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No. 51 JULY 2016 特集 新たな一億総活躍 のかたち 特 集レポート 矢野 勝彦 一億総活躍が実現するべき社会 ~Society5.0という可能性~ 米澤 麻子/朝長 大 生涯現役社会のための健康寿命延伸 ~健康・医療IOT(ビッグデータ) と健康経営~ 小林 洋子 子育て女性の活躍と地方創生のカギは「潜在層」への働きかけと自治体の関わり 大野 孝司 介護離職ゼロ実現の鍵は「地域実態の見える化」 中林 裕詞 ~アクセシビリティ革命による雇用創出・ビジネスチャンスの拡大~ 新見 友紀子 地方における一億総活躍のかたち IoTの活用による福祉機器開発の可能性 ~都市にはない活躍~ 石上 渉/杉崎(原田)茉莉絵 一億総活躍を促進させるシェアリングエコノミー ~地方自治体に期待されるシェアリング・シティ構想~ 一億総活躍社会に向けたインバウンド観光の振興 石丸 希 ~観光振興のインフラとなる自律的な観光情報プラットフォーム構築の提案~ 岸本 純子 ~医療・ヘルスケア分野を中心に~ 上瀬 剛 シェアリングエコノミーがもたらす政策課題(EUに学ぶ) 小豆川 裕子 テレワークが牽引する働き方改革 レポート 川戸 温志 連載 四條 亨 一億総活躍社会に貢献する科学技術によるイノベーション ~全員参加型社会へのシナリオ~ 不動産業界のプレイヤーは、不動産テックとどう向き合うべきか マネジメントの復権 第4回 スタッフの管理指向を脱しよう 加藤 真由美/坂本 太郎 CIOへのメッセージ 第19回 情報システム子会社の人事制度を考える No.51 JULY 2016 Info-Future® No.51 July 2016 │2 特集 新たな一億総活躍のかたち 特 集 レ ポート 一億総活躍が実現するべき社会 ~Society5.0という可能性~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット長 アソシエイトパートナー 矢野 勝彦 生涯現役社会のための健康寿命延伸 ~健康・医療IOT(ビッグデータ) と健康経営~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット アソシエイトパートナー 米澤 麻子 NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット マネージャー 朝長 大 子育て女性の活躍と地方創生のカギは「潜在層」への働きかけと自治体の関わり NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット マネージャー 小林 洋子 介護離職ゼロ実現の鍵は「地域実態の見える化」 NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニ ット シニアコンサルタント 大野 孝司 IoTの活用による福祉機器開発の可能性 ~アクセシビリティ革命による雇用創出・ビジネスチャンスの拡大~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット マネージャー 中林 裕詞 地方における一億総活躍のかたち ~都市にはない活躍~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニ ット シニアコンサルタント 新見 友紀子 一億総活躍を促進させるシェアリングエコノミー ~地方自治体に期待されるシェアリング・シティ構想~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット マネージャー 石上 渉 NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット コンサルタント 杉崎 (原田)茉莉絵 一億総活躍社会に向けたインバウンド観光の振興 ~観光振興のインフラとなる自律的な観光情報プラットフォーム構築の提案~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット マネージャー 石丸 希 一億総活躍社会に貢献する科学技術によるイノベーション ~医療・ヘルスケア分野を中心に~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット シニアコンサルタント 岸本 純子 シェアリングエコノミーがもたらす政策課題(EUに学ぶ) NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 社会システムデザインユニット長 パートナー 上瀬 剛 テレワークが牽引する働き方改革 ~全員参加型社会へのシナリオ~ NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 社会システムデザインユニット 上席研究員 小豆川 裕子 レ ポート 不動産業界のプレイヤーは、不動産テックとどう向き合うべきか NTTデータ経営研究所 法人戦略コンサルティング部門 情報戦略コンサルティングユニット ビジネスソリューションコンサルティンググループ マネージャー 川戸 温志 連載 マネジメントの復権 第4回 スタッフの管理指向を脱しよう NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティングユニット デジタルイノベーションコンサルティンググループ アソシエイトパートナー 四條 亨 CIOへのメッセージ 第19回 情報システム子会社の人事制度を考える NTTデータ経営研究所 法人戦略コンサルティング部門 情報戦略コンサルティングユニット ビジネスソリューションコンサルティンググループ シニアマネージャー 加藤 真由美 NTTデータ経営研究所 法人戦略コンサルティング部門 情報戦略コンサルティングユニット ビジネスソリューションコンサルティンググループ マネージャー 坂本 太郎 3│ Info-Future® No.51 July 2016 04 08 12 18 22 26 30 34 38 42 47 51 55 59 都市銀行、シンクタンク等を経て 現在に至る。ライフケア産業 (生 活・介護、健康・医療、交通・ 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット長 ビッグデータ活用、ロボット化によ アソシエイトパートナー る持続可能な地域モデル創出に 矢野 勝彦 向け、政策 (官) と事業 (民)の双 方からアプローチしている。 一億総活躍が実現するべき社会 ~ ニッポンを取り巻く構造的課題 働力の利用を効率化するための革 ず、 工 場 等 の 生 産 現 場 以 外 で の 労 こうしたわが国を取り巻く構造 の 根 源、 そ れ は 人 口 減 少 と 少 子 高 ス に あ る。 人 口 の 自 然 減 と 高 齢 化 的課題を克服するための戦略とし 新的な手法も生まれてこない。 は や む を 得 な い に せ よ、 人 口 比 率 て「ニ ッ ポ ン 一 億 総 活 躍 プ ラ ン 」が 齢化に伴う人口構成のアンバラン という可能性~ 月に発足した第二 1 ニッポンを取り巻く構造的 課題 2012年 歳を超えてきた団塊ジュ 策 定 さ れ た。 プ ラ ン で は、 経 済 再 が高く ニア世代の未婚率の高まりによっ 次 安 倍 政 権 の ア ベ ノ ミ ク ス「三 本 の 矢 」(金 融 政 策、 財 政 政 策、 成 長 を「新三本の矢」にリセットした。 応 の た め、 こ れ ま で の「三 本 の 矢 」 生 と 人 口 減 少・ 少 子 高 齢 化 へ の 対 世紀に入ってから わ が 国 の 一 人 当 た りGDPは 先 進 も う 一 点、 て少子化は加速している。 %への引 で有効求人倍率が高水準になった 動 き が 停 滞 し て い る。 こ の 状 況 下 置 と な っ て い る。 勤 勉 と さ れ て き に至っては ヵ国で最下位が定位 労 働 生 産 性(=GDP/ 就 業 者 数 ) 括的な改革案を示したことや一億 若 年 層(少 子 化 )に 焦 点 を 当 て た 包 れ ま で の 社 会 保 障 政 策 と 異 な り、 え、 高 齢 層(高 齢 化 )を 偏 重 し た こ 全体的に目新しさはないとはい の は、 景 気 回 復 よ り も(特 に 賃 金 た 企 業 に も 中 高 年 層 が 増 え、 時 間 総活躍の基礎体力となる国民の予 ヵ 国 の 下 位 グ ル ー プ に 低 迷 し、 が 低 い 分 野 で の )人 手 不 足 と い う 当たりの生産性があまり重視され き 上 げ 後、 わ が 国 の 景 気 回 復 へ の 2014年 の 消 費 税 率 待 と 機 運 が 高 ま っ た の も 束 の 間、 戦 略 )に よ っ て デ フ レ 脱 却 へ の 期 40 取り組む。民営化・地域経営、 I T・ 0 . 5 y t e i c o S 策支援、高齢化・人口減少時代 01 NTTデータ経営研究所 の地域産業創出・地域活性化に 12 地域衰退の裏返しと言える。 7 8 21 7 特集レポート 住宅等)分野の事業化支援・政 YANO KATSUHIKO Info-Future® No.51 July 2016 │4 図1| 一億総活躍社会は少子高齢化に直面した我が国経済の活性化策 ー包摂と多様性による持続的成長と分配の好循環ー 15年間のデフレの継続 経済成長の隘路の根本: 少子高齢化による 労働供給減、将来に対する不安・悲観 これまでの「三本の矢」 ・企業の経常利益は過去最高水準(19.2兆円:2015年4-6月期) ・賃上げ率は2年連続で前年を上回る伸び(+2.20%=17年ぶりの高水準) ・有効求人倍率は、23 年ぶりの高水準(1.24倍:2015年9月) → 「デフレ脱却」までもう一息というところまで来ている。 (生産年齢人口:1984年8,178万人→1995年8,726万人(ピーク)→2014年7,785万人まで減少) (高齢化率:1984年9.9%→2014年26.0%に上昇) 若者も高齢者も、女性も男性も、難病や障害のある方々も、一度失敗を経験した 人も、国民一人ひとりが、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望が叶い、それ ぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる社会を創る。 (包摂と多様性) これまでの「三本の矢」の経済政策を一層強化し、民需 主導の経済の好循環を確立。 (潜在成長率の向上) ・成長の果実による 子育て支援・社会保障の基盤強化 ・安心・将来の見通しが確かになることによる消費の底上げ、投資の拡大 ・多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上やイノベーションの創出 個人消費の改善 テンポに遅れ 企業収益に比し て弱い設備投資 人手不足の顕在 化・労働供給減 (消費総合指数(前月比): 2015年7月0.0%、 8月0.6%、9月0.0%) (民間設備投資:90年 代半ば3年間約72兆円 →直近3年間約68兆円) (生産年齢人口:ピーク 時1995年と足下2014 年の差 ▲941万人) 結婚・子育ての 希望が実現しにくい 介護と仕事を両立しにくい (家族の介護・看護を理由とした 離職・転職者: 2011年10月~2012年9月 10.1万人) (合計特殊出生率: 2014年 1.42) 新・第一の矢: 新・第二の矢: 新・第三の矢: 希望を生み出す強い経済 夢をつむぐ子育て支援 安心につながる社会保障 ・賃上げによる 労働分配率 の向上 ・生産性革命による 設備投資の拡大と 生産性の向上 ・若者の雇用安定・待遇改善、 ・仕事と子育てを両立できる環境、 ・保育サービスなど結婚から妊娠・出産、 子育てまで切れ目ない支援 等 ・働き方改革による 労働参加率の向上、 イノベーションによる 生産性の向上 等 ・介護サービスの確保、 ・家族が介護と両立できる環境、 家族への相談・支援体制、 ・健康寿命の延伸 等 新・第一の矢の的 新・第二の矢の的 新・第三の矢の的 GDP600兆円 希望出生率1.8 介護離職ゼロ 新・三本の矢の好循環を確かなものとし、長く継続することで、50年後に一億人を維持。 出所| 一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策(概要) -成長と分配の好循環の形成に向けて- (http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2016/ichiokusoukatsuyaku/gaiyo20160118.pdf) は高い。 財 政 健 全 化 の 制 約 が あ る 中 で、 今 防 医 療・ 健 康 づ く り を は じ め て 戦 の 目 指 す 方 向 性 に つ い て は、 全 体 後、 プ ラ ン を 実 行 し て い く た め に 一番の課題は、安定財源である。 主 義 的 な 表 現 ぶ り は 別 と し て、 メ は、 安 定 的 な 恒 久 財 源 を ど う 確 保 略 の 柱 に 据 え た こ と な ど、 プ ラ ン ディアや世論はほぼ好意的に受け す る か が 重 要 と な る。 経 済 の 好 循 環による成長の果実を分配すると 同 時 に、 社 会 保 障 給 付 の 効 率 化・ 止めている。 2.一億総活躍プランの課題 の 分 配(少 子 化 対 策 へ の シ フ ト )を 重 点 化、 高 齢 者 に 対 す る 応 能 負 担 一億総活躍プランの重点分野は 基 本 に し た 社 会 保 障 改 革、 財 政 構 の 導 入 な ど、 世 代 間 に お け る 負 担 「強 い 経 済 」「子 育 て 支 援 」「社 会 保 とが必要である。 もう一つの課題は実効性であ る。 人 手 不 足 が 深 刻 な 保 育・ 介 護 現 場 の 処 遇 改 善 で は、 保 育 士 の 月 造改革によって財源を生み出すこ ・ 1 障 」。 そ の 具 体 的 な 数 値 目 標 と し て「GDP600兆 円 」「出 生 率 」「介 護 離 職 ゼ ロ 」が 掲 げ ら れ て いる。 少子高齢化克服、待機児童ゼロ、 円 引 き 上 げ る と し た。 そ れ で も な 万円低 1 万 一 労 働 同 一 賃 金 な ど、 社 会 保 障 の お全産業平均より月に約 6 千 円、 介 護 職 員 は 約 基盤を強化して国民の安心感を高 い 現 状 を 鑑 み る と、 こ の 程 度 の 賃 給を約 め、 消 費 を 底 上 げ し て 低 下 し て い 上げでどれだけ人手不足が解消する 11 介 護 離 職 ゼ ロ、 女 性 活 躍 推 進、 同 るわが国の潜在成長率を引き上げ かは未知数だ。一方、この程度の処 遇 改 善 で さ え 合 計 で 約2000億 るために必要な分野に幅広く目配 りが利いた内容となっている。 円の財源が必要になる。 割にとどまる非正規労働者の 同 一 労 働 同 一 賃 金 で は、 正 社 員 の 賃 金 水 準 に つ い て、 欧 州 諸 国 並 み No.51 July 2016 後はプランの実行を待つしかな い が、 現 実 的 に は そ の 実 行 ま で の 道 筋 は 容 易 に は 見 通 せ ず、 構 造 的 課題の克服に至るまでのハードル 5│ Info-Future® 6 8 矢野 勝彦 ・ 女 性 が 働 く こ と を 優 先 し、 今 後 「一 億 総・・・」と い う 目 標 を 政 府 民が同じ方向を目指すような 住 民 の 力 を 活 か す こ と も 重 要 だ。 者 が 増 え る 現 代 社 会 で は、 地 域 や 人 口 が 減 少 し、 一 人 暮 ら し 高 齢 も晩婚化が進むなら出生率を が一律に掲げたところにある。 は 人 口 は 減 少 し 続 け、2060年 ら、 国 民 総 動 員 で 目 標 に 向 か っ て GDP600兆 円 を 掲 げ た こ と か 矢 と し て 強 い 経 済、 戦 後 最 大 の 表 明 し て い る 安 倍 政 権 が、 第 一 の いみじくも経済最優先の政策を 個人が希望するライフスタイ う。 済における活躍も求められるだろ どGDPに は 換 算 さ れ な い 社 会 経 な く、 子 育 て や 介 護、 地 域 活 動 な そ こ で は、 従 来 の 市 場 経 済 だ け で で 億人を維持することはで ”働 く こ と が 活 躍 だ と 誰 し も 思 “ ル、 ワ ー ク ス タ イ ル を 選 択 で き る る し、 そ も そ も 出 生 率 が 介 護 離 職 ゼ ロ に つ い て も、 介 護 や介護離 きない。 に人口 分野の労働生産性は製造業や他の う だ ろ う。 出 生 率 社 会 を つ く り、 そ の 結 果 と し て 千円に引き上げ 産業に比べて低いため、介護分野を 職 ゼ ロ も、 個 人 が 望 む ラ イ フ ス タ 2060年 の 人 口 全国平均で時給 る と し た が、 総 人 件 費 の 膨 張 に 企 充 実 さ せ る こ と はGDP600兆 イ ル の 実 現 の た め と い う よ り も、 3 一億総活躍が実現するべき 社会とは というのが一億総活躍が描くべき れ、 経 済 成 長 の 実 現 に も 繋 が る、 本来のシナリオではないか。 という見方さえしてしまう。 歳になれば定年退職して悠々 自適のセカンドライフを楽しみた 4 0 . 5 y t e i c o S という可能性 ~IoTによる生活・産業・ い 人、 離 職 し て で も 親 や 配 偶 者 の 介 護 を し た い 人、 子 ど も の 世 話 を 人 の ラ イ フ ス タ イ ル は 多 様 だ。 社会の変革~ つも一億総活躍プランにはわが国 ワ ー ク・ラ イ フ・バ ラ ン ス は、 個 ニッポンが抱える構造的課題を し た い 人 も い る よ う に、 今 日 の 個 が直面する構造的課題の克服に向 人 が 幸 せ に 暮 ら す た め に あ り、 社 こうした課題や矛盾を内包しつ ・ 業 が 理 解 を 示 し、 受 け 入 れ る 制 度 円の実現に不可欠である労働生産 者 の 賃 金 水 準 の 底 上 げ で な く、 正 社員の賃金が下がることになれば 本 末 転 倒 だ。 い ず れ に し て も、 肝 心の具体論にはまだ踏み込めてい ない。 また、プランでは、2020年ま を継続することで、GDP600兆 けたサプライサイドの施策が網羅 克 服 し、 新 た な 一 億 総 活 躍 の か た %)の経済成長 円 を 実 現 し、 同 時 に、 出 生 率 を 会保障制度の維持や労働力確保が の 違 和 感 を 覚 え る の は、 個 人 の 価 一億総活躍という言葉にある種 い。 民が幸せにならなければ意味がな き、 生 活 の 質(QOL)を 高 め、 国 一億総活躍によって個人が輝 策と施策の矛盾を排除しながら最 て の 施 策 を イ ン テ グ レ ー ト し、 施 策 を 積 み 上 げ る の で は な く、 す べ 適な組合せを実現する新たな仕組 値 観 が 多 様 化 し た 今 日、 総 じ て 国 ち を 実 現 す る た め に は、 個 別 の 施 さ れ て い る。 し か し、 こ こ に 決 定 ・ %に高 れ ば、 減 少 す る 労 働 人 口 を カ バ ー で き ず、 経 済 成 長 を 実 質 めることは難しい。 2 ンドサイドの視点である。 、介護離職をゼロにする目 %(実質 8 8 優先目的ではない。 で名目 1 1 1 的 に 欠 け て い る も の が あ る。 デ マ 標 設 定 を し て い る が、 現 在 の 倍に労働生産性を向上させなけ 2 8 2 60 1 ~ 3 億人が維持さ を い か に つ く る か、 そ の た め の 設 ・ まで高めることは一層困難とな 1 経済成長のための手段に過ぎない 1 8 性の向上と矛盾することになる。 割 程 度 を 目 指 し、 最 低 賃 金 も 01 計 は ま だ こ れ か ら だ。 非 正 規 労 働 の 特集レポート 8 1 3 Info-Future® No.51 July 2016 │6 リ ュ ー・ コ ミ ュ ニ テ ィ(LVC)と こ れ ま で 私 た ち は ラ イ フ・ バ る。 み(プ ラ ッ ト フ ォ ー ム )が 重 要 に な る。 ベーション会議で打ち出されてい ト が 内 閣 府 の 総 合 科 学 技 術・ イ ノ せた というコンセプ AIな ど の 高 度 情 報 技 術 を 融 合 さ 択可能性)も実現する。 スタイルも変革し、その多様性(選 て、 人 の ラ イ フ ス タ イ ル、 ワ ー ク と考えられていた社会に向かっ 可 能 と な る。 こ れ ま で 実 現 不 可 能 地方創生が失速するのではないか 看 板 が 一 億 総 活 躍 に 掛 け 替 わ り、 最 後 に、 安 倍 政 権 に よ る 政 策 の ないだろうか。 そ新たな一億総活躍のかたちでは 0 . 5 y t e i c o S 伴 っ た 社 会、 イ ン テ リ )を 度情報技術がもたらす それだけに留まらず、高 は 済力の向上を図るのに よる労働生産性及び経 報 技 術 に よ る 産 業 の 革 新、 そ れ に が高度情 があらゆるプロセスで人間の役割 と な る。 さ ら に、AIや ロ ボ ッ ト 現 役 で 活 動 す る(働 く )こ と が 可 能 によって健康寿命が延伸され生涯 に も な り 得 る。 ま た、 個 別 化 医 療 り な が ら 商 品・ サ ー ビ ス の 提 供 者 換 さ れ る 一 方、 誰 も が 消 費 者 で あ 的サービスがパーソナル対応へ転 トがゼロに近づき大量生産や画一 例 え ば、 設 計・ 生 産・ 販 売 コ ス えてくるに違いない。 ティとは異なる地方のかたちも見 配 が 普 及 す れ ば、 コ ン パ ク ト シ 運 転・ 無 人 タ ク シ ー や ド ロ ー ン 宅 ス の シ ェ ア リ ン グ が 実 現 し、 自 動 か。 こそ実現していくべきではない 少子高齢化の最前線にある地方で だろうか。むしろ、一億総活躍を、 0 . 4 y r t s u d n I ジェンスによって課題 を 代 替 し て く れ る の で、 人 は(労 で先行的に と い う 見 方 が あ る。 果 た し て そ う い う 呼 称 で、 こ の プ ラ ッ ト フ ォ ー a t a D g i B 人材の育成 ドイツの が 解 決 さ れ る 社 会、 そ 働 生 産 性 の 高 い )高 付 加 価 値 で 創 る べ く、 自 治 体 や 企 業、 住 民 団 体 出所|第5期 科学技術基本計画 ム の あ り 方 を 提 言 し て き た が、 こ 、 し て 何 よ り も 人(デ マ ン 造的な活動に専念することができ 等のステークホルダーからなる協 0 . 5 y t e i c o S e u l a V では高度 た商品やサービスを提供する仕組 多様なニーズにきめ細かく対応し で 商 品・ サ ー ビ 私 た ち は、 北 海 道 の モ デ ル 地 域 を始めたところである。 議 会 を 組 成 し、 す で に 具 体 的 活 動 を実現す 0 . 5 y t e i c o S 情報技術によってあら み を つ く り、 ① 社 会・ 経 済 的 課 題 0 . 5 y t e i c o S ゆる情報がネットワー の 解 決 を 図 り な が ら、 ② 生 活 の 質 0 . 5 y t e i c o S 新 し い 価 値( 対 し て、 ド サ イ ド )が 主 役 と し て る。 ク に 集 ま り、 コ ス ト ゼ (QOL)を 向 上 さ せ、 ③ そ の 結 果 さ ら に は 言 語 等 に よ る 格 差 な く、 こ の よ う に 地 域・ 年 齢・ 性 別、 快適で豊かに暮らす超 スマートライフを実現 する社会である。 ロで最適な資源配分が と し て 経 済 成 長 に 繋 げ る。 こ れ ら を 三 つ 巴 に 実 現 す る 社 会、 こ れ こ 設 計 さ れ、 そ れ を 現 実 社会に反映することが No.51 July 2016 7│ Info-Future® 新しい事業・ サービス おもてなし システム 地球環境情報 プラットフォーム 自然災害に対する 強靭な社会 〔測位・認証等の既存システムも活用〕 統合型材料開発 システム 情報通信基盤 の開発強化 新サービス向け 規制・制度改革 インフラ 維持管理・更新 インターフェース、データ セキュリティの フォーマット標準化 高度化・社会実装 スマート生産 システム 地域包括 ケアシステム 超スマート社会 サービスプラットフォーム スマート・フード チェーンシステム 新たな ものづくりシステム エネルギー バリューチェーン 高度道路交通 システム 標準的データ の活用 のLVCにIoTや 図2| Society5.0を支える共通プラットフォーム ア領域の事業開発を経て現職。 大手保険会社においてヘルスケ 遠隔医療、企業や保険者の健康 NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 康増進や疾病予防、高齢化対策 コンサルティングユニット グ・調査に取り組んでいる。 専門 アソシエイトパートナー はヘルスケアビジネス、社会保障。 米澤 麻子 生涯現役社会のための健康寿命延伸 求められる健康寿命延伸、 きな社 会 課 題となっている。 保 障 費にかかる財 政 負 担の軽 減が大 である。 る社 会( ~健康・医療IOT(ビッグデータ)と健康経営~ 生涯現役社会の実現 の改 革のみで達 成できるものではな 大への対 応は、 医 療・介 護保険 制 度 IoT 個人と社会の価値を高める 人 口 減 少 社 会 、 社 会 保 障 費の増 我 が国 は 経 済 成 長 や 社 会 保 障 制 い。 むしろ、 人々が若 年 世 代から心 度の充 実 等により、 戦 後 男 性 ) このよう な 社 会の実 現に向けて、 歳 で あった 平 均 寿 命 が 社 会 参 加し生きがいのある生 活を享 昨 今 開 発 が 進 むI oTやA I等 の 女 性で 1970 年 代 後 半までにはスウェー 受し、 最 期まで生きることができる 従 来のITのように紙の置き 換えや デンを抜いて世 界一の平 均 寿 命になっ 生 涯 現 役 社 会は、 単に可 能 な 限 効 率 化 に 寄 与 す る だ け で は な く、 新 技 術は、 個 人 と 社 会の価 値 を 高 り 働 くこと を 目 指 す ものではない。 データの 取 得 、 蓄 積 、 分 析 、 活 用 よう な 生 涯 現 役 社 会 を 実 現 するこ 一方 、 出 生 率は低 下しており、 我 一人ひとりが生 涯にわたって自ら尊 厳 を 通 じ、 高い付 加 価 値 を 提 供 し 競 た。 そ の 後 も 我 が 国 の 平 均 寿 命 、 が国は既に人口減 少 社 会を迎えてい を 持 ち ながら 生 き 方 を 選 択 し 決 定 争 力を強 化させるものである。 めるものになりうる。 この新 技 術は る。一人一人の健 康 寿 命 を 延 伸し 社 できるという 生きる価 値 を 感じられ ている。 会 活 力 を 維 持 するとと もに、 社 会 とが望まれる。 身の健 康を維 持し、 高 齢になっても 歳、 y t i n u m m o C e u l a V e f i L やケアマネジメントを中心に医療・ 50 健 康 寿 命は世 界 最 高 水 準 を 維 持し 54 02 ライフ・バリュー・クリエイション 保健・福祉分野のコンサルティン 特集レポート 経営やメンタルヘルス、地域の健 YONEZAWA ASAKO Info-Future® No.51 July 2016 │8 医業経営コンサルティング会社、 の医療・介護提供体制の再整備 医療機関を経て現職。 主に地域 をテーマにコンサルティング・調査 なり、個人の健康価値を高めること に把 握し適 切な判 断を下せるように ことにより、 自らの健 康 状 態を正 確 を 用いて取 得したデータを 活 用 する ヘルスケア分野においては、I oT 移を確 認できることにより、 健 康 維 た生 活 習 慣や血圧などのデータの推 ができよう。例えば自らの歩数といっ するリテラシーとも 言い換 えること に 繋 がる。 健 康 価 値 は、 健 康 に 対 提 供されることが可 能になる。 ゲノ た医 療やヘルスケアサービスが適 切に 分 を 導 き 出 すことや、 個 別 化 され 域や保 険 者にとっての最 適な資 源 配 医療 情 報を分析することにより、地 可 能 性 があ る。 集 約 さ れた 健 康・ 一般民間企業 その他 各種機器 健 康 に 関 わ る デー AIを 適 用 する取り組みが進んでい 海 外 ではこのよ う なヘルスケアに る。 米 国においては先 進 的な取 組み タ と し て は、 N D B( l a n o i t a N n o s t a W 単 位 では、 医 療 機 さ れ ている。 地 域 データベースが構 築 数の全国規模の 個 人の健 康データに基づいて 顧 客に ている。 また海 外の民 間 保 険 会 社が ンチャー企 業による 取 組みが加 速し 系 企 業や医 療 機 器メーカー企 業 、ベ 療 支 援が知られているように、 IT 」による 診 関 が 連 携 す る ネッ 対する付 加 価 値サービスや保 険 料の としてI BM 「 トワ ーク を 通 じ て 減 免を行うケースも生まれている。 )等 複 集 め ら れ た デ ータ 以上で述べたようなヘルスケアにお e s a B a t a D 生活・サービス情報 (見守り、フィットネス、 宅配、美容、各種ポイント) への期 待も大きい。 持への 気 づき を 与 タブレット 全 国 的 な 医 療・ ムやバイオと結 び付いた個 別 化 医 療 研究機関 個人 日々のバイタルデータ (血圧、血糖値等) ・健康情報(摂取カロリー、 活動量等)会話データ等 個人 自治体 自治体 健康・生活等 サービス事業者 健康・生活等 サービス事業者 雇用主 スマホ レセプト情報 雇用主 介護事業者 ロボット 介護情報 介護事業者 保険者 分 析 健診情報 保険者 健診機関 服薬情報 健診機関 フィードバック で 構 成 さ れ る デー 関 や 保 険 者 、 個 人 等の 様々な 主 体 けるIo Tのプレーヤーと 情 報 を 整 今 後 この よ う な がデータ取 得の入り口となり、 蓄 積 タベースも開 発され 大 量 の デ ータ の 分 されたデータを 目 的に応じてA I等 理したものが、 図1である。 医 療 機 析に機 械 学 習 等の の技 術 を 用いて分 析 を 行い、 データ ている。 A Iを 適 用 す る こ のフィードバック を 各 主 体 に 行 う。 ( 図1) と に より、 新 た な 価 値 が 提 供 さ れる No.51 July 2016 9│ Info-Future® えることができる。 医療機関 臨床検査機関 PC 検査情報 薬局 薬局 医療機関 診療情報 臨床検査機関 データの提供 フィードバック データ分析(AI) データの蓄積(ビッグデータ) データの取得 5.2% NTTデータ経営研究所 研究に従事。 診療情報管理士、 社会システムコンサルティング部門 医療情報技師。 ライフ・バリュー・クリエイション コンサルティングユニット マネージャー 朝長 大 TOMONAGA DAI 図1| ヘルスケア×IoTのプレーヤー 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 02 米澤 麻子 朝長 大 果としての行動変容を促すツール こ れ ら は 自 ら の 状 態 把 握、 そ の 結 き る 端 末 は 数 多 く 市 販 さ れ お り、 が ひ と つ の 柱 と な っ て い る。 働 き 実 施、 評 価 を 行 う「デ ー タ ヘ ル ス 」 セ プ ト デ ー タ を 分 析 し 計 画 の 策 定、 必要である。 ①個人の健康管理の在り方 にわたる健康管理の在り方につい ま ず 必 要 な こ と は、 個 人 の 生 涯 い た 健 康 経 営 を 進 め る こ と で、 企 て の 検 討 で あ る。 ラ イ フ ス テ ー ジ 方 の 改 革 も 含 め て、 デ ー タ に 基 づ 端末は糖尿病等の生活習慣病予防 業、 家 庭 を 含 め た 価 値 向 上 に 貢 献 と し て 期 待 さ れ て い る。 こ れ ら の や 体 重・ 栄 養 管 理、 母 子 健 康 管 理 や要医療等の状態に応じて必要と 康改善を促す対象によりサービス さ れ る 介 入 サ ー ビ ス も 異 な る。 健 することであろう。 普及に不可欠な情報基盤の整備 等 のPHRサ ー ビ ス に お い て、 行 動変容やセルフモニタリングに活 用されている。 前述のような様々なサービスの る デ ー タ と、 全 国 規 模 の 健 診 等 の な さ れ て い る。 上 述 のPHRに よ ト等の大量のデータ取得や分析が 用にはまだ時間がかかるのが実情 存 在 し て お り、 大 規 模 な デ ー タ 活 報基盤を構成するデータは個別に し か し、 現 在 は 前 述 の よ う な 情 健康・医療情報が活用される。デー よ り 効 果 的、 効 率 的 に す る た め に ①で検討される介入サービスを ②健康改善に用いるデータの在り方 主 体 や 効 果 的 な 行 動 変 容 の 方 法、 な か で も、 個 人 の 健 康・ 医 療 情 報 デ ー タ を 併 せ て 情 報 基 盤 と し、 情 で あ る。 今 後、 整 備 が 予 定 さ れ て タに基づく階層化や効果評価、デー 一 方、 保 険 者 を 中 心 に デ ー タ ヘ を 活 用 し た サ ー ビ ス はPHR 報を活用しやすくすることにより、 い る 医 療 等IDを 用 い た デ ー タ タの可視化による健康改善への気 関わる医師等の有資格者が変わる。 サ ー ビ ス と 呼 ば れ る。 生 涯 に わ た 個人の健康価値をさらに高めるこ ベースの連携や標準化に向けた取 ル ス 計 画 に 基 づ き、 健 診 や レ セ プ り 健 康・ 医 療 情 報 を 蓄 積 す る とができるだろう。 d r o c e R h t l a e H l a n o s r e P る。 例 え ば 心 拍 や 心 電 波 形 を 随 時 なウェアラブル機器が誕生してい を 取 得 す る 端 末 と し て、 既 に 様 々 PHRサ ー ビ ス に 用 い る デ ー タ を 高 め る も の と し て、 今 後 広 が る 対 す る ニ ー ズ を 満 た し、 健 康 価 値 康管理の取組を経営的視点から考 る と の 考 え 方 に 基 づ き、 企 業 が 健 来的に企業価値を高める投資であ す る 健 康 保 持、 増 進 の 取 組 が、 将 営 は、 人 的 資 本 で あ る 従 業 員 に 対 高 め る こ と も 期 待 で き る。 健 康 経 活 用 す る こ と に よ り、 企 業 価 値 を 例えば 「健 康 経 営 」に 情 報 基 盤 を を 可 能 と し て い く た め に は、 次 の す る 情 報 基 盤 を 整 備 し 分 析・ 活 用 で は な い。 む し ろPHRを 中 心 と 問題は一元化に関わる部分だけ 析も困難な状況に陥っている。 らが整備されていないがために分 大 変 な 労 力 が か か っ て い る。 こ れ 個々のデータを一元化することに 組は緒に就いたばかりであるため、 報 を 誰 が 蓄 積・ 管 理 し、 誰 と 連 携 こ の よ う に 用 い る 健 康・ 医 療 情 健診情報、レセプト情報、検査デー る 血 圧、 活 動 量 等 の 情 報 の ほ か、 人からデバイス等を通じて得られ る。 そ の 際 用 い ら れ る 情 報 は、 個 づきを促すことに情報は活用され ) モ ニ タ リ ン グ で き る 製 品 や、 日 々 え、戦略的に実践することである。 ようなステップで検討することが ことが期待される。 の 歩 数 や 活 動 量 だ け で な く、 血 圧 健 康 経 営 の 取 組 と し て、 健 診 や レ ③データ収集・蓄積の在り方 タ、診療記録等がある。 や 体 重、 血 糖 等 を 計 測 し 記 録 が で ( PHRサ ー ビ ス は、 個 人 の 健 康 に PHRサービス 健康価値の向上に資する 特集レポート Info-Future® No.51 July 2016 │10 療機関や保険者がそれをサポート け る こ と は 容 易 で は 無 い た め、 医 る が、 本 人 が 自 ら 蓄 積・ 管 理 し 続 PHRは 本 人 が 管 理 す る も の で あ す る か の 検 討 が 必 要 で あ る。 ン等の方法を規定する必要がある。 し の 頻 度 や オ ン ラ イ ン、 オ フ ラ イ と な る。 そ の 際、 デ ー タ の 受 け 渡 タビリティを確保する方策が必要 とを想定する場合は、データのポー お い て、 ポ イ ン ト を イ ン セ ン テ ィ れまで弊社が実施した実証事業に へ の ア プ ロ ー チ が 課 題 と な る。 こ す る ③ に 関 し て は、 健 康 無 関 心 層 とりわけ個人からデータを収集 を 持 続 さ せ る た め に も、 私 た ち は 社 会 ( 会、いわば生きる価値を感じられる まで安心して生きることができる社 生きがいのある生活を享受し、最期 y t i n u m m o C e u l a V e f i L ②で検討されているようなデータ と な る。 一 次 利 用 と し て は、 既 に のように活用するかの検討も必要 ③ で 収 集・ 蓄 積 さ れ た 情 報 を ど 討が必要である。 情報の管理の在り方についての検 収集する際の方法 (デ バ イ ス 等 ) 、 得の在り方についての検討に関連 タ受け渡し共有に係る本人同意取 スモデルの検討も必要である。デー 的に基盤を維持するためのビジネ 検 討 す る 必 要 が あ る。 さ ら に 持 続 と な る 担 い 手、 シ ス テ ム 機 能 等 を 置 付 け や 機 能 を 整 理 し、 管 理 主 体 め の 基 盤 が 必 要 と な る。 基 盤 の 位 行 う た め に、 デ ー タ 共 有 を す る た ⑤のようなデータの受け渡しを と が 結 び 付 く こ と に よ り、 新 た な や 住 宅、 保 険 等 様 々 な 産 業・ 業 種 な く な い。 ヘ ル ス ケ ア 産 業 と 食 品 ロ ー チ が、 健 康 に 資 す る こ と も 少 ヘルスケア領域以外からのアプ は顧客獲得に不可欠である。 可 欠 で あ り、 民 間 ビ ジ ネ ス と し て しては事業効果を高めるために不 の ア プ ロ ー チ は、 保 険 者 や 行 政 と を 実 施 し て き た。 健 康 無 関 心 層 へ ウォーキングを促したりする事業 ランティア活動を兼ねながら ブ に 用 い た り、 退 職 者 を 対 象 に ボ いりたい。 の価値を高めることに貢献してま IoTを 活 用 し な が ら ヘ ル ス ケ ア ) に 基 づ く 階 層 化 や 効 果 評 価、 デ ー し て、 情 報 を 取 り 扱 う 代 理 機 関 を 価 値 を 生 む で あ ろ う。 例 え ば 高 齢 す る こ と に な る で あ ろ う。 ま た 蓄 タの可視化によるフィードバック 用いる方策も検討されているとこ 者の社会参加は生活に彩りを加え、 ④データの活用の在り方 ち、 そ の 情 報 が 蓄 積 さ れ る 仕 組 み 今後人々が広く健康に関心を持 のような社会参加が実際に健康維 の 維 持 に も 貢 献 す る で あ ろ う。 こ 好 循 環 を 生 む と と も に、 社 会 活 力 ⑥データ共有基盤の在り方 等 が あ る。 二 次 利 用 と し て は 行 政 ろである。 積・ 管 理 す べ き 情 報 項 目 や 情 報 を の施策立案、学術研究や治験・マー を 構 築 す る こ と が、 情 報 基 盤 が 持 持 に 役 立 っ て い る こ と をIoTに 健康の維持に更に寄与するという ③ や ④ に お い て デ ー タ の 収 集・ 続的なものとなるために不可欠で より示すことができればこの循環 ケティング等がある。 活用にあたり複数の組織をまた あ る。 単 に ウ ェ ア ラ ブ ル 機 器 や ⑤データの受け渡しのあり方 がって情報がやり取りされる場合 を促進することができる。 超少子高齢社会において、人々が PHRを 提 供 す る だ け で は、 情 報 基盤として活用することは難しい。 や、 そ も そ も ① に お い て 個 人 が 生 涯にわたり健康情報を管理するこ No.51 July 2016 11│ Info-Future® 国 際 機 関、 外 資 系 会 計 事 務 所 税 務 部 門を経て2006年6月より 現職。 少子・高齢化や女性の活 マネージャー 小林 洋子 査に携わる。 育 児 と 子 育 ての 両 立 は 長 年 取 り 子育て女性の就労継続は 策を考 察する。 子 育 て 女 性 が活 躍 す るための 有 効 子育て女性の活躍と地方創生の カギは「潜在層」 への働きかけ と自治体の関わり 1 はじめに 割 組 ま れて き たテーマで あ る も のの、 出 産 前に仕 事をしていた女 性の が退 職するという 現 実がある。 何が 一つの可 能 性は、 意 欲はあるが諦 「一億 総 活 躍 社 会 」。 少 子 高 齢 化 戦し、 若 者 、 高 齢 者 、 女 性 、 難 病 めている 就 労・キャリアアップの「 潜 の調 査( 図 厳しい や 障がいのある 方 を 含め、「 個 人 」が 在 層 」への 働 き かけ と 考 え ている。 の割 合は 有 効 なアプローチなのか、 社 会は決 希 望 をかな え、 能 力 を 発 揮 、 生 き 筆 者が潜 在 層に着 目する契 機となっ した女性の ・ %、逆に 「 就業継続 」 による労 働 力の減 少や将 来に対する がいを感じる社 会を創る、それが強 たのは木 更 津 市が進める「 I C Tを (育 児 休 業なし、 育 児 休 業 利 用の合 め手を模 索 中といえる。 医療介護、ヘルスケア、マイナン バーに関するコンサルティングと調 様々な不 安に国を挙げて正 面から挑 い経 済 を 生 み 出 す 好 循 環 を 作 る 取 活用した子育て世代女性支援事業 」 ) によると、「 出 産 退 職 」 国 立 社 会 保 障・人口問 題 研 究 所 組みが始まった。 「一億 」の前 提が男 女 である。実 質 ヵ月で参加 者の 割 の希望出生率 ・ が叶うことに鑑 が就 労する等の成 果を出した。 あ て、 本 事 業 を 概 説 す る と と も に 計) の割 合はほとんど 変 わら ず % 年 間で増 加しており出 産 1 20 43 9 ・ %にのぼる。 た 女 性 で 見 る と、 出 産 退 職 割 合 は 前 後である。 妊 娠 前に仕 事をしてい 25 ライフ・バリュー・クリエイション らしを再構築するか、ITをどのよう 6 3 本 稿 では、 子 育 て 女 性 に 焦 点 を みれば、 女性の活躍 、とりわけ子 育 てしながら働く女 性の増 加が期 待さ れているといえよう。 1 3 社会システムコンサルティング部門 換期においてどのように地域・暮 2 62 8 1 03 コンサルティングユニット に活用するかをテーマに子育て、 特集レポート NTTデータ経営研究所 躍推進、地方創生等、社会の転 KOBAYASHI YOKO Info-Future® No.51 July 2016 │12 図1| 第1子出産前後の妻の就業状況と有業者に占める出産退職の割合 90% 70% 34.6% 32.8% 28.5% 24.1% 40.6% 43.9% 11.2% 14.8% 17.1% 1995-99 2000-04 2005-09 5.7% 8.1% 1985-89 1990-94 発 的 退 職 」と 同 程 度の割 合で「 意に 出 産 を 機に退 職 した 理 由 は、「 自 た合 計特 殊 出生 率 ・ を下回った みは、 19 9 0年に過 去 最 低であっ ・ ショック 」が契 機 と れる。 「 家 事・ 育 児 に 専 念 す るため が問 題と認 識され、「 少 子 化 対 策 」と される。 政 府 として 出 生 率 の 低 下 いわゆ る「 58 自 発 的にやめた 」という 自 発 的 退 職 そわない退 職 」であることが注 目 さ 1 して保 育サービス拡 充や地 域 子 育て 57 %に対して、 仕 事と育児の両立の 1 支 援センター等の整 備が図られた。 を 記 録、 新 難しさ、 解 雇された・退 職 勧告され 歳) ・ そ れで も 出 生 率 の 低 下 は 下 げ 止 歳から 就 労の有 無にかかわら ず「 全ての子 しい対 策の必 要が認 識され、 母 親の 合計特殊出生率 たいわゆ るマタハラ、 夫 の 転 勤 等 の %とほぼ 同じ 割 合である。 ま ら ず 2 0 0 5 年 には 過 去 最 低 の は ・ 子が %にのぼる (平 成 和(ワーク・ライフ・バランス)」の実 会 対 策 白 書 )。 就 労 継 続 意 欲 はあるが出 産 を 機 にあきらめた女 性は 1 めの緊 急 対 策 」では、「 子 育て支 援 」、 本の矢 」として結婚・妊娠・出 産・ 月 に 策 定 さ れた 新 たな少 子化 社 会 対 策大 綱は、 結 婚・ 子 育て 女 性 支 援は政 府 を 挙 げて 妊 娠・子ども・子 育てに温かい社 会 2015年 の充実・強 化が図られた。 育 児の切れ目ない支 援のための政 策 「 た な 対 策 の 柱 に 加 わり、 これ ら を 児と仕事の両立は無理だとあきらめ にのぼると考えられる。 「 働 き 方 改 革 」に出 産 前から 支 援 を %)。 自 発 的 退 職 者には育 62 た女 性も含まれると考えられ、就労・ × ・ 25 行 う「 結 婚・妊 娠・出 産 支 援 」が新 8 キャリアアップの「 潜 在 層 」は相 当 数 2 01 3 年の「 少 子 化 危 機 突 破のた 現 も 重 視 さ れ る よ う に な っ た。 27 %( ・ % 方の見 直しによる「 仕 事 と 生 活の調 育て家 庭 」の子 育てを 支 援 すること 子 育 て 中( 第 26 の 女 性の 就 労 意 向は高 く、 全 体の 18 に 視 点 が 移 された。 同 様 に、 働 き 0 別の 調 査では、 就 労 状 況 を 問 わ ず 8 問 題という 本 人の意にそわない退 職 39 年度少子化社 1 1 3 9.7% 13.0% 出産前に働いていた女性の6割が退職 就業継続(育児休業なし) 妊娠前から無職 就業継続(育児休業利用) 出産退職 不詳 出産退職 30% 39 国の子育て女性支援 3 39.3% 37.7% 86 取り組まれてきた。 国における取 組 No.51 July 2016 13│ Info-Future® 35.5% 50% 39 3 11.9% 16.3% 0% 4.1% 37.4% 40% 18.3% 10% 3.8% 就業継続 (育児休業 なし) 20% 就業継続 (育児休業 あり) 60% 3.4% 80% 3.1% 100% 出所| 国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」に基づいてNTTデータ経営研究所作成 受け皿拡大が図られる。 子育て中の女性活躍に必 じ、結 果 的に「 自 発 的 退 職 」に至った 代 の 子 育 て 世 代 女 性 の 人 口が 市では人口が増 加しており、 特に ~ 増 加している。 また、 国 内 最 大 級の 政 府 を 挙 げた 取 組みが継 続 的に行 子 育 て 女 性 の 就 労 意 欲 は 高 く、 注 目 されたように、 待 機 児 童 解 消 「 保 育 園 落 ちた 」ブログが社 会 的 に しかし、同 市の女 性の労 働力 率は 皿となっている。 の 実 現 を 目 指 し て、 2 0 2 0 年 ま 全 国 より 低 く、 特 に 子 育 て 世 代 の 歳 は 全 国 より 所である。 預け先がなければ働けな 勢 調 査 )。 「 木 更 津市 子ども・子 育て 歳から 実において、 筆 者は本 質 的な課 題は いため保 育の受け皿拡 大が必 須であ 職 割 合 が働 く 女 性 の 働 き 方 改 革 の 面 では、 男 女 の 長 育 児と仕 事の両立にまつわる不 安 低 支 援 事 業 計 画 」策 定のため実 施され ポイント 近 く 低い (2010年 国 時 間 労 働の抑 制 、 年 次 有 給 休 暇の ることは無 論であるが、 後 述する木 「一億 総 活 躍 社 会 」の人口一億 人の 更 津 市の事 業で行った女 性アンケー によると、未 就 学児を持つ女性の約 たニーズ調査報告(2014年 発 揮し、 活 躍できる 環 境 を 整 備 す 業 生 活において希 望に応じて能 力を が出 産 と 就 労(継 続 )という「 行 動 」 が叶 うことである。 しかし、「 希 望 」 前 提は、 国 民の希 望 出 生 率 対 す る 会 社 の 理 解 」、「 職 場 の 雰 囲 与 」、「 通 勤のしやすさ 」、「 子 育てに トップ5は「 勤 務 時 間 」、「 時 給・ 給 ある。 方、 非 就 労 者の 女 性の約 月) トによると、子 育て世 代女 性が就労・ るため 女 性 活 躍 推 進 法 が制 定 され に変わるのは簡 単ではない。 筆 者 自 気 」であり、 預け先の有 無は 3 %が非 就 労であった。一 %に就 労 意 欲 が 日 本 全 国 の 自 治 体 が子 育 て 世 代 ターゲットにすることで、同 市への移 のの就 労 をあきらめていた潜 在 層 を まち 」を実 現し、 就 労 意 欲はあるも 多 様 なワークスタイルを 実 現できる を 活 用しながら「 子 育て世 代 女 性が 代 女 性 支 援 事 業 」を 実 施 。 IC T 年 度に「 I C Tを活 用した子 育て世 の就 労意 欲に応じるべく、20 15 同 市は非 就 労の子 育て 世 代 女 性 35 50 女 性 の 人 口 減 に 悩 む なか、 木 更 津 果~潜在層から顕在層へ 木更津市の事業概要と成 9 %、 小 学 校 低 学 年 の 児 童 を 持つ る 等 、 男 女 ともにワークライフバラ 身 の 子 育 ての 日 常 やパパママ向 けの であった。 就 労 継 続 にあ たり 重 視 す ることの ンスが実 現し、 女 性が活 躍できる環 地 域 や 会 社 での 活 動 等 を 通 じて 認 番目 境づくりが進んでいる。 「女性活躍加 識 した 事 は、 子 育 て 中 の 女 性 の 多 両 立 不 安 、 育 児 休 業 中の女 性は復 速 の た め の 重 点 方 針2016 」で 最 新の「ニッポン一億 総 活 躍プラン」 職 不 安 、 退 職 女 性は就 労 経 験のな くは様々な 不 安 を 抱えている事であ では、「 待 機 児 童の解 消 」を対 策の柱 さやブランクによる再 就 職 不 安を抱 は、子育て女性に多い非正規雇用の に据 え、 施 設 整 備 と 待 遇 改 善によ えている。 不 安から「あきらめ」に転 る。 就 労 中の女 性は育 児 と 仕 事の ・ 5 同一労働同一賃金も盛り込まれた。 8 る 保 育 士 人 材 の 増 加による 保 育 の 5 72 1 業 取 得 の 促 進 等 に 加 え、 女 性 が職 減 と 両 立 が可 能 な 仕 事 の 創 出 だ と 34 促 進 、 短 時 間 勤 務 制 度や 所 定 外 労 25 考える。 6 働の制 限の義 務 化 、 男 性の育 児 休 している。 に目が行きがちだが、まず 求められ 出され、移 住した女 性の雇 用の受け 5000人 を 超 え る 雇 用 の 場 が創 実 現 す る 行 動 に 移 るには、 不 安 が )。 大 型 商 業 施 設 の 進 出 に よ り、 が必 要である (図 低 減 される「きっかけ 」と「プロセス」 りするケースも見 聞きした。 希 望を 20 われているにもかかわらず、 出 産 退 要なこと(仮説) 40 での 数 値 目 標 を 掲 げ 取 組みを 実 施 また、子 育て女 性の就 労と言えば 2 4 中 心 層の 小林 洋子 ているのは子 育てしながら働ける場 03 割 という 現 特集レポート Info-Future® No.51 July 2016 │14 図2| 就労等・キャリアアップ志向に変わるプロセスイメージ (非就労者の場合) 無関心 関心はあるが不安 意欲 開始 ステップ 4 ■ ステップ 3 ■ ステップ 2 ■ ステップ 1 ■ ● 働くことに関して意識 していない段階 (無関心層) 働きたいと特に思ってい ない ● ● ● 働くことに関して関心 はあるが、不安で行動 に至らない段階 ● ● 働きたいが、育児と両立 できるのか不安 ● ブランクがある、働いた ことがなく、自信がない 何から始めたらいいのか 分からない 働くことに前向きにな る段階 ● 漠然とした不安が解消さ れ、働くことに前向きに なる 働くことに向けて取り 組みを開始した段階 求職活動やスキルアップ、 子どもの預け先の確保 等、働くために必要な取 り組みを始める 仕事と子育ての両立イメ ージを持つ 自分らしく仕事をするゴ ールイメージが湧き、働 くことに意欲的になる ステップを踏む「きっかけ」、 「 プロセス」が必要 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 図3| 末子の年齢別に見た子育て女性の就労状況 (木更津市) 20% 12歳以上(n=133) 60% 13% 9歳~11歳(n=16) 56% 16% 6歳~8歳(n=63) 現在働いている(正社員) 6% 5% 5% 27% 14% 現在働いている(非正社員) 13% 28% 28% 25% 0歳(n=99) 4%2% 22% 42% 24% 1歳~2歳(n=126) 19% 56% 20% 3歳~5歳(n=64) 14% 18% 44% 過去に働いていた(正社員) 3% 16% 過去に働いていた(非正社員) 働いたことはない 無回答 出所| 木更津市「木更津子育て世代女性ニーズアンケート」 (2016年) 住・定 住 促 進につなげるという 地 方 創生の取 組みを行った。 (1) ICTを活 用し 当 該 事 業は た取 組み (プラットフォーム 構 築 )、 (2) キャリアアップ推 進に向けたセミ ナー・ワークショップ (以下 、 WS )等 の企 画・運 営 、(3)子 育て世 代 女 性 の就 労 等ニーズ調 査・企 業 等におけ る子 育て世 代 女 性 雇 用ニーズ調 査 等 本 柱で構 成される。 当 社は 3 (以下 、女性アンケート、企 業アンケー ト) の 事 業の全 体 設 計とともに (2)(3) を 実 施し、潜 在 層の規 模やニーズ把握 、 子 育てしながら働 くことへの漠 然と した不 安が解 消され、 就 労(就 労 継 続) の意 欲が湧 き 就 労 等 やキャリア アップを 志 向 するきっかけとプロセス 1 をデザインした。 割 近 く が就 労 先 決 4 結 果 、セミナー、 W S受 講 後 ヶ 月で 参 加 者の 定か就 労に向 けて 活 動 予 定 等 の 成 名に電 話で後 追い調 査をしたと 果 を 得 た。 セ ミ ナー、 WSの 参 加 者 4 名 が就 職 名が No.51 July 2016 1 ヶ月 で 名は正 社 員 )、 11 ころ、 参 加 後 決 定(う ち クラウドソーシング ( PCとインター ネットを使った仕 事 ) により就 労 、 名が就 労に向けてパソコン講 座 を 受 15│ Info-Future® 1 1 54 講、 名 が子 ど もの 入 園・ 入 学 な 事 と 子 育て 等の生 活のバランスにつ ケート (有 効 回 答 69 8 件 )で、 仕 2000 人 を 対 象 と し た 女 性アン 族 との時 間 」に影 響しない範 囲 内の 層が多 く 就 労 意 欲はあるものの「 家 つまり、 木 更 津 市 の 場 合 、 潜 在 けた 」、「 制 約が多いため求 人 条 件に た 」、「あきらめていたが、 刺 激 を 受 ら働いている女性の話が聞けて良かっ 「 会 社の方の説 明 を 聞いて、 派 遣 登 あ て は ま ら ず 弱 気 に なっていた 」、 園に行っている日 中の時 間 帯や就 寝 録だけでもしてみようと思った 」等 、 時 間 、 恐 ら く 子 ど もが学 校 や 幼 稚 子 育 て 等 仕 事 以 外 の 生 活 も ほど ほ している夜の時 間 等で可 能な働き方 いて の 考 え 方 を 尋 ね た。 「 仕 事 も、 %)、「 子 どのバランスでやりたい」( 回 数 を 重 ね る ご とに 多 く の 参 加 者 が子 育てしながら働 くことの可 能 性 ける時 間 帯の制 約 等によりあきらめ を感じ、 ブランクや末 子の年 齢 、 働 潜 在 層 をターゲットとして、セミ ていた 就 労 について、 意 欲 的 になっ 〈成功要因① : 両立不安の低減〉 を求めている。 育 て 等 仕 事 以 外 の 生 活に重 点 を 置 割 をキャリアや き、 仕 事はできる 範 囲でやりたい」 %) と全 体の約 就労についての「 潜在層 」が占めた。 ( 予定であった。セミナー等をきっかけ 回) を実 施した。 ナー及びW S( 全 セミナーは多 様な業 界・働き方で地 た。 在の働 き 方 を 選 択した理 由( 働いて 域 企 業に勤める複 数の先 輩ママ、 起 潜 在 層 の 就 労ニーズに 応 え る に いない場 合はその理 由 ) を尋ねたとこ 性 と 可 能 性 を 感 じ て も ら う こ と、 は、 自 宅 近 くで 通 勤 時 間が短 く 就 〈成功要因② : 両立可能な仕事の W Sは自 分の資 源に気づき、就労イ 労 時 間が短いか柔 軟な働き方ができ 業 し た 先 輩ママの 体 験 談 を 聞 く 事 メージを 具 体 的に描 くことで 就 労へ る (1)地 域 企 業での就 労 、(2)時 間 ろ、「 家 族 との時 間 を 大 切にしたい」 就 労しているかどうかを 問わず 現 に参 加 者の 行動変容が起こったことになる。 考察 の一歩 を 後 押しすること を 狙いとし や 場 所 にと らわれ ない在 宅ワーク、 創出・マッチング〉 た。 最 終 回には企 業 見 学も行った。 (3)暮らす街で起 業などが考えられ で、 働 き ながら 子 育 て を す る 多 様 人 が参 る。 割 程 度が 木 更 津 市 の 事 業 では 市 が 関 わり 加。 参 加 者 の セミナー・W Sには延べ 歳 代、 %)が 最 も 多 く、「 自 分 の 時 ( ・ 間を大 切にしたい」( ・ %) が続い %) た。子どもがいる回答者で見ると「 家 族 との時 間 を 大 切にしたい」( 木 更 津 市 の 事 業 を 踏 ま え る と、 子 育て 世 代 女 性には 就 労 意 欲 はあ 実 際 、 末 子 の 年 齢 別に就 労 状 況 が最多であった。 アップの「 潜 在 層 」がいること、 子 育 を見ると、 子どもの年 齢があがるに るがあ き らめている 就 労・キャリア てしながら 働 くことへの漠 然 とした 歳) か 従い就 労 率は 歳 代 、 非 就 労 だけでな く、 育 児 するが、 中 学に入 学するまで子ども 程 度 含 まれる 等 、 年 齢 層や 就 労 状 休 業 中 、フルタイムの参 加 者も 積 極 的 に 企 業 誘 致 に 取り 組 み 成 果 ((3) は対 象 外 )。(1) は、 市が長 年 歳以上 ) まで上 昇 子 育 て 女 性 の 就 労 等 につな がった の年 齢があがるに従い正 社 員で働 く 況を問わず、子 育てしながら働くこ %(末 子が %(末 子が 不 安 が解 消 されれば、 就 労 や 就 労 ら 割 %)し、 非 正 を上 げてきたことから、 雇 用の受け %→ とへの 関 心の 高 さやニーズの 多 様 さ 割 合 は 減 少( % 13 )。 社 員 で 働 く 割 合 が 増 加( %) する (図 14 25 3 しうることが明らかになった。 継 続の意 欲がわき、「 顕 在 層 」に変 容 42 0 皿が多いことが判 明した。 市 内 企 業 → 56 〈潜在層の規模と意向〉 40 77 ど 時 期 を 見 計 らい就 職 活 動 を 開 始 40 7 5 4 潜 在 層はどのくらいの規 模だろう 39 12 2 28 38 80 がうかがえた。 「 実 際に子 育てしなが 3 50 小林 洋子 割 近 く に 意 識 変 容・ 7 03 4 か。 市 内 在 住 の 子 育 て 世 代 女 性 4 29 特集レポート 6 Info-Future® No.51 July 2016 │16 等1700 社 余りに対してアンケー ミナー室 を 市が整 備したが、クラウ おわりに こに、「 働 きやすさ 」が加 われば、 働 きながら子どもを生み、育てる女 性 と知って、 派 遣 登 録だけでもしよう たが、「お母 さんに優しい会 社がある は市に進 出した 企 業の一つを 訪 問し 採 用 意 向があった。 W Sの最 終 回で ミュニケーションを 生み、 互いの知 識 してだけでなく 子 育て女 性 同 士のコ ミナー室は、自宅以外の学 習 環 境と と参 加 者に好 評であった。 I C Tセ 実 践 、 自 分のペースで仕 事ができる し て も 活 用 さ れ、 参 加 者 は 登 録・ り、 就 労しない道 を 選んだりしてい 方がないから週 学 校 行 事に対 応 でき る 柔 軟 な 働 き るなら働きたいが、 子どもの体 調や 時 間を大 切にしたい。 それでも働け 子 ども を もったからには家 族 との たい。 働きやすい街が増えることを 期 待し していると言える。子育てしやすく、 と思った」、「 自 宅 近 くに事 業 所 内 保 や情 報を共 有できる場となった。 在 る。 木 更 津 市 のアンケ ート やセ ミ ドソーシングのセミナー・W Sの場と 育 所がある会 社があると 知らなかっ 宅ワークに伴いがちな 孤 立や学 習 継 ナー、 W Sで 見 え た 木 更 津 市 の 子 %の企 業 等に た 」と 参 加 者に好 評であった。 企 業 続 の 難 し さ を 考 慮 す る と、 集 合 し 育て 女 性の傾 向である。 全 国 的 な トを 行ったところ、 の 側 も 意 欲 的 で 能 力 のあ る 女 性 の て仕事や質の向上のための研 修 、交 傾 向と言えるかは検 証していないが、 が増えることを木更津市の事例は示 企 業アンケートでは、 雇 用 側と求 流ができる「コワーキングスペース」機 木 更 津 市に限った傾 向ではないはず 日だけ働いた 職 側の間には必 要 な 能 力・スキルに 能 も 提 供 することが在 宅ワーカーに だ。 能 力 」が求められており、 過 去の就 ン能 力 」、「 職 業 人 意 識 」、「 業 務 遂 行 すいスキルよりも、「コミュニケーショ マナー等 子 育て 女 性にイメージしや コミュニケーションが有 効であり、 そ 地域企業との顔が見える距離感での いずれについても 子 育て 女 性 同 士や 安 低 減 や 両 立 で き る 仕 事 の 創 出。 潜 在 層の 育 児 と 仕 事の 両 立の 不 きる 」等の先 輩ママの登 壇 者や 講 師 婦 感 覚 や 人 生 の 経 験 値 が仕 事 に 活 との両 立に完 璧 を 目 指さない」、「 主 から未 来に花が咲 く 」、「 家 事・育 児 「 未 来は今の結 果 。いま種 をまく 〜 ついて認 識ギャップがあることが明ら 有効という示唆が得られた。 労 経 験 等 を 通じた職 業 人 意 識や 業 の 言 葉に、 木 更 津 市の 子 育て 女 性 労に向けて一歩 を 踏み出した。 