000か所ミニ集会』及び青少 -7- 年相談員,子ども会育成連絡協議会,敬老会等の活動により,地域住民や 保護者の提言やアイディアを学校経営に生かすことができた。保護者をゲ ストティーチャーとして迎え授業に参画してもらう取組も学校の教育活動 を理解していただく上で意味あるものとなった。 (2)豊富な知識と経験を持つ地域人材の協力を得て,学習指導,キャリア教 育,文化・スポーツ活動等で地域教育力を生かした活動を推進した。小学 校の「畑の先生」「昔の遊びゲストティーチャー」中学校の「道セミナー」 「人セミナー」 「おやじも出番セミナー」講師等により特色ある教育活動を 実践できた。 (3)各学校とも,自己評価を実施してその結果を公表している。また,それ を受けて学校関係者評価(外部評価)を実施し公表した学校も多い。学校 評価の実施とその結果の公表・説明等により説明責任を果たすとともに, 教職員・保護者・地域住民等が学校運営について意見を交換し,課題意識 を共有することにより開かれた学校づくりを推進した。年間に複数回実施 することにより,PDCAサイクルに依った検証ができ,より良い学校経 営につながっている。 5 生徒指導体制の確立と指導の充実 (1)児童生徒理解に基づく,信頼関係を大切にした指導を進める。 (2)学校と関係機関・団体との連携を深める。 ○ 多古町青少年健全育成パイロット事業連絡協議会との連携 (3)携帯電話が子どもに与える影響について,学校・保護者が共通認識を持 ち指導にあたる。 教育委員会の自己評価 (1)児童生徒理解は,効果的な学校教育活動の基盤である。そのために,各 学校とも組織として対応できる生徒指導の校内体制充実を図っている。今 後も児童生徒相互・児童生徒と教師・保護者と教師等の信頼関係に基づく 豊かな人間関係の構築により,カウンセリングマインドを生かしたきめ細 かな指導を行っていく。特に,いじめを許さない風土の構築には全校体制 での指導が欠かせないことから,生きて働く組織づくりを進めたい。また, 小学校へのスクールカウンセラーの派遣も検討していきたい。 (2)今日,児童生徒が抱える問題は多様化・深刻化している。そうした問題 に対して学校及び教育委員会は多くの関係機関や団体と連携して指導に当 たっている。 〔スクールカウンセラー 訪問相談担当教員 民生児童委員 教育支援セン ター 児童相談所 保健福祉センター 健康福祉課 子育て支援課 子ど もと親のサポートセンター 警察署 等〕 今後は,多様な関係機関とのネットワークを構築し,児童生徒一人一人 -8- の状況に応じた適切な対応とアドバイスができるようにしていきたい。 本町独自の組織である多古町青少年健全育成パイロット事業連絡協議会 との連携では, 『多古の子 町の子 みんなの子』の合い言葉のもと「さわや かおはようタイムあいさつ運動」 「青色回転灯車安全パトロール」等の活動 を通して町民みんなで多古の子どもたちを見守っている。 (3)児童生徒が携帯電話によるトラブルに巻き込まれないために,情報モラ ルに関する指導を各学校の現状や児童生徒の発達段階に応じて推進してい る。平成20年度の取組(千葉県教育委員会が開催した「児童生徒の情報 モラルに関する緊急会議」を受け,指導資料『ネット社会の光と影~ネッ ト社会に生きる君たちを守るために~』を活用した指導及び保護者への啓 発活動)の成果で,21年度は携帯電話の利用のマナーが児童生徒・家庭 に浸透し大きなトラブルはなかったが,今後も定期的に啓発を続けていく 必要がある。 6 安全・安心な学校づくりの推進 (1)児童生徒に実践的な安全教育を進める。 (2)地域と連携して安全な学校づくりを進める。(安全パトロール隊など) (3)多古町青少年健全育成パイロット事業連絡協議会と連携し,安全確保に 努める。 (4)学校施設の耐震補強を推進する。 教育委員会の自己評価 (1) 『学校安全計画』や『学校の危機管理マニュアル』に基づき,学校の現状 や児童生徒の発達段階に応じた安全教育を推進した。各学校では,災害対 策訓練,不審者対応訓練,防災(避難)訓練,引き渡し訓練,交通安全教 室等の実施,通学路安全マップの作成,警察官や子ども防犯指導員の講話 等により,危険を回避する能力と自他の命を大切にする心の育成に努めた。 (2)交通安全指導・登校指導等のPTA活動や,町防災無線による下校時の 見守り,地域見守りボランティア隊の組織(各小学校地区毎)等地域と連 携した活動を行っている。 また,小学生への防犯ブザーの支給,中学校の自転車通学生徒へのヘル メット購入助成, 『子ども110番の家』の設置協力等により児童生徒の安 全・安心の確保に努めた。 (3)多古町青少年健全育成パイロット事業連絡協議会との連携では,毎週月 曜日朝の「さわやかおはようタイムあいさつ運動」及び毎週金曜日夕方の 「青色回転灯車安全パトロール」を通して児童生徒の安全確保に取り組ん でいる。