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市販暗号装置 - 安全保障貿易情報センター

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市販暗号装置 - 安全保障貿易情報センター
24貿情セ
調(経提)第8号
平成 24 年 10 月 22 日
経済産業省 貿易経済協力局貿易管理部
安全保障貿易管理課
後藤課長殿
安全保障貿易審査課
長濱課長殿
(写)安全保障貿易管理課
椎名課長補佐殿
(写)安全保障貿易管理課
清田課長補佐殿
(写)安全保障貿易審査課
木村課長補佐殿
(写)安全保障貿易管理課
河合係長殿
市販暗号装置、市販暗号プログラムの市販前の非該当化について
一般財団法人 安全保障貿易情報センター
情報通信専門委員会
通信・情報セキュリティ分科会
鮎川 一朗
1.はじめに
本年 8 月 1 日施行の政省令改正により、一般市販の暗号貨物・暗号プログラムにつ
いては、該当であるが特例により許可不要であった品目が、貨物については貨物等省
令第 8 条第九号タで、プログラムについては役務通達の外為令別表中の解釈を要する
語の9の項「貨物等省令第21条第1項第七号、第八号の二、第九号、第十号、第十
五号又は第十七号の規定中のプログラム」により規制除外され非該当になりました。
この改訂は我が国の情報通信機器業界、家電業界などの幅広い企業での輸出管理業務
の効率改善に大きく寄与するものであり、改めて感謝申し上げます。
一方、近年、情報通信機器や家電品など多くの製品に暗号機能が組み込まれており
ますが、それらの製品の開発の最終段階で国際規格に適合していることの認証、海外
での接続テストなどの評価やフィールドテストを必要とするケースが多くなってき
ております(別紙1参照)。このように国際機関の認証を受けたり、相互接続性を担
保したりすることは、グローバルマーケットにおける製品競合力を左右するようにな
ってきております。
装置やプログラムを、市販する製品にするか否かは、その製品の技術的仕様ととも
に、開発段階から製造者により決定されるものであることは、市販暗号の非該当化の
推進の中で改めて認識されました(別紙2参照)。然るに、一般市販が前提の装置や
プログラムであっても、ファーストロットを除いては、販売開始前には一般市販の要
件を満たさないと解釈されているため、たとえ最終製品と仕様、性能が同じであった
としても、非該当にはならず許可が必要となっています。
一方、米国においては、長年、米国規制当局による製品レビューを受けることによ
り、一定の要件を満たせば、一般市販前であっても市販暗号の規制除外の適用を認め
る運用が行われてきており、2010 年 6 月に企業による自主判定が大幅に認められる
ようになって以降も同様の運用が継続されていると思われます。
また、2002年度のワッセナーアレンジメントにて、Cryptography Note の解
釈として「最終製品における暗号機能の論理的、物理的な設計が確定した後では、ベ
ータテストレベル、試作品、初期限定生産段階のものであっても、輸出管理当局は、
Cryptography Note のもとでの取り扱いの資格があると判断してもよい」ことが確
認されたと聞いており、米国等諸外国の運用は、この合意に基づいているものと思わ
れます。
これらの状況から、一般市販が前提の市販前の装置、プログラムであっても、一
定の条件を満たす場合には、貨物等省令第 8 条第九号タの規制除外、役務通達中の
外為令別表中の解釈を要する語の9の項「貨物等省令第21条第1項第七号、第八
号の二、第九号、第十号、第十五号又は第十七号の規定中のプログラム」の適用を
可能とする運用を要望致します。尚、本解釈の運用にあたっては、規制の実効性を
担保することが重要ですが、貨物等省令第八条第九号タにはすでに「貨物の製造者、
販売者又は輸出者によって書面により確認できるものに限る。」との要件が規定さ
れており、市販前の製品であっても、該非判定時に、販売計画書、製品発表資料、
販売会社との販売契約書等、販売予定が確認できる書類により確認し判定記録を残
すことで実効性のある管理は可能であると考えます。プログラムについても役務通
達中の「外為令別表中の解釈を要する語」の9の項に同様の規定があり、同様の管
理が可能です。
2.要望(Q&A案の採用のお願い)
1.でご説明した状況から、一般市販が前提の市販前の装置、プログラムであって
も、一定の条件を満たす場合には、貨物等省令第 8 条第九号タの規制除外、役務通達
中の外為令別表中の解釈を要する語の9の項「貨物等省令第21条第1項第七号、第
八号の二、第九号、第十号、第十五号又は第十七号の規定中のプログラム」の適用が
可能となるよう、下記のQ&Aを経済産業省のホームページに掲載する等による解釈
明確化を要望致します。
<市販前の市販暗号除外適用>
Q:市販を開始する前の携帯電話やスマートフォン、パソコン、インターネットTV
などの一般市販を目的とした製品を国際機関での認証や、海外での接続テストなど
の評価を行うために輸出します。これらの製品は暗号機能を有していますが、貨物
等省令第8条第九号タの市販暗号除外を適用し非該当として輸出することは可能
ですか?