地 域 の 要 と な る 役 割 を 自 治 体 が果 たし 今 後は、こうした認 識ギャップを 埋 企 業での就 労や在 宅ワークの環 境も 務 遂 行 能 力をアピールする方が、 企 めるコミュニケーションを 子 育 て 女 整った。 の地 方 自 治 体が 「 子 育てしやすいま 地 方 創 生 の 取 組 みの 中 で、 多 く (2) については、 本 事 業では主に ち」に取り組んでいることだろう。こ グの確度が上がるだろう。 性・企 業 双 方に行 うことでマッチン の不 安が和らぎ、 あきらめていた就 3 た。 2 業ニーズに合 致 す る 可 能 性 がある。 採用につながった。 かになった。パソコン操 作やビジネス 7 eラーニングの 場 所 としてIC Tセ No.51 July 2016 17│ Info-Future® 74 ティング、経営企画、子会社役 大手情報サービス企業のマーケ 員を 経 て 現 在 に 至 る。BtoB、 BtoC双方の事業開発経験を活か 社会システムコンサルティング部門 シニアコンサルタント 大野 孝司 もので あ る。 具 体 的 な 取 組 みは 大 が明 記されている。 筆 者はこれが供 介 護 離 職ゼロ実 現の鍵は 「 地 域 実 態の見える化 」 介護離職ゼロに向けた取組みの 2 1 需要の抑制 (介護休暇制度、働き方改革) 相談機能の強化、就業環境整備 家族の介護環境整備 増加、生産性向上 介護施設の増加、介護人材の 供給力の強化 名は筆 者 見 解による)。 3 健康寿命の延伸、就業促進、 も 結 び 付 く 重 要 な 取り 組 みで あ る と 考 える。 本 稿では、「 地 域 実 態 の 見える化 」の効 用について述べる。 個票データの統合分析・オープ ン化で成果の出る「見える化」を 筆 者は「 地 域 実 態の 見 える 化 」の 要 件を、 個 人に紐づく 様々なデータ 必 要に応じてデータを加工するなど 供 給 力 強 化の具 体 的 な 施 策の冒 して 公 開 する (オープンデータ化 ) こ 地域共生社会の実現 き、 目 標 実 現のための取 組みとして 頭に「 地 域 実 態の見 える 化 」と 活 用 ( 個 票データ)を 収 集 、 統 合 分 析し、 介 護 支 援 の 充 実 な ど を 推 し 進 める 3 万 人 を 超 え て お り、 歳 を 超 える。 団 塊 世 代の介 護 が ア世 代 が大 量 離 職 と な れば 経 済 社 談 機 能 強 化 )、 需 要 抑 制のいずれに 給 力 強化 、家 族の介 護 環 境整 備(相 日 に「ニッ き く 以 下の つに分 けられる (分 類 月 中身 先 日2016年 は現在 の 実 現 が掲 げられた。 介 護 離 職 者 れ、 第三の的として「 介 護 離 職ゼロ」 ポン一億 総 活 躍 プラン 」( 案 )が 示 さ 18 会は成り立たないという 考 えに基づ ケアの推進、ヘルスケア産業の 5 2020 年にはいわゆる団 塊の世 代 10 のために働 き 盛りである 団 塊 ジュニ 70 04 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット 創出・育成等に取り組んでいる。 特集レポート NTTデータ経営研究所 し、地域活性化支援や地域包括 ONO KOJI Info-Future® No.51 July 2016 │18 図1|「地域実態の見える化」の効用 主体者ごとの効用 事業者 住民 Plan 進出計画の 精度向上 課題の共通認識 ができる Do 関係者への働きかけ がスムーズになる きめ細やかな マーケティング 住民活動への 共感を得られる Check 政策・施策を 評価できる 事業品質を 評価できる 活動を 評価できる Action 事例の 説得力が増す 状況変化に 柔軟に対応できる モチベーション になる 期待成果 PDCA サイクル強化 ニーズに対応した サービス供給 社会参加促進 与える行政から 支える行政へ 持続可能な ビジネス展開へ 生きがいのある 豊かな人生へ 地域実態の 見える化 目指す 方向性 ü 個票データ収集 ü 統合分析 ü オープンデータ化 労 働 省が提 供する「 地 域 包 括ケア見 にある「 見える化システム」とは厚 生 とだと考える。 一億総活躍プラン (案) ることが可 能である。 題 設 定 や 打 手の優 先 順 位 を 検 討 す (リスク)を 明らかにすることで、 課 える 化 システム」を 指 す ものと 考 え る。一見 すると 同 システムで 事 足り 統 計 データ を 確 認 す るこ と がで き 定 率や介 護 保 険サービスの供 給 数の して進められているが、 実 際は土 地 日 常 生 活 圏 域を中 学 校 圏 域 程 度と 地 域 包 括 ケアシステムの 構 築 は、 が可能 ③ 細 分 化 さ れ た 地 域 単 位 での集 計 るようにも思えるが、 個 票の統 合 分 開 発の経 緯 や 地 理 的 条 件の影 響で られ、 中 学 校 圏 域 単 位で 要 介 護 認 析・加工を 行 うことによって以 下の 小 学 校 単 位 、 さらには町 丁 目 単 位 2 0 1 0 年 か ら2 0 25 年 ま で の 人 口 将 来 推 計 デ ー タ に よ れ ば、 国 立 社 会 保 障・人口問 題 研 究 所の で は な く 将 来 予 測 が 可 能 と な る。 リアリティのあるものとして 認 識し ることで、 地 域の実 態をより身 近で で 集 計 して 事 業 者 や 住 民に開 示 す 予 測 、 変 動 要 因 を 小 さな 地 域 単 位 以上の三つの利 点を生かし、 将 来 とが可 能である。 り、 地 域の実 態をより正 確に表すこ ない。 住 所 情 報を紐づけた集 計によ で地 域の実 情が異なることが少なく 大きなメリットが得られる。 ①将来予測が可能 個 票 の 分 析 により、 個 人 単 位 の 時 系 列 的な分 析が可 能になり、ある 市区町村別人口減少幅(率) はマイナ て も ら うことが 可 能 と な る。 「見 え 一時 点 を 切り 取った 断 片 的 なデータ %と なっており 地 る化 」はそれを 見た人々の前 向 きな %~ プラス 域 別に変 化の度 合いが大きく異なる 行 動につなげなければ成 果は上がら ス ことから、地 域の将 来予 測を踏まえ アリティが大変 重 要である。 が自 分 事として受け取るためにはリ ない。 無 機 質な定 量データを当事 者 ②リスク要因の分析が可能 た打ち手を要することがわかる。 10 将来予測とあわせてその変動要因 No.51 July 2016 19│ Info-Future® 50 自治体 重点エリア、課題 が抽出できる 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 04 大野 孝司 人 、その他の医療・介 護・生 活 支 援・ 体 」に含み、 医 療 法 人や社 会 福 祉 法 ろうか。 地 域 をつくることが必 要ではないだ れによって多 様 な 主 体 者が活 躍 する ることができる。 化や事 例の横 展 開にも大いに役 立て や 課 題 を 見 える 化し 住 民 や 事 業 者 変化に強い事業を構築する きめ細やかなマーケティングで 事業者 : に投 げかけることを 提 案したい。 筆 そこで、 定 量データをもとに問 題 健 康づくり等に関 する団 体は「 事 業 者 」と捉えていただきたい。 以 下に、 主 体 者 ごとの 効 用 を 解 説する。 ンターにて 実 験 的 な 検 証 を 行った。 者 は 昨 年 度 、 あ る 地 域 包 括 支 援セ 自治体 : 費 用は大きなウェイトを 占め、これ 施 設 型の事 業 者にとっては設 備や とに簡 単なワークショップを行ったと ら を 活 用 し 切 れ な けれ ば 投 資 回 収 小 学 校 圏 域 単 位で 地 域 実 態 を 見 え ころ、これまではスタッフの 勘 と 経 できず事 業が継 続できない。 事 業が 情報を武器に事業者・住民の 験や断 片 的 情 報によって計 画 立 案を 継 続 で き な けれ ば 利 用 者 や 地 域 雇 介 護に関 するデータの他 、アンケー 多くの自 治 体で現 場 職 員の「 業 務 行っていたために、 的を絞り切れず一 用 にマイナスと な る。 だからこ そ、 スタッフなどの初 期 投 資 或いは運 営 量の多さ」を耳にする。 ヒト・モノ・ 般 的 な 企 画 立 案 に 留 まっていたが、 地 域ニーズを的 確に捉えた事 業 展 開 る化したシートを作 成し、それをも タやI oTなどの技 術により取 得す カ ネ が 不 足 している 自 治 体 行 政 に 定 量シートをもとに複 数 人で議 論し が必 要である。 活動を促進する るライフログ、 地 域の供 給 力に関す とっては限りある 資 源 をいかに効 率 たところ、スタッフの持つ定 性 情 報 センターや社 会 福 祉 協 議 会は「 自 治 業務を委託されている地域包括支援 て整 理した。 尚ここでは自 治 体から れるメリット をPD C Aの 軸 に 沿っ で、 自 治 体 、 事 業 者 、 住 民 が 得 ら より 地 域 実 態 を 見 え る 化 す ること 集 、 統 合 分 析 、オープンデータ化に て図に示す (図1)。 個 票データの収 地 域 実 態の見える化の効 用につい から支える行 政への転 換であり、 そ 指すべき方 向 性としては与える行 政 てもらうかを重 視すべきである。 目 く 地 域 住 民や事 業 者にいかに活 躍し 治 体は提 供 者として与えるだけでな ば自 発 的な行 動は起こりにくい。 自 与えてくれるものという 認 識になれ た、 受け手 側の住 民もいつも行 政が 提供できる回数には限 度がある。 ま を 行 政サービスとして 実 施 して も、 例 えば健 康づくりのイベントなど れば事 例の説 得 力が増し、ノウハウ 定 量データで変 化を示すことができ 施 策 の 評 価 も 可 能 と な る。 ま た、 把 握 することが可 能となり、 政 策・ れば 打 ち 手 による 変 化 を 定 量 的 に 同 時に、 明 確 な 課 題 設 定 ができ 可 能 性も見 出すことができた。 で新たな 予 防サービスが創 出される た、 課 題を事 業 者に投 げかけること る課 題を抽 出することができた。 ま の関 連 性が深 掘りされ、納得性のあ れば、 認 知 拡 大の重 点エリアや訴 求 またエリアごとのニーズが把 握でき にも事業 者のためにもなる。 ズの充 足 をすることが、 地 域のため 掛けるのではなく、 足りていないニー め、 限 られた 地 域 市 場に競 争 を 仕 る。 事 業 者 側 も 人 手 不 足であるた て 事 業 を 展 開 す ることが可 能 で あ で、補 充する必 要のあるニーズに絞っ 地 域の実 態 と 供 給 力 を 確 認した 上 地 域 実 態の見 える化ができれば、 「地域実態の見える化」の効用 活用が可能となる。 るデータもあると、より深い分 析や 的に使うかが重要である。 トなどで取 得した生 活に関するデー 尚 、 統 合 するデータには、 医 療 、 特集レポート Info-Future® No.51 July 2016 │20 以 上 のよ うに、「 地 域 実 態 の 見 え えていくために、 早 急 な 情 報の一元 ここでも 定 量データをもとにした る化 」 には大きな効用が期待される。 求められるのは、まちの情報一 て 地 域の生 活の質や 健 康 度 、 介 護 「 地 域 実 態 の 見 え る 化 」データが有 一方 で、 実 現 のために乗り 越 えるべ の方々と話 をしていると、 地 域の実 リスクがどう 変 化したかを 把 握 する 用である。 データによって 議 論の共 き障 壁もある。 内 容 をエリアによって 変 えるなどき ことができ、 事 業の品 質 管 理にも役 通テーマをつくり改 善 すべき 問 題 点 地 域 のデータは 自 治 体 に 数 多 く 化・見える化の推 進を推 奨したい。 立つ。 また、 将 来 予 測 を も とに 将 を 共 有 化 できれば、 課 題 設 定に役 眠っている。 しかし情 報 管 理 主 体 者 元化 来 的に提 供サービスやサービス構 成 立つ。 最 近 では、 地 域 の 年 齢 別 人 が違 うことやデータ保 管の標 準ルー 態を定 量 的に語れる方はあまりおら を 変 更 す ること を 見 越 した 施 設 設 口 将 来 推 計 を 開 示 す ることで、 住 ルが整 備 されていないことから、 情 め細やかなマーケティングが可能とな 計 、 人 員 配 置 な ど を し て おけ ば、 民が危 機 感を持ち始めたという 例が 報 収 集や活 用できる形 式への変 換に ず、 声 の 大 き な 人 の 意 見 が採 用 さ 環 境 変 化や地 域ニーズの変 化に柔 軟 出てきている。 データを 開 示 するこ 労 力 を 要 す る。 今 後 のデータ 活 用 る。 地 域 実 態が定 期 的に見 える 化 に対 応することができ、 結 果 的に地 とで、 住 民の社 会 参 加ニーズを顕 在 価 値 を 考 えれば、 情 報の戦 略 的 利 れることも少なくない。 域に密 着した 持 続 可 能 な 事 業 展 開 化 させ、 住 民 主 体 の 活 動 促 進 が期 活 用 を 目 指 した 組 織 構 築 が求 めら されるようになれば、事業展開によっ が可能になる。 待される。 住 民だけでまちの課 題に取り組む を結集する 共通認識を形成し、 住民の力 のよう な 正のスパイラルを 生み、 地 もなる。 「 地 域 実 態の見える化 」がこ 活動の維持・改善のモチベーションに に 変 わっているかを 把 握 で き れ ば、 たちの活 動によって 地 域がどのよう どに積 極 的な住 民にとっても、 自 分 集 まったデータは、 介 護 離 職ゼロ 備も必 要である。 と情 報 を 共 有 するためのインフラ整 るための 啓 蒙 活 動 、 多 様 な 主 体 者 らの情 報 取 得 方 法 、 住 民 理 解 を 得 易にデータ収 集 することや、 住 民か ま た、 I o T 技 術 を 活 用 して 簡 れる。 ことは 大 変 な 労 力 を 要 す る。 その 域住民の社会参加が促進されること のための取 組みに留まらず、 地 域 包 また、 すでにボランティア活 動 な 要 因の一つに、 住 民が多 様 な 価 値 観 で地 域 共 生 社 会の実 現にもつながる 括ケアの拡 充やまちづくり全 体にも 住民 : を持っていることがあり、強力なリー と考えられる。 年 は 間 近である。 危 機 を 好 機に変 生かすことが可 能である。2 0 25 ダーシップかよっぽどの共通の危機感 がなければ 話し 合いによって 議 論 を まとめるのは大変困難である。 地域 No.51 July 2016 21│ Info-Future® 国内大手証券会社、上場IT企業 子会社代表取締役を経て、現職。 主に、地域医療情報連携、福祉 特集レポート 機器開発による地域産業振興支 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット 会 傘 下のアクセシビリティSWG マネージャー リーダーを務め、音声によらない 中林 裕詞 緊急通報手段の普及推進に取り 組んでいる。 援に従事。また、2015年9月よ IoTの活用による 福祉機器開発の可能性 ~アクセシビリティ革命による雇用創出・ビジネスチャンスの拡大~ 日 本 の 総 人 口が 減 少 に 転 じ、 労 積極的に有能な障がい者の雇用を推 コーポレートイメージ戦 略の一環から、 秀 な 労 働 力 の 囲い 込 みの 観 点 と、 大 きい。 加 えて、 企 業 側 で も、 優 られることが多 く なってきたことが 等のマスメディアにも頻繁に取り上げ るのではないかとみている。 向き合い方の変 化につながってきてい のような日 本 国 民の障がいに対 する へと 徐々に変 化してきたことが、こ ら生きていくことが求められる時 代 り、その状 況とうまく 付き合いなが にで も 起 こり う る 当 然 のこ と で あ 1 動き始めた日本のバリアフ 働 生 産 人 口の 減 少 による 経 済 力 の し進めていることも背 景にある。 員会マルチメディア応用専門委員 リー化 逓 減が懸 念されつつある。 そのため また、 障 害 者 差 別 解 消 法が平 成 ているが、 中でも 高 齢 者や障がい者 できる機 会や情 報として取り上げら が追い付いておらず、 そもそも 活 躍 とって 差 別 的 と 見 られるインフラや めていること も 大 きい。 障 がい者に ラ・サービスの在り 方が見 直 され始 ほんの数 年 前までは、 障がい者が の活躍に期待が寄せられている。 れる機 会 も 極 端に少 ない状 況にあっ サービスに関して、 行 政や公 的 機 関 一億 総 活 躍 社 会の実 現による強い経 月に施 行され、 従 来のインフ 特に後 者においては、ここ最 近は た。それが、高 齢 化の進展による様々 に対しては改 善義 務が、また民間 企 年 世 界トップで 活 躍 する 障がい者アス な 病 気 の 発 症 や、 不 慮 の 事 故・大 業 等に対しては努 力 義 務が課されて 活 躍できるための文 化や環 境の整 備 リートの存在や、20 2 0 年 東 京で 規 模 災 害 等により体の一部 機 能がう いることにより、 障がい者が活 躍で 済への回 復が政 府によって 掲 げられ のオリンピック・パラリンピックの開 まく 動かなくなる、 ということは誰 4 催 決 定により、 新 聞・雑 誌やテレビ 28 05 NTTデータ経営研究所 り一般社団法人情報通信技術委 NAKABAYASHI HIROSHI Info-Future® No.51 July 2016 │22 がるのかについて、一例 を 挙 げてみよ チャンスや障がい者の雇用創出につな ど の よ う な も のが 企 業 の ビジ ネ ス では、 具 体 的にどのような分 野で がることが期待されている。 り、 また障がい者の雇 用 創 出につな は、 企 業のビジネスチャンスにつなが ころである。 そしてこの大きな流れ が、ようやく本 格 的に動き始めたと サルな社 会の実 現へ向けた環 境 整 備 遅れていた、 我が国におけるユニバー 整 備により、 欧 米 諸 国に比べかなり このよ うに、 文 化 的 変 化 と 法 的 きる環境整備が推進されつつある。 相 手 も 限 定 的 となっていることに留 く、かつコミュニケーションを 図れる て の 手 段 を 活 用 で き る わ けで は な 障がいを持っている人においては、 全 通 を 図 れる 方 が便 利 である。一方 、 手 段の活 用 と 多 様 な 人 との意 思 疎 の端 末であらゆるコミュニケーション 行 うことができているが、やはり一つ は日常 的に、また意 識することなく たない人においては、 その手 段 選 択 きている。 聴 覚・視 覚に障がいを 持 じ 手 段 を 用いることによって 実 現で つコミュニケーションを 取る相 手が同 る人がそれぞれの手 段を選 択し、か なものがあるが、これらは利 用でき り、 日 本ではここ最 近ようやくサー 欧 米 諸 国やアジア圏では普 及してお この問 題 を 解 決 する方 法 として、 にあるといえる。 に差 別 的な状 態が生まれている状 況 しまうため、情 報のアクセシビリティ コミュニケーションに範 囲が絞られて 手 段・機 器を利 用する人との間での よほど積 極 的な人でない限り、 同じ 難しいのが実 情である。 したがって、 機 器 間を相 互にやり取りすることが れていないため、 異 な る 情 報 形 態・ 接 続 性 及 び 情 報 の 互 換 性 が担 保 さ 様のものが多 く、メーカー間の相 互 るのと 機 器がメーカーによる 独 自 仕 いては、 出 力される情 報 形 態が異な には つの大きな 課 題があるためで い、 といった事 業 者が新 規 参 入 する るだけの収 入 確 保の目 途が立ちにく 模 が小 さ く 、 運 営 管 理 を 維 持 で き と 同じなため全 体 的にマーケット規 に加えて利 用 対 象 者 数が障がい者 数 度 ともにまだまだ少 ないこと、 それ の認 知 度が低 く 利 用 者 数・利 用 頻 少 ないのと、 当 該サービスそのもの 能 士 等のスペシャリストの 絶 対 数 が 手 話 通 訳 士・要 約 筆 記 者・点 字 技 を 要 する 状 況にある。 というのは、 が定 着するためには、まだまだ年 月 着 を 推 進しているが、 当 該サービス 日 本においても 同 様にサービス定 なっている。 う。 意せねばならない。 具 体 的には、 聴 覚 障がい者におい サービスという存 在がある。いわゆる ビス提 供が本 格 化し始めた、リレー てリレーサービス普 及 ならびに情 報 これら課 題 を 踏まえ、 日 本におい ては、 日 常 的なコミュニケーション手 コールセンターに 在 席 す る オペレー のアクセシビリティの改 善 を 図 る 解 ある。 活用例 : 段として、手話 、読唇 術 、手 書きボー ターが、 入 電してきた利 用 者の状 況 決 方 法としては、 I oTを用いるこ 2 福祉機器開発へのIoTの 情報アクセシビリティ革命 ド 等 によ る 筆 談 、 F A Xや 移 動 通 に応じて、 手 話や文 字テキスト、 点 とにあると考える。 ( 信 端 末 を 活 用したテキストでのやり 字 、 音 声などコミュニケーション手 段 n o i t a s r e v n o C l a t o T ) を 選 択 し、 様々な 要 望 を 取り 次 ぐ 代 行・通 訳サービスであり、 近 年で ま ず、 通 常 のコールセンターにリ 視 覚 障 がい者 においては、 点 字( 取り、などが用いられている。 また、 情報アクセシビリティにおける 点含む)、音声入力によるテキストへ は、インターネットを介することでテ レーサービス機 能 を 具 備 させる、 も IoTを用いた解決方法 の変 換およびテキスト読み込みによ レビ電話の同一画面上で文字テキスト ② 現 在の主 要なコミュニケーション手 る音 声への変 換 装 置 、 などが用いら 現在の課題 段 は、 音 声 回 線 に よ る 電 話・ 方 向 で やり 取 り す る こ と が 可 能 と (手 入 力 ) ・手 話( 動 画 ) ・音 声 を 双 のコールセンター機能を拡張すること しくはリレーサービスセンターに通 常 これらコミュニケーション手 段につ れている。 ① 3 FA X 、 通 信 回 線 に よ るメールや チャット、 音 声 データや 動 画 等 様々 No.51 July 2016 23│ Info-Future® 6 ション手 段 として 使 用できるばかり で、 動 画による 手 話 をコミュニケー 話 を 活 用 す る 場 合 は、 その 動 き を すれば、 利 用 者が聴 覚 障がい者で手 に基づく 各 端 末 側メーカーでの適 用 仕 様 が標 準 化 され、 その 標 準 仕 様 キストないし音 声 として 出 力 するこ また、 今のところ 既 存のコールセ 改 修 ないし 異 な る 端 末 間 を 相 互 接 W eb R T Cと接 続 することによっ とで、 手 話 をマスターしていないオペ ンターにおいては、 受 信 時に音 声 回 読み取り自 動 通 訳を行い、 通 訳した て、 同一画 面 上 で 動 画・テ キスト・ レーターで もコミュニケーションが可 線なのか通信回線なのかの受信種別 ではな く、 筆 談ボードなどのテキス 手 書 き 文 字でオペレーターとやり 取 能となる。 の判 別と各オペレーターへの振り分け 続・情報 変 換するプラットフォームの りすることが可 能となる。 また、オ なお、 専 門 資 格 人 材 については、 ができる仕 組みとなっていない。その 内 容 をオペレーターの画 面に文 字テ により、リレーサービス利 用 対 象 者 ペレーターからの応 答 手 段( 音 声・テ メイン業 務をこれらオペレーターの受 ト で のコミュニケ ー ションツールを のみならず、一般のコールセンター利 キスト問わず )を 視 覚 媒 体で出 力さ このコールセンタープラスリレーセン ション手 段に加え、 点 字 出 力 端 末を 一般 的な音 声 通 話によるコミュニケー 利 用 者が視 覚 障がい者の場 合は、 育 成につなげることができる。 で な く、 社 内 の 新 たな 専 門 人 材 の 業 務を回すことが可 能となるばかり ることによって、 少 ない人 材で 受 信 たがって、 受 信 種 別が判 別 可 能で、 業 務が煩 雑になる可 能 性がある。し 置 する 必 要 があり、 オペレーターの 通 信 回 線での受 付 機 器 を 分 けて 設 実 装が必 要である。 用 対 象 者 もサービス対 象 範 囲 と す ため、 既 存の音 声 回 線 受 付 機 器 と ター体制での受電・応答のツールとし W e b R T C と 接 続 す る こ と で、 b e W に 文 字 テ キスト ないし 音 声 で 伝 え これら実 現のためには、 各コミュニ 一方 、 A Iによって 手 話 を 自 動 的 n o i t a c i n u m m o C e m i T l a e R ) を用 る、 もし く はオペレーターからの 応 ケーション端 末とW e b RT C 間の に 翻 訳 でき るようにす るためには、 かつ在 席オペレーターの特 性に応じた いるようにする。そして利用者側は、 答 手 段(音 声・テキスト問わず) を点 接 続インターフェースを標 準 化してお ま ずは 利 用 者 の 端 末 等 を 通 して 手 点 字で 入 力した内 容 をオペレーター これに移 動 通 信 端 末や 筆 談ボード、 字 として 出 力 す ること も 可 能 と な く必 要がある。 前 述のとおり、 各コ ンが可能となる。 い双方向リアルタイムコミュニケーショ ら利用者の手段を制限することのな で、 オペレーターの 表 情 を 映しなが 端 末 を 接 続 で き るよ う にす ること 在 席 す ること も 可 能 と な る。 さら がい者がオペレーターとして受 付 台に よって、 専 門 資 格 を 持たない人や障 関しても同 様の仕 掛けを行うことに 一方 、オペレーターの受 付 台 機 器に 機 器 間での情 報の互 換 性 を 担 保 す いる言 語が異なれば、異なるメーカー きるようにしたとしても、 使 用して のが多 く、 インターネットに接 続で ミュニケーション端 末は独 自 仕 様のも 当 )、 つの動 作で複 数の文 節や意 のがあ るの と (い わ ゆ る 方 言 に 該 用 語や地 域によって動 作が異 なるも ろは、 日 本 国 内においても専 門 的な とが必 要となる。 手 話の難しいとこ 話そのものの情 報 を 蓄 積していくこ e c n e g i l l e t n I l a i c i f i t r A を 組み込 んだ 画 像 解 析 技 術 が発 展 に、 A I( る こ と が で き ない。 し た がって、 つまり、 利 用 者が聴 覚 障がい者の 場合は、We b RT Cを用いること WebRTC上で 送 受 信 する 電 文 ) の開発が必 要となる。 受 信 振り 分 け 転 送 が可 能 な 仕 組 み 音 声・テキスト変 換 機 など、 障がい る。 実現へ向けた課題 者が使 用しているコミュニケーション ③ ては、これまでの電 話 回 線 (音 声 通 話) も用いつつ、WebRTC( 広く捉えることができる。 付 台 在 席 中の指 導 役 として 配 置 す 中林 裕詞 せることも可能となる。 05 る。 このことによって、マーケットを 特集レポート 味 を 表 現 するものが多いため組み合 1 Info-Future® No.51 July 2016 │24 レーターになれる 可 能 性 を 秘 めてい り、 通 訳 資 格 を 持たない人でもオペ で応 答することも可 能となる。つま 用しつつも、オペレーター側は日本語 国 人 利 用 者の母 国 語 を そのまま 使 翻 訳 機 能を組み合わせることで、 外 用した 外 国 語 翻 訳 機 能・外 国 手 話 スI o Tの仕 組みへさらにA Iを 活 これらコミュニケーション機 器 プラ のといえる。 訳 化への実 現に向けて 欠かせないも り、 Io Tの 活 用 は 手 話 の 自 動 翻 情 報を蓄 積・分 析していく必 要があ を 実 際のコミュニケーションを 通して 味 合いでどのように表 現 されるのか め、まずはどの場 面でどのような意 変 化してくるところにある。 そのた わせ次 第で 訳し 方 も 何パターンにも 回 答サービス) の実 現 も 可 能 性 とし 外 国 人の母 国 語 を 用いた問い合わせ 人 向 けのおもて なしサービス (来 日 と 受 信サービス展 開 等 ) や来 日 外 国 世 界 各 拠 点でのコールセンター設 置 グローバルな 展 開(時 差 を 応 用 した 組みを 技 術 的に確 立できたならば、 手 話 翻 訳 機 能 を 組み込んだ 当 該 仕 を 活 用した 外 国 語 翻 訳 機 能・外 国 国 際 的にも少ない。 そのため、 A I このよう な 専 門スキルを 持つ人 材が るものと 想 定 されるが、いかんせん とする圏 域では、 同 様のニーズはあ た 経 験がある。 英 語 以 外 を 母 国 語 改めて英 語で視 認でき 非 常に助かっ るサービス)が活 用 されていたため、 レーターがテキストに起こし表 示させ アルタイムに発 言 内 容や 手 話 をオペ サ ー ビス (リレーセンター 経 由 で リ いことがあったが、 会 議ではチャット した際に、 何 度か発 言が聞き取れな 筆 者 も 標 準 化 に 関 わる 会 議 に 参 加 ることもできない状態となる。実 際 、 いて動 作が構 成される手 話を読み取 会 を 大いに秘めている分 野であると できるならば、 世 界に貢 献できる機 が当該技術の確立を先行することが たところである。 したがって、 日 本 準 化へ向けた議 論が今 まさに始 まっ の 実 現 にあり、 その 技 術 確 立 と 標 動 向 も、 こ の ビリティに関 する国 際 標 準の最 新の ことを 意 味 する。 そして、アクセシ 双 方 向にコミュニケーションが取れる なく、 あらゆる手 段・端 末によって ニケーションの範 囲 を 制 限 すること 図 ることは、 利 用 者の特 性やコミュ ターフェースの国 内 外での標 準 化 を 機 器へのI o Tの 活 用 と 接 続 イン そ の よ う な 現 状 に 対 し て、 福 祉 れていない。 が実 現できる ティが制 限されている実 態は改 善さ 囲が限 定され、 情 報のアクセシビリ 端 末にコミュニケーションの相 手や範 は、 利 用 者 の 特 性 に 応 じ た 手 段・ なってきている。 しかしながら一方で 人 とがつながることができるように れ、 国 や 環 境 を 超 えて 様々な 人 と 同時に地域経済の活性化やビジネス 応 用 することによって、 雇 用 創 出と このように、 I o Tは福 祉 機 器へ 差 別 化を図ることも可 能となる。 り、 雇 用 創 出 と 合わせてサービスの より き め 細 やかな 接 遇 が 可 能 と な 障がいを 持つ人が担 うことによって、 になる。 さらには、この受 付 業 務を を蓄 積・活 用することもできるよう のと 同 時にそのマーケティング 情 報 とっては新たな顧 客 層を開 拓できる 実 現できると、サービス提 供 者 側に にあったが、 加 をすることがなかなか難しい状 況 め、 障がいを 持った人は購 入 等の参 電 話での受 付が基 本 となっているた れまではテレビ通 販 番 組 等において を受 託できる道が開ける。 