ボランティアの方との調整等難しいが,冬季の青色回転灯車安全 パトロールの見回り時間の見直しを進めていきたい。 (児童生徒の下校時間 との兼ね合い) -9- (4)今年度、常磐小学校屋内運動場の耐震補強工事が完了し、平成22年度 に中村小学校屋内運動場の耐震補強工事を実施する。 以上、平成22年度で本町学校施設の耐震工事は完了する。 7 キャリア教育の推進 (1)3ヵ年のキャリア教育推進指定研究の成果を生かし,一層の充実を図る。 (2)協力者及び協力団体の組織化を図る。 教育委員会の自己評価 (1)平成16・17・18年度文部科学省指定 キャリア教育推進地域指定事 業における3年間の研究成果を生かすために,町教育研究協議会にキャリ ア教育研究部を組織し,その後も継続して小・中・高連携のキャリア教育 の推進に取り組んでいる。 小学校では, 『ゆめ・仕事ぴったり体験』の職場体験活動,多古高校生徒 の実習授業,多古中学校2年生の職場体験発表会への参加,多古中学校生 徒との『夢を育む部活動交流』等を実践した。 中学校では, 『キャリアスタートウィーク』の職場体験活動,『人セミナ ー』 『道セミナー』のゲストティーチャー特別授業,あじさい祭りボランテ ィア参加等を実践した。 (2)文部科学省指定の際に設置を義務づけられ,町全体のキャリア教育を視 野に入れた「キャリア教育実践協議会」は,平成18年の公開をもって解 散されたため,校長会に働きかけ21年度に「多古町キャリア教育推進連 絡協議会」を新たに立ち上げた。この協議会は産学官の協力体制のもと, 各校により良いキャリア教育の在り方について提言したり,職場体験受入 事業所に対する連絡調整を図ったりと,町の文教政策の大きな特色の一つ として多古町の子どもたちの将来を見据えたキャリア教育を積極的に推進 している。 8 研修活動の充実 (1)校内の研修活動を一層充実させ,教職員の指導力の向上を図る。 (2)小・中・高の授業交流を充実し,教職員の視野を広め指導力を高める。 教育委員会の自己評価 (1)町教育委員会指定研究では,多古第一小学校が『自ら考え,他とかかわ りながら学ぶ子どもの育成 ~多様な表現力を育て,考えを深め合う算数 学習をめざして~』の研究に取り組んだ。町教育研究協議会指定研究では, 久賀小学校が『互いの考えを伝え合おうとする子どもを育てる国語学習』 の研究に取り組んだ。両校の研究会には町内の教職員が参加し,研究の成 果を共有し各学校の指導に生かすことができた。なお,第一小の研究は2 年間に渡る研究であり,22年度に公開の予定である(町内全教職員参加) - 10 - 各学校の校内研修では,千葉県教育庁北総教育事務所の指導室訪問・要 請訪問等で訪問指導を受けた。町教育委員会からも指導主事が参加し研修 内容に応じた指導助言を行った。 町教育委員会主催の教職員研修講座では,教育の今日的課題に対応した 『学級経営に生かす教育相談』『担任主体の小学校英語活動』『小・中学校 における特別支援教育』を開催した。多くの教職員が参加し,教職経験や 学校内の立場・役割に応じた資質・力量の向上を図ることができた。次年 度は,より良い人間関係能力を築くための生徒指導に関する内容も取り入 れていきたい。 (2) 『多古町教職員異校種体験研修』では,小・中学校7名の教職員が異校種 での体験研修を実施した。参加者からは「小学校の授業や一日の生活の流 れがよくわかった。 」「送り出した教え子が中学校で成長している姿が見ら れて良かった。」「多古の子をみんなでよく育てるという使命を忘れずに, 更なる小・中連携を図っていきたい。」等の報告があり有意義な研修となっ た。 多古中学校では,多古高等学校の教員が中学生に授業を行った。高度な 専門的内容をわかりやすく指導してもらい,意欲的に学習に取り組むこと ができた。(上級学校に対する見方を育てる上でも意義があった) 9 多古中学校を中心としたニュージーランドとの国際交流事業の推進 (1)多古中学校とニュージーランドとの国際交流を推進する。 教育委員会の自己評価 (1)21 年度は、多古中ALTのマギー先生の母校、ニュージーランド・テ アナウにあるフィヨードランドカレッジ生徒の受入れと多古中 3 年生のニ ュージーランドへの派遣を行った。 受入れについては、フィヨードランドカッレッジ生等 12 名の訪問があっ たが、新型インフルエンザの世界的流行のため多古中学校生徒との交流を 自粛せざるを得なかった。替わって町民との様々なふれあいの機会を設け、 カレッジ生徒の多古町民との交流及び日本文化を体験することができた。 派遣については、受入れ同様新型インフルエンザの流行収束を待って、 年度末の 3 月に実施し、多古中 3 年生 22 名を派遣した。