A:携帯電話やスマートフォン、パソコン、インターネットTVなどの一般に市販を
行うことを目的とした製品であって、暗号機能が確定し製品の設計が完了(最終評
価を残しているものを含む)しているものであれば、市販前のプロトタイプや評価
機であっても貨物等省令第8条第九号タの市販暗号除外の適用が可能です。
ただし、貨物等省令第8条第九号タには「貨物の製造者、販売者又は輸出者によ
って書面により確認できるものに限る。」の規定があるため、該非判定にあたって
は、販売計画書、製品発表資料、販売会社との販売契約書等、販売予定が確認でき
る書類により確認し判定記録を残すようにしてください。
尚、プログラムについても同様の考え方により、役務通達の外為令別表中の解釈
を要する語の9の項「貨物等省令第21条第1項第七号、第八号の二、第九号、第
十号、第十五号又は第十七号の規定中のプログラム」の除外の適用が可能です。
添付別紙
別紙1
市販前事例
別紙2
市販商品の企画から販売までのプロセス概要と市販前規制除外適用の
考え方について
以
上
(別紙1)
最終製品が市販品であって、その暗号機能が論理的、物理的に設計が確定していたとし
ても、量産ファーストロットの出荷以前の試作品であるために、輸出する際に個別許可又
は包括許可が必要である事例を以下に列挙する。
1.携帯電話、スマートフォンでの例
①国際ローミング確認
②GSM の認証(GCF)(第二世代携帯電話 (2G) 規格)
③CE マーク(商品がすべての EU 加盟国の基準を満たすものに付けられるマーク)
④FCC 規格(米国内の放送通信事業の規制監督のための規格。主に不要輻射を規定)
⑤ロゴ取得(Wi-Fi、Bluetooth、Windows、Android Compatibility Test など)
⑥システムテスト(ソフトウェアの評価関連)
⑦製品サンプル
2.パソコンでの例
①各国安全・無線規格
②米国 通信キャリア(ベライゾン、AT&T、スプリント等)とのデータ通信機能評価
③環境・省エネ(韓国 (KCC)、中国(節マーク))
④Windows ロゴについて
・Microsoft へは、試験結果の送付のみ。
・パソコンで使用している周辺デバイス、ソフトがロゴ取得の必要
このため、海外デバイスメーカー・ソフトベンダーへ貸し出しを行っている。
⑤製品サンプル
3.テレビの例
①各種規格/認証用
DTV,THX,Dolby,DTS,Divx,Skype(各認証:数カ国に提出)
中国省エネ、各国安全規格
②共同開発会社への開発/解析用
WiFi、BT、EPG、インターネット、音声認識、ODM関連会社
③各種ショー等
CES,IFA 等、雑誌評価サンプル
④マスターサンプル(現地での性能評価確認)
ほぼ全仕向け地の販売会社
⑤現地放送環境検証用
新規放送開始地域、新チューナー採用時等
⑥OEM供給先、協業先へのサンプル
(別紙2)
市販商品の企画から販売までのプロセス概要と市販前規制除外適用の考え方について
1stロット商品出荷後
現行市販暗号の規制除外適用
市販前の規制除外適用
事業計画
(開発・製造・販売)
商品企画
開発
設計・開発
各国安全規格
技術試作機 評価サンプル
プリプロ機
フィールドテスト
市販品であるかどうかはこの
時点で決定される。
注)この時点で、広告を開始し
たり、販売会社に説明したり、
市販を企画している納入先と
契約したりする場合がある。
プリ
製造 プロダクショ
ン
商品概略仕様、
企画台数
1stロット商品
2ndロット商品
認証/ロゴ取得
国際ローミング確認
最終システムテスト
販売プロモーション
販売計画例
マスプロダクション
詳細仕様(仕様書・設計書)
・設計書例
貨物:回路図、機構図、
部品リスト等
プログラム:プログラム設計
書、ソースコード、オブジェ
クトコード等
設計図面一式
製造引継ぎ書
販売
営業 販売プロモーション
プリプロ機提供
(FT用、販促用、
教育用、etc.)
販売前お試し
ソフトサービス
量産品提供
1stロット
販売
Fly UP