また、こ コールセンターや 企 業 等の受 信 業 務 方 なども、 たとえばテレワークでの 病 気 等により 体の一部に麻 痺がある 不 慮 の 事 故 等による 脊 髄 損 傷 者 や ターネット接 続 を 行 うことによって、 ンを 図 れる 福 祉 機 器 な ど と も イン たが、 視 点や呼 気でコミュニケーショ る情 報アクセシビリティについて触れ n o i t a s r e v n o C l a t o T n o i t a s r e v n o C l a t o T 今 回の事 例は、あくまでも視 覚・ 聴 覚 機 能に障がいを 持った人に関わ いるのである。 チャンスにも 広がる 可 能 性 を 秘めて が n o i t a s r e v n o C l a t o T n o i t a s r e v n o C l a t o T 近 年 通 信 技 術 の 発 展により、 移 滞 在 先 の 国 の 言 語 を 母 国 語 とし 実現へ向けて 3 真の る。 て広がっていく。 いえる。 ない人にとっては、 現 地 語 を 習 得し 動 通 信 端 末 を 中 心 とした 多 様 なコ ミュニケーションサービスが生み出 さ ていない限り、 話 すことも 聞き 取る ことも、ましてやその母 国 語に基づ No.51 July 2016 25│ Info-Future® を経て現職。 移住促進のための 民間シンクタンク企業の環境部門 コンサルティングや調査研究、地 特集レポート 域のまちづくり計画の策定支援、 NTTデータ経営研究所 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット 社会システムコンサルティング部門 シニアコンサルタント 新見 友紀子 06 中小企業に向けた産業推進策、 健康につながる地域づくり支援な ど、農山漁村の地域活性化支援 事業多数。 NIIMI YUKIKO 地 方における一億 総 活 躍のかたち ~都市にはない活躍~ 特 に 地 方 で の ”働 き や す さ “や ”暮らしやすさ を実現する、”地 “ れているのだと考えられるが、地方、 の対策は ”地方創生 “の中で行わ の 対 策 が 多 い。 も ち ろ ん、 地 方 へ し く「活 躍 」と い う 言 葉 に 当 て は ま た 郷 土 料 理 な ど を 創 る 姿 は、 ま さ 様々な技術を持って仕事をしてい う か。 特 に、 高 齢 者 が 一 次 産 業 で ている人がほとんどではないだろ 地方における「一億総活躍」の意味 ら、 日 本 が 迎 え て い る 人 口 減 少 時 方における一億総活躍 “について るものだと考えられる。 る 姿 や、 野 菜 が ふ ん だ ん に 使 わ れ 代に於いて、特にこれからの経済・ も検討することは重要である。 「一 億 総 活 躍 社 会 」は そ の 名 称 か 社会に大きな影響を及ぼすであろ 地方における人材の活躍の現状 若 者 が 多 い の も 事 実 で あ る。 地 方 出 せ ず、 地 域 外 に 転 出 し て し ま う 一 方 で、 活 躍 の 舞 台 や 役 割 を 見 きたいけど働けない」という子育て と課題 う 「人 材 不 足 」へ の 対 策 と し て、「働 女性や介護離職者や高齢者等が働 ま ず、 活 躍 と は ど う い う こ と な 等への影響について質問させてい が減ってきていることによる売上 に仕事がない、という訳ではない。 る。 ニ ッ ポ ン 一 億 総 活 躍 プ ラ ン に のだろうか。特に地方においては、 ただくと、「顧客が減る心配よりも、 くことのできる社会を構築すると おける対策は 「保 育 の 受 け 皿 確 保 」 既 に、 コ ミ ュ ニ テ ィ で、 仕 事 で、 働いてくれる人がいなくて困って 地 方 の 事 業 者 に、 人 口 減 少 で 住 民 や 「介 護 の 受 け 皿 確 保 」な ど、 特 に 家 庭 等 そ れ ぞ れ の 舞 台 で、 活 躍 し いう目的意識が強いように窺われ 都市部で課題となっていることへ Info-Future® No.51 July 2016 │26 な業種で人手不足の声が聴かれる。 病院、運送業者、農業法人など様々 大型スーパー、工場、介護福祉施設、 いる」という声を多く聞く。地域の うのが、第一の課題である。 とって魅力的な仕事が少ないとい す る 結 果 と な る。 つ ま り、 若 者 に い」という理由から、地方から転出 地域にある魅力に気づく機会を 地 方 を 離 れ て し ま う こ と は、 そ の 社会との交流が大きくなる時期に、 スもある。自らの行動範囲を広げ、 仕 事 を 探 し て い る が、 地 域 の 中 に 手企業に就職をしたい」、「事務系の しかし、新卒の学生の場合は、「大 高 校 が あ る 場 合 で も、 大 学 進 学 す れ す る 要 因 と な っ て い る。 地 域 に な い と い う こ と も、 若 者 が 地 方 離 さ ら に、 地 域 内 に 高 校 や 大 学 が 児童が問題となっているケースよ 等 も い る。 地 方 で は 保 育 園 の 待 機 仕事を探している子育て中の母親 一 方 で、 働 き た い と 思 っ て い て 失ってしまう。 は募集がない」 、「新しいことにチャ るためには別の地域の高校に通わ 地方の若者・女性の 活躍を阻む壁 地域内の 子育て世代の しながら仕事をするのは難しい」と フ ト が 入 っ て し ま う か ら、 子 育 て 「募集されている仕事は夜にもシ ないケースも多いのだろう。 し い と い う 判 断 も あ り、 実 現 さ れ サービスとして提供することが難 人 数 は 多 く は な い の で、 自 治 体 の 夜間保育や休日保育を必要とする レンジできる魅力的な仕事がない」 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 り も、 夜 間 保 育 や 休 日 保 育 へ の 対 人材育成 ざるを得ないケースも多い。また、 夢を持ち、実現を支援する と い う 意 見 も 多 く み ら れ る。 そ し 働きやすさの確保 応 が な い た め に、 働 き づ ら い と い 地域態勢の構築 子 供 が 高 校 進 学、 大 学 進 学 で 仕 送 女性の活躍を支援する て希望する職種や大企業での求人 教育機関不足 う 声 が 多 く 聞 か れ る。 地 方 で は 多 若者の活躍を支援する り が 必 要 に な る の で あ れ ば、 家 族 「魅力的な仕事の創出」支援 が あ る 都 市 な ど に 就 職 す る た め、 少ない 世 代 同 居 者 も 多 い た め、 保 育 園 の 格好いい農業、儲かる農業 ごと都市に引越をするというケー 等の育成と情報発信 魅力的な仕事が い う 声 も 多 い。 求 人 側 は 人 材 不 足 を 嘆 き な が ら、 人 材 不 足 で あ る が ゆ え に、 柔 軟 な 働 き 方 を 認 め ら れ ず、求職者側のニーズとのミスマッ チが生じているというケースも多 く 見 ら れ る。 こ の よ う に、 子 育 て 世代の働きやすさの確保というの No.51 July 2016 27│ Info-Future® 活躍を支援する方向性 あ る い は、「一 度 は 都 会 に 出 て み た 図1| 地方における一億総活躍の方向性 06 新見 友紀子 特に収益を上げている農業法人で た収益を確保している農家もいる。 な仕事の創出」 若者の活躍を支援する「魅力的 高齢者が食事に困らないよう弁当 域の中にパン屋がほしい」 、「地域の 事 を 機 械 化 し た り、 掃 除 を ア ウ ト 野での餌やりや乳搾りなどの力仕 渉 を し て い る 事 例 が 多 い。 畜 産 分 産原価を把握してバイヤーとの交 統 な ど の“見 え る 化”を 行 い、 生 事 業 づ く り に 取 り 組 ん で い る。 島 通 じ て、 あ た ら し い 仕 事 づ く り、 隊」が地域の社会的な課題の解決を 省や農林水産省の「地域おこし協力 な い と い う 課 題 に 対 し て は、 総 務 若者が希望する仕事が地方に少 ニ ー ズ を 明 確 に し た う え で、 協 力 の 体 制 を 整 え、 地 域 ご と の 課 題 と を 組 織 し、 住 民 に よ る 地 域 づ く り 来市は地域ごとに地域運営協議会 と 考 え る こ と も で き る。 兵 庫 県 朝 ら顧客の確保ができている状態だ 域 住 民 が 買 い 支 え る た め、 初 め か 屋がほしい」という明確なニーズが こ れ ら の 課 題 に 対 し て、 ど の よ ソ ー シ ン グ し た り す る こ と で、 効 根 県 雲 南 市 のNPO法 人 お っ ち ラ 隊 を 導 入 し て い る。 こ れ に よ り、 は、月・週・日単位での計画と実績、 うな解決の方向性があるのだろう 率的な経営を実現している例もあ ボ「幸雲南塾」のような人材育成塾、 地 域 に あ る 場 合 に は、 継 続 的 に 地 か。 い く つ か の 地 域 の 事 例 の 中 か る。特に、若手の就農者で夢を持っ 協 力 隊 が 地 域 を 支 え、 地 域 が 協 力 農 作 業 や 業 務、 出 荷 管 理 や 連 絡 系 ら、方向性を探ってみたい。 起業塾の取組も広がっている。 地方の仕事として真っ先に思い を 行 い、 高 齢 離 農 者 か ら の 土 地 や た農業研修制度によって技術習得 ル が あ る が、 地 域 の し っ か り と し 農業法人を立ち上げるのはハード ま た、 個 人 が い き な り 大 規 模 な モデル事業に関する調査等を通じ 協力隊」のビジネススタートアップ している。また総務省「地域おこし 募 集 か ら 研 修、 活 動 支 援 等 を 実 施 ネ ッ ト ワ ー ク 事 務 局 と し て、 人 材 協 力 隊(旧 田 舎 で 働 き 隊 ) 」の 広 域 弊社では農林水産省「地域おこし 合 う 地 域 態 勢 こ そ が、 地 域 の 若 者 う と す る 人 た ち を、 応 援 し、 支 え 地域で新しいチャレンジをしよ きない事業でもあるのだ。 だ が、 地 域 か ら の 支 え な し に は で たりするために行う事業であるの る。 地 域 課 題 を 解 決 し た り、 支 え 隊の起業を支える態勢ができてい い農業」 として注目に値する。 浮かぶのが 「農 業 」で あ る が、「農 業 施 設 の 譲 り 受 け を 行 う こ と で、 て、 地 域 に お け る 新 し い 仕 事 づ く 押しする仕組みと情報発信 は儲からない」というイメージがあ 年 後 に は400ー500万 る の で は な い だ ろ う か。 実 際、 農 ー の活躍の土台になるのではないだ 円程度の収入が得られることを実 で も 都 市 で も 同 じ で あ ろ う。 し か 女性の活躍を支援する地域態 業を行うには経験や技術が必要で 新 規 就 農、 そ し て 経 営 拡 大 に 向 し、地方では「失われ行く食文化」、 勢の構築 ろうか。 け た 仕 組 み と、 農 業 の イ メ ー ジ が 「鳥 獣 害 対 策 」な ど 地 域 課 題 が 分 か あ る。 し か し、 農 業 で 収 益 を 上 げ 向上する情報発信を各地域で取り ている人がいるのも事実である。 農 業 法 人 を 立 ち 上 げ、 企 業 と 契 り や す い た め、 起 業 の テ ー マ を 見 を 確 保 す る こ と に よ っ て、 安 定 し つ け 出 し や す い ケ ー ス が 多 い。「地 組んでいくことは重要であろう。 現している地域もある。 5 あ り、 天 候 に 左 右 さ れ る 可 能 性 も 3 約 栽 培 を し た り、 小 売 店 へ の 販 路 起 業 が 容 易 で は な い の は、 地 方 りの取組に関する調査を行った。 格好いい農業、 儲かる農業を後 た経営などをしている姿は「格好い も、大きな課題となっている。 特集レポート Info-Future® No.51 July 2016 │28 き た。 未 だ に 古 い 慣 習 が 残 っ て い の中でも発言権がないと言われて ひ と 時 代 前 ま で、 地 域 の 中 で も 家 いわゆる 「農 家 の 嫁 」と い え ば、 ズ」のような仕組みが有効になる可 間をシェアリングする「エニタイム を促す 「AsMama」や 空 い た 時 を活用して住民同士の子育て支援 る 支 援 な ど も 必 要 で あ ろ う。IT どを行うことが必要となる。 を つ く り 上 げ、 経 営・ 事 業 開 拓 な 仕 事 に 就 く た め に は、 自 ら が 仕 事 は 重 要 で あ る。 地 方 で 自 分 の 望 む 大きいだろう。 め に は、 こ の よ う な 取 組 の 効 果 は 地方で活躍する人材を育成するた ており、改革に取り組まれている。 人材不足の分野における特に体 ロ ジ ェ ク ト に よ る 改 革 で、 地 域 外 の 危 機 に 陥 っ た が、 教 育 魅 力 化 プ 地 方 に 暮 ら す 人 々 が、 必 ず し も 時は島外への進学者が増えて存続 島 根 県 海 士 町 の 島 前 高 校 は、 一 る 地 域 も あ る が、 女 性 の 力 を 地 域 能性も高い。 力の必要な仕事や夜勤の必要な仕 からも人を集める高校となってい 所得を増やすことだけを目指すの 地方における一億総活躍のかたち の中で活かしていくことができて 「三 重 県 せ い わ の 里 ま め や 」や 奈 事 な ど は、ITや ロ ボ ッ ト の 導 入 る。島前高校で実施しているのは、 いる地域も多く現れている。 良県のレストラン 「く る み の 木 」 、 を進め経営の効率化をするととも に 光 を 見 出 し な が ら、 そ れ ぞ れ の 愛媛県内子町 「内子フレッシュパー 体 験 型・ 課 題 解 決 型 学 習 を 行 い、 役 割 を 持 ち、 楽 し く 幸 せ に 暮 ら し で は な く、 そ れ ぞ れ の 地 域 に 於 い さ ら に、 地 域 づ く り の 会 議 や 検 地域ビジネスを担う人材を育成す て い け る 社 会 で あ る こ と が、 都 市 ①国立大学進学を目指した「特別進 出 資 し た り、 経 営 を し た り す る こ 討 の 機 会 に 女 性 の 参 加 を 促 し、 地 る「地域創造コース」の設置である。 にはない地方ならではの一億総活 に、 多 様 な 働 き 方 を 可 能 と す る 働 と に よ り、 地 域 に 人 を 呼 び、 新 た 域 の 暮 ら し、 子 育 て、 魅 力 発 信 な 基 礎 科 目 だ け で は な く、 地 方 で 躍 の か た ち で は な い だ ろ う か。 そ クからり」 、三重県鳥羽市 「相 差 か な賑わいを創出している例も多い。 ど 様 々 な 分 野 で、 女 性 が 活 躍 す る 活躍をする人材育成のために必要 の た め に は、 地 域 の 資 源 や 伝 統 文 て、 若 者 も 女 性 も 高 齢 者 等 も 将 来 ま た、 子 育 て・ 教 育 分 野 で も 活 機会を意識的に創出するとともに、 な コ ー ス を 設 置 し て、 様 々 な 仕 事 化 を 大 切 に し な が ら も、 若 者 が 夢 学コース」と②地域資源を活かした 躍 す る 女 性 は 増 え て お り、 鳥 取 県 女性が活躍するための施策につい や生き方を学ぶ機会を提供するこ き方改革も必要であろう。 智頭町 「まるたんぼう」のような 「森 て検討を行っていくことも必要だ まどの海女小屋体験」など、女性が のようちえん」では若い女性の活躍 を 持 ち、 女 性 の 創 意 工 夫 が 活 か さ れ、 高 齢 者 等 の 新 し い チ ャ レ ン ジ と に よ り、 そ の 教 育 が 魅 力 と な っ て子育て世代の満足感につながっ を 受 け 入 れ る こ と の で き る、 そ れ と考えられる。 ている。また大学進学や就職によっ が 目 立 つ。 そ し て、 都 会 で は で き 夢を持ち、 実現を支援する人 ぞれの地域づくりを行っていくこ ない子育てスタイルにあこがれる 子 育 て 世 代 の 移 住 に も つ な が り、 て、海士町を離れる人にとっても、 とが重要である。 は、 島 根 県 内 外 に も 広 が り を 見 せ 現 在、 教 育 魅 力 化 プ ロ ジ ェ ク ト きているという。 したい」という思いを持つことがで 「いつか地域に戻って、地域をよく 材育成 世帯当たりの子供の数が多 子 育 て に お け る 安 心 感・ 満 足 感 か ら、 若 者 が 夢 を 持 つ た め に も、 子 育 い傾向が見られるという。 女 性 の 活 躍 の た め に は、 安 心 し て世代が安心して地方で暮らし続 けるためにも、「教育」の果たす役割 て子育てができる保育や教育の環 境 を 整 え、 新 し い チ ャ レ ン ジ を す No.51 July 2016 29│ Info-Future® 1 日系コンサルティング会社を経て 現職。 主に地域経済活性化と知 的財産の戦略的活用をテーマに 政策提言、調査研究、事業開発 07 NTTデータ経営研究所 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット 社会システムコンサルティング部門 マネージャー 石上 渉 一億 総 活 躍を促 進させる シェアリングエコノミー される経済波及効果とQOLの シェアリングエコノミーにより期待 込 み で あ り、 様 々 な シ ェ ア リ ン グ 3350億 ド ル 規 模 に 成 長 す る 見 ル の 市 場 規 模 が2025年 に は 約 全 体 で2013年 に 約150億 ド とって ”真水 “の効果になると説 サービスの経済波及効果は日本に た な 宿 泊 施 設 の 供 給 に 貢 献 し、 同 が不足しているため、 訪日外国人の増加などで宿泊施設 ~地 方 自 治 体に期 待されるシェアリング・シティ構 想 ~ 向上 ) b n b r i A リ ン グ エ コ ノ ミ ー と し て は、 宿 泊 世界的に急成長しているシェア て は、 既 存 事 業 が 取 り 込 ん で い た シェアリングエコノミーについ は新 「シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー」と 」が 有 名 需要を奪うといった見方もある b n b r i A が、 急 激 な 訪 日 外 国 人 の 増 加 に よ シ ェ ア リ ン グ の「 は同社サービスが日本にもたらし る 宿 泊 施 設、 移 動 手 段 な ど の イ ン ス な ど を 多 く の 人 と 共 有・ 交 換 し り、 供 給 者 は 遊 休 資 産 の 活 用 に よ た 経 済 波 及 効 果 に つ い て、 年 額 約 フ ラ 需 要 に ”既 存 事 業 者 の 供 給 が で あ る が、2015年 る 収 入、 需 要 者 は 所 有 す る こ と な 2220億 円、 雇 用 に 対 す る 波 及 追いついていない地域でのサービ て利用する社会的な仕組みであ く利用ができるというメリットが 万人とする調査結 ・ 効果は約 共同で調査を実施した早稲田大 り込んでいた需要を奪うことな ス “に 限 っ て は、 既 存 事 業 者 が 取 白 書 」に よ る と シ ェ ア リ ン グ エ コ く、 新 た な 需 要 を 創 造 し 普 及 し て 果を公表した。 2 学根来教授によると、日本は現在、 年度版 情報通信 2 ノ ミ ー の 市 場 規 模 は、 グ ロ ー バ ル 総 務 省「平 成 ある。 11 明している。 は、 乗 り 物・ 場 所・ 技 術・ サ ー ビ 月、 同 社 サービスが誕生している。(図 1 27 特集レポート コンサルティングに従事。 ISHIGAMI WATARU Info-Future® No.51 July 2016 │30 国内農業機械大手メーカーを経て 現職。 地方自治体における子育 て支援事業や地方創生案件に携 わる。 NTTデータ経営研究所 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット コンサルタント 杉崎(原田)茉莉絵 SUGIZAKI MARIE 図1| 海外におけるシェアリングエコノミー型サービスの例 事例名称 実施主体 開始時期 概要 Airbnb (米国) 2008年8月 保有する住宅や物件を宿泊施設として登録し、貸し出しできるプラットフォームを提供するWEBサービス。190か国超の34,000超の 都市で100超の宿が登録されている。 Uber Uber (米国) 2010年6月 スマートフォンやGPSなどのICTを活用し、移動ニーズのある利用者とドライバーをマッチングさせるサービス。高級ハイヤーを配車する Uber、低価格タクシーを配車するuberX、 既存のタクシーを配車するUberTAXIなどのサービスを提供。 Lyft Lyft (米国) 2012年8月 スマートフォンアプリによって移動希望者とドライバーをマッチングするサービス。Facebookのアカウントか電話番号でログインして利 用する。移動希望者とドライバーがお互いに評価を確認してから、 乗車が成立する。 DogVacay DogVacay (米国) 2012年 ペットホテルの代替となるペットシッターの登録・利用が可能なプラットフォームを提供するWEBサービス。 RelayRides RelayRides (米国) 2012年 使用されていない車を、 オーナーからスマートフォンアプリを通じて借りることができるサービス。米国内の2,100以上の都市及び300 以上の空港で利用できる。 TaskRabbit TaskRabbit (米国) 2011年7月 Prove Trust Prove Trust (米国) 2014年 Airbnb 家事や日曜大工等の作業をアウトソーシングするためのウェブサービス。 シェアリング・エコノミーにおける貸主と借主の信頼関係を一括で管理できるWEBサービス。 出所| 総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」 (平成27年) http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc242110.html 起業や進出に係るコストの一部 ① シェアリングサービス提 供 者の起 シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー はICT を 補 助 す る と と も に、 コ ン サ ル いくことが期待される。 技術を用いた現代的な手法で異な テ ィ ン グ を 実 施。 シ ェ ア リ ン グ 業や進出を支援 る 分 野 の 人 た ち の 交 流 を 促 進 し、 サービスを新規で立ち上げる事 また、経済的な側面だけでなく、 失われたコミュニティを再生する e f i L f o y t i l a u Q 提供も行っている。 業 者 に 対 し、 事 務 所 ス ペ ー ス の )を 高 め る こ と 側面もあり地域住民の生活の質 ( 民の認知度向上 が期待される。 ソウル市が取り組むシェアリン 個々のシェアリングサービスの ②シェアリングエコノミーに対する市 グ・シティ構想 y t i l a u Q 提 供 者(企 業 やNPO等 )や サ ー ビスの内容やサービス提供者を e f i L f o ま た、 ソ ウ ル 市 内 の 中 学 校・ 高 調査・評価し、信頼に値するサー ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー で あ る が、 韓 校においてシェアリングエコノ 経済波及効果とQOL( 国のソウル市では世界で初めて大 ミーに関する知見を深めるため ビ ス を 指 定 し、 市 民 に 紹 介 す る。 都 市 の 政 策 と し て 取 り 入 れ た。 こ サービス提供者による講演を実 )の 向 上 が 期 待 さ れ る シ ェ れ を「シ ェ ア リ ン グ・ シ テ ィ」と 名 施する。 ③シェアリング・シティとしてのソウ ル市をPR ①、 ② の 取 組 み 等 を 国 内 外 に 付 け、「シ ェ ア リ ン グ・ シ テ ィ・ ソ ウ ル 推 進 計 画 」と い う プ ロ ジ ェ ク 点のよ PRすることで、シェアリング・ シティとしてのソウル市を認知 No.51 July 2016 ト を2012年 に 始 動 さ せ て い る。 ソ ウ ル 市 で は、 以 下 の うな取組みを積極的に推進してい る。 さ せ、 シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー 31│ Info-Future® 3 国内においても子育てシェア シェアリングエコノミーを意識し が 予 想 さ れ る が、2020年 以 降 2030年 に は、 日 本 国 民 の はどうか。 月、 東 京 都 大 田 区 で は、 た規制緩和を目指す動きもある。 本年 (子 育 て を 地 域 で 頼 り 合 え る よ う に な る た め に、 支 援 し た い 人 と 地 歳 以 上 に、 年後の 一般住宅の空き部屋を宿泊施設と 2040年 に は、 団 塊 ジ ュ ニ ア が 人が 域の親子が出会うリアルな場づく し て 活 用 す る「民 泊 」を 認 め る 条 例 高 齢 期 を 迎 え1500万 人 の 働 き シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー は、 個 手が消える。 て を 支 援 し、 女 性 の 就 労 を 促 進 さ 9500万 人 に、 高 齢 化 率 は 約 に 躊 躇 す る 人 も 少 な く な く、 信 頼 然とした不安からサービスの利用 子育てを応援する親子交流イベン 性 の 向 上 が 課 題 と な っ て い る が、 月、 奈 良 県 生 駒 市 で は、 ソウル市が実施するこれらの政 ト の 運 営 と、 地 域 の 顔 見 知 り 同 士 2020年 東 京 オ リ ン ピ ッ ク・ 人で 策にはシェアリングエコノミー先 で 登 録 し て、 か ら「シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー」に 問 題 を 背 景 に、 女 性 や 高 齢 者 等 の 国内におけるシェアリングエコ パ ラ リ ン ピ ッ ク に 向 け、 訪 日 外 国 40 7 人のお年寄りを支えることにな ・ 進 国 か ら も 注 目 さ れ て い る。 欧 米 円~700円で子どもを預け合える 対 応 し た 保 険 商 品(事 故 が 起 き た 就 業 促 進 は、 日 本 社 会 が 取 り 組 む ノミーの普及には様々な業法規制 人の増加に伴い民泊を中心とする % と な り、 働 く 世 代 諸 国 か ら の 視 察 も あ り、 既 に オ ラ 「子育てシェア」 の環境づくりを事業 場 合 の 賠 償 額 を 補 償 )を 販 売 す る べ き 重 要 課 題 で あ る が、 海 外 で は 月 ンダのアムステルダムやイタリア の 柱 と す る 株 式 会 社AsMama 予 定 で あ り、 今 後、 国 内 に お い て 東京海上日動火災保険は本年 の ミ ラ ノ も シ ェ ア リ ン グ・ シ テ ィ と「子 育 て 支 援 の 連 携 協 力 に 関 す 時 間 あ た り500 宣言を行っている。 シェアリングエコノミーが結果的 子育て支援事業や子育てシェア周 高齢者や女性の就業促進など 場が成長する見込みである。 シェアリングサービスという新し 知 イ ベ ン ト の 実 施、 子 育 て 世 代 の 社会課題を解決 今後、両者は子育て情報の発信、 い 産 業 と 雇 用 を 創 出 し、 ソ ウ ル 市 コミュニティづくりなどにおいて み は、 初 期 的 段 階 で あ り な が ら、 でも空いている土地や部屋をシェ の緩和が必要となる場合が伴うも シェアリングサービスの需要拡大 る。 協 力 し、 取 り 組 ん で い く こ と に な 国内における市場動向 に繋がっている。 アするなどにより新たな財源確保 7 1 ビ ス 提 供 者(う ち %が 歳以上) と、 米 国 で は、 人 口 の7%が サ ー PwC Japanの調べによる ※ 会課題を解決した事例がある。 に高齢者や女性の就業促進など社 我が国をめぐる労働力人口減少 る。 1 の子育てママが子どもの送迎や託 ま た、 子 育 て シ ェ ア は、 求 職 中 ている。 エコノミーを通じて働く機会を得 と、 多 く の 高 齢 者 が シ ェ ア リ ン グ 65 1 のの、政府の動向について見ると、 16 ソウル市におけるこれらの取組 も、 シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー の 市 本年 2050年 に は 日 本 の 総 人 口 が 20 人間での取引が中心となることか 65 せるようなサービスが展開され始 1 の起業や進出を促し新たな産業 人に り や、 イ ン タ ー ネ ッ ト を 活 用 し た を全国で初めて施行した。 3 頼 り 合 い の 仕 組 み )と い っ た 子 育 1 る協定」を締結した。 1 現 在 よ り 約3100万 人 減 少 し 約 杉崎 茉莉絵 ら、 事 故 や ト ラ ブ ル 時 の 対 応 に 漠 石上 渉 めている。 07 と雇用の創出を図る。 特集レポート ※ https://www.pwc.com/sg/en/publications/assets/the-sharing-economy-jp.pdf Info-Future® No.51 July 2016 │32 る。 育てママの就業促進に繋がってい 頼することが結果的に高齢者と子 児子育てのプロである高齢者に依 より有効なシェアリングサービ 就 労 状 況、 企 業 の 集 積 状 況 等 に 地 域 の 地 理 的 要 因 や 産 業 構 造、 かにする。 要がある。 コ ノ ミ ー の 周 知・ 啓 発 を 図 る 必 便 性 を 紹 介 し、 シ ェ ア リ ン グ エ 催 に よ り、 サ ー ビ ス の 内 容 や 利 供者を呼び込む。 アリングエコノミーサービス提 て 地 域 を 開 放 し、 国 内 外 の シ ェ コノミーの実証フィールドとし 社会課題を解決する一つの手段と 今 後、 生 駒 市 や 大 田 区 の よ う に 散 見 さ れ る「空 き 家 の 有 効 活 用 」、 用 し て い る こ と か ら、 特 に 地 方 に メ デ ィ ア な ど のICT技 術 を 利 活 は、 イ ン タ ー ネ ッ ト や ソ ー シ ャ ル さ ら に、 シ ェ ア リ ン グ サ ー ビ ス ス を 明 ら か に し、 ヒ ト、 技 術、 え、当該事業者に足りないリソー のQOL向 上 に 向 け た 施 策 と 捉 産 業 活 性 化 や 雇 用 促 進、 生 活 者 業 と 捉 え る の で は な く、 地 域 の グエコノミーを一民間企業の事 や 進 出 を 支 援 す る。 シ ェ ア リ ン ②シェアリングエコノミーの起業 確にすることが重要である。 リングサービスが有効なのか明 明 ら か に し、 ど の よ う な シ ェ ア 地方自治体において地域課題を ノ ミ ー の 普 及 拡 大 に 向 け て は、 ス が 異 な る。 シ ェ ア リ ン グ エ コ うな業法規制が阻害要因となっ サービスを展開する上でどのよ 自自治体でニーズのありそうな の 解 禁 に こ ぎ つ け た。 ま ず は、 例 と し て 認 め る よ う 求 め、 民 泊 泊施設として営業できるよう特 宅やマンションの空き部屋を宿 者 の 増 加 に 対 応 す る た め、 個 人 東 京 都 大 田 区 で は、 外 国 人 旅 行 実現しないサービスも存在する。 アのように業法規制がなければ 民泊や道路運送法のライドシェ の 内 容 に よ っ て は、 旅 館 業 法 の 和 す る。 