現地ホストファミ リーでの5日間のホームステイやフィヨードランドカレッジ生徒との交流 は、生徒にとって未知の体験であり多くのものを得ることができ、いずれ の生徒も生き生きとして帰国することができた。 今後の、多古中生の国際交流事業実施にあたっては、受入れ時期、受入 れ家庭の確保、派遣する時期、費用負担等改善の余地もあり、これからの 交流事業継続に向けた取組みが必要であると考える。 - 11 - 学識経験者の意見(学校教育関係) 1 各校の特性や工夫を活かした学習活動や研修・協議を踏まえた積極的な 取り組みが伺える。 2 学習習慣の確立にもつながる「朝の10分間読書」 「教師と児童の仲良し タイム」「朝の読書タイム」等、意欲的に取り組んでいる。 3 健康保持と体力等の向上は自信にもつながり、学習面も少なからず好影 響が期待できる。家庭や関係機関とも連携し、食育や栄養と運動の両面か ら進めている活動実践の成果を評価したい。 4 授業や特別活動の中身は積極的に公開することが大切である。また、地 域の人たちにも特別講師として教育活動に参加していただくことも大きな 意義がある。 また、学校の外部評価導入も評価できる。 5 地域及び各団体の協力も得ながら安全・安心を築き上げている状況が理 解できる。安全用品の活用も重点的に推進されたい。 また、耐震工事が進んでいることは評価できる。 6 キャリア教育推進指定研究の成果を生かした教育実践が積極的に展開さ れている。小、中学生各々発達段階に応じての職場体験であるが、実りあ る教育活動として定着している。 7 多古中学校を中心としたニュージーランドとの国際交流事業は、グロー バル化に対応できる人材育成の観点からも中学生の交流には意義はある が、参加者の範囲の拡大と訪問国等について検討してほしい。 - 12 - (2)幼稚園教育関係 教育指針に基づく主な施策の方向と評価 1 幼稚園の教育活動の充実 (1)感じたこと,思ったことを自分の言葉で表現できる力を身につける。 ○ 友達の言うことを聞ける仲間関係を育てる。 ○ 大きな声で話す子どもを育てる。 (2)幼児の心の教育の一環として,絵本や物語に親しませる。 (3)人とかかわる交流活動を積極的に進める。 (4)豊富な体験活動を保育活動に取り入れる。 (5)少人数の幼稚園間の交流を図る。 (6)幼稚園経営に外部評価を取り入れる。 教育委員会の自己評価 (1)幼児の,感じたり考えたりする素直な表現を大切にし,幼児が何に心を 動かし,何を表そうとしているのかを受け止めながら指導に当たっている。 また,自分の考えと異なった考えを持つ子の存在に気づき,それぞれの個 性、自己主張のぶつかり合いをうまく捉え人間関係を育てている。 (2)よみきかせボランティアによる読み聞かせ活動や,絵本・物語・紙芝居 の読み聞かせ等により情操を高め,豊かな心を育てられるように指導して いる。また,良好な親子関係を築けるように家庭での読み聞かせや親子読 書を奨励した。今後も,心の教育の一環として読み聞かせやエプロンシア ター等を推進していきたい。 (3)幼児と幼児,幼児と教師,幼児と地域の人々等,自分の生活に関係の深 いいろいろな人とのふれあいを通して,人と関わる能力を養う。日常の活 動では,遊びなど友達とのかかわりの中で喜びや悲しみを共感できるよう な場の設定に努めた。また,保育園や小学校との交流活動,地域ボランテ ィアの方々とのふれあい活動等を今後とも積極的に展開していきたい。 (4)季節の草花・野菜の栽培や昆虫・動物にふれる体験及び季節の行事等で, 命の大切さ、季節の移り変わり等を体感できるよう,心身の調和のとれた 発達を促すようにした。 (5)社会性を育むためにはある程度の園児数の確保が必要であるため,小人 数園の常磐幼稚園・中幼稚園・久賀幼稚園の3園での交流保育を積極的に 実施した。子供たちは大勢の友達との交流を通して多くの貴重な経験をし, 人間性を豊かにすることができた。また,教師は,交流活動への共通理解 及び事前研修等により,柔軟な支援のあり方を工夫改善することができた。 園児数の減少に伴い、今後も積極的に3園交流を実施していきたい。 (6)今後の幼稚園経営に生かすためPTA集会や行事等で,保護者や地域住 民に幼稚園についての意見や要望を聞いた。それらを元に各園が取組むべ き課題を把握し,幼稚園・家庭・地域が連携した開かれた幼稚園経営に取 - 13 - り組んでいきたい。 2 家庭・地域と連携した子育て支援の充実 (1)保育参観・保育参加を実施する。 (2)幼稚園の家庭教育学級の充実を図る。 (家庭教育指導員,社会教育指導員と連携) (3)子育て相談活動を充実させる。(家庭教育指導員とも連携) 教育委員会の自己評価 (1)保護者に幼児期の教育に関する理解を深めてもらうために,保育参観, 保育参加を実施している。保護者が幼児と体験や感動を共有することで, 幼児の気持ちや言動の意味を理解する,良好な親子関係を築くことができ るよい機会である。