シ ェ ア リ ン グ サ ー ビ ス ④業法規制の適用を除外または緩 既存事業者の供給が追いついてい に 企 業 と 連 携 し 取 り 組 む こ と で、 方自治体がシェアリングサービス ま た、 地 域 の 課 題 を 熟 知 す る 地 う。 サービスの利用は促進されるだろ で、 信 頼 性 が 向 上 し シ ェ ア リ ン グ グサービスの提供に参画すること あ る が、 地 方 自 治 体 が シ ェ ア リ ン ミーは馴染まないといった意見も に お い て、 シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ 方に大きな差がある日本人の社会 知り合いとそうでない人の接し し て、 シ ェ ア リ ン グ エ コ ノ ミ ー に 情 報、 カ ネ を 複 合 的 に 支 援 す る て お り、 規 制 の 適 用 を 除 外 ま た ル ギ ー・ 環 境 保 全 」等 の 課 題 を 解 決することが期待される。 ③シェアリングエコノミーの有効 自治体と連携しながら規制緩和 措 置 を 検 討 し、 必 要 に 応 じ て 他 は緩和した場合のリスクや代替 創造することは可能だと考える。 る 地 域 に お い て も、 新 た な 需 要 を 地方自治体における取組み 参 考 に、 効 果 が 上 が る で あ ろ う と 性 を 周 知・ 啓 発 す る。 特 に 地 方 に向け国に要望することが重要 まとめ 取り組む地方自治体は増えるので ことが重要である。 「移 動 交 通 手 段 の 整 備 」や「省 エ ネ はないか。 考えられる地方自治体の取組みに においてはシェアリングエコノ ソウル市などの先進的な事例を ついて考えてみたい。 である。 は低く、シェアリングエコノミー 提供者を招いたイベント等の開 ⑤規制緩和が伴うシェアリングエ ミーの地域住民における認知度 ①自自治体で効果が出やすいシェ アリングサービスの内容を明ら No.51 July 2016 33│ Info-Future® 都市計画コンサルティング会社を 経て現在に至る。 主に都市構造 再編計画、土地利用計画、公共 社会システムコンサルティング部門 ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット 振興、防災・減災、インバウンド マネージャー 観光振興などの分野の業務に従 石丸 希 び地方計画) 、一級建築士、土 事。技術士 (建設部門・都市およ 地区画整理士。 一億 総 活 躍 社 会に向けた インバウンド観 光の振 興 月・ 明 日 の 日 本 を 観光振興 兆円に向けたインバウンド が 広 い 観 光 を「一 億 総 活 躍 の 場 」と 国 の 実 現 」が 位 置 付 け ら れ、 裾 野 光 の 一 層 の 拡 大 に よ る「観 光 先 進 組 の 一 つ と し て、 イ ン バ ウ ン ド 観 げ ら れ て お り、 こ れ を 実 現 す る 取 2020年 に4000万 人、 2030 「訪 日 外 国 人 旅 行 者 数 に つ い て、 観 光 交 流 を 加 速 さ せ る 」と さ れ、 大 幅 に 前 倒 し し、 か つ、 質 の 高 い 定 )に お い て、「従 来 の 政 府 目 標 を 支える観光ビジョン構想会議決 年 我が国の構造的な問題である少 す る こ と が 明 示 さ れ て い る(「ニ ッ 年に6000万人」といった量的な ン 」(平 成 子 高 齢 化 に 立 ち 向 か う べ く、 政 府 ポ ン 一 億 総 活 躍 プ ラ ン(案 )」よ 大 の 名 目GDP600兆 円 」が 掲 ~観 光 振 興のインフラとなる自 律 的な観 光 情 報プラットフォーム構 築の提 案 ~ 1 一億総活躍社会・GDP600 は、 ① 希 望 を 生 み 出 す 強 い 経 済、 目 標 値 の 他、「訪 日 外 国 人 旅 行 消 費 兆円、 兆 円 」な ど「質 的 な 8 (図 )。 ていることが大きな特徴である 向 上 」に 関 す る 目 標 値 も 設 定 さ れ 2030年 に 額について、2020年に り)。 イ ン バ ウ ン ド 観 光 に つ い て は、 的な目標値の設定 2 観光ビジョンにおける野心 ② 夢 を つ む ぐ 子 育 て 支 援、 ③ 安 心 業務などに従事。現在、地域再生・ 28 08 NTTデータ経営研究所 化計画、PFI事業アドバイザリー 3 15 に つ な が る 社 会 保 障 の「新・ 三 本 の 矢 」の 実 現 を 目 的 と す る「一 億 総 活 躍 社 会 」に 向 け た プ ラ ン(ニ ッ ポ ン 一 億 総 活 躍 プ ラ ン )の 策 定 を 進 本 プ ラ ン で は、 ① 希 望 を 生 み 出 「明 日 の 日 本 を 支 え る 観 光 ビ ジ ョ めている。 す 強 い 経 済 の 目 標 と し て、「戦 後 最 1 特集レポート 施設整備計画、中心市街地活性 ISHIMARU MOTOMU Info-Future® No.51 July 2016 │34 が国全体としての観光振興施策の 確なコンセプトに基づいた観光戦 先ずは当該地域の観光実態を把握 3 地域経営の視点に基づいた -2500 2501-5000 5001-10000 10001-25000 25001- -2500 2501-5000 5001-10000 10001-25000 25001- 出所| NTTデータ経営研究所調査 観 光 ま ち づ く り 推 進 に 向 け て、 ※1 す る こ と が 必 須 で あ り、 そ の 材 料 -2500 2501-5000 5001-10000 10001-25000 25001- 観 点 か ら、 例 え ば、 小 規 模 な 基 礎 から公開までのリードタイム等の し て の 粒 度 や 公 開 間 隔、 調 査 実 施 存 の 統 計・ デ ー タ 等 は、 エ リ ア と 供 さ れ て い る。 し か し、 こ れ ら 既 ム(RESAS)な ど の ツ ー ル も 提 略 を 関 係 者 と 協 同 し て 策 定 し、 夕食時間帯 (18-20時台) 昼食時間帯 (11-13時台) 展 開 は 勿 論 の こ と、 地 域 経 営 の 視 観光時間帯 (10-17時台) 自治体を単位とした地域で観光戦 略 を 策 定 し、PDCAサ イ ク ル を 短い間隔で回す必要がある場合な ど に お い て は、 必 ず し も 十 分 と は 言えないのが実態である。 観光まちづくりの推進組織とし ※2 て は、 観 光 庁 が 主 体 と な っ た 日 本 版DMO候 補 法 人 の 登 録 制 度 が 創 設 さ れ、 立 場 の 異 な る 多 様 な 関 係 ※3 者 が 参 画・ 連 携 し て 観 光 事 業 の マ ネ ジ メ ン ト を 行 う 日 本 版DMO へ の期待が高まっていることもあ り、 こ れ らDMOが 策 定 す る 観 光 戦 略 の 基 礎 情 報 と し て、 各 地 域 に おける観光動態に係るデータ等の 一層の拡充が期待される。 No.51 July 2016 ※1 KPI(Key Performance Indicators) :重要業績評価指標。組織の目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群。 ※2 日本版DMO候補法人の登録制度:観光庁を登録主体として、 日本版DMOの候補となり得る法人を 「登録」 する制度。登録を行っ た法人及びこれと連携して事業を行う関係団体に対して、関係省庁が連携して支援を行うことで、各地における日本版DMO の形成・確立を強力に支援する。平成28年5月31日現在で81件が登録。 35│ Info-Future® -2500 2501-5000 5001-10000 10001-25000 25001- 地域単位での観光まちづく 5) 日本人国内旅行消費額 宿泊時間帯 (02-04時台) と し て、「旅 行・ 観 光 消 費 動 向 調 図2| 訪日外国人観光客の時間帯別の集積状況 KPI を 設 定 し た 上 で 実 行 し、 そ 22兆円 (最近5年間の平均から約10%増) 点に基づいた観光まちづくりを地 21兆円 (最近5年間の平均から約5%増) りの推進 3,600万人 (2015年の約3倍) 査 」、「宿 泊 旅 行 統 計 調 査 」、「訪 日 外 2,400万人 (2015年の約2倍) の結果を新たな戦略にフィード 4)外国人リピーター数 域 単 位 で 推 進 す る 必 要 が あ る。 具 1億3,000万人泊 (2015年の5倍超) 国 人 消 費 動 向 調 査 」な ど の 統 計・ 7,000万人泊 (2015年の3倍弱) バ ッ ク す るPDCAサ イ ク ル を 確 3)地方部での外国人延べ宿泊者数 体 的 に は、 自 治 体 や 観 光 圏 等 の 地 15兆円 (2015年の4倍超) デ ー タ の 他、 地 域 経 済 分 析 シ ス テ 8兆円 (2015年の2倍超) 立する必要がある。 2)訪日外国人旅行消費額 域 単 位 で、 確 か な デ ー タ に 基 づ く 1)訪日外国人旅行者数 このような量と質の両面を含む 2030年 6,000万人 (2015年の約3倍) 観 光 実 態 の 分 析 を 行 っ た 上 で、 明 2020年 4,000万人 (2015年の約2倍) 高 い 目 標 を 達 成 す る た め に は、 我 図1| 明日の日本を支える観光ビジョンにおける新たな目標値 出所| 明日の日本を支える観光ビジョン/平成28年3月30日 石丸 希 なお、このモバイル空間統計は、 タ を 活 用 す る と と も に、 必 要 に 応 どが実施・公表している統計・デー 光庁などの中央省庁や都道府県な の構築が期待される。具体的には、 律的な観光情報プラットフォーム く の 活 動 デ ー タ が 蓄 積 さ れ る、 自 の観光地も把握できる。 割 許諾を得た観光客のスマートフォ データのサンプル数が実態の じ て 市 町 村 等 が 独 自 に 実 施・ 収 集 で な く、 自 治 体 間 や 拠 点 間 の 移 動 有 し て い る。 ま た、 集 積 状 況 だ け くのサンプルが期待できる特徴を 観光客が少ない地域においても多 進 し、 こ れ らDMOが 中 心 と な っ め に は、 全 国 で のDMO設 立 を 促 に示された高い目標を達成するた い。 既 述 の 我 が 国 の 観 光 ビ ジ ョ ン 等が頻繁に収集することは難し た だ し、 独 自 の デ ー タ を 市 町 村 で は、 収 集 さ れ る デ ー タ 数 が 限 ら のみに期待したプラットフォーム た だ し、 観 光 客 の 自 主 的 な 協 力 自動収集することが考えられる。 情 報、 嗜 好 情 報 等 の 活 動 デ ー タ を の 他、 属 性 情 報、 決 済 情 報、 検 索 も ら い、 位 置 情 報 な ど の 動 態 情 報 状況や国籍別の分析も可能であ た観光戦略の策定と戦略を実行に れ、 統 計 的 な 分 析 が 可 能 な 多 量 の ン等の携帯端末に情報収集用アプ り、 観 光 戦 略 を 検 討 す る 際 の 有 効 移 し、 検 証 し、 新 た な 戦 略 に 反 映 サ ン プ ル 数 の 持 続 的・ 安 定 的 な 確 したデータを活用することが一般 た だ し、 一 般 的 に 統 計・ デ ー タ す るPDCAサ イ ク ル を 加 速 す る 保 が 懸 念 さ れ る こ と か ら、 観 光 客 ることから統計的な分析が可能で にはそれぞれ特徴があり前提条件 必 要 が あ る が、 そ の 都 度、 新 た な に一定のインセンティブを付与 リケーションをダウンロードして が 異 な る こ と 等 か ら、 観 光 戦 略 の データを独自に収集することは難 し、 こ れ を 誘 引 と し て 観 光 客 の 携 的であろう。 検 討 を 行 う 場 合 に は、 中 央 省 庁 等 し く、 特 に、 予 算 化 が 必 要 な 市 町 帯端末への情報収集用アプリケー 図 い。 ® ※4 は、ドコモ・インサイトマー を行った事例を以下に紹介した て、 地 域 に お け る 観 光 動 態 の 分 析 既存統計以外のデータを用い いた観光動態分析の事例 ケティング社のモバイル空間統計 が 実 施・ 公 表 し て い る 既 存 統 計・ 村の取組みの一環として頻繁に なツールとなり得る。 を 用 い て、 あ る 自 治 体 の 時 間 帯 デ ー タ を 活 用 し つ つ、 こ れ ら を 補 必 要 に な る。 イ ン セ ン テ ィ ブ と し 別の訪日外国人の集積状況の分析 こ の た め、 必 要 な 都 度 に 市 町 村 て は、「訪 日 外 国 人 旅 行 者 の 国 内 に シ ョ ン の ダ ウ ン ロ ー ド を 促 し、 情 等が個別にデータを収集するので おける受入環境整備に関する現状 データ収集することは現実的では を 当 社 が 実 施 し た も の で あ る。 訪 を行うことが重要である。 5 自律的な観光情報プラット は な く、 観 光 客 の 活 動 デ ー タ を 自 完するデータを組み合わせて分析 日外国人観光客が保有する携帯電 よ り、 既 存 統 計 で は 把 握 で き な い フォーム構築への期待 話の基地局情報を用いた同統計に 細 か い エ リ ア ご と に、 ま た 時 間 帯 月 / 総 務 省・ 観 町 村 やDMO等 が 観 光 戦 略 策 定 に データをオープンデータとして市 と 」(複 数 回 答 )と し て 最 も 回 答 が 光 庁 )に お い て「旅 行 中 困 っ た こ 年 調 査 」(平 成 DMO等 が 主 体 と な っ た 観 光 戦 多 か っ た「無 料 公 衆 無 線LAN環 別に集積実態を把握することが可 観光客は多いものの宿泊する観光 活 用 し、 観 光 振 興 の 結 果 さ ら に 多 1 略 の 策 定 に 際 し て、 現 状 で は、 観 28 客 は 少 な い、 い わ ゆ る「素 通 り 型 」 能 と な り、 例 え ば、 観 光 時 間 帯 の 動 的 に 蓄 積 し、 蓄 積 さ れ た ビ ッ グ 報収集と活用の許諾を得ることが あ り、 ま た、 現 状 で は 訪 日 外 国 人 程度と多い観光ビッグデータであ 1 ない。 4 既存統計以外のデータを用 08 2 Info-Future® No.51 July 2016 │36 ※3 DMO(Destination Management / Marketing Organization) :日本版DMOは、地域の 「稼ぐ力」 を引き出すとともに地域への誇りと 愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに 基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人。 ※4 モバイル空間統計:ドコモの携帯電話ネットワークにアクセスしている国内約7,000万台、訪日外国人約400万台の携帯電話の基地 局エリア情報を基に、時間帯別・エリア別に推計した人口統計情報。 特集レポート コマーシャルベース化も視野に入 な 公 共 サ ー ビ ス と し て で は な く、 ま た、 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 純 粋 らの費用徴収も相対的に容易にな な る た め、 受 益 者 で あ る 事 業 者 か 働きかけ結果の効果測定が可能と ら 使 っ た の か 」な ど、 観 光 客 へ の 光 戦 略 で あ り、 観 光 戦 略 は 各 地 域 光まちづくりの指針となるのが観 づ く り を 推 進 す る 必 要 が あ る。 観 DMO等 が 中 心 と な っ て 観 光 ま ち その実現のためには市町村や ・多言語での 避難誘導 活用 自動 蓄積 ・多言語での災害情報 ・多言語翻訳 データ分析 費用 徴収 日本版DMO 市町村等 ・観光客の移動経路 ・集積地予測や買物 予測 ・ネガティブ・ポジ ティブ要素把握 ・観光戦略・DMO 計画立案 オープン データ 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 %)に 対 応 し、 旅 行 期 れた社会実装を目 る。 日 本 版DMOに は 自 律 的・ 継 の正確かつ詳細な観光データの分 ・観光ビッグデータを地域経済活性化に活用 ・物販、飲食、宿泊等への誘客、レコメンド 地域へ ・予測に基づく品揃えや準備 フィードバック ・ネガ・ポジ情報を踏まえた観光まちづくり 観光ビッグデータ ・決済情報 に基づく レコメンド ・位置情報 と連動し たクーポ ンの発信 観光情報プラットフォーム 非常時 (災害) ・ツイッターやインスタグ ラムなどSNS情報をWiFi経由で発信・収集 ・物販(免税)、飲食、宿 泊などの決済情報をWiFi経由で自動収集 ・位置情報や時刻などの観 光動態情報をWi-Fi経由 で自動収集 ・ 間 中 のWi Fi無 料 化 な ど も 有 効 指 す の で あ れ ば、 続的に活動するための安定的な運 インセンティブ Wi-Fi無料化 ・交通、宿泊、飲食、 買物などの検索情報 をWi-Fi経由で自動 収集 ・母国や入国空港等でスマホにアプリを ダウンロード ・無料Wi-Fiや割引クーポン等を提供 ・情報収集や属性把握の許諾 位置情報 6 決済情報 測位 検索情報 46 嗜好情報 GPS衛星 平時 (観光) 訪日外国人観光客 境 」( であろう。 都市部を含む観光 析に基づいて構築されるべきであ 介した独自の観光ビッグデータを 営 資 金 の 確 保 が 求 め ら れ る が、 プ 更 に、 我 が 国 の 自 然 災 害 の 多 さ 活 用 し た 分 析・ 検 討 な ど も 行 っ て 地 の 商 業、 飲 食、 取得した位置情報 が訪日外国人観光客の懸念材料と い る。 し か し な が ら、 こ の よ う な る。 と連動した販売促 なっていることも想定されること 分 析・ 検 討 の た め の デ ー タ 収 集 は ラットフォームを収益確保にも活 進用の電子クーポ か ら、 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム で 取 得 す 自治体等が頻繁に行えるものでは 物 販、 宿 泊、 サ ー ン の 発 行 や、 検 索 る観光客の位置情報等を防災分野 な く、 観 光 戦 略 のPDCAサ イ ク 当 社 で は 現 在、 全 国 の 自 治 体 等 情報と連動したレ で も 活 用 し、 多 言 語 翻 訳 技 術 と 組 ルの加速化による観光振興の推進 用 で き る よ う に な れ ば、DMOの コメンド情報発信 み合わせて防災情報配信や避難誘 が 求 め ら れ る 現 状 に 鑑 み れ ば、 観 ビ ス、 交 通 な ど の な ど、 観 光 客 へ の 導 な ど を 行 う こ と に よ り、 プ ラ ッ 光情報プラットフォームのような のインバウンドを含めた観光振興 プッシュ型情報配 トフォームを観光促進だけでな DMOや 自 治 体 等 が 最 新 の 観 光 運営資金確保の一助にもなり得 信により収益化を く、 訪 日 外 国 人 観 光 客 の 安 全・ 安 ビッグデータを活用できるインフ 分野の事業者と連 図ることも考えら 心 な 観 光 を 支 援 す る「お も て な し ラ が 必 要 で あ る。 こ れ ら の こ と か の 支 援 を 行 っ て お り、 事 例 で も 紹 れ る。 こ の よ う に プ ラ ッ ト フ ォ ー ム 」と し て 展 開 す る。 位置情報や決済情 型情報配信が紐付 実 現 に 向 け て、 イ ン バ ウ ン ド 観 光 こ の よ う に、 一 億 総 活 躍 社 会 の 自治体等の参考になれば幸いであ 稿 が 観 光 振 興 に 取 り 組 むDMOや ム の 構 築 に 期 待 す る と と も に、 本 ら、 将 来 的 な 観 光 プ ラ ッ ト フ ォ ー ることも期待される。(図 け ら れ れ ば、「ど の の振興は重要な役割を担ってお ) 報などとプッシュ ような情報配信の る。 り、高い目標も設定されているが、 3 結 果、 ど こ で い く No.51 July 2016 37│ Info-Future® 携 し、 観 光 客 か ら 図3| 観光情報プラットフォームのイメージ を経て2012年より現職。 ヘルス 国立系研究機関、大手ITベンダー ケアICTのグローバル展開、地域 社会システムコンサルティング部門 査を実施。 現在は、コミュニケー ライフ・バリュー・クリエイションコンサルティングユニット ションロボット×AI(人工知能) と シニアコンサルタント IoTをテーマに活動中。情報通信、 岸本 純子 展開、等 KISHIMOTO JUNKO 画像工学、感性工学、ヘルスケ 医療連携システム、防災情報シ 一億 総 活躍社会に貢献する 科 学 技術によるイノベーション ~医 療 ・ヘルスケア 分 野 を 中 心に~ よるイノベーションへの期待 など高度情報通信技術に 雇 用 につな げ、 長 く 続いた 経 済 停 技 術 を イノベーション・ 経 済 成 長・ 増している。 日 本においても 、 科 学 イノベーションの 鍵 として 存 在 感 を 保 さ れており、 科 学 技 術 が 新 た な の 予 算 が技 術 開 発 研 究 のために 確 な る。 A IやI o T な ど 高 度 情 報 を 生み出 すイノベーションが必 要 と 上 げて 生 産 性 を 向 上 するか、 市 場 ている。 後 者については、 効 率 性 を い社 会づくりが目 標 として掲 げられ 服 な ど 、 女 性 や 高 齢 者 が働 きや す は、 女 性 活 躍 推 進 、 少 子 高 齢 化 克 アICT、 遠 隔 医 療、グローバル 09 NTTデータ経営研究所 るコンサルティングやマーケット調 1 人工知能(AI)やIoT 日 本 の 内 需 は 高 齢 化・ 人 口 減 少 滞 を 打 破しなければならないのは明 現 可 能 な 時 期 は 異 な るが、 この 前 等 を 背 景に縮 退 傾 向にあり、 新 た 政 府が高らかに掲 げる一億 総 活 躍 者 、後 者ともに貢 献できるモノ・サー 通 信 技 術 は、 技 術 の 進 歩により 実 可 欠 である。 経 済 停 滞から 脱 す る 社 会 は、 端 的に表 現 す ると、 更 な ビスを 作り 出 すことが可 能である。 らかだ。 ためにも 、 経 済 活 性 化 に 寄 与 す る る 経 済 成 長 を め ざし 、 社 会 保 障 の 将 来 像 も 含 めて 図 な 経 済 成 長 に 向 けた 取 り 組 みが 不 新 産 業 の 創 出 、 発 展 が 必 須 と なっ 基 盤 を 強 化 す ることにある。 経 済 に具 体 的 な 例 ている。 そのきっかけとなる 技 術 と られている。 欧 州においては、 日 本 ど 高 度 情 報 通 信 技 術 に 期 待 が 寄せ して、 人 工 知 能( A I )やI o T な 向 上 する必 要がある。 前 者について 増 加 、 または一人 あたりの生 産 性 を 生 産 を 増 や す ためには、 労 働 人 口 成 長 の 指 標 のひとつで あ る 国 内 総 れて 知 識 として 蓄 積 される。 そ れ ころから集まり、クラウドで集 約さ I o Tによって データがいたる と を示す。 と 同 様 の 課 題 を 抱 え る なか、 巨 額 1 特集レポート ステム、多言語音声翻訳に関す Info-Future® No.51 July 2016 │38 的 に 行 動 す る よ う に な る 。 クラ ウ 個々の 状 況 に 応 じて 学 習 し、 自 律 端 末 やロボット な どエッジ 側 で は、 を A Iが学 習し、知 性になっていく 。 ロボット 技 術 の 動 向について 紹 介 を インパクトについて、 更 に、 A Iや A Iの高 度 情 報 通 信 技 術が与 える ヘルス ケ ア 分 野 に お け るI o Tや ピューターに完 全 な 診 断 ができるわ ニズムが解 明されていない段 階でコン である。 また、 すべての病 気のメカ いし、 制 度 面においても 整 備が必 要 準 備がまだ我々患 者 側にできていな ではではな く 、 医 師 の 診 断 の 手 助 は、 A Iは 医 師 の 代 わり を す る の けがないことは明 白である。 現 在で 含めて述べる。 AIの活用 2 医療・ヘルスケア分野での ド、エッジでの役 割 を 明 確にし、 並 行して進 化していくことが重 要とな る。 本 稿 で は、 筆 者 がこ れ ま で かか ・病気の自動診断、 早期発見 ・テーラーメイド医療 ・人間の代わりに自律的行動するドローン ・工場、オフィスのIoT化 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 労働人口増加 少子高齢化克服 生産性向上 を させる 取 り 組 みはエキスパートシ ンピューターに与 え 、 専 門 家の代 替 か。 医 師 な どの 専 門 家 の 知 識 をコ にはどのよう な インパクトがあ るの 用されるようになると、我々の生 活 医 療・ヘルスケア分 野でA Iが活 を 飛 躍 的 に 向 上 させたこ とから 第 ニング ( 深 層 学 習 )が 画 像 認 識 技 術 械 学 習 のひとつであるディープラー 飛 躍 的 に 向 上 したことがあ る。 機 は、 A Iによって画 像 認 識の精 度が 用 さ れ る よ う に なって き た 背 景 に 医 療・ヘルスケア分 野でA Iが活 ステムとして ト シ ステ ム も A Iの 研 究 の ブーム も 過 言ではない。 診 断 画 像はフィル あったとしても 、コンピューターが下 率 が 非 常 に 高いというエビデンスが 見 で あ る。 た と え 正 しい診 断 の 確 的 にで き ないという のが一般 的 な 意 コンピューターには 性 能 的 にも 倫 理 し、現 在においても 、医 師の代 替は、 ている) と併せて進 歩している。しか 医 療で 実 用 化 されている 例がある。 となり、 医 用 画 像 診 断 支 援や 遠 隔 の 自 動 診 断 が機 械 学 習により 可 能 いる。 既に、レントゲンや病 理 画 像 A Iによる自 動 診 断が可 能になって 機 械 学 習 に よ りA Iが 学 習 し、 や 類 似 症 例 検 索 な ど 、 データから ため、 機 械 学 習による 特 徴 点 抽 出 ( 現 在は第 ムからデジタルにほぼ 移 行 している 3 のA I ブームと 呼 ばれ れている。 なお、 医 師 のエキスパー のA I ブームは 始 まった といって 年 代から研 究 開 発さ けをする支 援システムとして活 用さ ・自動運転車、自動運転モビリティ わってきた、 高 齢 者がいきいき と 暮 ・身体機能を補完してくれるロボット れている。 ・子守ロボット 女性活躍推進 70 3 し た 診 断 や 治 療 計 画 を 受 け 入 れる No.51 July 2016 39│ Info-Future® ・人間のかわりに家事をこなすロボット らせる健 康 寿 命 延 伸のための医 療・ 図1| 経済成長に貢献できるモノ・サービス 特集レポート 09 岸本 純子 の調 査 結 果や 遺 伝 子 検 査 、 P H R た。 を 活 用 し、 生 活 習 慣 サポート 」を 共 同 開 発 すると 発 表し 「 産 業 用ロボット 」と 家 庭 など一般の ロボットは主に工場などで動いている 化 した 機 械 システムと されている。 の3つの 要 素 技 術 を 有 す る、 知 能 c i t i l n E は、ディープラーニングを 用いて、ガ )な ど 」 ンの 悪 性 腫 瘍 を 的 確 に 発 見 で き る ( 米 サンフランシスコ発 の「 システムを 開 発している。 日 本にお n o s t a W いても 、 富 士フイルムが、 人工知 能 のパーソナルデータに基づいてカスタ のデータを 収 集・解 析 する。 これら ト 」に 分 類 さ れ る。 「 産 業 用 ロボッ 空 間で 使 用 される「 非 産 業 用ロボッ d r o c e r h t l a e h l a n o s r e p を 搭 載し、 過 去の症 例データベース る物 流システムや製 品 組み立てをす ト 」は製 造 分 野においては、 自 動 車 A Iによるデータ利 活 用によって るロボットなど 、 非 製 造 業 分 野にお マイズした 生 活 習 慣 改 善メニューを 可 能 と な る サービスを A Iの 得 意 いては、 自 動 田 植 え 機 な ど 農 林 業 から、 病 変 の 画 像 の 特 徴 が類 似 し な 分 野であるパターン分 析 、 分 類 、 や 畜 産に関 連 するロボットなどがあ 溶 接 システム、 食 品 製 造 業 におけ また、 最 近 では、 ウェアラ ブルセ 異 常 検 知 、 未 来 予 測 のカテゴリで る。 「 産 業 用 ロ ボッ ト 」に おい て、 提 供 するのである。 ンサー等によって個 人のバイタルデー )。 パターン 認 識 の た 症 例 を 表 示 する 画 像 診 断 支 援 シ タ・ヘルスケアデータがクラウド上に 整 理 する (図 の 患 者 に 応 じた 治 療 選 択 を 、 迅 速 なるからである。 これにより、 個々 オーダーメイドの医 療が実 現 可 能に クに 応 じ て、 自 分 の 状 態 に あった 伝 子 プロファイルや 疾 患・罹 患リス る 分 野 と して 注 目 さ れている。 遺 たサービスも 今 後 、A Iが活 用され た、 生 活 習 慣 な どから 疾 病 リスク 健 康アドバイス等が可 能になる。 ま により 個 人 の 趣 味 嗜 好 に 特 化 した や、 バイタルデータを 収 集 すること ブルデ バイスによって 生 活パターン どにも 活 用できる。 また、 ウェアラ 食 事の写 真 などからカロリー計 算 な 分 野においては、 医 用 画 像 以 外に、 付けるロボットを 開 発している。 「非 機 能によってスキルを 自 動 的に身に ネットワークスとともに、 自 己 学 習 人 工 知 能ベンチャーのプリファード・ 用ロボットメーカーのファナックは、 る ところ で あ る。 最 近 では、 産 業 動 や 物 をつかむ 等 駆 動 系 を 制 御 す A Iが 活 用 さ れている のは 自 律 移 ステムを 開 発している。 集 まっている。 そのデータを 活 用し かつ正 確 な 診 断 で、 費 用 効 率 よ く 産 業 用ロボット 」には、 生 活 分 野で r e p p e P M B I n o s t a W 皮 切りにA I を 搭 載 する市 販ロボッ 」を 経 済 産 業 省によるロボットの定 義 ト が 続 々リリースさ れ ている ので、 トは、ソフトバンクの「 どがある。コミュニケーションロボッ ト、 掃 除ロボットやペットロボットな 活 躍 す るコミュニケ ーションロボッ の推 定 も 可 能になる。 た、 個 人 向 けのヘルスケアサービス の例では、ソフトバンクとヘルスケア ベンチャーのF i N Cが、 米 I B M 社 のコグニティブコンピューティング 」を 用いた は、センサー+知 能・制 御+駆 動 系 システム 「 ヘルスケアサービス 「パーソナルカラダ 3 AIによるロボットの進化 行 う こ と がで き る よ う に な る。 ま 2 Info-Future® No.51 July 2016 │40 図2| 医療・ヘルスケア分野におけるデータ利活用の可能性 介護事業者 ・服薬情報 薬局 ・フィットネス ・見守り ・宅配 者 を 支 援 す るロボットな どがあ る。 や障 害 者の自 立 支 援ロボットや介 護 作で手 術 する手 術ロボット、高 齢 者 療・ 福 祉 分 野 において は、 遠 隔 操 注 目 している 人 も 多いだ ろ う 。 医 A I な ど の 高 度 情 報 通 信 技 術 が、 がると考えられる。いずれにしても 、 ことが、すなわちA Iの進 化につな 能 な 分 野 から 社 会 実 装 を していく の 進 化 を 待つだけで な く 、 適 用 可 も 十 分に考えられる。一方で、 A I 支えることは間 違いない。 つながり、一億 総 活 躍 社 会の実 現 を イノベーション・ 経 済 成 長・ 雇 用 に 米 国インテュイティヴ・サージカル社 が 開 発 し た 手 術 用 ロ ボ ッ ト「 」は、 既に全 世 界で3 0 0 0 台 以 上 病 院 に 導 入 されており、 日 本 の 病 院 に も 導 入 さ れている。 ま た、 介 護ロボットについては、 経 済 産 業 省 と 厚 生 労 働 省が研 究 開 発 及 び普 及 を 推し進めているところであ り、 介 護 現 場においてロボットが日 常 的 に 使 わ れる 日 は 近い。 特 に 介 護の現 場で有 効と考えられているの ボットである。 特に、 親しみのもて 独 居 老 人 の 見 守 り を して く れるロ が、 介 護 者 の 負 担 を 軽 減 し たり、 a d 個人 i c n i V ・介護記録 疾病リスクを推定 未来予測 個人に最適化した健康管理サービスは? ・バイタルデータ(血圧、血糖値等) ・健康情報(摂取カロリー、活動量等) ・会話データ 会話データや生活習慣 からの認知症の早期発 見が可能 異常検知 個人に適したケアプランやサービスは? 周辺サービス事業者 分類 慢性病疾患のリスクの程度は? ・健康診断データ ・医療費データ ・メンタルヘルスデータ ・遺伝子情報 るロボットのA Iが人 間 並みに会 話 することによって、 高 齢 者の孤 独 感 抑 制 、 認 知 症 予 防 につながる と 期 待されている。 ま だ 少 し 時 間 を 必 要 と す る が、 クラウド上にデータが集 約され、 そ れ を A Iが 学 習 す ることによって、 人 間 を 超 え る 知 性 が 生 まれること No.51 July 2016 41│ Info-Future® 個人に合わせた治療プラン、投薬プランは? ・診療情報 生活習慣や日々のバイ タルデータ、既往歴な どから疾病リスクのパ ターンを分類 ライフスタイルに合わ せた、生活習慣(食事、 運動、余暇)のアドバ イス 保険者・健診機関 食事の写真からカロ リーを計算 自動画像診断支援 パターン認識 疾病と生活環境との因果関係は? 医療機関 AI(機械学習)の適用例 データ分析 ビッグデータ 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 ティングファームを経て現在に至 郵政省 (当時) 、外資系コンサル る。 専門は、IT政策、電子政府 社会システムコンサルティング部門 社会システムデザインユニット長 パートナー 上瀬 剛 ングを多数手がける。 制度との接点に係るコンサルティ 案支援、アウトソーシング、情報 される一方 、 世 界 的に見てもEUを い。 応 に 関 す る 考 察 を 行 うこと とした ( )定義 アプローチからの分 析 と 今 後の政 策 本レポートでは、 シェアリングエコ ト台としつつ、 公 共 政 策 面での示 唆 ノミーに関する一般 的な定 義をスター おりしも、 E U 議 会のシンクタン についての言 及 を 付 加 的に考 慮して 地 域も出 現している。 への 示 唆 出 し という 点 で 進 んだ 国 、 会 福 祉から 経 済 政 策 面 まで 多 様 な はじめ、 政 策 課 題 として 技 術 、 社 シェアリングエコノミーがもたらす 政 策 課題(EUに学ぶ) 1 はじめに シェアリングエコノミーは、 等 、 P 2Pで行 政が介 入 r e b U 経営と行政の基幹となる法律等 b n b r i A や 特に公共分野については、民間 IT人 材 育 成まで多 岐 にわたる。 せずに、 宿 泊 、タクシー配 車 等を中 心に市 場の裾 野が広がってきている 月にこうしたシェア リングエコノミーの 行 政 、 政 策 面で リングエコノミーが共有対象とするリ いる。 ここでの定 義としては、シェア ク部 門で 本 年 の政 策 課 題 としての認 識 といった点 の対 応に関 するレポートが取りまと ところだが、政府 、行 政 機 関として ではまたまだこれからといったところ e h T " e h t n i e p o r u E n o N f o t s o C 産 、 流 通 、 取 引 、 消 費にいたる (人 " y m o n o c e g n i r a h S (2016 あるいは組 織の)様々な 活 動 を 対 象 等 多 岐にわたり、 プロセス面でも 生 ソースは、 人 的 資 源から物 理 的 資 源 めら れた。 同レポートで あ る ただし、 民 泊 という 言 葉が一定の 市民権を得て利用者数が広がるに伴 月 )での課 題 認 識 、 検 討 内 容 策 、 経 済 政 策 面 等 で 今 後 は 行 政に あるいは地 方 公 共 団 体レベルでの対 をひも解きつつ、 今 後の日 本の政 府 グ形 態 をとるビジ ネスモデルは交 換 としている。 その 結 果 、 シェアリン い、 日 本においても制 度 面 、 社 会 政 とって軽 視できなくなることが予 想 年 である。 1 10 NTTデータ経営研究所 システム構築に係る企業間取引、 1 1 特集レポート 等の公共分野から、新規事業立 KAMISE TAKESHI ※1 http://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/STUD/2016/558777/EPRS_STU(2016)558777_EN.pdf ※2 http://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/BRIE/2015/568345/EPRS_BRI(2015)568345_EN.pdf Info-Future® No.51 July 2016 │42 ナンスの一形態であるマイクロファイナ の経 済 活 動 まで 含めており、ファイ 経済行為のみならず、集合体として 常に多 様であり、 また 個々の取 引、 共 同 所 有、 交 換、レンタルその他 非 係 の 可 視 化 は 必 ず し も 容 易 では な 一方 で、 プレーヤーの 特 定 や 取 引 関 については、対 象としての裾野が広い 働・人 的 資 源の取 引 、 知 的 財 産 等 度 存 在が幅 広 く 知られていたが、 労 輸 送については、これまでもある 程 これらのうち、 目に見える宿 泊や を見 定めたうえでのベストミックスで での )シェアリングエコノミーの 展 開 というものではなく、( 分 野 、 業 種 等 もある。 現 時 点ではどちらが正しい 抑 止 的 な 制 度 措 置 を 取 る 方 向の国 あれば、 ど ちらかという と 禁 止 的 、 エコノミーに前 向 きに取り 組 む 国 も 記を取り込んだかたちでシェアリング g n i p p a w s ンスもその一種とされる。 ただし、従 い。 特に規 模が大 き く なってきたと のアプローチとなるのではないかとい )、共同購入、共同消費、 来のアカデミックな 世 界では十 分 な きには、 課 税 や 既 存 の 法 制 度 との う のが同レポートの 見 解 と なってい ( 定義をできていないようである。 整 合 性 といった 点 で の 課 題 が 生 じ る。 )効果 る。 ( ては、 従 来 の 所 有 等 に 伴 う 資 源 の シェアリングエコノミーについては、 シェアリングエコノミーの効 果 とし 過 少 利 用の 状 態がレンタル等によっ 以下のとおり市 場の活 性 化という 経 2 今後のシェアリングエコノ て改 善されるとともに、 結 果 的に取 済 的 観 点 以 外にも 様々な 政 策 的 な )政策面での波及 引コストの削 減やより多 くの人に対 アプローチが必 要であるとの見 解に シェアリングエコノミーに対 する定 ( する成 果の共 有 可 能 性 等がメリット たっている。 ミーの進展と課題 )今後への観測 義 、 対 象 等 を 踏 ま え た 上 で、 E U ( としてもたらされる。 ●技 術イノベーション の社 会 、 経 済 等にどのようなインパ いる。 ●シェアリングエコノミーの本 質は範 る。 特に注 目すべき点として、 従 囲、規模の成長に伴い変化しつづけ の波 及 来のP2P型 (個人対個人) での成 E U 加 盟 国 では、 大 き く は、 上 %前 後に達した時 点で頭 打ちと 長は、(経 済 全 体に占める) シェアが ●環 境 保 護 ● ( 雇 用 、 社 会 福 祉 等 )社 会 保 障 上 クトがもたされるかについて整 理して ●経 済 活 動 、ビジ ネスモデルの高 度 ●社 会 、 都 市 政 策 化 る代 表 的な財 、 資 源については以下 ●マクロ経 済 上の波 及 効 果 ●知的財産 ●労働、人的資源 ●消費財 ●輸送 ●宿泊、収容施設 のようなものとされている。 シェアリングエコノミーが適 用され )対象となる財、 資源 1 ( 4 25 No.51 July 2016 43│ Info-Future® 2 3 10 上瀬 剛 まる るビジネスへの影響は限定的にとど としている 2018年までに実現可能な数値 はEUの 主 要 国 で は 早 け れ ば ボトルネックとなる可能性がある 賃金、労働需給等でのミスマッチが や介 護の現 場で指 摘されるような ●製 品の取 引、 流 通がより 小 口 化、 ● 「信 頼 の 連 鎖 」の 構 築 が必 要 で あ 品 質の向 上 という 恩 恵 を 受ける。 用 状 態 の 解 消 が 実 現 す れ ば、 小口化の進展により) 資源の過少利 可 能 性がある。 そして、(流 通 等の が増えれば、 格 差 解 消につながる ミーにより、 財へのアクセス可 能 性 は両 論 あるが、 シェアリングエコノ る は、 生 産 能 力 過 剰 化リスクが高ま に対応できない業種、企業において とにより、 特に小口の発 注や製 造 ない」財 、サービスについては、(必 な ときに必 ず 手に入 らないといけ えば医 療サービスのような、「 必 要 (例 : 自 動 車、 不 動 産 ) や、たと グ等の普及の支障となるケース サービスによって適不適がある 財のシェアリングは難しく、モノ・ ビスや軽いものと比べて)重い消 費 があるとしている。 また、(無形サー 効果発揮については解決すべき課題 間地域でのシェアリングエコノミーの 市 部であり、いわゆる過 疎、 中 山 揮するのは主に (人が集 積する)都 で、ボーダレス化する国際経済の下 構 築が税 制 上は必 要となる。一方 な把 握に基づく課 税に向けた基 盤 ●取 引に伴って発 生 する所 得の適 切 備と普及が不可欠となる ング等のプラットフォーム機 能の整 うにして 構 築 されるかがカギとな はこうしたプラットフォームがどのよ 境・インフラが必 要 となる。 今 後 の信 用と、 安心して提 供される環 格で確実に提供されることについて 場 合に、 当 該サービスが所 定の価 口でレンタル、 購 入しようといった る。 すなわち、モノ・サービスを小 市民個人向けのカスタマイゼーション 5720億ユーロもの経 済 効 果が 要 なときに必 ず 入 手 可 能 となる) で、 例えば米 国、アジア等との競 (マス・カスタマイゼーション) が実現 あるとしている 環 境 、基 盤づくりが必 要となる (例 争 環 境も踏まえつつ、 経 済 政 策と ●シェアリングエコノミーが効 果 を 発 される。 ただし、 従 来の雇 用 型の シェアリングエコノミーが社 会に対 え ば、 緊 急 時 向けのサービスプロ 課税対策のバランスをどうするかと 付加価値基準へとシフトしていくこ ような (福 利 厚 生も含めた)恩 恵が して も たら す プラスの 面 に 加 えて、 バイ ダーが ( 他 が 利 用 中 で あって いう問題に直面する (図1) ルに変化するという観測である ●消 費 者は、サービス価 格の低 下 と する ●シェアリングエコノミーへの新規参入 総 じて、 知 財 面 を はじめ 従 来 の 機 会の創 出により、 個 人 事 業 主に とっては新たなビジネス機会が創出 )解決すべき課題 等 )。 上 の 事 業 者 等に全 面 的に適 用 す る の普及率が %を上回った時に、デ エコノミーの支 障となるケースがあ ことは難しく、 国境を越えた取引が ( ●社 会の不 平 等 化 との関 係について も た ら さ れ る わ け で は な く、 シェアリングエコノミーがつきつける も )必 ずいざ という と きに 利 用 可 を 事 業 者の出 現に伴いB2Cモデ P2P型 (インターネットオークショ 課題についても明らかにしている。 能 なできる環 境が整 備されている 普 及が前 提となり、スマートフォン ジタル環 境が阻 害 要 因でなくなる る。 日本に置き換えると、保育園 ●従 来 型プレーヤーとシェアリング上 でのプレーヤー間でのサービス市 場 %の普 及 率 規 制 、 制 度をシェアリングエコノミー での競 争が激 化するが、 土 地や道 としている。 なお、 ●労働市場のミスマッチがシェアリング 路 といった限 定 的 な 資 源 上に関 す 90 り、信用できる保険機能、スコアリ ン等 含め) で自 立できるプレーヤー ●デジタルでの利用、アクセス環境の 2 ● 「所 有 指 向 」がレンタル、シェアリン はごく一部に限定される なり、その後プラットフォーム全 体 特集レポート 90 Info-Future® No.51 July 2016 │44 e v i t c e r i D e c r e m m o C e を 頂点とする法制度、規制の見直し ●現 在 の の住居貸出を禁止し、 当局による が必 要となる。 すなわち、オフラ ●ベルリンでは、 事前登録のない短期 前提となる中での制度の設立、運営 具 体 的にシェアリングエコノミーを 立ち入り検 査 権 限も付 与されてい イン・オンラインでの制度 (税制等) )観光分野での制度対応例 主体、そして監視機関のあり方等新 政 策 面で活 用しているE Uの事 例と る ( たな課題に直面する。 EUの現行規 して、 観光産業を紹介する 。 制 で あ るEU 指 令( e c r e m m o C E e v i t c e r i D e e v v i C i t c E t e / c r i 1 e r D 3 i / D e 0 h t 0 s 0 e c 2 c e i / v 3 r 2 e 1 / S 6 0 e 0 h 2 T 泊 、食事 、観光地等) に関するコミュ の 普 及 によって、 P2 Pで 観 光( 宿 スマートフォン、ソーシャルメディア パリ、マルセイユ、リヨン等のフラン 一方で、規制が緩やかな都市もあり、 許可が必要になっている ルのオーナーやコミュニティーからの ●ブラッセルでは (集合住宅では) 、ビ 確保が必要となる 全 体としての制 度 面での整 合 性の 用される可 能 性があるため、EU り、 規 制の差 異が抜け道として悪 して、 両 者の間の不 公 正 性が高ま ニケーションが加速し、口コミを経 由 スの都 市では比 較 的 規 制は緩やか ●税制面の整備に加えて、個人情報、 のギャップが残る場合、規制逃れと して一つの観光振興の原動力となって で、ロンドン、アムステルダムではシェ ビッグデータ取扱等での整備が必要 )、 いる 点は言 うまでも ないが、 E Uの アリングエコノミーの発 展を損なわ となるが、 対 応 負 荷がユーザ、 事 ( ( いくつかの都 市では、 短 期 間の家の ないゆるやかな 制 度 を 探っている。 業者側にとって大きくなればシェア ( れらの規制、制度対応を効率的に ビジネス環境 s t h g i R 制度環境 r e m C u E s / n 3 8 o / C 1 1 0 n 2 o 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 関 する 指 令である 基盤 )等はいずれもシェ IT 環境 )、 消 費 者 保 護に アリングエコノミーを 前 提としていな 貸 出 し を 規 制 す る 例 が 出 て き てい なお、EU委 員 会、EU議 会では リングエコノミーの成 長が損なわれ ( い。 る。 たとえば シェアリングエコノミーに対して公式 るリスクが生じる。 したがって、こ )プラットフォーム機能の充実に ) に進めることが課 t n e i c i f f e t s o c 題となる ●シェアリングエコノミーから排除され ト フ ォ ー ム に 関 す る 言 及 も あ り、 る。これらの中にはICTのプラッ くべき対応策についてまとめてい と し て(加 盟 国 も 含 め て )講 じ て い ミ ー が 抱 え る 課 題 に 対 し て、EU ば悪 意で (外 部から)低いスコアリン たっての必 須 要 件 となるが、 例 え ミーのプラットフォームに参 加にあ リング機 能は、 シェアリングエコノ (提 供 者、 利 用 者に対 する) スコア た人、地域への対応が課題となる。 今後どのような国家横断的なプロ グ評 価を受けた場 合に参 加が排 除 されるリスクがある。 また、支配的 ジ ェ ク ト が 進 ん で い く か、 注 目 さ こうしたシェアリングエコノ 向けて ( なスタンスは固めていない 認証、 課金 サービス プラット フォーム スマート フォン 資源効率 活用 労働需給 信頼性 構築 人の集積 知財 商取引 独占禁止 税制 4 れる。 No.51 July 2016 45│ Info-Future® 3 図1| シェアードエコノミーを支える基盤 特集レポート 10 上瀬 剛 図2| 政府、 自治体等の役割 <政府、地方公共団体、公的機関等> 制度、政策 t n a n i m o d ●雇 用 面では、プラットフォームの成 ●そしてICT基 盤 をどこがどのよ タンスで臨むか )な プラットフォーム事 長に伴って、プラットフォーム自身が う な 形で 運 営 するか、 またそこへ ( 業 者が出てきた場 合には、 当 該 事 一つの企業体として、従来は個人事 う見方がある 等が議 論となってこよう。( 図 幸い、 日 本 ではマイナンバー、 番 らの中にはI C Tのプラットフォーム 応 策についてまとめられている。これ ( 加 盟 国 も 含めて)講じていくべき 対 抱 え る 課 題 に 対 し て、 E U と し て こうしたシェアリングエコノミーが た、 面 としての検 討 まで 広がってい 組 を 参 考に、 税 や 競 争 施 策 も 含 め リングエコノミーに 関 す るEUの 取 ての取 組に終わらず、 今 回のシェア されている。 これらが単に「 点 」とし 幅 広い分 野 での 利 活 用 拡 大 も 提 唱 ろであり、 公 的 個 人 認 証については 号カードの基 盤の構 築がされたとこ に関する言 及もあり、 今 後どのよう くことを期 待したい。 ●産業施策としてのあり方 かを見 定めたうえで、 済」 へとどの時 点 、レベルで転じるの アリングエコノミーが 「 現 象 」から「 経 我々としても、 今 後こうしたシェ ある。 でいくか今 後 も 注 目されるところで な 国 家 横 断 的 なプロジェクトが進ん )今後の対応策 2 民主導、競争環境下での公的プラットフォーム ) 業 者 の 判 断 如 何 で 疎 外 さ れる 地 シェアードエコノミーによる 経済活性化、雇用促進 雇用者に近くなるのではないかとい の政府の役割は何か フィードバック フィードバック ( 業 主として参 加していた個 人が被 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 域、コミュニティ等が増えるリスクが ある。例えばスコアが低いプレーヤー 雇用 5 に対しての回 復・救 済 措 置、 独 占 個人事業主 回避策 (競争促進策) 等が必要でな ユーザー 認証 多言語 知財管理 仲介、 マッチング ● 「プラットフォーム」化を前提に、プ ンドギャップ」分析の実施 上のインフラ面から見た「フィットア ●個 人 情 報 保 護、 税 制 等 の 法 制 度 プロバイダ いかとの見解が示されている ・法制度 ・競争環境整備、市場監視 ・地域間格差対策 ・新たな税制基盤(所得把握から課税まで) レーヤー・競 争 環 境・独 占 禁 止 等 に関して 全 体 としてどのよう なス Info-Future® No.51 July 2016 │46 タンク等を経て現職。テレワークを 金融系、ITサービス企業のシンク 社会システムコンサルティング部門 社会システムデザインユニット 一般社団法人日本テレワーク協 上席研究員 会アドバイザー、内閣府、総務省、 小豆川 裕子 国土交通省委員(2015年度) 。 ング業務等に従事。博士 (学術) 。 テレワークが牽引する働き方改革 介 を 行う 。 り組む、「テレワーク月 間 」について紹 「 人 材 強 化 」に向 けての更 なる 改 革 命 」、 ③ 新 た な 産 業 構 造 を 支 え る を提 示している。 このう ち、 ③ においては「 成 長 制 約 打 破のための 雇 用 環 境 整 備 、 多 ※1「日本再興戦略2016-第4次産業革命に向けて-」 (2016年6月2日閣議決定) <http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/2016_hombun1.pdf> ~全員参加型社会へのシナリオ~ 多 く の 企 業 で「 働 き 方 改 革 」 への 挑 戦がはじまっている。 その有 力 な 手 段の1つがテレワーク。 I C Tを 1 何のために「働き方改革」 ワーク月間実行委員会副委員長、 活 用し、 どこでも、いつでも 仕 事が を行うのか 割を超え ( ・ 1%) 、前年調査 ( ・2%)より 約 32 11 NTTデータ経営研究所 日本テレワーク学会副会長、テレ で き る 環 境 整 備 は、 個 人 の 仕 事・ で き る と 説 く 。 そ して 鍵 と な る 施 様 な 働 き 手 の 参 画 」を 掲 げ、「 働 き 日に発 表された 『 日本 生 活の充 実 と 企 業(組 織 ) の持 続 的 月 方 改 革 」は生 産 性 向 上に対して貢 献 本年 策 に ① 長 時 間 労 働 の 是 正 に 向 けた 再興戦略2016 経 済 の 不 透 明 感 が 高 ま る な か、 』は、 人口減 少や世 界 取 組 強 化 と ② 女 性の活 躍 推 進 と 高 第4次 産 業革 な 成 長 を 実 現 する。 そんな 価 値 共 有が民 間 企 業のみならず中 央 官 庁・ 自治体にまで拡がっている。 ※1 確 認した 上で、 テレワークの 普 及・ G D P 6 0 0 兆 円 の 達 成 の た めの で 実 施 し た 調 査「働 き 方 変 革 命に向けて 拡 大による全 員 参 加 型 社 会へのシナ 新たな使 命として、3つの課 題 ① 新 2016」によると、 働 き 方 変 革に 本 稿では、「 働き方 改 革 」の意 義を リ オ を 描 き、「 就 労 継 続 」 「活 躍 支 た な「 有 望 成 長 市 場 」の 戦 略 的 創 取り組 む 企 業は 齢者の活 躍 推進がある。 援」 への実効策としての期 待 、さらに 出 、 ② 人 口 減 少に伴 う 供 給 制 約 や 弊 社がNTTコムリサーチと 共 同 「 働 く、 が変 わる 」、 働 き 方 改 革の 人 手 不 足 を 克 服 す る「 生 産 性 革 3 22 No.51 July 2016 47│ Info-Future® 2 | | 6 月 を 制 定して 取 強 化 月 間 として 11 特集レポート プレイスの調査研究・コンサルティ はじめとするワークスタイル&ワーク SHOZUGAWA YUKO は以下の3つの課題意識がある。 「イノベーションの創出」 性 、 高 齢 者 など を 労 働 力 化 するこ あわせて現 在 非 労 働 力 化している女 を 実 践 して 総 戦 力 化 に 着 手 す る。 競 争 力の確 保・発 展 ) が相 乗 効 果を 現 )と 組 織の持 続 的 な 成 長( 企 業の 続 的 な 成 長( 個 人の豊かな 人 生の実 筆 者 は そ の 実 践 を 通 じて 個 人 の 持 いて は「 持 続 可 能 な 全 員 参 加 型 社 もたらしながら全 員 参加 型 経 営 、ひ とが喫 緊の課 題である。 「BCP(事業継続計画)」 価 値 観 や 思 考 を 事 業 の 根 幹 に 取り ンフルエンザやパンデミックなど、 有 会 」が実 現できると考える (図1)。 し、 事 業 発 展のためにイノべーション 事の際にB C P( 事 業 継 続 計 画 ) を 「ダイバーシティ経 営 」 「働き 方 改 地 震 、 台 風 な どの 自 然 災 害 、 イ を 創 出したい。 そのためには、一人一 速やかに実 行に移すためには、 平 時 情報通信環境の整備 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 ) 「組織風土の革新」 「働き方改革」を行うのか。 現在、働 人がパフォーマンスを最 大 限に発 揮し 産性の向 「生 上」 2 持続可能な全員参加型社 られる。 一つとして「 働 き 方 改 革 」が位 置づけ その課題解決に向けた経営戦略の わらないチームづくりが可 能となる。 根づき、あわせて性 別や国 籍 等に関 とで、一般 社 員の自 律 性・主 体 性が 会へのシナリオ 風 土を醸成することが重 要である。 解し、 他 者 配 慮・相 互 支 援の組 織 メンバに対しては、 個 別の状 況 を 理 なライフイベントに遭 遇 する 職 場の 一方 、 就 労 継 続に影 響 を 与える様々 労 働 力 人口の減 少 とと もに、 確 実 に到 来 す る 労 務 構 成 の 変 化( 若 年 層 改 革 」の 普 及・ 拡 大 に あ たって は、 テレワークをはじめとする「 働き方 大きく ( )「 労 務 管 無 駄な業 務プロセスの削 減や短 縮を クトにおいて、 オフィス勤務者とオフィ 日々、多層化・多重化するプロジェ 2 デバイス 管理ツール コミュニケーションツール テレワーク環境 (リモートアクセス方式) の減 少 、 組 織の高 齢 化 )を 見 据 え、 「 業 務 プロセスの革 新 」( スから 離 れ た と こ ろ で の 勤 務 者 が 2 ) 「業務プロセスの革新」 在 籍 する一人一人の 理 制 度・ルールの 整 備 」、 そ し て、 チームワークを 成 功させるためには、 ( 従 業 員の 生 産 性 を )「 情 報 通 信 環 境の ) 向 上 させ、 長 く 働 それを支える ( )「 組 織 風 土の革 新 」( き 続 けて も ら う 柔 1 コスト削減 過剰労働の抑止・健康維持・向上 1 整 備 」の4つの 要 素 が 重 要 で あ る。 3 生産性の向上 自己啓発の時間が増える ( き方改革を推進する企業の経営層に 他者配慮・相互支援 の組織風土 貴重な人的資源の確保・離職防止 テレワークの普及拡大 地方創生地域社会との連携が強化 イノベーションの創出 全員参加型経営の実現 育児・介護期だけでなくライフス テージの様々な変化も対応できる る。 革 」の鍵は、トップのビジョンづくり 適正な勤怠管理 よりI C Tを徹 底して活用し、どこ 業務の可視化、知識・情報の共有 て も ら う ための 環 適正な人事評価・業績評価 と 管 理 職 層の意 識 改 革である。 管 業務プロセスの削減及び短縮 でも、いつでも 働ける環 境 整 備が必 自律性・主体性の確立 境づくり、「 働 き 方 労務管理制度・ルールの整備 理職層の意識が変わり行動に移すこ 個人の持続的な成長 (個人の豊かな人生の実現) 2 軟なワークスタイル 4 業務プロセスの革新 要である。 込 む「ダイバーシ ティ経 営 」を 推 進 なバックグラウンドを 持つ従 業 員の グローバル化の推 進に伴い、 多 様 1 3 組織風土の革新 改 革 」が 重 要 で あ ※2 小豆川 裕子 割増加している。では、何のために 11 組織の持続的な成長 (組織の競争力の確保・発展) 持続可能な 全員参加型社会の実現 Info-Future® No.51 July 2016 │48 ※2 「働き方変革2016」弊社ニュースリリース (2016.0520) <http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/160520/supplementing01.html> 2016年3月16日~2016年3月28日に実施。前年調査 「働き方変革2015年」 は、 2015年3月13日~2015年3月17日に実施。 特集レポート 1 図1| 持続可能な全員参加型社会へのシナリオ 管理ツールとしては、勤怠管理ツー プウエア等情報共有ツールがある。 要である。 あわせて業 務の可 視 化、 ル、在席管理 (プレゼンス管理) ツール、 行い、 効 率 化 を 図っていくことが重 知 識・情 報の共 有を行うことが求め 業務管理 (プロジェクト管理) ツールが これらを、自社にあったソリューショ ある。 られる。 )労務管理制度・ルールの整備 多くの参加者で取り組むことが重要 「 働 き 方 改 革 」は 男 女 を 問 わ ず、 に渡る経済的な困難や再就職の難し る。この年代で離職した場合、長期 抱 え ている 人 は 少 なから ず 存 在 す 弊 社が担 当した総 務 省 委 託「 平 成 を与えることとなる。 さなど、その後の人生に多大な影響 である。 日本の労働政策はこれまで労働者 保護の観点と長期的な就労継続への 期 待 から、 育 児・ 介 護 休 業 制 度、 労 働 者が取 得 することになる「 休 む 介護等の就労継続への効果の認識を 事 業 」では、テレワークによる育 児・ ( 年 度 総 務 省テレワークモデル実 証 支 援 策 」に取り 組んできた。 しかし 尋ねている。 「 育 児 休 職からの早 期 復 看 護 休 業 制 度 など、 結 果 的に女 性 4つの要 素 を 整 備 することによっ 割の女 性が出 産・ ンで構成する。 ス勤 務 者と比べて不 公 平にならない て、企業に対しては 「コスト削減 」「 貴 ながら、 未だ約 オフィスから離れた勤務者がオフィ よう、 目の前にいない部 下の勤 怠 を 重な人的資源の確保・離職防止 」「 生 産 性の向 上 」「イノベーションの創 出 」 業 率は ・0%に留まるという 状 況 育 児により 退 職、 出 産 後 の 継 続 就 勤 務 制 度からフルタイム勤 務への早 帰 」および「 短 時 間 勤 務 制 度 等 特 別 ※5 適 正 に 管 理 す る と と もに、 働 き す ぎを防止することも重要である。ま に効 果をもたらし、これらを通じて 制 度・ルールの 整 備 を 行 うことで、 組 織の持 続 的な成 長 (組 織の競 争 力 理 由としては 「 勤 務 時 間の問 題 」「 両 から抜け出せていない。 両立できない 期 復 帰に役 立つと思 う 」と回 答した 期 復 帰 」について、 テレワークが 「早 化 も 対 応できる 」等が期 待でき、こ けでな くライフステージの様々な 変 発の時間が増える」「 育児・介護期だ 地 域 社 会 との連 携が強 化 」「 自 己 啓 止・ 健 康 維 持・ 向 上 」「 地 方 創 生、 個 人 に 対 しては、「 過 剰 労 働 の 抑 による知識・経験不足や在職年数要 端に低い。 その要 因としては、 離 職 合は先 進 国のなかで韓 国と並んで極 る。 また、管理職に占める女性の割 は な く 女 性 が 離 職 を 余 儀 な く され がり、共働き家族の多くは、男性で 立 支 援の雰 囲 気のなさ 」が上 位にあ した割 合はこれを上 回り、それぞれ 「 離職の回避に役立つと思う」と回答 離職の回避に対する効果 」 に対して、 ぞれ レワーク実 施 者、 上 司、 同 僚、それ 割 合は、テレワーク推 進 担 当 者、テ 今 日、( )( )( ) を強 力に支 援 するのが情報通信環境である。 