また,保護者と教師,保護者同士の情報交換の機会と しても有効であるので今後も積極的に実施していきたい。 (2)家庭教育学級は,年度初めと年度末の4園合同中央研修の他,各幼稚園 ごとに数回実施している。内容は「親子読み聞かせ会」 「歯科衛生士の講話」 「親子ふれあいダンス」 「食育の実習」等各園で工夫している。その際,町 の家庭教育指導員より企画運営に関し指導助言を得ている。 (3)幼稚園が,地域における幼児期教育のセンターとしての役割を果たせる ように努めている。家庭教育指導員とともに,保護者の子育ての悩みや不 安を解消するための支援活動を行っている。 3 職員研修の充実 (1)4歳児保育の実践的指導力を身につける。 (2)小学校との連携・接続をより密にする。 ○ 発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実を図る。 (3)幼稚園の教育内容と保育所の保育内容の整合性の研修を進める。 教育委員会の自己評価 (1)21 年度から,多古幼稚園において 4 歳児保育を試行から本格実施に移行 し,24 名の園児が入園した。教職員は,4歳児から5歳児への継続的な保 育指導の在り方の重要性を認識し,具体的な指導方法の研修を計画的に推 進してきた。他の3園については,保育参観や多古町幼稚園職員連絡協議 会研修会,国公立幼稚園協会香取支部研修会等で研修に努めた。 (2)各幼稚園とも,幼稚園児がスムーズに小学校に進学できるよう運動会, こども祭り,なかよし給食,芸術鑑賞会,餅つき大会等の行事で交流を深 めている。また,3月に小学校に学校参観に行き,入学に向けての事前指 導を実施している。保護者については,入学前説明会等で小学校教育につ いて説明し,入学に向けての心構えができるようにしている。今後も,こ のような幼稚園と小学校の連携を通して「小一プロブレム」の解消を図っ - 14 - ていき,スムーズな小学校への移行を図っていきたい。 (3)町の教育課題の一つである「幼保一元化」に向けて,幼保一元化推進プ ロジェクトチームにおいて幼稚園教諭と保育所保育士との協議を重ねてい る。今後も幼稚園と保育所の保育参観・共同研究協議を通して,それぞれ の教育・保育内容の異同を確認し,幼保一元化に向けての工夫改善を図っ ていきたい。 4 各園の実態に即して、預かり保育について検討、実施を図る (1)預かり保育実施のための調査研究を行う。 教育委員会の自己評価 (1)各園とも園児の降園後,15 時から 16 時まで預かり保育を実施している が,利用者は決して多くはない。しかし,保護者の家族構成,勤務形態の 変化により保育ニーズは多様化しているため,今後もPTA集会や保護者 参観等の機会で保育ニーズの把握に努め,保護者の要望に沿った保育体制 の検討,実現に向けた取組みを進めていく必要がある。 - 15 - 学識経験者の意見(幼稚園関係) 1 保育参観・保育参加の実施により、体験や感動の共有と良好な親子関係 の構築、情報交換の機会として有効であった。 2 また、家庭教育学級の開設は保護者の安心と信頼を得ている。 3 外部講師による読み聞かせ活動やエプロンシアター等、就学前の子ども たちの教育に、創意工夫がされている。 4 多古幼稚園で行っていた4歳児保育の試行を、本年度本格実施したこと は評価できる 5 現状は預かり保育の利用者が少ないとのことであるが、保育ニーズの変 化等にも注目し継続的な把握に努め、実態に応じた取り組みがなされるよ う体制づくりに配慮されたい。 6 幼稚園統合や将来計画の幼保一元の実現に向けた、協議検討を進められ たい。 7 幼小のスムーズな接続の観点から小学校入学が円滑になされるよう、 様々な行事を通して心構えを作る努力が伺える。 - 16 - (3)社会教育関係 教育指針に基づく主な施策の方向と評価 1 生涯学習の充実 (1)コミュニティプラザ、公民館を拠点とする生涯学習の推進 コミュニティプラザと公民館を生涯学習施設の拠点として、各種講座の 開設やサークル活動への支援のため施設の貸し出しを行った。 また、生涯学習文化講演会として、農事組合法人和郷園代表理事木内博 一氏・理事佐藤正史氏を講師に迎え、 「和郷園の取組みとこれからの農業経 営戦略」と題して講演会を開催した。その他、1/10(日)に成人の日 記念式典を挙行し、新成人の門出を祝した。 ○コミュニティプラザ利用状況等 ア.コミュニティプラザ 開館293日 定期利用サークル 利用者延べ46,700人 団体、他企業・学校・官公署等 イ.女性大学 12回 延べ 220人 ウ.高齢者大学 12回 延べ 348人 エ.0歳児・1歳児よみきかせ会 12回 延べ411人 オ.家庭教育学級中央研修会 1回 65人 カ.祖父母家庭教育学級(中小) 6回 19人 キ.文化講演会(2/13(土) ・代表理事 講師:農事組合法人和郷園) 木内博一氏・理事 佐藤正史氏 1回140人 ○公民館利用状況等 ア.公民館利用者 開館337日 利用者延べ10,208人 (うち図書室 5,540 人) イ.公民館図書貸出 22,361冊 (登録者2,596人) (2)魅力ある講座・教室(コミュニティカレッジ)の開催 コミュニティカレッジとして、一般を対象とした「英会話教室」、小学生 を対象とする「多古っ子カレッジ」 、女性を対象とする「女性大学」、高齢 者を対象とする「高齢者大学」等の各種講座を開設、また健康維持、増進 を目的にそれぞれの年齢、技術にあわせて「健康ハイキング教室」、 「 「健康 ウォーキング教室」 、「ソフトテニス教室」等を行った。その他、家庭教育 力の向上のための「家庭教育中央研修会」や乳幼児「0.1 歳児よみきかせ会」 を実施して社会教育の振興と生涯学習の推進を図った。 ○英会話教室 10 回 5名 延べ45人 ○多古っ子カレッジ(子ども地域活動促進事業) 講座 10回 ○女性大学 小学生 12回 27名 23名 延べ199人 延べ220人 - 17 - ○高齢者大学 12回 30名 延べ348人 ○健康ハイキング教室 3回 76人 ○健康ウォーキング教室 2回 49人 (3)青少年相談員連絡協議会、子ども会育成連絡協議会の自主活動への支援 子どもたちが、各種行事を通じて交流を深め、健全な育成を図ることを 目的に活動している青少年相談員連絡協議会と子ども会育成連絡協議会の 自主活動に対して、指導、助言等の支援を行った。実施した主な事業は次 のとおりである。 ○子どもつり大会 1 回 51名参加 ○あじさい祭りでの竹コースターの作成・運 ○ドッジボール大会 2 回 参加延べ 29 チーム ○ウォークラリー大会(久賀方面) 参加 46 チーム 教育委員会の評価 (1)コミュニティプラザと公民館は、生涯学習の拠点施設として、昼夜をと おして多くの町民の方に利用いただいており、利用団体としての各種サー クルが年間を通じて毎週、毎月の定期利用によって活発な活動が行われて いる。各サークルは、コミュニティカレッジ受講生仲間から発展した自主 サークルも多数ありカレッジ開催の目的が達成されていることは評価でき る。利用者数についても、平成20年度に比較して 4,000 人近く増加して いる。 施設利用料については、近隣施設と比較して大きな開きはないが、利用 時間の設定と料金に不均衡があるので、将来的に直しを検討する必要があ る。 生涯学習文化講演会は、近年、多古町ゆかりの知識人を講師に迎え開催 している。平成 21 年度は、農事組合法人代表理事木内博一氏・理事佐藤 正史氏を迎え、町の基幹産業である農業を題材に「和郷園の取組みとこれ からの農業経営戦略」について講演を頂き、140 名の参加者であった。今 後も多くの町民にとって意義ある文化講演会を実施して行きたい。 (2)コミュニティカレッジは、子どもから高齢者まで、年齢・能力に合わせ た企画で、いずれもほぼ募集定員の参加があり好評であったと考える。 今後のコミュニティカレッジについては、新たな視点と住民ニーズに基 づきバラエティに富んだ講座・教室の年間実施計画を前年度中に策定し、 早い段階で住民に周知して多くの参加を促すことが必要であると考える。 特に団塊世代の男性をはじめ、あらゆる世代に生涯学習意欲を喚起するよ うな講座の企画なども考えてみたい。 また、バラエティに富んだ講座・教室のためには各分野の講師の確保が - 18 - 課題となっているため、人材バンクのような登録制度の検討も必要になっ てきている。 (3)青少年相談員・子ども会のメンバーの積極的な参加、ボランティア活動 に よ り そ れ ぞれ の 事 業 が ス ム ー ズ かつ 盛大 に 実 施 さ れた と い え る 。 しかし、企画運営するメンバーも日々の忙しい中でのボランティア活動で あることや子どもの数も減少していることから、参加者も一部の積極的な メンバーに偏ってしまう傾向がある。 2 家庭及び地域の教育力の向上 (1)家庭教育学級や祖父母家庭学級を通じて家庭への学習機会を提供し、家 庭教育力の向上を図る。 5/18 家庭教育学級中央研修会(全小学校1年生保護者対象) ・幼稚園家 庭教育学級開講。7/3 祖父母家庭教育学級開講(常磐小 5 年生祖父母: 19 名)。年間を通して子どもたちとの関わり、家庭教育をサポートした。 適応指導教室として「あじさい教室」を開設し、不登校等学校生活に馴染 めない児童生徒の学校復帰を支援した。 (2)女性大学、高齢者大学を開設し、学習機会を提供しうるおいのある家庭 生活に寄与する。 