3 テレワークは「就労継続」 り方式などがある。 コミュニケーションツールには、E 一方、 高齢社会を迎え、 介護理由 割以上を占める結果であった。 組織の様々な層で、 働き続ける支 援 策 としてのテレワークの価 値が共 有されつつあることがうかがえる。 我々は、 職業人生のなかで、 就労 継続に影響を与えるようなさまざま ※4 万 人 に 及 ぶ とい 育 児、 配 偶 者の転 勤、 老 親・配 偶 なライフイベントに遭遇する。 出産・ う。 年代では 〜 によ る 離 職 者 は 6 代、企業におけ ンスタントメッセンジャー) 、 TV会 議 「活躍支援」の実効策 割以上を占めた。一方、「 介 護 テレワーク環 境 (リモートアクセス れらを 通じて「 個 人の持 続 的 な 成 長 件の不 足、 さらに 「 女 性が希 望しな )情報通信環境の整備 方式) には、リモートデスクトップ方 (個 人の豊かな 人 生の実 現 )」につな い」という 女 性 側の意 識の未 成 熟 も ( 式、 仮 想デスクトップ方 式、クラウ がっていくものと考える。 3 る 男 性の管 理 職 層でも 介 護 問 題 を 40 7 2 メール、電話関連システム、 チャット (イ あげられる。 ド型アプリ方式、 会社PCの持ち帰 を行うことができる。 の確保・発展) を実現する。 38 管 理 職 層 も 部 下 も 安 心して、 仕 事 ※3 た、 適 正 な 人 事 評 価・業 績 評 価の 6 50 16 1 システム、Web会議ツールやグルー No.51 July 2016 49│ Info-Future® 27 3 4 ※3 (出典)国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査 (夫婦調査) 」 ※4 総務省「労働力調査」2014 ※5 総務省「平成27年度テレワークモデル実証事業」 における後半Webアンケート調査結果による。 働 き 方 改 革への 関 心 が 高 ま る な の3つのカテゴリに分 類して、 登 録 議 論する、 ③ 応 援する、 協 力する、 様 な 取 組 みが拡 がっていく だ ろ う。 て、 実 践 し、 実 感 す る 年 として 多 動 画の公 開 もあり、テレワークを 見 ※9 か、 2015 年 より、 産 官 学 で 構 を 呼 びかけ、 活 動 の 主 体 や 活 動 の ※6 成 す るテレワーク 推 進フォーラムの さらに 今 後 は、 個 人ベースで も「 遠 月がテレワーク月 間 テレワーク強 化 月 間として、 普 段 し、 介 護を充 実させながら仕 事が継 月 曜 日 を 実 家 でテレワーク を 実 践 テレワーク 月 間 では「 働 く、 が変 以上の頻度でテレワークを行い、その 続 できた 」 「 地 方の 自 宅 を 離 れて 東 隔 介 護をしている従 業 員が金 曜日と わる」を掲げてロゴマークを作 成した 結 果をレビューするような取 組みで、 京 に 単 身 赴 任 す る 従 業 員 が金 曜 日 )。 者の介 護 等々。 男 女 を 問 わ ず 就 労 (図3)。 国民一人一人が未 来につなが 多くの企業・自治体で登録が行われ と月 曜日に自 宅でテレワークを行い、 ① 「試みる、 実践する」 内 容の見える化を行っている。 主 唱により、 ※7・8 を継 続し、 活 躍をサポートできるよ る働き 方の一つであるテレワークにつ た。 として制定された (図 うな制度・環境づくりが求められる。 いて 考 え、 参 加 す る 社 会 的 な 運 動 家 族と楽しく過ごし、絆を深めるこ 公 式サイトでは幅 広 く 知ってもらう セミナーなどを企 画し、 組 織や地 域 勉 強 会・研 究 会、シンポジウムや の 企 業 のテレワーク 制 度 を 利 用 し とができた」 「 共働き夫婦がそれぞれ が変わる』 ため、 手 持ちの写 真や名 刺にロゴを て、 週 産官学連携のテレワーク普 でテレワークについての理 解を深めた 組みである。 り、ディスカッションを行ったりする取 た」 「 生 活 習 慣 病 等 を 保 有 する 従 業 楽しくなり、 仕 事も生 産 性が上がっ 務 )を実 践し、 仕 事と育 児・家 事が 日 ずつテレワーク (在 宅 勤 組み込んだりS N Sやシールなど 利 4 『 テレワーク月間 ー働く、 ② 「学ぶ、 議論する」 小豆川 裕子 の強 化 期 間 として 位 置づけている。 11 及推進の国民的運動 用 で き るよ う、ロゴ・ジェネレータ 機能も搭 載している。 ③ 「応援する、 協力する」 取 組 み を ① 試 み る、 同 す る 企 業・団 体 の テレワーク 月 間 に 賛 ク実 施のためのコンサルティング支 援 の表 彰 制 度 、 厚 生 労 働 省のテレワー る厚 生 労 働 省や日 本テレワーク協 会 2 0 1 5 年にはテレワークに関 わ 人一人が活 躍の場が拡がっていくこと などさまざまな 好 事 例が上がり、一 い、 治 療 をしながら 仕 事ができた 」 テライトオフィスでテレワーク を 行 員が、 訪れた温 泉 地に設 置されたサ 実 践 す る、 ② 学 ぶ、 事 業 や 職 場 環 境 改 善 助 成 金(テレ 公 式 サ イ ト で は、 1 に期 待したい。 ワーク推 進による地 域 活 性 化などが 年 目となる。 テレワークに関わ 2 0 1 6 年 、テレワーク月間活 動 登 録された。 は 2 る 各 種 表 彰 や、 普 及 啓 発 のための ※9 総務省「働く、が変わる。TeleWork」 テレワーク普及啓発動画<https://www.youtube.com/watch?v=DZZFDvVD-0E&noredirect=1> 2 11 ワークコース)、 民 間が実 施 するテレ 出所| http://teleworkgekkan.org/ 図3| テレワーク月間のロゴマーク 出所| http://teleworkgekkan.org/ Info-Future® No.51 July 2016 │50 ※8 一般社団法人日本テレワーク協会編『テレワークで働き方が変わる』 テレワーク白書2016、インプレスR&D 特集レポート 図2| テレワーク月間の公式サイト ※6 テレワーク推進フォーラムは、テレワーク関係4省 (総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省) の呼びかけにより設立され、産学官協働でテレワークの円滑 な導入に資する調査研究や普及等の活動を行うことにより、テレワークの一層の普及促進を図ることを目的としている。 ※7 テレワーク月間の公式サイト<http://teleworkgekkan.org/> 大 手SIerから某 放 送 局グループ 会社を経て、2008年NTTデータ 経営研究所入社。 事業戦略立 ビジネスソリューションコンサルティンググループ 情報戦略コンサルティングユニット マネージャー 川戸 温志 案や新規事業開発、I Tグランドデ 不 動 産 業 界のプレイヤーは、 不 動 産テックとどう向き合うべきか 不動産テック( ) の大きな ”うねり “ 昨今のフィンテック ( )と がテーマとして取 ナフなどスマートロックを活用し 連続で a i l u r T な h c e T e R は果たして単なる ! o o h a Y 「お う ち ダ イ レ ク ト 」、 リ ク ル ー ト 「所 詮 は、”仲 介 へ の イ ン タ ー ブームなのか? 住まいカンパニー×日本マイクロ M I P I M プライスマップ」 、リ 不動産」 、ネクスト L I H S E g n S I i ’ B E M O H ソフトの「 の「 h c e T e R は 一過性のブームで終わるのではな いか?」と考える人は、「 ネ ッ ト 活 用 “で は な い か?」「単 な る ”マッチングビジネス “ではな 不動産×ソニー不動産の している。 た関連ビジネスも立ち上がろうと や り 上 げ ら れ た。 米 国 を 中 心 と し た 海 外 で は、 既 に 一 方、 日 本 国 内 に お い て も、 見せている。 ビジネスが盛り上がりを ど の 老 舗 企 業 を は じ め、 様 々 な w o l l i Z h c e T e t a t s E l a e R : h c e T e R )が 月に h c e T e R ス支援などに取り組む。 h c e T e R 関わる新規事業開発やアライアン h c e T n i F グデータ、AIなど最新技術分野に h c e T e R る。 近年は、ネットビジネスやビッ h c e T e t a t s E l a e R : h c e T e R 動 産、 物 流、エネルギー、ホテ 同 様、 不 動 産 分 野 の 不 動 産 テ ッ ク ( あるのをご存じだろうか。 フ ラ ン ス・ カ ン ヌ で 毎 年 (ミ ピ ム )。 世 界 各 万人を超える参加者が 」、 イ タ ン ジ いか?」と見ている人も少なくない ブ セ ン ス の「 」な ど ブ ラ ウ ザ や ス マ だ ろ う。 確 か に、 盛 り 上 が り を 見 . d a m o N ホアプリ系の M I P I M o i r Q や フ ォ ト シ ン ス、 ラ イ h c e T e R 加 え、 せる米国等の海外と日本国内の不 ビジネスに 集 ま り、 都 市 開 発 や 不 動 産 投 資 に 年 に の「 て2015年・2016年 と る 国 際 会 議 で あ る。 こ の 関連するプレイヤーが一堂に会す 国から約 見本市 開催されている世界最大の不動産 3 2 No.51 July 2016 51│ Info-Future® 2 01 法人戦略コンサルティング部門 ルなどの分野で幅広い実績を有す レポート NTTデータ経営研究所 ザインに関して、金融や通信、不 KAWATO ATSUSHI 留 意 が 必 要 で あ ろ う。 特 に、 中 古 がり方を見せるわけではない点は は 異 な る た め、 同 じ よ う な 盛 り 上 動 産 市 場 の 特 徴 や 商 習 慣・ 国 民 性 を頂点するピラミッド構造が出来 で あ る た め、 自 ず と デ ベ ロ ッ パ ー 責任を持つのは全てデベロッパー 発・ 売 却・ 資 金 回 収(リ タ ー ン )の な 環 境 要 因 の 変 化 に よ っ て ”生 ま 環 境 を 鑑 み る と、 ” か?」と い う 問 い に 対 し て 答 え は “である。日本国内のマクロ O N テ ィ マ ネ ー しくはプロパ ジ ャ ー(AM)も セットマネー 任を持つのはア (リターン)の責 売 却・ 資 金 回 収 産の取得・開発・ い。 米 国 は 不 動 点も見逃せな 造の違いがある 産業界の事業構 加 え て、 不 動 国と日本では大 ンなどの点は米 リコースロー 築 偏 重 主 義、 ノ ン リ コ ー ス ロ ー ン 新 住 宅 市 場 の 流 通 量、 不 動 産 情 報 の 今後の広がりはデベロッパーが鍵 は、 日 本 国 内 に お け る は い な い だ ろ う。 そ う い う 意 味 で もあるためデベロッパーは黙って とデベロッパーへの本業への影響 のビジネス規模の ベンチャーの スとして成立し得ないニッチな領 そ の た め、 デ ベ ロ ッ パ ー の ビ ジ ネ ミ ッ ド 構 造 が 出 来 上 が っ て い る。 てデベロッパーを頂点とするピラ 産のバリューチェーン全体におい 一 方、 日 本 の 不 動 産 業 界 は 不 動 が成り立ち易い。 となる 展 開 も 可 能 で あ ろ う が、 あ る 程 度 域であれば の 売、 管 理 そ れ ぞ れ の 領 域 で 押 し も あ っ て、 不 動 産 の 開 発 や 販 る情報基盤が整っている環境の後 分 担 が な さ れ て お り、MLS に よ AMやPMの も と 水 平 分 業 で 役 割 上 が っ て い る。 従 っ て、 米 国 は ネ ッ ト 購 入・ ネ ッ ト サ ー ビ ス 利 用 と い う 消 費 者 購 買 行 動 が 定 着 し、 ”まずはインターネットで調べる “ る。また、消費者サイドの面では、 ヤーを取り巻く環境も変化してい ンプレッシャーなど業界プレイ 賃 の 高 騰、 こ れ に 伴 う コ ス ト ダ ウ 東日本大震災の復興需要による工 動 き、 業 界 の 慢 性 的 な 職 人 不 足・ よ る デ ー タ 重 視・ 内 部 統 制 強 化 の た、 耐 震 強 度 偽 装 事 件 や 杭 問 題 に ケ テ ィ ン グ が 求 め ら れ て い る。 ま 方法から ” の ”売り切り “のマーケティング 分 譲 の 減 少 ト レ ン ド に よ り、 従 来 一 方、 業 界 サ イ ド の 面 で は、 新 築 ト 取 引 解 禁 の 議 論 が 進 ん で い る。 流通促進の取り組み、不動産のネッ の 面 で は、 国 交 省 に よ る 中 古 住 宅 と 言 っ て も 過 言 で は な い。 法 制 度 れ る べ く し て 生 ま れ た “ト レ ン ド SPC:特別目的会社 AM:アセットマネージャー PM:プロパティマネージャー BM:ビルマネージャー 透 明 性・ デ ー タ 量、 合 理 主 義 ジ ャ ー(PM)で を握っていると言えよう (図 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 きく異なる。 vs h c e T e R h c e T e R 新 築 偏 重 主 義 か ら 賃 貸 志 向・ 中 古 h c e T e R は一過 志向の増加へとシフトしてきてい への心的ハードルが下がり、更に、 “のマー e n O o t e n O h c e T e R )。 性のブームで終わるのではない し か し な が ら、「 h c e T e R て、 日 本 で は 不 ※ あるのに対し は様々 h c e T e R オフィス vs 動 産 の 取 得・ 開 1 商業 デベ デベ 不動産の取得・開発・売却・資金回収(リターン) の責任を持つのは全てデベロッパー 不動産の取得・開発・売却・資金回収(リターン) の責任を持つのはAMもしくはPM デベ アレンジャー デューデリ 業者 住宅 デベ 住宅 AM・PM 銀行 AM・PM 商業 販売・ 仲介業者 PM・BM AM・PM オフィス AM(アセットマネージャー) 投資家 川戸 温志 “金流” と資金回収のキャッシュフローを生み出す資産を 全て握っているのはデベロッパーであるため、自ずとデベ ロッパーを頂点するピラミッド構造が出来上がる。 他の業者にとっては、デベロッパーが “顧客” であり、 自分らが安定的に受注可能な業界構造や商習慣を変え る必要性が少なかった。 米国など海外では、“金流”と資金回収のキャッシュフロー を生み出す資産を管理しているのはSPCから資産運用を 委託されたAMであり、様々な専門業者が役割を分担し ている業界構造。 デベロッパーはあくまでも仕入・開発を担う役割であり、 投資家の厳しい監視・評価のもとで、AMやPMが資金 回収までを担っている。 管理者 物件 キャッシュ フロー 管理者 物件 キャッシュ フロー 01 日本(従来) 米国 (回収者) デベロッパーがマネジメント (回収者) SPC レポート 図1| 日米間における不動産業界の特徴比較 ※MLS:Multiple Listing Services Info-Future® No.51 July 2016 │52 h c e T e R タ の 収 集・ 活 用 が 一 般 化、 更 に 機 な ど の 普 及 が 拡 大 し、 ビ ッ グ デ ー ウェアラブル端末、IoTセンサー の面では、スマホ、タブレット端末、 終 わ る こ と な く、 今 後 の 発 展 性 の いうトレンドは一過性のブームで わ る こ と は な い た め、 と こうした環境要因自体が急激に変 は出来つつあると言える。従って、 ように向き合えば良いのだろう ヤ ー に と っ て は、 はどの ンに直面する不動産業界のプレイ 逆にこうした破壊的イノベーショ るがし兼ねないためである。では、 り、 既 存 事 業 や 自 社 の 優 位 性 を 揺 ベーションとなり得る可能性があ しなくてはならないと言っている 業 を 定 期 的 に 立 ち 上 げ る か、 買 収 調 に 成 長 し て い る 間 に、 新 成 長 事 な く、 経 営 者 は 中 核 事 業 が ま だ 堅 ンが失速した後で対処するのでは る。 言 い 換 え る と、 成 長 の エ ン ジ 成長事業を立ち上げよと言ってい が生まれ育っていく土壌 械学習を中心とした人工知能が大 大小や加速度合いはあるものの方 の で あ る。 そ れ も 早 く 小 さ な 規 模 る。 こ う し た 中 で、 テ ク ノ ロ ジ ー きな発展を見せている。 か? 業界のプレイヤー は とどう 選択肢として大きく3つのオプ 不 動 産 業 界 の プ レ イ ヤ ー に は、 事 業 の 強 化 で は な く、 新 た な 成 長 を 選 択 す る の は 勿 論 の こ と、 既 存 で 定 期 的 に 始 め よ と。 つ ま り、 ① 事業として早く小さく高速回転を ションが考えられるだろう。 h c e T e R 企業と積極的に協 繰り返すべきとしているのである。 ①外部の 力・ 連 携 す るこ と で、 自 社 で も h c e T e R h c e T e R 富士フイルムの h c e T e R デ ジ タ ル カ メ ラ が 有 名 で あ ろ う。 て は、 コ ダ ッ ク 続的に成長した企業の典型例とし を 立 ち 上 げ・ 買 収 す る こ と で、 持 こ う し た 新 成 長 事 業(破 壊 的 事 業 ) 方向性 ②①とは逆にそういった h c e T e R に対しては静 観し、 本 業 詳 細 は 別 稿 に 譲 る が、 他 に も ジ ョ ビジネス は、 こ う し た みが遅れているの プレイヤーの取り組 ある。不動産業界の ク リ ス テ ン セ ン 教 授 も、 本 業 が 健 の ジ レ ン マ 」で 有 名 な ク レ イ ト ン・ る こ と で あ ろ う。「イ ノ ベ ー シ ョ ン 眉 た る 読 者 の 方 々 は、 ① を 選 択 す る だ ろ う か。 恐 ら く 見 識 の 高 い 白 果 た し て、 読 者 は ど れ を 選 択 す ベーションに直面する不動産業界 現在の 実 行 に 移 す の は な か な か 難 し い。 頭で分かっていながら意思決定& 際 の ビ ジ ネ ス の 現 場 で は、 そ れ が が 好 例 で あ る。 し か し な が ら、 実 ヒ ュ ー レ ッ ト・ パ ッ カ ー ド、GE のみへ注力する方向性 ③ に対して非協力・敵対する方向性 企業 の活用や新規事業化する 向き合うべきか? 現在、日本国内で ビジネス を牽引しているの は、主に不動産業界 は、従来の業界構造 全 な う ち に、 成 長 を 気 長 に 待 て る の プ レ イ ヤ ー も、 ン ソ ン・ エ ン ド・ ジ ョ ン ソ ン や やバリューチェーン 投資的な余力があるうちに新たな 以外のプレイヤーで h c e T e R デベロッパーにおける ReTech ビジネス仮説案 h c e T e R 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 h c e T e R 新規事業 だろう。 向性としては大きくは変わらない ✓ “稼ぐ住まい” …民泊(例:Airbnb)前 提の住まい ✓ 不動産クラウドファンディング ✓ 商業施設やオフィスのリーシングマッチング ✓ 建物をつくりたい人とデベロッパー・建設 会社とのマッチング ・・・etc 新しい 不動産 ビジネス ReTech vs を変える破壊的イノ h c e T e R h c e T e R という破壊的イノ h c e T e R を活用 No.51 July 2016 53│ Info-Future® ✓ ビッグデータに基づく売却意欲の事前察知、または相続発生の事前 察知。企業移転の事前察知 ✓ 不動産価格の可視化 ✓ 住民の導線や人気エリアの可視化による開発最適値の定量評価 ✓ オフィスのワークスペース効率化 ✓ スマートロックによる建物管理代行・スマート内覧 ・・・etc 既存事業 効率化・ 強化 ✓ 不動産データ販売ビジネス ✓ 商業施設の情報管理プラットフォーム ✓ ビッグデータに基づく売却意欲の高い物件 予測。企業移転の事前察知 ・・・etc 不動産情報 ビジネス こ の よ う に、 日 本 国 内 で も 図2| デベロッパーにおけるReTechビジネス仮説案 (一例) 1つ目は、”既存事業の効率化・強 規事業立案の要諦 (上/下)」でも述 業における の請負型の人月ビジネスの世界で ク ラ ウ ド 等 の 脅 威 に 晒 さ れ、 従 来 h c e T x x 化 “。 2 つ 目 は、”新 規 事 業 “。 べ た と お り、 ネ ッ ト ビ ジ ネ ス の 優 苦 し ん で い る。 不 動 産 業 界 と い う もまた旧態依然とした業界の中で、 新 規 事 業 に 関 し て は、 更 に 大 き く 位性の源泉は情報・データである。 ビジネスの新 2つの活用の方向性がある。1つ目 向 き に 考 え ら れ る だ ろ う が、 独 立 した既存事業の効率化や強化は前 説 が あ っ た か ら と い っ て、 儲 か る い サ ー ビ ス ア イ デ ア・ サ ー ビ ス 仮 こ こ で 1 つ 留 意 が 必 要 だ が、 良 ある (図 ) 。 が、”新しい不動産ビジネス “。2 つ目が ”不動産情報ビジネス “で て、 不 動 産 に ま つ わ る 情 報・ デ ー る こ と に 異 論 は 無 い だ ろ う。 従 っ を源泉とするネットビジネスであ す る が、 そ の 多 く が 情 報・ デ ー タ ような物理的テクノロジーも存在 だ け で は な い。 ス マ ー ト ロ ッ ク の はネットビジネス ことが期待できる。 ビジネスチャンスが生まれてくる 業 界 へ の 参 入 を 促 し、 新 た な 形 の を持った双方が協力しあうことで、 力 的 な 業 界 で あ る。 こ う し た 背 景 ると参入が困難であるからこそ魅 の は、 他 業 界 の プ レ イ ヤ ー か ら 見 h c e T e R した新規事業として立ち上げるの ビ ジ ネ ス・ 勝 て る ビ ジ ネ ス を 構 築 勿 論、 はハードルが一段も二段も高いの タを多く有しているプレイヤーが h c e T e R 益 モ デ ル・ 差 別 化・ マ ー ケ テ ィ ン をリードしていく存在が必要不可 接 着 剤 の 役 割 を 果 た し、 新 規 事 業 そ こ に は、 必 ず 双 方 の 潤 滑 油・ で き る ほ ど 甘 く は 無 い。 サ ー ビ ス デベロッパーにとっての h c e T e R ス仮説として、どのようなものが考 ビジネ た。では、例えばデベロッパーの立 ベロッパーが鍵を握っていると述べ ピラミッド構造の頂点に君臨するデ た ビジネス仮説案の殆ど 着目すべきポイントはここで挙げ の 構 築 に つ い て は 次 稿 に 譲 る が、 ス仮説案の説明やビジネスモデル き こ と は 多 い。 各 ビジネ ジネスが実現するまでに検討すべ て は 買 収 や ア ラ イ ア ン ス が あ る。 良 い だ ろ う か。 選 択 肢 の 1 つ と し ていないプレイヤーはどうすれば か。ITに 関 す る リ ソ ー ス を 有 し イヤーはどうすれば良いのだろう タを現時点では有していないプレ ビジネス。では、 情報・デー h c e T e R えられるのであろうか。まずは自社 が、 不 動 産 に 関 連 す る 情 報・ デ ー 例えば、アライアンス先として真っ h c e T e R h c e T e R h c e T e R で、 欠 で あ ろ う。 当 社 は そ う し た 役 割 で少しでもお手伝いできれば幸い 不 動 産 に 関 す る 情 報・ デ ー タ を の ”妙 “が必要不可欠であり、更 事 業 経 済 性、 販 売 や プ ロ モ ー シ ョ 多く有しているプレイヤーが勝つ である。 ン、 オ ペ レ ー シ ョ ン な ど 実 際 に ビ の事業ポートフォリオを踏まえた上 タが集まって初めて成り立つビジ 先 に 浮 か ぶIT業 界 の プ レ イ ヤ ー 場 で 考 え た 場 合、 をどのように活用す ネスが多い点である。拙稿の「大企 の今後の広がりは、 に は ニ ー ズ や 料 金 価 格 帯 の 調 査、 グなどビジネスモデル全体の設計 本稿の前述において、日本国内に ビジネス仮説案 2 るかである。選択肢は大きく2つ。 おける おわりに が実情であろう。 川戸 温志 勝つ世界なのである。 01 コ ン セ プ ト・ タ ー ゲ ッ ト 顧 客・ 収 レポート Info-Future® No.51 July 2016 │54 h c e T e R スタッフの管理指向を脱しよう これ らのスタッフ 業 務 を 中 心 に、 給 与 といったモジュールが中 心になっ このようにしてまで企 業 組 織の運 今 日 に 至 る まで あ る 程 度 の 標 準 化 たことを 前 提 として可 能になってき 営の効 率 性を得ることが妥 当かどう と 集 約 化 、アウトソーシングが進め 「管理」の仕方が変わる? 海 外のある大 手 企 業では、いわゆ かは、 組 織( 体 内 ) に何を求めるかに られつつある。 その一方で、 企 業 経 ていたことは言うまでもない。 る 中 間 管 理 職による 人 事 評 価・考 よって 大 き く 変 わって く るはずであ たと考えられる。 課 が人 的 稼 働 の 大 き な 部 分 を 占 め 営そのものに関わるゼネラルスタッフ う。 これによって 直 接 的にアウトカ における効 率 化は進められてきてお 周 知のように以前から、組 織 運営 私たちはラインとスタッフと言った スタッフ業務とは何か 置され続けている。 のとして、 多 くの企 業でそのまま存 の業 務は、 本 来は汎 化されにくいも る。 ムの設 定と評 価が可 能になり、 人 事 り、 そ の一つとして 挙 げられるのは スタッフ業務の変化 ており、その無 駄を取りやめて要 員 を削減すると昨年報じられた。 個々 の担 当 者について具 体 的に数 値 目 標 を 設 定 し、 そ れに対 す る 達 成 / 未 評 価 関 連のコストが省けると 考えて サービス (サポート) スタッフのアウト 達 の 程 度 を も とに 評 価 を 行 う とい いるようである。 ても設 定しやすい定 量 目 標だけでは 関 する 調 整 を 行ったり、 結 果につい ミュニケーションを通じて成 果 目 標に 行われていた。 今 日のB P O(ビジ 担務業務) をシェアード化することが おいて 間 接 業 務(サービススタッフの ひと 頃は企 業 及 びそのグループに とができる。 ば以下のように整 理 区 分を考えるこ なって く る。 その中にあって、 例 え や組 織 編 制によって整 理の仕 方が異 あるかをみようとすると、 業 種 業 態 りするものの、スタッフ業 務が何で な く、メンバの 努 力 や 成 長 といった ネスプロセスアウトソーシング) への進 ソース化の流れである。 定 性 的 な 評 価 を 含めたりしてきた。 展もその延 長 上にある。その背景に これまで評 価には人が介 在し、コ そのよう な 取 組みに比べれば、この は、 例えばE R Pの導 入が進んだこ 仕方は、少なからぬ業 務が 「 規準化 」 であろう。 そしてこのような評 価の 企 業 運 営 を 行 うこ と を 可 能 に す る れていったE R Pは、 多 くの場 合 企 が少なくない。 またその当 時 導 入さ 標 準 化が進められたことによる影 響 とや 業 務 の 企 業 固 有 性 が減 少 して フ 機 能 /サービスを 提 供 するスタッ 層の意思決定を直接的に支援する 企 業の経 営 者 な どのマネ ジメント ◆スタッフの位置づけと期待 ※1 やり方はてきめんに「 効 率 化 」された され定 量 化が進められることによっ 業 固 有 性が少ない財 務 会 計や人 事・ ①ゼネラルスタッフ : て、アウトカムの評価をしやすくなっ No.51 July 2016 55│ Info-Future® 04 回 マネジメントの復権 │ 第 ※1 仮に①~③のような区分をしてみたが、実際には事業ラインとコーポレートの両方にゼネラルスタッフが存在することもあり、またラインで多様なサポートがなされる (例えば経理 業務など) と共にコーポレートでも同じような業務のうち計数のルーティンを中心に扱う担当がいたりする。したがって組織の編制の仕方や規模などに応じて、様々な形で位置 づけられるといえる。 生産財、サービス財を中心とする 戦 略 的マーケティングが専 門 領 域。 企 業ビジョンや 戦 略 策 定、 マは、消費財メーカや金融機関 等にも広く経験を持つ。主な共著 は、 『 顧 客ロイヤルティ戦 略 』 (同 文舘出版) 。 アソシエイトパートナー 例 : 経営企画や戦略財務など ②サービススタッフ : ※3 ②時限的なスタッフ : 企業内のローテーションの一貫で特 定のスタッフを担務する のために管 理 間 接 部 門に配 置された スタッフも相 当する。 かんせい な どの専 門スタッフ、 及びその部 め ら れ る 人 事、 法 務、 経 理 財 務 の意 思 決 定の方 向 性の共 有や 異 な 持ち帰ることによって、マネジメント ため、 そこでの経 験 をライン業 務に 専 業 としてスタッフ組 織に閉じ ない フと 同 様に活 動 することができる。 景がある場 合 、 ①の専 業 的 なスタッ スタッフと 専 門(サービス) スタッフに 役 割 上からも 関 わりが多いゼネラル められるのは、 直 接 的な接 点が多く ジメント層の観 点から特に留 意が求 本 稿の主テーマからすると、マネ スタッフ活動の陥穽 門の中 でルーティン作 業 を 担 務 す る 立 場の理 解 、 社 内のリソースへの なるため、 以下はこれらを中 心に触 それまでの教 育や能 力 といった背 るサービススタッフも併存 アクセスなどが可 能になる。 それに れていく。 スタッフの 活 動で 見 受 け ラインの業 務 支 援 等のサポートを 技 能 を 持つスタッフが担 務 すること れるため、 それに応えられる能 力や やり取りを遂 行・差 配しているスタッ 実 務 的 な 習 熟 な どから 現 場 との ワークを遂行するためのスタッフ 様 々 な 管 理 の た め のルー テ ィン た数 値 管 理 目 標 などに基づいてこと しては 結 果 責 任 を 負 わ ず、 整 備 し 導してしまう。 その実現の成否に関 ず、 経 営 計 画や 諸 戦 略 を 調 整・主 で効 果 性が上がるメリットがある。一 フも 少 な く ない。 企 業 の 業 務 固 有 の成 否 をラインに押し付けてしまう Info-Future® No.51 July 2016 │56 ※2 日本企業では経営企画部門にはあまり多くない印象があり、財務や人事などの専門機能において専業的な形が多いように見受けられる。 ※3 いわゆるゼネラリスト育成の観点から、日本企業ではゼネラルスタッフや専門スタッフについても時限的スタッフが多い。本人のCDP(キャリアディヴェロップメント) にしかなっていないような場 合もあり、組織の役割機能として不十分さに出くわすこともある。 ※4 今日では企業のコスト管理や施策が厳密になることに伴って、このような余剰人員配置としての位置づけは減っているはずである。十数年前の経験になるが、ゼネラルスタッフ的な稼 働ができる企画スタッフが若手中堅2名に対して、情報を流通させるだけの中高齢のルーティン的なスタッフが十数名配置されている組織に出くわして驚いたことがある。実際のビジネス 上の稼働で知恵も時間も若手中堅に過負荷がかかっていたことは言うまでもない。 ※5 私たちマネジメントコンサルタントのビジネスでは、課題対応期間に能力を尽くすことが求められる。例えば新事業が結果的に成功したとしても、それはクライアントの努力をもって多とするもの であり、案出やプランニングを支援したことをもってその結果の果実を得るものではないと考えられている。しかしスタッフは同じ会社組織に長くいることからも、結果責任と果実をシェアすべき ものであるはずである。それが外部のコンサルタントと協働することが多いせいか、コンサルタントのように結果責任を一切負わないのであれば無責任との誹りを免れないであろう。 デジタルイノベーションコンサルティンググループ NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティングユニット 特定業務のプロとしての要件が求 担務するスタッフ (ライン付きのス よって組 織 的 な 活 動が進 化していく られる問 題のうち、これまで経 験 的 ③サポートスタッフ : タッフなど) 一助になる。 しかし 果 たせる 専 門 能 点について 論 いわば机上演習だけでラインに成 ◆ 第一とし て は、 現 場 感 を 持 た ず、 じてみよう。 によく 見 受けられた 問 題を生じることもある。 関する継 続 性が欠 如することによる れ替わる場 合は、施 策やその背景に 力が充 分でない場 合や頻 繁に人が入 ◆スタッフの要員特性 ※2 ①専業的なスタッフ : 専門機能や能力に基づき専業的に 担務するスタッフ 例 え ばトップマネ ジメントの 意 思 否を押し付けること 方 で 専 門 性 と 自 立 性 から、 かつて 性が残れば意 味があるものの、 多く ことは、問 題がある。 以前の論 考で ※4 ③ルーティン的なスタッフ : GEがエリートスタッフの帝 国と化し の場 合コストリダクションの対 象にな も触れたように、「 戦 略 課 題 」を埋 没 スタッフが現 場・現 実 感 を 踏 まえ たような危険性も持っている。 りがちである。 かつて余 剰 人 員 対 応 決 定 支 援については専 門 性が求めら 3 ジマネジメント、組織とIT等のテー CS経営、営業マネジメント、ナレッ SHIJO TORU 四條 亨 期の目 標 達 成への傾 注という 問 題を り、 中 長 期 的 なリソースを 損 ない短 ぎない。 それは合 成の誤 謬を生じた の責 任 管 理 」を 小 分けしているに過 結 果 責 任を問うことは「 遂 行と結 果 かし課 題 を 内 包したまま、ラインの 標達成に結実するように見える。し らば、一見 すると積 上 げは全 社の目 上 数 値の無 理 な 積み増し)を 行うな させたままストレッチ目 標(多 くは売 大きく生じている。 タッフ組 織 とそ うでない組 織の差が ベルアップさせていくことがう まいス 取 組みを 少しづつチューンアップ、レ みがちである。このような点からは、 考えることはない、 という 状 況 を 生 て 生じる 問 題について 立 ち 止 まって はいずれも、環境の変化や実施に伴っ するような変化を実施する。これら て、 前 例 を 否 定 す ること を 目 的 と 当や所 掌 役 員が変 わったことを もっ のように扱 われたり、 振 る 舞ったり 的にはスタッフは「 主 君 」に仕 えるか 的 な 姿ではないかと考えるが、 実 際 という役 割 機 能を果たすことが理 想 う組 織に殉じて、その経 営に資する ずである。 スタッフは当 該 企 業 とい 諫 言が必 要と見られるときもあるは し て、 スタッフ と し て も 何 等 か の 時 としてマネジメント層の言 動に対 値 意 識 を もって 言 動 を 行っている。 層も人であるから、 様々な思 惑や価 ( 実 現の手 段 を 持っていることから ) 理に傾 注することは、計 数の責任を 重 要 性を増している。 しかし計 数 管 以前にもまして計 数の把 握と管 理は 心になってくる。I Rを始めとして、 画するに際して、計 数が取り扱う中 を 見 渡 して 状 況 を 理 解 し 先々を 計 である。 特に大 企 業 ほど、 社 全 体 り管 理したりすることに傾 注しがち にせよ、スタッフは 計 数 を 設 定した 経 営 企 画のような先々の目 標データ かんげん 生じたりすることになる。 ラインに押し付け、その責を追 及す チューンアップをうまくできないス していることが少 な く ないようであ マネジメントをアシストする役割か タッフ組 織 、 特にそれがローテーショ ントとして駆け出しの頃は、スタッフ ることになりがちである。 らすれば、ライン現 場における課 題 ン型 の 場 合 、 部 門 長 以 下 担 当 まで マネジメントの復権のために は様々なデータを収 集 分 析して、 経 ※7 や限 界を含んで、 全 社 組 織 的あるい が逐 次 入れ替わるため、 取 組みの思 スタッフに望まれることは何か る。 は時 系 列 を 考 慮したバランスを 持っ 想や求められる行 動がうまく引き継 営の意 思 決 定 を 支 援しているイメー 業と取 組みをさせていただく 中で学 実は筆 者もマネジメントコンサルタ た 経 営 をしていくようにしていくこ がれていかない。 そのため施 策 取 組 ジに捉 われていた。 しかし 様々な 企 ※5 とが望ましいことはいうまでもない。 みは「 形 式 化 」を 辿っていくことにな これまでスタッフ機 能 と そこが行 んだことは、データや計 数の管 理の ※6 う 管 理から生じる問 題について、 触 大 事さもさることながら、 生 起しつ を形式化させていくこと なんらかの施 策を実 施して、それ る。 れてきた。 そこでスタッフ機 能がマネ つある環 境 変 化や経 営 課 題をどのよ ◆ 第二と し て、 前 例 踏 襲 か 前 例 否 ◆第三には、スタッフがマネジメント ジメントの復 権のために資 する活 動 うに読み解いて逸 早 くそれらに適 確 定の二極化を生み、 更にその内実 層の指示通りに唯々諾々として活 を 行 うようになるためには、 どのよ に対 応 することを 考 えることであっ 支 援するという 役 割からすれば、そ いいだくだく 動することに留まってしまうこと う なことを 望んでいくのかと 言 うこ 策 自 身や取 組み方などを見 直さず、 の指 示を受けてあるいは考えを忖 度 とを以下に論じていきたい。 た。 は、 現 場 に 赴 き 課 題 実 態 を 把 握 ◆スタッフ (特にゼネラルスタッフ)に 財 務 のよう な 結 果 データにせよ、 ◆計数管理に偏しない いちはや が 充 分 な 成 果 を 生 じた 場 合 、 そ の マネジメント層の意 思 決 定 などを 前 例として変えないことも少なくな して、スタッフは検 討 を 行 うことに ※8 施 策が継 続されていく。 その際に施 い。 そのように取り組めば短 期 的に なる。一方で実 際には、マネジメント そんたく は効 率 性 を 高めていく。 あるいは担 57│ Info-Future® No.51 July 2016 ※6 例えば昔から筆者の経験でも、顧客満足度がスコア値を取ることになってしまったり、それを前期等の時系列や社内部門間で比較することを目的にしてしまう場面に会うことがある。 本来は顧客に向き合って自己の課題解決をしていくことによって、顧客との関係性を向上させるべき取組みのはずである。このような事象は、担務するスタッフやそれらの情報から打ち 手を講ずるべきマネジメント層が持つ認識によって、生じてしまう形式化ということができる。 ※7 かつて不祥事を起こした企業で、 そのようになる前に異議を提起したり、事後にボランタリーで適切にその解決を図ろうと粉身砕骨したりするスタッフや社員を傍らで支援をしたことがある。 その際に痛感したことは、本来マネジメント層は未然に問題を防ぎ、身を挺して不祥事解決を実施すべきである。そのような動きができていない時に、彼らに諫言することが如何に大 事かということであった。昨今話題になった企業の「チャレンジ」 というイリーガルな取組みについても、それを諌めようとしたスタッフや他の社員もいたに違いないと筆者は考えている。 ※8 特に大きな企業ではゼネラルスタッフが縦割りで業務細分化されてしまう結果、数値を整理収集し管理するグループ、マネジメント層からのリクエストに基づいてマーケットや競合を分析 検討するグループなどと機能分断がされている場合がある。そのような場合は、計数管理だけを目的とする組織が併存するため、スタッフ部門が組織機能を遂行することが計数管理を 加速させてしまう面があることにも留意が必要となる。 04 回 た結 果は、変 革が達 成されると、そ プロジェクト 中から 悩み考 えてみ 除する の 責 任 者 の 社 内 的 な 力(お よ び 立 ◆ 情 報 格 差 による 個 別 の 利 益 を 排 スタッフ と し て 機 能 し ていない 」と スタッフはマネジメント層を支 援す 場 )の 源 泉 である 案 件 情 報( 新 規 の 調 整・報 告だけをしているスタッフは 喝 破していたが、これはまさに現 場 る役 割から、 様々な情 報に接し社 内 げていくと経 営 課 題に結 実するよう 現 場で生じている現 象は、 掘り下 させる フに対して現 場で生 起している課 題 について見 出していくように、スタッ る 観 点から、スタッフが経 営の課 題 の 変 化に対 応 し 経 営 手 段 を 用 意 す ネジメント層には、 生じてくる環 境 大 前 提になることを 示している。マ 討 を 行 うことが、スタッフとしての アントの責 任 者は、 ある日 を 境にプ スタッフ部 門の部 長であるクライ 変 革に入った時のことである。 手 企 業でB 2 Bの営 業マネジメント 場 合がある。 筆 者がかつて、ある大 自 身の力の源 泉にしてしまっている る。 人によってはこのよう な 情 報 を の 固 有 データ な ど を 知 るこ と に な て耳に入れるなどの動き方をして信 を 示し、 進 捗 問 題の有 無 を 先 駆 け マ数 値が足りない時に新 規 案 件 候 補 トップに対してスタッフとして、ノル のではないか、 という ものであった。 気 付いたため、 それを 防 ぎたかった トにも 見える化されてしまうことに ネタや進 捗 など ) がトップマネジメン かっ ぱ の 実 態 課 題 を 起 点 として 分 析 や 検 なことが少なくない。コーポレートの 実 態を掘りに行くように、 奨 励して であるかということは本来はマネジメ のように経 営マターに結 実 するもの ない。 しかし現 場での課 題 認 識がど するだけと考えている場 合も少なく フ部 門としてはそれらの軽 重を判 断 ら上げられるべきものであり、スタッ ことであるが、 現 場 課 題はラインか 定などで筆 者も経 験させられてきた 完していくことが望まれる。 計 画 策 デメリットが大きい。マネジネント層 ニケーションが進まない場 合も、実は であるし、他方無関心のようにコミュ 点から「 茶 坊 主 」は 否 定 される もの することにあると 考えている。 その は、マネジメント層に対 する 諫 言 を 前 述のようにスタッフの役 割の一つ を育成する 度 量 と 諫 言 を 伝 え ら れるスタッフ ◆諫言を受け入れるマネジメントの キーパとなっていたこともあって、 筆 がトップマネ ジメント 層への ゲ ート るように動 き 始めたのであった。 彼 変 革 の 内 実 を 実 質 的に換 骨 奪 胎 す 身である自 分が判 断する」と言って、 現 場 が変 え られる 部 分 は、 営 業 出 情から、これはできない」 「 営 業 等の みを 作り上 げる際に「 当 社の固 有 事 ては邪 魔はしてこないものの、 仕 組 に進められたものであったため表立っ トップマネジメント 層の 理 解 を 背 景 動 かない方 向 に 変 化 してし まった。 理 指 向 を 脱したマネジメントに結 実 スタッフ組 織 を 創 成 することは、 管 そのよう な「 価 値 観 」を 共 有 する ないかと考えている。 マネジメント層に求められることでは についても 目 配りをしていくことも、 えるように、スタッフの言 動や 背 景 を 追い求めてマネジメント支 援 を 行 割 機 能 で ある 企 業 組 織 としての 利 もしれ ないが、スタッフが本 来 の 役 この例はいささか極 端ではあるか 源 泉は情報 格 差にあったのである。 ※9 課 題 たりうるものについては、 それ ントの観 点であり、その現 場 課 題の が 諫 言 を 受 容 す る 度 量 と 同 時 に、 者は力 及 ばず でない) スタッフを 育 成して配 置 する たことがあった。 革を実 現できず、 忸 怩たる思いをし じくじ 点 程 度 までしか変 かんこつだったい 解 決 を ラ インに 押 し 付 け る も ので 諫 言を伝えてくるような (上 意 下 達 ことが望まれる。 するであろう。 あってはならないはずである。 コンサルタントしての 筆 者 の 師 匠 は、「 現 場 に 行 か ずに 自 席 で 分 析 や 50 マネジメント層の気づきや認 識 を 補 頼を勝ち得ていた模 様であり、その 四條 亨 ロジェクトの推 進 者から非 協 力 的で 第 もらう必要があるかもしれない。 の復権 らを高いアンテナ感 度で拾い上 げて、 マネジメント ※9 以前触れたことがあるように、 そのマネジメントの仕組みは営業担当のみでなく顧客や製品サービスを統括する機能にもノルマを負わせて組織的な営業を促進するものであり、 また個々 の案件と進捗を見える化して、顧客の購買意思決定の支援を行うと言うものであった。 Info-Future® No.51 July 2016 │58 情報システム子会社 年の変遷 ていたことやグループ事 業の多 角 化 IBM %、 J AL %、 そ の 他 %)。 J A LはJ I Tに システ ム 国 内の企 業 グループにおいて、 情 求 とと もに、 グループ外への拡 販に により、 親 会 社からコスト削 減の要 1 9 9 0 年 代に入ると、バブル崩 壊 も言われ、 話 題になった。 2 01 0 この 契 約 は 開 発や運 用をアウトソーシングした。 年 間 で80 0 億 円 と 報システム子 会 社 を 設 置 するケース 月 のJ ALの 経 営 破 たんを 受 10 に関 するアンケート調 査 」によると、 施した「グローバル本社機能の在り方 (以 下 、 N R I)が2 0 1 2 年 に 実 を 保 有 している。 野 村 総 合 研 究 所 割が情 報システム子 会 社 割、 従 業 員 数1000人 以 上の企 成 が 始 まった の も こ の 頃 で あ る。 ら)、 両 方の役 割 をつとめる人 材 育 としては本社と子会社を往復しなが 会 社 で 人 材 交 流 し ながら (キャリア ケースも増えた。 また、 親 会 社と子 報 システム子 会 社 に 資 本 参 加 す る 用 す るケースや、 I Tベンダーが情 グなどの外 部リソースを 積 極 的に活 年 代になると、 I Tアウトソーシン ることになった。 ともにシステム刷 新 計 画が推 進され 核となってJAL本体のIT部門と 生を確 実にするために、 JI Tが中 J ALに 譲 渡 さ れ た。 J ALの 再 保 有 す るJI Tの ことになったものの、 日 本 I B Mが IB Mがサービスの提 供 を 継 続 する システム 運 用 業 務 領 域 は 日 本 けて、アウトソーシングは見 直され、 業では約 年度調査) によると、 全 体では約 連 結 売 上 高5000億 円 以 上の企 2 0 0 0 年 代 後 半 以 降 に な る と、 情 報システム子 会 社の経 営 者という 保 有している。 本 誌 読 者の中にも、 に戻 す 傾 向 も 出てきた。 たとえば、 情報システムの企画機能等を親会社 ホールディングスが情 報システム子 会 一方 で、 20 1 2年 には、 キリン コストの見える化や業 務の専 門 化 な に、 I T 部 門の機 能 子 会 社として、 返 る と、 古 く は19 8 0 年 代 後 半 情 報システム子 会 社の歴 史を振り J A L )は 提 携 し、 日 本 I B Mが 航 空 イ ン タ ー ナ シ ョナ ル (以 下 、 2 0 0 0 年 に 日 本 I B Mと 日 本 報システム子 会 社を吸 収している。 インキ 化 学 工 業 ) は2 012 年に情 )( 旧 社 名 : 大 日 本 両 社の狙いは共に、 I T人 材の技 術 経 営 権 保 有の有 無の違いはあるが、 行 済み株 式の システムテクノ (AJITEC) の発 が情 報システム子 会 社である味の素 タに 譲 渡 。 ほぼ 同 時 期 に、 味 の 素 の発 行 済み株 式の %をNT Tデー C I D どを目 的として情 報システム子 会 社 J A Lの情 報システム子 会 社である 力 強 化を狙ったものだった。 n o i t a r o p r o C が数 多 く 設 立された。 オープン化な J A Lイ ン フ ォ テ ッ ク (以 下 、 社 キリンビジ ネスシステム (KBS) どによりシステム案 件は増 加し、 シ J I T )に 出 資( 出 資 比 率 : 日 本 ておられる方も多いと思う。 インキ 世 界 最 大 手 のD IC( 業の約 %の 全 株 式 を 割が情 報システム子 会 社を 協 会 のI T 動 向 調 査2 0 1 5( 年 に 伴 い、 機 能 分 社 化 が 進 ん だ。 51 よ る 自 立 が 求 め ら れ た。 2 00 0 8 1 立 場で 企 業 グループのCIOを 担っ 2 14 は多く、日本情報システム・ユーザー 30 ステム部 門に過 剰 な 負 担が強いられ 49 %をN RIに譲 渡 。 51 このような変 遷の中で、 業 務や技 No.51 July 2016 59│ Info-Future® 41 51 4 7 回 C I O へのメッセージ │ 第 19 情報システム子会社の 人事制度を考える 大 手SIer等を経て現 職。 大 学 卒 業 後、NTTデータ NTTデータ経営研究所 経営研究所入社。 金融分 厚生労働省委託事業「働 野・公 共 分 野 等のコンサ きやすい職場環境形成事 NTTデータ経営研究所 ルティングに従事したのち、 法人戦略コンサルティング部門 NTTデータ人 事 部への出 情報戦略コンサルティングユニット 向等を経て、現職。 人事 ビジネスソリューション ビジネスソリューション ダブルケア等を含めた新た 改革、働き方変革、女性 活躍推進・高齢者活躍推 進、 顧 客ロイヤルティ分 加藤 真由美 な働き方に関する調 査 研 SAKAMOTO TARO 事 制 度 改 革、 組 織 風 土 シニアマネージャー 企画・分析、テレワークや 坂本 太郎 ル事業」の実績の他、人 コンサルティンググループ 従業員や顧客意識調査の マネージャー 防対策」、 「テレワークモデ 情報戦略コンサルティングユニット 制度の構築・改定支援や コンサルティンググループ 業~パワーハラスメント予 法人戦略コンサルティング部門 析等の実績多数。 KATO MAYUMI 究に従事。 37.1% 1.6% ソリューション提案力 3.2% 56.5% 38.7% 1.6% 技術力 8.1% 19.4% サポート体制 25.8% 75.8% 3.2% 0.6% 61.3% 対応スピード 4.8% 66.1% 大変満足 満足 不満 大変不満 25.8% 3.2% 25.8% 3.2% 不明 出所| 矢野経済研究所 2015年3月31日付「情報システム子会社の経営実態に関する法人アンケート調査結果2015」 ※1本調査における情報システム子会社とは、企業(親会社)の情報システム部門から分社化され、親会社のシステム業務(開発・ 運用・保守など)を受託している情報サービス会社を指す。 ※2調査時期;2014 年11 月~ 2015 年3 月、調査対象(集計対象) ;日本国内の情報システム子会社を有する企業(親会社) 62 社(n=62)、調査方法;電話アンケート、各項目における単数回答 ※3 いずれの項目にも「大変不満」の回答はなし 矢 野 経 済 研 究 所が行った「 情 報シ ステム子 会 社の経 営 実 態に関する法 人アンケート 調 査 結 果2 0 15 」に よ る と、「コン サ ル テ ィン グ 力 」 「ソ リューション 提 案 力 」 「技 術 力 」 「サ 項 目で「 大 変 不 満 」はないも 6 ポ ート 体 制 」 「コスト 」 「 対 応 スピー ド」の 割近く 4 のの、「ソリューション提 案 力 」 「コンサ ルティング力 」については、 ) の企 業が 「 不 満 」と 回 答 し ている。 (図 ユーザー系情報システム子会社に は人事戦略上の共通課題がある 弊 社は、 情 報システム子 会 社の中 で も 特にユーザーの 情 報 システム部 門がI Tベンダーの傘 下で 独 立した 企 業(以下 、ユーザー系 情 報システム 子会社) の人 事 制 度 改 定 をお手 伝い する機 会が多い。ユーザー系 情 報シ ステム子 会 社 は、 親 会 社 の 業 種 が 1 事 制 度を構 築したらよいかを考 察し 9.7% 1.6% ていく。 コスト 64.5% 年 間 問わ 30 情報システム子会社に求められる 56.5% 情 報システム子 会 社の在り方につ コンサルティング力 4.8% 術 の 専 門 家 集 団 として 位 置 付 けた 100% 「コンサルティング 力 」 「ソリュー 90% いては別 途 考 察することとし、 情 報 80% ものの、 日々の運 用 保 守を確 実にこ 70% ション提案力」 60% システム子 会 社が親 会 社から求めら 50% な しつつ、コストセンターから プロ 40% れている 役 割からみてどのよう な 人 30% フィットセンターへの変 革が求められ 20% る中 、 情 報システム子 会 社に所 属す 10% 0% る 技 術 者 の 処 遇 が過 去 れ続けている。 図1| 親会社の情報システム子会社に対する現在の評価 Info-Future® No.51 July 2016 │60 にあったとしても、ユーザーである親 られている。 経 営 権 がI Tベンダー 親 会 社のニーズに応 えることが求め 違っても 共 通して、 市 場のニーズや 「 I Tガバナンス」が挙がる。 築(要 員 確 保 )」 「コスト の 適 正 化 」 強化」 「 強 固 な 開 発・運 用 体 制の構 会 社 の 成 長 に 向 けた 採 用 競 争 力 の ナー」 「 品 質 向 上、 生 産 性 向 上 」 「親 要になる。 ことからも 従 業 員への動 機づけが重 に親 会 社は必 ずしも 満 足していない 究 所のアンケート結 果でも「 提 案 力 」 が散 見 される。 前 述の 矢 野 経 済 研 これらの課 題を解 決すべく人 事 制 的な処 遇 体系との相 性がよくない。 産 業はスキルの陳 腐 化が早く、 年 功 ていないこと も ある。 情 報サービス ユーザーの業務に対する知識が く、 職 務とパフォーマンスに応じた処 促 す 評 価 体 系の整 備 」 「 年 功ではな 「 新 規 性・高い目 標へのチャレンジを 度の見 直しは、「 等 級 体 系の再 構 築 」 会 社に対してプロアクティブに新しい 点に 決 するべく 取り組みに着 手 すること 遇 体 系の 構 築 」 「 継 続 雇 用 制 度の 整 備 」を 総 合 的に行 うことが多い。( 図 求められる )他 の ど のITベンダーより も、 人 事 戦 略 上の課 題は次の 範 囲 を 広 げ、 長 期 的に発 展 可 能 な が、 数 多 くのユーザー系 情 報 システ 通 常 のI Tベンダーに比べ、 I T ) 価や昇 格 基 準をI Tスキルのみとす するためには評価者教育が重要 人事制度改定を課題解決の一助に ションの変 化 を 踏まえると、 対 応が 子 会 社の場 合 、その成り立ちやミッ リのある給 与 制 度は、 情 報システム 度や、 それに応じて 処 遇 差にメリハ 主 体 的 な 行 動 を 動 機づける 評 価 制 員に魅 力 的なキャリアパスを提 示し、 人 事 制 度 、 す な わち 現 場 の 開 発 要 に必 要なスキルの向 上を可 能とする ば、 あまり 問 題 とはならない。ユー を 行 う こ と が 求 め ら れ る ので あ れ ある。 これは、システムの安 定 運 用 動 機づけが弱 く なってしまう 傾 向が のチャレンジや生 産 性の向 上といった められないケースが多 く、 新 規 性へ あることから、 営 業や提 案 能 力が求 場 合 、 システムの安 定 運 用が第一で ユーザー系 情 報 システム子 会 社の 親 会 社であるユーザーの人 事 制 度 度の構 築につながるとは限らない。 することが、 自 社にとって最 適 な 制 大 手 I Tベンダーの人 事 制 度を真 似 置 く 必 要 があ る。 そ のため、 単 に テムと捉え、 従 業 員への振り返り面 のマネジメント 」を 含 めた一連のシス れない。ユーザー系 情 報 システム子 されなければ、従 業 員を動 機 付けら 会 社 のみな ら ず、 昨 今 は 従 業 員 の 能 力 発 揮や事 業への貢 献 度 合いを公 いる も の の、 必 ず し も 自 社 に いる。 「 評 価 」を「 目 標 設 定 」や「 日 常 ていくかが評 価 制 度の論 点 となって 正 に 評 価 し、 処 遇・ 育 成 に 反 映 し 合っていない 3 制 度 を 改 定 して も、 運 用 が改 善 十 分とはいい難いケースの方が多いの ザーが 事 業 の 成 長 に 向 け 積 極 的 な を踏 襲した制 度を採 用しているもの 談・ 評 価 の 納 得 性 向 上・ 次 期 取り )親 会 社の人 事 制 度 を 踏 襲し て ) I T 投 資 を 行 う 場 合 、 提 案 能 力の の、 等 級 数や評 価 基 準 、 処 遇 体 系 ( ユーザー系 情 報 システム子 会 社に ない情 報システム子 会 社は対 応でき ではないか。(図 ヒアリングをすると 事 業 戦 略のキー 業 務 知 識についても、一定の比 重 を ることは不 適 切であり、ユーザーの 深い知 識が求められることから、 評 スキルよりもユーザーの業 務に対する ( 提 案 を 行い、 付 加 価 値 の 向 上 と と 組 織の構 築が求められる。 これらを ム子 会 社の中で生き残る近 道と言っ 集 約される。 これら つの課 題を解 実 現 す るために、 必 要 な 人 材 像 を キャリア形成に対する動機づけ )積極的なチャレンジや自律的な ても過言ではない。 に自 社に適 したものと なっているか 検 証 することは大きな 意 味 を 持つ。 現 場の開 発 要 員がプロアクティブに 2 組みに対 す るモチベーション向 上 や ( 明らかにし、現在の人事制度が本当 もに 生 産 効 率 を 高 めて 委 託 される 3 が必ずしもS Iである自社に合致し が弱くなりがち 2 3 ない、 という 形で 顕 在 化 するケース 行 動 する事への動 機づけとそのため 1 ワード と して、「オンリーワンパート No.51 July 2016 61│ Info-Future® 2 合っていない 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 図3| 良好な評価プロセス循環 評価の納得性向上 会社方針に則った動機づけ ) 体 的に結び付けるイメージを 得る場 (研修) も必 要になる。( 図 3 出所| NTTデータ経営研究所にて作成 改 善・成 長 を 図 る 営みを 評 価 者 が (目標)基準浸透 I T業 界 を 取り 巻 く 環 境 は、 技 術 革 新・イノベーションが激しく、ス キルが陳 腐 化 するスピードは増して いる。ユーザー系 情 報 システム子 会 社も例 外ではない。 日 本 国 内 で は2 0 15年 あ たり 寄 与することを願う。 」が取り 上 げ 実 現が親 会 社への新たな価 値 提 供に 動 を 促 す と と もに、 適 切 な 処 遇 の 員に対 して 事 業 戦 略 を 意 識 した 行 人 事 制 度を今一度 見 直すことで、 社 こうした環 境 下において、 現 在の 会 社には期待されている。 育 成できることが、 情 報システム子 きること、それができる人 材を確保・ を 活 用して新たなサービスが創 出で は高まり続けている。 「テクノロジー」 リューション提 案 力 を 発 揮 する 役 割 立 場 から、コンサルティング 力 やソ 自 社(グループ) の業 務に精 通 する サービスの登 場には枚挙に暇がない。 従 来とは異なる新たなテクノロジー、 思 決 定における人工知 能の活 用 等 、 話 題となっている。 他にも 業 務や意 られ、 新たな 金 融サービスの創 出が から 急 激に「 h c e T n i F 根拠ある フィードバック面談 最後に 日常のマネジメント 十分に理解する必要がある。つまり、 評 価の公 平 性 を 担 保し、 社 員の納 得 感 を 高 めるために、 評 価 者 が 人 目標の目線合わせ (調整会議) 自己評価と プロジェクトの振り返り (面談) 事 制 度 改 定の背 景にあるマネジメン 目標設定面談 (アドバイス) 評価者間目線あわせ (調整会議) トの思 想と実 際の評 価プロセスを 具 の の 、必 ずし も 自 社 に 継続雇用制度の整備 ITガバナンス 事制度を踏襲しているも ● も、ユーザーの業務に対 強固な開発・運用体制の ● 親会社(ユーザー)の 人 コストの適正化 ● ● フォーマンスに応じた処 遇体系の構築 する知識が求められる 構築 (要員確保) 年功ではなく、職務とパ 坂本 太郎 他 のど の I T ベ ン ダより 用競争力の強化 系の整備 がち 親会社の成長に向けた採 ● ● 品質向上・生産性向上 ● ● 加藤 真由美 チャレンジを促す評価体 ● 新 規 性・高 い 目 標 へ の ● する動機づけが弱くなり 回 律的なキャリア形成に対 第 19 人事制度見直し事例 人事戦略上の課題 等級体系の再構築 ● 積極的なチャレンジや自 ● オンリーワンパートナー ● メッセージ 事業戦略におけるテーマ CIOへの 図2| <ユーザー系情報システム子会社>事業戦略と人事制度の関係 (例) Info-Future® No.51 July 2016 │62 No.51 JULY 2016 No.51 発行日 2016年7月15日 発 行 株式会社NTTデータ経営研究所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-9 JA共済ビル 10階 発行人 佐々木 康志 編集人 唐木 重典 編 集 井上 国広/伊達 雅之/松浦 米毅 情報未来、当社サービスに関するお問い合わせは、 NTTデータ経営研究所 コーポレート統括部 経営企画部 広報担当 Tel 03-5213-4016 Fax 03-3221-7022 [email protected] まで お寄せください。 © 株式会社NTTデータ経営研究所2016 本紙掲載記事・写真の無断転載および複写を禁じます。 ●情報未来、Info-Futureは、株式会社NTTデータ経営研究所の 商標登録です。 ●この雑誌の中で言及している会社名、製品名はそれぞれ各社の 商標または登録商標です。 *社外からの寄稿や発言は必ずしも当社の見解を表明しているもの ではございません。 63│ Info-Future® No.51 July 2016 『情報未来』 は弊社Webサイトでもお読みいただけます。 http://www.keieiken.co.jp/pub/infofuture/ 電子メールによる発行のお知らせをご希望の方は 下記URLページよりご登録ください。 https://www.keieiken.co.jp/forms/mirai/ 情報未来7月号 No.51 株式会社NTTデータ経営研究所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-9 JA共済ビル10階 Tel:03-5213-4016 Fax:03-3221-7022 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