4/15~ 高齢者大学 年間 12 回 65 歳以上 35 名延べ348人 内容:歴史散歩・趣味と文芸等の講義や体験・移動教室 4/15~ 女性大学 年間 12 回 30~64 歳 23 名延べ 220 人 内容:調理実習・趣味と文芸等の講義や体験、歴博等町内外施設の見学 教育委員会の評価 (1) “子育ての基本は家庭である”との考えのもと、子どもとの関わり、ふれ あいのサポートを目的とした幼稚園・祖父母家庭教育学級は非常に意義が あり、成果もあったと感じられる。 また、心理的、情緒的不安定や家庭環境の問題等で不登校になってしま った児童生徒の集団生活適応、基礎学力補充、生活改善のため「あじさい 教室」を開設し、登校へ向けた支援を行ったことによって一定の効果があ った。 (2)高齢者大学・女性大学の開設は、多彩な講義内容と体験活動・視察研修 によって、参加者の新たな自己啓発と生涯学習意欲の向上に大きな効果が あったものと評価できる。また、閉講後も自主学級として独自に活動を続 けているグループが毎年できており、生涯学習を通じた地域教育力の向上 に一役かっていると思われる。 - 19 - 3 国際交流を通じての人材育成 (1)将来への夢を具体的に考え始める世代である中学生に、海外での異文化 交流通じて、新しい時代に対応できる国際感覚や思いやりの心を身につけ た人材育成を図る。 (受入れ事業) 7/5~12 日 ニュージーランド・フィヨードランドカレッジより生徒及 び教職員 12 名が来町。新型インフルエンザの影響で、ホームステイを含む 多古中学校生徒との交流はできなかったが、町文化団体や商店会等の協力 により実施した。 (派遣事業) 3/14~20 日 8月に実施の予定であったが、世界的なインフルエンザの 蔓延により、年明け 3 月に実施した。22名の生徒をニュージーランド・ テアナウのフィヨードランドカレッジに派遣した。 教育委員会の評価 (1)世界的にインフルエンザの影響が蔓延する中、受け入れ事業は、文化協 会員や商店会等の協力により、日本の伝統文化や多古町の良さを満喫して もらうことができた。また派遣事業については年度末3月の実施となった こともあり、在校生への報告、伝達の面で時間的な制約があつた。 4 生涯スポーツとしての社会体育の充実 (1)体育協会、スポーツ団体による各種大会等を通じて社会体育活動の推進 を図る。 体育協会の主催事業は町民運動会を始め、近隣小学校駅伝大会、町民 マラソン大会を実施している。参加者も多くスポーツによる町民の健康 増進を図った。しかし、秋からインフルエンザが大流行し、町民運動会 については、中止となった。 スポーツ団体による各種大会は体育協会加盟の団体を中心に開催され 生涯スポーツ活動の推進を図った。 体育協会(町民運動会・近隣小学校駅伝大会・町民マラソン大会) スポーツ団体(野球大会・ゴルフ大会・ソフトテニス大会・バレーボー ル大会・スナックゴルフ大会等) (2)体育指導委員会議による生涯スポーツ活動の普及推進を図る。また、体 育指導委員による体育行事への協力体制の充実を図る。 体育指導委員の生涯スポーツ活動の推進は担当の種目に基づき大会等 を開催して町民のスポーツへの参加を図った。また、体育行事への協力 は体育協会の事業を主に計画・運営に協力を図った。 (3)社会体育施設の有効利用によるスポーツ振興を図る。 町民体育館、グランド及び小中学校体育館(夜間利用)の利用は、利 - 20 - 用者会議を開催し、生涯スポーツ団体の利用促進を図った。 教育委員会の評価 体育協会・スポーツ団体の各種大会は、町民の健康づくりと生涯スポ ーツの振興を目的にされ、大会数も多い。また、開催により町民の健康 増進・技術の向上が図れたことは評価できる。 体育指導委員会議による生涯スポーツ活動の推進は新しいスポーツ・ レクレーション競技の導入を考えるとともに各スポーツ団体と連携をと り町民の生涯スポーツへの参加を図る。 体育協会主催事業の大会には積極的に協力体制が取れたことは評価で きる。 社会体育施設の利用は利用者会議の開催により計画的にスポーツ団体 に利用されている。施設は老朽化が進んでいるので町民の安全を考え、 維持管理されたい。 5 文化芸術活動の振興及び文化財保護の推進 (1)文化協会等関係団体の芸術文化活動への支援及び発表の場を提供し、芸 術文化活動の振興を図る。 文化協会各加盟団体には、町補助金を交付し活動を支援した。 「いきい きフェスタ TAKO」の文化祭においては、コミュニティプラザで作品展 示を 3 日間、文化ホールで芸能発表大会を 2 日間にわたり開催した。ま た、写真部や絵画部等はコミュニティプラザで展示会を、民謡部・舞踊 部・コーラス部については文化ホールで各々発表会を実施した。 そのほか、文化協会の主催事業として、千葉県三曲協会出演による芸 術鑑賞「日本の調べコンサート」を文化ホールで開催した。 (2)芸術文化の振興を推進するため文化ホール自主事業を実施し、芸術鑑賞 の機会の充実を図る。 子供から大人まで家族を対象にした事業として、ピアノとヴァイオリ ンによるクラシカルコンサート「熊本マリ&アナスタシア デュオリサ イタル」 (券売 192 枚)を催した。また、入場を無料としたクラシック音 楽会「ブレーメンの音楽会」を行い 530 人の集客を得ている。その他、 多古中生徒(参加 510 人)を対象に、ニューフィルハーモニーオーケス トラ千葉による学校音楽鑑賞教室を開催した。 一般向けの事業としては、演歌系アーティストの「ジェロ ファース トコンサート」 (券売 758 枚) 、多古名人寄席「立川志の輔 独演会」 (券 売 615 枚)を実施した。 (3)歴史民俗資料館の整備と有効活用を推進する。 県内博物館や研究機関の職員、在野の研究者、一般歴史ファン、町内 小学校の歴史学習の見学等の来館があり展示解説を行った。また、宮内 - 21 - 庁を始めとした県内外の考古学研究者から、資料研究の申出があり資料 の提供に応じた。房総のむら風土記の丘資料館には多古台古墳群出土品 を継続して年間貸出し、さらに下総歴史民俗資料館から企画展示のため 収蔵資料の借用依頼があり、多古台古墳群出土勾玉等の貸出しも行った。 (4) 町指定文化財の保存及び有効活用を図る。また、開発行為等による埋 蔵文化財を保護するため調査活動を実施する。 町指定文化財「峯の妙興寺」の案内板(道標)を設置したほか、老朽 化した「北条塚古墳」説明板を更新し、見学者の利便性を高めた。また、 歴史散歩では中村地区をめぐり、指定文化財や史跡を見学した。 開発工事に先立ち、遺跡の試掘・本調査等を実施し記録保存を行った。 本調査では、広沼地区急傾斜地崩壊対策に伴う多古台遺跡群№8 地点で多 古城関連の遺構、柏熊地区急傾斜地崩壊対策に伴う柏熊遺跡では古墳や 弥生時代の集落を護る環濠が検出された。そのほか、調査が終了した遺 跡の出土遺物の整理・報告書の刊行を実施した。多古台遺跡群№3・7 地 点は遺物の接合・実測・製図等を実施し、信濃台遺跡と八田遺跡は遺物 の水洗・注記・分類等の基礎整理を行った。町道飯笹・西古内線改良工 事に伴う高津原内野遺跡は整理・報告書の刊行を行った。 教育委員会の評価 (1)多くの芸術文化団体が、定期的にコミュニティプラザ等を利用し活発に 活動している。さらなる芸術文化振興のためにも、活動資金の援助を継続 されることを期待したい。 また、文化サークルの多くは、日頃の活動成果を主に文化祭の場で発表 しているが、その他にも随時、展示会や発表会を催す機会をもっていただ きたい。なお、現在文化協会に加盟されているサークルに限定されてはい るが、コミュニティプラザ・文化ホールの会場使用料を免除し優遇してい るので、利用されることを期待したい。 (2)良質な芸術文化に触れることは、人々の生活に潤いを与え、心を豊かに し、明日の生活の糧になるものである。 文化ホールでは、例年ドイツ国ブレーメンで活躍している歌手・ピアニ ストを招き、無料でコンサートを開催し、質の高い本場の音楽を提供して いる。また、隔年であるが、子どもから大人まで家族を対称にした親しみ やすく且つ一流のクラシック音楽のコンサートを企画した。そのほかにも、 一般に聴く機会の少ないフルオーケストラの演奏によるクラシック音楽の 鑑賞会も小・中学生を対象に例年実施している。幼少期から芸術文化に触 れ、感性が豊かになるような環境を提供することは好ましいことである。 また、世代を超えて受け継がれる音楽や落語等の伝統芸能も、品質の高い 公演を毎年継続して実施されることを期待したい。 - 22 - (3)多古町は、千葉県内においても遺跡(埋蔵文化財)の数が比較的多い方 で、昭和 50 年代後半以降、開発の増加に伴い発掘調査も多数行われてきた。 出土遺物の整理作業が済んだものも多く、資料館での展示・活用を図って いる。定期的な展示物の入替えや、わかりやすい展示説明を心がけるよう にし、埋蔵文化財に対する理解を深めていくことも重要な課題である。ま た、収蔵遺物は、考古学上価値の高いものも多く、研究者に研究資料とし て提供しているところであるが、博物館等への貸出しも含め、今後も活き た試料として活用していきたい。また、管理上の問題から県指定文化財な ど重要遺物は、現在非公開であるが、今後展示活用できるよう工夫したい。 (4)町指定文化財等の案内板や説明板は毎年設置しており、見学者に対し利 便性が高く有益なものとなっている。また、あわせて既設置板も点検し、 劣化の状況に応じた補修や交換など適切な対応を心がけている。 開発に伴う埋蔵文化財の発掘調査は、国・県の事業(一部例外)を除き、 多古町教育委員会が直営で実施している。民間、公共事業に関わらず速や かに対応できるよう、民間調査機関の委託を含め、調査態勢を整えている。 また、発掘調査終了後の出土遺物の整理、報告書刊行も例年行っている。 また、最近の発掘調査実施により出土遺物も増加してきており、今後も継 続して整理作業を実施していくことが必要と考える。 - 23 - 学識経験者の意見(社会教育関係) 1 コミュニティカレッジや青少年相談員・子ども会のメンバーが支援する 各種行事への参加も含め、今後も多様な世代が幅広く利用されるよう期待 したい。 また、コミュニティプラザ利用者の増加は評価できる。 2 家庭や地域の教育力の向上のための学習機会の提供により、一定の成果 を収めていることが示されており有用な活動として評価したい。 3 高齢者大学は主体的なライフスタイルを築くためにも意義のある講座で ある。より一層の充実を期待したい。 4 各体育行事が活発に開催されており、健康増進のモチベーションを高め ることにもつながっている。 5 体育施設について、利用団体間での調整も円滑になされ有効利用が推進 されている様子が読み取れる。体育指導委員の多様な場面での支えも評価 したい。 6 コミュニティプラザ文化ホールは利用度からするとまだ十分とは言えな い状況である。 7 文化財の取扱いについては、保存と活用及び開発工事に伴う調査活動を 積極的に行っており、担当者の知識を広く活用し、町民に対して文化財へ の理解を深められたい。 8 体育指導者の若返りの検討を進める。担い手としての若い人材の参加確 保が課題です。 - 24 - (4)学校給食センター関係 教育方針に基づく施策と主な事業内容 1 地元産品の活用推進、手作りメニューの拡大を図る (1)児童生徒の声が反映する献立 (2)生産者の顔が見える学校給食システムの工夫 教育委員会の自己評価 (1)各学校から毎月送られてくるコメント表の分析、学校給食研究会などのアンケ ートの回答等を参考に献立の作成を行なった。 献立作成に子供たちからの意見を積極的に取り入れることによりメニュー のマンネリ化を防止する効果があった。 (2)毎月の献立表に産地や生産者の紹介を掲載した。また、生産者を対象に 給 食を身近に感じてもらうことを目的として試食会を実施した。 安心・安全な給食づくりということでなるべく地元食材を使用するように 心がけている。そして栄養職員が生産者のお宅で作物の生育状況を観察し ながら農家の苦労話を伺い、その内容を給食だより・献立表に掲載し児童、 生徒そして保護者の皆さんにひろくお知らせすることで地産地消の PR が できたものと思う。 又、生産者を対象とした試食会は給食を身近に感じてもらうことで供給す る作物づくりの励みになるものと考えている。 2 学校給食センターと学校との連携強化の推進 (1)栄養職員による「食に関する指導」の充実 (2)学校給食センター職員の計画的学校訪問による実態把握の推進 教育委員会の自己評価 (1)バイキング給食や家庭教育学級等の行事に合わせて学校を訪問し「食に 関する指導」を行なった。また、学校の養護教諭との連携で開催した小児生 活習慣病に関する学習会で栄養指導を行なった。 いままで本来の給食業務との時間調整の関係でなかなか食育指導まで手 が届かなかったが 21 年度から臨時の栄養士を年間 50 日程度雇用したこと で対応がしやすくなった。今後も早めにスケジュールを立てて調整しなが ら 継続して実施する方向でいる。 - 25 - (2)学校からの要請により定期的に訪問し食育推進の充実を図った。給食 の時間に栄養職員が学校に出向き、子どもたちと給食を共にして食事のマ ナー、後片付けの仕方の指導も行った。そして小学校低学年児童、幼稚園 児の給食センターの施設見学を広く受け入れた。子供たちに早い時期での 施設見学で少しでも給食のありがたみ・食の大切さを感じてほしい。その ことにより良い食事習慣が身につくことを願っている。 今後も学校での給食の実態を把握する意味でも継続的に訪問を実施して いく。それから学校との連携強化により給食費の収納率向上に繋げていき たい。 - 26 - 学識経験者の意見(学校給食センター関係) 1 生徒の声が反映される献立作り。手間のかかることであるが温かみのあ る配慮であると思う。単なる好き嫌いだけでは献立は成立しないが栄養価 やバランスに配した形で反映されるものと歓迎したい。 2 生産者の顔が見える食材は、生産者の苦心にも思いを馳せ、食をありが たく頂くことにもつながり教育的な側面が生きてくる。食べられるありが たさ、命を大切に管理するためにも食べることの重要さが発達段階なりに 認識されるであろうことを願うものである。 3 本能的に食することから、一歩前進して健康であり続けるための食習慣 を身につけることは現代人の素養とも言える。食習慣の拙さが健康を損ね る事実に私たちは日常的に触れている。大いに指導し、啓発すべきと考え ている。 4 また、食事に際してのマナーも現代人の素養の一つである。給食のあり がたさと食の大切さを実感できるよう成長を促したい。 - 27 -